JP5194423B2 - 樹脂組成物、プリプレグ、積層板、及び半導体装置 - Google Patents

樹脂組成物、プリプレグ、積層板、及び半導体装置 Download PDF

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Description

本発明は、樹脂組成物、プリプレグ、積層板、及び半導体装置に関するものである。
エポキシ樹脂などに代表される絶縁樹脂組成物の硬化物は、機械的特性、電気的特性、化学的特性等に優れており、電気・電子機器部品等の広い用途に使用されている。これらの熱硬化性樹脂組成物には、火災に対する安全性を確保するため難燃性が付与されている場合が多い。
絶縁樹脂組成物を難燃化する手法のひとつとして、臭素化エポキシ樹脂等のハロゲン含有化合物を用いる方法がある(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、ハロゲン含有化合物は高度な難燃性を付与できるものの、例えば、臭素化芳香族化合物は、熱分解で腐食性を有する臭素、臭化水素を生ずるだけでなく、酸素の存在下で分解した場合には毒性の高いポリブロモジベンゾフラン、ポリブロモジベンゾオキシンを生成する可能性がある。そして、臭素を含有する老朽廃材の処分は極めて困難である。このような理由から、ハロゲン含有化合物に代わる難燃剤が検討されている。
ハロゲン含有化合物を用いない難燃化技術としては、ホスフィンオキサイド化合物などのリン含有化合物を用いる方法や(例えば、特許文献2〜4参照。)、水酸化アルミニウムを用いる方法がある(例えば、特許文献5参照)。
また近年、電子機器の高機能化の要求に伴い、電子部品の高密度集積化、高密度実装化が進んでおり、これらに使用される高密度実装対応の積層板等は、従来にも増して、小型化や高密度化での用途も広がっている。これらの用途でも利用可能とするためには、積層板の低熱膨張化や接続信頼性が重要となってくる(例えば、特許文献6参照。)。
特開2000−212249号公報 特開2001−254001号公報 特開2004−067968号公報 特開平11−124489号公報 特開2005−20692号公報 特開2005−7783号公報
本発明は、電子機器に用いられる積層板の絶縁樹脂組成物に用いた場合に、冷熱サイクル試験等の熱衝撃試験により、導体回路層の剥離やクラックが発生しない低熱膨張性や、高温、多湿の環境下においても高い絶縁信頼性を有すると共に、難燃性を有し、高密度、高多層成形が可能な積層板を作製可能な絶縁樹脂組成物と、これを用いたプリプレグ、積層板、及び半導体装置を提供するものである。
このような目的は、下記(1)〜()に記載の本発明により達成される。
(1)繊維基材に含浸させてシート状のプリプレグを形成するために用いる絶縁樹脂組成物であって、前記絶縁樹脂組成物を200℃で2時間加熱成形することによって得られる硬化物の線膨張係数が、25℃において6ppm/℃以上50ppm/℃以下であり、
(a)金属イオン性不純物の濃度が200ppm以下であり、レーザ回折式粒度分布測定
装置により測定した平均粒径が0.1μm以上10μm以下である水酸化アルミニウム
(b)ノボラック型エポキシ樹脂をエポキシ樹脂全体の60〜90重量%含み、かつ、ハ
ロゲン化されていないエポキシ樹脂、(c)球状溶融シリカ、(d)エポキシシラン型カップリング剤、(e)硬化促進剤を含有し、 前記絶縁樹脂組成物全体に対する前記(a)水酸化アルミニウムの含有量が1重量%以上50重量%以下であり、 前記絶縁樹脂組成物全体に対する前記(c)球状溶融シリカの含有量が5重量%以上70重量%以下であり、
前記(a)水酸化アルミニウムと前記(c)球状溶融シリカを合わせた100重量部に対する前記(d)エポキシシラン型カップリング剤の添加量が0.05〜3重量%であり、
前記絶縁樹脂組成物全体に対する前記(e)硬化促進剤の含有量が0.05〜5重量%で
あることを特徴とする絶縁樹脂組成物(但し、下記一般式[1]で示されるポリマレイミド化合物を含む場合を除く)。
(式中、R1はk価の有機基、Xa、Xbは水素原子、ハロゲン原子および有機基から選
ばれた同一または異なる一価の原子または基、kは2以上の整数を表わす)
(2)前記絶縁樹脂組成物の300℃における重量減少率が15%以下であることを特徴とする(1)記載の絶縁樹脂組成物。
(3)前記(a)水酸化アルミニウムの300℃における重量減少率が20重量%以上40重量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の絶縁樹脂組成物。
(4)前記(a)水酸化アルミニウム中に含まれる金属イオン性不純物は、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン、フランシウムイオン、ベリリウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオン、亜鉛イオン、スズイオン、及び鉛イオンよりなる群から選ばれる少なくとも1種類以上である(1)ないし(3)のいずれか1項に記載の絶縁樹脂組成物。
)(1)ないし()のいずれか1項に記載の絶縁樹脂組成物を繊維基材に含浸させてなることを特徴とするプリプレグ。
)前記繊維基材がガラス繊維からなることを特徴とする請求項5に記載のプリプレグ。
)前記繊維基材が有機繊維からなることを特徴とする請求項に記載のプリプレグ。
)()ないし()のいずれか1項に記載のプリプレグを1枚以上重ね合わせ加熱加圧成形してなることを特徴とする積層板。
)()に記載の積層板に半導体素子を搭載してなることを特徴とする半導体装置。

