JP7293888B2 - ハロゲン含有ポリマーとその製造法 - Google Patents

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Description

本発明は、ハロゲン含有ポリマーとその製造法に関する。
一般的に自動車用部品や、電気・電子部品の分野で使用される熱可塑性樹脂は、安全上の観点から難燃性の付与を求められることが多い。一般的に難燃性の付与には、臭素系難燃剤を適量樹脂に添加する方法が挙げられる。(特許文献1~5)。
特開昭51-47044号公報 特開平4-175371号公報 特開平11-140287号公報 特開平5-17669号公報 特開昭55-50063号公報
電気・電子部品の分野で使用される熱可塑性樹脂は難燃性だけでなく、電気特性の一つである耐トラッキング性の向上が強く望まれている。
本願発明者らは、上記課題に関し鋭意検討した結果、ハロゲン含有ポリマー中のアルカリ金属塩が耐トラッキング性に大きく影響しており、そのアルカリ金属塩を調整することで該ハロゲン含有ポリマーの耐トラッキング性が大きく向上することを見出した。
すなわち本願発明は、以下に示すハロゲン含有ポリマーおよびその製造法に係る。
[1] 下記一般式(1m)で示される繰り返し単位を少なくとも1つ以上有するハロゲン含有ポリマーであって、アルカリ金属イオン含有量が0.1~300ppmであるハロゲン含有ポリマー。
Figure 0007293888000001
(式中、Rは、C1~C6のアルキレン基、-S-、又は-SO-を示す。)
[2] アルカリ金属イオン含有量が0.5~200ppmである、[1]に記載のハロゲン含有ポリマー。
[3] 標準ポリスチレン換算における重量平均分子量が7,500以上である、[1]又は[2]に記載のハロゲン含有ポリマー。
[4] 下記一般式(1m)
Figure 0007293888000002
(式中、Rは、C1~C6のアルキレン基、-S-、又は-SO-を示す。)
で示される繰り返し単位を少なくとも1つ以上有するハロゲン含有ポリマーを酸で洗浄することを特徴とする[1]に記載のハロゲン含有ポリマーの製造法。
[5] 下記一般式(2)で示される化合物
Figure 0007293888000003
(式中、Rは、C1~C6のアルキレン基、-S-、又は-SO-を示す。Xは、ハロゲン原子を示す。)
と、一般式(3)で示される化合物
Figure 0007293888000004
(式中、Rは、C1~C6のアルキレン基、-S-、又は-SO-を示す。Mは、アルカリ金属イオン又は置換若しくは非置換のアンモニウムイオンを示す。)
を反応させて下記一般式(1m)
Figure 0007293888000005
(式中、Rは、C1~C6のアルキレン基、-S-、又は-SO-を示す。)
で示される繰り返し単位を少なくとも1つ以上有するハロゲン含有ポリマーを得、次いで、当該ハロゲン含有ポリマーを酸で洗浄することを特徴とする[1]に記載のハロゲン含有ポリマーの製造法。
本発明のハロゲン含有ポリマー化合物はプラスチックなどの樹脂の難燃剤として優れた効果を発揮するとともに、熱可塑性樹脂の耐トラッキング性を向上させる効果を奏する。
以下、本願発明について詳細に説明する。
本願発明は、上記一般式(1m)で示される繰り返し単位を少なくとも1つ以上有するハロゲン含有ポリマーであって、アルカリ金属イオン含有量が0.1~300ppmであることを特徴とする。
本願発明のハロゲン含有ポリマーは、その製法上、ポリマーの末端基が、2-ハロエチル基又はフェノール性水酸基(又はそのアルカリ金属(例えば、Li、Na、又はK等)塩)となるが、これらのいずれであってもよい。これらの末端基はともに反応性官能基であることから、当該末端部は、未反応性もしくは低反応性の官能基で封止することも可能である。封止する方法としては、特に種類を限定するものではないが、例えば4-ブロモフェノール、1,3,5-トリブロモフェノール、ペンタブロモフェノール、塩化ベンジル、芳香核がハロゲンで置換されたハロゲン化ベンジルなど、上記反応性官能基と反応し得る、置換基を一つのみ有する化合物を反応する方法が挙げられる。末端基が封止されたポリマーも本発明のポリマーに含まれる。
上記の一般式(1m)において、Rで表されるC1~C6のアルキレン基としては、特に限定するものではないが、例えば、メチレン基、エチレン基、2,2-プロピレン基、2,2-ブチレン基、ヘキサジエン基、又は1,1-シクロヘキシレン基等が挙げられる。これらのうち、特に上記一般式(1m)においてRがC3の2,2-プロピレン基であることが好ましい。
