JP6867131B2 - 積層体及び積層体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熱硬化性化合物と、硬化剤と、無機充填材とを含む樹脂組成物に関する。また、本発明は、上記樹脂組成物を用いた積層体及び積層構造体の製造方法に関する。
従来、積層板及びプリント配線板等の電子部品を得るために、様々な樹脂組成物が用いられている。例えば、多層プリント配線板では、内部の層間を絶縁するための絶縁層を形成したり、表層部分に位置する絶縁層を形成したりするために、樹脂組成物が用いられている。上記絶縁層の表面には、一般に金属である配線が積層される。また、絶縁層を形成するために、上記樹脂組成物をフィルム化したBステージフィルムが用いられることがある。上記樹脂組成物及び上記Bステージフィルムは、ビルドアップフィルムを含むプリント配線板用の絶縁材料として用いられている。
上記樹脂組成物の一例として、下記の特許文献1には、エポキシ化合物と、活性エステル化合物と、充填材とを含む硬化性エポキシ組成物が開示されている。
下記の特許文献2には、2個以上のグリシジル基を有するエポキシ樹脂、エポキシ樹脂硬化剤、熱可塑性樹脂及びフィラーを含むフィルムが開示されている。該フィルム断面中の少なくとも一方の端部領域に含まれるフィラーの含有割合が、該フィルム断面中の中央領域に含まれるフィラーの含有割合と比較して、Z軸方向で小さい。
特開2015−143302号公報 特開2004−250674号公報
絶縁層の上下で導通を図るために、絶縁層にレーザー加工などによってビアを形成し、該ビア内に金属が充填されることがある。
特許文献1,2に記載のような従来の樹脂組成物及びフィルムでは、ビア底のスミアを十分に除去できないことがある。
さらに、特許文献1,2に記載のような従来の樹脂組成物及びフィルムでは、ビア底のスミアの除去性を高めようとすると、ビア底側とは反対側の絶縁層の表面上に金属層を形成したときに、絶縁層と金属層との密着性が低下することがある。
本発明の目的は、絶縁層を形成し、該絶縁層にビアを形成したときに、ビア底におけるスミアを効果的に除去することができ、ビア底側とは反対側の絶縁層の表面上に金属層を形成したときに、絶縁層と金属層との密着性を高めることができる樹脂組成物を提供することである。また、本発明は、上記樹脂組成物を用いた積層体及び積層構造体の製造方法を提供することである。
本発明の広い局面によれば、熱硬化性化合物と、硬化剤と、無機充填材とを含み、前記硬化剤が、前記硬化剤の全体100重量%中、活性エステル化合物を30重量%以上で含み、樹脂組成物中の溶剤及び前記無機充填材を除く成分100重量部に対して、前記無機充填材の含有量が230重量部以上である、樹脂組成物が提供される。
本発明に係る樹脂組成物のある特定の局面では、前記樹脂組成物は、熱可塑性樹脂を含まないか、又は、前記樹脂組成物中の溶剤及び前記無機充填材を除く成分100重量%中、熱可塑性樹脂を3重量%以下で含む。
本発明の広い局面によれば、基材と、前記基材の表面上に配置された絶縁層とを備え、前記絶縁層の材料が、上述した樹脂組成物である、積層体が提供される。
本発明に係る積層体のある特定の局面では、前記絶縁層の前記基材側の表面の厚み1μmの第1の領域における前記無機充填材の平均含有量が、前記絶縁層の前記基材側とは反対側の表面の厚み1μmの第2の領域における前記無機充填材の平均含有量よりも多い。
本発明の広い局面によれば、上述した積層体を用いて、前記絶縁層に前記基材側とは反対側からレーザーを照射し、ビアを形成する工程と、デスミア処理する工程とを備える、積層構造体の製造方法が提供される。
本発明に係る積層構造体の製造方法のある特定の局面では、前記積層構造体の製造方法は、前記ビア内と前記絶縁層の前記基材側とは反対側の表面上とに金属部を形成する工程を備える。
本発明に係る樹脂組成物は、熱硬化性化合物と、硬化剤と、無機充填材とを含み、上記硬化剤が、上記硬化剤の全体100重量%中、活性エステル化合物を30重量%以上で含み、樹脂組成物中の溶剤及び上記無機充填材を除く成分100重量部に対して、上記無機充填材の含有量が230重量部以上であるので、絶縁層を形成し、該絶縁層にビアを形成したときに、ビア底におけるスミアを効果的に除去することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る樹脂組成物を用いた積層体を模式的に示す断面図である。 図2は、図1に示す積層体を用いた積層構造体を模式的に示す断面図である。 図3は、本発明の一実施形態に係る樹脂組成物を用いた多層基板を模式的に示す断面図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る樹脂組成物は、熱硬化性化合物と、硬化剤と、無機充填材とを含む。本発明に係る樹脂組成物では、上記硬化剤が、活性エステル化合物を含む。本発明に係る樹脂組成物では、上記硬化剤の全体100重量%中、上記活性エステル化合物の含有量が30重量%以上である。本発明に係る樹脂組成物では、樹脂組成物中の溶剤及び上記無機充填材を除く成分100重量部に対して、上記無機充填材の含有量が230重量部以上である。
本発明では、上記の構成が備えられているので、絶縁層を形成し、該絶縁層にビアを形成したときに、ビア底におけるスミアを効果的に除去することができる。
さらに、本発明では、上記の構成が備えられているので、ビア底側とは反対側の絶縁層の表面上に金属層を形成したときに、絶縁層と金属層との密着性を高めることができる。
本発明では、スミアの除去性、及び、絶縁層と金属層との密着性の双方を高いレベルで両立することができる。
また、近年、絶縁層の低誘電正接化が要求されており、無機充填材の添加量を多くすることが望まれている。無機充填材の添加量を多くすると、絶縁層と金属層との密着性が低くなりやすい。これに対して、本発明では、無機充填材の含有量が多くても、絶縁層と金属層との密着性を高めることができる。
絶縁層を低誘電正接化し、絶縁層と金属層との密着性をより一層高める観点から、上記硬化剤の全体100重量%中、上記活性エステル化合物の含有量は好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上、更に好ましくは50重量%以上、特に好ましくは60重量%以上である。上記硬化剤の全体100重量%中、上記活性エステル化合物の含有量は好ましくは100重量%以下である。上記硬化剤の全量が上記活性エステル化合物であってもよい。
スミアの除去性、及び、絶縁層と金属層との密着性を効果的に高める観点からは、樹脂組成物中の溶剤及び上記無機充填材を除く成分100重量部に対して、上記無機充填材の含有量は230重量部以上、好ましくは900重量部以下、より好ましくは567重量部以下、更に好ましくは350重量部以下である。
本発明に係る積層体は、基材と、上記基材の表面上に配置された絶縁層とを備える。本発明に係る積層体では、上記絶縁層の材料が、上記樹脂組成物である。
本発明に係る積層構造体の製造方法は、上記積層体を用いて、上記絶縁層に上記基材側とは反対側からレーザーを照射し、ビアを形成する工程と、デスミア処理する工程とを備える。上記積層構造体の製造方法は、上記ビア内と上記絶縁層の上記基材側とは反対側の表面上とに金属部を形成する工程を備えることが好ましい。上記積層構造体は、多層基板であることが好ましい。多層基板は、回路基板と、上記回路基板上に配置された絶縁層とを備えることが好ましい。この多層基板では、上記絶縁層が、上記樹脂組成物の硬化物である。
