JP6825890B2 - ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、リサイクルポリカーボネート樹脂を含有する、ポリカーボネート樹脂組成物に関する。
ノートパソコンや携帯電話等の電子機器筐体には、高い剛性が要求されるため、従来からガラス繊維およびカーボン繊維で強化したポリカーボネート樹脂やポリアミド樹脂が使用されている。特に難燃性を要求される場合は、環境対応としてリン系難燃剤を添加したポリカーボネート樹脂が使用されている。
一方、近年、欧米を中心に電子機器の外装、筐体にリサイクル樹脂の使用要求があり、ドイツのブルーエンジェル、米国のEPEATなどの制度による規制強化の動きも見られ、樹脂組成物にリサイクル材料を使用することで、各種環境規格を満たす必要がある。
特許文献1には、芳香族ポリカーボネート樹脂を基材とする、使用されなくなった不用の光学ディスク粉砕化物を、これに付着している金属膜、インク、UVコート等を取り除かずにそのまま用いた光沢度が高く、剛性、流動性、外観の良好な芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が記載されている。
特許文献2には、炭素繊維の導電性を保ちつつ、高い剛性を有し、衝撃強度および耐湿熱性に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が記載されている。
特許文献3には、電磁波シールド性のよい成形品が得られる熱可塑性樹脂組成物が記載されている。
特許文献4には、ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体を含有し、流動性、難燃性、剛性、耐衝撃性に優れるポリカーボネート樹脂組成物が記載されている。
特許文献5には、シリコーン/アクリル複合ゴムをコアとするコアシェル型グラフト共重合体を含有し、流動性、難燃性及び機械的特性に優れ、さらに耐折り曲げ性に優れたポリカーボネート樹脂組成物が記載されている。
特開平9−316316号公報 特開2001−49109号公報 特開2014−31482号公報 特開2014−156588号公報 特開2016−35021号公報
本発明は、樹脂組成物にリサイクル材料を使用し、難燃性、材料強度、耐熱性に優れるポリカーボネート樹脂組成物と、その成形品を提供することを課題とする。
本発明は、(A)リサイクル芳香族ポリカーボネート樹脂 40〜100質量%、及び
(B)芳香族ポリカーボネート樹脂 0〜60質量%の合計100質量部に対して、
(C)カーボン繊維 10〜60質量部、
(D)リン酸エステル化合物 10〜20質量部、
(E)フッ素化合物 0.01〜1質量部、
(F)ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体 0.5〜10質量部を含有するポリカーボネート樹脂組成物を提供する。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、リサイクル材料を使用し、難燃性、材料強度、耐熱性に優れる成形品を得ることができる。
(A)成分のリサイクル芳香族ポリカーボネート樹脂は、芳香族ポリカーボネート樹脂を基材とした成形品から回収された芳香族ポリカーボネート樹脂である。(A)成分は、芳香族ポリカーボネート樹脂を基材とした成形品のうち、成形品を製造する工程の廃棄ルートから発生する材料や不良品から回収(プレコンシューマーリサイクル)された芳香族ポリカーボネート樹脂であってもよく、また市場に出荷された使用済みの成形品から回収(ポストコンシューマーリサイクル)された芳香族ポリカーボネート樹脂であってもよいが、本発明の効果をより享受し得る観点から、市場に出荷された使用済みの成形品から回収された芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。
また芳香族ポリカーボネート樹脂を回収する成形品の種類としては、(1)ウォーターサーバーの水ボトル、水筒、哺乳瓶などの飲料用容器、(2)カメラレンズ、自動車のヘッドランプ、導光板などの光学部品、(3)パチンコ基盤ケースなどの電子部品筐体、(4)シリコンウェハー、マイクロチップなどの電子部品輸送ケース、(5)波板、カーポート板などの建材、(6)CD、DVDなどの光学記録媒体が挙げられ、これらの1種又は2種以上の成形品から回収された芳香族ポリカーボネート樹脂を用いることができる。
(A)成分は、光学記録媒体以外の成形品から回収された芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。
また(A)成分は、飲料用容器、光学部品、電子部品筐体、電子部品輸送ケース、及び建材から選ばれる1種以上の成形品から回収された芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。
芳香族ポリカーボネート樹脂としては、ビスフェノール型ポリカーボネート系樹脂(ビスフェノール類を重合成分とするポリカーボネート系樹脂)が好ましい。
