JP2019104157A - 樹脂シート及び樹脂積層基板 - Google Patents

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Abstract

【課題】多層プリント配線板の絶縁層を形成可能であり、特性が良好な多層プリント配線板を製造できる、新規の樹脂シートの提供。【解決手段】キャリアフィルム11と、キャリアフィルム11上に形成された熱硬化性の樹脂層12と、を備えた樹脂シート1において、樹脂層12について、昇温速度を10℃/minとして、30℃から300℃まで昇温させて、示差走査熱量を測定したときの発熱量が、5mJ/mg以上となるようにし、樹脂層12の第1面12aについて、そのスキューネス(Ssk)を−3.5以上とするか、又はその突出山部高さ(Spk)を0.04μm以上とする。【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂シート及び樹脂積層基板に関する。
多層プリント配線板の製造方法としては、例えば、コア層である基板上に、絶縁層と配線層(回路層)とを交互に積層する、いわゆるビルドアップ方式を採用したものが知られている。
この製造方法では、絶縁層を形成するために、例えば、この絶縁層を形成するための樹脂層をキャリアフィルム上に備えた、樹脂シートを用いる。そして、この樹脂シートを用いた多層プリント配線板の製造は、例えば、以下のように行われる。
まず、この樹脂シートを、その樹脂層によって前記基板に貼り合わせて積層する。次いで、この樹脂層に対して、加熱によって完全には硬化させない熱硬化(ハーフキュア、HC)を行い、キャリアフィルムを取り除いて、樹脂積層基板を形成する。次いで、このハーフキュア樹脂(HC樹脂)積層基板の、HC樹脂層にビアを形成した後、このビア部も含めて、HC樹脂層の表面を粗化処理し、この粗化処理面上に無電解めっきを施すことにより、絶縁層(HC樹脂層)を備えた基板上に、給電層としてのめっき層を形成する。次いで、この給電層上にレジストパターンを形成し、さらにこのレジストパターンを備えた給電層上に電気めっきを施して、めっき層を積層する。次いで、不要なレジストを除去し、HC樹脂層を加熱により最終硬化させ、フラッシュエッチングにより不要な給電層を除去することにより、配線(回路パターン)を形成する。以上により、基板上に、絶縁層及び配線層がこの順に積層される。さらに、この絶縁層及び配線層の積層を繰り返し行い、次いで必要な加工を行うことで、目的とする多層プリント配線板が得られる。
このような多層プリント配線板の製造時には、HC樹脂層の表面状態が重要である。例えば、HC樹脂層の表面の粗度が過度に大きい場合、この粗度の大きさが反映されて、HC樹脂層に隣接するめっき層の表面の粗度も過度に大きくなってしまう。すると、めっき層から形成した配線(導電性細線)の形状が粗くなってしまう。また、配線の表面を高周波信号が伝搬するときの信号の伝送損失が大きくなってしまう。そして、HC樹脂層の表面は、後述するようにこのあと必要とされる粗化処理によって脆くなるため、めっき層又は配線がHC樹脂層から剥離し易くなってしまう。
そこで、めっき層に隣接するHC樹脂層の表面状態を規定することが重要となる。このような表面状態を規定した樹脂層を備えた樹脂シートしては、熱硬化性樹脂及びフィラーを含む樹脂組成物層と、前記樹脂組成物層の少なくとも一方の面上に配置され、前記樹脂組成物層とは対向しない面の算術平均表面粗さRaが1.5μm以下である接着材層と、を有する多層樹脂シート、が開示されている(特許文献1参照)。
特開2017−019291号公報
しかし、特許文献1で開示されている多層樹脂シートは、樹脂組成物層と、これとは異なる接着材層と、の複数層が必須の構成となり、構成上の制約があるという問題点があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、多層プリント配線板の絶縁層を形成可能であり、特性が良好な多層プリント配線板を製造できる、新規の樹脂シートを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、以下の構成を採用する。
[1].キャリアフィルムと、前記キャリアフィルム上に形成された熱硬化性の樹脂層と、を備え、前記樹脂層について、昇温速度を10℃/minとして、30℃から300℃まで昇温させて、示差走査熱量を測定したときの発熱量が、5mJ/mg以上であり、前記樹脂層の前記キャリアフィルム側とは反対側の面のスキューネス(Ssk)が、−3.5以上である、樹脂シート。
[2].前記樹脂層が、熱硬化性樹脂及び充填材を含有する、[1]に記載の樹脂シート。
[3].前記キャリアフィルムに前記樹脂層が直接接触している、[1]又は[2]に記載の樹脂シート。
[4].キャリアフィルムと、前記キャリアフィルム上に形成された熱硬化性の樹脂層と、を備え、前記樹脂層について、昇温速度を10℃/minとして、30℃から300℃まで昇温させて、示差走査熱量を測定したときの発熱量が、5mJ/mg以上であり、前記樹脂層の前記キャリアフィルム側とは反対側の面の突出山部高さ(Spk)が、0.04μm以上である、樹脂シート。
[5].[1]〜[4]のいずれか一項に記載の樹脂シートにおける前記樹脂層の、前記キャリアフィルム側とは反対側の面に、さらに基板を備え、前記樹脂層の、前記キャリアフィルム側の面の算術平均高さ(Sa)が、0.035μm以下である、樹脂積層基板。
[6].[1]〜[4]のいずれか一項に記載の樹脂シートにおける前記樹脂層の、前記キャリアフィルム側とは反対側の面に、さらに基板を備え、前記樹脂層の、前記キャリアフィルム側の面の、山頂点密度(Spd)が、0.11/μm以下である、樹脂積層基板。
本発明によれば、多層プリント配線板の絶縁層を形成可能であり、特性が良好な多層プリント配線板を製造できる、新規の樹脂シートが提供される。
本発明に係る一実施形態の樹脂シートの一例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る一実施形態の樹脂積層基板の一例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る一実施形態の樹脂積層基板の他の例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る一実施形態の樹脂積層基板から得られるハーフキュア樹脂積層基板の一例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る一実施形態の樹脂積層基板から得られるハーフキュア樹脂積層基板の他の例を模式的に示す断面図である。 本発明におけるハーフキュア樹脂積層基板を用いた場合の、多層プリント配線板の製造方法の一例を、模式的に示す断面図である。
以下、本発明について、詳細に説明する。
なお、本明細書において、「スキューネス(Ssk)」、「突出山部高さ(Spk)」、「山頂点密度(Spd)」及び「算術平均高さ(Sa)」は、いずれも、ISO 25178−2:2012で規定されるパラメータである。
<<樹脂シート>>
◎第1実施形態
本発明に係る第1実施形態の樹脂シートは、キャリアフィルムと、前記キャリアフィルム上に形成された熱硬化性の樹脂層と、を備え、前記樹脂層について、昇温速度を10℃/minとして、30℃から300℃まで昇温させて、示差走査熱量を測定したときの発熱量が、5mJ/mg以上であり、前記樹脂層の前記キャリアフィルム側とは反対側の面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)のスキューネス(Ssk)が、−3.5以上となっているものである。
本実施形態の樹脂シートは、多層プリント配線板の製造に用いるものであり、前記樹脂シート中の樹脂層は、絶縁性を有し、多層プリント配線板中の絶縁層を形成する。
また、本実施形態の樹脂シートは、単層の前記樹脂層によって、その優れた効果を発現するため、構成上の制約がない。
<キャリアフィルム>
前記キャリアフィルムは、多層プリント配線板の製造時に、最終的には前記樹脂層から剥離され、取り除かれる。
前記キャリアフィルムは、樹脂フィルムであることが好ましい。
前記キャリアフィルムの構成材料である前記樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル;ポリカーボネート(PC);ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のアクリル樹脂;環状ポリオレフィン;トリアセチルセルロース(TAC);ポリエーテルスルホン(PES);ポリエーテルケトン(PEK);ポリイミド(PI)等が挙げられる。
これらの中でも、前記樹脂は、ポリエステルであることが好ましく、PETであることがより好ましい。
前記キャリアフィルムの厚さは、特に限定されないが、10〜75μmであることが好ましく、20〜50μmであることがより好ましい。
<樹脂層>
本実施形態の樹脂シートにおける樹脂層は、熱硬化性である。
前記樹脂層を、昇温速度を10℃/minとして、30℃から300℃まで昇温させて、示差走査熱量を測定した(DSCを行った)ときの発熱量は、5mJ/mg以上となる。このような樹脂層は、完全に未硬化であるか、又は僅かに硬化しているものの、未硬化である場合との明確な相違が認められない状態にあり、例えば、後述するようなハーフキュアしているものとも異なる。
DSC測定時に300℃まで昇温させるのは、熱硬化性の前記樹脂層を完全に熱硬化させるためである。このように完全に熱硬化させたときに、5mJ/mg以上という発熱量を示す前記樹脂層は、熱硬化の余地が極めて大きく、上述のとおり、完全に未硬化であるか、又は僅かに硬化しているに過ぎないと判定できる。
樹脂層は、後述するハーフキュア(HC)後、多層プリント配線板においては、絶縁層として機能する。
本実施形態における樹脂層の示差走査熱量測定(DSC)は、公知の方法で行うことができる。
前記樹脂層を上述の条件で昇温させて、示差走査熱量を測定したときの発熱量は、5〜200mJ/mgであることが好ましく、20〜150mJ/mgであることがより好ましい。
さらに、本実施形態の樹脂シートにおける樹脂層の第1面のSskは、−3.5以上である。前記樹脂層の第1面のSskが、−3.5以上となっていることで、この第1面に基板を積層した樹脂積層基板においては、後述するように、樹脂層のキャリアフィルム側の面(本明細書においては、「第2面」と称することがある)の、算術平均高さ(Sa)及び山頂点密度(Spd)のいずれか一方又は両方が、一定値以下となる。
一方、樹脂積層基板中の前記樹脂層は、この後、加熱によって、完全には硬化させない熱硬化(本明細書においては「ハーフキュア」と称することがあり、「HC」と略記することもある)を行ってから、多層プリント配線板の製造に用いる。樹脂積層基板において、上記のような、Sa及び/又はSpdが一定値以下である樹脂層をハーフキュア(HC)すると、このハーフキュア後の樹脂層(本明細書においては、「HC樹脂層」と称することがある)の第2面の算術平均高さ(Sa)が一定値以下となる。
このように、HC樹脂層の第2面のSaが一定値以下である樹脂積層基板を用いることで、特性が良好な多層プリント配線板を製造できる。
より具体的には、第2面のSaが一定値以下であるHC樹脂層は、その表面に対して後述する粗化処理を行っても、その粗化処理面が過度に荒れることがない。典型的な樹脂層としては、後述する充填材を含有するものが挙げられるが、この場合、粗化処理面での充填材の脱落が抑制される。本明細書においては、このように、HC樹脂層の粗化処理面の過度な荒れが抑制されることを「デスミア耐性」と称することがある。
そして、このような、樹脂積層基板中の樹脂層をハーフキュア(HC)した後の樹脂積層基板(本明細書においては、「HC樹脂積層基板」と称することがある)から得られる多層プリント配線板においては、HC樹脂層(絶縁層)に隣接する配線(めっき層)は、精密な形状とすることが可能である。配線はめっき層をパターニングすることで形成される。また、めっき層又は配線の前記絶縁層からの剥離が抑制される。また、前記絶縁層に隣接する配線を伝搬する高周波信号の伝送損失が抑制される。本明細書においては、このように精密な形状を有する配線(導電性細線)が得られる性質を「細線加工性」と称することがある。また、めっき層又は配線の絶縁層(HC樹脂層)からの剥離が抑制される程度を「めっき層剥離強度」と称することがある。
本発明者は、前記樹脂シート中の樹脂層の第1面のSskと、この樹脂シートを基板に積層して構成された前記樹脂積層基板中の樹脂層の第2面のSa及び/又はSpdと、の間に明らかな相関があることを見出した。また、本発明者は、この樹脂積層基板中の樹脂層の第2面のSa及び/又はSpdと、HC樹脂積層基板中のHC樹脂層の第2面のSaと、の間に明らかな相関があることを見出した。すなわち、本発明者は、前記樹脂シート中の樹脂層の第1面のSskと、HC樹脂積層基板中のHC樹脂層の第2面のSaと、の間にも、明らかな相関があることを見出した。
本発明は、このような知見に基づいて完成されたものである。このように、基板に積層する前の樹脂層の一方の面の表面状態(Sskに限定されない)を規定することで、基板に積層した後の樹脂層の他方の面(積層前に表面状態を規定した面とは反対側の面)の表面状態(Sa、Spdに限定されない)を規定できることは、従来知られていない。そして当然に、基板に積層する前の樹脂層の一方の面の表面状態を規定することで、基板に積層されている状態のHC樹脂層の他方の面(積層前に表面状態を規定した面とは反対側の面)の表面状態(Saに限定されない)を規定できることも、従来知られていない。
