JP6528352B2 - 積層板の製造方法、プリント配線基板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、積層板の製造方法、プリント配線基板の製造方法、絶縁層付きプラスチックフィルム、積層板、プリント配線基板および半導体装置に関する。
多層プリント配線基板用の積層板の製造方法として、コア層である回路基板上に絶縁層と回路層とを交互に積み重ねるビルドアップ方式による製造方法が知られている。この方法によれば、絶縁層形成には、例えば、プラスチックフィルム上に絶縁層が形成された絶縁層付きプラスチックフィルムが使用される。この絶縁層付きプラスチックフィルムをコア層にラミネート(積層)し、プラスチックフィルムを剥離することにより、積層板が得られる。
特許文献1(特開2011−111575)には、層間絶縁層を形成する熱硬化性樹脂を塗布するための支持体として使用されるポリエステルフィルムが記載されている。このポリエステルフィルムは、少なくとも2層のポリエステル層からなる共押出積層ポリエステルフィルムである。一方のポリエステルフィルム表面の中心平均粗さRaが30nm以下であり、十点平均粗さRzが200nm以下であり、もう一方のポリエステルフィルム表面の中心平均粗さRaが10〜50nmである。また、フィルムのたるみ量が15mm/m以下であり、フィルムの厚さが20〜100μmである。
特開2011−111575号公報
特許文献1に記載されているようなプラスチックフィルムを用いて得られる積層板は、微細配線加工性に劣る場合があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、微細配線加工性に優れたプリント配線基板用積層板を提供するものである。
本発明者らは、微細配線加工性に優れたプリント配線基板用積層板を提供するために鋭意検討したところ、微細配線加工性に劣る積層板はプラスチックフィルムの剥離面に微細な凹みが生じていることを明らかにした。積層板の表面に微細な凹みがあると、金属めっき膜が剥れやすいため、上手く微細配線加工ができないと推察した。また、積層板の表面に微細な凹みがあると、微細配線加工の際に、エッチング液が配線の下部にまわりこんで、配線をエッチングしてしまうことも要因と考えられる。
そこで、本発明者らは、プラスチックフィルムの表面粗さRaやRzを調整することを検討した。
しかし、本発明者らは、プラスチックフィルムの表面粗さRaやRzを単に調整するだけでは微細配線加工性を改善することができないことを明らかにした。
そこで、本発明者らは、微細配線加工性を向上させるための設計指針についてさらに鋭意検討した。その結果、プラスチックフィルムの絶縁層と接する側の面の突出山部高さ(Rpk)を特定の範囲とすることで、微細配線加工性に優れた積層板を安定的に生産することができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明によれば、
絶縁層とプラスチックフィルムとが積層されてなる絶縁層付きプラスチックフィルムと、片面または両面に回路層を有する基板と、を準備する工程と、
上記絶縁層付きプラスチックフィルムの上記絶縁層側の表面を、上記基板の上記回路層側の表面に向けながら、上記基板の上記回路層上に上記絶縁層付きプラスチックフィルムを積層して積層体を得る工程と、
前記積層体の表面を平滑化する平滑化工程と、
得られた上記積層体から上記プラスチックフィルムを剥離する工程と、
を含む、プリント配線基板の製造に用いられる積層板の製造方法であって、
前記絶縁層が、熱硬化性樹脂組成物からなる絶縁樹脂層、繊維基材に前記熱硬化性樹脂組成物を含浸させて形成されたプリプレグまたは前記プリプレグの硬化体であり、
前記積層体を得る工程を完了した段階における前記絶縁層の動的粘弾性試験による、測定範囲50〜200℃、昇温速度3℃/min、周波数62.83rad/secでの複素動的粘度の極小値をη1としたとき、
η1が20Pa・s以上300Pa・s以下であり、
前記平滑化工程を完了した段階における前記絶縁層の動的粘弾性試験による、測定範囲50〜200℃、昇温速度3℃/min、周波数62.83rad/secでの複素動的粘度の極小値をη2としたとき、
η2が100Pa・s以上であり、
JIS B0671−2:2002(ISO13565−2:1996)により規定される、上記プラスチックフィルムの上記絶縁層と接する側の表面の突出山部高さ(Rpk)が5nm以上50nm以下である、積層板の製造方法が提供される。
この発明によれば、プラスチックフィルムの突出山部高さ(Rpk)を5nm以上50nm以下とすることで、プラスチックフィルム表面に不規則に突発的に存在する凸部の数を減らすことができる。そのため、その凸部に起因する積層板表面の微細な凹部の発生を抑制できる。
したがって、本発明においては、微細配線加工性に優れた積層板を安定的に生産することができる。
また、本発明によれば、
上記積層板の製造方法により積層板を得る工程と、
上記積層板の上記プラスチックフィルムを剥離した表面上に、金属めっき膜を形成する工程と、
を含む、プリント配線基板の製造方法が提供される。
また、本発明によれば、
プリント配線基板の製造に用いられる積層板を構成する絶縁層を形成するための絶縁層付きプラスチックフィルムであって、
絶縁層とプラスチックフィルムとが積層されており、
JIS B0671−2:2002(ISO13565−2:1996)により規定される、前記プラスチックフィルムの前記絶縁層と接する表面の突出山部高さ(Rpk)が5nm以上50nm以下であり、
前記絶縁層の前記プラスチックフィルムと接する側の表面は、前記プラスチックフィルムが剥離される剥離面である、絶縁層付きプラスチックフィルムが提供される。
また、本発明によれば、
片面または両面に回路層を有する基板と、
上記基板の回路層上に設けられた、上記絶縁層付きプラスチックフィルムを構成する上記絶縁層と
を備える積層板が提供される。
また、本発明によれば、
上記積層板の上記絶縁層の表面上に回路層が設けられている、プリント配線基板が提供される。
また、本発明によれば、
上記プリント配線基板の上記回路層上に半導体素子を搭載した、半導体装置が提供される。
本発明によれば、微細配線加工性に優れたプリント配線基板用積層板を提供できる。
本実施形態における積層板の製造工程を示す断面図である。 本実施形態における絶縁層付きプラスチックフィルムの構成を示す断面図である。 本実施形態におけるプリント配線基板の構成の一例を示す断面図である。 本実施形態における半導体装置の構成の一例を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
本実施形態における積層板の製造方法の概要について説明する。図1は、本実施形態における積層板100の製造工程を示す断面図である。図2は、本実施形態における絶縁層付きプラスチックフィルム200の構成を示す断面図である。
本実施形態における積層板100は、片面または両面に回路層105を有する基板107と、基板107の回路層105上に設けられた絶縁層付きプラスチックフィルム200を構成する絶縁層101とを備える。
はじめに、絶縁層101とプラスチックフィルム103とが積層されてなる絶縁層付きプラスチックフィルム200と、片面または両面に回路層105を有する基板107と、を準備する(図1(a))。つづいて、絶縁層付きプラスチックフィルム200の絶縁層101側の表面を、基板107の回路層105側の表面に向けながら、基板107の回路層105上に絶縁層付きプラスチックフィルム200を積層して積層体150を得る(図1(b))。その後、得られた積層体150からプラスチックフィルム103を剥離する(図1(c))。これらの工程を含むことにより、積層板100を得ることができる(図1(c))。
絶縁層101のプラスチックフィルム103と接する側の表面(プラスチックフィルム103の剥離面)が、その上に回路層301が形成される表面である。
