JP5434240B2 - 層間絶縁層用接着フィルム及び多層プリント配線板 - Google Patents

層間絶縁層用接着フィルム及び多層プリント配線板 Download PDF

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Description

本発明は、ハロゲン物質を使用せずに、優れた難燃性と、鉛フリー化に対応可能な高いはんだ耐熱性を有し、熱膨張率が低く、導体層と層間絶縁層の接着強度が高い層間絶縁層用接着フィルム及び、該フィルムを用いて製造された多層プリント配線板に関する。
従来、一般的に、多層プリント配線板は、片面または両面に内層回路を形成したプリント基板上に、プリプレグと呼ばれるガラス布にエポキシ樹脂を含浸し半硬化状態にした材料を銅箔と重ねて熱プレスにより積層一体化した後、ドリルで層間接続用のスルーホールと呼ばれる穴をあけ、スルーホール内壁と銅箔表面上に無電解めっきを行い、必要ならば更に電解めっきを行って回路導体として必要な厚さとした後、不要な銅を除去して製造されている。
近年、電子機器の小型化、軽量化、多機能化が一段と進み、これに伴い、LSIやチップ部品等の高集積化が進みその形態も多ピン化、小型化へと急速に変化している。このため多層プリント配線板は、電子部品の実装密度を向上するために、微細配線化の開発が進められている。
これらの要求に合致する多層プリント配線板の製造方法として、ガラスクロスを含まない絶縁樹脂を、プリプレグの代わりに層間絶縁層として用い、必要な部分のみビアホールで接続しながら多層プリント配線板を形成するビルドアップ方式の多層プリント配線板があり、軽量化や小型化、微細化に適した手法として主流になりつつある。
また、環境意識の高まりから燃焼時に有害な物質を発生する可能性がある材料は電子部品も含めて規制する動きが活発になっている。従来の多層プリント配線板には、難燃化のためにブロム化合物が使用されてきたが、燃焼時に有害な物質を発生する可能性があるので、このブロム化合物を使用しないハロゲン化フリーの多層プリント配線板用材料が要求されている。
電子部品を多層プリント配線板に接続するために一般的に用いられるはんだも、鉛を有さない鉛フリーはんだが実用化されつつある。この鉛フリーはんだは、従来の共晶はんだよりも使用温度が約20〜30℃高くなることから、従来にも増して高い耐熱性材料が必要になる。
さらに、前記ビルドアップ構造の多層プリント配線板において、高密度化をするために層数の増加と共に、ビア部分のフィルド化、スタック化が進んでいる。
しかしながら、多層プリント配線板の薄型化のために使用されるガラスクロスを含まない層間絶縁層は、熱膨脹率が大きい傾向を示すため、フィルド化、スタック化したビアの銅との熱膨張率の差が、接続信頼性に大きく影響し、信頼性の懸念材料になっている。このため層間絶縁層に熱膨脹率の小さい材料を用い、信頼性を高めることが要求される。
前記のガラスクロスを含まない層間絶縁層を低熱膨脹率とする手法として、ビスマレイミド化合物とジアミン化合物の重合物、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂、硬化剤、ポリエーテルスルホン樹脂、無機充填材からなる樹脂組成物を、層間絶縁層として使用する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、この方法ではマレイミド化合物とジアミン化合物の重合物にアミノ基が残留し、エポキシ樹脂と反応する。エポキシ−アミン化合物はエポキシ−フェノール類硬化物と比較して耐熱性が劣るので、特許文献1に記載の樹脂組成物は、はんだ耐熱性が劣る。
また、ガラスクロスを含まない層間絶縁層を低熱膨脹率とする手法として、ビスマレイミド化合物とフェノール類化合物の重合物、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂、シリコーンゴム粒子、破砕状および/または溶融シリカ粉末を主体とする無機充填材等からなる樹脂組成物を、層間絶縁層として使用する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
この方法では、エポキシ-フェノール類硬化物が得られるので、はんだ耐熱性が良好である。しかしながら、特許文献2の方法では、ビスマレイミドが溶剤に溶解されないため、ワニスを作製し、塗工によって層間絶縁層の前駆体、すなわち、多層プリント配線板用の層間絶縁層用接着フィルムなどのBステージ樹脂を作製する方法には適さない。
さらに、ビスマレイミド化合物とアミノ化合物を有機溶媒中で反応させて得られる硬化剤を含有する樹脂組成物をプリプレグとし、積層板として使用する方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
この方法では樹脂組成物がBステージを経て、積層板に使用される。しかしながら、層間絶縁層用接着フィルムとして使用する場合、高い銅箔接着強度が要求されるため、特許文献3に記載された組成物では、層間絶縁層用接着フィルムとして銅箔接着強度が不十分である。
特開2007−273816号公報 特開平5−331263号公報 特開2008−110959号公報
本発明の目的は、以上のような状況から、ハロゲン物質を使用せずに、優れた難燃性と、鉛フリー化に対応可能な高いはんだ耐熱性を有し、熱膨張率が低く、導体層と層間絶縁層の接着強度が高い層間絶縁層用接着フィルム及び多層プリント配線板を提供することである。
本発明は、上記の課題を解決するために鋭意研究した結果、多層プリント配線板の層間絶縁層用接着フィルムとして、特定構造のビスマレイミド化合物からなる変性ビスマレイミド化合物(a)、エポキシ樹脂(b)、非ハロゲン系難燃剤(c)および架橋ゴム粒子(d)を含有する樹脂成分(A)と無機充填材(B)を含む樹脂組成物より形成されたフィルムが上記目的に適うものであることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の層間絶縁層用接着フィルム及びプリント配線板を提供するものである。
1.下記一般式(I)で表される変性ビスマレイミド(a−1)及び/又は一般式(II)で表される変性ビスマレイミド(a−2)からなる変性ビスマレイミド化合物(a)、エポキシ樹脂(b)、非ハロゲン系難燃剤(c)および架橋ゴム粒子(d)を含有する樹脂成分(A)と無機充填材(B)を含み、樹脂成分(A)の固形分組成が、ビスマレイミド化合物(a)40〜70質量%、架橋ゴム粒子(d)1〜7質量%であり、樹脂成分(A)の全固形分100質量部に対して無機充填材(B)30〜80質量部を含有する樹脂組成物から形成された層間絶縁層用接着フィルム。
Figure 0005434240
Figure 0005434240
(式中、R1、R2、R3、R4及びR5は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜5の炭化水素基、R6は、水酸基、カルボキシ基またはスルホン酸基を示し、A及びDは炭素数1〜5のアルキレン基、アルキリデン基、エーテル基、炭素数6〜14のアリレーン基または下記の式(III)に示す基である。gは1〜5の整数、hは0〜5の整数で、且つgとhの和は5である。)
Figure 0005434240
2.樹脂成分(A)として、さらに、アミノ基含有トリアジン変性ノボラック樹脂(e)を含有する上記1の層間絶縁層用接着フィルム。
3.樹脂成分(A)として、さらに、イミダゾール系硬化促進剤(f)を含有する上記1又は2の層間絶縁層用接着フィルム。
