JP2017179351A - 樹脂組成物の硬化物、樹脂組成物及び多層基板 - Google Patents

樹脂組成物の硬化物、樹脂組成物及び多層基板 Download PDF

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Abstract

【課題】粗化処理された表面又はデスミア処理された表面が過度に除去されずに、硬化物と接着対象物との密着性を高めることができ、更に、高温下に晒されても、硬化物を接着対象物から剥離し難くすることができる樹脂組成物の硬化物及び樹脂組成物を提供する。【解決手段】本発明に係る樹脂組成物の硬化物は、樹脂組成物の硬化物であって、前記樹脂組成物は、エポキシ化合物と、硬化剤と、無機充填材とを含み、本発明に係る樹脂組成物は、エポキシ化合物と、硬化剤と、無機充填材とを含み、本発明に係る硬化物、及び、本発明に係る樹脂組成物を190℃で90分間硬化させた硬化物に関して、25℃以上、150℃以下の温度領域での前記硬化物の線膨張係数が20ppm/℃未満であり、JIS K6911に準拠して測定される前記硬化物の煮沸吸水率が0.4重量%未満である。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、多層基板等において、絶縁層を構成するために用いられる樹脂組成物の硬化物及び樹脂組成物に関する。また、本発明は、上記樹脂組成物の硬化物又は上記樹脂組成物を用いた多層基板に関する。
従来、積層板及びプリント配線板等の電子部品を得るために、様々な樹脂組成物が用いられている。例えば、多層プリント配線板では、内部の層間を絶縁するための絶縁層を形成したり、表層部分に位置する絶縁層を形成したりするために、樹脂組成物が用いられている。上記絶縁層の表面には、一般に金属である配線が積層される。また、絶縁層を形成するために、上記樹脂組成物をフィルム化したBステージフィルムが用いられることがある。上記樹脂組成物及び上記Bステージフィルムは、ビルドアップフィルムを含むプリント配線板用の絶縁材料として用いられている。
上記樹脂組成物の一例として、下記の特許文献1には、シアネート樹脂と、フェノール樹脂と、無機充填材とを含む樹脂組成物が開示されている。ここでは、樹脂組成物の硬化物の難燃性及び耐熱性が高く、線膨張係数が低いことが記載されている。さらに、特許文献1には、シアネート樹脂の反応性を向上させるために、エポキシ樹脂を用いることが好ましいことが記載されている。
特開2003−096296号公報
上記電子部品の小型化及び高性能化の要求が高まっており、電子部品の薄型化、高密度集積化及び高密度実装化が進んでいる。このため、多層プリント配線板の薄型化や導体配線の微細化が進んでいる。
絶縁層上に配線を形成する方法として、絶縁層の表面を粗化処理した後に、無電解めっきと電解めっきとにより配線を形成するセミアディティブ法などが知られている。このような方法では、アルカリ性の過マンガン酸溶液などの粗化液を用いて粗化処理を行い、絶縁層の表面に微細な孔を形成する。絶縁層の表面に微細な孔を形成することによって、絶縁層と配線との間で物理的なアンカー効果が得られる。アンカー効果により、絶縁層と配線との密着性が高くなる。絶縁層の表面の微細な孔は、一般に樹脂成分の粗化液への溶解や、樹脂組成物中に含まれる無機充填材の脱離によって形成される。また、絶縁層において上下の導通を果たすために、絶縁層にビアが形成されることがある。ビアの形成後に、ビア底のスミアを除去するために、デスミア処理されることがある。デスミア処理は、粗化処理を兼ねることがある。
従来の樹脂組成物では、粗化処理又はデスミア処理によって、粗化処理された表面又はデスミア処理された表面が過度に除去されることがある。このため、硬化物と接着対象物との密着性が低くなることがある。さらに、従来の樹脂組成物の硬化物では、接着対象物に対する硬化物の初期の密着性が低いために、高温下に晒されたときに、硬化物が接着対象物から剥離することがある。また、従来の樹脂組成物の硬化物では、25〜150℃での線膨張係数が高いために、高温下に晒されたときに、硬化物が接着対象物から剥離することがある。
本発明の目的は、粗化処理された表面又はデスミア処理された表面が過度に除去されずに、硬化物と接着対象物との密着性を高めることができ、更に、高温下に晒されても、硬化物を接着対象物から剥離し難くすることができる樹脂組成物の硬化物及び樹脂組成物を提供することである。また、本発明は、上記樹脂組成物の硬化物又は上記樹脂組成物を用いた多層基板を提供する。
本発明の広い局面によれば、樹脂組成物の硬化物であって、前記樹脂組成物は、エポキシ化合物と、硬化剤と、無機充填材とを含み、25℃以上、150℃以下の温度領域での前記硬化物の線膨張係数が20ppm/℃未満であり、JIS K6911に準拠して測定される前記硬化物の煮沸吸水率が0.4重量%未満である、樹脂組成物の硬化物が提供される。
本発明に係る樹脂組成物の硬化物のある特定の局面では、JIS K7127に準拠して測定される前記硬化物の破断伸びが1.5%以上である。
本発明に係る樹脂組成物の硬化物のある特定の局面では、前記硬化剤がフェノール化合物である。
本発明に係る樹脂組成物の硬化物のある特定の局面では、前記樹脂組成物が、熱可塑性樹脂を含む。
本発明に係る樹脂組成物の硬化物のある特定の局面では、前記硬化物100重量%中、前記無機充填材の含有量が60重量%以上である。
本発明に係る樹脂組成物の硬化物は、多層プリント配線板において、絶縁層を構成するために用いられる多層プリント配線板用硬化物であることが好ましい。
本発明の広い局面によれば、エポキシ化合物と、硬化剤と、無機充填材とを含み、190℃で90分間硬化させて硬化物を得たときに、25℃以上、150℃以下の温度領域での前記硬化物の線膨張係数が20ppm/℃未満であり、JIS K6911に準拠して測定される前記硬化物の煮沸吸水率が0.4重量%未満である、樹脂組成物が提供される。
本発明に係る樹脂組成物のある特定の局面では、JIS K7127に準拠して測定される前記硬化物の破断伸びが1.5%以上である。
本発明に係る樹脂組成物のある特定の局面では、前記硬化剤がフェノール化合物である。
本発明に係る樹脂組成物のある特定の局面では、前記樹脂組成物は、熱可塑性樹脂を含む。
本発明に係る樹脂組成物のある特定の局面では、前記樹脂組成物中の溶剤を除く全成分100重量%中、前記無機充填材の含有量が60重量%以上である。
本発明に係る樹脂組成物は、多層プリント配線板において、絶縁層を構成するために用いられる多層プリント配線板用樹脂組成物であることが好ましい。
本発明の広い局面によれば、回路基板と、前記回路基板の表面上に配置された絶縁層とを備え、前記絶縁層が、上述した樹脂組成物の硬化物である、多層基板が提供される。
本発明は、樹脂組成物の硬化物であり、上記樹脂組成物は、エポキシ化合物と、硬化剤と、無機充填材とを含み、25℃以上、150℃以下の温度領域での上記硬化物の線膨張係数が20ppm/℃未満であり、JIS K6911に準拠して測定される上記硬化物の煮沸吸水率が0.4重量%未満であるので、粗化処理された表面又はデスミア処理された表面が過度に除去されずに、硬化物と接着対象物との密着性を高めることができ、更に、高温下に晒されても、硬化物を接着対象物から剥離し難くすることができる。
