WO2023085298A1 - ペレット、成形品、および、ペレットの製造方法 - Google Patents

ペレット、成形品、および、ペレットの製造方法 Download PDF

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Abstract

ポリカーボネート樹脂とリサイクル炭素繊維を含む成形品であって、同量のバージン炭素繊維を配合した場合に近い機械的強度を有し、かつ、難燃性に優れた成形品を提供可能なペレット、成形品、ペレットの製造方法の提供。末端水酸基量が150~800ppmであるポリカーボネート樹脂100質量部に対し、炭素繊維強化樹脂の加熱物であるリサイクル炭素繊維5~65質量部と、非金属塩系難燃剤0.05~25質量部を含む組成物から形成されたペレット。

Description

ペレット、成形品、および、ペレットの製造方法
 本発明は、ペレット、成形品、および、ペレットの製造方法に関する。特に、リサイクル炭素繊維を有効活用したペレットに関する。
 ポリカーボネート樹脂は、耐熱性、耐衝撃性、透明性等に優れた樹脂として、多くの分野で幅広く用いられている。中でもガラス繊維や炭素繊維といった無機充填剤で強化したポリカーボネート樹脂組成物は、寸法安定性、機械的強度、耐熱性、および電気的特性といった種々優れた性能を示すことから、カメラ、OA機器、電気電子部品といった産業分野で幅広く使用されている(特許文献1)。
 一方、限りある資源の有効活用する観点から、炭素繊維をリサイクルすることが検討されている。リサイクル炭素繊維としては、例えば、特許文献2に記載のものが知られている。
特開2011-063812号公報 国際公開第2018/212016号
 しかしながら、ポリカーボネート樹脂にリサイクル炭素繊維を配合すると、新規に製造された炭素繊維、すなわち、バージン炭素繊維を配合した場合と比べて、機械的強度が劣ってしまう。ここで、ポリカーボネート樹脂とリサイクル炭素繊維を含む組成物において、機械的強度を、バージン炭素繊維を配合した場合に近いものとすることができれば、炭素繊維のリサイクル率の向上が期待できる。一方、このようなリサイクル炭素繊維を配合したポリカーボネート樹脂にも、難燃性が求められる場合がある。
 本発明は、かかる課題を解決することを目的とするものであって、ポリカーボネート樹脂とリサイクル炭素繊維を含む成形品であって、同量のバージン炭素繊維を配合した場合に近い機械的強度を有し、かつ、難燃性に優れた成形品を提供可能なペレット、成形品、ペレットの製造方法を提供することを目的とする。
 上記課題の下、本発明者が検討を行った結果、所定の末端基濃度を有するポリカーボネート樹脂に、非金属塩系難燃剤を配合することにより、リサイクル炭素繊維を用いても、機械的強度の低下を効果的に抑制し、さらに、優れた難燃性を達成しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
 具体的には、下記手段により、上記課題は解決された。
<1>末端水酸基量が150~800ppmであるポリカーボネート樹脂100質量部に対し、炭素繊維強化樹脂の加熱物であるリサイクル炭素繊維5~65質量部と、非金属塩系難燃剤0.05~25質量部を含む組成物から形成されたペレット。
<2>前記ペレットから成形されたISO多目的試験片を用い、ISO178に従って測定された曲げ強さが、前記ペレットに含まれる前記ポリカーボネート樹脂を等量の末端水酸基量が140ppmであるポリカーボネート樹脂に、リサイクル炭素繊維を炭素繊維量が等量となるバージン炭素繊維に置き換えた組成物から成形されたISO多目的試験片を用い、ISO178に従って測定された曲げ強さと比較して、保持率が82%以上である、<1>に記載のペレット。
<3>前記ポリカーボネート樹脂が、リサイクルされたポリカーボネート樹脂を含む、<1>または<2>に記載のペレット。
<4>さらに、前記ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、流動改質剤を0.5~30質量部含む、<1>~<3>のいずれか1つに記載のペレット。
<5>さらに、前記ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、離型剤およびカーボンブラックから選択される少なくとも1種を合計で0.1~10質量部含む、<1>~<4>のいずれか1つに記載のペレット。
<6>非金属塩系難燃剤が、リン系難燃剤およびハロゲン系難燃剤から選択される少なくとも1種を含む、<1>~<5>のいずれか1つに記載のペレット。
<7>非金属塩系難燃剤がリン系難燃剤を、末端水酸基量が150~800ppmであるポリカーボネート樹脂100質量部に対し、5~25質量部含む、<1>~<6>のいずれか1つに記載のペレット。
<8>非金属塩系難燃剤がハロゲン系難燃剤を、末端水酸基量が150~800ppmであるポリカーボネート樹脂100質量部に対し、0.05~5質量部含む、<1>~<7>のいずれか1つに記載のペレット。
<9>前記ペレットから成形されたISO多目的試験片を用い、ISO178に従って測定された曲げ強さが、前記ペレットに含まれる前記ポリカーボネート樹脂を等量の末端水酸基量が140ppmであるポリカーボネート樹脂に、リサイクル炭素繊維を炭素繊維量が等量となるバージン炭素繊維に置き換えた組成物から成形されたISO多目的試験片を用い、ISO178に従って測定された曲げ強さと比較して、保持率が82%以上であり、
前記ポリカーボネート樹脂が、リサイクルされたポリカーボネート樹脂を含み、
さらに、前記ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、流動改質剤を0.5~30質量部含み、
さらに、前記ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、離型剤およびカーボンブラックから選択される少なくとも1種を合計で0.1~10質量部含み、
非金属塩系難燃剤が、リン系難燃剤およびハロゲン系難燃剤から選択される少なくとも1種を含む、<1>に記載のペレット。
<10><1>~<9>のいずれか1つに記載のペレットから形成された成形品。
<11>末端水酸基量が150~800ppmであるポリカーボネート樹脂100質量部と、炭素繊維強化樹脂の加熱物であるリサイクル炭素繊維5~65質量部と、非金属塩系難燃剤0.05~25質量部を押出機に投入し、溶融混練することを含む、ペレットの製造方法。
 本発明により、ポリカーボネート樹脂とリサイクル炭素繊維を含む成形品であって、同量のバージン炭素繊維を配合した場合に近い機械的強度を有し、かつ、難燃性に優れた成形品を提供可能なペレット、成形品、ペレットの製造方法を提供可能になった。
 以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という)について詳細に説明する。なお、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は本実施形態のみに限定されない。
 なお、本明細書において「~」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
 本明細書において、各種物性値および特性値は、特に述べない限り、23℃におけるものとする。
 本明細書において、ppmは質量ppmを意味する。
 本明細書で示す規格で説明される測定方法等が年度によって異なる場合、特に述べない限り、2021年1月1日時点における規格に基づくものとする。
 本実施形態のペレットは、末端水酸基量が150~800ppmであるポリカーボネート樹脂100質量部に対し、炭素繊維強化樹脂の加熱物であるリサイクル炭素繊維5~65質量部と、非金属塩系難燃剤0.05~25質量部を含む組成物から形成されたものである。
 このようなペレットから形成された成形品は、同量のバージン炭素繊維を配合した場合に近い機械的強度を有し、かつ、難燃性に優れた成形品を提供可能なペレットとなる。特に、リサイクル炭素繊維を用いているにもかかわらず、高い曲げ強さ保持率を達成できる。
 この理由は、リサイクル炭素繊維は、通常、その表面にサイジング剤が存在していないか、存在していてもごく微量である。このような状況下、難燃剤として、非金属塩系難燃剤を配合すると、非金属塩系難燃剤がサイジング剤の効果を発揮し、曲げ強さの保持率や耐衝撃性を高めることができたと推測される。
 また、末端水酸基量が150~800ppmのポリカーボネート樹脂を用いることにより、さらに高い曲げ強さの保持率を達成できた。この理由は、ポリカーボネート樹脂の末端水酸基量を150~800ppmとすることにより、炭素繊維表面とポリカーボネート樹脂との密着性が向上し、機械的強度が向上したためであると推測される。
 以下、本実施形態のペレットの詳細について説明する。
<ポリカーボネート樹脂>
 本実施形態で用いる組成物は、末端水酸基量が150~800ppmであるポリカーボネート樹脂を含む。ポリカーボネート樹脂の種類は末端水酸基量が150~800ppmである限り、特に定めるものでは無いが、通常は、その主成分が、芳香族ポリカーボネート樹脂であることが好ましく、その主成分がビスフェノール型ポリカーボネート樹脂であることがより好ましく、その主成分がビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂であることがさらに好ましい。ここで、主成分とは、組成物に含まれるポリカーボネート樹脂の80質量%以上(好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上)を占める成分のことをいう。
 ポリカーボネート樹脂は、溶融重合法で得られたポリカーボネート樹脂であっても、界面重合法で得られたポリカーボネート樹脂であってもよく、溶融重合法で得られたポリカーボネート樹脂であることが好ましい。また、溶融重合法で得られたポリカーボネート樹脂と界面重合法で得られたポリカーボネート樹脂の混合物であってもよい。
