JP2003026911A - ポリカーボネート樹脂組成物及びそれを用いた成形品 - Google Patents
ポリカーボネート樹脂組成物及びそれを用いた成形品Info
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Abstract
を損なうことなく、かつ従来の欠点であった流動性や成
形品の外観が改良されて、金型付着物も低減し、カメラ
部品やOA、電気電子部品をはじめとする各種産業用途
に用いることができるポリカーボネート樹脂組成物及び
成形品を提供すること。 【解決手段】 ポリカーボネート樹脂100重量部
に対して、流動性改良剤を1〜30重量部、無機充填剤
を3〜200重量部含む樹脂組成物であって、該ポリカ
ーボネート樹脂が溶融エステル交換法で得られるポリカ
ーボネート樹脂であることを特徴とするポリカーボネー
ト樹脂組成物及びそれを用いた成形品。
Description
性改良剤を配合してなるポリカーボネート樹脂組成物に
関し、更に詳しくは、流動性、成形品の外観に優れ、か
つ、金型付着物の低減されたポリカーボネート樹脂組成
物及びそれを用いた成形品に関する。
撃性、透明性等に優れた樹脂として、多くの分野で幅広
く用いられている。中でもガラス繊維や炭素繊維といっ
た無機充填剤で強化したポリカーボネート樹脂組成物
は、寸法安定性、機械的強度、耐熱性、及び電気的特性
といった種々優れた性能を示すことから、カメラ、OA
機器、電気電子部品といった産業分野で幅広く使用され
ている。無機充填剤で強化されたポリカーボネート樹脂
組成物は、上記のような優れた機械的強度を有する一方
で、流動性が低下する。又、無機充填剤が成形品表面に
浮き出し、成形品の外観が損なわれるといった欠点を有
しており、薄肉部品やハウジングやカバーといった外観
の重視される部品に使用されるには制限があった。
1415号にはポリカーボネート樹脂とガラス繊維から
なる樹脂組成物に熱可塑性ポリウレタンを配合すること
によって、特開平7−3140号にはトリフェニルフォ
スフェートを配合することによって、又、特開昭63−
6051号には特定構造のポリカプロラクトン樹脂を配
合することによって、流動性や成形品の外観を改良する
ことが開示されている。確かに、こういった成分を添加
することにより流動性や成形品の外観は改良されるが、
機械的強度が低下し、更に流動性改良剤の耐熱性が高く
ないため、成形時に流動性改良剤が分解し、金型に付着
する(モールドデポジット)といった問題が発生してい
る。モールドデボジットは、短期的な試験では発生しな
くても、生産において長時間成形を続けると発生してく
る問題であり、近年特に部品の薄肉化から成形条件が厳
しくなってきており、それに伴って大きな問題となって
いる。この問題に対応する為、機械的強度を損なうこと
なく、成形時の金型付着物が低減され、成形品の外観に
優れた高流動無機充填剤強化ポリカーボネート樹脂が求
められていた。
な課題を解決でき、流動性や成形品の外観に優れ、かつ
金型付着物の低減された無機充填剤で強化されたポリカ
ーボネート樹脂組成物を提供するものである。
を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、溶融エステル交換
法で得られるポリカーボネート樹脂であって、特定の溶
融粘弾性を有するポリカーボネート樹脂は、分子量が実
質的に同等な他の特性を有するポリカーボネート樹脂に
比べて、機械的強度が損なわれることなく、流動性改良
剤を配合した時の金型付着物が低減され、さらに成形品
の外観が優れていることを見出し、本発明を完成するに
至ったものである。すなわち、本発明は、ポリカーボネ
ート樹脂100重量部に対して、流動性改良剤を1〜3
0重量部、無機充填剤を3〜200重量部含む樹脂組成
物であって、該ポリカーボネート樹脂が溶融エステル交
換法で得られるポリカーボネート樹脂であることを特徴
とするポリカーボネート樹脂組成物をその要旨とする。
さらにまた、本発明は、ポリカーボネート樹脂100重
量部に対して、流動性改良剤を1〜30重量部、無機充
填剤を3〜200重量部含む樹脂組成物であって、該ポ
リカーボネート樹脂が溶融エステル交換法で得られ、か
つ温度250℃、角速度10rad/sの条件で測定し
た損失角δ及び複素粘性率η*(Pa・s)が、下記関
係式(1)を満たすポリカーボネート樹脂であることを
特徴とするポリカーボネート樹脂組成物をその要旨とす
る。
明する。本発明で使用するポリカーボネート樹脂は、芳
香族ジヒドロキシ化合物及び炭酸ジエステルを原料と
し、溶融エステル交換法により製造されるものである。
特に本発明においては、該ポリカーボネート樹脂が溶融
エステル交換法で得られ、かつ温度250℃、角速度1
0rad/sの条件で測定した損失角δ及び複素粘性率
η* (Pa・s)が、下記関係式(1)を満たすポリカ
ーボネート樹脂であるのが好ましい。
の原料の一つである芳香族ジヒドロキシ化合物は、下記
式(I)で示される化合物である。
素数1〜10の直鎖状、分岐状若しくは環状の2価の炭
化水素基、又は、−O−、−S−、−CO−若しくは−
SO2−で示される2価の基であり、X及びYは、ハロ
ゲン原子又は炭素数1〜6の炭化水素基であり、p及び
qは、0又は1の整数である。なお、XとY及びpとq
は、それぞれ、同一でも相互に異なるものでもよい。)
は、例えば、ビス(4−ヒドロキシジフェニル)メタ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−t
−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒド
ロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2
−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)
プロパン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘ
プタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シク
ロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,
