JPWO2012004866A1 - リングギヤのかしめ方法、その方法に使用されるかしめ治具、及びリングギヤ - Google Patents

リングギヤのかしめ方法、その方法に使用されるかしめ治具、及びリングギヤ Download PDF

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Abstract

かしめ治具は、デファレンシャルサブアッシを構成するデフケースのフランジの外周に圧入されたリングギヤにつき、その軸線方向における両端の少なくとも一方に形成された複数のノッチに対し、フランジの軸線方向における両端の少なくとも一方に設けられたかしめ部をかしめるために使用される。複数のノッチは、リングギヤの内周縁に沿って形成される。各ノッチは、リングギヤの半径方向に対して所定角度で傾斜する底部を有する。かしめ治具は、かしめ部を、リングギヤの軸線方向に押圧するために、リングギヤの半径方向に対して所定角度で傾斜する傾斜部と、複数のノッチに対応して傾斜部から突出する複数の突起とを備える。

Description

この発明は、車両に搭載されるデファレンシャルサブアッシに係り、詳しくは、デファレンシャルサブアッシを構成するデフケースの外周に圧入されるリングギヤをフランジにかしめるリングギヤのかしめ方法、その方法に使用されるかしめ治具、及びリングギヤに関する。
従来、この種の技術として、例えば、下記の特許文献1には、デフケースのフランジにリングギヤを圧入した後、そのリングギヤの両端内周縁をフランジの両端のかしめ部によりかしめて固定することが記載される。そして、リングギヤの他、所定の部品をデフケースに組み付けることにより、車両の動力伝達機構に使用されるデファレンシャルサブアッシが得られる。
ここで、図29に、従来のリングギヤ81の一部を斜視図により示す。リングギヤ81の両端内周縁には、フランジのかしめ部によりかしめられる被かしめ部としての複数のノッチ82が形成される。従来は、これらのノッチ82に対し、かしめ部を塑性流動させるようにリングギヤ81のかしめが行われていた。これらのノッチ82は、リングギヤ81の内側に形成され、リングギヤ81のかしめは、フランジを内側から外側へ押し拡げるように行われていた。下記の特許文献2〜6には、金属部品のかしめに関する技術が記載される。
EP0647789B1号公報 特開2003−294114号公報 特開昭56−102326号公報 特開平2−75424号公報 特開2001−276939号公報 特開平5−76961号公報 特開平9−239480号公報
ところで、特許文献1に記載の締結構造によれば、リングギヤのデフケースに対する締結強度を増加させるためには、デフケースのフランジを内側から外側へ強く押し拡げる必要がある。しかし、このように強く押し広げた場合、かしめ部への成形荷重が過大となり、かしめ部の成形性が悪化するおそれがあった。また、図29において、リングギヤ81にも成形荷重が加わることから、リングギヤ81に変形や歪みが生じるおそれがあった。特に、リングギヤ81の外周の歯83に歪みが生じると、リングギヤ81の相手ギヤに対する歯当たりが悪くなり、リングギヤの騒音振動特性が悪化する懸念があった。
この発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、リングギヤをデフケースにかしめるときのリングギヤの変形や歪みを低減することを可能としたリングギヤのかしめ方法、その方法に使用されるかしめ治具、及びリングギヤを提供することにある。
(1)上記目的を達成するために、本発明の第1の態様は、デファレンシャルサブアッシを構成するデフケースのフランジの外周に圧入されたリングギヤにつき、その軸線方向における両端の少なくとも一方に形成された被かしめ部に対し、フランジの軸線方向における両端の少なくとも一方に設けられたかしめ部をかしめるために使用されるかしめ治具であって、被かしめ部は、リングギヤの内周縁に沿って形成された複数のノッチであり、ノッチは、リングギヤの半径方向に対して所定角度で傾斜する底部を有し、かしめ部を、リングギヤの軸線方向に押圧するために、リングギヤの半径方向に対して所定角度で傾斜する傾斜部と、複数のノッチに対応して傾斜部から突出する複数の突起とを備えたことを趣旨とする。
上記(1)の構成によれば、かしめ治具がかしめ部を押圧しその下死点で各ノッチが閉塞されるとき、傾斜部の突起がかしめ部と点接触するので、かしめ部と突起との間の摩擦が小さくなり、その接触部分の近傍でかしめ部の肉に流れが生じる。また、各ノッチの底部の近傍でも、かしめ部の肉に流れが生じる。
(2)上記目的を達成するために、上記(1)の構成において、各突起は、各ノッチの形状に合わせた形状と、ノッチより小さい大きさとを含むことが好ましい。
(3)上記目的を達成するために、上記(2)の構成において、各突起は、外表面が湾曲面をなすことが好ましい。
(4)上記目的を達成するために、本発明の第2の態様は、デファレンシャルサブアッシを構成するデフケースのフランジの外周に圧入されたリングギヤにつき、その軸線方向における両端の少なくとも一方に形成された被かしめ部に対し、フランジの軸線方向における両端の少なくとも一方に設けられたかしめ部をかしめるために使用されるかしめ治具であって、被かしめ部は、リングギヤの内周縁に沿って形成された複数のノッチであり、かしめ部を、リングギヤの軸線方向に押圧するために、リングギヤの軸線方向と交差する方向に沿って延びる平坦部と、かしめ部を押圧するために、平坦部からリングギヤの中心方向へ傾斜する傾斜部と、平坦部を挟んで傾斜部の反対側にて平坦部からリングギヤへ向けて突出し、かしめ部を拘束するための拘束部とを備えたことを趣旨とする。
上記(4)の構成によれば、かしめ部がかしめ治具により押圧されるときに、その押圧力が各ノッチの底部にかかり難くなる。
(5)上記目的を達成するために、本発明の第3の態様は、デファレンシャルサブアッシを構成するデフケースのフランジの外周に圧入されたリングギヤにつき、その軸線方向における両端の少なくとも一方に形成された被かしめ部に対し、フランジの軸線方向における両端の少なくとも一方に設けられたかしめ部をかしめ治具を使用してかしめるリングギヤのかしめ方法であって、被かしめ部は、リングギヤの内周縁に沿って形成された複数のノッチであり、ノッチは、リングギヤの半径方向に対して所定角度で傾斜する底部を有し、かしめ治具は、かしめ部を、リングギヤの軸線方向に押圧するために、リングギヤの半径方向に対して所定角度で傾斜する傾斜部を有し、傾斜部の所定角度より底部の所定角度の方が大きく設定されており、かしめ部を、かしめ治具の傾斜部により、リングギヤの軸線方向に押圧することにより、ノッチに対してかしめ部の肉を充填させてかしめることを趣旨とする。
上記(5)の構成によれば、かしめ部をかしめ治具により押圧したとき、傾斜部によりかしめ部にかかる押圧力のうち、リングギヤの半径方向における分力が相対的に小さくなり、各ノッチの底部にかかる押圧力の分力が相対的に小さくなる。
(6)上記目的を達成するために、本発明の第4の態様は、デファレンシャルサブアッシを構成するデフケースのフランジの外周に圧入されたリングギヤにつき、その軸線方向における両端の少なくとも一方に形成された被かしめ部に対し、フランジの軸線方向における両端の少なくとも一方に設けられたかしめ部をかしめ治具を使用してかしめるリングギヤのかしめ方法であって、被かしめ部は、リングギヤの内周縁に沿って形成された複数のノッチであり、かしめ部を、第1のかしめ治具を使用してリングギヤの軸線方向に押圧することにより、かしめ部をリングギヤに向けて変形させる押圧工程と、押圧工程の後、かしめ部を、第2のかしめ治具を使用して分流法により更に押圧することにより、ノッチに対してかしめ部の肉を充填させる分流工程とを備えたことを趣旨とする。
上記(6)の構成によれば、分流工程で、かしめ部を第2のかしめ治具により押圧したときに、かしめ部の肉の一部が分流し、押圧力が縮小する。
(7)上記目的を達成するために、本発明の第5の態様は、デファレンシャルサブアッシを構成するデフケースのフランジの外周に圧入されたリングギヤにつき、その軸線方向における両端の少なくとも一方に形成された被かしめ部に対し、フランジの軸線方向における両端の少なくとも一方に設けられたかしめ部をかしめ治具を使用してかしめるリングギヤのかしめ方法であって、被かしめ部は、リングギヤの内周縁に沿って形成された複数のノッチであり、ノッチは、リングギヤの半径方向に対して所定角度で傾斜する底部を有し、所定角度は、45°〜85°の範囲の値に設定されており、かしめ部を、かしめ治具を使用してリングギヤの軸線方向に押圧することにより、ノッチに対してかしめ部の肉を充填させてかしめることを趣旨とする。
上記(7)の構成によれば、かしめ部をかしめ治具により押圧したときに、ノッチの底部にかかる押圧力のうち、リングギヤの半径方向における分力が相対的に小さくなる。
(8)上記目的を達成するために、本発明の第6の態様は、デファレンシャルサブアッシを構成するデフケースのフランジの外周に圧入されたリングギヤにつき、その軸線方向における両端の少なくとも一方に形成された被かしめ部に対し、フランジの軸線方向における両端の少なくとも一方に設けられたかしめ部をかしめ治具を使用してかしめるリングギヤのかしめ方法であって、被かしめ部は、リングギヤの内周縁に沿って形成された複数のノッチであり、ノッチは、リングギヤの軸線方向と交差する方向に沿って一定の深さで延びる底部を有し、かしめ部を、かしめ治具を使用してリングギヤの軸線方向に押圧することにより、ノッチに対してかしめ部の肉を充填させてかしめることを趣旨とする。
上記(8)の構成によれば、かしめ部をかしめ治具により押圧したときに、押圧力の大部分がノッチの底部に垂直にかかり、その押圧力の分力がリングギヤの半径方向にほとんどかからない。
(9)上記目的を達成するために、本発明の第7の態様は、デファレンシャルサブアッシを構成するデフケースのフランジの外周に圧入されたリングギヤにつき、その軸線方向における両端の少なくとも一方に形成された被かしめ部に対し、フランジの軸線方向における両端の少なくとも一方に設けられたかしめ部をかしめ治具を使用してかしめるリングギヤのかしめ方法であって、被かしめ部は、リングギヤの内周縁に沿って形成された複数のノッチであり、かしめ部を、かしめ治具を使用して押圧することにより、リングギヤへ向けて変形させる第1の押圧工程と、第1の押圧工程の後、かしめ部を、かしめ治具を使用してリングギヤの軸線方向に押圧することにより、ノッチに対してかしめ部の肉を充填させる第2の押圧工程とを備えたことを趣旨とする。
上記(9)の構成によれば、第2の押圧工程で、かしめ部を第2のかしめ治具により押圧したとき、その押圧力が各ノッチの底部へかかり難くすることが可能となる。
(10)上記目的を達成するために、本発明の第8の態様は、デファレンシャルサブアッシを構成するデフケースのフランジの外周に圧入されたリングギヤにつき、その軸線方向における両端の少なくとも一方に形成された被かしめ部に対し、フランジの軸線方向における両端の少なくとも一方に設けられたかしめ部をかしめるために使用されるかしめ治具であって、被かしめ部は、リングギヤの内周縁に沿って形成された複数のノッチであり、かしめ部を、リングギヤの軸線方向に押圧するために、リングギヤの軸線方向と交差する方向に沿って延びる平坦部と、平坦部からリングギヤの中心方向へ傾斜する傾斜部とを備えたことを趣旨とする。
上記(10)の構成によれば、かしめ部がかしめ治具により押圧されたとき、その押圧力が各ノッチの底部にかかり難くなる。
(11)上記目的を達成するために、上記(10)の構成において、ノッチは、リングギヤの軸線方向と交差する方向に沿って一定の深さで延びる底部と所定の断面形状を有し、平坦部には、ノッチに嵌入可能な突条が形成されることが好ましい。
上記(11)の構成によれば、上記(10)の構成の作用に加え、かしめ部の肉の一部が、各突条の断面形状に合わせて変形し、楔のように各ノッチの中に充填される。
(12)上記目的を達成するために、本発明の第9の態様は、デファレンシャルサブアッシを構成するデフケースのフランジの外周に圧入され、軸線方向における両端の少なくとも一方に形成された被かしめ部に対し、フランジの軸線方向における両端の少なくとも一方に設けられたかしめ部がかしめ治具を使用してかしめられるリングギヤであって、被かしめ部は、リングギヤの内周縁に沿って形成された複数のノッチであり、ノッチが、リングギヤの内周面にて軸線方向に沿って一定の深さ及び一定の幅で延びる溝形状をなすことを趣旨とする。
上記(12)の構成によれば、ノッチの隙間面が縮小するので、リングギヤがかしめ部によりかしめられたときに、デフケースから隙間面が受ける荷重が小さくなる。
(13)上記目的を達成するために、上記(12)の構成において、複数のノッチは、リングギヤの内周面にて軸線方向に対して所定角度傾いて互いに平行に形成されることが好ましい。
上記(13)の構成によれば、上記(12)の構成に作用に加え、複数のノッチが、軸線方向に対して所定角度傾いているので、リングギヤをデフケースのフランジに圧入してかしめたときに、ノッチによる軸線方向における機械的な抵抗が増える。
上記(1)〜(13)の構成によれば、リングギヤをデフケースにかしめるときのリングギヤの変形や歪みを低減することができる。これにより、リングギヤの相手ギヤに対する歯当たりを好適なものとし、リングギヤの騒音振動特性の改善を図ることができる。