ビスフェノール類としては、例えば、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン類[例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタンなどのビス(ヒドロキシフェニル)C1−6アルカンなど]、ビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類[例えば、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンなどのビス(ヒドロキシフェニル)C4−10シクロアルカンなど]、ビス(ヒドロキシフェニル)エーテル類[例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテルなど]、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン類[例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンなど]、ビス(ヒドロキシフェニル)スルフィド類[例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィドなど]などが例示できる。これらのビスフェノール類は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
また、難燃性を向上させる観点から、ビスフェノール類は、臭素などによりハロゲン化されていてもよい。
これらのビスフェノール類のうち、ビスフェノールAなどのビス(ヒドロキシアリール)C1−6アルカンなどが好ましい。
(A)成分の粘度平均分子量は、16,000〜30,000が好ましく、17,000〜29,000がより好ましく、19,000〜28,000が更に好ましい。
ここで(A)成分の粘度平均分子量(Mv)は、塩化メチレンを溶媒として、ウベローデ粘度計を使用し、温度20℃での極限粘度([η])(単位dl/g)を求め、Schnellの粘度式:[η]=1.23×10−4Mv0.83の式から算出される値である。
(B)成分は、(A)成分以外の芳香族ポリカーボネート樹脂である。すなわち(B)成分は、成形品を製造する工程の廃棄ルートから発生する材料や不良品から回収された芳香族ポリカーボネート樹脂、及び市場に出荷された使用済みの成形品から回収された芳香族ポリカーボネート樹脂を含まない、成形品製造に未使用(バージン)のポリカーボネート樹脂である。
(B)成分の芳香族ポリカーボネート樹脂の化合物としては、(A)成分で述べた化合物を用いることができる。
(B)成分としては、芳香族ポリカーボネート系樹脂、例えば、二価フェノール類とカーボネート前駆体[例えば、カルボニルハライド(ホスゲンなど)、カルボニルエステル(ジフェニルカーボネートなど)またはハロホルメート(2価フェノールのジハロホルメートなど)など]とを慣用の方法(界面重縮合法、エステル交換法など)で反応させることにより得ることができるポリカーボネートなどが挙げられる。これらのうち、(B)成分としては、界面重縮合法のポリカーボネートが好ましい。また、ポリカーボネート系樹脂は、直鎖構造や分岐構造を有していてもよい。更に、ポリカーボネート系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
(B)成分の粘度平均分子量は、16,000〜30,000が好ましく、17,000〜29,000がより好ましく、19,000〜28,000が更に好ましい。
ここで(B)成分の粘度平均分子量(Mv)は、塩化メチレンを溶媒として、ウベローデ粘度計を使用し、温度20℃での極限粘度([η])(単位dl/g)を求め、Schnellの粘度式:[η]=1.23×10−4Mv0.83の式から算出される値である。
(A)成分と(B)成分の合計量中の割合は、
(A)成分40〜100質量%であり、40〜80質量%が好ましく、40〜60質量%がより好ましく、
(B)成分60〜0質量%であり、60〜20質量%が好ましく、60〜40質量%がより好ましい。
(C)成分のカーボン繊維としては、例えば、セルロース系、ポリアクリロニトリル系、ピッチ系などのいずれも使用可能である。また、芳香族スルホン酸類またはそれらの塩のメチレン型結合による重合体と溶媒よりなる原料組成物を紡糸または成形し、次いで炭化するなどの方法に代表される不融化工程を経ない紡糸を行う方法により得られたものも使用可能である。更に、気相成長法に代表される紡糸工程を経ない製造法により製造されたものも使用可能である。
更に、いわゆる汎用タイプ、中弾性率タイプ、高弾性率タイプのいずれも使用可能である。また、形状としてはチョップドファイバー、ロービング等があるが、チョップドファイバーであることがより好ましい。また、製法についても溶融紡糸、溶剤紡糸のいずれの方法も使用可能であり、更に、溶剤紡糸については湿式紡糸、乾式紡糸のいずれも使用可能である。
(C)成分は、樹脂で表面処理されたカーボン繊維が好ましい。樹脂で表面処理されたカーボン繊維とは、未処理のカーボン繊維の表面を樹脂で被覆する表面処理が施されたものである。樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシから選ばれる1種以上の樹脂が好ましく、ポリアミドがより好ましい。
カーボン繊維をポリアミドで表面処理する場合、未処理のカーボン繊維の表面を水溶性ポリアミドまたはポリアミド樹脂分散液を用いてポリアミドで被覆する表面処理を施すのが好ましい。水溶性ポリアミドとしては、松本油脂製薬(株)製「KP2021A」、「KP2021A」、「KP2007」、東レ(株)製「AQナイロン」が挙げられる。また、ポリアミド樹脂分散液は、ポリアミド樹脂をポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールなどを用いて分散処理したものが挙げられる。
ポリアミドとしては、主鎖または側鎖に第3級アミンを有するポリアミド、主鎖にポリアルキレングリコール成分を有するポリアミドが挙げられる。第3級アミンを有するポリアミドを得るためには、第3級アミンを主鎖に含むモノマー(例えば、ナイロン、アミノエチルピペラジン、ビスアミノプロピルピペラジン等)、側鎖に第3級アミンを含むモノマー(例えば、α−ジメチルアミノε−カプロラクタム等)を用いればよい。
