JP4886218B2 - 再生樹脂組成物および再生樹脂組成物の製造方法 - Google Patents
再生樹脂組成物および再生樹脂組成物の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4886218B2 JP4886218B2 JP2005162600A JP2005162600A JP4886218B2 JP 4886218 B2 JP4886218 B2 JP 4886218B2 JP 2005162600 A JP2005162600 A JP 2005162600A JP 2005162600 A JP2005162600 A JP 2005162600A JP 4886218 B2 JP4886218 B2 JP 4886218B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- component
- weight
- resin composition
- fibrous filler
- parts
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Description
また芳香族ポリカーボネート樹脂、炭素繊維、およびパーフルオロブタンスルホン酸カリウム塩からなる樹脂組成物も公知である(特許文献11参照)。
(i)該成形品粉砕物(B成分)は、100重量部の熱可塑性硬質ポリマー(Ba成分)および3〜200重量部の繊維状充填材(Bb成分)からなる樹脂組成物より形成され、該Ba成分における芳香族ポリカーボネート(Ba−1成分)の割合は50〜100重量%であり、かつ該Bb成分における集束剤の水系エマルション液を用いて集束処理された繊維状充填剤の割合は50〜100重量%であり、
(ii)100重量部のAa成分を基準として、B成分は5〜200重量部、Ab成分は0〜200重量部であり、並びに
(iii)該再生樹脂組成物は、100重量部の熱可塑性硬質ポリマー(Ca成分)を基準として3〜200重量部の繊維状充填材(Cb成分)を含有してなる
ことを特徴とする再生樹脂組成物により達成される。
尚、成形品破砕物の再生樹脂組成物100重量%中での割合は、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは10〜35重量%である。
成分の名称; 成分の内容
A成分; バージン原料
Aa成分; バージンの熱可塑性硬質ポリマー
Aa−1成分; バージンの芳香族ポリカーボネート
Ab成分; バージンの繊維状充填材
Ab−1成分; バージンの水系エマルション集束された繊維状充填材
Ac成分; バージンの有機金属塩系難燃剤
B成分; 成形品粉砕物
Ba成分; B成分中の熱可塑性硬質ポリマー
Ba−1成分; B成分中の芳香族ポリカーボネート
Bb成分; B成分中の繊維状充填材
Bb−1成分; B成分中の水系エマルション集束された繊維状充填材
Bc成分; B成分中の有機金属塩系難燃剤
Ca成分; 再生樹脂組成物中の熱可塑性硬質ポリマー
Ca−1成分; 再生樹脂組成物中の芳香族ポリカーボネート
Cb成分; 再生樹脂組成物中の繊維状充填材
Cb−1成分; 再生樹脂組成物中の水系エマルション集束された繊維状充填材
Cc成分; 再生樹脂組成物中の有機金属塩系難燃剤
本発明の再生樹脂組成物は、バージン原料として強化充填材を全く配合されなくともよい。かかる場合には、成形品粉砕物中の繊維状充填材によって、再生樹脂組成物が強化される。しかしながら、かかる場合には繊維の折れによる特性低下がバージン原料からの組成物に比較して大きくなりやすい。よってバージンの強化充填材を配合して、かかる繊維の折れの悪影響を補うのがよい。特にバージンの強化充填材が繊維状充填材であれば、かかる補強効果が大きく、折れの悪影響を十分に緩和できる。
(I)バージン熱可塑性硬質ポリマー(Aa成分)、成形品粉砕物(B成分)、および必要に応じてバージン繊維状充填材(Ab成分)を準備する工程(工程−I)、但し該成形品粉砕物(B成分)は、芳香族ポリカーボネート(Ba−1成分)50〜100重量部を含有する熱可塑性硬質ポリマー(Ba成分)100重量部に、集束剤の水系エマルション液を用いて集束処理された繊維状充填剤(Bb−1成分)3〜200重量部が配合されてなる樹脂組成物から形成されている、
(II)100重量部のバージン熱可塑性硬質ポリマー(Aa成分)を基準として、5〜200重量部の成形品粉砕物(B成分)および0〜200重量部のバージン繊維状充填材(Ab成分)を溶融混練機に供給する工程(工程−II)、並びに
(III)該溶融混練機に供給された成分を溶融混練し、100重量部の熱可塑性硬質ポリマー(Ca成分)を基準として3〜200重量部の繊維状充填材(Cb成分)を含有してなる再生樹脂組成物を得る工程(工程−III)