図1は、本発明の一実施形態に係る樹脂組成物を用いた積層体を模式的に示す断面図である。
図1に示す積層体1は、基材2と、基材2の表面上に配置された絶縁層3とを備える。積層体1では、絶縁層3が、上記樹脂組成物の硬化物である。基材2は、基材本体2Aと基材本体2Aの表面上に、金属層2Bとを有する。金属層2Bは、例えば金属配線である。
図2は、図1に示す積層体を用いた積層構造体を模式的に示す断面図である。
図2に示す積層構造体1Xでは、絶縁層3には、ビアXが形成されている。ビアX内に、金属が充填され、かつ、絶縁層3の基材2側とは反対側の表面上に金属層4が形成されている。この結果、ビアX内と絶縁層3の基材2側とは反対側の表面上とに金属部4が形成されている。本実施形態では、絶縁層3と金属部4との密着性を高めることができる。さらに、ビアXの底部において、金属部4と金属層2Bとを、より一層確実に接続させることができ、接続信頼性を高めることができる。
スミアの除去性を効果的に高める観点からは、上記絶縁層の上記基材側の表面の厚み1μmの第1の領域における溶剤及び上記無機充填材を除く成分100重量部に対する上記無機充填材の平均含有量Aが、上記絶縁層の上記第1の領域を除く領域(上記第1の領域を除く全体の領域)における溶剤及び上記無機充填材を除く成分100重量部に対する上記無機充填材の平均含有量Bよりも多いことが好ましい。スミアの除去性を効果的に高める観点からは、平均含有量Aと平均含有量Bとの差は好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.1重量部以上である。スミアの除去性を効果的に高める観点からは、上記平均含有量Aは、好ましくは230重量部を超え、より好ましくは270重量部以上である。絶縁層と基材との密着性を効果的に高める観点からは、平均含有量Aは、好ましくは900重量部以下である。上記絶縁層の上記基材側の表面の厚み1μmの第1の領域は、上記絶縁層の上記基材側の表面から厚み方向に内側に向かって1μmまでの距離の領域である。
また、上記平均含有量Aは、無機充填材の平均粒径に応じて、調整することが好ましい。スミアの除去性を効果的に高める観点からは、無機充填材の平均粒径が0.05μm以上、0.5μm未満である場合(比較的小粒径の場合)には、上記平均含有量Aは、好ましくは230重量部を超え、より好ましくは240重量部以上、好ましくは560重量部以下である。スミアの除去性を効果的に高める観点からは、無機充填材の平均粒径が0.5μm以上、0.9μm未満である場合(中粒径の場合)には、上記平均含有量Aは、好ましくは230重量部を超え、より好ましくは270重量部以上、好ましくは700重量部以下である。スミアの除去性を効果的に高める観点からは、無機充填材の平均粒径が0.9μm以上、3μm未満である場合(比較的大粒径の場合)には、上記平均含有量Aは、好ましくは230重量部を超え、より好ましくは300重量部以上、好ましくは900重量部以下である。
絶縁層と金属層との密着性を効果的に高める観点からは、上記絶縁層の上記基材側とは反対側の表面の厚み1μmの第2の領域における溶剤及び上記無機充填材を除く成分100重量部に対する上記無機充填材の平均含有量Xが、上記絶縁層の上記第2の領域を除く領域(上記第2の領域を除く全体の領域)における溶剤及び上記無機充填材を除く成分100重量部に対する上記無機充填材の平均含有量Yよりも少ないことが好ましい。絶縁層と金属層との密着性を効果的に高める観点からは、平均含有量Xと平均含有量Yとの差は好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.5重量部以上である。絶縁層と金属層との密着性を効果的に高める観点からは、上記平均含有量Xは、好ましくは567重量部未満、より好ましくは400重量部以下である。絶縁層と金属層との密着性をより一層良好にする観点からは、平均含有量Xは、好ましくは370重量部以下である。上記絶縁層の上記基材側とは反対側の表面の厚み1μmの第2の領域は、上記絶縁層の上記基材側とは反対側の表面から厚み方向に内側に向かって1μmまでの距離の領域である。
絶縁層と金属層との密着性を効率的に高める観点からは、上記絶縁層の上記基材側の表面の厚み1μmの第1の領域における溶剤及び上記無機充填材を除く成分100重量部に対する上記無機充填材の平均含有量Aが、上記絶縁層の上記基材側とは反対側の表面の厚み1μmの第2の領域における溶剤及び上記無機充填材を除く成分100重量部に対する上記無機充填材の平均含有量Xよりも多いことが好ましい。絶縁層と金属層との密着性を効果的に高める観点からは、平均含有量Aと平均含有量Xとの差は好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.5重量部以上である。
上記平均含有量Aを、上記平均含有量Xよりも効果的に多くする手法としては、例えば、熱可塑性樹脂を含まないか、又は、樹脂組成物中の溶剤及び無機充填材を除く成分100重量%中、熱可塑性樹脂を3重量%以下で含む組成とする手法、並びに樹脂組成物中の熱可塑性樹脂及び無機充填材を除く固形分の分子量を2000以下にする手法等が挙げられる。上記固形分は、不揮発成分であり、成形又は加熱時に揮発しない成分をいう。上記分子量は、上記固形分が重合体ではない場合、及び上記樹脂成分の構造式が特定できる場合は、当該構造式から算出できる分子量を意味する。また、上記固形分が重合体である場合は、重量平均分子量を意味する。
上記の各領域での無機充填材の含有量は、1)IR測定における強度比を評価したり、2)SEM等の画像観察により、断面における無機充填材部分の面積と他の部分の面積との比率と、比重などとから評価したりすることができる。
以下、本発明に係る樹脂組成物に用いられる各成分の詳細、及び本発明に係る樹脂組成物の用途などを説明する。
[熱硬化性化合物]
上記樹脂組成物は、熱硬化性化合物を含むことが好ましい。熱硬化性化合物は特に限定されない。熱硬化性化合物として、従来公知の熱硬化性化合物を使用可能である。上記熱硬化性化合物は、エポキシ化合物であることが好ましい。該エポキシ化合物は、少なくとも1個のエポキシ基を有する有機化合物をいう。上記熱硬化性化合物及び上記エポキシ化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記樹脂組成物に含まれているエポキシ化合物は特に限定されない。該エポキシ化合物として、従来公知のエポキシ化合物を使用可能である。該エポキシ化合物は、少なくとも1個のエポキシ基を有する有機化合物をいう。上記エポキシ化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、アダマンタン骨格を有するエポキシ樹脂、トリシクロデカン骨格を有するエポキシ樹脂、及びトリアジン核を骨格に有するエポキシ樹脂等が挙げられる。
上記エポキシ化合物は、ビフェニル骨格を有することが好ましく、ビフェニル型エポキシ樹脂であることが好ましい。上記エポキシ樹脂がビフェニル骨格を有することで、硬化物と金属層との接着強度がより一層高くなる。
