JPWO2010114135A1 - プレコート金属板及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

少なくとも、最表面に形成された塗膜であるトップ塗膜層と、該トップ塗膜層と接する下層塗膜である中塗り塗膜層とを有するプレコート金属板。該プレコート金属板は、トップ塗膜層が、シリコーングラフトアクリル樹脂を含有し、且つ、顔料を含まないクリヤー塗膜であり、中塗り塗膜層が、メラミン硬化型またはイソシアネート硬化型のポリエステル樹脂を含有し、且つ、着色顔料を含有し、更に、塗膜表面の平均摩擦係数が0.08以下で、塗膜表面の23℃での硬度が5mN荷重下でのユニバーサル硬度で75〜200N/mm2であり、且つ塗膜表面の鏡面光沢度が入射角及び受光角がそれぞれ20°の条件で測定したときに50%以上である。光沢、鮮映性等の意匠性と優れた耐傷つき性を有するプレコート金属板が提供される。

Description

本発明は、プレコート金属板及びその製造方法に関するものであり、特に、家電用、建材用、土木用、機械用、自動車用、家具用、容器用等の各種用途において、光沢等の意匠性と優れた耐傷つき性を有するプレコート金属板及びその製造方法に関する。
例えば、家電分野、建材分野、自動車分野等の外板に、従来の金属板を加工した後に塗装されていたポスト塗装製品に代わって、予め着色した塗膜を被覆した状態で加工されるプレコート金属板が使用されるようになってきている。一方、これら用途において、塗装には、デザイン、意匠性の観点から、光沢が高い塗装外観の要望が高まってきている。
塗膜の光沢を高める技術としては、例えば特許文献1に記載されているように母材である金属板の表面粗さを小さくする技術、例えば特許文献2に記載されているように分子量の低い樹脂を用いた塗膜を塗装する技術、例えば特許文献3に記載されているように着色塗膜層の上にクリヤー塗膜を被覆する技術が公開されている。
プレコート金属板を工業的に生産する場合、一般的には、例えば非特許文献1に記載されているように、コイルコーティングラインと呼ばれる連続塗装ラインにて製造されている。通常のコイルコーティングラインでは、ロールコーターやカーテンコーターと呼ばれる塗装装置にて、防錆機能を有するプライマー塗料を金属板上に塗装し、熱風オーブン等で焼き付けた後に、再度、塗装装置にて着色塗料を塗装して焼き付ける2回塗装2回焼き付け(一般に2コート2ベーク方式と呼ばれる)が一般的である。従って、着色層の上にクリヤー塗料等の鮮映性に優れた塗膜を塗装しようとした場合、塗装回数は3回以上となるため、多額の設備投資をして、塗装装置とオーブンを増設するか、コイルコーティングラインを2回通板して塗装を行う、などの対応が必要であった。しかしながら、これを解決する手段として、特許文献4〜12に記載のように、塗料を未乾燥状態で重ね塗りするウェットオンウェット式の塗装方法が知られている。
一方、プレコート金属板は、塗装後に成形加工して用いられるため、成型加工時の耐傷つき性が求められる。また、輸送時や手作業による組み付け時に発生する疵の防止も重要である。例えば特許文献13には、ガラス転移点5〜40℃、数平均分子量15,000〜30,000のポリエステル樹脂と、ヘキサメトキシメチロール化メラミン樹脂とを、質量比で75/25〜55/45に配合したポリエステル−メラミン樹脂100質量部に対して、ドデシルベンゼンスルホン酸のアミンブロック体を1〜2質量部配合してなる塗料によって、塗膜硬度が高く耐傷つき性に優れ、加工性にも優れる塗装金属板用塗料組成物が開示されている。特許文献14,15には、塗膜にガラス繊維やガラスビーズを添加することでその硬度を高め、耐傷つき性を向上させる技術が開示されている。特許文献16、17には、塗膜に樹脂ビーズやワックスを添加することでその潤滑性を高め、耐傷つき性を向上させる技術が開示されている。
特開平7−150326号公報 特開平1−304934号公報 特開平10−66931号公報 特開平11−19581号公報 特開平11−19582号公報 特開平11−19583号公報 特開平11−19584号公報 特開平11−19585号公報 特開平11−19586号公報 特開平11−57608号公報 特開平11−76932号公報 特開平11−76933号公報 特開平2−269168号公報 特開昭63−5938号公報 特開平4−11671号公報 特開2004−98624号公報 特開2004−34591号公報
植田ら、色材、72(8)、525−531頁(1999)
しかしながら、プレコート金属板の母材の表面粗さを低く制御することで高光沢及び高鮮映性を得る方法は、どのような塗膜を用いても、母材である金属板の表面粗さを制御できれば、比較的高光沢を得ることができる反面、表面粗さを調整した圧延ロール等によって金属を圧延したり、研磨機等で研磨したりすることで、母材である金属板の表面粗さ制御しなければならない。そのため、この方法で光沢の高いプレコート金属板を作製するのは、労力とコストが多くかかるため、工業上量産することは困難である。
一方、分子量の低い樹脂を用いた塗料を塗装することで光沢の高いプレコート金属板を得る方法は、母材である金属板の表面粗さを制御して得る方法に比べると、比較的簡単に製造することが可能であるが、特定の樹脂を塗料に用いなければならないため、他の塗膜性能、例えば、加工性等を付与することが困難である。
性能上の制約のある樹脂を使用せず、比較的容易に光沢の高いプレコート金属板を得る方法としては、特許文献13の着色塗膜層の上に透明なクリヤー塗膜を塗装する方法がある。この方法を既存の2コート2ベーク仕様のコイルコーティングラインに適用する場合の製造上の課題に対しては、前述のようにウェットオンウェット塗装を適用する事で解決できるが、性能については(例えば特許文献13)、優れた光沢は得られるものの、十分な耐傷つき性を得ることはできていない。
また、特許文献14,15に開示された着色塗膜の上のクリヤー塗膜中にガラスビーズを添加する技術についても、塗膜硬度の向上には効果があるものの、耐傷つき性を満足するには至っていない。また、特許文献16,17に開示された着色塗膜上のクリヤー塗膜中へのワックスの添加では、潤滑性は向上するものの、やはり十分な耐傷つき性を得ることはできていない。また、これら皮膜へのガラスビーズ、ワックスの添加は、塗膜の光沢を低下させてしまうため、光沢外観を必要とする用途には不適である。
以上のように、光沢、鮮映性等の意匠性に優れるプレコート金属板についての従来技術は見られるが、光沢、鮮映性等の意匠性に加えて耐傷つき性も優れるプレコート金属板については開示されていないのが現状である。
