JPWO2006062214A1 - プレコート金属板およびプレコート金属板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
鋼板の場合について言えば、近年は、加工後の塗装工程を省略してコストの低減を図るために、予め塗装がほどこされているプレコート鋼板を採用する動きが盛んになっている。プレコート鋼板では、鋼板原板の上に化成処理をした後に、プライマー層を形成し、その上に1以上の塗膜層を形成する。プライマー層は省略される場合もある。裏面は、サービスコートと称して1層の塗装をする場合が多い。
プライマー層を除いて2以上の塗膜層を有する従来のプレコート鋼板の製造では、プライマー層の上に、カーテンコータやロールコータを用いて形成した単一の下層塗料膜を乾燥焼き付け後、やはりカーテンコータやロールコータを用いて形成した単一の上層塗料膜を乾燥焼き付けしていた。
従来から製造されているプレコート鋼板の利点としては、(1)塗装作業が製造元で行われ、ユーザーでの塗装作業がないので、溶剤の処理が一括してできる、(2)1つのロットで纏まって塗装できるので、品質が安定する、という2点を挙げることができる。
一方、従来のプレコート鋼板の難しさとして、以下の点が挙げられる。(1)1層毎に塗布乾燥する方法で製造する場合には、塗装した後に加工するので、加工時に塗膜が剥がれることがある。(2)生産コストの面からは、2層の塗布乾燥を繰り返すのが適正であった(3層以上の塗装ラインもあるが稀であった)ため、塗膜の機能を向上させるために3層以上の塗膜を塗布しようとすると2層コートラインを2回通板することになり生産性が低下する。
プレコート鋼板の製造時に同時多層コートを適用することができれば、以下のような利点を期待することができる。第1に、同時に2層以上の塗膜の塗装ができるので、従来の単層の繰り返し塗装よりも工程が簡略化できる。第2に、3層以上の多層塗膜も同時コートできる可能性もあるので、更なる効率の向上が期待できる。第3に、従来から、乾燥しない塗料層の上に別の塗料層を形成してそれらを同時に乾燥・焼き付けするウエットオンウエット塗装では塗膜間の密着性が向上すると言われているので、塗膜間の密着性が従来の単層の繰り返し塗装よりも改善することを期待できる。
従来より、鋼板の表面に多層同時コートをする試みは、いくつか提案されている。例えば、特開平6−190335号公報には、多層同時コータで製造する塗装鋼板で、下層の表面張力>上層の表面張力にすると鮮鋭性が向上することが記載されている。実施例には、「下層用塗料としてポリエステル系のプライマー塗料を使用し、上層用塗料として高分子ポリエステル系のトップコート用塗料を使用した。各々の塗料を界面活性剤により表面張力を調整し、下層の塗料の表面張力を35mN/m、上層の塗料として表面張力を28mN/mとした。これらの塗料をスライドホッパー型カーテン塗装機により、乾燥膜厚でプライマーコートが5μm、トップコートが10μmになるように2層同時塗装を行った。塗料を塗布した鋼板を誘導加熱炉で乾燥・硬化したところ、高鮮映性鋼板を得ることができた。」ことが示されている。
特開平6−190336号公報には、模様性鋼板の製造方法が提案されていて、実施例には、塗料として高分子ポリエステル系のトップコート用塗料を使用し、鋼板面上で上層となる塗料を白、下層となる塗料を黒としたこと、模様を発生するために界面活性剤により各々の塗料の表面張力を調整し、上層の塗料の表面張力を35mN/m、下層用の塗料の表面張力を28mN/mとしたこと、これらの塗料をスライドホッパー型塗装装置により乾燥膜厚でそれぞれ10μmになるように2層同時塗布したことが示されている。
スライドホッパー型塗装装置を用いる多層同時コートによるプレコート金属板の製造は、例えば特開平6−190334号公報などにも記載されている。
プレコート金属板の一種であるトップクリア型プレコート鋼板は、最上層のクリア塗膜と下層の着色ベースコート塗膜との組み合わせで、外観に重厚感や高級感が付与される特徴を持ち、自動車、家庭電化製品(特に屋外電化製品)、建材(特に屋外建材)等に使用されてきた。一般に、このようなトップクリア型プレコート鋼板では最上層のクリア塗膜として、ポリエステル系、アクリル系、PET系、シリコーンポリエステル系、シリコーン系、シリコーンアクリル系、ふっ素系、等の樹脂が使用されてきた。
屋外で使用する場合には主にポリエステル系、アクリル系、ふっ素系、シリコーン系、シリコーンポリエステル系、シリコーンアクリル系のクリア塗膜が使用されてきた。しかし、ポリエステル系は耐候性が劣るため長期間の使用でクリア塗膜が劣化したり剥離する問題点があり、アクリル系はポリエステル系よりは耐候性に優れるものの、それでも耐候性がまだ不十分であった。一方、ふっ素を使用した例として、例えば、特開平4−131165号公報では、トップクリア塗料に水系のふっ素樹脂を適用することが報告されている。特開平10−5693号公報には、自然の石や岩に近い外観を有する化粧金属板のトップクリア塗料にふっ素樹脂を適用する方法が報告されている。確かにこれらのようにふっ素樹脂をクリア塗料にすることにより耐候性は向上するものの、コストが高くなる問題点があった。
このように複数の塗膜層からなり、最表層が透明または半透明のクリア層であるタイプのトップクリア型プレコート金属板の場合、最表層が劣化しても顔料の露出によるチョーキング(白化)がおこりにくく、長期間使用時の外観に優れるという特徴を有する。
しかしながら、クリア層とその下の下層塗膜との界面が光によって劣化し、該下層塗膜とクリア層との間で界面剥離しやすい問題があった。この原因は、劣化の大きな原因である紫外線がクリア層を透過し、下層塗膜の最表層を劣化させることによると考えられている。このような劣化を防止するために、クリア層に高価な紫外線吸収剤を添加する(塗装工学誌,2001年36巻8号,第266〜271頁)などの方法がとられてきたが、一般的に高コストであり、且つ劣化防止の効果も不充分であった。
プレコート金属板は、需要家において成形加工を施されるため、加工性に優れることが第一に重要視されるが、これに加えて、特に耐食性を求められる場合もある。例えば、特開平8−309917号公報には、加工性に加え、端面耐食性に優れたプレコート金属板が開示されている。特開平8−309917号公報に記載されたプレコート金属板では、亜鉛系めっき金属板の両面に、塗膜中に防錆顔料を25%以上含有する塗膜を形成している。防錆顔料の含有量が50%以上になると加工性が低下することがある、と記載されている。また、上塗り塗膜を形成できることが記載され、実施例にはロールコータでの防錆顔料含有塗料の塗布とその後の焼付けに続いて、やはりロールコータでの上塗り塗料の塗布とその後の焼付けという、2回の塗布と2回の焼付け(一般に2コート2ベーク(2C2B)と略称される)による製造例が示されている。
通常のプレコート金属板は、上述のように2回の塗布と2回の焼付けを行う方法により、下層の塗膜と上層の塗膜を別々に形成して製造される。2層の塗料膜(着色ベース塗料層とクリア塗料層で構成される)をウエットオンウエット法で形成(すなわち、焼付け前の着色ベース塗料層の上にクリア塗料層を形成)後、1回の焼付けで、2層の塗膜を形成する方法(一般に2コート1ベーク(2C1B)と略称される)も知られている(例えば、特開平11−19583号公報)。
特開平8−309917号公報に記載されたように、塗膜中の防錆顔料の含有量を増加させると、プレコート金属板の加工性を損なうことが知られている。また、下層と上層の2層構造の一般的なプレコート金属板において、下層の防錆顔料を増やすと、塩水噴霧試験(SST)において2層の界面に塩水が侵入して膨れを生じさせやすくなることから分るように、プレコート金属板の耐食性を思いどおりに上昇させることができなくなることも知られている。
また、塗膜間の密着性の向上を期待したが、必ずしも密着性が向上するとは限らないことが判明した。
本発明は、多層同時コータを用いて多層同時コートにより製造される、プレコート鋼板に代表されるプレコート金属板の、表面外観の色むらを防止すると同時に、塗膜間の密着性を改善することを目的とする。
本発明はまた、上記した従来技術の欠点を解消した、耐候性に優れたトップクリア型のプレコート金属板を提供することを目的とする。
加工性と耐食性を両立するプレコート金属板を提供することも、本発明の目的である。
本発明者らは、多層同時コートで製造されたプレコート鋼板に本来備わっているべく特性を生かすべく、種々実験を重ねた結果、多層同時コート法により得られた多層塗膜間の界面の特徴として、500倍の低倍率で拡大した界面にうねりが認められること(上下の塗膜をそれらの塗料を別々に塗布し焼き付けて形成した場合に見られる界面に比べて、上層が下層中へ、且つ下層が上層中へと相互に貫入して波をうった界面)、そしてその界面を更に5000倍の高倍率で観察すると、うねりのある界面自体にずっと微細な凹凸が見られることを突き止めた。更に、そのようなうねりのある界面と、界面自体の微細な凹凸は、上層と下層の塗料の表面張力を調整することにより制御することが可能であることを見出して、塗膜間の密着性と塗膜外観の色むらの問題を同時に解決する方策を提案することが可能になった。それにより、従来の個別に形成した単層を重ねたプレコート鋼板より優れた特性を持つ、多層同時コートによるプレコート鋼板を実現させた。こうして開発された技術は、プレコート鋼板に限らず、未加工の金属板に多層同時コートで塗膜を形成した一般のプレコート金属板にも応用可能である。
本発明において、「多層同時コート」とは、金属板上に2以上の異なる塗料の層を同時に塗布して多層の塗料膜を形成後、それらの塗料層を同時に乾燥・焼き付けして多層塗膜を形成することをいう。
