JPWO2009148138A1 - ナノインプリント用モールド、その製造方法および表面に微細凹凸構造を有する樹脂成形体ならびにワイヤグリッド型偏光子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
(1)金型の材料と化学的に反応する官能基を有するパーフルオロポリエーテルで被覆してなるインプリント加工用金型(特許文献1参照)。
また、モールドの微細凹凸構造を転写する装置としては、下記のものが提案されている。
(2)基板上に微細凹凸構造を形成するために、基板と、表面に微細な凹凸が形成されたスタンパを、加熱・加圧するナノプリント装置において、前記スタンパ凸部のみに剥離材を形成する機構を有するナノプリント装置(特許文献2参照)。
前記凸条の幅または溝の幅は、平均で10nm〜50μmであることが好ましい。
前記金属酸化物層と前記離型層の厚さはそれぞれ1nm以上であり、両者合計の厚さは溝の幅の0.4以下であることが好ましい。
前記モールド面の微細凹凸構造は、互いに平行にかつ一定のピッチで形成された複数の溝であり、該溝のピッチが30〜300nmであることが好ましい。
前記金属酸化物層は、Si、AlおよびZrからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を含む層であることが好ましい。
前記離型層は、フルオロアルキル基(エーテル性酸素原子を有していてもよい。)を有する化合物から形成された離型層であることが好ましい。
前記モールドベースは、光硬化性樹脂組成物の硬化物からなることが好ましい。
前記金属酸化物層を形成する方法は、スパッタ法であることが好ましい。
前記離型層を形成する方法は、離型剤を含む溶液を金属酸化物層表面に接触させ、その後金属酸化物層表面を洗浄液で洗浄して乾燥する方法であることが好ましい。
本発明のナノインプリント用モールドの製造方法によれば、微細凹凸構造を精度よく転写でき、安価で、かつ耐久性が高いナノインプリント用モールドを生産性よく製造できる。
本発明の表面に微細凹凸構造を有する樹脂成形体の製造方法、およびワイヤグリッド型偏光子の製造方法によれば、モールドの微細凹凸構造が精度よく転写された樹脂成形体、さらにはワイヤグリッド型偏光子を低コストで、かつ生産性よく製造できる。
図1は、本発明のナノインプリント用モールドの一例を示す断面図である。ナノインプリント用モールド10は、モールド面に微細凹凸構造を有するナノインプリント用モールドであって、後述する表面に微細凹凸構造を有する樹脂成形体ならびにワイヤグリッド型偏光子の製造に用いられるモールドである。ナノインプリント用モールド10は、前記モールド面の微細凹凸構造のベースとなる微細凹凸構造を表面に有する樹脂製のモールドベース12と、モールドベース12の微細凹凸構造を有する表面を微細凹凸構造の形状に沿って被覆した金属酸化物層16と、金属酸化物層16の表面を被覆した離型層18と、モールドベース12の微細凹凸構造が形成された面とは反対側の面に設けられた支持基板20とを有する。
本発明における微細凹凸構造とは、材料(各種モールド、成形体等。)の表面に形成された微細な凸部および/または凹部を意味する。
凸部としては、材料の表面に延在する長尺の凸条、表面に点在する突起等が挙げられる。
凹部としては、材料の表面に延在する長尺の溝、表面に点在する孔等が挙げられる。
凸条または溝の、長手方向に直交する方向の断面形状としては、長方形、台形、三角形、半円形等が挙げられる。
突起または孔の形状としては、三角柱、四角柱、六角柱、円柱、三角錐、四角錐、六角錐、円錐半球、多面体等が挙げられる。
したがって、本発明のナノインプリント用モールドのモールド面の微細凹凸構造の寸法と、モールドベースの微細凹凸構造の寸法とは、金属酸化物層および離型層の厚さの分だけ異なる。すなわち、本発明のナノインプリント用モールドのモールド面の微細凹凸構造の各寸法は、金属酸化物層と離型層とを形成した後の寸法である。
凸条または溝の幅は、平均で10nm〜50μmが好ましく、15nm〜30μmがより好ましく、20nm〜1μmがさらに好ましく、40nm〜500nmが特に好ましい。凸条の幅とは、長手方向に直交する方向の断面における底辺の長さを意味する。溝の幅とは、長手方向に直交する方向の断面における上辺の長さを意味する。
突起または孔の幅は、平均で10nm〜50μmが好ましく、15nm〜30μmがより好ましく、20nm〜1μmがさらに好ましく、40nm〜500nmが特に好ましい。突起の幅とは、底面が細長い場合、長手方向に直交する方向の断面における底辺の長さを意味し、その他の場合は、突起の底面における最大長さを意味する。孔の幅とは、開口部が細長い場合、長手方向に直交する方向の断面における上辺の長さを意味し、その他の場合は、孔の開口部における最大長さを意味する。
凹部の深さは、平均で5nm〜5μmが好ましく、10nm〜1μmがより好ましく、30〜500nmが特に好ましい。
凹部の最小寸法は、5nm〜1μmが好ましく、20〜500nmがより好ましい。最小寸法とは、凹部の幅、長さおよび深さのうち最小の寸法を意味する。
溝14のピッチPpは、溝14の幅Dpと、溝14の間に形成される凸条の幅との合計である。溝14のピッチPpは、30〜300nmが好ましく、40〜200nmがより好ましい。ピッチPpが300nm以下であれば、ナノインプリント用モールドを用いて製造されるワイヤグリッド型偏光子が充分に高い反射率、および、400nm程度の短波長領域においても高い偏光分離能を示す。また、回折による着色現象が抑えられる。ピッチPpが30nm以上であれば、ナノインプリント用モールドの微細凹凸構造が充分な強度を示すため、生産性、および転写精度が良好となる。
モールドベースを構成する樹脂としては、光透過性樹脂が好ましい。光透過性とは、光を透過することを意味する。
モールドベースを構成する樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂組成物などの硬化物が挙げられ、生産性および転写精度の点から、光硬化性樹脂組成物の硬化物が好ましい。
熱硬化性樹脂としては、ポリイミド(PI)、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、透明フッ素樹脂等が挙げられる。
