JP5542648B2 - 半導体封止用エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

半導体封止用エポキシ樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明はエポキシ樹脂組成物に関し、特に半導体封止用のエポキシ樹脂組成物に関する。
現在、半導体デバイスは樹脂封止型のダイオード、トランジスター、IC、LSI、超LSIが主流である。エポキシ樹脂は他の熱硬化性樹脂に比べ成形性、接着性、電気特性、機械特性等に優れているため、このような半導体デバイスの封止に一般的に用いられている。近年、半導体デバイスが車載、電車、風力発電、太陽光発電等の高電圧下で使用される頻度が高くなり、それに伴って耐トラッキング性が重要となっている。特に一般にパワ−半導体デバイスと呼ばれる半導体の封止材には耐トラッキング性が優れた材料が要求されている。
さらに、前記車載用途等の半導体デバイスではモジュ−ル化が進み、大型パッケ−ジを封止する必要性があるので、成形性に優れた封止材が要求されている。その上、前記車載用途等の半導体デバイスは塩分や水、さらにトランスミッションオイル等の鉱油、ガソリン、各種グリ−スに直接接触する環境や、高温、高湿の環境下で使用される可能性が高いため、このような環境に対する耐久性に優れた封止材が必要である。
このような要求に対して、封止材の耐トラッキング性を改良する手法としてトリアジンチオ−ル化合物(トリチオイソシアヌル酸など)を封止材に添加する方法(特許文献1)、ジシアンジアミドまたはビスフェノ−ルAとホルムアルデヒドの重縮合物を封止材に添加する方法(特許文献2)が知られている。しかしながら、これら有機系添加剤は長期耐熱試験において熱劣化するため、前記耐久性に乏しいものである。
そこで、無機系添加材として水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物を封止材に添加する方法が知られている(特許文献3、4)。しかしながら、何ら処理されていない金属水酸化物は吸水特性があるため、耐湿、耐水試験において電気的ショ−トの可能性が高い(封止材の耐トラッキング性が不十分)。また、金属水酸化物を用いた場合には、金属水酸化物に含まれるイオン性不純物が封止された半導体デバイスの電気不良を引き起こすことも懸念される(封止材の耐トラッキング性が不十分)。
また、有機系添加剤又は無機系添加材を用いずにエポキシ樹脂そのもので耐トラッキング性を高めるために、ジシクロペンタジエン系エポキシ樹脂等を用いる方法が知られている(特許文献5、6)。しかしながら、有機系添加剤又は無機系添加材を用いない封止用樹脂単独の封止材では、近年要求が高まっている高CTI(比較トラッキング指数:Comparative Tracking Index)に対応することが困難であった。そのため、成形性に優れる等のエポキシ樹脂の一般的特性を有する上、水等に接触する環境や、高温、高湿環境に対する耐久性が高く、耐トラッキング性に優れた硬化物を与える半導体封止用エポキシ樹脂組成物の開発が望まれていた。
特開平5−65466号公報 特開平7−22718号公報 特開平6−112611号公報 特開2008−143950号公報 特開2005−213299号公報 特開2006−36936号公報
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、成形性に優れる等のエポキシ樹脂の一般的特性を有する上、水等に接触する環境や、高温、高湿環境に対する耐久性が高く、耐トラッキング性に優れた硬化物を与える半導体封止用エポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明では、
半導体封止用エポキシ樹脂組成物であって、少なくとも、
(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)無機充填剤、及び(D)アルカリ金属を除く金属元素の水酸化物を表面処理したものを含有し、
前記半導体封止用エポキシ樹脂組成物を硬化させたときの硬化物の吸水率が0.1%以下となるものであることを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物を提供する。
このような半導体封止用エポキシ樹脂組成物であれば、成形性に優れる等のエポキシ樹脂の一般的特性を有する上、水等に接触する環境や、高温、高湿環境に対する耐久性が高く、耐トラッキング性に優れた硬化物を与える半導体封止用エポキシ樹脂組成物となる。
また、前記(D)アルカリ金属を除く金属元素の水酸化物を表面処理したものが、ナトリウム不純物の濃度が100ppm以下である水酸化アルミニウムを表面処理したものであることが好ましい。