第1実施形態に係り、デファレンシャルサブアッシの概略構成を示す側面図。 同実施形態に係り、デフケースのフランジとリングギヤとの関係を概略的に示す断面図。 同実施形態に係り、かしめに使用されるかしめ装置の一部を示す断面図。 同実施形態に係り、締結方法の「圧入工程」を概略的に示す断面図。 同実施形態に係り、締結方法の「圧入工程」を概略的に示す断面図。 同実施形態に係り、締結方法の「かしめ工程」を概略的に示す断面図。 同実施形態に係り、リングギヤの一部を示す断面図。 同実施形態に係り、「かしめ工程」につき、ノッチの部分とかしめ部及びかしめ治具との関係を示す断面図。 第2実施形態に係り、「かしめ工程」につき、リングギヤのノッチの部分とかしめ部及びかしめ治具との関係を示す断面図。 同実施形態に係り、「かしめ工程」につき、ノッチの断面形状とかしめ部及びかしめ治具との関係を例示する断面図。 同実施形態に係り、「かしめ工程」につき、ノッチの断面形状とかしめ部及びかしめ治具との関係を例示する断面図。 同実施形態に係り、「かしめ工程」につき、ノッチの断面形状とかしめ部及びかしめ治具との関係を例示する断面図。 第3実施形態に係り、「第1の押圧工程」につき、リングギヤのノッチの部分とかしめ部及びかしめ治具との関係を示す断面図。 同実施形態に係り、「第2の押圧工程」につき、リングギヤのノッチの部分とかしめ部及びかしめ治具との関係を示す断面図。 第4実施形態に係り、「かしめ工程」につき、リングギヤのノッチの部分とかしめ部及びかしめ治具との関係を示す断面図。 第5実施形態に係り、「かしめ工程」につき、リングギヤのノッチの断面形状とかしめ部及びかしめ治具との関係を示す断面図。 同実施形態に係り、「かしめ工程」につき、リングギヤのノッチの断面形状とかしめ部及びかしめ治具との関係の変形例を示す断面図。 同実施形態に係り、「かしめ工程」につき、リングギヤのノッチの断面形状とかしめ部及びかしめ治具との関係の変形例を示す断面図。 第6実施形態に係り、「かしめ工程」につき、リングギヤのノッチの部分とかしめ部及びかしめ治具との関係を示す断面図。 同実施形態に係り、かしめ部の肉の延びを示す概念図。 第7実施形態に係り、「かしめ工程」につき、リングギヤのノッチの部分とかしめ部及びかしめ治具との関係を示す断面図。 第8実施形態に係り、「押圧工程」につき、リングギヤのノッチの部分とかしめ部及びかしめ治具との関係を示す断面図。 同実施形態に係り、「分流工程」につき、リングギヤのノッチの部分とかしめ部及びかしめ治具との関係を示す断面図。 第9実施形態に係り、「かしめ工程」につき、リングギヤのノッチの部分とかしめ部及びかしめ治具との関係の対比例を示す断面図。 同実施形態に係り、「かしめ工程」につき、リングギヤのノッチの部分とかしめ部及びかしめ治具との関係を示す断面図。 第10実施形態に係り、従来のリングギヤの内周面の側を部分的に示す斜視図。 同実施形態に係り、リングギヤの一部を圧入面の側から見て示す斜視図。 第11実施形態に係り、リングギヤの一部を圧入面の側から見て示す正面図。 従来例に係り、リングギヤの一部を示す斜視図。
<第1実施形態>
以下、本発明におけるリングギヤのかしめ方法を具体化した第1実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
図1に、デファレンシャルサブアッシ1の概略構成を側面図により示す。図2に、デフケース2のフランジ3とリングギヤ4との関係を概略的に断面図により示す。図1に示すように、デファレンシャルサブアッシ1は、デフケース2と、デフケース2の一端側(図面左側)の外周に設けられたフランジ3と、フランジ3の外周に締結された円環状をなすリングギヤ4とを備える。デフケース2の中には、一対のサイドギヤと一対のピニオン(共に図示略)が回転可能に支持された状態で収容される。
なお、図1,2において、矢印Thは、フランジ3及びリングギヤ4の軸線方向を示し、矢印Raは、フランジ3及びリングギヤ4の半径方向を示す(他の図において同じ。)。
このデファレンシャルサブアッシ1は、車両の動力伝達機構に使用される。例えば、車両において、変速機、トランスファ及び終減速機等に対して設けられる。そして、相手側のギヤ(図示略)からリングギヤ4に入力される動力を、一対のサイドギヤの回転差を許容しながら、それを一対のピニオンに連結された回転部材に伝達するようになっている。ここで、回転部材として、例えば、車両の左右一対の駆動車輪や前後一対の駆動車軸等を挙げることができる。
図1,2に示すように、この実施形態で、リングギヤ4は、はすば歯車により構成され、外周に設けられた複数の歯11が、リングギヤ4の軸線方向に対して斜めに形成される。リングギヤ4は、その内周面である圧入面12にてフランジ4の外周面21に圧入されると共に、フランジ3にてかしめられる。すなわち、フランジ3の軸線方向における一端側(図2の左側)には、かしめ部22が形成され、他端側(図2の右側)には、直角に起立した堤部23が形成される。リングギヤ4は、その軸線方向における一端の内周縁において、かしめ部22によりかしめられる、被かしめ部として斜めに形成された複数のノッチ13を有する。こられノッチ13の構成は、図29に示す従来のリングギヤ81のノッチ82と基本的に同じである。複数のノッチ13は、リングギヤ4の一端内周縁に沿って等間隔に形成される。各ノッチ13の大きさは、かしめの要求強度に応じて決定される(以下において同じ。)。これらのノッチ13に対し、かしめ部22を塑性加工することによりかしめが行われる。これらのノッチ13は、リングギヤ4の内側に形成され、かしめは、フランジ3を内側から外側へ押し拡げるように行われるようになっている。
そして、リングギヤ4の一端面14が堤部23に当接した状態で、ノッチ13がかしめ部22によりかしめられる。図3に、かしめに使用されるかしめ装置61の一部を断面図により示す。かしめ装置61は、デフケース2を支持する円環状のベース治具62と、ベース治具62の外周を取り囲むように設けられた筒形状をなす外周治具63と、ベース治具62に対して往復動可能に設けられた円環状をなすかしめ治具31とを含む。ベース治具62には、フランジ3にリングギヤ4を圧入した後のデフケース2が、そのフランジ3にて支持される。この支持状態において、リングギヤ4の外周が外周治具63により拘束される。かしめ治具31は、アクチュエータ(図示略)により駆動される。かしめ治具31がデフケース2へ向けて降下し、かしめ部22がかしめ治具31により押圧されることで、リングギヤ4がデフケース2に対してかしめ部22によりかしめられる。かしめ治具31は、その下面の外周部にてかしめ部22を押圧するようになっている。このようにして、デフケース2のフランジ3にリングギヤ4がかしめられて締結される。
次に、この実施形態におけるリングギヤの締結方法について説明する。図4〜6に、締結方法の各工程を、図2に準ずる概略的な断面図により示す。
先ず、図4,5に示す「圧入工程」では、フランジ3の外周面21に、リングギヤ4を、その圧入面12にて圧入する。このとき、フランジ3のかしめ部22は、外周面21と平行に延びた状態になっている。また、図5に示すように、リングギヤ4は、その一端面14が堤部23に当接するまで、リングギヤ4の軸線方向において押されて圧入される。この圧入状態では、リングギヤ4の圧入面12がフランジ3の外周面21に密接した状態となる。
その後、図6に示す「かしめ工程」では、図3に示すかしめ装置61を使用して、フランジ3のかしめ部22をリングギヤ4のノッチ13に対して押し付けてかしめる。このかしめ状態では、リングギヤ4が、その軸線方向においてフランジ3に対して位置決めされ、固定される。
ここで、「かしめ工程」におけるリングギヤのかしめ方法について更に詳しく説明する。この実施形態のかしめ方法は、デフケース2のフランジ3の外周面21に圧入されたリングギヤ4につき、その軸線方向における一端に形成された複数のノッチ13に対し、フランジ3の軸線方向における一端に設けられたかしめ部22をかしめ治具31を使用してかしめるようにしている。
図7に、リングギヤ4の一部を断面図により示す。図8に、「かしめ工程」につき、ノッチ13の部分と、かしめ部22及びかしめ治具31との関係を断面図により示す。図7に示すように、リングギヤ4に形成された複数のノッチ13は、リングギヤ4の半径方向に対して所定角度θ1で傾斜する、すなわち、リングギヤ4の端面15(一端面14の反対側の端面)に対して所定角度θ1で傾斜する底部13aを有する。この実施形態では、所定角度θ1が、「45°〜85°」の範囲の値に、好ましくは「50°〜70°」の範囲の値に設定される。図8に示すように、この実施形態における底部13aの所定角度θ1は、従来のノッチ82の底部の所定角度θ2(45°程度)よりも大きくなっている。
そして、「かしめ工程」では、図8に示すように、フランジ3のかしめ部22を、かしめ治具31を使用してリングギヤ4の軸線方向に押圧することにより、ノッチ13に対してかしめ部22の肉を充填させてかしめる。
従って、この実施形態のかしめ方法によれば、各ノッチ13の底部13aが、リングギヤ4の半径方向に対して、従来よりも大きい所定角度θ1で傾斜する。このため、かしめ部22を、かしめ治具31により、リングギヤ4の軸線方向に押圧したときに、各ノッチ13の底部13aにかかる押圧力のうち、リングギヤ4の半径方向における分力F1(太線矢印で示す)が、従来のノッチに対する分力F2(太破線矢印で示す)よりも小さくなる。つまり、かしめの際に、リングギヤ4の半径方向にかかる荷重が、リングギヤ4の軸線方向にかかる荷重に比べて非常に小さくなる。この結果、リングギヤ4をデフケース2のフランジ3にかしめるとき、リングギヤ4の歯11の変形や歪みを低減することができる。これにより、リングギヤ4の相手ギヤに対する歯当たりを好適なものとし、リングギヤ4の騒音振動特性の改善を図ることができる。
<第2実施形態>
次に、本発明におけるリングギヤのかしめ方法を具体化した第2実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の各説明において、第1実施形態と同等の構成要素については同一の符号を付して説明を省略し、異なった点を中心に説明する。
この実施形態では、リングギヤ4に形成されるノッチ13の構成の点で前記第1実施形態と異なる。図9に、「かしめ工程」につき、リングギヤ4のノッチ13の部分と、かしめ部22及びかしめ治具32との関係を断面図により示す。図9に示すように、この実施形態の各ノッチ13は、リングギヤ4の軸線方向と交差する方向(リングギヤ4の半径方向)に沿って、すなわち、リングギヤ4の軸線方向における端面15に沿って、一定の深さD1で延びる底部13bを有する。
そして、「かしめ工程」において、図9に示すように、かしめ部22を、かしめ治具32を使用してリングギヤ4の軸線方向において押圧することにより、ノッチ13に対してかしめ部22の肉を充填させてかしめるようにしている。
ここで、かしめ治具32は、図9に示すように、かしめ部22を、リングギヤ4の軸線方向において押圧するための押圧部32aと、かしめ部22の、ノッチ13と係合する部分と反対の部分を拘束する拘束部32bとを備える。図9は、かしめ治具32の一部を示す。
従って、この実施形態のかしめ方法によれば、リングギヤ4のノッチ13の底部13bが、リングギヤ4の軸線方向と交差する方向(リングギヤ4の半径方向)に沿って一定の深さD1で延びる。このため、かしめ部22を、かしめ治具32により、リングギヤ4の軸線方向に押圧したときに、押圧力の大部分が底部13bに垂直にかかることとなり、従来のノッチの底部に対する分力F2(太破線矢印で示す)とは異なり、押圧力の分力がリングギヤ4の半径方向にほとんどかかることがない。つまり、かしめの際に、リングギヤ4の半径方向にかかる荷重がほとんど無くなり、リングギヤ4の軸線方向に荷重の大部分がかかることとなる。この結果、リングギヤ4をデフケース2のフランジ3にかしめるとき、リングギヤ4の歯11の変形や歪みを低減することができる。これにより、リングギヤ4の相手ギヤに対する歯当たりを好適なものとし、リングギヤ4の騒音振動特性の改善を図ることができる。
ここで、ノッチ13の断面形状につき、いくつか例示することができる。図10〜12に、「かしめ工程」につき、ノッチ13の断面形状と、かしめ部22及びかしめ治具32との関係をそれぞれ断面図により示す。図10には、四角形の断面形状を有するノッチ13を示し、図11には、略U形の断面形状を有するノッチ13を示し、図12には、V形の断面形状を有するノッチ13を示す。図10〜12にそれぞれ示すように、かしめ部22が、かしめ治具32によって押圧されることにより、かしめ部22の肉の一部が、ノッチ13の断面形状に合わせて、楔のようにノッチ13の中に充填されることが分かる。
<第3実施形態>
次に、本発明におけるリングギヤのかしめ方法を具体化した第3実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
この実施形態では、リングギヤ4に形成されるノッチ13の構成を従来のそれと同じにすることを前提とし、かしめ治具を使用したかしめ方法の点で前記各実施形態と構成が異なる。図13に、「かしめ工程」を構成する「第1の押圧工程」につき、リングギヤ4のノッチ13の部分と、かしめ部22及びかしめ治具33との関係を断面図により示す。図14に、「かしめ工程」を構成する「第2の押圧工程」につき、リングギヤ4のノッチ13の部分と、かしめ部22及びかしめ治具34との関係を断面図により示す。図13,14に示すように、この実施形態の各ノッチ13は、従来のノッチと同様の構成を有し、所定角度θ2で傾斜する底部13cを有する。
そして、図13に示すように、「第1の押圧工程」では、かしめ部22を、第1のかしめ治具33を使用してリングギヤ4の軸線方向に押圧することにより、かしめ部22の先端部をリングギヤ4の各ノッチ13へ向けて変形させる。この変形状態では、かしめ部22の先端部は、各ノッチ13から離れている。
ここで、第1のかしめ治具33は、図13に示すように、かしめ部22の先端部に当接するテーパ面33aを有する。そして、そのテーパ面33aによりかしめ部22の先端部を押圧することで、かしめ部22の先端部をリングギヤ4の各ノッチ13へ向けて変形させるようになっている。図13は、第1のかしめ治具33の一部を示す。