光硬化性樹脂組成物の硬化物としては、厚さ200μmにおける波長360nmの紫外線透過率が92%以上のものが好ましく、92.5%以上のものがより好ましい。該紫外線透過率が92%以上であれば、モールドとして用いた場合に生産性が向上する。
紫外線透過率は、積分式光線透過率測定器を用い、360nmの全光量T1とサンプル透過光T2との比(T2×100/T1)により求める。
引張強度は、JIS K7113に準拠して求める。
光硬化性樹脂組成物の硬化物の水に対する接触角は、JIS K6768に準拠し、接触角測定装置を用いて、モールドベース12の微細凹凸構造が形成されていない部分にて測定する。
光硬化性樹脂組成物(A):光重合可能なモノマーの99〜90質量%および光重合開始剤の1〜10質量%を含み、かつ実質的に溶剤を含まず、25℃における粘度が1〜2000mPa・sである光硬化性樹脂組成物。
光重合可能なモノマーにおける重合性基の数は、1〜6個が好ましく、2または3個がより好ましく、2個が特に好ましい。重合性基が2個であれば、重合収縮がそれほど大きくないためマスターモールドの微細凹凸構造の転写精度が良好であり、また、光硬化性樹脂組成物の硬化物は充分な強度を発現できる。
モノ(メタ)アクリレート:フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリール(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、メチルアダマンチル(メタ)アクリレート、エチルアダマンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアダマンチル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等。
ジ(メタ)アクリレート:1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等。
トリ(メタ)アクリレート:トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタアエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等。
重合性基を4個以上有する(メタ)アクリレート:ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等。
ビニルエステルの具体例としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、(イソ)酪酸ビニル、吉草酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、安息香酸ビニル等が挙げられる。
アリルエステルの具体例としては、アルキルアリルエステル(エチルアリルエステル、プロピルアリルエステル、イソブチルアリルエステル等。)等が挙げられる。
環状エーテル基を有するモノマーとしては、グリシジル基、オキセタニル基、オキシラニル基、スピロオルトエーテル基を有するモノマーが挙げられる。
光重合可能なモノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
光重合可能なモノマーは、光硬化性樹脂組成物(A)の硬化物が高い引張強度を発現する点から、重合性基を2個以上有する(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。具体的には、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリオキシエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート等が挙げられる。中でも、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートが好ましい。
光重合開始剤としては、下記の光重合開始剤が挙げられる。
アセトフェノン系光重合開始剤:アセトフェノン、p−(tert−ブチル)−1’,1’,1’−トリクロロアセトフェノン、クロロアセトフェノン、2’,2’−ジエトキシアセトフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2’−フェニルアセトフェノン、2−アミノアセトフェノン、ジアルキルアミノアセトフェノン等。
ベンゾイン系光重合開始剤:ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール等。
ベンゾフェノン系光重合開始剤:ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、メチル−o−ベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシプロピルベンゾフェノン、アクリルベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン等。
チオキサントン系光重合開始剤:チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ジメチルチオキサントン等。
フッ素原子を含有する光重合開始剤:ペルフルオロ(tert−ブチルペルオキシド)、ペルフルオロベンゾイルペルオキシド等。
その他の光重合開始剤:α−アシルオキシムエステル、ベンジル−(O−エトキシカルボニル)−α−モノオキシム、アシルホスフィンオキシド、グリオキシエステル、3−ケトクマリン、2−エチルアンスラキノン、カンファーキノン、テトラメチルチウラムスルフィド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペルオキシド、ジアルキルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシピバレート、ホウ素系ヨードニウム塩、リン系ヨードニウム塩、ホウ素系オニウム塩、リン系オニウム塩等。
中でも、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、ホウ素系オニウム塩が光重合開始剤として好ましい。