多層プリント配線板の製造(より具体的には、絶縁層の形成)に用いる従来の樹脂層では、基板へ積層後の、基板側の面(第1面)について、Sa及びSpd以外の特性を規定しているものがある(例えば、「特開2017−019291号公報」(前記特許文献1)に記載の接着材層)が、樹脂層の第2面のSa及び/又はSpdを規定しているものはない。また、「特開2017−019291号公報」に記載の接着材層は、樹脂組成物層と組み合わせて、複数層からなる多層樹脂シートとして用いる必要があり、構成上の制約がある。これに対して、本実施形態の樹脂シート中の樹脂層は、単独で用いることができる。
本発明において、上記のように、前記樹脂シート中の樹脂層の第1面のSskと、HC樹脂積層基板中のHC樹脂層の第2面のSaと、の間に相関がある理由、換言すると、前記樹脂シート中の樹脂層の第1面のSskと、前記樹脂積層基板中の樹脂層の第2面のSa及び/又はSpdと、の間に相関があり、かつ、前記樹脂積層基板中の樹脂層の第2面のSa及び/又はSpdと、HC樹脂積層基板中のHC樹脂層の第2面のSaと、の間に相関がある理由は、定かではないが、以下のように推測される。
すなわち、樹脂シート中の樹脂層と、樹脂積層基板中の樹脂層と、においては、含有成分のうち非相溶成分が移動し得る。そして、これら樹脂層は、その取り扱い時に、温度変化、特に温度上昇に晒されることが避けられない。すると、温度上昇に伴って、これら樹脂層中では、前記非相溶成分がより移動し易くなり、一部は、これら樹脂層の表面にまで移動する。そして、樹脂層の表面は、ここに偏在する前記非相溶成分の影響によって、前記非相溶成分が存在しない場合と比較すると、表面状態に変化が生じる。この場合、樹脂積層基板中の樹脂層の表面状態は、基板を貼り合わせる前の樹脂シート中の樹脂層の表面状態の影響を受け、さらに、樹脂積層基板中の樹脂層における前記非相溶成分の移動の影響も受ける。その結果、前記樹脂シート中の樹脂層の第1面のSskと、HC樹脂積層基板中のHC樹脂層の第2面のSaと、の間に相関が見られると推測される。そして、同様に、HC樹脂積層基板中のHC樹脂層の表面状態は、HC前の樹脂積層基板中の樹脂層の表面状態の影響を受け、さらに、HC樹脂層における前記非相溶成分の移動の影響も受ける。その結果、樹脂積層基板中の樹脂層の第2面のSa及び/又はSpdと、HC樹脂積層基板中のHC樹脂層の第2面のSaと、の間に相関が見られると推測される。そして、樹脂シート中の樹脂層の第1面のSskと、HC樹脂積層基板中のHC樹脂層の第2面のSaと、の間にも、相関が見られると推測される。
前記非相溶成分が非溶解成分(例えば、前記充填材等)である場合に、このような本発明の効果がより顕著となる。
前記樹脂シート中の樹脂層の第1面のSskは、−3.5以上であり、−3.2以上であることが好ましく、−2.9以上であることがより好ましい。前記樹脂層の第1面のSskが前記下限値以上であることで、HC樹脂層のデスミア耐性、細線加工性及びめっき層剥離強度がより向上し、また、配線を伝搬する高周波信号の伝送損失がより抑制される。
前記樹脂シート中の樹脂層の第1面のSskの上限値は、特に限定されない。例えば、前記樹脂層の第1面のSskは、5以下であることが好ましく、4.5以下であることがより好ましい。このような樹脂層は、より容易に形成できる。
前記樹脂シート中の樹脂層の第1面のSskは、上述のいずれかの好ましい下限値及び上限値を任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。
例えば、一実施形態の前記樹脂層の第1面のSskは、好ましくは−3.5〜5、より好ましくは−3.2〜5、さらに好ましくは−2.9〜5である。また、一実施形態の前記樹脂層の第1面のSskは、好ましくは−3.5〜4.5、より好ましくは−3.2〜4.5、さらに好ましくは−2.9〜4.5である。ただし、これらは、前記Sskの一例である。
前記樹脂シート中の樹脂層の第1面のSskは、例えば、前記樹脂層の含有成分の種類若しくは含有量、又は、前記樹脂層の第2面(キャリアフィルム側の面)が直接接触している層の、その前記第2面との接触面の表面状態等を調節することで、調節できる。ここで、前記接触面としては、例えば、キャリアフィルムの樹脂層側の面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)が挙げられる。
好ましい前記樹脂層としては、例えば、熱硬化性樹脂(a)及び充填材(d)を含有するものが挙げられる。
より好ましい前記樹脂層としては、例えば、熱硬化性樹脂(a)、硬化剤(b)、硬化促進剤(c)、充填材(d)、及びカップリング剤(f)を含有するものが挙げられ、これら以外にさらに、熱可塑性樹脂(e)を含有するものも挙げられる。
なお、本明細書において、単なる「樹脂層」との記載は、前記樹脂シート中の樹脂層を意味する。
前記樹脂層は、例えば、熱硬化性樹脂(a)及び充填材(d)以外に、熱硬化性樹脂(a)、硬化剤(b)、硬化促進剤(c)、充填材(d)、熱可塑性樹脂(e)及びカップリング剤(f)のいずれにも該当しない他の成分を含有していてもよい。
前記他の成分は、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されない。好ましい前記他の成分としては、例えば、添加剤(g)等が挙げられる。
前記樹脂層は、その構成材料を含有する樹脂組成物を用いて形成できる。例えば、樹脂層の形成対象面に前記樹脂組成物を塗工し、乾燥させることで、目的とする部位に前記樹脂層を形成できる。
前記樹脂組成物は、前記樹脂層が目的とする成分を、目的とする量で含有するように、含有成分の種類と含有量を調節して、製造すればよい。例えば、前記樹脂組成物中の、常温で気化しない成分(例えば、溶媒以外の成分)同士の含有量の比率は、通常、この樹脂組成物から形成された樹脂層中の、前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。なお、本明細書において、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、15〜25℃の温度等が挙げられる。
前記樹脂層の厚さは、特に限定されないが、5〜100μmであることが好ましく、15〜70μmであることがより好ましい。
[樹脂組成物]
好ましい前記樹脂組成物としては、例えば、上述の樹脂層に対応したものとして、熱硬化性樹脂(a)及び充填材(d)を含有するものが挙げられる。
より好ましい前記樹脂組成物としては、例えば、熱硬化性樹脂(a)、硬化剤(b)、硬化促進剤(c)、充填材(d)及びカップリング剤(f)を含有するものが挙げられ、これら以外にさらに、熱可塑性樹脂(e)を含有するものも挙げられる。
前記樹脂組成物は、例えば、熱硬化性樹脂(a)及び充填材(d)以外に、熱硬化性樹脂(a)、硬化剤(b)、硬化促進剤(c)、充填材(d)、熱可塑性樹脂(e)及びカップリング剤(f)のいずれにも該当しない他の成分を含有していてもよい。ここでの「他の成分」とは、前記樹脂層における「他の成分」と同じものに加え、溶媒が挙げられ、好ましい他の成分としては、例えば、添加剤(g)、溶媒等が挙げられる。
(熱硬化性樹脂(a))
熱硬化性樹脂(a)としては、例えば、エポキシ樹脂、マレイミド化合物、カルボジイミド等が挙げられる。
前記エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂(4,4’−(1,3−フェニレンジイソプリジエン)ビスフェノール型エポキシ樹脂)、ビスフェノールP型エポキシ樹脂(4,4’−(1,4−フェニレンジイソプリジエン)ビスフェノール型エポキシ樹脂)、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂(4,4’−シクロヘキシジエンビスフェノール型エポキシ樹脂)等のビスフェノール型エポキシ樹脂;
フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタンノボラック型エポキシ樹脂、縮合環芳香族炭化水素構造を有するノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;
ビフェニル型エポキシ樹脂;
キシリレン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂等のアラルキル型エポキシ樹脂;
ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレンジオール型エポキシ樹脂、2官能〜4官能エポキシ型ナフタレン樹脂、ビナフチル型エポキシ樹脂、ナフタレンアラルキル型エポキシ樹脂等のナフタレン型エポキシ樹脂;
アントラセン型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;ノルボルネン型エポキシ樹脂;アダマンタン型エポキシ樹脂;フルオレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
また、前記エポキシ樹脂としては、これらの樹脂(ビスフェノール型エポキシ樹脂〜フルオレン型エポキシ樹脂)の変性体も挙げられる。
後述する多層プリント配線板の耐熱性及び絶縁信頼性がより向上する点では、前記エポキシ樹脂は、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、アラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂又はジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂であることが好ましく、ビスフェノール型エポキシ樹脂、アラルキル型エポキシ樹脂、縮合環芳香族炭化水素構造を有するノボラック型エポキシ樹脂又はナフタレン型エポキシ樹脂であることがより好ましい。
多層プリント配線板の耐熱性、熱膨張抑制性又は熱収縮抑制性がより向上する点では、前記エポキシ樹脂は、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレンジオール型エポキシ樹脂、2官能〜4官能エポキシ型ナフタレン樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂等のナフタレン型エポキシ樹脂;又はこれらナフタレン型エポキシ樹脂の変性体であることが好ましい。
前記樹脂組成物及び樹脂層が含有する熱硬化性樹脂(a)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
前記樹脂組成物の熱硬化性樹脂(a)の含有量は、特に限定されない。
前記樹脂組成物において、溶媒以外の成分の総含有量に対する、熱硬化性樹脂(a)の含有量の割合(すなわち、前記樹脂層の熱硬化性樹脂(a)の含有量)は、5質量%以上であることが好ましく、8質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが特に好ましい。前記含有量の割合が前記下限値以上であることで、熱硬化性樹脂(a)を用いたことによる効果がより顕著に得られる。
一方、前記樹脂組成物において、溶媒以外の成分の総含有量に対する、熱硬化性樹脂(a)の含有量の割合(前記樹脂層の熱硬化性樹脂(a)の含有量)は、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが特に好ましい。前記含有量の割合が前記上限値以下であることで、前記樹脂組成物の取り扱い性がより向上し、前記樹脂層をより容易に形成できる。また、前記樹脂層の強度や難燃性が向上したり、前記樹脂層の線膨張係数の低下によって、反りの低減効果がより向上することがある。
熱硬化性樹脂(a)の前記含有量の割合(前記樹脂層の熱硬化性樹脂(a)の含有量)は、上述のいずれかの好ましい下限値及び上限値を任意に組み合わせて設定される範囲内となるように、適宜調節できる。
例えば、前記含有量の割合は、好ましくは5〜30質量%、より好ましくは8〜25質量%、特に好ましくは10〜20質量%である。ただし、これは、前記含有量の割合の一例である。
(硬化剤(b))
前記樹脂層は、硬化剤(b)を含有することにより、その線膨張係数がより小さくなり、また、その電気特性、機械強度等がより向上する。ここで、電気特性の向上としては、例えば、誘電率の低下、誘電正接の低下等が挙げられる。
硬化剤(b)としては、例えば、シアネート樹脂、フェノール樹脂、活性エステル化合物等が挙げられる。
・シアネート樹脂
前記シアネート樹脂としては、例えば、ハロゲン化シアン化合物と、フェノール類又はナフトール類と、を反応させ、必要に応じてこのとき加熱等を行うことで、プレポリマー化されたもの等が挙げられる。
前記シアネート樹脂としては、より具体的には、例えば、ノボラック型シアネート樹脂、ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型シアネート樹脂、テトラメチルビスフェノールF型シアネート樹脂等のビスフェノール型シアネート樹脂;ナフトールアラルキル型フェノール樹脂と、ハロゲン化シアンと、の反応で得られたナフトールアラルキル型シアネート樹脂;ジシクロペンタジエン型シアネート樹脂;ビフェニルアルキル型シアネート樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、前記シアネート樹脂は、ノボラック型シアネート樹脂又はナフトールアラルキル型シアネート樹脂であることが好ましく、ノボラック型シアネート樹脂であることがより好ましい。ノボラック型シアネート樹脂を用いた場合、前記樹脂層において架橋密度がより増大し、樹脂層の耐熱性がより向上する。
・フェノール樹脂
前記フェノール樹脂としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、アルキルフェノールノボラック樹脂、ビスフェノールA型ノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、ザイロック型フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ポリビニルフェノール類等が挙げられる。
・活性エステル化合物
前記活性エステル化合物としては、公知のものを用いることができる。