その後、図14に示すように、「第2の押圧工程」では、かしめ部22を、第2のかしめ治具34を使用してリングギヤ4の軸線方向に更に押圧することにより、ノッチ13にかしめ部22の肉を充填させる。
ここで、第2のかしめ治具34は、図14に示すように、第2実施形態で使用したかしめ治具32と同様、かしめ部22をリングギヤ4を軸線方向に押圧するための押圧部34aと、かしめ部22の、ノッチ13と係合する部分と反対の部分を拘束する拘束部34bとを備える。図14は、第2のかしめ治具34の一部を示す。
従って、この実施形態のかしめ方法によれば、「第1の押圧工程」で、かしめ部22の先端部を、第1のかしめ治具33のテーパ面33aにより押圧することで、リングギヤ4の各ノッチ13へ向けて一旦変形させる。その後、「第2の押圧工程」で、変形したかしめ部22を、第2のかしめ治具34によりリングギヤ4の軸線方向に押圧することで、かしめ部22の肉を各ノッチ13に充填させる。このため、「第2の押圧工程」では、かしめ部22を、第2のかしめ治具34により押圧したときに、その押圧力が各ノッチ13の底部13cへかかり難くすることが可能となる。これにより、かしめの際に、リングギヤ4の半径方向にかかる荷重が極力少なくなる。この結果、リングギヤ4をデフケース2のフランジ3にかしめるとき、リングギヤ4の歯11の変形や歪みを低減することができる。これにより、リングギヤ4の相手ギヤに対する歯当たりを好適なものとし、リングギヤ4の騒音振動特性の改善を図ることができる。
<第4実施形態>
次に、本発明におけるリングギヤのかしめ方法に使用されるかしめ治具を具体化した第4実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
この実施形態でも、リングギヤ4に形成されるノッチ13の構成を従来のそれと同じにすることを前提とする。図15に、「かしめ工程」につき、リングギヤ4のノッチ13の部分と、かしめ部22及びかしめ治具35との関係を断面図により示す。かしめ治具35は、かしめ部22をリングギヤ4の軸線方向に押圧するために、リングギヤ4の軸線方向と交差する方向(リングギヤ4の半径方向)に沿って延びる平坦部35aと、平坦部35aからリングギヤ4の中心方向へ傾斜する(テーパ形状をなす)傾斜部35bとを備える。図15は、かしめ治具35の一部を示す。
従って、この実施形態のかしめ治具35によれば、「かしめ工程」において、図15に示すように、かしめ治具35により、かしめ部22をリングギヤ4の軸線方向に押圧することにより、かしめ部22の一部が傾斜部35bに沿ってノッチ13と反対方向へ逃がされながら、平坦部35aによりかしめ部22が押され、その肉が各ノッチ13に充填される。すなわち、かしめ部22が、平坦部35aにより据え込み成形されて、各ノッチ13に充填される。このため、かしめ部22が、かしめ治具35により、リングギヤ4の軸線方向に押圧されたときに、その押圧力が各ノッチ13の底部13cにかかり難くなる。これにより、かしめの際に、リングギヤ4の半径方向にかかる荷重が極力少なくなる。この結果、リングギヤ4をデフケース2のフランジ3にかしめるとき、リングギヤ4の歯11の変形や歪みを低減することができる。これにより、リングギヤ4の相手ギヤに対する歯当たりを好適なものとし、リングギヤ4の騒音振動特性の改善を図ることができる。
<第5実施形態>
次に、本発明におけるリングギヤのかしめ方法に使用されるかしめ治具を具体化した第5実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
図16に、「かしめ工程」につき、ノッチ13の断面形状と、かしめ部22及びかしめ治具35との関係を、図10に準ずる断面図により示す。この実施形態では、ノッチ13の構成の点で第4実施形態と異なる。すなわち、各ノッチ13は、図16に示すように、リングギヤ4の軸線方向と交差する方向(リングギヤ4の半径方向)に沿って一定の深さD1で延びる底部13bと四角形の断面形状を有する。また、この実施形態では、かしめ治具35の平坦部35aの構成の点で第4実施形態と異なる。すなわち、図16に示すように、平坦部35aには、ノッチ13に嵌入可能な突条35cが形成される。この突条35cは、各ノッチ13の断面形状に合わせた四角形の断面形状を有する。
従って、この実施形態のかしめ治具35によれば、「かしめ工程」において、図16に示すように、かしめ治具35により、各突条35cの位相が各ノッチ13の位相に整合するように、かしめ部22をリングギヤ4の軸線方向に押圧することにより、かしめ部22が各突条35cにより部分的に押圧される。これにより、かしめ部22の肉の一部が、各突条35cの断面形状に合わせて変形し、楔のように各ノッチ13の中に充填される。特に、この実施形態では、かしめ部22が、各突条35cにより部分的に押圧されるので、かしめ治具35に与えるべき押圧力を、図10に示す場合に比べて少なくすることができる。そして、かしめの際に、リングギヤ4の半径方向にかかる荷重がほとんどなくなり、リングギヤ4の軸線方向に荷重の大部分がかかることとなる。この結果、リングギヤ4をデフケース2のフランジ3にかしめるとき、リングギヤ4の歯11の変形や歪みを低減することができる。これにより、リングギヤ4の相手ギヤに対する歯当たりを好適なものとし、リングギヤ4の騒音振動特性の改善を図ることができる。
ここで、ノッチ13と突条35cの断面形状について変形例を示すことができる。図17,18に、「かしめ工程」につき、ノッチ13の断面形状と、かしめ部22及びかしめ治具35との関係をそれぞれ図16に準ずる断面図により示す。図17は、四角形の断面形状を有するノッチ13とV形の断面形状を有する突条35cを示す。図18は、それぞれV形の断面形状を有するノッチ13と突条35cを示す。図17,18に示すように、かしめ部22が、かしめ治具35により押圧されるときに、各突条35cの位相が各ノッチ13の位相に整合することで、かしめ部22が各突条35cによって部分的に押圧される。これにより、図16と同様に、かしめ部22の肉の一部が、各突条35cの断面形状に合わせて変形し、楔のように各ノッチ13の中に充填されることが分かる。
<第6実施形態>
次に、本発明におけるリングギヤのかしめ方法に使用されるかしめ治具を具体化した第6実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
図19に、かしめ治具35を使用した「かしめ工程」につき、リングギヤ4のノッチ13の部分と、かしめ部22及びかしめ治具35との関係を断面図により示す。この実施形態のかしめ治具35は、第4実施形態のかしめ治具35と比べて以下の点で異なる。すなわち、この実施形態では、第4実施形態のかしめ治具35の構成に加え、平坦部35aを挟んで傾斜部35bの反対側にて平坦部35aからリングギヤ4へ向けて突出し、かしめ部22を拘束するための拘束部35dを更に備える。この実施形態で、拘束部35dは、リングギヤ4の外周方向へ向けて傾斜するテーパ形状をなす。図19は、かしめ治具35の一部を示す。
従って、この実施形態のかしめ治具35によれば、「かしめ工程」において、図19に示すように、かしめ部22をリングギヤ4の軸線方向に押圧することにより、かしめ部22の一部が傾斜部35bに沿って各ノッチ13と反対方向へ逃がされながら、平坦部35aによりかしめ部22が押圧され、その肉が各ノッチ13に充填される。すなわち、かしめ部22が平坦部35aにより据え込み成形されて各ノッチ13に充填される。このため、かしめ部22が、かしめ治具35により、リングギヤ4の軸線方向に押圧されたとき、その押圧力が各ノッチ13の底部13cにかかり難くなる。これにより、かしめの際に、リングギヤ4の半径方向にかかる荷重が極力少なくなる。この結果、リングギヤ4をデフケース2のフランジ3にかしめるとき、リングギヤ4の歯11の変形や歪みを低減することができる。これにより、リングギヤ4の相手ギヤに対する歯当たりを好適なものとし、リングギヤ4の騒音振動特性の改善を図ることができる。
また、この実施形態のかしめ治具35では、平坦部35aを挟んで傾斜部35bの反対側に拘束部35dが設けられるので、リングギヤ4の外周方向へ向かうかしめ部22の肉の逃げが、拘束部35dによって抑えられる。このため、かしめ部22の過剰な肉の延びが抑制され、変形後のかしめ部22の外周縁部の割れを防止することができる。図20に、かしめ部22の肉の延びを概念図により示す。図20に実線円で示すかしめ部22は、従来のかしめ治具を使用してかしめることで、同図に2点鎖線で示す位置まで過剰に延びて外周が長くなる。このため、かしめ部22の外周縁には、割れCRが発生するおそれがある。これに対し、この実施形態のかしめ治具35を使用してかしめ部22をかしめることにより、かしめ部22の延びは、図20に破線で示す位置に抑えられ、外周が相対的に短くなる。このため、かしめ部22の外周縁の割れが抑えられる。
<第7実施形態>
次に、本発明におけるリングギヤのかしめ方法を具体化した第7実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
この実施形態では、リングギヤ4におけるノッチ13の構成を第1実施形態のそれと同じとし、かしめ治具36を使用したかしめ方法の点で前記各実施形態と異なる。図21に、「かしめ工程」につき、リングギヤ4のノッチ13の部分と、かしめ部22及びかしめ治具36との関係を断面図により示す。かしめ治具36は、かしめ部22を、リングギヤ4の軸線方向に押圧するために、リングギヤ4の半径方向に対して所定角度θ3により傾斜する傾斜部36aを有する。この傾斜部36aの所定角度θ3より、各ノッチ13の底部13aの所定角度θ1の方が大きく設定される。つまり「θ1>θ3」となっている。そして、「かしめ工程」において、かしめ部22を、かしめ治具36の傾斜部36aにより、リングギヤ4の軸線方向に押圧することにより、各ノッチ13にかしめ部22の肉を充填させるようにしている。図21は、かしめ治具36の一部を示す。
従って、この実施形態のかしめ方法によれば、かしめ治具36の傾斜部36aの所定角度θ3より、各ノッチ13の底部13aの所定角度θ1の方が大きい。このため、「かしめ工程」において、図21に示すように、かしめ部22を、かしめ治具36により、リングギヤ4の軸線方向に押圧したとき、傾斜部36aによりかしめ部22にかかる押圧力のうち、リングギヤ4の半径方向における分力F3(太線矢印で示す)が、相対的に小さくなる。この分力F3は、傾斜部36aの所定角度θ3を、図21に2点鎖線で示すように、底部13aの所定角度θ1と同じにした場合の分力F4(太破線矢印で示す)と比べて小さくなることが分かる。このため、かしめの際に、リングギヤ4の半径方向にかかる荷重が相対的に小さくなる。また、この実施形態では、ノッチ13の底部13aが、リングギヤ4の半径方向に対して、従来よりも大きい所定角度θ1で傾斜する。このため、かしめ部22をかしめ治具31により押圧したときに、各ノッチ13の底部13aにかかる押圧力の分力が、従来のノッチに対する分力よりも小さくなる。この結果、リングギヤ4をデフケース2のフランジ3にかしめるとき、リングギヤ4の歯11の変形や歪みを低減することができる。これにより、リングギヤ4の相手ギヤに対する歯当たりを好適なものとし、リングギヤ4の騒音振動特性の改善を図ることができる。
<第8実施形態>
次に、本発明におけるリングギヤのかしめ方法を具体化した第8実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
この実施形態では、リングギヤ4におけるノッチ13の構成を従来のそれと同じとし、かしめ治具を使用したかしめ方法の点で前記各実施形態と異なる。図22に、「かしめ工程」を構成する「押圧工程」につき、リングギヤ4のノッチ13の部分と、かしめ部22及びかしめ治具33との関係を断面図により示す。図23に、「かしめ工程」を構成する「分流工程」につき、リングギヤ4のノッチ13の部分と、かしめ部22及びかしめ治具37等との関係を断面図により示す。
そして、図22に示すように、「押圧工程」では、かしめ部22を、第1のかしめ治具33を使用してリングギヤ4の軸線方向に押圧することにより、かしめ部22の先端部をリングギヤ4の各ノッチ13へ向けて変形させる。この「押圧工程」では、かしめ部22の先端部が、各ノッチ13に近付くまで、第1のかしめ治具33を移動させる。
ここで、第1のかしめ治具33は、図22に示すように、かしめ部22の先端部に当接するテーパ面33aを有する。そして、そのテーパ面33aによりかしめ部22の先端部を押圧することで、かしめ部22の先端部をリング4の各ノッチ13へ向けて変形させるようになっている。図22は、第1のかしめ治具33の一部を示す。
その後、図23に示すように、「分流工程」では、かしめ部22を、第2のかしめ治具37を使用して分流法により更に押圧することにより、ノッチ13にかしめ部22の肉を充填させる。
ここで、リングギヤ4には、各ノッチ13とかしめ部22を覆うように分流金型38,39が配置される。分流金型38,39は、内部に空間を有し、その空間の中にかしめ部22を収容する。第2のかしめ治具37は、空間の中のかしめ部22を押圧するために、分流金型38,39にて移動可能に設けられる。図23は、第2のかしめ治具37及び分流金型38,39の一部を示す。
従って、この実施形態のかしめ方法によれば、「押圧工程」で、かしめ部22の先端部を、かしめ治具33のテーパ面33aにより押圧することで、リングギヤ4の各ノッチ13へ向けて一旦変形させる。その後、「分流工程」で、変形したかしめ部22の肉を各ノッチ13に充填させるために、第2のかしめ治具37によりかしめ部22を押圧して分流金型38,39の空間の中で分流させる。このため、「分流工程」では、かしめ部22を、第2のかしめ治具37により押圧したとき、図23に太線矢印FLで示すように、かしめ部22の肉の一部が分流金型38,39の空間の中で分流し、これにより空間の中の押圧力が縮小する。これにより、かしめの際に、リングギヤ4の半径方向にかかる荷重が極力少なくなる。この結果、リングギヤ4をデフケース2のフランジ3にかしめるとき、リングギヤ4の歯11の変形や歪みを低減することができる。これにより、リングギヤ4の相手ギヤに対する歯当たりを好適なものとし、リングギヤ4の騒音振動特性の改善を図ることができる。