アニオン性界面活性剤としては、石鹸(脂肪酸ナトリウム、RCOO−Na+)、モノアルキル硫酸塩(ROSO3 −M+)、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩(RO(CH2CH2O)mSO3 −M+)、アルキルベンゼンスルホン酸塩(RR’CH2CHC6H4SO3 −M+)、モノアルキルリン酸塩(ROPO(OH)O−M+)等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩(RN+(CH3)3X−)、ジアルキルジメチルアンモニウム塩(RR’N+(CH3)2X−)、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩(RN+(CH2Ph)(CH3)2X−)等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アルキルジメチルアミンオキシド(R(CH3)2NO)、アルキルカルボキシベタイン(R(CH3)2N+CH2COO−)等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(RO(CH2CH2O)mH)、脂肪酸ソルビタンエステル、アルキルポリグルコシド、脂肪酸ジエタノールアミド(RCON(CH2CH2OH)2)、アルキルモノグリセリルエーテル(ROCH2CH(OH)CH2OH)等が挙げられる。
ただし、各式中のRは、炭素数1〜22の直鎖または分岐アルキル基であり、R’は、炭素数1〜22の直鎖または分岐アルキル基であり、M+は、アルカリ金属原子の1価の陽イオンであり、X−は、ハロゲン原子の1価の陰イオンであり、Phは、フェニル基であり、mは、1〜20の整数である。
他の成分の割合は、光重合可能なモノマーに対して0〜70質量%が好ましく、0〜50質量%がより好ましい。
粘度は、回転式粘度計を用い、温度25℃にて測定する。
金属酸化物層は、光透過性であることが好ましい。
金属酸化物としては、光、酸素、または熱に対して安定な化合物が好ましく、ZnO、SiO2、Al2O3、ZrO2、SnO2、CaOが好ましく、転写の耐久性の点から、Si、AlおよびZrからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物がより好ましく、SiO2、Al2O3、ZrO2が特に好ましい。
金属酸化物層の厚さは、モールドベースの溝の間に形成される凸条の上に形成された金属酸化物層の高さの最大値とする。
離型層は離型剤から形成される。離型剤は、金属酸化物層の金属酸化物と化学結合しうる基を有する化合物を含むことが好ましい。化学結合としては、共有結合、イオン結合、配位結合のいずれであってもよく、共有結合が好ましい。金属酸化物と化学結合しうる基としては、ケイ素原子、チタン原子もしくはアルミニウム原子を含む加水分解性基;カルボキシル基、アシル基、水酸基、リン酸基、ホスホノ基、ホスフィノ基、アミノ基またはメルカプト基が挙げられ、下式(1)で表される基が特に好ましい。
−Si(R1)t(R2)3−t ・・・(1)。
ただし、R1は、水酸基または加水分解可能な置換基であり、R2は、水素原子または1価の炭化水素基であり、tは、1〜3の整数である。
R2における1価の炭化水素基としては、アルキル基、1以上のアリール基で置換されたアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基等が挙げられ、アルキル基またはアルケニル基が好ましい。R2がアルキル基である場合、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。R2がアルケニル基である場合、炭素数2〜4のアルケニル基が好ましく、ビニル基またはアリル基がより好ましい。
シリコーン鎖としては、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン等が挙げられる。
炭素数4〜24の長鎖アルキル基としては、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、ラウリル基、オクタデシル基等が挙げられる。これらの基は直鎖状であっても分岐状であってもよい。
Xとしては、下式(3)で表される基が好ましい。
フッ素系の離型剤:ゾニールTCコート(デュポン社製)、オプツールDSX、オプツールHD2100(ダイキン工業社製)、デュラサーフHD−2101Z(ダイキン工業社製)、サイトップCTL−107M(旭硝子社製)、サイトップCTL−107A(旭硝子社製)、ノベックEGC−1720(3M社製)等。
有機物系離型剤:シリコーン系樹脂(ジメチルシリコーン系オイルKF96(信越シリコーン社製)等)、アルカン系樹脂(アルキル系単分子膜を形成するSAMLAY(日本曹達社製)等。)等。
離型層の厚さは、モールドベースの溝の間に形成される凸条の上に形成された金属酸化物層の、さらにその上に形成された離型層の高さの最大値とする。
離型層の水に対する接触角は、JIS K6768に準拠し、接触角測定装置を用いて、モールドベース12の微細凹凸構造が形成されていない部分にて25℃で測定する。
支持基板は、必要に応じてモールドベースの微細凹凸構造が形成された面とは反対側の面に設けられる。
支持基板は、光透過性であることが好ましい。
支持基板の材料としては、PET、ポリカーボネート(PC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、PMMA、COP、透明フッ素樹脂等が好ましい。
本発明のナノインプリント用モールドの製造方法は、下記の工程(i)〜(vii)を有する。
(i)支持基板の表面に光硬化性樹脂組成物の層を形成する工程。
(ii)モールド面に微細凹凸構造を有するマスターモールドと支持基板を重ねて、マスターモールドのモールド面と支持基板の表面との間に光硬化性樹脂組成物を挟持する工程。
(iii)光硬化性樹脂組成物が挟持された状態で光硬化性樹脂組成物を硬化させて、モールド面の微細凹凸構造が反転した微細凹凸構造を表面に有するモールドベースを形成する工程。
(iv)モールドベースとマスターモールドとを分離する工程。
(v)モールドベースの微細凹凸構造を有する表面に金属酸化物層を形成する工程。
(vi)金属酸化物層の表面に離型層を形成する工程。
(vii)必要に応じて、モールドベースから支持基板を分離する工程。
図2に示すように、光硬化性樹脂組成物30を支持基板20上に塗布し、支持基板20の表面に光硬化性樹脂組成物30の層を形成する。