前記活性エステル化合物として、より具体的には、例えば、国際公開第2016/098488号に記載のものが挙げられる。
前記活性エステル化合物のうち、ナフタレン型活性エステル化合物としては、例えば、ジヒドロキシナフタレン化合物と、ベンジルアルコールと、を反応させて、ベンジル変性ナフタレン化合物を得る工程と、得られたベンジル変性ナフタレン化合物と、芳香族ジカルボン酸塩化物と、一価フェノール系化合物と、を反応させる工程と、有する製造方法によって得られた活性エステル化合物が挙げられる。
前記活性エステル化合物としては、市販品を用いてもよく、このような市販品としては、例えば、エピクロンEXB−8100L−65T(DIC社製)、エピクロンHPC−8150L−60T(DIC社製)等が挙げられる。
前記樹脂組成物及び樹脂層が含有する硬化剤(b)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
前記樹脂組成物の硬化剤(b)の含有量は、特に限定されない。
前記樹脂組成物が硬化剤(b)を含有する場合、前記樹脂組成物において、溶媒以外の成分の総含有量に対する、硬化剤(b)の含有量の割合(すなわち、前記樹脂層の硬化剤(b)の含有量)は、5質量%以上であることが好ましく、8質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが特に好ましい。前記含有量の割合が前記下限値以上であることで、硬化剤(b)を用いたことによる効果がより顕著に得られる。
一方、前記樹脂組成物において、溶媒以外の成分の総含有量に対する、硬化剤(b)の含有量の割合(前記樹脂層の硬化剤(b)の含有量)は、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが特に好ましい。前記含有量の割合が前記上限値以下であることで、前記樹脂層の弾性率がより向上する。
硬化剤(b)の前記含有量の割合(前記樹脂層の硬化剤(b)の含有量)は、上述のいずれかの好ましい下限値及び上限値を任意に組み合わせて設定される範囲内となるように、適宜調節できる。
例えば、前記含有量の割合は、好ましくは5〜30質量%、より好ましくは8〜25質量%、特に好ましくは10〜20質量%である。ただし、これは、前記含有量の割合の一例である。
(硬化促進剤(c))
硬化促進剤(c)としては、公知のものを用いることができる。
硬化促進剤(c)として、より具体的には、例えば、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、ビスアセチルアセトナートコバルト(II)、トリスアセチルアセトナートコバルト(III)等の有機金属塩;
トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等の第三級アミン;
2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−エチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシイミダゾール等のイミダゾール類(イミダゾールの1個以上の水素原子が置換基で置換された構造を有する化合物);
フェノール、ビスフェノールA、ノニルフェノール等のフェノール類(フェノール、又はフェノールの1個以上の水素原子が置換基で置換された構造を有する化合物);
酢酸、安息香酸、サリチル酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸(有機カルボン酸、有機スルホン酸);
過酸化ベンゾイル、ジクミルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル、tert−ブチルパーオキサイド等の熱ラジカル発生剤等が挙げられる。
前記樹脂組成物及び樹脂層が含有する硬化促進剤(c)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
前記樹脂組成物の硬化促進剤(c)の含有量は、特に限定されない。
前記樹脂組成物が硬化促進剤(c)を含有する場合、前記樹脂組成物において、溶媒以外の成分の総含有量に対する、硬化促進剤(c)の含有量の割合(すなわち、前記樹脂層の硬化促進剤(c)の含有量)は、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることが特に好ましい。前記含有量の割合が前記下限値以上であることで、硬化促進剤(c)を用いたことによる効果がより顕著に得られる。
一方、前記樹脂組成物において、溶媒以外の成分の総含有量に対する、硬化促進剤(c)の含有量の割合(前記樹脂層の硬化促進剤(c)の含有量)は、2質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以下であることがより好ましく、1.2質量%以下であることが特に好ましい。前記含有量の割合が前記上限値以下であることで、硬化促進剤(c)の過剰使用が抑制される。
硬化促進剤(c)の前記含有量の割合(前記樹脂層の硬化促進剤(c)の含有量)は、上述のいずれかの好ましい下限値及び上限値を任意に組み合わせて設定される範囲内となるように、適宜調節できる。
例えば、前記含有量の割合は、好ましくは0.01〜2質量%、より好ましくは0.05〜1.5質量%、特に好ましくは0.1〜1.2質量%である。ただし、これは、前記含有量の割合の一例である。
(充填材(d))
充填材(d)としては、公知のものを用いることができる。
充填材(d)は、有機充填材及び無機充填材のいずれであってもよいが、無機充填材であることが好ましい。
前記無機充填材としては、例えば、タルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラス等のケイ酸塩;
酸化チタン、アルミナ、ベーマイト、シリカ、溶融シリカ等の酸化物;
炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等の炭酸塩;
水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物;
硫酸バリウム、硫酸カルシウム等の硫酸塩;
亜硫酸カルシウム等の亜硫酸塩;
ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩;
窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化炭素等の窒化物;
チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等のチタン酸塩等が挙げられる。
これらの中でも、前記無機充填材は、タルク、マイカ、ガラス、アルミナ、シリカ、水酸化アルミニウム又は水酸化マグネシウムであることが好ましい。
充填材(d)の平均粒子径は、特に限定されない。
充填材(d)の平均粒子径は、0.05μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましく、0.2μm以上であることが特に好ましい。前記平均粒子径が前記下限値以上であることで、前記樹脂組成物の粘度が過剰に高くなることを抑制できる。
充填材(d)の平均粒子径は、3μm以下であることが好ましく、2μm以下であることがより好ましく、1.5μm以下であることが特に好ましい。前記平均粒子径が前記上限値以下であることで、前記樹脂組成物中での充填材(d)の沈降等が抑制され、より均一な樹脂組成物が得られる。
なお、本明細書において「平均粒子径」とは、特に断りのない限り、レーザー回折散乱法によって求められた体積基準の粒度分布曲線における、積算値50%での粒子径(D50、メディアン径)を意味する。
充填材(d)の平均粒子径は、単分散及び多分散のいずれであってもよい。
前記樹脂組成物及び樹脂層が含有する充填材(d)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
前記樹脂組成物の充填材(d)の含有量は、特に限定されない。
前記樹脂組成物において、溶媒以外の成分の総含有量に対する、充填材(d)の含有量の割合(すなわち、前記樹脂層の充填材(d)の含有量)は、20質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることが特に好ましい。前記含有量の割合が前記下限値以上であることで、前記樹脂層の熱膨張性が低下するとともに、特性がより良好な多層プリント配線板を製造できる。
一方、前記樹脂組成物において、溶媒以外の成分の総含有量に対する、充填材(d)の含有量の割合(前記樹脂層の充填材(d)の含有量)は、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることが特に好ましい。前記含有量の割合が前記上限値以下であることで、特性がより良好な多層プリント配線板を製造できる。
充填材(d)の前記含有量の割合(前記樹脂層の充填材(d)の含有量)は、上述のいずれかの好ましい下限値及び上限値を任意に組み合わせて設定される範囲内となるように、適宜調節できる。
例えば、前記含有量の割合は、好ましくは20〜90質量%、より好ましくは40〜80質量%、特に好ましくは50〜70質量%である。ただし、これは、前記含有量の割合の一例である。
(熱可塑性樹脂(e))
前記樹脂層は、熱可塑性樹脂(e)を含有することにより、多層プリント配線板において、基板(コア層)との密着性が向上し、細線加工された配線の構造をより安定して維持できる。また、樹脂層の応力緩和能が向上し、多層プリント配線板の絶縁信頼性がより向上する。
熱可塑性樹脂(e)としては、例えば、フェノキシ樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリビニルアセタール、熱可塑性ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエーテルスルホン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリブタジエン、ABS樹脂等が挙げられる。
前記フェノキシ樹脂は、特に限定されない。
フェノキシ樹脂として、より具体的には、例えば、ビスフェノールA骨格を有するフェノキシ樹脂、ビスフェノールF骨格を有するフェノキシ樹脂、ビスフェノールS骨格を有するフェノキシ樹脂、ビスフェノールM(4,4’−(1,3−フェニレンジイソプリジエン)ビスフェノール)骨格を有するフェノキシ樹脂、ビスフェノールP(4,4’−(1,4)−フェニレンジイソプリジエン)ビスフェノール)骨格を有するフェノキシ樹脂、ビスフェノールZ(4,4’−シクロヘキシィジエンビスフェノール)骨格を有するフェノキシ樹脂等の、ビスフェノール骨格を有するフェノキシ樹脂;ノボラック骨格を有するフェノキシ樹脂;アントラセン骨格を有するフェノキシ樹脂;フルオレン骨格を有するフェノキシ樹脂;ジシクロペンタジエン骨格を有するフェノキシ樹脂;ノルボルネン骨格を有するフェノキシ樹脂;ナフタレン骨格を有するフェノキシ樹脂;ビフェニル骨格を有するフェノキシ樹脂;アダマンタン骨格を有するフェノキシ樹脂等が挙げられる。
また、フェノキシ樹脂としては、一分子中に、上述の2種以上の骨格を有するフェノキシ樹脂も挙げられる。このようなフェノキシ樹脂において、一分子中での、2種以上の骨格の比率は、目的に応じて適宜選択できる。
フェノキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されない。
フェノキシ樹脂の重量平均分子量は、5000以上であることが好ましく、15000以上であることがより好ましく、20000以上であることが特に好ましい。フェノキシ樹脂の重量平均分子量が前記下限値以上であることで、前記樹脂組成物において、フェノキシ樹脂とそれ以外の樹脂との相溶性や、フェノキシ樹脂の溶媒に対する溶解性が、より向上する。
なお、本明細書において、「重量平均分子量」とは、特に断りのない限り、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算値である。
フェノキシ樹脂の重量平均分子量は、60000以下であることが好ましく、55000以下であることがより好ましく、50000以下であることが特に好ましい。フェノキシ樹脂の重量平均分子量が前記上限値以下であることで、前記樹脂組成物の成膜性がより向上し、多層プリント配線板の製造時において、不具合の発生が高度に抑制される。
フェノキシ樹脂の重量平均分子量は、上述のいずれかの好ましい下限値及び上限値を任意に組み合わせて設定される範囲内となるように、適宜調節できる。
例えば、フェノキシ樹脂の重量平均分子量は、好ましくは5000〜60000、より好ましくは15000〜55000、特に好ましくは20000〜50000である。ただし、これは、フェノキシ樹脂の重量平均分子量の一例である。
フェノキシ樹脂としては、同じ構成単位を有し、かつ重量平均分子量が互いに異なる2種以上のものを用いてもよい。
また、フェノキシ樹脂としては、上述のフェノキシ樹脂のプレポリマーを用いてもよい。
前記ポリアミドは、酸とアミンとの重縮合により得られた構造を有するものであれば、特に限定されない。
前記ポリアミドは、前記樹脂層の耐熱性が向上する点では、芳香族環式基を有するポリアミド(芳香族ポリアミド)であることが好ましい。ここで、芳香族ポリアミドには、その前駆体に相当する芳香族ポリアミドと、ゴム成分と、が反応して得られたものも包含される。
前記ゴム成分としては、例えば、天然ゴム及び合成ゴムのいずれであってもよく、変性ゴム及び未変性ゴムのいずれであってもよい。
前記合成ゴムは、特に限定されない。
前記合成ゴムとして、より具体的には、例えば、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体(NBR)、アクリルゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、カルボン酸変性NBR、水素転化型ポリブタジエン、エポキシ変性ポリブタジエン等が挙げられる。