 より具体的には、本実施形態で使用するポリカーボネート樹脂は、好ましくは芳香族ポリカーボネート樹脂であり、例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物および炭酸ジエステルを原料とし、溶融エステル交換法により製造できる。
 芳香族ジヒドロキシ化合物は、例えば、ビス(4-ヒドロキシジフェニル)メタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-t-ブチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)プロパン、4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ジヒドロキシビフェニル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ケトン等が挙げられる。これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は、単独で、または2種以上を混合して用いることができる。これらのなかでも、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましい。
 炭酸ジエステルは、例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等に代表される置換ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ-t-ブチルカーボネート等に代表されるジアルキルカーボネートが挙げられる。これらの炭酸ジエステルは、単独で、または2種以上を混合して用いることができる。これらのなかでも、ジフェニルカーボネート、置換ジフェニルカーボネートが好ましい。
 また、上記の炭酸ジエステルは、好ましくはその50モル%以下、さらに好ましくは30モル%以下の量を、ジカルボン酸またはジカルボン酸エステルで置換してもよい。代表的なジカルボン酸またはジカルボン酸エステルとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニル等が挙げられる。このようなジカルボン酸またはジカルボン酸エステルで置換した場合には、ポリエステルカーボネート樹脂が得られる。
 これら炭酸ジエステル(上記の置換したジカルボン酸またはジカルボン酸のエステルを含む。)は、芳香族ジヒドロキシ化合物に対して、通常、過剰に用いられる。すなわち、芳香族ジヒドロキシ化合物に対して1.001~1.3倍、好ましくは1.01~1.2倍の範囲内のモル量で用いられる。
 本実施形態で用いるポリカーボネート樹脂は、末端水酸基量が150~800ppmである。末端水酸基量が150~800ppmであるポリカーボネート樹脂を用いることにより、リサイクル炭素繊維表面との密着性を向上させることができ、機械的強度を末端水酸基量が150ppmより小さいポリカーボネート樹脂を配合した場合と比較して、高く保持することが可能になる。特に、曲げ強さを高く維持することが可能になる。
 前記末端水酸基量は、200ppm以上であることが好ましく、250ppm以上であることがより好ましく、300ppm以上であることがさらに好ましく、350ppm以上であることが一層好ましく、400ppm以上であることがより一層好ましく、450ppm以上であることがさらに一層好ましく、500ppm以上であることが特に一層好ましく、550ppm以上であってもよい。前記下限値以上とすることにより、炭素繊維表面とポリカーボネート樹脂との密着性が向上し、かつ、エステル交換の反応速度が速くなり所望の分子量を有するポリカーボネート樹脂が得られやすくなり、また、ポリカーボネート樹脂中のカーボネートエステルの残存量を少なくでき、成形加工時や成形品としたときの臭気をより効果的に抑制できる傾向にある。また、前記末端水酸基量は、750ppm以下であることが好ましく、700ppm以下であることがより好ましく、650ppm以下であることがさらに好ましく、640ppm以下であることが一層好ましく、610ppm以下であってもよい。前記上限値以下とすることにより、ポリカーボネート樹脂の熱安定性がより向上する傾向にある。
 末端水酸基量は、後述する実施例の記載に従って測定される。
 本実施形態で用いる組成物が2種以上のポリカーボネート樹脂を含む場合、ポリカーボネート樹脂混合物の末端水酸基量とする。
 本実施形態においては、難燃剤として、リン酸エステルおよび/またはハロゲン系難燃剤を含む場合、ポリカーボネート樹脂は、末端水酸基量が200ppm以上であることが好ましく、250ppm以上であることがより好ましく、300ppm以上であることがさらに好ましく、350ppm以上であることが一層好ましく、400ppm以上であることがより一層好ましく、450ppm以上であることがさらに一層好ましく、500ppm以上であることが特に一層好ましく、550ppm以上であってもよく、また、750ppm以下であることが好ましく、700ppm以下であることがより好ましく、650ppm以下であることがさらに好ましく、640ppm以下であることが一層好ましく、610ppm以下であってもよい。
 本実施形態においては、難燃剤として、ホスファゼンを含む場合、ポリカーボネート樹脂は、末端水酸基量が300ppm以上であることが好ましく、350ppm以上であることがより好ましく、400ppm以上であることがさらに好ましく、450ppm以上であることが一層好ましく、500ppm以上であることがより一層好ましく、550ppm以上であることがさらに一層好ましく、600ppm以上であることが特に一層好ましく、650ppm以上であってもよい。
 末端水酸基量が150~800ppmであるポリカーボネート樹脂の詳細は、特開2003-026911号公報の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
 本実施形態で用いるポリカーボネート樹脂(2種以上含まれる場合は、ポリカーボネート樹脂の混合物)は、また、メルトボリュームレイト(MVR)が1cm/10min以上であることが好ましく、5cm/10min以上であることがより好ましく、8cm/10min以上であることがさらに好ましく、また、40cm/10min以下であることが好ましく、30cm/10min以下であることがより好ましい。前記下限値以上とすることにより、特に、5cm/10min以上とすることにより、高流動で成形性により優れる傾向にあり、前記上限値以下とすることにより、衝撃性や耐熱性が高く維持される傾向にある。MVRは、JIS K 7210に従って測定される。
 本実施形態で用いるポリカーボネート樹脂(2種以上含まれる場合は、ポリカーボネート樹脂の混合物)の粘度平均分子量は、5000以上であることが好ましく、10000以上であることがより好ましく、14000以上であることがさらに好ましく、また、50000以下であることが好ましく、24000以下であることがより好ましい。粘度平均分子量が5000以上のものを用いることにより、得られる成形品の機械的強度がより向上する傾向にある。また、粘度平均分子量が50000以下のものを用いることにより、溶融したペレットの流動性が向上し、成形性がより向上する傾向にある。
 なお、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、溶媒としてメチレンクロライドを用い、温度25℃で測定された溶液粘度より換算される粘度平均分子量[Mv]である。
 本実施形態で用いるポリカーボネート樹脂は、リサイクルされたポリカーボネート樹脂であってもよい。リサイクルされたポリカーボネート樹脂を用いることにより、環境負荷を低減させたペレットを提供することが可能になる。リサイクルされたポリカーボネート樹脂とは、ボトル、ディスク、パチンコ、シート、半導体搬送容器等由来のもの等が用いられる。リサイクルされたポリカーボネート樹脂は、リサイクルされた芳香族ポリカーボネート樹脂であることが好ましい。
 本実施形態で用いる組成物において、末端水酸基量が150~800ppmであるポリカーボネート樹脂の含有量は、60~95質量%であることが好ましい。また、本実施形態で用いる組成物に含まれる樹脂成分中の末端水酸基量が150~800ppmであるポリカーボネート樹脂の含有量は、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、97質量%以上であることがさらに好ましく、99質量%以上であることが一層好ましい。
 本実施形態で用いる組成物は、ポリカーボネート樹脂を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<リサイクル炭素繊維>
 本実施形態で用いる組成物は、末端水酸基量が150~800ppmであるポリカーボネート樹脂100質量部に対し、炭素繊維強化樹脂の加熱物であるリサイクル炭素繊維5~65質量部を含む。このようなリサイクル炭素繊維を、非金属塩系難燃剤と共に用いることにより、ポリカーボネート樹脂にバージン炭素繊維を配合した組成物に匹敵する、高い機械的強度を維持することができる。リサイクル炭素繊維は、通常、表面処理剤や収束剤等の処理剤を実質的に有さないため、ポリカーボネート樹脂との十分な溶融混練が困難になる場合がある。しかしながら、本実施形態では、リサイクル炭素繊維として、炭素繊維強化樹脂の加熱物を用いることにより、樹脂由来の残渣である炭化物が炭素繊維の処理剤のような役割を果たし、ポリカーボネート樹脂との安定した溶融混練を可能にしていると推測される。