本発明の絶縁樹脂組成物、プリプレグは、ハロゲン含有化合物、リン含有化合物を用いることなく難燃性を達成することができるとともに、従来のものと比較して、優れた低熱膨張性、絶縁信頼性を発現できる、積層板、及び半導体装置を得ることができるものである。
以下に本発明の絶縁樹脂組成物、プリプレグ、積層板、及び半導体装置について詳細に説明する。
本発明の絶縁樹脂組成物の硬化物(以下、単に「硬化物」ということがある)の線膨張係数は、25℃において6ppm/℃以上50ppm/℃以下である。これにより、硬化物を積層板や半導体装置用いた際、冷熱サイクル試験等の熱衝撃試験において導体回路層の剥離やクラックの発生を抑制できる。またプレス成形時や半田リフロー時の基板の反りを抑制することもできる。前記線膨張係数は、特に限定はされないが、8ppm/℃以上40ppm/℃以下が好ましく、さらに10ppm/℃以上30ppm/℃以下が好ましく、さらには12ppm/℃以上20ppm/℃以下が好ましい。これにより前記作用を効果的に発現させることができる。
線膨張係数が前記下限値未満であると、基板の厚みによっては導体回路との線膨張のミスマッチにより、プレス成形時や半田リフロー時の基板の反りを抑制することができなくなることがある。また、前記上限値を超えると、こちらも導体回路との線膨張のミスマッチにより、プレス成形時や半田リフロー時の基板の反りや冷熱サイクル試験等の熱衝撃試験における導体回路層の剥離やクラックの発生を抑制することができなくなる恐れがある。
尚、絶縁樹脂組成物の硬化物の線膨張係数は、樹脂の種類、樹脂の含有量、充填材の種類、充填材の量に依存する。本発明は、樹脂の選択、選択した樹脂の含有量と(a)金属水酸化物、或いは選択した無機充填材を含有量とを調整することで任意に線膨張係数を設定することができる。
本発明の絶縁樹脂組成物の硬化物は、特に限定されないが300℃における重量減少率が15%以下である。これにより、硬化物を積層板や半導体装置に用いた際、吸湿後の半田耐熱性を改良することができる。また前記重量減少率は10%以下が好ましい。これにより前記作用を効果的に発現させることができる。
なお、重量減少率は、TG−DTA(示差熱熱重量同時測定)により、試料を30℃から500℃まで10℃/分の条件で昇温させ、試料の重量変化を追跡し、((30℃の試料重量)−(300℃の試料重量))/(30℃の試料重量)×100で求まる値とした。
本発明の絶縁樹脂組成物で用いられる(a)金属水酸化物は、(a)金属水酸化物中に含有する金属イオン性不純物の濃度が500ppm以下である。これにより、硬化物を積層板や半導体装置に用いた際、HAST試験やPCT試験などの高温、多湿下で処理しても高い絶縁信頼性を保持することができる。また、特に限定はされないが、前記金属イオン性不純物の濃度は、400ppm以下が好ましく、さらに300ppm以下が好ましく、さらには200ppm以下が好ましい。これにより前記作用を効果的に発現させることができる。
前記上限値を超えると絶縁信頼性が損なわれる恐れがある。
金属イオン性不純物の濃度は、(a)金属水酸化物を純水中で80℃、24h処理し、純水中に金属イオンを抽出した後、ICP−MS(誘導結合プラズマイオン源質量分析装置)を用い測定した。
本発明の絶縁樹脂組成物で用いられる(a)金属水酸化物に含まれる金属イオン性不純物は、チウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン、フランシウムイオン、ベリリウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオン、亜鉛イオン、スズイオン、及び鉛イオンからなる郡より選ばれる少なくとも1種類以上であることが望ましい。これらの中でも特にナトリウムイオン、カリウムイオンであることが望ましい。これらの濃度が前記範囲内であれば、硬化物を積層板や半導体装置に用いた際、HAST試験やPCT試験などの高温、多湿下で処理しても高い絶縁信頼性を保持することができる。
本発明の絶縁樹脂組成物で用いられる(a)金属水酸化物の平均粒径は、特に限定されないが、0.1μm以上10μm以下であることが好ましい。これにより、絶縁樹脂組成物からなるワニスの粘度及び絶縁樹脂組成物をBステージ化した際の最低溶融粘度の調整が容易となり、また加熱加圧時の成形性や内層回路基板の埋め込み性も良好となる。さらに、Bステージ化あるいは硬化後の絶縁樹脂組成物の表面を化学的及び/あるいは物理的な処理によって粗化した際の樹脂表面粗さを調整することができる。平均粒径は、例えば粒度分布計(HORIBA製、LA−500)により測定することができる。
前記(a)金属水酸化物の平均粒径は、さらに0.1μm以上8μm以下が好ましく、さらに0.1μm以上5μm以下が好ましく、特に0.1μm以上3μm以下が好ましい。これにより前記作用を効果的に発現させることができる。
(a)金属水酸化物の平均粒径が前記下限値未満では、絶縁樹脂組成物からなるワニスの粘度が高くなるため繊維基材への含浸しにくくなり、プリプレグの作製が困難となる。さらに絶縁樹脂組成物をBステージ化した際の最低溶融粘度が高くなるため、加熱加圧時の成形性や内層回路基板の埋め込み性が低下する。また、前記上限値を超えると、Bステージ化あるいは硬化状態の絶縁樹脂組成物よりなるフィルムシートの表面を化学的及び/あるいは物理的な処理によって粗化した際の樹脂表面粗さが大きくなったり、絶縁信頼性が低下したりする。
前記(a)金属水酸化物は、特に限定されないが、平均粒径が単分散の(a)金属水酸化物を用いることもできるし、平均粒径が多分散の(a)金属水酸化物を用いることができる。さらに平均粒径が単分散及び/または、多分散の水酸化物を1種類または2種類以上とを併用することもできる。