ゴム成分は、前記ポリアミドの相溶性を向上させるために、例えば、カルボン酸変性ゴム、水酸基変性ゴム又はエポキシ変性ゴム等であってもよいし、ゴム成分自体の熱劣化を防止するために、水素転化型合成ゴム等であってもよい。
なかでもゴム成分は、NBR又はポリブタジエンであることが好ましい。
前記ポリアミドは、熱硬化性樹脂(a)との相溶性に優れ、また、前記樹脂層の柔軟性が向上する点では、フェノール性水酸基を有するポリアミドであることが好ましい。
前記ポリイミドは、特に限定されない。
前記ポリイミドとしては、例えば、ジアミンと酸二無水物とを反応させて得られた構造を有するものが挙げられる。
前記ポリアミドイミドは、主鎖中にアミド結合及びイミド結合を有する重合体であれば特に限定されない。
前記ポリアミドイミドとしては、例えば、ジカルボン酸誘導体とジイソシアネートとを反応させて得られた構造を有するものが挙げられる。
前記樹脂組成物及び樹脂層が含有する熱可塑性樹脂(e)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
前記樹脂組成物の熱可塑性樹脂(e)の含有量は、特に限定されない。
前記樹脂組成物が熱可塑性樹脂(e)を含有する場合、前記樹脂組成物において、溶媒及び充填材(d)以外の成分の総含有量に対する、熱可塑性樹脂(e)の含有量の割合(すなわち、前記樹脂層における、充填材(d)以外の成分の総含有量に対する、熱可塑性樹脂(e)の含有量の割合)は、0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることが特に好ましい。前記含有量の割合が前記下限値以上であることで、前記樹脂層から形成された絶縁層の機械強度がより向上し、前記絶縁層と配線(回路)との密着性がより向上する。
一方、前記樹脂組成物において、溶媒及び充填材(d)以外の成分の総含有量に対する、熱可塑性樹脂(e)の含有量の割合(前記樹脂層における、充填材(d)以外の成分の総含有量に対する、熱可塑性樹脂(e)の含有量の割合)は、40質量%以下であることが好ましく、35質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることが特に好ましい。前記含有量の割合が前記上限値以下であることで、前記樹脂層から形成された絶縁層の熱膨張率がより低減され、前記絶縁層の耐熱性がより向上する。
熱可塑性樹脂(e)の前記含有量の割合(前記樹脂層における、充填材(d)以外の成分の総含有量に対する、熱可塑性樹脂(e)の含有量の割合)は、上述のいずれかの好ましい下限値及び上限値を任意に組み合わせて設定される範囲内となるように、適宜調節できる。
例えば、前記含有量の割合は、好ましくは0.5〜40質量%、より好ましくは1〜35質量%、特に好ましくは3〜30質量%である。ただし、これは、前記含有量の割合の一例である。
前記樹脂層の硬度を特定値以上とする場合には、前記樹脂組成物及び樹脂層が含有する熱可塑性樹脂(e)は、フェノキシ樹脂、芳香族ポリアミド、熱可塑性ポリイミド及びポリフェニレンオキサイドからなる群より選択される1種又は2種以上であることが好ましく、これら熱可塑性樹脂(e)の合計含有量が、上述の熱可塑性樹脂(e)の含有量の割合を満たすことが好ましい。
(カップリング剤(f))
前記樹脂層がカップリング剤(f)を含有することにより、前記樹脂層においては、充填材(d)と各種樹脂との界面における濡れ性が向上し、その結果、前記樹脂層の硬化物の耐熱性がより向上する。また、前記樹脂層と、銅箔等の金属箔と、の密着性がより向上し、前記樹脂層と、銅配線等の金属配線(回路)と、の密着性がより向上する。また、前記樹脂層の吸湿耐性がより向上するので、高湿度条件での上述の優れた密着性が長期間維持される。
カップリング剤(f)としては、例えば、エポキシシランカップリング剤、カチオン性シランカップリング剤、アミノシランカップリング剤等のシランカップリング剤;チタネート系カップリング剤;シリコーンオイル型カップリング剤等が挙げられる。
前記シランカップリング剤としては、例えば、エポキシシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、メルカプトシラン、ビニルシラン等が挙げられる。
前記シランカップリング剤として、より具体的には、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニルγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニルγ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−6−(アミノヘキシル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(3−(トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ベンゼンジメタナン等のアミノシラン(アミノ基又は置換アミノ基を有するシラン);
γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン(エポキシ基を有するシラン);
γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシラン(メルカプト基を有するシラン);
メチルトリメトキシシラン等のアルキルアルコキシシラン;
γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイドシラン(ウレイド基を有するシラン);
ビニルトリエトキシシラン等のビニルシラン(ビニル基を有するシラン)等が挙げられる。
これらのうち、好ましいシランカップリング剤としては、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシランが挙げられる。
前記アミノシランのうち、置換アミノ基を有するシランで好ましいものとしては、アニリノシランが挙げられる。
前記樹脂組成物及び樹脂層が含有するカップリング剤(f)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
前記樹脂組成物のカップリング剤(f)の含有量は、特に限定されず、例えば、充填材(d)の比表面積を考慮して適宜できる。
前記樹脂組成物がカップリング剤(f)を含有する場合、前記樹脂組成物において、溶媒以外の成分の総含有量に対する、カップリング剤(f)の含有量の割合(すなわち、前記樹脂層のカップリング剤(f)の含有量)は、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることが特に好ましい。前記含有量の割合が前記下限値以上であることで、例えば、充填材(d)がカップリング剤(f)によって十分に被覆され、その結果、前記樹脂層の硬化物の耐熱性がより向上する。
一方、前記樹脂組成物において、溶媒以外の成分の総含有量に対する、カップリング剤(f)の含有量の割合(前記樹脂層のカップリング剤(f)の含有量)は、3質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。前記含有量の割合が前記上限値以下であることで、カップリング剤(f)を用いたことによる目的外の反応の進行が抑制され、その結果、前記樹脂層の硬化物の曲げ強度等がより向上する。
カップリング剤(f)の前記含有量の割合(前記樹脂層のカップリング剤(f)の含有量)は、上述のいずれかの好ましい下限値及び上限値を任意に組み合わせて設定される範囲内となるように、適宜調節できる。
例えば、前記含有量の割合は、好ましくは0.01〜3質量%、より好ましくは0.05〜1.5質量%、特に好ましは0.1〜1質量%である。ただし、これは、前記含有量の割合の一例である。
(添加剤(g))
添加剤(g)としては、例えば、着色剤、低応力剤、消泡剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、発泡剤、酸化防止剤、難燃剤、イオン捕捉剤、ゴム粒子等の公知の各種添加剤が挙げられる。
前記樹脂組成物及び樹脂層が含有する添加剤(g)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
前記樹脂組成物の添加剤(g)の含有量は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
・着色剤
前記着色剤は、対象物(ここでは前記樹脂層)を、例えば、緑、赤、青、黄、黒等の各色に着色させるものであり、染料、顔料、色素等、公知のものでよい。
前記樹脂組成物及び樹脂層が含有する着色剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。例えば、前記樹脂組成物及び樹脂層は、1種又は2種以上の顔料のみを含有していてもよいし、1種又は2種以上の染料のみを含有していてもよいし、1種又は2種以上の顔料と、1種又は2種以上の染料と、をともに含有していてもよい。
前記顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれであってもよい。
前記無機顔料としては、例えば、カオリン、合成酸化鉄赤、カドミウム黄、ニッケルチタン黄、ストロンチウム黄、含水酸化クロム、酸化クロム、アルミ酸コバルト、合成ウルトラマリン青等が挙げられる。
前記有機顔料としては、例えば、フタロシアニン等の多環顔料、アゾ顔料等が挙げられる。
前記染料としては、例えば、イソインドリノン、イソインドリン、キノフタロン、キサンテン、ジケトピロロピロール、ペリレン、ペリノン、アントラキノン、インジゴイド、オキサジン、キナクリドン、ベンツイミダゾロン、ビオランスロン、フタロシアニン、アゾメチン等が挙げられる。
前記樹脂組成物の着色剤の含有量は、特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
・レベリング剤
前記レベリング剤としては、例えば、アクリル系共重合体等が挙げられる。
・ゴム粒子
前記ゴム粒子としては、例えば、コアシェル型ゴム粒子、架橋アクリロニトリルブタジエンゴム粒子、架橋スチレンブタジエンゴム粒子、アクリルゴム粒子、シリコーン粒子等が挙げられる。
(溶媒)
前記溶媒は、常温及び常圧下で液状のものであれば、特に限定されない。
前記溶媒のうち、有機溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等の鎖状又は環状ケトン;トルエン等の芳香族炭化水素;酢酸エチル等のエステル(カルボン酸エステル);ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;テトラヒドロフラン、アニソール(メチルフェニルエーテル)等の鎖状又は環状エーテル;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の鎖状又は環状アミド;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド;エチレングリコール等の一価又は多価アルコール;エチルセロソルブ等のセロソルブ;ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のカルビトール等が挙げられる。
前記樹脂組成物が含有する溶媒は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
前記樹脂組成物の溶媒の含有量は、樹脂組成物の粘度等の物性を考慮して、適宜調節すればよく、特に限定されない。
例えば、樹脂組成物の溶媒の含有量は、20〜80質量%であることが好ましい。
前記樹脂組成物は、公知の方法で製造できる。
例えば、前記樹脂組成物は、超音波分散方式、高圧衝突式分散方式、高速回転分散方式、ビーズミル方式、高速せん断分散方式又は自転公転式分散方式等の各種混合機を用いて、その構成材料(上述の各成分)を混合し、溶解又は分散させることにより、製造できる。
各成分の配合時における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよい。
例えば、溶媒を含有する樹脂組成物を製造する場合には、溶媒を溶媒以外のいずれかの成分と混合して混合物とすることにより、この成分を予め希釈しておいてから、この混合物を添加してもよいし、溶媒以外のいずれかの成分を予め希釈しておくことなく、溶媒を単独で添加してもよい。
例えば、充填材(d)及びカップリング剤(f)を含有する樹脂組成物を製造する場合には、カップリング剤(f)を予め充填材(d)と混合しておき、この混合物を添加してもよいし、カップリング剤(f)を予め充填材(d)と混合しておくことなく、添加してもよい。
<他の層>
本実施形態の樹脂シートは、キャリアフィルム上に前記樹脂層が形成されていればよく、キャリアフィルムと樹脂層との間には、これら以外の他の層を備えていてもよいし、他の層を備えておらず、キャリアフィルムに前記樹脂層が直接接触して設けられていてもよい。
ただし、本発明の効果がより顕著に得られる点では、本実施形態の樹脂シートにおいては、キャリアフィルムに前記樹脂層が直接接触して設けられていることが好ましい。
前記他の層の厚さは、特に限定されず、前記他の層の種類に応じて、適宜選択すればよい。
前記他の層は、その構成材料を含有する組成物を用いて形成できる。例えば、前記他の層の形成対象面に前記組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、目的とする部位に前記他の層を形成できる。
前記他の層は、市販品であってもよい。
前記他の層の構成材料を含有する組成物は、上述の樹脂層を形成するための樹脂組成物の場合と同様の方法で製造できる。そして、前記他の層は、前記組成物を用いて、前記樹脂組成物から前記樹脂層を形成する場合と同様の方法で、形成できる。