本願発明のハロゲン含有ポリマーについては、上記の一般式(1m)で表される繰り返し単位を1つ以上含有することを特徴とするが、より高い耐トラッキング性が得られる点で、当該繰り返し単位の数は、2以上であることが好ましく、平均値として5以上であることがより好ましく、平均値として10以上であることがより好ましく、平均値として15以上であることがより好ましい。
なお、本願発明のハロゲン含有ポリマーについては、より高い耐トラッキング性が得られる点で、標準ポリスチレン換算における重量平均分子量が2,000以上であることが好ましく、4,000以上であることがより好ましく、6,000以上であることがより好ましく、7,500以上であることがさらに好ましい。
上記の一般式(1m)で表される繰り返し単位を少なくとも1つ以上有するハロゲン含有ポリマーとしては、特に限定するものではないが、例えば、テトラブロモビスフェノールFと二塩化エタンから得られる縮重合物、テトラブロモビスフェノールAと二塩化エタンから得られる縮重合物、ビスフェノールFとテトラブロモビスフェノールFと二塩化エタンから得られる縮重合物、ビスフェノールAとテトラブロモビスフェノールAと二塩化エタンから得られる縮重合物等が挙げられる。これらのうち、テトラブロモビスフェノールAと二塩化エタンから得られる縮重合物、すなわち、Rが2,2-プロピレン基である縮重合物が好ましい。
上記の一般式(1m)で表される繰り返し単位を少なくとも1つ以上有するハロゲン含有ポリマーとしては、特に限定するものではないが、例えば、下記一般式(1)
Figure 0007293888000006
(式中、Rは、C1~C6のアルキレン基、-S-、又は-SO-を示す。nは、平均値として1以上であり、標準ポリスチレン換算における重量平均分子量が572以上となる数を示す。)
で示されるハロゲン含有ポリマーを好ましい例として挙げることができる。
上記の一般式(1)で表されるハロゲン含有ポリマーにおいて、ポリマーの末端基は、特に限定するものではないが、2-ハロエチル基又はフェノール性水酸基(又はそのアルカリ金属(例えば、Li、Na、又はK等)塩)であることが好ましいく、これらのいずれであってもよい。なお、これらの末端基はともに反応性官能基であることから、当該末端部は、未反応性もしくは低反応性の官能基で封止することも可能である。封止する方法としては、特に種類を限定するものではないが、例えば4-ブロモフェノール、1,3,5-トリブロモフェノール、ペンタブロモフェノール、塩化ベンジル、芳香環がハロゲンで置換されたハロゲン化ベンジルなど、上記反応性官能基と反応し得る、置換基を一つのみ有する化合物を反応する方法が挙げられる。末端基が封止されたハロゲン含有ポリマーも本発明のハロゲン含有ポリマーに含まれる。
上記の一般式(1)において、Rで表されるC1~C6のアルキレン基としては、特に限定するものではないが、例えば、メチレン基、エチレン基、2,2-プロピレン基、2,2-ブチレン基、ヘキサジエン基、又は1,1-シクロヘキシレン基等が挙げられる。これらのうち、特に上記一般式(1)においてRがC3の2,2-プロピレン基であることが好ましい。
上記一般式(1)におけるnは、平均値として1以上であり、上記の一般式(1)で示されるハロゲン含有ポリマーは、標準ポリスチレン換算における重量平均分子量が572以上になる数であることを特徴とする。
当該nについては、より高い耐トラッキング性が得られる点で、平均値として2以上であることが好ましく、平均値として5以上であることがより好ましく、平均値として10以上であることがより好ましく、平均値として15以上であることがより好ましい。
上記一般式(1)で示される繰り返し単位を少なくとも1つ以上有するハロゲン含有ポリマーの分子量は、より高い耐トラッキング性が得られる点で、標準ポリスチレン換算における重量平均分子量が2,000以上であることが好ましく、4,000以上であることがより好ましく、6,000以上であることがより好ましく、7,500以上であることがさらに好ましい。
上記の一般式(1)で表される繰り返し単位を少なくとも2つ以上有するハロゲン含有ポリマーとしては、特に限定するものではないが、例えば、テトラブロモビスフェノールFと二塩化エタンから得られる縮重合物、テトラブロモビスフェノールAと二塩化エタンから得られる縮重合物等が挙げられる。これらのうち、テトラブロモビスフェノールAと二塩化エタンから得られる縮重合物、すなわち、Rが2,2-プロピレン基である縮重合物が好ましい。