このように、(D)成分がナトリウム不純物の濃度が100ppm以下である水酸化アルミニウムを表面処理したものであれば、耐トラッキング性に悪影響を及ぼすナトリウム不純物が少ないため、封止材を長期間使用した場合にも水分が侵入することを防ぐことができ、侵入しても耐トラッキング性が低下することを防ぐことができる。そのため、耐トラッキング性を長期間維持することができるので好ましい。
さらに、前記(D)アルカリ金属を除く金属元素の水酸化物を表面処理したものが、アルカリ金属を除く金属元素の水酸化物を、ビニル基含有シランカップリング剤又はその加水分解物で表面処理したものであることが好ましい。
このように、(D)成分がビニル基含有シランカップリング剤又はその加水分解物により表面処理したものであれば、水等に接触する環境や、高温、高湿環境に対する耐久性がより高く、耐トラッキング性により優れた硬化物を与える半導体封止用エポキシ樹脂組成物となるため好ましい。
また、前記半導体封止用エポキシ樹脂を硬化させたときの前記硬化物の比較トラッキング指数が400V以上となるものであることが好ましい。
このように、比較トラッキング指数(CTI)が400V以上であれば、十分耐トラッキング性に優れた硬化物となるため好ましい。
以上説明したように、本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物であれば、成形性に優れる等のエポキシ樹脂の一般的特性を有する上、塩分や水、さらにトランスミッションオイル等の鉱油、ガソリン、各種グリ−スに直接接触する環境や、高温、高湿環境に対する耐久性が高く、耐トラッキング性に優れた硬化物を与える半導体封止用エポキシ樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
前述のように、成形性に優れる等のエポキシ樹脂の一般的特性を有する上、水等に接触する環境や、高温、高湿環境に対する耐久性が高く、耐トラッキング性に優れた硬化物を与える半導体封止用エポキシ樹脂組成物の開発が望まれていた。
本発明者らは、上記課題を達成するため鋭意検討を重ねた結果、アルカリ金属を除く金属元素の水酸化物を表面処理することにより該水酸化物の耐湿性、耐水性を改善でき、水等に接触する環境や、高温、高湿環境に対する耐久性が改善できることを見出し、アルカリ金属を除く金属元素の水酸化物を表面処理したものを半導体封止用エポキシ樹脂組成物に添加することで耐トラッキング性を向上させることができ、求められる高CTIに対応できることを見出して、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
半導体封止用エポキシ樹脂組成物であって、少なくとも、
(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)無機充填剤、及び(D)アルカリ金属を除く金属元素の水酸化物を表面処理したものを含有し、
前記半導体封止用エポキシ樹脂組成物を硬化させたときの硬化物の吸水率が0.1%以下となるものであることを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物を提供する。以下本発明の各成分等について詳しく説明する。
<(A)エポキシ樹脂>
本発明に係る(A)エポキシ樹脂は特に限定されないが、一般的な例としては、ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェノールアルカン型エポキシ樹脂、アラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル骨格含有アラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、多官能型エポキシ樹脂、複素環型エポキシ樹脂、ナフタレン環含有エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、スチルベン型エポキシ樹脂等が挙げられ、これら1種又は2種以上を併用することができる。特に、高温環境下で使用される封止材では、封止材硬化物のガラス転移温度が高い多官能型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂の使用が好ましい。
<(B)硬化剤>
本発明に係る(B)硬化剤は特に限定されないが、一般的な例としては、フェノールノボラック樹脂、ナフタレン環含有フェノール樹脂、フェノールアラルキル型フェノール樹脂、アラルキル型フェノール樹脂、ビフェニル骨格含有アラルキル型フェノール樹脂、ビフェニル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、脂環式フェノール樹脂、複素環型フェノール樹脂、ナフタレン環含有フェノール樹脂、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール樹脂、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミックス酸等の酸無水物等が挙げられ、これら1種又は2種以上を併用することができる。