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、光沢、鮮映性が高く、且つ耐傷つき性に優れるプレコート金属板とその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、これまでの知見より光沢、鮮映性が高く、且つ十分な耐傷つき性を得るために鋭意検討したところ、従来技術のように塗膜の硬度だけを高くしたり、潤滑性だけを高くするだけでは不十分であり、高い塗膜硬度と高い潤滑性を両立する必要があることを見出し、そのためにトップ塗膜をシリコーングラフトアクリル樹脂を含有するクリアー層とし、かつ、中塗り塗膜層をメラミン硬化型またはイソシアネート硬化型のポリエステル樹脂を含有する構成とすることで、高い光沢度を確保しつつ、塗膜の硬度向上と、摩擦係数の低減を達成できることを見出し、光沢、鮮映性等の意匠性と耐傷つき性の両方に優れ、且つ加工性にも優れるプレコート金属板が得られることを見出した。
本発明は、かかる知見を基に完成されたものであって、本発明がその要旨とするところは、以下の通りである。
[1] 金属板の片面または両面に塗膜層を有するプレコート金属板であって、
前記塗膜層は少なくとも、最表面に形成された塗膜であるトップ塗膜層と、該トップ塗膜層と接する下層塗膜である中塗り塗膜層とを有し、
前記トップ塗膜層が、シリコーングラフトアクリル樹脂を含有し、且つ、顔料を含まないクリヤー塗膜であり、前記中塗り塗膜層が、メラミン硬化型またはイソシアネート硬化型のポリエステル樹脂を含有し、且つ、着色顔料を含有する塗膜であり、
更に、前記塗膜層の塗膜層表面の平均摩擦係数が0.08以下で、塗膜層表面の23℃での硬度が5mN荷重下でのユニバーサル硬度で75〜200N/mmであり、且つ塗膜層表面の鏡面光沢度が入射角及び受光角がそれぞれ20°の条件で測定したときに50%以上であることを特徴とする、プレコート金属板。
[2] 金属板の片面または両面に塗膜層を有するプレコート金属板であって、
前記塗膜層は少なくとも、最表面に形成された塗膜であるトップ塗膜層と、該トップ塗膜層と接する下層塗膜である中塗り塗膜層とを有し、
前記トップ塗膜層が、シリコーングラフトアクリル樹脂を含有し、且つ、顔料を含有するクリヤー塗膜であり、前記中塗り塗膜層が、メラミン硬化型またはイソシアネート硬化型のポリエステル樹脂を含有し、且つ、着色顔料を含有する塗膜であり、
更に、前記塗膜層の塗膜層表面の平均摩擦係数が0.08以下で、塗膜層表面の23℃での硬度が5mN荷重下でのユニバーサル硬度で75〜200N/mmであり、且つ塗膜層表面の鏡面光沢度が入射角及び受光角がそれぞれ20°の条件で測定したときに50%以上であることを特徴とする、プレコート金属板。
[3] 前記トップ塗膜層が、光輝顔料を含むクリヤー塗膜である[2]に記載のプレコート金属板。
[4] 前記トップ塗膜層が、メラミン硬化型である[1]または[2]に記載のプレコート金属板。
[5] 前記トップ塗膜層が、イソシアネート硬化型である[1]または[2]に記載のプレコート金属板。
[6]前記イソシアネート硬化型のトップ塗膜層において、NCO/OHの比が、0.05〜0.5である[5]に記載のプレコート金属板。
[7] 前記トップ塗膜層と、中塗り塗膜層との界面のRa(中心線平均粗さ)が、0.3〜0.8である[1]〜[6]のいずれかに記載のプレコート金属板。
[8] 前記トップ塗膜中のシリコーングラフトアクリル樹脂の含有量がシリコーン樹脂換算で2〜18質量%であることを特徴とする、[1]〜[7]のいずれかに記載のプレコート金属板。
[9] 前記トップ塗膜のガラス転移温度が30〜67℃であり、前記トップ塗膜中に含有されるシリコーングラフトアクリル樹脂中のシリコーン樹脂の比率が3〜20質量%であり、且つ前記中塗り塗膜のガラス転移温度が25〜50℃であることを特徴とする、[1]〜[8]のいずれかに記載のプレコート金属板。
[10]塗膜層表面の23℃での硬度が5mN荷重下でのユニバーサル硬度で150〜200N/mmであることを特徴とする、[1]〜[8]のいずれかに記載のプレコート金属板。
[11] 前記トップ塗膜層がイソシアネート硬化型である[10]または[11]に記載のプレコート金属板。
[12] 前記トップ塗膜層における硬化剤が、イソホロンジイソシアネート(IPDI)である[11]に記載のプレコート金属板。
[13] 前記トップ塗膜層における硬化剤の比率が、0.1〜0.5である[11]または[12]に記載のプレコート金属板。
[14] 金属板の片面または両面に塗膜層を有するプレコート金属板であって、
前記塗膜層は少なくとも、最表面に形成された塗膜であるトップ塗膜層と、該トップ塗膜層と接する中間層と、該中間塗膜層と接する下層塗膜である中塗り塗膜層とを有し、
前記トップ塗膜層が、シリコーングラフトアクリル樹脂を含有し、且つ、顔料を含まないクリヤー塗膜であり、前記中塗り塗膜層が、メラミン硬化型またはイソシアネート硬化型のポリエステル樹脂を含有し、且つ、着色顔料を含有する塗膜であり、
更に、前記塗膜層の塗膜層表面の平均摩擦係数が0.08以下で、塗膜層表面の23℃での硬度が5mN荷重下でのユニバーサル硬度で75〜200N/mmであり、且つ塗膜層表面の鏡面光沢度が入射角及び受光角がそれぞれ20°の条件で測定したときに50%以上であることを特徴とする、プレコート金属板。
[15] 前記中間層が、顔料を含有する[14]に記載のプレコート金属板。
[16] 前記中間層が、光輝顔料を含有する[15]に記載のプレコート金属板。
[17] 前記トップ塗膜層と、中間層との界面のRa(中心線平均粗さ)が、0.3〜0.8である[14]〜[16]のいずれかに記載のプレコート金属板。
[18] [1]〜[17]のいずれかに記載のプレコート金属板の製造方法であって、
前記中塗り塗膜層及び前記トップ塗膜層となる塗料をそれぞれ多層同時塗布またはウェットオンウェット方式によって塗布した後に焼き付けることを特徴とする、プレコート金属板の製造方法。
本発明によれば、光沢、鮮映性が高く、且つ耐傷つき性、加工性に優れるプレコート金属板とその製造方法及び塗装金属成形物を提供することができる。
中心線粗さRaの測定方法を説明するための模式断面図である。
以下に、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
本発明のプレコート金属板は、2層以上の塗膜層を有し、トップ塗膜がクリヤー塗膜であることにより、表面が平滑となり、入射角及び受光角がそれぞれ20°の条件で測定した鏡面光沢度が50%以上となる高光沢が得られる。ここで、クリヤー塗膜とは、塗膜中の顔料濃度が低く、下地の隠蔽力が小さく、透明感のある塗膜を言う。
そして、前記トップ塗膜にシリコーングラフトアクリル樹脂を所定量含有させることで、平均摩擦係数が0.08以下で、23℃での硬度が5mN荷重下でのユニバーサル硬度で75〜200N/mm以上である高潤滑性と高硬度を得ることができ、耐傷つき性と高光沢の両立が可能となる。