本発明に係る樹脂組成物は、エポキシ化合物と、硬化剤と、無機充填材とを含み、190℃で90分間硬化させて硬化物を得たときに、25℃以上、150℃以下の温度領域での上記硬化物の線膨張係数が20ppm/℃未満であり、JIS K6911に準拠して測定される上記硬化物の煮沸吸水率が0.4重量%未満であるので、粗化処理された表面又はデスミア処理された表面が過度に除去されずに、硬化物と接着対象物との密着性を高めることができ、更に、高温下に晒されても、硬化物を接着対象物から剥離し難くすることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る樹脂組成物を用いた多層基板を模式的に示す断面図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る樹脂組成物は、エポキシ化合物と、硬化剤と、無機充填材とを含む。本発明に係る樹脂組成物の硬化物は、樹脂組成物を硬化させることにより得られる。本発明に係る樹脂組成物の硬化物を得るために用いられる樹脂組成物は、エポキシ化合物と、硬化剤と、無機充填材とを含む。
本発明に係る樹脂組成物を190℃で90分間硬化させて硬化物を得たときに、この硬化条件で得られる硬化物を、硬化物(X)とする。本発明に係る樹脂組成物では、25℃以上、150℃以下の温度領域での硬化物(X)の線膨張係数が20ppm/℃未満である。さらに、本発明に係る樹脂組成物では、JIS K6911に準拠して測定される硬化物(X)の煮沸吸水率が0.4重量%未満である。また、本発明に係る樹脂組成物の硬化物を硬化物(X1)とする。25℃以上、150℃以下の温度領域での硬化物(X1)の線膨張係数は20ppm/℃未満である。さらに、JIS K6911に準拠して測定される硬化物(X1)の煮沸吸水率は0.4重量%未満である。上記煮沸吸水率は、硬化物(X)又は硬化物(X1)を沸騰水中に1時間浸漬した後に増加した重量の浸漬前の重量に対する百分率である。
本発明では、上記の構成が備えられているので、粗化処理又はデスミア処理を行っても、粗化処理された表面又はデスミア処理された表面が過度に除去されずに、硬化物と接着対象物との密着性を高めることができる。これは、上記の煮沸吸水率を満足することによって、粗化液又はデスミア液が内部に過度に浸透しないためであると考えられる。本発明では、粗化処理又はデスミア処理により除去される樹脂部分を適度に少なく制御することができる。本発明では、無機充填材の含有量が多くても、例えば無機充填材の含有量が60%以上であっても、更には70%以上であっても、樹脂部分の過度の脱離を抑えることができるので、密着性を高めることができる。特に、本発明では、硬化物(絶縁層)と金属部(金属配線など)との密着性を高めることができる。
本発明では、粗化処理された表面又はデスミア処理された表面が過度に除去されることなく、硬化物と接着対象物との密着性を高め、更に、高温下に晒されても、硬化物を接着対象物から剥離し難くするためには、上記煮沸吸水率と上記線膨張係数とのうち、いずれか一方ではなく双方が、上述した範囲を満足する必要があることが見出された。粗化処理された表面又はデスミア処理された表面が過度に除去されることなく、硬化物と接着対象物との密着性を高め、更に、高温下に晒されても、硬化物を接着対象物から剥離し難くするためには、上記煮沸吸水率と上記線膨張係数との双方を上述した範囲を満足する必要がある。
本発明では、上記の構成が備えられているので、高温下に晒されても、硬化物を接着対象物から剥離し難くすることができる。また、25℃以上、150℃以下の温度領域で、硬化物が温度変化に晒されても、硬化物を接着対象物から剥離し難くすることができる。本発明では、接着対象物に対する硬化物の初期の密着性が高いために、高温下に晒されたときに、硬化物が接着対象物から剥離し難くなる。また、本発明では、25℃以上、150℃以下の温度領域での硬化物の線膨張係数が低いために、高温下に晒されたときに、硬化物と接着対象物との界面で作用する応力が小さくなり、硬化物が接着対象物から剥離し難くなる。本発明では、接着対象物に対する硬化物の高い初期の密着性と、25℃以上、150℃以下の温度領域での硬化物の低い線膨張係数との双方によって、硬化物が高温下に晒されても、硬化物を接着対象物から効果的に剥離し難くすることができる。
粗化処理又はデスミア処理後に硬化物と接着対象物との密着性をより一層高め、高温下に晒されても硬化物を接着対象物からより一層剥離し難くする観点からは、25℃以上、150℃以下の温度領域での硬化物(X)及び硬化物(X1)の線膨張係数は、好ましくは19ppm/℃未満、より好ましくは18ppm/℃未満である。
粗化処理又はデスミア処理後に硬化物と接着対象物との密着性をより一層高め、高温下に晒されても硬化物を接着対象物からより一層剥離し難くする観点からは、JIS K6911に準拠して測定される硬化物(X)及び硬化物(X1)の煮沸吸水率は、好ましくは0.35重量%未満、より好ましくは0.3重量%未満である。
上記硬化物(X)は、具体的には、以下のようにして得ることができる。
ガラス瓶の中に樹脂組成物又は各配合成分を入れ、攪拌機を用いて2,000rpmで3時間攪拌し、ワニス(樹脂組成物)を得る。攪拌機としてはアズワン社製「高速攪拌機」等が挙げられる。
本発明に係る樹脂組成物における線膨張係数及び煮沸吸水率を測定する際には、例えば、上記ワニスをアプリケーターなどで離型処理を行ったPETフィルムの上に塗工し、100〜120℃に加熱されたオーブンで1〜3分乾燥を行い、その後に190℃に加熱したオーブンで90分間硬化させることにより硬化物(X)を得る。硬化物の大きさや厚みは特に限定されないが、諸物性の測定に用いる観点から、厚みは5〜200μmが好ましく、大きさは15cm×20cm以上が好ましい。なお、本発明に係る樹脂組成物を用いる際には、190℃で90分間加熱する条件以外の条件で、樹脂組成物を硬化させてもよい。
上記硬化物(X1)は、本発明に係る樹脂組成物の硬化物自体である。
上記線膨張係数は、具体的には、以下のようにして測定することができる。
熱機械分析装置(TMA)を用いて、昇温速度5℃/分、引っ張りモードで測定される。熱機械分析装置としては、日立ハイテクサイエンス社製「TA7000」等が挙げられる。
上記煮沸吸水率は、具体的には、以下のようにして測定することができる。
硬化物(X)及び硬化物(X1)をカッターで50±1mm×50±1mmの大きさに切断し、硬化物(X)及び硬化物(X1)について、50±2℃に保った恒温槽中で24±1時間乾燥処理を行う。その後、硬化物(X)及び硬化物(X1)をデシケーター中で20±10℃まで冷却し、硬化物(X)及び硬化物(X1)の重量を1mgまで正確に量る(W1)。
次に、硬化物(X)及び硬化物(X1)を沸騰蒸留水中に入れて1時間煮沸した後取り出し、20±10℃の流れる水中で30分間冷却し、乾燥した清浄なガーゼなどでふき、表面のちりを羽毛又は毛筆で払い、1分間以内に、硬化物(X)及び硬化物(X1)をはかり瓶に入れて吸水後の重量を1mgまで正確に量る(W2)。ただし、煮沸中に硬化物(X)及び硬化物(X1)が互いに接触しないように注意する。煮沸吸水率は、下記式により算出される。
煮沸吸水率(%)=(W2−W1)/W1×100
上記線膨張係数を好適な範囲に制御する方法としては、フィラーを樹脂中に充填させる方法、樹脂のガラス転移点を高くする方法、及び樹脂中の分子間相互作用で自由体積を減少させる方法等が挙げられる。
上記煮沸吸水率を好適な範囲に制御する方法としては、主骨格の極性が小さい樹脂を選択する方法、エポキシ樹脂などのエポキシ化合物及び硬化剤の架橋点間分子量を大きくし、極性の発生源となる結合部位を減らす方法、及びフィラーの表面処理を選択し、樹脂中でのフィラーの分散を良好にする方法等が挙げられる。
樹脂と銅めっきとのピール強度をより一層良好にする観点からは、JIS K7127に準拠して測定される硬化物(X)及び硬化物(X1)の破断伸びは好ましくは1.5%以上、より好ましくは1.8%以上である。
上記破断伸びを好適な範囲に制御する方法としては、架橋点間分子量の大きなエポキシ化合物や硬化剤を用いる方法や、熱可塑樹脂を添加する方法等が挙げられる。
上記破断伸びは、具体的には、以下のようにして測定することができる。
オートグラフを用いて、10mm/分の条件で、硬化物(X)及び硬化物(X1)を引っ張ることにより測定される。オートグラフとしては、島津製作所社製「AG−100kNXplus」等が挙げられる。