4.非ハロゲン系難燃剤(c)がリン系難燃剤である上記1〜3のいずれかの層間絶縁層用接着フィルム。
5.樹脂組成物が半硬化状態でフィルム状の支持体に形成されてなる上記1〜4のいずれかの層間絶縁層用接着フィルム。
6.上記1〜5の層間絶縁層用接着フィルムを用いて製造された絶縁樹脂層を有することを特徴とする多層プリント配線板。
本発明によれば、ハロゲン物質を使用せずに、優れた難燃性と、鉛フリー化に対応可能な高いはんだ耐熱性を有し、熱膨張率が低く、導体層と層間絶縁層の接着強度が高い層間絶縁層用接着フィルムが提供でき、電子機器の小型化、軽量化、多機能化に対応した、信頼性の高い多層プリント配線板を、環境的にも有利に製造することができる。
本発明の層間絶縁層用接着フィルムを使用して多層プリント配線板を製造する方法の一実施形態を工程順に示す断面図である。
本発明の層間絶縁層用接着フィルムは、変性ビスマレイミド化合物(a)、エポキシ樹脂(b)、非ハロゲン系難燃剤(c)および架橋ゴム粒子(d)を含有する樹脂成分(A)と、無機充填材(B)を含む樹脂組成物から形成されたものであり、樹脂成分(A)には更にアミノ基含有トリアジン変性ノボラック樹脂(e)およびイミダゾール系硬化促進剤(f)を任意に含有するものである。
以下、これらの各成分、層間絶縁層用接着フィルム(「接着フィルム」とも云う)および該接着フィルムを用いて製造される多層プリント配線板について詳細に説明する。
樹脂成分(A):変性ビスマレイミド化合物(a)
本発明に用いられる変性ビスマレイミド化合物(a)は、前記の一般式(I)で表される変性ビスマレイミド(a−1)及び/又は一般式(II)で表される変性ビスマレイミド(a−2)からなるものである。
この変性ビスマレイミド化合物(a)は、特許文献3に記載された方法によって、酸性基を有するアミン化合物と分子中に2個のN−置換マレイミド基を有するビスマレイミド化合物を反応させて得ることができる。
すなわち、変性ビスマレイミド化合物(a)は、上記の酸性基を有するアミン化合物とビスマレイミド化合物を有機溶剤中にて反応させて製造することができる。
なお、このアミン化合物として下記の一般式(IV)で示す酸性基を有するアミン化合物を使用した場合に変性ビスマレイミド(a−1)が得られ、また、アミン化合物として、1分子中に2個のアミノ基を有するジアミン化合物を使用した場合に変性ビスマレイミド(a−2)が得られる。
Figure 0005434240
(式中、R5は、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜5の炭化水素基、R6は、水酸基、カルボキシ基またはスルホン酸基を示し、gは1〜5の整数、hは0〜5の整数で、且つgとhの和は5である。)
変性ビスマレイミド(a−1)を製造する際の一般式(IV)に示すアミン化合物としては、例えば、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、o−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸、m−アミノ安息香酸、o−アミノ安息香酸、o−アミノベンゼンスルホン酸、m−アミノベンゼンスルホン酸、p−アミノベンゼンスルホン酸、3,5−ジヒドロキシアニリン、3,5−ジカルボキシアニリン等が挙げられ、また、アミノ基及びトリアジン構造を有する化合物を、フェノール類並びにホルムアルデヒド類と共縮合することによって得られる、アミノ基含有トリアジン変性フェノールノボラック類も挙げられる。
これらの中で、溶解性や合成の収率の点からm−アミノフェノール、p−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸、m−アミノ安息香酸及び3,5−ジヒドロキシアニリンが好ましく、耐熱性の点からm−アミノフェノール及びp−アミノフェノールがより好ましく、低毒性である点からm−アミノフェノール、低熱膨張率化の点からp−アミノフェノールが特に好ましい。
変性ビスマレイミド(a−2)を製造する際の1分子中に2個のアミノ基を有するジアミン化合物としては、例えばm−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,5−ジアミノフェノール、3,5−ジアミノ安息香酸、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3、3'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4'−ジアミノジフェニルケトン、ベンジジン、3,3'−ジヒドロキシベンジジン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3−ジメチル−5,5−ジエチル−4,4−ジフェニルメタンジアミン、4−メチル−1,3−フェニレンジアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン等の芳香族アミン類、エチレンジアミン、n−ブチレンジアミン、n−ヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族アミン類が挙げられる。
これらの中で、4,4'−ジアミノジフェニルメタンが低熱膨張率の点で好ましい。
分子中に2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物としては、例えば、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(4−マレイミドフェニル)エーテル、ビス(4−マレイミドフェニル)スルホン、3,3−ジメチル−5,5−ジエチル−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。
これらの中で、ビス(4−マレイミドフェニル)メタンや2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパンが硬化物の低熱膨張率化の点で好ましく、曲げ性や溶剤への溶解性の観点から、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパンが更に好ましい。2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパンの市販品例としては、BMI−4000(大和化成工業株式会社製)がある。
上記の化合物を反応させる際に使用される有機溶媒は特に制限はないが、例えばエタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の窒素原子含有溶媒、ジメチルスルホキシド等の硫黄原子含有溶媒などが挙げられ、1種又は2種以上を混合して使用できる。
これらの中で、溶解性の点からシクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びメチルセロソルブが好ましく、低毒性の点からシクロヘキサノン及びプロピレングリコールモノメチルエーテルがより好ましく、揮発性が高くプリプレグの製造時に残溶媒として残りにくいプロピレングリコールモノメチルエーテルが特に好ましい。
この反応におけるビスマレイミド化合物とアミン化合物の使用量は、アミン化合物のアミノ基の当量(Tb)に対するビスマレイミド化合物のマレイミド基の当量(Ta)の当量比(Ta/Tb)が1.0〜10.0の範囲であることが好ましく、該当量比(Ta/Tb)が2.0〜10.0の範囲であることがさらに好ましい。
