JP2004225003A - 静電防止用樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】静電特性及び成型性に優れた樹脂組成物を提供する。
【解決手段】エポキシ樹脂で結合された高弾性及び高強度の炭素繊維織物による成型物を1.0mm以下の繊維長に粗砕し、さらに分級粉砕後、焼成温度600℃以下で加熱分解して、繊維径が7μmφ以上、繊維長が0.1mm以下とした分級品で、かつ0.05mm〜0.1mmの繊維長分布が30%以下の炭素短繊維を、エンジニアリング樹脂の組成物として10%〜30%含む。エポキシ樹脂焼成物から発生する残存炭化物である非晶系炭素粒子であって上記繊維成分の表面に付着すると共に含有率が20%以下の粒子成分を混合する。
【選択図】 なし
【解決手段】エポキシ樹脂で結合された高弾性及び高強度の炭素繊維織物による成型物を1.0mm以下の繊維長に粗砕し、さらに分級粉砕後、焼成温度600℃以下で加熱分解して、繊維径が7μmφ以上、繊維長が0.1mm以下とした分級品で、かつ0.05mm〜0.1mmの繊維長分布が30%以下の炭素短繊維を、エンジニアリング樹脂の組成物として10%〜30%含む。エポキシ樹脂焼成物から発生する残存炭化物である非晶系炭素粒子であって上記繊維成分の表面に付着すると共に含有率が20%以下の粒子成分を混合する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハー容器やトレー等の材料となる静電防止用樹脂組成物に関し、特に静電防止機能と成型性を向上させた静電防止用樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体ウェハー容器のプロセス内クリーンルームの極小化に伴い、静電防止機能を有する樹脂容器の必要性はとみに高まってきた。この静電防止機能を合成樹脂に持たせるために、カーボンブラック等の導電体を合成樹脂に混練して達成していた。
【0003】
【特許文献1】
特開昭58−207651号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、カーボンブラック等を合成樹脂へ混練する場合、添加量10wt%以下で静電防止機能を一応発揮するものの、チョーキング性の改良が難しい。
【0005】
また、炭素繊維は、それ自体繋がる時に、樹脂組成物内で導電性を発揮する。しかし、短繊維化しただけでは、炭素繊維表面に電子を伝播する電子軌道を有する炭素成分、即ちSp−2軌道の炭素成分が存在しないため、静電特性があまり高くない。アスペクト比100以上の3〜6mm繊維長のチョップドストランドでは、10wt%前後で静電特性を一応発揮するが、その静電減衰性は著しく劣る。
【0006】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたもので、静電特性及び成型性に優れた静電防止用樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明者は鋭意研究を重ねた結果、特定長の炭素繊維を特定比率で樹脂に添加することにより、又は特定長の炭素繊維及び粒子形状の炭素を特定比率で樹脂に添加することにより、樹脂組成物の成型性及び静電特性が向上することを見出して、本発明をなすに至った。
【0008】
樹脂組成物にするに際して炭素粒子は、静電機能に必要な凝集体間の電子の飛翔、伝播を助ける、いわゆるトンネル効果を発揮する。炭素短繊維と炭素粒子とを組み合わせることにより、導電効果を高め、かつ炭素粒子が結果的に高価な炭素繊維を減量し、低コストで高性能の静電特性を発揮することができる。
【0009】
さらに、短繊維の炭素粒子を含む炭素繊維を選ぶことにより、成型時の成型収縮の異方向性を均等化し、成型性に優れた成型材料として、繰り返す型修正の煩雑さを軽減でき、金型設計から製品化までのトータルコストの低減を図ることができる。
【0010】
また、チョーキング等の不純物発生を抑えるために、黒鉛系の炭素繊維は避け、PAN系炭素繊維を使用することで、高強度、高剛性、高硬度を実現する。
【0011】
また、シリコンウエハーを扱う半導体プロセスや搬送に使用する容器の材料になる合成樹脂には、金属元素を含有しないことは言うに及ばず、静電防止機能、チョーキング防止及び有機性揮発ガスの抑制の3つの機能が要求される。これらの機能が、新世代の半導体製造に不可欠な要素となる。補助材料としての樹脂組成物にもこれらの機能が要求される。
【0012】
従来の切断炭素繊維(CCF)も機械粉砕ミルド炭素繊維(MCF)の体積抵抗率は本発明品より繊維自体では高抵抗率を示している。例えば、CCFでは10.5Ωcmとなる。これに対しては本発明品カーボンミルドファイバ(CMF)では7.9Ωcmとなる。
【0013】
このために第1の発明は、炭素粒子が炭素繊維表面に付着してなる、粒子成分と繊維成分混合の炭素短繊維を混練したことを特徴とする。