ここで、JIS B0671−2:2002(ISO13565−2:1996)により規定される、プラスチックフィルム103の絶縁層101と接する側の表面の突出山部高さ(Rpk)が5nm以上、好ましくは10nm以上、そして50nm以下であり、好ましくは45nm以下である。
プラスチックフィルム103の上記Rpkが上記上限値以下であることにより、得られる積層板100中の絶縁層101表面に微細な凹部が発生するのを抑制できる。その結果、微細配線加工性に優れた積層板100を安定的に生産することができる。また、プラスチックフィルム103の上記Rpkが上記下限値以上であると、絶縁層101とプラスチックフィルム103との滑り性を向上できるため、絶縁層付きプラスチックフィルム200の巻取り性が優れる。
本実施形態において、プラスチックフィルム103の表面にシリカを薄くコートすること、このシリカの粒度分布や粒子系、添加量を調整すること等が上記Rpkを制御するための因子として挙げられる。
つづいて、本実施形態における積層板100を構成する各材料について説明する。
基板107は、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板などの基板の片面または両面に回路層105を有するものをいう。また、基板107は、さらに、ビルドアップ層を含んでいてもよい。
基板107の製造方法は、とくに限定されないが、例えば両面に金属箔を有する絶縁層を用い、ドリル機で所定のところを開孔して、無電解めっきにより絶縁層の両面の導通を図る。そして、金属箔をエッチングすることにより回路層105を形成する。なお、内層回路部分は、黒化処理などの粗化処理を施したものを好適に用いることができる。また開口部は、導体ペースト、または樹脂ペーストで適宜埋めることができる。
図2は、本実施形態における絶縁層付きプラスチックフィルム200の構成を示す断面図である。絶縁層付きプラスチックフィルム200は、絶縁層101とプラスチックフィルム103とが積層されてなる。
絶縁層101は、例えば、熱硬化性樹脂組成物(P)からなる絶縁樹脂層、繊維基材に熱硬化性樹脂組成物(P)を含浸させて形成されたプリプレグまたは上記プリプレグの硬化体等が挙げられる。プリプレグは、例えば、繊維基材に熱硬化性樹脂組成物(P)を含浸させ、その後、半硬化させて得られるシート状の材料である。
絶縁層101の厚みは、例えば、5μm以上100μm以下である。
絶縁層101に用いられる熱硬化性樹脂組成物(P)は、熱硬化性樹脂(A)を含む。
熱硬化性樹脂(A)としては特に限定されないが、低線膨張率および高弾性率を有し、熱衝撃性の信頼性に優れたものであることが好ましい。
具体的な熱硬化性樹脂(A)として、例えば、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、ビスマレイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂等が挙げられる。これらの中の1種類を単独で用いてもよいし、異なる重量平均分子量を有する2種類以上を併用してもよく、1種類または2種類以上とそれらのプレポリマーとを併用してもよい。
上記エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂(4,4'−(1,3−フェニレンジイソプリジエン)ビスフェノール型エポキシ樹脂)、ビスフェノールP型エポキシ樹脂(4,4'−(1,4−フェニレンジイソプリジエン)ビスフェノール型エポキシ樹脂)、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂(4,4'−シクロヘキシジエンビスフェノール型エポキシ樹脂)などのビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、テトラフェノール基エタン型ノボラック型エポキシ樹脂、縮合環芳香族炭化水素構造を有するノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;キシリレン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂などのアラルキル型エポキシ樹脂;ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレンジオール型エポキシ樹脂、2官能ないし4官能エポキシ型ナフタレン樹脂、ビナフチル型エポキシ樹脂、ナフタレンアラルキル型エポキシ樹脂などのナフタレン型エポキシ樹脂;アントラセン型エポキシ樹脂;フェノキシ型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;ノルボルネン型エポキシ樹脂;アダマンタン型エポキシ樹脂;フルオレン型エポキシ樹脂などが挙げられる。エポキシ樹脂として、これらの中の1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよく、1種類または2種類以上とそれらのプレポリマーとを併用してもよい。
エポキシ樹脂の含有量は特に限定されないが、熱硬化性樹脂組成物(P)の全固形分(すなわち、溶媒を除く成分)を100質量%としたとき、好ましくは15質量%以上60質量%以下であり、より好ましくは25質量%以上50質量%以下である。
上記シアネート樹脂の種類としては特に限定されないが、例えばノボラック型シアネート樹脂、ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型シアネート樹脂、テトラメチルビスフェノールF型シアネート樹脂などのビスフェノール型シアネート樹脂;ナフトールアラルキル型フェノール樹脂と、ハロゲン化シアンとの反応で得られるナフトールアラルキル型シアネート樹脂;ジシクロペンタジエン型シアネート樹脂;ビフェニルアルキル型シアネート樹脂などを挙げることができる。これらの中でもノボラック型シアネート樹脂、ナフトールアラルキル型シアネート樹脂が好ましく、ノボラック型シアネート樹脂がより好ましい。ノボラック型シアネート樹脂を用いることにより、得られる絶縁層101の架橋密度が増加し、耐熱性が向上する。
シアネート樹脂の含有量は特に限定されないが、熱硬化性樹脂組成物(P)の全固形分を100質量%としたとき、好ましくは1質量%以上30質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上25質量%以下である。
上記ビスマレイミド樹脂としては、特に限定されないが、例えば、4,4'−ジフェニルメタンビスマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、p−フェニレンビスマレイミド、2,2'−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス−(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、N,N'−エチレンジマレイミド、N,N'−ヘキサメチレンジマレイミド等が挙げられる。
ポリマレイミドとしては、ポリフェニルメタンマレイミド等が挙げられる。これらの中の1種類を単独で用いることもできるし、異なる重量平均分子量を有する2種類以上を併用することもできる。これらのビスマレイミド樹脂の中でも、低吸水率である点などから、4,4'−ジフェニルメタンビスマレイミド、2,2'−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス−(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタンが好ましい。
ビスマレイミド樹脂の含有量は特に限定されないが、熱硬化性樹脂組成物(P)の全固形分を100質量%としたとき、好ましくは1質量%以上30質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上25質量%以下である。
熱硬化性樹脂(A)としては、シアネート樹脂またはビスマレイミド樹脂とエポキシ樹脂との組み合わせを含むことが好ましい。