<第9実施形態>
次に、本発明におけるリングギヤのかしめ方法に使用されるかしめ治具を具体化した第9実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
この実施形態では、第7実施形態と同等のかしめ方法を採用し、同実施形態で使用したかしめ治具36を改良したかしめ治具40を使用する点で異なる。
図24に、「かしめ工程」につき、リングギヤ4のノッチ13の部分と、かしめ部22及びかしめ治具36との関係であって、第7実施形態と同等の対比例を断面図により示す。この場合、かしめ治具36がかしめ部22を押圧して、その下死点で各ノッチ13が閉塞している。このとき、かしめ治具36の傾斜部36aとかしめ部22との間の摩擦は最大となり、各ノッチ13の底部13aにかかる押圧力が急激に増大する。この押圧力を減少させることができれば、リングギヤ4の半径方向にかかる荷重を更に小さくすることができる。
そこで、この実施形態では、かしめ治具36を改良したかしめ治具40を使用する。図25に、「かしめ工程」につき、リングギヤ4のノッチ13の部分と、かしめ部22及びかしめ治具40との関係を断面図により示す。このかしめ治具40は、かしめ部22を、リングギヤ4の軸線方向に押圧するために、リングギヤ4の半径方向に対して所定角度θ3で傾斜する傾斜部40aと、リングギヤ4の複数のノッチ13に対応して傾斜部40aから突出する複数の突起40bとを備える。各突起40bは、各ノッチ13の形状に合わせた形状と、各ノッチ13より小さい大きさを有する。具体的には、各突起40bは、半球形状をなし、その外表面が湾曲面をなす。図25は、かしめ治具40の一部を示す。
従って、この実施形態のかしめ治具40によれば、第7実施形態で使用したかしめ治具36と同等の作用効果が得られる。これに加え、かしめ治具40がかしめ部22を押圧して、その下死点にて各ノッチ13が閉塞されるとき、傾斜部40aの突起40bがかしめ部22と点接触する。このため、かしめ部22と突起40bとの間の摩擦が小さくなり、その接触部分の近傍でかしめ部22の肉に流れが生じる。また、各ノッチ13の底部13aの近傍でも、かしめ部22の肉に流れが生じる。これにより、底部13aにかかる押圧力が減少する。このように押圧力が減少するので、リングギヤ4の半径方向にかかる荷重を更に小さくすることができる。この結果、リングギヤ4をデフケース2のフランジ3にかしめるとき、リングギヤ4の歯11の変形や歪みを低減することができる。これにより、リングギヤ4の相手ギヤに対する歯当たりを好適なものとし、リングギヤ4の騒音振動特性の改善を図ることができる。
<第10実施形態>
次に、本発明におけるかしめ方法の対象となるリングギヤを具体化した第10実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
この実施形態では、リングギヤ4に形成される複数のノッチの点で前記各実施形態と構成が異なる。
図26に、従来のリングギヤ81の内周面84の側を部分的に斜視図により示す。図26において、リングギヤ81の内周縁に形成された複数のノッチ82の間には、略三角形状をなし、リングギヤ81の内周面84と同一面をなす隙間面84aが形成される。これら隙間面84aは、リングギヤ81をかしめ部によりかしめたとき、デフケースからリングギヤ81の半径方向の荷重を受ける領域となる。この隙間面84aを小さくできれば、リングギヤ81の半径方向にかかる荷重を小さくできる。
そこで、この実施形態では、リングギヤ4のノッチの形状を改良した。図27に、この実施形態のリングギヤ4の一部を圧入面12の側から見て斜視図により示す。図26に示すように、リングギヤ4の複数のノッチ13は、リングギヤ4の圧入面12にて、軸線方向に沿って一定の深さ及び一定の幅で延びる断面V形の溝形状をなす。そして、複数のノッチ13の間の隙間面12aが、それぞれ幅狭になっている。このようにして、各隙間面12aを極力縮小するようにしている。
従って、この実施形態のリングギヤ4によれば、ノッチ13の隙間面12aが縮小するので、リングギヤ4がかしめ部によりかしめられたときに、デフケースから隙間面12aが受ける荷重が小さくなる。この結果、リングギヤ4をデフケースのフランジ3にかしめるとき、リングギヤ4の歯11の変形や歪みを低減することができる。これにより、リングギヤ4の相手ギヤに対する歯当たりを好適なものとし、リングギヤ4の騒音振動特性の改善を図ることができる。
<第11実施形態>
次に、本発明におけるかしめ方法の対象となるリングギヤを具体化した第11実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
この実施形態では、リングギヤ4に形成される複数のノッチの点で前記第10実施形態と構成が異なる。図28に、この実施形態のリングギヤ4の一部を圧入面12の側から見て正面図により示す。図28に示すように、この実施形態では、リングギヤ4の圧入面12にて互いに平行に形成された複数のノッチ13が、軸線方向に対して所定角度θ5だけ傾いて形成される点で、軸線方向と平行に延びる第10実施形態の複数のノッチ13と構成が異なる。この実施形態で、複数のノッチ13が、一定の深さ及び一定の幅で延びる断面V形の溝形状をなす点、並びに、複数のノッチ13の間の隙間面12aがそれぞれ幅狭になっている点では、第10実施形態の構成と同じである。
従って、この実施形態のリングギヤ4によれば、第10実施形態の作用効果に加え、複数のノッチ13が、軸線方向に対して所定角度θ5だけ傾いているので、リングギヤ4をデフケースのフランジ3に圧入してかしめたときに、ノッチ13による軸線方向における機械的な抵抗が増える。この結果、リングギヤ4とフランジ3との、軸線方向における締結力を強化することができ、リングギヤ4とフランジ3とをより分離し難くすることができる。
なお、この発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で、構成の一部を適宜に変更して実施することもできる。
例えば、第9実施形態では、かしめ治具40の傾斜部40aに形成される突起40bを半球形状としたが、この突起を半長球形状とすることもできる。
この発明は、車両の動力伝達機構に使用されるデファレンシャルサブアッシとその製造に利用することができる。
1 デファレンシャルサブアッシ
2 デフケース
3 フランジ
4 リングギヤ
11 歯
12 圧入面(内周面)
12a 隙間面
13 ノッチ(被かしめ部)
13a 底部
13b 底部
14 一端面
15 端面
21 外周面
22 かしめ部
23 堤部
31 かしめ治具
32 かしめ治具
32a 押圧部
32b 拘束部
33 第1のかしめ治具
33a テーパ面
34 第2のかしめ治具
34a 押圧部
34b 拘束部
35 かしめ治具
35a 平坦部
35b 傾斜部
35c 突条
35d 拘束部
36 かしめ治具
36a 傾斜部
37 第2のかしめ治具
38 分流金型
39 分流金型
40 かしめ治具
40a 傾斜部
40b 突起
θ1 所定角度
θ3 所定角度
θ5 所定角度
【0002】
特許文献3:特開昭56−102326号公報
特許文献4:特開平2−75424号公報
特許文献5:特開2001−276939号公報
特許文献6:特開平5−76961号公報
特許文献7:特開平9−239480号公報
発明の概要
発明が解決しようとする課題
[0005]
ところで、特許文献1に記載の締結構造によれば、リングギヤのデフケースに対する締結強度を増加させるためには、デフケースのフランジを内側から外側へ強く押し拡げる必要がある。しかし、このように強く押し広げた場合、かしめ部への成形荷重が過大となり、かしめ部の成形性が悪化するおそれがあった。また、図29において、リングギヤ81にも成形荷重が加わることから、リングギヤ81に変形や歪みが生じるおそれがあった。特に、リングギヤ81の外周の歯83に歪みが生じると、リングギヤ81の相手ギヤに対する歯当たりが悪くなり、リングギヤの騒音振動特性が悪化する懸念があった。
[0006]
この発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、リングギヤをデフケースにかしめるときのリングギヤの変形や歪みを低減することを可能としたリングギヤのかしめ方法、その方法に使用されるかしめ治具、及びリングギヤを提供することにある。
課題を解決するための手段
[0007]
【0003】
[0008]
[0009]
(1)上記目的を達成するために、本発明の第1の態様は、デファレンシャルサブアッシを構成するデフケースのフランジの外周に圧入されたリングギヤにつき、その軸線方向における両端の少なくとも一方に形成された被かしめ部に対し、フランジの軸線方向における両端の少なくとも一方に設けられたかしめ部をかしめるために使用されるかしめ治具であって、被かしめ部は、リングギヤの内周縁に沿って形成された複数のノッチであり、ノッチは、リングギヤの半径方向に対して所定角度で傾斜する底部を有し、かしめ部を、リングギヤの軸線方向に押圧するために、リングギヤの半径方向に対して所定角度で傾斜する傾斜部と、複数のノッチに対応して傾斜部から突出する複数の突起と、各突起は、各ノッチの形状に合わせた形状と、ノッチより小さい大きさとを含むこととを備えたことを趣旨とする。
[0010]
上記(1)の構成によれば、かしめ治具がかしめ部を押圧しその下死点で各ノッチが閉塞されるとき、傾斜部の突起がかしめ部と点接触するので、かしめ部と突起との間の摩擦が小さくなり、その接触部分の近傍でかしめ部の肉に流れが生じる。また、各ノッチの底部の近傍でも、かしめ部の肉に流れが生じる。
[0011]
(2)上記目的を達成するために、本発明の第2の態様は、デファレンシャルサブアッシを構成するデフケースのフランジの外周に圧入されたリングギヤにつき、その軸線方向における両端の少なくとも一方に形成された被かしめ部に対し、フランジの軸線方向における両端の少なくとも一方に設けられたかしめ部をかしめるために使用されるかしめ治具であって、被かしめ部は、リングギヤの内周縁に沿って形成された複数のノッチであり、かしめ部を、リングギヤの軸線方向に押圧するために、リングギヤの軸線方向と交差する方向に沿って延びる平坦部と、かしめ部を押圧するために、平坦部からリングギヤの中心方向へ傾斜する傾斜部と、平坦部を挟んで傾斜部の反対側にて平坦部からリングギヤへ向けて突出し、かしめ部を拘束するための拘束部とを備えたことを趣旨とする。
[0012]
上記(2)の構成によれば、かしめ部がかしめ治具により押圧されるときに、その押圧力が各ノッチの底部にかかり難くなる。
[0013]
【0004】
[0014]
[0015]
(3)上記目的を達成するために、本発明の第3の態様は、デファレンシャルサブアッシを構成するデフケースのフランジの外周に圧入されたリングギヤにつき、その軸線方向における両端の少なくとも一方に形成された被かしめ部に対し、フランジの軸線方向における両端の少なくとも一方に設けられたかしめ部をかしめ治具を使用してかしめるリングギヤのかしめ方法であって、被かしめ部は、リングギヤの内周縁に沿って形成された複数のノッチであり、かしめ部を、第1のかしめ治具を使用してリングギヤの軸線方向に押圧することにより、かしめ部をリングギヤに向けて変形させる押圧工程と、押圧工程の後、かしめ部を、第2のかしめ治具を使用して分流法により更に押圧することにより、ノッチに対してかしめ部の肉を充填させる分流工程とを備えたことを趣旨とする。
[0016]
上記(3)の構成によれば、分流工程で、かしめ部を第2のかしめ治具により押圧したときに、かしめ部の肉の一部が分流し、押圧力が縮小する。
[0017]
【0005】
[0018]
[0019]
[0020]
[0021]
(4)上記目的を達成するために、本発明の第4の態様は、デファレンシャルサブアッシを構成するデフケースのフランジの外周に圧入されたリングギヤにつき、その軸線方向における両端の少なくとも一方に形成された被か
【0006】
しめ部に対し、フランジの軸線方向における両端の少なくとも一方に設けられたかしめ部をかしめ治具を使用してかしめるリングギヤのかしめ方法であって、被かしめ部は、リングギヤの内周縁に沿って形成された複数のノッチであり、かしめ部を、かしめ治具を使用して押圧することにより、リングギヤへ向けて変形させる第1の押圧工程と、第1の押圧工程の後、かしめ部を、かしめ治具を使用してリングギヤの軸線方向に押圧することにより、ノッチに対してかしめ部の肉を充填させる第2の押圧工程とを備えたことを趣旨とする。
[0022]
上記(4)の構成によれば、第2の押圧工程で、かしめ部を第2のかしめ治具により押圧したとき、その押圧力が各ノッチの底部へかかり難くすることが可能となる。
[0023]
[0024]
[0025]
[0026]
【0007】
[0027]
[0028]
[0029]
(5)上記目的を達成するために、本発明の第5の態様は、デファレンシャルサブアッシを構成するデフケースのフランジの外周に圧入され、軸線方向における両端の少なくとも一方に形成された被かしめ部に対し、フランジの軸線方向における両端の少なくとも一方に設けられたかしめ部がかしめ治具を使用してかしめられるリングギヤであって、被かしめ部は、リングギヤの内周縁に沿って形成された複数のノッチであり、ノッチが、リングギヤの内周面にて一定の深さ及び一定の幅で延びる溝形状をなし、複数のノッチは、リングギヤの内周面にて周方向へ傾くと共に軸線方向に対して所定角度傾いて互いに平行に形成されることを趣旨とする。