からなることを特徴とする再生樹脂組成物の製造方法が提供される。
(B成分:成形品粉砕物について)
本発明でいう「成形品の粉砕物」とは、(i)成形品が製品の一部として市場で使用され、消費者等においてその製品の使用期間が終了し、回収された成形品の粉砕物、並びに(ii)市場に出る前の成形の過程で発生する不良品やスプルー、ランナーなどの成形工程で付随して発生する成形物、および製品化工程での不良品、在庫として不用になった成形品などバージンペレットを少なくとも一度加工した成形物の粉砕物を指す。これら(i)および(ii)を広く成形品の粉砕物として本発明に使用することができる。
上記の成形品粉砕物に対して、A成分のバージン原料とは、樹脂組成物を構成するための原材料として未だ使用されてない原材料をいう。したがって、一度、樹脂組成物を製造するために使用された成形物粉砕物中の熱可塑性硬質ポリマーおよび繊維状充填材とは明確に区別される。これらバージン材料の形態は、粉状、ペレット状、チップ状、または球状など通常使用される各種の形態を取ることができる。ここでペレット状とは円形状または楕円形状の断面を持つ円柱状の粒体であり、その断面の長径は1〜4mm、長さは2〜6mmが好ましい。また既に各種の添加剤を混合された状態のものも使用可能である。
本発明で使用される繊維状充填材の集束剤について説明する。尚、本発明の成形品粉砕物および得られる再生樹脂組成物は、水系エマルション集束された繊維状充填材を必須成分として含有することは上記のとおりである。一方本発明の再生樹脂組成物は、それ以外の繊維状充填材の含有を排除しているわけではない。即ち、バージンの繊維状充填材は必ずしも水系エマルション集束された繊維状充填材に限られず、また成形品粉砕物中にも、水系エマルション集束された繊維状充填材に加えて、該充填材以外の繊維状充填材を含有してもよい。かかる前提の下で以下に、水系エマルション集束された繊維状充填材とそれ以外とをまとめて説明する。但し、繊維状充填材のすべてが水系エマルション集束された繊維状充填材である態様がより好ましい。
本発明の繊維状充填材として、炭素繊維、または炭素繊維とガラス繊維との組合せが好適であることは上述のとおりである。
ガラス繊維は、当業者にとって周知のものであり、且つ多数の業者から入手可能である。本発明で使用されるガラス繊維としては、Aガラス、Cガラス、Eガラス等のガラス組成を特に限定するものではなく、場合によりTiO2、SO3、P2O5等の成分を含有するものであってもよい。但し、Eガラス(無アルカリガラス)がより好ましい。ガラス繊維は、溶融ガラスを種々の方法にて延伸しながら急冷し、所定の繊維状にしたものである。かかる場合の急冷および延伸についても特に限定されるものではない。また、断面の形状は真円状の他に、楕円状、マユ状、および三つ葉状などの真円以外の形状であってもよい。更に真円状ガラスファイバーと真円以外の形状のガラスファイバーが混合したものでもよい。
本発明の熱可塑性硬質ポリマーとは、非晶性ポリマーにおいては少なくともそのガラス転移温度が40℃以上であるポリマーをいい、結晶性ポリマーの場合にはその融点が40℃以上であるポリマーをいう。これらのガラス転移温度および融点はJIS K7121に準拠した示差走査熱量計(DSC)測定により求めることが可能である。
本発明の再生樹脂組成物は、芳香族ポリカーボネートを必須成分とする。その中でも特に、再生樹脂組成物中の熱可塑性硬質ポリマーが実質的に芳香族ポリカーボネートからなる態様が好ましい。
(1)該ポリカーボネートを構成する二価フェノール成分100モル%中、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(以下“BPM”と略称)成分が20〜80モル%(より好適には40〜75モル%、さらに好適には45〜65モル%)であり、かつ9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(以下“BCF”と略称)成分が20〜80モル%(より好適には25〜60モル%、さらに好適には35〜55モル%)である共重合ポリカーボネート。
(2)該ポリカーボネートを構成する二価フェノール成分100モル%中、ビスフェノールA成分が10〜95モル%(より好適には50〜90モル%、さらに好適には60〜85モル%)であり、かつBCF成分が5〜90モル%(より好適には10〜50モル%、さらに好適には15〜40モル%)である共重合ポリカーボネート。
(3)該ポリカーボネートを構成する二価フェノール成分100モル%中、BPM成分が20〜80モル%(より好適には40〜75モル%、さらに好適には45〜65モル%)であり、かつ1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン成分が20〜80モル%(より好適には25〜60モル%、さらに好適には35〜55モル%)である共重合ポリカーボネート。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−4M0.83
