JP6716781B2 - 積層フィルム及びプリント配線板用組み合わせ部材 - Google Patents

積層フィルム及びプリント配線板用組み合わせ部材 Download PDF

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Description

本発明は、例えば、プリント配線板において、絶縁層を形成するために用いられる積層フィルムに関する。また、本発明は、上記積層フィルムを備えるプリント配線板用組み合わせ部材に関する。
従来、半導体装置、積層板及びプリント配線板等の電子部品を得るために、様々な樹脂組成物が用いられている。例えば、多層プリント配線板では、内部の層間を絶縁するための絶縁層を形成したり、表層部分に位置する絶縁層を形成したりするために、樹脂組成物が用いられている。上記絶縁層を形成するために、樹脂層を含む積層フィルムが用いられている。
上記絶縁層の表面には、一般に金属である配線が積層される。この配線は、サブドラクティブ法、及びアディティブ法等により形成される。特に微細な配線を形成する場合には、配線はセミアディティブ法により形成される。セミアディティブ法では、絶縁層上に形成したシード層と呼ばれる薄い導電層上に、めっきレジストを形成して電解銅めっきでレジスト間に配線を形成する。配線形成後は、レジストを除去し、配線のシード層をエッチングすることで、配線間の絶縁が得られる。
下記の特許文献1には、基材と、光導波路用樹脂層と、保護フィルムとを備える光導波路用ドライフィルムが開示されている。この光導波路用ドライフィルムでは、保護フィルムの光導波路用樹脂層と接する面の算術平均粗さが0.1μm以上、1μm以下、かつ、十点平均粗さが1μm以上、10μm以下であってもよい。なお、この光導波路用ドライフィルムは、光導波路として用いられるために、無機充填材は含まれない。
下記の特許文献2には、支持体と、樹脂組成物層と、保護フィルムとを備える保護フィルム付き接着シートが開示されている。この保護フィルム付き接着シートでは、保護フィルムの第1の表面及び第2の表面の算術平均粗さが100nm以上である。
WO2015/045349A1 特開2016−20480号公報
情報伝送量の増加に対応したり、高速通信化を達成したりするために、プリント配線板等は多層化、大型化、及び微細配線化している。しかしながら、多層化、大型化、及び微細配線化したプリント配線板を製造する際には、ボイドの発生や、エッチング後の銅残り等により、歩留まりが低下することが多い。このうち、エッチング後の銅残りは、絶縁層に無機充填材が含まれる場合、及び算術平均粗さが小さな表面を有する銅箔(金属層)を用いる場合等に発生しやすくなる。銅残りが発生すると、金属配線間の絶縁性が損なわれ、ショート欠陥が発生する。
特許文献1に記載の光導波路用ドライフィルムでは、無機充填材が用いられていないたに、無機充填材を用いることにより生じる上記の課題は生じない。
特許文献2に記載のような従来の接着シートでは、エッチング後の銅残りが発生することがある。
本発明の目的は、エッチング後の銅残りの発生を抑えることができる積層フィルムを提供することである。また、本発明は、上記積層フィルムを備えるプリント配線板用組み合わせ部材を提供することを目的とする。
本発明の広い局面によれば、基材と、前記基材の表面上に積層された樹脂層と、前記樹脂層の前記基材側とは反対の表面上に積層された保護フィルムとを備え、前記樹脂層は、無機充填材を含み、前記保護フィルムを剥離した後の、前記保護フィルムの剥離により露出した前記樹脂層の表面の算術平均粗さRaが、30nm以上600nm以下である、積層フィルムが提供される。
本発明に係る積層フィルムのある特定の局面では、前記樹脂層100重量%中、前記無機充填材の含有量が30重量%以上である。
本発明に係る積層フィルムのある特定の局面では、前記樹脂層が、熱硬化性化合物を含む。
本発明に係る積層フィルムのある特定の局面では、前記樹脂層の70℃での弾性率が5000Pa以下である。
本発明に係る積層フィルムのある特定の局面では、前記無機充填材の平均粒径が10nm以上3μm以下である。
本発明に係る積層フィルムのある特定の局面では、前記積層フィルムは、プリント配線板において、絶縁層を形成するために用いられる。
本発明の広い局面によれば、銅箔に樹脂層が積層されたプリント配線板を得るために用いられるプリント配線板用組み合わせ部材であり、上述した積層フィルムと、銅箔を表面に有するプリント配線板本体とを備え、前記保護フィルムを剥離した後の、前記保護フィルムの剥離により露出した前記樹脂層の表面の算術平均粗さRaと、前記銅箔の前記樹脂層が積層される表面の算術平均粗さRaとの合計が800nm未満である、プリント配線板用組み合わせ部材が提供される。
本発明に係る積層フィルムは、基材と、上記基材の表面上に積層された樹脂層と、上記樹脂層の上記基材側とは反対の表面上に積層された保護フィルムとを備え、上記樹脂層は、無機充填材を含み、上記保護フィルムを剥離した後の、上記保護フィルムの剥離により露出した上記樹脂層の表面の算術平均粗さRaが、30nm以上600nm以下である。本発明に係る積層フィルムでは、上記の構成が備えられているので、エッチング後の銅残りの発生を抑えることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る積層フィルムを模式的に示す断面図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る積層フィルムにおける樹脂層を用いた多層プリント配線板を模式的に示す断面図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る積層フィルムは、基材と、樹脂層と、保護フィルムとを備える。本発明に係る積層フィルムでは、基材と、樹脂層と、保護フィルムとがこの順で積層されている。上記樹脂層は、上記基材の表面上に積層されている。上記保護フィルムは、上記樹脂層の上記基材側とは反対の表面に積層されている。
本発明に係る積層フィルムでは、上記樹脂層は、無機充填材を含む。
本発明に係る積層フィルムでは、樹脂層を用いる際に、保護フィルムは剥離される。本発明に係る積層フィルムでは、上記保護フィルムを剥離した後の、該保護フィルムの剥離により露出した上記樹脂層の表面の算術平均粗さRaが、30nm以上600nm以下である。上記保護フィルムの剥離により露出した上記樹脂層の表面は、上記保護フィルムが剥離される前に上記保護フィルムが積層されていた上記樹脂層の表面であり、上記樹脂層の上記保護フィルム側の表面である。
本発明に係る積層フィルムでは、上記の構成が備えられているので、エッチング後の銅残りの発生を抑えることができる。本発明に係る積層フィルムでは、エッチング後の銅残りの発生を抑えることができるので、歩留まりを良好にすることができる。結果として、本発明に係る積層フィルムを用いて製造されるプリント配線板等の電子製品の製造コストを抑えることができ、また、プリント配線板等の電子製品の絶縁信頼性を向上させ、ショート欠陥の発生を抑えることができる。特に、本発明に係る積層フィルムを用いて製造される多層プリント配線板等の電子製品の製造コストを抑えることができ、また、上記多層プリント配線板の絶縁信頼性を向上させ、ショート欠陥の発生を抑えることができる。