[0030]
上記(5)の構成によれば、ノッチの隙間面が縮小するので、リングギヤがかしめ部よりかしめられたときに、デフケースから隙間面が受ける荷重が小さくなる。それに加え、複数のノッチが、軸線方向に対して所定角度傾いているので、リングギヤをデフケースのフランジに圧入してかしめたときに、ノッチによる軸線方向における機械的な抵抗が増える。
発明の効果
[0031]
上記(1)〜(5)の構成によれば、リングギヤをデフケースにかしめるときのリングギヤの変形や歪みを低減することができる。これにより、リングギヤの相手ギヤに対する歯当たりを好適なものとし、リングギヤの騒音振動特性の改善を図ることができる。
図面の簡単な説明
[0032]
[図1]第1実施形態に係り、デファレンシャルサブアッシの概略構成を示す側面図。
[図2]同実施形態に係り、デフケースのフランジとリングギヤとの関係を概略
この発明は、車両に搭載されるデファレンシャルサブアッシに係り、詳しくは、デファレンシャルサブアッシを構成するデフケースの外周に圧入されるリングギヤをフランジにかしめるリングギヤのかしめ方法、その方法に使用されるかしめ治具、及びリングギヤに関する。
従来、この種の技術として、例えば、下記の特許文献1には、デフケースのフランジにリングギヤを圧入した後、そのリングギヤの両端内周縁をフランジの両端のかしめ部によりかしめて固定することが記載される。そして、リングギヤの他、所定の部品をデフケースに組み付けることにより、車両の動力伝達機構に使用されるデファレンシャルサブアッシが得られる。
ここで、図29に、従来のリングギヤ81の一部を斜視図により示す。リングギヤ81の両端内周縁には、フランジのかしめ部によりかしめられる被かしめ部としての複数のノッチ82が形成される。従来は、これらのノッチ82に対し、かしめ部を塑性流動させるようにリングギヤ81のかしめが行われていた。これらのノッチ82は、リングギヤ81の内側に形成され、リングギヤ81のかしめは、フランジを内側から外側へ押し拡げるように行われていた。下記の特許文献2〜6には、金属部品のかしめに関する技術が記載される。
EP0647789B1号公報 特開2003−294114号公報 特開昭56−102326号公報 特開平2−75424号公報 特開2001−276939号公報 特開平5−76961号公報 特開平9−239480号公報
ところで、特許文献1に記載の締結構造によれば、リングギヤのデフケースに対する締結強度を増加させるためには、デフケースのフランジを内側から外側へ強く押し拡げる必要がある。しかし、このように強く押し広げた場合、かしめ部への成形荷重が過大となり、かしめ部の成形性が悪化するおそれがあった。また、図29において、リングギヤ81にも成形荷重が加わることから、リングギヤ81に変形や歪みが生じるおそれがあった。特に、リングギヤ81の外周の歯83に歪みが生じると、リングギヤ81の相手ギヤに対する歯当たりが悪くなり、リングギヤの騒音振動特性が悪化する懸念があった。
この発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、リングギヤをデフケースにかしめるときのリングギヤの変形や歪みを低減することを可能としたリングギヤのかしめ方法、その方法に使用されるかしめ治具、及びリングギヤを提供することにある。
(1)上記目的を達成するために、本発明の第1の態様は、デファレンシャルサブアッシを構成するデフケースのフランジの外周に圧入されたリングギヤにつき、その軸線方向における両端の少なくとも一方に形成された被かしめ部に対し、フランジの軸線方向における両端の少なくとも一方に設けられたかしめ部をかしめるために使用されるかしめ治具であって、被かしめ部は、リングギヤの内周縁に沿って形成された複数のノッチであり、ノッチは、リングギヤの半径方向に対して所定角度で傾斜する底部を有し、かしめ部を、リングギヤの軸線方向に押圧するために、リングギヤの半径方向に対して所定角度で傾斜する傾斜部と、複数のノッチに対応して傾斜部から突出する複数の突起と、各突起は、各ノッチの形状に合わせた形状と、ノッチより小さい大きさとを含むこととを備えたことを趣旨とする。
上記(1)の構成によれば、かしめ治具がかしめ部を押圧しその下死点で各ノッチが閉塞されるとき、傾斜部の突起がかしめ部と点接触するので、かしめ部と突起との間の摩擦が小さくなり、その接触部分の近傍でかしめ部の肉に流れが生じる。また、各ノッチの底部の近傍でも、かしめ部の肉に流れが生じる。
)上記目的を達成するために、本発明の第2の態様は、デファレンシャルサブアッシを構成するデフケースのフランジの外周に圧入されたリングギヤにつき、その軸線方向における両端の少なくとも一方に形成された被かしめ部に対し、フランジの軸線方向における両端の少なくとも一方に設けられたかしめ部をかしめるために使用されるかしめ治具であって、被かしめ部は、リングギヤの内周縁に沿って形成された複数のノッチであり、かしめ部を、リングギヤの軸線方向に押圧するために、リングギヤの軸線方向と交差する方向に沿って延びる平坦部と、かしめ部を押圧するために、平坦部からリングギヤの中心方向へ傾斜する傾斜部と、平坦部を挟んで傾斜部の反対側にて平坦部からリングギヤへ向けて突出し、かしめ部を拘束するための拘束部とを備えたことを趣旨とする。
上記()の構成によれば、かしめ部がかしめ治具により押圧されるときに、その押圧力が各ノッチの底部にかかり難くなる。
)上記目的を達成するために、本発明の第の態様は、デファレンシャルサブアッシを構成するデフケースのフランジの外周に圧入されたリングギヤにつき、その軸線方向における両端の少なくとも一方に形成された被かしめ部に対し、フランジの軸線方向における両端の少なくとも一方に設けられたかしめ部をかしめ治具を使用してかしめるリングギヤのかしめ方法であって、被かしめ部は、リングギヤの内周縁に沿って形成された複数のノッチであり、かしめ部を、第1のかしめ治具を使用してリングギヤの軸線方向に押圧することにより、かしめ部をリングギヤに向けて変形させる押圧工程と、押圧工程の後、かしめ部を、第2のかしめ治具を使用して分流法により更に押圧することにより、ノッチに対してかしめ部の肉を充填させる分流工程とを備えたことを趣旨とする。
上記()の構成によれば、分流工程で、かしめ部を第2のかしめ治具により押圧したときに、かしめ部の肉の一部が分流し、押圧力が縮小する。
)上記目的を達成するために、本発明の第の態様は、デファレンシャルサブアッシを構成するデフケースのフランジの外周に圧入されたリングギヤにつき、その軸線方向における両端の少なくとも一方に形成された被かしめ部に対し、フランジの軸線方向における両端の少なくとも一方に設けられたかしめ部をかしめ治具を使用してかしめるリングギヤのかしめ方法であって、被かしめ部は、リングギヤの内周縁に沿って形成された複数のノッチであり、かしめ部を、かしめ治具を使用して押圧することにより、リングギヤへ向けて変形させる第1の押圧工程と、第1の押圧工程の後、かしめ部を、かしめ治具を使用してリングギヤの軸線方向に押圧することにより、ノッチに対してかしめ部の肉を充填させる第2の押圧工程とを備えたことを趣旨とする。
上記()の構成によれば、第2の押圧工程で、かしめ部を第2のかしめ治具により押圧したとき、その押圧力が各ノッチの底部へかかり難くすることが可能となる。
)上記目的を達成するために、本願発明の第5の態様は、デファレンシャルサブアッシを構成するデフケースのフランジの外周に圧入され、軸線方向における両端の少なくとも一方に形成された被かしめ部に対し、フランジの軸線方向における両端の少なくとも一方に設けられたかしめ部がかしめ治具を使用してかしめられるリングギヤであって、被かしめ部は、リングギヤの内周縁に沿って形成された複数のノッチであり、ノッチが、リングギヤの内周面にて一定の深さ及び一定の幅で延びる溝形状をなし、複数のノッチはリングギヤの内周面にて周方向へ傾くと共に軸線方向に対して所定角度傾いて互いに平行に形成されることを趣旨とする。
上記()の構成によれば、ノッチの隙間面が縮小するので、リングギヤがかしめ部によりかしめられたときに、デフケースから隙間面が受ける荷重が小さくなる。それに加え、複数のノッチが、軸線方向に対して所定角度傾いているので、リングギヤをデフケースのフランジに圧入してかしめたときに、ノッチによる軸線方向における機械的な抵抗が増える。
上記(1)〜()の構成によれば、リングギヤをデフケースにかしめるときのリングギヤの変形や歪みを低減することができる。これにより、リングギヤの相手ギヤに対する歯当たりを好適なものとし、リングギヤの騒音振動特性の改善を図ることができる。
第1実施形態に係り、デファレンシャルサブアッシの概略構成を示す側面図。 同実施形態に係り、デフケースのフランジとリングギヤとの関係を概略的に示す断面図。 同実施形態に係り、かしめに使用されるかしめ装置の一部を示す断面図。 同実施形態に係り、締結方法の「圧入工程」を概略的に示す断面図。 同実施形態に係り、締結方法の「圧入工程」を概略的に示す断面図。 同実施形態に係り、締結方法の「かしめ工程」を概略的に示す断面図。 同実施形態に係り、リングギヤの一部を示す断面図。 同実施形態に係り、「かしめ工程」につき、ノッチの部分とかしめ 部及びかしめ治具との関係を示す断面図。 第2実施形態に係り、「かしめ工程」につき、リングギヤのノッチの部分とかしめ部及びかしめ治具との関係を示す断面図。 同実施形態に係り、「かしめ工程」につき、ノッチの断面形状とかしめ部及びかしめ治具との関係を例示する断面図。 同実施形態に係り、「かしめ工程」につき、ノッチの断面形状とかしめ部及びかしめ治具との関係を例示する断面図。 同実施形態に係り、「かしめ工程」につき、ノッチの断面形状とかしめ部及びかしめ治具との関係を例示する断面図。 第3実施形態に係り、「第1の押圧工程」につき、リングギヤのノッチの部分とかしめ部及びかしめ治具との関係を示す断面図。 同実施形態に係り、「第2の押圧工程」につき、リングギヤのノッチの部分とかしめ部及びかしめ治具との関係を示す断面図。 第4実施形態に係り、「かしめ工程」につき、リングギヤのノッチの部分とかしめ部及びかしめ治具との関係を示す断面図。 第5実施形態に係り、「かしめ工程」につき、リングギヤのノッチの断面形状とかしめ部及びかしめ治具との関係を示す断面図。 同実施形態に係り、「かしめ工程」につき、リングギヤのノッチの断面形状とかしめ部及びかしめ治具との関係の変形例を示す断面図。 同実施形態に係り、「かしめ工程」につき、リングギヤのノッチの断面形状とかしめ部及びかしめ治具との関係の変形例を示す断面図。 第6実施形態に係り、「かしめ工程」につき、リングギヤのノッチの部分とかしめ部及びかしめ治具との関係を示す断面図。 同実施形態に係り、かしめ部の肉の延びを示す概念図。 第7実施形態に係り、「かしめ工程」につき、リングギヤのノッチの部分とかしめ部及びかしめ治具との関係を示す断面図。 第8実施形態に係り、「押圧工程」につき、リングギヤのノッチの部分とかしめ部及びかしめ治具との関係を示す断面図。 同実施形態に係り、「分流工程」につき、リングギヤのノッチの部分とかしめ部及びかしめ治具との関係を示す断面図。 第9実施形態に係り、「かしめ工程」につき、リングギヤのノッチの部分とかしめ部及びかしめ治具との関係の対比例を示す断面図。 同実施形態に係り、「かしめ工程」につき、リングギヤのノッチの部分とかしめ部及びかしめ治具との関係を示す断面図。 第10実施形態に係り、従来のリングギヤの内周面の側を部分的に示す斜視図。 同実施形態に係り、リングギヤの一部を圧入面の側から見て示す斜視図。 第11実施形態に係り、リングギヤの一部を圧入面の側から見て示す正面図。 従来例に係り、リングギヤの一部を示す斜視図。
<第1実施形態>
以下、本発明におけるリングギヤのかしめ方法を具体化した第1実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
図1に、デファレンシャルサブアッシ1の概略構成を側面図により示す。図2に、デフケース2のフランジ3とリングギヤ4との関係を概略的に断面図により示す。図1に示すように、デファレンシャルサブアッシ1は、デフケース2と、デフケース2の一端側(図面左側)の外周に設けられたフランジ3と、フランジ3の外周に締結された円環状をなすリングギヤ4とを備える。デフケース2の中には、一対のサイドギヤと一対のピニオン(共に図示略)が回転可能に支持された状態で収容される。
なお、図1,2において、矢印Thは、フランジ3及びリングギヤ4の軸線方向を示し、矢印Raは、フランジ3及びリングギヤ4の半径方向を示す(他の図において同じ。)。
このデファレンシャルサブアッシ1は、車両の動力伝達機構に使用される。例えば、車両において、変速機、トランスファ及び終減速機等に対して設けられる。そして、相手側のギヤ(図示略)からリングギヤ4に入力される動力を、一対のサイドギヤの回転差を許容しながら、それを一対のピニオンに連結された回転部材に伝達するようになっている。ここで、回転部材として、例えば、車両の左右一対の駆動車輪や前後一対の駆動車軸等を挙げることができる。
図1,2に示すように、この実施形態で、リングギヤ4は、はすば歯車により構成され、外周に設けられた複数の歯11が、リングギヤ4の軸線方向に対して斜めに形成される。リングギヤ4は、その内周面である圧入面12にてフランジ4の外周面21に圧入されると共に、フランジ3にてかしめられる。すなわち、フランジ3の軸線方向における一端側(図2の左側)には、かしめ部22が形成され、他端側(図2の右側)には、直角に起立した堤部23が形成される。リングギヤ4は、その軸線方向における一端の内周縁において、かしめ部22によりかしめられる、被かしめ部として斜めに形成された複数のノッチ13を有する。こられノッチ13の構成は、図29に示す従来のリングギヤ81のノッチ82と基本的に同じである。複数のノッチ13は、リングギヤ4の一端内周縁に沿って等間隔に形成される。各ノッチ13の大きさは、かしめの要求強度に応じて決定される(以下において同じ。)。これらのノッチ13に対し、かしめ部22を塑性加工することによりかしめが行われる。これらのノッチ13は、リングギヤ4の内側に形成され、かしめは、フランジ3を内側から外側へ押し拡げるように行われるようになっている。
