JP4704246B2 - 加工性と耐傷付き性に優れた塗装金属板 - Google Patents

加工性と耐傷付き性に優れた塗装金属板 Download PDF

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Description

本発明は、家電製品や屋内外の建材等に使用するのに適した、加工性と耐傷付き性に優れた塗装金属板に関する。
金属板を使用した製品において、人の目に触れる外板は、耐食性や意匠性の向上を目的として、何らかの塗装が施されて使用されることがほとんどである。
そのような塗装は、従来は製品の組立終了後に塗装するアフターコート方式で行ってきたが、最近は予め塗装を施した塗装金属板(プレコート金属板)の使用が増加してきている。
このような塗装金属板は、屋根や外壁材、内装器物などに使用されるが、ほとんどの場合成形されてから使用される。したがって、(i)塗装金属板を成形加工する際に塗膜に割れが入らないという加工性、及び、(ii)塗装金属板を取り扱う際に塗膜に傷が入らないという耐傷付き性、の2つの特性を有することが、塗装金属板には求められている。
塗装金属板の塗膜の加工性と耐傷付き性を向上させる方法としては、次の文献に提案された方法が知られている。
特許文献1には、加工性の良い塗料にガラスビーズ等を配合して耐傷付き性を向上させた塗装金属板が開示されている。
また、非特許文献1には、塗膜中の架橋剤を表面に濃化させることにより耐傷付き性を向上させた塗装金属板が開示されている。
特開平10−17815号公報 金井 洋外2名「加工性、耐汚染性、硬度特性に優れるプレコート鋼板の開発」新日鉄技報、第353号(1994)、P.26〜30
塗装金属板の耐傷付き性を向上させるために硬い塗膜を選定すると加工性が低下し、逆に加工性を向上させるように軟らかい塗膜を選定すると傷が付き易くなることからも分かるように、塗装金属板の塗膜の加工性と耐傷付き性は、基本的に相反する性質である。
特許文献1に開示された塗装金属板は、軟らかい塗膜中に硬質のガラスビーズ等を配合することにより、加工性と耐傷付き性を両立させることを狙ったものであるが、塗膜全体に硬質のガラスビーズ等を多量に配合した塗装金属板は、金属ロールで加工する場合に金属ロール面を傷付けるおそれがある。この場合、ロール研磨等の工程が必要となり、その分、生産性が落ちるとともにコストが高くなるという問題が生じる。
また、非特許文献1に開示された塗装金属板は、架橋剤を表層に多く傾斜配合させることによって塗膜の耐傷付き性を改善しようとしたものであるが、耐傷付き性は塗膜表面のごく薄い層において改善されるだけである。したがって、少し強い力が加わると塗膜が傷付くことが避けられないという問題があり、その耐傷付き性は満足できるものではなかった。
本発明は、このような問題点を解決するものであって、加工性と耐傷付き性の両方に優れた塗装金属板を提供することを目的とする。
本発明者らは、塗装金属板における加工性と耐傷付き性に関して、鋭意、研究と検討を重ねた結果、次の(a)〜(d)の知見を得た。
(a) 塗装金属板において、加工性と耐傷付き性を両立させるためには、軟質のベース塗膜を金属板の全面に塗装して加工性を向上させ、そして、その上に硬質の上塗り塗膜を形成して耐傷付き性を向上させるのがよい。
(b) しかしながら、耐傷付き性を向上させるために、硬質の上塗り塗膜を全面に塗装すると、塗膜全体が硬くなりすぎて、塗装金属板の加工性が低下してしまうおそれがある。
(c) 耐傷付き性の向上は、塗装金属板を取り扱う際に塗膜に傷が入らないようにすることであるから、塗装金属板の取り扱い時に接触する塗膜部分のみを硬質にすればよく、そのためには、硬い上塗り塗膜を部分的に形成すればよい。
(d) すなわち、塗膜全体が硬くなりすぎるのを防止するためには、硬質の上塗り塗膜を軟質のベース塗膜の上に、全面に形成するのではなく、島状に形成すればよい。
