JP2002265432A - パーフルオロアルキル基含有スルホン酸塩、難燃剤、難燃性ポリカーボネート及びその成形体 - Google Patents

パーフルオロアルキル基含有スルホン酸塩、難燃剤、難燃性ポリカーボネート及びその成形体

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヨウ素酸及び/又はヨウ素酸塩の含有量を極
めて低減した、特にポリカーボネートの難燃剤として有
用なパーフルオロアルキル基含有スルホン塩を提供する
ことにある。 【解決手段】 パーフルオロアルキル基含有ヨージドを
原料として得られ、且つヨウ素酸及び/又はヨウ素酸塩
を4000ppm以下含有することを特徴とするパーフ
ルオロアルキル基含有スルホン酸塩。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヨウ素酸及び/又
はヨウ素化物を低減化したパーフルオロアルキル基含有
スルホン酸塩、それを含むことを特徴とする難燃剤、そ
の難燃剤を含有する難燃性ポリカーボネート及びその成
形体に関する。
【0002】
【従来の技術】パーフルオロアルキル基含有スルホン酸
およびその塩は、各種界面活性剤、難燃剤、また、有機
化学反応においてはエステル化反応等の触媒に用いられ
ている。
【0003】従来、この種の化合物の製造方法は、[In
d.Eng.Chem. 43 巻 2332 頁 (1951年)J.Chem.Soc.173
頁 (1956年)]で知られているアルキルスルホン酸を無水
フッ化水素中に溶かし、電解を行うことでアルキル鎖の
水素をすべてフッ素に置換する電解フッ素化法が行われ
てきた。しかし、この電解フッ素化法では炭素鎖切断等
により、副反応が生じ収率が低くなる、置換されていな
いプロトンが残留する等の問題がある。
【0004】これに対し、テトラフルオロエチレンとト
リフルオロメチルヨージド等のフルオロアルキルヨージ
ドを用いたテロメル化により得られるパーフルオロアル
キルヨージドから、パーフルオロアルキルスルホン酸塩
を得る方法が収率が高いことでいくつか報告されてい
る。例えば[J.Fluorine. Chem 5巻 265 頁(1975 年)]に
は、パーフルオロアルキルヨージドが溶解している無水
エーテルにグリニヤール試薬を加えることにより、グリ
ニヤール交換反応を行い、 -20 ℃に冷却し、亜硫酸ガ
スを同通した後、酸化することにより得る方法が報告さ
れている。また[J.C.S.Perkin I、155 頁 (1972 年)]に
は、パーフルオロアルキルヨージドをジメチルスルフィ
ドやメチルジスルフィドと混合したのち紫外線を照射し
て、パーフルオロアルキルメチルスルフィドを合成、そ
の後、このスルフィドを酸化することにより、パーフル
オロアルキルスルホン酸塩を合成する方法、特公平 1-5
3871号公報には、四級アンモニウム塩を使用すること
で、このシュッレッガーのスルホン酸合成法をパーフル
オロアルキルヨージドからのパーフルオロスルホン酸塩
合成に適用する方法が報告されている。
【0005】しかし、これらの方法で得られるパーフル
オロスルホン酸塩には、副生するヨウ素酸及び/又はヨ
ウ素酸塩が1万ppm以上も残存するという問題があ
る。このような方法で製造したパーフルオロアルキル基
含有スルホン酸塩は、多量の副生物を含有するためポリ
カーボネート用難燃剤として使用する場合、ポリカーボ
ネートの着色、成型時の強度低下等という物性低下の原
因となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ヨウ
素酸及び/又はヨウ素酸塩の含有量を極めて低減した、
難燃剤として有用なパーフルオロアルキル基含有スルホ
ン塩を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、パーフルオロ