塗布法としては、ポッティング法、スピンコート法、ロールコート法、ダイコート法、スプレーコート法、キャスト法、ディップコート法、スクリーン印刷、転写法等が挙げられる。中でも、スピンコート法、ダイコート法、ロールコート法が塗布法として好ましい。
光硬化性樹脂組成物30の塗膜の厚さは、0.5〜1000μmが好ましく、1〜40μmがより好ましい。
図3に示すように、複数の凸条42からなる微細凹凸構造を表面に有するマスターモールド40を、微細凹凸構造が光硬化性樹脂組成物30に接するように、光硬化性樹脂組成物30に押しつけ、マスターモールド40と支持基板20を重ねて、マスターモールド40のモールド面と支持基板20の表面との間に光硬化性樹脂組成物30を挟持する。
マスターモールド40の材料としては、石英、シリコン、ニッケル等が好ましい。支持基板20が光透過性ではない場合、マスターモールド40の材料としては、石英等の光透過性のものが好ましい。
マスターモールド40を光硬化性樹脂組成物30に押しつける際のプレス圧力(ゲージ圧)は、0超10MPa(ゲージ圧)以下が好ましく、0.2〜9MPaがより好ましい。
図4に示すように、マスターモールド40のモールド面と支持基板20の表面との間に光硬化性樹脂組成物30が挟持された状態で光硬化性樹脂組成物30に光(紫外線等。)を照射し、光硬化性樹脂組成物30を硬化させて、マスターモールド40の微細凹凸構造(凸条42)が反転した微細凹凸構造(溝14)を表面に有するモールドベース12を形成する。
光の照射は、支持基板20およびマスターモールド40が光透過性の場合は、支持基板20側から行ってもよく、マスターモールド40側から行ってもよい。支持基板20およびマスターモールド40の一方が光透過性であり、他方が光透過性でない場合は、光透過性の側から行う。
光の照射による硬化と加熱による硬化とを併用してもよい。
光照射の光源としては、高圧水銀灯等が用いられる。
深部硬化性、表面硬化性ともに良好で、有機材料を劣化させないことから、365nmの波長の光を250〜1200mJ照射するのが好ましい。
図5に示すように、モールドベース12とマスターモールド40とを分離する。
図6に示すように、モールドベース12の微細凹凸構造を有する表面に金属酸化物層16を形成する。
金属酸化物層16の形成方法としては、蒸着法、スパッタ法、めっき法等が挙げられ、金属酸化物層16を均一に形成できる点から、スパッタ法が好ましい。
また、スパッタ法によれば、粒子の平均自由工程が蒸着に比べ短いため、複雑な微細凹凸構造の全てを平均的に被覆できる。また、スパッタ法によれば、粒子の衝突エネルギーが大きいため、金属酸化物層16の膜質が緻密になり、また、金属酸化物層16とモールドベース12との密着性が向上し、結果として、転写の耐久性が向上する。
スパッタ法としては、金属酸化物をターゲットに用いる方法;または、金属をターゲットに用い、堆積した金属層を酸素イオン照射により酸化して金属酸化物層とする方法(反応性スパッタ法)が挙げられる。
金属酸化物層16の表面を離型剤で処理して、金属酸化物層16の表面に離型層18を形成し、図1に示すナノインプリント用モールド10を得る。
離型剤で処理する方法としては、ウエットコート法またはドライコート法が挙げられる。ウエットコート法としては、スピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法等が挙げられ、離型層18の均一性の点から、ディップコート法が好ましい。
ドライコート法としては、CVD法または蒸着法が好ましい。
ウエットコート法においては、離型剤を溶媒に溶解または分散させることが好ましい。溶媒としては、フッ素系溶媒が好ましく、CT−Solv.100、CT−Solv.180(旭硝子社製);HFE−700(ダイキン社製);ノベック−HFE(3M社製)が挙げられる。
溶媒中の離型剤の濃度は、0.001〜10質量%が好ましく、0.01〜1質量%がより好ましい。濃度が低すぎると緻密な離型層が形成されず、離型能が低下するおそれがある。濃度が高すぎると離型層が単分子層にならず厚くなりすぎ、転写精度が低下する。
離型層18を形成する方法としては、離型剤を含む溶液を金属酸化物層の表面に接触させ、その後、金属酸化物層の表面を洗浄液で洗浄して乾燥する方法が好ましい。
支持基板20を除くナノインプリント用モールド10の最小厚さHが充分に厚い場合は、モールドベース12から支持基板20を分離して、支持基板20のないナノインプリント用モールドとしてもよい。
本発明の表面に微細凹凸構造を有する樹脂成形体(以下、単に「樹脂成形体」とも記す。)の製造方法は、下記の工程(a)〜(d)を有する。
(a)支持基板の表面に光硬化性樹脂組成物の層を形成する工程。
(b)本発明のナノインプリント用モールドと支持基板を重ねて、微細凹凸構造を有するモールド面と支持基板の表面との間に光硬化性樹脂組成物を挟持する工程。
(c)光硬化性樹脂組成物が挟持された状態で光硬化性樹脂組成物を硬化させて、モールド面の微細凹凸構造が反転した微細凹凸構造を表面に有する樹脂成形体を形成する工程。
(d)樹脂成形体とモールドとを分離する工程。
以下、ワイヤグリッド型偏光子を例にとり、本発明の樹脂成形体の製造方法を詳細に説明する。
図7は、本発明の製造方法で得られるワイヤグリッド型偏光子の一例を示す断面図である。ワイヤグリッド型偏光子50は、複数の凸条52が互いに平行にかつ一定のピッチPpで表面に形成された、光硬化性樹脂組成物の硬化物からなる光透過性基板54と、光透過性基板54の凸条52上に形成された金属細線56とを有する。
凸条52のピッチPpは、凸条52の幅Dpと、凸条52間に形成される溝の幅との合計である。凸条52のピッチPpは、300nm以下が好ましく、40〜200nmがより好ましい。ピッチPpを300nm以下とすることにより、ワイヤグリッド型偏光子50が充分に高い反射率、および、400nm程度の短波長領域においても高い偏光分離能を示す。また、回折による着色現象が抑えられる。
光硬化樹脂性組成物としては、生産性の点から、光重合可能なモノマーを含む組成物が好ましい。
金属細線56の高さHmは、30〜300nmが好ましく、100〜150nmがより好ましい。高さHmを30nm以上とすることにより、ワイヤグリッド型偏光子50が充分に高い反射率および偏光分離能を示す。高さHmを300nm以下とすることにより、光の利用効率が上がる。
金属細線56の幅Dmは、凸条52の幅Dpよりも大きくなる場合が多い。よって、金属細線56の幅Dmは、凸条52の上に形成された金属細線56の幅の最大値とする。