上記エポキシ化合物の分子量は1000以下であることがより好ましい。この場合には、無機充填材の含有量が60重量%以上であっても、流動性が高い樹脂組成物が得られる。このため、樹脂組成物の未硬化物又はBステージ化物を基板上にラミネートした場合に、無機充填材を均一に存在させることができる。
上記エポキシ化合物の分子量及び後述する硬化剤の分子量は、上記エポキシ化合物又は硬化剤が重合体ではない場合、及び上記エポキシ化合物又は硬化剤の構造式が特定できる場合は、当該構造式から算出できる分子量を意味する。また、上記エポキシ化合物又は硬化剤が重合体である場合は、重量平均分子量を意味する。
[硬化剤]
上記樹脂組成物に含まれている硬化剤は特に限定されない。該硬化剤として、従来公知の硬化剤を使用可能である。上記硬化剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記硬化剤としては、シアネートエステル化合物(シアネートエステル硬化剤)、フェノール化合物(フェノール硬化剤)、アミン化合物(アミン硬化剤)、チオール化合物(チオール硬化剤)、イミダゾール化合物、ホスフィン化合物、酸無水物、活性エステル化合物及びジシアンジアミド等が挙げられる。上記硬化剤は、上記エポキシ化合物のエポキシ基と反応可能な官能基を有することが好ましい。
上記シアネートエステル化合物としては、ノボラック型シアネートエステル樹脂、ビスフェノール型シアネートエステル樹脂、並びにこれらが一部三量化されたプレポリマー等が挙げられる。上記ノボラック型シアネートエステル樹脂としては、フェノールノボラック型シアネートエステル樹脂及びアルキルフェノール型シアネートエステル樹脂等が挙げられる。上記ビスフェノール型シアネートエステル樹脂としては、ビスフェノールA型シアネートエステル樹脂、ビスフェノールE型シアネートエステル樹脂及びテトラメチルビスフェノールF型シアネートエステル樹脂等が挙げられる。
上記シアネートエステル化合物の市販品としては、フェノールノボラック型シアネートエステル樹脂(ロンザジャパン社製「PT−30」及び「PT−60」)、及びビスフェノール型シアネートエステル樹脂が三量化されたプレポリマー(ロンザジャパン社製「BA−230S」、「BA−3000S」、「BTP−1000S」及び「BTP−6020S」)等が挙げられる。
上記フェノール化合物としては、ノボラック型フェノール、ビフェノール型フェノール、ナフタレン型フェノール、ジシクロペンタジエン型フェノール、アラルキル型フェノール及びジシクロペンタジエン型フェノール等が挙げられる。
上記フェノール化合物の市販品としては、ノボラック型フェノール(DIC社製「TD−2091」)、ビフェニルノボラック型フェノール(明和化成社製「MEH−7851」)、アラルキル型フェノール化合物(明和化成社製「MEH−7800」)、並びにアミノトリアジン骨格を有するフェノール(DIC社製「LA1356」及び「LA3018−50P」)等が挙げられる。
絶縁層を低誘電正接化する観点から、上記硬化剤は、活性エステル化合物を含む。活性エステル化合物とは、構造体中にエステル結合を少なくとも1つ含み、かつ、エステル結合の両側に芳香族環が結合している化合物をいう。活性エステル化合物の好ましい例としては、下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006867131
上記式(1)中、X1及びX2はそれぞれ、芳香族環を含む基を表す。上記芳香族環を含む基の好ましい例としては、置換基を有していてもよいベンゼン環、及び置換基を有していてもよいナフタレン環等が挙げられる。上記置換基としては、炭化水素基が挙げられる。該炭化水素基の炭素数は、好ましくは12以下、より好ましくは6以下、更に好ましくは4以下である。
X1及びX2の組み合わせとしては、置換基を有していてもよいベンゼン環と、置換基を有していてもよいベンゼン環との組み合わせ、置換基を有していてもよいベンゼン環と、置換基を有していてもよいナフタレン環との組み合わせ、並びに、置換基を有していてもよいナフタレン環と、置換基を有していてもよいナフタレン環との組み合わせが挙げられる。
上記活性エステル化合物は特に限定されない。上記活性エステル化合物の市販品としては、DIC社製「HPC−8000−65T」、「EXB−9416−70BK」及び「EXB8100−65T」等が挙げられる。
上記硬化剤の分子量は1000以下であることが好ましい。この場合には、無機充填材の含有量が60重量%以上であっても、流動性が高い樹脂組成物が得られる。このため、Bステージフィルムを基板上にラミネートした場合に、無機充填材を均一に存在させることができる。
樹脂組成物中の上記無機充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、上記熱硬化性化合物と上記硬化剤との合計の含有量、及び、上記エポキシ化合物と上記硬化剤との合計の含有量はそれぞれ、好ましくは75重量%以上、より好ましくは80重量%以上、好ましくは99重量%以下、より好ましくは97重量%以下である。上記熱硬化性化合物と上記硬化剤との合計の含有量、及び、上記エポキシ化合物と上記硬化剤との合計の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、より一層良好な硬化物が得られ、溶融粘度を調整することができるために無機充填材の分散性が良好になり、かつ硬化過程で、意図しない領域に樹脂組成物又はBステージ化物が濡れ拡がることを防止できる。さらに、硬化物の熱による寸法変化をより一層抑制できる。また、上記エポキシ化合物と上記硬化剤との合計の含有量が上記下限以上であると、溶融粘度が低くなりすぎず、硬化過程で、意図しない領域に樹脂組成物又はBステージ化物が過度に濡れ拡がりにくくなる傾向がある。また、上記熱硬化性化合物と上記硬化剤との合計の含有量、及び、上記エポキシ化合物と上記硬化剤との合計の含有量が上記上限以下であると、最大の回路基板の穴又は凹凸に対する埋め込みが容易になり、さらに無機充填材が不均一に存在しにくくなる傾向がある。上記エポキシ化合物と上記硬化剤との含有量比は、エポキシ化合物が硬化するように適宜選択される。
[熱可塑性樹脂]
上記樹脂組成物は、熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。上記熱可塑性樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂及びフェノキシ樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
硬化環境によらず、誘電正接を効果的に低くし、かつ、金属配線の密着性を効果的に高める観点からは、上記熱可塑性樹脂は、フェノキシ樹脂であることが好ましい。フェノキシ樹脂の使用により、樹脂フィルムの回路基板の穴又は凹凸に対する埋め込み性の悪化及び無機充填材の不均一化が抑えられる。また、フェノキシ樹脂の使用により、溶融粘度を調整可能であるために無機充填材の分散性が良好になり、かつ硬化過程で、意図しない領域に樹脂組成物又はBステージ化物が濡れ拡がり難くなる。上記樹脂組成物に含まれているフェノキシ樹脂は特に限定されない。上記フェノキシ樹脂として、従来公知のフェノキシ樹脂を使用可能である。上記フェノキシ樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型の骨格、ビスフェノールF型の骨格、ビスフェノールS型の骨格、ビフェニル骨格、ノボラック骨格、ナフタレン骨格及びイミド骨格などの骨格を有するフェノキシ樹脂等が挙げられる。