ここで、色むらを防止すると同時に塗膜間の密着性の向上した本発明のプレコート金属板とその製造方法の骨子をまとめて示すと以下のとおりである。
(1)金属板の表面に多層同時コート装置を用いて形成した2層以上の塗膜を有するプレコート金属板であって、塗膜の界面の中心線平均粗さRaが0.3μm以上であり、且つ、500倍の倍率で観測される界面のうねりの中心線からの最大高さが界面の上に位置する層の該中心線から測定した厚さの50%以下であることを特徴とする、多層同時コートにより製造されたプレコート金属板。
(2)金属板の表面に多層同時コート装置を用いて塗装を施すプレコート金属板の製造方法であって、上層の塗料にレベラーを添加して、下層の塗料と上層の塗料の表面張力の差を1.2mN/m以上5mN/m未満とすること、且つ、各層の塗料として、その表面張力を5回測定したとき、得られる測定値の最大値と最小値の差が2mN/m未満である塗料を使用することを特徴とするプレコート金属板の製造方法。
(3)金属板の表面に多層同時コート装置を用いて塗装を施すプレコート金属板の製造方法において、上層と下層の両方の塗料にレベラーを添加して、下層の塗料と上層の塗料の表面張力の差を0.3mN/m以上3.7mN/m未満とすること、且つ、各層の塗料として、その表面張力を5回測定したとき、得られる測定値の最大値と最小値の差が2mN/m未満である塗料を使用することを特徴とするプレコート金属板の製造方法。
本発明の色むらを防止したプレコート金属板において、上層又は上層塗膜層とは、金属板の表面に多層同時コート装置で塗装した2以上の塗膜層のうち、着色された層のなかで最も上に位置する層の塗膜層を指し、下層又は下層塗膜層とは、この着色した最上層に隣接してその下に位置する塗膜層を指す。3層以上を多層同時コートする場合には、同時に塗布した全ての組み合わせの隣り合う層について、上記(2)又は(3)に示した関係が成り立つときに、色むらの発生が抑止できる。
本発明において、レベラーとは、塗料の表面調整剤の一種で、レベリング剤とも呼ばれ、塗料の表面を均一化する特性を有する添加剤である。好適なレベラー添加については、後述のとおり、レベラーを添加した塗料を単層で塗装したときに、ウエット状態でゆず肌状の表面凹凸が発生するか否かで判定することができる。
本発明によれば、塗膜の色むらを発生させることなく多層同時コートによりプレコート金属板を製造することで、同時に2層以上の塗膜の塗装ができるので、従来の単層の繰り返し塗装よりも工程が簡略化できる。本発明では、3層以上の多層塗膜も同時コートにより形成することが可能であり、それにより更に効率を向上させることができる。
更に、本発明によれば、単層コートを繰り返して製造される従来の多層プレコート金属板に比べて、色むら特性が劣ることなく、更に密着性が良いプレコート金属板を提供することができる。
本発明者らは、多層同時コートで形成した塗膜間のうねりのある界面の微細な凹凸を制御すると、耐候性に優れたトップクリア型のプレコート金属板を得ることができることも見いだした。
本発明の耐候性に優れたトップクリア型のプレコート金属板はこの知見に基づくものであり、より詳しくは、金属板と、該金属板上に多層同時コート装置を用いて形成した2層以上の塗膜とを少なくとも含むプレコート金属板であって、該塗膜が、透明または半透明の上層クリア層と、該上層クリア層に隣接する下層塗膜層とを少なくとも含み、且つ、該上層クリア層と下層塗膜層との界面の中心線平均粗さRaが0.3〜0.7μmであることを特徴とするものである。
好ましくは、下層塗膜層と上層クリア層の両方又は一方に、当該層の塗料樹脂とも他方の層の塗料樹脂とも反応する成分(硬化剤)が含有される。
上記構成を有する本発明のプレコート金属板においては、最上層(クリア層)と、これに隣接する下層塗膜層との界面のRaが0.3〜0.7μmであることに基づき、該界面の面積が増大すること、及び該界面における乱反射の比率が増大することの組合せによって、クリア層と下層塗膜との界面の光劣化を抑制しそして密着性を確保することができ、したがって耐候性を向上させることが可能となるものと推定される。
これに対して、従来のトップクリア層を有するプレコート金属板においては、トップクリア層を透過した光のために、それに隣接する下層たる着色層との界面において光劣化が生じて、トップクリア層−着色層の界面で密着性が損なわれて剥離が生じやすくなるため、プレコート金属板としての耐候性が不充分であったものと推定される。
上述したように本発明によれば、トップクリア層と下層塗膜との間の層間剥離が効果的に抑制されて、耐候性を向上させたプレコート金属板を得ることができる。
更には、本発明のプレコート金属板においては、トップクリア層に紫外線(UV)吸収剤(これは従来のトップクリア型塗装板においては必須であった)を用いることが必ずしも必要でなくなるため、このような高価な紫外線吸収剤の使用量を低減ないしは省略することができる。
本発明者らは更に、多層同時コートで形成した多層塗膜間のうねりのある界面の微細な凹凸を制御し、且つ、各塗膜中の防錆顔料含有量を制御することにより、加工性と耐食性を両立するプレコート金属板を得ることができることも見いだした。
より詳しく言えば、本発明者らは、平均で30質量%以上の防錆顔料を含有する下層と、下層中の防錆顔料と同じ防錆顔料が下層の平均含有量より低い平均含有量で、且つ下層との界面近傍から遠ざかるにつれてしだいに低下する濃度勾配で存在する上層を、多層同時コートで形成し、且つうねりのある両層の界面の中心線平均粗さRaを適切に調整することにより、加工性に優れるとともに耐食性にも優れたプレコート金属板が得られることを見いだした。
加工性と耐食性を両立する本発明のプレコート金属板は、この知見に基づくものであり、その骨子は以下のとおりである。
(1)金属板上に多層同時コート装置で形成した下層塗膜層とその上の上層塗膜層とを有し、下層塗膜層が平均で30質量%以上の防錆顔料を含有し、上層塗膜層が下層塗膜層中の防錆顔料と同じ防錆顔料を下層塗膜層の平均含有量より低い平均含有量で、且つ下層塗膜層との界面近傍から遠ざかるにつれてしだいに低下する濃度勾配で含有しており、下層塗膜層と上層塗膜層との界面の中心線平均粗さRaが0.3〜0.7μmであることを特徴とする、多層同時コートで製造された加工性と耐食性に優れたプレコート金属板。
(2)金属板の表面に多層同時コート装置を用いて塗装を施すプレコート金属板の製造方法であって、防錆顔料を含有する下層塗料層と、その上の上層塗料層からなる、多層同時コートにより形成した塗料膜を焼付ける際に、下層塗料層中の防錆顔料の一部を上層塗料層中へ拡散させて、焼付けにより形成した下層中の平均の防錆顔料濃度が30質量%以上となり、上層中に下層中の防錆顔料と同じ防錆顔料を下層の平均含有量より低い平均含有量で、且つ下層との界面近傍から遠ざかるにつれてしだいに低下する濃度勾配で存在させるようにし、且つ、上層塗料層に、又は上層塗料層と下層塗料層に、レベラーを添加することにより、下層塗膜層と上層塗膜層との界面の中心線平均粗さRaが0.3〜0.7μmとなるようにすることを特徴とする、多層同時コートで製造された加工性と耐食性に優れたプレコート金属板の製造方法。
多層同時コートで製造される本発明の加工性と耐食性を両立するプレコート金属板においては、下層の防錆顔料を増加させることができることから、それにより耐食性を確保することができ、且つ、上層と下層との密着性を確保することで、プレコート金属板の加工性を高めるとともに耐食性を更に向上させることができる。
本発明の加工性と耐食性を両立するプレコート金属板は、3層以上を同時コートしたプレコート金属板であってもよく、例えば、本発明の要件を満たすように防錆顔料を含む2層の上に、トップコートとしてクリアコートを有するプレコート金属板であってもよい。
図2は、下層と上層の表面張力差と色むら評点との関係を示すもう一つの図である。
図3Aと3Bは、本発明によるプレコート金属板の下層塗膜層と上層塗膜層の界面を説明する図である。
図4Aと4Bは、本発明によるプレコート金属板の塗膜断面の走査型顕微鏡写真である。
図5は、下層と上層の塗膜界面のRa評価方法を説明する図である。
図6は、下層が顔料を含む場合の界面を説明する図である。
図7は、スライドホッパー型カーテン塗装装置の模式斜視図である。
図8は、塩水噴霧試験(SST)にかけた塗装金属板の試料を説明する図である。
図9は、塩水噴霧試験にかけた塗装金属板試料のクロスカット部を説明する図である。
図10は、塩水噴霧試験にかけた塗装金属板試料の端面を説明する図である。
図11は、実施例で使用するプレコート鋼板の製造処理ラインを説明する模式図である。
金属板には、塗装前処理を施してもよい。また、金属板には、塗装前処理を施した場合も施さない場合も、多層同時コート装置での塗装前に、プライマー塗装を行うことができる。
使用可能な鋼板の例としては、冷延鋼板、熱延鋼板、亜鉛めっき鋼板、合金化亜鉛めっき鋼板、亜鉛−鉄合金めっき鋼板、亜鉛−アルミニウム合金めっき鋼板、アルミニウムめっき鋼板、クロムめっき鋼板、ニッケルめっき鋼板、亜鉛−ニッケル合金めっき鋼板、錫めっき鋼板等の鋼板を挙げることができる。鋼板には、必要に応じて下地処理(塗装前処理)を施すことができる。下地処理としては、水洗、湯洗、酸洗、アルカリ脱脂、研削、研磨、クロメート処理、リン酸亜鉛処理、複合酸化皮膜処理その他のノンクロメート型の処理等がある。これらを単独又は組み合わせて、鋼板の塗装前処理を行うことができる。
以下では、代表的な金属板である鋼板を例に、本発明を説明することにする。
従来、多層同時コート装置を用いて鋼板への多層同時塗布と同時焼付けを実施した場合、前述のとおり、塗膜に「色むら」が発生することがあった。
