JP2594120B2 - 導電性樹脂組成物 - Google Patents

導電性樹脂組成物

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JP2594120B2
JP2594120B2 JP63168528A JP16852888A JP2594120B2 JP 2594120 B2 JP2594120 B2 JP 2594120B2 JP 63168528 A JP63168528 A JP 63168528A JP 16852888 A JP16852888 A JP 16852888A JP 2594120 B2 JP2594120 B2 JP 2594120B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は電子写真複写機の帯電ロール,現像ロール
等の導電性ロールに用いられる導電性樹脂組成物に関す
るものである。
〔従来の技術〕
電子写真複写機の電子部品である帯電ロール等の導電
性ロールは、通常、第1図に示すように、金属シヤフト
4とその外周面に形成された導電性高分子層5によつて
構成されている。上記導電性高分子層5を形成する導電
性高分子組成物としては、一般に、エポキシ樹脂または
フエノール樹脂等の熱硬化性樹脂中に導電剤を混入した
導電性樹脂組成物等が知られている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら、上記導電性樹脂組成物は、熱硬化性樹
脂中に導電剤が多量に混入されているためその硬化物が
脆く、また金属シヤフト4との熱膨張係数も大きく異な
る。したがつて、それを用いて導電性高分子層を形成す
る場合には、上記導電性高分子層の形成の際に生ずる、
熱膨張係数差に起因する樹脂の歪みおよび使用時のヒー
トサイクル等に起因し、形成された導電性高分子層に割
れが発生する。そのため、従来の導電性樹脂組成物は、
夏,冬等の温度差が激しい地域で使用する製品や、寒冷
地,酷暑地で使用する製品に応用する場合には充分満足
しうるような効果を奏することができない。
この発明はこのような事情に鑑みなされたもので、温
度差の激しい地域や寒冷地,酷暑地でも、その硬化物に
割れを生じない導電性樹脂組成物の提供を目的とする。
〔問題点を解決するための手段〕
上記の目的を達成するため、この発明の導電性樹脂組
成物は、導電剤を含有する熱硬化性樹脂マトリツクス成
分中に、粒径500μm以下のエラストマー粒子が分散さ
れているという構成をとる。
〔作用〕
すなわち、本発明者らは、導電性樹脂組成物の導電性
に影響を及ぼすことなく、その組成物硬化体の割れの発
生を防止する目的で一連の研究を重ねた結果、ゴム弾性
を有するエラストマー粒子を上記組成物中に分散させる
と、そのエラストマー粒子に歪みが吸収され割れの発生
が防止されるようになることを突き止めた。そして、上
記エラストマー粒子を中心に、さらに研究を重ねた結
果、粒径が500μm以下のものを使用すると、導電性に
影響を及ぼすことなく割れの発生が防止されるようにな
ることを見いだしこの発明に到達した。
この発明の導電性樹脂成形品は、熱硬化性樹脂マトリ
ツクス成分と導電剤と粒径が500μm以下のエラストマ
ー粒子とを用いて得られる。
上記熱硬化性樹脂マトリツクス成分の熱硬化性樹脂と
しては、特に限定するものではないが、寸法安定性およ
び成形性等の観点から従来から用いられているエポキシ
樹脂,フエノール樹脂等が用いられる。
また、上記マトリツクス成分中に分散される導電剤と
しては、例えばカーボンブラツク,銅粉,銀粉等の金属
粉があげられ、これらは単独でもしくは併せて用いられ
る。
上記熱硬化性樹脂と導電剤の配合割合は、熱硬化性樹
脂100重量部(以下「部」と略す)に対して導電剤150〜
300部の範囲に設定されるのが好ましく、特にそれを用
いた導電性樹脂組成物硬化体を半導電領域(106〜1011
Ω・cm)にするのに好適なのは200部前後である。
上記導電剤とともにマトリツクス成分中に分散される
エラストマー粒子としては、天然ゴム(NR),スチレン
−ブタジエンゴム(SBR),アクリロニトリルブタジエ
ンゴム(NBR),クロロプレンゴム(CR)等のゴム材
料、ポリスチレン系,ポリオレフイン系,ポリウレタン
系,ポリエステル系,ポリ塩化ビニル(PVC)系等の熱
可塑性樹脂材料があげられ、単独でもしくは併せて使用
される。これらのエラストマー粒子は、例えば冷凍粉砕
(液体窒素にエラストマー粒子材料を浸漬し液体窒素を
供給しながら粉砕する操作)等により粒径を500μm以
下にしたものを用いる必要がある。特に、粒径100μm
以下の微細粒子が好ましい。すなわち、粒径が500μm
を超えるものを用いると、導電性に影響が生じるように
なるうえ、エラストマー粒子の熱硬化性樹脂マトリツク
ス成分に対する分散状態が悪くなつて、導電性樹脂組成
物硬化体の強度にばらつきを生じ、かつ硬化体全体の強
度も低下するからである。これは、粒径500μm以下の
エラストマー粒子は、他の添加剤と略同じ粒径であるた
め、熱硬化性樹脂マトリツクス成分中における分散状態
が良好となることに起因すると考えられる。特に、この
発明の導電性樹脂組成物を用いて導電性ロールの導電性
高分子層5(第1図参照)を形成する場合において、導
電性ロールが帯電ロール等のときには、上記導電性高分
子層5を半導電領域に設定でき、かつ電子写真複写機の
複写用のトナーに対して親和性を発揮するように構成で