3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキ
シビフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホ
ン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)ケトン等が挙げられる。これらの芳香
族ジヒドロキシ化合物は、単独で、又は2種以上を混合
して用いることができる。これらのなかでも、2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、「ビ
スフェノールA」とも言い、「BPA」と略記すること
もある。)が好ましい。
炭酸ジエステルは、下記式(II)で示される化合物であ
る。
〜10の直鎖状、分岐状又は環状の1価の炭化水素基で
あり、2つのA’は、同一でも相互に異なるものでもよ
い。)
ば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等
に代表される置換ジフェニルカーボネート、ジメチルカ
ーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−t−ブチルカ
ーボネート等に代表されるジアルキルカーボネートが挙
げられる。これらの炭酸ジエステルは、単独で、又は2
種以上を混合して用いることができる。これらのなかで
も、ジフェニルカーボネート(以下、「DPC」と略記
することもある。)、置換ジフェニルカーボネートが好
ましい。
はその50モル%以下、さらに好ましくは30モル%以
下の量を、ジカルボン酸又はジカルボン酸エステルで置
換してもよい。代表的なジカルボン酸又はジカルボン酸
エステルとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、テレ
フタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニル等が挙げ
られる。このようなジカルボン酸又はジカルボン酸エス
テルで置換した場合には、ポリエステルカーボネート樹
脂が得られる。
カルボン酸又はジカルボン酸のエステルを含む。以下同
じ。)は、芳香族ジヒドロキシ化合物に対して、通常、
過剰に用いられる。すなわち、芳香族ジヒドロキシ化合
物に対して1.001〜1.3、好ましくは1.01〜
1.2の範囲内のモル比で用いられる。モル比が1.0
01より小さくなると、製造されたポリカーボネート樹
脂の末端OH基が増加して、熱安定性、耐加水分解性が
悪化し、また、モル比が1.3より大きくなると、ポリ
カーボネート樹脂の末端OH基は減少するが、同一条件
下ではエステル交換反応の速度が低下し、所望の分子量
を持つポリカーボネート樹脂の製造が困難となる傾向が
ある。本発明においては、末端OH基含有量が50〜1
000ppmの範囲に調整したポリカーボネート樹脂を
使用するのが良い。
液体状態の方が計量精度を高く維持し易いため、芳香族
ジヒドロキシ化合物及び炭酸ジエステルのうち、一方又
は両方を、溶融させて液体状態で供給することが好まし
い。液体状態で原料を供給する場合には、計量装置とし
ては、オーバル流量計、マイクロモーション式流量計等
を用いることができる。一方、固体状態で原料を供給す
る場合には、スクリュー式フィーダーのように容量を計
量するものよりも、重量を計量するものを用いるのが好
ましく、べルト式、ロスインウェイト式等の重量フィー
ダーを用いることができるが、ロスインウェイト方式が
特に好ましい。
によりポリカーボネート樹脂を製造する際には、通常、
触媒が使用される。本発明で使用するポリカーボネート
樹脂の製造方法においては、触媒種に制限はないが、一
般的にはアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合
物、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性ア
ンモニウム化合物又はアミン系化合物等の塩基性化合物
が使用される。これらは、1種類で使用してもよく、2
種類以上を組み合わせて使用してもよい。
物1モルに対して0.05〜5μモル、好ましくは0.
08〜4μモル、さらに好ましくは0.1〜2μモルの
範囲内で用いられる。触媒の使用量が上記の量より少な
ければ、所望の分子量のポリカーボネート樹脂を製造す
るのに必要な重合活性が得られず、この量より多い場合
は、ポリマー色相が悪化し、またポリマーの分岐化も進
み、成型時の流動性が低下する傾向がある。
ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムの水酸化
物、炭酸塩、炭酸水素化合物等の無機アルカリ金属化合
物、アルコラート、フェノラート、有機カルボン酸塩等
の有機アルカリ金属化合物等がある。これらのアルカリ
金属化合物の中でも、セシウム化合物が好ましく、具体
的に最も好ましいセシウム化合物を挙げれば炭酸セシウ
ム、炭酸水素セシウム、水酸化セシウムである。
ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウ
ム、バリウムの水酸化物、炭酸塩等の無機アルカリ土類
金属化合物、アルコラート、フェノラート、有機カルボ
ン酸塩等の有機アルカリ土類金属化合物等がある。
トラメチルホウ素、テトラエチルホウ素、テトラプロピ
ルホウ素、テトラブチルホウ素、トリメチルエチルホウ
素、トリメチルベンジルホウ素、トリメチルフェニルホ
ウ素、トリエチルメチルホウ素、トリエチルベンジルホ
ウ素、トリエチルフェニルホウ素、トリブチルベンジル
ホウ素、トリブチルフェニルホウ素、テトラフェニルホ
ウ素、ベンジルトリフェニルホウ素、メチルトリフェニ
ルホウ素、ブチルトリフェニルホウ素等のナトリウム
塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシ
ウム塩、バリウム塩又はストロンチウム塩等が挙げられ
る。
エチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、ト
リ−i−プロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフ
ィン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン
等の3価のリン化合物、又は、これらの化合物から誘導
される4級ホスホニウム塩等が挙げられる。
ば、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラ
エチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラプロピルア
ンモニウムヒドロキサイド、テトラブチルアンモニウム
ヒドロキサイド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロ
キサイド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキサ
イド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキサイ
ド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキサイド、ト
リエチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、トリエ
チルフェニルアンモニウムヒドロキサイド、トリブチル
ベンジルアンモニウムヒドロキサイド、トリブチルフェ
ニルアンモニウムヒドロキサイド、テトラフェニルアン
モニウムヒドロキサイド、ベンジルトリフェニルアンモ
ニウムヒドロキサイド、メチルトリフェニルアンモニウ
ムヒドロキサイド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒ
ドロキサイド等が挙げられる。
ミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル
−4−アミノピリジン,4−ジエチルアミノピリジン、
2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−
メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、
2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカ
プトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキ
ノリン等が挙げられる。これらの触媒のうち、実用的に
はアルカリ金属化合物が望ましい。
は、溶媒に溶解した触媒溶液の形態で用いられる。溶媒
としては、例えば、水、アセトン、アルコール、トルエ
ン、フェノールの他、原料芳香族ジヒドロキシ化合物や
原料炭酸ジエステルを溶解する溶媒が挙げられる。これ
らのなかでは、水が好ましく、特にアルカリ金属化合物
を触媒とする場合には、水溶液とすることが好適であ
る。
温度250℃、角速度10rad/sの条件で測定した
損失角δ及び複素粘性率η*(Pa・s)が、下記関係
式(1)を満たすことが好ましく、より好ましくは下記
関係式(2)の範囲であり、さらに好ましくは下記関係
式(3)の範囲であり、特に好ましくは下記関係式
(4)の範囲である。本発明において、該Tanδ/η
*-0.87の値は、ポリカーボネート樹脂の溶融粘弾性を示
すパラメーターとして使用した。Tanδ/η*-0. 87の
値が2500より小さい場合、及び6000より大きい
場合には、成形性や成形品の外観がこの範囲内のものに
比べて低下する。
められる、応力に対するひずみの位相の遅れを表し、動
的粘弾性挙動を表す指標のひとつとして一般的に知られ
ている。δ(Tanδ)は、その値が大きい場合は粘弾
性の粘性的な性質が強いことを示し、小さい場合は弾性
的な性質が強いことを示している。この値を決定する要
因は複雑であり、例えば、共重合を含む単量体の種類、
共重合組成、共重合の構造、分岐点の数や分岐鎖の長さ
等の分岐構造等を含む分子構造、分子量、分子量分布等
が挙げられる。
製造されたポリカーボネート樹脂は、ガラス系フィラー
を添加した場合に、成形性(流動性)が極端に悪化した
り、射出成形時にガラスが成形品表面に浮き出し成形品
の外観を損なうといった問題があった。このような界面
法により製造されたポリカーボネート樹脂は、δ(Ta
nδ)の値を、分子量等の指標である複素粘性率(η*
(Pa・s))に対する、対数座標にプロットすると、
Tanδ/η*-0.87=約8000の直線上にほぼ並ぶこ
とがわかった。(ここで、η*の指数である−0.87
は、上記直線の傾きを表し、Tanδ/η*-0.87は、上
記直線をη*=1(Pa・s)に外挿したときのTan
δの値を表す。すなわち、Tanδ/η*-0.87の値をパ
ラメータに用いることで損失角の分子量(粘度)依存性
を排除することが可能となる。)
カーボネート樹脂は一般にこの直線上には乗らず、しか
も、Tanδ/η*-0.87<2500の溶融エステル交換
法ポリカーボネート樹脂は、射出成形時に流れ模様が出
やすく成形品外観に劣ることがわかった。ところが、以
下に詳述する方法で得られたポリカーボネート樹脂は、
分子量が大きい範囲でも成形性が優れており、2500
≦Tanδ/η*-0.87≦6000の範囲のポリカーボネ
ート樹脂が特に種々の点で優れていることを見出した。
ーで規定されたポリカーボネート樹脂が特に優れた成形
性に与えるのは、δ(Tanδ)の値が小さい場合、ポ
リカーボネート樹脂の法線応力が大きくなり、それによ
ってポリカーボネート樹脂を成形品表面へ押しつける応
力が高く、その結果、無機充填剤の浮き出しが少なくな
るためと推定される。又、この他、該特定の規定のポリ
カーボネート樹脂は、薄肉部分での流動性が高くなり、
成形性が改良される効果もある。一方、δ(Tanδ)
の値が小さすぎる場合、理由は定かでは無いが成形品表
面に流れ模様が発生してしまうので好ましくない。
ト樹脂に各種安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色剤等
を添加することもでき、ポリカーボネート樹脂の製造途
中、又はペレット製造の前にこれらの添加剤を添加する
場合もあり、一般にそれらの添加剤を含んだものを「ポ
リカーボネート樹脂」と称する場合があるが、本発明で
規定する上記関係式の値は、これらの添加剤を全く含ま
ないポリカーボネート樹脂について求められるものであ