 ここで、リサイクル炭素繊維とは、例えば、使用済みの炭素繊維強化樹脂(航空機、車両、電気・電子機器等)から回収された炭素繊維や炭素繊維強化樹脂の製造工程から発生する炭素繊維強化樹脂の中間製品(プリプレグ)等の切れはしから回収された炭素繊維をいう。これに対し、バージン炭素繊維とは、一般的に、炭素繊維として販売されているものなど、リサイクル炭素繊維ではない新品の炭素繊維である。
 本実施形態では、リサイクル炭素繊維として炭素繊維強化樹脂の加熱物が用いられる。炭素繊維強化樹脂が加熱されることにより、樹脂が炭化物となって、炭素繊維の表面に存在する。
 本実施形態における炭素繊維強化樹脂は、炭素繊維およびマトリックス樹脂を含む。
 炭素繊維の種類は特に定めるものではないが、PAN系炭素繊維が好ましい。
 マトリックス樹脂は、熱硬化性樹脂であってもよく、熱可塑性樹脂であってもよい。熱硬化性樹脂は、未硬化のものであってもよく、硬化物であってもよい。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド等が挙げられる。
 マトリックス樹脂は、必要に応じて添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、硬化剤、硬化助剤、内部離型剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤等が挙げられる。
 炭素繊維強化樹脂の加熱温度は、マトリックス樹脂が炭化する温度であれば特に定めるものではないが、300~700℃が好ましく、400~700℃がより好ましく、500~700℃がさらに好ましい。
 炭素繊維強化樹脂の加熱物であるリサイクル炭素繊維の詳細は、国際公開第2018/212016号の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
 リサイクル炭素繊維における樹脂残渣含有量の割合は、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることが好ましく、また、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。
 リサイクル炭素繊維は、上述の通り、通常、その表面に処理剤(サイジング剤、収束剤、表面処理剤等)を実質的に有さない。実質的に有さないとは、処理剤の量が、リサイクル炭素繊維の総量の、例えば1.0質量%未満であり、さらには0.1質量%未満であり、特には0.01質量%未満であり、より特には0.001質量%未満である。
 リサイクル炭素繊維の数平均繊維径は、3μm以上であることがより好ましく、4μm以上であることがさらに好ましい。また、10μm以下であることが好ましく、8μm以下であることがより好ましい。リサイクル炭素繊維の数平均繊維径がこのような範囲にあることで、機械的物性、特に強度、弾性率がより向上したペレットが得られやすくなる。
 本実施形態で用いる組成物において、炭素繊維強化樹脂の加熱物であるリサイクル炭素繊維の含有量は、末端水酸基量が150~800ppmであるポリカーボネート樹脂100質量部に対し、5質量部以上であり、8質量部以上であることが好ましく、10質量部以上、13質量部以上、15質量部以上であってもよい。前記下限値以上とすることにより、機械的強度により優れた組成物が得られる傾向にある。また、前記リサイクル炭素繊維の含有量は、末端水酸基量が150~800ppmであるポリカーボネート樹脂100質量部に対し、65質量部以下であり、60質量部以下であることが好ましく、55質量部以下であることがより好ましく、50質量部以下、45質量部以下であってもよい。前記上限値以下とすることにより、機械的強度により優れ、かつ、成形性により優れた組成物が得られる傾向にある。
 また、本実施形態で用いる組成物は、炭素繊維強化樹脂の加熱物であるリサイクル炭素繊維を組成物中、実質的な炭素繊維の量換算で、5質量%以上の割合で含むことが好ましく、10質量%の割合で含むことがより好ましく、15質量%以上の割合で含むことがさらに好ましく、また、45質量%以下の割合で含むことが好ましく、40質量%以下の割合で含むことがより好ましい。
 本実施形態で用いる組成物は、炭素繊維強化樹脂の加熱物であるリサイクル炭素繊維を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
 本実施形態で用いる組成物は、末端水酸基量が150~800ppmであるポリカーボネート樹脂とリサイクル炭素繊維とガラスフレークと非金属塩系難燃剤の総量が組成物の90質量%以上を占めることが好ましく、95質量%以上を占めることがより好ましく、97質量%以上を占めることがさらに好ましい。前記総量の上限は100質量%である。
 本実施形態で用いる組成物は、バージン炭素繊維を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。本実施形態で用いる組成物の一例は、バージン炭素繊維をリサイクル炭素繊維の含有量の5~50質量%(好ましくは5~30質量%)の割合で含む態様である。また、本実施形態で用いる組成物の他の一例は、バージン炭素繊維の含有量がリサイクル炭素繊維の含有量の5質量%未満(好ましくは3質量%未満、より好ましくは1質量%未満)である態様である。
<ガラスフレーク>
 本実施形態で用いる組成物は、ガラスフレークを含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。ガラスフレークを含むことにより、成形収縮の異方性を低減できる傾向にある。
 ガラスフレークは、その厚みが0.1~7.0μmであることが好ましい。ガラスフレークの厚みとは、平均厚みをいう。ガラスフレークの厚みは、より好ましくは0.4μm以上、さらに好ましくは0.5μm以上、一層好ましくは0.6μm以上である。また、ガラスフレークの厚みは、より好ましくは6.0μm以下、さらに好ましくは5.5μm以下である。ここで平均厚みは以下の方法で測定される。すなわち、走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、100枚以上のガラスフレークにつき、それぞれの厚さを測定し、その測定値を平均することにより求める。ガラスフレーク断面(厚さ面)が走査型電子顕微鏡の照射電子線軸に垂直になるように、走査型電子顕微鏡の試料台を試料台微動装置により調整する。
 ガラスフレークは、公知の表面処理剤、例えばシランカップリング剤、メチルハイドロジェンシロキサン、チタネートカップリング剤、またはアルミネートカップリング剤等で表面処理が施されたものが機械的強度向上の点から好ましい。さらに、ガラスフレークは、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の結合剤により、造粒または集束したものがハンドリングの点より好ましい。但し、かかる造粒または集束により得られる顆粒物または集束物に対しては、上述したガラスフレークの平均粒径範囲や厚みの範囲は適用されない。
 また、ガラスフレークのガラス組成は、特に制限はなく、Aガラス、CガラスおよびEガラス等に代表される各種のガラス組成のものを適宜選択し用いることができる。
 本実施形態で用いる組成物がガラスフレークを含む場合、その含有量は、末端水酸基量が150~800ppmであるポリカーボネート樹脂100質量部に対し、2質量部以上であることが好ましく、3質量部以上であることがより好ましく、4質量部以上であることがさらに好ましく、5質量部以上であることが一層好ましく、10質量部以上であることがより一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、成形収縮の異方性を低減する効果がより向上する傾向にある。また、前記ガラスフレークの含有量の上限値は、末端水酸基量が150~800ppmであるポリカーボネート樹脂100質量部に対し、50質量部以下であることが好ましく、40質量部以下であることがより好ましく、30質量部以下であることがさらに好ましく、25質量部以下であることが一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、材料の靭性が向上する傾向にある。
 本実施形態で用いる組成物は、ガラスフレークを1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<非繊維状フィラー>
 本実施形態の樹脂組成物は、ガラスフレーク以外の非繊維状フィラーを含んでいてもよい。非繊維状無機フィラーを含むことにより、難燃性向上や機械的強度がより向上する傾向にある。
 非繊維状フィラーとしては、タルク、マイカ、ガラスビーズ、シリカ、アルミナ等が例示され、タルクが好ましい。
 本実施形態において、タルクは、平均粒子径が8.5μm以下であることが好ましく、また、2μm以上であることが好ましく、4μm以上であることがより好ましい。平均粒子径の測定は、得られた成形品の断面をSEM(走査型電子顕微鏡)観察し、任意に選択した50個の測定値の数平均値として求める。
 本実施形態の樹脂組成物が非繊維状フィラーを含む場合、その含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、0.1質量部以上であることが好ましく、0.5質量部以上であることがより好ましく、1.0質量部以上であることがさらに好ましく、また、5.0質量部以下であることが好ましく、3.0質量部以下であることがより好ましい。
 本実施形態の樹脂組成物は、非繊維状フィラーを1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<非金属塩系難燃剤>
 本実施形態で用いる組成物は、非金属塩系難燃剤をポリカーボネート樹脂100質量部に対し、0.05~25質量部の割合で含む。非金属塩系難燃剤を含むことにより、得られる成形品に難燃性を付与できることに加え、機械物性を高くすることができる。特に、曲げ強さの保持率や耐衝撃性を高くすることができる。
