JP5634246B2 - 強化熱可塑性樹脂組成物および成形品 - Google Patents
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Description
一般に、筐体を製造する方法としては、上記樹脂組成物をある程度自由な形状に成形できる射出成形により成形する方法が採られている。
また、モバイル機器筐体用の樹脂材料としてガラス繊維強化樹脂組成物が使用されることもあるが、剛性と質量とのバランスが不充分であった。
そのため、モバイル機器筐体用の樹脂材料として、炭素繊維で強化した熱可塑性樹脂組成物が検討されている。
上記問題を解決するべく、特許文献1では、芳香族ポリカーボネート樹脂と、ゴム含有グラフト共重合体と、SAN樹脂と、芳香族系リン酸エステルと、芳香族スルホン酸金属塩と、繊維状補強材とを含む樹脂組成物が提案されている。
また、特許文献2では耐衝撃性の改善効果は不充分である上に、オレフィン系ワックスなどの滑剤を含むと、成形時のガス発生量が多くなるという欠点を有するため実用的ではなかった。
また、本発明は、難燃性、剛性、耐衝撃性のいずれもが高い成形品を提供することを目的とする。
[1] ポリカーボネート樹脂(A)50〜90質量%と、ゴム質重合体(B1)の存在下に、芳香族アルケニル化合物単量体(a)およびシアン化ビニル化合物単量体(b)がグラフト重合したグラフト共重合体(B)10〜50質量%(ただし、(A)成分と(B)成分との合計が100質量%である。)と、ポリカーボネート樹脂(A)とグラフト共重合体(B)との合計100質量部に対して、水溶性ポリアミドで表面処理された無機充填材(D)11.2〜33.8質量部と、スルホン酸金属塩(E)0.4〜10質量部と、リン酸エステル系難燃剤(F)1〜25質量部とを含有し、水溶性ポリアミドで表面処理された無機充填材(D)が、水溶性ポリアミドで表面処理された炭素繊維であることを特徴とする強化熱可塑性樹脂組成物。
[2] スルホン酸金属塩(E)が、脂肪族スルホン酸金属塩であることを特徴とする[1]に記載の強化熱可塑性樹脂組成物。
[3] リン酸エステル系難燃剤(F)の質量平均分子量が、550〜690であることを特徴とする[1]または[2]に記載の強化熱可塑性樹脂組成物。
[4] [1]〜[3]のいずれか一項に記載の強化熱可塑性樹脂組成物が成形加工されたことを特徴とする成形品。
本発明の成形品は、難燃性、剛性、耐衝撃性のいずれもが高い。
「強化熱可塑性樹脂組成物」
本発明の強化熱可塑性樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)と、グラフト共重合体(B)と、水溶性ポリアミドで表面処理された無機充填材(D)と、スルホン酸金属塩(E)と、リン酸エステル系難燃剤(F)とを必須成分として含有する。
なお、本明細書においては、ポリカーボネート樹脂(A)とグラフト共重合体(B)とからなる成分を、「樹脂主成分(C)」という。
ポリカーボネート樹脂(A)は、ジヒドロキシジアリールアルカンから得られる樹脂であり、任意に枝別れしていてもよい。
ポリカーボネート樹脂(A)は公知の方法により製造される。例えば、ジヒドロキシまたはポリヒドロキシ化合物をホスゲンまたは炭酸のジエステルと反応させる方法や、溶融重合法により製造される。また、コンパクトディスク等からリサイクルしたものも使用できる。
ジヒドロキシジアリールアルカンとしては、例えば、ヒドロキシ基に対してオルトの位置にアルキル基を有するもの等が使用される。ジヒドロキシジアリールアルカンの好ましい具体例としては、4,4−ジヒドロキシ2,2−ジフェニルプロパン(すなわち、ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、およびビス−(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼンなどが挙げられる。
ポリカーボネート樹脂(A)は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
また、ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量(Mv)は、機械的強度、耐衝撃性、流動性のバランスが特に優れることから、17,000〜25,000であることがより好ましい。
[ηsp]/c=[η]+0.45×[ηsp]×2c ・・・(i)
[η]=1.23×104×M0.83 ・・・(ii)
樹脂主成分(C)中のポリカーボネート樹脂(A)の含有量は、(A)成分と(B)成分の合計量を100質量%とした際の、50〜90質量%であり、80〜90質量%であることが好ましい。ポリカーボネート樹脂(A)の含有量が50質量%未満であると、強化熱可塑性樹脂組成物の耐熱性および難燃性が低下し、90質量%を超えると、強化熱可塑性樹脂組成物の成形性が低下する。
