JP5251464B2 - 配線板用絶縁樹脂材料、多層配線板及び多層配線板の製造方法 - Google Patents

配線板用絶縁樹脂材料、多層配線板及び多層配線板の製造方法 Download PDF

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本発明は,配線板用絶縁樹脂材料、多層配線板及び多層配線板の製造方法に関する。
多層配線板を製造するには、片面または両面に内層回路を形成した絶縁基板上に、プリプレグと呼ばれる、ガラス布にエポキシ樹脂を含浸し半硬化状態にした材料を銅箔と重ねて熱プレスにより積層一体化した後、ドリルで層間接続用のスルーホールと呼ばれる穴をあけ、スルーホール内壁と銅箔表面上に無電解めっきを行って、必要ならば更に電解めっきを行って回路導体として必要な厚さとした後、不要な銅を除去して多層配線板を製造するのが一般的であった。
ところが、近年、電子機器の小型化、軽量化、多機能化が一段と進み、これに伴い、LSIやチップ部品等の高集積化が進みその形態も多ピン化、小型化へと急速に変化している。この為、多層配線板は、電子部品の実装密度を向上するために、微細配線化の開発が進められている。これらの要求に合致する多層配線板の製造手法として、ガラスクロスを含まない絶縁樹脂をプリプレグの代わりに絶縁層として用い、必要な部分のみビアホールで接続しながら配線層を形成するビルドアップ方式の多層配線板があり、軽量化や小型化、微細化に適した手法として主流になりつつある。
このようなビルドアップ方式の多層配線板は、絶縁樹脂フィルムを内層回路板にラミネートし、加熱により硬化させて後、レーザ加工によるビアホール形成し、アルカリ過マンガン酸処理等によって粗化処理とスミア処理を行って無電解銅めっきして、第二の回路と層間接続可能とするビアホールを形成させて製造する(特許文献1〜3参照)。ここで、樹脂と無電解銅めっきとの接着力は、樹脂表面の粗さ(アンカー効果)により、確保している状況であり、その表面粗さは、Raで0.5μm以上と、表面粗さが大きい状況であった。
また、環境意識の高まりから燃焼時に有害な物質を発生する可能性がある材料は電子部品も含めて規制する動きが活発になっている。従来の多層配線板には、燃焼時に有害な物質を発生する可能性があるブロム化合物が難燃化のために使用されてきたが近い将来使用が困難になると予想される。
さらに、電子部品を多層配線板に接続するために一般的に用いられるはんだも鉛を有さない鉛フリーはんだが実用化されつつある。この鉛フリーはんだは、従来の共晶はんだよりも使用温度が約20〜30℃高くなることから従来にもまして材料には高いはんだ耐熱性が必要になっている。
特許第3290296号公報 特許第3654851号公報 特許第3785749号公報 特開平1−99288号公報
ビルドアップ方式の多層配線板においては、近年の半導体パッケージの小型化・高密度化に伴って、さらに回路の微細化が要求されている。このような状況において、従来のような表面を粗化して得られる大きな粗化形状(アンカー効果)を利用して無電解銅めっきとの接着力を確保する方法では、10μm以下の微細な回路はショート不良やオープン不良が発生し、歩留り良く製造することができない。一方で、粗化形状を小さくすると、無電解銅めっきとの接着力が低下し、ラインが剥離するなどの不良が発生するため、平滑な表面で無電解銅めっきと高接着力を示す絶縁樹脂フィルムが必要となっていた。
また、従来より無電解銅めっきと樹脂との接着を確保することを目的として、無電解銅めっき触媒を含む接着層と、絶縁樹脂層との2層化構造の絶縁フィルムも開示されているが、表面の粗化形状を平滑にすることを目的としておらず、近年の微細化の半導体パッケージ用基板としては、不十分であった(特許文献4参照)。
このような状況において、本発明は、アンカー効果に依存しないで無電解銅めっきとの接着力が向上した配線板用絶縁樹脂材料(アディティブ用絶縁樹脂組成物)、及びこの絶縁樹脂材料を絶縁層に用いた多層配線板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らはこのような問題を解決するために検討を進めた結果、平均一次粒径が1μm以下の架橋有機フィラーを含む樹脂組成物からなる厚みが1〜10μmの接着補助層を設けることにより、Raが0.2μm以下の平滑な樹脂面でも良好な接着性、高信頼性を確保できる配線板用絶縁樹脂材料(アディティブ用絶縁樹脂組成物)を見出した。このような平均一次粒径が1μm以下の架橋有機フィラーを20質量%以上含む樹脂組成物とすることで、平均一次粒径が1μmより大きな架橋有機フィラーを用いた場合と比較し、耐熱性を低下させることなく、樹脂の強靭化並びに高伸び率化が可能であり、さらに、Raが0.2μm以下の非常に微細で緻密な粗化形状が得られ、めっき銅との接着性が著しく向上する。
すなわち、本発明は、以下に関する。
(1) (a)絶縁樹脂層と、厚みが1〜10μmの(b)接着補助層とからなる配線板用絶縁樹脂材料であって、前記(b)接着補助層を形成するための接着補助層用樹脂組成物が、(A)多官能型エポキシ樹脂、(B)エポキシ樹脂硬化剤、(C)平均一次粒径1μm以下の架橋有機フィラーを含有し、前記(C)架橋有機フィラーの含有量が20質量%以上である、配線板用絶縁樹脂材料。