上記樹脂組成物は、熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。上記樹脂組成物は、溶剤を含んでいてもよい。
以下、本発明に係る樹脂組成物に用いられる各成分の詳細、及び本発明に係る樹脂組成物の用途等を説明する。
[熱硬化性化合物]
上記熱硬化性化合物は、エポキシ化合物を含む。該エポキシ化合物は、少なくとも1個のエポキシ基を有する有機化合物をいう。上記エポキシ化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物、ビフェニルノボラック型エポキシ化合物、ビフェノール型エポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、フルオレン型エポキシ化合物、フェノールアラルキル型エポキシ化合物、ナフトールアラルキル型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物、アントラセン型エポキシ化合物、アダマンタン骨格を有するエポキシ化合物、トリシクロデカン骨格を有するエポキシ化合物、ナフチレンエーテル型エポキシ化合物、及びトリアジン核を骨格に有するエポキシ化合物等が挙げられる。
粗化処理又はデスミア処理後に硬化物と接着対象物との密着性をより一層高め、高温下に晒されても硬化物を接着対象物からより一層剥離し難くする観点からは、上記エポキシ化合物は、ビフェニルノボラック型エポキシ化合物であることが好ましい。
[硬化剤]
上記樹脂組成物に含まれている硬化剤は特に限定されない。該硬化剤として、従来公知の硬化剤が使用可能である。上記硬化剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記硬化剤としては、シアネートエステル化合物(シアネートエステル硬化剤)、フェノール化合物(フェノール硬化剤)、アミン化合物(アミン硬化剤)、チオール化合物(チオール硬化剤)、イミダゾール化合物、ホスフィン化合物、酸無水物、活性エステル化合物及びジシアンジアミド等が挙げられる。上記硬化剤は、上記エポキシ化合物のエポキシ基と反応可能な官能基を有することが好ましい。
上記シアネートエステル化合物としては、ノボラック型シアネートエステル樹脂、ビスフェノール型シアネートエステル樹脂、並びにこれらが一部三量化されたプレポリマー等が挙げられる。上記ノボラック型シアネートエステル樹脂としては、フェノールノボラック型シアネートエステル樹脂及びアルキルフェノール型シアネートエステル樹脂等が挙げられる。上記ビスフェノール型シアネートエステル樹脂としては、ビスフェノールA型シアネートエステル樹脂、ビスフェノールE型シアネートエステル樹脂及びテトラメチルビスフェノールF型シアネートエステル樹脂等が挙げられる。
上記シアネートエステル化合物の市販品としては、フェノールノボラック型シアネートエステル樹脂(ロンザジャパン社製「PT−30」及び「PT−60」)、及びビスフェノール型シアネートエステル樹脂が三量化されたプレポリマー(ロンザジャパン社製「BA−230S」、「BA−3000S」、「BTP−1000S」及び「BTP−6020S」)等が挙げられる。
上記フェノール化合物としては、ノボラック型フェノール、ビフェノール型フェノール、ナフタレン型フェノール、ジシクロペンタジエン型フェノール、アラルキル型フェノール及びジシクロペンタジエン型フェノール等が挙げられる。
上記フェノール化合物の市販品としては、ノボラック型フェノール(DIC社製「TD−2091」)、ビフェニルノボラック型フェノール(明和化成社製「MEHC−7851」)、アラルキル型フェノール化合物(明和化成社製「MEH−7800」)、並びにアミノトリアジン骨格を有するフェノール(DIC社製「LA1356」及び「LA3018−50P」)等が挙げられる。
粗化処理又はデスミア処理後に硬化物と接着対象物との密着性をより一層高め、高温下に晒されても硬化物を接着対象物からより一層剥離し難くする観点からは、上記硬化剤は、フェノール化合物であることが好ましい。硬化剤としてフェノール樹脂を用いる場合、エポキシ化合物に対する硬化剤の結合部位が他の硬化剤に比べて柔軟な構造となる。この構造が密着性の向上に対して効果的に寄与する。
誘電正接を効果的に低くする観点からは、上記硬化剤は、活性エステル化合物を含むことが好ましい。活性エステル化合物とは、構造体中にエステル結合を少なくとも1つ含み、かつ、エステル結合の両側に芳香族環が結合している化合物をいう。活性エステル化合物は、例えばカルボン酸化合物又はチオカルボン酸化合物と、ヒドロキシ化合物又はチオール化合物との縮合反応によって得られる。活性エステル化合物の例としては、下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2017179351
上記式(1)中、X1及びX2はそれぞれ、芳香族環を含む基を表す。上記芳香族環を含む基の好ましい例としては、置換基を有していてもよいベンゼン環、及び置換基を有していてもよいナフタレン環等が挙げられる。上記置換基としては、炭化水素基が挙げられる。該炭化水素基の炭素数は、好ましくは12以下、より好ましくは6以下、更に好ましくは4以下である。
X1及びX2の組み合わせとしては、置換基を有していてもよいベンゼン環と、置換基を有していてもよいベンゼン環との組み合わせ、置換基を有していてもよいベンゼン環と、置換基を有していてもよいナフタレン環との組み合わせ、並びに、置換基を有していてもよいナフタレン環と、置換基を有していてもよいナフタレン環との組み合わせが挙げられる。
上記活性エステル化合物は特に限定されない。上記活性エステル化合物の市販品としては、DIC社製「HPC−8000−65T」及び「EXB9416−70BK」等が挙げられる。
樹脂組成物中の上記無機充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、上記熱硬化性化合物と上記硬化剤との合計の含有量は、好ましくは75重量%以上、より好ましくは80重量%以上、好ましくは99重量%以下、より好ましくは97重量%以下である。上記熱硬化性化合物と上記硬化剤との合計の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、より一層良好な硬化物が得られ、硬化物の熱による寸法変化をより一層抑制できる。上記熱硬化性化合物と上記硬化剤との含有量比は、熱硬化性化合物が硬化するように適宜選択される。
上記熱硬化性化合物が良好に硬化するように、上記硬化剤の含有量は適宜選択される。上記エポキシ化合物100重量部に対して、上記硬化剤の含有量は、好ましくは30重量部以上、より好ましくは40重量部以上、好ましくは110重量部以下、より好ましくは100重量部以下である。上記硬化剤の含有量がより好ましい範囲であれば、樹脂組成物の保存安定性がより一層高くなり、かつより一層良好な硬化物が得られる。
[無機充填材]
上記無機充填材の使用により、硬化物の熱による寸法変化がより一層小さくなる。また、硬化物の誘電正接がより一層小さくなる。
上記無機充填材としては、シリカ、タルク、クレイ、マイカ、ハイドロタルサイト、アルミナ、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム及び窒化ホウ素等が挙げられる。
硬化物の表面の表面粗さを小さくし、硬化物と金属層との接着強度をより一層高くし、かつ硬化物の表面により一層微細な配線を形成し、かつ硬化物により良好な絶縁信頼性を付与する観点からは、上記無機充填材は、シリカ又はアルミナであることが好ましく、シリカであることがより好ましく、溶融シリカであることが更に好ましい。シリカの使用により、硬化物の熱膨張率がより一層低くなり、かつ硬化物の表面の表面粗さが効果的に小さくなり、硬化物と金属層との接着強度が効果的に高くなる。シリカの形状は球状であることが好ましい。