る。
は、50〜1000ppmであることが好ましく、70
〜900ppmであることがさらに好ましく、90〜8
00ppmであることがとりわけ好ましい。
低い場合は流動性には優れるが機械的強度に劣り、分子
量が高い場合には機械的強度には優れるが流動性に劣る
傾向がある。本発明では、粘度平均分子量が12,00
0〜30,000のポリカーボネート樹脂が好ましく、
粘度平均分子量が14,000〜26,000のポリカ
ーボネート樹脂が更に好ましく、粘度平均分子量が1
6,000〜24,000のポリカーボネート樹脂が最
も好ましい。
明において、ポリカーボネート樹脂の製造方法は、溶融
エステル交換法であって、前記したような炭酸ジエステ
ルと芳香族ジヒドロキシ化合物を原料とし、同じく前記
したような触媒を使用して、実質的に溶剤を使用せず、
高温条件下で反応を行い、重合ポリマーを溶融状態で得
るような方法であれば特に限定されない。しかし、本発
明においては、特に上記式(1)のような特定の物性を
有するポリカーボネート樹脂を使用するのが好ましく、
該ポリカーボネート樹脂を製造する方法としては、例え
ば、以下のような方法が挙げられる。
を、均一に撹拌した後、触媒を添加して重合を行い、ポ
リマーが生産される。例えば、上記の芳香族ジヒドロキ
シ化合物、炭酸ジエステルの両原料を、原料混合槽に連
続的に供給し、得られた混合物とエステル交換触媒を重
合槽に連続的に供給することが好ましい。その際、本発
明の上記式(1)の物性のポリマーを安定して生産する
ためには、例えば、少なくとも以下の(A)及び(B)
の両条件を満足する方法が採用される。
位製造時間ごとに、重合槽に供給される芳香族ジヒドロ
キシ化合物又は炭酸ジエステル1モルに対しての触媒量
を一定に保つための目標触媒供給量である「設定触媒
量」を、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、
0.05〜5μモルの範囲内から選択する。なお、「全
製造時間」とは、重合槽においてポリマーを安定的に生
産する原料供給時間に対応し、立ち上げ時や、グレード
切り替え時、製造終了時等の非安定時のポリマー製造時
間は含まない。
の時間は、供給される実際のエステル交換触媒量(以
下、単に「実際の触媒量」という。)が、芳香族ジヒド
ロキシ化合物1モルに対して、各設定触媒量±0.1μ
モル以内の値に維持されるようにする。上記(1)にお
いて、設定触媒量は、全製造時間を通して必ずしも一定
値である必要はなく、全製造時間を一つ以上に分画し
て、その単位製造時間ごとに設定することが可能であ
る。
と、全製造時間が単一分画の単位製造時間である場合
は、その少なくとも95%の時間は、芳香族ジヒドロキ
シ化合物1モルに対して、設定触媒量±0.1μモル以
内の値に実際の触媒量を維持する。また、全製造時間が
複数の単位製造時間に分画され、設定触媒量が変更され
る場合には、各単位製造時間の少なくとも95%の時間
は、各設定触媒量±0.1μモル以内の値に、実際の触
媒量を維持する。いずれの場合も、設定触媒量±0.0
8μモル以内に維持することが好ましく、設定触媒量±
0.06μモル以内に維持することが特に好ましい。
維持される時間の割合は、全製造時間又は各単位製造時
間の少なくとも95%であれば良いが、100%に近い
ほどより好ましい。95%より少ない時間になると、所
望の分子量、末端OH基含有量のポリマーが得られなく
なり、特に設定触媒量より多い時間の割合が多い場合
は、得られるポリマー色相が悪化したり、またポリマー
の分岐化が進む等して、結果的に本発明で規定する関係
式を満足するものが得られなくなり、該ポリマーを成型
する時の流動性も低下する傾向がある。なお、重合温
度、重合時間、減圧度等の重合反応時の製造条件を変え
ても、前記式(1)で規定するポリカーボネート樹脂を
製造することが可能であるが、安定的な生産が困難にな
るので好ましくない。実際の触媒量を、設定触媒量±
0.1μモルと極めて小さな変動範囲以内に維持して、
供給を続けることにより初めて、煩雑な重合操作を必要
とせずに、前記式(1)で規定する特定の関係式を満足
し、狭い分子量分布、色調、流動性、耐熱性、機械物性
等、諸物性に優れたポリマーを安定的に生産できるよう
になることがわかった。
1μモル以内の値に維持させるためには、重合槽に供給
する触媒流量を、オーバル流量計、マイクロモーション
式流量計等を用いて、計量、供給することが好ましい。
ずコンピュータに、継続的に実際の触媒流量の測定値を
入力し、前述した設定触媒量と芳香族ジヒドロキシ化合
物又は炭酸ジエステルの原料調製槽への供給量より算出
された設定触媒流量とを比較させる。その際、実際の触
媒流量の測定値が、該設定触媒流量と異なる場合、この
結果を触媒計量・供給装置に伝え、バルブの開度等を調
節して、実際の触媒流量と設定触媒流量が一致するよう
に制御する。
媒流量の測定間隔の適正化に十分配慮すれば、継続的な
間歇測定に基づく制御でも、連続的な測定と同様に制御
を行うことは可能であるが、安定した品質の製品を得る
には、連続的な自動測定であることが好ましい。すなわ
ち、連続的に触媒流量を自動測定できれば、重合槽への
触媒供給量を迅速且つ連続的に制御することが可能とな
り、その結果、一定の設定触媒流量に維持され、ポリカ
ーボネート樹脂の粘度平均分子量や末端OH基含有量等
のふれが小さく、かつ分子量分布が狭くなり、さらに色
調、流動性、耐熱性、機械物性等、諸物性の均一な製品
が得られるので好ましい。
の触媒量が、設定触媒量±0.1μモル以内の値に、ど
れ程の時間存在したかは、上記測定手段による測定結果
から容易に判定することができる。連続的測定の場合、
実際の原料モル比と測定時間の関係を示す曲線より、予
め設定した触媒量±0.1μモル以内にある累積時間
と、±0.1μモルよりはずれた累積時間とを求めるこ
とにより、該設定触媒量での単位製造時間の少なくとも
95%の時間は、±0.1μモル以内の値に維持されて
いたかどうかが判定される。連続的測定ではない場合で
も、継続的な測定であれば、これを統計処理する方法等
により判定することができる。
応(エステル交換反応)は、一般的には2以上の重合槽
での反応、すなわち2段階以上、通常3〜7段の多段工
程で連続的に実施されることが好ましい。具体的な反応