(2) (a)絶縁樹脂層が絶縁樹脂組成物からなり、前記絶縁樹脂組成物が、(i)多官能型エポキシ樹脂、(ii)エポキシ樹脂硬化剤、(iii)無機フィラーを含有する前記の配線板用絶縁樹脂材料。
(3) 絶縁樹脂組成物が、さらに(iv)リン系難燃剤を含有する前記の配線板用絶縁樹脂材料。
(4) (C)架橋有機フィラーが、コアシェル構造架橋ゴム粒子である、前記の配線板用絶縁樹脂材料。
(5) (C)架橋有機フィラーが、架橋ポリブタジエンをコア層とし、架橋アクリル樹脂をシェル層とした架橋ゴム粒子、または、架橋シリコンゴムをコア層とし、架橋アクリル樹脂をシェル層とした架橋ゴム粒子であることを特徴とする前記の配線板用絶縁樹脂材料。
(6) (C)架橋有機フィラーの含有量が、20〜40質量%の範囲である、前記の配線板用絶縁樹脂材料。
(7) (A)多官能型エポキシ樹脂が、ビフェニル構造を有するアラルキル型エポキシ樹脂であり、(B)エポキシ樹脂硬化剤がトリアジン環含有ノボラック型フェノール樹脂であることを特徴とする前記の配線板用絶縁樹脂材料。
(8) 配線板用絶縁樹脂材料を硬化し、粗化処理した後の(b)接着補助層の表面粗さ(Ra)が0.2μm以下であることを特徴とする前記の配線板用絶縁樹脂材料。
(9) 内層回路を有する基板の片面または両面に絶縁層及び外層回路層が逐次積層されている多層配線板であって、前記絶縁層が、前記の配線板用絶縁樹脂材料の硬化物であることを特徴とする多層配線板。
(10) 前記の配線板用絶縁樹脂材料を、内層回路を有する基板に積層する工程(イ)、前記配線板用絶縁樹脂材料を硬化して絶縁層を得る工程(ロ)、前記絶縁樹脂層表面に外層回路層を形成する工程(ハ)、を含むことを特徴とする多層配線板の製造方法。
本発明によれば、平滑な樹脂表面でも無電解めっきとの高接着力を示し、微細な回路の形成が可能な配線板用絶縁樹脂材料及び多層配線板を提供できる。さらに、環境に悪影響を与える可能性があるブロム化合物を一切使用しないで難燃性を有し、鉛フリー化に対応可能な高いはんだ耐熱性等、他の信頼性も優れた多層配線板及びその製造方法を提供できる。
本発明の配線板用絶縁樹脂材料は、(a)絶縁樹脂層と、厚みが1〜10μmの(b)接着補助層とからなる配線板用絶縁樹脂材料であって、前記(b)接着補助層を形成するための接着補助層用樹脂組成物が、(A)多官能型エポキシ樹脂、(B)エポキシ樹脂硬化剤、(C)平均一次粒径1μm以下の架橋有機フィラーを含有し、前記(C)架橋有機フィラーの含有量が20質量%以上である。さらに、前記接着補助層用樹脂組成物は、(D)リン系難燃剤を含むことが好ましい。
まず、本発明における接着補助層用樹脂組成物および(b)接着補助層について説明する。
(A)多官能型エポキシ樹脂とは、分子中に2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であり、フェノールノボラック型エポキシ樹脂や、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、アラルキル型エポキシ樹脂などが、挙げられる。特に(A)多官能型エポキシ樹脂として、アラルキルノボラック型エポキシ樹脂、またはアラルキルノボラック型エポキシ樹脂を含むことが望ましい。本発明におけるアラルキルノボラック型エポキシ樹脂はビフェニル構造を有するアラルキルノボラック型エポキシ樹脂であることが好ましい。ビフェニル構造を有するノボラック型エポキシ樹脂とは、分子中にビフェニル誘導体の芳香族環を含有したアラルキルノボラック型のエポキシ樹脂をいい、例えば、下記式(1):(式中、pは、1〜5の整数を示す)で示されるエポキシ樹脂が挙げられる。これらは単独でも、2種以上を組み合せて用いてもよい。
Figure 0005251464
市販品としては、日本化薬株式会社製のNC−3000(pが1.7の式(1)のエポキシ樹脂)、NC−3000−H(pが2.8の式(1)のエポキシ樹脂)が挙げられる。(A)多官能エポキシ樹脂の配合量は、溶剤を除いた樹脂組成物の全固形分中の割合で20〜50質量%であるのが好ましい。前記(A)成分の配合量が、20質量%未満でははんだ耐熱性が低下し、50質量%を超えると回路導体との接着強度が低下する傾向がある。
(B)エポキシ樹脂硬化剤としては、各種フェノール樹脂類、酸無水物類、アミン類、ヒドラジット類などが使用できる。フェノール樹脂類としては、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂などが使用でき、酸無水物類としては、無水フタル酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、メチルハイミック酸等が使用でき、アミン類として、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルメタン、グアニル尿素等が使用できる。信頼性を向上させるためには、ノボラック型フェノール樹脂であることが好ましく、トリアジン環含有ノボラック型フェノール樹脂であると金属箔の引き剥がし強さや化学粗化後の無電解めっきの引き剥がし強さが向上し、さらに好ましい。