樹脂層が無機充填材を含むと、エッチング後の銅残りが発生しやすい。また、金属層として用いる銅箔の表面の算術平均粗さが小さいと、エッチング後の銅残りが発生しやすい。本発明に係る積層フィルムでは、樹脂層が無機充填材を含んでいるにも関わらず、保護フィルムを剥離した後の、該保護フィルムの剥離により露出した樹脂層の表面の算術平均粗さRaが、上述した範囲を満足するので、エッチング後の銅残りの発生を抑えることができる。また、本発明に係る積層フィルムでは、算術平均粗さが小さな表面を有する銅箔(金属層)を用いたとしても、保護フィルムを剥離した後の、該保護フィルムの剥離により露出した樹脂層の表面の算術平均粗さRaが、上述した範囲を満足するので、エッチング後の銅残りの発生を抑えることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る積層フィルムを模式的に示す断面図である。
積層フィルム1は、基材4と、樹脂層2と、保護フィルム3とを備える。保護フィルム3は、樹脂層2の第1の表面2aに積層されている。基材4は、樹脂層2の第1の表面2aとは反対側の第2の表面2bに積層されている。
エッチング後の銅残りの発生を抑える観点から、上記保護フィルムを剥離した後の、該保護フィルムの剥離により露出した上記樹脂層の表面の算術平均粗さRaは、30nm以上600nm以下である。エッチング後の銅残りの発生をより一層抑える観点から、上記保護フィルムを剥離した後の、該保護フィルムの剥離により露出した上記樹脂層の表面の算術平均粗さRaは、好ましくは35nm以上、より好ましくは40nm以上、好ましくは550nm以下、より好ましくは500nm以下である。
上記算術平均粗さRaを測定する際には、上記保護フィルムは、樹脂層を硬化させる前に剥離され、樹脂層の表面処理(膨潤処理や粗化処理など)を行う前に剥離される。上記算術平均粗さRaは、上記保護フィルムを剥離した後、樹脂層を硬化させずに測定される。上記算術平均粗さRaは、上記保護フィルムを剥離した後、樹脂層の表面処理(膨潤処理や粗化処理など)を行わずに測定される。上記算術平均粗さRaは、非接触型表面粗さ計を用いて、VSIコンタクトモード、50倍レンズにより測定範囲を95.6μm×71.7μmとして測定される。
本発明に係る積層フィルムでは、保護フィルムを剥離した後の該保護フィルムの剥離により露出した樹脂層の表面の算術平均粗さRaが上述した範囲を満足する。
保護フィルムを剥離した後の該保護フィルムの剥離により露出した樹脂層の表面の算術平均粗さRaと、保護フィルムの樹脂層側の表面の算術平均粗さとは一致しない。保護フィルムの樹脂層側の表面の算術平均粗さが上述した範囲を満足したとしても、保護フィルムを剥離した後の該保護フィルムの剥離により露出した樹脂層の表面の算術平均粗さRaは、上述した範囲を満足しないことがある。保護フィルムの樹脂層側の表面の算術平均粗さのみを制御したとしても、保護フィルムを剥離した後の、該保護フィルムの剥離により露出した樹脂層の表面の算術平均粗さRaを制御することはできない。
保護フィルムを剥離した後の該保護フィルムの剥離により露出した樹脂層の表面の算術平均粗さRaと、保護フィルムの樹脂層側とは反対の表面の算術平均粗さとは一致しない。保護フィルムの樹脂層側とは反対の表面の算術平均粗さが上述した範囲を満足したとしても、保護フィルムを剥離した後の該保護フィルムの剥離により露出した樹脂層の表面の算術平均粗さRaは、上述した範囲を満足しないことがある。保護フィルムの樹脂層側とは反対の表面の算術平均粗さのみを制御したとしても、保護フィルムを剥離した後の該保護フィルムの剥離により露出した樹脂層の表面の算術平均粗さRaを制御することはできない。
本発明では、保護フィルムの樹脂層側の表面の算術平均粗さではなく、又、保護フィルムの樹脂層側とは反対の表面の算術平均粗さではなく、保護フィルムを剥離した後の該保護フィルムの剥離により露出した樹脂層の表面の算術平均粗さRaを上述した範囲としたことに大きな意味がある。
以下、本発明に係る積層フィルムの詳細を説明する。
(基材)
上記基材としては、金属箔、ポリエチレンテレフタレートフィルム及びポリブチレンテレフタレートフィルムなどのポリエステル樹脂フィルム、ポリエチレンフィルム及びポリプロピレンフィルムなどのオレフィン樹脂フィルム、並びにポリイミドフィルム等が挙げられる。上記基材の表面は、必要に応じて、離型処理されていてもよい。上記基材は、金属箔であってもよく、樹脂フィルムであってもよい。上記基材は、樹脂フィルムであることが好ましい。上記基材として、金属箔を用いる場合、上記金属箔は銅箔であることが好ましい。
積層フィルムの操作性を良好にし、また、樹脂層のラミネート性を良好にする観点からは、上記基材の厚みは、好ましくは15μm以上、より好ましくは20μm以上、好ましくは75μm以下、より好ましくは50μm以下である。
(樹脂層)
上記樹脂層は、基材の表面上に積層される。
以下、樹脂層に用いられる各成分の詳細を説明する。
[無機充填材]
上記樹脂層は、無機充填材を含む。無機充填材の使用により、硬化物の熱による寸法変化が小さくなる。さらに、硬化物の表面の表面粗さがより一層小さくなり、硬化物と金属層との接着強度が高くなる。
上記無機充填材としては、シリカ、タルク、クレイ、マイカ、ハイドロタルサイト、アルミナ、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、及び窒化ホウ素等が挙げられる。
硬化物の表面の表面粗さを小さくし、硬化物と金属層との接着強度をより一層高くし、かつ硬化物の表面により一層微細な配線を形成し、かつ硬化物により良好な絶縁信頼性を付与する観点からは、上記無機充填材は、シリカ又はアルミナであることが好ましく、シリカであることがより好ましく、溶融シリカであることが更に好ましい。シリカの使用により、硬化物の熱膨張率がより一層低くなり、かつ硬化物の表面の表面粗さが効果的に小さくなり、硬化物と金属層との接着強度が効果的に高くなる。シリカの形状は球状であることが好ましい。
硬化環境によらず、樹脂層の硬化を進め、硬化物のガラス転移温度を効果的に高くし、硬化物の熱線膨張係数を効果的に小さくする観点からは、上記無機充填材は球状シリカであることが好ましい。
上記無機充填材の平均粒径は、好ましくは10nm以上、より好ましくは25nm以上、更に好ましくは50nm以上、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、更に好ましくは3μm以下、特に好ましくは1μm以下である。上記無機充填材の平均粒径が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化物と金属層との接着強度がより一層高くなる。硬化物と金属層との接着強度を効果的に高くし、エッチング後の銅残りの発生を効果的に抑える観点からは、上記無機充填材の平均粒径は、10nm以上3μm以下であることが特に好ましい。
上記無機充填材の平均粒径として、50%となるメディアン径(d50)の値が採用される。上記平均粒径は、レーザー回折散乱方式の粒度分布測定装置を用いて測定可能である。
上記無機充填材は、球状であることが好ましく、球状シリカであることがより好ましい。この場合には、硬化物の表面の表面粗さが効果的に小さくなり、更に硬化物と金属層との接着強度が効果的に高くなる。上記無機充填材が球状である場合には、上記無機充填材のアスペクト比は、好ましくは2以下、より好ましくは1.5以下である。
上記無機充填材は、表面処理されていることが好ましく、カップリング剤による表面処理物であることがより好ましく、シランカップリング剤による表面処理物であることが更に好ましい。これにより、粗化硬化物の表面の表面粗さがより一層小さくなり、硬化物と金属層との接着強度がより一層高くなり、かつ硬化物の表面により一層微細な配線が形成され、かつより一層良好な配線間絶縁信頼性及び層間絶縁信頼性を硬化物に付与することができる。