条件としては、温度:150〜320℃、圧力:常圧〜
2.0Pa、平均滞留時間:5〜150分の範囲とし、
各重合槽においては、反応の進行とともに副生するフェ
ノールの排出をより効果的なものとするために、上記反
応条件内で、段階的により高温、より高真空に設定す
る。なお、得られるポリカーボネート樹脂の色相等の品
質低下を防止するためには、できるだけ低温、できるだ
け短い滞留時間の設定が好ましい。なお、多段工程で重
合槽を複数用いる場合の実際の触媒量の自動制御は、触
媒の供給量を連続的に自動制御することが好ましく、そ
の場合は、第1重合槽の滞留時間の1/3以内に測定及
び制御が完了させるのが良い。
置は、竪型、管型又は塔型、横型のいずれの形式であっ
てもよい。通常、タービン翼、パドル翼、アンカー翼、
フルゾーン翼(神鋼パンテック(株)製)、サンメラー
翼(三菱重工業(株)製)、マックスブレンド翼(住友
重機械工業(株)製)、ヘリカルリボン翼、ねじり格子
翼((株)日立製作所製)等を具備した1以上の竪型重
合槽に引き続き、円盤型、かご型等の横型一軸タイプの
重合槽やHVR、SCR、N−SCR(三菱重工業
(株)製)、バイボラック(住友重機械工業(株)
製)、メガネ翼、格子翼((株)日立製作所製)、又は
メガネ翼とポリマーの送り機能を持たせた、例えばねじ
りやひねり等の入った翼及び/又は傾斜がついている翼
等を組み合わせたもの等を具備した、横型二軸タイプの
重合槽を用いることができる。
中には、通常、原料モノマー、触媒、エステル交換反応
で副生する芳香族ヒドロキシ化合物、ポリカーボネート
オリゴマー等の低分子量化合物が残存している。なかで
も、原料モノマーと芳香族ヒドロキシ化合物は、残留量
が多く、耐熱老化性、耐加水分解性等の物性に悪影響を
与えるので、製品化に際して除去されることが好まし
い。それらを除去する方法は、特に制限はなく、例え
ば、ベント式の押出機により連続的に脱揮してもよい。
その際、樹脂中に残留している塩基性エステル交換触媒
を、あらかじめ酸性化合物又はその前駆体の添加によ
り、失活させておくことにより、脱揮中の副反応を抑
え、効率よく原料モノマー及び芳香族ヒドロキシ化合物
を除去することができる。
に制限はなく、重縮合反応に使用する塩基性エステル交
換触媒を中和する効果のあるものであれば、いずれも使
用できる。具体的には、塩酸、硝酸、ホウ酸、硫酸、亜
硫酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ポリリン酸、ア
ジピン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、アゼライ
ン酸、アデノシンリン酸、安息香酸、ギ酸、吉草酸、ク
エン酸、グリコール酸、グルタミン酸、グルタル酸、ケ
イ皮酸、コハク酸、酢酸、酒石酸、シュウ酸、p−トル
エンスルフィン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレ
ンスルホン酸、ニコチン酸、ピクリン酸、ピコリン酸、
フタル酸、テレフタル酸、プロピオン酸、ベンゼンスル
フィン酸、ベンゼンスルホン酸、マロン酸、マレイン酸
等のブレンステッド酸及びそのエステル類が挙げられ
る。これらは、単独で使用しても、また、2種以上を組
み合わせて使用してもよい。これらの酸性化合物又はそ
の前駆体のうち、スルホン酸化合物又はそのエステル化
合物、例えば、p−トルエンスルホン酸、p−トルエン
スルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸ブチル等が
特に好ましい。
量は、重縮合反応に使用した塩基性エステル交換触媒の
中和量に対して、0.1〜50倍モル、好ましくは0.
5〜30倍モルの範囲で添加する。酸性化合物又はその
前駆体を添加する時期としては、重縮合反応後であれ
ば、いつでもよく、添加方法にも特別な制限はなく、酸
性化合物又はその前駆体の性状や所望の条件に応じて、
直接添加する方法、適当な溶媒に溶解して添加する方
法、ペレットやフレーク状のマスターバッチを使用する
方法等のいずれの方法でもよい。
でもよい。また、二軸押出機としては、噛み合い型二軸
押出機で、回転方向は同方向回転でも異方向回転でもよ
い。脱揮の目的には、酸性化合物添加部の後にベント部
を有するものが好ましい。ベント数に制限は無いが、通
常は2段から10段の多段ベントが用いられる。また、
該押出機では、必要に応じて、安定剤、紫外線吸収剤、
離型剤、着色剤等の添加剤を添加し、樹脂と混練するこ
ともできる。
に限定されるのもではないが、補強効果の観点から、繊
維状又は板状の無機充填剤が好ましい。かかる充填剤の
一例として、繊維状充填剤としては、ガラス繊維、炭素
繊維、金属繊維や、チタン酸カリウムウイスカー、炭酸
カルシウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカ
ー、酸化チタンウイスカー、酸化亜鉛ウイスカー、硫酸
マグネシウムウイスカーといったウイスカーやワラスト
ナイト等が挙げられ、板状無機充填剤としては、ガラス
フレーク、タルク、マイカ、金属フレーク等が挙げら
れ、これらは単独、又は2種以上の組み合わせで用いる
ことができる。これらの中でも、ガラス繊維、ガラスフ
レーク、炭素繊維、ワラストナイト、マイカ、タルク、
ウイスカーから選ばれる1種、又は2種以上の組み合わ
せが好ましい。
ート樹脂100重量部に対し3〜200重量部の範囲で
選択されればよく、3重量部を下回ると寸法安定性や剛
性の面で劣り、200重量部を上回ると流動性が不足し
て成形が困難になったり、金型や成形機のシリンダーの
摩耗が激しくなり経済的に不利になる。
リカーボネート樹脂の流動性を向上させる為に添加され
る成分であり、低分子、高分子を問わない。好ましく
は、芳香族ポリエステルオリゴマー、芳香族ポリカーボ
ネートオリゴマー、ポリカプロラクトン、低分子量アク
リル系共重合体、脂肪族ゴム−ポリエステルブロック共
重合体からなる群より選ばれる1種、又は2種以上の組
み合わせであり、特に好ましくは、芳香族ポリカーボネ
ートオリゴマー、ポリカプロラクトン、脂肪族ゴム−ポ
リエステルブロック共重合体からなる群より選ばれる1
種、又は2種以上の組み合わせが挙げられる。
は、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導