アルキル基含有ヨージドを原料として得られ、且つヨウ
素酸及び/又はヨウ素酸塩の含有量が4000ppm以
下であることを特徴とするパーフルオロアルキル基含有
スルホン塩、それからなる難燃剤及びその難燃剤を含有
するポリカーボネート並びに該ポリカーボネート成形体
に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明でいうパーフルオロアルキ
ルスルホン酸塩とは、好ましくはCm2m+1(CH2n
SO3M(m、nは整数を表し、Mは金属原子又はアン
モニウム塩を表す。)で表される化合物であり、Cm
2m+1は直鎖状であっても、分岐状であっても良い。例示
すると、トリフルオロメタンスルホン酸カリウム、パー
フルオロブタンスルホン酸カリウム、パーフルオロヘキ
サンスルホン酸カリウム、パーフルオロオクタンスルホ
ン酸カリウム、ペンタフルオロエタンスルホン酸ナトリ
ウム、パーフルオロブタンスルホン酸ナトリウム、パー
フルオロオクタンスルホン酸ナトリウム、トリフルオロ
メタンスルホン酸リチウム、パーフルオロブタンスルホ
ン酸リチウム、パーフルオロヘプタンスルホン酸リチウ
ム、トリフルオロメタンスルホン酸セシウム、パーフル
オロオクタンスルホン酸セシウム、パーフルオロヘキサ
ンスルホン酸セシウム、パーフルオロブタンスルホン酸
セシウム、パーフルオロブタンスルホン酸テトラメチル
アンモニウム、トリフルオロメタンスルホン酸テトラエ
チルアンモニウム等が挙げられるが、これらの具体例に
よって本発明が何ら限定されるものでないことは勿論で
ある。
【0009】パーフルオロアルキルヨージドからのパー
フルオロアルキルスルホン酸塩の製造方法は、特に制限
はなく、公知慣用の方法が用いられる。一般的には、パ
ーフルオロアルキルヨージドが溶解している無水エーテ
ルにグリニヤール試薬を加えることにより、グリニヤー
ル交換反応を行い、−20℃に冷却し、亜硫酸ガスを同
通した後、酸化することにより得る方法、パーフルオロ
アルキル基含有スルホン酸塩がパーフルオロアルキル基
含有ヨージドと亜硫酸水素塩及び/又は重亜硫酸水素塩
とを用いて得られる方法が知られているが、これらの例
によって本発明が何ら限定されるものではないことは勿
論である。
【0010】パーフルオロアルキル基含有スルホン酸塩
の精製方法としては、特に制限がなく公知慣用の精製方
法が用いられる。パーフルオロアルキル基含有スルホン
酸塩の精製法を例示すれば、シリカゲルカラムクロマト
グラフィーにより分離する方法、溶剤を用いて再結晶を
行う方法、また、水に難溶であるパーフルオロアルキル
基含有スルホン酸塩の場合は、この塩を水洗する方法な
どが挙げられるが、これらの例によって本発明が何ら限
定されるものではないことは勿論である。
【0011】本発明のパーフルオロアルキル基含有スル
ホン酸塩は、ヨウ素酸及び/又はヨウ素酸塩の含有量が
4000ppm以下、好ましくは1000ppm以下、
更に好ましくは500ppm以下、最も好ましくは10
0ppm以下のものである。ヨウ素酸及び/又はヨウ素
酸塩の含有量がかかる範囲内であれば、樹脂材料に対し
て着色することなく、難燃性を付与することができる。
【0012】上記の様なヨウ素成分の少ないパーフルオ
ロアルキル基含有スルホン酸塩は難燃剤として有用であ
り、種々の樹脂材料に添加することができる。樹脂材料
としては、例えばポリカーボネート、ポリエチレン、ポ
リプロピレン等のオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステ
ル樹脂、ポリスチレン、アクリル樹脂、フェノール樹
脂、フッ素樹脂、ABS樹脂、ポリアミド、ポリウレタ
ン、ポリエーテルなどを挙げることができ、特にポリカ
ーボネートが好適である。該パーフルオロアルキル基含
有スルホン酸塩をポリカーボネートに適用すると、透明