上記カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤及びアルミニウムカップリング剤等が挙げられる。上記シランカップリング剤としては、メタクリルシラン、アクリルシラン、アミノシラン、イミダゾールシラン、ビニルシラン、及びエポキシシラン等が挙げられる。
上記樹脂層100重量%中、上記無機充填材の含有量は、好ましくは30重量%以上、より好ましくは35重量%以上、更に好ましくは40重量%以上、特に好ましくは45重量%以上、最も好ましくは50重量%以上である。上記樹脂層100重量%中、上記無機充填材の含有量は、好ましくは95重量%以下、より好ましくは90重量%以下、更に好ましくは85重量%以下、特に好ましくは80重量%以下である。上記無機充填材の含有量が上記下限以上であっても、保護フィルムを剥離した後の、該保護フィルムの剥離により露出した樹脂層の表面の算術平均粗さRaが、上述した範囲を満足するので、エッチング後の銅残りの発生を抑えることができる。また、上記無機充填材の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化物の表面の表面粗さがより一層小さくなり、硬化物と金属層との接着強度がより一層高くなり、かつ硬化物の表面により一層微細な配線が形成される。さらに、この無機充填材量であれば、硬化物の熱膨張率を低くすることと同時に、スミア除去性を良好にすることも可能である。上記無機充填材の含有量が上記下限以上であると、誘電正接が効果的に低くなる。上記無機充填材の含有量が上記上限以下であると、エッチング後の銅残りの発生をより一層抑えることができる。
[熱硬化性化合物]
上記樹脂層は、熱硬化性化合物を含むことが好ましい。上記熱硬化性化合物は特に限定されない。上記熱硬化性化合物として、従来公知の熱硬化性化合物を使用可能である。
上記熱硬化性化合物としては、スチレン化合物、フェノキシ化合物、オキセタン化合物、エポキシ化合物、エピスルフィド化合物、(メタ)アクリル化合物、フェノール化合物、アミノ化合物、不飽和ポリエステル化合物、ポリウレタン化合物、シリコーン化合物及びポリイミド化合物等が挙げられる。上記熱硬化性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記熱硬化性化合物は、エポキシ化合物であることが好ましい。該エポキシ化合物は、少なくとも1個のエポキシ基を有する有機化合物をいう。上記熱硬化性化合物及び上記エポキシ化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物、ビフェニルノボラック型エポキシ化合物、ビフェノール型エポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、フルオレン型エポキシ化合物、フェノールアラルキル型エポキシ化合物、ナフトールアラルキル型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物、アントラセン型エポキシ化合物、アダマンタン骨格を有するエポキシ化合物、トリシクロデカン骨格を有するエポキシ化合物、ナフチレンエーテル型エポキシ化合物、及びトリアジン核を骨格に有するエポキシ化合物等が挙げられる。
硬化物と金属層との接着強度をより一層高くする観点からは、上記エポキシ化合物は、芳香族骨格を有することが好ましく、ビフェニル骨格を有することが好ましく、ビフェニル型エポキシ化合物であることが好ましい。
硬化物と金属層との接着強度をより一層高くする観点からは、上記樹脂層100重量%中、上記熱硬化性化合物の含有量は、好ましくは3重量%以上、より好ましくは5重量%以上、好ましくは50重量%以下、より好ましくは45重量%以下、更に好ましくは40重量%以下、特に好ましくは35重量%以下である。
硬化物と金属層との接着強度をより一層高くする観点からは、上記樹脂層100重量%中、上記エポキシ化合物の含有量は、好ましくは3重量%以上、より好ましくは5重量%以上、好ましくは50重量%以下、より好ましくは45重量%以下、更に好ましくは40重量%以下、特に好ましくは35重量%以下である。
上記エポキシ化合物の分子量は1000以下であることがより好ましい。この場合には、樹脂層をラミネートした場合に、無機充填材を均一に存在させることができる。
エポキシ化合物の分子量、及び後述する硬化剤の分子量は、エポキシ化合物又は硬化剤が重合体ではない場合、及びエポキシ化合物又は硬化剤の構造式が特定できる場合は、当該構造式から算出できる分子量を意味する。また、エポキシ化合物又は硬化剤が重合体である場合は、重量平均分子量を意味する。
[硬化剤]
上記樹脂層は、硬化剤を含むことが好ましい。上記硬化剤は特に限定されない。上記硬化剤として、従来公知の硬化剤を使用可能である。上記硬化剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記硬化剤としては、シアネートエステル化合物(シアネートエステル硬化剤)、フェノール化合物(フェノール硬化剤)、アミン化合物(アミン硬化剤)、チオール化合物(チオール硬化剤)、イミダゾール化合物、ホスフィン化合物、酸無水物、活性エステル化合物及びジシアンジアミド等が挙げられる。上記熱硬化性化合物が、エポキシ化合物である場合、上記硬化剤は、上記エポキシ化合物のエポキシ基と反応可能な官能基を有することが好ましい。
上記シアネートエステル化合物としては、ノボラック型シアネートエステル樹脂、ビスフェノール型シアネートエステル樹脂、並びにこれらが一部三量化されたプレポリマー等が挙げられる。上記ノボラック型シアネートエステル樹脂としては、フェノールノボラック型シアネートエステル樹脂及びアルキルフェノール型シアネートエステル樹脂等が挙げられる。上記ビスフェノール型シアネートエステル樹脂としては、ビスフェノールA型シアネートエステル樹脂、ビスフェノールE型シアネートエステル樹脂及びテトラメチルビスフェノールF型シアネートエステル樹脂等が挙げられる。
上記シアネートエステル化合物の市販品としては、フェノールノボラック型シアネートエステル樹脂(ロンザジャパン社製「PT−30」及び「PT−60」)、及びビスフェノール型シアネートエステル樹脂が三量化されたプレポリマー(ロンザジャパン社製「BA−230S」、「BA−3000S」、「BTP−1000S」及び「BTP−6020S」)等が挙げられる。
上記フェノール化合物としては、ノボラック型フェノール、ビフェノール型フェノール、ナフタレン型フェノール、ジシクロペンタジエン型フェノール、アラルキル型フェノール及びジシクロペンタジエン型フェノール等が挙げられる。
上記フェノール化合物の市販品としては、ノボラック型フェノール(DIC社製「TD−2091」)、ビフェニルノボラック型フェノール(明和化成社製「MEH−7851」)、アラルキル型フェノール化合物(明和化成社製「MEH−7800」)、並びにアミノトリアジン骨格を有するフェノール(DIC社製「LA1356」及び「LA3018−50P」)等が挙げられる。
誘電正接をより一層低くする観点から、上記硬化剤は、活性エステル化合物を含むことが好ましい。上記活性エステル化合物とは、構造体中にエステル結合を少なくとも1つ含み、かつ、エステル結合の両側に芳香族環が結合している化合物をいう。活性エステル化合物の好ましい例としては、下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006716781