グラフト共重合体(B)は、ゴム質重合体(B1)の存在下に、芳香族アルケニル化合物単量体(a)およびシアン化ビニル化合物単量体(b)がグラフト重合したものである。また、必要に応じて、他の単量体(c)をグラフト重合させてもよい。
グラフト共重合体(B)は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
グラフト共重合体(B)におけるゴム質重合体(B1)としては、例えば、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ジエン−アクリル複合ゴム、シリコーン(ポリシロキサン)−アクリル複合ゴムなどが挙げられる。これらの中では、本発明の強化熱可塑性樹脂組成物から得られる成形品のめっき性能が良好であることから、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリルゴム、ジエン−アクリル複合ゴム、シリコーン−アクリル複合ゴムが好ましい。
ジエン−アクリル複合ゴムにおけるアクリルゴム成分は、アルキル(メタ)アクリレート(f)と多官能性単量体(g)とが重合されたものである。
ここで、アルキル(メタ)アクリレート(f)としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレート;ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−ラウリルメタクリレート等のアルキルメタクリレートが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
多官能性単量体(g)としては、例えば、アリルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ゴム質重合体(B1)の平均粒子径は、強化熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性をより高くできることから、0.1〜0.6μmであることが好ましい。
芳香族アルケニル化合物単量体(a)としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられ、好ましくはスチレンである。
シアン化ビニル化合物単量体(b)としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられ、好ましくはアクリロニトリルである。
他の単量体(c)は、芳香族アルケニル化合物単量体(a)およびシアン化ビニル化合物単量体(b)と共重合可能な単量体である。他の単量体(c)としては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のメタクリル酸エステル、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアクリル酸エステル、N−フェニルマレイミド等のマレイミド化合物等が挙げられる。
芳香族アルケニル化合物単量体(a)と、シアン化ビニル化合物単量体(b)、他の単量体(c)の割合には特に制限はないが、耐衝撃性と成形性のバランスに優れることから、好ましくは、芳香族アルケニル化合物単量体(a)単位が50〜90質量%、シアン化ビニル化合物単量体(b)単位が10〜50質量%、他の単量体(c)単位が0〜40質量%である(ただし、(a)と(b)と(c)の合計が100質量%)。
グラフト共重合体(B)は、アセトン溶媒に対する不溶分を70〜99質量%含み、かつ、アセトン可溶分の0.2g/dlのN,N−ジメチルホルムアミド溶液として25℃で測定した還元粘度が0.3〜0.7dl/gであることが好ましい。アセトン溶媒に対する不溶分が70質量%以上であれば、強化熱可塑性樹脂組成物の成形外観および成形性がより向上し、一方、99質量%以下であれば、強化熱可塑性樹脂組成物の引き裂き強度が向上する。
また、アセトン可溶分の上記還元粘度が0.3dl/g以上であれば、強化熱可塑性樹脂組成物の引き裂き強度がより向上し、0.7dl/g以下であれば、強化熱可塑性樹脂組成物の成形外観および成形性がより向上する。
グラフト共重合体2.5gをアセトン90ml中に浸漬し、65℃で3時間加熱後、遠心分離機を用い1500rpmにて30分間遠心分離する。その後、上澄み液を除去し、残分を真空乾燥機にて65℃で12時間乾燥し、乾燥後の試料を精秤する。その質量差分([グラフト共重合体2.5g]−[乾燥後の試料の質量])より、グラフト共重合体に対するアセトン可溶分の含有比率(%)を求めることができる。
還元粘度は、0.2g/dlのN,N−ジメチルホルムアミド溶液とし、25℃で測定する。