を維持しつつ、優れた難燃性が付与され、しかも有用な
成形体を得ることができる。パーフルオロアルキル基含
有スルホン酸塩の樹脂材料に対する添加量は、0.01
〜10重量%が適当である。
【0013】ポリカーボネートに対する難燃剤としての
パーフルオロアルキル基含有スルホン酸塩の添加量は、
好ましくは0.01〜3重量%であり、ポリカーボネー
トに不利なヘイズを生じることなく、燃焼性を極度に低
下させることが可能であり、特に経済性と性能のバラン
スを考慮して0.05〜0.3重量%という極少量の添
加がより好ましい。この難燃剤は上述の添加量の範囲で
1種のみで用いてもよいし、あるいは2種以上を併用し
ても良い。
【0014】更に、本発明に係る難燃剤と、例えば従来
公知である塩素または臭素のようなハロゲンを含有する
難燃剤もしくはリン原子を含有する難燃剤等の従来公知
慣用の難燃剤とを併用して、樹脂材料中に添加される系
においても総添加量を低減できると同時に、難燃性を更
に大きく向上させる場合がある。
【0015】本発明に於けるポリカーボネートとしては
特に制限はなく、基本的には下記一般式(1)で示され
る繰り返し単位を有する化合物を用いることができる。
【0016】
【化1】
【0017】本発明にける、ポリカーボネートを製造す
る方法にも特に制限はなく公知慣用の方法を用いること
ができる。古くから知られている方法として例え(1)
炭酸のジエステルとジオキシ化合物とのエステル交換反
応、(2)ジオキシ化合物と、それ自身あるいは他のジ
オキシ化合物のビスアルキル或いはビスアリールカーボ
ネートとのエステル交換反応、(3)酸結合剤存在下で
ジオキシ化合物とホスゲンとの反応、(4)酸結合剤存
在下でジオキシ化合物とジオキシ化合物のビスクロル炭
酸エステルとの反応が挙げられる。このような例示され
た反応の中で共通する原料であり、ポリカーボネートの
物性を決定付けるジオキシ化合物としては具体例をとし
て、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒ
ドロキシジフェニル、例えばC1−C8−アルキレン−叉
はC2−C8−アルキリデン−ビスフェノールのようなビ
ス−(ヒドロキシ−フェニル)−アルカン、例えばC5
−C15−シクロアルキレン−叉はC5−C15−シクロア
ルキリデン−ビスフェノールのようなビス−(ヒドロキ
シ−フェニル)−シクロアルカン、ビス−(ヒドロキシ
−フェニル)−スルフィド、−エーテル、−ケトン、−
スルフォキシド叉はスルフォンである。更に叉α,α’
−ビス−(ヒドロキシ−フェニル)−ジイソプロピルベ
ンゼン及び対応する核アルキル化叉は核ハロゲン化され
た化合物、ビス−(4−ヒドロキシ−フェニル)−プロ
パン−2,2(ビスフェノールA)、ビス−(4−ヒド
ロキシ−3,5−ジクロロ−フェニル)−プロパン−
2,2(テトラクロロ−ビスフェノールA)、ビス−
(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモ−フェニル)−プ
ロパン−2,2(テトラブロモ−ビスフェノールA)、
ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル−フェニ
ル)−プロパン−2,2(テトラメチル−ビスフェノー
ルA)、ビス−(4−ヒドロキシ−フェニル)−シクロ
ヘキサン−1,1(ビスフェノールZ)に基本とするポ
リカーボネート及びα,α’−ビス−(4−ヒドロキシ
−フェニル)−p−ジイソプロピルベンゼンのような三
核ビスフェノールに基礎を置くものが挙げられる。これ
らの具体例によって本発明が何ら限定されるものでない
ことは勿論である。
【0018】また、本発明に関わるポリカーボネート樹
脂は、異なったジオキシ化合物を原料とするコポリカー
ボネート、カーボネート結合とエステル結合、ウレタン