c=0.7
有機金属塩系難燃剤は、芳香族ポリカーボネートの難燃剤として数多く提案されている。本発明において最も有利に使用される有機金属塩系難燃剤は、含フッ素有機金属塩化合物である。本発明の含フッ素有機金属塩化合物とは、フッ素置換された炭化水素基を有する有機酸からなるアニオン成分と金属イオンからなるカチオン成分からなる金属塩化合物をいう。より好適な具体例としては、フッ素置換有機スルホン酸の金属塩、フッ素置換有機硫酸エステルの金属塩、およびフッ素置換有機リン酸エステルの金属塩が例示される。含フッ素有機金属塩化合物は1種もしくは2種以上を混合して使用することができる。その中でも好ましいのはフッ素置換有機スルホン酸の金属塩であり、とくに好ましいのはパーフルオロアルキル基を有するスルホン酸の金属塩である。ここでパーフルオロアルキル基の炭素数は、1〜18の範囲が好ましく、1〜10の範囲がより好ましく、更に好ましくは1〜8の範囲である。
上記の中でも好ましいフッ素原子を含有しない有機スルホン酸の金属塩は、芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩であり、特にカリウム塩が好適である。
本発明における樹脂組成物には、更には必要に応じ、離型剤(例えば、脂肪酸エステル、ポリオレフィンワックス、シリコーン化合物、およびフッ素オイルなど)、有機金属塩系難燃剤以外の難燃剤(例えば、臭素化エポキシ樹脂、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリカーボネート、臭素化ポリアクリレート、アリールホスフェートオリゴマー、およびシリコーン系難燃剤など)、難燃助剤(例えば、アンチモン酸ナトリウム、および三酸化アンチモンなど)、滴下防止剤(フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンに代表される)、酸化防止剤(例えば、ヒンダードフェノール系化合物、およびイオウ系酸化防止剤など)、紫外線吸収剤、光安定剤、折れ抑制剤(例えば、α−オレフィンと無水マレイン酸との共重合体、および炭素数4〜20のアルキルアルコキシシラン化合物など)、摺動剤(例えばPTFE粒子および高分子量ポリエチレン粒子など)、着色剤(例えばカーボンブラックおよび酸化チタンなどの顔料、並びに染料)、光拡散剤、無機系蛍光体(例えばアルミン酸塩を母結晶とする蛍光体)、帯電防止剤、導電剤(例えばカーボンブラック、気相成長炭素繊維、およびカーボンナノチューブなど)、流動改質剤(ポリカプロラクトン、およびスチレン系オリゴマーなど)、無機もしくは有機の抗菌剤、光触媒系防汚剤(微粒子酸化チタン、および微粒子酸化亜鉛など)、赤外線吸収剤(ATO微粒子、ITO微粒子、ホウ化ランタン微粒子、ホウ化タングステン微粒子、およびフタロシアニン系金属錯体など)、フォトクロミック剤、並びに蛍光増白剤などが配合できる。
本発明の再生樹脂組成物は、少なくともバージンの熱可塑性硬質ポリマーと成形品粉砕物とを溶融混練して製造される。本発明においては特にその溶融混練方法や装置は特に限定されない。溶融混練機として、例えばロールミル、インターナルミキサー(バンバリーミキサーなど)、および押出機などが例示される。しかしながら中でも押出機は、溶融混練とその後の該溶融混練物からの分解物の除去とが連続的に行えることから、本発明の再生樹脂組成物の製造が効率的に実施できる点で好ましい。殊に、本発明の再生樹脂組成物の製造が、少なくとも1個の減圧されたベントを備えてなるベント式押出機を用いて行われ、かつ上記溶融混練物からの分解物の除去は、かかる減圧されたベントで行われることが効率的であり好ましい。
上記の如く、押出された再生樹脂組成物は、通常直接切断してペレット化するか、またはストランドを形成した後かかるストランドをペレタイザーで切断してペレット化される。ペレット化に際して外部の埃などの影響を低減する必要がある場合には、押出機周囲の雰囲気を清浄化することが好ましい。得られたペレットの形状は、円柱、角柱、および球状など一般的な形状を取り得るが、より好適には円柱である。かかる円柱の直径は好ましくは1〜5mm、より好ましくは1.5〜4mm、さらに好ましくは2〜3.3mmである。一方、円柱の長さは好ましくは1〜30mm、より好ましくは2〜5mm、さらに好ましくは2.5〜3.5mmである。通常ペレタイザーの後工程において設置された分級機によって所定の大きさのペレットが選別される。更に必要に応じて磁力選別機を用いて、再生樹脂組成物製造のための原料中、および得られた再生樹脂組成物のペレット中に不要な金属成分が含まれないかを確認することが好ましい。