この色むらについては、従来、どのような状況で発生するか知見がなかった。そこでまず、最初に本発明者らは、色むらの発生について整理を行い、色むらの発生場所について検討した。そのために、加熱炉を通さないで乾燥させた多層プレコート鋼板と、加熱炉を通した後の多層プレコート鋼板について、色むら発生状況の比較を行った。その結果、加熱炉を通さないで乾燥させると色むらは発生しなかった。一方、加熱炉を用いて加熱実験をしその場観測すると、プレコート鋼板の通常の加熱速度である3〜7℃/s程度で加熱した場合に、90〜120℃の温度で、一部のプレコート鋼板に色むらの発生が見られた。したがって、色むらは加熱炉内で発生することが判った。
次に、色むらが発生した塗膜の断面を500倍の倍率で観察をすると、下層の塗膜に厚い部分と薄い部分があり、これと対応して、上層の塗膜に薄い部分と厚い部分が観察された。このため、上下の塗膜層の界面は、上層が下層中へ、下層が上層中へと相互に貫入して、うねり、あるいは波をうっているように見えた。しかし、上層と下層の塗料の混合は観察されなかった。上層と下層を別々に形成した場合のそれらの界面は、同じ倍率で観察すると平坦に見えることから、そのようなうねりのある界面は多層同時コートにより形成した塗膜界面の特徴であることが判った。このことから、上層と下層の各塗料膜の厚みが過度に不均一になると、鋼板塗装面を観察して色むらが認められることが判った。
このように、本発明における「色むら」とは、多層同時コートで形成した積層塗膜の断面に認められる、、上下層の相互貫入によるうねりに起因する塗膜の欠陥であり、「色むら」のある積層塗膜は、その表面を肉眼またはルーペで覗くと、周囲の色と異なる色の斑点が観測される。言い換えれば、本発明における「色むら」は、上層中に貫入した下層の部分が上層の表面に接近することにより、上層の膜厚が相対的に減少して、塗膜表面を見たときに周囲の色と異なる色の斑点として観測される塗膜の欠陥である。
更に、塗膜全体の厚みが大きくなると色むらが発生しやすいことが判った。具体的には、塗膜の乾燥後の厚みが15μm以上のプレコート鋼板を多層同時コートで製造すると、色むらが発生しやすいことが判った。
これらの現象が、従来の単層の塗膜についての知見で説明できるか検討した。
単層塗膜では、例えば、「浮きまだら」と呼ばれる、まだら現象が報告されている。この、浮きまだらの起こる原因は、塗布後の塗料膜からの溶剤蒸発により、表面層の粘度が増し、温度が下がるため、表面物質の密度や表面張力が大きくなり、表面物質が塗料膜内部に沈み、そして塗料膜内部より溶剤分の多い表面張力の低い部分が上昇して来て表面に広がることによって起こる対流である。この現象は一般にバナードセル(Benard Cell)対流として知られている。
したがって、同時多層コートでの色むら現象は、従来の単層での浮きまだら現象とは異なるが、加熱炉内で発生する現象であることから、塗料膜内の対流が影響している可能性があると考えて、対流を抑制する方法から検討を始めた。
上述のとおり、単層におけるバナードセル対流と呼ばれる現象は、溶剤が塗料膜表面から不均一に揮発すると、その部分の表面張力や粘性が増大して、これにより、その部分に下降流が発生しやすくなって生じる対流現象である。この現象はマランゴニ対流としても知られている。バナードセルは、塗料に表面調整剤の1種であるレベラーを添加することで塗料膜からの溶剤の不均一の蒸発を抑え、対流を抑えることにより、抑制できることが知られている。
そこで、本発明者らは、多層同時コートする塗料のうち、上層の塗料にレベラーを添加してプレコート鋼板を製作し、上層塗料にレベラーを添加しないものとの色むらの発生程度を比較した。その結果、上層にレベラーを添加すると、上層にレベラーを添加しないものと比べて色むらの程度は改善するが、その発生状況がばらつくことが判った。
続いて、本発明者らは、上層塗料にレベラーを添加した条件下で、上層と下層の塗料の表面張力を調整して、色むらが防止できるか検討した。その結果、上層と下層の塗料の表面張力の差を或る範囲に調整すると色むらが防止できることを見出した。
しかし、表面張力の差で多層塗料膜内の対流が防止できることは、従来のマランゴニ対流に起因するバナードセル対流の発生機構からは説明できない。また、異なる2層以上の塗料を塗布した場合のマランゴニ対流現象は、従来知見がない。
そこで、以下の様な仮説を考えた。上層の塗料が下層の塗料の上に広がるためには、界面の力の釣り合いより、次式の関係が成り立つことが必要と考えられる。
S=σ(下層)−σ(上層)−γ(上層と下層間)>0
ここで、σは表面張力、γは界面張力を表す。
したがって、
σ(下層)−σ(上層)>γ(上層と下層間)
の関係が必要であると考えられ、言い換えれば、下層の表面張力が上層の表面張力よりも界面張力分より大きくなければ、上層塗料は下層塗料の上に広がらないと考えられる。上層塗料が濡れ広がろうとする力は、マランゴニ対流による上層と下層の界面を乱して界面を広げようという力を抑制する方向に働くと考えられる。
多層塗料膜の上層に表面調整剤としてのレベラーを添加して色むらを抑える効果は、上層の表面張力を均一に低下させて、溶剤の不均一な蒸発を抑制することによるものと考えられる。結果的に、これは従来の単層塗料膜でのバナードセル対流を抑制する効果と似ていると考えられる。
更に、新たな効果として、上層塗料の表面張力を均一に低下させることは、下層の塗料の上に上層の塗料が均一に広がるのを促進するので、上層と下層の界面を乱して界面を広げようという力を均一に抑制する方向に働くと考えられる。
本発明者らは更に、上層のみならず下層にもレベラーを入れると、上層の表面張力が下層の表面張力よりも低いときに、上層の表面張力と下層の表面張力の差が小さくても色むらが発生しない条件があることを見出した。この現象は、下層の塗料が、さらに下の層(多層同時コートで一緒に形成する別の塗料の層、もしくは鋼板原板あるいはその上のプライマー層)上に広がりやすくなり、下層塗料が局部的に盛り上がる現象が抑制されるためと推測した。
このように、本発明においては上層及び下層塗料の表面張力を調整することが重要である。この表面張力の調整は、界面活性剤の1種であるレベラーを利用して行うことができる。
一般的に、界面活性剤には、レベラーと消泡剤があり、特に消泡剤は、塗料の中の気泡を離脱させるために用いられている。
本発明において表面張力の調整のために用いたものは、塗膜の平滑性を向上させるのに用いられるレベラーといわれる種類に属するものであるが、その中で以下の様な判定を行い選別した適正なレベラーを用いた。適正なレベラー及びその添加量は、簡易的には、塗料の表面張力の調整に必要な量のレベラーを添加した塗料を単層で、十分ぬれ性の良い基板(レベラー未添加の塗料を塗布したときには、塗料層がウェット状態でゆず肌にならない基板)上に塗布したときに、ウェット状態でゆず肌状のはじきが発生するか否かで判定できる。ゆず肌状のはじきが発生しないレベラーを、本発明で使用可能な適正なレベラーと判断することができる。
実際に使用できるレベラーとしては、アクリル系レベラーや、シリコーン系レベラーがある。例えば、非シリコーン系のものとして、ホモゲノールL18、ホモゲノールL95、ホモゲノールL1820(花王社)、BYK057、BYK051、BYK052、BYK053、BYK055、BYK077(BYK−Chemie社)等が、シリコーン系のものとして、ホモゲノールL100(花王社)、BYK080、BYK141、BYK065、BYK066、BYK070、BYK088(BYK−Chemie社)等が挙げられる。
多層同時コートで製造した製品プレコート鋼板の塗膜中のレベラーは、製品の塗膜を剥離して、溶媒中で未反応高分子を抽出し、抽出後の溶媒を加熱、濃縮した後に、赤外線吸光分析で検出できる。
次に実際に実験した色むら防止の検討結果について、図面を参照して説明する。色むら評点は、目視で色むらなしを5点にし、色むらが目視で充分確認できるように発生した場合を評点1とし、その間を色むら発生の程度でランクつけをして表した。例えば、評点4は目視でははっきりした色むらは見えないが、10倍のルーペで見ると色むらが確認できる程度である。
図1は、下層の塗膜にはレベラーを入れず、上層の塗膜にレベラーを入れた場合と入れなかった場合の色むらに対する効果を示す図であり、表面張力差(下層−上層)を横軸に、色むら評点を縦軸にして両者の関係を表したものである。
上層がレベラーを含有する場合(図1に黒丸で示される)には、表面張力差(下層−上層)が1.2mN/m以上になると色むら評点5が得られた。一方、上層にレベラーがない場合(図1に三角で示される)には、下層と上層の表面張力差は1mN/m程度にしか調整できず、色むら評点は2から4にばらついた。
上層にレベラーがない場合には、下層と上層の表面張力差の調整代は小さいが、この範囲で上層にレベラーがある場合と比べると上層にレベラーがある場合の方が比較的色むら評点が良好であり、上層にレベラーを添加することにより色むらが改善している。
図2は、上層にレベラーを入れ、下層にレベラーを入れた場合と入れなかった場合の色むらに対する効果を示す図であり、表面張力差(下層−上層)を横軸に、色むら評点を縦軸にして両者の関係を表したものである。
上層と下層にレベラーがある場合(図2に白丸で示される)には、表面張力差(下層−上層)が0.3mN/m以上になると色むら評点5が得られた。この場合は、上層にレベラーがあって、下層にレベラーがない場合(図2に黒丸で示される)と比べると、表面張力の差が小さくても色むらが改善されている。