上記無機充填材の平均粒径は、好ましくは10nm以上、より好ましくは50nm以上、更に好ましくは150nm以上、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下、更に好ましくは5μm以下、特に好ましくは1μm以下である。上記無機充填材の平均粒径が上記下限以上及び上記上限以下であると、粗化処理等により形成される孔の大きさが微細になり、孔の数が多くなる。この結果、硬化物と金属層との接着強度がより一層高くなる。
上記無機充填材の平均粒径として、50%となるメディアン径(d50)の値が採用される。上記平均粒径は、レーザー回折散乱方式の粒度分布測定装置を用いて測定可能である。
上記無機充填材はそれぞれ、球状であることが好ましく、球状シリカであることがより好ましい。この場合には、硬化物の表面の表面粗さが効果的に小さくなり、更に絶縁層と金属層との接着強度が効果的に高くなる。上記無機充填材がそれぞれ球状である場合には、上記無機充填材それぞれのアスペクト比は好ましくは2以下、より好ましくは1.5以下である。
上記無機充填材は、表面処理されていることが好ましく、カップリング剤による表面処理物であることがより好ましく、シランカップリング剤による表面処理物であることが更に好ましい。これにより、粗化硬化物の表面の表面粗さがより一層小さくなり、硬化物と金属層との接着強度がより一層高くなり、かつ硬化物の表面により一層微細な配線が形成され、かつより一層良好な配線間絶縁信頼性及び層間絶縁信頼性を硬化物に付与することができる。
上記カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤及びアルミニウムカップリング剤等が挙げられる。上記シランカップリング剤としては、メタクリルシラン、アクリルシラン、アミノシラン、イミダゾールシラン、ビニルシラン及びエポキシシラン等が挙げられる。
樹脂組成物中の溶剤を除く成分100重量%中、上記無機充填材の含有量は好ましくは25重量%以上、より好ましくは30重量%以上、更に好ましくは40重量%以上、更に一層好ましくは50重量%以上、特に好ましくは60重量%以上、最も好ましくは70重量%以上、好ましくは99重量%以下、より好ましくは85重量%以下、更に好ましくは80重量%以下、特に好ましくは75重量%以下である。本発明に係る硬化物100重量%中、上記無機充填材の含有量は好ましくは25重量%以上、より好ましくは30重量%以上、更に好ましくは40重量%以上、更に一層好ましくは50重量%以上、特に好ましくは60重量%以上、最も好ましくは70重量%以上、好ましくは99重量%以下、より好ましくは85重量%以下、更に好ましくは80重量%以下、特に好ましくは75重量%以下である。上記無機充填材の合計の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化物と金属層との接着強度がより一層高くなり、かつ硬化物の表面により一層微細な配線が形成されると同時に、この無機充填材量であれば、硬化物の熱による寸法変化を小さくことも可能である。
[熱可塑性樹脂]
上記熱可塑性樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂及びフェノキシ樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
硬化環境によらず、誘電正接を効果的に低くし、かつ、金属配線の密着性を効果的に高める観点からは、上記熱可塑性樹脂は、フェノキシ樹脂であることが好ましい。フェノキシ樹脂の使用により、樹脂組成物の回路基板の穴又は凹凸に対する埋め込み性の悪化及び無機充填材の不均一化が抑えられる。また、フェノキシ樹脂の使用により、溶融粘度を調整可能であるために無機充填材の分散性が良好になり、かつ硬化過程で、意図しない領域に樹脂組成物又はBステージフィルムが濡れ拡がり難くなる。上記樹脂組成物に含まれているフェノキシ樹脂は特に限定されない。上記フェノキシ樹脂として、従来公知のフェノキシ樹脂が使用可能である。上記フェノキシ樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型の骨格、ビスフェノールF型の骨格、ビスフェノールS型の骨格、ビフェニル骨格、ノボラック骨格、ナフタレン骨格及びイミド骨格等の骨格を有するフェノキシ樹脂等が挙げられる。
上記フェノキシ樹脂の市販品としては、例えば、新日鐵住金化学社製の「YP50」、「YP55」及び「YP70」、並びに三菱化学社製の「1256B40」、「4250」、「4256H40」、「4275」、「YX6954BH30」及び「YX8100BH30」等が挙げられる。
保存安定性により一層優れた樹脂組成物を得る観点からは、上記熱可塑性樹脂及び上記フェノキシ樹脂の重量平均分子量は、好ましくは5000以上、より好ましくは10000以上、好ましくは100000以下、より好ましくは50000以下である。
上記熱可塑性樹脂及び上記フェノキシ樹脂の上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されたポリスチレン換算での重量平均分子量を示す。
上記熱可塑性樹脂及び上記フェノキシ樹脂の含有量は特に限定されない。樹脂組成物中の上記無機充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、上記熱可塑性樹脂及び上記フェノキシ樹脂の含有量は好ましくは2重量%以上、より好ましくは4重量%以上、好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。上記熱可塑性樹脂及び上記フェノキシ樹脂の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、樹脂組成物又はBステージフィルムの回路基板の穴又は凹凸に対する埋め込み性が良好になる。上記熱可塑性樹脂及び上記フェノキシ樹脂の含有量が上記下限以上であると、樹脂組成物のフィルム化がより一層容易になり、より一層良好な絶縁層が得られる。上記フェノキシ樹脂の含有量が上記上限以下であると、硬化物の熱膨張率がより一層低くなる。硬化物の表面の表面粗さがより一層小さくなり、硬化物と金属層との接着強度がより一層高くなる。
[硬化促進剤]
上記樹脂組成物は、硬化促進剤を更に含んでいてもよい。上記硬化促進剤の使用により、硬化速度がより一層速くなる。樹脂組成物を速やかに硬化させることで、未反応の官能基数が減り、結果的に架橋密度が高くなる。上記硬化促進剤は特に限定されず、従来公知の硬化促進剤が使用可能である。上記硬化促進剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール化合物、リン化合物、アミン化合物及び有機金属化合物等が挙げられる。
上記イミダゾール化合物としては、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール及び2−フェニル−4−メチル−5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
上記リン化合物としては、トリフェニルホスフィン等が挙げられる。
上記アミン化合物としては、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジエチレンテトラミン、トリエチレンテトラミン及び4,4−ジメチルアミノピリジン等が挙げられる。
上記有機金属化合物としては、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、ビスアセチルアセトナートコバルト(II)及びトリスアセチルアセトナートコバルト(III)等が挙げられる。