本発明のプレコート金属板の耐傷つき性を確保するためには平均摩擦係数を0.08以下とする必要がある。ここで、平均摩擦係数とは、ステンレス製の鋼球(10mmφ)を100g荷重、150mm/min.の条件でプレコート金属板上を110mm平行に動かす際にかかる力Fを測定し、最初の10mmを除いた残り100mmの範囲における複数個所での力Fの測定値の平均を算出したものである。
平均摩擦係数が0.08を超えると、成型加工時の金型に異物がプレコート金属板表面と接触し擦れる場合の摩擦力が大きくなり、皮膜表面が破壊されるため耐傷つき性が劣る。平均摩擦係数が0.08以下とすることで、プレコート金属板表面が金型や異物と擦れる場合の摩擦力が小さくなり、耐傷つき性が向上する。安定した耐傷つき性を得るためには平均摩擦係数0.05以下とすることがより好ましい。
また、本発明のプレコート金属板の耐傷つき性を確保するためには表面のユニバーサル硬度が75〜200N/mmである必要がある。ここで,ユニバーサル硬度とは,ドイツのDIN 50359−1に記載された塗膜硬度測定方法を指し,ダイヤモンドでできた対面角度が136°の四角錐(JIS−Z−2244に記載のビッカース硬さ試験で用いる圧子と同じもの)を材料表面に押付け,作用している荷重条件下での押し込み深さから硬度を算出するものである。なお,本発明でのユニバーサル硬度とは,温度23℃,押し込み荷重5mNの条件で,且つ,このDIN規格に記載された微小硬度計を用いて測定したものとする。ユニバーサル硬度が75N/mm未満では、平均摩擦係数が0.08以下であっても、塗膜硬度が低いため、耐傷つき性が劣る。ユニバーサル硬度が200N/mmを超えると、塗膜が硬くなりすぎ、加工性を担保することが困難となるため不適である。ユニバーサル硬度は75〜200N/mmが好適である。
耐摩耗性も必要な場合は、ユニバーサル硬度を150〜200N/mmに制御することが好ましい。
また、本発明のプレコート金属板塗膜表面の鏡面光沢度は、JIS Z 8741に従って測定でき、入射角及び受光角がそれぞれ20°の条件で測定したときに50%以上である必要がある。50%未満では、外観品位が劣る。
本発明のプレコート金属板のトップ塗膜層は前述のようにシリコーングラフトアクリル樹脂を含有することを特徴する。シリコーングラフトアクリル樹脂とはアクリル樹脂主鎖にシリコーン樹脂がグラフト重合したものである。主鎖のアクリル樹脂が持つ優れた強度や透明度と、この主鎖から枝状にぶら下がったシリコーン樹脂が塗膜表面に配位しやすいという特性により優れた潤滑性が効果的に得られる。また、シリコーン樹脂は高い潤滑性に加え、強度も比較的優れるため、トップ塗膜層にシリコーングラフトアクリル樹脂を含有することで光沢、硬度、潤滑性に優れた塗膜形成が可能となる。
本発明のプレコート金属板のトップ塗膜層を顔料を含有するクリヤー塗膜とすることにより、更に意匠性を向上できる。
本発明のプレコート金属板のトップ塗膜層を光輝顔料を含有するクリヤー塗膜とすることにより、意匠性の向上に加え、疵が目立ちにくくなることにより、耐疵つき性を向上することもできる。
トップ塗膜中のシリコーングラフトアクリル樹脂の含有量はシリコーン樹脂換算で2〜20質量%であることが好ましい。塗膜中のシリコーングラフトアクリル樹脂の含有量が2質量%未満では潤滑性が充分では無く、耐傷つき性の確保が困難である。20質量%超では塗料の貯蔵安定性が低下する恐れがあり、安定した製造が困難となる。なお、ここでいう「シリコーン樹脂換算」とは、トップ塗膜中に含まれるシリコーンモノマーの総量の含有量を用いて、シリコーングラフトアクリル樹脂の含有量を表すことを意味している。
トップ塗膜中に含有するシリコーングラフトアクリル以外の樹脂は、シリコーングラフトアクリル樹脂と相溶するものであれば問題なく用いることができるが、シリコーングラフトアクリル樹脂との相溶性に優れ、優れた強度と透明度を有するアクリル樹脂が最適である。
トップ塗膜の架橋剤は、メラミン樹脂やイソシアネート化合物が好ましい。メラミン樹脂の方が、イソシアネート化合物より、硬度が高く、所定の塗膜硬度を得やすい。但し、ドデシルベンゼンスルホン酸のアミンブロック体を用いるなどして、塗膜表面にメラミン樹脂を濃化すると、シリコーン樹脂が塗膜表面に配位しにくくなり、潤滑性が低下する可能性がある。
メラミン樹脂を架橋剤として用いた場合の配合量は、トップ塗膜の硬度や潤滑性を確保するという観点から、シリコーングラフトアクリル樹脂100質量部に対して、5〜30質量部であることが好ましい。
一方、メラミン樹脂を架橋剤として用い、高温で放置すると、シリコーングラフトアクリル樹脂との反応が進行しやすく、塗料の貯蔵安定性が劣る可能性があり、塗料の貯蔵安定性の観点ではイソシアネート化合物の方がメラミン樹脂より好ましい。
通常イソシアネート化合物を使用する場合、NCO/OHのモル比が0.9/1.0以上とする。これは、NCO/OHのモル比が0.9/1.0より低くなると架橋不足となり塗膜が柔らかくなりすぎると考えられているためである。
しかしながら、本発明者らは、NCO/OHのモル比と性能との関係を詳細に調査した結果、シリコーングラフトアクリル樹脂を主樹脂として用いた場合、NCO/OHのモル比が、通常最適と考えられていた値より低い、NCO/OHのモル比が0.05/1.0〜0.5/1.0で高次で硬度と加工性をバランスできることを見出した。これは、シリコーングラフトアクリル樹脂の方がイソシアネート化合物より硬いため、NCO/OHのモル比が低い、すなわちイソシアネート化合物の量が少ないため、硬い塗膜が得られ、架橋密度が低いため、高い加工性が得られたためと推定する。但し、NCO/OHのモル比が0.05/1.0より低いと架橋密度が低すぎ、塗膜硬度が得られない可能性がある。
イソシアネート化合物としてイソホロンジイソシアネートを用いると、高い塗膜硬度を得やすい。イソホロンジイソシアネートが硬い骨格を有しているためである。
塗膜の硬化剤としてイソシアネート化合物を使用する場合、通常はNCO/OHのモル比を0.9/1.0以上とする必要がある。これは、NCO/OHのモル比が0.9/1.0未満になると架橋反応に寄与するイソシアネート基の量が過少となり、架橋反応による皮膜硬度向上効果が不足し塗膜が柔らかくなりすぎるためと考えられる。
しかしながら、シリコーングラフトアクリル樹脂を主樹脂として用いる本発明の場合、NCO/OHのモル比を0.9/1.0以上とすると、NCO/OHのモル比を0.9/1.0未満のものよりも塗膜硬度が低下してしまうことが分かった。本発明者らは、シリコーングラフトアクリル樹脂を主樹脂として用いる場合のNCO/OHのモル比と性能との関係を詳細に調査した結果、NCO/OHのモル比を、通常最適と考えられていた値より低い、0.05/1.0〜0.5/1.0とすることで硬度と加工性を高次にバランスできることを見出した。
これは、シリコーングラフトアクリル樹脂の硬度がイソシアネート化合物の硬度よりも高く、より硬いため、NCO/OHのモル比が低い、すなわちイソシアネート化合物の量が少ない方が硬い塗膜が得られ、且つ、架橋密度が低くいことで延性に優れ、高い加工性が得られるためと推定する。但し、NCO/OHのモル比が0.05/1.0より低いと架橋密度が低すぎ、充分に成膜せず皮膜強度そのものが低下してしまう可能性があるため好ましくない。