ここで、アセトン溶媒に対する可溶分は、芳香族アルケニル化合物単量体(a)単位およびシアン化ビニル化合物単量体(b)単位を有する重合体であって、ゴム質重合体(B1)にグラフトしていない重合体である。アセトン溶媒に対する可溶分は、ゴム質重合体(B1)に芳香族アルケニル化合物単量体(a)およびシアン化ビニル化合物単量体(b)をグラフト重合させる際に同時に生成することが多い。
グラフト共重合体(B)は、ゴム質重合体(B1)の存在下に、芳香族アルケニル化合物単量体(a)と、シアン化ビニル化合物単量体(b)と、必要に応じて、他の単量体(c)とをグラフト重合させることにより得られる。
グラフト共重合体(B)の重合方法には制限はないが、乳化重合法が好ましい。また、グラフト重合時には、グラフト共重合体(B)の分子量やグラフト率を調整するために、各種連鎖移動剤を添加してもよい。
樹脂主成分(C)中のグラフト共重合体(B)の含有量は10〜50質量%であり、10〜20質量%であることが好ましい(ただし、(A)成分と(B)成分との合計が100質量%である。)。樹脂主成分(C)中のグラフト共重合体(B)の含有量が10質量%未満であると、強化熱可塑性樹脂組成物の成形性は充分なものではなく、50質量%を超えると、強化熱可塑性樹脂組成物の耐熱性および難燃性が低下する。
水溶性ポリアミドで表面処理された無機充填材(D)は、未処理の無機充填材の表面を水溶性ポリアミドで被覆する表面処理が施されて得られる。
未処理の無機充填材としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維等の無機繊維、無機繊維に金属コーティングしたもの、ウオラストナイト、タルク、マイカ、ガラスフレーク、ガラスビーズ、チタン酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カーボンブラック、ケッチェンブラック等の無機物、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム等の金属や合金、およびそれらの酸化物の繊維、粉末などが挙げられる。
無機充填材(D)は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
未処理の炭素繊維としては、例えば、セルロース系、ポリアクリロニトリル系、ピッチ系などのいずれも使用可能である。また、芳香族スルホン酸類またはそれらの塩のメチレン型結合による重合体と溶媒よりなる原料組成物を紡糸または成形し、次いで炭化するなどの方法に代表される不融化工程を経ない紡糸を行う方法により得られたものも使用可能である。更に、気相成長法に代表される紡糸工程を経ない製造法により製造されたものも使用可能である。
また、形状としてはチョップドファイバー、ロービング等があるが、チョップドファイバーであることがより好ましい。
また、製法についても溶融紡糸、溶剤紡糸のいずれの方法も使用可能であり、更に、溶剤紡糸については湿式紡糸、乾式紡糸のいずれも使用可能である。
第3級アミンを有するポリアミドを得るためには、第3級アミンを主鎖に含むモノマー(例えば、アミノエチルピペラジン、ビスアミノプロピルピペラジン等)、側鎖に第3級アミンを含むモノマー(例えば、α−ジメチルアミノε−カプロラクタム等)を用いればよい。
水溶性ポリアミドにはさらに界面活性剤が添加されたものがより好ましい。界面活性剤の一例としては、ベタイン型のもの等が挙げられる。
このような水溶性ポリアミドとしては、例えば、松本油脂製薬(株)製「KP2007」や「KP2021A」、東レファインケミカル社製「AQナイロン」等が市販されている。
水溶性ポリアミドで表面処理された無機充填材(D)の含有量は、樹脂主成分(C)100質量部に対して11.2〜33.8質量部であり、好ましくは11.2〜23.8質量部である。水溶性ポリアミドで表面処理された無機充填材(D)の含有量が11.2質量部未満であると、強化熱可塑性樹脂組成物の剛性等を充分に向上させることができず、33.8質量部を超えると、強化熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が低下する。
スルホン酸金属塩(E)としては、脂肪族スルホン酸のアルカリ(土類)金属塩、芳香族スルホン酸のアルカリ(土類)金属塩、硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩等が挙げられる(ここで、アルカリ(土類)金属塩の表記は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩のいずれも含む意味とする)。
アルカンスルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、エタンスルホン酸ナトリウム塩を、パーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ(土類)金属塩としては、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム塩をそれぞれ好ましく挙げることができる。