該当量比(Ta/Tb)を1.0以上とすることにより熱硬化性樹脂組成物の耐熱性が得られ、10.0以下とすることにより変性ビスマレイミド化合物の有機溶媒への溶解性が不足することがなく、熱硬化性樹脂組成物の耐熱性が得られる。
また、ビスマレイミド化合物のマレイミド基の個数(Tc)と、フェノール性水酸基を有するアミン化合物のアミノ基の個数(Td)、必要に応じて配合するジアミン化合物中のアミノ基の個数(Te)の使用量は、(Tc/(Td+Te))が0.9〜10.0であることが好ましい。0.9未満であるとマレイミドと未反応のアミノ基が多く残ってしまい、はんだ耐熱性が悪くなる。また、10.0を超えると、ビスマレイミド化合物を溶剤中に溶解することが困難になる。該(Tc/(Td+Te))は、耐熱性や熱膨張係数の都合上、2.0〜8.0が最も好ましい。
反応温度は、50〜200℃が好ましく、100〜160℃が特に好ましい。反応時間は、0.1〜10時間が好ましく、1〜8時間が特に好ましい。例えば上記化合物を有機溶媒中で、必要により加熱・保温しながら攪拌し、反応させることにより、前記の一般式(I)で表される変性ビスマレイミド(a−1)や、一般式(II)で表される変性ビスマレイミド(a−2)が製造される。
なお、この反応には、必要により反応触媒を使用することができる。反応触媒の例としては、トリエチルアミン、ピリジン、トリブチルアミン等のアミン類、メチルイミダゾール、フェニルイミダゾール等のイミダゾール類、トリフェニルホスフィン等のリン系触媒等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を混合して使用できる。
本発明の層間絶縁層用接着フィルムにおいて、変性ビスマレイミド化合物(a)の含有量は、前記接着フィルムを硬化してなる層間絶縁層の樹脂成分(A)の固形分組成として、40〜70質量%であり、更に好ましくは50〜60質量%である。
樹脂成分(A)中で、変性ビスマレイミド化合物(a)が40質量%以上であることにより、熱膨張係数を小さく保つことができ、70質量%以下であることにより、めっきによって形成する導体層との接着力が向上する。熱膨張係数や層間絶縁層上にめっきによって形成する導体層との接着力のバランスから、変性ビスマレイミド化合物(a)が50〜60質量%であることが更に好ましい。
アミン化合物として1分子中に2個のアミノ基を有するジアミン化合物を使用し、変性ビスマレイミド(a−2)を含む変性ビスマレイミド化合物(a)を使用した場合には、ワニスへの溶解性が良好になり、塗装作業性等に優れるため好ましい。
変性ビスマレイミド化合物(a)中の変性ビスマレイミド(a−2)の含有量は5〜100質量%であることが好ましく、10〜100質量%であることが更に好ましい。
エポキシ樹脂(b)
エポキシ樹脂(b)は、分子中に2つ以上のエポキシ基を有する樹脂である。分子中に2つのエポキシ基を有する樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂やビスフェノールF型などがある。また、分子中に、平均で2個以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ樹脂を使用しても良い。多官能エポキシ樹脂としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂や、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、アラルキル型エポキシ樹脂などが挙げられる。これらのエポキシ樹脂は単独あるいは2種以上併用して用いることができる。
本発明の層間絶縁層用接着フィルムにおいて、エポキシ樹脂(b)の含有量は、熱膨張係数の点から、樹脂成分(A)の全固形分として10〜40質量%であることが好ましい。10質量%以上であることにより、導体層との接着力が向上し、層間絶縁層にクラックが入りにくくなる。また、40質量%以下とすることにより、エポキシ硬化剤や難燃剤を投入可能となる。熱膨張係数や層間絶縁層上にめっきによって形成する導体層との接着力のバランスから、15〜30質量%であることが更に好ましい。
非ハロゲン系難燃剤(c)
非ハロゲン系難燃剤(c)は、ハロゲンを含まない難燃剤のことであり、リン含有化合物からなる公知の有機難燃剤や、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物からなる無機難燃剤などが挙げられる。
本発明では、難燃性の観点から、リン含有化合物が好ましく、リン原子を含んだ反応性官能基を有する化合物を用いることが更に好ましい。この反応性官能基は変性ビスマレイミド化合物(a)のフェノール性水酸基や、エポキシ樹脂(b)のエポキシ基、更に後述のアミノ基含有トリアジン変性ノボラック樹脂(e)の官能基と反応する。
市販されているリン含有化合物で、反応性官能基を有さない化合物としては、エクソリットOP930(クラリアントジャパン(株)製、製品名、リン含有率23質量%)がある。また、反応性官能基を有するリン含有化合物としては、例えば、リン含有エポキシ化合物であるFX−305(東都化成(株)製、製品名、リン含有率;約3質量%)など、リン含有フェノール化合物であるHCA−HQ(三光(株)製、製品名、リン含有率;約9質量%)や、公知の方法によって作製したリン含有フェノールも使用することができる。リン含有フェノール化合物としては、例えば、米国特許2007/0221890に記載されている方法によって作製されたリン含有フェノールが溶剤に可溶であり、凝集物が形成されにくく、微細配線の形成の点で好ましい。
本発明の層間絶縁層用接着フィルムにおいて、非ハロゲン系難燃剤(c)がリン含有化合物からなる有機難燃剤である場合、樹脂成分(A)の全固形分に対してリン含有量が、0.5〜2.0質量%であることが好ましい。
リン含有量が0.5質量%以上であることにより、難燃性が向上する。一方、2.0質量%以下であると、難燃剤の特性によるガラス転移温度(Tg)の向上や熱膨張係数の低下、導体層との接着力の向上を得ることができる。熱膨張係数や耐熱性の点から、リン含有量が0.7〜1.5質量%であることが更に好ましい。
架橋ゴム粒子(d)
架橋ゴム粒子(d)は、後述するデスミア処理によって、硬化後の層間絶縁層表面に微細な凹凸を形成し、めっきによって形成した配線の接着強度を向上させるために用いる。
架橋ゴム粒子としては、アクリロニトリルブタジエンゴム粒子、カルボン酸変性アクリロニトリルブタジエンゴム粒子、ブタジエンゴム−アクリル樹脂のコアシェルゴム粒子から選択される少なくとも一種から選ばれることが好ましい。
アクリロニトリルブタジエンゴム粒子は、アクリロニトリルとブタジエンを共重合させ、かつ共重合する段階で、部分的に架橋させ、ゴム状粒子としたものである。またアクリル酸やメタクリル酸等のカルボン酸を併せて共重合することにより、カルボン酸変性アクリロニトリルブタジエンゴム粒子を得ることも可能である。ブタジエンゴム−アクリル樹脂のコアシェルゴム粒子は、乳化重合でブタジエン粒子を重合させ、その後アクリル酸エステル、アクリル酸等のモノマーを添加して重合をさせる二段階の重合方法で得ることができる。粒子の大きさは、一次平均粒子径で、50nm〜1μmが好ましい。これら架橋ゴム粒子は、単独でも、2種以上を併用して用いてもよい。
架橋ゴム粒子(d)の市販品としては、例えば、カルボン酸変性アクリロニトリルブタジエンゴム粒子として、JSR(株)製の製品名:XER−91が挙げられ、ブタジエンゴム−アクリル樹脂のコアシェル粒子として、ローム・アンド・ハース(株)製の製品名:EXL−2655や武田薬品工業(株)製の製品名:AC−3832が挙げられる。