上記フェノキシ樹脂の市販品としては、例えば、新日鐵住金化学社製の「YP50」、「YP55」及び「YP70」、並びに三菱化学社製の「1256B40」、「4250」、「4256H40」、「4275」、「YX6954BH30」及び「YX8100BH30」等が挙げられる。
保存安定性により一層優れた樹脂フィルムを得る観点からは、上記熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、好ましくは5000以上、より好ましくは10000以上、好ましくは100000以下、より好ましくは50000以下である。
上記熱可塑性樹脂の上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されたポリスチレン換算での重量平均分子量を示す。
上記熱可塑性樹脂及び上記フェノキシ樹脂の含有量は特に限定されない。樹脂組成物中の上記無機充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、上記熱可塑性樹脂の含有量(上記熱可塑性樹脂がフェノキシ樹脂である場合にはフェノキシ樹脂の含有量)は好ましくは2重量%以上、より好ましくは4重量%以上、好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。上記熱可塑性樹脂の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、樹脂組成物又はBステージ化物の回路基板の穴又は凹凸に対する埋め込み性が良好になる。上記熱可塑性樹脂の含有量が上記下限以上であると、樹脂組成物のフィルム化がより一層容易になり、より一層良好な絶縁層が得られる。上記熱可塑性樹脂の含有量が上記上限以下であると、硬化物の熱膨張率がより一層低くなる。硬化物の表面の表面粗さがより一層小さくなり、硬化物と金属層との接着強度がより一層高くなる。
[無機充填材]
上記樹脂組成物は、無機充填材を含む。無機充填材の使用により、硬化物の熱による寸法変化がより一層小さくなる。さらに、硬化物の表面の表面粗さがより一層小さくなり、硬化物と金属層との接着強度がより一層高くなる。
上記無機充填材としては、シリカ、タルク、クレイ、マイカ、ハイドロタルサイト、アルミナ、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム及び窒化ホウ素等が挙げられる。
硬化物の表面の表面粗さを小さくし、硬化物と金属層との接着強度をより一層高くし、かつ硬化物の表面により一層微細な配線を形成し、かつ硬化物により良好な絶縁信頼性を付与する観点からは、上記無機充填材は、シリカ又はアルミナであることが好ましく、シリカであることがより好ましく、溶融シリカであることが更に好ましい。シリカの使用により、硬化物の熱膨張率がより一層低くなり、かつ硬化物の表面の表面粗さが効果的に小さくなり、硬化物と金属層との接着強度が効果的に高くなる。シリカの形状は球状であることが好ましい。
硬化環境によらず、樹脂の硬化を進め、硬化物のガラス転移温度を効果的に高くし、硬化物の熱線膨張係数を効果的に小さくする観点からは、上記無機充填材は球状シリカであることが好ましい。
上記無機充填材の平均粒径は、好ましくは10nm以上、より好ましくは50nm以上、更に好ましくは150nm以上、特に好ましくは0.3μm以上、最も好ましくは0.6μm以上、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下、更に好ましくは5μm以下である。上記無機充填材の平均粒径が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化物と金属層との接着強度がより一層高くなる。
上記無機充填材の平均粒径として、50%となるメディアン径(d50)の値が採用される。上記平均粒径は、レーザー回折散乱方式の粒度分布測定装置を用いて測定可能である。
上記無機充填材はそれぞれ、球状であることが好ましく、球状シリカであることがより好ましい。この場合には、硬化物の表面の表面粗さが効果的に小さくなり、更に絶縁層と金属層との接着強度が効果的に高くなる。上記無機充填材がそれぞれ球状である場合には、上記無機充填材それぞれのアスペクト比は好ましくは2以下、より好ましくは1.5以下である。
上記無機充填材は、表面処理されていることが好ましく、カップリング剤による表面処理物であることがより好ましく、シランカップリング剤による表面処理物であることが更に好ましい。これにより、粗化硬化物の表面の表面粗さがより一層小さくなり、硬化物と金属層との接着強度がより一層高くなり、かつ硬化物の表面により一層微細な配線が形成され、かつより一層良好な配線間絶縁信頼性及び層間絶縁信頼性を硬化物に付与することができる。
上記カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤及びアルミニウムカップリング剤等が挙げられる。上記シランカップリング剤としては、メタクリルシラン、アクリルシラン、アミノシラン、イミダゾールシラン、ビニルシラン及びエポキシシラン等が挙げられる。
樹脂組成物中の溶剤を除く成分100重量部%中、上記無機充填材の含有量は好ましくは25重量%以上、より好ましくは30重量%以上、更に好ましくは40重量%以上、特に好ましくは50重量%以上、最も好ましくは60重量%以上、好ましくは99重量%以下、より好ましくは85重量%以下、更に好ましくは80重量%以下、特に好ましくは75重量%以下である。上記無機充填材の合計の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化物の表面の表面粗さがより一層小さくなり、硬化物と金属層との接着強度がより一層高くなり、かつ硬化物の表面により一層微細な配線が形成されると同時に、この無機充填材量であれば、硬化物の熱膨張率を低くすることと同時に、スミア除去性を良好にすることも可能である。
[硬化促進剤]
上記樹脂組成物は、硬化促進剤を含むことが好ましい。上記硬化促進剤の使用により、硬化速度がより一層速くなる。樹脂フィルムを速やかに硬化させることで、硬化物における架橋構造が均一になると共に、未反応の官能基数が減り、結果的に架橋密度が高くなる。上記硬化促進剤は特に限定されず、従来公知の硬化促進剤を使用可能である。上記硬化促進剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール化合物、リン化合物、アミン化合物及び有機金属化合物等が挙げられる。
上記イミダゾール化合物としては、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール及び2−フェニル−4−メチル−5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