本発明のハロゲン含有ポリマーについては、0.1~300ppmのアルカリ金属イオンを含有することを特徴とするが、当該アルカリ金属イオンについては、特に限定するものではないが、Liイオン、Naイオン、又はKイオン等を例示することができる。これらのうち、ハロゲン含有ポリマーの工業製法の点で、Naイオンであることが好ましい。
また、本願発明のハロゲン含有ポリマーにおけるアルカリ金属イオン含有量は、0.1~300ppmであることを特徴とするが、より高い耐トラッキング性が得られる点で、0.5~200ppmであることが好ましく、1~100ppmであることがより好ましい。
すなわち、本願発明のハロゲン含有ポリマーについては、0.1~300ppmのNaイオンを含有するものが好ましく、より高い耐トラッキング性が得られる点で、0.5~200ppmのNaイオンを含有するものがより好ましく、1~100ppmのNaイオンを含有するものがより好ましい。
本願発明のハロゲン含有ポリマーは、従来公知のハロゲン含有ポリマーと比較すると、耐トラッキング性に優れるという効果を奏する。具体的には、本発明のハロゲン含有ポリマーを樹脂組成物中に添加させた場合、その比較トラッキング指数(CTI)を向上させることが可能である。
当該樹脂組成物としては、特に限定するものではないが、例えば、少なくとも、本願発明のハロゲン含有ポリマーと樹脂(A)を含むものを例示することができ、これ以外の一般的な添加剤を含んでいてもよい。前記の添加剤としては、特に限定するものではないが、例えば、本願発明のハロゲン含有ポリマー以外の難燃剤(B)、無機強化剤(C)、アンチモン系難燃助剤(D)、又は滴下防止剤(E)を例示することができる。また、その他の添加剤を任意に配合することもできる。
当該樹脂(A)としては、特に限定するものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩ビ酢ビ、ポリウレタン、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、ポリウレア、ポリイミド、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、環状ポリオレフィン、ポリフェニレンスルファイド、ポリテトラフロロエチレン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、又はポリアイドイミド等が挙げられる。
前記の本願発明のハロゲン含有ポリマー以外の難燃剤(B)については、特に限定するものではないが、例えば、テトラブロモビスフェノールA、デカブロモジフェニルエーテル、トリブロモフェール、ヘキサブロモシクロドデカン、エチレンビス(テトラブロモフタルイミド)、TBBAカーボネート・オリゴマー、TBBAエポキシ・オリゴマー、臭素化ポリスチレン、ビス(ペンタブロモフェニル)エタン、TBBA-ビス(ジブロモプロピルエーテル)、ポリ(ジブロモフェノール)、ヘキサブロモベンゼン(HBB)、トリフェニルホスフェート、塩素化パラフィン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、メラミンシアヌレート等が挙げられる。
前記の無機強化剤(C)としては、特に限定するものではないが、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ステンレス繊維、セラミックス繊維、タルク、シリカ、ガラスビーズ、ガラスフレーク等の無機強化剤が挙げられる。これらのうち、樹脂組成物の機械特性の観点から、ガラス繊維が好ましい。
前記のアンチモン系難燃助剤(D)としては、特に限定するものではないが、例えば、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム等が挙げられる。これらのうち、樹脂組成物の難燃性の観点から、三酸化アンチモンが好ましい。
前記の滴下防止剤(E)としては、特に限定するものではないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン共重合体、ポリヘキサフルオロプロピレン等の含フッ素滴下防止剤が挙げられる。
前記の樹脂組成物において、上記の一般式(1)で表されるハロゲン含有ポリマーの配合量は、特に限定するものではないが、樹脂(A)100重量部に対し、1~80重量部であることが好ましく、樹脂の機械特性の観点から、10~60重量部であることがより好ましい。