 本実施形態で用いる非金属塩系難燃剤は、リン系難燃剤およびハロゲン系難燃剤から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
 リン系難燃剤としては、リン酸エステルおよび/またはホスファゼンが例示される。
 リン酸エステルとしては、下記式(1)で表されるリン酸エステル化合物が好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
(式(1)中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1~6のアルキル基またはアルキル基で置換されていてもよい炭素数6~20のアリール基を表し、p、q、rおよびsは、それぞれ独立に、0または1であり、kは1~5の数であり、Xはアリーレン基を示す。)
 上記式(1)で表されるリン酸エステル化合物は、kが異なる数を有する化合物の混合物であってもよく、かかるkが異なるリン酸エステルの混合物の場合は、kはそれらの混合物の平均値となる。異なるk数を有する化合物の混合物の場合は、平均のk数は好ましくは1~2、より好ましくは1~1.5、さらに好ましくは1~1.2、特に好ましくは1~1.15の範囲である。
 また、Xは、二価のアリーレン基を示し、例えばレゾルシノール、ハイドロキノン、ビスフェノールA、2,2’-ジヒドロキシビフェニル、2,3’-ジヒドロキシビフェニル、2,4’-ジヒドロキシビフェニル、3,3’-ジヒドロキシビフェニル、3,4’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、1,2-ジヒドロキシナフタレン、1,3-ジヒドロキシナフタレン、1,4-ジヒドロキシナフタレン、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、1,7-ジヒドロキシナフタレン、1,8-ジヒドロキシナフタレン、2,3-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシ化合物から誘導される二価の基である。これらのうち、特に、レゾルシノール、ビスフェノールA、3,3’-ジヒドロキシビフェニルから誘導される二価の基が好ましい。
 また、式(1)におけるp、q、rおよびsは、それぞれ0または1を表し、なかでも1であることが好ましい。
 また、R、R、RおよびRは、それぞれ、炭素数1~6のアルキル基またはアルキル基で置換されていてもよい炭素数6~20のアリール基を示す。このようなアリール基としては、フェニル基、クレジル基、キシリル基、イソプロピルフェニル基、ブチルフェニル基、tert-ブチルフェニル基、ジ-tert-ブチルフェニル基、p-クミルフェニル基が好ましく、フェニル基、クレジル基、キシリル基がより好ましい。
 式(1)で表されるリン酸エステルの具体例としては、フェニルレゾルシン・ポリホスフェート、クレジル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル・クレジル・レゾルシン・ポリホスフェート、キシリル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル-p-t-ブチルフェニル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル・イソプロピルフェニル・レゾルシンポリホスフェート、クレジル・キシリル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル・イソプロピルフェニル・ジイソプロピルフェニル・レゾルシンポリホスフェート等が、好ましく挙げられる。
 式(1)で表されるリン酸エステル化合物の酸価は、0.2mgKOH/g以下が好ましく、より好ましくは0.15mgKOH/g以下であり、さらに好ましくは0.1mgKOH以下であり、特に好ましくは0.05mgKOH/g以下である。式(1)で表されるリン酸エステル化合物の酸価の下限は実質的に0mgKOH/gとすることも可能である。
 一方、ホスファゼンは、分子中に-P=N-結合を有する有機化合物であり、好ましくは、式(2)で表されるホスファゼン化合物、式(3)で表されるホスファゼン化合物、ならびに、式(2)および式(3)からなる群より選択される少なくとも一種のホスファゼン化合物が架橋基によって架橋されてなる架橋ホスファゼン化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である。架橋ホスファゼン化合物としては、下記式(4)で表される架橋基によって架橋されてなるものが難燃性の点から好ましい。
 ホスファゼンは難燃化効果が高く、特に後述のカーボンブラックと併用することにより、優れた難燃性を発揮することができるため、難燃剤の配合によって起こり得る機械的強度の低下やガスの発生を抑制することができる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
(式(2)中、mは3~25の整数であり、Rは、同一または異なっていてもよく、炭素数1~6のアルキル基またはアルキル基で置換されていてもよい炭素数6~20のアリール基を表す。)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
(式(3)中、nは3~10,000の整数であり、Xは、-N=P(OR基またはN=P(O)OR基を示し、Yは、-P(OR基またはP(O)(OR基を示す。Rは、同一または異なっていてもよく、炭素数1~6のアルキル基またはアルキル基で置換されていてもよい炭素数6~20のアリール基を表す。)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004
(式(4)中、Aは-C(CH-、-SO-、-S-、または-O-であり、lは0または1である。)
 式(2)および(3)で表されるホスファゼン化合物としては、例えば、フェノキシホスファゼン、(ポリ)トリルオキシホスファゼン(例えば、o-トリルオキシホスファゼン、m-トリルオキシホスファゼン、p-トリルオキシホスファゼン、o,m-トリルオキシホスファゼン、o,p-トリルオキシホスファゼン、m,p-トリルオキシホスファゼン、o,m,p-トリルオキシホスファゼン等)、(ポリ)キシリルオキシホスファゼン等の環状および/または鎖状C1-6アルキルC6-20アリールオキシホスファゼンや、(ポリ)フェノキシトリルオキシホスファゼン(例えば、フェノキシo-トリルオキシホスファゼン、フェノキシm-トリルオキシホスファゼン、フェノキシp-トリルオキシホスファゼン、フェノキシo,m-トリルオキシホスファゼン、フェノキシo,p-トリルオキシホスファゼン、フェノキシm,p-トリルオキシホスファゼン、フェノキシo,m,p-トリルオキシホスファゼン等)、(ポリ)フェノキシキシリルオキシホスファゼン、(ポリ)フェノキシトリルオキシキシリルオキシホスファゼン等の環状および/または鎖状C6-20アリールC1-10アルキルC6-20アリールオキシホスファゼン等が例示でき、好ましくは環状および/または鎖状フェノキシホスファゼン、環状および/または鎖状C1-3アルキルC6-20アリールオキシホスファゼン、C6-20アリールオキシC1-3アルキルC6-20アリールオキシホスファゼン(例えば、環状および/または鎖状トリルオキシホスファゼン、環状および/または鎖状フェノキシトリルフェノキシホスファゼン等)である。
 式(2)で表される化合物としては、Rがフェニル基である環状フェノキシホスファゼンが特に好ましい。このような環状フェノキシホスファゼン化合物としては、例えば、塩化アンモニウムと五塩化リンとを120~130℃の温度で反応させて得られる環状および直鎖状のクロロホスファゼン混合物から、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン、オクタクロロシクロテトラホスファゼン、デカクロロシクロペンタホスファゼン等の環状のクロルホスファゼンを取り出した後にフェノキシ基で置換して得られる、フェノキシシクロトリホスファゼン、オクタフェノキシシクロテトラホスファゼン、デカフェノキシシクロペンタホスファゼン等の化合物が挙げられる。また、前記環状フェノキシホスファゼン化合物は、式(2)中のmが3~5である化合物が好ましく、mの異なる化合物の混合物であってもよい。なかでも、m=3のものが50質量%以上、m=4のものが10~40質量%、m=5以上のものが合わせて30質量%以下である化合物の混合物が好ましい。
 式(3)で表されるホスファゼン化合物としては、Rがフェニル基である鎖状フェノキシホスファゼンが特に好ましい。このような鎖状フェノキシホスファゼン化合物は、例えば、上記の方法で得られるヘキサクロロシクロトリホスファゼンを220~250℃の温度で開還重合し、得られた重合度3~10,000の直鎖状ジクロロホスファゼンをフェノキシ基で置換することにより得られる化合物が挙げられる。前記直鎖状フェノキシホスファゼン化合物の、式(3)中のnは、好ましくは3~1,000、より好ましくは3~100、さらに好ましくは3~25である。
 架橋フェノキシホスファゼン化合物としては、例えば、4,4’-スルホニルジフェニレン(ビスフェノールS残基)の架橋構造を有する化合物、2,2-(4,4’-ジフェニレン)イソプロピリデン基の架橋構造を有する化合物、4,4’-オキシジフェニレン基の架橋構造を有する化合物、4,4’-チオジフェニレン基の架橋構造を有する化合物等の、4,4’-ジフェニレン基の架橋構造を有する化合物等が挙げられる。
 また、架橋ホスファゼン化合物としては、式(2)においてRがフェニル基である環状フェノキシホスファゼン化合物が上記式(4)で表される架橋基によって架橋されてなる架橋フェノキシホスファゼン化合物または、上記式(3)においてRがフェニル基である鎖状フェノキシホスファゼン化合物が上記式(4)で表される架橋基によって架橋されてなる架橋フェノキシホスファゼン化合物が難燃性の点から好ましく、環状フェノキシホスファゼン化合物が上記式(4)で表される架橋基によって架橋されてなる架橋フェノキシホスファゼン化合物がより好ましい。