本発明における、トリアジン環含有ノボラック型フェノール樹脂とは、ノボラック型フェノール樹脂の主鎖にトリアジン環を含むノボラック型フェノール樹脂を示し、トリアジン環を含むクレゾールノボラック型フェノール樹脂でも構わない。窒素含有量は、トリアジン環含有ノボラック型フェノール樹脂中、10〜25質量%が好ましく、より好ましくは12〜19質量%である。分子中の窒素含有量がこの範囲であると、誘電損失が大きくなりすぎることもなく、応力緩和層をワニスとする場合に、溶剤への溶解度が適切で、未溶解物の残存量が抑えられる。トリアジン環含有ノボラック型フェノール樹脂は、数平均分子量が、500〜600であるものを用いることができる。これらは単独でも、2種以上を組み合せて用いてもよい。
なお、トリアジン環含有ノボラック型フェノール樹脂は、フェノールとアデヒドとトリアジン環含有化合物を、pH5〜9の条件下で反応させて得ることができる。フェノールに換えクレゾールを用いるとトリアジン環含有クレゾールノボラック型フェノール樹脂となる。クレゾールは、o−、m−、p−クレゾールのいずれも使用することができ、トリアジン環含有化合物としてはメラミン、グアナミン及びその誘導体、シアヌル酸及びその誘導体を使用することができる。
市販品としては、大日本インキ化学工業株式会社製のトリアジン環含有クレゾールノボラック型フェノール樹脂フェノライトEXB−9829(窒素含有量18質量%)が挙げられる。
(B)エポキシ樹脂硬化剤は、エポキシ基に対して0.5〜1.5当量であるのが好ましい。エポキシ樹脂硬化剤がエポキシ基に対して0.5当量未満の場合は外層銅との接着性が低下し、1.5当量を超えるとTgや絶縁性が低下する場合がある。
また、硬化剤の他に、必要に応じて反応促進剤を使用することができる。反応促進剤としては潜在性の熱硬化剤である各種イミダゾール類やBFアミン錯体が使用できる。さらに好ましくは、絶縁樹脂組成物の保存安定性やBステージ状(半硬化状)の絶縁樹脂組成物の取り扱い性及びはんだ耐熱性の点から2−フェニルイミダゾールや2−エチル−4−メチルイミダゾールが好ましく、その配合量はエポキシ樹脂100質量部に対して0.2〜1.0質量部が好ましい。0.2質量部未満では、はんだ耐熱性が十分ではなく、1.0質量部を超えると絶縁樹脂組成物の保存安定性やBステージ状の絶縁樹脂組成物の取り扱い性が低下するためである。
(C)架橋有機フィラーは、平均一次粒径が1μm以下であれば、どのようなものでもよいが、例えばアクリロニトリルブタジエンの共重合物として、アクリロニトリルとブタジエンとを共重合した架橋NBR粒子や、アクリロニトリルとブタジエンとアクリル酸などのカルボン酸とを共重合したもの、ポリブタジエンやNBR、シリコンゴムをコアとしアクリル酸誘導体をシェルとした、いわゆるコア―シェルゴム粒子も使用可能である。
架橋NBR粒子とは、アクリロニトリル、ブタジエンを共重合させ、かつ共重合する段階で、部分的に架橋させ、粒子状にしたものである。またアクリル酸、メタクリル酸等のカルボン酸を併せて共重合することにより、カルボン酸変性架橋NBR粒子を得ることも可能である。ブタジエンゴム−アクリル樹脂のコア−シェルゴム粒子は、乳化重合でブタジエン粒子を重合させ、引き続きアクリル酸エステル、アクリル酸等のモノマーを添加して重合を続ける二段階の重合方法で得ることができる。架橋シリコンゴム−アクリル樹脂のコア−シェルゴム粒子は、乳化重合でシリコン粒子を重合させ、引き続きアクリル酸エステル、アクリル酸等のモノマーを添加して重合を続ける二段階の重合方法で得ることができる。粒子の大きさは、一次平均粒子径で、50nm〜1μmにすることができる。これらは、単独でも、2種以上を組み合せて用いてもよい。
この架橋有機フィラーの配合量が20質量%より少ない場合、樹脂の強靭性や伸び率が低く、さらに緻密な粗化形状が得られないため、めっき銅との接着力が低下するため、好ましくない。また、架橋有機フィラーの配合量が40質量%より大きい場合、耐熱性が低下するため好ましくない。従って、接着補助層用樹脂組成物において、(C)架橋有機フィラーの含有量は、20質量%以上であり、20〜40質量%が好ましい。
例えば、カルボン酸変性アクリロニトリルブタジエンゴム粒子の市販品としては日本合成ゴム株式会社製のXER−91が挙げられ、ブタジエンゴム−アクリル樹脂のコアシェル粒子はロームアンドハース株式会社製のパラロイドEXL2655やガンツ化成工業株式会社のAC−3832が挙げられ架橋シリコンゴム−アクリル樹脂のコア−シェルゴム粒子は、旭化成ワッカーシリコーン株式会社製GENIOPERL P52などがある。
これらの架橋有機フィラーは、分散性を高める目的にニーダー、ボールミル、ビーズミル、3本ロール、ナノマイザー等既知の混練・分散方法により分散しても良い。