熱硬化性樹脂(A)の含有量は特に限定されないが、熱硬化性樹脂組成物(P)の全固形分を100質量%としたとき、10質量%以上80質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。熱硬化性樹脂(A)の含有量が上記下限値以上であると、ハンドリング性が向上する。熱硬化性樹脂(A)の含有量が上記上限値以下であると、得られる積層板100の強度、難燃性および低熱膨張性を向上できる。
熱硬化性樹脂組成物(P)は、無機充填材(B)を含むことが好ましい。これにより、得られる積層板100の機械強度および剛性を向上させることができる。さらに、得られる積層板100の線膨張係数を小さくすることができる。
無機充填材(B)としては、例えばタルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラスなどのケイ酸塩;酸化チタン、アルミナ、ベーマイト、シリカ、溶融シリカなどの酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイトなどの炭酸塩;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどの水酸化物;硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウムなどの硫酸塩または亜硫酸塩;ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウムなどのホウ酸塩;窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化炭素などの窒化物;チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムなどのチタン酸塩などを挙げることができる。これらの中の1種類を単独で用いることもできるし、2種類以上を併用することもできる。
これらの中でも、とくにシリカが好ましく、溶融シリカ(とくに球状溶融シリカ)が低熱膨張性に優れる点で好ましい。その形状は破砕状、球状があるが、繊維基材への含浸性を確保するために熱硬化性樹脂組成物(P)の溶融粘度を下げるには球状シリカを使うなど、その目的にあわせた使用方法が採用される。
無機充填材(B)の平均粒子径は特に限定されないが、好ましくは0.01μm以上3μm以下であり、より好ましくは0.02μm以上1μm以下である。無機充填材(B)の平均粒子径を上記下限値以上とすることで、ワニスを低粘度にし、繊維基材に熱硬化性樹脂組成物(P)を良好に含浸させることができる。また、上記上限値以下とすることで、ワニス中で無機充填材(B)の沈降などを抑制することができる。
無機充填材(B)の平均粒子径は、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置(HORIBA社製、LA−500)により、粒子の粒度分布を体積基準で測定し、そのメディアン径(D50)を平均粒子径とすることができる。
また、無機充填材(B)は特に限定されないが、平均粒子径が単分散の無機充填材を用いることもできるし、平均粒子径が多分散の無機充填材を用いることもできる。さらに平均粒子径が単分散および/または、多分散の無機充填材を1種類または2種類以上を併用することもできる。
さらに、平均粒子径3μm以下の球状シリカ(とくに球状溶融シリカ)が好ましく、とくに平均粒子径0.02μm以上1μm以下の球状溶融シリカが好ましい。これにより、無機充填材(B)の充填性を向上させることができる。
無機充填材(B)の含有量は特に限定されないが、熱硬化性樹脂組成物(P)の全固形分を100質量%としたとき、好ましくは2質量%以上70質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上65質量%以下である。
熱硬化性樹脂組成物(P)は、カップリング剤(C)を含んでもよい。カップリング剤(C)は、熱硬化性樹脂(A)と、無機充填材(B)との界面の濡れ性を向上させることにより、繊維基材に対して熱硬化性樹脂(A)および無機充填材(B)を均一に定着させ、得られる積層板100の耐熱性、とくに吸湿後の半田耐熱性を改良することができる。
カップリング剤(C)としては、通常用いられるものなら何でも使用できるが、具体的にはエポキシシランカップリング剤、カチオニックシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤およびシリコーンオイル型カップリング剤の中から選ばれる1種以上のカップリング剤を使用することが好ましい。これにより、無機充填材(B)の界面との濡れ性を高くすることができ、それによって得られる積層板100の耐熱性をより向上させることできる。
カップリング剤(C)の添加量は無機充填材(B)の比表面積に依存するので特に限定されないが、無機充填材(B)100質量部に対して0.05質量部以上3質量部以下が好ましく、0.1質量部以上2質量部以下が特に好ましい。
熱硬化性樹脂組成物(P)は、フェノール系硬化剤(D)を含んでもよい。フェノール系硬化剤としてはフェノールノボラック樹脂、アルキルフェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、ザイロック型フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ポリビニルフェノール類などを単独あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。
フェノール系硬化剤(D)の配合量は、エポキシ樹脂との当量比(フェノール性水酸基当量/エポキシ基当量)が0.1以上1.0以下であると好ましい。これにより、未反応のフェノール系硬化剤の残留がなくなり、吸湿耐熱性が向上する。
熱硬化性樹脂組成物(P)には、必要に応じて硬化触媒(E)を用いてもよい。硬化触媒(E)としては公知の物を用いることができる。例えばナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、ビスアセチルアセトナートコバルト(II)、トリスアセチルアセトナートコバルト(III)などの有機金属塩、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンなどの3級アミン類、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−エチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシイミダゾールなどのイミダゾール類、フェノール、ビスフェノールA、ノニルフェノールなどのフェノール化合物、酢酸、安息香酸、サリチル酸、パラトルエンスルホン酸などの有機酸などが挙げられる。硬化触媒として、これらの中の誘導体も含めて1種類を単独で用いることもできるし、これらの誘導体も含めて2種類以上を併用することもできる。
硬化触媒(E)の含有量は特に限定されないが、熱硬化性樹脂組成物(P)の全固形分を100質量%としたとき、例えば、0.05質量%以上3.0質量%以下である。
絶縁層101と回路層105または301(図3参照)との密着性を向上させる観点から、熱硬化性樹脂組成物(P)は、フェノキシ樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエーテルスルホン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリビニルアセタールなどの熱可塑性樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体などのポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマーなどの熱可塑性エラストマー、ポリブタジエン、エポキシ変性ポリブタジエン、アクリル変性ポリブタジエン、メタクリル変性ポリブタジエンなどのジエン系エラストマーを含んでもよい。