本発明は、上記の(a)〜(d)の知見に基づいて完成したものであり、本発明の要旨は、次の(1)〜(5)に記載したとおりの、加工性と耐傷付き性に優れた塗装金属板である。以下、(1)〜(5)を総称して、本発明という。
(1) 下地処理が施された金属板の少なくとも片面に、鉛筆硬度がH以下の軟質のベース塗膜及び鉛筆硬度が2H以上の硬質の島状の上塗り塗膜を順に有する塗装金属板であって、島状の上塗り塗膜のベース塗膜に対する面積率が10〜90%でありかつ島状の上塗り塗膜の平均直径が10mm以下であることを特徴とする加工性と耐傷付き性に優れた塗装金属板。
(2) 下地処理が施された金属板の少なくとも片面に、下塗り塗膜、鉛筆硬度がH以下の軟質のベース塗膜鉛筆硬度が2H以上の硬質の島状の上塗り塗膜を順に有する塗装金属板であって、島状の上塗り塗膜のベース塗膜に対する面積率が10〜90%でありかつ島状の上塗り塗膜の平均直径が10mm以下であることを特徴とする加工性と耐傷付き性に優れた塗装金属板。
(3) ベース塗膜及び上塗り塗膜の塗料にはいずれも架橋剤が配合されていて、ベース塗膜の塗料中の架橋剤の配合比は樹脂100重量部に対して10〜25重量部であり、かつ、上塗り塗膜の塗料中の架橋剤の配合比はベース塗膜中の架橋剤の配合比よりも大きいことを特徴とする、上記(1)又は(2)の加工性と耐傷付き性に優れた塗装金属板。
(4) ベース塗膜及び上塗り塗膜を形成する樹脂成分がポリエステル系樹脂及びポリウレタン系樹脂のうちの1種又は2種であり、架橋剤がメラミン系化合物又はイソシアネート系化合物であることを特徴とする、上記(3)の加工性と耐傷付き性に優れた塗装金属板。
(5) ベース塗膜及び上塗り塗膜を同時に焼き付け硬化させてなることを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれかの加工性と耐傷付き性に優れた塗装金属板。


本発明により、加工性と耐傷付き性がともに優れた塗装金属板を安価に提供することができる。
以下に、本発明の意匠性に優れた模様塗装金属板及びその製造方法について説明する。
(A)塗装金属板の基材となる金属板
塗装金属板の基材となる金属板の種類としては、特に限定されるものではない。例えば、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、チタン板、銅板等が挙げられる。
このうち鋼板の例としては、冷延鋼板、熱延鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、5%溶融亜鉛−アルミめっき鋼板、55%溶融亜鉛ーアルミめっき鋼板、溶融アルミニウムめっき鋼板、合金化めっき鋼板、亜鉛ー鉄合金めっき鋼板、亜鉛−ニッケル合金めっき鋼板、錫めっき鋼板、溶融亜鉛−アルミ−マグネシウムめっき鋼板等が挙げられる。
(B)下地処理について
塗装金属板の基材となる金属板は、基材金属板と塗膜との密着性の向上を図るために、金属板表面に下地処理が施される。また、必要により、さらに脱脂処理を施してもよい。
下地処理は、リン酸亜鉛処理、クロメート処理、複合酸化皮膜処理などの化成処理を、単独又は組み合わせて施すことによってなされる。クロメート処理は、電解型や反応型クロメート処理も適用可能であるが、作業性の面からは塗布型クロメート処理が好ましい。金属クロム換算のクロメート付着量は、20〜80mg/m2の範囲が好ましい。クロメート付着量が20mg/m2以上のとき塗膜の密着性が十分となり、80mg/m2以下のとき十分な加工性が得られる。本発明で使用するのに好適な塗布型クロメート処理液の市販品の1例は、日本ペイント(株)製「NRC 300」である。塗布型クロメート処理液は、常法に従ってロールコータ等で塗布し、熱風で50〜100℃に加熱して乾燥させることで下地処理を実施すればよい。
環境問題から6価クロムを使うクロメート処理を実施したくない場合には、シリカ、樹脂、ジルコニウムやチタンを含有するクロムフリー下地処理を施すこともできる。本発明に使用するのに好適な1例は、シリカ系下地処理液である日本ペイント(株)製「サーフコート EC2000」である。