上記式(1)中、X1及びX2はそれぞれ、芳香族環を含む基を表す。上記芳香族環を含む基の好ましい例としては、置換基を有していてもよいベンゼン環、及び置換基を有していてもよいナフタレン環等が挙げられる。上記置換基としては、炭化水素基が挙げられる。該炭化水素基の炭素数は、好ましくは12以下、より好ましくは6以下、更に好ましくは4以下である。
X1及びX2の組み合わせとしては、置換基を有していてもよいベンゼン環と、置換基を有していてもよいベンゼン環との組み合わせ、置換基を有していてもよいベンゼン環と、置換基を有していてもよいナフタレン環との組み合わせが挙げられる。さらに、X1及びX2の組み合わせとしては、置換基を有していてもよいナフタレン環と、置換基を有していてもよいナフタレン環との組み合わせが挙げられる。
上記活性エステル化合物は特に限定されない。上記活性エステル化合物の市販品としては、DIC社製「HPC−8000−65T」、「EXB9416−70BK」及び「EXB8100−65T」等が挙げられる。
上記硬化剤の分子量は1000以下であることが好ましい。この場合には、樹脂層をラミネートした場合に、無機充填材を均一に存在させることができる。
上記樹脂層中の上記無機充填材を除く成分100重量%中、上記熱硬化性化合物と上記硬化剤との合計の含有量、及び上記エポキシ化合物と上記硬化剤との合計の含有量は、好ましくは35重量%以上、より好ましくは40重量%以上、好ましくは95重量%以下、より好ましくは90重量%以下である。上記熱硬化性化合物と上記硬化剤との合計の含有量、及び上記エポキシ化合物と上記硬化剤との合計の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、より一層良好な硬化物が得られ、溶融粘度を調整することができるために無機充填材の分散性が良好になる。さらに、硬化過程で、意図しない領域に樹脂層が濡れ拡がることを防止できる。さらに、硬化物の熱による寸法変化をより一層抑制できる。また、上記熱硬化性化合物と上記硬化剤との合計の含有量、及び上記エポキシ化合物と上記硬化剤との合計の含有量が上記下限以上であると、溶融粘度が低くなりすぎず、硬化過程で、意図しない領域に絶縁フィルムが過度に濡れ拡がりにくくなる傾向がある。また、上記熱硬化性化合物と上記硬化剤との合計の含有量、及び上記エポキシ化合物と上記硬化剤との合計の含有量が上記上限以下であると、回路基板の穴又は凹凸に対する埋め込みが容易になり、さらに無機充填材が不均一に存在しにくくなる傾向がある。
上記樹脂層中の上記無機充填材を除く成分100重量%中、上記硬化剤の含有量は、好ましくは25重量%以上、より好ましくは30重量%以上であり、好ましくは65重量%以下、より好ましくは60重量%以下である。上記硬化剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、より一層良好な硬化物が得られ、誘電正接が効果的に低くなる。
[熱可塑性樹脂]
上記樹脂層は、熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。上記熱可塑性樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂及びフェノキシ樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
硬化環境によらず、誘電正接を効果的に低くし、かつ、金属配線の密着性を効果的に高める観点からは、上記熱可塑性樹脂は、フェノキシ樹脂であることが好ましい。フェノキシ樹脂の使用により、樹脂層の回路基板の穴又は凹凸に対する埋め込み性の悪化及び無機充填材の不均一化が抑えられる。また、フェノキシ樹脂の使用により、溶融粘度を調整可能であるために無機充填材の分散性が良好になり、かつ硬化過程で、意図しない領域に樹脂層が濡れ拡がり難くなる。上記フェノキシ樹脂は特に限定されない。上記フェノキシ樹脂として、従来公知のフェノキシ樹脂を使用可能である。上記フェノキシ樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型の骨格、ビスフェノールF型の骨格、ビスフェノールS型の骨格、ビフェニル骨格、ノボラック骨格、ナフタレン骨格及びイミド骨格などの骨格を有するフェノキシ樹脂等が挙げられる。
上記フェノキシ樹脂の市販品としては、例えば、新日鐵住金化学社製の「YP50」、「YP55」及び「YP70」、並びに三菱化学社製の「1256B40」、「4250」、「4256H40」、「4275」、「YX6954BH30」及び「YX8100BH30」等が挙げられる。
保存安定性により一層優れた樹脂層を得る観点からは、上記熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、好ましくは5000以上、より好ましくは10000以上、好ましくは100000以下、より好ましくは50000以下である。
上記熱可塑性樹脂の上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されたポリスチレン換算での重量平均分子量を示す。
上記熱可塑性樹脂及び上記フェノキシ樹脂の含有量は特に限定されない。樹脂層中の上記無機充填材を除く成分100重量%中、上記熱可塑性樹脂の含有量(上記熱可塑性樹脂がフェノキシ樹脂である場合にはフェノキシ樹脂の含有量)は好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下である。上記熱可塑性樹脂の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、樹脂層の回路基板の穴又は凹凸に対する埋め込み性が良好になる。上記熱可塑性樹脂の含有量が上記下限以上であると、樹脂層の形成がより一層容易になり、より一層良好な絶縁層が得られる。上記熱可塑性樹脂の含有量が上記上限以下であると、硬化物の熱膨張率がより一層低くなる。硬化物の表面の表面粗さがより一層小さくなり、硬化物と金属層との接着強度がより一層高くなる。
[硬化促進剤]
上記樹脂層は、硬化促進剤を含むことが好ましい。上記硬化促進剤の使用により、硬化速度がより一層速くなる。樹脂層を速やかに硬化させることで、硬化物における架橋構造が均一になると共に、未反応の官能基数が減り、結果的に架橋密度が高くなる。上記硬化促進剤は特に限定されず、従来公知の硬化促進剤を使用可能である。上記硬化促進剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール化合物、リン化合物、アミン化合物及び有機金属化合物等が挙げられる。
上記イミダゾール化合物としては、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール及び2−フェニル−4−メチル−5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
上記リン化合物としては、トリフェニルホスフィン等が挙げられる。
上記アミン化合物としては、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジエチレンテトラミン、トリエチレンテトラミン及び4,4−ジメチルアミノピリジン等が挙げられる。
上記有機金属化合物としては、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、ビスアセチルアセトナートコバルト(II)及びトリスアセチルアセトナートコバルト(III)等が挙げられる。