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物における、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤との配合量については特に制限されないが、(B)硬化剤がフェノール樹脂である場合の配合割合は(A)エポキシ樹脂中に含まれるエポキシ基1モルに対して、(B)硬化剤中に含まれるフェノール性水酸基のモル比が0.5〜1.5であることが好ましく、特に0.8〜1.2の範囲であることが好ましい。
<(C)無機充填剤>
本発明に係る(C)無機充填剤としては、通常エポキシ樹脂組成物に配合されるものを使用することができる。例えば溶融シリカ、結晶性シリカ等のシリカ類、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド、酸化チタン、ガラス繊維等が挙げられる。これら無機充填剤の平均粒径や形状は特に限定されないが、成形性及び流動性の面から平均粒子径が5〜40μmの球状の溶融シリカが特に好ましい。なお、平均粒子径は、レーザー回折法による粒度分布測定における重量平均値(又はメジアン径)等として測定することができる。
前記半導体封止用エポキシ樹脂組成物に含まれる樹脂と(C)無機充填剤との結合強度を強くするため、(C)無機充填剤は、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤などのカップリング剤で予め表面処理したものを配合することが好ましい。このようなカップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン、γ−メルカプトシラン等のメルカプトシランなどのシランカップリング剤を用いることが好ましい。ここで(C)無機充填剤の表面処理に用いるカップリング剤の配合量及び表面処理方法については特に制限されるものではない。
(C)無機充填剤の配合量は、前記(A)エポキシ樹脂と(B)硬化剤の総量を100質量部として400〜1200質量部であることが好ましく、特に500〜1000質量部が好ましい。配合量が400質量部以上であれば、半導体封止用エポキシ樹脂組成物を硬化させたときの硬化物の膨張係数がは小さく抑えられるので、パッケージの反りが増大し半導体素子に加わる応力が増して素子特性の劣化を招くことを抑制できるため好ましい。また、(C)無機充填剤の配合量が400質量部以上であれば、本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物に含まれる樹脂の配合割合が少なく抑えられ、吸湿性、耐クラック性が向上するため好ましい。一方、(C)無機充填剤の配合量が1200質量部以下であれば、封止材を成形する時の粘度は低く抑えられ、成形性が向上するため好ましい。なお、この(C)無機充填剤の配合割合は半導体封止用エポキシ樹脂組成物全体の80〜92質量%であることが好ましく、特に83〜90質量%とすることが好ましい。
<(D)アルカリ金属を除く金属元素の水酸化物を表面処理したもの>
本発明に係る(D)アルカリ金属を除く金属元素の水酸化物を表面処理したものとしては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マンガン、水酸化鉄、水酸化亜鉛、水酸化銅(II)、水酸化ランタン、水酸化鉄(III)を表面処理したものが例示されるが、中でも半導体封止材用途として水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムを表面処理したものが好ましい。特に、溶解度積が低い水酸化アルミニウムを表面処理したものが好ましい。参考値として、水酸化マグネシムの溶解度積は1.2×10−11に対し、水酸化アルミニウムの溶解度積は5×10−33である。
(D)アルカリ金属を除く金属元素の水酸化物を表面処理したものとしては、例示した前記アルカリ金属を除く金属元素の水酸化物を脱イオン水、メタノ−ル、エタノ−ル、ブタノ−ル等の低分子アルコ−ル類、低分子エ−テル類、又は水溶性Na不純物等の封止材の耐トラッキング性と耐久性に悪影響を及ぼす不純物成分を取り除くことができる極性溶媒で洗浄、精製した後、表面処理したものであることが好ましい。
前記水酸化アルミニウムはAl・3HOまたはAl(OH)で表されるものである。通常、水酸化アルミニウムは前記洗浄、精製は行われていない未処理のものである。未処理の水酸化アルミニウムには製造工程において水溶性のイオン成分、特に水溶性のNa等が不純物として混入している。このようなNa不純物等が封止材(半導体封止用エポキシ樹脂組成物)に混入すると、封止材の吸水特性を向上させ、電気特性(耐トラッキング性等)に悪影響を及ぼすこととなる。そのため、表面処理前にこのような不純物を水酸化アルミニウムから前記洗浄等で取り除くことにより、封止材への水分等の浸入をより確実に防ぐことができ、また、封止材へ水分等が侵入しても電気的特性の低下をより確実に防ぐことができる。これにより、封止材の耐トラッキング性と耐久性をより長期間維持することができる。なお、水酸化アルミニウムに限られず、上記不純物を除去するための洗浄は他のアルカリ金属を除く金属元素の水酸化物に対しても有効である。