きる樹脂組成物を用いることが好適である。上記トナー
と親和性が高く、かつ半導電領域の導電性を有するよう
に構成できる樹脂組成物として、マトリツクス成分をフ
エノール樹脂とし、エラストマー粒子としてポリエステ
ルエラストマー粒子とするものが好適である。上記ポリ
エステルエラストマー粒子は、電気抵抗が108〜11Ω・
cmと半導電領域にあり、また複写用トナーに対しても馴
染み性のよいことから、他のエラストマー粒子に比べて
上記導電性高分子層を電子写真複写機用の半導電領域に
設定する場合に最適である。
上記エラストマー粒子の混合割合は、熱硬化性樹脂と
導電剤の混合物中2〜40重量%の範囲に設定するのが好
ましく、特にこの発明の導電性樹脂組成物の硬化体を半
導電領域にするには、2〜10重量%にすることが好まし
い。すなわち、混合割合が2重量%を下回れば割れ防止
の充分な効果があがらず、40重量%を上回ると、導電性
樹脂組成物の硬化体が軟質になり過ぎる傾向がみられる
からである。
なお、必要に応じて、上記原料以外に、ガラス繊維,
カーボン繊維等の補強材や加工助剤等の添加剤を、適宜
配合するようにしてもよい。
この発明の導電性樹脂組成物は、例えばつぎのように
して製造される。すなわち、まずエラストマー粒子材料
を冷凍粉砕等により粒径500μm以下に粉砕する。そし
て、上記粒径500μm以下に粉砕されたエラストマー粒
子ならびにその他の成分原料を適宜配合して混合混練
し、この混合物を粉砕することにより目的とする導電性
樹脂組成物を得ることができる。
このようにして得られる導電性樹脂組成物は、押出成
形等により、例えば導電性ロール表面の導電性高分子層
等に構成され、環境温度の大幅な変化にもひび割れ等を
生起させず対応できるようになる。
〔発明の効果〕
以上のように、この発明の導電性樹脂組成物は、樹脂
マトリツクス中に特定の粒径のエラストマー粒子を配合
しているため、その硬化体に環境温度変化に基づく大き
な歪みが生じても、その歪みが上記エラストマー粒子に
よつて呼吸され割れ等を生じない。しかも、上記エラス
トマー粒子が特定粒径であるため、その使用によつて導
電性等の電気特性に影響が及ぶことがない。したがつ
て、この導電性樹脂組成物は、電子写真複写機の帯電ロ
ール,現像ロール等の表面層の導電性高分子層の形成材
料として好適である。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
〔実施例1〜4、比較例1〜4〕 まず、エラストマー粒子として、ポリエステル系エラ
ストマー(ペルプレンPタイプ,東洋紡社製)およびNB
Rをホソカワミクロンリンレツクスミル(細川製作所社
製)を用いて冷却粉砕してそれぞれ粒径100μm以下,30
0μm以下にしたもの2種類を用意した。ついで後記の
第1表に示す各成分原料を同表に示す配合割合で混合混
練して粉砕し目的とする導電性樹脂組成物を得た。な
お、東洋紡社製ペルプレンPタイプはハードセグメント
に芳香族ポリエステル,ソフトセグメントに芳香族ポリ
エーテルを共重合させたものである。
以上の実施例および比較例によつて得られた粉末状の
導電性樹脂組成物を圧縮成形することにより板状の導電
性樹脂成形品を作製した。この板状の導電性樹脂成形品
を板状金属片に接着して第2図に示すようなテストピー
ス2を作製した。図において、1は網材(SUM)+ニツ
ケルメツキにしてなる板状金属片、3は導電性樹脂成形
品で導電性を有するエポキシ樹脂系接着剤で接着されて
いる。つぎに、このテストピース2を用いて、−30℃→
+80℃→−30℃を1サイクルとするヒートサイクルテス
トを行い、導電性樹脂成形品3に割れが発生するサイク
ル数を観察した。また、一つのテストピースについて6
個所の電気抵抗(Rv)を測定しそのばらつきの度合いR
および平均値xを求めて第2表に示した。他方、板状導
電性樹脂成形品のみをテストピースにしてその曲げ破壊
強度,破壊歪み量,曲げ弾性率をJIS−K−7203に従っ
て測定しその結果を同表に併せて示した。
第2表の結果から、実施例では、導電性樹脂成形品3
に導電剤を多量に含有させているにもかかわらずヒート
サイクルテストに4回以上耐えている。これに対して導
電剤を多量に含有させた比較例1では初回のヒートサイ
クルテストの途中で割れを生じている。そして、導電剤
量を大幅に低減させた比較例3で実施例と同等の性能に
なつている。また、実施例のものを、導電剤を等量含有
する比較例1と対比すると、電気特性は同程度である
が、曲げ強度,破壊歪み量等の機械特性において著しく
優れていることがわかる。比較例2,3は導電剤の量が減
少しており機械特性は改善されるものの、絶縁性が高く
半導電領域から外れている。
また、粒径が550μmのポリエステルエラストマー粒
子を用いた比較例4では、電気抵抗においては実施例品
と同程度であるが、電気抵抗のばらつき度合い(R)が
著しく大きくなる。また、機械特性も実施例品に比べ劣
っている。
【図面の簡単な説明】
第1図は、一般的な導電性ロールの構成を示す縦断面
図、第2図は実施例および比較例に用いられたテストピ
ースの斜視図である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導電剤を含有する熱硬化性樹脂マトリツク
    ス成分中に、粒径500μm以下のエラストマー粒子が分
    散されていることを特徴とする導電性樹脂組成物。
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