また、熱硬化性樹脂組成物(P)には、必要に応じて、顔料、染料、消泡剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、発泡剤、酸化防止剤、難燃剤、イオン捕捉剤などの上記成分以外の添加物を添加してもよい。
熱硬化性樹脂組成物(P)を含浸させる繊維基材としては特に限定されないが、ガラス織布、ガラス不織布などのガラス繊維基材;ポリアミド樹脂繊維、芳香族ポリアミド樹脂繊維、全芳香族ポリアミド樹脂繊維などのポリアミド系樹脂繊維、ポリエステル樹脂繊維、芳香族ポリエステル樹脂繊維、全芳香族ポリエステル樹脂繊維などのポリエステル系樹脂繊維、ポリイミド樹脂繊維、フッ素樹脂繊維のいずれかを主成分とする織布または不織布で構成される合成繊維基材;クラフト紙、コットンリンター紙、あるいはリンターとクラフトパルプの混抄紙などを主成分とする紙基材などが挙げられる。これらのうち、いずれかを使用することができる。これらの中でもガラス繊維基材が好ましい。これにより、低吸水性で、高強度、低熱膨張性の積層板100を得ることができる。
繊維基材の厚みは特に限定されないが、例えば、5μm以上150μm以下である。
プラスチックフィルム103としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムなどのポリエステルフィルム;ポリカーボネート(PC)フィルム、アクリル樹脂(PMMA)フィルム、環状ポリオレフィンフィルム、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、ポリエーテルサルファイド(PES)フィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリイミドフィルムなどが挙げられる。これらの中でもPETフィルム、PENフィルムなどのポリエステルフィルムが好ましく、PETフィルムがとくに好ましい。
プラスチックフィルム103の厚みは、例えば、20μm以上75μm以下である。
JIS−B0601により規定される、プラスチックフィルム103の絶縁層101と接する側の表面の表面粗さ(Ra)は特に限定されないが、プラスチックフィルム103と絶縁層101との接着性と剥離性のバランスの観点から、5nm以上25nm以下であることが好ましい。
JIS−B0601により規定される、プラスチックフィルム103の絶縁層101と接する側の表面の10点平均粗さ(Rz)は特に限定されないが、プラスチックフィルム103と絶縁層101との接着性と剥離性のバランスの観点から、0.05μm以上1μm以下であることが好ましい。
つづいて、絶縁層付きプラスチックフィルム200の製造方法について詳細に説明する。
絶縁層付きプラスチックフィルム200の製造方法は特に限定されないが、例えば、熱硬化性樹脂組成物(P)を溶剤に溶かして樹脂ワニスを調製し、各種コーターにより上記樹脂ワニスをプラスチックフィルム103に塗布して乾燥し、熱硬化性樹脂組成物(P)からなる絶縁樹脂層を形成する方法が挙げられる。これにより絶縁層101が熱硬化性樹脂組成物(P)からなる絶縁樹脂層である絶縁層付きプラスチックフィルム200を得ることができる。
また、絶縁層付きプラスチックフィルム200の製造方法は特に限定されないが、以下の方法でも作製することができる。
まず、材料として、キャリア材料、繊維基材を用意する。また、装置として、真空ラミネート装置および熱風乾燥装置を用意する。キャリア材料は、熱硬化性樹脂組成物(P)からなる絶縁樹脂層とプラスチックフィルム103で構成される。キャリア材料は、例えばプラスチックフィルム103に熱硬化性樹脂組成物(P)の樹脂ワニスを塗工し、乾燥することにより得ることができる。
次いで、真空ラミネート装置を用いてキャリア材料、繊維基材およびキャリア材料をこの順で接合した接合体を形成する。真空ラミネート装置は、キャリア材料を巻き取ったロール、繊維基材を巻き取ったロールおよびラミネートロールを備える。減圧下で、繊維基材の両面に、各ロールから送り出されたキャリア材料を重ね合わせる。そして、例えば、真空中、加熱60℃以上150℃以下で、重ね合わせた積層体をラミネートロールで接合する。これにより、絶縁層がプリプレグまたはプリプレグの硬化体である絶縁層付きプラスチックフィルム200が得られる。
つづいて、積層板100の製造方法の各工程について、それぞれ詳細に説明する。
まず、絶縁層付きプラスチックフィルム200と、片面または両面に回路層105を有する基板107と、を準備する(図1(a))。
次いで、例えば、ロール状に巻回された絶縁層付きプラスチックフィルム200をラミネーターに搬送するとともに、シート状の基板107を搬送し、絶縁層付きプラスチックフィルム200の絶縁層101側の表面を、基板107の回路層105側の表面に向けながら、加熱加圧下、基板107の回路層105上に絶縁層付きプラスチックフィルム200を積層して積層体150を得る(図1(b))。
ここで、積層体150を得る工程を完了した段階における絶縁層101は、動的粘弾性試験による、測定範囲50〜200℃、昇温速度3℃/min、周波数62.83rad/secでの測定における、複素動的粘度の極小値η1が、好ましくは20Pa・s以上であり、より好ましくは30Pa・s以上であり、さらに好ましくは40Pa・s以上である。複素動的粘度η1を上記下限値以上とすることにより、絶縁層101中の熱硬化性樹脂(A)の流動性が大きくなりすぎないため、後述する平滑化工程において熱硬化性樹脂(A)の染み出しを抑制しながら積層体150を平滑化できる。
また、積層体150を得る工程を完了した段階における絶縁層101は、動的粘弾性試験による、測定範囲50〜200℃、昇温速度3℃/min、周波数62.83rad/secでの測定における、複素動的粘度の極小値η1が、好ましくは300Pa・s以下であり、より好ましくは290Pa・s以下であり、さらに好ましくは280Pa・s以下である。複素動的粘度η1を上記上限値以下とすることにより、絶縁層101中の熱硬化性樹脂(A)の流動性を確保しながら積層体150の表面を平滑化できる。そのため、回路層105由来の凹凸が表面上に残らない積層板100を安定的に得ることができる。
なお、積層体150を得る工程を完了した後、後述する平滑化工程をおこなう前の間も、絶縁層101は、積層体150に残っている熱によって反応が進む場合がある。したがって、上記の積層体150を得る工程を完了した段階とは、平滑化工程に入る直前の状態を表す。よって、絶縁層101は、積層体150を得る工程を完了した直後に上記の複素動的粘度η1を満たしている必要はなく、平滑化工程直前までに上記の複素動的粘度η1を満たせばよい。
なお、複素動的粘度η1は、積層体150表面の絶縁層101から測定サンプル(繊維基材は含まない)を切り出し、動的粘弾性測定装置を用いて測定することができる。
ラミネーターとしては、真空下で加熱および加圧するラミネーター(真空ラミネーター)を用いると好ましい。
加熱温度は、とくに限定されないが、80℃以上が好ましく、90℃以上がより好ましい。上記下限値以上とすることにより、動的粘弾性試験による複素動的粘度の極小値η1が20Pa・s以上の絶縁層101をより一層効率良く得ることができる。また、加熱温度は、150℃以下が好ましく、140℃以下がより好ましい。上記上限値以下とすることにより、動的粘弾性試験による複素動的粘度の極小値η1が300Pa・s以下の絶縁層101をより一層効率良く得ることができる。
加熱時間は、とくに限定されないが、10秒以上が好ましく、30秒以上がより好ましい。上記下限値以上とすることにより、動的粘弾性試験による複素動的粘度η1が20Pa・s以上の絶縁層101をより一層効率良く得ることができる。また、加熱時間は、とくに限定されないが、500秒以下が好ましく、300秒以下がより好ましい。上記上限値以下とすることにより、動的粘弾性試験による複素動的粘度η1が300Pa・s以下の絶縁層101をより一層効率良く得ることができる。
圧力は0.4MPa以上1.5MPa以下の範囲でおこなうことが好ましい。