図1は、本実施形態の樹脂シートの一例を模式的に示す断面図である。なお、以降の説明で用いる図は、本発明の特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
ここに示す樹脂シート1は、キャリアフィルム11と、キャリアフィルム11上に形成された熱硬化性の樹脂層12と、を備えている。樹脂シート1において、樹脂層12はキャリアフィルム11に直接接触して設けられており、キャリアフィルム11及び樹脂層12が、これらの厚さ方向において積層されている。
樹脂層12は、昇温速度を10℃/minとして、30℃から300℃まで昇温させて、示差走査熱量を測定したときの発熱量が、5mJ/mg以上となる。
また、樹脂層12の第1面(キャリアフィルム11側とは反対側の面)12aのSskは、−3.5以上となっている。
樹脂層12の第1面12aは、樹脂シート1の使用対象である、後述する基板への貼付面である。
キャリアフィルム11の樹脂層12側の面(第1面)11aには、樹脂層12の第2面12bが接触している。一方、キャリアフィルム11の樹脂層12側とは反対側の面(本明細書においては、「第2面」と称することがある)11bは、露出面となっている。
本実施形態の樹脂シートは、図1に示すものに限定されず、本発明の効果を損なわない範囲内において、図1に示す樹脂シート1の一部の構成が変更、削除又は追加されたものであってもよい。
例えば、上述のとおり、図1に示す樹脂シート1は、キャリアフィルム11と樹脂層12との間に、これら以外の他の層(図示略)を備えていてもよい。
本実施形態の樹脂シートは、例えば、キャリアフィルム(例えば、キャリアフィルムの第1面)上に、前記樹脂組成物を塗工し、乾燥させて、樹脂層を形成することで製造できる。
前記樹脂組成物は、例えば、スピンコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ブレードコーター、ロールコーター、ゲートロールコーター、バーコーター、ロッドコーター、グラビアコーター、マルチコーター、コンマコーター等の各種コーターを用いて、塗工できる。
塗工後の樹脂組成物の乾燥条件は、特に限定されないが、例えば、乾燥温度は15〜130℃であることが好ましく、乾燥時間は3分〜12時間であることが好ましい。ただし、これらは、乾燥条件の一例である。
本実施形態の、前記他の層を備える樹脂シートは、前記樹脂層に加え、前記他の層を適切なタイミングで、適切な箇所に形成することで、製造できる。
前記組成物を用いて他の層を形成する場合には、上述の樹脂組成物を用いて前記樹脂層を形成する場合と同様の方法で、他の層を形成できる。
前記他の層として市販品を用いる場合には、この市販品(フィルム)を、目的とする箇所に貼り合わせればよい。
◎第2実施形態
本発明に係る第2実施形態の樹脂シートは、キャリアフィルムと、前記キャリアフィルム上に形成された熱硬化性の樹脂層と、を備え、前記樹脂層について、昇温速度を10℃/minとして、30℃から300℃まで昇温させて、示差走査熱量を測定したときの発熱量が、5mJ/mg以上であり、前記樹脂層の前記キャリアフィルム側とは反対側の面(第1面)の突出山部高さ(Spk)が、0.04μm以上となっているものである。
本実施形態の樹脂シートは、前記樹脂層の第1面において、そのSskが−3.5以上となっていることは必須ではなく、その(第1面の)Spkが0.04μm以上となっていることが必須である点以外は、上述の第1実施形態の樹脂シートと同じものである。
本実施形態の樹脂シートは、第1実施形態の樹脂シートの場合と同じ方法で使用でき、第1実施形態の樹脂シートの場合と同様の効果を奏する。
本実施形態の樹脂シートにおける樹脂層の第1面のSpkが、0.04μm以上となっていることで、この第1面に基板を積層した樹脂積層基板においては、後述するように、樹脂層のキャリアフィルム側の面(本明細書においては、「第2面」と称することがある)の、算術平均高さ(Sa)及び山頂点密度(Spd)のいずれか一方又は両方が、一定値以下となる。
一方、樹脂積層基板中の前記樹脂層は、この後、加熱によって、完全には硬化させない熱硬化(ハーフキュア、HC)を行ってから、多層プリント配線板の製造に用いる。樹脂積層基板において、上記のような、Sa及び/又はSpdが一定値以下である樹脂層をハーフキュア(HC)すると、このハーフキュア後(HC後)の樹脂層の第2面の算術平均高さ(Sa)が一定値以下となる。
そして、このように、HC樹脂層の第2面のSaが一定値以下である樹脂積層基板を用いることで、先の第1実施形態での説明のように、特性が良好な多層プリント配線板を製造できる。
本発明者は、前記樹脂シート中の樹脂層の第1面のSpkと、この樹脂シートを基板に積層して構成された前記樹脂積層基板中の樹脂層の第2面のSa及び/又はSpdと、の間に明らかな相関があることを見出した。また、本発明者は、この樹脂積層基板中の樹脂層の第2面のSa及び/又はSpdと、HC樹脂積層基板中のHC樹脂層の第2面のSaと、の間に明らかな相関があることを見出した。すなわち、本発明者は、前記樹脂シート中の樹脂層の第1面のSpkと、HC樹脂積層基板中のHC樹脂層の第2面のSaと、の間にも、明らかな相関があることを見出した。
本発明は、このような知見に基づいて完成されたものである。
本発明において、上記のように、前記樹脂シート中の樹脂層の第1面のSpkと、HC樹脂積層基板中のHC樹脂層の第2面のSaと、の間に相関がある理由、換言すると、前記樹脂シート中の樹脂層の第1面のSpkと、前記樹脂積層基板中の樹脂層の第2面のSa及び/又はSpdと、の間に相関があり、かつ、前記樹脂積層基板中の樹脂層の第2面のSa及び/又はSpdと、HC樹脂積層基板中のHC樹脂層の第2面のSaと、の間に相関がある理由は、定かではないが、上述の第1実施形態の場合と同様であると推測される。
すなわち、樹脂シート中の樹脂層と、樹脂積層基板中の樹脂層と、においては、含有成分のうち非相溶成分が移動し得る。そして、これら樹脂層は、その取り扱い時に、温度変化、特に温度上昇に晒されることが避けられない。すると、温度上昇に伴って、これら樹脂層中では、前記非相溶成分がより移動し易くなり、一部は、これら樹脂層の表面にまで移動する。そして、樹脂層の表面は、ここに偏在する前記非相溶成分の影響によって、前記非相溶成分が存在しない場合と比較すると、表面状態に変化が生じる。この場合、樹脂積層基板中の樹脂層の表面状態は、基板を貼り合わせる前の樹脂シート中の樹脂層の表面状態の影響を受け、さらに、樹脂積層基板中の樹脂層における前記非相溶成分の移動の影響も受ける。その結果、前記樹脂シート中の樹脂層の第1面のSpkと、HC樹脂積層基板中のHC樹脂層の第2面のSaと、の間に相関が見られると推測される。そして、同様に、HC樹脂積層基板中のHC樹脂層の表面状態は、HC前の樹脂積層基板中の樹脂層の表面状態の影響を受け、さらに、HC樹脂層における前記非相溶成分の移動の影響も受ける。その結果、樹脂積層基板中の樹脂層の第2面のSa及び/又はSpdと、HC樹脂積層基板中のHC樹脂層の第2面のSaと、の間に相関が見られると推測される。そして、樹脂シート中の樹脂層の第1面のSpkと、HC樹脂積層基板中のHC樹脂層の第2面のSaと、の間にも、相関が見られると推測される。
前記非相溶成分が非溶解成分(例えば、前記充填材等)である場合に、このような本発明の効果がより顕著となる。
前記樹脂シート中の樹脂層の第1面のSpkは、0.04μm以上であり、0.05μm以上であることが好ましく、0.06μm以上であることがより好ましい。前記樹脂層の第1面のSpkが前記下限値以上であることで、HC樹脂層のデスミア耐性、細線加工性及びめっき層剥離強度がより向上し、また、配線を伝搬する高周波信号の伝送損失がより抑制される。
前記樹脂シート中の樹脂層の第1面のSpkの上限値は、特に限定されない。例えば、前記樹脂層の第1面のSpkは、0.5μm以下であることが好ましく、0.3μm以下であることがより好ましい。このような樹脂層は、より容易に形成できる。
前記樹脂シート中の樹脂層の第1面のSpkは、上述のいずれかの好ましい下限値及び上限値を任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。
例えば、一実施形態の前記樹脂層の第1面のSpkは、好ましくは0.04〜0.5μm、より好ましくは0.05〜0.5μm、さらに好ましくは0.06〜0.5μmである。また、一実施形態の前記樹脂層の第1面のSpkは、好ましくは0.04〜0.3μm、より好ましくは0.05〜0.3μm、さらに好ましくは0.06〜0.3μmである。ただし、これらは、前記Spkの一例である。
前記樹脂シート中の樹脂層の第1面のSpkは、例えば、前記樹脂層の含有成分の種類若しくは含有量、又は、前記樹脂層の第2面(キャリアフィルム側の面)が直接接触している層の、その前記第2面との接触面の表面状態等を調節することで、調節できる。ここで、前記接触面としては、例えば、キャリアフィルムの第1面(樹脂層側の面)が挙げられる。
本実施形態における樹脂層は、第1実施形態における樹脂層の場合と同様の含有成分によって構成され、第1実施形態における樹脂層と同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。
本実施形態の樹脂シートの例としては、図1に示す樹脂シート1において、樹脂層12の第1面12aのSpkが0.04μm以上となっているものが挙げられる。
本実施形態の樹脂シートは、第1実施形態の樹脂シートの場合と同様の方法で製造できる。
◎第3実施形態
本発明に係る第3実施形態の樹脂シートは、上述の第1実施形態及び第2実施形態の樹脂シートの構成をともに有する。すなわち、本実施形態の樹脂シートは、キャリアフィルムと、前記キャリアフィルム上に形成された熱硬化性の樹脂層と、を備え、前記樹脂層について、昇温速度を10℃/minとして、30℃から300℃まで昇温させて、示差走査熱量を測定したときの発熱量が、5mJ/mg以上であり、前記樹脂層の第1面のSskが−3.5以上で、かつ前記樹脂層の第1面のSpkが0.04μm以上となっているものである。
本実施形態の樹脂シートは、さらに、前記樹脂層の第1面のSpkが0.04μm以上となっている点以外は、上述の第1実施形態の樹脂シートと同じものである。換言すると、本実施形態の樹脂シートは、さらに、前記樹脂層の第1面のSskが−3.5以上となっている点以外は、上述の第2実施形態の樹脂シートと同じものである。
本実施形態の樹脂シートは、第1実施形態及び第2実施形態の樹脂シートの場合と同じ方法で使用でき、第1実施形態及び第2実施形態の樹脂シートの場合と同様の効果を奏する。
本実施形態における前記樹脂層の第1面は、例えば、そのSskが、−3.5以上、−3.2以上、及び−2.9以上のいずれかの条件を満たし、かつ、そのSpkが、0.04μm以上、0.05μm以上、及び0.06μm以上のいずれかの条件を満たすことが好ましい。前記樹脂層が、このような条件を満たすことで、HC樹脂層のデスミア耐性、細線加工性及びめっき層剥離強度がより一層向上し、また、配線を伝搬する高周波信号の伝送損失がより一層抑制される。
本実施形態における前記樹脂層の第1面は、例えば、そのSskが、5以下、及び4.5以下のいずれかの条件を満たし、かつ、そのSpkが、0.5μm以下、及び0.3μm以下のいずれかの条件を満たすことが好ましい。このような樹脂層は、より容易に形成できる。
本実施形態における前記樹脂層の第1面については、そのSsk及びSpkをともに、上述のいずれかの好ましい下限値及び上限値を任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。
例えば、一実施形態の前記樹脂層の第1面においては、そのSskが、−3.5〜5、−3.2〜5、及び−2.9〜5のいずれかの条件を満たし、かつ、そのSpkが、0.04〜0.5μm、0.05〜0.5μm、及び0.06〜0.5μmのいずれかの条件を満たす。また、一実施形態の前記樹脂層の第1面においては、そのSskが、−3.5〜4.5、−3.2〜4.5、及び−2.9〜4.5のいずれかの条件を満たし、かつ、そのSpkが、0.04〜0.3μm、0.05〜0.3μm、及び0.06〜0.3μmのいずれかの条件を満たす。ただし、これらは、前記Ssk及びSpkの一例である。
本実施形態における前記樹脂層は、第1実施形態における樹脂層の場合と同じ方法で、その第1面のSskを調節でき、第2実施形態における樹脂層の場合と同じ方法で、その第1面のSpkを調節できる。
例えば、本実施形態における前記樹脂層の第1面について、Sskが−3.5以上となるように調節することによって、同時にSpkが0.04μm以上となることがある。同様に、本実施形態における前記樹脂層の第1面について、Spkが0.04μm以上となるように調節することによって、同時にSskが−3.5以上となることがある。
本実施形態における樹脂層は、第1実施形態又は第2実施形態における樹脂層の場合と同様の含有成分によって構成され、第1実施形態又は第2実施形態における樹脂層と同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。
本実施形態の樹脂シートの例としては、図1に示す樹脂シート1において、樹脂層12の第1面12aのSskが−3.5以上となっているのに加え、さらに、樹脂層12の第1面12aのSpkが0.04μm以上となっているものが挙げられる。
本実施形態の樹脂シートは、第1実施形態の樹脂シートの場合と同様の方法で製造できる。
<<樹脂積層基板>>
◎第1実施形態
本発明に係る第1実施形態の樹脂積層基板は、上述の本発明の樹脂シートにおける前記樹脂層の第1面(前記キャリアフィルム側とは反対側の面)に、さらに基板を備え、前記樹脂層の第2面(前記キャリアフィルム側の面)の算術平均高さ(Sa)が、0.035μm以下となっているものである。
本実施形態の樹脂積層基板は、最終的に多層プリント配線板の一部を構成する。