イソシアネート化合物としてイソホロンジイソシアネートを用いると、高い塗膜硬度を得やすい。イソホロンジイソシアネートが硬い骨格を有しているためである。
トップ層のガラス転移温度は30〜67℃が好ましい。ガラス転移温度が30℃より低いと、塗膜硬度が低くなり、耐傷つき性が劣る可能性がある。ガラス転移温度が67℃より高いと、塗膜硬度が上がりすぎ、もろくなり、加工性が低下する可能性がある。
シリコーングラフトアクリル樹脂中のシリコーン樹脂の比率は3〜20質量%が好ましい。シリコーングラフトアクリル樹脂中のシリコーン樹脂の比率が3質量%より低いと、トップ塗膜層表面へのシリコーン樹脂の配位が不十分となり潤滑性が低くなり、耐傷つき性が劣る可能性がある。シリコーングラフトアクリル樹脂中のシリコーン樹脂の比率が20質量%より高いと、塗料の貯蔵安定性が低下する恐れがある。
トップ塗膜層の膜厚は、1〜10μmが好ましい。トップ塗膜層の膜厚が1μm未満では、中塗り層を完全に覆うことが出来ず、光沢や潤滑性が低下する恐れがある。トップ塗膜層の膜厚が10μmを超えると加工性が低下する恐れがある。また、コストの面でも好ましくない。
中塗り塗膜層は、メラミン硬化型またはイソシアネート硬化型のポリエステル樹脂を含有し、また着色顔料を含有している。更に、中塗り塗膜層のガラス転移温度が25〜50℃であることが好ましい。中塗り塗膜層の主樹脂をポリエステル樹脂に限定した理由は、延性及び密着性に優れたポリエステル樹脂を中塗り層とすることで加工性を確保するためである。更に、中塗り塗膜層のガラス転移温度を限定した理由は、硬度と加工性を両立するためである中塗り塗膜層のガラス転移温度が25℃未満では硬度が不足する恐れがあり、50℃を超えると、加工性が不足する恐れがあるため、中塗り塗膜層のガラス転移温度は25〜50℃とする。
なお、中塗り塗膜には主樹脂のポリエステル樹脂以外の樹脂を組み合わせて使用することが出来るが、前述したポリエステル樹脂の特性である延性や密着性を確保するためには中塗りに含有させるポリエステル樹脂の濃度は70質量%以上とすることが好ましい。中塗り塗膜に使用できるポリエステル樹脂以外の樹脂の種類は特に限定する必要は無く、塗膜の性能や塗装性への悪影響の無いものを必要に応じ適宜選択して使用することが出来る。
中塗り塗膜層の膜厚は、5〜20μmが好ましい。本発明のプレコート金属板は中塗り塗膜層より、トップ塗膜層の方が硬い構成であるため、中塗り塗膜層の膜厚が厚くなるほど、中塗り塗膜層の塗膜全体の硬度へ与える影響が大きくなり、中塗り塗膜層の膜厚が20μmを超えると、ユニバーサル硬度で75N/mm以下となる恐れがあるため、20μm以下とすることが好ましい。又、中塗り塗膜層の膜厚が5μm未満では、顔料による隠蔽率が低下し色を出すことが難しくなる恐れがあるため、中塗り塗膜の膜厚は5μm以上が好ましい。また、皮膜の延性確保の観点からも中塗り塗膜の膜厚は5μm以上が好ましい。
尚、本発明のプレコート金属板における塗膜のガラス転移温度とは,顔料や硬化剤を含む塗膜の場合にはこれらを添加した後の塗膜のバルクとしてのガラス転移温度のことである。塗膜のガラス転移温度は,プレコート金属板に塗装された塗膜を剥離して,示差走査熱量分析装置(一般に,DSCと呼ばれる)を用いて測定しても良いし,プレコート金属板として塗装された状態で熱機械分析装置(一般に,TMAと呼ばれる)を用いて測定しても良い。また,その他一般に公知の方法にて測定しても良い。なお,塗膜のガラス転移温度は測定機器や測定条件によって多少の誤差が生じることが知られている。そのため,本発明では,複数ある一般に公知のガラス転移温度測定方法の内,いずれか1つの方法,すなわち,DSCを用いた方法又はTMAを用いた方法で測定したときに,塗膜のガラス転移温度が本発明の範囲であれば本発明に含まれるとする。塗膜のガラス転移温度は,主にベース樹脂のガラス転移温度に支配的であるため,ベース樹脂のガラス転移温度を制御することで,塗膜のガラス転移温度を調整することができる。
本発明のトップ塗膜層と中塗り塗膜層との界面のRa(中心線平均粗さ)が0.3〜0.8μmであると,より好適である。塗膜の界面のRaが0.3μm未満であると,当該塗膜界面の密着性が低下する恐れがある。一般に,塗膜を積層した場合,塗膜の密着性は,塗膜間の化学結合や水素結合, ファンデルワールス力等の物理結合によって保たれているが,塗膜層間のRaを0.3以上にすることで,これらの密着力に加えて,アンカー効果による密着力が付与される。ただし,各塗膜の界面のRaが0.8μm超では,外観に影響して,光沢が低下する恐れがある。
ここで、本発明において、上記界面Raは、次の方法(基本的にJIS−B−0601−1982に準じた方法)により測定できる。
表面粗さRaを測定すべき界面の垂直断面を顕微鏡写真にて撮影後、界面の凹凸をトレースし、JIS−B−0601−1982で規定された所定の式(後述する実施例を参照)に従って、この界面の中心線平均粗さを求めることができる。
本願発明のプレコート金属板は着色塗膜層の上に更に透明なクリヤー塗膜を塗装するため、既存の2コート2ベーク仕様の設備での製造にあたっては、塗装装置とオーブンを増設するか、コイルコーティングラインを2回通板することが必要となる。しかし、トップ塗膜及び中塗り塗膜を多層同時塗布もしくはウェットオンウェットにて塗装することにより、本願発明のプレコート金属板を既存の2コート2ベーク仕様の設備での製造が可能となる。また上述の界面のRaの付与は、多層同時塗布もしくはウェットオンウェットにより達成でき、また、後述するように多層同時塗布もしくはウェットオンウェットにて塗装の適用により良好な加工部外観を得ることができるため、これらの点からも好ましい。
本願発明における多層同時塗布とは、スロットダイコーターもしくはスライドホッパー式のカーテンコーター等の複数層の塗液を同時に積層した状態で基材に塗布し、その後、多層同時に乾燥焼付けさせる方法である。
また、ウェットオンウェット塗装とは、一度基材上に塗液を塗装した後に、この塗液が乾燥する前のウェット状態の内に、その上に他の塗液を更に塗布し、この積層された多層塗液を同時に乾燥焼付けする方法であり、例えば、ロールコーターやカーテンフローコーター等で下層塗膜を塗装し、これを焼き付ける前にカーテンフローコーター等の塗装方法にて上層塗膜を塗装した後に、下層塗膜と上層塗膜との複層塗膜を同時に焼き付ける方法である。