上記硬化促進剤の含有量は特に限定されない。樹脂層中の上記無機充填材を除く成分100重量%中、上記硬化促進剤の含有量は好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.05重量%以上、好ましくは5重量%以下、より好ましくは3重量%以下である。上記硬化促進剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、樹脂層が効率的に硬化する。上記硬化促進剤の含有量がより好ましい範囲であれば、樹脂層の保存安定性がより一層高くなり、かつより一層良好な硬化物が得られる。
[溶剤]
上記樹脂層は、溶剤を含まないか又は含む。また、上記溶剤は、上記無機充填材を含むスラリーを得るために用いられてもよい。上記溶剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記溶剤としては、アセトン、メタノール、エタノール、ブタノール、2−プロパノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、2−アセトキシ−1−メトキシプロパン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、メチルイソブチルケトン、N−メチル−ピロリドン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン及び混合物であるナフサ等が挙げられる。
溶剤の多くは、樹脂組成物を用いて、上記樹脂層を成形するときに、除去される。一方で、上記樹脂層中に、溶剤が残存することがある。この溶剤の残存量は、少ない方が好ましい。従って、上記溶剤の沸点は好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下である。上記樹脂層における上記溶剤の含有量は特に限定されない。上記樹脂層の層形状を維持できる程度に、上記溶剤の含有量は適宜変更可能である。
[他の成分]
耐衝撃性、耐熱性、樹脂の相溶性及び作業性等の改善を目的として、上記樹脂層は、レベリング剤、難燃剤、カップリング剤、上述した熱硬化性化合物とは異なる熱硬化性樹脂、着色剤、酸化防止剤、紫外線劣化防止剤、消泡剤、増粘剤、及び揺変性付与剤等を含んでいてもよい。
上記カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤及びアルミニウムカップリング剤等が挙げられる。上記シランカップリング剤としては、ビニルシラン、アミノシラン、イミダゾールシラン及びエポキシシラン等が挙げられる。
上記熱硬化性樹脂としては、ポリフェニレンエーテル樹脂、ジビニルベンジルエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ベンゾオキサゾール樹脂、ビスマレイミド樹脂及びアクリレート樹脂等が挙げられる。
上記樹脂層を得る方法としては、例えば、押出機を用いて、樹脂層材料を溶融混練し、押出した後、Tダイ又はサーキュラーダイ等により、フィルム状に成形する押出成形法、溶剤を含む樹脂層材料をキャスティングしてフィルム状に成形するキャスティング成形法、並びに従来公知のその他のフィルム成形法等が挙げられる。また、基材上に樹脂層材料を積層し、加熱乾燥させ、樹脂層を得ることもできる。薄型化に対応可能であることから、押出成形法又はキャスティング成形法が好ましい。フィルムにはシートが含まれる。
樹脂層材料をフィルム状に成形し、熱による硬化が進行し過ぎない程度に、例えば50〜150℃で1〜10分間加熱乾燥させることにより、Bステージフィルムである樹脂層を得ることができる。
上述のような乾燥工程により得ることができるフィルム状の樹脂層をBステージフィルムと称する。上記Bステージフィルムは、半硬化状態にある。半硬化物は、完全に硬化しておらず、硬化がさらに進行され得る。
上記樹脂層は、Bステージフィルムであることが好ましい。上記樹脂層が、Bステージフィルムである場合、上記保護フィルムを剥離した後の、該保護フィルムの剥離により露出した上記Bステージフィルムの表面の算術平均粗さRaが、上述した範囲を満足する。
樹脂層(樹脂層がBステージフィルムである場合は、Bステージフィルム)のラミネート性をより一層良好にし、樹脂層の硬化度をより一層均一に制御する観点からは、上記樹脂層の厚みは、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下である。
上記樹脂層(樹脂層がBステージフィルムである場合は、Bステージフィルム)の70℃における弾性率は、好ましくは100Pa以上、より好ましくは200Pa以上である。上記樹脂層(樹脂層がBステージフィルムである場合は、Bステージフィルム)の70℃における弾性率は、好ましくは20000Pa以下、より好ましくは10000Pa以下である。上記弾性率が上記下限以上及び上記上限以下であると、保護フィルムを剥離した後の、剥離により露出した上記樹脂層の表面の算術平均粗さRaを制御しやすくなる。また、上記弾性率が上記下限以上及び上記上限以下であると、銅残りの発生自体も効果的に抑えることができる。剥離により露出した上記樹脂層の表面の算術平均粗さRaをより一層適度な範囲にし、エッチング後の銅残りの発生をより一層抑える観点からは、上記樹脂層(樹脂層がBステージフィルムである場合は、Bステージフィルム)の70℃での弾性率は、5000Pa以下であることが特に好ましい。
上記弾性率は、粘弾性測定装置を用いて、昇温速度を5℃/分、測定温度間隔を2.5℃、振動を1Hz/degとした条件で測定される。粘弾性測定装置としては、ティーエイ・インスルメントジャパン社製「AR200ex」等が挙げられる。
(保護フィルム)
上記保護フィルムは、上記樹脂層の上記基材側とは反対の表面上に積層される。
上記保護フィルムの材料としては、ポリプロピレン及びポリエチレンなどのポリオレフィン、並びにポリエチレンテレフタレート等が挙げられる。上記保護フィルムの材料は、ポリオレフィンであることが好ましく、ポリプロピレンであることがより好ましい。
樹脂層の保護性をより一層良好にする観点からは、上記保護フィルムの厚みは、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、好ましくは75μm以下、より好ましくは60μm以下である。保護フィルムを剥離した後の、上記樹脂層の上記保護フィルム側の表面の算術平均粗さRaのバラつきを効果的に抑える観点からは、上記保護フィルムの厚みは、好ましくは10μm以上、好ましくは50μm以下である。
(積層フィルム)
本発明に係る積層フィルムは、基材と、上記基材の表面上に積層された樹脂層と、上記樹脂層の上記基材側とは反対の表面上に積層された保護フィルムとを備える。
本発明に係る積層フィルムでは、樹脂層を用いる際に、保護フィルムは剥離される。上記樹脂層の表面には、一般に金属である配線が積層される。この配線は、一般に、絶縁層上に積層した銅箔(金属層)の表面上にエッチングレジストパターンを形成した後、配線となる部分以外の銅箔を溶解させ(エッチング)、除去することにより、製造される。エッチング後の銅残りの発生を抑える観点から、本発明に係る積層フィルムでは、保護フィルムを剥離した後の、該保護フィルムの剥離により露出した上記樹脂層の表面の算術平均粗さRaが、30nm以上600nm以下である。