スルホン酸金属塩(E)は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
スルホン酸金属塩(E)の含有量は、樹脂主成分(C)100質量部に対して0.4〜10質量部であり、好ましくは0.4〜5質量部である。スルホン酸金属塩(E)の含有量が0.4質量部未満であると、強化熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性を充分に向上させることができず、10質量部を超えると、強化熱可塑性樹脂組成物の難燃性が低下する。
リン酸エステル系難燃剤(F)は、下記式(1)で表される化合物である。
また、2価以上の有機基とは、上記有機基から、炭素原子に結合している水素原子の2個以上を除いて得られる2価以上の官能基を意味する。例えば、アルキレン基、(置換)フェニレン基が挙げられる。炭素原子から取り除く水素原子の位置は任意である。
また、ビスフェノールAビスフォスフェート、ヒドロキノンビスフォスフェート、レゾルシンビスフォスフェート、トリオキシベンゼントリフォスフェート等であるところのビスフェノールA−ビス(ジクレジルフォスフェート)、フェニレンビス(ジフェニルフォスフェート)、フェニレンビス(ジトリルフォスフェート)、フェニレンビス(ジキシリルフォスフェート)等のポリフォスフェートが挙げられる。
上記具体例のうち、好ましいリン酸エステル系難燃剤は、トリキシルフォスフェート、フェニレンビス(ジフェニルフォスフェート)、フェニレンビス(ジキシリルフォスフェート)、フェニレンビス(ジトリルフォスフェート)、ビスフェノールA−ビス(ジクレジルフォスフェート)であり、より好ましいものは、フェニレンビス(ジフェニルフォスフェート)、フェニレンビス(ジキシリルフォスフェート)である。
リン酸エステル系難燃剤(F)は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、リン酸エステル系難燃剤(F)の質量平均分子量は、市販のリン酸エステル系難燃剤(F)を用いる場合は、カタログ値を使用してもよい。
リン酸エステル系難燃剤(F)の含有量は、樹脂主成分(C)100質量部に対して1〜25質量部であることが好ましく、5〜23質量部であることがより好ましい。リン酸エステル系難燃剤(F)の含有量が1質量部以上であれば、充分に高い耐衝撃性が得られ、25質量部以下であれば、耐熱性や難燃性を充分に確保できる。また、リン酸エステル系難燃剤(F)の含有量が上記範囲であれば、水溶性ポリアミドで表面処理された無機充填材(D)(特に炭素繊維)とスルホン酸金属塩(E)との相乗効果により耐衝撃性をより高くできる。
本発明の強化熱可塑性樹脂組成物には、リン酸エステル系難燃剤(F)の他に、公知の非ハロゲン系難燃剤を配合して、リン酸エステル系難燃剤(F)と併用しても構わない。非ハロゲン系難燃剤としては、例えば、赤リン、水酸化アルミニウム等の無機系難燃剤が挙げられる。
赤リン系難燃剤としては、熱硬化性樹脂、又は熱硬化性樹脂及び金属水酸化物で被覆されて安定化されたもの使用される。赤リン系難燃剤は、単独では発火性があるため、あらかじめ樹脂主成分(C)の少なくとも一部またはポリカーボネート樹脂(A)に混合してマスターバッチ化してもよい。
本発明の強化熱可塑性樹脂組成物には、燃焼時のドリップを防止するための難燃助剤(G)が含まれてもよい。難燃助剤(G)としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンを含有する化合物、シリコーン系重合体などが挙げられる。
難燃助剤(G)を配合する場合、その配合量は、表面外観の点から、樹脂主成分(C)100質量部に対して0.5質量部以下であることが好ましい。
本発明の強化熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じて、他の改質剤、離型剤、光または熱に対する安定剤、帯電防止剤、染料、顔料等を含有してもよい。
本発明の強化熱可塑性樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)と、グラフト共重合体(B)と、水溶性ポリアミドで表面処理された無機充填材(D)と、スルホン酸金属塩(E)と、リン酸エステル系難燃剤(F)と、必要に応じて、難燃助剤(G)等の他の成分とを混合装置(例えば、ヘンシェルミキサー、タンブラーミキサー、ナウターミキサー等)を用いて混合することにより得られる。さらに、混練装置(例えば、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサ、コニーダ等)を用いて混練してもよい。