(D)リン系難燃剤はリンを含んだ化合物であればどのようなものでも良いが、絶縁信頼性、耐熱性を考慮すれば、エポキシ樹脂と反応性を有するものが好ましく、例えば三光株式会社製のHCA−HQ(商品名)、やダウケミカル製XZ92741等が使用できる。その含有量は、リン含有%が架橋有機フィラーを除く接着補助層用樹脂組成物の固形分中で0.7〜3質量%の範囲になるようにするのが難燃性を発現するために好ましい。リン含有%が0.7質量%未満では難燃性の発現に不十分であり、リン含有%が3質量%を超えるとはんだ耐熱性が低下するためである。
本発明における接着補助層の樹脂組成物は、前記(A)〜(D)の成分を配合して得られる他、通常の樹脂組成物に使用されるチキソ性付与剤、界面活性剤、カップリング剤等の各種添加剤を適宜配合できる。これらを充分に撹拌した後、泡がなくなるまで静置して樹脂組成物を得ることができる。
本発明における接着補助層の樹脂組成物は溶剤中で混合して希釈または分散させてワニスの形態とするのが作業性の点で好ましい。この溶剤には、メチルエチルケトン、キシレン、トルエン、アセトン、エチレングリコールモノエチルエーテル、シクロヘキサノン、エチルエトキシプロピオネート、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド等を使用できる。これらの溶剤は、単独あるいは混合系でも良い。この溶剤の前記樹脂組成物に対する割合は、従来使用している割合でよく、樹脂組成物の塗膜形成の設備にあわせてその使用量を調整する。
接着補助層の樹脂組成物をコンマコータでキャリアフィルム(支持体)に塗工する場合は、溶剤を除く樹脂組成物の固形分がワニス中10〜40質量%となるように溶剤の使用量を調節することが好ましい。
本発明の配線板用絶縁樹脂材料において、(a)絶縁樹脂層は絶縁樹脂組成物からなり、前記絶縁樹脂組成物は、(i)多官能型エポキシ樹脂、(ii)エポキシ樹脂硬化剤、(iii)無機フィラーを含有することが好ましい。さらに、(iv)リン系難燃剤を含むことがより好ましい。
(i)多官能エポキシ樹脂とは、分子中に2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であり、フェノールノボラック型エポキシ樹脂や、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、アラルキル型エポキシ樹脂などが、挙げられる。(i)多官能エポキシ樹脂の配合量は、溶剤を除いた絶縁樹脂組成物の全固形分中の割合で20〜50質量%であることが好ましい。前記(i)成分の配合量が、20質量%未満でははんだ耐熱性が低下し、50質量%を超えると回路導体との接着強度が低下する傾向がある。また、液状エポキシ樹脂を併用すると、樹脂の流動性が向上するため、好ましい。
(ii)エポキシ樹脂硬化剤とは、各種フェノール樹脂類、酸無水物類、アミン類、ヒドラジット類などが使用できる。フェノール樹脂類としては、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂などが使用でき、酸無水物類としては、無水フタル酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、メチルハイミック酸等が使用でき、アミン類として、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルメタン、グアニル尿素等が使用できる。信頼性を向上させるためには、ノボラック型フェノール樹脂であることが好ましい。
(ii)エポキシ樹脂硬化剤は、エポキシ基に対して0.5〜1.5当量であるのが好ましい。エポキシ樹脂硬化剤がエポキシ基に対して0.5当量未満の場合は外層銅との接着性が低下し、1.5当量を超えるとTgや絶縁性が低下する場合がある。
また、硬化剤の他に、必要に応じて反応促進剤を使用することができる。反応促進剤としては潜在性の熱硬化剤である各種イミダゾール類やBFアミン錯体が使用できる。さらに好ましくは、絶縁樹脂組成物の保存安定性やBステージ状(半硬化状)の絶縁樹脂組成物の取り扱い性及びはんだ耐熱性の点から2−フェニルイミダゾールや2−エチル−4−メチルイミダゾールが好ましく、その配合量はエポキシ樹脂100質量部に対して0.2〜1.0質量部が好ましい。0.2質量部未満では、はんだ耐熱性が十分ではなく、1.0質量部を超えると絶縁樹脂組成物の保存安定性やBステージ状の絶縁樹脂組成物の取り扱い性が低下するためである。
(iii)無機フィラーは、例えばシリカ、溶融シリカ、タルク、アルミナ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、水酸化カルシウム、エーロジル、炭酸カルシウムの中から選ばれるものが使用可能であり、これらは単独でもあるいは混合して用いても良い。なお、難燃性や低熱膨張の点から水酸化アルミニウムとシリカとを単独あるいは併用して用いるのが良い。またその配合量は、溶剤を除く絶縁樹脂組成物全体の固形分中で10〜50質量%にするのが好ましい。さらに好ましくは、30〜40質量%であり、10質量%未満では低熱膨脹への効果が小さく、また40質量%を超えるとレーザ加工性が低下する。