上記のラミネーター工程は、市販されている真空ラミネーターを用いて実行することができる。例えば、ニチゴー・モートン社製CVP−600が備える真空加圧式ラミネーターまたはこれに同等なものを用いることができる。
積層体150を得る工程の後は、絶縁層101が軟化して回路層105に追従して凹凸に変形している場合がある。そこで、対向する一対の金属部材を介した熱プレスにより、積層体150の平滑化をおこなう。
平滑化工程は、大気圧下で、金属部材を介して、積層体150を加熱および加圧することにより行われる。
ここで、平滑化工程を完了した段階における絶縁層101は、動的粘弾性試験による、測定範囲50〜200℃、昇温速度3℃/min、周波数62.83rad/secでの複素動的粘度の極小値η2(以下、単に複素動的粘度η2と呼ぶ場合がある)が、η2≧η1×1.1を満たすことが好ましい。上記関係を満たすことにより、後の硬化工程において積層体150の膨れなどが起こりにくく、表面平滑性がより一層優れた積層板100を得ることができる。また、上記関係を満たすことにより、硬化工程をより一層効率良くおこなうことができる。
また、平滑化工程を完了した段階における絶縁層101は、動的粘弾性試験による複素動的粘度の極小値η2が、100Pa・s以上であることが好ましく、150Pa・s以上であることがさらに好ましく、200Pa・s以上であることがとくに好ましい。複素動的粘度η2を上記下限値以上とすることにより、後の硬化工程において積層体150の膨れなどが起こりにくく、表面平滑性がより一層優れた積層板100を得ることができる。また、上記関係を満たすことにより、硬化工程をより一層効率良くおこなうことができる。
また、平滑化工程を完了した段階における絶縁層101は、動的粘弾性試験による複素動的粘度の極小値η2が、50,000Pa・s以下であることが好ましく、10,000Pa・s以下であることがさらに好ましい。複素動的粘度η2を上記上限値以下とすることにより、応力ひずみの少ない状態で硬化工程を行うため、膨れが起こりにくい積層板100を得ることができる。
なお、複素動的粘度η2は、絶縁層101から測定サンプル(繊維基材は含まない)を切り出し、動的粘弾性測定装置を用いて測定することができる。
このような平滑化工程は、市販されているホットプレス装置を用いて実行することができるが、例えば、ニチゴー・モートン社製CVP−600が備えるホットプレス装置またはこれに同等なものを用いることができる。
加熱温度は、とくに限定されないが、80℃以上が好ましく、90℃以上がより好ましい。上記下限値以上とすることにより、平滑化工程を完了した段階における動的粘弾性試験による複素動的粘度η2が100Pa・s以上の絶縁層101をより一層効率良く得ることができる。また、加熱温度は180℃以下が好ましく、170℃以下がより好ましい。上記上限値以下とすることにより、動的粘弾性試験による複素動的粘度η2が50,000Pa・s以下の絶縁層101をより一層効率良く得ることができる。
加熱時間は、とくに限定されないが、10秒以上が好ましく、30秒以上がより好ましい。上記下限値以上とすることにより、平滑化工程を完了した段階における動的粘弾性試験による複素動的粘度η2が100Pa・s以上の絶縁層101をより一層効率良く得ることができる。また、加熱時間は、とくに限定されないが、500秒以下が好ましく、300秒以下がより好ましい。上記上限値以下とすることにより、平滑化工程を完了した段階における動的粘弾性試験による複素動的粘度η2が50,000Pa・s以下の絶縁層101をより一層効率良く得ることができる。
圧力は0.4MPa以上1.5MPa以下の範囲でおこなうことが好ましい。
また、真空引きと加圧時間を合わせた積層体150を得る工程の時間と平滑化工程の時間とが等しいことが好ましい。こうすることで、積層体150を搬送するライン速度を一定にすることができるため、積層体150を得る工程と平滑化工程とを連続的に効率良くおこなうことができる。
平滑化工程の後は、積層体150をさらに加熱することにより絶縁層101を形成する熱硬化性樹脂組成物(P)を硬化させてもよい。硬化させる温度は、とくに限定されないが、例えば100℃以上250℃以下の範囲で硬化させることができ、好ましくは150℃以上200℃以下で硬化させることができる。硬化時間は、好ましくは30分以上75分以下程度とすることができる。
硬化工程は、通常は、大気圧下で積層体150を加熱することによりおこなわれる。
その後、得られた積層体150からプラスチックフィルム103を剥離する(図1(c))。これにより、積層板100を得ることができる。
次に、本実施形態に係るプリント配線基板300について説明する。図3は、本実施形態におけるプリント配線基板300の構成の一例を示す断面図である。
プリント配線基板300は、例えば、積層板100の絶縁層101の表面上に回路層301が設けられている。絶縁層101にはビアホール303が設けられている。なお、本実施形態において、ビアホール303とは層間を電気的に接続するための孔であり、貫通孔および非貫通孔いずれでもよい。
本実施形態に係るプリント配線基板300は、片面プリント配線基板であってもよいし、両面プリント配線基板または多層プリント配線基板であってもよい。両面プリント配線基板とは、積層板100の両面に回路層301を積層したプリント配線基板である。また、多層プリント配線基板とは、メッキスルーホール法やビルドアップ法などにより、積層板100上に、層間絶縁層(ビルドアップ層とも呼ぶ。)を介して回路層301を2層以上積層したプリント配線基板である。
回路層301は、例えば、無電解金属めっき膜305と、電解金属めっき層307とを有する。
回路層301は、例えば、積層板100のプラスチックフィルム103を剥離した表面上に金属めっき膜を形成し、その金属めっき膜を回路加工することにより形成することができる。
具体的には、回路層301は、絶縁層101の面上に、SAP(セミアディティブプロセス)法により形成される。まず、絶縁層101上に無電解金属めっき膜305を施した後、めっきレジストにより非回路形成部を保護し、電解めっきにより電解金属めっき層307付けを行い、めっきレジストの除去とフラッシュエッチングによる無電解金属めっき膜305の除去により、絶縁層101上に回路層301を形成する。
つづいて、プリント配線基板300の製造方法の一例について説明する。ただし、本実施形態に係るプリント配線基板300の製造方法は、以下の例に限定されない。
はじめに、両面に金属箔を設けた積層板100を準備する。
次いで、エッチング処理により、金属箔を除去する。
次いで、絶縁層101にビアホール303を形成する。ビアホール303は、例えば、ドリル機やレーザー照射を用いて形成することができる。レーザー照射に用いるレーザーは、エキシマレーザー、UVレーザー、炭酸ガスレーザーなどが挙げられる。ビアホール303を形成後の樹脂残渣などは、過マンガン酸塩、重クロム酸塩などの酸化剤などにより除去してもよい。
なお、エッチング処理による金属箔の除去前に、絶縁層101にビアホール303を形成してもよい。
次いで、絶縁層101の表面に対して、薬液処理またはプラズマ処理を行う。
薬液処理としては、特に限定されず、有機物分解作用を有する酸化剤溶液などを使用する方法などが挙げられる。また、プラズマ処理としては、対象物となるものに直接酸化作用の強い活性種(プラズマ、ラジカルなど)を照射して有機物残渣を除去する方法などが挙げられる。
次に、回路層301を形成する。回路層301は、例えば、セミアディティブプロセスにより形成することができる。以下、具体的に説明する。