これらの方法により、未乾燥状態の塗液を積層して同時塗布することにより、界面で各層の塗液が僅かに混ざり合うことで、界面に濃度傾斜層を形成できる。本願発明における濃度傾斜層は、トップ塗膜側が硬質で中塗り塗膜層側に向かって徐々に柔らかくなっていく構造となる。そのため、折り曲げ加工等で硬質なトップ塗膜層に亀裂が発生しても、亀裂の進展が界面にある濃度傾斜層により抑制され中塗り塗膜層まで及ばない。トップ塗膜層はクリヤーであるため、亀裂がトップ塗膜層のみに留まれば外観への影響は僅少であり問題とならない。また、未乾燥状態の塗液を積層して同時塗布することにより、界面で各層の塗液が僅かに混ざり合うことで、中塗り塗膜層とトップ塗膜層との間に優れる密着性が得られる。
本発明の多層同時塗布、もしくは、ウェットオンウェット塗装した塗膜を同時に焼き付ける方法は、一般に公知の塗料用焼付け炉、例えば、熱風乾燥炉、誘導加熱炉、赤外線加熱炉、もしくは、これらを併用した炉等を用いることができる。
本発明のプレコート金属板の中塗り塗膜層に添加する着色顔料には,一般に公知の無機系顔料、有機系顔料、メタリック顔料が使用できる。具体的な例としては、カーボンブラック,酸化チタン,亜鉛華,ナフトールレッド,ジスアゾイエロー,ジスアゾピラゾロンオレンジ、アルミ顔料,ニッケル顔料等が挙げられる。一般的に黒系、濃色系の色であると、疵が目立ちやすく、耐疵つき性を確保することが困難であったが、本発明は黒系や濃色系であっても問題なく効果を発揮し良好な耐傷つき性を発現する。
本発明に使用する金属板は、一般に公知の金属材料を用いることができる。金属材料が合金材料であっても良い。例えば、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、アルミニウム合金板、チタン板、銅板等が挙げられる。これらの材料の表面にはめっきが施されていてもよい。めっきの種類としては、亜鉛めっき、アルミめっき、銅めっき、ニッケルめっき等が挙げられる。これらの合金めっきであってもよい。鋼板の場合は、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、亜鉛−ニッケル合金めっき鋼板、溶融合金化亜鉛めっき鋼板、アルミめっき鋼板、アルミ−亜鉛合金化めっき鋼板等、一般に公知の鋼板及びめっき鋼板を適用できる。
本発明に用いる金属板の表面には、一般に公知の化成処理を施すと、金属板と塗膜層との密着性が向上するため、より好適である。化成処理は、リン酸亜鉛系化成処理、塗布クロメート処理、電解クロム酸処理、反応クロメート処理、クロメートフリー系化成処理等を使用することができる。クロメートフリー系化成処理としては、シランカップリング剤、ジルコニウム化合物、チタニウム化合物、タンニン又はタンニン酸、樹脂、シリカ等を含む水溶液で処理したもの等が知られており、特開昭53−9238号公報、特開平9−241576号公報、特開2001−89868号公報、特開2001−316845号公報、特開2002−60959号公報、特開2002−38280号公報、特開2002−266081号公報、特開2003−253464号公報等に記載されている公知の技術を使用しても良い。これらの化成処理は、市販のもの、例えば、日本パーカライジング社製のクロメート処理「ZM−1300AN」、日本パーカライジング社製のクロメートフリー化成処理「CT−E300N」、日本ペイント社製の3価クロム系化成処理「サーフコート(登録商標)NRC1000」等を使用することができる。
本発明のプレコート金属板は、必要に応じて、防錆塗料機能有したプライマー塗膜を塗装することができる。プライマー塗膜を塗装すると、金属板の耐食性が向上するため、より好適である。本発明のプレコート金属板に塗装するプライマー塗膜は、一般に公知のプレコート金属板用のプライマー塗膜、例えば、ポリエステル系プライマー、エポキシ系プライマー、ウレタン系プライマー等を使用することができる。プライマー塗膜の硬化剤は、メラミン系、イソシアネート系のいずれでも良い。プライマー塗膜に添加する防錆顔料は、クロメート系、リン酸系、シリカ系等の一般に公知のものを使用することができるが、クロメート系以外のものの方が、環境に優しいため、より好適である。本発明のプレコート金属板に塗装するプライマー塗膜は、一般に公知の塗装方法、例えば、ロールコーター、ローラーカーテンコーター、リンガーロールコーター、スプレー塗装等にて塗装し、その後、一般に公知の塗料用焼付け炉、例えば、熱風乾燥炉、誘導加熱炉、赤外線加熱炉、もしくは、これらを併用した炉等で焼き付けることができる。
次に、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるわけではない。
以下、実験について詳細を説明する。
まず、実験で用いたトップ塗料について詳細に説明する。
機械式攪拌装置、温度計、コンデンサー、乾燥窒素ガス導入口を備えたガラス製反応機にフラスコにイソプロピルアルコール100質量部を入れ、乾燥窒素雰囲気下80℃に加熱し、表1に示す配合の混合液を滴下ロートにて2時間にわたり滴下し、その後同温度にて4時間保持した後反応を終了した。このようにして、グラフト共重合体溶液を得た。混合液1〜12より得たグラフト共重合体溶液をグラフト共重合体溶液1〜12とする。
また市販品のシリコーングラフトアクリル樹脂も用いた。東亜合成社製の「レゼダ(登録商標)GS−1015」(ガラス転移温度54℃)を用いた。
また、日本触媒社製のアクリル樹脂である「ユーダブル(登録商標)S−2710」(ガラス転移温度40℃)、「アクリセット(登録商標)AST−5892」(ガラス転移温度70℃)、も用いた(表2のトップ−16〜18)。
さらに、シリコーンドラフトアクリル樹脂を用いない比較用の水準として東洋紡社製の非晶性ポリエステル樹脂である「バイロン(登録商標)GK810」(ガラス転移温度46℃)を用いた。
架橋剤として、大日本インキ化学工業社製のブチル化メラミン樹脂(以降、ブチル化メラミンと称す)である「スーパーベッカミン(登録商標)J830」、三井サイテック社製の完全アルキル型メチル化メラミン樹脂(以降、メチル化メラミンと称す)である「サイメル(登録商標)303」、住化バイエルウレタン社製のイソシアネート化合物である「デスモジュールBL3175(商品名)」(以降、HDIと称す)、「デスモジュールBL4265SN(商品名)」(以降、IPDIと称す)、「デスモジュールBL1265MPA/X(商品名)」(以降、TDIと称す)、旭化成ケミカルズ社製「デュラネートE402−B80T」(以降、HDI▲2▼と称す)を用いた。
光輝顔料として、旭化成メタルズ社製のアルミニウムフレーク「アルミペーストCR−9800RM(商品名)」(平均粒子径8μm)、東洋アルミニウム社製のアルミニウムフレーク「ルペースト7220NS(商品名)」(平均粒径25μm)を用いた。
比較材で使用するワックスとして、市販のマイクロクリスタリンワックスを用いた。
なお、希釈溶剤は質量比でシクロヘキサノン:ソルベッソ150=1:1に混合したものを用いた。
次に、実験で用いた中塗り塗料について詳細に説明する。