 また、架橋フェノキシホスファゼン化合物中のフェニレン基の含有量は、式(2)で表される環状ホスファゼン化合物および/または式(3)で表される鎖状フェノキシホスファゼン化合物中の全フェニル基およびフェニレン基数を基準として、通常50~99.9%、好ましくは70~90%である。また、前記架橋フェノキシホスファゼン化合物は、その分子内にフリーの水酸基を有しない化合物であることが特に好ましい。
 本実施形態におけるホスファゼンは、上記式(2)で表される環状フェノキシホスファゼン化合物が、難燃性および機械的特性の点から好ましい。
 ハロゲン系難燃剤としては、臭素を含む難燃剤(臭素系難燃剤)が例示される。
 臭素系難燃剤の種類は特に定めるものではないが、臭素化フタルイミド、臭素化ポリ(メタ)アクリレート、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ、および、臭素化ポリスチレンが好ましく、臭素化ポリ(メタ)アクリレート、臭素化ポリカーボネートおよび臭素化エポキシがより好ましく、臭素化ポリカーボネートがより好ましい。
 臭素化フタルイミドとしては、式(4)で表されるものが好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000005
(式(4)中、Dは、アルキレン基、アリーレン基、-S(=O)-、-C(=O)-、および、-O-の2つ以上の組み合わせからなる基を表す。iは1~4の整数である。)
 式(4)において、Dは、アルキレン基、アリーレン基、-S(=O)-、-C(=O)-、および、-O-の2つ以上の組み合わせからなる基を表し、アルキレン基またはアリーレン基と、-S(=O)-、-C(=O)-、および、-O-の少なくとも1つとの組み合わせからなる基が好ましく、アルキレン基またはアリーレン基と、-S(=O)-、-C(=O)-、および、-O-の1つとの組み合わせからなる基がより好ましく、アルキレン基がさらに好ましい。
 アルキレン基と-O-との組み合わせからなる基としては、例えば、2つのアルキレン基と1つの-O-といった組み合わせも含む趣旨である(他の組み合わせについても同じ。)。
 Dとしてのアルキレン基は、炭素数1~6のアルキレン基であることが好ましく、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基がより好ましい。アリーレン基は、フェニレン基が好ましい。
 iは1~4の整数であり、4であることが好ましい。
 式(4)で示される臭素化フタルイミドとしては、例えば、N,N’-(ビステトラブロモフタルイミド)エタン、N,N’-(ビステトラブロモフタルイミド)プロパン、N,N’-(ビステトラブロモフタルイミド)ブタン、N,N’-(ビステトラブロモフタルイミド)ジエチルエーテル、N,N’-(ビステトラブロモフタルイミド)ジプロピルエーテル、N,N’-(ビステトラブロモフタルイミド)ジブチルエーテル、N,N’-(ビステトラブロモフタルイミド)ジフェニルスルフォン、N,N’-(ビステトラブロモフタルイミド)ジフェニルケトン、N,N’-(ビステトラブロモフタルイミド)ジフェニルエーテル等が挙げられる。
 臭素化フタルイミドとしては、式(4)は、式(5)で表される臭素化フタルイミドであることが好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000006
(式(5)中、iは1~4の整数である。)
 iは1~4の整数であり、4であることが好ましい。
 臭素化ポリ(メタ)アクリレートとしては、臭素原子を含有するベンジル(メタ)アクリレートを単独で重合、または2種以上を共重合、あるいは、他のビニル系モノマーと共重合させることによって得られる重合体であることが好ましく、臭素原子は、ベンゼン環に付加しており、付加数はベンゼン環1個あたり1~5個、中でも4~5個付加したものであることが好ましい。
 臭素原子を含有するベンジルアクリレートとしては、ペンタブロムベンジルアクリレート、テトラブロムベンジルアクリレート、トリブロムベンジルアクリレート、またはそれらの混合物等が挙げられる。また、臭素原子を含有するベンジルメタクリレートとしては、上記したアクリレートに対応するメタクリレートが挙げられる。
 臭素原子を含有するベンジル(メタ)アクリレートと共重合させるために使用される他のビニル系モノマーとしては、具体的には、アクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ベンジルアクリレートのようなアクリル酸エステル類;メタクリル酸、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ベンジルメタクリレートのようなメタクリル酸エステル類;スチレン、アクリロニトリル、フマル酸、マレイン酸のような不飽和カルボン酸またはその無水物;酢酸ビニル、塩化ビニル等が挙げられる。
 これらは通常、臭素原子を含有するベンジル(メタ)アクリレートに対して等モル量以下、中でも0.5倍モル量以下が用いることが好ましい。
 また、ビニル系モノマーとしては、キシレンジアクリレート、キシレンジメタクリレート、テトラブロムキシレンジアクリレート、テトラブロムキシレンジメタクリレート、ブタジエン、イソプレン、ジビニルベンゼン等を使用することもでき、これらは通常、臭素原子を含有するベンジルアクリレートまたはベンジルメタクリレートに対し、0.5倍モル量以下が使用できる。
 臭素化ポリ(メタ)アクリレートとしては、臭素原子を含有する(メタ)アクリレートモノマー、特にベンジル(メタ)アクリレートを単独で重合、または2種以上を共重合、もしくは他のビニル系モノマーと共重合させることによって得られる重合体であることが好ましい。また、臭素原子は、ベンゼン環に付加しており、付加数はベンゼン環1個あたり1~5個、中でも4~5個付加したものであることが好ましい。
 臭素化ポリ(メタ)アクリレートとしては、ペンタブロモベンジルポリ(メタ)アクリレートが、高臭素含有量であることから好ましい。
 臭素化ポリ(メタ)アクリレートの分子量は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、重量平均分子量(Mw)で、3,000以上であることが好ましく、10,000以上であることがより好ましく、15,000以上であることがさらに好ましく、20,000以上であることが一層好ましく、25,000以上であることがより一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、より高い機械的強度を有する成形品が得られる傾向にある。また、前記重量平均分子量(Mw)の上限は、100,000以下であることが好ましく、80,000以下であることがより好ましく、60,000以下であることがさらに好ましく、50,000以下であることが一層好ましく、35,000以下であることがより一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、組成物の流動性がより向上する傾向にある。
 臭素化ポリカーボネートは、遊離臭素含有量が0.05質量%以上であることが好ましく、また、0.20質量%以下であることが好ましい。このような範囲とすることにより、組成物の耐熱安定性がより向上する傾向にある。臭素化ポリカーボネートは、また、塩素原子含有量が0.001質量%以上であることが好ましく、また、0.20質量%以下であることが好ましい。このような範囲とすることにより、成形の際の耐金型腐食性がより向上する傾向にある。
 臭素化ポリカーボネートとしては、具体的には例えば、臭素化ビスフェノールA、特にテトラブロモビスフェノールAから得られる、臭素化ポリカーボネートであることが好ましい。その末端構造は、フェニル基、4-t-ブチルフェニル基や2,4,6-トリブロモフェニル基等が挙げられ、特に、末端基構造に2,4,6-トリブロモフェニル基を有するものが好ましい。
 臭素化ポリカーボネートにおける、カーボネート構成単位数の平均は適宜選択して決定すればよいが、2~30であることが好ましく、3~15であることがより好ましく、3~10であることがさらに好ましい。
 臭素化ポリカーボネートの分子量は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、好ましくは、粘度平均分子量で1,000~20,000、中でも2,000~10,000であることが好ましい。
 上記臭素化ビスフェノールAから得られる臭素化ポリカーボネートは、例えば、臭素化ビスフェノールとホスゲンとを反応させる通常の方法で得ることができる。末端封鎖剤としては芳香族モノヒドロキシ化合物が挙げられ、これはハロゲンまたは有機基で置換されていてもよい。
 臭素化エポキシとしては、具体的には、テトラブロモビスフェノールAエポキシ化合物や、グリシジル臭素化ビスフェノールAエポキシ化合物に代表されるビスフェノールA型ブロモ化エポキシ化合物が好ましく挙げられる。
 臭素化エポキシ化合物の分子量は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、重量平均分子量(Mw)で、3,000以上であることが好ましく、10,000以上であることがより好ましく、13,000以上であることがさらに好ましく、15,000以上であることが一層好ましく、18,000以上であることがより一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、より高い機械的強度を有する成形品が得られる傾向にある。また、前記重量平均分子量(Mw)の上限は、100,000以下であることが好ましく、80,000以下であることがより好ましく、78,000以下であることがさらに好ましく、75,000以下であることが一層好ましく、70,000以下であることがより一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、組成物の流動性がより向上する傾向にある。