はじめに、無電解めっき法を用いて、絶縁層101の表面およびビアホール303に無電解金属めっき膜305を形成し、プリント配線基板300の両面の導通を図る。またビアホール303は、導体ペースト、または樹脂ペーストで適宜埋めることができる。無電解めっき法の例を説明する。例えば、まず絶縁層101の表面上に触媒核を付与する。この触媒核としては、特に限定されないが、例えば、貴金属イオンやパラジウムコロイドを用いることができる。引き続き、この触媒核を核として、無電解めっき処理により無電解金属めっき膜305を形成する。無電解めっき処理には、例えば、硫酸銅、ホルマリン、錯化剤、水酸化ナトリウムなどを含むものを用いることができる。なお、無電解めっき後に、100〜250℃の加熱処理を施し、めっき被膜を安定化させることが好ましい。120〜180℃の加熱処理が酸化を抑制できる被膜を形成できる点で、特に好ましい。また、無電解金属めっき膜305の平均厚さは、例えば、0.1〜2μm程度である。
次いで、無電解金属めっき膜305上に所定の開口パターンを有するめっきレジストを形成する。この開口パターンは、例えば回路パターンに相当する。めっきレジストとしては、特に限定されず、公知の材料を用いることができるが、液状およびドライフィルムを用いることができる。微細配線形成の場合には、めっきレジストとしては、感光性ドライフィルムなどを用いることが好ましい。感光性ドライフィルムを用いた一例を説明する。例えば、無電解金属めっき膜305上に感光性ドライフィルムを積層し、非回路形成領域を露光して光硬化させ、未露光部を現像液で溶解、除去する。硬化した感光性ドライフィルムを残存させることにより、めっきレジストを形成する。
次いで、少なくともめっきレジストの開口パターン内部かつ無電解金属めっき膜305上に、電気めっき処理により、電解金属めっき層307を形成する。電気めっき処理としては、特に限定されないが、通常のプリント配線基板で用いられる公知の方法を使用することができ、例えば、硫酸銅などのめっき液中に浸漬させた状態で、めっき液に電流を流すなどの方法を使用することができる。電解金属めっき層307は単層でもよく多層構造を有していてもよい。電解金属めっき層307の材料としては、特に限定されないが、例えば、銅、銅合金、42合金、ニッケル、鉄、クロム、タングステン、金、半田のいずれか1種以上を用いることができる。
次いで、アルカリ性剥離液や硫酸または市販のレジスト剥離液などを用いてめっきレジストを除去する。
次いで、電解金属めっき層307が形成されている領域以外の無電解金属めっき膜305を除去する。例えば、ソフトエッチング(フラッシュエッチング)などを用いることにより、無電解金属めっき膜305を除去することができる。ここで、ソフトエッチング処理は、例えば、硫酸および過酸化水素を含むエッチング液を用いたエッチングにより行うことができる。これにより、回路層301を形成することができる。回路層301は無電解金属めっき膜305および電解金属めっき層307で構成されることになる。
さらに、プリント配線基板300上に、必要に応じてビルドアップ層を積層して、セミアディティブプロセスにより層間接続および回路形成する工程を繰り返すことにより、多層にすることができる。
以上により、本実施形態のプリント配線基板300が得られる。
つづいて、本実施形態に係る半導体装置400について説明する。図4は、本発明に係る実施形態の半導体装置400の構成の一例を示す断面図である。
本実施形態に係る半導体装置400は、例えば、プリント配線基板300の回路層301上に半導体素子403を搭載したものである。図4に示すような半導体装置400に用いることができる。半導体装置400の製造方法としては、とくに限定されないが、例えば以下のような方法がある。
まず、回路層301上に、必要に応じてビルドアップ層を積層して、セミアディティブプロセスにより層間接続および回路形成する工程を繰り返す。そして、必要に応じてソルダーレジスト層401をプリント配線基板300の両面または片面に積層する。
ソルダーレジスト層401の形成方法は、特に限定されないが、例えば、ドライフィルムタイプのソルダーレジストをラミネートし、露光、および現像することにより形成する方法、または液状レジストを印刷したものを露光、および現像により形成する方法によりなされる。
つづいて、リフロー処理を行なうことによって、半導体素子403を配線パターンの一部である接続端子上に半田バンプ405を介して固着させる。その後、半導体素子403、半田バンプ405などを封止材407で封止することによって、図4に示す様な半導体装置400が得られる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。例えば、本実施形態では、プリプレグが一層の場合を示したが、プリプレグを2層以上積層したものを用いて絶縁層101を作製してもよい。
また、上記実施形態では、半導体素子403と、プリント配線基板300とを半田バンプ405で接続したが、これに限られるものではない。例えば、半導体素子403とプリント配線基板300とをボンディングワイヤで接続してもよい。
以下、本発明の参考形態の一例を示す。
<1>
絶縁層とプラスチックフィルムとが積層されてなる絶縁層付きプラスチックフィルムと、片面または両面に回路層を有する基板と、を準備する工程と、
前記絶縁層付きプラスチックフィルムの前記絶縁層側の表面を、前記基板の前記回路層側の表面に向けながら、前記基板の前記回路層上に前記絶縁層付きプラスチックフィルムを積層して積層体を得る工程と、
得られた前記積層体から前記プラスチックフィルムを剥離する工程と、
を含む、プリント配線基板の製造に用いられる積層板の製造方法であって、
JIS B0671−2:2002(ISO13565−2:1996)により規定される、前記プラスチックフィルムの前記絶縁層と接する側の表面の突出山部高さ(Rpk)が5nm以上50nm以下である、積層板の製造方法。
<2>
<1>に記載の積層板の製造方法において、
前記プラスチックフィルムはポリエステルフィルムである、積層板の製造方法。
<3>
<1>または<2>に記載の積層板の製造方法において、
前記絶縁層が、熱硬化性樹脂組成物からなる絶縁樹脂層、繊維基材に前記熱硬化性樹脂組成物を含浸させて形成されたプリプレグまたは前記プリプレグの硬化体である、積層板の製造方法。
<4>
<1>乃至<3>いずれか一つに記載の積層板の製造方法において、
JIS−B0601により規定される、前記プラスチックフィルムの前記絶縁層と接する側の表面の表面粗さ(Ra)が5nm以上25nm以下である、積層板の製造方法。
<5>
<1>乃至<4>いずれか一つに記載の積層板の製造方法において、
JIS−B0601により規定される、前記プラスチックフィルムの前記絶縁層と接する側の表面の10点平均粗さ(Rz)が0.05μm以上1μm以下である、積層板の製造方法。
<6>
<1>乃至<5>いずれか一つに記載の積層板の製造方法において、
前記積層体を得る工程を完了した段階における前記絶縁層の動的粘弾性試験による、測定範囲50〜200℃、昇温速度3℃/min、周波数62.83rad/secでの複素動的粘度の極小値をη1としたとき、
η1が20Pa・s以上300Pa・s以下である、積層板の製造方法。
<7>
<6>に記載の積層板の製造方法において、
前記積層体を得る工程の後に、前記積層体の表面を平滑化する平滑化工程をさらに含み、
前記平滑化工程を完了した段階における前記絶縁層の動的粘弾性試験による、測定範囲50〜200℃、昇温速度3℃/min、周波数62.83rad/secでの複素動的粘度の極小値をη2としたとき、
η2が100Pa・s以上である、積層板の製造方法。
<8>
<1>乃至<7>いずれか一つに記載の積層板の製造方法において、
前記絶縁層付きプラスチックフィルムがロール状に巻回積層されており、
巻回積層された前記絶縁層付きプラスチックフィルムを搬送するとともに、シート状の前記基板を搬送し、前記積層体を得る工程を連続的におこなう、積層板の製造方法。
<9>
<1>乃至<8>いずれか一つに記載の積層板の製造方法により積層板を得る工程と、
前記積層板の前記プラスチックフィルムを剥離した表面上に、金属めっき膜を形成する工程と、
を含む、プリント配線基板の製造方法。
<10>
<9>に記載のプリント配線基板の製造方法において、
セミアディティブプロセス法によって前記金属めっき膜に回路層を形成する工程をさらに含む、プリント配線基板の製造方法。
<11>