上記リン化合物としては、トリフェニルホスフィン等が挙げられる。
上記アミン化合物としては、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジエチレンテトラミン、トリエチレンテトラミン及び4,4−ジメチルアミノピリジン等が挙げられる。
上記有機金属化合物としては、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、ビスアセチルアセトナートコバルト(II)及びトリスアセチルアセトナートコバルト(III)等が挙げられる。
上記硬化促進剤の含有量は特に限定されない。樹脂組成物中の上記無機充填材及び溶剤を除く成分100重量%中、上記硬化促進剤の含有量は好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.9重量%以上、好ましくは3.0重量%以下、より好ましくは1.8重量%以下である。上記硬化促進剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、樹脂フィルムが効率的に硬化する。上記硬化促進剤の含有量がより好ましい範囲であれば、樹脂組成物の保存安定性がより一層高くなり、かつより一層良好な硬化物が得られる。
[溶剤]
上記樹脂組成物は、溶剤を含まないか又は含む。上記溶剤の使用により、樹脂組成物の粘度を好適な範囲に制御でき、樹脂組成物の塗工性を高めることができる。また、上記溶剤は、上記無機充填材を含むスラリーを得るために用いられてもよい。上記溶剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記溶剤としては、アセトン、メタノール、エタノール、ブタノール、2−プロパノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、2−アセトキシ−1−メトキシプロパン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、メチルイソブチルケトン、N−メチル−ピロリドン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン及び混合物であるナフサ等が挙げられる。
上記溶剤の多くは、上記樹脂組成物をフィルム状に成形するときに、除去されることが好ましい。従って、上記溶剤の沸点は好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下である。上記樹脂組成物における上記溶剤の含有量は特に限定されない。上記樹脂組成物の塗工性などを考慮して、上記溶剤の含有量は適宜変更可能である。
[他の成分]
耐衝撃性、耐熱性、樹脂の相溶性及び作業性等の改善を目的として、上記樹脂組成物には、レベリング剤、難燃剤、カップリング剤、着色剤、酸化防止剤、紫外線劣化防止剤、消泡剤、増粘剤、揺変性付与剤及びエポキシ化合物以外の他の熱硬化性樹脂等を添加してもよい。
上記カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤及びアルミニウムカップリング剤等が挙げられる。上記シランカップリング剤としては、ビニルシラン、アミノシラン、イミダゾールシラン及びエポキシシラン等が挙げられる。
上記他の熱硬化性樹脂としては、ポリフェニレンエーテル樹脂、ジビニルベンジルエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ベンゾオキサゾール樹脂、ビスマレイミド樹脂及びアクリレート樹脂等が挙げられる。
(樹脂フィルム(Bステージ化物/Bステージフィルム)及び積層フィルム)
上述した樹脂組成物をフィルム状に成形することにより樹脂フィルム(Bステージ化物/Bステージフィルム)が得られる。樹脂フィルムは、Bステージ化物であることが好ましい。
樹脂フィルムの硬化度をより一層均一に制御する観点からは、上記樹脂フィルムの厚みは好ましくは5μm以上、好ましくは200μm以下である。
上記樹脂組成物をフィルム状に成形する方法としては、例えば、押出機を用いて、樹脂組成物を溶融混練し、押出した後、Tダイ又はサーキュラーダイ等により、フィルム状に成形する押出成形法、溶剤を含む樹脂組成物をキャスティングしてフィルム状に成形するキャスティング成形法、並びに従来公知のその他のフィルム成形法等が挙げられる。薄型化に対応可能であることから、押出成形法又はキャスティング成形法が好ましい。フィルムにはシートが含まれる。
上記樹脂組成物をフィルム状に成形し、熱による硬化が進行し過ぎない程度に、例えば90〜200℃で1〜180分間加熱乾燥させることにより、Bステージフィルムである樹脂フィルムを得ることができる。
上述のような乾燥工程により得ることができるフィルム状の樹脂組成物をBステージフィルムと称する。上記Bステージフィルムは、半硬化状態にある半硬化物である。半硬化物は、完全に硬化しておらず、硬化がさらに進行され得る。
上記樹脂フィルムは、プリプレグでなくてもよい。上記樹脂フィルムがプリプレグではない場合には、ガラスクロスなどに沿ってマイグレーションが生じなくなる。また、樹脂フィルムをラミネート又はプレキュアする際に、表面にガラスクロスに起因する凹凸が生じなくなる。また、プリプレグを含まない樹脂フィルムとすることで、硬化物の熱による寸法変化が小さくなり、形状保持性が高くなり、セミアディティブプロセス適性が高くなる。
上記樹脂組成物は、金属箔又は基材と、該金属箔又は基材の表面に積層された樹脂フィルムとを備える積層フィルムを形成するために好適に用いることができる。上記積層フィルムにおける上記樹脂フィルムが、上記樹脂組成物により形成される。上記金属箔は銅箔であることが好ましい。
上記積層フィルムの上記基材としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム及びポリブチレンテレフタレートフィルムなどのポリエステル樹脂フィルム、ポリエチレンフィルム及びポリプロピレンフィルムなどのオレフィン樹脂フィルム、及びポリイミド樹脂フィルム等が挙げられる。上記基材の表面は、必要に応じて、離型処理されていてもよい。
上記樹脂組成物及び上記樹脂フィルムを回路の絶縁層として用いる場合、上記樹脂組成物又は上記樹脂フィルムにより形成された絶縁層の厚さは、回路を形成する導体層(金属層)の厚さ以上であることが好ましい。上記絶縁層の厚さは、好ましくは5μm以上、好ましくは200μm以下である。
(プリント配線板)
上記樹脂組成物及び上記樹脂フィルムは、プリント配線板において絶縁層を形成するために好適に用いられる。
上記プリント配線板は、例えば、上記樹脂フィルムを加熱加圧成形することにより得られる。
上記樹脂フィルムに対して、片面又は両面に金属箔を積層できる。上記樹脂フィルムと金属箔とを積層する方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、平行平板プレス機又はロールラミネーター等の装置を用いて、加熱しながら又は加熱せずに加圧しながら、上記樹脂フィルムを金属箔に積層可能である。
(銅張り積層板及び多層基板)