結合等の他の結合をポリマー主鎖中に有するランダム、
ブロック、交互共重合体であっても良い。
【0019】さらに、溶融粘度などの成形条件の最適
化、最終成形物の目的に合った性能発現のために、ポリ
カーボネートに対して任意な割合で、ポリエチレン、ポ
リプロピレン等のオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステ
ル樹脂、ポリスチレン、アクリル樹脂、フェノール樹
脂、フッ素樹脂、ABS樹脂を加えた、いわゆるポリマ
ーブレンド、ポリマーアロイであっても構わない。
【0020】さらにまた、加工過程中或いは加工後に
熱、紫外線、電子線、X線等のエネルギー線により、場
合によっては硬化剤、架橋剤と称される添加剤を加えて
公知慣用の方法にて3次元化した構造のものであっても
構わない。
【0021】本発明において、ポリカーボネート樹脂に
対するパーフルオロアルキル基含有スルホン酸塩の添加
方法にも特に制限はなく公知慣用の方法を用いることが
できる。例えば、成形時に目的とするポリカーボネート
と同時に加えるドライブレンド法、予め押し出し機によ
り、パーフルオロアルキル基含有スルホン酸塩およびパ
ーフルオロアルキル基含有スルホン酸塩を添加したポリ
カーボネートのペレットを準備し成形する方法、予め最
終添加量よりも高濃度のパーフルオロアルキル基含有ス
ルホン酸塩を添加したポリカーボネート(マスターバッ
チ)を準備するマスターバッチ法が挙げられるが、その
他にもポリカーボネートに相溶する第三成分中にこれら
のパーフルオロアルキル含有スルホン酸塩を添加した後
ポリカーボネートに添加する方法、ポリカーボネートを
製造する過程、例えば重合する段階にこれらのパーフル
オロアルキルスルホン酸塩を存在させて添加する方法等
を採用しても構わない。これらの具体例によって本発明
が何ら限定されるものでないことは勿論である。
【0022】本発明に関わる難燃性ポリカーボネートに
は、必要に応じて公知慣用の方法により染料、顔料、流
動性等を制御する成形助剤、ガラス繊維等の強化充填
材、耐熱安定剤、耐光安定剤、耐候安定剤、潤滑剤、表
面改質剤等の公知慣用の添加剤を併用することが可能で
ある。本発明に関わる難燃性ポリカーボネートの成形方
法にも特に制限はなく、目的とする用途、成形体の形
状、サイズ、成形設備、コスト等に応じて射出成形法、
押出成形法、吹込成形法、圧縮成形法、粉末成形法、キ
ャスティング法等の公知慣用の方法を使用できる。これ
らの具体例によって本発明が何ら限定されるものでない
ことは勿論である。
【0023】また、成形体の形状、サイズにも特に制限
はなく、例えばフィルム、シート、パイプ、ロッドの他
目的に応じた異型成形体が挙げられる。さらに、得られ
た成形体を、切断、切削、打抜、タップ立て、ねじ切
り、真空成形、熱間加工、冷間加工、ホットスタンプ、
溶接、接着、塗装、メッキ、蒸着、印刷、ラミネート、
エンボス等の目的に応じた2次加工をすることも可能で
ある。また本発明に関わる難燃性ポリカーボネートの用
途についても特に制限なく、透明性と難燃性を活かし広
範な用途に適用することができる。例えば、各種機械容
器、機械部品、各種機械のハウジング、ディスプレー、
照明等の各種保護カバー、保護眼鏡、各種レンズ、電子
・電気機器のハウジング及び各種部品、食品用容器、パ
ネル、防護壁、窓材、各種絶縁材料、医療機器のハウジ
ング及び部品等が挙げられる。これらの具体例によって
本発明が何ら限定されるものでないことは勿論である。
【0024】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて更に詳述す
るがこれらは本発明の単なる例示にすぎず、本発明を限
定するものではない。
【0025】(実施例1)攪拌装置、コンデンサー、温
度計を備えたガラス製三口フラスコにメチルマグネシウ
ムブロミド(1MOL/Lジエチルエーテル溶液、2