本実施形態の樹脂積層基板において、樹脂層は、前記樹脂シートにおける樹脂層と同様の状態にあり、完全に未硬化であるか、又は僅かに硬化しているものの、未硬化である場合との明確な相違が認められない状態にある。
本実施形態の樹脂積層基板は、前記樹脂シートを構成するキャリアフィルムを備えていてもよいし、備えていなくてもよい。
<基板>
前記基板(本明細書においては、「コア層」と称することもある)は、その片面又は両面に配線(回路)を有し、公知のものであってもよい。
前記基板の配線以外の部位の構成材料としては、例えば、ポリエステル、ポリイミド、BTレジン、熱硬化型ポリフェニレンエーテル等の合成樹脂;金属;ガラス等が挙げられる。
基板の配線以外の部位の構成材料は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。例えば、2種以上の構成材料を併用したものとしては、ガラスエポキシ樹脂等が挙げられる。
上述の、基板の配線以外の部位とは、基板のうち、配線が積層されている部位を意味し、本明細書においては「コア基材」と称することもある。
前記コア基材の厚さは、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されないが、20〜800μmであることが好ましく、30〜400μmであることがより好ましい。
前記配線の厚さは、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されないが、1〜75μmであることが好ましく、5〜40μmであることがより好ましい。
前記基板は、公知の方法で製造できる。
例えば、コア基材が絶縁性である場合には、コア基材の両面に金属箔を積層し、得られた両面金属張積層板の目的とする箇所に、ドリル等を用いて貫通孔を形成し、無電解めっきにより、この貫通孔の表面にめっき層を形成して、両面金属張積層板の両面間で導電性を確保する。次いで、両面金属張積層板の両面の金属箔をエッチングして、配線(回路パターン)を形成することで、両面に配線を有する基板(コア層)が得られる。貫通孔の内部は、導電性ペースト又は樹脂ペースト等で適宜埋めてもよい。
前記金属箔としては、例えば、銅箔等が挙げられる。
本実施形態の樹脂積層基板において、前記樹脂層の第2面のSaは、0.035μm以下であり、0.033μm以下であることが好ましく、0.031μm以下であることがより好ましい。前記樹脂層の第2面のSaが前記上限値以下であることで、HC樹脂層のデスミア耐性、細線加工性及びめっき層剥離強度が向上し、また、配線を伝搬する高周波信号の伝送損失が抑制される。
本実施形態の樹脂積層基板において、前記樹脂層の第2面のSaの下限値は、特に限定されない。例えば、樹脂層の第2面のSaは、0.01μm以上であることが好ましく、0.015μm以上であることがより好ましい。このような樹脂層は、より容易に形成できる。
本実施形態の樹脂積層基板において、前記樹脂層の第2面のSaは、上述のいずれかの好ましい下限値及び上限値を任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。
例えば、一実施形態の前記樹脂層の第2面のSaは、好ましくは0.01〜0.035μm、より好ましくは0.01〜0.033μm、さらに好ましくは0.01〜0.031μmである。また、一実施形態の前記樹脂層の第2面のSaは、好ましくは0.015〜0.035μm、より好ましくは0.015〜0.033μm、さらに好ましくは0.015〜0.031μmである。ただし、これらは、前記Saの一例である。
本実施形態の樹脂積層基板において、前記樹脂層の第2面のSaは、前記樹脂シートにおける樹脂層の第1面のSsk又はSpkを調節することで、調節できる。前記樹脂シートにおける樹脂層の第1面のSsk及びSpkを調節する方法は、先に説明したとおりである。
図2は、本実施形態の樹脂積層基板の一例を模式的に示す断面図である。
なお、図2以降の図において、既に説明済みの図に示すものと同じ構成要素には、その説明済みの図の場合と同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
ここに示す樹脂積層基板10’は、図1に示す樹脂シート1を用いて得られたものである。
樹脂積層基板10’は、樹脂シート1における樹脂層12の第1面(キャリアフィルム11を備えていた側とは反対側の面)12aに、さらに基板13を備え、樹脂層12の第2面(キャリアフィルム11を備えていた側の面)12bの算術平均高さ(Sa)が、0.035μm以下となっているものである。
なお、ここに示す樹脂積層基板10’は、樹脂シート1を構成していたキャリアフィルム11を備えていない。樹脂積層基板10’において、基板13は樹脂層12に直接接触して設けられており、樹脂層12及び基板13が、これらの厚さ方向において積層されている。
樹脂層12の第1面12aには、基板13の樹脂層12側の面(本明細書においては、「第2面」又は「回路面」と称することがある)13bが接触している。一方、樹脂層12の第2面12bは、露出面となっている。
樹脂層12の第2面12bは、後述する粗化処理の対象面である。
樹脂積層基板10’は、基板13の一方の面上、すなわち第2面13b上のみに、樹脂層12を備えている。このような樹脂積層基板からは、片面のみに配線及び絶縁層が積層された片面多層プリント配線板を製造できる。
一方、本実施形態の樹脂積層基板は、基板の両方の面上に、樹脂層を備えていてもよい。このような樹脂積層基板からは、片面のみに配線及び絶縁層が積層された片面多層プリント配線板と、両面に配線及び絶縁層が積層された両面多層プリント配線板と、の両方を製造できる。
図3は、このような本実施形態の樹脂積層基板の他の例を模式的に示す断面図である。
ここに示す樹脂積層基板10は、基板13の樹脂層12側とは反対側の面(本明細書においては、「第1面」又は「回路面」と称することがある)13aにも、樹脂層12を備えている点以外は、図2に示す樹脂積層基板10’と同じものである。
基板13の第1面13a上に設けられている樹脂層12と、基板13の第2面13b上に設けられている樹脂層12とは、互いに同一でも、異なっていてもよい。
樹脂積層基板10において、これら両面の樹脂層12の第2面12bのSaは、いずれも0.035μm以下となっている。
本実施形態の樹脂積層基板は、図2及び図3に示すものに限定されず、本発明の効果を損なわない範囲内において、図2及び図3に示す樹脂積層基板の一部の構成が変更、削除又は追加されたものであってもよい。
例えば、図2及び図3においては、図1に示す樹脂シート1を用いて得られた樹脂積層基板を示しているが、本実施形態の樹脂積層基板は、図1に示すものとは異なる樹脂シートを用いて得られたものであってもよい。
また、図3においては、基板13の両面上(第1面13a上及び第2面13b上)の樹脂層が、ともに本発明の樹脂シートを用いて形成されたものである樹脂積層基板を示しているが、本実施形態の樹脂積層基板は、この両面上の一方の樹脂層が、本発明の樹脂シートを用いて形成されたものではなく、例えば、従来の樹脂層となっているものであってもよい。
本実施形態の樹脂積層基板は、例えば、前記樹脂シートの樹脂層の第1面と、前記基板の配線を備えている面(回路面)と、を貼り合わせることで、製造できる。
このような樹脂シートと基板との貼り合わせは、例えば、ラミネーター等の装置を用いて、公知の方法で行うことができる。
樹脂積層基板の製造時には、樹脂シートと基板との貼り合わせを加熱加圧条件下で行い、樹脂層の第2面を平滑化することが好ましい。
加熱加圧時において、例えば、加熱温度は、80〜130℃であること好ましく、圧力は0.3〜1MPaであることが好ましく、加熱加圧時間は0.5〜5分であることが好ましい。ただし、これらは、加熱加圧条件の一例である。
◎第2実施形態
本発明に係る第2実施形態の樹脂積層基板は、上述の本発明の樹脂シートにおける前記樹脂層の第1面(前記キャリアフィルム側とは反対側の面)に、さらに基板を備え、前記樹脂層の第2面(前記キャリアフィルム側の面)の、山頂点密度(Spd)が、0.11/μm以下となっているものである。
本実施形態の樹脂積層基板は、前記樹脂層の第2面において、そのSaが0.035μm以下となっていることが必須ではなく、その(第2面の)Spdが0.11/μm以下となっていることが必須である点以外は、上述の第1実施形態の樹脂積層基板と同じものである。
本実施形態の樹脂積層基板は、第1実施形態の樹脂積層基板の場合と同じ方法で使用でき、第1実施形態の樹脂積層基板の場合と同様の効果を奏する。
本実施形態の樹脂積層基板において、前記樹脂層の第2面のSpdは、0.11/μm以下であり、Spdがこのような範囲であることで、HC樹脂層のデスミア耐性、細線加工性及びめっき層剥離強度が向上し、また、配線を伝搬する高周波信号の伝送損失が抑制される。
前記樹脂層の第2面のSpdは、例えば、0.1/μm以下、0.09/μm以下、0.08/μm以下、及び0.07/μm以下のいずれかであってもよい。
本実施形態の樹脂積層基板において、前記樹脂層の第2面のSpdの下限値は、特に限定されない。例えば、前記樹脂層の第2面のSpdは、0.01/μm以上であることが好ましく、0.02/μm以上であることがより好ましい。このような樹脂層は、より容易に形成できる。
本実施形態の樹脂積層基板において、前記樹脂層の第2面のSpdは、上述のいずれかの下限値及び上限値を任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。
例えば、一実施形態の前記樹脂層の第2面のSpdは、好ましくは0.01〜0.11/μmであり、例えば、0.01〜0.1/μm、0.01〜0.09/μm、0.01〜0.08/μm、及び0.01〜0.07/μmのいずれかであってもよい。また、一実施形態の前記樹脂層の第2面のSpdは、好ましくは0.02〜0.11/μmであり、例えば、0.02〜0.1/μm、0.02〜0.09/μm、0.02〜0.08/μm、及び0.02〜0.07/μmのいずれかであってもよい。ただし、これらは、前記Spdの一例である。
本実施形態の樹脂積層基板において、前記樹脂層の第2面のSpdは、前記樹脂シートにおける樹脂層の第1面のSsk又はSpkを調節することで、調節できる。前記樹脂シートにおける樹脂層の第1面のSsk及びSpkを調節する方法は、先に説明したとおりである。
本実施形態の樹脂積層基板の例としては、図2に示す樹脂積層基板10’、又は図3に示す樹脂積層基板10において、樹脂層12の第2面12bのSpdが0.11/μm以下となっているものが挙げられる。
本実施形態の樹脂積層基板は、第1実施形態の樹脂積層基板の場合と同様の方法で製造できる。
◎第3実施形態
本発明に係る第3実施形態の樹脂積層基板は、上述の第1実施形態及び第2実施形態の樹脂積層基板の構成をともに有する。すなわち、本実施形態の樹脂積層基板は、上述の本発明の樹脂シートにおける前記樹脂層の第1面に、さらに基板を備え、前記樹脂層の第2面のSaが0.035μm以下で、かつ前記樹脂層の第2面のSpdが0.11/μm以下となっているものである。
本実施形態の樹脂積層基板は、さらに、前記樹脂層の第2面のSpdが0.11/μm以下となっている点以外は、上述の第1実施形態の樹脂積層基板と同じものである。換言すると、本実施形態の樹脂積層基板は、さらに、前記樹脂層の第2面のSaが0.035μm以下となっている点以外は、上述の第2実施形態の樹脂積層基板と同じものである。
本実施形態の樹脂積層基板は、第1実施形態及び第2実施形態の樹脂積層基板の場合と同じ方法で使用でき、第1実施形態及び第2実施形態の樹脂積層基板の場合と同様の効果を奏する。
本実施形態の樹脂積層基板において、前記樹脂層の第2面は、例えば、そのSaが、0.035μm以下、0.033μm以下、及び0.031μm以下のいずれかの条件を満たし、かつ、そのSpdが、0.11/μm以下の条件を満たすことが好ましい。樹脂積層基板における前記樹脂層が、このような条件を満たすことで、HC樹脂層のデスミア耐性、細線加工性及びめっき層剥離強度がより一層向上し、また、配線を伝搬する高周波信号の伝送損失がより一層抑制される。
さらに、本実施形態の樹脂積層基板において、前記樹脂層の第2面は、例えば、そのSaが、0.035μm以下、0.033μm以下、及び0.031μm以下のいずれかの条件を満たし、かつ、そのSpdが、0.1/μm以下、0.09/μm以下、0.08/μm以下、及び0.07/μm以下のいずれかの条件を満たしていてもよい。
本実施形態の樹脂積層基板において、前記樹脂層の第2面は、例えば、そのSaが、0.01μm以上、及び0.015μm以上のいずれかの条件を満たし、かつ、そのSpdが、0.01/μm以上、及び0.02/μm以上のいずれかの条件を満たすことが好ましい。このような樹脂層は、より容易に形成できる。
本実施形態の樹脂積層基板において、前記樹脂層の第2面については、そのSa及びSpdをともに、上述のいずれかの好ましい下限値及び上限値を任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。
例えば、一実施形態の前記樹脂層の第2面においては、そのSaが、0.01〜0.035μm、0.01〜0.033μm、及び0.01〜0.031μmのいずれかの条件を満たし、かつ、そのSpdが、0.01〜0.11/μm、0.01〜0.1/μm、0.01〜0.09/μm、0.01〜0.08/μm、及び0.01〜0.07/μmのいずれかの条件を満たす。
また、一実施形態の前記樹脂層の第2面においては、そのSaが、0.015〜0.035μm、0.015〜0.033μm、及び0.015〜0.031μmのいずれかの条件を満たし、かつ、そのSpdが、0.02〜0.11/μm、0.02〜0.1/μm、0.02〜0.09/μm、0.02〜0.08/μm、及び0.02〜0.07/μmのいずれかの条件を満たす。
ただし、これらは、前記Sa及びSpdの一例である。