上記樹脂組成物及び上記樹脂フィルムは、銅張り積層板を得るために好適に用いられる。上記銅張り積層板の一例として、銅箔と、該銅箔の一方の表面に積層された樹脂フィルムとを備える銅張り積層板が挙げられる。この銅張り積層板の樹脂フィルムが、上記樹脂組成物により形成される。
上記銅張り積層板の上記銅箔の厚さは特に限定されない。上記銅箔の厚さは、1〜50μmの範囲内であることが好ましい。また、上記樹脂フィルムを硬化させた絶縁層と銅箔との接着強度を高めるために、上記銅箔は微細な凹凸を表面に有することが好ましい。凹凸の形成方法は特に限定されない。上記凹凸の形成方法としては、公知の薬液を用いた処理による形成方法等が挙げられる。
上記樹脂組成物及び上記樹脂フィルムは、多層基板を得るために好適に用いられる。上記樹脂組成物及び上記樹脂フィルムは、多層基板用樹脂組成物であることが好ましく、多層基板用樹脂フィルムであることが好ましい。上記多層基板の一例として、回路基板と、該回路基板の表面上に積層された絶縁層とを備える多層基板が挙げられる。この多層基板の絶縁層が、上記樹脂組成物をフィルム状に成形した樹脂フィルムを用いて上記樹脂フィルムにより形成されている。また、多層基板の絶縁層が、積層フィルムを用いて、上記積層フィルムの上記樹脂フィルムにより形成されていてもよい。上記絶縁層は、回路基板の回路が設けられた表面上に積層されていることが好ましい。上記絶縁層の一部は、上記回路間に埋め込まれていることが好ましい。
上記多層基板では、上記絶縁層の上記回路基板が積層された表面とは反対側の表面が粗化処理されていることが好ましい。
粗化処理方法は、従来公知の粗化処理方法を用いることができ特に限定されない。上記絶縁層の表面は、粗化処理の前に膨潤処理されていてもよい。
また、上記多層基板は、上記絶縁層の粗化処理された表面に積層された銅めっき層をさらに備えることが好ましい。
また、上記多層基板の他の例として、回路基板と、該回路基板の表面上に積層された絶縁層と、該絶縁層の上記回路基板が積層された表面とは反対側の表面に積層された銅箔とを備える多層基板が挙げられる。上記絶縁層及び上記銅箔が、銅箔と該銅箔の一方の表面に積層された樹脂フィルムとを備える銅張り積層板を用いて、上記樹脂フィルムを硬化させることにより形成されていることが好ましい。さらに、上記銅箔はエッチング処理されており、銅回路であることが好ましい。
上記多層基板の他の例として、回路基板と、該回路基板の表面上に積層された複数の絶縁層とを備える多層基板が挙げられる。上記回路基板上に配置された上記複数層の絶縁層の内の少なくとも1層が、上記樹脂組成物をフィルム状に成形した樹脂フィルムを用いて形成される。上記多層基板は、上記樹脂フィルムを用いて形成されている上記絶縁層の少なくとも一方の表面に積層されている回路をさらに備えることが好ましい。
図3は、本発明の一実施形態に係る樹脂組成物を用いた多層基板を模式的に示す断面図である。
図3に示す多層基板11では、回路基板12の上面12aに、複数層の絶縁層13〜16が積層されている。絶縁層13〜16は、硬化物層である。回路基板12の上面12aの一部の領域には、金属層17が形成されている。複数層の絶縁層13〜16のうち、回路基板12側とは反対の外側の表面に位置する絶縁層16以外の絶縁層13〜15には、上面の一部の領域に金属層17が形成されている。金属層17は回路である。回路基板12と絶縁層13の間、及び積層された絶縁層13〜16の各層間に、金属層17がそれぞれ配置されている。下方の金属層17と上方の金属層17とは、図示しないビアホール接続及びスルーホール接続の内の少なくとも一方により互いに接続されている。
多層基板11では、絶縁層13〜16が、上記樹脂組成物により形成されている。本実施形態では、絶縁層13〜16の表面が粗化処理されているので、絶縁層13〜16の表面に図示しない微細な孔が形成されている。また、微細な孔の内部に金属層17が至っている。また、多層基板11では、金属層17の幅方向寸法(L)と、金属層17が形成されていない部分の幅方向寸法(S)とを小さくすることができる。また、多層基板11では、図示しないビアホール接続及びスルーホール接続で接続されていない上方の金属層と下方の金属層との間に、良好な絶縁信頼性が付与されている。
(粗化処理及び膨潤処理)
上記樹脂組成物は、粗化処理又はデスミア処理される硬化物を得るために用いられることが好ましい。上記硬化物には、更に硬化が可能な予備硬化物も含まれる。
上記樹脂組成物を予備硬化させることにより得られた硬化物の表面に微細な凹凸を形成するために、硬化物は粗化処理されることが好ましい。粗化処理の前に、硬化物は膨潤処理されることが好ましい。硬化物は、予備硬化の後、かつ粗化処理される前に、膨潤処理されており、さらに粗化処理の後に硬化されていることが好ましい。ただし、硬化物は、必ずしも膨潤処理されなくてもよい。
上記膨潤処理の方法としては、例えば、エチレングリコールなどを主成分とする化合物の水溶液又は有機溶媒分散溶液などにより、硬化物を処理する方法が用いられる。膨潤処理に用いる膨潤液は、一般にpH調整剤などとして、アルカリを含む。膨潤液は、水酸化ナトリウムを含むことが好ましい。具体的には、例えば、上記膨潤処理は、40重量%エチレングリコール水溶液等を用いて、処理温度30〜85℃で1〜30分間、硬化物を処理することにより行なわれる。上記膨潤処理の温度は50〜85℃の範囲内であることが好ましい。上記膨潤処理の温度が低すぎると、膨潤処理に長時間を要し、更に硬化物と金属層との接着強度が低くなる傾向がある。
上記粗化処理には、例えば、マンガン化合物、クロム化合物又は過硫酸化合物などの化学酸化剤等が用いられる。これらの化学酸化剤は、水又は有機溶剤が添加された後、水溶液又は有機溶媒分散溶液として用いられる。粗化処理に用いられる粗化液は、一般にpH調整剤などとしてアルカリを含む。粗化液は、水酸化ナトリウムを含むことが好ましい。
上記マンガン化合物としては、過マンガン酸カリウム及び過マンガン酸ナトリウム等が挙げられる。上記クロム化合物としては、重クロム酸カリウム及び無水クロム酸カリウム等が挙げられる。上記過硫酸化合物としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム及び過硫酸アンモニウム等が挙げられる。
上記粗化処理の方法は特に限定されない。上記粗化処理の方法として、例えば、30〜90g/L過マンガン酸又は過マンガン酸塩溶液及び30〜90g/L水酸化ナトリウム溶液を用いて、処理温度30〜85℃及び1〜30分間の条件で、硬化物を処理する方法が好適である。上記粗化処理の温度は50〜85℃の範囲内であることが好ましい。上記粗化処理の回数は1回又は2回であることが好ましい。
硬化物の表面の算術平均粗さRaは好ましくは50nm以上、好ましくは350nm以下、より好ましくは200nm未満、更に好ましくは100nm未満である。この場合には、硬化物と金属層又は配線との接着強度が高くなり、更に絶縁層の表面により一層微細な配線が形成される。
(デスミア処理)
上記樹脂組成物を予備硬化させることにより得られた硬化物に、貫通孔が形成されることがある。上記多層基板などでは、貫通孔として、ビア又はスルーホール等が形成される。例えば、ビアは、COレーザー等のレーザーの照射により形成できる。ビアの直径は特に限定されないが、60〜80μm程度である。上記貫通孔の形成により、ビア内の底部には、硬化物に含まれている樹脂成分に由来する樹脂の残渣であるスミアが形成されることが多い。