特に、耐衝撃性の向上は、水溶性ポリアミドで表面処理された無機充填材(D)と、スルホン酸金属塩(E)と、リン酸エステル系難燃剤(F)の併用によって相乗的に発揮される。
本発明の成形品は、上記強化熱可塑性樹脂組成物が成形加工されたものである。従って、本発明の成形品は、難燃性、剛性、耐衝撃性に優れる。
強化熱可塑性樹脂組成物の成形加工法としては、例えば、射出成形法、射出圧縮成形法、押出法、ブロー成形法、真空成形法、圧空成形法、カレンダー成形法およびインフレーション成形法等が挙げられる。これらの中でも、量産性に優れ、高い寸法精度の成形品を得ることができるため、射出成形法、射出圧縮成形法が好ましい。
以下の例では、下記の成分を用いた。
ポリカーボネート樹脂(A)として、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製「ノバレックス7021PJ」を使用した。
固形分濃度が35%、平均粒子径0.08μmのポリブタジエンラテックス100部(固形分として)に、n−ブチルアクリレート単位85%、メタクリル酸単位15%からなる平均粒子径0.08μmの共重合体ラテックス2部(固形分として)を攪拌しながら添加した。次いで、30分間攪拌を続けて、平均粒子径0.28μmの肥大化ブタジエン系ゴム質重合体ラテックスを得た。
得られた肥大化ブタジエン系ゴム質重合体ラテックスを反応器に仕込み、更に蒸留水100部、ウッドロジン乳化剤4部、デモールN(商品名、花王(株)製、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物)0.4部、水酸化ナトリウム0.04部、デキストローズ0.7部を添加した。次いで、攪拌しながら昇温させ、内温60℃の時点で、硫酸第一鉄0.1部、ピロリン酸ナトリウム0.4部、亜ジチオン酸ナトリウム0.06部を添加した後、下記成分を含む混合物を90分間にわたり連続的に滴下し、その後1時間保持して冷却した。
アクリロニトリル 30部
スチレン 70部
クメンハイドロパーオキサイド 0.4部
tert−ドデシルメルカプタン 1部
これにより得られたグラフト共重合体ラテックスを希硫酸で凝固したのち、洗浄、濾過、乾燥して、グラフト共重合体(B1−1)の乾燥粉末を得た。
このグラフト共重合体(B1−1)のアセトン可溶分は27%であった。また、かかるアセトン可溶分の還元粘度は0.3dl/gであった。
グラフト共重合体2.5gをアセトン90ml中に浸漬し、65℃で3時間加熱後、遠心分離機を用い1500rpmにて30分間遠心分離した。その後、上澄み液を除去し、残分を真空乾燥機にて65℃で12時間乾燥し、乾燥後の試料を精秤した。その質量差分([グラフト共重合体2.5g]−[乾燥後の試料の質量])より、グラフト共重合体に対するアセトン可溶分の含有比率(%)を求めた。
還元粘度は、0.2g/dlのN,N−ジメチルホルムアミド溶液とし、25℃で測定した。
反応器に下記のような割合で原料を仕込み、窒素置換下50℃で4時間攪拌しながら重合させて、ゴムラテックスを得た。
n−ブチルアクリレート 98部
1,3−ブチレングリコールジメタクリレート 1部
アリルメタクリレート 1部
ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム 2.0部
脱イオン水 300部
過硫酸カリウム 0.3部
リン酸二ナトリウム12水塩 0.5部
リン酸水素ナトリウム12水塩 0.3部
これにより得られたゴムラテックス100部(固形分換算)を、別の反応器に仕込み、イオン交換水280部を加えて希釈し、70℃に昇温した。
これとは別に、アクリロニトリル/スチレン=29/71(質量比)からなる単量体混合物100部に、ベンゾイルパーオキサイド0.7部を溶解し、窒素置換した後、その単量体混合物を30部/時間の速度で、上記のゴムラテックスが入った反応器に、定量ポンプにより添加した。全モノマーを添加した後、反応器内の温度を80℃に昇温し、30分間攪拌を続けて、グラフト共重合体ラテックスを得た。重合率は99%であった。
上記グラフト共重合体ラテックスを、全ラテックスの3倍量の塩化アルミニウム(AlCl3.6H2O)0.15%水溶液(90℃)を仕込んだ凝固槽中に、撹拌しながら投入して、凝固させた。全ラテックスを添加した後、凝固槽内の温度を93℃に昇温し、そのまま5分間放置した。これを冷却後、遠心分離機により脱液、洗浄した後、乾燥させて、グラフト共重合体(B1−2)の乾燥粉末を得た。
このグラフト共重合体(B1−2)のアセトン可溶分は21%であった。また、かかるアセトン可溶分の還元粘度は0.70dl/gであった。
ポリブタジエン/ポリブチルアクリレートの複合ゴムをゴム質重合体とするグラフト共重合体(B1−3)を下記の方法により得た。