【0014】
上記構成により、炭素粒子が炭素繊維と相まって、上述のように静電特性及び成型性を向上させる。
【0015】
即ち、炭素繊維表面に付着した炭素粒子は、炭素繊維間の電子の飛翔、伝播を助ける。炭素繊維の長さ方向に伝播する傾向の強い電子を、炭素繊維表面に付着した炭素粒子が近隣の炭素繊維に伝播させる。これにより、導電効果が高まり、静電特性が向上する。
【0016】
さらに、炭素粒子を含むことで、樹脂の流動する方向が炭素繊維の方向に拘束される傾向が弱まり、成型時の成型収縮の異方向性を均等化させることができる。これにより、静電防止用樹脂組成物は、成型性に優れた成型材料となる。この結果、繰り返す型修正の煩雑さを軽減でき、金型設計から製品化までのトータルコストの低減を図ることができる。
【0017】
上記粒子成分及び繊維成分は、以下の限定によって静電特性及び成型性を向上させることができる。
【0018】
第2の発明は、エポキシ樹脂で結合された高弾性及び高強度の炭素繊維織物による成型物を1.0mm以下の繊維長に粗砕し、さらに分級粉砕後、焼成温度600℃以下で加熱分解して、繊維径が7μmφ以上、繊維長が0.1mm以下とした分級品で、かつ0.05mm〜0.1mmの繊維長分布が30%以下の炭素短繊維を、エンジニアリング樹脂の組成物として10%〜30%含むことを特徴とする。
【0019】
さらに、この静電防止用樹脂組成物は、上記炭素短繊維の炭素繊維単体でのアスペクト比が15以下、平均繊維長が60±20μm、比表面積(BET)が40〜70m2/gで、かつPH(JISR7601)が、樹脂組成物製造時に粘性が増して樹脂の分子量低下防止に寄与する値である7〜3の範囲の中性から酸性側であることを特徴とする。
【0020】
第3の発明は、繊維成分と、エポキシ樹脂焼成物から発生する残存炭化物である非晶系炭素粒子であって上記繊維成分の表面に付着すると共に含有率が20%以下の粒子成分とを混合してなる炭素短繊維(CMF)を混練したことを特徴とする。なお、市販一般の高温度焼成炭素繊維の熱分析炭素量はゼロになる。
【0021】
第4の発明は、エポキシ樹脂で結合された高弾性及び高強度の炭素繊維織物による成型物を1.0mm以下の繊維長に粗砕し、さらに分級粉砕後、焼成温度600℃以下で加熱分解して、繊維径が7μmφ以上、繊維長が0.1mm以下とした分級品で、かつ0.05mm〜0.1mmの繊維長分布が30%以下の繊維成分と、エポキシ樹脂焼成物から発生する残存炭化物である非晶系炭素粒子であって上記繊維成分の表面に付着すると共に含有率が20%以下の粒子成分とを混合してなる炭素短繊維(CMF)を、エンジニアリング樹脂の組成物として10%〜30%含むことを特徴とする。
【0022】
第5の発明は、エポキシ等の有機材料系の結着剤乃至サイジング剤を一切含まない0.1mm以下の繊維長のミルド炭素短繊維または切断炭素短繊維中に、DBP吸油量150ml/100g(JISK6221A)以上の性能を有しかつ窒素比表面積1000m2/g以上の粒子形態の炭素成分が20%以下配合された炭素短繊維(CMF)を、エンジニアリング樹脂の組成物として、10%〜30%含有してなることを特徴とする。
【0023】
上記粒子形態の炭素成分は、ケッチェンブラック、導電性カーボンブラック又はグラファイトであることが望ましい。
【0024】
上記各発明において、成型物となったときの表面抵抗値が1012Ω/□以下、上記成型物を150℃で1時間加熱して発生する有機性揮発ガスが、PC樹脂で30ppm以下、PBT樹脂で10ppm以下となる上記炭素短繊維を含有することが望ましい。また、表面抵抗値は109〜105Ω/□であることが望ましい。
【0025】
また、静電防止用樹脂組成物は、エンジニアリング樹脂の中で、有機性揮発ガスの発生が少ない、ポリカーボネート樹脂(PC)又はポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)から構成することが望ましい。
【0026】
【発明の実施の形態】
次に本発明の静電防止樹脂組成物について詳細に説明する。
【0027】
本発明に用いる、炭素繊維を結合させる樹脂としては、熱硬化性樹脂を用いる。具体的には、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などの一般に知られているもの全てを用いることができる。
【0028】
本発明の炭素繊維(CMF)は、焼成時に、Sp−2の電子軌道を飛翔・伝播させる(ダイヤモンド/フラーレン炭素はSp−3電子軌道と言われる)炭素微粒子が炭素繊維表面に付着して残存するため、添加量が30wt%以下で静電特性、並びに帯電減衰性を発揮する特徴を発見した。この炭素繊維以外の炭素量を熱分析で計量したところ、付着炭素成分は25%以下、特に10〜15%前後含む時、静電特性をいかんなく発揮する。即ち、炭素成分が樹脂組成物に2%〜4%含み、該当炭素繊維が樹脂組成物に10〜30%含む樹脂組成物を構成することにより、半導体用樹脂組成物を提供する。