ベース樹脂として、東洋紡社製の非晶性ポリエステル樹脂である「バイロン(登録商標)GK140」(ガラス転移温度20℃)、「バイロン(登録商標)GK360」(ガラス転移温度36℃)、「バイロン(登録商標)GK110」(ガラス転移温度50℃)、「バイロン(登録商標)660」(ガラス転移温度55℃)を使用した。必要に応じて、混合して、樹脂のガラス転移温度を調整し使用した。架橋剤として、大日本インキ化学工業社製のブチル化メラミン樹脂(以降、ブチル化メラミンと称す)である「スーパーベッカミン(登録商標)J830を用いた。着色顔料として、シルバー系の顔料には市販のアルミフレークを、黒系の顔料には市販のカーボンブラックを、白系の顔料には市販の酸化チタンを、赤系の顔料には市販のベンガラを用いた。なお、溶剤は質量比でシクロヘキサノン:ソルベッソ150=1:1に混合したものを用いた。
作製したトップ塗料、中塗り塗料の詳細を表2、表2−2、表3にそれぞれ記載する。なお、塗膜
のガラス転移温度は、セイコー電子社製の熱機械分析装置「SSC5200シリーズ T
MA/SS120C」にて、測定時のプローブは針入プローブを用い、測定した。
Figure 2010114135
Figure 2010114135
Figure 2010114135
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また、日本ファインコーティングス社製のPCM用ポリエステル系プライマーであるFL641EUプライマーのクリヤー塗料を準備し、これにクロメートフリー防錆顔料であるテイカ社製のトリポリリン酸2水素アルミニウムで「K−WHITE #105」をクリヤー塗料の固形分100質量部に対して30質量部添加することで、クロメートフリープライマーを作成した。
以下、実施例の実験に用いたプレコート金属板について詳細を説明する。
新日本製鐵株式会社製の溶融亜鉛メッキ鋼板「シルバージンク(登録商標)」(以降、GIと称す)を原板として準備した。板厚は0.6mmのものを使用した。めっき付着量は片面60mg/mのものを用いた。
次に、準備した原板を日本パーカライジング社製のアルカリ脱脂液「FC−4336」の2質量%濃度、50℃水溶液にてスプレー脱脂し、水洗後、乾燥した後に、日本パーカライジング社製のクロメートフリー化成処理である「CT−E300N」をロールコーターにて塗布し、熱風オーブンにて乾燥させた。熱風オーブンでの乾燥条件は、鋼板の到達板温で60℃とした。クロメートフリー処理の付着量は、全固形分で200g/m付着するように塗装した。
次に、化成処理を施した金属板の片方の面に、作製したプライマー塗料を、他方の面に裏面塗料である「FL100HQ」のグレー色をロールコーターにて塗装し、熱風を吹き込んだ誘導加熱炉にて金属板の到達板温が210℃となる条件で乾燥硬化した。そして、乾燥焼付後に、塗装された金属板へ水をスプレーにて拭きかけ、水冷した。
次に、プライマー塗膜の上に、中塗塗料とトップ塗料をスライドホッパー式のカーテンコーターにて同時に2層積層塗装し、熱風を吹き込んだ誘導加熱炉にて金属板の到達板温が230℃となる条件で、積層した塗膜を同時に乾燥硬化した。そして、乾燥焼付後に、塗装された金属板へ水をスプレーにて拭きかけて水冷することで、3層のプレコート金属板を作製した(以降、本塗装方法を「塗装方法(i)」と称す)。
また、必要に応じて、プライマー塗膜上にローラーカーテンコーターにて中塗り塗料を1層のみ塗装し、更にこれを乾燥させる前にこの上にローラーカーテンコーターにてトップ塗料を塗装し、塗膜を同時に乾燥硬化した。そして、乾燥焼付後に、塗装された金属板へ水をスプレーにて拭きかけて水冷することで、3層のプレコート金属板を作製した(以降、本塗装方法を「塗装方法(ii)」と称す)。
また、プライマー塗膜上にロールコーターにて中塗り塗料を1層のみ塗装し、前述の要領で焼き付けた後に、中塗り塗膜上に再度ロールコーターにてトップ塗料を1層塗装し焼き付けた、3層のプレコート金属板も作製した(本手順での塗装方法を「塗装方法(iii)」と称す)。
また、プライマー塗膜の上に、中塗塗料と中間塗料とトップ塗料をスライドホッパー式のカーテンコーターにて同時に3層積層塗装し、熱風を吹き込んだ誘導加熱炉にて金属板の到達板温が230℃となる条件で、積層した塗膜を同時に乾燥硬化した。そして、乾燥焼付後に、塗装された金属板へ水をスプレーにて拭きかけて水冷することで、4層のプレコート金属板を作製した(以降、本塗装方法を「塗装方法(iv)」と称す)。
また、プライマー塗膜上にロールコーターにて中塗り塗料を1層のみ塗装し、焼き付け、中塗り塗膜上に再度ロールコーターにて中間塗料を1層塗装し、焼き付け、中間塗膜上に再度ロールコーターにてトップ塗料を1層塗装し、焼き付けた、4層のプレコート金属板も作製した(本手順での塗装方法を「塗装方法(v)」と称す)。
以下、実験で作製したプレコート金属板の評価方法の詳細を記載する。
1.ユニバーサル硬度
フィッシャー・インストルメンツ社製の微小硬度計「フィッシャースコープ(登録商標)H100」を用いて測定した。測定時の雰囲気温度は23℃とし,面角136°四角錐のビッカース圧子を,60秒間で押付け荷重5mNとなる条件でユニバーサル硬度(HU(N/mm))を測定した。
2.潤滑性
HEIDON−14を使用し、ステンレス製の鋼球(10mmφ)を100g荷重、150mm/min.の条件でプ
レコート金属板上を110mm平行に動かす際にかかる力Fを測定し、平均摩擦係数を算出した。なお、測定箇所は、最初の10mmを除いた残り100mmの範囲内の5箇所とした。
3.プレコート金属板の塗膜の鏡面光沢度測定
スガ試験機社製の「デジタル変角光沢計」を用いて、入射角と受光角が20°の条件で鏡面光沢度を測定した。スガ試験機社製の1次用の基準板(No.99B076)の20°光沢が88%、2次用の基準板(No.99W076)の20°光沢が15%となるように調整した。
4.耐傷つき性試験
HEIDON−14を使用し、10円硬貨を45°でプレコート金属板と接するようにし、垂直方向に荷重をかけて、
水平方向にプレコート金属板を50mm/minで1往復動かした場合の傷の有無を目視で判定し、傷がつかない最大荷重で評価した。
○:50g以上
△:20g以上50g未満
×:20g未満
鉛筆硬度
JIS−K 5400の8.4.1(1993)の方法に準じて、塗膜の引っかき抵抗性を鉛筆の芯の硬さを変えたときの塗膜のすり傷で調べ、塗膜にすり傷が認められない最高の硬さをその塗膜の鉛筆硬度とし、以下のように評価した。
○:H以上、△:3B以上H未満、×:4B
5.塗膜加工性試験
作製したプレコート金属板を、180°折り曲げ加工(密着曲げ加工)し、加工部の塗膜を目視で観察し、塗膜の割れの有無を調べた。なお、180°折り曲げを行う際には、プレコート金属板の表面が曲げの外側となるように折り曲げて、密着曲げを行った(一般に0T曲げとして知られている)。そして、加工部を目視にて観察し、塗膜割れや剥離の全くない時を○、塗膜に僅かな亀裂や剥離が認められる時を△、塗膜にプライマー塗膜もしくは金属板に達する割れや剥離がある時を×として評価した。さらに、加工部にテープを貼り付けて剥離する加工部密着性試験も実施し、テープ剥離後の密着性を目視にて観察し、塗膜に明確な剥離が認められない場合○、曲げ加工部の全長に対して合計で半分未満の長さで塗膜剥離が認められる場合を△、曲げ加工部の全長に対して合計で半分以上の長さで塗膜剥離が認められる場合を×と評価した。