又は、上記未処理の水酸化アルミニウムを洗浄、精製して表面処理をする代わりに、高純度アルミン酸ナトリウム溶液から析出した高純度水酸化アルミニウムを表面処理したものを、(D)アルカリ金属を除く金属元素の水酸化物を表面処理したものとして用いることも好ましい。高純度アルミン酸ナトリウム溶液から析出した高純度の水酸化アルミニウムとしてはH320、H320I、HS330(昭和電工(株)製商品名)などの市販品を用いることができる。
前記(D)アルカリ金属を除く金属元素の水酸化物を表面処理したものが、ナトリウム不純物の濃度が100ppm以下である水酸化アルミニウムを表面処理したものであることが好ましく、特にナトリウム不純物の濃度が50ppm以下である水酸化アルミニウムを表面処理したものであることが好ましい。ナトリウム不純物の濃度が100ppm以下、特に50ppm以下である水酸化アルミニウムとしては、前記洗浄、精製された水酸化アルミニウム、又は前記高純度水酸化アルミニウムを好適に用いることができる。ナトリウム不純物の濃度が100ppm以下であれば、封止材への水分等の浸入をより確実に防ぐことができ、また、封止材へ水分等が侵入しても電気的特性の低下をより確実に防ぐことができるため好ましい。なお、水酸化アルミニウムに限られず、他のアルカリ金属を除く金属元素の水酸化物の場合であってもナトリウム不純物の濃度が100ppm以下であることが好ましい。また、上記各ナトリウム不純物の濃度は低いほど好ましく、下限値についてはいずれも0である。
また、前記未処理の水酸化アルミニウムの洗浄方法は、例えば、水酸化アルミニウム100部を極性溶媒200部以上で希釈する希釈工程、該極性溶媒を室温から各極性溶媒の沸点までの温度で3時間以上撹拌洗浄する撹拌工程、水酸化アルミニウムをろ過するろ過工程により行うことができる。必要に応じて、特にナトリウム不純物の濃度が100ppm以下、好ましくは50ppm以下となるように前記洗浄方法を繰り返すことが好ましい。通常はこの方法を3回程度繰り返せば良い。その後、150℃以下の温度で水酸化アルミニウムを乾燥し、表面処理をする。なお、水酸化アルミニウムに限られず、他のアルカリ金属を除く金属元素の水酸化物の場合であっても上記洗浄方法を適用することができる。
また、ナトリウム不純物が十分に除去されているかの確認は、例えば、水酸化アルミニウム100部を水200部で希釈し、125℃で20時間撹拌し、水酸化アルミニウムをろ過した後の抽出水(ろ液)の電気電導度を測定することにより行うことができる。この電気伝導度の測定値が50μS/cm以下であることが好ましく、より好ましくは5μS/cm以下であり、さらに好ましくは0.5μS/cmである。電気伝導度の測定値が50μS/cm以下であればナトリウム不純物が十分に除去されていると判断できるため、封止材への水分等の浸入をより確実に防ぐことができ、また、封止材へ水分等が侵入しても電気的特性の低下をより確実に防ぐことができるため好ましい。なお、水酸化アルミニウムに限られず、他のアルカリ金属を除く金属元素の水酸化物の場合であっても電気伝導度を用いて不純物が十分に除去されているか確認することができる。また、上記各電気電導度は低いほど好ましく、下限値についてはいずれも0である。
上記水酸化アルミニウムの平均粒子径は特に制限されないが、0.3〜100μmが好ましく、より好ましくは1〜100μm、さらに好ましくは1.5〜50μmである。0.3μm以上の粒子であれば、比表面積は大きくなり過ぎず、耐湿性、耐水性を維持できるため好ましい。この平均粒子径はたとえばレ−ザ−回析による粒度分布計などを用いて重量平均値等として求めることができる。
前記(D)アルカリ金属を除く金属元素の水酸化物を表面処理したものとしては、アルカリ金属を除く金属元素の水酸化物をシランカップリング剤またはその部分加水分解物、有機シラザン類、チタネ−ト系カップリング剤、オルガノポリシロキサンオイル、又はオルガノハイドロジェンポリシロキサンオイル等で表面処理したものが例示される。前記表面処理は疎水化処理とすることができる。
前記シラン系カップリング剤としては、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン、トリメチルクロロシラン、トリメチルアミノシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、及びγ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のオルガノアルコキシシラン、オルガノクロロシランなどの加水分解基または元素を一個以上、好ましくは2〜3個有するオルガノシラン化合物、シラン系化合物が例示される。また、前記シラン系カップリング剤の部分加水分解物も使用できる。