【0029】
なお、ここで用いた熱分析法は、該当炭素繊維を、酸素空気共存下で1000℃まで昇温し、500℃以下までの焼成減量を付着炭素%として計量する方法を採用している。
【0030】
特に、次の実施例でも述べるが、従来のMCF30wt%添加量に対し、本発明はCMF20wt%前後の添加量で同等以上の性能を発揮できる技術である。
【0031】
〔実施例1〕
分子量2万5千の帝人化成(株)製ポリカーボネート樹脂(PC)に本発明の、熱分析による炭素成分15%を含む平均繊維長60μmの炭素短繊維(CMF)10wt%,20wt%および30wt%になるよう配合して混合し、2軸押出機にて、260℃〜280℃にて(1軸押出機では300℃±10)押出しペレットを作成した。同様に、東邦テナックス社製の平均繊維長45μm(HTA−CMF−0040−OH:通常ミルドファイバー、以下では「MCF」と略す)、熱分析による炭素成分0%の短炭素繊維をPC樹脂に比較例として、10wt%,20wt%および30wt%に混合押出ペレットを作成した。ついで、射出成型機にて、300mm半導体用シリコンウエハー容器を作成した。その静電特性の成型品の表面抵抗を測定した。
【0032】
【表1】
この表において、表面抵抗は三菱油化製Hiresta lPリング状プローブを用い、印加電圧100Vにて測定した。
【0033】
〔実施例2〕
実施例2は、実施例1のPC樹脂をポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)に変えたものである。
【0034】
ポリプラスチックス社製C7000タイプの本発明の炭素短繊維を、15wt%、20wt%および25wt%配合して混合し、2軸押出機にて、240℃〜270℃押出しペレットを作成した。比較用として、実施例1と同じMCFを用い、15wt%、20wt%および25wt%配合混合、押出しペレットを作成した。ついで、それぞれの樹脂を、200mmφ半導体シリコンウエハー用キャリヤーを射出成形した。キャリヤー側面の静電特性を測定した。
【0035】
【表2】
〔実施例3〕
本発明の実施例炭素繊維(CMF)は、(株)アシックス社製のCFRPを焼成し分級した再生短炭素繊維ACF001を用いた。
【0036】
炭素繊維中の平均繊維長および付着炭素量が有効に働いていることが、特に静電特性において、実施例1および実施例2にて、知見された。さらに、本発明の短炭素繊維中の熱分析による炭素量の影響による窒素置換比表面積(BET)および繊維長の分布が特に鋭敏に反応する。さらに、樹脂の2軸押出し成形時の摩擦発熱並びに増粘度による分子量低下が観察された。
【0037】
0.8mm以下に分級した短炭素繊維の繊維長分布を10等分し、0〜0.01mmをS0として、S1:0.01〜0.05mm、S2:0.05〜0.1mm、最大S8:0.7〜0.8mmまでの繊維長、および各水準のMFRに及ぼす相関性は、PC樹脂300℃/1.2kgでの、MFR=Yとすると、
Y=0.78×S2(%)−1.6S0(%)+0.04BET+31.1
となり、本発明実施例1の成形金型へのPC樹脂組成物の最適MFRが平均繊維長S2分布:0.05〜0.1mmの分布が重要で有ることを把握した。これは、従来、CCFや、MCFに見られない現象で有り、分子量に鋭敏に反応するPC樹脂にて発見された。
【0038】
【表3】
更に、各水準の平均繊維長の炭素繊維に含む微粒の付着炭素量を熱分析にて測定し、炭素量20%以上含有の炭素繊維は押出成形時の増粘度による分子量低下が著しく、実用的でないことを把握した。
【0039】
【表4】
〔実施例4〕
従来使用しているカーボンパウダー(CP)の代表ケッチェンブラック(ライオンEC)を5%以上含む樹脂組成物が静電特性を発揮するが、その一方でチョーキング現象が発現する。一方、PAN系炭素繊維の通常の製法のものは、熱分析によると、付着炭素は存在しないことがわかる。
【0040】
この通常の短炭素繊維、CCFまたはCMF(東邦テナックスHTA−CMF−0040−OH)に微量添加することにより、チョーキングが起きない全樹脂組成物中3%以下の範囲で添加してやると、実施例3の知見から、焼成による炭素が表面に付着してなる再生炭素繊維のごとく、電子を飛翔、伝播させる機能を期待できると判断した。
【0041】
そこで、目標の導電性を発揮しなかった実施例1の比較短炭素繊維に10wt%添加し、その混合炭素繊維を20部(+炭素含有3%)とPC樹脂80部を配合・混合し押出し、ペレットを作成した。ついで、実施例1の成形品を射出成形した。その射出成形品の静電特性を測定した。
【0042】
同様の手法により、実施例2のPBT樹脂80部に混合炭素繊維20%(+炭素含有3%)の成形品を作成し、静電特性(表面抵抗値)を測定したところ、以下のようになった。
【0043】
DBP吸油量300(ml/100g)以上CP添加の例:PC樹脂の場合