6.色値
L値をJIS Z 8722に従って、分光測色計(スガ試験器製、型式MSC−45−2B)にて測定した。
7.塗料の貯蔵安定性
塗料缶(1リットル、外径Φ112mm、高さ130mm)の中に塗料を200g入れ、蓋をし、40℃で保管し、塗料のゲル化の有無を調べた。6ヶ月でゲル化していないものを○、3〜6ヶ月でゲル化したものを△、0〜3ヶ月でゲル化したものを×とした。なお、塗料缶を逆さにし、1時間放置した後も塗料が外部に漏れない状態をゲル化とした。
8.塗料の耐増粘性
塗料缶(1リットル、外径Φ112mm、高さ130mm)の中に塗料を200g入れ、蓋をし、50℃で1時間保管し、塗料の耐増粘性を調査した。
粘度は20℃に調整した後イワタカップに満たし、全量が流出するまでの秒数をストップウォッチを用いて測定した。保管後の塗料の秒数(イワタカップで測定した秒数)を保管前の塗料の粘度で割った値が1.5未満のものを○、1.5以上3未満のものを△、3以上のものを×とした。
9.境界面Raの測定
中塗り層と上塗り層との境界面のRaは、各実施例の塗膜をコーティング方向に対して垂直方向に切断して、樹脂に埋め込んだ後に研磨することで、塗膜の表面に垂直な断面を平滑にして、3500倍の走査型顕微鏡で撮影した写真で評価した。写真の上から、OHPに用いられる透明シートをかぶせて、境界面の凹凸を精密にトレースした後に、図に示すように、縦線の部分の面積を画像処理装置で測定してその平均値として式からRaを算出した。なお、l(エル)は3mmとした。
Figure 2010114135
以下、評価結果について詳細を記載する。
表4〜7に、本発明で作成したプレコート金属板とその評価結果を示す。なお、プライマー塗膜を施した供試材を用い、本発明の効果を説明するが、プライマー塗膜を施さない場合も、プライマー塗膜を施したものと同様の性能が得られている。
(1)平均摩擦係数、ユニバーサル硬度の影響
平均摩擦係数、ユニバーサル硬度の影響として、実施例をNo.1〜No.19に示し、比較例をNo.20〜No.28に示す。
本発明のプレコート金属板(実施例−1〜19)は、優れた耐傷つき性、光沢、加工性を有していた。
平均摩擦係数が0.08を超えるもの(比較例−22,25)は、耐傷つき性が劣るため、不適である。ユニバーサル硬度が75N/mm未満のもの(比較例−20,26)は、耐傷つき性が劣るため、不適である。ユニバーサル硬度が200N/mmを超えるもの(比較例−21,27)は、加工性が劣るため、不適である。
(2)トップ塗膜種、中塗り塗膜種の影響
トップ塗膜層が、顔料を含まないクリヤー塗膜であり、トップ塗膜中のシリコーングラフトアクリル樹脂の含有量がシリコーン樹脂換算で2〜18質量%であり、中塗り塗膜層が着色顔料を含有し、メラミン硬化型またはイソシアネート硬化型のポリエステル樹脂を含有し、中塗り塗膜のガラス転移温度が25〜50℃であるもの、また、トップ塗膜のガラス転移温度が30〜67℃、シリコーングラフトアクリル樹脂中のシリコーン樹脂の比率が3〜20質量%であるシリコーングラフトアクリル樹脂を含有し、中塗り塗膜層が着色顔料を含有し、メラミン硬化型またはイソシアネート硬化型のポリエステル樹脂を含有し、中塗り塗膜のガラス転移温度が25〜50℃であるもの(実施例−1〜19)は優れた耐傷つき性、光沢、加工性を有していた。トップ塗膜中のシリコーングラフトアクリル樹脂の含有量がシリコーン樹脂換算で18質量%を超えるのもの(実施例−20,21)、シリコーングラフトアクリル樹脂中のシリコーン樹脂の比率が20質量%を超えるのも
の(実施例−21)は、塗料の貯蔵安定性が比較的低い傾向にあった。
トップ塗膜層のガラス転移温度が30℃未満のもの(比較例−22)、中塗り塗膜のガラス転移温度が25℃未満のもの(比較例−26)は、ユニバーサル硬度が低下する傾向であり、耐傷つき性が劣り、トップ塗膜中のシリコーングラフトアクリル樹脂の含有量がシリコーン樹脂換算で2質量%未満のもの(比較例−24,25)、シリコーングラフトアクリル樹脂中のシリコーン樹脂の比率が3質量%未満のもの(比較例−24)は、動摩擦係数が低下する傾向であり、耐傷つき性が劣っていた。
トップ塗膜層のガラス転移温度が67℃を超えるのもの(比較例−23)、中塗り塗膜のガラス転移温度が50℃を超えるもの(比較例−27)は、ユニバーサル硬度が高すぎる傾向であり、加工性が劣っていた。
トップ塗膜層にワックスを多量に添加し、ユニバーサル硬度75N/mm以上、平均摩擦係数0.08以下を得たもの(比較例−28)は、鏡面光沢度が50%未満で光沢が劣るため、不適である。
(3)膜厚の影響
トップ塗膜層の膜厚が0.5μmのもの(実施例−29)は、潤滑性がわずかに低下し、わずかに耐傷つき性が劣る傾向であった。トップ塗膜層の膜厚が12μmのもの(実施例−35)はわずかに加工性が低下する傾向であった。トップ塗膜層の膜厚は、1〜10μmがより好ましい。
中塗り塗膜層の膜厚が3μmのもの(実施例−36)は、わずかにL値が高くなり、黒色が出にくくなる傾向であった。中塗り塗膜層の膜厚が22μmのもの(実施例−43)はわずかに硬度が低下し、耐傷つき性が低下する傾向であった。中塗り塗膜層の膜厚は、5〜20μmがより好ましい。
(4)中塗り塗膜層の着色種の影響
本願発明以外であっても白やシルバーなどの淡色系では耐傷つき性を満足するが、黒や赤などの濃色系では傷発生を防ぐことは出来ない(比較例48〜51)。これに対し、本願発明は淡色系はもちろん濃色系においても、耐傷つき性は良好で有り、優れた耐傷つき性能を有している事が判る(実施例44〜47)。
尚、耐傷つき性以外の性能(光沢、加工性)は比較例、本願発明とも中塗り塗膜層の色に拠らず良好な性能を示す。
(5)塗装方法の影響
中塗り層とトップ層を1層ずつ塗装し焼き付けたもの(実施例−54)は、多層同時塗布及びウェットオンウェット塗装にて作製されたものと比較して加工性及び密着性が低下する傾向であった。この結果から、多層同時塗布及びウェットオンウェット塗装にて作製されたものは加工性及び密着性が向上し、より好適であることがわかる。
(6)光輝顔料の影響
光輝顔料の影響を表Aに示す。トップ塗膜層が光輝顔料を含有するもの(実施例−57〜60)は、傷が目立ちにくくなることにより、鉛筆硬度が向上する傾向であった。
(7)架橋剤種の影響
架橋剤種の影響を表Bに示す。架橋剤としてイソシアネート化合物を用いたもの(実施例−63〜77)は、トップ塗料の耐増粘性がより優れる傾向であった。NCO/OHのモル比が0.05〜0.3/1.0(実施例−68〜70)がより高い傷つき性が得られ、より好適であることがわかる。