金属細線の断面形状としては、正方形、長方形、台形、円形、楕円形、その他様々な形状が挙げられる。
本発明のワイヤグリッド型偏光子の製造方法は、下記の工程(a)〜(f)を有する。
(a)支持基板の表面に光硬化性樹脂組成物の層を形成する工程。
(b)モールド面に、互いに平行にかつ一定のピッチで形成された複数の溝からなる微細凹凸構造が形成された本発明のナノインプリント用モールドと支持基板を重ねて、溝を有するモールド面と支持基板の表面との間に光硬化性樹脂組成物を挟持する工程。
(c)光硬化性樹脂組成物が挟持された状態で該光硬化性樹脂組成物を硬化させて、モールド面の溝に対応する複数の凸条を有する光透過性基板を形成する工程。
(d)光透過性基板と本発明のナノインプリント用モールドとを分離する工程。
(e)光透過性基板の凸条上に金属層を形成する工程。
(f)必要に応じて、光透過性基板から支持基板を分離する工程。
図8に示すように、光硬化性樹脂組成物60を支持基板58上に塗布し、支持基板58の表面に光硬化性樹脂組成物60の層を形成する。
支持基板58の材料としては、無機材料(石英、ガラス、金属等。)、樹脂(ポリジメチルシロキサン、透明フッ素樹脂等。)等が挙げられる。
塗布法としては、ポッティング法、スピンコート法、ロールコート法、ダイコート法、スプレーコート法、キャスト法、ディップコート法、スクリーン印刷、転写法等が挙げられる。中でも、スピンコート法、ダイコート法、ロールコート法が塗布法として好ましい。
光硬化性樹脂組成物60の塗膜の厚さは、0.5〜1000μmが好ましく、1〜40μmがより好ましい。
図9に示すように、表面に、互いに平行にかつ一定のピッチで形成された複数の溝14からなる微細凹凸構造が形成されたナノインプリント用モールド10を、溝14を有するモールド面が光硬化性樹脂組成物60に接するように、光硬化性樹脂組成物60に押しつけ、ナノインプリント用モールド10と支持基板58を重ねて、溝14を有するモールド面と支持基板58の表面との間に光硬化性樹脂組成物60を挟持する。
ナノインプリント用モールド10を光硬化性樹脂組成物60に押しつける際のプレス圧力(ゲージ圧)は、0超10MPa以下が好ましく、0.2〜5MPaがより好ましい。
図10に示すように、溝14を有するモールド面と支持基板58の表面との間に光硬化性樹脂組成物60が挟持された状態で光硬化性樹脂組成物60に光(紫外線等。)を照射し、光硬化性樹脂組成物60を硬化させて、モールド面の溝14に対応する複数の凸条52を有する光透過性基板54を形成する。
光の照射は、支持基板58およびナノインプリント用モールド10が光透過性の場合は、支持基板58側から行ってもよく、ナノインプリント用モールド10側から行ってもよい。支持基板58およびナノインプリント用モールド10の一方が光透過性であり、他方が光透過性でない場合は、光透過性の側から行う。
深部硬化性、表面硬化性ともに良好で、有機材料を劣化させないことから、365nmの波長の光を250〜1200mJ照射するのが好ましい。
図11に示すように、光透過性基板54とナノインプリント用モールド10とを分離する。なお、工程(d)の前に、工程(f)を行ってもよい。
図12に示すように、光透過性基板54の凸条52上に金属細線56を形成する。なお、工程(e)の前に、工程(f)を行ってもよい。
金属細線56の形成方法としては、蒸着法、スパッタ法、めっき法等が挙げられ、凸条52上に金属細線56を選択的に形成する点から、斜方蒸着法が好ましい。本発明のようにピッチPpが狭く、かつ凸条52が高い場合、斜方蒸着を充分低い角度から行うことにより、凸条52上に選択的に金属の層を形成することができる。また、薄い金属の層を斜方蒸着法により形成し、その後めっき法で他の金属の層をその上に重ねて、所望の厚さの金属細線を形成することもできる。
光透過性基板54から支持基板58を分離し、図7に示すワイヤグリッド型偏光子50を得る。
なお、支持基板58が透光材料からなる場合、支持基板58を分離することなく、光透過性基板54と支持基板58とを一体化させたものを、ワイヤグリッド型偏光子として用いてもよい。
例1〜6、および9〜11は実施例であり、例7、および8は比較例である。
光硬化性樹脂組成物を硬化させて厚さ200μmの硬化物を得た。該硬化物について、紫外可視分光光度計(島津製作所社製、Solid−spec3700)を用い、360nmの全光量T1とサンプル透過光T2とを測定し、これらの比(T2×100/T1)により求めた。
光硬化性樹脂組成物を硬化させて10mm×50mm×厚さ100μmの硬化物を得た。該硬化物の引張強度を、引張試験装置(オリエンテック社製、RTC-1210)を用い、JIS K7113に準拠して測定した。
水に対する接触角は、JIS K6768に準拠し、自動接触角測定装置(協和界面科学社製、DM500)を用いて、微細凹凸構造が形成されていない部分にて25℃で測定した。
溝および凸条の寸法は、走査型電子顕微鏡(日立製作所社製、S−900)および透過型電子顕微鏡(日立製作所社製、H−9000)により測長して見積もった。
金属酸化物層の厚さは、水晶振動子を膜厚センサーとする膜厚モニターにより測定した。
離型層の厚さは、透過型電子顕微鏡およびESCA(PERKIN ELEMER−PHI社製、Model 5500)により測定した。
厚さ100μmの高透過ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(帝人デュポン社製、帝人テトロンO3、100mm×100mm)の表面に、光硬化性樹脂組成物7をスピンコート法により塗布し、厚さ1μmの光硬化性樹脂組成物7の塗膜を形成した。
ナノインプリント用モールドを、溝が光硬化性樹脂組成物7の塗膜に接するように、25℃にて0.5MPa(ゲージ圧)で光硬化性組樹脂成物7の塗膜に押しつけた。
該状態を保持したまま、PETフィルム側から高圧水銀灯(周波数:1.5kHz〜2.0kHz、主波長光:255nm、315nmおよび365nm、365nmにおける照射エネルギー:1000mJ。)の光を15秒間照射し、光硬化性樹脂組成物7を硬化させて、ナノインプリント用モールドの溝に対応する複数の凸条を有する光透過性基板(凸条のピッチPp:150nm、凸条の幅Dp:40nm、凸条の高さHp:200nm。)を作製した。光透過性基板からナノインプリント用モールドをゆっくり分離した。