図1、2の上層レベラーあり、下層レベラーなしの事例中には、表面張力差が1.1mN/mの場合に、評点が2の色むらが見られたものがある。この事例では、上層に添加する溶剤の量を増加させて上層の表面張力を低下させたために上層の粘性も低下した。したがって、色むら発生の第1の要因としては下層と上層の表面張力の差が1.2mN/m未満になったことが挙げられるが、もう1つの要因として粘性が低下したことが色むらに影響していると考えられる。この事例での上層のイワタカップで測定した粘度は37秒であった。しかし、別の事例では、上層と下層との表面張力差が1.2mN/m未満であっても、上層の粘度が59秒では色むら評点が4点であるものがあった。このことより、上層の粘度は高いほうが色むらは抑制され、60秒以上が好ましいといえる。また、下層の粘度についても、高いほうが色むらが抑制される傾向が見られる。
本発明において多層同時コートに用いられる各層の塗料としては、その表面張力を5回測定したとき、その最大値と最小値との差が2mN/m未満であるような塗料を使用することが重要である。これは、次の理由による。塗料中に表面張力のミクロ的不均一が生ずると、それがきっかけとなって加熱過程で塗料層内に前述のような微細な対流現象が誘起され、上下層の平均的な表面張力の差が適正であっても、色むらが発生してしまう。よって、使用する塗料は、表面張力のミクロ的均一性が確保された塗料でなければならない。
表面張力のミクロ的不均一を生じる塗料で形成した塗料層は、誘起される微細な対流現象の結果としてゆず肌状の外観を呈する。このようなゆず肌状の外観に至るかどうかは、先に述べたとおり、塗料を単層で基板上に塗布したときの外観により簡易的に判断できる(ミクロ的に不均一な塗料はゆず肌状外観になる)。発明者らは、これを定量的に判定する基準として、表面張力を複数回測定したときの値のばらつきが有用であることを見いだした。すなわち、表面張力を5回測定して、その最大値と最小値との差が2mN/m未満であると、その塗料は十分にミクロ的に均一であると見なすことができることが判った。
多層同時コートにより製造された本発明のプレコート鋼板の断面を500倍で観察すると、図3Aに模式的に示したように、下層塗膜層101と上層塗膜層103の界面105にうねりが認められる。一般に、うねりのピッチ(図中の距離P)は0.5〜1mm程度である。塗膜層界面105を更に高倍率の5000倍で観察すると、図3AのBで示した部分の拡大図に相当する図3Bに模式的に示したように、界面に微細な凹凸が認められる。
図4A及び図4Bは、塗装した鋼板を切断して樹脂に埋め込んだ後に研磨して平滑にした塗膜の表面に垂直な断面の、それぞれ500倍及び5000倍の走査型顕微鏡写真である。図4Aの中央部に見られる3つの層のうち、一番下の層は鋼板表面に形成したプライマー層であり、その上の2層が多層同時コートで形成した塗膜の層である。多層同時コートで形成した上下層の間の界面がなだらかにうねっているのが認められる。図4Bでは、上記の3層が拡大されており、中央に見られる多層同時コート塗膜の下層とその上に見られる上層との界面に、図4Aにおけるうねりよりも微細な凹凸が認められる。多層同時コート塗膜の下層中の白い斑点は、塗料に添加した顔量の粒子である。
多層同時コートで形成した上下の塗膜層間の界面の微細な凹凸は、材料の表面粗さを表すのに用いられる中心線平均粗さRa(JIS B 0601)を求めることで、規定することができる。すなわち、5000倍で観測したときの界面105の曲線を粗さ曲線と見立てて、Raを求めることができる。
例えば、塗装した鋼板を切断して樹脂に埋め込んだ後に研磨することで、塗膜の表面に垂直な断面を平滑にして、5000倍の走査型顕微鏡で写真撮影した後に、その界面のRaを求めることができる。具体的には、界面のRaは、写真の上にOHPに用いられる透明シートをかぶせて、界面の凹凸を精密にトレースした後に、図5に示す様に、縦線の部分の面積を画像処理装置で測定して、その平均値として次の式から求めることができる。
Ra=(∫0 l|f(x)|dx)/l
式中のlは図5に示した中心線方向の測定長さである。
更に簡便に界面のRaを測定するには、写真の上にOHPに用いられる透明シートをかぶせて界面の凹凸を精密にトレース後、図5の中心線に相当する平均線を引いて、凹凸に沿って透明シートを切り取り、平均線の上下の山の部分と谷の部分の重量を測定して、その重量を平均長さに換算してRaを求めてもよい。
多層同時コートで形成した塗膜層の界面の凹凸をこのようにして調べると、中心線平均粗さRaの値は、一般に0.3μm以上であり、最低でも0.25μm程度であることが判り、その上限は一般に0.7μm程度であることが判った。この関係は、多層同時コートで形成した3層以上の塗膜でも同様に認められ、この場合、隣接する2層間の界面について、5000倍の高倍率で観測される中心線平均粗さRaは、やはり一般に0.3μm以上、最低でも0.25μm程度であり、その上限は一般に0.7μm程度であった。一方、従来の単層コート法で形成した塗膜層を重ねた多層塗膜の場合には、界面のRaは0.15〜0.25μm程度であり、5000倍の顕微鏡写真で見ると、本発明による塗膜層との差異は明確なものであった。
多層同時コートにより製造された本発明のプレコート鋼板の断面の500倍の低倍率拡大写真で観察される上下の塗膜層間の界面のうねりは、2層の塗料をウエット状態で重ねて塗布する結果として、それらの塗料膜が、塗布した直後にはともに未乾燥の液状の状態にあることによるものと推測される。このうねりのある界面について検討すると、図3Aに示した界面105のうねりの山111と谷113の中心線Cから測定した最大高さHが、中心線Cから上層の上面までの距離として表される上層の厚さtの50%を超えると、色むらが観測されるようになることが判った。多層同時コートで形成した3層以上の塗膜においては、この関係は、着色された層のなかで最も上層に位置する層とそれに隣接する下層との間で満たされることが不可欠である。3層以上の塗膜で、着色された層のなかで最も上層に位置する層の上に多層同時コートで一緒に形成したクリアトップコート層とその下の着色層との間でも、同様の関係が満たされることが望ましい。
本発明においては、上記のようにうねりのある界面の中心線から上層の上面までの距離として表される厚さtを、上層の平均膜厚とする。同様に、下層の下面から上層との界面の中心線までの距離として表される厚さを、下層の平均膜厚とする。多層同時コートで形成した塗膜が3層以上で構成される場合の、最上層及び最下層を除く中間層の平均膜厚は、ともにうねりのある上下の層との界面の中心線間の距離として求められる。
図6に示したように、下層101に顔料107が含まれ、そして顔料107の一部がうねりのある界面105の山111の部分に存在する場合、顔料107の上部が界面111に接すること、あるいは界面111から上層103に突き出すことがある。顔料107が界面111から突き出した場合の上記の最大高さHは、顔料107の界面111から突き出した部分の輪郭107aを界面と見立てて決定される。
次に、塗膜間の密着性を、通常のコインスクラッチ試験法で界面の剥離の有無を調べて評価した。こうして評価した塗膜間の密着性と、上記のようにRaで測定した界面の凹凸との関係を調べると、界面のRaが0.3μm未満の試料では、塗膜間の密着性が劣ることがわかった。すなわち、同時多層コートした塗膜であっても、界面のRaが0.3μm未満になると、塗膜間の密着性は、同じ塗料で作製した従来の単層コートを重ねた多層コートのものとほぼ同等になった。上層にのみレベラーを入れた場合、または、上層と下層にレベラーを添加した場合のいずれの場合でも、Raが0.3μm未満では密着性が良好ではなくなることも判った。
更に、下層と上層の表面張力の差と塗膜界面のRaで表される凹凸の関係を調べると、下層と上層の表面張力の差が大きくなると、塗膜界面の凹凸の指標であるRaは小さくなることが判った。また、界面のRaが0.3μm未満になるときの下層と上層の表面張力の差は、上層にのみレベラーを入れた場合には5mN/m以上、上層と下層にレベラーを添加した場合には3.7mN/m以上の差が認められた。
前述のとおり、色むらを防止して評点5を得るための条件は、下層と上層の表面張力の差が、上層にのみレベラーを入れた場合には1.2mN/m以上、上層と下層にレベラーを添加した場合には0.3mN/m以上であることである。
したがって、上層にのみレベラーを入れた場合には、上層と下層の表面張力の差が1.2mN/m以上、5mN/m未満であることを、色むらの防止と密着性が両立できる条件とした。また、上層と下層にレベラーを添加した場合には、上層と下層の表面張力の差が0.3mN/m以上、3.7mN/m未満であることを、色むら防止と密着性が両立できる条件とした。
本発明のプレコート金属板の塗膜は、多層同時コート装置を用いて形成される。そのような装置の代表的なものであるスライドホッパー型カーテン塗装装置の模式斜視図を図7に示す。
図7を参照して、スライドホッパー1には、3層の塗料がギアポンプ(図示せず)等により定量的に送り出される塗料供給孔8およびスリット6が設置されている。スライド面7の唇部7Aの両端部に接するようにチェーン状のカーテンガイド3が設けられている。該唇部7Aの下方には塗料パン5が設置され、カーテンガイド3は塗料パン5の底部まで垂らしている。塗料Pはスライドホッパー1の各々の塗料供給孔8からスリット6を通してスライド面7に幅方向均一に供給され、スライド面7上で積層される。積層された塗料は、スライド面7の先端部(唇部7A)から塗料パン5に落下する際にカーテンガイド3により拡げられるため、塗料のカーテン4として幅方向に均一な液膜として流れ落ちる。この液膜に帯状の金属板、例えば鋼帯2を通板することにより、鋼帯2の面上に複数層の塗料を同時に塗布することができる。