固形分濃度が35%、平均粒子径0.08μmのポリブタジエンラテックス20部(固形分として)に、n−ブチルアクリレート単位82%、メタクリル酸単位18%からなる平均粒子径0.10μmの共重合ラテックス0.4部(固形分として)を攪拌しながら添加した。次いで、30分間攪拌を続けて、平均粒子径0.36μmの肥大化ジエン系ゴムラテックスを得た。
得られた肥大化ジエン系ゴムラテックス20部(固形分換算)を反応器に仕込み、不均化ロジン酸カリウム1部、イオン交換水150部及び下記組成の単量体混合物を添加し、窒素置換し、50℃(内温)に昇温した。さらに、反応器に、10部のイオン交換水に硫酸第一鉄0.0002部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.0006部及びロンガリット0.25部を溶解した溶液を添加して、反応させた。
n−ブチルアクリレート 80部
アリルメタクリレート 0.32部
エチレングリコールジメタクリレート 0.16部
反応終了時の内温は75℃であったが、更に80℃に昇温し、1時間反応を続けて、肥大化ジエン系ゴムとポリブチルアクリレート系ゴムの複合ゴムを得た。重合率は98.8%であった。
次いで、肥大化ジエン系ゴムとポリブチルアクリレート系ゴムの複合ゴムラテックス50部(固形分換算)を反応器に仕込み、イオン交換水140部を加えて希釈し、70℃に昇温した。
これとは別に、アクリロニトリル/スチレン=29/71(質量比)からなる単量体混合物50部に、ベンゾイルパーオキサイド0.35部を溶解し、窒素置換した。その単量体混合物を15部/時間の速度で、上記のゴムラテックスが入った反応器に、定量ポンプにより添加した。全モノマーを添加した後、反応器内の温度を80℃に昇温し、30分間攪拌を続けて、グラフト共重合体ラテックスを得た。重合率は99%であった。
上記グラフト共重合体ラテックスを、全ラテックスの3倍量の硫酸0.5%水溶液(90℃)を仕込んだ凝固槽中に、撹拌しながら投入して、凝固させた。全ラテックスを添加した後、凝固槽内の温度を93℃に昇温し、そのまま5分間放置した。これを冷却後、遠心分離機により脱液、洗浄した後、乾燥させて、グラフト共重合体(B1−3)の乾燥粉末を得た。
このグラフト共重合体(B1−3)のアセトン可溶分は20%であった。また、かかるアセトン可溶分の還元粘度は0.7dl/gであった。
ポリシロキサンゴム/ポリブチルアクリレートの複合ゴムをゴム質重合体とするグラフト共重合体(B1−4)を下記の方法により得た。
オクタメチルテトラシクロシロキサン96部、γ−メタクリルオキシプロピルジメトキシメチルシラン2部及びエチルオルソシリケート2部を混合してシロキサン系混合物100部を得た。これにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.67部を溶解した蒸留水300部を添加し、ホモミキサーにて10000回転/2分間撹拌した後、ホモジナイザーに30MPaの圧力で1回通し、安定な予備混合オルガノシロキサンラテックスを得た。
また、試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱器及び撹拌装置を備えた反応器内に、ドデシルベンゼンスルホン酸2部と蒸留水98部とを注入し、2%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液を調製した。この水溶液を85℃に加熱した状態で、予備混合オルガノシロキサンラテックスを4時間にわたって滴下し、滴下終了後1時間温度を維持し冷却した。この反応液を室温で48時間放置した後、水酸化ナトリウム水溶液で中和して、ポリオルガノシロキサンラテックス(L−1)を得た。ポリオルガノシロキサンラテックス(L−1)の一部を170℃で30分間乾燥して固形分濃度を求めたところ、17.3%であった。
反応器内部の液温が60℃に低下した後、ロンガリット0.4部を蒸留水10部に溶解した水溶液を添加した。次いで、アクリロニトリル11.1部、スチレン33.2部及びターシャリーブチルハイドロパーオキサイド0.2部の混合液を約1時間にわたって滴下し重合した。滴下終了後1時間保持した後、硫酸第一鉄0.0002部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.0006部及びロンガリット0.25部を蒸留水10部に溶解させた水溶液を添加した。次いで、アクリロニトリル7.4部、スチレン22.2部及びターシャリーブチルハイドロパーオキサイド0.1部の混合液を約40分間にわたって滴下し重合した。滴下終了後1時間保持した後、冷却して、ポリオルガノシロキサンとブチルアクリレートゴムからなる複合ゴムにアクリロニトリル−スチレン共重合体をグラフトさせたグラフト共重合体のラテックスを得た。
