JP2018052881A - イオン塩、それを含有する熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

イオン塩、それを含有する熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】熱可塑性樹脂組成物の透明性、耐久性を損なわず、線状オリゴマーの飛散を抑制するために好適なイオン塩の提供。
【解決手段】例えば、下式で表されるトリオクチルアンモニウムサリチレート、3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアンモニウムサリチレート、トリオクチルアンモニウムアセテート、トリオクチルアンモニウムメタンスルホネート、トリオクチルアンモニウムベンゾエート等の有機カチオンと有機酸を脱プロトン化した構造のアニオンからなることを特徴とするイオン塩。ジカルボン酸成分とジオール成分を用い、ポリエステルを製造する方法において、エステル交換反応またはエステル化反応開始から重縮合反応を終了するまでの間に、前記イオン塩を添加するポリエステル樹脂組成物の製造方法。
Figure 2018052881

【選択図】なし

Description

本発明は、イオン塩、それを含有する熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法に関するものである。
従来、イオン塩を熱可塑性樹脂に添加することで、熱可塑性樹脂に帯電防止性に代表される機能性を付与できることが知られている。
また、熱可塑性樹脂の一つであるポリエステルは、機械特性、熱特性、耐薬品性、電気特性、成形性に優れ、様々な用途に用いられている。ポリエステルの中でも、特にポリエチレンテレフタレート(PET)は、透明性や加工性に優れていることから、光学用フィルムなど高品位性が求められる用途に幅広く使われている。しかしながら、ポリマーの分解によって生じる線状オリゴマーが成形加工時に表面に付着し、あるいは析出することによって表面汚れが起こることがある。加えて、線状オリゴマーの飛散によって工程汚れを引き起こすこともあり、表面汚れや工程汚れによる成形品の品位悪化という問題が起こる。近年、光学用フィルムなどは品位の要求がますます高くなっており、上記のような表面汚れや工程汚れを引き起こす線状オリゴマーの飛散を抑制する樹脂組成物が望まれている。
特許文献1には、特定の構造を持つイオン結合性塩を用いることで熱可塑性樹脂に耐候性が付与できる技術が公開されている。しかしながら、この技術では得られる樹脂組成物の線状オリゴマー飛散抑制効果の改良には至っていなかった。
特許文献2には、弱配位性含フッ素有機アニオンの共役酸が超酸であるイオン塩と熱可塑性ポリマーのブレンドによる帯電防止組成物が開示されている。しかしながら、この技術では、得られる樹脂組成物の線状オリゴマー飛散抑制効果の改良には至っていなかった。また、イオン塩のアニオンの共役酸が超酸であり、超酸のような強い酸を用いた場合には、一般的に得られる樹脂が加水分解を受けやすくなるため、得られる樹脂組成物の耐久性にも課題があった。
国際公開第2013/129489号 特開2013−253254号公報
本発明は、上記した従来の課題を解決し、熱可塑性樹脂組成物の透明性、耐久性を損なわず、線状オリゴマーの飛散を抑制するために特に好適なイオン塩、それを含む熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく検討を行った結果、熱可塑性樹脂組成物の透明性、耐久性を損なわず、線状オリゴマーの飛散を抑制するために特に好適なイオン塩を見出した。
すなわち、本発明の目的は以下の手段によって達成される。
(1)有機カチオンと有機酸を脱プロトン化した構造のアニオンからなることを特徴とするイオン塩。
本発明によれば、熱可塑性樹脂組成物の透明性、耐久性を損なわず、線状オリゴマーの飛散を抑制するために特に好適なイオン塩、それを含む熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法を提供できる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のイオン塩とは、有機カチオンと有機酸を脱プロトン化した構造のアニオンからなるイオン塩を指し、一般式[Q][A]で表される構造である。
本発明における有機カチオンとは、金属元素を含まず、少なくとも1つの炭素原子を含む構造からなることを特徴としているカチオンを指す。
カチオンとしては、窒素をイオン中心とするもの、リンをイオン中心とするもの、硫黄をイオン中心とするもの、またイオン中心として窒素と硫黄を持つものなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
含窒素化合物をプロトン化した構造のカチオンとしては、イミダゾリウムカチオン、アンモニウムカチオン、ピリジニウムカチオン、キノリニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピペラジニウムカチオン、ピペラジニウムカチオン、モルホリニウムカチオン、ピリダジニウムカチオン、ピリミジニウムカチオン、ピラジニウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、チアゾリウムカチオン、オキサゾリウムカチオン、トリアゾリウムカチオン、グアニジウムカチオン、4−アザ−1−アゾニア−ビシクロ−[2,2,2]オクタニウムカチオンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらのカチオンにおいては任意の位置にアルキル基に代表される置換基を有していてもよく、置換基の数は複数でもよい。なお、置換基には酸素、窒素などが含まれてもいてもよい。
本発明のイオン塩において、有機カチオンの構造は含窒素化合物をプロトン化したものであることが好ましい。さらに好ましい有機カチオンの構造は、沸点260℃以上の含窒素化合物をプロトン化したものである。
含窒素化合物をプロトン化した構造のカチオンにすることで、熱可塑性樹脂組成物の透明性や耐久性を損なうことなく、線状オリゴマーの飛散を効率的に抑えることができる。さらに、沸点が260℃以上の含窒素化合物をプロトン化した構造のカチオンにすることで、イオン塩の耐熱性を向上させることができるため、熱可塑性樹脂組成物の重合過程や成形加工時に分解しにくくなり、熱可塑性樹脂組成物の透明性や耐久性に加え、色調も損なうことなく、線状オリゴマー飛散抑制効果もより一層高めることができる。含窒素化合物の沸点としては280℃以上であることが、より好ましい。なお、本発明における含窒素化合物の沸点とは、1気圧における沸点のことを指す。
好ましいカチオンの具体例としては、ジオクチルアンモニウムイオン、ビス(2−エチルヘキシル)アンモニウムイオンなどのジアルキルアンモニウムイオン、トリオクチルアンモニウムイオン、ジメチルミリスチルアンモニウムイオン、ジメチルパルミチルアンモニウムイオン、ジメチルステアリルアンモニウムイオン、ジメチルベヘニルアンモニウムイオン、ジラウリルメチルアンモニウムイオンなどのトリアルキルアンモニウムイオンや、ジベンジルアンモニウムイオン、トリベンジルアンモニウムイオンなどのジアリールアンモニウムやトリアリールアンモニウムイオンなどが挙げられるがこれに限定されるものではない。