(iv)リン系難燃剤はリンを含んだ化合物であればどのようなものでも良いが、絶縁信頼性、耐熱性を考慮すれば、エポキシ樹脂と反応性を有するものが好ましく、例えば三光株式会社製のHCA−HQ(商品名)、やダウケミカル製XZ92741等が使用できる。その含有量は、リン含有%が無機フィラーを除く絶縁樹脂組成物の固形分中で0.7〜3質量%の範囲になるようにするのが難燃性を発現するために好ましい。リン含有%が0.7質量%未満では難燃性の発現に不十分であり、リン含有%が3質量%を超えるとはんだ耐熱性が低下するためである。
本発明における絶縁樹脂組成物は、前記(i)〜(iv)の成分を配合して得られる他、通常の樹脂組成物に使用されるチキソ性付与剤、界面活性剤、カップリング剤等の各種添加剤を適宜配合できる。これらを充分に撹拌した後、泡がなくなるまで静置して絶縁樹脂組成物を得ることができる。
本発明における絶縁樹脂組成物は溶剤中で混合して希釈または分散させてワニスの形態とするのが作業性の点で好ましい。この溶剤には、メチルエチルケトン、キシレン、トルエン、アセトン、エチレングリコールモノエチルエーテル、シクロヘキサノン、エチルエトキシプロピオネート、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド等を使用できる。これらの溶剤は、単独あるいは混合系でも良い。この溶剤の前記樹脂組成物に対する割合は、従来使用している割合でよく、絶縁樹脂組成物の塗膜形成の設備にあわせてその使用量を調整する。
絶縁樹脂組成物をコンマコータでキャリアフィルムや銅箔に塗工する場合は、溶剤を除く樹脂組成物の固形分がワニス中30〜60質量%となるように溶剤の使用量を調節することが好ましい。
本発明の配線板用絶縁樹脂材料(アディティブ用絶縁樹脂組成物)は、例えば、絶縁樹脂組成物の半硬化状態のフィルムとして、接着補助層付き支持体表面に形成される。よって、アディティブ絶縁フィルム(配線板用絶縁樹脂材料の一形態例)を得るには、例えば、絶縁樹脂組成物のワニスを前記のように作製し、このワニスを接着補助層付き支持体上に塗布し、乾燥する方法が挙げられる。また、ワニスを接着補助層付き支持体上に塗布する場合はコンマコータ、バーコータ、キスコータ、ロールコーター等が利用でき、絶縁フィルム(配線板用絶縁樹脂材料の一形態例)の厚みによって適宜使用される。塗布厚、塗布後の乾燥条件等は使用目的に合わせて適宜選択されるため特に制限するものではないが、一般にワニスに使用した溶剤が80質量%以上揮発していることが好ましい。
絶縁フィルム(配線板用絶縁樹脂材料の一形態例)が表面に形成される支持体としては、PET等のプラスチックフィルムや金属箔等が挙げられ、絶縁フィルム硬化後に支持体を剥離除去する場合は離型性のプラスチックフィルム等が好ましい。
本発明の多層配線板は、内層回路を有する基板の片面または両面に絶縁層及び外層回路層が逐次積層されている。そして、絶縁層には、前記絶縁樹脂組成物が硬化してなる(a)絶縁樹脂層が含まれることを特徴とする。前記絶縁樹脂組成物は、通常、多層配線板作製時の熱履歴により硬化される。
本発明の多層配線板は、次のような本発明の多層配線板の製造方法により製造することができる。図1を参照して、前記の絶縁樹脂組成物を用いて多層配線板を製造する工程を説明する。図1の(a)〜(e)は多層配線板を製造する工程の一例を説明する断面図である。
まず、絶縁基板2上に第一の回路層1を形成した回路板を用意する[図1(a)参照]。回路板は、例えば、第一の回路層(内層配線)が表面に形成された内層基板であり、内層基板として、通常の配線板において用いられている公知の積層板、例えば、ガラス布−エポキシ樹脂、紙−フェノール樹脂、紙−エポキシ樹脂、ガラス布・ガラス紙−エポキシ樹脂等が使用でき特に制限はない。また、ビスマレイミド−トリアジン樹脂を含浸させたBT基板、さらにはポリイミドフィルムを基材として用いたポリイミドフィルム基板等も用いることができる。
また、回路層1を形成するための方法についても特に制限はなく、銅箔と前記絶縁基板を張り合わせた銅張り積層板を用い、銅箔の不要な部分をエッチング除去するサブトラクティブ法や、前記絶縁基板の必要な個所に無電解めっきによって回路を形成するアディティブ法等、公知の配線板の製造方法を用いることができる。
また、図1(a)には絶縁基板2の片面に回路層1を形成した例を示すが、両面銅張積層板を用いて回路層1を絶縁基板2の両面に形成することもできる。
次に、必要に応じて回路層1の表面を接着性に適した状態に表面処理する。この手法も、特に制限はなく、例えば、次亜塩素酸ナトリウムのアルカリ水溶液により回路層1の表面に酸化銅の針状結晶を形成し、形成した酸化銅の針状結晶をジメチルアミンボラン水溶液に浸漬して還元するなど公知の製造方法を用いることができる。
(イ)そして、回路層1を有する回路板の片面若しくは両面に接着補助層3付き絶縁樹脂層(絶縁材料樹脂層)4を形成する[図1(b)参照]。図1(b)では、回路層1は回路板の片面に形成されているが、両面に形成されていても良く、この場合は絶縁樹脂層(絶縁材料樹脂層)4を回路板の両面に形成できる。また、この形成方法に特に制限はない。例えば、前記の支持体付き絶縁フィルムを回路板に積層して形成する方法が挙げられる。