(8)耐摩耗性の付与に関して
耐摩耗性の付与に関して表Cに示す。塗膜層表面の23℃での硬度を5mN荷重下でのユニバーサル硬度で150〜200N/mmとしたもの(実施例−80〜88)は、高い耐摩耗性を付与できる傾向であった。
イソシアネート化合物として、イソホロン ジイソシアネート(IPDI)を用い、NCO/OHのモル比が0.1〜0.5/1.0(実施例−82、85、86)は耐摩耗性が優れる傾向でした。
(9)中塗り層とトップ層との界面Raの影響
中塗り層とトップ層との界面Ra影響を表Dに示す。中塗り層とトップ層との界面Raが0.3〜0.8のもの(実施例−89、91、93、95、97、99、101、103、105、107)、加工性及び密着性が向上し、より好適であることがわかる。
(10)中間塗膜層の影響
中間塗膜層の影響を表Eに示す。中間塗膜層に光輝顔料を含有するもの(実施例−109〜128)は、傷が目立ちにくくなることにより、鉛筆硬度が向上する傾向であった。
(11)中間塗膜層とトップ層との界面Raの影響
中間塗膜層とトップ層との界面Ra影響を表Dに示す。中塗り層とトップ層との界面Raが0.3〜0.8のもの(実施例−109〜118)、加工性及び密着性が向上し、より好適であることがわかる。
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以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。

Claims (18)

  1. 金属板の片面または両面に塗膜層を有するプレコート金属板であって、
    前記塗膜層は少なくとも、最表面に形成された塗膜であるトップ塗膜層と、該トップ塗膜層と接する下層塗膜である中塗り塗膜層とを有し、
    前記トップ塗膜層が、シリコーングラフトアクリル樹脂を含有し、且つ、顔料を含まないクリヤー塗膜であり、前記中塗り塗膜層が、メラミン硬化型またはイソシアネート硬化型のポリエステル樹脂を含有し、且つ、着色顔料を含有する塗膜であり、
    更に、前記塗膜層の塗膜層表面の平均摩擦係数が0.08以下で、塗膜層表面の23℃での硬度が5mN荷重下でのユニバーサル硬度で75〜200N/mmであり、且つ塗膜層表面の鏡面光沢度が入射角及び受光角がそれぞれ20°の条件で測定したときに50%以上であることを特徴とする、プレコート金属板。
  2. 金属板の片面または両面に塗膜層を有するプレコート金属板であって、
    前記塗膜層は少なくとも、最表面に形成された塗膜であるトップ塗膜層と、該トップ塗膜層と接する下層塗膜である中塗り塗膜層とを有し、
    前記トップ塗膜層が、シリコーングラフトアクリル樹脂を含有し、且つ、顔料を含有するクリヤー塗膜であり、前記中塗り塗膜層が、メラミン硬化型またはイソシアネート硬化型のポリエステル樹脂を含有し、且つ、着色顔料を含有する塗膜であり、
    更に、前記塗膜層の塗膜層表面の平均摩擦係数が0.08以下で、塗膜層表面の23℃での硬度が5mN荷重下でのユニバーサル硬度で75〜200N/mmであり、且つ塗膜層表面の鏡面光沢度が入射角及び受光角がそれぞれ20°の条件で測定したときに50%以上であることを特徴とする、プレコート金属板。
  3. 前記トップ塗膜層が、光輝顔料を含むクリヤー塗膜である請求項2に記載のプレコート金属板。
  4. 前記トップ塗膜層が、メラミン硬化型である請求項1または2に記載のプレコート金属板。
  5. 前記トップ塗膜層が、イソシアネート硬化型である請求項1または2に記載のプレコート金属板。
  6. 前記イソシアネート硬化型のトップ塗膜層において、NCO/OHの比が、0.05〜0.5である請求項5に記載のプレコート金属板。
  7. 前記トップ塗膜層と、中塗り塗膜層との界面のRa(中心線平均粗さ)が、0.3〜0.8である請求項1〜6のいずれかに記載のプレコート金属板。
  8. 前記トップ塗膜中のシリコーングラフトアクリル樹脂の含有量がシリコーン樹脂換算で2〜18質量%であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のプレコート金属板。
  9. 前記トップ塗膜のガラス転移温度が30〜67℃であり、前記トップ塗膜中に含有されるシリコーングラフトアクリル樹脂中のシリコーン樹脂の比率が3〜20質量%であり、且つ前記中塗り塗膜のガラス転移温度が25〜50℃であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載のプレコート金属板。
  10. 塗膜層表面の23℃での硬度が5mN荷重下でのユニバーサル硬度で150〜200N/mmであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載のプレコート金属板。
  11. 前記トップ塗膜層がイソシアネート硬化型である請求項10または11に記載のプレコート金属板。
  12. 前記トップ塗膜層における硬化剤が、イソホロン ジイソシアネート(IPDI)である請求項11に記載のプレコート金属板。
  13. 前記トップ塗膜層における硬化剤の比率が、0.1〜0.5である請求項11または12に記載のプレコート金属板。
  14. 金属板の片面または両面に塗膜層を有するプレコート金属板であって、
    前記塗膜層は少なくとも、最表面に形成された塗膜であるトップ塗膜層と、該トップ塗膜層と接する中間層と、該中間塗膜層と接する下層塗膜である中塗り塗膜層とを有し、
    前記トップ塗膜層が、シリコーングラフトアクリル樹脂を含有し、且つ、顔料を含まないクリヤー塗膜であり、前記中塗り塗膜層が、メラミン硬化型またはイソシアネート硬化型のポリエステル樹脂を含有し、且つ、着色顔料を含有する塗膜であり、
    更に、前記塗膜層の塗膜層表面の平均摩擦係数が0.08以下で、塗膜層表面の23℃での硬度が5mN荷重下でのユニバーサル硬度で75〜200N/mmであり、且つ塗膜層表面の鏡面光沢度が入射角及び受光角がそれぞれ20°の条件で測定したときに50%以上であることを特徴とする、プレコート金属板。
  15. 前記中間層が、顔料を含有する請求項14に記載のプレコート金属板。
  16. 前記中間層が、光輝顔料を含有する請求項15に記載のプレコート金属板。
  17. 前記トップ塗膜層と、中間層との界面のRa(中心線平均粗さ)が、0.3〜0.8である請求項14〜16のいずれかに記載のプレコート金属板。
  18. 請求項1〜17のいずれかに記載のプレコート金属板の製造方法であって、
    前記中塗り塗膜層及び前記トップ塗膜層となる塗料をそれぞれ多層同時塗布またはウェットオンウェット方式によって塗布した後に焼き付けることを特徴とする、プレコート金属板の製造方法。
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