本発明の再生樹脂組成物からなる成形品は、通常そのペレットを射出成形して得ることができる。かかる射出成形においては、通常の成形方法だけでなく、射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、発泡成形(超臨界流体を注入する方法を含む)、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、二色成形、サンドイッチ成形、および超高速射出成形などを挙げることができる。また成形はコールドランナー方式およびホットランナー方式のいずれも選択することができる。
さらに本発明の再生樹脂組成物から形成された成形品には、各種の表面処理を行うことが可能である。ここでいう表面処理とは、蒸着(物理蒸着、化学蒸着など)、メッキ(電気メッキ、無電解メッキ、溶融メッキなど)、塗装、コーティング、並びに印刷などの樹脂成形品の表層上に新たな層を形成させるものであり、通常の樹脂成形品に用いられる方法が適用できる。表面処理としては、具体的には、塗装、ハードコート、撥水・撥油コート、紫外線吸収コート、赤外線吸収コート、並びにメタライジング(蒸着など)などの各種の表面処理が例示される。
以上のごとく、本発明の再生樹脂組成物が奏する工業的効果は極めて大である。
(I)評価項目
(I−1)耐湿熱性
厚み2mmの板状試験片を恒温恒湿試験機(タバイエスペック(株)製プラチナスF)を用いて、温度85℃、相対湿度85%の条件下で合計1000時間処理した。500時間経過時および1000時間経過時において、試験片を取り出し、それらの粘度平均分子量を測定した。かかる測定によりバージン原料のみからなる(即ちリサイクル0回)の組成物とリサイクルが5回行われた組成物との間で湿熱劣化の程度を比較した。
(I−2)曲げ弾性率
ISO178に準拠して曲げ弾性率(MPa)を測定した。試験片形状は、長さ80mm×幅10mm×厚み4mmであった。なお、圧子の降下速度は2mm/minで行なった。
(I−3)成形収縮率
幅50mm×長さ100mm×厚み4mmの角板を同一の条件で射出成形により成形し、温度23℃、相対湿度50%の雰囲気で24時間放置した後、かかる角板寸法を3次元測定機(ミツトヨ(株)製)により測定し、成形収縮率を算出した。
(I−4)燃焼性
UL規格94Vに従い表2〜5に記載した厚みの試験片を用い、燃焼試験を実施した。
(II−1)バージンペレットの製造
表1記載の配合割合からなる樹脂組成物を以下の要領で作成した。尚、説明は以下の表中の記号にしたがって説明する。表1に記載の成分のうち、繊維状充填材を除いた成分をV型ブレンダーにて混合して混合物を作成した。尚、PC以外の少量の添加剤は、その含有率が10重量%となる予備混合物を、スーパーミキサーを用いて製造した。かかる複数の予備混合物を残りのPCと共にV型ブレンダーで均一に混合した。
上記(II−1)で得られたペレットを120℃で6時間、熱風循環式乾燥機を用いて乾燥した。かかる乾燥直後のペレットを射出成形機(東芝機械(株)IS150EN−5Y)を用いて、上記評価項目に必要な成形品を成形した。成形条件はシリンダー温度300℃、および金型温度100℃とした。成形された試験片のうち一部をランダムに抜き取り、かかる抜き取り試験片を上記の評価に供した。
上記(II−2)で得られた成形品のうち、評価に供しなかったものをスプルーおよびランナーを含めて、直径8mmの小孔を多数有する金属製スクリーンを設置した粉砕機((株)朋来鉄工所製SB−210)にて、70kg/hの処理能力で破砕した。
上記(II−3)で得られた成形品粉砕物x重量部とバージン原料y重量部との合計x+y=100重量部を溶融混合することにより、リサイクル1回目の再生樹脂組成物を製造した。かかる場合、リサイクル率がx%であると称する。バージン原料中の各成分の含有割合は、各参考例のバージンペレットの製造における各成分の含有割合と同一とした。したがって、同一の構成成分からなるクローズドリサイクルされた再生樹脂組成物を製造した。成形品粉砕物を繊維状充填材と同じ供給口に供給したこと、並びに実施例3、6、9、12、15および18において減圧度を70kPaとしたことを除き、バージンペレットの製造と同様の押出機および条件でペレットの製造を行った。
上記(II−4)で得られたリサイクル1回目のペレットを、上記(II−2)および(II−3)と同様にして成形および粉砕し、更に上記(II−4)と同様にして再生樹脂組成物のペレットを製造した。同様の操作を計5回繰り返し、リサイクル5回目の再生樹脂組成物からなる成形品を得た。即ち、かかる成形品はリサイクル率x%のリサイクルを5回繰り返した後の再生樹脂組成物である。得られた成形品から、ランダムに抽出された成形品を用いて、再生樹脂組成物の効果を確認した。
(a成分:熱可塑性硬質ポリマー)