架橋ゴム粒子(d)の含有量は、前記接着フィルムの樹脂成分の全固形分に対して、1〜7質量%である。架橋ゴム粒子(d)の含有量が1質量%以上であることにより導体層との接着力が向上し、7質量%以下であることにより、層間絶縁層の熱膨張係数を小さく保てる。
アミノ基含有トリアジン変性ノボラック樹脂(e)
本発明の層間絶縁層用接着フィルムにおいて任意に含まれるアミノ基含有トリアジン変性ノボラック樹脂(e)は、フェノール類とアミノ基含有トリアジン類とアルデヒド類とを反応して得られるアミノ基含有トリアジン変性ノボラック樹脂であり、層間絶縁層用接着フィルムを硬化して得られる層間絶縁層と、導体層の密着力を向上させるために用いられる。また、アミノ基含有トリアジン変性ノボラック樹脂(e)中のアミノ基が変性ビスマレイミドのマレイミド基と反応し、フェノール性水酸基がエポキシ基と反応するため、ガラス転移温度(Tg)が高くなる。
アミノ基含有トリアジン変性ノボラック樹脂(e)は、フェノール類とアミノ基含有トリアジン類とアルデヒド類の縮合物との他に、アミノ基含有トリアジン類とアルデヒド類との縮合物、フェノール類とアルデヒド類との縮合物、未反応のフェノール類及びアミノ基含有トリアジン類を含んでいても構わない。また、アミノ基含有トリアジン変性ノボラック樹脂(e)は、数平均分子量が300〜1000の範囲にあり、その分子中に平均0.5〜4個のアミノ基を有するものが特に好ましい。
上記のアミノ基含有トリアジン変性ノボラック樹脂(e)を得るためのフェノール類としては、フェノール、ナフトール、ビスフェノールAなどの一価のフェノール性化合物、又はレゾルシン、キシレノールなどの二価のフェノール性化合物、又はピロガロール、ヒドロキシヒドロキノンなどの三価のフェノール性化合物、及びこれらフェノール性化合物のアルキル、カルボキシル、ハロゲン、アミンなどの誘導体などが挙げられる。また、これらのフェノール類は、単独又は二種以上組み合わせて使用できる。
また、アミノ基含有トリアジン変性ノボラック樹脂(e)に用いるアミノ基含有トリアジン類としては、特に限定されるものではなく、アミノ基含有トリアジン環を有すれば構造の如何を問わないが、メラミン、アセトグアナミン又はベンゾグアナミンが好ましい。これらは単独又は二種以上の併用も可能である。
アミノ基含有トリアジン変性ノボラック樹脂(e)の含有量は、前記接着フィルムの樹脂成分(A)の全固形分に対して、0.5〜7質量%であることが好ましく、1〜5質量%であることが更に好まし望ましい。0.5質量%以上とすることにより接着性を確保でき、7質量%以下であることにより、層間絶縁層の熱分解温度が低下せず、はんだリフロー時に層間絶縁層と導体層の間に膨れが発生しにくくなる。
本発明の接着フィルムには、樹脂成分(A)として、前記の(a)〜(e)成分の他に、さらに必要に応じ、硬化剤を添加することも可能である。硬化剤としては、各種フェノール樹脂類、酸無水物類、アミン類、ヒドラジット類などが使用できる。フェノール樹脂類としては、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂などが使用でき、酸無水物類としては、無水フタル酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、メチルハイミック酸等が使用でき、アミン類として、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルメタン、グアニル尿素等が使用できる。
変性ビスマレイミド化合物(a)のフェノール性水酸基の当量、非ハロゲン系難燃剤(c)としてリン含有フェノール樹脂を使用した場合のフェノール性水酸基の当量および必要に応じて加える硬化剤のフェノール性水酸基の当量の合計である硬化剤作用物質の総当量は、エポキシ樹脂(b)のエポキシ基に対して0.2〜1.5当量であるのが好ましい。硬化剤作用物質の総当量がエポキシ基に対して0.2当量以上とすることにより、外層銅箔との接着性が向上し、1.5当量以下とすることにより、ガラス転移温度(Tg)や絶縁性の高い層間絶縁層用接着フィルムとなる。
また、層間絶縁層用接着フィルムには、樹脂成分(A)として、上記の硬化剤作用物質の他に必要に応じて、イミダゾール系反応促進剤(f)を使用することが好ましい。反応促進剤としては潜在性の熱硬化剤である各種イミダゾール類やBF3アミン錯体があるが、絶縁樹脂組成物の保存安定性やBステージ(半硬化)状態の樹脂組成物の取り扱い性及びはんだ耐熱性の点から、イミダゾール系反応促進剤(f)が好適に使用され、2−フェニルイミダゾールや2−エチル−4−メチルイミダゾールが特に好ましい。
イミダゾール系反応促進剤(f)の使用量は、エポキシ樹脂(b)の配合量に対して0.1〜3.0質量%が最適である。0.1質量%以上とすることにより優れたはんだ耐熱性が得られ、3.0質量%以下とすることにより接着フィルムの保存安定性やBステージ状態の樹脂組成物の取り扱い性が向上する。
本発明の層間絶縁層用接着フィルムには、樹脂成分(A)として、上記の他に、さらに、通常の層間絶縁層用接着フィルムの樹脂組成物に使用されるチキソ性付与剤、界面活性剤、カップリング剤等の各種添加剤を適宜配合することができる。
無機充填材(B)
本発明の層間絶縁層用接着フィルムに使用される無機充填材(B)としては、例えば、シリカ、溶融シリカ、タルク、アルミナ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、水酸化カルシウム、エーロジル、炭酸カルシウムなどが挙げられ、これらは単独でもあるいは混合して用いても良い。なお、低熱膨張率化の点から無機充填材(B)としてシリカを用いるのが好ましい。また、下層配線層を埋めこむために、多層プリント配線板用の接着フィルムには、高い流動性が求められるので、無機充填材(B)は球状であることが、流動性の観点から望ましい。
無機充填材(B)の含有量は、樹脂成分(A)の全固形分を100質量部に対して、固形分換算で30〜80質量部であり、好ましくは45〜80質量部である。
無機充填材(B)の含有量が樹脂成分(A)の全固形分を100質量部に対して30質量部以上とすることにより硬化後の層間絶縁層の低熱膨張率化を達成することが可能であり、また、80質量部以下とすることにより、層間絶縁層が強靱になり、温度サイクル試験などで層間絶縁層にクラックが発生しにくくなる。
無機充填材(B)は、分散性を高める目的でカップリング剤により処理しても良く、ニーダー、ボールミル、ビーズミル、3本ロール、ナノマイザー等既知の混練方法により分散することもできる。
無機充填材(B)の平均粒径は、配線の微細化が進行しているので、1μm以下が好ましく、0.5μm以下がより好ましい。平均粒径が1μm以下の無機充填材は、後述するデスミア工程により表面凹凸を小さくするので、エッチング残りが少なく、絶縁性が十分に得られる等の利点がある。また、平均粒径が1μm以下の無機充填材を使用することにより、層間絶縁層上に形成する導体層(配線)間の絶縁抵抗の信頼性試験が向上する。
なお、流動性を向上するため、無機充填材の平均粒径が0.2μm以上であることが更に好ましい。
層間絶縁層用接着フィルム
本発明の層間絶縁層用接着フィルムは、多層プリント配線板の層間絶縁層を形成するために用いられるフィルムであり、後述する支持体フィルムの上に、前記の樹脂組成物と有機溶剤からなるワニスを塗工し、乾燥によってワニス中の溶剤を全て、あるいは一部分揮発させ、樹脂組成物のフィルムを形成したものである。