スライドホッパー型カーテン塗装装置を用いると、複数層同時塗装を金属板面と非接触で行うため、ロールコータでは避けることができないローピングが発生することはない。また、塗料膜が複数層のカーテン4であるため、カーテン4の総膜厚が安定する膜厚以上、すなわち、乾燥膜厚で20μm程度であれば、1層の塗料膜厚が数μmでも塗装することが可能である。したがって、下層の塗膜とと上層の塗膜を同時に塗装することにより、ローピングが発生することのない外観が美麗な塗装金属板を得ることができる。
また、上層の塗料の表面張力を下層の塗料の表面張力より低くすることにより、上層の塗料膜は平滑になる。これは、下層の塗料より上層の塗料の表面張力が低いときは、下層の塗料が金属板面によって拘束されているために、流体力学的に最表面の塗料が平滑になるほうが安定するためである。
本発明の色むらを防止し且つ密着性の向上したプレコート鋼板では、上述の条件を満たす限り、任意の塗料を使用することができる。例えば、このプレコート鋼板の下層塗膜を形成する塗料では、塗膜を形成する樹脂成分として、ポリエステル系樹脂を好適に使用することができる。下層の塗料は、このほかに、塗料組成物で一般に使用される種々の成分を含むことができる。例えば、メラミン樹脂系、イソシアネート系等の公知の硬化剤を使用することができる。下層塗料は、必要に応じ、体質顔料、骨材などを含んでもよい。塗料の溶剤には、炭化水素系、アノン/ソルベッソ(シクロヘキサノン(通称アノン)とソルベッソ150との1:1混合溶剤)等を使用することができる。
上層の塗料でも、塗膜を形成する樹脂成分として、やはりポリエステル系の樹脂を使用することができる。このほかに、例えば、フッ素系、アクリル系、シリコーンポリエステル系、ウレタン系、エポキシ系などの樹脂成分を使用してもよい。上層の塗料も、主剤樹脂のポリエステル系樹脂のほかに、メラミン樹脂系、イソシアネート系等の公知の硬化剤を含むことができる。やはりこのほかに、必要に応じ、体質顔料、消泡剤、ワックスなどを含んでもよい。上層の塗料では、一般に炭化水素系の溶剤が使用される。
本発明のプレコート金属板における着色顔料としては、既知の着色顔料から選択した任意のものを使用することができる。代表的な着色顔料の例を挙げると、アゾ系黄色、イソインドリノン系黄色、アゾ系赤色、フタロシアニン系青色、スレン系青色、キナクリドン系赤色等に代表される有機顔料、また、カーボンブラック、弁柄、黄鉛、モリブデートオレンジ、チタン白、群青(ウルトラマリンブルー)、紺青(プルシアンブルー)、チタン黄、黒鉛(グラファイト)、亜鉛華等に代表される無機顔料、などである。
塗料の乾燥・焼き付けには、例えば、熱風炉、誘導加熱炉、近赤外線炉、遠赤外線炉、エネルギー線硬化炉を用いることができる。加熱による溶剤の蒸発あるいは塗料の硬化と、塗料中の樹脂成分の劣化のバランスの点からは、塗料の焼き付け温度は、150℃以上320℃未満であることが望ましい。
本発明の耐候性に優れたトップクリア型プレコート金属板では、その塗膜層の上層が透明または半透明のクリア層であり、且つ、上層クリア層に隣接する下層塗膜層と上層クリア層との界面の中心線平均粗さRaが0.3〜0.7μmである。この界面のRaは、更には0.3〜0.5μmであることが、外観に重厚感を持たせる上で好ましい。
本発明のトップクリア型プレコート金属板において、上記した界面Raの調整は、先に説明したように、レベラー(界面活性剤の一種)を利用して、下層と上層間の表面張力差をコントロールすることにより行うことができる。そのために使用できるレベラーは、先に説明したとおりである。やはり先に説明したように、下層の表面張力が上層の表面張力よりも界面張力分より大きいことにより、上層塗料が下層塗料の上に広がりやすくなって、それによりマランゴニ対流による上層と下層の界面を乱して界面を広げようという力が抑制されることになり、上下の塗膜の塗料をともに液状のまま塗布することに伴う界面の異常な乱れが抑えられるものと考えられる。
既に説明したとおり、下層と上層の表面張力の差と塗膜層界面の微細な凹凸(中心線平均粗さRa)の関係については、下層と上層の表面張力の差が大きくなると、塗膜界面の凹凸の指標であるRaは小さくなることが判明している。界面のRaが0.3μm未満になる際の下層と上層の表面張力の差は、上層にのみレベラーを入れた場合には、5mN/m以上、上層と下層にレベラーを入れた場合には、3.7mN/m以上であった。従って、本発明において、上層と下層の界面における0.3μm以上のRaを達成するためには、該下層と上層の表面張力の差を、上層にのみレベラーを入れた場合には、5mN/m未満とし、上層と下層にレベラーを入れた場合には、3.7mN/m未満とすればよい。
ここでの表面張力及び界面のRaは、先に説明した方法で測定することができる。
本発明のトップクリア型プレコート金属板は、下地塗膜の色や柄、意匠などが見えるように、上層クリア層に色や柄、意匠などを付与して、下層塗膜と上層クリア層との相乗効果によってよりバラエティーに富んだ意匠性を付与したプレコート金属板のことである。上層クリア層(トップ塗膜)を通して下層塗膜層が見える程度に、上層クリア層が透明(クリア)であることから、「トップクリア型」と呼ばれている。下層塗膜の色や柄、意匠は特に限定されるものではなく、公知の技術の一つあるいはそれらを組み合わせた技術を適用して得られるものでよい。
トップクリア層については、上述のように、下層塗膜との相乗効果を出すために、少なくとも下地の色や柄、意匠などがトップクリア層を通して見えることが必要である。この条件を満たせば、顔料、染料、骨材、つや消し剤を用いるなど、塗料に使用される公知の技術を適用して、トップクリア層に色や柄、意匠を付与することもできる。すなわち、トップクリア層は、下層塗膜の色等が塗装金属板の外観に実質的に反映される程度に、透明性を有すれば足りる(すなわち、半透明状態であってもよい)。
また、潤滑性、耐汚染性などの機能を付与するための添加剤や、塗装作業性、顔料などの分散安定性などを向上するための添加剤、耐紫外線性を向上するための紫外線吸収剤や酸化防止剤などの添加剤や、他の成分をトップクリア層に加えることも可能である。いうまでもなく、トップクリア層に顔料等を配合せず、全くのクリアの状態とすることも可能である。
更に、このトップクリア層の上に、このトップクリア層を保護するために、あるいは更に多層による相乗効果をねらうために、塗膜層を重ねて形成することもできる。この場合にも、さらに重ねる塗膜を通して、下層の塗膜が見えることが必要である。
本発明のトップクリア型プレコート金属板において、ベース金属板が鋼板の場合は、例えば、ステンレス鋼板とめっき鋼板が好適に使用可能である。ステンレス鋼板としてはフェライト系ステンレス鋼板、マルテンサイト系ステンレス鋼板、オーステナイト系ステンレス鋼板等が挙げられる。めっき鋼板としては亜鉛めっき鋼板、亜鉛−鉄合金めっき鋼板、亜鉛−ニッケル合金めっき鋼板、亜鉛−クロム合金めっき鋼板、亜鉛−アルミニウム合金めっき鋼板、アルミニウム−シリコン合金めっき鋼板、亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金めっき鋼板、亜鉛−アルミニウム−マグネシウム−シリコン合金めっき鋼板、亜鉛めっきステンレス鋼板、アルミニウムめっきステンレス鋼板等が挙げられる。
鋼板の塗装前処理としては、水洗、湯洗、酸洗、アルカリ脱脂、研削、研磨、等があり、必要に応じてこれらを単独もしくは組み合わせて行うことができる。塗装前処理の条件は適宜選択すればよい。エナメルベースコートを塗装する前に必要に応じて化成処理を施してもよいし、化成処理層の上に防錆顔料を有するプライマー層をもうけて、その上にエナメルベースコートをもうけてもよい。つまり、下塗り層、エナメル顔料入りの中塗り層、上塗り(クリア)層、の3層構造のトップクリア型プレコート鋼板としてもよい。
上層クリア層は、透明または半透明のクリア層である。上層クリア層を形成するための塗料は特に制限されないが、例えば、ポリエステル、アクリル、シリコーン、フッ素、ウレタン、オレフィン、あるいはこれらの混合物、共重合物が好適に使用可能である。
上層クリア層の塗料は、必要に応じて、架橋剤として、アミノ樹脂、イソシアネート樹脂、エポキシ樹脂など公知のものを含有してもよい。また、上述したように、下層が見える範囲内で顔料等の着色剤を含有してもよい。
更には、必要に応じて、特開2003−326639号公報あるいは特開平10−193509号公報に記載された上層クリア層の材料を利用することもできる。
例えば、上層クリア層用の塗料には、その透明性が損なわれない範囲で意匠を付与する目的で、パール、マイカ、金属粉(アルミニウム粉、ニッケル粉、ステンレス粉、等)、有機エナメルビーズ(ウレタン樹脂ビーズ、アクリル樹脂ビーズ、等)、着色顔料や染料を添加してもよい。
本発明において、金属板上に形成されるべき塗膜は、上記した透明または半透明の上層クリア層と、該上層クリア層に隣接する下層塗膜とを少なくとも含む。必要に応じて、これらの上層クリア層および下層塗膜以外の層(例えば、下層塗膜と金属板との間の層)を含むこともできる。
下層塗膜を形成するための塗料は特に制限されないが、例えば、ポリエステル、アクリル、シリコーン、フッ素、ウレタン、オレフィン、あるいはこれらの混合物、共重合物が好適に使用可能である。
下層塗膜の塗料は、必要に応じて、架橋剤として、アミノ樹脂、イソシアネート樹脂、エポキシ樹脂など公知のものを含有してもよい。下層塗膜は顔料等の着色剤を含有することが好ましい(例えば、下層塗膜と金属板との間に、更に他の塗膜が存在する場合)。また、潤滑性、耐汚染性などの機能を付与するための添加剤や、塗装作業性、顔料などの分散安定性などを向上するための添加剤、耐紫外線性を向上するための紫外線吸収剤や酸化防止剤などの添加剤や、他の成分を下層に加えることも可能である。