本発明に係る積層フィルムの製造方法は、保護フィルムを剥離した後の、該保護フィルムの剥離により露出した樹脂層の表面の算術平均粗さRaが、30nm以上600nm以下になる方法である限り、特に限定されない。
本発明に係る積層フィルムの製造方法としては、例えば、以下の製造方法(1)、及び製造方法(2)等が挙げられる。(1)基材の表面上に、樹脂層を積層し、基材と樹脂層との積層体を得る第1の工程と、上記積層体の樹脂層の上記基材側とは反対の表面上に保護フィルムを積層する第2の工程とを備える製造方法。(2)基材の表面上に、樹脂層材料を積層後、乾燥し、基材と樹脂層との積層体を得る第1の工程と、上記積層体の樹脂層の上記基材側とは反対の表面上に保護フィルムを積層する第2の工程とを備える製造方法。
上記製造方法(1)の上記第1の工程における樹脂層の積層はラミネートにより行うことが好ましい。
上記製造方法(2)の上記第1の工程における乾燥時の温度は、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上、好ましくは150℃以下、より好ましくは140℃以下である。
上記製造方法(1)及び(2)の上記第2の工程における樹脂層の表面上への保護フィルムの積層は、ロール圧着やプレス圧着等のラミネートにより行うことが好ましい。上記ラミネートにより行うことで、作業性を良好にでき、また、樹脂層と保護フィルムとを一様な接触状態とできる。
保護フィルムを剥離した後の、上記樹脂層の上記保護フィルム側の表面の算術平均粗さRaを制御しやすくする観点からは、上記第2の工程における樹脂層の表面上への保護フィルムのラミネート時の温度は、好ましくは20℃以上、より好ましくは30℃以上、好ましくは100℃以下、より好ましくは90℃以下である。
保護フィルムを剥離した後の、上記樹脂層の上記保護フィルム側の表面の算術平均粗さRaを良好にする観点からは、上記第2の工程における樹脂層の表面上への保護フィルムのラミネート時の圧力は、好ましくは0.01MPa以上、より好ましくは0.1MPa以上、好ましくは2.0MPa以下、より好ましくは1.0MPaである。
ここで、ラミネート時に用いるロール間距離と、基材、樹脂層、及び保護フィルムの合計の厚みとの差(ロール間距離−(基材の厚み+樹脂層の厚み+保護フィルムの厚み))をギャップと呼ぶ。上記第2の工程における樹脂層の表面上への保護フィルムのロール圧着時のラミネートのギャップは、好ましくは−10μm以上、より好ましくは−5μm以上、更に好ましくは−3μm以上、特に好ましくは−1μm以上である。上記第2の工程における樹脂層の表面上への保護フィルムのロール圧着時のラミネートのギャップは、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、更に好ましくは3μm以下、特に好ましくは1μm以下である。上記ギャップが上記下限以上であると、保護フィルムを剥離した後の、上記樹脂層の上記保護フィルム側の表面の算術平均粗さRaを制御しやすくする。上記ギャップが上記上限以下であると、保護フィルムを剥離した後の、上記樹脂層の上記保護フィルム側の表面の算術平均粗さRaのバラつきを効果的に抑えることができる。
(プリント配線板用組み合わせ部材及びプリント配線板)
本発明に係る積層フィルムでは、プリント配線板において、絶縁層を形成するために好適に用いられる。本発明に係る積層フィルムでは、多層プリント配線板において、絶縁層を形成するためにより好適に用いられる。上記積層フィルム中の上記樹脂層によって、上記絶縁層を形成することができる。
本発明に係るプリント配線板用組み合わせ部材は、銅箔に樹脂層が積層されたプリント配線板を得るために用いられるプリント配線板用組み合わせ部材である。本発明に係るプリント配線板用組み合わせ部材は、上記積層フィルムと、銅箔を表面に有するプリント配線板本体とを備える。本発明に係るプリント配線板用組み合わせ部材では、上記積層フィルムは、上記プリント配線板本体に積層される前の状態である。上記プリント配線板本体は、多層プリント配線板本体であってもよい。
上記樹脂層の剥離により露出した表面の算術平均粗さRaと、上記銅箔の前記樹脂層が積層される表面の算術平均粗さRaとの合計を、算術平均粗さRa(Total)とする。エッチング後の銅残りの発生を効果的に抑える観点からは、上記算術平均粗さRa(Total)は、好ましくは900nm未満、より好ましくは800nm未満、更に好ましくは750nm未満、特に好ましくは700nm未満である。
エッチング後の銅残りの発生を効果的に抑える観点からは、上記算術平均粗さRa(Total)は、好ましくは30nmを超え、より好ましくは60nm以上、更に好ましくは65nm以上、特に好ましくは70nm以上である。
多層プリント配線板の一例として、回路基板と、該回路基板上に積層された複数の絶縁層と、複数の上記絶縁層間に配置された金属層とを備える多層プリント配線板が挙げられる。上記絶縁層の内の少なくとも1層が、上記樹脂層により形成される。上記回路基板に接している絶縁層が、上記樹脂層により形成されてもよい。2つの絶縁層間に配置された絶縁層が、上記樹脂層により形成されてもよい。上記回路基板から最も離れた絶縁層が、上記樹脂層により形成されてもよい。複数の上記絶縁層のうち、上記回路基板から離れた絶縁層の外側の表面上に、金属層が配置されていてもよい。
図2は、本発明の一実施形態に係る積層フィルムにおける樹脂層を用いた多層プリント配線板を模式的に示す断面図である。
図2に示す多層プリント配線板11では、回路基板12の上面12aに、複数層の絶縁層13〜16が積層されている。絶縁層13〜16は、硬化物層である。回路基板12の上面12aの一部の領域には、金属層17が形成されている。複数層の絶縁層13〜16のうち、回路基板12側とは反対の外側の表面に位置する絶縁層16以外の絶縁層13〜15には、上面の一部の領域に金属層17が形成されている。金属層17は回路である。回路基板12と絶縁層13の間、及び積層された絶縁層13〜16の各層間に、金属層17がそれぞれ配置されている。下方の金属層17と上方の金属層17とは、図示しないビアホール接続及びスルーホール接続の内の少なくとも一方により互いに接続されている。
多層プリント配線板11では、絶縁層13〜16が、上記樹脂層により形成されている。本実施形態では、絶縁層13〜16の表面が粗化処理されているので、絶縁層13〜16の表面に図示しない微細な孔が形成されている。また、微細な孔の内部に金属層17が至っている。また、多層プリント配線板11では、金属層17の幅方向寸法(L)と、金属層17が形成されていない部分の幅方向寸法(S)とを小さくすることができる。また、多層プリント配線板11では、図示しないビアホール接続及びスルーホール接続で接続されていない上方の金属層と下方の金属層との間に、良好な絶縁信頼性が付与されている。
以下、実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されない。
以下の基材、保護フィルム、及び銅箔を用意した。
(基材)
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製「XG284」、厚み25μm)
(保護フィルム)
保護フィルムA(樹脂層が配置される側の表面の算術平均粗さ40nm、樹脂層が配置される側とは反対の表面の算術平均粗さ450nm、厚み25μm)
保護フィルムB(樹脂層が配置される側の表面の算術平均粗さ810nm、樹脂層が配置される側とは反対の表面の算術平均粗さ810nm、厚み30μm)