前記の樹脂組成物において、本願発明のハロゲン含有ポリマー以外の難燃剤(B)の配合量は、特に限定するものではないが、例えば、樹脂(A)100重量部に対し、1~80重量部であることが好ましく、樹脂組成物の機械特性の観点から、より好ましくは10~60重量部である。
前記の樹脂組成物において、無機強化剤(C)の配合量は、特に限定するものではないが、例えば、樹脂(A)100重量部に対し、10~100重量部であることが好ましく、樹脂の機械特性の観点から、より好ましくは15~80重量部である。
前記の樹脂組成物において、アンチモン系難燃助剤(D)の配合量は、特に限定するものではないが、例えば、樹脂(A)100重量部に対し、1~30重量部であることが好ましく、樹脂組成物の難燃性の観点から、より好ましくは10~20重量部である。
前記の樹脂組成物において、滴下防止剤(E)の配合量は、特に限定するものではないが、例えば、樹脂(A)100重量部に対し、0.1~10重量部であることが好ましく、より好ましくは0.1~5重量部である。
本願発明のハロゲン含有ポリマーの製造方法は、下記一般式(1m)
Figure 0007293888000007
(式中、Rは、C1~C6のアルキレン基、-S-、又は-SO-を示す。)
で示される繰り返し単位を1つ以有するハロゲン含有ポリマーを酸で洗浄することを特徴とする。
なお、本願発明のハロゲン含有ポリマーの製造方法は、特に限定するものではないが、例えば、下記一般式(2)で示される化合物
Figure 0007293888000008
(式中、Rは、C1~C6のアルキレン基、-S-、又は-SO-を示す。Xは、各々独立して、ハロゲン原子を示す。)
と、一般式(3)で示される化合物
Figure 0007293888000009
(式中、Rは、C1~C6のアルキレン基、-S-、又は-SO-を示す。Mは、各々独立して、アルカリ金属イオン又は置換若しくは非置換のアンモニウムイオンを示す。)
を反応させて下記一般式(1m)
Figure 0007293888000010
(式中、Rは、C1~C6のアルキレン基、-S-、又は-SO-を示す。)
で示される繰り返し単位を1つ以上有するハロゲン含有ポリマーを得、次いで、当該ハロゲン含有ポリマーを酸で洗浄するものであることが好ましい。
上記の一般式(2)において、Xは、各々独立して、ハロゲン原子を示すが、当該ハロゲン原子については、特に限定するものではないが、例えば、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子等を例示することができる。これらのうち、本願発明のハロゲン含有ポリマーの製造効率に優れる点で、Xは、塩素原子であることが好ましい。
上記の一般式(3)において、Mは、各々独立して、アルカリ金属イオン又は置換若しくは非置換のアンモニウムイオンを示す。
前記のアルカリ金属イオンとしては、特に限定するものではないが、例えば、Liイオン、Naイオン、又はKイオンを表すことができる。
前記の置換若しくは非置換のアンモニウムイオンとしては、特に限定するものではないが、例えば、アンモニウムイオン、モノメチルアンモニウムイオン、ジメチルアンモニウムイオン、トリメチルアンモニウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオン、モノエタノールアンモニウムイオン、ジエタノールアンモニウムイオン、又はトリエタノールアンモニウムイオン等を例示することができる。
前記の一般式(3)で表される化合物については、少なくとも、Naイオンを含むものであることが好ましい。すなわち、Mの少なくとも一部がNaイオンである化合物が好ましく、MがNaイオンである化合物がより好ましい。
なお、本願発明の製造方法において、一般式(1m)で示される繰り返し単位を1つ以有するハロゲン含有ポリマーについては、前述の通り、一般式(1)で示されるハロゲン含有ポリマーであることが好ましい。
酸洗浄する方法としては、特に限定するものではないが、容器中に上記のハロゲン含有ポリマーを投入し、そこに酸を添加し、容器内混合物を撹拌する方法を挙げることができる。
酸洗浄に使用する酸としては、特に限定するものではないが、例えば、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸や、酢酸、シュウ酸などの有機酸などが挙げられるが、耐トラッキング性を高められる点で、塩酸、硫酸、又は硝酸であることがより好ましく、塩酸であることがより好ましい。当該酸については、水溶液であることが好ましいが、水以外の溶液であってもよいし、水及びその他溶媒を含んだ水溶液であってもよい。