前記絶縁樹脂組成物よりなるフィルムシートの表面を粗化した際の表面粗さは特に限定はされないが、Ra(算術平均粗さ)が1μm以下であることが好ましい。これにより、高周波回路基板の用途で用いた際、導体回路の信号伝搬速度へ与える影響を軽減することができる。
前記(a)金属水酸化物の300℃における重量減少率は、20重量%以上40重量%以下であることが好ましい。これにより、耐熱性を損なわずに難燃性を付与することができる。前記重量減少率が前記下限値未満では、十分に難燃性を発揮することが難しく、前記上限値を超えると、耐熱性が悪化する恐れがある。
なお、重量減少率は、TG−DTA(示差熱熱重量同時測定)により、試料を30℃から500℃まで10℃/分の条件で昇温させ、試料の重量変化を追跡し、((30℃の試料重量)−(300℃の試料重量))/(30℃の試料重量)×100で求まる値とした。
前記(a)金属水酸化物の含有量は、特に限定はされないが絶縁樹脂組成物全体に対して、1重量%以上50重量%以下であることが好ましい。これにより、耐熱性を損なわずに難燃性を付与することができる。含有量さらに2重量%以上45重量%以下が好ましく、さらに5重量%以上40重量%以下が好ましく、特に10重量%以上30重量%以下が好ましい。これにより、前記作用を効果的に発現させることができる。含有量が前記下限値未満では、難燃性の効果を十分に得られない恐れがあり、前記上限値を超えると、耐熱性が低下する恐れがある。
前記(a)金属水酸化物は、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化ガリウム、及び水酸化ジルコニルよりなる群から選ばれる少なくとも1種類以上であることが好ましい。これにより、難燃性を付与することができる。これらの中でも特に水酸化アルミニウムが好ましい。これにより、耐熱性を損なわずに難燃性を付与することができる。
本発明の絶縁樹脂組成物で用いられる(b)エポキシ樹脂は、ノボラック型エポキシ樹脂を含む。これにより、この絶縁樹脂組成物の硬化物の架橋密度を増加させ、高い難燃性と耐熱性とを付与することができる。
ノボラック型エポキシ樹脂としては、例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂等を挙げることができる。これらの中でもクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。これにより、前記効果に加えて、硬化物の吸水率を低下させ、高湿環境下での耐湿性を向上させることができる。
前記ノボラック型エポキシ樹脂の含有量は特に限定されないが、エポキシ樹脂全体の60〜90重量%であることが好ましい。さらに好ましくは65〜75重量%である。これにより、前記作用を効果的に発現させることができる。
ノボラック型エポキシ樹脂の含有量が前記下限値未満であると、耐熱性を向上させる効果が充分でないことがある。また、前記上限値を超えると、硬化物が硬くなり、ドリル加工性や打ち抜き加工性が低下することがある。
本発明の絶縁樹脂組成物においては、前記ノボラック型エポキシ樹脂の他にエポキシ樹脂を併用することができる。併用するエポキシ樹脂としては例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂などが挙げられる。
ここで、液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂を併用すると、繊維基材への含浸性を向上させることができる。また、固形のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂を併用すると、銅箔への密着性を向上させることができる。
本発明の絶縁樹脂組成物において用いられるエポキシ樹脂は、ハロゲン化されていないものである。
これにより、実質的にハロゲン化合物を用いることなく、難燃性を付与することができるとともに、硬化物の熱分解時に、ハロゲンに起因する腐食性、毒性を有する成分の発生をなくすことができる。
本発明の絶縁樹脂組成物は、(c)金属水酸化物以外の無機充填材(以下、単に「無機充填材」ということがある)を含むことが好ましい。これにより、低熱膨張性や難燃性を付与することができる。前記無機充填材の含有量は、特に限定はされないが、絶縁樹脂組成物全体に対して5重量%以上70重量%以下であることが好ましい。さらに10重量%以上60重量%以下が好ましく、さらに15重量%以上50重量%以下が好ましい。これにより、前記作用を効果的に発現させることができる。含有量が前記下限値未満では、低熱膨張性や難燃性の効果を十分に得られない恐れがあり、前記上限値を超えると、加熱加圧時の成形性が低下する恐れがある。
前記無機充填材としては、例えばタルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラス等のケイ酸塩、酸化チタン、アルミナ、シリカ、溶融シリカ等の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等の炭酸塩、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム等の硫酸塩または亜硫酸塩、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化炭素等の窒化物、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等のチタン酸塩等を挙げることができる。無機充填材として、これらの中の1種類を単独で用いることもできるし、2種類以上を併用したりすることもできる。