更には、必要に応じて、特開2003−326639号公報あるいは特開平10−193509号公報に記載された下層塗膜の材料を利用することもできる。
例えば、本発明における下層塗膜の一態様たる「エナメルベースコート」としては、一般に使用されているエナメルベースコートやプレコート鋼板をそのまま適用することができる。
エナメルベースコートとしては、ポリエステル樹脂系ベースコート、アクリル樹脂系ベースコート、シリコーンポリエステル樹脂系ベースコート、PET樹脂系ベースコート、ウレタン樹脂系ベースコート、ポリ塩化ビニル樹脂系ベースコート、ふっ素樹脂系ベースコート等を挙げることができる。更に優れた耐候性を必要とするときには、本発明のクリア塗料に使用されているものと同じ樹脂をベースコート塗料に適用することでなし得る。すなわち、重合性紫外線安定性単量体及びシクロアルキル基含有重合性単量体の一方または両方と水酸基含有重合性単量体を必須的に含む重合性単量体成分を共重合して得られる共重合アクリルポリオールに、架橋剤としてアミノプラスト樹脂もしくはポリイソシアネート化合物を配合し、溶剤に溶解もしくは分散させたエナメルベースコート塗料を使用することでなし得る。また、紫外線安定剤を加えることにより、更に優れた耐候性を付与することができる。紫外線安定剤としては、上述したようにベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、蓚酸アニリド系、シアノアクリレート系及びトリアジン系、等が適用でき、これらを添加剤として用いてもよいし、本発明の樹脂に化学結合させた形で用いてもよい。
本発明のトップクリア型プレコート金属板は、金属板の少なくとも片方の面に、多層同時コート装置を利用して、下層塗膜層(例えばエナメルベースコート)とクリア塗料の塗膜層を同時に塗布し、その後乾燥・焼き付けを行って製造される。塗料の乾燥・焼き付けには、熱風炉、誘導加熱炉、近赤外線炉、遠赤外線炉、エネルギー線硬化炉を用いて加熱すればよい。溶剤の蒸発あるいは塗料の硬化と、塗料中の樹脂成分の劣化(プレコート金属板としての外観、加工性)のバランスの点からは、塗料の焼き付け温度は、150℃以上320℃未満であることが望ましい。
本発明のトップクリア型プレコート金属板においては、金属板上に配置された塗膜が、上層クリア層と下層塗膜層とを少なくとも含み、且つ、上層クリア層と下層塗膜層との界面の中心線平均粗さRaが0.3〜0.7μmである限り、3層以上の塗膜を有していてもよい。
本発明のトップクリア型プレコート金属板の塗膜の膜厚は特に制限されない。すなわち、塗膜性能や用途によって適切な膜厚も異なる可能性があるため、必要に応じて、適宜選択することが好ましい。とは言え、一般的には、エナメルベースコートの膜厚は5μm〜40μm程度が好ましく、クリア塗膜層の膜厚は1〜40μmが好ましい。
本発明において、下層塗膜層と上層クリア層との2層を少なくとも含む塗膜の全部または一部に硬化剤(例えば、メラミン樹脂)を含有させる場合には、それぞれの塗膜に、該塗膜を構成する樹脂用の硬化剤を含有させることが可能である。
更に、本発明においては、塗膜を構成する樹脂用の硬化剤に加えて、あるいはこれに代えて、その塗膜に他の塗膜用の硬化剤を含有させてもよい。すなわち、本発明においては、例えば、下記のように硬化型樹脂と、硬化剤とを組み合わせることができる(下記の表において、樹脂A用の硬化剤をaとし、樹脂B用の硬化剤をbとし、樹脂AおよびBに共通の硬化剤をcとする)。
このように、上層クリア層と下層塗膜層の両方又は一方に、他方の層の塗料樹脂とも反応する硬化剤を加えた場合には、硬化剤(例えば、メラミン樹脂)の上層クリア層/下層塗膜層の界面における相互拡散に基づき、これらの層間における密着性を更に向上させることができる。
本発明においては、上記した方法(またはそれ以外の任意の方法)により、少なくとも下層塗膜層と上層クリア層との界面近傍の部分に、硬化剤濃度の勾配を存在させることが、これらの層間における密着性を更に向上させる点から好ましい。これは、硬化剤の濃度勾配が界面近傍部分に存在することで、界面近傍の光の屈折率が変化して、界面における乱反射の比率が更に増大することが考えられることからも、好ましい。
本発明の加工性と耐食性を両立するプレコート金属板は、金属板上に多層同時コートで形成した下層塗膜とその上の上層塗膜とを有し、下層塗膜が平均で30質量%以上の防錆顔料を含有し、上層塗膜が下層塗膜中の防錆顔料と同じ防錆顔料を下層塗膜の平均含有量より低い平均含有量で、且つ下層塗膜との界面近傍から遠ざかるにつれてしだいに低下する濃度勾配で含有していて、下層塗膜と上層塗膜との界面の中心線平均粗さRaが0.3〜0.7μmであることを特徴とする。
このプレコート鋼板の下層塗膜を形成する塗料は、塗膜を形成する樹脂成分と、鋼板の腐食の抑制に有効な防錆顔料を含有する。塗膜を形成する樹脂成分としては、ポリエステル系樹脂を好適に使用することができる。下層塗膜の塗料は、このほかに、塗料組成物で一般に使用される種々の成分を含むことができる。例えば、メラミン樹脂系、イソシアネート系等の公知の硬化剤を使用することができる。下層塗膜の塗料は、必要に応じ、体質顔料、骨材、を含んでもよく、また着色顔料としてチタンホワイトなどを含んでもよい。塗料の溶剤には、炭化水素系、アノン/ソルベッソ(シクロヘキサノン(通称アノン)とソルベッソ150との1:1混合溶剤)等を使用することができる。主剤樹脂とその他の成分との配合割合は、塗料の塗布条件、形成する塗膜の要件などにより適宜決めることができる。例えば、硬化剤としてメラミン樹脂系のものを使用する場合、主剤樹脂100質量部に対し5〜40質量部の硬化剤を使用するととができる。また、主剤樹脂100質量部に対し、溶剤は50〜200質量部、防錆顔料は20〜100質量部を使用することができる。
本発明によるプレコート鋼板の下層塗膜が含有する防錆顔料の代表例は、ストロンチウムクロメート、バリウムクロメート等のクロメート系化合物、あるいはカルシウムシリケート、リン酸系化合物等の非クロム系防錆顔料などである。
上層塗膜を形成する塗料でも、塗膜を形成する樹脂成分として、下層塗膜を形成する塗料について先に説明したのと同様のポリエステル系の樹脂を使用することができる。このほかに、例えば、フッ素系、アクリル系、シリコーンポリエステル系、ウレタン系、エポキシ系などの樹脂成分を使用してもよい。上層塗膜を形成する塗料も、主剤樹脂のポリエステル系樹脂のほかに、メラミン樹脂系、イソシアネート系等の公知の硬化剤を含むことができる。このほかに、上層塗膜の塗料は、必要に応じ、体質顔料、消泡剤、レベラー添加剤、ワックスなどを含むことができる。上層塗膜の塗料では、一般に炭化水素系の溶剤が使用される。主剤樹脂とその他の成分との配合割合は、塗料の塗布条件、形成する塗膜の要件などにより適宜決めることができる。例えば、硬化剤としてメラミン樹脂系のものを使用する場合、主剤樹脂100質量部に対し5〜100質量部の硬化剤を使用することができる。また、主剤樹脂100質量部に対し、溶剤は50〜200質量部、ワックスは0.5〜5質量部を使用することができる。
本発明による加工性と耐食性を両立するプレコート鋼板で使用する塗料の上述の成分自体は、いずれも広く知られたものであり、特別なものではない。
本発明の加工性と耐食性を両立するプレコート金属板では、下層塗膜中に平均して30質量%以上の防錆顔料が存在し、上層塗膜中に下層塗膜中の防錆顔料と同じ防錆顔料が下層塗膜の平均含有量より低い平均含有量で、且つ下層塗膜との界面近傍から遠ざかるにつれてしだいに低下する濃度勾配で存在する。上層塗膜中の防錆顔料は、主に下層塗膜との界面近くに存在し、上層塗膜の表面では検出されないようにすべきである。塗装金属板の最表層に防錆顔料が存在すると、耐汚染性、加工性、外観、色調が悪くなる。
本発明の加工性と耐食性を両立するプレコート金属板における下層塗膜と上層塗膜は、金属板上に形成する下層用の塗料中に、完成した塗装金属板の下層中の目標とする平均の防錆顔料含有量よりも多くの防錆顔料を含ませておき、金属板上に下層用塗料膜と上層用塗料膜を塗布後の焼付け時の加熱により、下層中の防錆顔料を上層中へ拡散させて形成することができる。下層用塗料中に最初に含ませるべき防錆顔料の量は、プレコート金属板の下層中の目標とする防錆顔料含有量、焼付け条件などを基に、実験を通じ簡単に決定することができる。
プレコート金属板の下層塗膜中の平均の防錆顔料含有量は、少なくとも30質量%である。30質量%に満たない場合、プレコート金属板の耐食性の向上は十分でなくなる。好ましくは、下層塗膜中の平均防錆顔料含有量は50質量%以上である。防錆顔料を下層塗膜中に含有させる場合、通常は、防錆顔料含有量の上限は40質量%程度である。その理由は、防錆顔料をそれ以上増やしても効果が飽和してしまうからであり、そして防錆顔料の量を多くすると下層塗膜が脆くなり、耐食性の向上が期待できなくなるからである。ところが、本発明のプレコート金属板では、後に説明する塗膜の厚さ方向の硬さ分布の連続性の効果により、下層塗膜中の防錆顔料含有量に応じて、下層塗膜が脆くなっても耐食性を上昇させることができる。
本発明の加工性と耐食性を両立するプレコート金属板においては、上層塗膜と下層塗膜との界面の中心線平均粗さRaが0.3〜0.7μmであることも重要である(Raの測定は、先に説明したとおりである)。界面のRaをこの範囲内にすることにより、上層塗膜と下層塗膜との密着性を確保して、塗膜の加工性を向上させることができる。界面のRaが0.3μm未満では、上層塗膜と下層塗膜との密着性が不十分で、塗膜の加工性を損ないかねない。上限の0.7μmは、多層同時コートした隣接層において普通に観測されるRaの上限である。