次いで、酢酸カルシウムを5%の割合で溶解した水溶液150部を60℃に加熱し撹拌した。その酢酸カルシウム水溶液中にグラフト共重合体のラテックス100部を徐々に滴下して凝固させた。得られた凝固物を分離し、洗浄した後、乾燥させて、グラフト共重合体(B1−4)の乾燥粉末を得た。
このグラフト共重合体(B1−4)のアセトン可溶分は26%であった。また、かかるアセトン可溶分の還元粘度は0.60dl/gであった。
無機充填材(D−1)として、三菱レイヨン(株)製 炭素繊維チョップドファイバー、「TR06NE」(表面処理剤:水溶性ポリアミド)を用いた。
無機充填材(D−2)として、東邦テナックス(株)製 炭素繊維チョップドファイバー、「HTA−C6−U」(表面処理剤:ポリウレタン)を用いた。
無機充填材(D−3)として、東邦テナックス(株)製 炭素繊維チョップドファイバー、「HTA−C6N」(表面処理剤:メチルアルコールに溶解した非水溶性ポリアミド)を用いた。
スルホン酸金属塩(E−1)として、サンケミカル(株)製「Chemguard−411」(パーフルオロブタンスルホン酸カリウム)を用いた。
スルホン酸金属塩(E−2)として、サンケミカル(株)製「Chemguard−KSS」(ジフェニルスルホンスルホン酸カリウム)を用いた。
リン酸エステル系難燃剤(F−1)として、大八化学工業(株)製「PX−200」(質量平均分子量686(カタログ値))を用いた。
リン酸エステル系難燃剤(F−2)として、大八化学工業(株)製「CR−733S」(質量平均分子量574(カタログ値))を用いた。
リン酸エステル系難燃剤(F−3)として、大八化学工業(株)製「TPP」(質量平均分子量326(カタログ値))を用いた。
リン酸エステル系難燃剤(F−4)として、味の素ファインテクノ(株)製「BAPP」(質量平均分子量692(カタログ値))を用いた。
難燃助剤(G)として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を用いた。
上述した各成分を、表1〜3に示すように配合して、強化熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた強化熱可塑性樹脂組成物のシャルピー衝撃強度、曲げ弾性率、耐熱性、成形性、難燃性を、以下の方法により評価した。評価結果を表1〜3に示す。
ISO 179に準じて、シャルピー衝撃強度を測定した。
ISO 178に準じて、曲げ弾性率を測定した。
ISO 75に準じて、耐熱性を測定した。
A4サイズの箱型成形品(厚み1.2mm)を、射出成形機((株)日本製鋼所製「J350E」、350tアキュームレーター付き)により、以下の成形条件で成形した。その成形の際のショートショット(未充填部分)の有無により、成形性を評価した。
○:未充填の部分はなかった。
△:一部に未充填の部分が見られた。
・成形条件
本発明の強化熱可塑性樹脂組成物の成形条件は、成形温度:280℃、射出速度:99%、金型温度:80℃とした。
強化熱可塑性樹脂組成物を成形して試験片(幅12.7mm、長さ127mm、厚さ1.5mm)を作製し、UL94に準拠した以下の垂直燃焼試験を行った。
・垂直燃焼試験
垂直に支持した前記試験片の下端にバーナー炎をあてて10秒間保ち、その後バーナー炎を試験片から離した。炎が消えた後、再びバーナー炎をあて、同様の操作を行った。そして、1回目の接炎終了後の有炎燃焼持続時間、2回目の有炎燃焼持続時間と無炎燃焼持続時間の合計、ならびに燃焼落下物の有無により判定を行った。UL94における各等級の基準は概略下記の通りである。
V−0:1回目の有炎燃焼持続時間が10秒以内、2回目の有炎燃焼持続時間と無炎燃焼持続時間の合計が30秒以内であり、燃焼落下物がない。
V−1:1回目の有炎燃焼持続時間が10秒超30秒以内、2回目の有炎燃焼持続時間と無炎燃焼持続時間の合計が30秒超60秒以内であり、燃焼落下物がない。
V−2:1回目の有炎燃焼持続時間が10秒超30秒以内、2回目の有炎燃焼持続時間と無炎燃焼持続時間の合計が30秒超60秒以内であり、燃焼落下物がある。
なお、各実施例および比較例の難燃性は、以下の記号で表す。
◎:V−0レベルの難燃性を有していた。
○:V−1レベルの難燃性を有していた。
△:V−2レベルの難燃性を有していた。
×:V−2レベルの難燃性を有していなかった。
また、実施例2,3と比較例1の比較から、水溶性ポリアミドで表面処理した炭素繊維チョップドファイバーとスルホン酸金属塩とリン酸エステル系難燃剤を含有する強化熱可塑性樹脂組成物は、水溶性ポリアミドで表面処理した炭素繊維チョップドファイバーを含むが、スルホン酸金属塩とリン酸エステル系難燃剤を含まない強化熱可塑性樹脂組成物よりも、シャルピー衝撃強度に優れることがわかった。
実施例2,3と比較例2の比較から、水溶性ポリアミドで表面処理した炭素繊維チョップドファイバーとスルホン酸金属塩とリン酸エステル系難燃剤を含有する強化熱可塑性樹脂組成物は、水溶性ポリアミドで表面処理した炭素繊維チョップドファイバーとリン酸エステル系難燃剤を含むが、スルホン酸金属塩を含まない強化熱可塑性樹脂組成物よりも、シャルピー衝撃強度に優れることがわかった。
実施例2,3と比較例3,4の比較から、水溶性ポリアミドで表面処理した炭素繊維チョップドファイバーとスルホン酸金属塩とリン酸エステル系難燃剤を含有する強化熱可塑性樹脂組成物は、水溶性ポリアミドで表面処理した炭素繊維チョップドファイバーとスルホン酸金属塩を含むが、リン酸エステル系難燃剤を含まない強化熱可塑性樹脂組成物よりも、シャルピー衝撃強度に優れることがわかった。
また、実施例2,3と比較例11の比較から、水溶性ポリアミドで表面処理した炭素繊維チョップドファイバーとスルホン酸金属塩とリン酸エステル系難燃剤を含有する強化熱可塑性樹脂組成物は、水溶性ポリアミド以外のもので表面処理した炭素繊維チョップドファイバーとスルホン酸金属塩とリン酸エステル系難燃剤を含有する強化熱可塑性樹脂組成物よりも、シャルピー衝撃強度は高いことがわかった。
さらに、実施例2,3と比較例12の比較から、水溶性ポリアミドで表面処理した炭素繊維チョップドファイバーとスルホン酸金属塩とリン酸エステル系難燃剤を含有する強化熱可塑性樹脂組成物は、メチルアルコールに溶解した非水溶性ポリアミドで表面処理した炭素繊維チョップドファイバーとスルホン酸金属塩とリン酸エステル系難燃剤を含有する強化熱可塑性樹脂組成物よりも、シャルピー衝撃強度は高いことがわかった。
従って、シャルピー衝撃強度向上の効果は、水溶性ポリアミドで表面処理された炭素繊維チョップドファイバーと、スルホン酸金属塩と、リン酸エステル系難燃剤とを用いたことによる相乗効果であることは明らかである。
ポリカーボネート樹脂(A)とグラフト共重合体(B)と水溶性ポリアミドで表面処理された炭素繊維(D)とスルホン酸金属塩(E)とリン酸エステル系難燃剤(F)を含有するが、ポリカーボネート樹脂(A)の含有量が50部を下回っていた比較例8の強化熱可塑性樹脂組成物は、耐熱性および難燃性が低かった。
ポリカーボネート樹脂(A)とグラフト共重合体(B)と水溶性ポリアミドで表面処理された炭素繊維(D)とスルホン酸金属塩(E)とリン酸エステル系難燃剤(F)を含有するが、ポリカーボネート樹脂(A)の含有量が90部を超えていた比較例9の強化熱可塑性樹脂組成物は、成形性が低かった。
ポリカーボネート樹脂(A)とグラフト共重合体(B)と水溶性ポリアミドで表面処理された炭素繊維(D)とスルホン酸金属塩(E)とリン酸エステル系難燃剤(F)を含有するが、リン酸エステル系難燃剤(F)の含有量が25部を超えていた比較例10の強化熱可塑性樹脂組成物は、耐熱性および難燃性が低かった。
ポリカーボネート樹脂(A)とグラフト共重合体(B)と水溶性ポリアミドで表面処理された炭素繊維(D)とスルホン酸金属塩(E)とリン酸エステル系難燃剤(F)を含有するが、スルホン酸金属塩(E)の含有量が0.4部を下回っていた比較例13の強化熱可塑性樹脂組成物は、シャルピー衝撃強度が低かった。
ポリカーボネート樹脂(A)とグラフト共重合体(B)と水溶性ポリアミドで表面処理された炭素繊維(D)とスルホン酸金属塩(E)とリン酸エステル系難燃剤(F)を含有するが、スルホン酸金属塩(E)の含有量が10部を超えていた比較例14の強化熱可塑性樹脂組成物は、難燃性が低かった。
Claims (4)
- ポリカーボネート樹脂(A)50〜90質量%と、
ゴム質重合体(B1)の存在下に、芳香族アルケニル化合物単量体(a)およびシアン化ビニル化合物単量体(b)がグラフト重合したグラフト共重合体(B)10〜50質量%(ただし、(A)成分と(B)成分との合計が100質量%である。)と、
ポリカーボネート樹脂(A)とグラフト共重合体(B)との合計100質量部に対して、水溶性ポリアミドで表面処理された無機充填材(D)11.2〜33.8質量部と、スルホン酸金属塩(E)0.4〜10質量部と、リン酸エステル系難燃剤(F)1〜25質量部とを含有し、
水溶性ポリアミドで表面処理された無機充填材(D)が、水溶性ポリアミドで表面処理された炭素繊維であることを特徴とする強化熱可塑性樹脂組成物。 - スルホン酸金属塩(E)が、脂肪族スルホン酸金属塩であることを特徴とする請求項1に記載の強化熱可塑性樹脂組成物。
- リン酸エステル系難燃剤(F)の質量平均分子量が、550〜690であることを特徴とする請求項1または2に記載の強化熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の強化熱可塑性樹脂組成物が成形加工されたことを特徴とする成形品。
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