前記有機シラザン類としては、ヘキサメチルジシラザン、ジビニルテトラメチルジシラザン、ジフェニルテトラメチルジシラザンのヘキサオルガノジシラザンやオクタメチルトリシラザンなどが例示される。
前記チタネ−ト系カップリング剤としては、テトライソプロピルチタネ−ト、テトラn−ブチルチタネ−ト、ブチルチタネ−トダイマ−、テトラステアリルチタネ−トチタニウムアセチルアセテ−ト、オクチレングリコ−ツチタネ−ト等が例示される。
前記オルガノポリシロキサンオイルとしては、分子構造が環状、鎖状、分岐状、網目状、及び星状のいずれかの形状を有するものが例示され、特に動粘度が0.65−100000センチスト−クス(25℃)のものが好ましい。
前記オルガノハイドロジエンポリシロキサンオイルとしては、分子構造が環状、鎖状、分岐状、及び網目状のいずれかの形状を有するものが例示され、特にケイ素原子に結合した一価炭化水素基としてメチル基のみあるいはメチル基とフェニル基を有する不活性なオルガノポリシロキサンが好ましい。
特に、前記(D)アルカリ金属を除く金属元素の水酸化物を表面処理したものとしては、アルカリ金属を除く金属元素の水酸化物を前記シランカップリング剤で表面処理したものであることが好ましく、前記シランカップリング剤の中でも加水分解性基を有するケイ素化合物で表面処理したものであることが好ましい。これら処理剤により表面処理をしたものを半導体封止用エポキシ樹脂組成物に含めることで、半導体封止用エポキシ樹脂組成物を硬化させたときの硬化物の吸水率が低下し、電気特性(耐トラッキング性)も向上し、長期耐湿試験、浸水試験、耐熱試験等において優れた耐久性を示すものとなる。
又、前記シランカップリング剤の中でもビニル基を含有したアルコキシシランにより表面処理したものであることが好ましい。これら処理剤により表面処理をしたものを半導体封止用エポキシ樹脂組成物に含めることで、半導体封止用エポキシ樹脂組成物を硬化させたときの硬化物の耐トラッキング性をより向上させることができる。
前記(D)アルカリ金属を除く金属元素の水酸化物を表面処理したものとしては、アルカリ金属を除く金属元素の水酸化物を、ビニル基含有シランカップリング剤又はその加水分解物で表面処理したものが最も好ましい。中でも、上記洗浄された、又は前記析出した高純度水酸化アルミニウムを、ビニル基含有シランカップリング剤又はその加水分解物で表面処理したものが好ましい。これら処理剤により表面処理をしたものを半導体封止用エポキシ樹脂組成物に含めることで、半導体封止用エポキシ樹脂組成物を硬化させたときの硬化物の吸水率が更に低下し、電気特性(耐トラッキング性)も更に向上し、長期耐湿試験、浸水試験、耐熱試験等において更に優れた耐久性を示す。
前記表面処理は、水酸化アルミニウム100部に対し前記表面処理に用いる処理剤を0.3〜50部、より好ましくは0.5〜10部添加して行うことが好ましい。0.3部以上であれば、処理剤の上記効果が発揮され、50部以下であれば工程上の無駄を抑制でき、コスト効率も良いため好ましい。
前記(D)アルカリ金属を除く金属元素の水酸化物を表面処理したものの配合量は半導体封止用エポキシ樹脂組成物の0.1〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜5質量%である。配合量が0.1質量%以上であれば十分な耐トラッキング性を発現することができ、また10質量%以下であれば組成物の流動特性、成形特性の低下を抑制できるため好ましい。
<(E)その他の成分>
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物には、その特性を阻害しない範囲で、その目的に応じて添加剤を配合することができる。このような添加剤としては、酸化防止剤、安定剤、接着助剤、滑剤、難燃剤等を挙げることができる。
本発明において使用可能な酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4−チオビス−(2−t−ブチル−5−メチルフェノール)、2,2−メチレンビス−(6−t−ブチルメチルフェノール)、4,4−メチレンビス−(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、2,5,7,8−テトラメチル−2−(4,8,12−トリメチルデシル)クロマン−2−オール、5,7−ジ−t−ブチル−3−(3,4−ジメチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジペンチルフェニルアクリレート、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、テトラキス(メチレン)−3−(ドデシルチオプロピオネート)メタン等が挙げられる。