多層プリント配線板用の層間絶縁層の熱膨張係数は、温度サイクル試験などに耐えられる低い熱膨張係数であることが好ましく、40ppm/℃以下であることが好ましい。
本発明の層間絶縁層用接着フィルムとして、樹脂組成物は半硬化させた状態のものが好適に使用される。但し、この半硬化の状態は、層間絶縁層用接着フィルムを硬化する際に、層間絶縁層とそれを形成する回路パターン基板の接着力が確保される範囲で、また、回路パターン基板の埋めこみ性(流動性)が確保される範囲であることが望ましい。
本発明の層間絶縁層用接着フィルムとして、支持体フィルム上に形成したBステージ(半硬化)状態で、樹脂成分(A)および無機充填材(B)に加えて、溶剤が含まれているもの(以下、これを「Bステージ接着層」という)が多く用いられる。Bステージ接着層の厚さは、硬化後の層間絶縁層の厚さを考慮して調整することが望ましい。本発明の層間絶縁層用接着フィルムを多層プリント配線板に用いるために、Bステージ接着層の膜厚が5〜100μmであることが好ましく、プリント配線板の軽薄短小化のために、5〜65μmであることがより好ましく、最も好ましくは、5〜40μmである。
形成した多層プリント配線板用の層間絶縁層用接着フィルムのBステージ接着層に、異物混入防止のため、保護フィルムを用いて保護することが望ましい。
本発明の層間絶縁層用接着フィルムを作製する際の、乾燥条件は特に限定されないが、乾燥によって有機溶剤を揮発させた後に、Bステージ接着層中に残存している溶剤(以下、残溶剤という)が、層間絶縁層用接着フィルムに対して20質量%以下、好ましくは15質量%以下、特に好ましくは10質量%以下になるように、乾燥の条件を調整することが望ましい。乾燥の温度は、通常、50〜150℃の範囲で行うことができる。
なお、上記のワニスは、本発明の層間絶縁層用接着フィルムを形成する樹脂組成物が、有機溶剤中で混合して希釈、または分散している状態のことをいう。接着フィルムを形成するための作業性から、樹脂組成物のワニスの形態で接着フィルムが製造される。
塗工方法としては、コンマコータ、バーコータ、キスコータ、ロールコーター等が利用でき、接着フィルムの厚みによって適宜使用される。乾燥方法としては、加熱、あるいは熱風吹きつけなどを用いることができる。
層間絶縁層用接着フィルムを製造する際に用いられる有機溶剤としては、接着フィルムを形成している樹脂組成物を溶解できる有機溶剤が好ましい。有機溶剤への溶解性が低い樹脂や、無機充填材など有機溶剤に不溶なものが添加されている場合には、均一に分散できる有機溶剤が好ましい。
用いられる有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGM−Ac)等の酢酸エステル類、セロソルブなどのカルビトール類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、プロピレングリコール類、ガンマブチルラクトン、その他にはジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドンなどを挙げることができる。有機溶剤は2種類以上を組み合わせて用いても良い。
層間絶縁層用接着フィルムの樹脂組成物に対する有機溶剤の割合は、従来の層間絶縁層用接着フィルムにおいて一般に使用している割合でよく、塗膜形成の設備にあわせてその使用量を調整することが好ましい。
ワニス中の層間絶縁層用接着フィルムの樹脂組成物(固形分)の比率は、使用する塗工機に依存するが、ワニス中で30〜65質量%となるように有機溶剤の使用量を調整することが好ましい。30質量%以上とすることにより取り扱い性の良い粘度となる。一方、65質量%以下とすることにより、粘度が高すぎず、塗工が容易となる。
本発明の層間絶縁層用接着フィルムを製造する際の支持体となる支持体フィルムは、プリント配線板を製造する際に、通常、最終的に剥離、または部分的に除去されるものである。支持体フィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」とも称する)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、更には離型紙や銅箔、アルミニウム箔などの金属箔を用いることができる。支持体フィルムにはコロナ処理や離型処理を施してあってもよい。支持体フィルムの厚さは通常、10〜150μmであり、好ましくは25〜50μmである。
本発明における支持体フィルムは、前記の銅箔を導体として用いる場合を除いて、剥離または除去される。剥離または除去される工程は、回路基板にラミネートした後、あるいは加熱硬化することにより絶縁層を形成した後、あるいは更に穴あけ工程を経た後に除去される。熱プレスを行う場合は、硬化後、あるいは穴あけ工程を経た後に除去される。
なお、支持体フィルムの上に形成されるBステージ接着層は、層の面積が支持体フィルムの面積よりも小さくするように形成することが好ましい。また、回路基板用接着フィルムは、ロール状に巻き取って、保存、貯蔵することができる。
層間絶縁層用接着フィルムの側に形成される保護フィルムは、異物の付着やキズを防止する目的に使用するものである。保護フィルムはラミネートや熱プレスの前に剥離される。保護フィルムとしては、支持体フィルムと同様の材料を用いることができる。保護フィルムの厚さは特に限定されるものではないが、好ましくは1〜40μmの範囲である。
層間絶縁層用接着フィルムの熱硬化方法
次に、多層プリント配線板の製造工程で、本発明の層間絶縁層用接着フィルムの樹脂組成物を熱硬化する方法について説明する。なお、ここでは、支持体フィルムとして、PETを用いた場合について説明する。層間絶縁層用樹脂組成物は、回路パターンが形成された基板上に樹脂組成物をラミネートによって張り合わせた後に、乾燥機中で加熱することによって硬化する。
この際のラミネートとしては、真空ラミネートを用いることができる。真空ラミネートとしては、市販の真空ラミネーターを使用して行うことができる。
ラミネートにおいて、本発明の層間絶縁層用接着フィルムが保護フィルムを有している場合には、その保護フィルムを除去した後、Bステージ接着層を回路パターンが形成された基板に対向させた状態で、加圧および加熱しながら圧着する。ラミネートの条件は、圧着温度(ラミネート温度)を好ましくは70〜140℃、圧着圧力を好ましくは0.01〜1MPa/m2とし、真空度を20mmHg以下で行うことが好ましい。また、ラミネートの方式はバッチ式であってもロールでの連続式であっても良い。
本発明の層間絶縁層用接着フィルムをラミネートした後、ラミネートした試料を室温付近に冷却する。支持体フィルムを剥離する場合は剥離し、乾燥機中に投入して熱硬化性樹脂組成物を熱硬化させる。熱硬化の条件は加熱温度が好ましくは120〜230℃、加熱時間が好ましくは30〜120分である。支持体フィルムは硬化後に取り除いてもよい。
多層プリント配線板の製造方法
図1は、本発明の層間絶縁層用接着フィルムを用いた多層プリント配線板の製造方法の一例を示す断面図である。なお、図1では層間絶縁層を片面にのみ形成しているが、両面に層間絶縁層が形成されていても良い。ここでは、図1により層間絶縁層を片面にのみ形成した実施形態で説明する。
本発明の層間絶縁層用接着フィルムは、例えば図1に示すように、第1の配線層(回路)101が形成されたコア基板100上に形成、硬化し、層間絶縁層102となる。コア基板100には、裏面と電気的接続を確保するために、ビアホール(IVH)やスルーホールが形成されていてもかまわない。層間絶縁層102には、第1の配線層101と第2の配線層104の電気的接続を確保するために、ビアホール103が形成されており、導体によって、接続されている。ビアホール103は導体によって全て充填されていることが好ましい。(導体によって充填されたビアホールを「フィルドビア」と云う。)