上記硬化促進剤の含有量は特に限定されない。樹脂組成物中の上記無機充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、上記硬化促進剤の含有量は好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.9重量%以上、好ましくは5.0重量%以下、より好ましくは3.0重量%以下である。上記硬化促進剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、樹脂組成物が効率的に硬化する。上記硬化促進剤の含有量がより好ましい範囲であれば、樹脂組成物の保存安定性がより一層高くなり、かつより一層良好な硬化物が得られる。
[溶剤]
上記樹脂組成物は、溶剤を含まないか又は含む。上記溶剤の使用により、樹脂組成物の粘度を好適な範囲に制御でき、樹脂組成物の塗工性を高めることができる。また、上記溶剤は、上記無機充填材を含むスラリーを得るために用いられてもよい。上記溶剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記溶剤としては、アセトン、メタノール、エタノール、ブタノール、2−プロパノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、2−アセトキシ−1−メトキシプロパン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、メチルイソブチルケトン、N−メチル−ピロリドン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン及び混合物であるナフサ等が挙げられる。
上記溶剤の多くは、上記樹脂組成物をフィルム状に成形するときに、又は硬化物を形成するときに、除去されることが好ましい。従って、上記溶剤の沸点は好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下である。上記樹脂組成物における上記溶剤の含有量は特に限定されない。上記樹脂組成物の塗工性等を考慮して、上記溶剤の含有量は適宜変更可能である。
[他の成分]
耐衝撃性、耐熱性、樹脂の相溶性及び作業性等の改善を目的として、上記樹脂組成物には、レベリング剤、難燃剤、カップリング剤、着色剤、酸化防止剤、紫外線劣化防止剤、消泡剤、増粘剤、揺変性付与剤及びエポキシ化合物以外の他の熱硬化性樹脂等を添加してもよい。
上記カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤及びアルミニウムカップリング剤等が挙げられる。上記シランカップリング剤としては、ビニルシラン、アミノシラン、イミダゾールシラン及びエポキシシラン等が挙げられる。
上記他の熱硬化性樹脂としては、ポリフェニレンエーテル樹脂、ジビニルベンジルエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ベンゾオキサゾール樹脂、ビスマレイミド樹脂及びアクリレート樹脂等が挙げられる。
(樹脂フィルム(Bステージフィルム)及び積層フィルム)
上述した樹脂組成物をフィルム状に成形することにより樹脂フィルム(Bステージフィルム)が得られる。樹脂フィルムは、Bステージフィルムであることが好ましい。
樹脂フィルムの硬化度をより一層均一に制御する観点からは、上記樹脂フィルムの厚みは好ましくは5μm以上、好ましくは200μm以下である。
上記樹脂組成物をフィルム状に成形する方法としては、例えば、押出機を用いて、樹脂組成物を溶融混練し、押出した後、Tダイ又はサーキュラーダイ等により、フィルム状に成形する押出成形法、溶剤を含む樹脂組成物をキャスティングしてフィルム状に成形するキャスティング成形法、並びに従来公知のその他のフィルム成形法等が挙げられる。薄型化に対応可能であることから、押出成形法又はキャスティング成形法が好ましい。フィルムにはシートが含まれる。
上記樹脂組成物をフィルム状に成形し、熱による硬化が進行し過ぎない程度に、例えば50〜150℃で1〜10分間加熱乾燥させることにより、Bステージフィルムである樹脂フィルムを得ることができる。
上述のような乾燥工程により得ることができるフィルム状の樹脂組成物をBステージフィルムと称する。上記Bステージフィルムは、半硬化状態にあるフィルム状樹脂組成物である。半硬化物は、完全に硬化しておらず、硬化がさらに進行され得る。
上記樹脂フィルムは、プリプレグでなくてもよい。上記樹脂フィルムがプリプレグではない場合には、ガラスクロス等に沿ってマイグレーションが生じなくなる。また、樹脂フィルムをラミネート又はプレキュアする際に、表面にガラスクロスに起因する凹凸が生じなくなる。上記樹脂組成物は、金属箔又は基材と、該金属箔又は基材の表面に積層された樹脂フィルムとを備える積層フィルムを形成するために好適に用いることができる。上記積層フィルムにおける上記樹脂フィルムが、上記樹脂組成物により形成される。上記金属箔は銅箔であることが好ましい。
上記積層フィルムの上記基材としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム及びポリブチレンテレフタレートフィルム等のポリエステル樹脂フィルム、ポリエチレンフィルム及びポリプロピレンフィルム等のオレフィン樹脂フィルム、及びポリイミド樹脂フィルム等が挙げられる。上記基材の表面は、必要に応じて、離型処理されていてもよい。
上記樹脂組成物及び上記樹脂フィルムを回路の絶縁層として用いる場合、上記樹脂組成物又は上記樹脂フィルムにより形成された絶縁層の厚さは、回路を形成する導体層(金属層)の厚さ以上であることが好ましい。上記絶縁層の厚さは、好ましくは5μm以上、好ましくは200μm以下である。
(プリント配線板)
上記樹脂組成物及び上記樹脂フィルムは、プリント配線板において絶縁層を形成するために好適に用いられる。上記樹脂組成物は、多層プリント配線板において、絶縁層を構成するために用いられる多層プリント配線板用樹脂組成物であることが好ましい。上記樹脂フィルムは、多層プリント配線板において、絶縁層を構成するために用いられる多層プリント配線板用樹脂フィルムであることが好ましい。上記樹脂組成物の硬化物は、多層プリント配線板において、絶縁層を構成するために用いられる多層プリント配線板用硬化物であることが好ましい。
上記プリント配線板は、例えば、上記樹脂フィルムを加熱加圧成形することにより得られる。
上記樹脂フィルムに対して、片面又は両面に金属箔を積層できる。上記樹脂フィルムと金属箔とを積層する方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、平行平板プレス機又はロールラミネーター等の装置を用いて、加熱しながら又は加熱せずに加圧しながら、上記樹脂フィルムを金属箔に積層可能である。
(銅張り積層板及び多層基板)
上記樹脂組成物及び上記樹脂フィルムは、銅張り積層板を得るために好適に用いられる。上記銅張り積層板の一例として、銅箔と、該銅箔の一方の表面に積層された樹脂フィルムとを備える銅張り積層板が挙げられる。この銅張り積層板の樹脂フィルムが、上記樹脂組成物により形成される。
上記銅張り積層板の上記銅箔の厚さは特に限定されない。上記銅箔の厚さは、1〜50μmの範囲内であることが好ましい。また、上記樹脂フィルムを硬化させた絶縁層と銅箔との接着強度を高めるために、上記銅箔は微細な凹凸を表面に有することが好ましい。凹凸の形成方法は特に限定されない。上記凹凸の形成方法としては、公知の薬液を用いた処理による形成方法等が挙げられる。
