JP2018052881A - イオン塩、それを含有する熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】例えば、下式で表されるトリオクチルアンモニウムサリチレート、3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアンモニウムサリチレート、トリオクチルアンモニウムアセテート、トリオクチルアンモニウムメタンスルホネート、トリオクチルアンモニウムベンゾエート等の有機カチオンと有機酸を脱プロトン化した構造のアニオンからなることを特徴とするイオン塩。ジカルボン酸成分とジオール成分を用い、ポリエステルを製造する方法において、エステル交換反応またはエステル化反応開始から重縮合反応を終了するまでの間に、前記イオン塩を添加するポリエステル樹脂組成物の製造方法。
【選択図】なし
Description
また、熱可塑性樹脂の一つであるポリエステルは、機械特性、熱特性、耐薬品性、電気特性、成形性に優れ、様々な用途に用いられている。ポリエステルの中でも、特にポリエチレンテレフタレート(PET)は、透明性や加工性に優れていることから、光学用フィルムなど高品位性が求められる用途に幅広く使われている。しかしながら、ポリマーの分解によって生じる線状オリゴマーが成形加工時に表面に付着し、あるいは析出することによって表面汚れが起こることがある。加えて、線状オリゴマーの飛散によって工程汚れを引き起こすこともあり、表面汚れや工程汚れによる成形品の品位悪化という問題が起こる。近年、光学用フィルムなどは品位の要求がますます高くなっており、上記のような表面汚れや工程汚れを引き起こす線状オリゴマーの飛散を抑制する樹脂組成物が望まれている。
(1)有機カチオンと有機酸を脱プロトン化した構造のアニオンからなることを特徴とするイオン塩。
本発明のイオン塩とは、有機カチオンと有機酸を脱プロトン化した構造のアニオンからなるイオン塩を指し、一般式[Q+][A−]で表される構造である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物に用いられる熱可塑性樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン−1)、ポリアセタールなどの鎖状ポリオレフィン、ノルボルネン類の開環メタセシス重合,付加重合,他のオレフィン類との付加共重合体である脂環族ポリオレフィン、ポリ乳酸、ポリブチルサクシネートなどの生分解性ポリマー、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66などのポリアミド、アラミド、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリアセタール、ポリグルコール酸、ポリスチレン、スチレンアクリロニトリルコポリマー、スチレン共重合ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボーネート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどのポリエステル、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアリレート、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデンなどを用いることができる。この中で、耐久性、透明性および汎用性の観点から、特にポリエステル樹脂を用いることがより好ましい。これらは、ホモポリマーでも共重合ポリマー、さらには混合物であってもよい。
なお、ポリエステル樹脂とは、ジカルボン酸成分とジオール成分を重縮合して得られるポリエステル樹脂を指す。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、溶液ヘイズが5%以下であることが好ましい。より好ましくは、3%以下である。この範囲にすることによって、透明性の優れた成形体を得ることができる。そのため、光学フィルムなどに好適である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、例えば以下の(1)、(2)の方法によって製造することができるが、これらに限定されるものではない。なお、熱可塑性樹脂組成物を製造するための装置、技術プロセスは通常用いられる装置であればどのような装置とプロセスであっても構わない。
(1)の方法で熱可塑性樹脂組成物の一つであるポリエステル樹脂組成物(特にPET組成物)を製造する際の具体例を以下に示すが、これに限定されるものではない。