上記スミアを除去するために、硬化物の表面は、デスミア処理されることが好ましい。デスミア処理が粗化処理を兼ねることもある。
上記デスミア処理には、上記粗化処理と同様に、例えば、マンガン化合物、クロム化合物又は過硫酸化合物などの化学酸化剤等が用いられる。これらの化学酸化剤は、水又は有機溶剤が添加された後、水溶液又は有機溶媒分散溶液として用いられる。デスミア処理に用いられるデスミア処理液は、一般にアルカリを含む。デスミア処理液は、水酸化ナトリウムを含むことが好ましい。
上記デスミア処理の方法は特に限定されない。上記デスミア処理の方法として、例えば、30〜90g/L過マンガン酸又は過マンガン酸塩溶液及び30〜90g/L水酸化ナトリウム溶液を用いて、処理温度30〜85℃及び1〜30分間の条件で、1回又は2回、硬化物を処理する方法が好適である。上記デスミア処理の温度は50〜85℃の範囲内であることが好ましい。
上記樹脂組成物の使用により、デスミア処理された硬化物の表面の表面粗さが十分に小さくなる。
以下、実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されない。
(熱硬化性化合物)
・ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬社製「NC3000」、エポキシ当量275)
(硬化剤)
・活性エステル硬化剤含有液(DIC社製「EXB9416−70BK」、当量330、固形分の含有量70重量%、メチルイソブチルケトンの含有量30重量%)
・活性エステル硬化剤含有液(DIC社製「HPC8000−65T」、当量235、固形分の含有量65重量%、トルエンの含有量35重量%)
・アミノトリアジン骨格フェノールノボラック硬化剤含有液(DIC社製「LA1356」、当量151、固形分の含有量60重量%、メチルエチルケトンの含有量40重量%)
(硬化促進剤)
・ジメチルアミノピリジン(和光純薬工業社製「DMAP」)
・イミダゾール化合物(四国化成工業社製「2P4MZ」)
(熱可塑性樹脂)
・フェノキシ樹脂(三菱化学社製「YX6954−BH30」、ビフェニル骨格含有、固形分の含有量30重量%、シクロヘキサノンの含有量35重量%、メチルエチルケトンの含有量35重量%)
(無機充填材)
・シリカ含有スラリー(アドマテックス社製「SC4050HOA」、シリカの平均粒径1.0μm、シリカがアミノシランにより表面処理されている、シリカの含有量75重量%、シクロヘキサノンの含有量25重量%)
・シリカ含有スラリー(アドマテックス社製「SC1050HLA」、シリカの平均粒径0.25μm、シリカがアミノシランにより表面処理されている、シリカの含有量60重量%、シクロヘキサノンの含有量40重量%)
・シリカ含有スラリー(アドマテックス社製「SC2050HNG」、シリカの平均粒径0.5μm、シリカがアミノシランにより表面処理されている、シリカの含有量70重量%、シクロヘキサノンの含有量30重量%)
参考例1)
(樹脂組成物の調製)
ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬社製「NC3000」)10.0重量部と、活性
エステル硬化剤含有液(DIC社製「EXB9416−70BK」)13.7重量部(固
形分で9.6重量部)と、アミノトリアジン骨格フェノールノボラック硬化剤含有液(D
IC社製「LA1356」)1.8重量部(固形分で1.1重量部)と、ジメチルアミノ
ピリジン(和光純薬工業社製「DMAP」)0.2重量部と、シリカ含有スラリー(アド
マテックス社製「SC4050HOA」)71.7重量部(固形分で53.8重量部)と
を混合し、均一な溶液となるまで常温で攪拌し、樹脂組成物を得た。
(積層フィルムの作製)
離型処理された透明な第2のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(リンテック社製「PET5011」、厚み50μm)を用意した。この第2のPETフィルムの離型処理面上に乾燥後の厚みが50μmとなるように、得られた樹脂組成物をダイコーターにて塗工した後、60〜120℃で乾燥させて、第2のPETフィルム上に予備硬化前の絶縁樹脂フィルムを得た。その後、該予備硬化前の絶縁樹脂フィルムの表面に保護フィルムとして第1のPETフィルム(東レ社製「PET T60」、厚み38μm)を60℃で熱ラミネートして、積層フィルムを得た。上記積層フィルムでは、予備硬化前の絶縁樹脂フィルムは、第2のPETフィルム(リンテック社製「PET 5011」)側に第2の主面を有し、第1のPETフィルム(東レ社製「PET T60」)側に粗化処理される面である第1の主面を有する。
(ガラスエポキシ基板と予備硬化後の絶縁樹脂フィルムとを有する積層体Aの作製)
ガラスエポキシ基板(FR−4、利昌工業社製「CS−3665」)を用意した。得られた積層フィルムを、第2のPETフィルムを剥離してから、予備硬化前の絶縁樹脂フィルムの第2の主面側から、上記ガラスエポキシ基板にセットした。ガラスエポキシ基板と予備硬化前の絶縁樹脂フィルムと第1のPETフィルムとを有する積層体を、真空加圧式ラミネーター機(名機製作所社製「MVLP−500」)を用いて、ラミネート圧0.5MPa及びラミネート温度100℃で30秒間、更にプレス圧力1MPa及びプレス温度100℃で60秒間加圧加熱した。その後、第1のPETフィルムを剥がして、オーブン内で180℃で30分予備硬化を実施した。このようにして、ガラスエポキシ基板と予備硬化後の絶縁樹脂フィルムとを有する積層体Aを得た。得られた予備硬化後の絶縁樹脂フィルムは、ガラスエポキシ基板側に第2の主面を有し、ガラスエポキシ基板とは反対に粗化処理される面である第1の主面を有する。
参考例2,3、実施例〜14及び比較例1〜3)
使用した配合成分の種類及び配合量を下記の表1,2に示すように変更したこと以外は
参考例1と同様にして、樹脂組成物、積層フィルム、並びにガラスエポキシ基板と予備硬
化後の絶縁樹脂フィルムとを有する積層体Aを得た。
(評価)
(1)第1,第2の領域における無機充填材の存在状態
得られた上記積層フィルムの予備硬化前の絶縁樹脂フィルムにおいて、断面をSEM観察することで、粗化処理される第1の主面の厚み1.0μmの第1の領域における無機充填材(シリカ)の平均含有量と、粗化処理される面と反対側である第2の主面の厚み1.0μmの第2の領域における無機充填材(シリカ)の平均含有量を測定した。
SEMの観察においては、加速電圧kVの反射電子モードで第1の主面側と第2の主面側とを観察した。表面に存在する白く光る領域(無機充填材の存在領域)を2値化して、第1の主面側と第2の主面側の無機充填材の含有量を測定した。第1,第2の領域における無機充填材の存在状態を以下の基準で判定した。なお、予備硬化前の絶縁樹脂フィルム中での第1,第2の領域における無機充填材の存在状態(平均含有量)は、予備硬化後の絶縁樹脂フィルム中での第1,第2の領域における無機充填材の存在状態(平均含有量)と一致していた。
[第1,第2の領域における無機充填材の存在状態の判定基準]