プリント配線基板を構成する絶縁層を形成するための絶縁層付きプラスチックフィルムであって、
絶縁層とプラスチックフィルムとが積層されており、
JIS B0671−2:2002(ISO13565−2:1996)により規定される、前記プラスチックフィルムの前記絶縁層と接する表面の突出山部高さ(Rpk)が5nm以上50nm以下である、絶縁層付きプラスチックフィルム。
<12>
<11>に記載の絶縁層付きプラスチックフィルムにおいて、
前記プラスチックフィルムはポリエステルフィルムである、絶縁層付きプラスチックフィルム。
<13>
<11>または<12>に記載の絶縁層付きプラスチックフィルムにおいて、
前記絶縁層の前記プラスチックフィルムと接する側の表面は、その上に回路層が形成される表面である、絶縁層付きプラスチックフィルム。
<14>
<11>乃至<13>いずれか一つに記載の絶縁層付きプラスチックフィルムにおいて、
JIS−B0601により規定される、前記プラスチックフィルムの前記絶縁層と接する側の表面の表面粗さ(Ra)5nm以上25nm以下である、絶縁層付きプラスチックフィルム。
<15>
<11>乃至<14>いずれか一つに記載の絶縁層付きプラスチックフィルムにおいて、
JIS−B0601により規定される、前記プラスチックフィルムの前記絶縁層と接する側の表面の10点平均粗さ(Rz)が0.05μm以上1μm以下である、絶縁層付きプラスチックフィルム。
<16>
<11>乃至<15>いずれか一つに記載の絶縁層付きプラスチックフィルムにおいて、
前記絶縁層が、熱硬化性樹脂組成物からなる絶縁樹脂層、繊維基材に前記熱硬化性樹脂組成物を含浸させて形成されたプリプレグまたは前記プリプレグの硬化体である、絶縁層付きプラスチックフィルム。
<17>
片面または両面に回路層を有する基板と、
前記基板の回路層上に設けられた、<11>乃至<16>いずれか一つに記載の絶縁層付きプラスチックフィルムを構成する前記絶縁層と
を備える積層板。
<18>
<17>に記載の積層板の前記絶縁層の表面上に回路層が設けられている、プリント配線基板。
<19>
<18>に記載のプリント配線基板の前記回路層上に半導体素子を搭載した、半導体装置。
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例では、部はとくに特定しない限り質量部を表す。また、それぞれの厚みは平均膜厚で表わされている。
実施例および比較例において用いた材料は以下の通りである。
無機充填材1:球状シリカ(アドマテックス社製、SO−25R、平均粒径0.5μm)
無機充填材2:球状シリカ(電気化学工業社製、SFP−20M 、平均粒径0.3μm)
エポキシ樹脂1:ビフェニルアラルキル型ノボラックエポキシ樹脂(日本化薬社製、NC−3000)
エポキシ樹脂2:ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(三菱化学社製、jER−828)
エポキシ樹脂3:ビスフェノールF型液状エポキシ樹脂(三菱化学社製、jER−807)
エポキシ樹脂4:ジシクロペンタジエン型ノボラックエポキシ樹脂(DIC社製、HP−7200L)
シアネート樹脂:ノボラック型シアネート樹脂(LONZA社製、Primaset PT−30)
フェノール系硬化剤:ノボラック型フェノール樹脂(DIC社製、TD−2090−60M、60%(w/v)メチルエチルケトン溶液)
フェノキシ樹脂:(三菱化学社製、YX6954BH30、30%(w/v)メチルエチルケトン/アノン溶液)
ポリアミド樹脂:ゴム変性フェノール水酸基含有ポリアミド(日本化薬社製、KAYAFLEX BPAM−01)
ポリビニルアセタール樹脂:(積水化学社製、KS−10(水酸基25mol%))
硬化触媒1:1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール(四国化成社製、1B2PZ)
硬化触媒2:2−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成社製、2E4MZ)
カップリング剤1:エポキシシランカップリング剤(日本ユニカー社製、A−187)
カップリング剤2:N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM−573)
PETフィルム1:Rpk=20nm、Ra=8nm、Rz=0.21μm、厚み50μm、東洋紡社製、NB−202
PETフィルム2:Rpk=43nm、Ra=20nm、Rz=0.52μm、厚み50μm、ダイセル社製、T1223
PETフィルム3:Rpk=26nm、Ra=18nm、Rz=0.22μm、厚み25μm、東洋紡社製、NB−201
PETフィルム4:Rpk=14nm、Ra=10nm、Rz=0.06μm、厚み50μm、帝人社製、KEL86W
PETフィルム5:Rpk=214nm、Ra=47nm、Rz=2.75μm、厚み38μm、ユニチカ社製、TR1T−38
PETフィルム6:Rpk=64nm、Ra=20nm、Rz=2.63μm、厚み38μm、ユニチカ社製、P604
PETフィルム7:Rpk=153nm、Ra=53nm、Rz=0.80μm、厚み38μm、帝人社製、NRA−03
PETフィルム8:Rpk=68nm、Ra=24nm、Rz=0.54μm、厚み38μm、帝人社製、HPE
(実施例1)
(1)樹脂ワニスAの調製
まず、表1に示す配合に従い、エポキシ樹脂4、シアネート樹脂、ポリアミド樹脂、フェノキシ樹脂、硬化触媒1をメチルエチルケトンとシクロヘキサノンの混合溶媒で60分間撹拌し、溶解させた。さらにカップリング剤1と無機充填材2を添加して高速撹拌装置で10分撹拌し、固形分65%の樹脂ワニスを作製した。
(2)樹脂シートAの作製
得られた樹脂ワニスをPETフィルム1の片面に、コンマコーター装置を用いて塗工した。これを160℃の乾燥装置で3分間乾燥し、樹脂厚みが20μmの樹脂シートAを作製した。
(3)絶縁層付きプラスチックフィルムの作製
繊維基材としてガラス織布(ユニチカ社製、クロスタイプ♯1017、幅530mm、厚さ15μm、坪量12g/m)を用い、真空ラミネート装置および熱風乾燥装置によりプリプレグ付きPETフィルムを製造した。
具体的には、樹脂シートAを2枚用意し(A1、A2とする)、ガラス織布の両面に樹脂シートA1および樹脂シートA2をガラス織布の幅方向の中心に位置するように、それぞれ1枚ずつ重ね合わせ、0.1MPa(750Torr)の減圧条件下で、80℃のラミネートロールを用いて接合した。
ここで、ガラス織布の幅方向寸法の内側領域においては、樹脂シートA1および樹脂シートA2の樹脂層を繊維布の両面側にそれぞれ接合するとともに、ガラス織布の幅方向寸法の外側領域においては、樹脂シートA1および樹脂シートA2の樹脂層同士を接合した。
つぎに、上記接合したものを、120℃に設定した横搬送型の熱風乾燥装置内を2分間通すことによって、圧力を作用させることなく加熱処理して、厚さ45μmのプリプレグ付きPETフィルムを得た。
(4)積層体を得る工程
ニチゴ―・モートン社製の2ステージビルドアップラミネーターCVP600を用いて、プリプレグ付きPETフィルムから積層体を製造した。具体的には、厚み200μmのELC−4785GS−B(住友ベークライト社製、銅箔12μm)を用いて、ドリル機で所定のところを開孔して、無電解めっきにより、導通を図り、銅箔をエッチングして回路層を有する基板を作製した。また、上記のプリプレグ付きPETフィルムを枚葉にカットし、上記CVP600にセットして上記基板に仮付けし、真空ラミネーター内で120℃、0.7MPa、60秒間真空ラミネーションをおこなった。
(5)平滑化工程
その後、ニチゴー・モートン社製CVP−600が備えるホットプレス装置を用いて、120℃、0.6MPa、60秒間ホットプレスして平滑化した。
(6)硬化工程
その後、170℃で60分間熱処理し、プリプレグ中の熱硬化性樹脂を硬化させ、PETフィルムを剥離することにより積層板を得た。
(7)プリント配線基板の作製