上記樹脂組成物及び上記樹脂フィルムは、多層基板を得るために好適に用いられる。上記多層基板の一例として、回路基板と、該回路基板の表面上に積層された絶縁層とを備える多層基板が挙げられる。この多層基板の絶縁層が、上記樹脂組成物をフィルム状に成形した樹脂フィルムを用いて上記樹脂フィルムにより形成されている。また、多層基板の絶縁層が、積層フィルムを用いて、上記積層フィルムの上記樹脂フィルムにより形成されていてもよい。上記絶縁層は、回路基板の回路が設けられた表面上に積層されていることが好ましい。上記絶縁層の一部は、上記回路間に埋め込まれていることが好ましい。
上記多層基板では、上記絶縁層の上記回路基板が積層された表面とは反対側の表面が粗化処理されていることが好ましい。
粗化処理方法は、従来公知の粗化処理方法を用いることができ特に限定されない。上記絶縁層の表面は、粗化処理の前に膨潤処理されていてもよい。
また、上記多層基板は、上記絶縁層の粗化処理された表面に積層された銅めっき層をさらに備えることが好ましい。
また、上記多層基板の他の例として、回路基板と、該回路基板の表面上に積層された絶縁層と、該絶縁層の上記回路基板が積層された表面とは反対側の表面に積層された銅箔とを備える多層基板が挙げられる。上記絶縁層及び上記銅箔が、銅箔と該銅箔の一方の表面に積層された樹脂フィルムとを備える銅張り積層板を用いて、上記樹脂フィルムを硬化させることにより形成されていることが好ましい。さらに、上記銅箔はエッチング処理されており、銅回路であることが好ましい。
上記多層基板の他の例として、回路基板と、該回路基板の表面上に積層された複数の絶縁層とを備える多層基板が挙げられる。上記回路基板上に配置された上記複数層の絶縁層の内の少なくとも1層が、上記樹脂組成物をフィルム状に成形した樹脂フィルムを用いて形成される。上記多層基板は、上記樹脂フィルムを用いて形成されている上記絶縁層の少なくとも一方の表面に積層されている回路をさらに備えることが好ましい。
図1は、本発明の一実施形態に係る樹脂組成物を用いた多層基板を模式的に示す断面図である。
図1に示す多層基板11では、回路基板12の上面12aに、複数層の絶縁層13〜16が積層されている。絶縁層13〜16は、硬化物層である。回路基板12の上面12aの一部の領域には、金属層17が形成されている。複数層の絶縁層13〜16のうち、回路基板12側とは反対の外側の表面に位置する絶縁層16以外の絶縁層13〜15には、上面の一部の領域に金属層17が形成されている。金属層17は回路である。回路基板12と絶縁層13の間、及び積層された絶縁層13〜16の各層間に、金属層17がそれぞれ配置されている。下方の金属層17と上方の金属層17とは、図示しないビアホール接続及びスルーホール接続の内の少なくとも一方により互いに接続されている。
多層基板11では、絶縁層13〜16が、上記樹脂組成物により形成されている。本実施形態では、絶縁層13〜16の表面が粗化処理されているので、絶縁層13〜16の表面に図示しない微細な孔が形成されている。また、微細な孔の内部に金属層17が至っている。また、多層基板11では、金属層17の幅方向寸法(L)と、金属層17が形成されていない部分の幅方向寸法(S)とを小さくすることができる。また、多層基板11では、図示しないビアホール接続及びスルーホール接続で接続されていない上方の金属層と下方の金属層との間に、良好な絶縁信頼性が付与されている。
(粗化処理及び膨潤処理)
上記樹脂組成物は、粗化処理又はデスミア処理される硬化物を得るために用いられることが好ましい。上記硬化物には、更に硬化が可能な予備硬化物も含まれる。
上記樹脂組成物を予備硬化させることにより得られた硬化物の表面に微細な凹凸を形成するために、硬化物は粗化処理されることが好ましい。粗化処理の前に、硬化物は膨潤処理されることが好ましい。硬化物は、予備硬化の後、かつ粗化処理される前に、膨潤処理されており、さらに粗化処理の後に硬化されていることが好ましい。ただし、硬化物は、必ずしも膨潤処理されなくてもよい。
上記膨潤処理の方法としては、例えば、エチレングリコール等を主成分とする化合物の水溶液又は有機溶媒分散溶液等により、硬化物を処理する方法が用いられる。膨潤処理に用いる膨潤液は、一般にpH調整剤等として、アルカリを含む。膨潤液は、水酸化ナトリウムを含むことが好ましい。具体的には、例えば、上記膨潤処理は、40重量%エチレングリコール水溶液等を用いて、処理温度30〜85℃で1〜30分間、硬化物を処理することにより行なわれる。上記膨潤処理の温度は50〜85℃の範囲内であることが好ましい。上記膨潤処理の温度が低すぎると、膨潤処理に長時間を要し、更に硬化物と金属層との接着強度が低くなる傾向がある。
上記粗化処理には、例えば、マンガン化合物、クロム化合物又は過硫酸化合物等の化学酸化剤等が用いられる。これらの化学酸化剤は、水又は有機溶剤が添加された後、水溶液又は有機溶媒分散溶液として用いられる。粗化処理に用いられる粗化液は、一般にpH調整剤等としてアルカリを含む。粗化液は、水酸化ナトリウムを含むことが好ましい。
上記マンガン化合物としては、過マンガン酸カリウム及び過マンガン酸ナトリウム等が挙げられる。上記クロム化合物としては、重クロム酸カリウム及び無水クロム酸カリウム等が挙げられる。上記過硫酸化合物としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム及び過硫酸アンモニウム等が挙げられる。
上記粗化処理の方法は特に限定されない。上記粗化処理の方法として、例えば、30〜90g/L過マンガン酸又は過マンガン酸塩溶液及び30〜90g/L水酸化ナトリウム溶液を用いて、処理温度30〜85℃及び1〜30分間の条件で、硬化物を処理する方法が好適である。上記粗化処理の温度は50〜85℃の範囲内であることが好ましい。上記粗化処理の回数は1回又は2回であることが好ましい。
硬化物の表面の算術平均粗さRaは好ましくは30nm以上、好ましくは350nm未満、より好ましくは200nm未満、更に好ましくは150nm未満である。この場合には、硬化物と金属層又は配線との接着強度が高くなり、更に絶縁層の表面により一層微細な配線が形成される。
(デスミア処理)
上記樹脂組成物を予備硬化させることにより得られた硬化物に、貫通孔が形成されることがある。上記多層基板等では、貫通孔として、ビア又はスルーホール等が形成される。例えば、ビアは、COレーザー等のレーザーの照射により形成できる。ビアの直径は特に限定されないが、60〜80μm程度である。上記貫通孔の形成により、ビア内の底部には、硬化物に含まれている樹脂成分に由来する樹脂の残渣であるスミアが形成されることが多い。
上記スミアを除去するために、硬化物の表面は、デスミア処理されることが好ましい。デスミア処理が粗化処理を兼ねることもある。
上記デスミア処理には、上記粗化処理と同様に、例えば、マンガン化合物、クロム化合物又は過硫酸化合物等の化学酸化剤等が用いられる。これらの化学酸化剤は、水又は有機溶剤が添加された後、水溶液又は有機溶媒分散溶液として用いられる。デスミア処理に用いられるデスミア処理液は、一般にアルカリを含む。デスミア処理液は、水酸化ナトリウムを含むことが好ましい。
上記デスミア処理の方法は特に限定されない。上記デスミア処理の方法として、例えば、30〜90g/L過マンガン酸又は過マンガン酸塩溶液及び30〜90g/L水酸化ナトリウム溶液を用いて、処理温度30〜85℃及び1〜30分間の条件で、1回又は2回、硬化物を処理する方法が好適である。上記デスミア処理の温度は50〜85℃の範囲内であることが好ましい。
上記樹脂組成物の使用により、デスミア処理された硬化物の表面の表面粗さが十分に小さくなる。
以下、実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されない。
以下の成分を用いた。
(熱硬化性化合物)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC社製「850−S」、エポキシ当量185g/eq.)