A:第1の領域における無機充填材の平均含有量が、第2の領域における無機充填材の平均含有量よりも多い
B:Aの判定基準に相当しない
(2)誘電正接
(誘電正接の測定サンプルの作製)
得られた上記積層フィルムの予備硬化前の絶縁樹脂フィルムを、190℃で3時間加熱して硬化させ、硬化物Aを得た。得られた硬化物Aを幅2mm、長さ80mmの大きさに裁断して5枚を重ね合わせて、厚み200μmの積層体を得た。
(誘電正接の測定方法)
得られた積層体について、関東電子応用開発社製「空洞共振摂動法誘電率測定装置CP521」及びキーサイトテクノロジー社製「ネットワークアナライザーN5224A PNA」を用いて、空洞共振法で常温(23℃)にて、周波数5.8GHzにて誘電正接を測定した。誘電正接を以下の基準で判定した。
[誘電正接の判定基準]
◎:0.005以下
○:0.005を超え、0.006以下
×:0.006を超える
(3)接着強度(ピール強度)
(接着強度の測定サンプルの作製)
上記積層体Aにおける予備硬化後の絶縁樹脂フィルムを、下記の(a)膨潤処理をした後、下記の(b)過マンガン酸塩処理すなわち粗化処理を行った。
(a)膨潤処理:
70℃の膨潤液(アトテックジャパン社製「スウェリングディップセキュリガントP」)に、上記積層体Aを入れて、20分間揺動させた。その後、純水で洗浄した。
(b)過マンガン酸塩処理:
80℃の過マンガン酸カリウム(アトテックジャパン社製「コンセントレートコンパクトCP」)粗化水溶液に、上記積層体を入れて、20分間揺動させ、ガラスエポキシ基板上に粗化処理された予備硬化物を得た。得られた予備硬化物を、23℃の洗浄液(アトテックジャパン社製「リダクションセキュリガントP」)により2分間洗浄した後、純水でさらに洗浄した。
ガラスエポキシ基板上の粗化処理された予備硬化物に、下記の(c)銅めっき処理を行った。
(c)銅めっき処理:
上記予備硬化物の表面を、60℃のアルカリクリーナ(アトテックジャパン社製「クリーナーセキュリガント902」)で5分間処理し、脱脂洗浄した。洗浄後、上記予備硬化物を25℃のプリディップ液(アトテックジャパン社製「プリディップネオガントB」)で2分間処理した。その後、上記予備硬化物を40℃のアクチベーター液(アトテックジャパン社製「アクチベーターネオガント834」)で5分間処理し、パラジウム触媒を付けた。次に、30℃の還元液(アトテックジャパン社製「リデューサーネオガントWA」)により、予備硬化物を5分間処理した。
次に、上記予備硬化物を化学銅液(アトテックジャパン社製「ベーシックプリントガントMSK−DK」、「カッパープリントガントMSK」、「スタビライザープリントガントMSK」及び「リデューサーCu」)に入れ、無電解めっきをめっき厚さが0.5μm程度になるまで実施した。無電解めっき後に、残留している水素ガスを除去するため、120℃の温度で30分間アニールをかけた。無電解めっきの工程までのすべての工程は、ビーカースケールで処理液を2Lとし、予備硬化物を揺動させながら実施した。
次に、無電解めっき処理された予備硬化物に、電解めっきをめっき厚さが25μmとなるまで実施した。電気銅めっきとして硫酸銅溶液(和光純薬工業社製「硫酸銅五水和物」、和光純薬工業社製「硫酸」、アトテックジャパン社製「ベーシックレベラーカパシドHL」、アトテックジャパン社製「補正剤カパラシドGS」)を用いて、0.6A/cmの電流を流した。銅めっき処理後、予備硬化物を190℃で90分間加熱し、硬化させて、銅めっき層が形成された硬化物を得た。
(接着強度の測定方法)
上記銅めっき層が形成された硬化物の銅めっき層の表面に10mm幅に切り欠きを入れた。その後、引張試験機(島津製作所社製「オートグラフ」)を用いて、クロスヘッド速度5mm/分の条件で、銅めっき層と硬化物との接着強度(ピール強度)を測定した。接着強度を下記の基準で判定した。
[接着強度の判定基準]
◎:0.5kgf/cm以上
○:0.4kgf/cm以上、0.5kgf/cm未満
×:0.4kgf/cm未満
(4)デスミア性
(デスミア性の評価サンプルの作製)
得られた積層体Aのガラスエポキシ基板に対して、炭酸ガスレーザー装置(日立エンジニアリング社製「LC−1K21」)により、エネルギー0.36mJ、パルス幅16μs及びショット数2回の条件にて、トップ径が65μmとなるようにビアホールを形成し、積層体Bを得た。
上記積層体Bにおける予備硬化後の絶縁樹脂フィルムを、下記の(a)膨潤処理をした後、下記の(b)過マンガン酸塩処理すなわち粗化処理を行った。
(a)膨潤処理:
70℃の膨潤液(アトテックジャパン社製「スウェリングディップセキュリガントP」)に、上記積層体Bを入れて、20分間揺動させた。その後、純水で洗浄した。
(b)過マンガン酸塩処理:
80℃の過マンガン酸カリウム(アトテックジャパン社製「コンセントレートコンパクトCP」)粗化水溶液に、上記積層体を入れて、20分間揺動させ、ガラスエポキシ基板上に粗化処理された予備硬化物を得た。得られた予備硬化物を、23℃の洗浄液(アトテックジャパン社製「リダクションセキュリガントP」)により2分間洗浄した後、純水でさらに洗浄して、デスミア性の評価サンプルを得た。
(デスミア性の評価方法)
電子顕微鏡(SEM)を用いて、上記で得られたビアホールを観察し、ビアホール底のスミア残渣を評価した。デスミア性を以下の基準で判定した。
[デスミア性(スミア除去性)の判定基準]
○:ビア底の壁面から3μm以上離れた内側部分に樹脂残りがない
×:ビア底の壁面から3μm以上離れた内側部分に樹脂残りがある
組成及び結果を下記の表1,2に示す。
Figure 0006867131
Figure 0006867131
1…積層体
1X…積層構造体
2…基材
2A…基材本体
2B…金属層
3…絶縁層
4…金属部
X…ビア
11…多層基板
12…回路基板
12a…上面
13〜16…絶縁層
17…金属層

Claims (4)

  1. 基材と、
    前記基材の表面上に配置された絶縁層とを備え、
    前記絶縁層の材料が、熱硬化性化合物と、硬化剤と、無機充填材とを含む樹脂組成物であり
    前記硬化剤が、前記硬化剤の全体100重量%中、活性エステル化合物を30重量%以上で含み、
    前記樹脂組成物中の溶剤及び前記無機充填材を除く成分100重量部に対して、前記無機充填材の含有量が285重量部以上であり、
    前記絶縁層の前記基材側の表面の厚み1μmの第1の領域における前記無機充填材の平均含有量が、前記絶縁層の前記基材側とは反対側の表面の厚み1μmの第2の領域における前記無機充填材の平均含有量よりも多い積層体
  2. 前記樹脂組成物が、熱可塑性樹脂を含まないか、又は、前記樹脂組成物中の溶剤及び前記無機充填材を除く成分100重量%中、熱可塑性樹脂を3重量%以下で含む、請求項1に記載の積層体
  3. 請求項又はのいずれか1項に記載の積層体を用いて、前記絶縁層に前記基材側とは反対側からレーザーを照射し、ビアを形成する工程と、
    デスミア処理する工程とを備える、積層構造体の製造方法。
  4. 前記ビア内と前記絶縁層の前記基材側とは反対側の表面上とに金属部を形成する工程を備える、請求項に記載の積層構造体の製造方法。
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