 臭素化エポキシ化合物は、そのエポキシ当量が3,000~40,000g/eqであることが好ましく、中でも4,000~35,000g/eqが好ましく、特に10,000~30,000g/eqであることが好ましい。
 また、臭素化エポキシとして臭素化エポキシオリゴマーを併用することもできる。この際、例えばMwが5,000以下のオリゴマーを50質量%程度以下の割合で用いることで、難燃性、離型性および流動性を適宜調整することができる。臭素化エポキシ化合物における臭素原子含有量は任意だが、十分な難燃性を付与する上で、通常10質量%以上であり、中でも20質量%以上、特に30質量%以上であることが好ましく、その上限は60質量%、中でも55質量%以下であることが好ましい。
 臭素化ポリスチレンとしては、好ましくは、式(6)で示される構成単位を含有する臭素化ポリスチレンが挙げられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000007
(式(6)中、tは1~5の整数であり、nは構成単位の数である。)
 臭素化ポリスチレンとしては、ポリスチレンを臭素化するか、または、臭素化スチレンモノマーを重合することによって製造するかのいずれであってもよいが、臭素化スチレンを重合したものは遊離の臭素(原子)の量が少ないので好ましい。なお、式(6)において、臭素化ベンゼンが結合したCH基はメチル基で置換されていてもよい。また、臭素化ポリスチレンは、他のビニル系モノマーが共重合された共重合体であってもよい。この場合のビニル系モノマーとしてはスチレン、α-メチルスチレン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸メチル、ブタジエンおよび酢酸ビニル等が挙げられる。また、臭素化ポリスチレンは単一物あるいは構造の異なる2種以上の混合物として用いてもよく、単一分子鎖中に臭素数の異なるスチレンモノマー由来の単位を含有していてもよい。
 臭素化ポリスチレンの具体例としては、例えば、ポリ(4-ブロモスチレン)、ポリ(2-ブロモスチレン)、ポリ(3-ブロモスチレン)、ポリ(2,4-ジブロモスチレン)、ポリ(2,6-ジブロモスチレン)、ポリ(2,5-ジブロモスチレン)、ポリ(3,5-ジブロモスチレン)、ポリ(2,4,6-トリブロモスチレン)、ポリ(2,4,5-トリブロモスチレン)、ポリ(2,3,5-トリブロモスチレン)、ポリ(4-ブロモ-α-メチルスチレン)、ポリ(2,4-ジブロモ-α-メチルスチレン)、ポリ(2,5-ジブロモ-α-メチルスチレン)、ポリ(2,4,6-トリブロモ-α-メチルスチレン)およびポリ(2,4,5-トリブロモ-α-メチルスチレン)等が挙げられ、ポリ(2,4,6-トリブロモスチレン)、ポリ(2,4,5-トリブロモスチレン)および平均2~3個の臭素基をベンゼン環中に含有するポリジブロモスチレン、ポリトリブロモスチレンが特に好ましく用いられる。
 臭素化ポリスチレンは、式(6)における構成単位の数n(平均重合度)が30~1,500であることが好ましく、より好ましくは150~1,000、特に300~800のものが好適である。平均重合度が30未満ではブルーミングが発生しやすく、一方、1,500を超えると、分散不良を生じやすく、機械的性質が低下しやすい。また、臭素化ポリスチレンの重量平均分子量(Mw)としては、5,000~500,000であることが好ましく、10,000~500,000であることがより好ましく、10,000~300,000であることがさらに好ましく、10,000~100,000であることが一層好ましく、10,000~70,000であることがより一層好ましい。特に、上記したポリスチレンの臭素化物の場合は、重量平均分子量(Mw)は50,000~70,000であることが好ましく、重合法による臭素化ポリスチレンの場合は、重量平均分子量(Mw)は10,000~30,000程度であることが好ましい。なお、重量平均分子量(Mw)は、GPC測定による標準ポリスチレン換算の値として求めることができる。
 臭素系難燃剤における臭素濃度は45質量%以上であることが好ましく、48質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましい。前記下限値以上とすることにより、成形品の難燃性が効果的に向上する傾向にある。前記臭素濃度の上限値は、75質量%以下であることが好ましく、73質量%以下であることがより好ましく、71質量%以下であることがさらに好ましい。
 本実施形態で用いる組成物における非金属塩系難燃剤の含有量は、末端水酸基量が150~800ppmであるポリカーボネート樹脂100質量部に対し、0.05質量部以上であり、0.10質量部以上であることが好ましく、0.50質量部以上であることがより好ましい。前記下限値以上とすることにより、得られる成形品の難燃性を高くできると共に、機械的強度保持率を高くすることができる傾向にある。また、前記非金属塩系難燃剤の含有量の上限値は、末端水酸基量が150~800ppmであるポリカーボネート樹脂100質量部に対し、25質量部以下であることが好ましく、23質量部以下であることがより好ましい。前記上限値以下とすることにより、得られる成形品の外観や機械的強度がより向上する傾向にある。
 本実施形態で用いる組成物は、非金属塩系難燃剤を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
 特に、本実施形態で用いる組成物におけるリン系難燃剤の含有量は、末端水酸基量が150~800ppmであるポリカーボネート樹脂100質量部に対し、5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることがより好ましく、15質量部以上であることがさらに好ましく、23質量部以下であることが好ましい。前記下限値以上とすることにより、得られる成形品の難燃性を高くできると共に、機械的強度保持率を高くすることができる傾向にある。前記上限値以下とすることにより、得られる成形品の外観や機械的強度がより向上する傾向にある。
 また、本実施形態で用いる組成物におけるハロゲン系難燃剤の含有量は、末端水酸基量が150~800ppmであるポリカーボネート樹脂100質量部に対し、5質量部以下であることが好ましく、3質量部以下であることがより好ましく、1質量部以下であることがさらに好ましく、0.1質量部以上であることが好ましく、0.3質量部以上であることがより好ましい。前記上限値以下とすることにより、得られる成形品の外観や機械的強度がより向上する傾向にある。
 本実施形態のペレットは、金属塩系難燃剤を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
 本実施形態のペレットは、金属塩系難燃剤を実質的に含まないことが好ましい。実質的に含まないとは、組成物における金属塩系難燃剤の含有量が、金属塩系難燃剤の含有量の10質量%以下であることをいい、5質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることがさらに好ましい。
<難燃助剤>
 本実施形態で用いる組成物は、難燃助剤を含んでいてもよい。
 難燃助剤は、アンチモン化合物を含むことがより好ましい。難燃助剤(好ましくはアンチモン化合物)を含むことにより、臭素系難燃剤と作用し、相乗的に難燃性が向上する傾向にある。
 アンチモン化合物としては、三酸化アンチモン(Sb)、五酸化アンチモン(Sb)およびアンチモン酸ナトリウム等が好ましく、これらの中でも三酸化アンチモンが特に好ましい。
 本実施形態において、臭素系難燃剤に含まれる臭素原子とアンチモン化合物に含まれるアンチモン原子の質量比(Br/Sb)は、0.3以上であることが好ましく、1.0以上であることがより好ましく、また、5.0以下であることが好ましく、4.0以下であることがより好ましい。このような範囲とすることにより、難燃性が発現しやすい傾向にあり好ましい。
 本実施形態で用いる組成物において、アンチモン化合物は、熱可塑性樹脂とのマスターバッチとして配合することが好ましい。これにより、アンチモン化合物が、熱可塑性樹脂相に存在しやすくなり、溶融混練、成形加工時の熱安定性が良好となり、耐衝撃性の低下が抑えられ、さらに、難燃性、耐衝撃性のばらつきが少なくなる傾向となる。
 マスターバッチ中のアンチモン化合物の含有量は20~90質量%であることが好ましい。マスターバッチ中のアンチモン化合物の含有量は、より好ましく30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上、一層好ましくは50質量%以上、より一層好ましくは60質量%以上、特に一層好ましくは70質量%以上である。
 本実施形態で用いる組成物における難燃助剤(好ましくはアンチモン化合物)の含有量は、難燃助剤を含む場合、末端水酸基量が150~800ppmであるポリカーボネート樹脂100質量部に対し、0.1質量部以上であることが好ましく、1.0質量部以上であることがより好ましく、2.0質量部以上であることがさらに好ましく、3.0質量部以上であることが一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、得られる成形品の難燃性がより向上する。また、前記難燃助剤(好ましくはアンチモン化合物)の含有量の上限値は、末端水酸基量が150~800ppmであるポリカーボネート樹脂100質量部に対し、20.0質量部以下であることが好ましく、15.0質量部以下であることがより好ましく、10.0質量部以下であることがさらに好ましく、8.0質量部以下であることが一層好ましく、7.0質量部以下であることがより一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、得られる成形品の離型性や耐衝撃性が向上する傾向にある。