本発明の無機充填材は、特に金属酸化物であることが好ましい。これにより、耐熱性を損なわずに低熱膨張性や難燃性を付与することができる。さらに、前記金属酸化物はシリカが好ましく、溶融シリカ(特に球状溶融シリカ)が低熱膨張性に優れる点で好ましい。これにより前記作用を効果的に発現させることができる。その形状は破砕状、球状があるが、例えば繊維基材への含浸性を確保するために絶縁樹脂組成物の溶融粘度を下げる目的に球状シリカを使う等、その目的にあわせた使用方法が採用される。
無機充填材の平均粒子径は、特に限定されないが、5.0μm以下が好ましく、特に0.1〜2.0μmが好ましい。無機充填材の粒径が前記下限値未満であるとワニスの粘度が高くなるため、プリプレグ作製時の作業性に影響を与える場合がある。また、前記上限値を超えると、ワニス中で無機充填剤の沈降等の現象が起こる場合がある。
この平均粒子径は、例えば粒度分布計(HORIBA製、LA−500)により測定することができる。
また前記無機充填材は、特に限定されないが、平均粒子径が単分散の無機充填材を用いることもできるし、平均粒子径が多分散の無機充填材を用いることができる。さらに平均粒子径が単分散及び/または、多分散の無機充填材を1種類または2種類以上とを併用したりすることもできる。
前記絶縁樹脂組成物は、特に限定されないが、カップリング剤を用いることが好ましい。前記カップリング剤は、前記絶縁樹脂組成物中の絶縁樹脂と、前記(a)金属水酸化物及び前記無機充填材との界面の濡れ性を向上させることにより、繊維基材に対して絶縁樹脂等や(a)金属水酸化物及び無機充填材を均一に定着させ、耐熱性、特に吸湿後の半田耐熱性を改良することができる。
前記カップリング剤としては、通常用いられるものなら何でも使用できるが、具体的にはエポキシシランカップリング剤、カチオニックシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤およびシリコーンオイル型カップリング剤の中から選ばれる1種以上のカップリング剤を使用することが好ましい。これにより、(a)金属水酸化物及び無機充填材の界面との濡れ性を高くすることができ、それによって耐熱性をより向上させることできる。
前記カップリング剤の添加量は、前記(a)金属水酸化物及び無機充填材の比表面積に依存するので特に限定されないが、(a)金属水酸化物と無機充填材を合わせた100重量部に対して0.05〜3重量%が好ましく、特に0.1〜2重量%が好ましい。含有量が前記下限値未満であると(a)金属水酸化物及び無機充填材を十分に被覆できないため耐熱性を向上する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると反応に影響を与え、曲げ強度等が低下する場合がある。
前記絶縁樹脂組成物には、必要に応じて硬化促進剤を用いても良い。前記硬化促進剤としては公知の物を用いることが出来る。例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン等の3級アミン類、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−エチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、フェノール、ビスフェノールA、ノニルフェノール等のフェノール化合物、酢酸、安息香酸、サリチル酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸等、またはこの混合物が挙げられる。硬化促進剤として、これらの中の誘導体も含めて1種類を単独で用いることもできるし、これらの誘導体も含めて2種類以上を併用することもできる。
前記硬化促進剤の含有量は、特に限定されないが、前記絶縁樹脂組成物全体の0.05〜5重量%が好ましく、特に0.2〜2重量%が好ましい。含有量が前記下限値未満であると硬化を促進する効果が現れない場合があり、前記上限値を超えるとプリプレグの保存性が低下する場合がある。
前記絶縁樹脂組成物では、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂等の熱可塑性樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体等のポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等の熱可塑性エラストマ−、ポリブタジエン、エポキシ変性ポリブタジエン、アクリル変性ポリブタジエン、メタクリル変性ポリブタジエン等のジエン系エラストマーを併用しても良い。
また、前記絶縁樹脂組成物には、必要に応じて、顔料、染料、消泡剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、発泡剤、酸化防止剤、難燃剤、イオン捕捉剤等の前記成分以外の添加物を添加しても良い。
次に、プリプレグについて説明する。
本発明のプリプレグは、上述の絶縁樹脂組成物を繊維基材に含浸させてなるものである。これにより、誘電特性、高温多湿下での機械的、電気的接続信頼性等の各種特性に優れたプリント配線板を製造するのに好適なプリプレグを得ることができる。