(C)成分は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、10〜60質量部配合され、好ましくは15〜55質量部、より好ましくは20〜50質量部配合される。
10質量部より少ないと、成形品の曲げ弾性率が十分でなく、材料強度が劣る。
60質量部より多いと、成形品の難燃性が劣る。
(D)成分のリン酸エステル化合物は、公知のものを使用することができる。
(D)成分としては、例えば、次に列挙する特開2005−15692号公報の段落番号0030、0031に記載されているものを使用することができる。
トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(o−又はp−フェニルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、ジフェニル(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジ(イソプロピルフェニル)フェニルホスフェート、o−フェニルフェニルジクレジルホスフェート、トリス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート、テトラキス(2,6−ジメチルフェニル)−m−フェニレンビスホスフェート、テトラフェニル−m−フェニレンジホスフェート、テトラフェニル−p−フェニレンジホスフェート、フェニルレゾルシン・ポリホスフェート、ビスフェノールA−ビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールA・ポリフェニルホスフェート、ジピロカテコールハイポジホスフェートなどを挙げることができる。
その他として、脂肪族−芳香族リン酸エステルとして、ジフェニル(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、フェニルネオペンチルホスフェート、ペンタエリスリトールジフェニルジホスフェート、エチルピロカテコールホスフェート等の正リン酸エステル及びこれらの縮合物などを挙げることができる。
リン酸エステルが縮合物であるときは、特開2005−15692号公報の段落番号0032〜0038に記載された一般式(I)で表される芳香族リン酸エステルを使用することができる。
一般式(I)で表される芳香族リン酸エステルとしては、ヒドロキシル基で置換された芳香族基を有するものが好ましく、このような芳香族リン酸エステルとしては、トリクレジルホスフェートやトリフェニルホスフェートに1または2個以上のヒドロキシル基を有するものを挙げることができ、例えば、レゾルシノルジフェニルホスフェート、ビスフェノールAジフェニルホスフェートなどが好ましい。
芳香族リン酸エステルとしては、商品名PX−110(クレジルジ2,6-キシレニルホスフェート)、PX−200、PX−202、CR−733S、CR−741(いずれも大八化学工業(株)から難燃剤として販売されている、上記一般式(I)で表される芳香族リン酸エステルに含まれるもの)、DAIGUARD−4000(大八化学工業(株))を使用することができる。
(D)成分は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、10〜20質量部配合され、好ましくは10〜18質量部、より好ましくは10〜16質量部配合される。
10質量部より少ないと、燃焼性が劣る。
20質量部より多いと、成形品の荷重たわみ温度が十分でなく、耐熱性が劣る。
(E)成分のフッ素化合物としては、フッ素樹脂が好ましい。
フッ素樹脂としては、ポリビニルフルオライド(PVF)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリトリフルオロエチレン(PTrFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの単独重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロプロピルビニルエーテル共重合体などが例示できる。
これらのフッ素樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのフッ素樹脂のうち、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのテトラフルオロエチレン単独重合体又はテトラフルオロエチレンを主要な構成単位とする共重合体が好ましい。
(E)成分は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、0.01〜1質量部配合され、好ましくは0.05〜0.8質量部、より好ましくは0.1〜0.7質量部配合される。
0.01質量部より少ないと、燃焼性が劣る。
1質量部より多いと、成形性および表面外観が劣る。
(F)成分のポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体は、ポリオルガノシロキサンを含有するゴム質重合体に、これと共重合可能な単量体成分とをグラフト共重合したグラフト共重合体である。(F)成分を難燃助剤として添加することで、難燃剤である(D)成分の添加量を減らすことができ、また成形品の耐熱性を向上することができる。グラフト共重合体の製造方法としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などのいずれの製造方法であってもよく、共重合の方式は一段グラフトでも多段グラフトであってもよいが、生産性や粒径を制御しやすい点より、乳化重合法が好ましく、多段乳化重合法がより好ましい。この多段乳化重合法としては、例えば、特開2003−261629号公報に記載している重合法が挙げられる。