そして、リングギヤ4の一端面14が堤部23に当接した状態で、ノッチ13がかしめ部22によりかしめられる。図3に、かしめに使用されるかしめ装置61の一部を断面図により示す。かしめ装置61は、デフケース2を支持する円環状のベース治具62と、ベース治具62の外周を取り囲むように設けられた筒形状をなす外周治具63と、ベース治具62に対して往復動可能に設けられた円環状をなすかしめ治具31とを含む。ベース治具62には、フランジ3にリングギヤ4を圧入した後のデフケース2が、そのフランジ3にて支持される。この支持状態において、リングギヤ4の外周が外周治具63により拘束される。かしめ治具31は、アクチュエータ(図示略)により駆動される。かしめ治具31がデフケース2へ向けて降下し、かしめ部22がかしめ治具31により押圧されることで、リングギヤ4がデフケース2に対してかしめ部22によりかしめられる。かしめ治具31は、その下面の外周部にてかしめ部22を押圧するようになっている。このようにして、デフケース2のフランジ3にリングギヤ4がかしめられて締結される。
次に、この実施形態におけるリングギヤの締結方法について説明する。図4〜6に、締結方法の各工程を、図2に準ずる概略的な断面図により示す。
先ず、図4,5に示す「圧入工程」では、フランジ3の外周面21に、リングギヤ4を、その圧入面12にて圧入する。このとき、フランジ3のかしめ部22は、外周面21と平行に延びた状態になっている。また、図5に示すように、リングギヤ4は、その一端面14が堤部23に当接するまで、リングギヤ4の軸線方向において押されて圧入される。この圧入状態では、リングギヤ4の圧入面12がフランジ3の外周面21に密接した状態となる。
その後、図6に示す「かしめ工程」では、図3に示すかしめ装置61を使用して、フランジ3のかしめ部22をリングギヤ4のノッチ13に対して押し付けてかしめる。このかしめ状態では、リングギヤ4が、その軸線方向においてフランジ3に対して位置決めされ、固定される。
ここで、「かしめ工程」におけるリングギヤのかしめ方法について更に詳しく説明する。この実施形態のかしめ方法は、デフケース2のフランジ3の外周面21に圧入されたリングギヤ4につき、その軸線方向における一端に形成された複数のノッチ13に対し、フランジ3の軸線方向における一端に設けられたかしめ部22をかしめ治具31を使用してかしめるようにしている。
図7に、リングギヤ4の一部を断面図により示す。図8に、「かしめ工程」につき、ノッチ13の部分と、かしめ部22及びかしめ治具31との関係を断面図により示す。図7に示すように、リングギヤ4に形成された複数のノッチ13は、リングギヤ4の半径方向に対して所定角度θ1で傾斜する、すなわち、リングギヤ4の端面15(一端面14の反対側の端面)に対して所定角度θ1で傾斜する底部13aを有する。この実施形態では、所定角度θ1が、「45°〜85°」の範囲の値に、好ましくは「50°〜70°」の範囲の値に設定される。図8に示すように、この実施形態における底部13aの所定角度θ1は、従来のノッチ82の底部の所定角度θ2(45°程度)よりも大きくなっている。
そして、「かしめ工程」では、図8に示すように、フランジ3のかしめ部22を、かしめ治具31を使用してリングギヤ4の軸線方向に押圧することにより、ノッチ13に対してかしめ部22の肉を充填させてかしめる。
従って、この実施形態のかしめ方法によれば、各ノッチ13の底部13aが、リングギヤ4の半径方向に対して、従来よりも大きい所定角度θ1で傾斜する。このため、かしめ部22を、かしめ治具31により、リングギヤ4の軸線方向に押圧したときに、各ノッチ13の底部13aにかかる押圧力のうち、リングギヤ4の半径方向における分力F1(太線矢印で示す)が、従来のノッチに対する分力F2(太破線矢印で示す)よりも小さくなる。つまり、かしめの際に、リングギヤ4の半径方向にかかる荷重が、リングギヤ4の軸線方向にかかる荷重に比べて非常に小さくなる。この結果、リングギヤ4をデフケース2のフランジ3にかしめるとき、リングギヤ4の歯11の変形や歪みを低減することができる。これにより、リングギヤ4の相手ギヤに対する歯当たりを好適なものとし、リングギヤ4の騒音振動特性の改善を図ることができる。
<第2実施形態>
次に、本発明におけるリングギヤのかしめ方法を具体化した第2実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の各説明において、第1実施形態と同等の構成要素については同一の符号を付して説明を省略し、異なった点を中心に説明する。
この実施形態では、リングギヤ4に形成されるノッチ13の構成の点で前記第1実施形態と異なる。図9に、「かしめ工程」につき、リングギヤ4のノッチ13の部分と、かしめ部22及びかしめ治具32との関係を断面図により示す。図9に示すように、この実施形態の各ノッチ13は、リングギヤ4の軸線方向と交差する方向(リングギヤ4の半径方向)に沿って、すなわち、リングギヤ4の軸線方向における端面15に沿って、一定の深さD1で延びる底部13bを有する。
そして、「かしめ工程」において、図9に示すように、かしめ部22を、かしめ治具32を使用してリングギヤ4の軸線方向において押圧することにより、ノッチ13に対してかしめ部22の肉を充填させてかしめるようにしている。
ここで、かしめ治具32は、図9に示すように、かしめ部22を、リングギヤ4の軸線方向において押圧するための押圧部32aと、かしめ部22の、ノッチ13と係合する部分と反対の部分を拘束する拘束部32bとを備える。図9は、かしめ治具32の一部を示す。
従って、この実施形態のかしめ方法によれば、リングギヤ4のノッチ13の底部13bが、リングギヤ4の軸線方向と交差する方向(リングギヤ4の半径方向)に沿って一定の深さD1で延びる。このため、かしめ部22を、かしめ治具32により、リングギヤ4の軸線方向に押圧したときに、押圧力の大部分が底部13bに垂直にかかることとなり、従来のノッチの底部に対する分力F2(太破線矢印で示す)とは異なり、押圧力の分力がリングギヤ4の半径方向にほとんどかかることがない。つまり、かしめの際に、リングギヤ4の半径方向にかかる荷重がほとんど無くなり、リングギヤ4の軸線方向に荷重の大部分がかかることとなる。この結果、リングギヤ4をデフケース2のフランジ3にかしめるとき、リングギヤ4の歯11の変形や歪みを低減することができる。これにより、リングギヤ4の相手ギヤに対する歯当たりを好適なものとし、リングギヤ4の騒音振動特性の改善を図ることができる。
ここで、ノッチ13の断面形状につき、いくつか例示することができる。図10〜12に、「かしめ工程」につき、ノッチ13の断面形状と、かしめ部22及びかしめ治具32との関係をそれぞれ断面図により示す。図10には、四角形の断面形状を有するノッチ13を示し、図11には、略U形の断面形状を有するノッチ13を示し、図12には、V形の断面形状を有するノッチ13を示す。図10〜12にそれぞれ示すように、かしめ部22が、かしめ治具32によって押圧されることにより、かしめ部22の肉の一部が、ノッチ13の断面形状に合わせて、楔のようにノッチ13の中に充填されることが分かる。
<第3実施形態>
次に、本発明におけるリングギヤのかしめ方法を具体化した第3実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
この実施形態では、リングギヤ4に形成されるノッチ13の構成を従来のそれと同じにすることを前提とし、かしめ治具を使用したかしめ方法の点で前記各実施形態と構成が異なる。図13に、「かしめ工程」を構成する「第1の押圧工程」につき、リングギヤ4のノッチ13の部分と、かしめ部22及びかしめ治具33との関係を断面図により示す。図14に、「かしめ工程」を構成する「第2の押圧工程」につき、リングギヤ4のノッチ13の部分と、かしめ部22及びかしめ治具34との関係を断面図により示す。図13,14に示すように、この実施形態の各ノッチ13は、従来のノッチと同様の構成を有し、所定角度θ2で傾斜する底部13cを有する。
そして、図13に示すように、「第1の押圧工程」では、かしめ部22を、第1のかしめ治具33を使用してリングギヤ4の軸線方向に押圧することにより、かしめ部22の先端部をリングギヤ4の各ノッチ13へ向けて変形させる。この変形状態では、かしめ部22の先端部は、各ノッチ13から離れている。
ここで、第1のかしめ治具33は、図13に示すように、かしめ部22の先端部に当接するテーパ面33aを有する。そして、そのテーパ面33aによりかしめ部22の先端部を押圧することで、かしめ部22の先端部をリングギヤ4の各ノッチ13へ向けて変形させるようになっている。図13は、第1のかしめ治具33の一部を示す。
その後、図14に示すように、「第2の押圧工程」では、かしめ部22を、第2のかしめ治具34を使用してリングギヤ4の軸線方向に更に押圧することにより、ノッチ13にかしめ部22の肉を充填させる。
ここで、第2のかしめ治具34は、図14に示すように、第2実施形態で使用したかしめ治具32と同様、かしめ部22をリングギヤ4を軸線方向に押圧するための押圧部34aと、かしめ部22の、ノッチ13と係合する部分と反対の部分を拘束する拘束部34bとを備える。図14は、第2のかしめ治具34の一部を示す。
従って、この実施形態のかしめ方法によれば、「第1の押圧工程」で、かしめ部22の先端部を、第1のかしめ治具33のテーパ面33aにより押圧することで、リングギヤ4の各ノッチ13へ向けて一旦変形させる。その後、「第2の押圧工程」で、変形したかしめ部22を、第2のかしめ治具34によりリングギヤ4の軸線方向に押圧することで、かしめ部22の肉を各ノッチ13に充填させる。このため、「第2の押圧工程」では、かしめ部22を、第2のかしめ治具34により押圧したときに、その押圧力が各ノッチ13の底部13cへかかり難くすることが可能となる。これにより、かしめの際に、リングギヤ4の半径方向にかかる荷重が極力少なくなる。この結果、リングギヤ4をデフケース2のフランジ3にかしめるとき、リングギヤ4の歯11の変形や歪みを低減することができる。これにより、リングギヤ4の相手ギヤに対する歯当たりを好適なものとし、リングギヤ4の騒音振動特性の改善を図ることができる。
<第4実施形態>
次に、本発明におけるリングギヤのかしめ方法に使用されるかしめ治具を具体化した第4実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
この実施形態でも、リングギヤ4に形成されるノッチ13の構成を従来のそれと同じにすることを前提とする。図15に、「かしめ工程」につき、リングギヤ4のノッチ13の部分と、かしめ部22及びかしめ治具35との関係を断面図により示す。かしめ治具35は、かしめ部22をリングギヤ4の軸線方向に押圧するために、リングギヤ4の軸線方向と交差する方向(リングギヤ4の半径方向)に沿って延びる平坦部35aと、平坦部35aからリングギヤ4の中心方向へ傾斜する(テーパ形状をなす)傾斜部35bとを備える。図15は、かしめ治具35の一部を示す。
従って、この実施形態のかしめ治具35によれば、「かしめ工程」において、図15に示すように、かしめ治具35により、かしめ部22をリングギヤ4の軸線方向に押圧することにより、かしめ部22の一部が傾斜部35bに沿ってノッチ13と反対方向へ逃がされながら、平坦部35aによりかしめ部22が押され、その肉が各ノッチ13に充填される。すなわち、かしめ部22が、平坦部35aにより据え込み成形されて、各ノッチ13に充填される。このため、かしめ部22が、かしめ治具35により、リングギヤ4の軸線方向に押圧されたときに、その押圧力が各ノッチ13の底部13cにかかり難くなる。これにより、かしめの際に、リングギヤ4の半径方向にかかる荷重が極力少なくなる。この結果、リングギヤ4をデフケース2のフランジ3にかしめるとき、リングギヤ4の歯11の変形や歪みを低減することができる。これにより、リングギヤ4の相手ギヤに対する歯当たりを好適なものとし、リングギヤ4の騒音振動特性の改善を図ることができる。
<第5実施形態>
次に、本発明におけるリングギヤのかしめ方法に使用されるかしめ治具を具体化した第5実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
図16に、「かしめ工程」につき、ノッチ13の断面形状と、かしめ部22及びかしめ治具35との関係を、図10に準ずる断面図により示す。この実施形態では、ノッチ13の構成の点で第4実施形態と異なる。すなわち、各ノッチ13は、図16に示すように、リングギヤ4の軸線方向と交差する方向(リングギヤ4の半径方向)に沿って一定の深さD1で延びる底部13bと四角形の断面形状を有する。また、この実施形態では、かしめ治具35の平坦部35aの構成の点で第4実施形態と異なる。すなわち、図16に示すように、平坦部35aには、ノッチ13に嵌入可能な突条35cが形成される。この突条35cは、各ノッチ13の断面形状に合わせた四角形の断面形状を有する。
従って、この実施形態のかしめ治具35によれば、「かしめ工程」において、図16に示すように、かしめ治具35により、各突条35cの位相が各ノッチ13の位相に整合するように、かしめ部22をリングギヤ4の軸線方向に押圧することにより、かしめ部22が各突条35cにより部分的に押圧される。これにより、かしめ部22の肉の一部が、各突条35cの断面形状に合わせて変形し、楔のように各ノッチ13の中に充填される。特に、この実施形態では、かしめ部22が、各突条35cにより部分的に押圧されるので、かしめ治具35に与えるべき押圧力を、図10に示す場合に比べて少なくすることができる。そして、かしめの際に、リングギヤ4の半径方向にかかる荷重がほとんどなくなり、リングギヤ4の軸線方向に荷重の大部分がかかることとなる。この結果、リングギヤ4をデフケース2のフランジ3にかしめるとき、リングギヤ4の歯11の変形や歪みを低減することができる。これにより、リングギヤ4の相手ギヤに対する歯当たりを好適なものとし、リングギヤ4の騒音振動特性の改善を図ることができる。