上記算術平均粗さは、非接触型表面粗さ計(ビーコインスツルメンツ社製「WYKO NT3300」)を用いて、VSIコンタクトモード、50倍レンズにより測定範囲を95.6μm×71.7μmとして測定した。なお、Thresholdを1%とし、MedianFilter(Window:Size5)、Tilt補正をした条件とした。上記算術平均粗さは、無作為に選んだ測定箇所10点で測定し、測定値の平均値を採用した。
(樹脂層材料)
以下の様にして、樹脂層材料を用意した。
樹脂層材料A:
アミノフェニルシラン処理シリカ(アドマテックス社製「SOC2」、平均粒径0.5μm)のシクロヘキサノンスラリー(固形分70重量%)90重量部を用意した。このスラリーに、ビフェニル型エポキシ化合物(日本化薬社製「NC3000H」)11重量部と、ビスフェノールA型エポキシ化合物(DIC社製「850S」)5重量部と、シクロヘキサノン7.9重量部と、メチルエチルケトン7.7重量部とを加えた。攪拌機を用いて、1500rpmで60分間撹拌し、未溶解物がなくなったことを確認した。その後、アミノトリアジン変性フェノールノボラック硬化剤(DIC社製「LA−7751」)のメチルエチルケトン混合溶液(固形分60重量%)11重量部と、フェノールノボラック硬化剤(明和化成社製「H4」)2.9重量部とを加えた。1500rpmで60分間撹拌し、未溶解物がなくなったことを確認した。その後、ビスフェノールアセトフェノン骨格フェノキシ樹脂(三菱化学社製「YX6954」)のメチルエチルケトン及びシクロヘキサノン混合溶液(固形分30重量%)4.5重量部と、2−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業社製「2E4MZ」)0.1重量部とをさらに加えた。1500rpmで30分間撹拌し、樹脂層材料A(ワニス)を得た。
樹脂層材料B:
アミノフェニルシラン処理シリカ(アドマテックス社製「SOC2」、平均粒径0.5μm)のシクロヘキサノンスラリー(固形分70重量%)の使用量を88重量部とした。ビスフェノールアセトフェノン骨格フェノキシ樹脂(三菱化学社製「YX6954」)のメチルエチルケトン及びシクロヘキサノン混合溶液(固形分30重量%)の使用量を2.5重量部とした。ビスフェノールA型エポキシ化合物(DIC社製「850S」)の代わりにシクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製「EX−216」を用いた。上記以外は、樹脂層材料A(ワニス)と同様にして、樹脂層材料B(ワニス)を得た。
樹脂層材料C:
アミノフェニルシラン処理のシクロヘキサノンスラリー(Denka社製「FB−3SDC」、平均粒径3.0μm、フェニルアミノシラン処理、シクロヘキサノン25重量%)を用意した。樹脂層材料Bにおいて、アミノフェニルシラン処理シリカ(アドマテックス社製「SOC2」)のシクロヘキサノンスラリー(固形分70重量%)88重量部を、上記したアミノフェニルシラン処理のシクロヘキサノンスラリー(Denka社製「FB−3SDC」)82重量部に変更した。上記以外は、樹脂層材料B(ワニス)と同様にして、樹脂層材料C(ワニス)を得た。
樹脂層材料D:
アミノフェニルシラン処理シリカのシクロヘキサノンスラリー(アドマテックス社製「YA010C−HFZ」、平均粒径10nm、フェニルアミノシラン処理、固形分30重量%)を用意した。樹脂層材料Bにおいて、アミノフェニルシラン処理シリカ(アドマテックス社製「SOC2」)のシクロヘキサノンスラリー(固形分70重量%)88重量部を、上記したアミノフェニルシラン処理シリカのシクロヘキサノンスラリー(アドマテックス社製「YA010C−HFZ」)47.3重量部に変更した。上記以外は、樹脂層材料B(ワニス)と同様にして、樹脂層材料D(ワニス)を得た。
樹脂層材料Aから得た樹脂層の70℃における弾性率は2090Paであり、樹脂層材料Bから得た樹脂層の70℃における弾性率は530Paであり、樹脂層材料Cから得た樹脂層の70℃における弾性率は60Paであり、樹脂層材料Dから得た樹脂層の70℃における弾性率は4860Paであった。
(実施例1)
アプリケーターを用いて、基材上に、得られた樹脂層材料A(ワニス)を塗工した後、100℃のギアオーブン内で3分間乾燥し、溶剤を揮発させた。このようにして、基材上に、厚さが40μmであり、溶剤の残量が1.0重量%以上、3.0重量%以下である樹脂層(Bステージフィルム)を形成した。
その後、樹脂層の基材側とは反対の表面上に、保護フィルムAを圧力0.4MPa、温度50℃、ギャップ−2μmで熱ラミネートし、樹脂層がBステージフィルムである積層フィルムを得た。
(実施例2〜14、及び比較例1〜4)
樹脂層材料の種類、保護フィルムの種類、保護フィルムのラミネート条件を表1〜3に示すように設定したこと以外は、実施例1と同様にして、樹脂層がBステージフィルムである積層フィルムを得た。
(評価)
(1)保護フィルムを剥離した後の、剥離により露出した樹脂層の表面の算術平均粗さRa
得られた積層フィルムの保護フィルムを剥離し、樹脂層(Bステージフィルム)を露出させた。非接触型表面粗さ計(ビーコインスツルメンツ社製「WYKO NT3300」)を用いて、VSIコンタクトモード、50倍レンズにより測定範囲を95.6μm×71.7μmとして、保護フィルムを剥離した後の、剥離により露出した樹脂層(Bステージフィルム)の表面の算術平均粗さRaを測定した。なお、Thresholdを1%とし、MedianFilter(Window:Size5)、Tilt補正をした条件とした。上記算術平均粗さRaは、無作為に選んだ測定箇所10点で測定し、測定値の平均値を採用した。
(2)銅残り
<樹脂層の未硬化物のラミネート工程>
両面銅張積層板(各面の銅箔の厚さ18μm、基板厚み0.7mm、基板サイズ100mm×100mm、日立化成社製「MCL−E679FG」)の銅箔面にφ200μmホールを1穴/mmの頻度で形成したテスト基板(銅張積層板)を用意した。この銅張積層板の両面をメック社製「CZ8201」に浸漬して、銅箔の表面を粗化処理した。
上記粗化処理にて、以下の積層板A、積層板B、積層板Cを作製した。
積層板A:0.25μmエッチング狙いで調整した銅箔を有する積層板
積層板B:0.1μmエッチング狙いで調整した銅箔を有する積層板
積層板C:0.5μmエッチング狙いで調整した銅箔を有する積層板
また、上記積層板Aの銅箔、上記積層板Bの銅箔、上記積層板Cの銅箔の表面の算術平均粗さを上記(1)と同様の条件で測定した。
粗化処理された銅張積層板の両面に、名機製作所社製「バッチ式真空加圧ラミネーターMVLP−500−IIA」を用いて、得られた積層フィルムの保護フィルムを剥がして、露出した樹脂層(未硬化物)を、未硬化物が銅張積層板面に対向するようにしてラミネートして、積層体を得た。ラミネートの条件は、30秒減圧して気圧を13hPa以下とし、その後30秒間、100℃及び圧力0.8MPaでプレスする条件とした。
<硬化工程>
樹脂層の未硬化物がラミネートされた銅張積層板において、両面の離型PETフィルムを剥離した。内部の温度が180℃のギアオーブン内に積層体を60分間入れ、樹脂層の未硬化物を硬化させて、硬化物(絶縁層)を形成した。
<粗化処理工程>
得られた絶縁層を、下記の(a)膨潤処理をした後、下記の(b)粗化処理をした。
(a)膨潤処理:
60℃の膨潤液(アトテックジャパン社製「スウェリングディップセキュリガントP」、和光純薬工業社製「水酸化ナトリウム」の水溶液)に、樹脂層を硬化させた後の積層体を入れて、20分間揺動させた。その後、純水で洗浄した。すなわち、60℃で20分間膨潤処理を行った。