比較 PC80部+CMF20部 9.5×1015
PC80部+混合CF20部(CMF27+CP3) 8.5×107
DBP吸油量300(ml/100g)以上CP添加の例:PBT樹脂の場合
比較 PBT80部+CMF20部 6.8×1016
PBT80部+混合CF20部(CMF19.4+CP0.6) 4.7×109
この事実は、静電防止機能を本発明の再生炭素短繊維(CMF)が発揮している事実と同様、本来の導電性材料を改良するCPにより一定の条件を選び機能を与えれば発揮できることを証明するもので、市販の炭素繊維とCPを混合して組成物ができることを証明した。
【0044】
因みに、CPの同系の窒素置換比表面積がライオンECは1000m2/gに比べ、極端に低い61m2/gのデンカブラックを使用しジブチルフタレート[DBP]吸油量が300ml/100g以下、デンカブラックは115ml/g、ライオンEC350ml/gを、東邦テナックスCMFに10wt%添加した。
【0045】
PCを選び、前述の方法と同様、混合押出し、射出成形し、成形品の表面静電特性を測定した。
【0046】
DBP吸油量300〔ml/100g〕以下のCP添加の例
比較
PC80部+CMF19+デンカブラック1部 7.2×1015Ω/□
PC80部+混合CF20部(CMF27+CP3) 8.5×107Ω/□
以上の通り、半導体用静電防止機能の目標値である表面抵抗値1012Ω/□
以下にする製造技術を達成できた。
【0047】
〔実施例5〕有機性揮発ガス
本発明は、有機揮発性ガスはPC樹脂、PBT樹脂共に、下記の測定法に従い:150℃×1hr.)ニートポリマーとして発生する有機性揮発ガスが、標準条件〔80℃×2hr.で、1.0PPM以下の原料樹脂を使用し、ペレット化後、射出成形後の有機性揮発ガスを測定した。
【0048】
なお、発生ガスの測定法は、試料の成形品を切断し、粉砕し10grサンプリング後、三角フラスコに密閉、条件〔150℃×1Hr.〕で放置後、有機性揮発ガスを採取して密閉式HS−GC/MS法にて、PC樹脂はトルエン換算有機性揮発ガス総量、PBT樹脂はテトラヒドロフラン(THF)の総量[ppm/g]にて算出した。
【0049】
【表5】
[実施例6] 収縮率の方向性
通常、樹脂成形品の成形縮率は、原料メーカー側では平板(100×60×3mm:フィルムゲート)試験片を用いて測定するが、射出スピードが早く、本成形品参考値として有効である。半導体用ウェハー(薄板)収納容器、搬送用容器の射出成形品発生ガス同様、クリーンルーム内自動化ラインの寸法に適合する、立体型との対応収縮率が実用的であり、その方法で評価した。この結果、異方向性が大幅に改善され、実用に適した、炭素微粒子混合CMFの樹脂組成物の成果を確認した。
【0050】
【表6】
【表7】
[変形例]
上記実施形態では、静電防止用樹脂組成物を半導体ウエハー収納容器の材料として使用した場合を例に説明したが、本発明はこれに限らず、半導体ウエハートレー等の、静電特性、成型性、有機性揮発ガス低含有及び成型性を要求される用途に使用される樹脂組成物全てに使用することができる。
【0051】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明の静電防止用樹脂組成物によれば、静電特性及び成型性に優れ、有機性揮発ガス含有の低い樹脂組成物とすることができる。
【0052】
また、樹脂収縮率を、異方向性±0.3%以内、特にPCで0.3%以下、PBTでアニ一ル収縮を含めて0.9%以下の、異方向性の少ない値にすることができる。これにより、成型時の成型収縮の異方向性を均等化し、成型性に優れた成型材料とすることができる。この結果、繰り返す型修正の煩雑さを軽減でき、金型設計から製品化までのトータルコストの低減を図ることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハー容器やトレー等の材料となる静電防止用樹脂組成物に関し、特に静電防止機能と成型性を向上させた静電防止用樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体ウェハー容器のプロセス内クリーンルームの極小化に伴い、静電防止機能を有する樹脂容器の必要性はとみに高まってきた。この静電防止機能を合成樹脂に持たせるために、カーボンブラック等の導電体を合成樹脂に混練して達成していた。
【0003】
【特許文献1】
特開昭58−207651号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、カーボンブラック等を合成樹脂へ混練する場合、添加量10wt%以下で静電防止機能を一応発揮するものの、チョーキング性の改良が難しい。
【0005】
また、炭素繊維は、それ自体繋がる時に、樹脂組成物内で導電性を発揮する。しかし、短繊維化しただけでは、炭素繊維表面に電子を伝播する電子軌道を有する炭素成分、即ちSp−2軌道の炭素成分が存在しないため、静電特性があまり高くない。アスペクト比100以上の3〜6mm繊維長のチョップドストランドでは、10wt%前後で静電特性を一応発揮するが、その静電減衰性は著しく劣る。