さらに、本発明において使用可能な安定剤としては、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸バリウム、ラウリン酸亜鉛、リシノール酸カルシウム、リシノール酸バリウム、リシノール酸亜鉛等の各種金属せっけん系安定剤、ラウレート系、マレート系及びメルカプト系の各種有機錫系安定剤、ステアリン酸鉛、三塩基性硫酸鉛等の各種鉛系安定剤、エポキシ化植物油等のエポキシ化合物、アルキルアリルホスファイト、トリアルキルホスファイト等のホスファイト化合物、ジベンゾイルメタン、デヒドロ酢酸等のβ−ジケトン化合物、ソルビトール、マンニトール、ペンタエリスリトール等のポリオール、ハイドロタルサイト類やゼオライト類を挙げることができる。
また、本発明において使用可能な接着助剤としては、各種アルコキシシラン等を挙げることができる。
さらに、本発明において使用可能な滑剤としては、ケイ酸、炭酸カルシウム、酸化チタン、カーボンブラック、カオリンクレー、焼成クレー、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム等を挙げることができる。
さらに、本発明のエポキシ樹脂組成物には、(A)エポキシ樹脂と(B)硬化剤との硬化反応を促進させるため、硬化促進剤を用いることが好ましい。この硬化促進剤は、硬化反応を促進させるものであれば特に制限はなく、例えばトリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(p−メチルフェニル)ホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリフェニルホスフィン・トリフェニルボラン、テトラフェニルホスフィン・テトラフェニルボレートなどのリン系化合物、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルジメチルアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7などの第3級アミン化合物、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール化合物等を使用することができる。
前記硬化促進剤の配合量は有効量であるが、(A)エポキシ樹脂と(B)硬化剤との総量100質量部に対し、0.1〜5質量部、特に0.3〜4質量部とすることが好ましい。
また、本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、更に必要に応じて以下の各種の添加剤を配合することができる。例えば熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、有機合成ゴム、シリコーン系等の低応力剤、カーボンブラック等の着色剤、ハロゲントラップ剤等の添加剤を添加配合することができる。
さらに、本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物には離型剤成分を含めることができる。離型剤成分としては、特に制限されず公知のものを全て使用することができ、例えばカルナバワックス、ライスワックス、ポリエチレン、酸化ポリエチレン、モンタン酸、モンタン酸と飽和アルコール、2−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−エタノール、エチレングリコール、グリセリン等とのエステル化合物であるモンタンワックス;ステアリン酸、ステアリン酸エステル、ステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体、等が挙げられこれら1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
前記離型剤の配合量としては(A)エポキシ樹脂、及び(B)硬化剤の総量100質量部に対して、0.1〜5質量部が好ましく、更に好ましくは0.3〜4質量部であることが望ましい。
<半導体封止用エポキシ樹脂組成物の調製等>
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)無機充填剤、(D)アルカリ金属を除く金属元素の水酸化物を表面処理したもの、及び必要に応じて難燃剤等のその他の成分を所定の組成比で配合し、これをミキサー等によって十分均一に混合した後、熱ロール、ニーダー、エクストルーダー等による溶融混合処理を行い、次いで冷却固化させ、適当な大きさに粉砕して成形材料とすることができる。なお、半導体封止用エポキシ樹脂組成物をミキサー等によって十分均一に混合するに際して、保存安定性をよくする為に、或いはウエッターとしてシランカップリング剤等で予め表面処理等を行うことが好ましい。
前記シランカップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシプロピル)テトラスルフィド、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。ここで、表面処理に用いるシランカップリング剤量及び表面処理方法については、特に制限されるものではない。