本発明で用いる繊維基材としては、ガラス織布、ガラス不織布等のガラス繊維基材、ポリアミド樹脂繊維、芳香族ポリアミド樹脂繊維、全芳香族ポリアミド樹脂繊維等のポリアミド系樹脂繊維、ポリエステル樹脂繊維、芳香族ポリエステル樹脂繊維、全芳香族ポリエステル樹脂繊維等のポリエステル系樹脂繊維、ポリイミド樹脂繊維、フッ素樹脂繊維等を主成分とする織布または不織布で構成される合成繊維基材、クラフト紙、コットンリンター紙、リンターとクラフトパルプの混抄紙等を主成分とする紙基材等の有機繊維基材等が挙げられる。これらの中でもガラス繊維基材が好ましい。これにより、プリプレグの強度が上がり、また低吸水化することができる。また、プリプレグの線膨張係数を小さくすることができる。
本発明で得られる絶縁樹脂組成物を繊維基材に含浸させる方法には、例えば、本発明の絶縁樹脂組成物を用いて樹脂ワニスを調製し、繊維基材を樹脂ワニスに浸漬する方法、各種コーターによる塗布する方法、スプレーによる吹き付ける方法等が挙げられる。これらの中でも、繊維基材を樹脂ワニスに浸漬する方法が好ましい。これにより、繊維基材に対する絶縁樹脂組成物の含浸性を向上させることができる。なお、繊維基材を樹脂ワニスに浸漬する場合、通常の含浸塗布設備を使用することができる。
前記樹脂ワニスに用いられる溶媒は、前記絶縁樹脂組成物中の樹脂成分に対して良好な溶解性を示すことが望ましいが、悪影響を及ぼさない範囲で貧溶媒を使用しても構わない。良好な溶解性を示す溶媒としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、セルソルブ系、カルビトール系等が挙げられる。
前記樹脂ワニス中の不揮発分濃度としては特に限定されないが、40〜80重量%が好ましく、特に50〜65重量%が好ましい。これにより、樹脂ワニスの粘度を好適な範囲に調製することができ、繊維基材への含浸性を更に向上させることができる。前記繊維基材に前記絶縁樹脂組成物を含浸させ、所定温度、例えば80〜200℃等で乾燥させることによりプリプレグを得ることが出来る。
次に、積層板について説明する。
本発明の積層板は、上述のプリプレグを少なくとも1枚成形してなるものである。これにより、誘電特性、高温多湿化での機械的、電気的接続信頼性に優れた積層板を得ることができる。
プリプレグ1枚のときは、その上下両面もしくは片面に金属箔あるいはフィルムを重ねる。また、プリプレグを2枚以上積層することもできる。プリプレグ2枚以上積層するときは、積層したプリプレグの最も外側の上下両面もしくは片面に金属箔あるいはフィルムを重ねる。次に、プリプレグと金属箔等とを重ねたものを加熱、加圧することで積層板を得ることができる。前記加熱する温度は、特に限定されないが、120〜220℃が好ましく、特に150〜200℃が好ましい。また、前記加圧する圧力は、特に限定されないが、2〜5MPaが好ましく、特に2.5〜4MPaが好ましい。
前記金属箔を構成する金属としては、例えば銅及び銅系合金、アルミ及びアルミ系合金、銀及び銀系合金、金及び金系合金、亜鉛及び亜鉛系合金、ニッケル及びニッケル系合金、錫及び錫系合金、鉄および鉄系合金等が挙げられる。
また、フィルムとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、フッ素系樹脂等を挙げることができる。
次に半導体装置について説明する。
前記積層板に通常行われる導体回路等を形成し、半導体素子を実装して所定の加工をすることにより、半導体装置を作製した。
以下、本発明を実施例及び比較例により説明するが、本発明はこれに限定されるものでない。尚、配合は予め予測した線膨張係数が得られることを狙い配合した。
(実施例1)
(1)樹脂ワニスの調整
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(「エピクロンN-690」、エポキシ当量210、大日本インキ化学工業株式会社製)34重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(1)
(「エピクロン850」、エポキシ当量190、大日本インキ化学工業株式会社製)10重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(2)(「エピクロン7050」、エポキシ当量1900、大日本インキ化学工業株式会社製)4重量部、硬化促進剤(2−エチル−4−メチルイミダゾール)1重量部、およびエポキシシラン型カップリング剤(A−187、GE東芝シリコーン株式会社製)1重量部をメチルエチルケトンに常温で溶解し、洗浄した金属水酸化物(1)(水酸化アルミニウム、HP−360、平均粒径2.7μm、金属イオン性不純物(ナトリウムイオン)濃度10ppm、300℃の重量減少率25%、昭和電工株式会社製)10重量部、無機充填材(球状溶融シリカ、SO−25R、平均粒径0.5μm、株式会社アドマテックス社製)40重量部を添加し、高速撹拌機を用いて10分撹拌して、樹脂ワニスを得た。金属イオン性不純物の濃度は、(a)金属水酸化物を純水中で80℃、24h処理し、純水中に金属イオンを抽出した後、ICP−MSにてナトリウムイオンを測定した。以下特に断りがない場合は同様に測定した。
(2)プリプレグの製造
上述の樹脂ワニスをガラス織布(厚さ94μm、日東紡績製、WEA−2116)に含浸し、150℃の加熱炉で2分間乾燥して、プリプレグ中のワニス固形分が約50重量部のプリプレグを得た。
(3)積層板の製造
上述のプリプレグを所定枚数重ね、両面に18μmの銅箔を重ねて、圧力4MPa、温度200℃で2時間加熱加圧成形することによって、両面銅張積層板を得た。
(4)半導体装置の製造
50mm×50mmサイズの上述の両面銅張積層板上に所定の回路配線を形成し、厚さ0.75mm、15mm×15mmサイズの半導体素子をフリップチップボンダー、リフロー炉にて接合し、アンダーフィルを充填することによって、半導体装置を作製した。