本実施形態の樹脂積層基板において、前記樹脂層は、第1実施形態における樹脂積層基板の場合と同じ方法で、その第2面のSaを調節でき、第2実施形態における樹脂積層基板の場合と同じ方法で、その第2面のSpdを調節できる。
例えば、本実施形態の樹脂積層基板においては、前記樹脂層の第2面について、Saが0.035μm以下となるように調節することによって、同時にSpdが0.11/μm以下となることがある。同様に、本実施形態の樹脂積層基板においては、前記樹脂層の第2面について、Spdが0.11/μm以下となるように調節することによって、同時にSaが0.035μm以下となることがある。
本実施形態の樹脂積層基板の例としては、図2に示す樹脂積層基板10’、又は図3に示す樹脂積層基板10において、樹脂層12の第2面12bのSaが0.035μm以下となっているのに加え、さらに、樹脂層12の第2面12bのSpdが0.11/μm以下となっているものが挙げられる。
本実施形態の樹脂積層基板は、第1実施形態の樹脂積層基板の場合と同様の方法で製造できる。
<<ハーフキュア樹脂積層基板>>
上述の本発明の樹脂積層基板は、前記樹脂層をハーフキュア(HC)して、ハーフキュア樹脂積層基板(HC樹脂積層基板)としてから、多層プリント配線板の製造に用いる。
すなわち、前記樹脂積層基板から得られるHC樹脂積層基板は、上述の本発明の樹脂積層基板であって、(i)樹脂層の第2面のSaが0.035μm以下である、及び(ii)樹脂層の第2面のSpdが0.11/μm以下である、のいずれか一方又は両方の条件を満たす樹脂積層基板において、前記樹脂層がハーフキュア(HC)されたものである。
なお、本明細書において、単なる「樹脂積層基板」との記載は、HC樹脂積層基板ではなく、樹脂層がハーフキュア(HC)される前の樹脂積層基板を意味する。
本発明においては、HC樹脂(HC樹脂層)となる前のハーフキュアされていない樹脂(ハーフキュアされていない樹脂層)について、示差走査熱量を測定した(DSCを行った)ときの発熱量(ハーフキュア前の発熱量)をHとし、HC樹脂(ハーフキュア樹脂層)について、Hを観測したときと同じ方法でDSCを行ったときの発熱量(ハーフキュア後の発熱量)をHとしたとき、HC樹脂(HC樹脂層)は、下記式(X)で表される関係を満たす。
(H−H)/H×100≦40 (X)
すなわち、本発明において、HC樹脂(HC樹脂層)とは、そのDSCを行ったときの発熱量Hが、ハーフキュアされる前の樹脂(ハーフキュアされる前の樹脂層)のDSCを行ったときの発熱量Hよりも、40%以上低下した値を示すものを意味する。
ただし、ハーフキュア前後の樹脂層について、DSCを行ったときの発熱量を比較するときには、DSCを行う条件は、いずれも同じとする。このときのDSCを行う条件は、例えば、先に説明した、第1実施形態〜第3実施形態の樹脂シートにおける樹脂層の場合と、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
HC樹脂積層基板において、HC樹脂層の第2面のSaは、0.14μm以下であることが好ましく、例えば、0.12μm以下、0.08μm以下、及び0.05μm以下のいずれかであってもよい。HC樹脂層の第2面のSaが前記上限値以下であることで、HC樹脂層のデスミア耐性、細線加工性及びめっき層剥離強度が向上し、また、配線を伝搬する高周波信号の伝送損失が抑制される。
HC樹脂積層基板において、HC樹脂層の第2面のSaの下限値は、特に限定されない。例えば、HC樹脂層の第2面のSaは、0.01μm以上であることが好ましく、0.015μm以上であることがより好ましい。このような樹脂層は、より容易に形成できる。
HC樹脂積層基板において、HC樹脂層の第2面のSaは、上述のいずれかの好ましい下限値及び上限値を任意に組み合わせて設定される範囲内に、適宜調節できる。
例えば、一実施形態のHC樹脂層の第2面のSaは、好ましくは0.01〜0.14μmであり、例えば、0.01〜0.12μm、0.01〜0.08μm、及び0.01〜0.05μmのいずれかであってもよい。また、一実施形態のHC樹脂層の第2面のSaは、好ましくは0.015〜0.14μmであり、例えば、0.015〜0.12μm、0.015〜0.08μm、及び0.015〜0.05μmのいずれかであってもよい。ただし、これらは、前記Saの一例である。
HC樹脂積層基板において、HC樹脂層の第2面のSaは、前記樹脂積層基板における樹脂層の第2面のSa又はSpdを調節することで、調節できる。前記樹脂積層基板における樹脂層の第2面のSa及びSpdを調節する方法は、先に説明したとおりである。
図4は、前記樹脂積層基板から得られるHC樹脂積層基板の一例を模式的に示す断面図である。
ここに示すHC樹脂積層基板100’は、図2に示す樹脂積層基板10’を用いて得られたものであり、樹脂層12がHC樹脂層120となっている点以外は、図2に示す樹脂積層基板10’と同じである。
なお、図4中、符号120aは、HC樹脂層120の基板13側の面(本明細書においては、「第1面」と称することがある)を示し、基板13の回路面(第2面)13bと接触している。符号120bは、HC樹脂層120の基板13側とは反対側の面(本明細書においては、「第2面」と称することがある)を示す。
HC樹脂層120の第2面120bは、後述する粗化処理の対象面である。
HC樹脂層120の第2面120bのSaは、上述の数値範囲(例えば、0.14μm以下)であることが好ましい。
図5は、前記樹脂積層基板から得られるHC樹脂積層基板の他の例を模式的に示す断面図である。
ここに示すHC樹脂積層基板100は、図3に示す樹脂積層基板10を用いて得られたものであり、両面の樹脂層12がいずれもHC樹脂層120となっている点以外は、図3に示す樹脂積層基板10と同じものである。
基板13の第1面13a上のHC樹脂層120と、基板13の第2面13b上のHC樹脂層120とは、互いに同一でも、異なっていてもよい。
HC樹脂積層基板100において、これら両面のHC樹脂層120の第2面120bのSaは、いずれも上述の数値範囲(例えば、0.14μm以下)であることが好ましい。そして、これら両面のHC樹脂層120の第2面120bのSaは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
本発明におけるHC樹脂積層基板は、図4及び図5に示すものに限定されず、本発明の効果を損なわない範囲内において、図4及び図5に示すHC樹脂積層基板の一部の構成が変更、削除又は追加されたものであってもよい。
例えば、HC樹脂積層基板は、図2又は図3に示すものとは異なる樹脂積層基板を用いて得られたものであってもよい。
<<ハーフキュア樹脂積層基板の使用方法(多層プリント配線板の製造方法)>>
前記HC樹脂積層基板は、多層プリント配線板の製造に利用可能である。
例えば、多層プリント配線板は、樹脂層をハーフキュアさせた後の従来のHC樹脂積層基板に代えて、上述の本発明におけるHC樹脂積層基板を用いる点以外は、従来の多層プリント配線板の場合と同じ方法で、製造できる。
図6は、本発明におけるHC樹脂積層基板を用いた場合の、多層プリント配線板の製造方法の一例を、模式的に示す断面図である。
ここでは、図5に示すHC樹脂積層基板100を用いた場合の、多層プリント配線板の製造方法について説明する。
多層プリント配線板を製造するためには、まず、図6(b)に示すように、HC樹脂積層基板100におけるHC樹脂層120の目的とする箇所に、ビア(開口部)121を形成する。
ビア121は、例えば、ドリルを用いて形成してもよいし、エキシマレーザー、紫外線レーザー、炭酸ガスレーザー等の各種レーザーを照射することで形成してもよい。
ここでは、HC樹脂積層基板100中の片面(基板13の第1面13a上)のHC樹脂層120に、ビア121を形成しているが、両面のHC樹脂層120にビアを形成してもよい。
次いで、このビア121を形成後の第1中間積層体101(HC樹脂層120)を、アルカリ液で膨潤処理した後、過マンガン酸塩水溶液等を用いて酸化処理することにより、図6(c)に示すように、HC樹脂層120の表面を粗化処理する。図6中、粗化処理後のHC樹脂層120の表面を、符号120cで示している。ここで、粗化処理を行うのは、HC樹脂層120のビア部の表面と、それ以外の非ビア部の表面である。ここでは、両面、すなわち、基板13の第1面13a上のHC樹脂層120と、基板13の第2面13b上のHC樹脂層120と、の両方に対して、粗化処理を行った場合を示している。このHC樹脂層120を粗化処理後の第2中間積層体102(HC樹脂層120)は、引き続き、中和処理する。
次いで、この粗化処理及び中和処理後のHC樹脂層120の表面120cに対して、触媒を付与し、この触媒を核として無電解めっきを行い、図6(d)に示すように、HC樹脂層120のビア部及び非ビア部の表面120c上に金属めっき膜141を形成する。
金属めっき膜141は、銅めっき膜であることが好ましい。
前記触媒としては、例えば、貴金属イオン、パラジウムコロイド等、公知のものが挙げられる。
無電解めっき液としては、例えば、硫酸銅、ホルマリン、錯化剤、水酸化ナトリウム等を含むものが挙げられる。
金属めっき膜141は、例えば、100〜250℃で加熱処理することにより、安定化させてもよく、120〜180℃で加熱処理することで、金属めっき膜141の酸化抑制効果がより高くなる。
金属めっき膜141の厚さは、例えば、0.1〜2μmであることが好ましい。
次いで、得られた第3中間積層体103において、基板13の第1面13a側の金属めっき膜141上に、配線を形成するためのレジストパターンを形成する。そして、金属めっき膜141を給電層として、このレジストパターンを備えた金属めっき膜141に対して電気めっきを行い、金属めっき層を形成する。
電気めっきは、公知の方法で行えばよく、例えば、前記レジストパターンを形成後の第3中間積層体103を、硫酸銅等のめっき液中に浸漬し、めっき液に電流を流す方法等で行うことができる。
金属めっき層の構成材料としては、例えば、銅、銅合金、42アロイ、ニッケル、鉄、クロム、タングステン、金、半田等が挙げられる。
金属めっき層の厚さは、例えば、1〜30μmであることが好ましい。
次いで、不要なレジストを除去して得られた第4中間積層体において、HC樹脂層120を加熱により最終硬化させた後、フラッシュエッチング(ソフトエッチング)を行うことで、不要な金属めっき膜141(給電層)を除去する。以上により、図6(e)に示すように、パターニングされた金属めっき膜141及び金属めっき層142の積層構造を有する配線(回路パターン)14を形成し、第5中間積層体104とする。図6では、HC樹脂層の硬化物を符号120’で示し、その表面を符号120c’で示している。
フラッシュエッチングは、例えば、硫酸及び過酸化水素を含むエッチング液を用いて行うことができる。
なお、ここでは、HC樹脂層120の最終硬化を、フラッシュエッチングの直前に行う場合について説明したが、HC樹脂層120の最終硬化のタイミングは、これに限定されず、適宜調節できる。
さらに、この第5中間積層体104に対して、上述の絶縁層及び配線(配線層)の形成を1回以上繰り返すことにより、多層配線板を作製する。
次いで、得られた多層配線板のうち、配線を備える側の最表層において、パターニングされたソルダーレジスト層を形成し、このソルダーレジスト層の形成面に対して、各種めっきを行い、さらに裁断等を行うことにより、目的とする多層プリント配線板を作製する。
本発明のHC樹脂積層基板を用いることで、先の説明のように、HC樹脂層(絶縁層)に接触して設けられているめっき層(めっき膜)又は配線は、HC樹脂層からの剥離が抑制される。
例えば、実施例において後述するように、JIS C 6481に準拠して測定された、HC樹脂層に対するめっき層剥離強度は、好ましくは3.6N/cm以上、より好ましくは4N/cm以上、さらに好ましくは4.4N/cm以上となる。
前記剥離強度の上限値は、特に限定されない。例えば、前記剥離強度が8N/cm以下であるめっき層は、形成がより容易である。
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
樹脂組成物の製造に用いた原料を以下に示す。
[熱硬化性樹脂(a)]
(a)−1:エポキシ樹脂、日本化薬社製「NC−3000」
(a)−2:エポキシ樹脂、三菱化学社製「jER630」
(a)−3:エポキシ樹脂、DIC社製「エピクロン830S」
[硬化剤(b)]
(b)−1:DIC社製「エピクロンEXB−8100L−65T」
(b)−2:フェノールノボッラク型シアネート樹脂、LONZA社製「Primaset PT−30」
(b)−3:日清紡社製「10M−SPI」
[硬化促進剤(c)]
(c)−1:2−フェニルイミダゾール、四国化成工業社製「2PZ−PW」
[充填材(d)]
(d))−1:シリカ粒子、アドマテックス社製「SC−4050KNT」、平均粒径1.1μm
[熱可塑性樹脂(e)]
(e)−1:三菱ケミカル社製「YL7899」
[カップリング剤(f)]
(f)−1:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製「A−187」
[添加剤(g)]
(g)−1:レベリング剤、ビックケミー社製「BYK−361N」
[実施例1]
<樹脂シートの製造>
(樹脂組成物の製造)
エポキシ樹脂(a)−1、硬化剤(b)−1、硬化促進剤(c)−1、充填材(d)−1、カップリング剤(f)−1及びレベリング剤(g)−1を、これらの含有量(固形分量、質量部)が表1に示すとおりとなるように配合し、メチルエチルケトン及びシクロヘキサノンの混合溶媒中で、60分間撹拌した。以上により、固形分濃度が65質量%である、ワニス状の樹脂組成物を得た。
(樹脂シートの製造)
ポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルム(厚さ38μm)の片面上に、コンマコーターを用いて、上記で得られた樹脂組成物を塗工した。
次いで、この塗工層を備えたPET製フィルムを、120℃の乾燥装置内に5分静置して、前記塗工層を乾燥させ、樹脂層(厚さ30μm)を形成した。