(C)下塗り塗膜について
金属板表面に下地処理を施したのち、直接、ベース塗膜を形成しても良いが、特に耐食性や塗膜の密着性が要求される場合など、用途によっては、ベース塗膜の下に下塗り塗膜を形成しておくのが好ましい。
塗装金属板の基材となる金属板に塗装される下塗り塗料の樹脂としては、特に限定はなく、例えば、エポキシ系、ポリエステル系、アクリル系、ポリウレタン系の樹脂や、これらの変成体樹脂が使用できる。使用する塗料の溶媒は水性系と有機溶剤系のいずれでもよいし、溶媒を使用しない粉体塗料でもよい。
エポキシ系塗料は各種のものが市販されており、それらを適宜、使用すればよい。例えば、メラミン、アミン、またはイソシアネートを架橋剤として含有するエポキシ系塗料でよい。エポキシ樹脂種としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。
ポリエステル系塗料の例として、熱可塑性ポリエステル樹脂にメラミンやイソシアネートを架橋剤として配合したものが挙げられる。架橋剤としては、エチルアルコールやブチルアルコールで変性したメラミンを使用することができ、場合によってパラトルエンスルホン酸やドデシルベンゼンスルホン酸等を触媒として適宜使用することができる。
ポリウレタン系塗料の例としては、ポリエステルポリオールを黄変型ポリイソシアネートまたは無黄変型ポリイソシアネートで架橋反応させるものが挙げられる。架橋剤の例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)等が使用できる。この場合、ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)等の触媒を適宜使用してもよい。
下塗り塗料は、2種以上の樹脂種を含有してもよい。下塗り塗膜は1層でよいが、用途に応じて2層以上としてもよい。下塗り塗膜は、着色顔料、防錆顔料、体質顔料、骨材等を添加してもよい。ここで、防錆顔料としては、ストロンチウムクロメートやジンククロメート等のクロム系防錆顔料やリン酸系防錆顔料が挙げられる。
下塗り塗膜の厚みは、乾燥膜厚として1〜30μm程度の厚みとすることが好ましい。乾燥膜厚として2〜10μm程度の厚みとするのが、より好ましい。
下塗り塗膜の塗料は、下地処理を施した金属板の上に、ロールコータ、カーテンフローコータ等の適当な塗布装置を使用して、塗装される。塗装は、塗布だけでなく、スプレーコータを用いた静電塗装や電着塗装によってもよい。塗装後に、金属板の最高到達温度が約150〜250℃となるように約20〜60秒の焼付けにより行うことができ、従来の熱風吹き付け型オーブンや、誘導加熱、赤外線加熱などの加熱方法が利用できる。
なお、下塗り塗膜の焼き付けは、金属板の最高到達温度が約150〜250℃となるようにして行う。ここで、下塗り塗膜の焼き付けはベース塗膜の塗料を塗装する前に行うことが好ましい。
(D)ベース塗膜について
ベース塗膜は、島状の上塗り塗膜を塗装するベースとなる塗膜であり、下地処理を施した後に、直接又は下塗り塗料の塗膜を介して、ベース塗膜の塗料が全面に塗装される。ベース塗膜の塗料は、塗装金属板が使用される製品の部位に応じて適宜、選択することが可能であるが、下地処理膜又は下塗り塗膜との間で優れた密着性を有するとともに、島状の上塗り塗膜との間で優れた密着性を有する塗料を用いるのが好ましい。
ベース塗膜には、塗装金属板を成形加工する際に塗膜に割れを発生させないようにして加工性を向上させる機能を持たせる必要があるため、鉛筆硬度がH以下の軟質の塗膜を全面に形成する。
本発明で述べる鉛筆硬度とは、塗膜厚を15μmとした場合の「傷付き硬度」を示す。たとえば、鉛筆硬度「H」の塗膜とは、鉛筆硬度測定用の鉛筆を用いて描写した場合に、Hの鉛筆では傷が残らず、2Hの鉛筆で傷が残るような塗膜の硬さを意味する。