(実施例2)
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂を30重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(1)を9重量部、洗浄した金属水酸化物(1)を5重量部、無機充填材を50重量部とした以外は、実施例1と同様に作製した。
(実施例3)
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂を25重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(1)を8重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(2)を3重量部、洗浄した金属水酸化物(1)を2重量部、無機充填材を60重量部とした以外は、実施例1と同様に作製した。
(実施例4)
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂を19重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(1)を6重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(2)を2重量部、洗浄した金属水酸化物(1)を1重量部、無機充填材を70重量部とした以外は、実施例1と同様に作製した。
(実施例5)
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂を17重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(1)を4重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(2)を2重量部、洗浄した金属水酸化物(1)を5重量部、無機充填材を70重量部とした以外は、実施例1と同様に作製した。
(実施例6)
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂を12重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(1)を4重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(2)を2重量部、無機充填材を70重量部とした以外は、実施例1と同様に作製した。
(実施例7)
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂を36重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(1)を12重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(2)を5重量部、洗浄した金属水酸化物(1)を30重量部、無機充填材を15重量部とした以外は、実施例1と同様に作製した。
(実施例8)
洗浄した金属水酸化物(1)を40重量部、無機充填材を10重量部とした以外は、実施例1と同様に作製した。
(実施例9)
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂を28重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(2)を5重量部、洗浄した金属水酸化物(1)を45重量部、無機充填材を10重量部とした以外は、実施例1と同様に作製した。
(実施例10)
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂を28重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(2)を5重量部、洗浄した金属水酸化物(1)を50重量部、無機充填材を5重量部とした以外は、実施例1と同様に作製した。
(実施例11)
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂を36重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(1)を9重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(2)を3重量部とした以外は、実施例1と同様に作製した。
(実施例12)
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂を29重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(1)を13重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(2)を6重量部とした以外は、実施例1と同様に作製した。
(実施例13)
洗浄した金属水酸化物(1)の代わりに洗浄した金属水酸化物(2)(水酸化アルミニウム、HP−32、平均粒径8.0μm、金属イオン性不純物(ナトリウムイオン)濃度200ppm、300℃の重量減少率30%、昭和電工株式会社製)を10重量部とした以外は、実施例1と同様に作製した。
参考例14)
洗浄した金属水酸化物(1)の代わりに洗浄した金属水酸化物(3)(水酸化アルミニ
ウム、HP−42M、平均粒径1.0μm、金属イオン性不純物(ナトリウムイオン)濃
度400ppm、300℃の重量減少率30%、昭和電工株式会社製)を10重量部とし
た以外は、実施例1と同様に作製した。
参考例15)
洗浄した金属水酸化物(1)の代わりに洗浄した金属水酸化物(4)(水酸化アルミニ
ウム、HP−43M、平均粒径0.6μm、金属イオン性不純物(ナトリウムイオン)濃
度500ppm、300℃の重量減少率30%、昭和電工株式会社製)を10重量部とし
た以外は、実施例1と同様に作製した。

(実施例16)
洗浄した金属水酸化物(1)の代わりに洗浄した金属水酸化物(5)(水酸化アルミニウム、HS−320、平均粒径10.0μm、金属イオン性不純物(ナトリウムイオン)濃度20ppm、300℃の重量減少率25%、昭和電工株式会社製)を10重量部とした以外は、実施例1と同様に作製した。
(実施例17)
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂の代わりにフェノールノボラック型エポキシ樹脂(「エピクロンN-770」、エポキシ当量190、大日本インキ化学工業株式会社製)を34重量部とした以外は、実施例1と同様に作製した。
(比較例1)
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂を44重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(1)を20重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(2)を14重量部、洗浄した金属水酸化物(1)を20重量部とし、無機充填材を配合しなかった以外は、実施例1と同様に作製した。
(比較例2)
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂を36重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(1)を12重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(2)を5重量部、洗浄した金属水酸化物(1)の代わりに未洗浄の金属水酸化物(6)(水酸化アルミニウム、HP−42I、平均粒径1.0μm、金属イオン性不純物(ナトリウムイオン)濃度2800ppm、300℃の重量減少率25%、昭和電工株式会社製)を30重量部、無機充填材を15重量部とした以外は、実施例1と同様に作製した。
(比較例3)
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂を57重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(1)を18重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(2)を7重量部、硬化促進剤(2−エチル−4−メチルイミダゾール)を2重量部、無機充填材を15重量部とし、洗浄した金属水酸化物(1)を配合しなかった以外は、実施例1と同様に作製した。
実施例および比較例で得られた樹脂組成物、プリプレグ、積層板、半導体装置について、特性の評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
評価方法は、以下の通りである。
1.線膨張係数
厚さ1.2mmの両面銅張積層板の銅箔を全面エッチングし、得られた積層板から2mm×2mmのテストピースを切り出し、TMAを用いて5℃/分の条件で、25℃での厚み方向(Z方向)の線膨張係数を測定し、予想通りの線膨張係数が得らたことを確認した。
2.熱衝撃試験
厚さ0.8mmの両面銅張積層板を用いて半導体装置のテストピースを作製した。得られたテストピースをフロリナート中で−55℃10分、125℃10分、−55℃10分を1サイクルとして、1000サイクル処理し、テストピースにクラックが発生していないか確認した。
○:クラック発生なし
×:クラック発生
3.基板の反り
厚さ0.4mmの両面銅張積層板を用いて半導体装置を作製し、基板の反りを測定した。
絶縁信頼性試験
厚さ0.4mmの両面銅張積層板に、メカニカルドリルを用いて径0.4mm、壁間距離0.4mmのスルーホールを開け、その後メッキ、回路配線を形成して、85℃、85%RH、印加電圧50Vの条件下で1000h処理し、100Vで絶縁抵抗を測定した。
○:1.0×1010Ω以上
×:1.0×1010Ω以下
4.プレス成形性
内層回路銅の厚さが35μm、20mm径のアンクラッドが配列されたパターンのテスト基板上下に、上述のプリプレグを各1枚、18μmの銅箔を重ねて、圧力4MPa、温度200℃で2時間加熱加圧成形後、銅箔を全面エッチングしてプレス成形ボイドがないか確認した。
○:成形ボイドなし
×:成形ボイドあり
5.算術表面粗さ:Ra
厚さ0.6mmの両面銅張積層板の銅箔を全面エッチング後、膨潤:80℃、5分、粗化:80℃、10分、中和:40℃、5分の条件でデスミアを行い、基板のRaを測定した。
6.ガラス転移温度
厚さ0.6mmの両面銅張積層板の銅箔を全面エッチングし、得られた積層板から10mm×60mmのテストピースを切り出し、動的粘弾性測定装置(DMA983、TAインスツルメント社製)を用いて3℃/分で昇温し、tanδのピーク位置をガラス転移温度とした。
7.重量減少率
両面銅張積層板の銅箔を全面エッチング後、絶縁樹脂組成物の硬化物を削り取り、TG−DTAを用い30℃から500℃まで10℃/分の条件で昇温し、((30℃の硬化物重量)−(300℃の硬化物重量))/(30℃の硬化物重量)×100から重量減少率(%)を算出した。
8.難燃性試験
UL−94規格に従い、1mm厚のテストピースを垂直法により測定した。
9.吸水率
厚さ0.2mmの両面銅張り積層板を全面エッチングし、得られた積層板から50mm×50mmのテストピースを切り出し、JIS C 6481に従い測定した。
10.ピール強度
厚さ0.6mmの両面銅張積層板をJIS C 6481に準拠して測定した。
11.吸湿半田耐熱
厚さ0.2mmの両面銅張積層板から50mm×50mmに切り出し、JIS C 6481に従い半面エッチングを行ってテストピースを作成した。121℃のプレッシャークッカーで2時間処理した後、260℃のはんだ槽に銅箔面を下にして浮かべ、120秒後の外観異常の有無を調べた。
○:異常なし
×:フクレあり
表1、表2からも明らかなように、実施例1〜17は、絶縁樹脂組成物の硬化物の線膨張係数が低く、(a)金属水酸化物、ノボラック型エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂及び、無機充填材を含有する本発明の絶縁樹脂組成物と、これを用いたプリプレグ、積層板、及び半導体装置である。
実施例1〜17はいずれも、絶縁信頼性、難燃性、吸湿耐熱性において良好な結果であった。
これに対し、比較例1は、無機充填材が含有せず、エポキシ樹脂に対するノボラック型エポキシの含有量が少ないため、線膨張係数が大きくなり、熱衝撃試験や吸湿半田耐熱試験でクラックやフクレが発生した。
比較例2は、金属水酸化物中の金属イオン性不純物の濃度が高く、絶縁信頼性試験で絶縁抵抗が低下した。
また、比較例3は、(a)金属水酸化物を含有せず、無機充填材の含有量が少ないため、難燃性が低下した。
本発明の絶縁樹脂組成物は、プリプレグ、該プリプレグを用いた積層板、該積層板よりなる半導体装置に好適に用いることができるが、その他、難燃性、耐半田性、絶縁信頼性、熱衝撃性等の信頼性にも優れることから、車載用の電子部品装置、例えば、燃料電池自動車およびハイブリッド自動車等のパワーエレクトロニクス機器等やハイブッド車に用いられるモーター駆動用電子部品のチップの保護などに用いる樹脂部分に用いることも可能である。

Claims (9)

  1. 繊維基材に含浸させてシート状のプリプレグを形成するために用いる絶縁樹脂組成物で
    あって、前記絶縁樹脂組成物を200℃で2時間加熱成形することによって得られる硬化
    物の線膨張係数が、25℃において6ppm/℃以上50ppm/℃以下であり、
    (a)金属イオン性不純物の濃度が200ppm以下であり、レーザ回折式粒度分布測定
    装置により測定した平均粒径が0.1μm以上10μm以下である水酸化アルミニウム
    (b)ノボラック型エポキシ樹脂をエポキシ樹脂全体の60〜90重量%含み、かつ、ハ
    ロゲン化されていないエポキシ樹脂、
    (c)球状溶融シリカ
    (d)エポキシシラン型カップリング剤、
    (e)硬化促進剤
    を含有し、
    前記絶縁樹脂組成物全体に対する前記(a)水酸化アルミニウムの含有量が1重量%以上50
    重量%以下であり、
    前記絶縁樹脂組成物全体に対する前記(c)球状溶融シリカの含有量が
    5重量%以上70重量%以下であり、
    前記(a)水酸化アルミニウムと前記(c)球状溶融シリカを合わせた100重量部に対する前記
    (d)エポキシシラン型カップリング剤の添加量が0.05〜3重量%であり、
    前記絶縁樹脂組成物全体に対する前記(e)硬化促進剤の含有量が0.05〜5重量%で
    あることを特徴とする絶縁樹脂組成物(但し、下記一般式[1]で示されるポリマレイミド化合物を含む場合を除く)。
    (式中、R1はk価の有機基、Xa、Xbは水素原子、ハロゲン原子および有機基から選
    ばれた同一または異なる一価の原子または基、kは2以上の整数を表わす)
  2. 前記絶縁樹脂組成物の300℃における重量減少率が15%以下であることを特徴とす
    る請求項1に記載の絶縁樹脂組成物。
  3. 前記(a)水酸化アルミニウムの300℃における重量減少率が20重量%以上40重量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の絶縁樹脂組成物。
  4. 前記(a)水酸化アルミニウム中に含まれる金属イオン性不純物は、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン、フランシウムイオン、ベリリウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオン、亜鉛イオン、スズイオン、及び鉛イオンよりなる群から選ばれる少なくとも1種類以上である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の絶縁樹脂組成物。
  5. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の絶縁樹脂組成物を繊維基材に含浸させてなることを特徴とするプリプレグ。
  6. 前記繊維基材がガラス繊維からなることを特徴とする請求項5に記載のプリプレグ。
  7. 前記繊維基材が有機繊維からなることを特徴とする請求項に記載のプリプレグ。
  8. 請求項5ないし7のいずれか1項に記載のプリプレグを1枚以上重ね合わせ加熱加圧
    成形してなることを特徴とする積層板。
  9. 請求項に記載の積層板に半導体素子を搭載してなることを特徴とする半導体装置。
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