図1には、本発明の層間絶縁層用接着フィルムを適用した層間絶縁層を2段形成しているが、場合によっては、1層、2層であってもよく、3層を超えてもよい。
図1では、コア基板を除く、全層間絶縁層に、本発明の接着フィルムを適用しているが、場合によっては、本発明の接着フィルムを一部分の層間絶縁層のみに適用してもよい。また、図1では、フィルドビアがフィルドビア上に形成されているが、フィルドビアがフィルドビア上でなくてもよい。
図1では、コア基板を使用しているが、別の材料を使用してもかまわない。
本発明の多層プリント配線板におけるコア基板は、主として、有機基板であるガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板などが用いられる。
配線の形成方法としては、コア基板表面または層間絶縁層上に金属箔を形成し、金属箔の不要な箇所をエッチングで除去する方法(サブトラクト法)、コア基板表面または層間絶縁層上の必要な箇所にのみ、めっきにより配線を形成する方法(アディティブ法)、コア基板表面または層間絶縁層上に無電解めっきによってシード層を形成し、その後、電解めっきで必要な配線を形成した後、無電解めっき層をエッチングで除去する方法(セミアディティブ法)がある。なお、セミアディティブ法において形成されるシード層は、蒸着を用いる方法や金属箔を張り合わせる方法でもよい。
配線形成法としては、金属箔の配線となる箇所にエッチングレジストを形成し、エッチングレジストから露出した箇所に、化学エッチング液をスプレー噴霧して、不要な金属箔をエッチング除去し、配線を形成することができる。
例えば、金属箔として銅箔を用いる場合、エッチングレジストは、通常の配線板に用いることのできるエッチングレジスト材料を使用できる。レジストインクをシルクスクリーン印刷してエッチングレジストを形成したり、また、エッチングレジスト用ネガ型感光性ドライフィルムを銅箔の上にラミネートして、その上に配線形状に光を透過するフォトマスクを重ね、紫外線で露光し、露光しなかった箇所を現像液で除去してエッチングレジストを形成することができる。
また、配線は、コア基板または層間絶縁層上の必要な箇所にのみ、めっきを行うことで形成することも可能であり、通常のめっきによる配線形成技術を用いることができる。
さらに、セミアディティブ法により、形成されたシード層上に、めっきレジストを必要なパターンに形成し、シード層を介して電解銅めっきにより配線を形成する。その後、めっきレジストを剥離し、最後にシード層をエッチング等により除去し、配線が形成できる。
コア基板表面または層間絶縁層上に、セミアディティブ法のシード層を形成する方法は、蒸着またはめっきによる方法と、金属箔を貼り合わせる方法がある。また同様の方法で、サブトラクト法の金属箔を形成することもできる。
また、めっきによるシード層の形成方法は、コア基板または層間絶縁層表面にめっき触媒を付与した後、めっき銅を、0.5〜3μm無電解銅めっきし、形成することができる。
蒸着によるシード層の形成方法は、コア基板または層間絶縁層上に、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、クラスターイオンビーム、または化学的気相成長(CVD)、あるいはそれらを組み合わせた方法を用いて0.1〜3μmに形成することもできる。
コア基板または層間絶縁層に接着機能がある場合は、金属箔をプレスやラミネートによって貼り合わせることによりシード層を形成することもできる。しかし、薄い金属層を直接貼り合わせるのは非常に困難であるため、厚い金属箔を張り合わせた後にエッチング等により薄くする方法や、キャリア付金属箔を貼り合わせた後にキャリア層を剥離する方法などがある。例えば前者としてはキャリア銅/ニッケル/薄膜銅の三層銅箔があり、キャリア銅をアルカリエッチング液で、ニッケルをニッケルエッチング液で除去し、後者としてはアルミ、銅、絶縁樹脂などをキャリアとしたピーラブル銅箔などが使用でき、5μm以下のシード層を形成できる。また、厚み9〜18μmの銅箔を貼り付け、5μm以下になるように、エッチングにより均一に薄くし、シード層を形成してもよい。
本発明の多層プリント配線板は、複数の配線層を有するため、各層の配線を電気的に接続するためのバイアホールを設けることができる。バイアホールは、コア基板または層間絶縁層に接続用の穴を設け、この穴を導電性ペーストやめっき等で充填し形成できる。穴の加工方法としては、パンチやドリルなどの機械加工、レーザー加工、薬液による化学エッチング加工、プラズマを用いたドライエッチング加工などがある。また、絶縁層のバイアホール形成方法としては、予め絶縁層に導電性ペーストやめっきなどで導電層を形成し、これをコア基板にプレス等で積層する方法などもある。
上記の多層プリント配線板は、以下のような工程で製造することができる。なお多層プリント配線板以外の一般の配線基板も同様の方法で製造することができる。
本発明のプリント配線板の製造方法の実施形態の一例を図1の(a)〜(e)に断面模式図で示す。ただし、製造工程の順序は、本発明の目的を逸脱しない範囲では、特に限定されない。以下、図1を用いて説明する。
(工程a)
図1(a)に示すように、コア基板100上に第1の配線層101を形成する工程である。
はじめに、両面に銅層が形成された銅張積層板に、必要に応じてドリルやレーザー法を用いてスルーホールを形成する。その後、デスミア処理によって、スミアを除去し、形成されたバイアホールは層間を電気的に接続する。接続の方法としては、導電性のペーストやめっきなどで充填して層間接続のための導電層を形成することができる。
次に、第1の配線層の形状にエッチングレジストを形成し、塩化銅や塩化鉄などのエッチング液を用いて第1の配線層(配線回路)101を形成することができる。第1の配線層の表面は、次に形成する層間絶縁層102との接着力を向上させるために、黒化処理や化学デスミア処理などのデスミア処理を施すことが望ましい。
(工程b)
図1(b)に示すように、前記第2の配線を形成した面に層間絶縁層102を形成し、ビアホール(IVH)103を形成する工程である。
まず、本発明の層間絶縁層用接着フィルムを用意する。保護フィルムがある場合は除去、あるいは剥離する。次に、本発明の多層プリント配線板用の層間絶縁層用接着フィルムを、前記の第1の配線層101を形成した面に対向させて配置し、張り合わせる。張り合わせの方法としては、ラミネート法が用いられる。
室温付近までに冷却した後、層間絶縁層用接着フィルムを乾燥機中で硬化し、層間絶縁層102を形成する。支持体フィルムの除去、あるいは剥離は、ラミネート後(硬化前)、あるいは後述の第1のビアホール(IVH)103を穴あけした後でも良い。
続いて、層間絶縁層102に、第1のビアホール103を形成する。ビアホールの形成の種類は一般的なレーザー穴あけ装置を使用することができる。レーザー穴あけ機で用いられるレーザーの種類はCO2レーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー等を用いることができる。
次に、必要に応じてビアホール(IVH)形成の際にできたスミアを除去するために、デスミア処理を施す。同時に、層間絶縁層102表面に微細な凹凸を形成する。デスミア処理の方法としては、アルカリ性の過マンガン酸塩(過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウムなど)、重クロム酸塩、プラズマ処理などがある。