【0006】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたもので、静電特性及び成型性に優れた静電防止用樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明者は鋭意研究を重ねた結果、特定長の炭素繊維を特定比率で樹脂に添加することにより、又は特定長の炭素繊維及び粒子形状の炭素を特定比率で樹脂に添加することにより、樹脂組成物の成型性及び静電特性が向上することを見出して、本発明をなすに至った。
【0008】
樹脂組成物にするに際して炭素粒子は、静電機能に必要な凝集体間の電子の飛翔、伝播を助ける、いわゆるトンネル効果を発揮する。炭素短繊維と炭素粒子とを組み合わせることにより、導電効果を高め、かつ炭素粒子が結果的に高価な炭素繊維を減量し、低コストで高性能の静電特性を発揮することができる。
【0009】
さらに、短繊維の炭素粒子を含む炭素繊維を選ぶことにより、成型時の成型収縮の異方向性を均等化し、成型性に優れた成型材料として、繰り返す型修正の煩雑さを軽減でき、金型設計から製品化までのトータルコストの低減を図ることができる。
【0010】
また、チョーキング等の不純物発生を抑えるために、黒鉛系の炭素繊維は避け、PAN系炭素繊維を使用することで、高強度、高剛性、高硬度を実現する。
【0011】
また、シリコンウエハーを扱う半導体プロセスや搬送に使用する容器の材料になる合成樹脂には、金属元素を含有しないことは言うに及ばず、静電防止機能、チョーキング防止及び有機性揮発ガスの抑制の3つの機能が要求される。これらの機能が、新世代の半導体製造に不可欠な要素となる。補助材料としての樹脂組成物にもこれらの機能が要求される。
【0012】
従来の切断炭素繊維(CCF)も機械粉砕ミルド炭素繊維(MCF)の体積抵抗率は本発明品より繊維自体では高抵抗率を示している。例えば、CCFでは10.5Ωcmとなる。これに対しては本発明品カーボンミルドファイバ(CMF)では7.9Ωcmとなる。
【0013】
このために第1の発明は、炭素粒子が炭素繊維表面に付着してなる、粒子成分と繊維成分混合の炭素短繊維を混練したことを特徴とする。
【0014】
上記構成により、炭素粒子が炭素繊維と相まって、上述のように静電特性及び成型性を向上させる。
【0015】
即ち、炭素繊維表面に付着した炭素粒子は、炭素繊維間の電子の飛翔、伝播を助ける。炭素繊維の長さ方向に伝播する傾向の強い電子を、炭素繊維表面に付着した炭素粒子が近隣の炭素繊維に伝播させる。これにより、導電効果が高まり、静電特性が向上する。
【0016】
さらに、炭素粒子を含むことで、樹脂の流動する方向が炭素繊維の方向に拘束される傾向が弱まり、成型時の成型収縮の異方向性を均等化させることができる。これにより、静電防止用樹脂組成物は、成型性に優れた成型材料となる。この結果、繰り返す型修正の煩雑さを軽減でき、金型設計から製品化までのトータルコストの低減を図ることができる。
【0017】
上記粒子成分及び繊維成分は、以下の限定によって静電特性及び成型性を向上させることができる。
【0018】
第2の発明は、エポキシ樹脂で結合された高弾性及び高強度の炭素繊維織物による成型物を1.0mm以下の繊維長に粗砕し、さらに分級粉砕後、焼成温度600℃以下で加熱分解して、繊維径が7μmφ以上、繊維長が0.1mm以下とした分級品で、かつ0.05mm〜0.1mmの繊維長分布が30%以下の炭素短繊維を、エンジニアリング樹脂の組成物として10%〜30%含むことを特徴とする。
【0019】
さらに、この静電防止用樹脂組成物は、上記炭素短繊維の炭素繊維単体でのアスペクト比が15以下、平均繊維長が60±20μm、比表面積(BET)が40〜70m2/gで、かつPH(JISR7601)が、樹脂組成物製造時に粘性が増して樹脂の分子量低下防止に寄与する値である7〜3の範囲の中性から酸性側であることを特徴とする。
【0020】
第3の発明は、繊維成分と、エポキシ樹脂焼成物から発生する残存炭化物である非晶系炭素粒子であって上記繊維成分の表面に付着すると共に含有率が20%以下の粒子成分とを混合してなる炭素短繊維(CMF)を混練したことを特徴とする。なお、市販一般の高温度焼成炭素繊維の熱分析炭素量はゼロになる。
【0021】
第4の発明は、エポキシ樹脂で結合された高弾性及び高強度の炭素繊維織物による成型物を1.0mm以下の繊維長に粗砕し、さらに分級粉砕後、焼成温度600℃以下で加熱分解して、繊維径が7μmφ以上、繊維長が0.1mm以下とした分級品で、かつ0.05mm〜0.1mmの繊維長分布が30%以下の繊維成分と、エポキシ樹脂焼成物から発生する残存炭化物である非晶系炭素粒子であって上記繊維成分の表面に付着すると共に含有率が20%以下の粒子成分とを混合してなる炭素短繊維(CMF)を、エンジニアリング樹脂の組成物として10%〜30%含むことを特徴とする。