上層塗膜と下層塗膜との界面の上記範囲内の中心線平均粗さRaは、例えばスライドコーターなどの2層以上の塗膜を同時に形成可能なコーターを利用して、上層と下層の各塗料膜を重ねて金属板上に同時に塗布し、続いて同時に焼付ける方法を利用して、得ることができる。スライドコーターは、塗料の吐出口があるスライド面と被塗布帯としての金属板が離れているので、塗料膜が、塗料の吐出流の影響を受けにくく、幅方向の塗膜層厚やRaの状態を均一に保つことができる。先に説明したように、塗膜界面のRaは上下の塗膜を形成する塗料の表面張力の差を利用して制御することができる。塗料の表面張力は、塗料の成分と組成により決まることから、それらを調整することで界面のRaを調整することが可能である。とは言え、上述のようにレベラー添加剤を利用して界面のRaを調整するのが好ましい。
このように、加工性と耐食性を両立した本発明のプレコート金属板は、多層同時コート装置を用いて、金属板の表面に塗布した、防錆顔料を含有する下層塗料層と、その上の上層塗料層からなる塗料膜を焼付ける際に、下層塗料層中の防錆顔料の一部を上層塗料層中へ拡散させて、焼付けにより形成した下層中の平均の防錆顔料濃度が30質量%以上となり、上層中に下層中の防錆顔料と同じ防錆顔料を下層の平均含有量より低い平均含有量で、且つ下層との界面近傍から遠ざかるにつれてしだいに低下する濃度勾配で存在させるようにし、且つ、上層塗料層に、又は上層塗料層と下層塗料層に、レベラーを添加することにより、下層塗膜層と上層塗膜層との界面の中心線平均粗さRaが0.3〜0.7μmとなるようにする方法により製造することができる。
一般に、上層塗膜と下層塗膜を設けたプレコート金属板試料について塩水噴霧試験(SST)を行うと、耐食性の劣る試料では、図8に示したように、試料11の塗装のクロスカット部13においてクロスカットした線13aに沿って線13aから幅1mm程度の領域で、また端面15においては端面に沿って端面から幅5mm程度の領域で、上層塗膜と下層塗膜との界面に侵入した塩水による膨れ14、16が観測される。このような膨れが現れるのは、次のような機構によるものと考えられる。
クロスカット部では、図9に示したように、金属板21上の下層塗膜22と上層塗膜23にナイフ25で切れ目をつけるときに、下層塗膜22と上層塗膜23に図示のようなひずみ部分27が生じる。一方、プレコート金属板の端面では、図10に示したように、プレコート金属板の切断時に金属板31にもその上の下層塗膜32と上層塗膜33にも、図示のようなひずみ部分35が生じる。その後、クロスカット部の下層塗膜22と上層塗膜23も、端面の下層塗膜32と上層塗膜33も、ひずみのない元の状態に復帰する。このときに、下層塗膜22、32と上層塗膜23、33との密着性が良好であれば、2層の界面に塩水が侵入しにくく、耐食性が確保されるが、2層の密着性が乏しい場合、それらの界面に塩水が侵入して塗膜の膨れを生じさせ、すなわちプレコート金属板の不十分な耐食性が示される。
本発明のプレコート金属板では、下層塗膜に30質量%以上という比較的高含有量の防錆顔料を存在させることで、下層塗膜による耐食性の発現を確保している。その一方、上層塗膜中にも製造過程で下層塗膜から拡散した防錆顔料を適度な濃度勾配で存在させ、且つ下層塗膜と上層塗膜との界面の中心線平均粗さRaが0.3〜0.7μmとなるようにして、上層塗膜と下層塗膜との密着性を高め、それにより金属板の加工性を確保するとともに、上層塗膜と下層塗膜との界面に水分が浸透することによる耐食性の低下を防いでいる。
一般に、プレコート金属板の2層構造の塗膜は、上層が硬く、下層が柔らかくなるように形成される。塗布した2層の塗料を一緒に焼付けて形成した塗膜の上層中に下層のものと同じ防錆顔料が適度な濃度勾配で存在すると、塗膜の厚さ方向の硬さの分布が連続的(又はほぼ連続的)になる。これにより、本質的に柔らかく、そして防錆顔料を含むことで脆くなっているため亀裂の生じやすい下層で、金属板加工時において生じる亀裂が少なくなる。従って、防錆顔料を増やして下層が更に脆くなっても、十分な耐食性を得ることができる。上層塗料層と下層塗料層を別々に焼付けた場合には、2層の界面において塗膜の硬さの変化が不連続になり、ここで破壊が起きやすくなって、加工性も耐食性も低下させることになりかねない。本発明においては更に、下層塗膜と上層塗膜との界面の中心線平均粗さRaを0.3〜0.7μmとなるようにして上層塗膜と下層塗膜との密着性を確保していることも、耐食性の確保に寄与している。
塗布した多層構造の塗料膜を焼付ける方法は、特に限定されず、例えば熱風、誘導加熱などを利用することができ、複数の方法を併用してもよい。放射線硬化型の塗膜層の場合、放射線照射を併用することも可能である。生産性の観点から、強制加熱乾燥による焼付けほど好ましくはないが、塗膜層は自然乾燥させてもよい。加熱による場合、金属板温度を40〜250℃まで上げるのが一般的である。
上層塗膜の好適な厚みは平均厚みで10〜30μmである。10μmよりも薄い場合には、耐汚染性が十分確保できず、30μmよりも厚い場合には経済性に劣り、また加工性が低下する場合がある。上層塗膜のより好ましい厚みは12〜20μmである。
下層塗膜の厚みは、加工性と、場合により耐食性その他の性能から適宜決めればよいが、一般的に好適な膜厚は2〜15μmである。2μmよりも薄いと耐食性に劣り、15μmよりも厚いと経済性に劣るとともに、加工性が低下する場合がある。下層塗膜のより好ましい厚みは5〜10μmである。
平均膜厚の測定には、断面の拡大写真を利用する上述の方法を用いることができる。このほかの公知の方法のいずれを用いてもよい。簡便には、重量法を利用(下層塗膜と上層塗膜を別々に形成して測定する必要があるが)することが可能である。
実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
図11に示すプレコート鋼板の製造処理ラインにおいて、帯鋼に多層膜をカーテン塗装するに際し、本発明を適用した。
図11の設備において、コイルに巻いた帯鋼をアンコイラー41で巻きほどし、アキュムレーター42、化成処理装置47、プライムコーター45、誘導加熱炉43を通過させる。その後の位置にスライド型のスライドホッパー型カーテン塗装装置49を配置し、走行する鋼板11の表面に多層膜をカーテン塗布する。カーテン塗装装置49の下流には、塗布した塗料を乾燥・焼き付けするための設備として誘導加熱炉51を設けている。その後、鋼板はアキュムレーター53を経由し、処理を完了した帯鋼としてリコイラー44により巻き取られる。
スライドホッパー型カーテン塗装装置49では、2層の同時塗装を行った。スライドホッパー型カーテン塗装装置の大きさは、コータ上のスリット幅が200mm、スリットの間隔は500μm、被塗装の鋼板までの高さは150mmであった。鋼板が多層スライドコータの下を移動して、鋼板上に多層塗膜が形成された。同時2層コートを行った後に、誘導加熱炉で乾燥、焼き付けを行った。塗膜の厚みは、下層を2〜15μm、上層を0.5〜15μmとした。誘導加熱炉での加熱速度は2〜10℃/sとして、焼き付け後の鋼板の到達板温は200〜230℃とした。
次の塗料を使用した。
塗料1: 高分子ポリエステル/イソシアネート系
塗料2: 高分子ポリエステル/メラミン系
塗料3: 高分子ポリエステル/メラミン系
塗料に添加する顔料として、次のものを使用した。
白色顔料: 酸化チタン顔料
赤色顔料: 酸化鉄顔料
グレーメタリック顔料: 各種顔料でグレーに調色後、扁平状のアルミニウム粒子(長径約20μm)を添加して調製した。
クリアメタリック顔料: クリア塗料に扁平状のアルミニウム粒子(長径約20μm)を添加して調製した。
レベラーとしては、次のものを使用した。
レベラーA:アクリル系レベラー(日本ペイント社製)
レベラーB:シリコーン系添加剤BYK141(BYK−Chemie社製)
レベラーC:非シリコーン系添加剤BYK057(BYK−Chemie社製)
鋼板にプライマー塗装を行う場合には、非クロメート系プライマーのフレキコート690プライマー(日本ファインコーティングス社製)を5μmの乾燥膜厚になるよう焼き付けた。
表面張力の測定には、ダイノメータ(BYK−Chemie GmbH製)を用いた。各塗料ごとに5回測定して、算出した平均値をその塗料の表面張力とし、そして5回の測定値の最大値と最小値の差が2mN/m未満の塗料を「A」、2mN/m以上の塗料を「B」と評価した。
各層の平均膜厚と界面の中心線平均粗さRaは、先に説明したように、塗膜断面の5000倍の走査型顕微鏡写真の上にOHPに用いられる透明シートをかぶせトレースして得られた界面の曲線を使って測定した。更に、500倍の倍率で観測される界面のうねりの中心線からの最大高さの界面の上に位置する層の該中心線から測定した厚さに対する割合を、界面のうねり%として求めた。
色むら評点は、先に記載のように、目視で色むらなしを5点にし、色むらが目視で充分確認できるように発生した場合を評点1とし、その間を色むら発生の程度でランクつけをして表した。例えば、評点4は目視でははっきりした色むらは見えないが、10倍のルーペで見ると色むらが確認できる程度である。
コインスクラッチ試験により、塗膜層間の密着性を評価した。各鋼板の塗装面に100円硬貨を押しつけて引っかき、原板に到達するスクラッチ傷を入れたとき、傷の両端部で、同時塗装した2層の界面での剥離が発生したものを不良、発生しなかったものを良好と評価した。
塗膜層間の加工加熱密着性を、以下の方法で評価した。各鋼板を、絞り比2.0、シワおさえ圧1.0トンで評価面が外側になるように円筒カップ絞りを行い、その後そのカップを熱風オーブンにて120℃20分間加熱して取り出し、冷却後にカップ側面の塗装外観を観察した。塗膜の剥離あるいは塗膜の亀裂が発生したものを不良、しなかったものを良好と評価した。