(工程c)
図1(c)に示したように、ビアホール(IVH)103が形成された層間絶縁層102上に、第2の配線層(配線回路)104を形成する工程である。
L/S=35μm/35μm以下の微細な配線を形成する方法としては、前記したセミアディティブ法が好ましい。その際の工程は、蒸着法、めっき法などにより、シード層を形成する。その後、前述の方法で形成されたシード層上に、めっきレジストを必要なパターンに形成し、シード層を介して電解銅めっきにより配線を形成する。その後、めっきレジストを剥離し、最後にシード層をエッチング等により除去し、微細な配線が形成できる。
なお、第2の配線は第1のビアホール(IVH)103中にも形成され、第1の配線層101と第2の配線層104を電気的に接続する。
電解銅めっきによって第1のビアホール(IVH)103中を銅で充填するために、フィルドビア用の電解めっき法を使用してもよい。
(工程d)
図1(d)に示したように、第2の配線層104が形成された表面に、第2の層間絶縁層105を形成し、ビアホール106を形成する工程である。
まず、第2の配線層104表面に、第2の層間絶縁層105との接着力を向上させるために、黒化処理や化学デスミア処理などのデスミア処理を施す。
次に、層間絶縁層102の形成方法と同様にして、層間絶縁層105を形成する。ビアホール(IVH)106の形成方法は前述のビアホール103の形成方法と同様の方法でよい。必要に応じて、(工程b)と同様に、デスミア処理を施す。
(工程e)
(工程c)と同様に、配線層107を形成する工程である。形成の方法は、(工程b)と同じでよい。
次に、下記の実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの記載に限定されるものではない。
なお、各実施例及び比較例で得られた層間絶縁層接着フィルムの絶縁樹脂層と銅張積層板を、以下の方法により性能を測定・評価した。
(1)導体層と層間絶縁層の接着強度(ピール強度)
実施例及び比較例で得られた多層プリント配線板の第3の配線層107に形成したピール強度測定用の短冊状の配線を、一端を回路層/樹脂界面で剥がし、つかみ具でつかみ、垂直方向に引張り速度約50mm/分で室温中で引き剥がして得た値をピール強度とした。
(2)はんだ耐熱試験
実施例及び比較例で得られた多層プリント配線板の第3の配線層107に形成した、はんだ耐熱試験用の25mm×25mmの配線に沿って、多層プリント配線板を切断し、はんだ耐熱試験用試料とした。
はんだ浴の温度を288±2℃に設定し、配線層107が上側(配線層107ははんだに直接触れていない状態)になるように多層プリント配線板をはんだ浴上に浮かせ、はんだ耐熱試験用の配線に膨れが発生するまでの時間を測定した。
測定はそれぞれの基板について2個行い、その平均値(10秒未満は四捨五入)を用いた。試験時間は最大で120秒行い、120秒を超える試料についてはOKとし、>120と記載した。
(3)熱膨張係数
(試料の作製)
実施例及び比較例で作製した多層プリント配線板用の層間絶縁層用接着フィルムの接着層を、銅箔〔製品名:F3−WS−18、古河サーキットフォイル(株)製〕に向かい合わせてラミネートし、支持体フィルムを取り除いて180℃60分間硬化した。
ラミネートは、真空加圧式ラミネーターMVLP−500〔製品名:真空加圧ラミネーター、(株)名機製作所製〕を使用し、真空度:1hPa(0.75mmHg)、圧着温度:110℃、圧着圧力:0.5MPaとした。
(測定方法)
熱膨張係数の測定は、TMA2940サーモメカニカルアナライザー(株式会社TAインスツルメンツ製)を用い、試料を長さ20mm、幅3mmに切断し、昇温速度10℃/分、測定長15mm、加重5g、引き張り法で測定し、30〜120℃の熱膨張を測定長で割った値を熱膨張係数とした。
(4)難燃性(UL−94法)
コア基板の銅層を全面エッチングしたものを用い、全面エッチングしたそれぞれの基板の両面に、各実施例および比較例で作製した層間絶縁層用接着フィルムの接着層をそれぞれ向かい合わせてラミネートし、支持体フィルムを取り除いて180℃60分間硬化した。ラミネートおよび硬化の条件は、熱膨張係数と同様にした。
続いて、ビアホール(IVH)を形成することなく、それぞれの層間絶縁層の表面にデスミア処理を施した後、配線を形成することなく、再度同じ層間絶縁層用接着フィルムをそれぞれの種類を合わせて、両面にラミネートした。このようにしてコア基板上に片面3層(両面で6層)の層間絶縁層を形成し、配線層およびビアホール(IVH)のない試料を作製した。
試験法はUL−94法に従い難燃性を評価した。
製造例1(変性ビスマレイミドAの合成)
ディーンスターク還流冷却器、温度計及び撹拌器を備えた5Lのセパラブルフラスコに、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン〔大和化成工業(株)製、BMI-4000、分子量570〕を2382.6g、4,4'−ジアミノジフェニルメタン〔和歌山精化(株)製、分子量198〕を103.5g、p−アミノフェノール(和光純薬(株)製、分子量109)を113.9g、プロピレングリコールモノメチルエーテル(以下、PGMという)を1400g投入して反応溶液とし、これを125℃で120分間撹拌し、PGMに溶解した固形分濃度が65%のフェノール性水酸基を有する変性ビスマレイミドAを作製した。
製造例2(リン含有フェノール樹脂Aの合成)
非ハロゲン系難燃剤(c)として、リン含有フェノール樹脂を合成によって作製した。558gのStruktol Polydis PD3710(商品名、Schill & Seilacher GmbH & Co製) と392gのPhenodur PR411(商品名、UCB GmbH & Co.KG製、75質量%ブタノール溶液)を1Lフラスコに入れ、窒素雰囲気下で96℃〜199℃で180分加熱した。この加熱によりブタノールは揮発して除去され、系内の温度が上昇した。さらに200℃で20分間加熱して、固形のリン含有フェノール樹脂を得た。この固形のリン含有フェノール樹脂をブタノールに溶解し、固形分濃度が59質量%のリン含有フェノール樹脂Aを作製した。
実施例1〜11、比較例1〜8
第1表および第2表に示す樹脂組成物配合量に追加溶媒としてメチルエチルケトン(MEK)を配合して攪拌し、ワニスを作製した。このワニスを厚さが38μmのPETフィルム上に、乾燥後の厚みが約40μmになるようにバーコートにて塗布し、90℃で5分間乾燥することによって多層プリント配線板用の層間絶縁層用接着フィルムを作製した。
得られた接着フィルムを使用し、以下に示す図1の(工程a)〜(工程e)により多層プリント配線板を作製し、前記の方法により、層間絶縁層接着フィルムの絶縁樹脂層の性能と、銅張積層板との接着強度を測定・評価した。樹脂組成物の固形分組成および接着フィルムの測定・評価結果を第1表および第2表に示す。
(工程a)
コア基板100として厚さ0.6mmのガラスエポキシの両面銅張積層板(MCL−E−679F、製品名、日立化成工業(株)製、銅箔厚さ:12μm)を用い、第1の配線層101となる部分にエッチングレジストを形成し、塩化第二鉄エッチング液を用いてエッチングして、第1の配線層101を形成した。
次に、化学粗化剤〔製品名:HIST7300、日立化成工業(株)製〕を使用して、配線表面に化学デスミア処理を施し、配線表面の粗化を行った。
(工程b)