以上の操作を1回とし、該操作を繰り返し行い、光透過性基板からナノインプリント用モールドを分離できなくなった回数を耐久性の指標とした。
(耐久性II)
耐久性Iにおいて光硬化性組樹脂成物7の代わりに、光硬化性組樹脂成物8を用いた他は、耐久性Iと同様の操作を行い、光透過性基板からナノインプリント用モールドを分離できなくなった回数を耐久性の指標とした。
ワイヤグリッド型偏光子の金属細線側から波長405nmの固体レーザー光および波長635nmの半導体レーザー光を、ワイヤグリッド型偏光子に対して垂直に入射し、p偏光およびs偏光の透過率を測定した。
透過率が70%以上を○と評価し、70%未満を×と評価した。
ワイヤグリッド型偏光子の表面側から波長405nmの固体レーザー光および波長635nmの半導体レーザー光を、ワイヤグリッド型偏光子の表面に対して5°の角度で入射し、s偏光反射率を測定した。
波長400nmまたは700nmのs偏光反射率が、80%以上を○とし、80%未満を×とした。
偏光度は、下式から計算した。
偏光度=((Tp−Ts)/(Tp+Ts))0.5
ただし、Tpは、p偏光透過率であり、Tsは、s偏光透過率である。
波長400nmまたは700nmの偏光度が99.5%以上を○とし、99.5%未満を×とした。
撹拌機および冷却管を装着した300mLの4つ口フラスコに、
単量体1(新中村化学工業社製、NK エステル A−DPH、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)の60g、
単量体2(新中村化学工業社製、NK エステル A−NPG、ネオペンチルグリコールジアクリレート)の40g、
光重合開始剤1(チバスペシャリティーケミカルズ社製、IRGACURE907)の4.0g、および重合禁止剤1(和光純薬社製、Q1301)の1.0gを入れた。
光硬化性樹脂組成物1の硬化物について、紫外線透過率および引張強度を測定した。結果を表1に示す。
撹拌機および冷却管を装着した300mLの4つ口フラスコに、
単量体3(新中村化学工業社製、NK オリゴ EA−1020、ビスフェノールA型エポキシアクリレート)の65g、
単量体4(新中村化学工業社製、NK エステル 1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ヘキサンジアクリレート)の35g、
前記光重合開始剤1の4.0g、および前記重合禁止剤1の1.0gを入れた。
光硬化性樹脂組成物2の硬化物について、紫外線透過率および引張強度を測定した。結果を表1に示す。
撹拌機および冷却管を装着した300mLの4つ口フラスコに、
単量体5(新中村化学工業社製、NK エステル A−DCP、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート)の70g、
前記単量体2の30g、
光重合開始剤2(チバスペシャリティーケミカルズ社製、IRGACURE184)の4.0g、および前記重合禁止剤1の1.0gを入れた。
光硬化性樹脂組成物3の硬化物について、紫外線透過率および引張強度を測定した。結果を表1に示す。
撹拌機および冷却管を装着した1000mLの4つ口フラスコに、
前記単量体1の60g、前記単量体2の40g、前記光重合開始剤1の4.0g、前記重合禁止剤1の1.0g、およびシクロヘキサノンの65.0gを入れた。
光硬化性樹脂組成物4の硬化物について、紫外線透過率および引張強度を測定した。結果を表1に示す。
撹拌機および冷却管を装着した1000mLの4つ口フラスコに、
単量体6(東亜合成社製、OXT−121、キシリレンビスオキセタン)の60g、
単量体7(ジャパンエポキシレジン社製、EP−801、モノエポキシブレンドビスフェノールA型エポキシ樹脂)の40g、
および光重合開始剤3(和光純薬社製、WPI113)の5.0gを入れた。
光硬化性樹脂組成物5の硬化物について、紫外線透過率および引張強度を測定した。結果を表1に示す。
撹拌機および冷却管を装着した1000mLの4つ口フラスコに、
単量体8(堺化学社製、TMMP、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート))の58g、
前記単量体1の42g、前記光重合開始剤1の2.0g、および前記重合禁止剤1の1.0gを入れた。
光硬化性樹脂組成物6の硬化物について、紫外線透過率および引張強度を測定した。結果を表1に示す。
撹拌機および冷却管を装着した1000mLの4つ口フラスコに、
前記単量体1の60g、前記単量体2の40g、前記光重合開始剤1の4.0g、
含フッ素界面活性剤1(旭硝子社製、フルオロアクリレート(CH2=CHCOO(CH2)2(CF2)8F)とブチルアクリレートとのコオリゴマー、フッ素含有量:約30質量%、質量平均分子量:約3000)の0.1g、
および前記重合禁止剤1の1.0gを入れた。
撹拌機および冷却管を装着した1000mLの4つ口フラスコに、
前記単量体1の60g、前記単量体2の40g、前記光重合開始剤1の4.0g、および前記重合禁止剤1の1.0gを入れた。
撹拌機および冷却管を装着した1000mLの4つ口フラスコに、
前記単量体1の60g、前記単量体2の40g、前記光重合開始剤1の4.0g、前記含フッ素界面活性剤1の0.1g、前記重合禁止剤1の1.0g、およびシクロヘキサノンの65.0gを入れた。
マスターモールドとして、複数の凸条が互いに平行にかつ所定のピッチで形成されたシリコン製モールド(100mm×100mm、凸条のピッチPp:150nm、凸条の幅Dp:50nm、凸条の高さHp:200nm、凸条の長さ:50mm、凸条の断面形状:矩形。)を用意した。
モールドベースの作製:
厚さ188μmの高透過ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(帝人デュポン社製、帝人テトロンO3、100mm×100mm)の表面に、光硬化性樹脂組成物1をスピンコート法により塗布し、厚さ1μmの光硬化性樹脂組成物1の塗膜を形成した。
離型剤処理されたシリコン製モールドを、凸条が光硬化性樹脂組成物1の塗膜に接するように、25℃にて0.5MPa(ゲージ圧)で光硬化性樹脂組成物1の塗膜に押しつけた。
該状態を保持したまま、PETフィルム側から高圧水銀灯(周波数:1.5kHz〜2.0kHz、主波長光:255nm、315nmおよび365nm、365nmにおける照射エネルギー:1000mJ。)の光を15秒間照射し、光硬化性樹脂組成物1を硬化させて、シリコン製モールドの凸条に対応する複数の溝を有するモールドベース(溝のピッチPp:150nm、溝の幅Dp:50nm、溝の深さHp:200nm。)を作製した。モールドベースからシリコン製モールドをゆっくり分離した。