L)を−20℃に冷却した。このフラスコに、パーフル
オロブチルヨージド346gをTHF1Lに溶解させた
溶液を5時間かけて滴下した。この温度で1時間系を攪
拌した後、反応系に亜硫酸ガス3MOLを5時間かけて
吹き込んだ。吹き込みが終了した後、系を室温に上昇
し、3時間攪拌した。その後、過酸化水素水(35%水
溶液300mL)を2時間かけて滴下し、滴下終了後、
室温で12時間攪拌した。反応系を脱溶剤し、この残差
にイオン交換水2Lに加え、0℃に冷却し、不溶物を濾
取した。その後、この得られた固体を100℃で乾燥
し、得られた固体100gを60℃のメタノール(20
0g)に溶解させ、この液にイオン交換水(500g)
を加えた。その後、この溶液をロータリーエバポレータ
ーで脱溶剤し、全体の重量が300gになるまで濃縮し
た。この溶液を0℃に冷却し、一晩静置した。ここで、
析出した固体を濾別し、イオン交換水100mLで洗浄
した。その後、得られた固体を100℃で乾燥すること
により、ヨウ素イオンを低減したパーフルオロブタンス
ルホン酸ナトリウム(42g)を得た。
【0026】分析結果 元素分析 理論値(C、H、S)=(14.92、−、9.98) 実測値(C、H、S)=(14.92、−、9.9) イオンクロマト(ヨウ素イオン): 78ppm ヨウ化ナトリウムとして、98ppm
【0027】(実施例2)実施例1の方法により得られ
たパーフルオロスルホン酸ナトリウムを、120℃にて
5時間熱風乾燥機で乾燥したパンライトL−1225
(帝人化成株式会社製、ポリカーボネート樹脂)の10
0重量部に対して、0.15重量部を添加した試料を調
整し、IKG株式会社製PMS40−32(V)押出機
により、290℃にて押し出しを行い、ペレットを作成
した。次に作成したペレットを用いて、住友重機工業株
式会社製成形機SYCAP165/75により、成形温
度305℃、金型温度100℃にて射出成形を行い12
5mm×12mm×3.2mmおよび125mm×12
mm×1.6mmの成形物を得た。
【0028】得られた成形物の燃焼性についてはアンダ
ーライター実験室UL−94、第3版(1980)に従
って、3.2mm厚の試料を用いて評価した。即ち、各
難燃性ポリカーボネート成形物試片を5個準備し、各試
料に対して2度の着火を行った。その際、第1回目およ
び第2回目の着火では何れの試料でも滴下せず、難燃性
グレードはV0であった。また、透明性は3.2mm厚
の試料を用いて厚み方向の650nmにおける透過率を
測定することにより評価した結果、96%で隠蔽紙上に
成形物を置いた際の目視による下記基準による3段階評
価では3であった。 〔透過率評価基準〕 3:透明 2:成形物が僅かに赤く見える。 1:成形物が明らかに赤く見える。
【0029】(比較例)攪拌装置、コンデンサー、温度
計を備えたガラス製三口フラスコにメチルマグネシウム
ブロミド(1MOL/Lジエチルエーテル溶液、2L)
を−20℃に冷却した。このフラスコに、パーフルオロ
ブチルヨージド346gをTHF1Lに溶解させた溶液
を5時間かけて滴下した。この温度で1時間系を攪拌し
た後、反応系に亜硫酸ガス3MOLを5時間かけて吹き
込んだ。吹き込みが終了した後、系を室温に上昇し、3
時間攪拌した。その後、過酸化水素水(35%水溶液3
00mL)を2時間かけて滴下し、滴下終了後、室温で
12時間攪拌した。反応系を脱溶剤し、この残差にイオ
ン交換水2Lに加え、0℃に冷却し、不溶物を濾取し
た。その後、この得られた固体を100℃で乾燥する事
によりパーフルオロブタンスルホン酸ナトリウムを淡褐
色固体として得た(101g)。
【0030】分析結果 元素分析 理論値(C、H、S)=(14.92、−、9.98) 実測値(C、H、S)=(14.52、−、9.6) イオンクロマト(ヨウ素イオン): 10080ppm ヨウ化ナトリウムとして、12708ppm