次いで炭酸レーザーによりビアホールを形成した。次にビアホール内および絶縁層表面を、80℃の膨潤液(ロームアンドハースジャパン社製 コンディショナー211)に10分間浸漬し、さらに80℃の過マンガン酸カリウム水溶液(ロームアンドハースジャパン社製、MLBプロモーター)に10分浸漬後、中和して粗化処理を行った。
これを脱脂、触媒付与、活性化の工程を経た後、無電解銅めっき皮膜を約1μm、めっきレジスト形成、無電解銅めっき皮膜を給電層としパターン電気メッキ銅を12μm形成させ、L/S=12/12μmの微細回路加工を施した。次に、熱風乾燥装置にて200℃で60分間アニール処理を行った後、フラッシュエッチングで給電層を除去した。
次に、ソルダーレジスト(太陽インキ製造社製、PSR−4000 AUS703)を印刷し、半導体素子搭載パッドなどが露出するように、所定のマスクで露光し、現像、キュアを行い、回路上のソルダーレジスト層の厚さが12μmとなるように形成した。
最後に、ソルダーレジスト層から露出した回路層上へ、無電解ニッケルめっき層3μmと、さらにその上へ、無電解金めっき層0.1μmとからなるめっき層を形成し、プリント配線基板を得た。
実施例2〜7、比較例1〜4は、樹脂ワニスの組成、プラスチックフィルムの種類、積層体を得る工程および平滑化工程の条件を表1に示すものに変えた以外は実施例1と同様の方法で、積層板、プリント配線基板および半導体装置を作製した。
[評価]
(8)動的粘弾性試験による複素動的粘度η1の測定
積層体を得る工程を完了後、積層体表面の絶縁層から熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物(繊維基材は含まない)を切り出して測定サンプルとし、動的粘弾性測定装置(Anton Paar社製、装置名Physica MCR−301)を用いて、下記の条件で複素動的粘度η1の測定をおこなった。
周波数:62.83rad/sec
測定範囲50〜200℃
昇温速度3℃/min
ジオメトリー:パラレルプレート
プレート直径:10mm
プレート間隔:0.1mm
荷重(ノーマルフォース):0N(一定)
ストレイン:0.3%
測定雰囲気:大気雰囲気下
(9)動的粘弾性試験による複素動的粘度η2の測定
平滑化工程を完了後、積層体表面の絶縁層から熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物(繊維基材は含まない)を切り出して測定サンプルとし、上記の複素動的粘度η1と同様の条件で複素動的粘度η2の測定をおこなった。
(10)微細配線加工性評価
(7)において、L/S=12/12μmの微細回路パターンを形成した後のプリント配線基板について、レーザー顕微鏡で細線の外観検査および導通チェックにより評価した。評価基準は以下の通りである。
◎:形状、導通ともに問題なし
○:ショート、配線切れはなく、実質上問題ない
×:ショート、配線切れあり
(12)絶縁信頼性評価
(7)で得られたプリント配線基板のL/S=12/12μmの微細回路パターン上に、ソルダーレジストの代わりにビルドアップ材(住友ベークライト社製、BLA−3700GS)を積層、硬化した試験サンプルを作製した。この試験サンプルを用いて、温度130℃、湿度85%、印加電圧3.3Vの条件で連続湿中絶縁抵抗を評価した。なお、抵抗値10Ω以下を故障とした。評価基準は以下の通りである。
◎:300時間以上故障なし
○:150時間以上300時間未満で故障あり
×:150時間未満で故障あり
以上の結果を表1に示す。
Figure 0006528352
突出山部高さ(Rpk)が5nm以上50nm以下の範囲内にあるプラスチックフィルムを用いて製造された実施例1〜7の積層板は微細加工性に優れていた。このような積層板を用いて得られたプリント配線基板は絶縁信頼性に優れていた。
また、η1が20Pa・s以上300Pa・s以下の条件をさらに満たす実施例1〜5の積層板は微細配線加工性に特に優れていた。そして、このような積層板を用いて得られたプリント配線基板は絶縁信頼性に特に優れていた。
これに対し、突出山部高さ(Rpk)が5nm以上50nm以下の範囲外にあるプラスチックフィルムを用いて製造された比較例1〜4の積層板は微細配線加工性に劣っていた。また、このような積層板を用いて得られたプリント配線基板は絶縁信頼性に劣っていた。
100 積層板
101 絶縁層
103 プラスチックフィルム
105 回路層
107 基板
150 積層体
200 絶縁層付きプラスチックフィルム
300 プリント配線基板
301 回路層
303 ビアホール
305 無電解金属めっき膜
307 電解金属めっき層
400 半導体装置
401 ソルダーレジスト層
403 半導体素子
405 半田バンプ
407 封止材

Claims (7)

  1. 絶縁層とプラスチックフィルムとが積層されてなる絶縁層付きプラスチックフィルムと、片面または両面に回路層を有する基板と、を準備する工程と、
    前記絶縁層付きプラスチックフィルムの前記絶縁層側の表面を、前記基板の前記回路層側の表面に向けながら、前記基板の前記回路層上に前記絶縁層付きプラスチックフィルムを積層して積層体を得る工程と、
    前記積層体の表面を平滑化する平滑化工程と、
    得られた前記積層体から前記プラスチックフィルムを剥離する工程と、
    を含む、プリント配線基板の製造に用いられる積層板の製造方法であって、
    前記絶縁層が、熱硬化性樹脂組成物からなる絶縁樹脂層、繊維基材に前記熱硬化性樹脂組成物を含浸させて形成されたプリプレグまたは前記プリプレグの硬化体であり、
    前記積層体を得る工程を完了した段階における前記絶縁層の動的粘弾性試験による、測定範囲50〜200℃、昇温速度3℃/min、周波数62.83rad/secでの複素動的粘度の極小値をη1としたとき、
    η1が20Pa・s以上300Pa・s以下であり、
    前記平滑化工程を完了した段階における前記絶縁層の動的粘弾性試験による、測定範囲50〜200℃、昇温速度3℃/min、周波数62.83rad/secでの複素動的粘度の極小値をη2としたとき、
    η2が100Pa・s以上であり、
    JIS B0671−2:2002(ISO13565−2:1996)により規定される、前記プラスチックフィルムの前記絶縁層と接する側の表面の突出山部高さ(Rpk)が5nm以上50nm以下である、積層板の製造方法。
  2. 請求項1に記載の積層板の製造方法において、
    前記プラスチックフィルムはポリエステルフィルムである、積層板の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の積層板の製造方法において、
    JIS−B0601により規定される、前記プラスチックフィルムの前記絶縁層と接する側の表面の表面粗さ(Ra)が5nm以上25nm以下である、積層板の製造方法。
  4. 請求項1乃至いずれか一項に記載の積層板の製造方法において、
    JIS−B0601により規定される、前記プラスチックフィルムの前記絶縁層と接する側の表面の10点平均粗さ(Rz)が0.05μm以上1μm以下である、積層板の製造方法。
  5. 請求項1乃至いずれか一項に記載の積層板の製造方法において、
    前記絶縁層付きプラスチックフィルムがロール状に巻回積層されており、
    巻回積層された前記絶縁層付きプラスチックフィルムを搬送するとともに、シート状の前記基板を搬送し、前記積層体を得る工程を連続的におこなう、積層板の製造方法。
  6. 請求項1乃至いずれか一項に記載の積層板の製造方法により積層板を得る工程と、
    前記積層板の前記プラスチックフィルムを剥離した表面上に、金属めっき膜を形成する工程と、
    を含む、プリント配線基板の製造方法。
  7. 請求項に記載のプリント配線基板の製造方法において、
    セミアディティブプロセス法によって前記金属めっき膜に回路層を形成する工程をさらに含む、プリント配線基板の製造方法。
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