モールドベースについて、水に対する接触角を測定した。結果を表1に示す。
ロードロック機構を備えたインライン型スパッタ装置(日真精機社製)に、ターゲットとしてSiO2を取り付けた。スパッタ装置内にモールドベースをセットし、モールドベースの溝が形成されている面に対して垂直方向からSiO2を着膜させ、厚さ5nmのSiO2層を形成し、モールドベースの裏面にPETフィルムが貼着され、表面にSiO2層が形成された中間体を得た。
中間体を離型剤溶液1の100mLにディップし、引き上げた後、直ちにフッ素系溶媒(旭硝子社製、CT−Solv.100)でリンスし、60℃、90%RHの恒温高湿槽中にて1時間キュアし、SiO2層の表面に厚さ2nmの離型層を形成し、ナノインプリント用モールド1を得た。ナノインプリント用モールド1の離型層の表面の水の接触角を測定した。結果を表1に示す。
また、耐久性IIを評価した。耐久性の評価の操作を100回繰り返しても、光硬化性樹脂組成物8の硬化物からなる光透過性基板の表面の微細凹凸構造に変化はみられなかった。また、1回目の操作の後、ナノインプリント用モールド1の離型層の表面の水の接触角を測定したところ93°であった。結果を表1に示す。
光硬化性樹脂組成物1の代わりに光硬化性樹脂組成物2を用いた以外は、例1と同様にしてナノインプリント用モールド2を作製した。SiO2層の厚さは5nmであり、離型層の厚さは2nmであった。ナノインプリント用モールド2の離型層の表面の水の接触角を測定した。結果を表1に示す。
また、耐久性IIを評価した。耐久性の評価の操作を100回繰り返しても、光硬化性樹脂組成物8の硬化物からなる光透過性基板の表面の微細凹凸構造に変化はみられなかった。結果を表1に示す。
金属酸化層の形成:
スパッタのターゲットとしてAl2O3を用いた以外は、例1と同様にして厚さ5nmのAl2O3層を形成し、モールドベースの裏面にPETフィルムが貼着され、表面にAl2O3層が形成された中間体を得た。
金属酸化物と化学結合しうる基を有する化合物からなるフッ素系離型剤(ダイキン工業社製、オプツールHD2100)をフッ素系溶媒(旭硝子社製、CT−Solv.100)に溶解させて、離型剤溶液2(フッ素系化合物の濃度:1質量%)を調製した。
また、耐久性IIを評価した。耐久性の評価の操作を100回繰り返しても、光硬化性樹脂組成物8の硬化物からなる光透過性基板の表面の微細凹凸構造に変化はみられなかった。結果を表1に示す。
光硬化性樹脂組成物1の代わりに光硬化性樹脂組成物3を用いた以外は、例1と同様にしてナノインプリント用モールド4を作製した。SiO2層の厚さは5nmであり、離型層の厚さは2nmであった。ナノインプリント用モールド4の離型層の表面の水の接触角を測定した。結果を表1に示す。
また、耐久性IIを評価した。耐久性の評価の操作を100回繰り返しても、光硬化性樹脂組成物8の硬化物からなる光透過性基板の表面の微細凹凸構造に変化はみられなかった。結果を表1に示す。
金属酸化層の形成:
光硬化性樹脂組成物1の代わりに光硬化性樹脂組成物4を用いた以外は、例1と同様にして中間体を作製した。SiO2層の厚さは5nmであった。
金属酸化物と化学結合しうる基を有する化合物からなるフッ素系離型剤(ダイキン工業社製、オプツールDSX)をフッ素系溶媒(旭硝子社製、CT−Solv.100)に溶解させて、離型剤溶液3(フッ素系化合物の濃度:2質量%)を調製した。
また、耐久性IIを評価した。耐久性の評価の操作を100回繰り返しても、光硬化性樹脂組成物8の硬化物からなる光透過性基板の表面の微細凹凸構造に変化はみられなかった。結果を表1に示す。
スパッタのターゲットとしてZrO2を用いた以外は、例1と同様にして厚さ5nmのZrO2層を形成し、モールドベースの裏面にPETフィルムが貼着され、表面にZrO2層が形成され、その上にさらに離型層の形成されたナノインプリント用モールド6を得た。ナノインプリント用モールド6の離型層の表面の水の接触角を測定した。結果を表1に示す。
また、耐久性IIを評価した。耐久性の評価の操作を100回繰り返しても、光硬化性樹脂組成物8の硬化物からなる光透過性基板の表面の微細凹凸構造に変化はみられなかった。結果を表1に示す。
例1と同様にして、モールドベースの裏面にPETフィルムが貼着され、表面に厚さ5nmのSiO2層が形成された中間体を得た。該中間体をナノインプリント用モールド7とした。ナノインプリント用モールド7のSiO2層の表面の水の接触角を測定した。結果を表1に示す。
また、耐久性IIを評価した。耐久性の評価の操作の1回目から、光硬化性樹脂組成物8の硬化物からなる光透過性基板からナノインプリント用モールド7を分離できなかった。結果を表1に示す。
例1と同様にして、PETフィルム付きモールドベースを作製した。該モールドベースに、例1と同様にして厚さ2nmの離型層を形成し、ナノインプリント用モールド8を得た。ナノインプリント用モールド8の離型層の表面の水の接触角を測定した。結果を表1に示す。
また、耐久性IIを評価した。耐久性の評価の操作の1回目から、光硬化性樹脂組成物8の硬化物からなる光透過性基板からナノインプリント用モールド8を分離できなかった。結果を表1に示す。
光硬化性樹脂組成物1の代わりに光硬化性樹脂組成物5を用いた以外は、例1と同様にしてナノインプリント用モールド9を作製した。SiO2層の厚さは5nmであり、離型層の厚さは2nmであった。ナノインプリント用モールド7の離型層の表面の水の接触角を測定した。結果を表1に示す。
また、耐久性IIを評価した。耐久性の評価の操作を100回繰り返しても、光硬化性樹脂組成物8の硬化物からなる光透過性基板の表面の微細凹凸構造に変化はみられなかった。結果を表1に示す。
光硬化性樹脂組成物1の代わりに光硬化性樹脂組成物6を用いた以外は、例1と同様にしてナノインプリント用モールド10を作製した。SiO2層の厚さは5nmであり、離型層の厚さは2nmであった。ナノインプリント用モールド10の離型層の表面の水の接触角を測定した。結果を表1に示す。
また、耐久性IIを評価した。耐久性の評価の操作を100回繰り返しても、光硬化性樹脂組成物8の硬化物からなる光透過性基板の表面の微細凹凸構造に変化はみられなかった。結果を表1に示す。