【0031】上記の方法により得られたパーフルオロス
ルホン酸ナトリウムを、120℃にて5時間熱風乾燥機
で乾燥したパンライトL−1225(帝人化成株式会社
製、ポリカーボネート樹脂)の100重量部に対して、
0.15重量部を添加した試料を調整し、IKG株式会
社製PMS40−32(V)押出機により、290℃に
て押し出しを行い、ペレットを作成した。次に作成した
ペレットを用いて、住友重機工業株式会社製成形機SY
CAP165/75により、成形温度305℃、金型温
度100℃にて射出成形を行い125mm×12mm×
3.2mmおよび125mm×12mm×1.6mmの
成形物を得た。
【0032】得られた成形物の燃焼性についてはアンダ
ーライター実験室UL−94、第3版(1980)に従
って、3.2mm厚の試料を用いて評価した。即ち、各
難燃性ポリカーボネート成形物試片を5個準備し、各試
料に対して2度の着火を行った。その際、第1回目の着
火で滴下した試料数2、第2回目の着火で滴下した試料
数3であり、難燃性グレードはV2であった。また、透
明性は3.2mm厚の試料を用いて厚み方向の650n
mにおける透過率を測定することにより評価した結果、
87%で隠蔽紙上に成形物を置いた際の目視による下記
基準による3段階評価では1であった。 〔透過率評価基準〕 3:透明 2:成形物が僅かに赤く見える。 1:成形物が明らかに赤く見える。
【0033】
【発明の効果】本発明のヨウ素成分を低減化したパーフ
ルオロアルキル基含有スルホン酸塩は、透明性および難
燃性に優れ、特にポリカーボネートに有用である。
フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA50 AC14 AH03 AH04 AH05 AH12 AH19 BA01 BB05 BC17 4H006 AA01 AA03 AB48 AB80 AC61 BC40 BD70 BE42 4H028 AA25 AA42 BA06 4J002 BB031 BB121 BC031 BD121 BG031 BN151 CC031 CF061 CF071 CG001 CG011 CG021 CG031 CG041 CH001 CK021 CL001 EV256 FD136 GB00 GC00 GG01 GL00 GP01 GQ01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パーフルオロアルキル基含有ヨージドを
    原料として得られ、且つヨウ素酸及び/又はヨウ素酸塩
    を4000ppm以下含有することを特徴とするパーフ
    ルオロアルキル基含有スルホン酸塩。
  2. 【請求項2】 ヨウ素酸及び/又はヨウ素酸塩の含有量
    が100ppm以下であることを特徴とする請求項1記
    載のパーフルオロアルキル基含有スルホン酸塩。
  3. 【請求項3】 パーフルオロアルキル基含有ヨージドと
    亜硫酸水素塩及び/又は重亜硫酸水素塩とを用いて得ら
    れることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のパー
    フルオロアルキル基含有スルホン酸塩。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3記載のパーフルオロアルキ
    ル基含有スルホン酸塩を含むことを特徴とする難燃剤。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の難燃剤を添加してなるこ
    とを特徴とする難燃性ポリカーボネート。
  6. 【請求項6】 請求項5の難燃性ポリカーボネートを用
    いてなることを特徴とする成形体。
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