体と、グリコール類またはそのエステル形成性誘導体と
を、公知の方法に従い、加圧ないし若干減圧の条件下加
熱することによって製造される。芳香族ポリエステルオ
リゴマーの重合度は、圧力、加熱温度等を調節すること
によって所望値に決定される。該芳香族ジカルボン酸と
しては、テレフタル酸が最も好ましく、イソフタル酸、
フタル酸等が挙げられる。また、芳香族ジカルボン酸ま
たはそのエステル形成性誘導体としては、芳香族ジカル
ボン酸のジアルキルエステル、酸クロリド等が好まし
い。またグリコール類またはそのエステル形成性誘導体
としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオ
ール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオ
ール、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等が挙げ
られる。この際、グリコール成分の一部をグリセリン、
ペンタエリスリトール、p−キシレングリコール、1,
4−シクロヘキサンジオール、ビスフェノールA等で置
き換えてもよい。
リゴマーは、末端の殆どが水酸基を有しているものであ
り、ごく少量のカルボキシル基を有していてもよい。芳
香族ポリエステルオリゴマーの平均重合度は、通常2〜
20、好ましくは2〜10、更に好ましくは3〜8のも
のである。平均重合度があまり高くなるとポリカーボネ
ート樹脂との相溶性が悪くなり、成形品が白濁したり、
層状剥離の原因となるなどの不都合を招くので好ましく
ない。従来、ポリカーボネート樹脂の耐薬品性を改良す
るために、ポリカーボネート樹脂にポリブチレンテレフ
タレートやポリエチレンテレフタレートを混合する方法
が知られている。しかし、これらの方法で使用されるポ
リブチレンテレフタレートやポリエチレンテレフタレー
トは、いずれも高重合度のポリエステルであり、本発明
の芳香族ポリエステルオリゴマーとは明確に区別される
ものである。本発明の芳香族ポリエステルオリゴマー
は、その重合度は通常2〜20の範囲であるが、極限粘
度(η)で表した場合には0.22以下、好ましくは
0.14以下のものが使用される。
ーとは、下記式(III)で示される化合物で、通常、平
均重合度は2〜15、好ましくは4〜10のものであ
る。平均重合度があまり高くなると、成形品の表面外観
の改良効果が小さくなり好ましくない。
子、ハロゲン原子または炭素数1〜3のアルキル基であ
って、それぞれは同一であっても異なってもよく、X
は、炭素数1〜5の置換あるいは非置換のアルキリデン
基、酸素原子、イオウ原子またはスルホニル基であ
る。) 本発明の芳香族ポリカーボネートオリゴマーは、2,2
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−
ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プ
ロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブ
ロモフェニル)プロパンで代表的に例示する芳香族二価
フェノール系化合物とホスゲンで代表されるカーボネー
ト前駆体との反応や、芳香族二価フェノールとジフェニ
ルカーボネート等とのエステル交換反応によって得ら
れ、芳香族二価フェノール系化合物は単独で用いても混
合して用いてもよい。芳香族ポリカーボネートオリゴマ
ーの極限粘度(η)は、塩化メチレン中25℃で0.3
以下である。芳香族ポリカーボネートオリゴマーの重合
度の調整は、ホスゲンを用いる界面重合法では、フェノ
ール及び/又はアルキル置換フェノールを重合系に添加
して、末端封鎖すればよい。
(IV)
が出来る。ポリカプロラクトンのメチレン鎖の水素原子
の一部はハロゲン原子等で置換されていてもよいが、上
記式(IV)で示されるポリカプロラクトンを使用すること
が望ましい。上記式(IV)のポリカプロラクトンの末端は
エステル化などにより、末端処理してあってもよい。ポ
リカプロラクトンは5,000〜300,000の平均
分子量で、融点は60℃、ガラス転移温度は約−60℃
である。本発明で使用されるポリカプロラクトンの平均
分子量は、10,000〜50,000のものが好まし
い。
は、メタアクリル酸又はアクリル酸の炭素数1〜6のア
ルコールとのエステルを少なくとも7%以上、好ましく
は20〜40重量%含む共重合体であり、重量平均分子
量が40,000以下、好ましくは25,000以下の
ものである。このようなアクリル酸エステルとしては、
メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルア
クリレート、ブチルアクリレート、1,3ブチレン−ジ
アクリレートなどを例示出来る。メタクリル酸エステル
としてはメチルメタクリレート、エチルメタクリレー
ト、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレー
ト、1,3−ブチレン−ジメタクリレートなどがあり、
中でもブチルメタクリレートが好ましい。これらのエス
テルと共重合する成分は、スチレン、アクリロニトリ
ル、エチレン、プロピレン、ブタジエン、ブテン−1等
のビニル単量体があり、好ましい単量体は、スチレン、
アクリロニトリルである。
ク共重合体とは、脂肪族ジエン系ゴムに脂肪族ラクトン
を開環重合させポリエステルブロックを形成させてなる
ブロック共重合体であって、脂肪族ジエン系ゴムの片末
端又は両末端にポリエステルブロックを有するゴム−ポ
リエステルブロック共重合体である。脂肪族ジエン系ゴ
ムの数平均分子量は1,000〜4,000であり、分
子の両末端にカルボキシキル基、水酸基、ビニル基、ア
ミノ基等の官能基を有するもので、官能基としては水酸
基が好ましい。脂肪族ジエン系ゴムとしては、α,ω−
1,2−ポリブタジエングリコール、水素添加α,ω−
1,2−ポリブタジエングリコール、水酸基末端変性−
1,4−ポリブタジエン、液状ポリクロロプレン、液状
天然ゴムなどがあり、ポリブタジエン系化合物又は部分
的もしくは完全に水素添加されたポリブタジエン系化合
物が好ましい。ゴム−ポリエステルブロック共重合体と
しては、末端に水酸基を有する脂肪族ジエン系ゴムの末