表1と表2に実験結果を示す。これらの表にはプライマーありの例だけを記載しているが、プライマーなしの場合も結果は同じであった。
例1と同様のやり方で、帯鋼上に3層の同時塗装を行った。使用した塗料、顔料、レベラーは、例1に記載したとおりであった。表3と表4に実験結果を示す。
表5に示すような量比で、下層塗膜層および上層クリア層用の塗料を作製した。具体的には、表5の例3A〜3Eに示す個々のポリエステル樹脂を、有機溶剤シクロヘキサノン/ソルベッツ(エクソン化学社の商品名)150に溶解した。次に、これらの塗料に、必要に応じて、メラミン樹脂(メチル化メラミン(商品名:サイメル303、三井サイテック社製))または、イソシアネート硬化剤(デスモジュールBL3175、三井サイアナミド社製)を添加し、更に、必要に応じて触媒(商品名:キャタリスト6000、三井サイテック社製)または、TK1(武田薬品社製)を添加し、攪拌して塗料を得た。
表面張力の調整のため、下層塗料にはレベラーBYK141(BYK−Chemie社製)を0.1wt%、上層塗料にはアクリル系レベラー(日本ペイント製)を0.3wt%添加した。表面張力はダイノメータ(BYK−Chemie GmbH製)で測定した。
片面当たり60g/m2の付着量で両面がめっきされた厚み0.8mmの溶融亜鉛めっき鋼板を、脱脂処理剤(日本パーカライジング社製)に浸漬することにより脱脂を行い、水洗後、乾燥した。次いで、脱脂した溶融亜鉛めっき鋼板上に、ロールコーターでクロメートフリー前処理剤(E300N、日本パ−カライジング製)を塗布し、到達板温が60℃となるような条件で熱風乾燥した。
ノンクロメート前処理後、スライドホッパー型カーテン塗装装置を用いて、表5に示す塗膜を、クロメートフリー前処理後の溶融亜鉛めっき鋼板上に同時塗布により形成した。これらの層を同時焼き付けして(最高到達板温(PMT)235℃、1分)、溶融亜鉛めっき鋼板上に、下層塗膜層(厚さ15μm)と上層クリア層(厚さ10μmあるいは1μm)とを形成した。
例4
例3に用いたのと同じクロメートフリー前処理後の溶融亜鉛めっき鋼板上に、ロールコーターを用いて下層塗膜層形成用の樹脂層を形成し、PMT215℃、45秒間で熱風乾燥を行った。次に、ロールコーターを用いて上層塗膜層用の樹脂層を形成し、PMT235℃、1分間で乾燥を行った。
例3、4で得られた塗装金属板について、特性の評価を行った。
界面のRaは、上述した方法により評価した。
スーパーUVテスター(岩崎電気)を用いて、塗膜の耐候促進試験を行った。UV照射24時間と、50℃で95%相対湿度の雰囲気に24時間放置するサイクルを、5サイクル繰り返してから外観を評価した。
さらに、塗膜にカッターナイフで1mm角の碁盤目を入れ、市販の粘着テープ(セロテープ(登録商標))で剥離試験して、塗膜の密着性を評価した。外観に著しい異常がない塗膜を密着性「良好」、層間剥離が見られる塗膜を密着性「不良」と評価した。
他方、例4(比較例)のプレコート金属板については、耐候性促進試験後において下層塗膜層−上層クリア層の間の層間剥離の発生が観察された。
例5
この例では、加工性と耐食性を兼ね備えたプレコート金属板を説明する。
金属板として、溶融亜鉛めっき鋼板(厚さ0.6mm、幅200mm)に塗装下地処理としてノンクロメート処理(日本パーカライジング社製E300N)を施したものを使用した。
下層の塗料としては、日本ペイント社より入手したもので、ポリエステル(分子量12000)100質量部、硬化剤(メラミン樹脂20質量部、エポキシ樹脂20質量部、又はウレタン樹脂10質量部)、溶剤(アノン(シクロヘキサノン)/S150(ソルベッソ150)の1:1質量比の混合溶剤、但し、番号7の下層塗料ではこの混合溶剤の40%をEEP(エチル−3−エトキシプロピオネート)に置き換えたもの)170質量部から調製した塗料を使用した(溶剤以外の成分の量は固形分としてのもの)。下層の塗料には表6に示した防錆顔料を添加し、その量は焼付により形成した下層に表6に示した平均した量の防錆顔料が含まれるような量とした。更に、下層の塗料には、レベラー(BYK−Chemie社製BYK141)を0.1wt%添加した。
上層の塗料としては、日本ペイント社より入手したもので、ポリエステル(分子量15000)100質量部、メラミン樹脂硬化剤20質量部、チタンホワイト着色顔料80質量部、及びアノン/S150の1:1質量比の混合溶剤200質量部から調製した塗料を使用した。上層の塗料には、アクリル系レベラー(日本ペイント社製)を0.3wt%添加した。
下層及び上層の塗料を、スライドカーテンコータにより鋼板上に同時塗布し、表6に示した最高到達板温(PMT)で同時に焼付けた試料を作製した(同時焼付けの場合、表6では上層のデータ欄のみにPMTを示した)。同時焼付けで形成した上層には、下層から拡散した防錆顔料が表6に示した平均の量で存在したが、防錆顔料は表層では検出されなかった。比較例として、2コート2ベーク(2C2B)(下層と上層の塗料をカーテン塗布で別々に塗布及び焼付け)の試料も作製した。
各塗料の表面張力、下層塗膜と上層塗膜の界面の中心線平均粗さRaを、上で説明した方法で測定した。
作製した各試料の加工性と耐食性を、次のように評価した。
加工性の評価は、20℃で180°折り曲げ試験を行い、折り曲げ加工部の塗膜に30倍の倍率で観察して亀裂や剥離が見られない限界のT数(180°折り曲げる部分に挟ませる同一厚さの板の枚数に相当し、例えば1枚挟むとき1T、2枚挟むとき2T)を求めることにより行った。例えば、2T曲げで亀裂が認められ3T曲げで亀裂が認められなかった場合は、評点は3Tとなる。
耐食性の評価は、JIS Z 2371に準じた塩水噴霧試験で行い、試料の下半分に×印の傷を入れ、240時間後の、テーピングによる塗膜剥離幅を測定した。
評価結果を表7に示す。
Claims (10)
- 金属板の表面に多層同時コートを用いて形成した2層以上の塗膜を有するプレコート金属板であって、塗膜の界面の中心線平均粗さRaが0.3μm以上であり、且つ、500倍の倍率で観測される界面のうねりの中心線からの最大高さが界面の上に位置する層の該中心線から測定した厚さの50%以下であることを特徴とする、多層同時コートにより製造されたプレコート金属板。
- 多層同時コート装置を用いて形成した2層以上の塗膜の下にプライマー層を有する、請求項1記載のプレコート金属板。
- 金属板の表面に多層同時コート装置を用いて塗装を施すプレコート金属板の製造方法であって、上層の塗料にレベラーを添加して、下層の塗料と上層の塗料の表面張力の差を1.2mN/m以上5mN/m未満とすること、且つ、各層の塗料として、その表面張力を5回測定したとき、得られる測定値の最大値と最小値の差が2mN/m未満である塗料を使用することを特徴とするプレコート金属板の製造方法。
- 金属板の表面に多層同時コート装置を用いて塗装を施すプレコート金属板の製造方法において、上層と下層の両方の塗料にレベラーを添加して、下層の塗料と上層の塗料の表面張力の差を0.3mN/m以上3.7mN/m未満とすること、且つ、各層の塗料として、その表面張力を5回測定したとき、得られる測定値の最大値と最小値の差が2mN/m未満である塗料を使用することを特徴とするプレコート金属板の製造方法。
- 金属板と、該金属板上に多層同時コート装置を用いて形成した2層以上の塗膜とを少なくとも含むプレコート金属板であって、該塗膜が、透明または半透明の上層クリア層と、該上層クリア層に隣接する下層塗膜層とを少なくとも含み、且つ、該上層クリア層と下層塗膜層との界面の中心線平均粗さRaが0.3〜0.7μmであることを特徴とするトップクリア型のプレコート金属板。
- 下層塗膜層と上層クリア層の両方又は一方に、当該層の塗料樹脂とも他方の層の塗料樹脂とも反応する成分が含有される、請求項5記載のトップクリア型のプレコート金属板。
- 多層同時コート装置を用いて形成した2層以上の塗膜の下にプライマー層を有する、請求項5又は6記載のプレコート金属板。
- 金属板上に多層同時コート装置で形成した下層塗膜層とその上の上層塗膜層とを有し、下層塗膜層が平均で30質量%以上の防錆顔料を含有し、上層塗膜層が下層塗膜層中の防錆顔料と同じ防錆顔料を下層塗膜層の平均含有量より低い平均含有量で、且つ下層塗膜層との界面近傍から遠ざかるにつれてしだいに低下する濃度勾配で含有しており、下層塗膜層と上層塗膜層との界面の中心線平均粗さRaが0.3〜0.7μmであることを特徴とする、多層同時コートで製造されたプレコート金属板。
- 多層同時コート装置で形成した下層塗膜層の下にプライマー層を有する、請求項8記載のプレコート金属板。
- 金属板の表面に多層同時コート装置を用いて塗装を施すプレコート金属板の製造方法であって、防錆顔料を含有する下層塗料層と、その上の上層塗料層からなる、多層同時コートにより形成した塗料膜を焼付ける際に、下層塗料層中の防錆顔料の一部を上層塗料層中へ拡散させて、焼付けにより形成した下層中の平均の防錆顔料濃度が30質量%以上となり、上層中に下層中の防錆顔料と同じ防錆顔料を下層の平均含有量より低い平均含有量で、且つ下層との界面近傍から遠ざかるにつれてしだいに低下する濃度勾配で存在させるようにし、且つ、上層塗料層に、又は上層塗料層と下層塗料層に、レベラーを添加することにより、下層塗膜層と上層塗膜層との界面の中心線平均粗さRaが0.3〜0.7μmとなるようにすることを特徴とする、多層同時コートで製造された加工性と耐食性に優れたプレコート金属板の製造方法。
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