エステル交換触媒及び助触媒としては、有機マンガン化合物、有機マグネシウム化合物、有機カルシウム化合物、有機コバルト化合物、有機リチウム化合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
o−クロロフェノール溶媒を用い、25℃で測定した。
Mauliceの方法によって測定した。(文献 M.J.Maulice, F.Huizinga, Anal.Chem.Acta, 22 363 (1960)) 。
熱可塑性樹脂組成物2gを20mlのフェノール/1,1,2,2,テトラクロロエタンの3/2(容積比)混合溶液に溶解し、光路長20mmのセルを用い、ヘイズメーター(スガ試験機社製 HZ−1)によって積分球式光電光度法にて分析を行った。溶液ヘイズが5%以下のとき、透明性が良好であると判断した。
モノエタノールアミンを溶媒としてポリエステル組成物を溶解し、該溶液に1,6−ヘキサンジオール/メタノール混合溶液を加えて冷却し、テレフタル酸で中和した後、遠心分離した後に、上澄み液をガスクロマトグラフィ(島津製作所社製、GC−14A)にて測定した。
カラーメーター(スガ試験機(株)製:SM−T45)にて、ポリエステル樹脂組成物の色調を測定した。
熱可塑性樹脂組成物を155℃、100%RHで4時間加熱処理し、処理前後のCOOH末端基量の差(処理後COOH末端基量−処理前COOH末端基量)を比較した。この時のCOOH末端基量の差(ΔCOOH)が、80eq/t以下であるとき、良好な耐久性を有していると判断した。
直径16.5mm×長さ165mmの試験管に熱可塑性樹脂組成物8gを計量し、真空乾燥機に静置した。10Torr以下まで減圧した後、150℃まで乾燥機内を昇温した。150℃到達後、3時間真空乾燥し、その後乾燥機内を180℃まで昇温した。180℃到達後、7.5時間真空乾燥した。その後、試験管内を窒素雰囲気とした状態で、300℃のオイルバスに試験管を浸し、60分熱処理を行った樹脂組成物を、内径10mmのPTFEチューブで抜き取り、氷水で急冷することで樹脂柱を得た。得られた樹脂柱を5mm角にカットしたサンプルを室温で3時間真空乾燥し、測定用サンプルとした。
得られた測定用サンプル1.5gを、坩堝(型番:CC−るつぼ、B−3、100mL)に均等になるように敷き詰め、坩堝の中心に以下の条件で表面を洗浄したガラス板の中心がくるように、100mm×100mmの透明ガラス板(アルファパーチェスのカタログ番号:313196)をかぶせた。
表面温度を220℃に熱したホットプレート上にガラス板をかぶせたサンプル入り坩堝を設置し、8時間加熱して、飛散物を透明ガラス板に捕集した。透明ガラス板に付着した飛散物を5mLのDMFに溶解させることで、測定用溶液を調製した。得られた測定溶液の波長286nmにおける吸光度を、分光光度計(日立社製U−3010形分光光度計)を用いて測定した。得られた吸光度の値を以下の式(1)に当てはめることで、線状オリゴマー飛散量(ppm)を算出した。線状オリゴマーの飛散量(ppm)が45ppm以下である場合、線状オリゴマー飛散量が少ないと判断した。
ガラス板の両面を水で洗浄した後、両面に洗剤をつけて指でなぞるように洗浄した。洗剤が残らないように水で洗浄した後、エタノールで両面を洗い流した。その後、表面に付着したエタノールがなくなるまで、50℃の熱風乾燥機内で乾燥したものを使用した。
分光光度計は以下の条件で測定を行い、測定セルは石英ガラスセル(T−1−UV−10)を用いた。
・測定波長:320〜220nm
・測定モード:波長スキャン
・データモード:Abs
・スキャンスピード:自動
・サンプリング間隔:0.50nm
・スリット:0.1nm
・セル長:10.0nm
・ピーク検出方法:Rectangular
・ピーク検出感度:2
・ピーク検出しきい値:0.01 。
イオン塩をCDCl3に溶解させた溶液の1H−NMRを、日本電子(株)製400MHz核磁気共鳴装置(AL−400)を用いて測定した。
(アミンの沸点および有機酸のpKa)
アミンの沸点および有機酸のpKaを表1に示す。
トリオクチルアミン3.54g(10mmol)とサリチル酸1.38g(10mmol)をそれぞれ計量し、反応容器に仕込んだ。内容物を室温で1時間撹拌混合し、トリオクチルアンモニウムサリチレート(化学式1、無色〜淡黄色液体)4.92gを得た。
1H−NMRの測定結果は次の通りであり、化学式(1)の構造であることを確認した。
1H−NMR(CDCl3)δ:7.89(1H,dd,J=7.3, 1.8Hz),7.28(1H,ddd,J=8.2,7.3,1.8 Hz),6.88 (1H,dd,J=8.2,1.3Hz),6.73 (1H,td,J=7.3,1.3Hz),3.02−2.98(6H, m),1.74−1.66(6H,m),1.36−1.21(30H,m), 0.87(9H,t,J=6.8Hz).
ジメチルステアリルアミン2.98g(10mmol)とサリチル酸1.38g(10mmol)をそれぞれ計量し、反応容器に仕込んだ。内容物を140℃に加熱し、溶解させた後、140℃のまま1時間加熱撹拌した。その後、室温に冷却することで、ジメチルステアリルアンモニウムサリチレート(化学式2、白色固体)4.36gを得た。
1H−NMRの測定結果は次の通りであり、化学式(2)の構造であることを確認した。
1H−NMR(CDCl3)δ:7.89(1H,dd,J=7.7, 1.8Hz),7.30(1H,ddd,J=8.2,7.3,1.8 Hz),6.90(1H,dd,J=8.2,1.3Hz),6.80 (1H,ddd,J=7.7,7.3,1.3Hz),2.98−2.93(2H,m),2.78(6H,s),1.75(2H,tt,J=14.8,7.3Hz),1.34−1.22(30H,m),0.88(3H,t,J=6.9Hz).
ジメチルパルミチルアミン2.70g(10mmol)とサリチル酸1.38g(10mmol)をそれぞれ計量し、反応容器に仕込んだ。内容物を140℃に加熱し、溶解させた後、140℃のまま1時間加熱撹拌した。その後、室温に冷却することで、ジメチルパルミチルアンモニウムサリチレート(化学式3、白色固体)4.08gを得た。
1H−NMRの測定結果は次の通りであり、化学式(3)の構造であることを確認した。
ジメチルミリスチルアミン2.42g(10mmol)とサリチル酸1.38g(10mmol)をそれぞれ計量し、反応容器に仕込んだ。内容物を140℃に加熱し、溶解させた後、140℃のまま1時間加熱撹拌した。その後、室温に冷却することで、ジメチルミリスチルアンモニウムサリチレート(化学式5、白色固体)3.80gを得た。
1H−NMRの測定結果は次の通りであり、化学式(4)の構造であることを確認した。
ジラウリルメチルアミン3.68g(10mmol)とサリチル酸1.38g(10mmol)をそれぞれ計量し、反応容器に仕込んだ。内容物を室温で1時間撹拌混合し、ジジラウリルメチルアンモニウムサリチレート(化学式5、淡黄色液体)5.06gを得た。
1H−NMRの測定結果は次の通りであり、化学式(5)の構造であることを確認した。
トリベンジルアミン2.87g(10mmol)とサリチル酸1.38g(10mmol)をそれぞれ計量し、反応容器に仕込んだ。内容物を140℃に加熱し、溶解させた後、140℃のまま1時間加熱撹拌した。その後、室温に冷却することで、トリベンジルアンモニウムサリチレート(化学式6、淡黄色の粘性液体)4.25gを得た。
1H−NMRの測定結果は次の通りであり、化学式(6)の構造であることを確認した。
1H−NMR(CDCl3)δ:7.95(1H,dt,J=8.0, 1.6Hz),7.49−7.41(6H,m),7.34(6H,tt, J=7.3,1.3Hz),7.31−7.24(4H,m),6.98 (1H,dd,J=8.6,1.0Hz),6.90(1H,ddd, J=7.8,7.3,1.3Hz),3.80(6H,s).
ジオクチルアミン2.42g(10mmo1)とサリチル酸1.38g(10mmol)をそれぞれ計量し、反応容器に仕込んだ。内容物を室温で1時間撹拌混合し、ジオクチルアンモニウムサリチレート(化学式7、淡黄色液体)3.80gを得た。
1H−NMRの測定結果は次の通りであり、化学式(7)の構造であることを確認した。
1H−NMR(CDCl3)δ:7.80(1H,dd,J=7.7,1.8Hz),7.31(1H,ddd,J=8.2,7.3, 1.6Hz),6.90(1H,d,J=8.2Hz),6.79 (1H,t,J=7.3Hz),2.94−2.88(4H,m), 1.76(3H,tt,J=15.5,7.3Hz),1.35−1.16(20H,m),0.84(6H,t,J=6.6 Hz).
ビス(2−エチルヘキシル)アミン2.42g(10mmo1)とサリチル酸1.38g(10mmol)をそれぞれ計量し、反応容器に仕込んだ。内容物を室温で1時間撹拌混合し、ビス(2−エチルヘキシル)アンモニウムサリチレート(化学式8、淡黄色液体)3.80gを得た。
1H−NMRの測定結果は次の通りであり、化学式(8)の構造であることを確認した。
1H−NMR(CDCl3)δ:7.81(1H,d,J=7.6Hz),7.30(1H,ddd,J=8.2,7.3,1.6Hz), 6.89(1H,dd,J=8.2,1.0Hz),6.78(1H, ddd,J=7.6,7.3,1.0Hz),2.87(4H,d,J =6.6Hz),1.82(2H,ttt,J=12.5,6.3,5.9 Hz),1.53−1.40(4H,m),1.40−1.31(4H,m), 1.29−1.18(8H,m),0.89−0.79(12H,m).
3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン1.87g(10mmo1)とサリチル酸1.38g(10mmol)をそれぞれ計量し、反応容器に仕込んだ。内容物を室温で1時間撹拌混合し、3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアンモニウムサリチレート(化学式9、オレンジ色液体)3.25gを得た。
1H−NMRの測定結果は次の通りであり、化学式(9)の構造であることを確認した。
1H−NMR(CDCl3)δ:7.81(1H,dd,J=7.9, 1.6Hz),7.32(1H,ddd,J=8.2,7.3,1.6 Hz),6.90(1H,dd,J=8.2,0.9Hz),6.79 (1H,td,J=7.3,0.9Hz),3.52(2H,t,J =5.4Hz),3.30−3.21(2H,m),3.14(2H,t, J=6.3Hz),1.90(2H,tt,J=11.5,5.6Hz),1.50−1.40(1H,m),1.34−1.17(8H,m),0.86(3H,t,J=6.8Hz),0.82(3H,t,J=7.6Hz).
トリオクチルアミン3.54g(10mmol)と酢酸0.60g(10mmol)をそれぞれ計量し、反応容器に仕込んだ。内容物を室温で1時間撹拌混合し、トリオクチルアンモニウムアセテート(化学式10、透明〜淡黄色液体)4.04gを得た。
1H−NMRの測定結果は次の通りであり、化学式(10)の構造であることを確認した。
1H−NMR(CDCl3)δ:2.74−2.68(6H,m),1.99(3H,s),1.60−1.50(6H,m),1.33−1.23(30H,m),0.88(9H,t,J=7.3Hz).
トリオクチルアミン3.54g(10mmol)とメタンスルホン酸0.96g(10mmol)をそれぞれ計量し、反応容器に仕込んだ。内容物を室温で1時間撹拌混合し、トリオクチルアンモニウムメタンスルホネート(化学式11、淡黄色液体)4.46gを得た。
1H−NMRの測定結果は次の通りであり、化学式(11)の構造であることを確認した。
1H−NMR(CDCl3)δ:3.04−2.96(6H,m),2.78(3H,s),1.77−1.67(6H,m),1.39−1.22(30H,m),0.88(9H,t,J=6.9Hz).
トリオクチルアミン3.54g(10mmol)と安息香酸1.22g(10mmol)をそれぞれ計量し、反応容器に仕込んだ。内容物を室温で1時間撹拌混合し、トリオクチルアンモニウムベンゾエート(化学式12、透明〜淡黄色液体)4.76gを得た。
1H−NMRの測定結果は次の通りであり、化学式(12)の構造であることを確認した。
1H−NMR(CDCl3)δ:8.06(2H,dd,J=6.9, 1.6Hz),7.46−7.34(3H,m),2.91−2.83(6H, m),1.68−1.59(6H,m),1.35−1.20(30H,m), 0.87(9H,t,J=6.9Hz).