上記により作製した層間絶縁層用接着フィルムを、接着層側を第1の配線層101が形成されている面と向かい合わせて、ラミネートを行った。ラミネーターは真空加圧式ラミネーター〔製品名:MVLP−500、(株)名機製作所製〕を使用し、次のように設定した。
真空度:1hPa(0.75mmHg)、 圧着温度:110℃、
圧着圧力:0.5MPa、 圧着時間:40秒
次に、接着フィルムの支持体フィルムを剥離し、180℃で60分間熱硬化させ、層間絶縁層102を形成した。
続いて、層間絶縁層102に、レーザー法を用いて、第1のビアホール(IVH)103を形成した。レーザーには、炭酸ガスレーザー装置〔製品名ML605GTX、三菱電機(株)製〕を使用し、周波数100Hz、ショット数3で、直径100μmのIVHを形成した。IVH103は、第1の配線層101のランド部の上にも形成した。
次に、試料全体にデスミア処理液に浸漬することによって、レーザー穴あけによって生じたスミアを除去すると同時に、絶縁層表面に微細な凹凸を形成した。
デスミア処理は、まず、コンディショナー〔製品名:MLB211、ローム・アンド・ハース電子材料(株)製〕を用いた膨潤液に70℃5分間浸漬し、続いてプロモータ〔製品名:MLB213、ローム・アンド・ハース電子材料(株)製〕を用いたデスミア液に80℃10分間浸漬し、最後にニュートライザ〔製品名:MLB216−2、ローム・アンド・ハース・ジャパン(株)製〕を用いた中和液に50℃5分間浸漬・還元して、表面に残ったマンガンを除去した。
(工程c)
続いて、セミアディティブ法を用いて配線を形成するために、試料を無電解めっき触媒液、無電解めっき液に浸漬することにより、層間絶縁層104の表面にシード層を0.5μm形成した。なお、この際にビアホール(IVH)の底面、側壁にも、シード層を形成した。次に、シード層の表面にめっきレジストをパターンニングし、電解めっきを行った。その後、エッチングレジスト除去、シード層を除去することにより、第2の配線層104ならびにビアホール(IVH)中を導体で満たすフィルドビアを形成した。
(工程d)
(工程b)を繰り返し、第2の層間絶縁層104を形成し、IVH106をフィルドビア上に形成した。続いて、(工程b)と同様の条件で、デスミア処理を施した。IVH106は、(工程b)と(工程c)で形成した第1の配線層101のランド部の上に形成したフィルドビア上にも形成した。
(工程e)
(工程c)を繰り返し、第3の配線層107ならびにIVH106中を導体で満たすフィルドビアを形成した。第3の配線層107は膜厚が約25μmになるように形成した。試験用に、はんだ耐熱試験用に25mm×25mmサイズの配線パターンを形成した。また、第3の配線層107では、導体層と層間絶縁層の接着強度を測定する試験として、ピール強度測定用に、10mm幅、100mm長さの短冊状の配線を形成し、多層プリント配線板を製造した。
なお、第1表および第2表の樹脂組成物配合量に使用した物質は次の通りである。
(1)変性ビスマレイミドA:製造例1による生成物。固形分濃度65質量%、溶剤:PGM
(2)エポキシ樹脂NC3000−H:ビフェニル構造及びノボラック構造を有したエポキシ樹脂、日本化薬(株)製、固形分濃度100質量%、エポキシ当量289
(3)エポキシ樹脂N770−70M:フェノールノボラック型エポキシ樹脂、DIC(株)製、固形分濃度70質量%、エポキシ当量189、溶剤:MEK
(4)リン含有フェノール樹脂A:製造例2による生成物。固形分濃度59質量%、溶剤;ブタノール
(5)リン含有フェノール樹脂HCA−HQ:三光(株)製、リン含有量約9%、固形分濃度100質量%
(6)リン含有化合物OP930:非反応系のリン含有化合物、クラリアントジャパン(株)製:エクソリットOP930、リン含有量約23%、固形分濃度100質量%
(7)変性アクリルニトリルブタジエンゴム粒子XER−91:JSR(株)製、粒子状NBR、固形分濃度15質量%、溶剤:3−エトキシプロピオン酸エチル
(8)コアシェル粒子EXL−2655:ローム・アンド・ハース(株)製、固形分濃度100質量%
(9)アミノ基含有トリアジンノボラック樹脂LA−3018−50P:DIC(株)製、トリアジン変性クレゾールノボラック樹脂、固形分濃度50質量%、溶剤:PGM、水酸基当量151
(10)イミダゾール系硬化促進剤G−8009L:第一化学工業製薬(株)製、固形分濃度50質量%、溶剤:MEK
(11)シリカスラリーAエポキシ:(株)アドマテックス製、製品名:アドマファインSO−C2、シラン処理を施した球状シリカ、平均粒径0.5ミクロン、固形分濃度70質量%、溶剤;MEK
Figure 0005434240
Figure 0005434240
本発明の層間絶縁層用接着フィルムを適用した層間絶縁層は、第1表から明らかなように、低熱膨張であり、この層間絶縁層を含む多層プリント配線板は、難燃性に優れ、導体層と層間絶縁層の接着力(ピール強度試験)において良好な結果を示し、更に、はんだ耐熱性にも優れている。
一方、本発明の層間絶縁層用接着フィルムの要件を満たさない比較例の層間絶縁層は、第2表から明らかなように、熱膨張係数が高かったり、難燃性が不十分であったり、ピール強度が低かったり、はんだ耐熱性が不十分であったりしている。
100・・・基板(コア基板)
101・・・第1の配線層
102・・・第1の層間絶縁層
103・・・第1のビアホール(IVH)
104・・・第2の配線層(第1のビアホール103中の導体を含む)
105・・・第2の層間絶縁層
106・・・第2のビアホール(IVH)
107・・・第3の配線層(第2のビアホール106中の導体を含む)

Claims (6)

  1. 下記一般式(I)で表される変性ビスマレイミド(a−1)及び/又は一般式(II)で表される変性ビスマレイミド(a−2)からなる変性ビスマレイミド化合物(a)、エポキシ樹脂(b)、非ハロゲン系難燃剤(c)および架橋ゴム粒子(d)を含有する樹脂成分(A)と無機充填材(B)を含み、樹脂成分(A)の固形分組成が、変性ビスマレイミド化合物(a)40〜70質量%、架橋ゴム粒子(d)1〜7質量%であり、樹脂成分(A)の全固形分100質量部に対して無機充填材(B)30〜80質量部を含有する樹脂組成物から形成された層間絶縁層用接着フィルム。
    Figure 0005434240
    Figure 0005434240
    (式中、R1、R2、R3、R4及びR5は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜5の炭化水素基、R6は、水酸基、カルボキシ基またはスルホン酸基を示し、A及びDは炭素数1〜5のアルキレン基、アルキリデン基、エーテル基、炭素数6〜14のアリレーン基または下記の式(III)に示す基である。gは1〜5の整数、hは0〜5の整数で、且つgとhの和は5である。)
    Figure 0005434240
  2. 樹脂成分(A)として、さらに、アミノ基含有トリアジン変性ノボラック樹脂(e)を含有する請求項1に記載の層間絶縁層用接着フィルム。
  3. 樹脂成分(A)として、さらに、イミダゾール系硬化促進剤(f)を含有する請求項1又は2に記載の層間絶縁層用接着フィルム。
  4. 非ハロゲン系難燃剤(c)がリン系難燃剤である請求項1〜3のいずれかに記載の層間絶縁層用接着フィルム。
  5. 樹脂組成物が半硬化状態でフィルム状の支持体に形成されてなる請求項1〜4のいずれかに記載の層間絶縁層用接着フィルム。
  6. 請求項1〜5に記載の層間絶縁層用接着フィルムを用いて製造された絶縁樹脂層を有することを特徴とする多層プリント配線板。
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