端水酸基に脂肪族ラクトンを触媒存在下に逐次開環重合
させてポリエステルブロックを形成させたものが好まし
く、脂肪族ラクトンとしてはε−カプロラクトンが好ま
しい。ブロック共重合体中のポリエステル鎖の末端基は
通常水酸基となるが、エステル結合、エーテル結合、ウ
レタン結合を介して非反応基で末端基封鎖することが望
ましい。特に好ましいのは無水酢酸によるアセチル化、
シリル化剤によるシリルエーテル化により末端封鎖され
たものである。
らに、本発明の目的を損なわない範囲で、他の熱可塑性
樹脂、難燃剤、耐衝撃性改良剤、帯電防止剤、スリップ
剤、アンチブロッキング剤、滑剤、防曇剤、天然油、合
成油、ワックス、有機系充填剤等の添加剤を添加した、
所望の物性を有するポリカーボネート樹脂組成物をも対
象とする。
発明はこれら実施例に限定されるものではない。ポリカーボネート樹脂の製造 以下、ポリカーボネート樹脂の製造法を示す。なお、得
られたポリカーボネート樹脂の分析は、下記の測定方法
により行った。
限粘度[η]を測定し、以下の式より粘度平均分子量
(Mv)を求めた。
88 215(1965)に記載の方法)により比色定
量を行った。測定値は、ポリカーボネート重量に対する
末端OH基の重量をppm単位で表示した。 (3)分子量分布(Mw/Mn) ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)に
より測定した。測定装置には、HLC−8020(商品
名、東ソー(株)製品)を、溶離液にはテトラヒドロフ
ランを使用し、ポリスチレン換算で求め、Mw/Mnを
算出した。
ボネート樹脂を120℃、5時間の乾燥を行い、250
℃で直径25mm、厚み1.5mmの形状にプレス成形
し、測定用サンプルを得た。サンプルは測定前に120
℃、4時間の減圧乾燥を行い、測定に供した。粘弾性測
定器RDA−700(商品名、レオメトリックス(株)
製品)を使用し、直径25mmのパラレルプレート型の
治具を装着し、本機器の適正条件を満足する窒素気流
中、測定温度である250℃に設定した。測定温度はオ
ーブン内の温度を測定することにより設定した。その後
乾燥した測定用サンプルを機器にセットし、サンプル全
体が十分に設定温度となる様に静置の後、角速度10r
ad/s、歪み10%の回転をすることで測定した。こ
の測定により損失正接Tanδ及び複素粘性率η*(P
a・s)を求めた。
樹脂を製造する方法の一例である実施態様を説明する。
図1は、本発明の製造方法の1例を示したフローシート
図である。図中、1はDPC(ジフェニルカーボネー
ト)貯槽、2は撹拌翼、3はBPA(ビスフェノール
A)ホッパー、4a,bは原料混合槽、5はDPC流量
制御弁、6はBPA流量制御弁、7はポンプ、8は触媒
流量制御弁、9はプログラム制御装置、10はポンプ、
11は触媒貯槽である。図中、12は副生物排出管、1
3a,b,cは竪型重合槽、14はマックスブレンド
翼、15は横型重合槽、16は格子翼である。
フェニルカーボネート融液、及び、窒素ガス雰囲気下計
量されたビスフェノールA粉末を、それぞれ、DPC貯
槽(1)から205.0モル/h、及びBPAホッパー
(3)から197.1モル/h(原料モル比1.04
0)の送量となるように、マイクロモーション式流量計
及びロスインウェイト方式の重量フィーダーで計量し、
窒素雰囲気下140℃に調整された原料混合槽(4a)
に連続的に供給した。続いて混合された原料混合液を原
料混合槽(4b)に、さらにポンプ(7)を介して容量
100Lの第1竪型撹拌重合槽(13a)に連続的に供
給した。一方、上記混合物の供給開始と同時に、触媒と
して2重量%の炭酸セシウム水溶液を、触媒導入管を介
して、1.6mL/h(設定触媒量:ビスフェノールA
1モルに対し、0.51μモル)の流量で連続供給を開
始した。
ラム制御装置(9)で、BPA流量制御弁(6)で検知
したBPA流量と設定触媒量より、設定触媒流量を計算
して、この値と触媒流量制御弁(8)に設けられた測定
装置で実測された触媒流量とが一致するように触媒流量
制御弁(8)の開度をコントロールすることによって遂
行された。マックスブレンド翼(14)を具備した第1
竪型撹拌重合槽(13a)は、常圧、窒素雰囲気下、2
20℃に制御し、さらに平均滞留時間が60分になるよ
うに、槽底部のポリマー排出ラインに設けられたバルブ
開度を制御しつつ、液面レベルを一定に保った。
第2、第3のマックスブレンド翼を具備した容量100
Lの竪型撹拌重合槽(13b、13c)、及び第4の格
子翼(16)を具備した容量150Lの横型重合槽(1
5)に逐次連続供給された。第2〜第4重合槽での反応
条件は、それぞれ、下記のように、反応の進行とともに
高温、高真空、低撹拌速度となるように条件設定した。
となるように、液面レベルの制御を行い、また、各重合
槽においては、副生したフェノールを副生物排出管(1
2)より除去した。以上の条件下で、1500時間連続
して運転した。なお、第4重合槽底部のポリマー排出口
から抜き出されたポリカーボネート樹脂は、溶融状態の
まま、3段ベント口を具備した2軸押出機に導入され、
p−トルエンスルホン酸ブチルをポリカーボネート樹脂
の重量に対し、4.0ppm(触媒の中和量に対し、
4.4倍モル)添加し、水添、脱揮した後、ペレット化
した。得られたポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量
(Mv)及び末端OH基含有量は、それぞれ、21,5
00及び500ppmであった。
測定装置で実測された触媒流量の連続測定データ(以
下、「触媒流量制御弁の連続測定データ」と略称す
る。)より、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対し
て、設定触媒量±0.06μモル以内及び±0.1μモ
ル以内の時間を算出したところ、それぞれ全製造時間の
96.7%及び99.1%であった。分子量分布(Mw
/Mn)及びTanδ/η*-0. 87の値は、それぞれ、
2.3及び4,850であった。これをPC−1と表
す。
設置せず、触媒流量を1.6mL/h(設定触媒量:ビ
スフェノールA1モルに対し、0.5μモル)に固定し
た以外は、実施例2と同様にして実施した。得られたポ
リカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)及び末端
OH基含有量は、それぞれ、22,400及び500p
pmであった。また、触媒流量制御弁の連続測定データ
より、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して、設定
触媒量±0.06μモル以内及び±0.1μモル以内の
時間を算出したところ、全製造時間の89.9%及び9
1.7%であった。分子量分布(Mw/Mn)及びTa
nδ/η*-0.87の値は、それぞれ、2.7及び2,24
0であった。これをPC−2と表す。
合させ、フェノールで末端封止した。得られたポリカー
ボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)及び末端OH基
含有量は、それぞれ、22,100及び30ppmであ
った。分子量分布(Mw/Mn)及びTanδ/η
*-0.87の値は、それぞれ、2.3及び7,550であっ
た。これをPC−3と表す。
す配合処方で、単軸押出機VS−40(田辺プラスチッ
ク(株)製)によりバレル温度280℃で混練、ペレッ
ト化した。得られたペレットを120℃、5時間乾燥し
た後、住友重機械工業製、サイキャップM−2、型締め
力75Tを用いて、シリンダー温度:300℃,金型温
度:100℃の条件で各種試験片の射出成形を行い、得
られた成形サンプルを用いて以下の評価を行った。
マーは、前記式(III)で示される構造で、平均重合度7
のポリカーボネートオリゴマーであり、ポリカプロラク
トンはダイセル化学(株)製の商品名 PLACCEL
H−1、数平均分子量=10,000のポリカプロラ
クトンである。また、ガラス繊維は、直径13μm、長
さ3mmのチョップドストランド(旭ファイバーグラス
社製、商品名:CS03MAFT737)を用いた。炭
素繊維は、直径7μm、長さ6mmのチョップドストラ
ンド(三菱レイヨン(株)製、商品名:TR06U)を
用いた。
を行った。
プM−2、型締め力75T)を用いて、シリンダー温
度:300℃,金型温度:100℃,金型:20mm幅
×2mm厚み,射出圧力:150MPaの条件で流動長
を測定した。
プM−2、型締め力75T)を用いて、 シリンダー温
度:300℃,金型温度:100℃の条件で、80mm
×40mm×3.2mm厚みのプレートを成形し、外観
を目視で評価した。尚、外観の評価基準は以下による。 ◎ 無機充填剤の浮きが無く非常に良好 〇 無機充填剤の浮きが少なく良好 △ 無機充填剤の浮きが目立つ × 無機充填剤の浮きが非常に目立つ
め力40T)を用いて、シリンダー温度:320℃,金
型温度:100℃の条件で、15mm×27mm×3m
m厚みの金型を用いて10,000ショット成形し、成
形後の金型付着物の量を目視により判断した。尚、金型
付着物の評価基準は以下による。 ◎ 金型付着物が殆ど無く非常に良好 ○ 金型付着物が少なく良好 △ 金型付着物が多い × 金型付着物が非常に多く、不良
は、無機充填剤の添加により、機械的強度を損なうこと
なく、かつ従来の欠点であった流動性や成形品の外観が
改良されて、金型付着物も低減し、カメラ部品やOA、
電気電子部品をはじめとする各種産業用途に用いること
ができ、その意義は大きいものである。
法の1例を示したフローシート図である。
a,b.原料混合槽5.DPC流量制御弁 6.BPA
流量制御弁 7.ポンプ 8.触媒流量制御弁 9.プログラム制御装置 10.ポンプ 11.触媒貯
槽 12.副生物排出管 13a,b,c.竪型重合槽 14.マックスブレンド
翼 15.横型重合槽 16.格子翼
Claims (8)
- 【請求項1】ポリカーボネート樹脂100重量部に対し
て、流動性改良剤を1〜30重量部、無機充填剤を3〜
200重量部含む樹脂組成物であって、該ポリカーボネ
ート樹脂が溶融エステル交換法で得られるポリカーボネ
ート樹脂であることを特徴とするポリカーボネート樹脂
組成物。 - 【請求項2】ポリカーボネート樹脂100重量部に対し
て、流動性改良剤を1〜30重量部、無機充填剤を3〜
200重量部含む樹脂組成物であって、該ポリカーボネ
ート樹脂が溶融エステル交換法で得られるポリカーボネ
ート樹脂であって、温度250℃、角速度10rad/
sの条件で測定した損失角δ及び複素粘性率η*(Pa
・s)が、下記関係式(1)を満たすことを特徴とする
ポリカーボネート樹脂組成物。 【数1】 2500≦Tanδ/η*-0.87≦6000 (1) - 【請求項3】ポリカーボネート樹脂の末端OH基含有量
が50〜1000ppmの範囲内であることを特徴とす
る請求項1又は2に記載のポリカーボネート樹脂組成
物。 - 【請求項4】ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が
12,000〜30,000の範囲内であることを特徴
とする請求項1ないし3のいずれかに記載のポリカーボ
ネート樹脂組成物。 - 【請求項5】流動性改良剤が、芳香族ポリエステルオリ
ゴマー、芳香族ポリカーボネートオリゴマー、ポリカプ
ロラクトン、低分子量アクリル系共重合体、脂肪族ゴム
−ポリエステルブロック共重合体、からなる群より選ば
れる1種、又は2種以上の組み合わせからなることを特
徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のポリカー
ボネート樹脂組成物。 - 【請求項6】流動性改良剤が、芳香族ポリカーボネート
オリゴマー、ポリカプロラクトン、脂肪族ゴム−ポリエ
ステルブロック共重合体、からなる群より選ばれる1
種、又は2種以上の組み合わせからなることを特徴とす
る請求項1ないし5のいずれかに記載のポリカーボネー
ト樹脂組成物。 - 【請求項7】無機充填剤が、ガラス繊維、ガラスフレー
ク、炭素繊維、ワラストナイト、マイカ、タルク、ウイ
スカーからなる群より選ばれる1種、又は2種以上の組
み合わせからなることを特徴とする請求項1ないし6の
いずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。 - 【請求項8】請求項1ないし7のいずれかに記載のポリ
カーボネート樹脂組成物を用いた成形品。
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