酸洗浄に用いる酸の濃度については特に限定するものではないが、例えば、0.1重量%~数十重量%のものを用いることができる。
酸洗浄時の混合液のpHは7以下であることが好ましく、耐トラッキング性を高められる点で、pH5以下であることが好ましく、pH3以下であることが更に好ましい。酸洗浄時の混合液pH3以下であるとき特にアルカリ金属イオンの除去効果が高い。
酸洗浄における酸の添加量については、特に限定するものではないが、ハロゲン含有ポリマー 1重量部に対して、例えば、0.1重量部~1000重量部とすることができる。なお、酸洗浄の効率を高める点で、酸洗浄液の添加量は、ハロゲン含有ポリマーが容易に撹拌混合できる程度に十分な量とすることが好ましく、具体的には、ハロゲン含有ポリマー 1重量部に対して、例えば、5重量部~100重量部とすることが好ましい。
酸洗浄の温度については、特に限定するものではないが、例えば、4~80℃の範囲とすることができ、常温~40℃程度とすることが好ましい。
酸洗浄の処理時間については、特に限定するものではないが、例えば、1分~48時間の範囲とすることができるが、耐トラッキング性を高められる点で、1~24時間の範囲とすることが好ましい。
当該酸洗浄処理を行ったハロゲン含有ポリマーについては、付着した酸や溶媒を除去するために、追加の洗浄処理及び乾燥処理を施すことが好ましい。当該追加の洗浄処理については、水又はその他溶媒による洗浄を例示することができ、付着した酸を除去することを目的とする。前記の乾燥処理については、例えば、減圧乾燥や熱風乾燥等を挙げることができ、付着した溶媒を除去することを目的とする。
前記の酸洗浄を行うことによって、上記のハロゲン含有ポリマーを製造する重合工程において微量発生するアルカリ金属含有ポリマー(例えば、下記一般式(4)に示すハロゲン含有ポリマー)を、アルカリ金属非含有ポリマー(例えば、下記一般式(5)に示すハロゲン含有ポリマー)に変換することが可能であり、その結果、ハロゲン含有ポリマー中のアルカリ金属イオン(例えば、Naイオン)濃度を調整することができる。上記ハロゲン含有ポリマー中に微量含有するアルカリ金属含有ポリマー(例えば、下記一般式(4)に示すハロゲン含有ポリマー)が樹脂のCTI低下を引き起こしていると推測され、このようなアルカリ金属含有ポリマーを減ずることで耐トラッキング性を向上させることが推測される。
Figure 0007293888000011
(式中、Rは、C1~C6のアルキレン基、-S-、又は-SO-を示す。nは、平均値として1以上であり、標準ポリスチレン換算における重量平均分子量が572以上となる数を示す。)
Figure 0007293888000012
(式中、Rは、C1~C6のアルキレン基、-S-、又は-SO-を示す。nは、平均値として1以上であり、標準ポリスチレン換算における重量平均分子量が572以上となる数を示す。)
以下、本発明を実施例に基づき、さらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
合成例1
8Lのガラス製ナス型フラスコに、テトラブロモビスフェノールA 550g(1.01mol)、炭酸水素ナトリウム 200g(2.38mol)、二塩化エタン800g(8.08mol)、ジメチルホルムアミド 3.1Lを、この順序にて室温中加えてから混合下に90℃まで昇温させた。同温にて3時間撹拌後、130℃まで昇温させ、未反応の二塩化エタンを留去した。次いで、室温まで放冷させた後、テトラブロモビスフェノールA 550g(1.01mol)、炭酸水素ナトリウム 170g(2.02mol)、ジメチルホルムアミド 3.1Lを加えた。その後、130℃にて17時間撹拌後、室温まで放冷させた。水を加えた後、析出した固体をろ過し、水で洗浄した。
実施例1 <ハロゲン含有ポリマー(B-1)の合成>
合成例1で得られた固体をpH3の塩酸水溶液中で20分撹拌後、再度固体をろ過し、水で洗浄し、さらに乾燥させて、重量平均分子量10,000の白色固体(ポリマー)を収率98%で得た。このポリマーを以下、ハロゲン含有ポリマー(B-1)と記す。このハロゲン含有ポリマー(B-1)を硫酸および硝酸にて湿式分解後、ICP-AESにてナトリウムイオン量を定量したところ、90ppmであった。
参考例1 <ハロゲン含有ポリマー(B-2)の合成>