支持体付き接着補助層−絶縁フィルムを用いる場合、ワニスが塗布される支持体としては、PET等のプラスチックフィルム等が挙げられ、ワニス硬化後に支持体を剥離除去する場合は離型性のプラスチックフィルム等が好ましい。支持体付き接着補助層−絶縁フィルムは、絶縁樹脂組成物層を回路板の回路層と接する面側に向け、ラミネート法やプレス装置を用いて回路板に積層される。
(ロ)その後、絶縁樹脂組成物層を加熱硬化させて絶縁樹脂層である第一の接着補助層3、絶縁樹脂層4とするが[図1(b)参照]、その硬化温度は後のめっき処理や銅のアニール処理などを考慮した温度や時間で行う。すなわち、あまり硬化を進めると後のめっき処理時に銅との接着性が低下したり、反面硬化が足りないとめっき処理時のアルカリ処理液に浸食されめっき液に溶解するような現象が生じたりする。これらのことを考慮すると、150〜190℃で30〜90分間の熱処理を与えて硬化するのが望ましい。前記支持体付き接着補助層−絶縁フィルムを使用した場合は、加圧積層工程と加熱硬化工程とは同時でも別でもよい。加圧積層条件は、半硬化状態の絶縁樹脂組成物に回路層1の凹凸が埋め込まれれば良く、通常0.5〜20MPaが好ましい。
さらに、内層回路である第一の回路層1と外層回路を層間接続するために第一の接着補助層3、絶縁樹脂層4にビアホールを形成することもできる[図1(b)参照]。このビアホールの形成手法として特に制限はなく、レーザ法やサンドブラスト法などを用いることができる。
(ハ)次に、以下のような回路加工を施すことにより第二の回路層5を形成し、さらに第一の回路層1と第二の回路層との層間接続を形成する[図1(c)参照]。まず、外層回路である第二の回路層5を接着補助層3上にめっき法で形成する場合は、接着補助層3を粗化処理するのが好ましい。粗化液としては、クロム/硫酸粗化液、アルカリ過マンガン酸粗化液、フッ化ナトリウム/クロム/硫酸粗化液、ホウフッ酸粗化液などの酸化性粗化液を用いることができる。粗化処理としては、例えば、先ず膨潤液として、ジエチレングリコールモノブチルエーテルとNaOHとの水溶液を70℃に加温して第一の絶縁層6を5分間浸漬処理する。次に、粗化液として、KMnOとNaOHとの水溶液を80℃に加温して10分間浸漬処理する。引き続き、中和液、例えば塩化第一錫(SnCl)の塩酸水溶液に室温で5分間浸漬処理して中和する。
粗化処理後、パラジウムを付着させるめっき触媒付与処理を行う。めっき触媒処理は、塩化パラジウム系のめっき触媒液に浸漬して行われる。次に、無電解めっき液に浸漬して接着補助層6の表面全面(ビアホールを形成した場合はビアホール内面を含む)に厚さが0.3〜1.5μmの無電解めっき層(導体層)を析出させる。必要により、更に電気めっきを行って必要な厚さとする。無電解めっきに使用する無電解めっき液は、公知の無電解めっき液を使用することができ、特に制限はない。また、電気めっきについても公知の方法によることができ特に制限はない。これらのメッキは銅メッキであることが好ましい。さらに不要な箇所をエッチング除去して第二の回路層5と第一の回路層1及び第二の回路層5の層間接続とを形成することができる。
さらに、第一の回路層1の表面処理と同様にして第二の回路層5の表面処理を行い、前記接着補助層3、絶縁樹脂層4の形成と同様にして接着補助層6、絶縁樹脂層7を形成する[図1(d)参照]。次いで、接着補助層6、絶縁樹脂層7を硬化させて第二の接着補助層6、絶縁樹脂層7とし、また、ビアホールを形成する[図1(d)参照]。さらに、同様にして第三の回路層8を形成する[図1(e)参照]。
以下、更に同様の工程を繰り返して層数の多い多層配線板を製造できる。
次に実施例により本発明を説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(1)内層回路板:ガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板[銅箔の厚さ18μm、基板厚み0.4mmt、両面粗化箔を両面に有する日立化成工業株式会社製MCL−E−679FG(商品名)]の片面にエッチングを施して片面に回路層(以下、第一の回路層とする。)を有する回路板を作製した。
(2)接着補助層:多官能エポキシ樹脂(NC−3000H:商品名、日本化薬株式会社製)100質量部、エポキシ樹脂硬化剤(LA−3018:商品名、DIC株式会社製、固形分50質量%)50質量部、架橋有機フィラー(パラロイドEXL2655、商品名、ロームアンドハースジャパン株式会社製)55質量部、硬化促進剤(2−エチル−4−メチルイミダゾール、四国化成工業株式会社製)0.5質量部、溶剤(2−ブタノン)300質量部を攪拌棒で混ぜ、分散機(ナノマイザー、商品名、吉田機械興業株式会社製)を用いて、均一なワニスを得た。このワニスを離型処理ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(PET−38X、商品名、リンテック株式会社製)の離型処理面に、乾燥後5μmになるように塗布し、140℃で10分間乾燥させた。