PC−1:粘度平均分子量22,500の直鎖状芳香族ポリカーボネート樹脂パウダー(帝人化成(株)製パンライトL−1225WP(商品名))
PC−2:粘度平均分子量19,700の直鎖状芳香族ポリカーボネート樹脂パウダー(帝人化成(株)製パンライトL−1225WX(商品名))
CF−1:強制乳化タイプのビスフェノールA型エポキシ樹脂の水系エマルション液とポリウレタン樹脂で集束処理された炭素繊維のチョップドストランド(東邦テナックス(株)製ベスファイト HTA−C6−UA L1(商品名)、繊維直径7μm、繊維長6mm、集束剤付着量2.5重量%)
CF−2:下記の製法で製造されたエポキシ樹脂およびウレタン樹脂で集束処理された炭素繊維
炭素繊維ストランドの原糸として上記CF−1と同じものを用いた(東邦テナックス(株)製、直径7μm×12,000本フィラメント)。ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製エピコート828)をノニオン系界面活性剤(旭電化(株)製ポリオキシエチレン・ポリプロピレングリコール)を用いて濃度40g/lの水系エマルションに調整した。かかるエマルションに炭素繊維ストランドを浸漬させることにより炭素繊維表面にエマルションを付着させた後に乾燥し、エポキシ樹脂の付着量が1.3重量%のストランドを作成した。次に自己乳化タイプの非芳香族ポリウレタンエマルション溶液であるディスパコールU54(バイエル社製)のエマルションに浸漬し、その後120℃の乾燥機にて乾燥させた後、繊維長6mmに切断した。集束剤付着量の合計は2.5重量%であった。
CS:アミノシラン処理の後、自己乳化タイプのポリウレタン樹脂を主体とする集束剤の水系エマルションで集束処理されたガラス繊維(日本電気硝子(株)製ECS−03−T511(商品名)、繊維径13μm、カット長3mm、集束剤付着量0.6重量%)
C−1:弗化物イオン量40ppmのパーフルオロブタンスルホン酸カリウム塩(バイエル社製BayowetC4)
C−2:上記C−1を下記方法により精製処理して得られた弗化物イオン量1ppmのパーフルオロブタンスルホン酸カリウム塩
C−1:100重量部、イオン交換水:400重量部を温度計および撹拌装置を備えたガラスフラスコに仕込んだ後80℃まで昇温し、窒素気流下0.5時間攪拌を続けた後室温(23℃)まで冷却し、析出した結晶を濾過によってとり出した。その結晶をイオン交換水:700重量部により洗浄し、これをさらにメタノール600重量部で洗浄した。続いてイオン交換水600重量部で洗浄後、湿潤パウダーを窒素雰囲気下80℃で20時間熱風乾燥し、得られたパウダーを粉砕ミルを用いて粉砕し、標準篩400番を通過させて目的物を得た。尚、イオン交換水はヤマト科学(株)製オートピュアWQ500型を通して得られた電気抵抗値が18MΩ・cm以上(すなわち電気伝導度が約0.55μS/cm以下)
TMP:トリメチルホスフェート(大八化学工業(株)製TMP(商品名))
PEW:数平均分子量1,510のポリオレフィンワックス(三井化学(株)製:ハイワックス310MP(商品名))
SL:ステアリルステアレートおよびグリセリントリステアレートを主成分とする脂肪酸エステル(理研ビタミン(株)製リケマールSL900)
PTFE:フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン(ダイキン工業(株)製:ポリフロンMPA FA500)
CB:カーボンブラック(三菱化学(株)製ファーネスブラック#970(商品名))
上記70重量部のPC−1、20重量部のCF−1、10重量部のCS、および0.1重量部のTMPからなる樹脂組成物のペレットを、上記(II−1)のバージンペレットの製造と同様の装置および条件で製造した。更にその一部を上記(II−2)および(II−3)のように処理して、成形品粉砕物を得た。かかるペレットおよび粉砕物から発生するガス成分の分析を行った。ガスクロマトグラフ−質量分析(GC/MS)装置として、GC:HP6890型およびMS:HP5973型(共にヒューレット・パッカード社製)を接続したものを使用し、熱処理装置としてJHP−3(日本分析工業製)を使用して、ガス分析を行った。ペレットを温度320℃で10分間熱処理し、発生したガスを分析した。予めCFおよびPC単体の分析を行い、それぞれ発生するガスをCF−1、即ちその集束剤に由来するピークとPC由来のピークとに同定した。ペレットおよび粉砕物から得られたガスのピークを、集束剤に由来する成分、PCに由来する成分、およびそれ以外の成分にわけ、そのサンプルのピーク面積比率を算出した。該比率を[集束剤/PC/その他]とする。
上記実施例14、ならびに17のリサイクル5回目の樹脂ペレットを用いて、カメラ用鏡筒を成形した。かかる鏡筒は、外径30.0mm、肉厚1.0mmであり、3点のピンゲートからなるコールドランナー方式の成形であった。いずれもバージンの樹脂ペレットと同等の寸法精度を有し、実用上問題のないものであった。