合成例1で得られた固体を乾燥させて、重量平均分子量10,000の白色固体(ポリマー)を収率97%で得た。このポリマーを以下、ハロゲン含有ポリマー(B-2)と記す。このハロゲン含有ポリマー(B-2)を硫酸および硝酸にて湿式分解後、ICP-AESにてナトリウムイオン量を定量したところ、2,000ppmであった。
<難燃性および耐トラッキング性の測定>
以下、難燃性および耐電気特性の測定に用いた材料を以下に示す。
<ポリアミド樹脂(A)>
ポリアミド66:東レ(株)製、(商標名)アミラン。
<難燃剤>
難燃剤B-1:上記のハロゲン含有ポリマー(B-1)。
難燃剤B-2:上記のハロゲン含有ポリマー(B-2)。
難燃剤B-3:新日鉄住金化学(株)製TBA型フェノキシ樹脂、(商品名)YPB-43C。
<無機強化剤(C)>
ガラス繊維:日東紡(株)製チョップドストランド、(商標名)CSF3PE-455S。
<アンチモン系難燃助剤(D)>
三酸化アンチモン:(株)鈴裕化学製、(商標名)AT3CN。
<滴下防止剤(E)>
ポリテトラフルオロエチレン:三菱ケミカル(株)製、(商標名)メタンブレン。
実施例2
まず、コンパウンディングによってポリアミド樹脂組成物を調製した。この目的のために、表1に記載の個々の成分(難燃剤(B-1)、ポリアミド6,6、ガラス繊維、三酸化アンチモン、及びテトラフルオロエチレン)を、二軸押出機(ZSK-26、Coperion製)の中で230~325の温度で混合し、ポリアミド樹脂組成物をストランドとして排出し、次いでペレット化した。得られたポリアミド樹脂組成物のペレットを270~330℃の温度で成形加工して、難燃性試験および耐トラッキング性試験のための標準試験片を作成した。
難燃性試験としてUL94V法を実施した。難燃性が高い方からV-0、V-1、V-2、NGと示した。結果を表1に示した。
耐トラッキング性試験はJIS-C2134-2007に従い実施した。
参考例2
難燃剤(B-1)の代わりに難燃剤(B-2)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行って難燃性を評価した。結果を表1に示した。
比較例1
難燃剤(B-1)の代わりに難燃剤(B-3)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行って難燃性を評価した。結果を表1に示した。
Figure 0007293888000013
表1から、本発明のハロゲン含有ポリマーは難燃剤として優れた効果を発揮するとともに、ポリマー中のアルカリ金属イオン量を削減することで樹脂の耐トラッキング性を向上させることが可能であることが分かる。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1m)で示される繰り返し単位を少なくとも1つ以上有するハロゲン含有ポリマーであって、Naイオン含有量が0.5~200ppmであるハロゲン含有ポリマー。
    Figure 0007293888000014
    (式中、Rは、C1~C6のアルキレン基、-S-、又は-SO-を示す。)
  2. 標準ポリスチレン換算における重量平均分子量が7,500以上である、請求項1に記載のハロゲン含有ポリマー。
  3. 下記一般式(1m)
    Figure 0007293888000015
    (式中、Rは、C1~C6のアルキレン基、-S-、又は-SO-を示す。)
    で示される繰り返し単位を少なくとも1つ以上有するハロゲン含有ポリマーを酸で洗浄することを特徴とする請求項1に記載のハロゲン含有ポリマーの製造法。
  4. 下記一般式(2)で示される化合物
    Figure 0007293888000016
    (式中、Rは、C1~C6のアルキレン基、-S-、又は-SO-を示す。Xは、ハロゲン原子を示す。)
    と、一般式(3)で示される化合物
    Figure 0007293888000017
    (式中、Rは、C1~C6のアルキレン基、-S-、又は-SO-を示す。Mは、アルカリ金属イオン又は置換若しくは非置換のアンモニウムイオンを示す。)
    を反応させて下記一般式(1m)
    Figure 0007293888000018
    (式中、Rは、C1~C6のアルキレン基、-S-、又は-SO-を示す。)
    で示される繰り返し単位を少なくとも1つ以上有するハロゲン含有ポリマーを得、次いで、当該ハロゲン含有ポリマーを酸で洗浄することを特徴とする請求項1に記載のハロゲン含有ポリマーの製造法。
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