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(DIC社製「HP−7200HH」エポキシ当量280g/eq.)
ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬社製「NC−3000−FH」、エポキシ当量315g/eq.)
ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂(DIC社製「HP−6000」、エポキシ当量250g/eq.)
イソシアネート変性エポキシ樹脂(旭化成イーマテリアルズ社製「AER 4004」、エポキシ当量403g/eq.)
(硬化剤)
アミノトリアジン変性フェノールノボラック樹脂(フェノール化合物、DIC社製「LA1356」、固形分60重量%、メチルエチルケトン40重量%を含む、フェノール基当量146g/eq.)
アミノトリアジン変性クレゾールノボラック樹脂(フェノール化合物、DIC社製「LA3018−50P」、固形分50重量%、プロピレングリコールモノメチルエーテル50重量%を含む、フェノール基当量151g/eq.)
ビフェニルノボラック樹脂(フェノール化合物、明和化成社製「MEHC−7851H」、フェノール基当量217g/eq.)
フェノールノボラック樹脂(フェノール化合物、明和化成社製「H−4」、フェノール基当量105g/eq.)
シアネートエステル化合物含有液A(シアネートエステル化合物、ロンザジャパン社製「BA−230S」、固形分75重量%とメチルエチルケトン25重量%とを含む、シアネートエステル基当量235g/eq.)
シアネートエステル化合物含有液B(シアネートエステル化合物、ロンザジャパン社製「BA−3000S」、固形分75重量%とメチルエチルケトン25重量%とを含む、シアネートエステル基当量234g/eq.)
ジシクロペンタジエン骨格含有活性エステル樹脂(活性エステル化合物、DIC社製「HPC−8000−65T」固形分65重量%とトルエン35重量%とを含む、活性エステル基当量223g/eq.)
(熱可塑性樹脂)
フェノキシ樹脂含有液A(三菱化学社製「YX6954BH30」、重量平均分子量39000、固形分30重量%とメチルエチルケトン35重量%とシクロヘキサノン35重量%とを含む)
(硬化促進剤)
イミダゾール化合物A(四国化成工業社製「2P4MZ」)
イミダゾール化合物B(四国化成工業社製「2E4MZ」)
(無機充填材)
球状シリカA(アドマテックス社製「SO−C2」をN−フェニル−3−アミノプロピル基を有するシランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM−573」)で表面処理した球状シリカ)
球状シリカB(アドマテックス社製「SO−C4」をN−フェニル−3−アミノプロピル基を有するシランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM−573」)で表面処理した球状シリカ)
(溶剤)
シクロヘキサノン(和光純薬工業社製「037−05096」)
(実施例1)
アミノトリアジン変性フェノールノボラック樹脂(DIC社製「LA1356」)4.33重量部(固形分で2.6重量部)、ビフェニルノボラック樹脂(明和化成社製「MEHC−7851H」)3.8重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC社製「850−S」)1.7重量部、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(DIC社製「HP−7200HH」)7.3重量部、ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬社製「NC−3000−FH」)2.6重量部、イミダゾール化合物A(四国化成工業社製「2P4MZ」)0.1重量部、球状シリカA(アドマテックス社製「SO−C2」をN−フェニル−3−アミノプロピル基を有するシランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM−573」)で表面処理した球状シリカ)59.0重量部、及びシクロヘキサノン(和光純薬工業社製「037−05096」)22.9重量部を混合し、均一な溶液となるまで常温で攪拌し、樹脂組成物(ワニス)を得た。
アプリケーターを用いて、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製「XG284」、厚み25μm)の離型処理面上に得られた樹脂組成物(ワニス)を塗工した後、100℃のギアオーブン内で2分間乾燥し、溶剤を揮発させた。このようにして、PETフィルム上に、厚さが40μmであり、溶剤の残量が1.0重量%以上、4.0重量%以下である樹脂フィルム(Bステージフィルム)(積層フィルムの状態)を得た。
(実施例2〜8及び比較例1〜4)
配合成分の種類及び配合量を下記の表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、樹脂組成物及び樹脂フィルムを得た。
(評価)
(1)ピール強度の測定
以下のようにして、ピール強度の測定用サンプルを作製した。
積層板の下地処理:
エッチングにより内層回路を形成したガラスエポキシ基板(利昌工業社製「CS−3665」)の両面を銅表面粗化剤(メック社製「メックエッチボンド CZ−8100」)に浸漬して、銅表面を粗化処理した。
積層フィルムのラミネート:
得られた積層フィルムを、樹脂フィルムの未硬化物側から上記ガラスエポキシ基板の両面にセットして、ダイアフラム式真空ラミネーター(名機製作所社製「MVLP−500」)を用いて、上記ガラスエポキシ基板の両面にラミネートした。ラミネートは、20秒減圧して気圧を13hPa以下とし、その後20秒間を100℃及び圧力0.8MPaでプレスすることにより行った。
樹脂フィルムの硬化:
ラミネートされた積層フィルムからPETフィルムを剥離し、その後140℃及び60分の硬化条件で樹脂フィルムを硬化させ、積層サンプルを得た。
膨潤処理:
70℃の膨潤液(アトテックジャパン社製「スウェリングディップセキュリガントP」と和光純薬工業社製「水酸化ナトリウム」とを含む水溶液)に、上記積層サンプルを入れて、膨潤温度70℃で10分間揺動させた。その後、純水で洗浄した。
粗化処理(過マンガン酸塩処理):
80℃の過マンガン酸ナトリウム粗化水溶液(アトテックジャパン社製「コンセントレートコンパクトCP」、和光純薬工業社製「水酸化ナトリウム」)に、膨潤処理された上記積層サンプルを入れて、粗化温度80℃で40分間揺動させた。その後、40℃の洗浄液(アトテックジャパン社製「リダクションセキュリガントP」、和光純薬工業社製「硫酸」)により10分間洗浄した後、純水でさらに洗浄した。このようにして、エッチングにより内層回路を形成したガラスエポキシ基板上に、粗化処理された硬化物を形成した。
無電解めっき処理:
上記粗化処理された硬化物の表面を、60℃のアルカリクリーナ(アトテックジャパン社製「クリーナーセキュリガント902」)で5分間処理し、脱脂洗浄した。洗浄後、上記硬化物を25℃のプリディップ液(アトテックジャパン社製「プリディップネオガントB」)で2分間処理した。その後、上記硬化物を40℃のアクチベーター液(アトテックジャパン社製「アクチベーターネオガント834」)で5分間処理し、パラジウム触媒を付けた。次に、30℃の還元液(アトテックジャパン社製「リデューサーネオガントWA」)により、硬化物を5分間処理した。