Claims (11)
- 成形品粉砕物を配合した再生樹脂組成物を製造する方法であって、
(I)バージン熱可塑性硬質ポリマー(Aa成分)、成形品粉砕物(B成分)、および必要に応じてバージン繊維状充填材(Ab成分)を準備する工程(工程−I)、但し該成形品粉砕物(B成分)は、芳香族ポリカーボネート(Ba−1成分)50〜100重量部を含有する熱可塑性硬質ポリマー(Ba成分)100重量部に、集束剤の水系エマルション液を用いて集束処理された繊維状充填剤(Bb−1成分)3〜200重量部が配合されてなる樹脂組成物から形成されている、
(II)100重量部のバージン熱可塑性硬質ポリマー(Aa成分)を基準として、5〜200重量部の成形品粉砕物(B成分)および0〜200重量部のバージン繊維状充填材(Ab成分)を溶融混練機に供給する工程(工程−II)、並びに
(III)該溶融混練機に供給された成分を溶融混練し、100重量部の熱可塑性硬質ポリマー(Ca成分)を基準として3〜200重量部の繊維状充填材(Cb成分)を含有してなる再生樹脂組成物を得る工程(工程−III)
からなることを特徴とする再生樹脂組成物の製造方法。 - 上記Ab成分は、100重量部のAa成分を基準として、3〜200重量部である請求項1に記載の再生樹脂組成物の製造方法。
- 上記Aa成分とB成分との溶融混練は、0.1〜60kPaの減圧下においてなされることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の再生樹脂組成物の製造方法。
- 上記Aa成分およびBa成分は同一種の熱可塑性硬質ポリマーであり、上記Ab成分およびBb−1成分は同一種の繊維状充填材であり、並びにAa成分に対するBa成分の重量比はAb成分に対するBb−1成分の重量比に実質的に同一であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の再生樹脂組成物の製造方法。
- 上記集束剤の水系エマルション液を用いて集束処理された繊維状充填剤(Bb−1成分)における集束剤は、その100重量%中50重量%以上のポリウレタン樹脂を含有する請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の再生樹脂組成物の製造方法。
- 上記Bb−1成分の繊維状充填材は、炭素繊維であるか、または30重量%以上の炭素繊維と70重量%以下のガラス繊維との合計100重量%からなる組合せである請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の再生樹脂組成物の製造方法。
- 上記再生樹脂組成物は、更に100重量部の芳香族ポリカーボネート(Aa−1成分)を基準として0.001〜1重量部の有機金属塩系難燃剤(Ac成分)が配合されることにより、および/または上記成形品粉砕物(B成分)において100重量部の芳香族ポリカーボネート(Ba−1成分)を基準として0.001〜1重量部の有機金属塩系難燃剤(Bc成分)が含有されることにより、100重量部の芳香族ポリカーボネート(Ca−1成分)を基準として0.001〜1重量部の有機金属塩系難燃剤(Cc成分)を含有してなる再生樹脂組成物である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の再生樹脂組成物の製造方法。
- 上記Aa成分およびBa成分は同一種の熱可塑性硬質ポリマーであり、上記Ab成分およびBb−1成分は同一種の繊維状充填材であり、上記Ac成分およびBc成分は同一種の有機金属塩系難燃剤であり、Aa成分に対するBa成分の重量比はAb成分に対するBb−1成分の重量比に実質的に同一であり、並びにAa−1成分に対するAc成分の重量比はBa−1成分に対するBc成分の重量比に実質的に同一であることを特徴とする請求項7に記載の再生樹脂組成物の製造方法。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法により製造された樹脂組成物。
- 上記請求項9に記載の再生樹脂組成物からなる樹脂ペレット。
- 上記請求項10の樹脂ペレットを溶融成形して得られた成形品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005162600A JP4886218B2 (ja) | 2005-06-02 | 2005-06-02 | 再生樹脂組成物および再生樹脂組成物の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005162600A JP4886218B2 (ja) | 2005-06-02 | 2005-06-02 | 再生樹脂組成物および再生樹脂組成物の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006335890A JP2006335890A (ja) | 2006-12-14 |