(3)絶縁樹脂層:多官能エポキシ樹脂(NC−3000H:商品名、日本化薬株式会社製)100質量部、エポキシ樹脂硬化剤(LA−3018:商品名、DIC株式会社製、固形分50質量%)40質量部、リン系難燃剤(HCA−HQ:商品名、三光株式会社製)40質量部、無機フィラー(球状シリカ)(SO−C2:商品名、株式会社アドマテックス製)100質量部、硬化促進剤(2−エチル−4−メチルイミダゾール、四国化成工業株式会社製)0.5質量部、溶剤(2−ブタノン)150質量部を均一に混ぜ、分散機(ナノマイザー、商品名、吉田機械興業株式会社製)を用いて、均一なワニスを得た。このワニスを上述の接着補助層を塗布したPETフィルムの接着補助層側に、乾燥後35μmになるように塗布し、100℃で5分間乾燥させ、目的とする配線板用絶縁樹脂材料(アディティブ用絶縁樹脂フィルム)を得た。
(4)多層配線板:前記配線板用絶縁樹脂材料(アディティブ用絶縁樹脂フィルム)と前記回路板を、絶縁樹脂層を回路板の第一の回路層と接する面側にしてバッチ式真空加圧ラミネーターMVLP−500(名機株式会社製、商品名)を用いて積層した。次に、PETフィルムを剥がした後、180℃―60分の硬化条件で前記絶縁樹脂層を硬化して第一の絶縁層を得た。この第一の絶縁層に層間接続用のビアホールを日立ビアメカニクス製COレーザ加工機(LCO−1B21型)を使用し、ビーム径60μm、周波数500Hzでパルス幅5μsec、ショット数4の条件で加工して作製した。第一の絶縁層を化学粗化するために、膨潤液として、ジエチレングリコールモノブチルエーテル:200ml/L、NaOH:5g/Lの水溶液を作製し、60℃に加温して2分間浸漬処理した。次に、粗化液として、KMnO:60g/L、NaOH:40g/Lの水溶液を作製し、60℃に加温して3分間浸漬処理した。引き続き、中和液(SnCl:30g/L、HCl:300ml/L)の水溶液に室温(25℃)で5分間浸漬処理して中和した。
第一の絶縁層表面に第二の回路層を形成するために、まず、PdClを含む無電解めっき用触媒であるHS−202B(日立化成工業株式会社製、商品名)に、室温(25℃)−10分間浸漬処理し、水洗し、無電解銅めっき用であるめっき液CUST−201(日立化成工業株式会社製、商品名)に室温−15分間浸漬し、さらに硫酸銅電解めっきを行った。その後、アニールを180℃−30分間行い第一の絶縁層表面およびビアホール内に厚さ20μmの導体層を形成した。次に、めっき導体の不要な箇所をエッチング除去するために、まず銅表面の酸化皮膜を#600のバフロール研磨で除去した後、エッチングレジストを形成し、次いでエッチングし、その後エッチングレジストを除去して、第一の回路層と接続したバイアホールを含む第二の回路形成を行った。さらに、多層化するために、第二の回路導体表面を、亜塩素酸ナトリウム:50g/l、NaOH:20g/l、リン酸三ナトリウム:10g/lの水溶液に85℃−20分間浸漬し、水洗して、80℃−20分間乾燥して第二の回路導体表面上に酸化銅の凹凸を形成した。
(5)前記(4)の工程を繰り返して三層の多層配線板を作製した。
(実施例2)
実施例1の接着補助層において、架橋有機フィラーのパラロイドEXL2655を35質量部とし、接着補助層の厚みを9μmとした以外、実施例1と同様にした。
(実施例3)
実施例1の接着補助層において、架橋有機フィラーとして、スタフィロイドAC−3832(商品名、ガンツ化成株式会社製)80質量部とし、接着補助層の厚みを3μmとした以外、実施例1と同様にした。
(実施例4)
実施例1の接着補助層において、架橋有機フィラーとして旭化成ワッカーシリコーン株式会社製GENIOPERL P52を60質量部とし、リン系難燃剤A20質量部を追加した以外、実施例1と同様にした。
リン系難燃剤Aの合成方法:558gのStruktol Polydis PD3710(商品名、Schill & Seilacher GmbH & Co 社製)と392gのPhenodur PR411(商品名、UCB GmbH & Co.KG社製、75%ブタノール溶液)を1Lフラスコに入れ、窒素雰囲気下で96℃〜199℃で180分加熱し(加熱によりブタノールは揮発して除去され、系内の温度が上昇)、さらに200℃で20分間加熱して、固形のリン含有フェノール樹脂Aを得た。
(比較例1)
実施例1において、接着補助層を形成せずに、絶縁樹脂層を形成した以外、実施例1と同様にした。
(比較例2)
実施例1の接着補助層において、架橋有機フィラーを配合しない以外,実施例1と同様にした。
(比較例3)
実施例1の接着補助層において、架橋有機フィラーの代わりに,カルボキシル基含有アクリロニトリルブタジエンゴム(分子量300,000、JSR株式会社製、PNR−1H 商品名)を配合した以外,実施例1と同様にした。
以上のようにして作製した配線板用絶縁樹脂材料(アディティブ用絶縁樹脂フィルム)及び多層配線板について、外層回路との接着強度、接着補助層の表面粗さ、難燃性、288℃はんだ耐熱性試験を実施した。その結果を表1に示す。
[外層回路との接着強度]