ベース塗膜の塗料に使用される樹脂種としては、ポリエステル系及びポリウレタン系の樹脂が好ましい。ポリエステル系及びポリウレタン系の樹脂種の具体的に態様については、上述の(C)下塗り塗膜において説明したものと同様である。ベース塗膜の塗料は、2種以上の樹脂種を含有してもよい。使用する塗料の溶媒は水性系と有機溶剤系のいずれでもよいし、溶媒を使用しない粉体塗料でもよい。
ベース塗膜の塗料には、メラミン系又はイソシアネート系化合物からなる架橋剤を配合するのが好ましい。架橋剤の配合比は塗料の樹脂100重量部に対し10〜25重量部配合するのが好ましい。架橋剤が10重量部以上のときに十分な架橋反応を起こさせることができ、また、架橋剤が25重量部以下のときにベース塗膜は適度の加工性を得ることができる。
ベース塗膜は1層でよいが、用途に応じて2層以上としてもよい。ベース塗膜には、素地を隠蔽するなどの目的で、着色顔料、防錆顔料、体質顔料、骨材などを配合することができる。
ベース塗膜は、下地処理を施した後に、直接又は下塗り塗料の塗膜を介して、ベース塗膜の塗料が全面に塗装される。ロールコータ、カーテンフローコータ等の適当な塗布装置を使用するのが好ましいが、塗布だけでなく、スプレーコータを用いた静電塗装や電着塗装によってもよい。なお、下塗り塗料の塗膜を介してベース塗膜の塗料を塗装する場合は、下塗り塗料を乾燥、硬化した後に、ベース塗膜の塗料の塗装を行うのが好ましい。
ベース塗膜の膜厚は5〜40μm程度が好ましく、10〜30μm程度がより好ましい。膜厚を5μm以上にすると、素地を隠蔽し易くなるとともに、紫外線の透過を抑制できるため、塗膜の耐候性を維持しやすくなる。また、膜厚を40μm以下にすると、塗装作業がし易くなる。
なお、ベース塗膜の塗料の焼付けは、金属板の最高到達温度が約150〜250℃となるようにして行う。ここで、ベース塗膜の焼き付けは上塗り塗膜の焼き付けと同時にするのが好ましい。
(E)島状の上塗り塗膜について:
上塗り塗膜は、鉛筆硬度がH以下の軟質のベース塗膜の上に、鉛筆硬度が2H以上の硬質の塗膜を島状に形成する。軟質のベース塗膜の上に硬質の上塗り塗膜を形成するのは、塗装金属板を取り扱う際に塗膜に傷を付けないという耐疵付き性を向上させるためであるが、塗膜全体が硬くなりすぎることを防止するために、上塗り塗膜を全面でなく島状に形成するのである。
なお、上塗り塗膜の塗料は、ベース塗膜との間で優れた密着性を有する塗料を用いるのが好ましい。また、上塗り塗膜の塗料は、ベース塗膜の塗料と同じ色相の上塗り塗料を用いてもよいし、異なる色相の上塗り塗料を用いてもよい。異なる色相の上塗り塗料を用いると、塗装金属板は島状の模様を有する塗装金属板となる。したがって、島状模様の塗装金属板を目的とする場合には、ベース塗膜の塗料とは異なる色相の上塗り塗料を用いて塗装すればよい。
上塗り塗膜の塗料に使用される樹脂種としては、ポリエステル系及びポリウレタン系の樹脂が好ましい。ポリエステル系及びポリウレタン系の樹脂種の具体的に態様については、上述の(C)下塗り塗膜において説明したものと同様である。上塗り塗膜の塗料は、1種の樹脂種だけを含有するものでもよいが、2種以上の樹脂種を含有するものでもよい。ベース塗膜の塗料に用いた塗料とは異なる樹脂種でもよいが、同じ樹脂種の塗料を使用するのが好ましい。
上塗り塗膜の塗料には、メラミン系又はイソシアネート系化合物からなる架橋剤を配合するのが好ましい。架橋剤の配合比は塗料の樹脂100重量部に対し25重量部を超えるのが好ましい。上塗り塗膜の塗料中の架橋剤の配合比が25重量部を超えるとともに、ベース塗膜の塗料中の架橋剤の配合比よりも大きいときに、塗装金属板に十分な耐傷付き性を付与することができる。なお、上塗り塗膜中の塗料中の架橋剤の配合比の上限は、50重量部とするのが好ましい。
上塗り塗膜の膜厚は0.5〜20μm程度が好ましく、1〜10μm程度がより好ましい。塗膜厚を0.5μm以上にするとスプレー塗装の制御が容易となり、1μm以上とするとスプレー塗装の制御がより容易になる。そして、塗膜厚が20μm以下であれば塗装作業がし易くなり、10μm以下であれば塗装作業がより容易になる。