<滴下防止剤>
 本実施形態で用いる組成物は、滴下防止剤を含んでいてもよい。滴下防止剤を含むことにより、得られる成形品の難燃性をより向上させることができる。
 滴下防止剤としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が好ましく、フィブリル形成能を有し、ポリカーボネート樹脂中に容易に分散し、かつ樹脂同士を結合して繊維状材料を作る傾向を示すものである。ポリテトラフルオロエチレンの具体例としては、例えば三井・デュポンフロロケミカルより市販されている商品名「テフロン(登録商標)6J」または「テフロン(登録商標)30J」、ダイキン化学工業より市販されている商品名「ポリフロン」あるいは旭硝子より市販されている商品名「フルオン」等が挙げられる。
 本実施形態で用いる組成物が滴下防止剤を含む場合、その含有量は、末端水酸基量が150~800ppmであるポリカーボネート樹脂100質量部に対し、0.01質量部以上であることが好ましく、0.05質量部以上であることがより好ましく、0.08質量部以上であることがさらに好ましい。前記下限値以上とすることにより、ペレットないし成形品の難燃性がより向上する傾向にある。また、前記滴下防止剤の含有量の上限値は、末端水酸基量が150~800ppmであるポリカーボネート樹脂100質量部に対し、10質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましく3質量部以下であることがさらに好ましい。前記上限値以下とすることにより、得られる成形品の機械的強度がより向上する傾向にある。
 本実施形態で用いる組成物は、滴下防止剤を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<流動改質剤>
 本実施形態で用いる組成物は、末端水酸基量が150~800ppmであるポリカーボネート樹脂100質量部に対し、流動改質剤を0.5~30質量部含むことが好ましい。流動改質剤を含むことにより、優れた曲げ強さを保持したままポリカーボネート樹脂の流動性を向上させることができる。
 本実施形態で用いられる流動改質剤は、公知のものを用いることができ、低分子ないしオリゴマー(数平均分子量2000未満)であっても、高分子(数平均分子量2000以上)であってもよい。本実施形態では、例えば、数平均分子量が1000以上2000未満のオリゴマーを用いることができる。ここでの数平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)法により測定したポリスチレン換算値である。
 具体的には、ポリエステルオリゴマー、ポリカーボネートオリゴマー、ポリカプロラクトン、低分子量アクリル系共重合体、脂肪族ゴム-ポリエステルブロック共重合体が例示され、ポリカーボネートオリゴマーが好ましい。
 流動改質剤は、特許第4736260号公報の段落0050~0056の記載、特開2011-063812号公報の段落0059~0070の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
 本実施形態で用いる組成物において、流動改質剤の含有量は、末端水酸基量が150~800ppmであるポリカーボネート樹脂100質量部に対し、0.5質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましく、2質量部以上であることがさらに好ましく、3質量部以上であることが一層好ましく、5質量部以上であることがより一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、末端水酸基量が150~800ppmであるポリカーボネート樹脂の流動性がより向上する傾向にある。前記流動改質剤の含有量は、また、末端水酸基量が150~800ppmであるポリカーボネート樹脂100質量部に対し、30質量部以下であることが好ましく、25質量部以下であることがより好ましく、20質量部以下であることがさらに好ましく、17質量部以下であることが一層好ましく、16質量部以下であることがより一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、耐熱性および耐衝撃性を低下させることなく、ポリカーボネート樹脂の流動性がより向上する傾向にある。
 本実施形態で用いる組成物は、流動改質剤を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<その他の成分>
 本実施形態で用いる組成物は、上記以外のその他の成分を含んでいてもよい。例えば、ポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂、染料、顔料、耐衝撃性改良剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、離型剤、防曇剤、天然油、合成油、ワックス、有機系充填剤等が例示される。これらの成分の総量は、例えば、組成物の0.1~10質量%であってもよい。
 本実施形態で用いる組成物は、例えば、ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、離型剤およびカーボンブラックから選択される少なくとも1種を合計で0.1~10質量部(好ましくは0.5~5質量部)含むことが例示される。
 離型剤としては、特開2021-031633号公報の段落0054~0064の記載、特開2019-056035号公報の段落0038~0044の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
 カーボンブラックとしては、特開2021-031633号公報の段落0065~0068の記載、特開2019-056035号公報の段落0014~0025の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
<物性>
 本実施形態のペレットから得られる成形品は、ポリカーボネート樹脂にバージン炭素繊維を配合した場合に近い高い曲げ強さを有することが好ましい。
 本実施形態のペレットから成形されたISO多目的試験片を用い、ISO178に従って測定された曲げ強さが、前記ペレットに含まれる前記ポリカーボネート樹脂を等量の末端水酸基量が140ppmであるポリカーボネート樹脂に、リサイクル炭素繊維を炭素繊維量が等量となるバージン炭素繊維に置き換えたペレットから成形されたISO多目的試験片を用い、ISO178に従って測定された曲げ強さと比較して、保持率が82%以上であることが好ましい。前記ISO多目的試験片は、80mm×10mm×4mm厚の平板試験片(例えば、ISO多目的試験片から切り出した80mm×10mm×4mm厚の平板試験片)である。また、前記保持率は、保持率が84%以上であることがより好ましく、86%以上であることがさらに好ましく、88%以上であることが一層好ましく、90%以上であることがより一層好ましい。前記値の上限値は、105%以下が実際的である。
 このような高い保持率は、末端水酸基量が150~800ppmであるポリカーボネート樹脂に非金属塩系難燃剤を配合することによって達成される。
 本実施形態のペレットから得られる成形品は、難燃性が優れていることが好ましい。
 具体的には、本実施形態のペレットを1.5mmの厚さのUL試験片に成形し、UL94試験を行ったときの難燃性が、V-2を満たすことが好ましく、V-1を満たすことがより好ましく、V-0を満たすことがさらに好ましい。
<ペレットの製造方法>
 本実施形態で用いるペレットは、ポリカーボネート樹脂を含むペレットの常法の製法によって製造できる。例えば、本実施形態で用いるペレットは、末端水酸基量が150~800ppmであるポリカーボネート樹脂と、炭素繊維強化樹脂の加熱物であるリサイクル炭素繊維5~65質量部と、非金属塩系難燃剤0.05~25質量部を押出機に投入し、溶融混練することを含む方法によって製造される。リサイクル炭素繊維は、炭素繊維の表面に表面処理剤や収束剤が付着していない場合があるが、本実施形態ではリサイクル炭素繊維として炭素繊維強化樹脂の加熱物を用いることにより、樹脂由来の残渣が表面処理剤等の役割を果たし、押出機に投入しての溶融混練が可能になる。そのため、ペレットとすることができる。
 押出機には、各成分をあらかじめ混合して一度に供給してもよいし、各成分を予め混合することなく、ないしはその一部のみを予め混合し、フィーダーを用いて押出機に供給してもよい。押出機は、一軸押出機であっても、二軸押出機であってもよい。また、染料や顔料(例えば、カーボンブラック)の一部の成分を樹脂成分と溶融混練してマスターバッチを調製し、次いでこれに残りの成分を配合して溶融混練してもよい。
 なお、炭素繊維は、押出機のシリンダー途中のサイドフィーダーから供給することも好ましい。
 溶融混練に際しての加熱温度は、通常、250~350℃の範囲から適宜選ぶことができる。
<成形品>
 本実施形態の成形品は、本実施形態のペレットから形成される。
 本実施形態の成形品は、機械的強度が良好であるため、種々の用途、例えば、各種保存容器、電気・電子機器部品、オフィスオートメート(OA)機器部品、家電機器部品、機械機構部品、車両機構部品などに適用できる。
<成形品の製造方法>
 本実施形態の成形品の製造方法は、特に限定されず、ポリカーボネート樹脂を含む組成物あるいはペレットについて一般に採用されている成形法を任意に採用できる。その例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法、ブロー成形法等が挙げられ、中でも射出成形が好ましい。