ここで、ノッチ13と突条35cの断面形状について変形例を示すことができる。図17,18に、「かしめ工程」につき、ノッチ13の断面形状と、かしめ部22及びかしめ治具35との関係をそれぞれ図16に準ずる断面図により示す。図17は、四角形の断面形状を有するノッチ13とV形の断面形状を有する突条35cを示す。図18は、それぞれV形の断面形状を有するノッチ13と突条35cを示す。図17,18に示すように、かしめ部22が、かしめ治具35により押圧されるときに、各突条35cの位相が各ノッチ13の位相に整合することで、かしめ部22が各突条35cによって部分的に押圧される。これにより、図16と同様に、かしめ部22の肉の一部が、各突条35cの断面形状に合わせて変形し、楔のように各ノッチ13の中に充填されることが分かる。
<第6実施形態>
次に、本発明におけるリングギヤのかしめ方法に使用されるかしめ治具を具体化した第6実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
図19に、かしめ治具35を使用した「かしめ工程」につき、リングギヤ4のノッチ13の部分と、かしめ部22及びかしめ治具35との関係を断面図により示す。この実施形態のかしめ治具35は、第4実施形態のかしめ治具35と比べて以下の点で異なる。すなわち、この実施形態では、第4実施形態のかしめ治具35の構成に加え、平坦部35aを挟んで傾斜部35bの反対側にて平坦部35aからリングギヤ4へ向けて突出し、かしめ部22を拘束するための拘束部35dを更に備える。この実施形態で、拘束部35dは、リングギヤ4の外周方向へ向けて傾斜するテーパ形状をなす。図19は、かしめ治具35の一部を示す。
従って、この実施形態のかしめ治具35によれば、「かしめ工程」において、図19に示すように、かしめ部22をリングギヤ4の軸線方向に押圧することにより、かしめ部22の一部が傾斜部35bに沿って各ノッチ13と反対方向へ逃がされながら、平坦部35aによりかしめ部22が押圧され、その肉が各ノッチ13に充填される。すなわち、かしめ部22が平坦部35aにより据え込み成形されて各ノッチ13に充填される。このため、かしめ部22が、かしめ治具35により、リングギヤ4の軸線方向に押圧されたとき、その押圧力が各ノッチ13の底部13cにかかり難くなる。これにより、かしめの際に、リングギヤ4の半径方向にかかる荷重が極力少なくなる。この結果、リングギヤ4をデフケース2のフランジ3にかしめるとき、リングギヤ4の歯11の変形や歪みを低減することができる。これにより、リングギヤ4の相手ギヤに対する歯当たりを好適なものとし、リングギヤ4の騒音振動特性の改善を図ることができる。
また、この実施形態のかしめ治具35では、平坦部35aを挟んで傾斜部35bの反対側に拘束部35dが設けられるので、リングギヤ4の外周方向へ向かうかしめ部22の肉の逃げが、拘束部35dによって抑えられる。このため、かしめ部22の過剰な肉の延びが抑制され、変形後のかしめ部22の外周縁部の割れを防止することができる。図20に、かしめ部22の肉の延びを概念図により示す。図20に実線円で示すかしめ部22は、従来のかしめ治具を使用してかしめることで、同図に2点鎖線で示す位置まで過剰に延びて外周が長くなる。このため、かしめ部22の外周縁には、割れCRが発生するおそれがある。これに対し、この実施形態のかしめ治具35を使用してかしめ部22をかしめることにより、かしめ部22の延びは、図20に破線で示す位置に抑えられ、外周が相対的に短くなる。このため、かしめ部22の外周縁の割れが抑えられる。
<第7実施形態>
次に、本発明におけるリングギヤのかしめ方法を具体化した第7実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
この実施形態では、リングギヤ4におけるノッチ13の構成を第1実施形態のそれと同じとし、かしめ治具36を使用したかしめ方法の点で前記各実施形態と異なる。図21に、「かしめ工程」につき、リングギヤ4のノッチ13の部分と、かしめ部22及びかしめ治具36との関係を断面図により示す。かしめ治具36は、かしめ部22を、リングギヤ4の軸線方向に押圧するために、リングギヤ4の半径方向に対して所定角度θ3により傾斜する傾斜部36aを有する。この傾斜部36aの所定角度θ3より、各ノッチ13の底部13aの所定角度θ1の方が大きく設定される。つまり「θ1>θ3」となっている。そして、「かしめ工程」において、かしめ部22を、かしめ治具36の傾斜部36aにより、リングギヤ4の軸線方向に押圧することにより、各ノッチ13にかしめ部22の肉を充填させるようにしている。図21は、かしめ治具36の一部を示す。
従って、この実施形態のかしめ方法によれば、かしめ治具36の傾斜部36aの所定角度θ3より、各ノッチ13の底部13aの所定角度θ1の方が大きい。このため、「かしめ工程」において、図21に示すように、かしめ部22を、かしめ治具36により、リングギヤ4の軸線方向に押圧したとき、傾斜部36aによりかしめ部22にかかる押圧力のうち、リングギヤ4の半径方向における分力F3(太線矢印で示す)が、相対的に小さくなる。この分力F3は、傾斜部36aの所定角度θ3を、図21に2点鎖線で示すように、底部13aの所定角度θ1と同じにした場合の分力F4(太破線矢印で示す)と比べて小さくなることが分かる。このため、かしめの際に、リングギヤ4の半径方向にかかる荷重が相対的に小さくなる。また、この実施形態では、ノッチ13の底部13aが、リングギヤ4の半径方向に対して、従来よりも大きい所定角度θ1で傾斜する。このため、かしめ部22をかしめ治具31により押圧したときに、各ノッチ13の底部13aにかかる押圧力の分力が、従来のノッチに対する分力よりも小さくなる。この結果、リングギヤ4をデフケース2のフランジ3にかしめるとき、リングギヤ4の歯11の変形や歪みを低減することができる。これにより、リングギヤ4の相手ギヤに対する歯当たりを好適なものとし、リングギヤ4の騒音振動特性の改善を図ることができる。
<第8実施形態>
次に、本発明におけるリングギヤのかしめ方法を具体化した第8実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
この実施形態では、リングギヤ4におけるノッチ13の構成を従来のそれと同じとし、かしめ治具を使用したかしめ方法の点で前記各実施形態と異なる。図22に、「かしめ工程」を構成する「押圧工程」につき、リングギヤ4のノッチ13の部分と、かしめ部22及びかしめ治具33との関係を断面図により示す。図23に、「かしめ工程」を構成する「分流工程」につき、リングギヤ4のノッチ13の部分と、かしめ部22及びかしめ治具37等との関係を断面図により示す。
そして、図22に示すように、「押圧工程」では、かしめ部22を、第1のかしめ治具33を使用してリングギヤ4の軸線方向に押圧することにより、かしめ部22の先端部をリングギヤ4の各ノッチ13へ向けて変形させる。この「押圧工程」では、かしめ部22の先端部が、各ノッチ13に近付くまで、第1のかしめ治具33を移動させる。
ここで、第1のかしめ治具33は、図22に示すように、かしめ部22の先端部に当接するテーパ面33aを有する。そして、そのテーパ面33aによりかしめ部22の先端部を押圧することで、かしめ部22の先端部をリング4の各ノッチ13へ向けて変形させるようになっている。図22は、第1のかしめ治具33の一部を示す。
その後、図23に示すように、「分流工程」では、かしめ部22を、第2のかしめ治具37を使用して分流法により更に押圧することにより、ノッチ13にかしめ部22の肉を充填させる。
ここで、リングギヤ4には、各ノッチ13とかしめ部22を覆うように分流金型38,39が配置される。分流金型38,39は、内部に空間を有し、その空間の中にかしめ部22を収容する。第2のかしめ治具37は、空間の中のかしめ部22を押圧するために、分流金型38,39にて移動可能に設けられる。図23は、第2のかしめ治具37及び分流金型38,39の一部を示す。
従って、この実施形態のかしめ方法によれば、「押圧工程」で、かしめ部22の先端部を、かしめ治具33のテーパ面33aにより押圧することで、リングギヤ4の各ノッチ13へ向けて一旦変形させる。その後、「分流工程」で、変形したかしめ部22の肉を各ノッチ13に充填させるために、第2のかしめ治具37によりかしめ部22を押圧して分流金型38,39の空間の中で分流させる。このため、「分流工程」では、かしめ部22を、第2のかしめ治具37により押圧したとき、図23に太線矢印FLで示すように、かしめ部22の肉の一部が分流金型38,39の空間の中で分流し、これにより空間の中の押圧力が縮小する。これにより、かしめの際に、リングギヤ4の半径方向にかかる荷重が極力少なくなる。この結果、リングギヤ4をデフケース2のフランジ3にかしめるとき、リングギヤ4の歯11の変形や歪みを低減することができる。これにより、リングギヤ4の相手ギヤに対する歯当たりを好適なものとし、リングギヤ4の騒音振動特性の改善を図ることができる。
<第9実施形態>
次に、本発明におけるリングギヤのかしめ方法に使用されるかしめ治具を具体化した第9実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
この実施形態では、第7実施形態と同等のかしめ方法を採用し、同実施形態で使用したかしめ治具36を改良したかしめ治具40を使用する点で異なる。
図24に、「かしめ工程」につき、リングギヤ4のノッチ13の部分と、かしめ部22及びかしめ治具36との関係であって、第7実施形態と同等の対比例を断面図により示す。この場合、かしめ治具36がかしめ部22を押圧して、その下死点で各ノッチ13が閉塞している。このとき、かしめ治具36の傾斜部36aとかしめ部22との間の摩擦は最大となり、各ノッチ13の底部13aにかかる押圧力が急激に増大する。この押圧力を減少させることができれば、リングギヤ4の半径方向にかかる荷重を更に小さくすることができる。
そこで、この実施形態では、かしめ治具36を改良したかしめ治具40を使用する。図25に、「かしめ工程」につき、リングギヤ4のノッチ13の部分と、かしめ部22及びかしめ治具40との関係を断面図により示す。このかしめ治具40は、かしめ部22を、リングギヤ4の軸線方向に押圧するために、リングギヤ4の半径方向に対して所定角度θ3で傾斜する傾斜部40aと、リングギヤ4の複数のノッチ13に対応して傾斜部40aから突出する複数の突起40bとを備える。各突起40bは、各ノッチ13の形状に合わせた形状と、各ノッチ13より小さい大きさを有する。具体的には、各突起40bは、半球形状をなし、その外表面が湾曲面をなす。図25は、かしめ治具40の一部を示す。
従って、この実施形態のかしめ治具40によれば、第7実施形態で使用したかしめ治具36と同等の作用効果が得られる。これに加え、かしめ治具40がかしめ部22を押圧して、その下死点にて各ノッチ13が閉塞されるとき、傾斜部40aの突起40bがかしめ部22と点接触する。このため、かしめ部22と突起40bとの間の摩擦が小さくなり、その接触部分の近傍でかしめ部22の肉に流れが生じる。また、各ノッチ13の底部13aの近傍でも、かしめ部22の肉に流れが生じる。これにより、底部13aにかかる押圧力が減少する。このように押圧力が減少するので、リングギヤ4の半径方向にかかる荷重を更に小さくすることができる。この結果、リングギヤ4をデフケース2のフランジ3にかしめるとき、リングギヤ4の歯11の変形や歪みを低減することができる。これにより、リングギヤ4の相手ギヤに対する歯当たりを好適なものとし、リングギヤ4の騒音振動特性の改善を図ることができる。
<第10実施形態>
次に、本発明におけるかしめ方法の対象となるリングギヤを具体化した第10実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
この実施形態では、リングギヤ4に形成される複数のノッチの点で前記各実施形態と構成が異なる。
図26に、従来のリングギヤ81の内周面84の側を部分的に斜視図により示す。図26において、リングギヤ81の内周縁に形成された複数のノッチ82の間には、略三角形状をなし、リングギヤ81の内周面84と同一面をなす隙間面84aが形成される。これら隙間面84aは、リングギヤ81をかしめ部によりかしめたとき、デフケースからリングギヤ81の半径方向の荷重を受ける領域となる。この隙間面84aを小さくできれば、リングギヤ81の半径方向にかかる荷重を小さくできる。
そこで、この実施形態では、リングギヤ4のノッチの形状を改良した。図27に、この実施形態のリングギヤ4の一部を圧入面12の側から見て斜視図により示す。図26に示すように、リングギヤ4の複数のノッチ13は、リングギヤ4の圧入面12にて、軸線方向に沿って一定の深さ及び一定の幅で延びる断面V形の溝形状をなす。そして、複数のノッチ13の間の隙間面12aが、それぞれ幅狭になっている。このようにして、各隙間面12aを極力縮小するようにしている。
従って、この実施形態のリングギヤ4によれば、ノッチ13の隙間面12aが縮小するので、リングギヤ4がかしめ部によりかしめられたときに、デフケースから隙間面12aが受ける荷重が小さくなる。この結果、リングギヤ4をデフケースのフランジ3にかしめるとき、リングギヤ4の歯11の変形や歪みを低減することができる。これにより、リングギヤ4の相手ギヤに対する歯当たりを好適なものとし、リングギヤ4の騒音振動特性の改善を図ることができる。