JP4886218B2 true JP4886218B2 (ja) | 2012-02-29 |
Family
ID=37556726
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005162600A Active JP4886218B2 (ja) | 2005-06-02 | 2005-06-02 | 再生樹脂組成物および再生樹脂組成物の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4886218B2 (ja) |
Families Citing this family (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5436219B2 (ja) * | 2007-11-08 | 2014-03-05 | 帝人株式会社 | 樹脂組成物 |
JP2009202561A (ja) * | 2008-01-30 | 2009-09-10 | Fujifilm Corp | プレス加工用前駆体及びその製造方法 |
JP5231856B2 (ja) * | 2008-04-28 | 2013-07-10 | 助川電気工業株式会社 | 溶融金属用電磁ポンプ |
JP5243350B2 (ja) * | 2009-06-16 | 2013-07-24 | 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 | 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法 |
JP6977904B1 (ja) * | 2021-06-02 | 2021-12-08 | 東洋インキScホールディングス株式会社 | 熱可塑性樹脂組成物および成形体 |
WO2022254947A1 (ja) * | 2021-06-02 | 2022-12-08 | 東洋インキScホールディングス株式会社 | 熱可塑性樹脂組成物および成形体 |
WO2023085297A1 (ja) * | 2021-11-10 | 2023-05-19 | 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 | ペレット、成形品、および、ペレットの製造方法 |
WO2024096071A1 (ja) * | 2022-11-01 | 2024-05-10 | Ube株式会社 | ポリアミド樹脂及びリサイクル炭素繊維を含むポリアミド樹脂組成物 |
Family Cites Families (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS58126375A (ja) * | 1982-01-22 | 1983-07-27 | 東邦レーヨン株式会社 | 炭素繊維及びその樹脂組成物 |
US4735978A (en) * | 1986-12-24 | 1988-04-05 | General Electric Company | Flame retardant polycarbonate composition |
JPS62275133A (ja) * | 1987-02-07 | 1987-11-30 | Toho Rayon Co Ltd | 炭素繊維強化熱可塑性樹脂組成物 |
JP4505081B2 (ja) * | 1999-08-12 | 2010-07-14 | 帝人化成株式会社 | 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物 |
KR100718853B1 (ko) * | 2000-03-28 | 2007-05-16 | 데이진 가세이 가부시키가이샤 | 재생 수지 조성물 |
JP4802377B2 (ja) * | 2001-03-12 | 2011-10-26 | Dic株式会社 | 難燃剤、難燃性ポリカーボネート及びその成形体 |
JP4105004B2 (ja) * | 2003-02-24 | 2008-06-18 | 出光興産株式会社 | 難燃性ポリカーボネート樹脂組成物からなる鏡筒 |
JP4409923B2 (ja) * | 2003-04-09 | 2010-02-03 | 帝人化成株式会社 | 再生樹脂組成物、再生樹脂組成物の製造方法、および成形品の再利用方法 |
-
2005