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させた。反応系内の温度は245〜255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了とした。
こうして得られた255℃のエステル化反応物105重量部(PET100重量部相当)を重合装置に移送した後、リン酸トリメチル0.02重量部を添加し、5分攪拌した。次に、合成例1のイオン塩(トリオクチルアンモニウムサリチレート)0.1重量部を添加し、5分撹拌した後、三酸化二アンチモン0.01重量部を添加した。
実施例1で得られた熱可塑性樹脂組成物は、透明性、色調、耐久性いずれも良好であり、線状オリゴマー飛散量も少なかった。
添加するイオン塩を表2のとおりに合成例2〜6のイオン塩に変更した以外は、実施例1と同様の方法で熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物の特性を表2に示す
実施例2〜6で得られた熱可塑性樹脂組成物は、透明性、色調、耐久性いずれも良好であり、線状オリゴマー飛散量も少なかった。
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させた。反応系内の温度は245〜255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了とした。
得られた熱可塑性樹脂組成物は、本発明のイオン塩を使用していないため、線状オリゴマーの飛散量が多い結果となった。
イオン塩としてテトラブチルアンモニウムブロミドを添加した以外は、実施例1と同様の方法で熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物の特性を表3に示す
得られた熱可塑性樹脂組成物は、有機酸を脱プロトン化した構造のアニオンを持つイオン塩を使用していないため、線状オリゴマーの飛散量が多い結果となった。
イオン塩として酢酸アンモニウムを添加した以外は、実施例1と同様の方法で熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物の特性を表3に示す。
得られた熱可塑性樹脂組成物は、有機カチオンを持つイオン塩を使用していないため、線状オリゴマーの飛散量が多い結果となった。
イオン塩として、酢酸ナトリウムを添加した以外は、実施例1と同様の方法で熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物の特性を表3に示す。
得られた熱可塑性樹脂組成物は、有機カチオンを持つイオン塩を使用していないため、線状オリゴマーの飛散量が多い結果となり、透明性も不良であった。
添加するイオン塩を表4のとおりに合成例7〜12のイオン塩に変更した以外は、実施例1と同様の方法で熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物の特性を表4に示す。実施例7〜10および12で得られた熱可塑性樹脂組成物は、透明性、耐久性いずれも良好であり、線状オリゴマー量も少なかった。
実施例11で得られた熱可塑性樹脂組成物は、透明性が良好であり、線状オリゴマー量も少なかった。
合成例1のイオン塩の量を表5の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法で熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物の特性を表5に示す。
実施例13〜17で得られた熱可塑性樹脂組成物は、透明性、色調、耐久性いずれも良好であり、線状オリゴマー飛散量も少なかった。
(参考例1)ポリエチレンテレフタレートの合成方法
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させた。反応系内の温度は245〜255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了とした。
こうして得られた255℃のエステル化反応物105重量部(PET100重量部相当)を重合装置に移送した後、リン酸トリメチル0.02重量部を添加し、10分攪拌した後、三酸化二アンチモン0.01重量部を添加した。
その後、重合装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.70相当の溶融粘度に到達した時点で、反応を終了とし、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ペレット状の熱可塑性樹脂を得た。
前記参考例1にて得られたポリエチレンテレフタレート樹脂を160℃、5時間で真空乾燥した、次いで該ポリエチレンテレフタレート100重量部に対して、合成例1のイオン塩を1.0重量部の配合比でベント付2軸押出機に供給し、温度280度で溶融押出を行った。吐出したストランド状ポリマーを水中で冷却し、ペレタイザーにてカットすることで、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物の特性を表5に示す。
得られた熱可塑性樹脂組成物は、透明性に優れ、線状オリゴマー飛散量も少なかったが、実施例17と比較すると、b値の上昇と、熱可塑性樹脂組成物のCOOH末端基が増加したことによる耐久性の低下が見られた。
Claims (16)
- 有機カチオンと有機酸を脱プロトン化した構造のアニオンからなることを特徴とするイオン塩。
- アニオンが、カルボン酸イオン、有機リン酸イオン、スルホン酸イオンから選ばれることを特徴とする請求項1に記載のイオン塩。
- アニオンが、芳香族カルボン酸イオンであることを特徴とする請求項1または2に記載のイオン塩。
- 有機酸のpKaが正の値であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のイオン塩。
- 有機カチオンの構造が含窒素化合物をプロトン化したものであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のイオン塩。
- 有機カチオンの構造が沸点260℃以上の含窒素化合物をプロトン化したものであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のイオン塩。
- 請求項1から6のいずれかに記載のイオン塩を含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
- 熱可塑性樹脂がポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項7に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 溶液ヘイズが5%以下であることを特徴とする請求項7または8に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 155℃、100%RHで4時間処理した場合のCOOH末端基増加量(ΔCOOH)が80eq/t以下であることを特徴とする請求項7から9のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 樹脂組成物中に含まれるDEG量が1.5wt%以下であることを特徴とする請求項8から10のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1から6のいずれかに記載のイオン塩と熱可塑性樹脂を混合することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
- ジカルボン酸成分とジオール成分を用い、ポリエステルを製造する方法において、エステル交換反応またはエステル化反応開始から重縮合反応を終了するまでの間に請求項1から6のいずれかに記載のイオン塩を添加することを特徴とするポリエステル樹脂組成物の製造方法。
- 請求項7から11のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物からなるフィルム。
- 請求項7から11のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物からなるフィルム層を少なくとも1層有するフィルム。
- 請求項7から11のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物からなるフィルム層を少なくとも片側の表層に有するフィルム。
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