このようにして得られる本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、各種の半導体装置の封止に有効に利用できる。半導体封止用エポキシ樹脂組成物を用いた封止の最も一般的な方法としては、低圧トランスファー成形法が挙げられる。なお、本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物の成形温度は150〜180℃で30〜180秒、後硬化は150〜180℃で2〜16時間行うことが望ましい。
<硬化物の吸水率>
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、半導体封止用エポキシ樹脂組成物を硬化させたときの硬化物の吸水率が0.1%以下となるものである。該吸水率はプレッシャークッカーにて121℃、2atmの飽和水蒸気下で24時間曝露した後の重量増加率である。
前記半導体封止用エポキシ樹脂を硬化させたときの硬化物の比較トラッキング指数が400V以上となるものであることが好ましい。前記硬化物の比較トラッキング指数が400V以上であれば、十分耐トラッキング性に優れた硬化物となるため好ましい。
以上説明したように、本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物であれば、成形性に優れる等のエポキシ樹脂の一般的特性を有する上、塩分や水、さらにトランスミッションオイル等の鉱油、ガソリン、各種グリ−スに直接接触する環境や、高温、高湿環境に対する耐久性が高く、耐トラッキング性に優れた硬化物を与える半導体封止用エポキシ樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物について実施例、参考例、及び比較例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の例において部はいずれも質量部である。
[各成分の調整]
以下、実施例、参考例、及び比較例で使用した各成分について説明する。
(A)エポキシ樹脂
エポキシ樹脂a:下記式で表されるビフェニル含有アラルキル型エポキシ樹脂(商品名:NC−3000、日本化薬(株)製、エポキシ当量=272)
Figure 0005542648
(上記化合物はMw(重合平均分子量)=1300であり、式中、nはMwが1300となるような整数である。)
エポキシ樹脂b:下記式で表わされる多官能型エポキシ樹脂(商品名:EPPN−501H、日本化薬(株)製、エポキシ当量=165)
Figure 0005542648
(式中、Gはグリシジル基を示し、nは1〜10の整数(の混合物)であり、Rは水素原子である。)
(B)硬化剤
硬化剤:下記式で表されるフェノールノボラック樹脂(商品名:DL−92、明和化成(株)製、フェノール性水酸基当量=110)
Figure 0005542648
(上記化合物はMw=730であり、式中、mはMwが730となるような整数である。)
(C)無機質充填剤
球状溶融シリカ(商品名:MRS−25、(株)龍森製、平均粒径=15μm)
(D)アルカリ金属を除く金属元素の水酸化物を表面処理したもの
水酸化アルミニウムI:平均粒子径1.5μmの未処理水酸化アルミニウム100部を200部の脱イオン水で希釈し、煮沸攪拌しながら3時間洗浄後、ろ過する洗浄方法を2回繰り返した後、105℃で5時間乾燥し、その後、粉砕して洗浄後の水酸化アルミニウムを得た。洗浄後の水酸化アルミニウム100部を水200部で希釈し、125℃で20時間撹拌し、水酸化アルミニウムをろ過した後の抽出水(ろ液)の電気電導度を測定したところ電気電導度は0.5μS/cmであった。また、洗浄後の水酸化アルミニウムのナトリウム不純物の濃度は30ppmであった。前記洗浄後の水酸化アルミニウム100部に対しビニルトリメトキシシラン1部を混合攪拌し、100℃で1時間熱処理することで疎水化された水酸化アルミニウムIを得た。
水酸化アルミニウムII:前記洗浄後の水酸化アルミニウム100部に対しメチルトリメトキシシラン1部を混合攪拌し、100℃で1時間熱処理することで水酸化アルミニムIIを得た。
水酸化アルミニウムIII:前記洗浄後の水酸化アルミニウム100部に対しγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1部を混合攪拌し、100℃で1時間熱処理することで水酸化アルミニムIIIを得た。
水酸化アルミニウムIV:ナトリウム不純物の濃度が500ppmであり、未洗浄で、表面処理をしない水酸化アルミニウムを水酸化アルミニウムIVとした。
水酸化アルミニウムV:水酸化アルミニウムIV100部に対しビニルトリメトキシシラン1部を混合撹拌し、100℃で1時間熱処理して疎水化された水酸化アルミニウムVを得た。
(E)その他の成分
硬化促進剤:トリフェニルホスフィン(北興化学工業(株)製)
シランカップリング剤:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−403:信越化学工業(株)製)