各実施例及び比較例で得た多層配線板のL1回路層(第三の回路層)の一部に銅のエッチング処理によって、幅10mm、長さ100mmの部分を形成し、この一端を回路層/樹脂界面で剥がしてつかみ具でつかみ、垂直方向に引張り速度約50mm/分で室温中で引き剥がした時の荷重を測定した。
[絶縁層の表面粗さ]
各実施例及び比較例で得た多層配線板のL1回路層(第三の回路層)の一部の銅をエッチング処理し、露出した絶縁層(接着補助層)表面を、菱化システム社製マイクロマップMN5000型を用い、表面粗さRaを測定した。
[難燃性]
各実施例及び比較例において内層の回路板として用いた、前記ガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板にエッチングを施して銅箔を完全に剥離した基板を作製し、この基板の両面に、片側の絶縁樹脂厚150μmとなるように前記ワニスを塗布して絶縁樹脂層を形成した。そして、180℃−1時間後加熱を行うことにより、難燃性の試験片を作製した。試験法は、UL−94法に従い試験した。
[288℃はんだ耐熱性]
各実施例及び比較例で作製した多層配線板を25mm角に切断し、288±2℃に調整したはんだ浴に浮かべ、ふくれが発生するまでの時間を調べた。
Figure 0005251464
表1から、本発明の配線板用絶縁樹脂材料(アディティブ用絶縁樹脂フィルム)を用いた多層配線板の特性は、実施例1〜4に示したように、平滑な樹脂表面上において、無電解銅めっきと高接着力を示し、またハロゲンを含まずに難燃性が優れる良好な結果を示す。さらに、288℃はんだ耐熱性にも優れており環境に配慮した多層配線板を製造することが可能である。一方、本発明の配線板用絶縁樹脂材料を含んでいない比較例1〜3に示す多層配線板は、表面粗さが大きいか、もしくは無電解銅めっきの接着力が低いことが確認できた。
本発明によれば、平滑な樹脂表面でも無電解めっきとの高接着力を示し、微細な回路の形成が可能な多層配線板を提供できる。さらに、環境に悪影響を与える可能性があるブロム化合物を一切使用しないで難燃性を有し、鉛フリー化に対応可能な高いはんだ耐熱性等、他の信頼性も優れた多層配線板を提供できる。
(a)〜(e)は多層配線板を製造する工程の一例を説明する断面図である。 実施例1における絶縁層(接着補助層)表面の電子顕微鏡写真である。
符号の説明
1 第一の回路層(第一の回路)
2 基板(絶縁基板)
3 接着補助層
4 絶縁材料樹脂層(絶縁樹脂層)
5 第二の回路(第二の回路層)
6 接着補助層(二層目)
7 絶縁材料樹脂層(絶縁樹脂層)
8 第三の回路

Claims (9)

  1. (a)絶縁樹脂層と、厚みが1〜10μmの(b)接着補助層とからなる配線板用絶縁樹脂材料であって、前記(b)接着補助層を形成するための接着補助層用樹脂組成物が、(A)多官能型エポキシ樹脂、(B)エポキシ樹脂硬化剤、(C)平均一次粒径1μm以下の架橋有機フィラーを含有し、前記(C)架橋有機フィラーの含有量が20質量%以上である、配線板用絶縁樹脂材料であって、
    配線板用絶縁樹脂材料を硬化し、粗化処理した後の(b)接着補助層の表面粗さ(Ra)が0.2μm以下であることを特徴とする配線板用絶縁樹脂材料。
  2. (a)絶縁樹脂層が絶縁樹脂組成物からなり、前記絶縁樹脂組成物が、(i)多官能型エポキシ樹脂、(ii)エポキシ樹脂硬化剤、(iii)無機フィラーを含有する請求項1記載の配線板用絶縁樹脂材料。
  3. 絶縁樹脂組成物が、さらに(iv)リン系難燃剤を含有する請求項2記載の配線板用絶縁樹脂材料。
  4. (C)架橋有機フィラーが、コアシェル構造架橋ゴム粒子である、請求項1〜3いずれかに記載の配線板用絶縁樹脂材料。
  5. (C)架橋有機フィラーが、架橋ポリブタジエンをコア層とし、架橋アクリル樹脂をシェル層とした架橋ゴム粒子、または、架橋シリコンゴムをコア層とし、架橋アクリル樹脂をシェル層とした架橋ゴム粒子であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の配線板用絶縁樹脂材料。
  6. (C)架橋有機フィラーの含有量が、20〜40質量%の範囲である、請求項1〜5いずれかに記載の配線板用絶縁樹脂材料。
  7. (A)多官能型エポキシ樹脂が、ビフェニル構造を有するアラルキル型エポキシ樹脂であり、(B)エポキシ樹脂硬化剤がトリアジン環含有ノボラック型フェノール樹脂であることを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載の配線板用絶縁樹脂材料。
  8. 内層回路を有する基板の片面または両面に絶縁層及び外層回路層が逐次積層されている多層配線板であって、前記絶縁層が、請求項1〜いずれかに記載の配線板用絶縁樹脂材料の硬化物であることを特徴とする多層配線板。
  9. 請求項1〜いずれかに記載の配線板用絶縁樹脂材料を、内層回路を有する基板に積層する工程(イ)、前記配線板用絶縁樹脂材料を硬化して絶縁層を得る工程(ロ)、前記絶縁層表面に外層回路層を形成する工程(ハ)、を含むことを特徴とする多層配線板の製造方法。
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