 射出成形の詳細は、特許第6183822号公報の段落0113~0116の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
 以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
 実施例で用いた測定機器等が廃番等により入手困難な場合、他の同等の性能を有する機器を用いて測定することができる。
1.原料
 以下の実施例および比較例に使用した各原料成分は、以下の表1および表2のとおりである。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000008
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000009
<残渣の量>
 表2におけるリサイクル炭素繊維の残渣は、リサイクル炭素繊維中の炭化物の量を示している。すなわち、本実施例で用いるリサイクル炭素繊維は、樹脂(例えば、エポキシ樹脂)と炭素繊維の複合物の焼成物であるため、リサイクル炭素繊維には樹脂(例えば、エポキシ樹脂)由来の残渣(炭化物)が含まれている。樹脂残渣の量は、加熱処理前の炭素繊維強化樹脂に含まれる炭素繊維質量を炭素繊維含有率から算出し、式(X)から求めた値である。単位は、質量%で示している。
[B - (A × C)/(B)]× 100  式(X)
 A:加熱処理前の炭素繊維強化樹脂の質量
 B:加熱処理物の質量
 C:加熱処理前の炭素繊維強化樹脂の炭素繊維含有率
<ポリカーボネート樹脂中の末端水酸基量>
 ポリカーボネート樹脂(PC樹脂)の末端水酸基量は、下記に表される末端水酸基の総量を表し、ポリカーボネート樹脂の総質量に対する、末端水酸基の質量の割合をppmで表示したものである。またその測定方法は、四塩化チタン/酢酸法による比色定量(Macromol.Chem.88 215(1965)に記載の方法)に従った。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000010
 上記式中、Rは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルコキシカルボニル基、炭素数4~20のシクロアルキル基および炭素数6~20のアリール基から選択される基であり、rは0~2の整数を表す。rが2のときは、2つのRは、同一でもよいし、異なっていてもよい。波線部分は、ポリカーボネート樹脂の主鎖との結合位置である。
2.実施例1~7および比較例1~5
<コンパウンド>
 表4~表6に記載の各原料を表に記載の含有量(全て質量部)となるように秤量し、1ベントを備えた二軸押出機を用い、炭素繊維以外の原料は押出機上流部のバレルより押出機にフィードし、炭素繊維はサイドフィードして、スクリュー回転数300rpm、吐出量200kg/時間、バレル温度280~310℃の条件で混練し、ストランド状に押出された溶融ペレットを水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化し、ペレットを得た。
<試験片の成形>
 上記で得られたペレットを、120℃で5時間乾燥後、射出成形機(日本製鋼所製「J85AD」)にて、シリンダー温度300℃、金型温度100℃、成形サイクル50秒の条件で射出成形を行い、ISO多目的試験片(4mm厚)を作製した。
<引張強さ、張弾性率および引張歪み>
 上記で得られたISO多目的試験片を用い、ISO527-1、ISO527-2に従って引張試験を実施し、引張強さ、引張弾性率および引張歪みを求めた。
 引張強さおよび引張弾性率の単位は、MPaで示した。引張歪みの単位は、%で示した。
<曲げ強さ、曲げ強さの保持率および曲げ弾性率>
 上記で得られたISO多目的試験片を用いて80mm×10mm×4mm厚の平板試験片を作製し、ISO178に従い、前記試験片の曲げ強さおよび曲げ弾性率の測定を行った。また、曲げ強さの保持率を算出した。
 曲げ強さおよび曲げ弾性率の単位は、MPaで示した。曲げ強さの保持率の単位は、%で示した。
 曲げ強さの保持率は、比較例1、2、実施例1、比較例5は、比較例1の曲げ強さを100%としたときの相対値として示し、比較例3、4、実施例2は、比較例3の曲げ強さを100%としたときの相対値として示し、実施例3~7は、比較例1の曲げ強さを100%としたときの相対値として示した。
<ノッチ無しシャルピー衝撃強さ>
 上記で得られたISO多目的試験片を用い、ISO179-1およびISO179-2に従い、23℃におけるシャルピー衝撃強さ(ノッチ無し)の測定を行った。単位は、kJ/mで示した。
<難燃性>
 上記で得られたペレットについて、射出成形機(住友重機械工業社製「SE50DUZ」)を用い、樹脂温度290℃、金型温度80℃の条件下で射出成形を行い、長さ127mm、幅12.7mm、肉厚1.5mmのUL試験用試験片を得た。
 得られたUL試験用試験片を、23℃、相対湿度50%の恒温室の中で48時間調湿し、米国アンダーライターズ・ラボラトリーズ(UL)が定めているUL94試験(機器の部品用プラスチック材料の燃焼試験)に準拠して試験を実施した。
 UL94試験とは、鉛直に保持した試験片にバーナーの炎を10秒間接炎した後の残炎時間やドリップ性から難燃性を評価する方法であり、V-0、V-1およびV-2の難燃性を有するためには、以下の表3に示す基準を満たすことが必要となる。不適合とは、V-0~V-2のいずれにも該当しなかったことを意味する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000011
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000012
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000013
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000014
 上記結果から明らかな通り、本実施形態のペレットから形成された成形品は、リサイクル炭素繊維を用いているにもかかわらず、バージン炭素繊維を用いた場合に近い機械的強度を達成でき、さらに、難燃性にも優れていた(実施例1~7)。

Claims (11)

  1. 末端水酸基量が150~800ppmであるポリカーボネート樹脂100質量部に対し、炭素繊維強化樹脂の加熱物であるリサイクル炭素繊維5~65質量部と、非金属塩系難燃剤0.05~25質量部を含む組成物から形成されたペレット。
  2. 前記ペレットから成形されたISO多目的試験片を用い、ISO178に従って測定された曲げ強さが、前記ペレットに含まれる前記ポリカーボネート樹脂を等量の末端水酸基量が140ppmであるポリカーボネート樹脂に、リサイクル炭素繊維を炭素繊維量が等量となるバージン炭素繊維に置き換えた組成物から成形されたISO多目的試験片を用い、ISO178に従って測定された曲げ強さと比較して、保持率が82%以上である、請求項1に記載のペレット。
  3. 前記ポリカーボネート樹脂が、リサイクルされたポリカーボネート樹脂を含む、請求項1または2に記載のペレット。
  4. さらに、前記ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、流動改質剤を0.5~30質量部含む、請求項1または2に記載のペレット。
  5. さらに、前記ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、離型剤およびカーボンブラックから選択される少なくとも1種を合計で0.1~10質量部含む、請求項1または2に記載のペレット。
  6. 非金属塩系難燃剤が、リン系難燃剤およびハロゲン系難燃剤から選択される少なくとも1種を含む、請求項1または2に記載のペレット。
  7. 非金属塩系難燃剤がリン系難燃剤を、末端水酸基量が150~800ppmであるポリカーボネート樹脂100質量部に対し、5~25質量部含む、請求項1または2に記載のペレット。
  8. 非金属塩系難燃剤がハロゲン系難燃剤を、末端水酸基量が150~800ppmであるポリカーボネート樹脂100質量部に対し、0.05~5質量部含む、請求項1または2に記載のペレット。
  9. 前記ペレットから成形されたISO多目的試験片を用い、ISO178に従って測定された曲げ強さが、前記ペレットに含まれる前記ポリカーボネート樹脂を等量の末端水酸基量が140ppmであるポリカーボネート樹脂に、リサイクル炭素繊維を炭素繊維量が等量となるバージン炭素繊維に置き換えた組成物から成形されたISO多目的試験片を用い、ISO178に従って測定された曲げ強さと比較して、保持率が82%以上であり、
    前記ポリカーボネート樹脂が、リサイクルされたポリカーボネート樹脂を含み、
    さらに、前記ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、流動改質剤を0.5~30質量部含み、
    さらに、前記ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、離型剤およびカーボンブラックから選択される少なくとも1種を合計で0.1~10質量部含み、
    非金属塩系難燃剤が、リン系難燃剤およびハロゲン系難燃剤から選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載のペレット。
  10. 請求項1、2または9に記載のペレットから形成された成形品。
  11. 末端水酸基量が150~800ppmであるポリカーボネート樹脂100質量部と、炭素繊維強化樹脂の加熱物であるリサイクル炭素繊維5~65質量部と、非金属塩系難燃剤0.05~25質量部を押出機に投入し、溶融混練することを含む、ペレットの製造方法。
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