JP4802377B2 - 難燃剤、難燃性ポリカーボネート及びその成形体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヨウ素酸及び/又はヨウ素化物を低減化した特定のパーフルオロアルキル基含有スルホン酸塩を含むことを特徴とする難燃剤、その難燃剤を含有する難燃性ポリカーボネート及びその成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
パーフルオロアルキル基含有スルホン酸およびその塩は、各種界面活性剤、難燃剤、また、有機化学反応においてはエステル化反応等の触媒に用いられている。
【0003】
従来、この種の化合物の製造方法は、[Ind.Eng.Chem. 43 巻 2332 頁 (1951 年)J.Chem.Soc.173頁 (1956年)]で知られているアルキルスルホン酸を無水フッ化水素中に溶かし、電解を行うことでアルキル鎖の水素をすべてフッ素に置換する電解フッ素化法が行われてきた。しかし、この電解フッ素化法では炭素鎖切断等により、副反応が生じ収率が低くなる、置換されていないプロトンが残留する等の問題がある。
【0004】
これに対し、テトラフルオロエチレンとトリフルオロメチルヨージド等のフルオロアルキルヨージドを用いたテロメル化により得られるパーフルオロアルキルヨージドから、パーフルオロアルキルスルホン酸塩を得る方法が収率が高いことでいくつか報告されている。例えば[J.Fluorine. Chem 5巻 265 頁(1975 年)]には、パーフルオロアルキルヨージドが溶解している無水エーテルにグリニヤール試薬を加えることにより、グリニヤール交換反応を行い、 -20 ℃に冷却し、亜硫酸ガスを同通した後、酸化することにより得る方法が報告されている。また[J.C.S.Perkin I、155 頁 (1972 年)]には、パーフルオロアルキルヨージドをジメチルスルフィドやメチルジスルフィドと混合したのち紫外線を照射して、パーフルオロアルキルメチルスルフィドを合成、その後、このスルフィドを酸化することにより、パーフルオロアルキルスルホン酸塩を合成する方法、特公平 1-53871号公報には、四級アンモニウム塩を使用することで、このシュッレッガーのスルホン酸合成法をパーフルオロアルキルヨージドからのパーフルオロスルホン酸塩合成に適用する方法が報告されている。
【0005】
しかし、これらの方法で得られるパーフルオロスルホン酸塩には、副生するヨウ素酸及び/又はヨウ素酸塩が1万ppm以上も残存するという問題がある。このような方法で製造したパーフルオロアルキル基含有スルホン酸塩は、多量の副生物を含有するためポリカーボネート用難燃剤として使用する場合、ポリカーボネートの着色、成型時の強度低下等という物性低下の原因となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ヨウ素酸及び/又はヨウ素酸塩の含有量を極めて低減した特定のパーフルオロアルキル基含有スルホン塩を含む難燃剤、その難燃剤を含有する難燃性ポリカーボネート及びその成形体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、パーフルオロアルキル基含有ヨージドを原料として得られる、一般式C m F 2m+1 SO 3 M(mは1以上の整数を表し、Mは金属原子又はアンモニウム塩を表す。)で表される化合物であって、且つヨウ素酸及び/又はヨウ素酸塩の含有量が100ppm以下であることを特徴とするパーフルオロアルキル基含有スルホン塩からなる難燃剤及びその難燃剤を含有するポリカーボネート並びに該ポリカーボネート成形体に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明でいうパーフルオロアルキルスルホン酸塩とは、一般式C m F 2m+1 SO 3 M(mは1以上の整数を表し、Mは金属原子又はアンモニウム塩を表す。)で表される化合物であり、CmF2m+1は直鎖状であっても、分岐状であっても良い。