【0022】
第5の発明は、エポキシ等の有機材料系の結着剤乃至サイジング剤を一切含まない0.1mm以下の繊維長のミルド炭素短繊維または切断炭素短繊維中に、DBP吸油量150ml/100g(JISK6221A)以上の性能を有しかつ窒素比表面積1000m2/g以上の粒子形態の炭素成分が20%以下配合された炭素短繊維(CMF)を、エンジニアリング樹脂の組成物として、10%〜30%含有してなることを特徴とする。
【0023】
上記粒子形態の炭素成分は、ケッチェンブラック、導電性カーボンブラック又はグラファイトであることが望ましい。
【0024】
上記各発明において、成型物となったときの表面抵抗値が1012Ω/□以下、上記成型物を150℃で1時間加熱して発生する有機性揮発ガスが、PC樹脂で30ppm以下、PBT樹脂で10ppm以下となる上記炭素短繊維を含有することが望ましい。また、表面抵抗値は109〜105Ω/□であることが望ましい。
【0025】
また、静電防止用樹脂組成物は、エンジニアリング樹脂の中で、有機性揮発ガスの発生が少ない、ポリカーボネート樹脂(PC)又はポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)から構成することが望ましい。
【0026】
【発明の実施の形態】
次に本発明の静電防止樹脂組成物について詳細に説明する。
【0027】
本発明に用いる、炭素繊維を結合させる樹脂としては、熱硬化性樹脂を用いる。具体的には、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などの一般に知られているもの全てを用いることができる。
【0028】
本発明の炭素繊維(CMF)は、焼成時に、Sp−2の電子軌道を飛翔・伝播させる(ダイヤモンド/フラーレン炭素はSp−3電子軌道と言われる)炭素微粒子が炭素繊維表面に付着して残存するため、添加量が30wt%以下で静電特性、並びに帯電減衰性を発揮する特徴を発見した。この炭素繊維以外の炭素量を熱分析で計量したところ、付着炭素成分は25%以下、特に10〜15%前後含む時、静電特性をいかんなく発揮する。即ち、炭素成分が樹脂組成物に2%〜4%含み、該当炭素繊維が樹脂組成物に10〜30%含む樹脂組成物を構成することにより、半導体用樹脂組成物を提供する。
【0029】
なお、ここで用いた熱分析法は、該当炭素繊維を、酸素空気共存下で1000℃まで昇温し、500℃以下までの焼成減量を付着炭素%として計量する方法を採用している。
【0030】
特に、次の実施例でも述べるが、従来のMCF30wt%添加量に対し、本発明はCMF20wt%前後の添加量で同等以上の性能を発揮できる技術である。
【0031】
〔実施例1〕
分子量2万5千の帝人化成(株)製ポリカーボネート樹脂(PC)に本発明の、熱分析による炭素成分15%を含む平均繊維長60μmの炭素短繊維(CMF)10wt%,20wt%および30wt%になるよう配合して混合し、2軸押出機にて、260℃〜280℃にて(1軸押出機では300℃±10)押出しペレットを作成した。同様に、東邦テナックス社製の平均繊維長45μm(HTA−CMF−0040−OH:通常ミルドファイバー、以下では「MCF」と略す)、熱分析による炭素成分0%の短炭素繊維をPC樹脂に比較例として、10wt%,20wt%および30wt%に混合押出ペレットを作成した。ついで、射出成型機にて、300mm半導体用シリコンウエハー容器を作成した。その静電特性の成型品の表面抵抗を測定した。
【0032】
【表1】
この表において、表面抵抗は三菱油化製Hiresta lPリング状プローブを用い、印加電圧100Vにて測定した。
【0033】
〔実施例2〕
実施例2は、実施例1のPC樹脂をポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)に変えたものである。
【0034】
ポリプラスチックス社製C7000タイプの本発明の炭素短繊維を、15wt%、20wt%および25wt%配合して混合し、2軸押出機にて、240℃〜270℃押出しペレットを作成した。比較用として、実施例1と同じMCFを用い、15wt%、20wt%および25wt%配合混合、押出しペレットを作成した。ついで、それぞれの樹脂を、200mmφ半導体シリコンウエハー用キャリヤーを射出成形した。キャリヤー側面の静電特性を測定した。
【0035】
【表2】
〔実施例3〕
本発明の実施例炭素繊維(CMF)は、(株)アシックス社製のCFRPを焼成し分級した再生短炭素繊維ACF001を用いた。
【0036】
炭素繊維中の平均繊維長および付着炭素量が有効に働いていることが、特に静電特性において、実施例1および実施例2にて、知見された。さらに、本発明の短炭素繊維中の熱分析による炭素量の影響による窒素置換比表面積(BET)および繊維長の分布が特に鋭敏に反応する。さらに、樹脂の2軸押出し成形時の摩擦発熱並びに増粘度による分子量低下が観察された。