<第11実施形態>
次に、本発明におけるかしめ方法の対象となるリングギヤを具体化した第11実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
この実施形態では、リングギヤ4に形成される複数のノッチの点で前記第10実施形態と構成が異なる。図28に、この実施形態のリングギヤ4の一部を圧入面12の側から見て正面図により示す。図28に示すように、この実施形態では、リングギヤ4の圧入面12にて互いに平行に形成された複数のノッチ13が、軸線方向に対して所定角度θ5だけ傾いて形成される点で、軸線方向と平行に延びる第10実施形態の複数のノッチ13と構成が異なる。この実施形態で、複数のノッチ13が、一定の深さ及び一定の幅で延びる断面V形の溝形状をなす点、並びに、複数のノッチ13の間の隙間面12aがそれぞれ幅狭になっている点では、第10実施形態の構成と同じである。
従って、この実施形態のリングギヤ4によれば、第10実施形態の作用効果に加え、複数のノッチ13が、軸線方向に対して所定角度θ5だけ傾いているので、リングギヤ4をデフケースのフランジ3に圧入してかしめたときに、ノッチ13による軸線方向における機械的な抵抗が増える。この結果、リングギヤ4とフランジ3との、軸線方向における締結力を強化することができ、リングギヤ4とフランジ3とをより分離し難くすることができる。
なお、この発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で、構成の一部を適宜に変更して実施することもできる。
例えば、第9実施形態では、かしめ治具40の傾斜部40aに形成される突起40bを半球形状としたが、この突起を半長球形状とすることもできる。
この発明は、車両の動力伝達機構に使用されるデファレンシャルサブアッシとその製造に利用することができる。
1 デファレンシャルサブアッシ
2 デフケース
3 フランジ
4 リングギヤ
11 歯
12 圧入面(内周面)
12a 隙間面
13 ノッチ(被かしめ部)
13a 底部
13b 底部
14 一端面
15 端面
21 外周面
22 かしめ部
23 堤部
31 かしめ治具
32 かしめ治具
32a 押圧部
32b 拘束部
33 第1のかしめ治具
33a テーパ面
34 第2のかしめ治具
34a 押圧部
34b 拘束部
35 かしめ治具
35a 平坦部
35b 傾斜部
35c 突条
35d 拘束部
36 かしめ治具
36a 傾斜部
37 第2のかしめ治具
38 分流金型
39 分流金型
40 かしめ治具
40a 傾斜部
40b 突起
θ1 所定角度
θ3 所定角度
θ5 所定角度
図1,2に示すように、この実施形態で、リングギヤ4は、はすば歯車により構成され、外周に設けられた複数の歯11が、リングギヤ4の軸線方向に対して斜めに形成される
。リングギヤ4は、その内周面である圧入面12にてフランジの外周面21に圧入されると共に、フランジ3にてかしめられる。すなわち、フランジ3の軸線方向における一端側(図2の左側)には、かしめ部22が形成され、他端側(図2の右側)には、直角に起立した堤部23が形成される。リングギヤ4は、その軸線方向における一端の内周縁において、かしめ部22によりかしめられる、被かしめ部として斜めに形成された複数のノッチ13を有する。これらノッチ13の構成は、図29に示す従来のリングギヤ81のノッチ82と基本的に同じである。複数のノッチ13は、リングギヤ4の一端内周縁に沿って等間隔に形成される。各ノッチ13の大きさは、かしめの要求強度に応じて決定される(以下において同じ。)。これらのノッチ13に対し、かしめ部22を塑性加工することによりかしめが行われる。これらのノッチ13は、リングギヤ4の内側に形成され、かしめは、フランジ3を内側から外側へ押し拡げるように行われるようになっている。
従って、この実施形態のかしめ方法によれば、かしめ治具36の傾斜部36aの所定角度θ3より、各ノッチ13の底部13aの所定角度θ1の方が大きい。このため、「かしめ工程」において、図21に示すように、かしめ部22を、かしめ治具36により、リングギヤ4の軸線方向に押圧したとき、傾斜部36aによりかしめ部22にかかる押圧力のうち、リングギヤ4の半径方向における分力F3(太線矢印で示す)が、相対的に小さくなる。この分力F3は、傾斜部36aの所定角度θ3を、図21に2点鎖線で示すように、底部13aの所定角度θ1と同じにした場合の分力F4(太破線矢印で示す)と比べて小さくなることが分かる。このため、かしめの際に、リングギヤ4の半径方向にかかる荷重が相対的に小さくなる。また、この実施形態では、ノッチ13の底部13aが、リングギヤ4の半径方向に対して、従来よりも大きい所定角度θ1で傾斜する。このため、かしめ部22をかしめ治具36により押圧したときに、各ノッチ13の底部13aにかかる押圧力の分力が、従来のノッチに対する分力よりも小さくなる。この結果、リングギヤ4をデフケース2のフランジ3にかしめるとき、リングギヤ4の歯11の変形や歪みを低減することができる。これにより、リングギヤ4の相手ギヤに対する歯当たりを好適なものとし、リングギヤ4の騒音振動特性の改善を図ることができる。
そこで、この実施形態では、リングギヤ4のノッチの形状を改良した。図27に、この実施形態のリングギヤ4の一部を圧入面12の側から見て斜視図により示す。図27に示すように、リングギヤ4の複数のノッチ13は、リングギヤ4の圧入面12にて、軸線方向に沿って一定の深さ及び一定の幅で延びる断面V形の溝形状をなす。そして、複数のノッチ13の間の隙間面12aが、それぞれ幅狭になっている。このようにして、各隙間面12aを極力縮小するようにしている。

Claims (13)

  1. デファレンシャルサブアッシを構成するデフケースのフランジの外周に圧入されたリングギヤにつき、その軸線方向における両端の少なくとも一方に形成された被かしめ部に対し、前記フランジの軸線方向における両端の少なくとも一方に設けられたかしめ部をかしめるために使用されるかしめ治具であって、
    前記被かしめ部は、前記リングギヤの内周縁に沿って形成された複数のノッチであり、前記ノッチは、前記リングギヤの半径方向に対して所定角度で傾斜する底部を有し、
    前記かしめ部を、前記リングギヤの軸線方向に押圧するために、前記リングギヤの半径方向に対して所定角度で傾斜する傾斜部と、
    前記複数のノッチに対応して前記傾斜部から突出する複数の突起と
    を備えたことを特徴とするかしめ治具。
  2. 前記各突起は、前記各ノッチの形状に合わせた形状と、前記ノッチより小さい大きさとを含むことを特徴とする請求項1に記載のかしめ治具。
  3. 前記各突起は、外表面が湾曲面をなすことを特徴とする請求項2に記載のかしめ治具。
  4. デファレンシャルサブアッシを構成するデフケースのフランジの外周に圧入されたリングギヤにつき、その軸線方向における両端の少なくとも一方に形成された被かしめ部に対し、前記フランジの軸線方向における両端の少なくとも一方に設けられたかしめ部をかしめるために使用されるかしめ治具であって、
    前記被かしめ部は、前記リングギヤの内周縁に沿って形成された複数のノッチであり、
    前記かしめ部を、前記リングギヤの軸線方向に押圧するために、前記リングギヤの前記軸線方向と交差する方向に沿って延びる平坦部と、
    前記かしめ部を押圧するために、前記平坦部から前記リングギヤの中心方向へ傾斜する傾斜部と、
    前記平坦部を挟んで前記傾斜部の反対側にて前記平坦部から前記リングギヤへ向けて突出し、前記かしめ部を拘束するための拘束部と
    を備えたことを特徴とするかしめ治具。
  5. デファレンシャルサブアッシを構成するデフケースのフランジの外周に圧入されたリングギヤにつき、その軸線方向における両端の少なくとも一方に形成された被かしめ部に対し、前記フランジの軸線方向における両端の少なくとも一方に設けられたかしめ部をかしめ治具を使用してかしめるリングギヤのかしめ方法であって、
    前記被かしめ部は、前記リングギヤの内周縁に沿って形成された複数のノッチであり、前記ノッチは、前記リングギヤの半径方向に対して所定角度で傾斜する底部を有し、
    前記かしめ治具は、前記かしめ部を、前記リングギヤの軸線方向に押圧するために、前記リングギヤの半径方向に対して所定角度で傾斜する傾斜部を有し、前記傾斜部の所定角度より前記底部の所定角度の方が大きく設定されており、
    前記かしめ部を、前記かしめ治具の前記傾斜部により、前記リングギヤの軸線方向に押圧することにより、前記ノッチに対して前記かしめ部の肉を充填させてかしめる
    ことを特徴とするリングギヤのかしめ方法。
  6. デファレンシャルサブアッシを構成するデフケースのフランジの外周に圧入されたリングギヤにつき、その軸線方向における両端の少なくとも一方に形成された被かしめ部に対し、前記フランジの軸線方向における両端の少なくとも一方に設けられたかしめ部をかしめ治具を使用してかしめるリングギヤのかしめ方法であって、
    前記被かしめ部は、前記リングギヤの内周縁に沿って形成された複数のノッチであり、
    前記かしめ部を、第1のかしめ治具を使用して前記リングギヤの軸線方向に押圧することにより、前記かしめ部を前記リングギヤに向けて変形させる押圧工程と、
    前記押圧工程の後、前記かしめ部を、第2のかしめ治具を使用して分流法により更に押圧することにより、前記ノッチに対して前記かしめ部の肉を充填させる分流工程と
    を備えたことを特徴とするリングギヤのかしめ方法。
  7. デファレンシャルサブアッシを構成するデフケースのフランジの外周に圧入されたリングギヤにつき、その軸線方向における両端の少なくとも一方に形成された被かしめ部に対し、前記フランジの軸線方向における両端の少なくとも一方に設けられたかしめ部をかしめ治具を使用してかしめるリングギヤのかしめ方法であって、
    前記被かしめ部は、前記リングギヤの内周縁に沿って形成された複数のノッチであり、前記ノッチは、前記リングギヤの半径方向に対して所定角度で傾斜する底部を有し、前記所定角度は、45°〜85°の範囲の値に設定されており、
    前記かしめ部を、前記かしめ治具を使用して前記リングギヤの軸線方向に押圧することにより、前記ノッチに対して前記かしめ部の肉を充填させてかしめる
    ことを特徴とするリングギヤのかしめ方法。
  8. デファレンシャルサブアッシを構成するデフケースのフランジの外周に圧入されたリングギヤにつき、その軸線方向における両端の少なくとも一方に形成された被かしめ部に対し、前記フランジの軸線方向における両端の少なくとも一方に設けられたかしめ部をかしめ治具を使用してかしめるリングギヤのかしめ方法であって、
    前記被かしめ部は、前記リングギヤの内周縁に沿って形成された複数のノッチであり、前記ノッチは、前記リングギヤの前記軸線方向と交差する方向に沿って一定の深さで延びる底部を有し、
    前記かしめ部を、前記かしめ治具を使用して前記リングギヤの軸線方向に押圧することにより、前記ノッチに対して前記かしめ部の肉を充填させてかしめる
    ことを特徴とするリングギヤのかしめ方法。
  9. デファレンシャルサブアッシを構成するデフケースのフランジの外周に圧入されたリングギヤにつき、その軸線方向における両端の少なくとも一方に形成された被かしめ部に対し、前記フランジの軸線方向における両端の少なくとも一方に設けられたかしめ部をかしめ治具を使用してかしめるリングギヤのかしめ方法であって、
    前記被かしめ部は、前記リングギヤの内周縁に沿って形成された複数のノッチであり、
    前記かしめ部を、前記かしめ治具を使用して押圧することにより、前記リングギヤへ向けて変形させる第1の押圧工程と、
    前記第1の押圧工程の後、前記かしめ部を、前記かしめ治具を使用して前記リングギヤの軸線方向に押圧することにより、前記ノッチに対して前記かしめ部の肉を充填させる第2の押圧工程と
    を備えたことを特徴とするリングギヤのかしめ方法。
  10. デファレンシャルサブアッシを構成するデフケースのフランジの外周に圧入されたリングギヤにつき、その軸線方向における両端の少なくとも一方に形成された被かしめ部に対し、前記フランジの軸線方向における両端の少なくとも一方に設けられたかしめ部をかしめるために使用されるかしめ治具であって、
    前記被かしめ部は、前記リングギヤの内周縁に沿って形成された複数のノッチであり、
    前記かしめ部を、前記リングギヤの軸線方向に押圧するために、前記リングギヤの前記軸線方向と交差する方向に沿って延びる平坦部と、
    前記平坦部から前記リングギヤの中心方向へ傾斜する傾斜部と
    を備えたことを特徴とするかしめ治具。
  11. 前記ノッチは、前記リングギヤの前記軸線方向と交差する方向に沿って一定の深さで延びる底部と所定の断面形状を有し、
    前記平坦部には、前記ノッチに嵌入可能な突条が形成される
    ことを特徴とする請求項10に記載のかしめ治具。
  12. デファレンシャルサブアッシを構成するデフケースのフランジの外周に圧入され、軸線方向における両端の少なくとも一方に形成された被かしめ部に対し、前記フランジの軸線方向における両端の少なくとも一方に設けられたかしめ部がかしめ治具を使用してかしめられるリングギヤであって、
    前記被かしめ部は、前記リングギヤの内周縁に沿って形成された複数のノッチであり、前記ノッチが、前記リングギヤの内周面にて前記軸線方向に沿って一定の深さ及び一定の幅で延びる溝形状をなすことを特徴とするリングギヤ。
  13. 前記複数のノッチは、前記リングギヤの内周面にて前記軸線方向に対して所定角度傾いて互いに平行に形成されることを特徴とする請求項12に記載のリングギヤ。
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