例示すると、トリフルオロメタンスルホン酸カリウム、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム、パーフルオロヘキサンスルホン酸カリウム、パーフルオロオクタンスルホン酸カリウム、ペンタフルオロエタンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロブタンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロオクタンスルホン酸ナトリウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、パーフルオロブタンスルホン酸リチウム、パーフルオロヘプタンスルホン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸セシウム、パーフルオロオクタンスルホン酸セシウム、パーフルオロヘキサンスルホン酸セシウム、パーフルオロブタンスルホン酸セシウム、パーフルオロブタンスルホン酸テトラメチルアンモニウム、トリフルオロメタンスルホン酸テトラエチルアンモニウム等が挙げられるが、これらの具体例によって本発明が何ら限定されるものでないことは勿論である。
【0009】
パーフルオロアルキルヨージドからのパーフルオロアルキルスルホン酸塩の製造方法は、特に制限はなく、公知慣用の方法が用いられる。一般的には、パーフルオロアルキルヨージドが溶解している無水エーテルにグリニヤール試薬を加えることにより、グリニヤール交換反応を行い、−20℃に冷却し、亜硫酸ガスを同通した後、酸化することにより得る方法、パーフルオロアルキル基含有スルホン酸塩がパーフルオロアルキル基含有ヨージドと亜硫酸水素塩とを用いて得られる方法が知られているが、これらの例によって本発明が何ら限定されるものではないことは勿論である。
【0010】
パーフルオロアルキル基含有スルホン酸塩の精製方法としては、特に制限がなく公知慣用の精製方法が用いられる。パーフルオロアルキル基含有スルホン酸塩の精製法を例示すれば、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離する方法、溶剤を用いて再結晶を行う方法、また、水に難溶であるパーフルオロアルキル基含有スルホン酸塩の場合は、この塩を水洗する方法などが挙げられるが、これらの例によって本発明が何ら限定されるものではないことは勿論である。
【0011】
本発明で用いるパーフルオロアルキル基含有スルホン酸塩は、ヨウ素酸及び/又はヨウ素酸塩の含有量が100ppm以下のものである。ヨウ素酸及び/又はヨウ素酸塩の含有量がかかる範囲内であれば、樹脂材料に対して着色することなく、難燃性を付与することができる。
【0012】
上記の様なヨウ素成分の少ないパーフルオロアルキル基含有スルホン酸塩は難燃剤として有用であり、種々の樹脂材料に添加することができる。樹脂材料としては、例えばポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリスチレン、アクリル樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ABS樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエーテルなどを挙げることができ、特にポリカーボネートが好適である。該パーフルオロアルキル基含有スルホン酸塩をポリカーボネートに適用すると、透明を維持しつつ、優れた難燃性が付与され、しかも有用な成形体を得ることができる。パーフルオロアルキル基含有スルホン酸塩の樹脂材料に対する添加量は、0.01〜10重量%が適当である。
【0013】
ポリカーボネートに対する難燃剤としてのパーフルオロアルキル基含有スルホン酸塩の添加量は、好ましくは0.01〜3重量%であり、ポリカーボネートに不利なヘイズを生じることなく、燃焼性を極度に低下させることが可能であり、特に経済性と性能のバランスを考慮して0.05〜0.3重量%という極少量の添加がより好ましい。この難燃剤は上述の添加量の範囲で1種のみで用いてもよいし、あるいは2種以上を併用しても良い。
【0014】
更に、本発明に係る難燃剤と、例えば従来公知である塩素または臭素のようなハロゲンを含有する難燃剤もしくはリン原子を含有する難燃剤等の従来公知慣用の難燃剤とを併用して、樹脂材料中に添加される系においても総添加量を低減できると同時に、難燃性を更に大きく向上させる場合がある。
【0015】