【0037】
0.8mm以下に分級した短炭素繊維の繊維長分布を10等分し、0〜0.01mmをS0として、S1:0.01〜0.05mm、S2:0.05〜0.1mm、最大S8:0.7〜0.8mmまでの繊維長、および各水準のMFRに及ぼす相関性は、PC樹脂300℃/1.2kgでの、MFR=Yとすると、
Y=0.78×S2(%)−1.6S0(%)+0.04BET+31.1
となり、本発明実施例1の成形金型へのPC樹脂組成物の最適MFRが平均繊維長S2分布:0.05〜0.1mmの分布が重要で有ることを把握した。これは、従来、CCFや、MCFに見られない現象で有り、分子量に鋭敏に反応するPC樹脂にて発見された。
【0038】
【表3】
更に、各水準の平均繊維長の炭素繊維に含む微粒の付着炭素量を熱分析にて測定し、炭素量20%以上含有の炭素繊維は押出成形時の増粘度による分子量低下が著しく、実用的でないことを把握した。
【0039】
【表4】
〔実施例4〕
従来使用しているカーボンパウダー(CP)の代表ケッチェンブラック(ライオンEC)を5%以上含む樹脂組成物が静電特性を発揮するが、その一方でチョーキング現象が発現する。一方、PAN系炭素繊維の通常の製法のものは、熱分析によると、付着炭素は存在しないことがわかる。
【0040】
この通常の短炭素繊維、CCFまたはCMF(東邦テナックスHTA−CMF−0040−OH)に微量添加することにより、チョーキングが起きない全樹脂組成物中3%以下の範囲で添加してやると、実施例3の知見から、焼成による炭素が表面に付着してなる再生炭素繊維のごとく、電子を飛翔、伝播させる機能を期待できると判断した。
【0041】
そこで、目標の導電性を発揮しなかった実施例1の比較短炭素繊維に10wt%添加し、その混合炭素繊維を20部(+炭素含有3%)とPC樹脂80部を配合・混合し押出し、ペレットを作成した。ついで、実施例1の成形品を射出成形した。その射出成形品の静電特性を測定した。
【0042】
同様の手法により、実施例2のPBT樹脂80部に混合炭素繊維20%(+炭素含有3%)の成形品を作成し、静電特性(表面抵抗値)を測定したところ、以下のようになった。
【0043】
DBP吸油量300(ml/100g)以上CP添加の例:PC樹脂の場合
比較 PC80部+CMF20部 9.5×1015
PC80部+混合CF20部(CMF27+CP3) 8.5×107
DBP吸油量300(ml/100g)以上CP添加の例:PBT樹脂の場合
比較 PBT80部+CMF20部 6.8×1016
PBT80部+混合CF20部(CMF19.4+CP0.6) 4.7×109
この事実は、静電防止機能を本発明の再生炭素短繊維(CMF)が発揮している事実と同様、本来の導電性材料を改良するCPにより一定の条件を選び機能を与えれば発揮できることを証明するもので、市販の炭素繊維とCPを混合して組成物ができることを証明した。
【0044】
因みに、CPの同系の窒素置換比表面積がライオンECは1000m2/gに比べ、極端に低い61m2/gのデンカブラックを使用しジブチルフタレート[DBP]吸油量が300ml/100g以下、デンカブラックは115ml/g、ライオンEC350ml/gを、東邦テナックスCMFに10wt%添加した。
【0045】
PCを選び、前述の方法と同様、混合押出し、射出成形し、成形品の表面静電特性を測定した。
【0046】
DBP吸油量300〔ml/100g〕以下のCP添加の例
比較
PC80部+CMF19+デンカブラック1部 7.2×1015Ω/□
PC80部+混合CF20部(CMF27+CP3) 8.5×107Ω/□
以上の通り、半導体用静電防止機能の目標値である表面抵抗値1012Ω/□
以下にする製造技術を達成できた。
【0047】
〔実施例5〕有機性揮発ガス
本発明は、有機揮発性ガスはPC樹脂、PBT樹脂共に、下記の測定法に従い:150℃×1hr.)ニートポリマーとして発生する有機性揮発ガスが、標準条件〔80℃×2hr.で、1.0PPM以下の原料樹脂を使用し、ペレット化後、射出成形後の有機性揮発ガスを測定した。
【0048】
なお、発生ガスの測定法は、試料の成形品を切断し、粉砕し10grサンプリング後、三角フラスコに密閉、条件〔150℃×1Hr.〕で放置後、有機性揮発ガスを採取して密閉式HS−GC/MS法にて、PC樹脂はトルエン換算有機性揮発ガス総量、PBT樹脂はテトラヒドロフラン(THF)の総量[ppm/g]にて算出した。
【0049】
【表5】
[実施例6] 収縮率の方向性
通常、樹脂成形品の成形縮率は、原料メーカー側では平板(100×60×3mm:フィルムゲート)試験片を用いて測定するが、射出スピードが早く、本成形品参考値として有効である。半導体用ウェハー(薄板)収納容器、搬送用容器の射出成形品発生ガス同様、クリーンルーム内自動化ラインの寸法に適合する、立体型との対応収縮率が実用的であり、その方法で評価した。この結果、異方向性が大幅に改善され、実用に適した、炭素微粒子混合CMFの樹脂組成物の成果を確認した。