光透過性基板の作製:
厚さ100μmの高透過ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(帝人デュポン社製、帝人テトロンO3、100mm×100mm)の表面に、光硬化性樹脂組成物9をスピンコート法により塗布し、厚さ1μmの光硬化性樹脂組成物9の塗膜を形成した。
ナノインプリント用モールド1(100mm×100mm、溝のピッチPp:150nm、溝の幅Dp:40nm、溝の深さHp:200nm、溝の長さ:50mm、溝の断面形状:矩形。)を、溝が光硬化性樹脂組成物9の塗膜に接するように、25℃にて0.5MPa(ゲージ圧)で光硬化性樹脂組成物9の塗膜に押しつけた。
該状態を保持したまま、ナノインプリント用モールド1側から高圧水銀灯(周波数:1.5kHz〜2.0kHz、主波長光:255nm、315nmおよび365nm、365nmにおける照射エネルギー:1000mJ。)の光を15秒間照射し、光硬化性樹脂組成物9を硬化させて、複数の凸条を有する光透過性基板を作製した。光透過性基板からナノインプリント用モールド1をゆっくり分離した。
3枚の光透過性基板に対して、下記の方法で光透過性基板の凸条上に金属細線を形成した。
蒸着源に対向する光透過性基板の傾きを変更可能な真空蒸着装置(昭和真空社製、SEC−16CM)を用い、光透過性基板の凸条に斜方蒸着法にてアルミニウムを蒸着させ、光透過性基板の凸条上に金属細線(厚さHm:50nm)を形成し、裏面にPETフィルムが貼着されたワイヤグリッド型偏光子を得た。なお、アルミニウムの高さは水晶振動子を膜厚センサーとする膜厚モニターにより測定した。得られた各ワイヤグリッド型偏光子について、金属細線の幅(Dm)、透過率、反射率、および偏光度を測定した。結果を表2に示す。
なお、2008年6月5日に出願された日本特許出願2008−148025号の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。
12 モールドベース
14 溝
16 金属酸化物層
18 離型層
20 支持基板
30 光硬化性樹脂組成物
40 マスターモールド
42 凸条
50 ワイヤグリッド型偏光子
52 凸条
54 光透過性基板
56 金属細線
58 支持基板
60 光硬化性樹脂組成物
Claims (13)
- モールド面に微細凹凸構造を有するナノインプリント用モールドであって、
前記微細凹凸構造のベースとなる微細凹凸構造を表面に有する樹脂製のモールドベースと、
前記モールドベースの微細凹凸構造を有する表面を被覆した金属酸化物層と、
前記金属酸化物層の表面を被覆した離型層と
を有することを特徴とする、ナノインプリント用モールド。 - 前記モールド面の微細凹凸構造が、凸条または溝を有する構造である、請求項1に記載のナノインプリント用モールド。
- 前記凸条の幅または溝の幅が、平均で10nm〜50μmである、請求項2に記載のナノインプリント用モールド。
- 前記金属酸化物層と前記離型層の厚さがそれぞれ1nm以上であり、両者合計の厚さが溝の幅の0.4以下である、請求項2または3に記載のナノインプリント用モールド。
- 前記モールド面の微細凹凸構造が、互いに平行にかつ一定のピッチで形成された複数の溝であり、該溝のピッチが30〜300nmである、請求項1〜4のいずれかに記載のナノインプリント用モールド。
- 前記金属酸化物層が、Si、AlおよびZrからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を含む層である、請求項1〜5のいずれかに記載のナノインプリント用モールド。
- 前記離型層が、フルオロアルキル基(エーテル性酸素原子を有していてもよい。)を有する化合物から形成された離型層である、請求項1〜6のいずれかに記載のナノインプリント用モールド。
- 前記モールドベースが、光硬化性樹脂組成物の硬化物からなる、請求項1〜7のいずれかに記載のナノインプリント用モールド。
- 支持基板の表面に光硬化性樹脂組成物の層を形成する工程と、
モールド面に微細凹凸構造を有するマスターモールドと前記支持基板を重ねて、前記マスターモールドのモールド面と前記支持基板の表面との間に前記光硬化性樹脂組成物を挟持する工程と、
前記光硬化性樹脂組成物が挟持された状態で該光硬化性樹脂組成物を硬化させて、前記モールド面の微細凹凸構造が反転した微細凹凸構造を表面に有するモールドベースを形成する工程と、
前記モールドベースと前記マスターモールドとを分離する工程と、
前記モールドベースの微細凹凸構造を有する表面に金属酸化物層を形成する工程と、
前記金属酸化物層の表面に離型層を形成する工程と
を有することを特徴とする、ナノインプリント用モールドの製造方法。 - 前記金属酸化物層を形成する方法が、スパッタ法である、請求項9に記載のナノインプリント用モールドの製造方法。
- 前記離型層を形成する方法が、離型剤を含む溶液を金属酸化物層表面に接触させ、その後金属酸化物層表面を洗浄液で洗浄して乾燥する方法である、請求項9または10に記載のナノインプリント用モールドの製造方法。
- 支持基板の表面に光硬化性樹脂組成物の層を形成する工程と、
請求項1〜8のいずれかに記載のナノインプリント用モールドと前記支持基板を重ねて、前記微細凹凸構造を有するモールド面と前記支持基板の表面との間に前記光硬化性樹脂組成物を挟持する工程と、
前記光硬化性樹脂組成物が挟持された状態で該光硬化性樹脂組成物を硬化させて、前記モールド面の微細凹凸構造が反転した微細凹凸構造を表面に有する樹脂成形体を形成する工程と、
前記樹脂成形体と前記モールドとを分離する工程と、
を有することを特徴とする、表面に微細凹凸構造を有する樹脂成形体の製造方法。 - 支持基板の表面に光硬化性樹脂組成物の層を形成する工程と、
請求項5に記載のナノインプリント用モールドと前記支持基板を重ねて、前記溝を有するモールド面と前記支持基板の表面との間に前記光硬化性樹脂組成物を挟持する工程と、 前記光硬化性樹脂組成物が挟持された状態で該光硬化性樹脂組成物を硬化させて、前記モールド面の溝に対応する複数の凸条を有する光透過性基板を形成する工程と、
前記光透過性基板と前記モールドとを分離する工程と、
前記光透過性基板の凸条上に金属層を形成する工程と
を有することを特徴とする、ワイヤグリッド型偏光子の製造方法。
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