本発明に於けるポリカーボネートとしては特に制限はなく、基本的には下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有する化合物を用いることができる。
【0016】
【化1】
【0017】
本発明に関わるポリカーボネートを製造する方法にも特に制限はなく公知慣用の方法を用いることができる。古くから知られている方法として例え(1)炭酸のジエステルとジオキシ化合物とのエステル交換反応、(2)ジオキシ化合物と、それ自身あるいは他のジオキシ化合物のビスアルキル或いはビスアリールカーボネートとのエステル交換反応、(3)酸結合剤存在下でジオキシ化合物とホスゲンとの反応、(4)酸結合剤存在下でジオキシ化合物とジオキシ化合物のビスクロル炭酸エステルとの反応が挙げられる。このような例示された反応の中で共通する原料であり、ポリカーボネートの物性を決定付けるジオキシ化合物としては具体例をとして、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4'−ジヒドロキシジフェニル、例えばC1−C8−アルキレン−叉はC2−C8−アルキリデン−ビスフェノールのようなビス−(ヒドロキシ−フェニル)−アルカン、例えばC5−C15−シクロアルキレン−叉はC5−C15−シクロアルキリデン−ビスフェノールのようなビス−(ヒドロキシ−フェニル)−シクロアルカン、ビス−(ヒドロキシ−フェニル)−スルフィド、−エーテル、−ケトン、−スルフォキシド叉はスルフォンである。更に叉α,α'−ビス−(ヒドロキシ−フェニル)−ジイソプロピルベンゼン及び対応する核アルキル化叉は核ハロゲン化された化合物、ビス−(4−ヒドロキシ−フェニル)−プロパン−2,2(ビスフェノールA)、ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロ−フェニル)−プロパン−2,2(テトラクロロ−ビスフェノールA)、ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモ−フェニル)−プロパン−2,2(テトラブロモ−ビスフェノールA)、ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル−フェニル)−プロパン−2,2(テトラメチル−ビスフェノールA)、ビス−(4−ヒドロキシ−フェニル)−シクロヘキサン−1,1(ビスフェノールZ)に基本とするポリカーボネート及びα,α'−ビス−(4−ヒドロキシ−フェニル)−p−ジイソプロピルベンゼンのような三核ビスフェノールに基礎を置くものが挙げられる。これらの具体例によって本発明が何ら限定されるものでないことは勿論である。
【0018】
また、本発明に関わるポリカーボネート樹脂は、異なったジオキシ化合物を原料とするコポリカーボネート、カーボネート結合とエステル結合、ウレタン結合等の他の結合をポリマー主鎖中に有するランダム、ブロック、交互共重合体であっても良い。
【0019】
さらに、溶融粘度などの成形条件の最適化、最終成形物の目的に合った性能発現のために、ポリカーボネートに対して任意な割合で、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリスチレン、アクリル樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ABS樹脂を加えた、いわゆるポリマーブレンド、ポリマーアロイであっても構わない。
【0020】
さらにまた、加工過程中或いは加工後に熱、紫外線、電子線、X線等のエネルギー線により、場合によっては硬化剤、架橋剤と称される添加剤を加えて公知慣用の方法にて3次元化した構造のものであっても構わない。
【0021】
本発明において、ポリカーボネート樹脂に対するパーフルオロアルキル基含有スルホン酸塩の添加方法にも特に制限はなく公知慣用の方法を用いることができる。例えば、成形時に目的とするポリカーボネートと同時に加えるドライブレンド法、予め押し出し機により、パーフルオロアルキル基含有スルホン酸塩およびパーフルオロアルキル基含有スルホン酸塩を添加したポリカーボネートのペレットを準備し成形する方法、予め最終添加量よりも高濃度のパーフルオロアルキル基含有スルホン酸塩を添加したポリカーボネート(マスターバッチ)を準備するマスターバッチ法が挙げられるが、その他にもポリカーボネートに相溶する第三成分中にこれらのパーフルオロアルキル含有スルホン酸塩を添加した後ポリカーボネートに添加する方法、ポリカーボネートを製造する過程、例えば重合する段階にこれらのパーフルオロアルキルスルホン酸塩を存在させて添加する方法等を採用しても構わない。これらの具体例によって本発明が何ら限定されるものでないことは勿論である。
【0022】
本発明に関わる難燃性ポリカーボネートには、必要に応じて公知慣用の方法により染料、顔料、流動性等を制御する成形助剤、ガラス繊維等の強化充填材、耐熱安定剤、耐光安定剤、耐候安定剤、潤滑剤、表面改質剤等の公知慣用の添加剤を併用することが可能である。本発明に関わる難燃性ポリカーボネートの成形方法にも特に制限はなく、目的とする用途、成形体の形状、サイズ、成形設備、コスト等に応じて射出成形法、押出成形法、吹込成形法、圧縮成形法、粉末成形法、キャスティング法等の公知慣用の方法を使用できる。これらの具体例によって本発明が何ら限定されるものでないことは勿論である。
【0023】
また、成形体の形状、サイズにも特に制限はなく、例えばフィルム、シート、パイプ、ロッドの他目的に応じた異型成形体が挙げられる。さらに、得られた成形体を、切断、切削、打抜、タップ立て、ねじ切り、真空成形、熱間加工、冷間加工、ホットスタンプ、溶接、接着、塗装、メッキ、蒸着、印刷、ラミネート、エンボス等の目的に応じた2次加工をすることも可能である。また本発明に関わる難燃性ポリカーボネートの用途についても特に制限なく、透明性と難燃性を活かし広範な用途に適用することができる。例えば、各種機械容器、機械部品、各種機械のハウジング、ディスプレー、照明等の各種保護カバー、保護眼鏡、各種レンズ、電子・電気機器のハウジング及び各種部品、食品用容器、パネル、防護壁、窓材、各種絶縁材料、医療機器のハウジング及び部品等が挙げられる。これらの具体例によって本発明が何ら限定されるものでないことは勿論である。
【0024】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳述するがこれらは本発明の単なる例示にすぎず、本発明を限定するものではない。
【0025】
(実施例1)
攪拌装置、コンデンサー、温度計を備えたガラス製三口フラスコにメチルマグネシウムブロミド(1MOL/Lジエチルエーテル溶液、2L)を−20℃に冷却した。このフラスコに、パーフルオロブチルヨージド346gをTHF1Lに溶解させた溶液を5時間かけて滴下した。この温度で1時間系を攪拌した後、反応系に亜硫酸ガス3MOLを5時間かけて吹き込んだ。吹き込みが終了した後、系を室温に上昇し、3時間攪拌した。その後、過酸化水素水(35%水溶液300mL)を2時間かけて滴下し、滴下終了後、室温で12時間攪拌した。反応系を脱溶剤し、この残差にイオン交換水2Lに加え、0℃に冷却し、不溶物を濾取した。その後、この得られた固体を100℃で乾燥し、得られた固体100gを60℃のメタノール(200g)に溶解させ、この液にイオン交換水(500g)を加えた。その後、この溶液をロータリーエバポレーターで脱溶剤し、全体の重量が300gになるまで濃縮した。この溶液を0℃に冷却し、一晩静置した。ここで、析出した固体を濾別し、イオン交換水100mLで洗浄した。その後、得られた固体を100℃で乾燥することにより、ヨウ素イオンを低減したパーフルオロブタンスルホン酸ナトリウム(42g)を得た。
【0026】
分析結果
元素分析
理論値(C、H、S)=(14.92、−、9.98)
実測値(C、H、S)=(14.92、−、9.9)
イオンクロマト(ヨウ素イオン): 78ppm
ヨウ化ナトリウムとして、98ppm
【0027】
(実施例2)
実施例1の方法により得られたパーフルオロスルホン酸ナトリウムを、120℃にて5時間熱風乾燥機で乾燥したパンライトL−1225(帝人化成株式会社製、ポリカーボネート樹脂)の100重量部に対して、0.15重量部を添加した試料を調整し、IKG株式会社製PMS40−32(V)押出機により、290℃にて押し出しを行い、ペレットを作成した。
次に作成したペレットを用いて、住友重機工業株式会社製成形機SYCAP165/75により、成形温度305℃、金型温度100℃にて射出成形を行い125mm×12mm×3.2mmおよび125mm×12mm×1.6mmの成形物を得た。
【0028】