上塗り塗膜をベース塗膜の上に島状に形成するためには、上塗り塗料をベース塗膜の上にスプレー塗装するのが好ましい。スプレー塗装をすると、上塗り塗料は円形状又は楕円形状のものが形成される。スプレー塗装は、1回の塗装だけでもよいが、2回以上の塗装を同時に又は順次に行ってもよい。複数回のスプレー塗装をする場合、異なる樹脂種からなる模様塗料を用いてスプレー塗装してもよいが、同じ樹脂種からなる模様塗料を用いて塗装するのが好ましい。また、複数回のスプレー塗装をする場合、島状の上塗り塗膜の塗料は同じ色相の塗料を用いてもよく、また別の色相の塗料を用いてもよい。なお、上塗り塗膜の塗装は、ベース塗膜が未乾燥の状態で行うのが好ましい。
使用する塗料の溶媒は水性系と有機溶剤系のいずれでもよいし、溶媒を使用しない粉体塗料でもよい。溶媒を用いるときは、JIS5400に従って、シンナー希釈等によって塗料粘度をフォードカップ#4で10〜40秒程度に調整することが好ましい。塗料粘度が40秒を超えるとスプレーされた塗料粒子のサイズを好ましい範囲にコントロールしにくくなる。そして、粘度が10秒を下回るとシンナー量が多くなりすぎるので、コストが増加する。
なお、上塗り塗膜の塗料の焼付けは、金属板の最高到達温度が約150〜250℃となるようにして行う。ここで、上塗り塗膜の焼き付けはベース塗膜の焼き付けと同時にすると、ベース塗膜と上塗り塗膜の間の密着力が得られるので好ましい。ベース塗料を塗装して、指触でベース塗料が指に付く程度の未乾燥状態で上塗り塗料をスプレー塗装し、その後、上塗り塗膜とベース塗膜を同時に焼き付けるのがより好ましい。この場合は、未乾燥の状態のベース塗膜上にスプレー塗装で吹き付けられた上塗り塗膜の塗料の流動性が大きく、上塗り塗膜がベース塗膜の上を広がって島状に形成されるので、ベース塗膜との間の密着力が強く、そして、ベース塗膜と島状の上塗り塗膜が同時に焼き付けられるため、加工性と耐傷付き性に優れた模様塗装金属板が得られる。
(F) 島状の上塗り塗膜の面積率と平均直径について
スプレー塗装法で、ベース塗膜上に島状に上塗り塗料を塗装すると、円形状又は楕円形状の島状の上塗り塗膜が形成される。
このときの島状の上塗り塗膜のベース塗膜に対する面積率は10〜90%が好ましく、20〜80%がより好ましい。この面積率が10%以上のとき塗装金属板に十分な耐傷付き性を付与することができ、20%以上のとき塗装金属板により十分な耐傷付き性を付与することができる。そして、この面積率が90%以下のとき、塗膜割れの発生が少なく、塗装金属板に十分な加工性を付与することができ、80%以下のとき、塗膜割れの発生がより少なく、塗装金属板により十分な加工性を付与することができる。
なお、島状に形成される上塗り塗膜の表面被覆率は、得られる塗装金属板を、縦横3cmの間隔の複数区域に区分し、各区域に存在する島状の上塗り塗膜の面積を合計した後、複数区域の合計の面積で割ることによって得られる。
また、島状の上塗り塗膜の大きさは、10mm以下の平均直径を有するものが好ましく、1〜8mmの平均直径を有するものがより好ましい。この平均直径が10mm以下のとき、塗膜割れの発生が少なく、塗装金属板に十分な加工性を付与することができ、8mm以下のとき、塗膜割れの発生がより少なく、塗装金属板により十分な加工性を付与することができる。そして、この平均直径が1mm以上のとき、塗装鋼板に十分な耐傷つき性を付与することができる。
なお、島状に形成される上塗り塗膜の大きさの平均直径は、得られる塗装金属板を、縦横3cmの間隔の複数区域に区分し、各区域に存在する島状の上塗り塗膜のうち、面積の最大の島状のものを選択し、その島状の形を真円と仮定して得られる直径を合計した後、区域数で割ることによって得られる。