以上により、PET製フィルム(キャリアフィルム)の片面上に、絶縁性の熱硬化性樹脂層を備えた樹脂シートを得た。
なお、この樹脂層について、昇温速度を10℃/minとして、30℃から300℃まで昇温させてDSCを行ったところ、そのときの発熱量は73mJ/mgであった。
また、後述するように、この樹脂層の第1面について、Ssk(スキューネス)を測定したところ、3.7であり、Spk(突出山部高さ)を測定したところ、0.11μmであった。
<樹脂積層基板の製造>
コア基材(住友ベークライト社製「ELC−4785TH−G」、厚さ100μm)の両面に、銅箔(厚さ12μm)が積層されてなる、両面銅張積層板を用意した。
この両面銅張積層板の目的とする箇所に、ドリルで貫通孔を形成した後、無電解めっきにより、この貫通孔の表面にめっき層を形成して、両面銅張積層板の両面間で導電性を確保した。
次いで、両面銅張積層板の両面の銅箔をエッチングして、配線(回路パターン)を形成した。
以上により、両面に回路形成面を有し、この回路形成面においては、銅配線で被覆されている領域が60%であるコア層(基板)を作製した。
次いで、上記で得られた樹脂シートを枚葉に裁断し、2ステージビルドアップラミネーター(ニチゴー・モートン社製「CVP300」)にセットして、この裁断後の樹脂シートを、その樹脂層によって、前記コア層の両面に貼付して仮付けした。さらに、真空ラミネーター内で、110℃、0.8MPa、30秒の条件で、真空ラミネーションを行った。
次いで、前記2ステージビルドアップラミネーターが備えているホットプレス装置を用いて、110℃、0.6MPa、60秒の条件で、ホットプレス(加熱加圧)を行い、貼付した樹脂層の第2面を平滑化させ、樹脂積層基板を得た。
後述するように、この貼付後の樹脂層の第2面について、Sa(算術平均高さ)を測定したところ、0.03μmであり、Spd(山頂点密度)を測定したところ、0.06/μmであった。
<ハーフキュア樹脂積層基板の製造>
上記で得られた樹脂積層基板を、160℃の熱風乾燥装置内に60分静置して、コア層に貼付した前記樹脂層のハーフキュア(HC)を行い、ハーフキュア後の樹脂層からPET製フィルムを取り除いて、ハーフキュア樹脂積層基板(HC樹脂積層基板)を得た。
後述するように、このHC樹脂積層基板中のHC樹脂層の第2面について、Sa(算術平均高さ)を測定したところ、0.03μmであった。
<多層プリント配線板の製造>
上記で得られたHC樹脂積層基板のHC樹脂層の目的とする箇所に、炭酸レーザーを照射することで、HC樹脂層に貫通孔、すなわちビアを形成した。このビア形成後のHC樹脂積層基板(第1中間積層体)を、60℃の膨潤液(アトテックジャパン社製「スウェリングディップ セキュリガント P」)に5分浸漬し、さらに、80℃の過マンガン酸化ナトリウム水溶液(アトテックジャパン社製「コンセントレート コンパクト CP」、過マンガン酸ナトリウム濃度60g/L、水酸化ナトリウム濃度45g/L)に45分浸漬することで、HC樹脂層(ビア部と非ビア部)の表面を粗化処理した。さらに、この粗化処理後のHC樹脂積層基板(第2中間積層体)に対して、中和処理を行った。
次いで、この第2中間積層体に対して、脱脂、HC樹脂層への触媒付与、及び活性化を行った後、無電解銅めっきを行い、HC樹脂層の表面に銅めっき膜(厚さ0.5μm)を形成し、第3中間積層体とした。
次いで、この第3中間積層体中の銅めっき膜上にレジストパターンを形成し、銅めっき膜を給電層として、このレジストパターンの形成面に対して電気銅めっきを行い、銅めっき層(厚さ20μm)を形成した。
次いで、不要なレジストを除去した後、この銅めっき層を形成後のHC樹脂積層基板(第4中間積層体)を、200℃の熱風乾燥装置内に60分静置して、HC樹脂層の最終硬化を行い、さらに、フラッシュエッチングを行うことで、不要な銅めっき膜(給電層)を除去することにより、前記銅めっき膜及び銅めっき層の積層構造を有する配線(回路パターン)を形成して、第5中間積層体とした。
次いで、この第5中間積層体を多層配線板とし、この多層配線板の表面にソルダーレジスト層を形成し、半導体素子搭載パッド等が露出するように、ソルダーレジスト層に開口部を設けた。
次いで、ソルダーレジスト層で被覆されずに露出している配線上に、無電解ニッケルめっきを行って、ニッケルめっき層(厚さ3μm)を形成し、このニッケルめっき層上に無電解金めっきを行って、金めっき層(厚さ0.1μm)を形成して、得られたものを50mm×50mmの大きさに裁断することによって、目的とする多層プリント配線板を得た。
<樹脂層及びHC樹脂層の表面状態の測定>
(樹脂シート中の樹脂層のSsk及びSpk)
上記で得られた樹脂シート中の樹脂層について、その第1面のSsk(スキューネス)及びSpk(突出山部高さ)を、ISO 25178−2:2012に準拠して測定した。結果を表1に示す。
(樹脂積層基板中の樹脂層のSa及びSpd)
上記で得られた樹脂積層基板中の樹脂層について、キャリアフィルムを取り除いた後、その第2面のSa(算術平均高さ)及びSpd(山頂点密度)を、ISO 25178−2:2012に準拠して測定した。結果を表1に示す。
(HC樹脂積層基板中のHC樹脂層のSa)
上記で得られたHC樹脂積層基板中のHC樹脂層について、その第2面のSa(算術平均高さ)を、ISO 25178−2:2012に準拠して測定した。結果を表1に示す。
<HC樹脂層の評価>
(HC樹脂層のデスミア耐性)
上述の多層プリント配線板の製造過程において、粗化処理及び中和処理後のHC樹脂積層基板(第2中間積層体)の表面のうち、12.4μm×9.3μmの領域について、走査電子顕微鏡(SEM)を用いて、10000倍の倍率で観察した。そして、下記基準に従って、HC樹脂層のデスミア耐性について評価した。結果を表1に示す。
・評価基準
A:充填材の脱落数が0個である(充填材の脱落が認められない)。
B:充填材の脱落数が、1個以上10個未満である。
C:充填材の脱落数が10個以上である。
(めっき層剥離強度)
上述の多層プリント配線板の製造時と同じ方法で、粗化処理及び中和処理後のHC樹脂積層基板(第2中間積層体)を製造した。
次いで、銅めっき膜の厚さを0.5μmに代えて1μmとした点以外は、上述の多層プリント配線板の製造時と同じ方法で、この粗化処理及び中和処理後のHC樹脂積層基板(第2中間積層体)に対して、無電解銅めっきを行い、銅めっき膜を形成し、第3中間積層体とした。
次いで、この銅めっき膜を給電層として、銅めっき膜上に電気銅めっきを行い、銅めっき層(厚さ29μm)を形成し、第4中間積層体とした。
以上により、HC樹脂層を粗化処理後のHC樹脂積層基板において、HC樹脂層上に合計の厚さが30μmである2層構造のめっき層を備えた試験片を作製した。
次いで、この試験片を用いて、JIS C 6481に準拠して、HC樹脂層に対するめっき層剥離強度を測定した。結果を表1に示す。
(細線加工性)
上述の多層プリント配線板の製造過程において、ソルダーレジスト層を形成前の多層配線板中の細線(配線)について、ライン幅8mm/ピッチ8mmのラインアンドスペースパターンとなっている領域の細線の形状をレーザー顕微鏡で観察し、さらにこの領域での導電性を確認した。そして、下記基準で細線加工性を評価した。結果を表1に示す。
・評価基準
A:細線の形状及び導電性がともに問題ない。
B:細線の形状及び導電性の少なくとも一方が、Aには劣るが、細線切れ及びショートはなく、実用上問題ない。
C:細線切れがあり、ショートが見られる。
(伝送損失)
ネットワークアナライザ(Keysight Technologies社製「E8363B」)を用い、インピーダンスを50Ωに合わせて、上記で得られた多層プリント配線板について、30GHzでの挿入(伝送)損失S21を測定した。なお、測定対象のパターンは、導体の幅が70μm、導体の厚さが12μm、線路の長さが20mm、誘電体の厚さが30μm、特性インピーダンスが50Ωの、マイクロストリップ線路である。結果を表1に示す。
<樹脂シート、樹脂積層基板、ハーフキュア樹脂積層基板及び多層プリント配線板の製造、樹脂層及びHC樹脂層の表面状態の測定、並びにHC樹脂層の評価>
[実施例2〜5、比較例1〜3]
樹脂組成物製造時の配合(含有)成分の種類及びその配合量(含有量)を、表1又は表2に示すとおりとした点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、樹脂シート、樹脂積層基板、HC樹脂積層基板及び多層プリント配線板を製造し、樹脂層及びHC樹脂層の表面状態を測定し、さらにHC樹脂層の評価を行った。結果を表1又は表2に示す。
Figure 2019104157
Figure 2019104157
上記結果から明らかなように、実施例1〜5においては、樹脂シート中の樹脂層の第1面のSskは−2.7〜3.7(−2.7以上)であり、Spkは0.06〜0.18μm(0.06μm以上)であった。そして、樹脂積層基板中の樹脂層の第2面のSaは0.03μmであり、Spdは0.06〜0.11/μm(0.11/μm以下)であった。さらに、HC樹脂積層基板中のHC樹脂層の第2面のSaは0.03〜0.13μm(0.13μm以下)であった。
これに対して、比較例1〜3においては、樹脂シート中の樹脂層の第1面のSskは−4.5〜−3.7(−3.7以下)であり、Spkは0.02〜0.03μm(0.03μm以下)であった。そして、樹脂積層基板中の樹脂層の第2面のSaは0.05〜0.07μm(0.05μm以上)であり、Spdは0.12〜0.15/μm(0.12/μm以上)であった。さらに、HC樹脂積層基板中のHC樹脂層の第2面のSaは0.15〜0.18μm(0.15μm以上)であった。
このように、HC樹脂積層基板中のHC樹脂層の第2面のSaは、実施例1〜5では0.13μm以下となっているのに対し、比較例1〜3では0.15μm以上となっていた。この差を反映して、HC樹脂層の4つの評価項目(デスミア耐性、めっき層剥離強度、細線加工性、伝送損失)について、実施例1〜5ではすべて良好な結果であったのに対し、比較例1〜3では3項目以上で良好な結果とはならなかった。
例えば、めっき層剥離強度は、実施例1〜5においては4.71〜5.59N/cm(4.71N/cm以上)であるのに対し、比較例1〜3においては1.86〜3.43N/cm(3.43N/cm以下)であった。また、デスミア耐性は、実施例1〜5においてはA又はBであるのに対し、比較例1〜3においてはすべてCであった。また、細線加工性は、実施例1〜5においてはすべてAであるのに対し、比較例1〜3においてはすべてCであった。
遡って、HC前の樹脂積層基板中の樹脂層の第2面のSaは、実施例1〜5では0.03μmであるのに対し、比較例1〜3では0.05〜0.07μm(0.05μm以上)となっていた。また、HC前の樹脂積層基板中の樹脂層の第2面のSpdは、実施例1〜5では0.06〜0.11/μm(0.11/μm以下)となっているのに対し、比較例1〜3では0.12〜0.15/μm(0.12/μm以上)となっていた。そして、HC樹脂層の第2面のSaは、HC前の樹脂層の第2面のSa及びSpdと相関があった。
さらに遡って、樹脂シート中の樹脂層の第1面のSskは、実施例1〜5では−2.7〜3.7(−2.7以上)となっているのに対し、比較例1〜3では−4.5〜−3.7(−3.7以下)となっていた。また、樹脂シート中の樹脂層の第1面のSpkは、実施例1〜5では0.06〜0.18μm(0.06μm以上)となっているのに対し、比較例1〜3では0.02〜0.03μm(0.03μm以下)となっていた。そして、HC樹脂層の第2面のSaは、樹脂シート中の樹脂層の第1面のSsk及びSpkと相関があった。
本発明は、多層プリント配線板の製造に利用可能である。
1・・・樹脂シート
10,10’・・・樹脂積層基板
11・・・キャリアフィルム
12・・・樹脂層
12a・・・樹脂層のキャリアフィルム側とは反対側の面(第1面)
12b・・・樹脂層のキャリアフィルム側の面(キャリアフィルムを備えていた側の面、第2面)
13・・・基板
13b・・・基板の樹脂層側の面(第2面、回路面)

Claims (6)

  1. キャリアフィルムと、前記キャリアフィルム上に形成された熱硬化性の樹脂層と、を備え、
    前記樹脂層について、昇温速度を10℃/minとして、30℃から300℃まで昇温させて、示差走査熱量を測定したときの発熱量が、5mJ/mg以上であり、
    前記樹脂層の前記キャリアフィルム側とは反対側の面のスキューネス(Ssk)が、−3.5以上である、樹脂シート。
  2. 前記樹脂層が、熱硬化性樹脂及び充填材を含有する、請求項1に記載の樹脂シート。
  3. 前記キャリアフィルムに前記樹脂層が直接接触している、請求項1又は2に記載の樹脂シート。
  4. キャリアフィルムと、前記キャリアフィルム上に形成された熱硬化性の樹脂層と、を備え、
    前記樹脂層について、昇温速度を10℃/minとして、30℃から300℃まで昇温させて、示差走査熱量を測定したときの発熱量が、5mJ/mg以上であり、
    前記樹脂層の前記キャリアフィルム側とは反対側の面の突出山部高さ(Spk)が、0.04μm以上である、樹脂シート。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂シートにおける前記樹脂層の、前記キャリアフィルム側とは反対側の面に、さらに基板を備え、
    前記樹脂層の、前記キャリアフィルム側の面の算術平均高さ(Sa)が、0.035μm以下である、樹脂積層基板。
  6. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂シートにおける前記樹脂層の、前記キャリアフィルム側とは反対側の面に、さらに基板を備え、
    前記樹脂層の、前記キャリアフィルム側の面の山頂点密度(Spd)が、0.11/μm以下である、樹脂積層基板。
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