次に、上記硬化物を化学銅液(全てアトテックジャパン社製「ベーシックプリントガントMSK−DK」、「カッパープリントガントMSK」、「スタビライザープリントガントMSK」、「リデューサーCu」)に入れ、無電解めっきをめっき厚さが0.5μm程度になるまで実施した。無電解めっき後に、残留している水素ガスを除去するため、120℃の温度で30分間アニールをかけた。無電解めっきの工程までのすべての工程は、ビーカースケールで処理液を2Lとし、硬化物を揺動させながら実施した。
次に、無電解めっき処理された硬化物に、電解めっきをめっき厚さが25μmとなるまで実施した。電解銅めっきとして硫酸銅溶液(和光純薬工業社製「硫酸銅五水和物」、和光純薬工業社製「硫酸」、アトテックジャパン社製「ベーシックレベラーカパラシド HL」、アトテックジャパン社製「補正剤カパラシド GS」)を用いて、0.6A/cmの電流を流しめっき厚さが25μm程度となるまで電解めっきを実施した。銅めっき処理後、硬化物を190℃で90分間加熱し、硬化物をさらに硬化させた。このようにして、銅めっき層が上面に積層された硬化物を得た。
得られた銅めっき層が積層された硬化物において、銅めっき層の表面に、10mm幅に切り欠きを入れた。その後、引張試験機(島津製作所社製「AG−5000B」)を用いて、クロスヘッド速度5mm/分の条件で、硬化物と銅めっき層とのピール強度を測定した。
[ピール強度の判断基準]
○:0.5kgf/cm以上
△:0.4kgf/cm以上、0.5kgf/cm未満
×:0.4kgf/cm未満
(2)線膨張係数(CTE)の評価
得られた積層フィルムからPETフィルムを剥がし、樹脂フィルムの未硬化物を190℃のギアオーブン内で90分加熱して、樹脂フィルムの硬化物(上記した硬化物(X1)にも相当する)を得た。
得られた硬化物を3mm×25mmの大きさに裁断した。熱・応力・歪測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製「EXSTAR TMA/SS6100」)を用いて、引っ張り荷重2.94×10−2N、昇温速度5℃/分の条件で、裁断された硬化物の25〜150℃の平均線膨張率を測定し、線膨張係数を評価した。
[線膨張係数の判断基準]
○:線膨張係数が20ppm/℃未満
×:線膨張係数が20ppm/℃以上
(3)煮沸吸水率の評価
得られた樹脂フィルムを190℃のギアオーブン内で90分加熱することで、硬化物(X)(上記した硬化物(X1)にも相当する)を得た。
得られた硬化物(X)をカッターで50±1mm×50±1mmの大きさに切断し、硬化物(X)について、50±2℃に保った恒温槽中で24±1時間乾燥処理を行った。硬化物(X)をデシケーター中で20±10℃まで冷却し、硬化物(X)の重量を1mgまで正確に量った(W1)。
次に、硬化物(X)を沸騰蒸留水中に入れて1時間煮沸した後取り出し、20±10℃の流れる水中で30分間冷却し、乾燥した清浄なガーゼなどでふき、表面のちりを羽毛又は毛筆で払い、1分間以内に、硬化物(X)をはかり瓶に入れて吸水後の質量を1mgまで正確に量った(W2)。ただし、煮沸中に硬化物(X)が互いに接触しないように注意した。煮沸吸水率は、下記式により算出した。
煮沸吸水率(%)=(W2−W1)/W1×100
[煮沸吸水率の判断基準]
○:0.4重量%未満
×:0.4重量%以上
(4)破断伸びの評価
得られた樹脂フィルムを190℃のギアオーブン内で90分加熱することで、硬化物(X)(上記した硬化物(X1)にも相当する)を得た。
得られた硬化物(X)をカッターで20cm×1cmの大きさに切断し、島津製作所社製「AG−100kNXplus」を用いて破断伸びの測定を行った。
なお、測定時のサンプルチャック間距離は10cmであり、10mm/分の速さでサンプルを引っ張ることで測定を行った。破断伸びを以下の基準で判定した。
[破断伸びの判断基準]
○:1.5%以上
△:1.2%以上、1.5%未満
×:1.2%未満
Figure 2017179351
なお、実施例1〜8の硬化物は、高温下に晒されても、硬化物が接着対象物から剥離し難いことが確認された。また、上記の表1に示す結果から、粗化処理された表面又はデスミア処理された表面が過度に除去されることなく、硬化物と接着対象物との密着性を高め、更に、高温下に晒されても、高い初期の密着性と低い線膨張係数とによって硬化物を接着対象物から剥離し難くするためには、上記線膨張係数を低くするだけでなく、上記煮沸吸水率も上述した範囲を満足する必要があることがわかる。
11…多層基板
12…回路基板
12a…上面
13〜16…絶縁層
17…金属層

Claims (14)

  1. 樹脂組成物の硬化物であって、
    前記樹脂組成物は、エポキシ化合物と、硬化剤と、無機充填材とを含み、
    25℃以上、150℃以下の温度領域での前記硬化物の線膨張係数が20ppm/℃未満であり、JIS K6911に準拠して測定される前記硬化物の煮沸吸水率が0.4重量%未満である、樹脂組成物の硬化物。
  2. JIS K7127に準拠して測定される前記硬化物の破断伸びが1.5%以上である、請求項1に記載の樹脂組成物の硬化物。
  3. 前記硬化剤がフェノール化合物である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物の硬化物。
  4. 前記樹脂組成物が、熱可塑性樹脂を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物の硬化物。
  5. 前記硬化物100重量%中、前記無機充填材の含有量が60重量%以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物の硬化物。
  6. 多層プリント配線板において、絶縁層を構成するために用いられる多層プリント配線板用硬化物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物の硬化物。
  7. エポキシ化合物と、硬化剤と、無機充填材とを含み、
    190℃で90分間硬化させて硬化物を得たときに、25℃以上、150℃以下の温度領域での前記硬化物の線膨張係数が20ppm/℃未満であり、JIS K6911に準拠して測定される前記硬化物の煮沸吸水率が0.4重量%未満である、樹脂組成物。
  8. JIS K7127に準拠して測定される前記硬化物の破断伸びが1.5%以上である、請求項7に記載の樹脂組成物。
  9. 前記硬化剤がフェノール化合物である、請求項7又は8に記載の樹脂組成物。
  10. 熱可塑性樹脂を含む、請求項7〜9のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  11. 前記樹脂組成物中の溶剤を除く全成分100重量%中、前記無機充填材の含有量が60重量%以上である、請求項7〜10のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  12. 多層プリント配線板において、絶縁層を構成するために用いられる多層プリント配線板用樹脂組成物である、請求項7〜11のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  13. 回路基板と、
    前記回路基板の表面上に配置された絶縁層とを備え、
    前記絶縁層が、請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物の硬化物である、多層基板。
  14. 回路基板と、
    前記回路基板の表面上に配置された絶縁層とを備え、
    前記絶縁層が、請求項7〜12のいずれか1項に記載の樹脂組成物の硬化物である、多層基板。
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