上記の面積率と平均直径を有する島状の上塗り塗膜は、上塗り塗料の吐出量、塗装速度などの塗装条件を適宜調整することによって形成することができる。スプレー塗装時の塗料の粘度を、フォードカップ#4(20℃)での測定で10〜40秒の範囲内にすることが好ましく、スプレー塗装時のエア圧は、0.1〜10kgf/cm2とするのが好ましい。
〈供試材の作製方法〉
Al:55質量%、Zn:44質量%及びSi:1質量%のめっき組成を有する溶融55%Al−Zn合金めっき金属板(めっき付着量AZ150、金属板厚み0.5mm)を素材とし、この素材の片面に塗布型クロメート処理液(日本ペイント(株)製「NRC 300」)を、クロム付着量が30mg/m2となるようにバーコータで塗布し、最高到達温度が80 ℃となるように加熱、乾燥させることによって、下地処理を施した。
こうして下地処理を施した溶融55%Al−Zn合金めっき金属板の面に、下塗り塗料として、エポキシ塗料(関西ペイント(株)製「KP8610」)を塗料粘度がフォードカップ#4で40秒となるように調整し、バーコータで塗布し、焼き付け時間40秒で、最高到達温度が210℃になるように焼き付けをおこなって、乾燥時の厚みが5μmの下塗り塗膜を得た。
別途、ベース塗膜に使用する塗料に使用する樹脂として、ポリエステル樹脂(三井化学(株)製「アルマテックスP645」)を用意し、これの固形分100重量部に対して、顔料(石原産業(株)製「タイペークR820」)を100重量部及び溶剤(エッソ石油(株)製「ソルベッソ150」)を適宜量添加し、さらに、メラミン架橋剤(三井サイアナミド(株)製「サイメル370」を配合することによって、ベース塗膜に使用する塗料を調整した。ここで、メラミン架橋剤の配合量は、表1のベース塗料の欄に表示したとおり、ポリエステル樹脂100重量部に対して7〜35重量部と種々に変化させた。
また、上塗り塗膜に使用する塗料に使用する樹脂として、ポリエステル樹脂(三井化学(株)製「アルマテックスP645」)を用意し、これの100重量部に対して、顔料(石原産業(株)製「R820」)を100重量部及び溶剤(エッソ石油(株)製「ソルベッソ150」)を120重量部を添加し、さらに、メラミン架橋剤(三井サイアナミド(株)製「サイメル370」を配合することによって、上塗り塗膜に使用する塗料を調整した。ここで、メラミン架橋剤の配合量は、表1の上塗り塗料の欄に表示したとおり、ポリエステル樹脂100重量部に対して20〜40重量部と種々に変化させた。
ベース塗膜に使用する塗料は、塗料粘度をフォードカップ#4で70秒に調整し、下塗り塗膜の上の全面に、乾燥時の厚みが10μmになるように、ロールコータで塗布してベース塗膜を得た。
そして、ベース塗料の塗装後10秒以内に、塗料粘度をフォードカップ#4で35〜40秒に調整した上塗り塗料を、平均直径3mmの島状の上塗り塗膜が面積率30%でもって形成されるように、スプレーガンによりベース塗膜上に吹き付けて、スプレー塗装を行った。ここで、スプレー塗装の条件は、噴霧エアー量は150NL/分、パターンエアー量は120NL/分、金属板の移動速度は60m/分で行った。
その後、ベース塗膜と島状の上塗り塗膜の焼き付けと同時に行った。金属板の最高到達温度が230℃となるように50秒で焼き付けた。この結果、上塗り塗膜上に形成された島状の上塗り塗膜の焼き付け後の最大厚みは乾燥時で約5μmであった。
図1は、このようにして得られた塗装金属板の一例の模式図(断面斜視図)である。金属板1の片面に、順に、下地処理膜2、下塗り塗膜3、そして、ベース塗膜4が塗布されており、その上に、島状の上塗り塗膜5が形成されている。
表1に、各供試材における、ベース塗料中と上塗り塗料中のそれぞれの架橋剤の配合量を示すとともに、焼き付け硬化して得られた塗装金属板のベース塗膜の鉛筆硬度、上塗り塗膜の鉛筆硬度と平均直径と面積率、そして、塗装金属板の加工性と耐傷付き性を示す。
実施例1の本発明例に係る塗装金属板は、いずれも優れた加工性と耐傷付き性を有していることが分かる。
Figure 0004704246
なお、供試材における、鉛筆硬度、加工性及び耐傷つき性の試験評価方法は、それぞれ、次の(i)〜(iii)に示すとおりである。