ポリオルガノシロキサン含有ゴム質重合体は、ガラス転移温度が通常0℃以下、中でも−20℃以下が好ましく、更には−30℃以下が好ましい。ゴム成分の具体例としては、ポリオルガノシロキサンゴムを含有していれば特に制限はなく、例えば、ポリオルガノシロキサンゴム、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキルアクリレートゴムとからなる(IPN型)複合ゴム等が挙げられ、これらを単独または2種以上を混合して使用することができる。
ゴム成分とグラフト共重合可能な単量体成分の具体例としては、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、(メタ)アクリル酸化合物、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル化合物;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド化合物;マレイン酸、フタル酸、イタコン酸等のα,β−不飽和カルボン酸化合物やそれらの無水物(例えば無水マレイン酸等)などが挙げられる。これらの単量体成分は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、機械的特性や表面外観の面から、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物が好ましい。(メタ)アクリル酸エステル化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル等を挙げることができる。
また、(F)成分は、耐衝撃および難燃性の観点からコア/シェル型グラフト共重合体タイプのものが好ましい。なかでもポリオルガノシロキサンゴム、ポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキルアクリレートゴムとからなる(IPN型)複合ゴムから選ばれる少なくとも1種のゴム成分をコア層とし、その周囲に芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物から選ばれる少なくとも1種の単量体成分より形成されたシェル層からなる、コア/シェル型グラフト共重合体が特に好ましい。上記コア/シェル型グラフト共重合体において、ゴム成分を20質量%以上含有するものが好ましく、40質量%以上含有するものがさらに好ましい。
また(F)成分は、共重合体中のSi含有量が、難燃性の観点から、好ましくは3.0質量%以上、より好ましくは7.0質量%以上、そして、成形性の観点からは、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。
このようなコア/シェル型ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体としては、例えば、三菱レイヨン社製「メタブレン(登録商標、以下同じ)S−2001」、「メタブレンSRK−200」、「メタブレンS−2100」、「メタブレンS−2030」、「メタブレンSX−005」、カネカ社製の「カネエース(登録商標、以下同じ)MR−01」、「カネエースMR−02」等が挙げられる。
(F)成分は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、0.5〜10質量部配合され、好ましくは1〜8質量部、より好ましくは1.5〜6質量部配合される。
0.5質量部より少ないと、燃焼性が劣る。
10質量部より多いと、成形性および表面外観が劣る。
本発明の組成物は、用途に応じて、慣用の添加剤(但し、(A)成分〜(F)成分を除く)、例えば、安定化剤(例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤など)、滑剤、着色剤(染料、顔料など)、帯電防止剤、難燃剤(ハロゲン系難燃剤、無機系難燃剤など)、難燃助剤、架橋剤、補強材、核剤、カップリング剤、分散剤、消泡剤、流動化剤、ドリッピング防止剤、抗菌剤、防腐剤、粘度調整剤、増粘剤などを含んでいてもよいが、ニッケルコート炭素繊維、ニッケルコート炭素繊維がサイジング剤で被覆されたものは含まない
本発明の組成物は、例えば、各成分をタンブラーミキサー、ヘンシェルミキサー、リボンミキサー、ニーダーなどの混合機を用いて乾式または湿式で混合して調製してもよい。
さらに、前記混合機で予備混合した後、一軸または二軸押出機などの押出機で混練してペレットに調製する方法、加熱ロールやバンバリーミキサーなどの混練機で溶融混練して調製する方法を適用することができる。
本発明の組成物は、射出成形、押出成形、真空成形、異型成形、発泡成形、インジェクションプレス、プレス成形、ブロー成形、ガス注入成形などによって各種成形品に成形することができる。
本発明の成形品は、本発明のポリカーボネート樹脂組成物から得られた(成形された)成形品である。
本発明の成形品は、例えば、OA・家電機器分野、電気・電子分野、通信機器分野、サニタリー分野、自動車などの輸送車両分野、家具・建材などの住宅関連分野、雑貨分野などの各パーツ、ハウジングなどに使用することができる。
(A)成分
A−1:リサイクルポリカーボネート樹脂(市場に出荷された使用済みのウォーターサーバーの水ボトルから回収したリサイクル品)、粘度平均分子量25,000