カーボンブラック:デンカブラック(電気化学工業(株)製)
離型剤:カルナバワックス(日興ファインプロダクツ(株)製)
[実施例1〜3、参考例1,2、比較例1〜3]
表1に示す各成分を熱2本ロールで均一に溶融混合し、冷却、粉砕して各半導体封止用エポキシ樹脂組成物を得た。更に得られた半導体封止用エポキシ樹脂組成物の成形材料をタブレット化し、低圧トランスファー成形機にて175℃、70kgf/cm、120秒の条件で各試験片を成形し、下記に示す評価方法により、評価した。結果を表1に示す。
Figure 0005542648
評価方法を下記に示す。
スパイラルフロー
スパイラルフロー射出成形用金型を用いて、各半導体封止用エポキシ樹脂組成物が流れる長さを測定した。その結果を表1に示す。値が高いほど流動性が高い。
ゲル化時間
175℃において各半導体封止用エポキシ樹脂組成物がゲル化する時間を測定した結果を表1に示す。
耐トラッキング性(CTI)
各半導体封止用エポキシ樹脂組成物を用い、プレス成型機にて厚み3mm、直径50mmの円板を成型し、その成型物を175℃にて4時間加熱処理することにより試験体を得た。その試験体を用いてJIS C2134法(IEC60112法)に基づいて耐トラッキング性試験を実施した。耐トラッキング性の電圧としては、測定個数n=5の評価において50滴以上がクリヤ−となったものを採用した。結果を表1に示す。
体積抵抗率測定方法
各半導体封止用エポキシ樹脂組成物を用い、プレス成型機にて厚み3mm、直径50mmの円板を成型し、その成型物を175℃にて4時間加熱処理することにより試験体を得た。その試験体を用いてJIS K6911に準じて初期体積抵抗率および121℃/24時間プレッシャークッカーにて高湿熱処理したあとの円板の体積抵抗効率を同様に測定した。結果を表1に示す。
吸水率
吸水率はプレッシャークッカーにて121℃、2atmの飽和水蒸気下で24時間曝露した後の重量増加率である。
以上より、(D)アルカリ金属を除く金属元素の水酸化物を表面処理したものを含まない比較例1では耐トラッキング性がないことが示された。また、表面処理をしないアルカリ金属を除く金属元素の水酸化物を含む比較例2、及びアルカリ金属を除く金属元素の水酸化物を表面処理したものを含むが硬化物の吸水率が0.1%より大きい比較例3ではプレッシャークッカーにて高湿熱処理したあとの体積抵抗率が悪いことが示された。一方で、本発明の実施例1〜によれば耐トラッキング性がよく、プレッシャークッカーにて高湿熱処理したあとの体積抵抗率もよいため耐久性が高いことが示された。以上により、本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、成形性に優れる等のエポキシ樹脂の一般的特性を有する上、水等に接触する環境や、高温、高湿環境に対する耐久性が高く、耐トラッキング性に優れた硬化物を与える半導体封止用エポキシ樹脂組成物となることが示された。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。

Claims (3)

  1. 半導体封止用エポキシ樹脂組成物であって、少なくとも、
    (A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)無機充填剤、及び(D)アルカリ金属を除く金属元素の水酸化物を表面処理したものを含有し、
    前記(D)アルカリ金属を除く金属元素の水酸化物を表面処理したものが、ナトリウム不純物の濃度が100ppm以下である水酸化アルミニウムを、ビニル基含有シランカップリング剤又はその加水分解物で表面処理したものであり、
    前記(C)成分を、前記(A)成分と前記(B)成分の総量を100質量部として400〜1200質量部、
    前記(D)成分を、前記半導体封止用エポキシ樹脂組成物の0.1〜10質量%となる量、含有するものであり、
    前記半導体封止用エポキシ樹脂組成物を硬化させたときの硬化物の吸水率が0.1%以下となるものであることを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
  2. 前記半導体封止用エポキシ樹脂組成物が、
    前記(B)成分を、前記(A)成分中に含まれるエポキシ基1モルに対して、前記(B)成分中に含まれるフェノール性水酸基のモル比が0.5〜1.5となる量、含有するものであることを特徴とする請求項1に記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
  3. 前記半導体封止用エポキシ樹脂を硬化させたときの前記硬化物の比較トラッキング指数が400V以上となるものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
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