得られた成形物の燃焼性についてはアンダーライター実験室UL−94、第3版(1980)に従って、3.2mm厚の試料を用いて評価した。即ち、各難燃性ポリカーボネート成形物試片を5個準備し、各試料に対して2度の着火を行った。その際、第1回目および第2回目の着火では何れの試料でも滴下せず、難燃性グレードはV0であった。
また、透明性は3.2mm厚の試料を用いて厚み方向の650nmにおける透過率を測定することにより評価した結果、96%で隠蔽紙上に成形物を置いた際の目視による下記基準による3段階評価では3であった。
〔透過率評価基準〕
3:透明
2:成形物が僅かに赤く見える。
1:成形物が明らかに赤く見える。
【0029】
(比較例)
攪拌装置、コンデンサー、温度計を備えたガラス製三口フラスコにメチルマグネシウムブロミド(1MOL/Lジエチルエーテル溶液、2L)を−20℃に冷却した。このフラスコに、パーフルオロブチルヨージド346gをTHF1Lに溶解させた溶液を5時間かけて滴下した。この温度で1時間系を攪拌した後、反応系に亜硫酸ガス3MOLを5時間かけて吹き込んだ。吹き込みが終了した後、系を室温に上昇し、3時間攪拌した。その後、過酸化水素水(35%水溶液300mL)を2時間かけて滴下し、滴下終了後、室温で12時間攪拌した。反応系を脱溶剤し、この残差にイオン交換水2Lに加え、0℃に冷却し、不溶物を濾取した。その後、この得られた固体を100℃で乾燥する事によりパーフルオロブタンスルホン酸ナトリウムを淡褐色固体として得た(101g)。
【0030】
分析結果
元素分析
理論値(C、H、S)=(14.92、−、9.98)
実測値(C、H、S)=(14.52、−、9.6)
イオンクロマト(ヨウ素イオン): 10080ppm
ヨウ化ナトリウムとして、12708ppm
【0031】
上記の方法により得られたパーフルオロスルホン酸ナトリウムを、120℃にて5時間熱風乾燥機で乾燥したパンライトL−1225(帝人化成株式会社製、ポリカーボネート樹脂)の100重量部に対して、0.15重量部を添加した試料を調整し、IKG株式会社製PMS40−32(V)押出機により、290℃にて押し出しを行い、ペレットを作成した。
次に作成したペレットを用いて、住友重機工業株式会社製成形機SYCAP165/75により、成形温度305℃、金型温度100℃にて射出成形を行い125mm×12mm×3.2mmおよび125mm×12mm×1.6mmの成形物を得た。
【0032】
得られた成形物の燃焼性についてはアンダーライター実験室UL−94、第3版(1980)に従って、3.2mm厚の試料を用いて評価した。即ち、各難燃性ポリカーボネート成形物試片を5個準備し、各試料に対して2度の着火を行った。その際、第1回目の着火で滴下した試料数2、第2回目の着火で滴下した試料数3であり、難燃性グレードはV2であった。
また、透明性は3.2mm厚の試料を用いて厚み方向の650nmにおける透過率を測定することにより評価した結果、87%で隠蔽紙上に成形物を置いた際の目視による下記基準による3段階評価では1であった。
〔透過率評価基準〕
3:透明
2:成形物が僅かに赤く見える。
1:成形物が明らかに赤く見える。
【0033】
【発明の効果】
本発明のヨウ素成分を低減化したパーフルオロアルキル基含有スルホン酸塩を含有する難燃剤は、透明性および難燃性に優れ、特にポリカーボネートに有用である。
Claims (5)
- パーフルオロアルキル基含有ヨージドを原料として得られる、一般式CmF2m+1SO3M(mは1以上の整数を表し、Mは金属原子又はアンモニウム塩を表す。)で表される化合物であって、且つヨウ素酸及び/又はヨウ素酸塩を100ppm以下含有するパーフルオロアルキル基含有スルホン酸塩を含むことを特徴とする難燃剤。
- 前記パーフルオロアルキル基含有スルホン酸塩が、パーフルオロブタンスルホン酸塩であることを特徴とする請求項1記載の難燃剤。
- 請求項1又は2記載の難燃剤を添加してなることを特徴とする難燃性ポリカーボネート。
- 前記パーフルオロアルキル基含有スルホン酸塩の添加量が、0.05〜0.3重量%であることを特徴とする請求項3記載の難燃性ポリカーボネート。
- 請求項3又は4記載の難燃性ポリカーボネートを用いてなることを特徴とする成形体。
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