A−2:リサイクルポリカーボネート樹脂(市場に出荷された使用済みのパチンコ台制御ボックスから回収したリサイクル品)、粘度平均分子量23,000
A−3:リサイクルポリカーボネート樹脂(市場に出荷された使用済みのシリコンウェハー輸送ケースから回収したリサイクル品)、粘度平均分子量21,000
(B)成分
B−1:ポリカーボネート樹脂(ユーピロンS-1000F、三菱エンジニアリング株式会社製)、粘度平均分子量27,000
B−2:ポリカーボネート樹脂(ユーピロンS-2000F、三菱エンジニアリング株式会社製)、粘度平均分子量23,000
(C)成分
C−1:水溶性ポリアミド樹脂で表面処理されたカーボン繊維(ACECA-6HT2、ACE C&TECH Co.LTD.製)
C−2:ウレタン樹脂およびエポキシ樹脂でサイジング表面処理されたカーボン繊維(ACECA-6PU、ACE C&TECHCo.LTD.製)
C−3:エポキシ樹脂で表面処理されたカーボン繊維(ACECA-6EP、ACE C&TECHCo.LTD.製)
(D)成分
D−1:テトラキス(2,6−ジメチルフェニル)−m−フェニレンビスホスフェート(CR741、大八化学工業株式会社製)
(E)成分
E−1:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE CD145E、旭硝子株式会社製)
(F)成分
F−1:ポリオルガノシロキサン−アクリル系複合ゴム(三菱レイヨン(株)製、メタブレンS−2030)、共重合体中のSi含有量10質量%
F−2:ポリオルガノシロキサン−アクリル系 複合ゴム(三菱レイヨン(株)製、メタブレンS−2001)、共重合体中のSi含有量3質量%
その他成分
安定剤(1):トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(アデカスタブ2112、株式会社ADEKA製)
安定剤(2):3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(アデカスタブAO−80、株式会社ADEKA製)
安定剤(3):エポキシ化大豆油(アデカサイザー O−130P、株式会社ADEKA製)
滑剤:ポリグリセリン脂肪酸エステル(リケマールAZ―01、理研ビタミン株式会社製)
実施例および比較例
表1に示す配合(質量%、質量部)で各成分を配合し、ヘンシェルミキサーで混合した。
その後、前記混合物を二軸押出機に供給して280℃で溶融混練し、ペレットを得た。
このペレットを下記の条件で射出成形して各試験片を作製し、下記の各測定を実施した。結果を表1に示す。
(射出成形条件)
成形機:三菱重工(株)社製 100MS-II(型締力100t)、シリンダー径36mm
成形温度:280℃、金型温度:80℃
(1)難燃性試験
UL−94に規定されている垂直燃焼試験を行った。試験片の厚さは0.8mmである。
(2)曲げ弾性率試験
ISO178に準拠して測定した(単位:GPa)。
(3)荷重たわみ温度試験(耐熱性)
ISO75に準拠して測定した(単位:℃)。
Figure 0006825890
(A)成分であるリサイクル芳香族ポリカーボネート樹脂、特にポストコンシューマーリサイクル品は、含有されている芳香族ポリカーボネート樹脂の品質にバラツキが大きくなり、(A)成分を含む組成物から得られた成形品の品質のバラツキも大きくなる。
本発明は、(A)成分以外の各成分の種類や含有量を調整することで、リサイクル芳香族ポリカーボネート樹脂を使用した場合の品質のバラツキを抑制して、高い効果が得られたものである。

Claims (5)

  1. (A)リサイクル芳香族ポリカーボネート樹脂 40〜80質量%、及び
    (B)芳香族ポリカーボネート樹脂 20〜60質量%の合計100質量部に対して、
    (C)ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂から選ばれる樹脂で被覆され、ニッケルコートされていないカーボン繊維 10〜60質量部、
    (D)リン酸エステル化合物 10〜20質量部、
    (E)フッ素化合物 0.01〜1質量部、
    (F)ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体 0.5〜10質量部を含有し、ニッケルコート炭素繊維を含まない、ポリカーボネート樹脂組成物。
  2. (F)ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体が、ポリオルガノシロキサンゴムまたはポリオルガノシロキサンゴムとポリアルキルアクリレートゴムとからなる(IPN型)複合ゴムからなるゴム成分と、前記ゴム成分とグラフト共重合可能な単量体からなるものであり、前記単量体が、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物から選ばれるものである、請求項記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  3. (F)成分の共重合体中のSi含有量が4.0質量%以上である、請求項1又は2記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  4. (C)成分がポリアミドで表面処理されたカーボン繊維である、請求項1〜のいずれか1項記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  5. 請求項1〜のいずれか1項記載のポリカーボネート樹脂組成物から得られた成形品。
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