- 2005-06-02 JP JP2005162600A patent/JP4886218B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2006335890A (ja) | 2006-12-14 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4886218B2 (ja) | 再生樹脂組成物および再生樹脂組成物の製造方法 | |
EP2287243B1 (en) | High flow polyester composition | |
JP4907899B2 (ja) | カーボンナノチューブを含有する樹脂組成物、およびカーボンナノチューブ配合用濃縮物 | |
CN101469124B (zh) | 聚碳酸酯树脂组合物 | |
CN108026643B (zh) | 激光直接成型用聚酯系树脂组合物 | |
JP4332382B2 (ja) | 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物 | |
JP4378130B2 (ja) | 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物 | |
JP5111458B2 (ja) | 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の真珠光沢を低減させる方法 | |
CN102675849A (zh) | 金属模磨损性优异的玻璃纤维强化聚碳酸酯树脂组合物 | |
JP2010105226A (ja) | 樹脂成形体 | |
JP2009041001A (ja) | ポリカーボネート樹脂組成物及びその製造方法 | |
JP2002088259A (ja) | 成形材料その製造方法およびその成形品 | |
JP5108230B2 (ja) | 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物からなる電気・電子部品 | |
JP7111602B2 (ja) | 熱伝導性ポリカーボネート樹脂組成物 | |
EP2886286B1 (en) | Moulded body having specific cross-sectional structure | |
JP2001081318A (ja) | 難燃性ポリアミド樹脂組成物およびその成形品 | |
JP2013035980A (ja) | 難燃性熱可塑性ポリエステル樹脂組成物および成形品 | |
JP6825890B2 (ja) | ポリカーボネート樹脂組成物 | |
CN114269853A (zh) | 含填料的聚(脂肪族酯)-聚碳酸酯组合物 | |
JP4674066B2 (ja) | 電磁波遮蔽性熱可塑性樹脂組成物 | |
US20180201777A1 (en) | Fibrillated dynamic cross-linked polymer compositions and methods of their manfuacture and use | |
JPH0853571A (ja) | 熱可塑性樹脂組成物とその製造方法、およびこの組成物よりなる電磁波シールド成形品 | |
JP2021021001A (ja) | 熱伝導性ポリカーボネート樹脂組成物 | |
JP6800717B2 (ja) | ポリカーボネート樹脂組成物 | |
JP6797007B2 (ja) | ポリカーボネート樹脂組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20080508 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20101110 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20101116 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20101216 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20110711 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20110711 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20111115 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20111209 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141216 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4886218 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |