JP2009272533A - 多層プリント配線板用支持体付き絶縁フィルム、多層プリント配線板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)多官能型エポキシ樹脂、(B)フェノール性水酸基含有ポリアミドイミド及び(C)無機フィラーを含有する絶縁樹脂組成物の半硬化状態のフィルムが支持体表面に形成されてなる多層プリント配線板用支持体付き絶縁フィルム及び、片面または両面に内層回路を有する基板の内層回路上に絶縁樹脂層及び回路が逐次積層されてなり、絶縁樹脂層が前記絶縁樹脂組成物の硬化物で、熱膨張係数が40ppm /K以下である多層プリント配線板である。
【選択図】なし
Description
ところが、近年、電子機器の小型化、軽量化、多機能化が一段と進み、これに伴い、LSIやチップ部品等の高集積化が進みその形態も多ピン化、小型化へと急速に変化している。この為、多層プリント配線板については、電子部品の実装密度を向上するために、微細配線化の開発が進められている。この要求に合致する多層プリント配線板の製造手法として、ガラスクロスを含まない絶縁樹脂をプリプレグの代わりに絶縁層として用い、必要な部分のみビアホールで接続しながら配線層を形成するビルドアップ方式があり、軽量化や小型化、微細化に適した手法として主流になりつつある。
さらに、電子部品を多層プリント配線板に接続するために一般的に用いられるはんだについても、鉛を有さない鉛フリーはんだが実用化されつつある。この鉛フリーはんだは、従来の共晶はんだよりも使用温度が約20〜30℃高くなることから、従来にも増して材料には高いはんだ耐熱性が必要になっている。
しかしながら、多量の無機フィラーを充填することにより、流動性の低下による作業性の低下や、接続信頼性の低下など、多くの問題が発生する。
一方で、熱膨脹率が小さいとされている樹脂として、液晶ポリマーなどを適用された例があるが(例えば特許文献2参照)、コスト高となり、多層化が困難であったり、銅との接着力が低いなどの課題がある。
従って、多層プリント配線板用の絶縁樹脂を、銅の熱膨脹率に近い低熱膨張係数のものとし、熱サイクル試験などで接続信頼性を確保し、高密度化に対応可能な多層プリント配線板が期待されている。
1.(A)多官能型エポキシ樹脂、(B)フェノール性水酸基含有ポリアミドイミド及び(C)無機フィラーを含有する絶縁樹脂組成物の半硬化状態のフィルムが支持体表面に形成されてなることを特徴とする多層プリント配線板用支持体付き絶縁フィルム。
2.前記絶縁樹脂組成物の全固形分中の含有量として、(A)多官能型エポキシ樹脂が20〜60質量%、(B)フェノール性水酸基含有ポリアミドイミドが5〜40質量%、(C)無機フィラーが5〜30質量%である上記1の多層プリント配線板用支持体付き絶縁フィルム。
3.前記絶縁樹脂組成物が、さらに(D)架橋ゴム粒子を含有する上記1又は2の多層プリント配線板用支持体付き絶縁フィルム。
4.(A)エポキシ樹脂と(D)架橋ゴム粒子との固形分質量比が80/20〜98/2である上記3の多層プリント配線板用支持体付き絶縁フィルム。
5.前記絶縁樹脂組成物が、さらに難燃剤として(E)リン含有フェノール樹脂を含有し、ハロゲン化合物を含まないものである上記3又は4の多層プリント配線板用支持体付き絶縁フィルム。
6.(E)リン含有フェノール樹脂中のリン含有量が(C)無機フィラーを除く前記絶縁樹脂組成物の固形分中で0.5〜3.0質量%に相当する量である前記5の多層プリント配線板用支持体付き絶縁フィルム。
8.絶縁樹脂層の熱膨張係数が40ppm /K以下である前記7の多層プリント配線板。
9.片面又は両面に内層回路を有する基板の内層回路上に、前記1〜6のいずれかの多層プリント配線板用支持体付き絶縁フィルムにおける絶縁樹脂組成物を積層する工程(イ)、該支持体付き絶縁フィルムにおける半硬化状態の絶縁樹脂組成物を硬化して絶縁樹脂層を得る工程(ロ)および該絶縁樹脂層表面に回路を形成する工程(ハ)を有することを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。
10.工程(ロ)と工程(ハ)との間に、絶縁樹脂層の表面を酸化性粗化液で粗面処理する工程を有する上記9の多層プリント配線板の製造方法。
11.工程(ハ)が、金属めっき法により回路を形成することからなる上記9又は10の多層プリント配線板の製造方法。
12.工程(イ)が、片面または両面に内層回路を有する基板の内層回路上に、上記1〜6のいずれかの多層プリント配線板用支持体付き絶縁フィルムを、半硬化状態の絶縁樹脂組成物のフィルムを内層回路に接して重ねることからなり、工程(ロ)が、支持体を剥離除去した後に加熱することにより半硬化状態の絶縁樹脂組成物を硬化して絶縁樹脂層を得ることからなる上記9〜11のいずれかの多層プリント配線板の製造方法。
13.工程(イ)が、片面または両面に内層回路を有する基板の内層回路上に、上記1〜6のいずれかの多層プリント配線板用支持体付き絶縁フィルムであって、支持体が金属箔である絶縁フィルムの、半硬化状態の絶縁樹脂組成物のフィルムを内層回路に接して重ねることからなり、工程(ロ)が、加熱することにより半硬化状態の絶縁樹脂組成物を硬化して絶縁樹脂層を得ることからなり、工程(ハ)が金属箔をエッチングして外部回路を形成することからなる上記9の多層プリント配線板の製造方法。
また、本発明によれば、はんだ耐熱性にも優れており環境に配慮した鉛フリーはんだの使用が可能な多層プリント配線板を製造することが可能である。また、環境に悪影響を与える可能性があるハロゲン化合物を一切使用しないで難燃性を実現させることができる。
(A)多官能型エポキシ樹脂は、分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であり、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、アラルキル型エポキシ樹脂などが挙げられる。
(A)多官能型エポキシ樹脂の含有量は、溶剤を除いた絶縁樹脂組成物の全固形分中で20〜60質量%であるのが好ましい。20質量%未満では以上とすることにより、必要なはんだ耐熱性が得られ、60質量%以下とすることにより回路導体との必要な接着強度が得られる。
ポリアミドイミド樹脂は、イミド環に起因した高ガラス転移温度(Tg)化が容易なこと、アミド基に起因した金属類との高接着性を示すこと、溶剤に可溶なこと等から、多くの研究が行われている。
ポリアミドイミド樹脂の製造方法としては、例えば、無水トリメリット酸と、芳香族ジイソシアネートとを反応させる工程を備える、いわゆるイソシアネート法が知られている。このイソシアネート法の応用例としては、特許第2897186号公報及び特開平4−182466号公報に記載のように、芳香族トリカルボン酸無水物と芳香族ジアミンとをジアミン過剰条件で反応させ、次いでジイソシアネートを反応させる方法がある。
(B)フェノール性水酸基含有ポリアミドイミドの含有量は、溶剤を除いた絶縁樹脂組成物の全固形分中で5〜40質量%であることが好ましい。5質量%以上とすることにより、樹脂の熱膨張率を低く保つことができ、40質量%以下とすることにより金属めっき時に、緻密な粗化形状を保つことができるからである。
(C)無機フィラーの含有量は、溶剤を除いた絶縁樹脂組成物の全固形分中で5〜30容量%にするのが好ましく、さらに好ましくは20〜25容量%である。5容量%以上とすることにより低熱膨脹への効果が得られ、30容量%以下とすることにより流動性が確保され、粗化後の表面粗さが大きくなって微細粗化形状に不適になることがない。
(D)架橋ゴム粒子としては、例えば、アクリロニトリルとブタジエンの共重合物、具体的には、アクリロニトリルとブタジエンとを共重合したアクリロニトリルブタジエンゴム粒子(NBR)や、アクリロニトリルとブタジエンとアクリル酸などのカルボン酸とを共重合したカルボン酸変性アクリロニトリルブタジエンゴム粒子、ポリブタジエンやNBRをコアとしアクリル酸誘導体をシェルとしたブタジエンゴム−アクリル樹脂のコア−シェル粒子が使用可能である。
架橋ゴム粒子の含有量は(A)多官能エポキシ樹脂と(D)架橋ゴム粒子の固形分配合比(質量比、以下同じ。)が80/20〜98/2であることが好ましい。固形分配合比を80/20以上とすることにより、必要なはんだ耐熱性が得られ、固形分配合比を98/2以下とすることにより、塗膜の必要な引っ張り伸び率が得られる。
難燃剤として(E)リン含有フェノール樹脂を使用し、ハロゲン化合物を使用しないことにより、環境に配慮した難燃性の絶縁樹脂とすることができる。
硬化剤の使用量は、(C)フェノール性水酸基含有ポリアミドイミドや(E)リン含有フェノール樹脂を含めた合計量として、(A)多官能エポキシ樹脂のエポキシ基に対して0.5〜1.5当量であるのが好ましい。エポキシ基に対して0.5当量以上とすることにより効果的に熱膨張係数が小さくなり、1.5当量以下とすることにより効果的に粗化後の凹凸が小さくなるので,微細配線形成に好適である。
溶剤使用量は、絶縁樹脂組成物の塗膜形成の設備に合わせてその使用量を調整すれば良い。例えば絶縁樹脂組成物のワニスをコンマコータでキャリアフィルムや金属箔に塗工する場合は、ワニス中の固形分濃度が30〜60質量%となるように溶剤使用量を調節することが好ましい。
半硬化フィルムが表面に形成される支持体としては、例えば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフテレート(以下、「PET」とも云う)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、更には離型紙や銅箔、アルミニウム箔などの金属箔を用いることができる。支持体には、コロナ処理や離型処理を施してあってもよい。支持体の厚さは、通常、10〜150μmであり、好ましくは25〜50μmである。
本発明の多層プリント配線板の製造方法では、まず、片面または両面に内層回路1を形成した基板2が使用される[図1(a)参照]。
この基板としては、通常のプリント配線板において用いられている公知の積層板、例えば、ガラス布−エポキシ樹脂、紙−フェノール樹脂、紙−エポキシ樹脂、ガラス布・ガラス紙−エポキシ樹脂等が使用でき特に制限はない。また、ビスマレイミド−トリアジン樹脂を含浸させたBT基板、さらにはポリイミドフィルムを基材として用いたポリイミドフィルム基板等も用いることができる。
なお、図1(a)には基板2の片面に内層回路1を形成した例を示すが、両面金属張積層板を用いて内層回路1を基板2の両面に形成することもできる。
上記により内層回路を有する基板を製造した後、工程(イ)により片面または両面に内層回路を有する基板の内層回路上に絶縁樹脂組成物の層3を形成する[図1(b)参照]。
図1(b)では、内層回路1は基板2の片面に形成されているが、前述のように、両面に形成されていても良く、この場合は絶縁樹脂組成物の層3を両方の内層回路上に形成できる。また、この形成方法に特に制限はない。例えば、前記した本発明の支持体付き絶縁フィルムを絶縁樹脂組成物の層3に積層して形成する方法が挙げられる。
なお、工程(イ)の加圧積層工程と工程(ロ)の加熱硬化工程とは同時でも別に行ってもよい。加圧積層条件は、半硬化フィルムに内層回路1の凹凸が埋め込まれれば良く、通常0.5〜20MPaが好ましい。
上記工程において、さらに、内層回路(第一の回路)と第二の回路を層間接続するために絶縁樹脂層3にビアホールを形成することもできる[図1(b)参照]。
このビアホールの形成手法として特に制限はなく、レーザ法やサンドブラスト法などを用いることができる。
なお、第二の回路4を形成するための手法としては、(1)絶縁樹脂層表面に無電解めっき用の触媒を付与して無電解めっきにより全面に金属(回路導体)を析出させ、必要な場合には電気めっきによって回路導体を必要な厚さにした後、不要な箇所をエッチング除去して形成する方法、(2)めっき触媒を含有した絶縁樹脂層を用いて、めっきレジストを形成して必要な箇所のみ無電解めっきにより金属を析出させる方法及び(3)めっき触媒を含有しない絶縁樹脂層を粗化し、めっき触媒を付与した後、めっきレジストを形成して必要な箇所のみ無電解めっきにより金属を析出させる方法等を用いることができる。
粗化処理としては、例えば、先ず膨潤液として、ジエチレングリコールモノブチルエーテルと苛性ソーダとの水溶液を70℃に加温して第一の絶縁樹脂層3を5分間浸漬処理する。次に、粗化液として、過マンガン酸カリウムと苛性ソーダとの水溶液を80℃に加温して10分間浸漬処理する。引き続き、中和液、例えば塩化第一錫(SnCl2)の塩酸水溶液に室温で5分間浸漬処理して中和する。
次に、無電解めっき液に浸漬して第一の絶縁樹脂層3の表面全面(ビアホールを形成した場合はビアホール内面を含む)に厚さが0.3〜1.5μmの無電解めっき層(導体層)を析出させる。必要により、更に電気めっきを行って必要な厚さとする。無電解めっきに使用する無電解めっき液は、公知の無電解めっき液を使用することができ、特に制限はない。また、電気めっきについても公知の方法によることができ特に制限はない。これらのメッキは銅メッキであることが好ましい。
さらにエッチングにより、第二の回路4を形成する。なお、第一の回路1と第二の回路4の層間接続は、ビアホール内面の無電解めっき層により形成される。
以下、更に同様の工程を繰り返すことにより、層数の多い多層プリント配線板を製造することができる。
実施例および比較例で作製した絶縁樹脂組成物の硬化物、支持体付き絶縁フィルム及び多層プリント配線板について、熱膨張係数、接着強度、288℃はんだ耐熱性試験,接続信頼性試験および難燃性試験を実施した。
各実施例及び比較例で得た支持体付き絶縁フィルムを銅箔にラミネートし、180で1時間乾燥後、銅箔を除去して試験片を作製し、熱膨張係数を測定した。測定は、TMA2940サーモメカニカルアナライザー(株式会社TAインスツルメンツ社製、商品名)を用い、試験片を3mm角程度に切断し、加重5g、昇温速度10℃/分の条件で250℃まで加熱後、−30℃まで冷却してひずみを除去し、再度、加重5g、昇温速度10℃/分の条件で300℃まで加熱して、その熱膨張量と試験片の長さから、熱膨張係数を算出した。
各実施例及び比較例で作製した多層プリント配線板の第四の回路の一部にピール強度測定用に幅10mm、長さ100mmの短冊状の配線を形成し、この一端を回路/絶縁樹脂層の界面で剥がしてつかみ具でつかみ、室温中で垂直方向に引張り速度約50mm/分で引き剥がした時の荷重を測定した。
各実施例及び比較例で作製した多層プリント配線板を25mm角に切断し、288±2℃に調整したはんだ浴に浮かべ、ふくれが発生するまでの時間を調べた。
各実施例及び比較例で作製した多層プリント配線板を使用して、−55〜125℃の冷熱サイクル試験(それぞれ15分)を行い,100サイクルごとに接続抵抗を測定し,接続不良の有無を確認した。
各実施例及び比較例において、内層回路として用いた前記ガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板にエッチングを施して銅箔を完全に剥離した基板を作製し、この基板の両面に、支持体付き絶縁フィルムを3回ラミネートして絶縁樹脂組成物層を形成した。そして、180℃で1時間の加熱を行うことにより、難燃性の試験片を作製した。試験法は、UL−94法に従い試験した。
ディーンスターク還流冷却器、温度計及び撹拌器を備えた2Lのセパラブルフラスコに、芳香族ジアミン化合物である2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン〔和歌山精化工業(株)社製、商品名:BAPP〕30.8g、無水トリメリット酸(TMA)28.9g及び非プロトン性極性溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP) 230g を投入して反応溶液とし、これを80℃で30分間撹拌した。
続いて、反応溶液に水と共沸可能な芳香族炭化水素であるトルエン200mLを加え、160℃ で2時間還流した。水分定量受器に理論量の水が得られ、水の流出が見られなくなっていることを確認後、水分定量受器中の水とトルエンを除去し、反応溶液の温度をさらに190℃ まで上昇させて、反応溶液中のトルエンを除去した。
その後、反応溶液を室温まで冷却してから、5−ヒドロキシイソフタル酸 9.1g、2,4−ジヒドロキシ安息香酸7.1g、ジイソシアネートである、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)37.6gを加え、反応溶液を170℃ に加熱して2時間反応させ、フェノール性水酸基含有ポリアミドイミド樹脂AのNMP溶液を得た。得られたフェノール性水酸基含有ポリアミドイミド樹脂Aのゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)での分子量(Mw)は22,000であり、理論上のフェノール当量は654であった。
ディーンスターク還流冷却器、温度計及び撹拌器を備えた2Lのセパラブルフラスコに、芳香族ジアミン化合物である2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン〔和歌山精化工業(株)社製、商品名:BAPP〕30.8g、無水トリメリット酸(TMA)28.9g及び非プロトン性極性溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP) 230g を投入して反応溶液とし、これを80℃で30分間撹拌した。
続いて、反応溶液に水と共沸可能な芳香族炭化水素であるトルエン200mLを加え、160℃ で2時間還流した。水分定量受器に理論量の水が得られ、水の流出が見られなくなっていることを確認後、水分定量受器中の水とトルエンを除去し、反応溶液の温度をさらに190℃ まで上昇させて、反応溶液中のトルエンを除去した。
その後、反応溶液を室温まで冷却してから、ジイソシアネートである、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)22.5gを加え、反応溶液を170℃ に加熱して2時間反応させ、フェノール性水酸基含有ポリアミドイミド樹脂BのNMP溶液を得た。得られたフェノール性水酸基含有ポリアミドイミド樹脂Bのゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)での分子量(Mw)は25,000であった。
(1)ガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板[銅箔の厚さ18μm、基板厚み0.8mm、両面粗化箔を両面に有する日立化成工業株式会社製、商品名:MCL−E−67]の片面にエッチングを施して片面に内層回路を有する基板を作製した。
(2)下記組成の絶縁樹脂組成物のワニスを作製した。このワニスを厚さ38μmのPETフィルム(支持体)上に塗工し、130℃で5分乾燥して膜厚40±3μmの支持体付き絶縁フィルムのロールを作製した。さらに、この支持体付き絶縁フィルムと前記回路板を、半硬化フィルムを回路板の内層回路と接する面側に重ね、バッチ式真空加圧ラミネーター(名機株式会社製、商品名:MVLP−500)を用いて積層した。
(A)ビフェニル構造及びノボラック構造を有するエポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、商品名:NC−3000H) 75質量部
(B)フェノール性水酸基含有ポリアミドイミド樹脂AのNMP溶液(製造例1による、固形分濃度30質量%) 105質量部
(C)無機フィラー:球状シリカ(株式会社アドマテックス製、商品名:アドマファインSO−25R) 85質量部
(E)リン含有フェノール樹脂(三光株式会社製、商品名:HCA−HQ、リン含有量9質量%) 28質量部
・反応促進剤:2−フェニルイミダゾール
(四国化成工業株式会社製、商品名:2P・Z) 0.3質量部
・溶剤:N−メチルピロリドン 70質量部
(4)この第一の絶縁樹脂層に層間接続用のビアホールを日立ビアメカニクス製CO2レーザ加工機(LCO−1B21型)を使用し、ビーム径100μm、周波数500Hzでパルス幅5μsec、ショット数4の条件で加工して作製した。
(5)第一の絶縁樹脂層を化学粗化するために、膨潤液として、ジエチレングリコールモノブチルエーテル:200ml/L及びNaOH:5g/Lの水溶液を作製し、70℃に加温して5分間浸漬処理した。次に、粗化液として、KMnO4:60g/L及びNaOH:40g/Lの水溶液を作製し、80℃に加温して10分間浸漬処理した。引き続き、中和液(SnCl2:30g/L、HCl:300ml/L)の水溶液に室温で5分間浸漬処理して中和した。
次に、めっき導体層の不要な箇所をエッチング除去するために、まず銅表面の酸化皮膜を#600のバフロール研磨で除去した後、エッチングレジストを形成し、次いでエッチングし、その後エッチングレジストを除去して、内層回路と接続したビアホールを含む第二の回路を形成した。
(7)さらに、多層化するために、第二の回路の表面を、亜塩素酸ナトリウム:50g/l、NaOH:20g/l、リン酸三ナトリウム:10g/lの水溶液に85℃で20分間浸漬し、水洗して、80℃で20分間乾燥して第二の回路の表面上に酸化銅の凹凸を形成した。
(8)前記(2)〜(7)の工程を繰り返して三層の多層プリント配線板を作製した。
得られた絶縁樹脂組成物の硬化物(絶縁樹脂層)、支持体付き絶縁フィルム及び多層プリント配線板についての性能評価結果を第1表に示す。
(D)架橋ゴム粒子として粒子状NBR(JSR株式会社製,商品名:XER−91)4質量部を使用した他は実施例1と同様にして行った。性能評価結果を第1表に示す。
(D)架橋ゴム粒子としてブタジエン−アクリル樹脂のコアシェルゴム(ローム&ハーツジャパン株式会社製、商品名:EXL−2655)4質量部を使用した他は実施例1と同様にして行った。性能評価結果を第1表に示す。
多官能型エポキシ樹脂としてフェノールノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製、商品名:N−770)使用した他は実施例1と同様にして行った。性能評価結果を第1表に示す。
多官能型エポキシ樹脂としてフェニルアルキルノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、商品名:NC−2000−L)使用した他は実施例1と同様にして行った。性能評価結果を第1表に示す。
(B)フェノール性水酸基含有ポリアミドイミド樹脂Aに代えて、オルトクレゾールノボラック樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製,商品名:KA−1165)15質量部を使用した他は実施例1と同様にして行った。性能評価結果を第1表に示す。
(C)無機フィラーを使用しない他は実施例1と同様にして行った。性能評価結果を第1表に示す。
(B)フェノール性水酸基含有ポリアミドイミド樹脂Aに代えて、フェノール性水酸基非含有ポリアミドイミド樹脂B(製造例2による、固形分濃度30質量%)105質量部を使用した他は実施例1と同様にして行った。性能評価結果を第1表に示す。
2基板
3第一の絶縁樹脂層
4第二の回路
5第二の絶縁樹脂層
6第三の回路
7第四の回路
8第三の絶縁樹脂層
Claims (13)
- (A)多官能型エポキシ樹脂、(B)フェノール性水酸基含有ポリアミドイミド及び(C)無機フィラーを含有する絶縁樹脂組成物の半硬化状態のフィルムが支持体表面に形成されてなることを特徴とする多層プリント配線板用支持体付き絶縁フィルム。
- 前記絶縁樹脂組成物の全固形分中の含有量として、(A)多官能型エポキシ樹脂が20〜60質量%、(B)フェノール性水酸基含有ポリアミドイミドが5〜40質量%、(C)無機フィラーが5〜30質量%である請求項1に記載の多層プリント配線板用支持体付き絶縁フィルム。
- 前記絶縁樹脂組成物が、さらに(D)架橋ゴム粒子を含有する請求項1又は2に記載の多層プリント配線板用支持体付き絶縁フィルム。
- (A)多官能型エポキシ樹脂と(D)架橋ゴム粒子との固形分質量比が80/20〜98/2である請求項3に記載の多層プリント配線板用支持体付き絶縁フィルム。
- 前記絶縁樹脂組成物が、さらに難燃剤として(E)リン含有フェノール樹脂を含有し、ハロゲン化合物を含有しないものである請求項3又は4に記載の多層プリント配線板用支持体付き絶縁フィルム。
- (E)リン含有フェノール樹脂中のリン含有量が(C)無機フィラーを除く前記絶縁樹脂組成物 の固形分中で0.5〜3.0質量%に相当する量である請求項5に記載の多層プリント配線板用 支持体付き絶縁フィルム。
- 片面または両面に内層回路を有する基板の内層回路上に絶縁樹脂層及び回路が逐次積層されている多層プリント配線板であって、絶縁樹脂層が請求項1〜6のいずれかに記載の多層プリント配線板用支持体付き絶縁フィルムにおける絶縁樹脂組成物の硬化物であることを特徴とする多層プリント配線板。
- 絶縁樹脂層の熱膨張係数が40ppm /K以下である請求項7に記載の多層プリント配線板。
- 片面または両面に内層回路を有する基板の内層回路上に、請求項1〜6のいずれか記載の多層プリント配線板用支持体付き絶縁フィルムを積層する工程(イ)、該支持体付き絶縁フィルムにおける半硬化状態の絶縁樹脂組成物を硬化して絶縁樹脂層を得る工程(ロ)および該絶縁樹脂層表面に回路を形成する工程(ハ)を有することを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。
- 工程(ロ)と工程(ハ)との間に、絶縁樹脂層の表面を酸化性粗化液で粗面処理する工程を有する請求項9に記載の多層プリント配線板の製造方法。
- 工程(ハ)が、金属めっき法により回路を形成することからなる請求項9又は10に記載の多層プリント配線板の製造方法。
- 工程(イ)が、片面または両面に内層回路を有する基板の内層回路上に、請求項1〜6のいずれかに記載の多層プリント配線板用支持体付き絶縁フィルムを、半硬化状態の絶縁樹脂組成物のフィルムを内層回路に接して重ねることからなり、工程(ロ)が、支持体を剥離除去した後に加熱することにより半硬化状態の絶縁樹脂組成物を硬化して絶縁樹脂層を得ることからなる請求項9〜11のいずれかに記載の多層プリント配線板の製造方法。
- 工程(イ)が、片面または両面に内層回路を有する基板の内層回路上に、請求項1〜6のいずれかに記載の多層プリント配線板用支持体付き絶縁フィルムであって、支持体が金属箔である絶縁フィルムの、半硬化状態の絶縁樹脂組成物のフィルムを内層回路に接して重ねることからなり、工程(ロ)が、加熱することにより半硬化状態の絶縁樹脂組成物を硬化して絶縁樹脂層を得ることからなり、工程(ハ)が金属箔をエッチングして外部回路を形成することからなる請求項9に記載の多層プリント配線板の製造方法。
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