【0050】
【表6】
【表7】
[変形例]
上記実施形態では、静電防止用樹脂組成物を半導体ウエハー収納容器の材料として使用した場合を例に説明したが、本発明はこれに限らず、半導体ウエハートレー等の、静電特性、成型性、有機性揮発ガス低含有及び成型性を要求される用途に使用される樹脂組成物全てに使用することができる。
【0051】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明の静電防止用樹脂組成物によれば、静電特性及び成型性に優れ、有機性揮発ガス含有の低い樹脂組成物とすることができる。
【0052】
また、樹脂収縮率を、異方向性±0.3%以内、特にPCで0.3%以下、PBTでアニ一ル収縮を含めて0.9%以下の、異方向性の少ない値にすることができる。これにより、成型時の成型収縮の異方向性を均等化し、成型性に優れた成型材料とすることができる。この結果、繰り返す型修正の煩雑さを軽減でき、金型設計から製品化までのトータルコストの低減を図ることができる。
Claims (10)
- 炭素粒子が炭素繊維表面に付着してなる、粒子成分と繊維成分混合の炭素短繊維を混練したことを特徴とする静電防止用樹脂組成物。
- エポキシ樹脂で結合された高弾性及び高強度の炭素繊維織物による成型物を1.0mm以下の繊維長に粗砕し、さらに分級粉砕後、焼成温度600℃以下で加熱分解して、繊維径が7μmφ以上、繊維長が0.1mm以下とした分級品で、かつ0.05mm〜0.1mmの繊維長分布が30%以下の炭素短繊維を、エンジニアリング樹脂の組成物として10%〜30%含むことを特徴とする静電防止用樹脂組成物。
- 請求項2に記載の静電防止用樹脂組成物において、
上記炭素短繊維の炭素繊維単体でのアスペクト比が15以下、平均繊維長が60±20μm、比表面積(BET)が40〜70m2/gで、かつPH(JISR7601)が、樹脂組成物製造時に粘性が増して樹脂の分子量低下防止に寄与する値である7〜3の範囲の中性から酸性側であることを特徴とする静電防止用樹脂組成物。 - 繊維成分と、エポキシ樹脂焼成物から発生する残存炭化物である非晶系炭素粒子であって上記繊維成分の表面に付着すると共に含有率が20%以下の粒子成分とを混合してなる炭素短繊維を混練したことを特徴とする静電防止用樹脂組成物。
- エポキシ樹脂で結合された高弾性及び高強度の炭素繊維織物による成型物を1.0mm以下の繊維長に粗砕し、さらに分級粉砕後、焼成温度600℃以下で加熱分解して、繊維径が7μmφ以上、繊維長が0.1mm以下とした分級品で、かつ0.05mm〜0.1mmの繊維長分布が30%以下の繊維成分と、エポキシ樹脂焼成物から発生する残存炭化物である非晶系炭素粒子であって上記繊維成分の表面に付着すると共に含有率が20%以下の粒子成分とを混合してなる炭素短繊維を、エンジニアリング樹脂の組成物として10%〜30%含むことを特徴とする静電防止用樹脂組成物。
- エポキシ等の有機材料系の結着剤乃至サイジング剤を一切含まない0.1mm以下の繊維長のミルド炭素短繊維または切断炭素短繊維中に、DBP吸油量150ml/100g(JISK6221A)以上の性能を有しかつ窒素比表面積1000m2/g以上の粒子形態の炭素成分が20%以下配合された炭素短繊維を、エンジニアリング樹脂の組成物として、10%〜30%含有してなることを特徴とする静電防止用樹脂組成物。
- 請求項6に記載の静電防止用樹脂組成物において、
上記粒子形態の炭素成分が、ケッチェンブラック、導電性カーボンブラック又はグラファイトであることを特徴とする静電防止用樹脂組成物。 - 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の静電防止用樹脂組成物において、
成型物となったときの表面抵抗値が1012Ω/□以下、上記成型物を150℃で1時間加熱して発生する有機性揮発ガスが、PC樹脂で30ppm以下、PBT樹脂で10ppm以下となる上記炭素短繊維を含有したことを特徴とする静電防止用樹脂組成物。 - 請求項8に記載の静電防止用樹脂組成物において、
上記表面抵抗値が109〜105Ω/□であることを特徴とする静電防止用樹脂組成物。 - 請求項1〜9に記載の静電防止用樹脂組成物において、
エンジニアリング樹脂の中で、有機性揮発ガスの発生が少ない、ポリカーボネート樹脂(PC)又はポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)から構成されたことを特徴とする静電防止用樹脂組成物。
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-
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