(i) 鉛筆硬度試験
所定の硬度を有する鉛筆で、供試材の塗装金属板に線引きし、塗膜に傷が残るか否かを試験する。このとき、塗膜に傷がつかなかった鉛筆のうち、最も硬度の大きい鉛筆の硬度を塗装金属板の硬度として表示する。
(ii) 加工性試験
JIS G3322の曲げ試験による。供試材の塗装金属板の塗装面を外側にし、同じ板厚の鋼板を5枚内側に挟んだ状態で、万力を用いて23℃で180°曲げ加工を行い、10倍ルーペを使用して曲げ加工部を目視で観察して、塗膜割れの有無を評価する。○は塗膜割れがないことを意味し、×は塗膜割れがあることを意味する。
(iii) 耐傷付き性試験
供試材の塗装金属板から、シャーを用いて500mm×1000mmの大きさに切り出し、この切り出した板を30枚機械的に積み重ねていくときに、上に積まれる板の端面が下になる板の塗装面と擦れることによって板の塗装面に傷が発生する度合いを評価する。30枚中に傷の発生する枚数が3枚以下のときに合格とする。○は合格を意味し、×は不合格を意味する。
ベース塗膜に使用する塗料に使用するポリエステル樹脂として、東洋紡(株)製「ハイロン23CS」を用いた以外は、すべて実施例1と同様にして、塗装金属板の供試材を得た。
表2に、各供試材における、ベース塗料中と上塗り塗料中のそれぞれの架橋剤の配合量を示すとともに、焼き付け硬化して得られた塗装金属板のベース塗膜の鉛筆硬度、上塗り塗膜の鉛筆硬度と平均直径と面積率、そして、塗装金属板の加工性と耐傷付き性を示す。
各供試材における、鉛筆硬度、加工性及び耐傷つき性の試験評価方法は、いずれも、上述したとおりである。実施例2の本発明例に係る塗装金属板も、いずれも優れた加工性と耐傷付き性を有していることが分かる。
Figure 0004704246
以上のとおり、本発明により、加工性と耐傷付き性がともに優れた塗装金属板を安価に提供することができる。また、ベース塗膜と上塗り塗膜の色相の組合せによっては、意匠性に優れた模様塗装金属板を提供することもできる。
本発明に係る塗装金属板の一例の模式図(断面斜視図)である。
符号の説明
1 金属板
2 下地処理
3 下塗り塗膜
4 ベース塗膜
5 島状の上塗り塗膜

Claims (5)

  1. 下地処理が施された金属板の少なくとも片面に、鉛筆硬度がH以下の軟質のベース塗膜及び鉛筆硬度が2H以上の硬質の島状の上塗り塗膜を順に有する塗装金属板であって、島状の上塗り塗膜のベース塗膜に対する面積率が10〜90%でありかつ島状の上塗り塗膜の平均直径が10mm以下であることを特徴とする加工性と耐傷付き性に優れた塗装金属板。
  2. 下地処理が施された金属板の少なくとも片面に、下塗り塗膜、鉛筆硬度がH以下の軟質のベース塗膜鉛筆硬度が2H以上の硬質の島状の上塗り塗膜を順に有する塗装金属板であって、島状の上塗り塗膜のベース塗膜に対する面積率が10〜90%でありかつ島状の上塗り塗膜の平均直径が10mm以下であることを特徴とする加工性と耐傷付き性に優れた塗装金属板。
  3. ベース塗膜及び上塗り塗膜の塗料にはいずれも架橋剤が配合されていて、ベース塗膜の塗料中の架橋剤の配合比は樹脂100重量部に対して10〜25重量部であり、かつ、上塗り塗膜の塗料中の架橋剤の配合比はベース塗膜中の架橋剤の配合比よりも大きいことを特徴とする、請求項1又は2に記載の加工性と耐傷付き性に優れた塗装金属板。
  4. ベース塗膜及び上塗り塗膜を形成する樹脂成分がポリエステル系樹脂及びポリウレタン系樹脂のうちの1種又は2種であり、架橋剤がメラミン系化合物又はイソシアネート系化合物であることを特徴とする、請求項に記載の加工性と耐傷付き性に優れた塗装金属板。
  5. ベース塗膜及び上塗り塗膜を同時に焼き付け硬化させてなることを特徴とする、請求項1からまでのいずれかに記載の加工性と耐傷付き性に優れた塗装金属板。
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