また、有機カチオンの構造としては、含窒素化合物の中でも3級アミンをプロトン化した構造であることがイオン塩の耐熱性と得られる熱可塑性樹脂組成物の色調の観点から好ましい。3級アミンをプロトン化した構造にすることで、分子量が上がり分解しにくくなる。そのため、熱可塑性樹脂に加えた場合も変色が起こりにくくなり、色調の指標であるb値の上昇やL値の低下を防ぐことができる。
本発明のイオン塩においては、アニオンが有機酸を脱プロトン化した構造のアニオンであることが必要である。有機酸を脱プロトン化した構造のアニオンとは、有機酸アニオンのことであり、有機酸とは少なくとも一つの炭素を持つ酸性化合物のことを指す。有機酸がカルボン酸の場合を例に取ると、(RCOO:Rは任意の置換基)の一般式で表される構造を持つアニオンである。
有機酸アニオンの具体例としては、ジシアナミド、ビス(フルオロスルホニル)アミド、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミド、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)アミド、ビス(ノナフルオロブチルスルホニル)アミド、メタンスルホネート、ブチルスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、テトラフルオロエタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ベンゼンスルホネート、p−トルエンスルホネート、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホネート、スチレンスルホネート、パーフルオロオクタンスルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、3−スルホプロピルメタクリレート、3−スルホプロピルアクリレート、メチルスルフェート、エチルスルフェート、オクチルスルフェート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルスルフェート、ハイドロジェンスルフェート、ヘキサフルオロホスフェート、トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、ジハイドロジェンホスフェート、ジブチルホスフェート、ジエチルホスフェート、ジメチルホスフェート、ビス(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィネート、メチルホスホネート、フォルメート、アセテート、プロピオネート、ブチレート、トリフルオロアセテート、ヒドロキシアセテート、パーフルオロノナノエート、デカノエート、マンデレート、チオサリチレート、ベンゾエート、サリチレート、4−メチルベンゾエート、4−ニトロベンゾエート、ラクテート、グリシネート、アラニネート、ロイシネート、バリネート、トリフルオロメタンスルホニルロイシネート、トリフルオロメタンスルホニルバリネート、フェノキシド、チオシアネート、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド、アセスルファメート、サッカリネート、カルボネート、メチルカルボネート、カルバメートなどが挙げられる。
本発明のイオン塩においては、アニオンの共役酸である有機酸のpKaが正の値であることが好ましい。有機酸のpKaがこの範囲を満たすことによって、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐久性を良好にすることができ、かつ線状オリゴマーとの相互作用が十分に働くことから、優れた線状オリゴマー飛散抑制効果を得ることができる。アニオンの共役酸のpKaに関しては、例えばInternational Journal of Quantum Chemistry, Vol 90, 1396−1403(2002)やChem. Commun.1906−1917(2006)に記載されている。
有機酸のpKaの上限は特に設けないが、アクリル樹脂やポリエステル樹脂のように、酸を原料にして得られる熱可塑性樹脂に用いる場合は、樹脂原料となる酸のpKaよりも有機酸のpKaが小さいほうが好ましい。その理由としては、有機酸のpKaが樹脂原料となる酸のpKaより大きい場合には、有機酸のほうが弱酸になるために、有機酸を脱プロトン化した構造のアニオンがプロトン化を受けてしまうことで、線状オリゴマー飛散抑制効果が低下する場合があるためである。
本発明のイオン塩においては、アニオンが、カルボン酸イオン、有機リン酸イオン、スルホン酸イオンから選ばれることが好ましく、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐久性と線状オリゴマー飛散抑制効果の観点から、特に芳香族カルボン酸イオンが好ましい。これらのアニオンは、線状オリゴマーとの相互作用が起こりやすく、効果的に線状オリゴマーの飛散を抑制することができる。
好ましいカルボン酸イオンの具体例としては、ホルメート、アセテート、プロピオネート、ブチレートなどが、芳香族カルボン酸イオンとしては、ベンゾエート、サリチレート、p−メチルベンゾエート、p−ニトロベンゾエートなどが、有機リン酸イオンとしては、ジブチルホスフェート、ジエチルホスフェート、ジメチルホスフェートなどが、スルホン酸イオンの具体例としては、メタンスルホネート、p−トルエンスルホネートなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明のイオン塩は、カチオンが沸点260℃以上の含窒素化合物をプロトン化した構造であり、アニオンが芳香族カルボン酸を脱プロトン化した構造であるイオン塩であることが最も好ましい。カチオンとアニオンを最適な組み合わせにした相乗効果によって、より一層優れた線状オリゴマー飛散抑制効果が得られる。
イオン塩の具体例としては、ジオクチルアンモニウムベンゾエート、ジオクチルアンモニウム=4−メチルベンゾエート、ジオクチルアンモニウム=4−ニトロベンゾエート、ジオクチルアンモニウムサリチレート、ビス(2−エチルヘキシル)アンモニウムベンゾエート、ビス(2−エチルヘキシル)アンモニウム=4−メチルベンゾエート、ビス(2−エチルヘキシル)アンモニウム=4−ニトロベンゾエート、ビス(2−エチルヘキシル)アンモニウムサリチレート、トリオクチルアンモニウムベンゾエート、トリオクチルアンモニウム=4−メチルベンゾエート、トリオクチルアンモニウム=4−ニトロベンゾエート、トリオクチルアンモニウムサリチレート、ジメチルミリスチルアンモニウムベンゾエート、ジメチルミリスチルアンモニウム=4−メチルベンゾエート、ジメチルミリスチルアンモニウム=4−ニトロベンゾエート、ジメチルミリスチルサリチレート、ジメチルパルミチルアンモニウムベンゾエート、ジメチルパルミチルアンモニウム=4−メチルベンゾエート、ジメチルパルミチルアンモニウム=4−ニトロベンゾエート、ジメチルパルミチルサリチレート、ジメチルステアリルアンモニウムベンゾエート、ジメチルステアリルアンモニウム=4−メチルベンゾエート、ジメチルステアリルアンモニウム=4−ニトロベンゾエート、ジメチルステアリルサリチレート、ジメチルベヘニルアンモニウムベンゾエート、ジメチルベヘニルアンモニウム=4−メチルベンゾエート、ジメチルベヘニルアンモニウム=4−ニトロベンゾエート、ジメチルベヘニルサリチレート、ジラウリルメチルアンモニウムベンゾエート、ジラウリルメチルアンモニウム=4−メチルベンゾエート、ジラウリルメチルアンモニウムアンモニウム=4−ニトロベンゾエート、ジラウリルメチルアンモニウムサリチレート、ジベンジルアンモニウムベンゾエート、ジベンジルアンモニウム=4−メチルベンゾエート、ジベンジルアンモニウム=4−ニトロベンゾエート、ジベンジルアンモニウムサリチレート、トリベンジルアンモニウムベンゾエート、トリベンジルアンモニウム=4−メチルベンゾエート、トリベンジルアンモニウム=4−ニトロベンゾエート、トリベンジルアンモニウムサリチレートなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明のイオン塩の合成は、一般的なイオン塩の合成法を採用して合成することができる。アンモニウム塩の例を挙げると、アミンをハロゲン化アルキル化合物などと反応させて得られるアンモニウム塩に対して、金属塩を用いたアニオン交換を行い、精製処理を行うことで、目的のアンモニウム塩を得る方法(アニオン交換法)や、アミンと酸を直接反応させて中和することで目的のアンモニウム塩を得る方法(中和法)などがあるが、これらに限定されるものではない。
本発明のイオン塩においては、副生成物が生成せず、精製処理を行わなくても使用できることから、中和法を用いて合成することが好ましい。なお、中和法でイオン塩を合成する場合には、原料となるアミンの色調が得られるイオン塩およびイオン塩を含む熱可塑性樹脂組成物に影響することがあるため、酸化劣化による着色が起こっていないアミンを用いることが好ましい。反応温度としては、原料のアミンの融点以上の温度で撹拌混合して反応させることが好ましい。これは、アミンが液体状になっている状態で反応させることで、反応が均一かつ十分に進むためである。また、原料となるアミンと酸のモル比は1:1であることが好ましい。モル比を1:1にすることで、未反応の原料が残らないため、その後の精製処理が不要となる。反応溶媒は必要に応じて用いても構わないが、反応後に溶媒除去を行う必要があるため、無溶媒で反応を行うほうが好ましい。
次に本発明の熱可塑性樹脂組成物について説明する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物に用いられる熱可塑性樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン−1)、ポリアセタールなどの鎖状ポリオレフィン、ノルボルネン類の開環メタセシス重合,付加重合,他のオレフィン類との付加共重合体である脂環族ポリオレフィン、ポリ乳酸、ポリブチルサクシネートなどの生分解性ポリマー、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66などのポリアミド、アラミド、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリアセタール、ポリグルコール酸、ポリスチレン、スチレンアクリロニトリルコポリマー、スチレン共重合ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボーネート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどのポリエステル、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアリレート、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデンなどを用いることができる。この中で、耐久性、透明性および汎用性の観点から、特にポリエステル樹脂を用いることがより好ましい。これらは、ホモポリマーでも共重合ポリマー、さらには混合物であってもよい。
なお、ポリエステル樹脂とは、ジカルボン酸成分とジオール成分を重縮合して得られるポリエステル樹脂を指す。
本発明のポリエステル樹脂におけるジカルボン酸成分としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、エイコサンジオン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸等の脂肪族ジカルボン酸類、アダマンタンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、などの脂環族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フェニルエンダンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸、9,9’−ビス(4−カルボキシフェニル)フルオレン酸等芳香族ジカルボン酸などのジカルボン酸、もしくはそのエステル誘導体が挙げられる。この中でも、ポリエステル樹脂組成物の耐酸化分解性および耐熱性、耐加水分解性や、組成物をフィルムにした際の機械強度の観点から、芳香族ジカルボン酸を用いることが好ましく、その中でもテレフタル酸がより好ましい。
本発明におけるジオール成分としては、各種ジオールを用いることができる。例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族ジオール、脂環式ジオールとしてはシクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジエタノール、デカヒドロナフタレンジメタノール、デカヒドロナフタレンジエタノール、ノルボルナンジメタノール、ノルボルナンジエタノール、トリシクロデカンジメタノール、トリシクロデカンエタノール、テトラシクロドデカンジメタノール、テトラシクロドデカンジエタノール、デカリンジメタノール、デカリンジエタノールなどの飽和脂環式1級ジオール、2,6−ジヒドロキシ−9−オキサビシクロ[3,3,1]ノナン、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(スピログリコール)、5−メチロール−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−1,3−ジオキサン、イソソルビドなどの環状エーテルを含む飽和ヘテロ環1級ジオール、その他シクロヘキサンジオール、ビシクロヘキシル−4,4’−ジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシルプロパン)、2,2−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル)プロパン、シクロペンタンジオール、3−メチル−1,2−シクロペンタジオール、4−シクロペンテン−1,3−ジオール、アダマンジオールなどの各種脂環式ジオールや、パラキシレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS,スチレングリコール、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどの芳香環式ジオールが例示できる。またゲル化しない範囲で、ジオール以外にもトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの多官能アルコールも用いることができる。
この中で、沸点230℃以下のジオールであることが好ましく、脂肪族ジオールが好ましい。その中でも、例えば、組成物をフィルムにした際の伸度および柔軟性といった機械的特性の観点からエチレングリコールが特に好ましい。
なお、本発明の効果の範囲を損なわない程度に、他のジカルボン酸やヒドロキシカルボン酸誘導体、ジオールが共重合されていてもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、溶液ヘイズが5%以下であることが好ましい。より好ましくは、3%以下である。この範囲にすることによって、透明性の優れた成形体を得ることができる。そのため、光学フィルムなどに好適である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、155℃、100%RHで4時間処理したときの処理前後のCOOH末端基増加量(ΔCOOH)が80eq/t以下であることが好ましい。より好ましくは、65eq/t以下である。この範囲にすることで、長期使用時に加水分解による劣化の少ない熱可塑性樹脂組成物を提供することが可能となる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐久性の観点からCOOH末端基量が35eq/t以下であることが好ましい。この範囲にすることで、COOH末端基に起因する熱分解や加水分解が起こりにくくなり、耐久性に優れた熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、樹脂組成物中に含まれるDEG量(ジエチレングリコール量)が1.5wt%以下であることが好ましい。DEG量をこの範囲にすることで、耐久性や成形加工性に優れた樹脂組成物を得ることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、有機カチオンと有機酸を脱プロトン化した構造のアニオンからなるイオン塩の含有量が、熱可塑性樹脂の重量を基準として0.01wt%以上含まれていることが好ましい。より好ましくは、0.05wt%以上である。この範囲にすることによって、線状オリゴマーの飛散が少ない熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。イオン塩の含有量の上限は特に設けないが、熱可塑性樹脂組成物の色調が悪化することがあるため、5wt%以下であることが好ましい。
本発明における線状オリゴマーとは、熱可塑性樹脂組成物のオリゴマーを構成するモノマーやそのモノマーが反応して得られる直鎖状のオリゴマーであり、重合度が10以下のものを指す。ただし、本発明において、ポリエステル樹脂組成物の場合は、原料であるジオールは線状オリゴマーとして考えない。
熱可塑性樹脂の一つであるPET(ポリエチレンテレフタレート)を例に挙げると、原料であるテレフタル酸および、テレフタル酸のカルボン酸とエチレングリコールの反応物である、MHET(モノヒドロキシエチルテレフタレート)やBHET(ビスヒドロキシエチルテレフタレート)をはじめ、さらに末端基同士が反応して生成される重合度が10以下の反応生成物のことを指す。
本発明において、有機カチオンと有機酸を脱プロトン化した構造のアニオンからなるイオン塩の線状オリゴマー飛散抑制効果は、イオン塩を含む熱可塑性樹脂組成物を溶融した後急冷し、このサンプルを再加熱した際に飛散してくる線状オリゴマー量を測定することで評価する。
具体例として、熱可塑性樹脂組成物の一つであるポリエステル樹脂組成物を用いた場合の評価方法を説明する。ポリエステル樹脂組成物を窒素雰囲気下、300℃で60分間溶融したサンプルを急冷後、220℃で8時間熱処理し、飛散物を捕集板に付着させる。捕集板の付着物を一定量の有機溶媒に溶解させることで、測定用溶液を作成する。調製した測定溶液は、分光光度計を用いて特定波長の吸光度を測定する。得られた吸光度から、別途作成した検量線を用いて線状オリゴマー飛散量を算出する。詳細な条件については、後述の実施例中の測定方法(7)に記載する。
ここで、捕集板に付着する飛散物の主成分は、PETを例に取ると、テレフタル酸、MHET、BHETといった線状オリゴマーである。つまり、捕集板に付着した飛散物の量が少ないということは、線状オリゴマーの飛散量が少ないということである。線状オリゴマーの飛散量としては、ポリエステル樹脂組成物の場合は45ppm以下であることが好ましい。より好ましく42ppm、さらに好ましくは39ppm以下である。線状オリゴマー飛散量をこの範囲にすることで、成形加工時に問題となる、線状オリゴマーに起因した工程汚れや表面汚れの低減を実現する樹脂組成物を提供することができる。
次に、本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法を示す。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、例えば以下の(1)、(2)の方法によって製造することができるが、これらに限定されるものではない。なお、熱可塑性樹脂組成物を製造するための装置、技術プロセスは通常用いられる装置であればどのような装置とプロセスであっても構わない。
(1)重合反応終了までの任意の間に本発明のイオン塩を添加することで、イオン塩を含有する熱可塑性樹脂組成物を得る方法。
(2)重縮合などの公知の方法を用いて作成した熱可塑性樹脂と、本発明のイオン塩とを混練機を用いて混練することで、イオン液体を含有する熱可塑性樹脂組成物を得る方法。
これらの方法のうち、ポリエステル樹脂組成物などのCOOH末端基を持つ熱可塑性樹脂組成物においては、得られる樹脂組成物のCOOH末端基量を下げ、線状オリゴマーの飛散量が少ない樹脂組成物を得るには、(1)の重合反応終了までの任意の段階で本発明のイオン塩を添加する製造方法が好ましい。
なお、ポリエステル樹脂組成物においては、エステル交換反応またはエステル化反応終了から重合反応を終了するまでの間に本発明のイオン塩を添加することがより好ましい。上記時期に添加を実施すると、イオン塩の分散性が良好であり、また混練工程などの追加工程を実施する必要がない。
(1)の方法で熱可塑性樹脂組成物の一つであるポリエステル樹脂組成物(特にPET組成物)を製造する際の具体例を以下に示すが、これに限定されるものではない。
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレートが仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸、エチレングリコール(テレフタル酸に対し1.15倍モル)のスラリーをスネークポンプにて徐々に添加し、エステル化反応を進行させる。反応系内の温度は245〜255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了とする。
こうして得られた255℃のエステル化反応物に、重縮合触媒、リン化合物、イオン塩を添加する。これらの操作の際は、エステル化物が固化しないように、系内の温度を240〜255℃に保つことが好ましい。
その後、重合装置内の温度を290℃まで徐々に昇温しながら、重合装置内の圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させる。このとき、ポリエステル組成物のCOOH末端基量をより低くしたい場合は、重合温度を低く設定すると良い。所定の撹拌トルクに到達した段階で反応を終了とし、反応系内を窒素ガスで常圧にし、溶融ポリマーを冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ペレット状のポリエステル樹脂組成物を得ることができる。
本発明のポリエステル組成物の製造に用いられる触媒は公知のエステル交換触媒、重縮合触媒、助触媒を用いることができる。例えば、重合触媒としてはアンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物、アルミニウム化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
エステル交換触媒及び助触媒としては、有機マンガン化合物、有機マグネシウム化合物、有機カルシウム化合物、有機コバルト化合物、有機リチウム化合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明のポリエステル樹脂組成物の製造において、得られる樹脂組成物の熱安定性を付与するために、リン化合物を添加してもかまわない。ただし、ここでいうリン化合物は、ホスホニウム系イオン塩などのリンを含む塩は含まない。リン元素を含有することで、樹脂組成物の熱安定性を向上させることができるため、重合後のCOOH末端基量の上昇を抑えることができる。その結果、線状オリゴマーの飛散量を低減することができる。
用いるリン化合物は特に限定しないが、ホスファイト系化合物、ホスフェイト系化合物、ホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物等が挙げられる。具体的には、リン酸、トリメチルホスホノアセテート、トリエチルホスホノアセテート、フェニルホスホン酸ジメチル、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリフェニル等が挙げられる。
リン化合物の添加量には特に制限を設けないが、添加量の下限としては、該ポリエステル樹脂組成物に対して、リン元素量として5ppm以上であることが好ましい。より好ましくは10ppm以上であり、さらに好ましくは20ppm以上である。添加量の上限としては、リン元素量として600ppm以下であることが好ましい。この範囲にすることで、重合の遅延を起こすことがなく、樹脂組成物の熱安定性を良好にすることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法においては、より高分子量の樹脂組成物を得るために、固相重合を実施してもよい。固相重合を実施することで、ポリエステル樹脂組成物中の環状3量体および線状オリゴマーを低減させることができる。固相重合の条件は、特に限定しないが、ポリエステル樹脂組成物の融点−30℃以下乃至融点−60℃以上の温度範囲にて実施することが好ましく、真空度は0.3Torr以下であることが好ましい。固相重合時間は、目的の溶融粘度により、適宜設定されるが、3時間以上、20時間以下とすることが生産タイムサイクルの観点から好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、末端封鎖剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、蛍光増白剤、艶消剤、可塑剤もしくは消泡剤またはその他の添加剤等を必要に応じて配合しても良い。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、透明性、耐久性に優れ、線状オリゴマーの飛散量が少ない熱可塑性樹脂組成物であり、光学用フィルムや離型フィルムなどの高品位フィルム、繊維、成形体など各種用途に好適に用いることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物からなるフィルムは、溶融押出による未延伸フィルムであっても、または1軸延伸、2軸延伸を施した延伸フィルムであっても構わない。フィルムの用途目的に応じて選択できる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物からなるフィルムは、フィルム全体が同じ樹脂で構成される単膜フィルムであっても構わないし、本発明の熱可塑性樹脂組成物からなるフィルム層が少なくとも1層含まれる積層フィルムであっても構わない。単膜フィルムの場合、線状オリゴマー飛散抑制効果が最も発揮されるが、積層フィルムの場合でも他のフィルム層から発生するオリゴマー飛散を抑制する効果が発揮される。
積層フィルムの場合、本発明の熱可塑性樹脂組成物からなるフィルム層を少なくとも片側の表層に有する構成が好ましい。線状オリゴマーの飛散は、フィルム表面から発生するため、前記構成であれば、少なくとも片側表面の線状オリゴマー飛散を抑制することができる。従って、積層フィルムにおいて最も好ましい構成は、本発明の熱可塑性樹脂組成物からなるフィルム層を両表面に配置する構成である。
以下実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例中の物性値は以下の方法で測定した。
(1)熱可塑性樹脂組成物の固有粘度(IV)
o−クロロフェノール溶媒を用い、25℃で測定した。
(2)熱可塑性樹脂組成物のCOOH末端基量
Mauliceの方法によって測定した。(文献 M.J.Maulice, F.Huizinga, Anal.Chem.Acta, 22 363 (1960)) 。
(3)熱可塑性樹脂組成物の透明性(溶液ヘイズ)
熱可塑性樹脂組成物2gを20mlのフェノール/1,1,2,2,テトラクロロエタンの3/2(容積比)混合溶液に溶解し、光路長20mmのセルを用い、ヘイズメーター(スガ試験機社製 HZ−1)によって積分球式光電光度法にて分析を行った。溶液ヘイズが5%以下のとき、透明性が良好であると判断した。
(4)熱可塑性樹脂組成物中のDEG(ジエチレングリコール)量
モノエタノールアミンを溶媒としてポリエステル組成物を溶解し、該溶液に1,6−ヘキサンジオール/メタノール混合溶液を加えて冷却し、テレフタル酸で中和した後、遠心分離した後に、上澄み液をガスクロマトグラフィ(島津製作所社製、GC−14A)にて測定した。
(5)熱可塑性樹脂組成物の色調(L値およびb値)
カラーメーター(スガ試験機(株)製:SM−T45)にて、ポリエステル樹脂組成物の色調を測定した。
(6)熱可塑性樹脂組成物の耐久性(ΔCOOH)
熱可塑性樹脂組成物を155℃、100%RHで4時間加熱処理し、処理前後のCOOH末端基量の差(処理後COOH末端基量−処理前COOH末端基量)を比較した。この時のCOOH末端基量の差(ΔCOOH)が、80eq/t以下であるとき、良好な耐久性を有していると判断した。
(7)線状オリゴマー発生量
直径16.5mm×長さ165mmの試験管に熱可塑性樹脂組成物8gを計量し、真空乾燥機に静置した。10Torr以下まで減圧した後、150℃まで乾燥機内を昇温した。150℃到達後、3時間真空乾燥し、その後乾燥機内を180℃まで昇温した。180℃到達後、7.5時間真空乾燥した。その後、試験管内を窒素雰囲気とした状態で、300℃のオイルバスに試験管を浸し、60分熱処理を行った樹脂組成物を、内径10mmのPTFEチューブで抜き取り、氷水で急冷することで樹脂柱を得た。得られた樹脂柱を5mm角にカットしたサンプルを室温で3時間真空乾燥し、測定用サンプルとした。
得られた測定用サンプル1.5gを、坩堝(型番:CC−るつぼ、B−3、100mL)に均等になるように敷き詰め、坩堝の中心に以下の条件で表面を洗浄したガラス板の中心がくるように、100mm×100mmの透明ガラス板(アルファパーチェスのカタログ番号:313196)をかぶせた。
表面温度を220℃に熱したホットプレート上にガラス板をかぶせたサンプル入り坩堝を設置し、8時間加熱して、飛散物を透明ガラス板に捕集した。透明ガラス板に付着した飛散物を5mLのDMFに溶解させることで、測定用溶液を調製した。得られた測定溶液の波長286nmにおける吸光度を、分光光度計(日立社製U−3010形分光光度計)を用いて測定した。得られた吸光度の値を以下の式(1)に当てはめることで、線状オリゴマー飛散量(ppm)を算出した。線状オリゴマーの飛散量(ppm)が45ppm以下である場合、線状オリゴマー飛散量が少ないと判断した。
Figure 2018052881
式(1)中の記号はそれぞれ、Abs:吸光度、a:検量線の傾き、b:溶媒量(5mL)、c:熱可塑性樹脂量(1.5g)である。
<ガラス板洗浄条件>
ガラス板の両面を水で洗浄した後、両面に洗剤をつけて指でなぞるように洗浄した。洗剤が残らないように水で洗浄した後、エタノールで両面を洗い流した。その後、表面に付着したエタノールがなくなるまで、50℃の熱風乾燥機内で乾燥したものを使用した。
<分光光度計測定条件>
分光光度計は以下の条件で測定を行い、測定セルは石英ガラスセル(T−1−UV−10)を用いた。
・測定波長:320〜220nm
・測定モード:波長スキャン
・データモード:Abs
・スキャンスピード:自動
・サンプリング間隔:0.50nm
・スリット:0.1nm
・セル長:10.0nm
・ピーク検出方法:Rectangular
・ピーク検出感度:2
・ピーク検出しきい値:0.01 。
(8)イオン塩のH−NMR測定
イオン塩をCDClに溶解させた溶液のH−NMRを、日本電子(株)製400MHz核磁気共鳴装置(AL−400)を用いて測定した。
(アミンの沸点および有機酸のpKa)
アミンの沸点および有機酸のpKaを表1に示す。
Figure 2018052881
(合成例1)
トリオクチルアミン3.54g(10mmol)とサリチル酸1.38g(10mmol)をそれぞれ計量し、反応容器に仕込んだ。内容物を室温で1時間撹拌混合し、トリオクチルアンモニウムサリチレート(化学式1、無色〜淡黄色液体)4.92gを得た。
H−NMRの測定結果は次の通りであり、化学式(1)の構造であることを確認した。
H−NMR(CDCl)δ:7.89(1H,dd,J=7.3, 1.8Hz),7.28(1H,ddd,J=8.2,7.3,1.8 Hz),6.88 (1H,dd,J=8.2,1.3Hz),6.73 (1H,td,J=7.3,1.3Hz),3.02−2.98(6H, m),1.74−1.66(6H,m),1.36−1.21(30H,m), 0.87(9H,t,J=6.8Hz).
Figure 2018052881
(合成例2)
ジメチルステアリルアミン2.98g(10mmol)とサリチル酸1.38g(10mmol)をそれぞれ計量し、反応容器に仕込んだ。内容物を140℃に加熱し、溶解させた後、140℃のまま1時間加熱撹拌した。その後、室温に冷却することで、ジメチルステアリルアンモニウムサリチレート(化学式2、白色固体)4.36gを得た。
H−NMRの測定結果は次の通りであり、化学式(2)の構造であることを確認した。
H−NMR(CDCl)δ:7.89(1H,dd,J=7.7, 1.8Hz),7.30(1H,ddd,J=8.2,7.3,1.8 Hz),6.90(1H,dd,J=8.2,1.3Hz),6.80 (1H,ddd,J=7.7,7.3,1.3Hz),2.98−2.93(2H,m),2.78(6H,s),1.75(2H,tt,J=14.8,7.3Hz),1.34−1.22(30H,m),0.88(3H,t,J=6.9Hz).
Figure 2018052881
(合成例3)
ジメチルパルミチルアミン2.70g(10mmol)とサリチル酸1.38g(10mmol)をそれぞれ計量し、反応容器に仕込んだ。内容物を140℃に加熱し、溶解させた後、140℃のまま1時間加熱撹拌した。その後、室温に冷却することで、ジメチルパルミチルアンモニウムサリチレート(化学式3、白色固体)4.08gを得た。
H−NMRの測定結果は次の通りであり、化学式(3)の構造であることを確認した。
H−NMR(CDCl)δ:7.89(1H,dd,J=7.6, 1.6Hz),7.30(1H,ddd,J=8.2,7.3,1.6 Hz),6.90(1H,dd,J=8.2,1.0Hz),6.79 (1H,ddd,J=7.6,7.3,1.0Hz),2.96−2.90(2H,m),2.76(6H,s),1.75(2H,tt,J=14.8,7.3Hz),1.42−1.18(26H,m),0.88(3H,t,J=6.9Hz).
Figure 2018052881
(合成例4)
ジメチルミリスチルアミン2.42g(10mmol)とサリチル酸1.38g(10mmol)をそれぞれ計量し、反応容器に仕込んだ。内容物を140℃に加熱し、溶解させた後、140℃のまま1時間加熱撹拌した。その後、室温に冷却することで、ジメチルミリスチルアンモニウムサリチレート(化学式5、白色固体)3.80gを得た。
H−NMRの測定結果は次の通りであり、化学式(4)の構造であることを確認した。
H−NMR(CDCl)δ:7.89(1H,dd,J=7.7, 1.6Hz),7.30(1H,ddd,J=8.2,7.3,1.6 Hz),6.90(1H,dd,J=8.2,1.0Hz),6.80 (1H,ddd,J=7.7,7.3,1.0Hz),2.98−2.94(2H,m),2.78(6H,s),1.76(2H,tt,J= 15.2,7.6Hz),1.41−1.18(22H,m),0.88(3H,t,J=6.9Hz).
Figure 2018052881
(合成例5)
ジラウリルメチルアミン3.68g(10mmol)とサリチル酸1.38g(10mmol)をそれぞれ計量し、反応容器に仕込んだ。内容物を室温で1時間撹拌混合し、ジジラウリルメチルアンモニウムサリチレート(化学式5、淡黄色液体)5.06gを得た。
H−NMRの測定結果は次の通りであり、化学式(5)の構造であることを確認した。
H−NMR(CDCl)δ:7.89(1H,dd,J=7.7, 1.5Hz),7.29(1H,ddd,J=8.2,7.3,1.6 Hz),6.89(1H,dd,J=8.2,1.0Hz),6.79 (1H,ddd,J=7.7,7.3,1.0Hz),2.98(4H, br),2.75(3H,s),1.77−1.69(4H,m),1.39−1.22(36H,m),0.88(6H,t,J=7.3Hz).
Figure 2018052881
(合成例6)
トリベンジルアミン2.87g(10mmol)とサリチル酸1.38g(10mmol)をそれぞれ計量し、反応容器に仕込んだ。内容物を140℃に加熱し、溶解させた後、140℃のまま1時間加熱撹拌した。その後、室温に冷却することで、トリベンジルアンモニウムサリチレート(化学式6、淡黄色の粘性液体)4.25gを得た。
H−NMRの測定結果は次の通りであり、化学式(6)の構造であることを確認した。
H−NMR(CDCl)δ:7.95(1H,dt,J=8.0, 1.6Hz),7.49−7.41(6H,m),7.34(6H,tt, J=7.3,1.3Hz),7.31−7.24(4H,m),6.98 (1H,dd,J=8.6,1.0Hz),6.90(1H,ddd, J=7.8,7.3,1.3Hz),3.80(6H,s).
Figure 2018052881
(合成例7)
ジオクチルアミン2.42g(10mmo1)とサリチル酸1.38g(10mmol)をそれぞれ計量し、反応容器に仕込んだ。内容物を室温で1時間撹拌混合し、ジオクチルアンモニウムサリチレート(化学式7、淡黄色液体)3.80gを得た。
H−NMRの測定結果は次の通りであり、化学式(7)の構造であることを確認した。
H−NMR(CDCl)δ:7.80(1H,dd,J=7.7,1.8Hz),7.31(1H,ddd,J=8.2,7.3, 1.6Hz),6.90(1H,d,J=8.2Hz),6.79 (1H,t,J=7.3Hz),2.94−2.88(4H,m), 1.76(3H,tt,J=15.5,7.3Hz),1.35−1.16(20H,m),0.84(6H,t,J=6.6 Hz).
Figure 2018052881
(合成例8)
ビス(2−エチルヘキシル)アミン2.42g(10mmo1)とサリチル酸1.38g(10mmol)をそれぞれ計量し、反応容器に仕込んだ。内容物を室温で1時間撹拌混合し、ビス(2−エチルヘキシル)アンモニウムサリチレート(化学式8、淡黄色液体)3.80gを得た。
H−NMRの測定結果は次の通りであり、化学式(8)の構造であることを確認した。
H−NMR(CDCl)δ:7.81(1H,d,J=7.6Hz),7.30(1H,ddd,J=8.2,7.3,1.6Hz), 6.89(1H,dd,J=8.2,1.0Hz),6.78(1H, ddd,J=7.6,7.3,1.0Hz),2.87(4H,d,J =6.6Hz),1.82(2H,ttt,J=12.5,6.3,5.9 Hz),1.53−1.40(4H,m),1.40−1.31(4H,m), 1.29−1.18(8H,m),0.89−0.79(12H,m).
Figure 2018052881
(合成例9)
3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン1.87g(10mmo1)とサリチル酸1.38g(10mmol)をそれぞれ計量し、反応容器に仕込んだ。内容物を室温で1時間撹拌混合し、3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアンモニウムサリチレート(化学式9、オレンジ色液体)3.25gを得た。
H−NMRの測定結果は次の通りであり、化学式(9)の構造であることを確認した。
H−NMR(CDCl)δ:7.81(1H,dd,J=7.9, 1.6Hz),7.32(1H,ddd,J=8.2,7.3,1.6 Hz),6.90(1H,dd,J=8.2,0.9Hz),6.79 (1H,td,J=7.3,0.9Hz),3.52(2H,t,J =5.4Hz),3.30−3.21(2H,m),3.14(2H,t, J=6.3Hz),1.90(2H,tt,J=11.5,5.6Hz),1.50−1.40(1H,m),1.34−1.17(8H,m),0.86(3H,t,J=6.8Hz),0.82(3H,t,J=7.6Hz).
Figure 2018052881
(合成例10)
トリオクチルアミン3.54g(10mmol)と酢酸0.60g(10mmol)をそれぞれ計量し、反応容器に仕込んだ。内容物を室温で1時間撹拌混合し、トリオクチルアンモニウムアセテート(化学式10、透明〜淡黄色液体)4.04gを得た。
H−NMRの測定結果は次の通りであり、化学式(10)の構造であることを確認した。
H−NMR(CDCl)δ:2.74−2.68(6H,m),1.99(3H,s),1.60−1.50(6H,m),1.33−1.23(30H,m),0.88(9H,t,J=7.3Hz).
Figure 2018052881
(合成例11)
トリオクチルアミン3.54g(10mmol)とメタンスルホン酸0.96g(10mmol)をそれぞれ計量し、反応容器に仕込んだ。内容物を室温で1時間撹拌混合し、トリオクチルアンモニウムメタンスルホネート(化学式11、淡黄色液体)4.46gを得た。
H−NMRの測定結果は次の通りであり、化学式(11)の構造であることを確認した。
H−NMR(CDCl)δ:3.04−2.96(6H,m),2.78(3H,s),1.77−1.67(6H,m),1.39−1.22(30H,m),0.88(9H,t,J=6.9Hz).
Figure 2018052881
(合成例12)
トリオクチルアミン3.54g(10mmol)と安息香酸1.22g(10mmol)をそれぞれ計量し、反応容器に仕込んだ。内容物を室温で1時間撹拌混合し、トリオクチルアンモニウムベンゾエート(化学式12、透明〜淡黄色液体)4.76gを得た。
H−NMRの測定結果は次の通りであり、化学式(12)の構造であることを確認した。
H−NMR(CDCl)δ:8.06(2H,dd,J=6.9, 1.6Hz),7.46−7.34(3H,m),2.91−2.83(6H, m),1.68−1.59(6H,m),1.35−1.20(30H,m), 0.87(9H,t,J=6.9Hz).
Figure 2018052881
(実施例1)
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させた。反応系内の温度は245〜255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了とした。
こうして得られた255℃のエステル化反応物105重量部(PET100重量部相当)を重合装置に移送した後、リン酸トリメチル0.02重量部を添加し、5分攪拌した。次に、合成例1のイオン塩(トリオクチルアンモニウムサリチレート)0.1重量部を添加し、5分撹拌した後、三酸化二アンチモン0.01重量部を添加した。
その後、重合装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.65相当の溶融粘度に到達した時点で、反応を終了とし、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物の特性を表2に示す。
実施例1で得られた熱可塑性樹脂組成物は、透明性、色調、耐久性いずれも良好であり、線状オリゴマー飛散量も少なかった。
(実施例2〜6)
添加するイオン塩を表2のとおりに合成例2〜6のイオン塩に変更した以外は、実施例1と同様の方法で熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物の特性を表2に示す
実施例2〜6で得られた熱可塑性樹脂組成物は、透明性、色調、耐久性いずれも良好であり、線状オリゴマー飛散量も少なかった。
Figure 2018052881
(比較例1)
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させた。反応系内の温度は245〜255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了とした。
こうして得られた255℃のエステル化反応物105重量部(PET100重量部相当)を重合装置に移送した後、リン酸トリメチル0.02重量部を添加し、10分撹拌した後、三酸化二アンチモン0.01重量部を添加した。
その後、重合装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.65相当の溶融粘度に到達した時点で、反応を終了とし、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物の特性を表3に示す。
得られた熱可塑性樹脂組成物は、本発明のイオン塩を使用していないため、線状オリゴマーの飛散量が多い結果となった。
(比較例2)
イオン塩としてテトラブチルアンモニウムブロミドを添加した以外は、実施例1と同様の方法で熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物の特性を表3に示す
得られた熱可塑性樹脂組成物は、有機酸を脱プロトン化した構造のアニオンを持つイオン塩を使用していないため、線状オリゴマーの飛散量が多い結果となった。
(比較例3)
イオン塩として酢酸アンモニウムを添加した以外は、実施例1と同様の方法で熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物の特性を表3に示す。
得られた熱可塑性樹脂組成物は、有機カチオンを持つイオン塩を使用していないため、線状オリゴマーの飛散量が多い結果となった。
(比較例4)
イオン塩として、酢酸ナトリウムを添加した以外は、実施例1と同様の方法で熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物の特性を表3に示す。
得られた熱可塑性樹脂組成物は、有機カチオンを持つイオン塩を使用していないため、線状オリゴマーの飛散量が多い結果となり、透明性も不良であった。
Figure 2018052881
(実施例7〜12)
添加するイオン塩を表4のとおりに合成例7〜12のイオン塩に変更した以外は、実施例1と同様の方法で熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物の特性を表4に示す。実施例7〜10および12で得られた熱可塑性樹脂組成物は、透明性、耐久性いずれも良好であり、線状オリゴマー量も少なかった。
実施例11で得られた熱可塑性樹脂組成物は、透明性が良好であり、線状オリゴマー量も少なかった。
Figure 2018052881
(実施例13〜17)
合成例1のイオン塩の量を表5の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法で熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物の特性を表5に示す。
実施例13〜17で得られた熱可塑性樹脂組成物は、透明性、色調、耐久性いずれも良好であり、線状オリゴマー飛散量も少なかった。
(実施例18)
(参考例1)ポリエチレンテレフタレートの合成方法
255℃にて溶解したビスヒドロキシエチルテレフタレート105重量部が仕込まれたエステル化反応器に、テレフタル酸86重量部とエチレングリコール37重量部(テレフタル酸に対し1.15倍モル)からなるスラリーを徐々に添加し、エステル化反応を進行させた。反応系内の温度は245〜255℃になるようにコントロールし、反応率が95%に到達した段階でエステル化反応を終了とした。
こうして得られた255℃のエステル化反応物105重量部(PET100重量部相当)を重合装置に移送した後、リン酸トリメチル0.02重量部を添加し、10分攪拌した後、三酸化二アンチモン0.01重量部を添加した。
その後、重合装置内温度を徐々に290℃まで昇温しながら、重合装置内圧力を常圧から133Pa以下まで徐々に減圧してエチレングリコールを留出させた。固有粘度0.70相当の溶融粘度に到達した時点で、反応を終了とし、反応系内を窒素ガスにて常圧にし、重合装置下部より冷水にストランド状に吐出、カッティングし、ペレット状の熱可塑性樹脂を得た。
前記参考例1にて得られたポリエチレンテレフタレート樹脂を160℃、5時間で真空乾燥した、次いで該ポリエチレンテレフタレート100重量部に対して、合成例1のイオン塩を1.0重量部の配合比でベント付2軸押出機に供給し、温度280度で溶融押出を行った。吐出したストランド状ポリマーを水中で冷却し、ペレタイザーにてカットすることで、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物の特性を表5に示す。
得られた熱可塑性樹脂組成物は、透明性に優れ、線状オリゴマー飛散量も少なかったが、実施例17と比較すると、b値の上昇と、熱可塑性樹脂組成物のCOOH末端基が増加したことによる耐久性の低下が見られた。
Figure 2018052881

Claims (16)

  1. 有機カチオンと有機酸を脱プロトン化した構造のアニオンからなることを特徴とするイオン塩。
  2. アニオンが、カルボン酸イオン、有機リン酸イオン、スルホン酸イオンから選ばれることを特徴とする請求項1に記載のイオン塩。
  3. アニオンが、芳香族カルボン酸イオンであることを特徴とする請求項1または2に記載のイオン塩。
  4. 有機酸のpKaが正の値であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のイオン塩。
  5. 有機カチオンの構造が含窒素化合物をプロトン化したものであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のイオン塩。
  6. 有機カチオンの構造が沸点260℃以上の含窒素化合物をプロトン化したものであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のイオン塩。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載のイオン塩を含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  8. 熱可塑性樹脂がポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項7に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  9. 溶液ヘイズが5%以下であることを特徴とする請求項7または8に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  10. 155℃、100%RHで4時間処理した場合のCOOH末端基増加量(ΔCOOH)が80eq/t以下であることを特徴とする請求項7から9のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  11. 樹脂組成物中に含まれるDEG量が1.5wt%以下であることを特徴とする請求項8から10のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
  12. 請求項1から6のいずれかに記載のイオン塩と熱可塑性樹脂を混合することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  13. ジカルボン酸成分とジオール成分を用い、ポリエステルを製造する方法において、エステル交換反応またはエステル化反応開始から重縮合反応を終了するまでの間に請求項1から6のいずれかに記載のイオン塩を添加することを特徴とするポリエステル樹脂組成物の製造方法。
  14. 請求項7から11のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物からなるフィルム。
  15. 請求項7から11のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物からなるフィルム層を少なくとも1層有するフィルム。
  16. 請求項7から11のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物からなるフィルム層を少なくとも片側の表層に有するフィルム。
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