(b)粗化処理:
75℃の過マンガン酸ナトリウム(アトテックジャパン社製「コンセントレートコンパクトCP」、和光純薬工業社製「水酸化ナトリウム」)粗化水溶液に、上記積層体を入れて、20分間揺動させ、粗化処理された硬化物を得た。すなわち、75℃で20分間粗化処理を行った。
粗化処理された絶縁層を、40℃の中和液(アトテックジャパン社製「リダクションセキュリガントP」、和光純薬工業社製「硫酸」)により10分間洗浄した後、純水でさらに洗浄した。このようにして、銅張積層板上に、粗化処理された絶縁層(硬化物)を形成した。
なお、絶縁層の粗化処理された表面の算術平均粗さは、100nmであった。
<無電解銅めっき工程>
次に、絶縁層の粗化処理された表面上において、無電解銅めっきを以下の手順で行った。
絶縁層の表面を、55℃のアルカリクリーナ(アトテックジャパン社製「クリーナーセキュリガント902」)で5分間処理し、脱脂洗浄した。洗浄後、絶縁層を23℃のプリディップ液(アトテックジャパン社製「プリディップネオガントB」)で2分間処理した。その後、絶縁層を40℃のアクチベーター液(アトテックジャパン社製「アクチベーターネオガント834」)で5分間処理し、パラジウム触媒を付けた。次に、30℃の還元液(アトテックジャパン社製「リデューサーネオガントWA」)により、絶縁層を5分間処理した。
次に、上記絶縁層を化学銅液(アトテックジャパン社製「ベーシックプリントガントMSK−DK」、アトテックジャパン社製「カッパープリントガントMSK」、アトテックジャパン社製「スタビライザープリントガントMSK」、アトテックジャパン社製「リデューサーCu」)に入れた。無電解銅めっきを、めっき厚さが0.5μm程度になるまで実施して、銅めっき層を形成した。
無電解銅めっき後に、残留している水素ガスを除去するため、120℃の温度で30分間アニールした。無電解銅めっきの工程までの全ての工程は、ビーカースケールで処理液を1Lとし、絶縁層を揺動させながら実施した。
<ドライフィルムレジストのラミネート工程>
銅めっき層上に、支持体であるPETフィルム上のアルカリ溶解型DFR(日立化成社製「RY−5125」)を、ロールラミネーター(大成ラミネーター社製「VA−700SH」)を用いて、温度150℃、圧力0.4MPa及び速度1.5m/sの条件にてラミネートして、積層構造体を得た。
得られた積層構造体を用いて、UV露光機(オーク製作所社製「EXA−1201」)にて、L/S=5μm/5μm(配線ピッチ10μm)の櫛歯パターン(配線長15mm、各16ライン)を20個有するマスクを介して、照射条件100mJ/cmで、DFRにUV照射を行った。
その後、25℃にて60分間保持した後で、DFRの支持体であるPETフィルムを剥離した。DFRの表面に、1重量%の炭酸ナトリウム水溶液を30℃にて、スプレー圧1.0kg/cmで80秒間スプレーし、現像を行い、未露光部を除去した。その後、20℃で、スプレー圧1.0kg/cmにて80秒間水洗を行い、乾燥することでDFRによるネガパターンを形成した。
<電解銅めっき工程>
DFRの配線形成された後、めっき厚さが25μmとなるまで、電解銅めっきを実施し、電解銅めっき層を形成した。電解銅めっきとして硫酸銅水溶液(和光純薬工業社製「硫酸銅五水和物」、和光純薬工業社製「硫酸」、アトテックジャパン社製「ベーシックレベラーカパラシド HL」、アトテックジャパン社製「補正剤カパラシド GS」)を用いて、0.6A/cmの電流を流した。
<DFR剥離及びクイックエッチング>
40℃の苛性ソーダ水溶液中に、電解銅めっき後の積層構造体を浸漬することにより、銅めっき配線間に残っているDFRを剥離した。さらに、DFRの下部の絶縁層の表面において、微細粗化孔に残留する無電解めっきを、過酸化水素水−硫酸系のクイックエッチング液(JCU社製「SAC」)で除去した。
<本硬化工程>
クイックエッチング後の積層構造体を、200℃のギアオーブンで60分間加熱し、本硬化させる、銅めっき微細配線を作製した。
銅残りの発生頻度を数えるために、銅めっき微細配線を作成した後で、光学顕微鏡(オリンパス社製「STM6」)にて基板面内の観察を行った。
銅残りを下記の基準で判定した。
[銅残りの判定基準]
○:銅残りが全く発生していない
△:銅残りが1個以上、4個未満で発生している
×:銅残りが4個以上で発生している
積層フィルムの構成、保護フィルムのラミネート条件、及び結果を下記の表1〜3に示す。
Figure 0006716781
Figure 0006716781
Figure 0006716781
実施例1〜14及び比較例1〜4で得られた積層フィルムでは、保護フィルムの表面の算術平均粗さと、保護フィルムを剥離した後の樹脂層の保護フィルム側の表面の算術平均粗さとは異なっていた。
エッチング後の銅残りの発生を抑えるためには、積層フィルムにおいて、保護フィルムを剥離した後の樹脂層の保護フィルム側の表面の算術平均粗さが上記範囲内を満足することが重要であることがわかる。
また、本発明では、従来の積層フィルムに比べて、エッチング後の銅残りの発生が抑えられるので、歩留まりを良好にすることができる。
1…積層フィルム
2…樹脂層
2a…第1の表面
2b…第2の表面
3…保護フィルム
4…基材
11…多層プリント配線板
12…回路基板
12a…上面
13〜16…絶縁層
17…金属層

Claims (6)

  1. プリント配線板において、絶縁層を形成するために用いられ、
    基材と、
    前記基材の表面上に積層された樹脂層と、
    前記樹脂層の前記基材側とは反対の表面上に積層された保護フィルムとを備え、
    前記樹脂層は、無機充填材を含み、
    前記無機充填材は、シリカ、タルク、クレイ、マイカ、ハイドロタルサイト、アルミナ、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、又は窒化ホウ素であり、
    前記保護フィルムの、前記樹脂層側の表面の算術平均粗さRaが、40nm以上810nm以下であり、
    前記保護フィルムを剥離した後の、前記保護フィルムの剥離により露出した前記樹脂層の表面の算術平均粗さRaが、30nm以上600nm以下である、積層フィルム。
  2. 前記樹脂層100重量%中、前記無機充填材の含有量が30重量%以上である、請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記樹脂層が、熱硬化性化合物を含む、請求項1又は2に記載の積層フィルム。
  4. 前記樹脂層の70℃での弾性率が5000Pa以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  5. 前記無機充填材の平均粒径が10nm以上3μm以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  6. 銅箔に樹脂層が積層されたプリント配線板を得るために用いられるプリント配線板用組み合わせ部材であり、
    請求項1〜のいずれか1項に記載の積層フィルムと、銅箔を表面に有するプリント配線板本体とを備え、
    前記保護フィルムを剥離した後の、前記保護フィルムの剥離により露出した前記樹脂層の表面の算術平均粗さRaと、前記銅箔の前記樹脂層が積層される表面の算術平均粗さRaとの合計が800nm未満である、プリント配線板用組み合わせ部材。
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