JP2005022105A - 塗装鋼板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下地処理が施されためっき鋼板の少なくとも片面に2層以上の塗膜を有する塗装鋼板であって、最下層の塗膜が防錆顔料を含有するとともに、塗膜の少なくとも1層が次の式(1)及び(2)を満足する幅Wと長さLを有する樹脂繊維を含有することを特徴とする塗装鋼板。
h/2<W<h・・・・・・・・・・・・・・(1)
W<L<100W・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
ここで、h:樹脂繊維を含有する塗膜の乾燥時の厚み
W:樹脂繊維の幅
L:樹脂繊維の長さ
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、家電製品や屋内外の建材等に使用するのに適した塗装鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】
めっき鋼板を使用した製品において、人の目に触れる外板は、耐食性や意匠性の向上を目的として、何らかの塗装が施されて使用されることがほとんどである。
【0003】
そのような塗装は、従来は製品の組立終了後に塗装するアフターコート方式により行ってきたが、最近は予め塗装を施した塗装鋼板(プレコート鋼板)の使用が増加してきている。
【0004】
塗装鋼板の使用割合が増えているのは、(1) 客先の工程省略に役立つ、(2) 脱脂、塗装といった薬品を使用する煩雑な作業を避けることができる、(3) 都会近郊に立地した家電製品工場の場合は塗装工場を更新しにくい、(4) 特殊な機能付与が可能、(5) 意匠性付与が可能、といった理由が挙げられる。
【0005】
めっき鋼板としては、溶融亜鉛めっき鋼板や5%Alを含有した溶融Zn−Al合金めっき鋼板、溶融アルミニウムめっき鋼板、さらには、55%Alを含有した溶融Al−Zn合金めっき鋼板等が用いられている。しかしながら、めっき鋼板はその製造時及び取り扱い時に傷つき易いため、耐傷つき性の向上が求められている。特に、建材用塗装鋼板には、耐食性、耐候性、加工性に加えて、耐傷つき性が要求される。
【0006】
塗膜の耐傷つき性を向上させるために、特許文献1には、塗膜中にガラス繊維を含有させる技術が開示されている。しかしながら、ガラス繊維を含有することで塗膜の耐傷つき性は向上するものの、塗膜の加工性が大きく低下する。また、塗膜が硬すぎるために塗装鋼板の製造時あるいは取り扱い時に、ロールやダイス等の工具を摩耗させて、その寿命を低下させる場合がある。さらに、塗装鋼板自体も、その工具の摩耗によって生じた粉粒による汚れが目立つ場合もあった。
【0007】
同じく、特許文献2には、塗膜中に特定形状のガラス粒子を含有させることで、耐傷つき性と耐摩耗性を向上させる技術が開示されている。しかしながら、ガラス粒子を含有することで塗膜の耐傷つき性は向上するものの、やはり塗膜の加工性が大きく低下する。また、ロールやダイス等の工具を摩耗させて、その寿命を短くする。
【0008】
【特許文献1】
特開昭61−237636公報
【特許文献2】
特開2001−2767286公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このように、塗装鋼板の耐傷つき性を向上させる従来技術は、いずれも、耐傷つき性自体は向上するものの、加工性が大きく低下するとともに、工具を傷つけるだけでなく、工具摩耗によって生じる粉粒によって塗装鋼板自体が汚染するという問題があった。
【0010】
本発明は、塗装鋼板の加工性を低下させることなく、塗装鋼板の耐傷つき性を向上することができ、さらに、工具を傷つけることが少なく、したがって、塗装鋼板自体の汚れを防止できる塗装鋼板を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、従来技術における加工性の低下の原因をガラスを含有させるためであると考え、ガラス繊維に代えて、アルミナ等の無機物の繊維を使用することを考えたが、ガラス繊維と同様に加工性が低下するだけでなく、塗膜が硬くなるために、塗装鋼板のシャー切断時に切断部塗膜が線状に剥離するという、いわゆるエナメルヘアー現象が発生した。このため、無機物繊維はあきらめ、代わりに、樹脂繊維を含有させることを着想するとともに、その樹脂繊維を特定形状に規定することによって、加工性を低下させることなく、塗装鋼板の耐傷つき性を向上させることができることを見いだした。さらに、この塗装鋼板は、工具を傷つけることがすくなく、したがって、塗装鋼板自体の汚れを防止できるものであることも見いだした。
【0012】
このようにして完成した本発明の塗装鋼板は、下地処理が施されためっき鋼板の少なくとも片面に2層以上の塗膜を有する塗装鋼板であって、最下層の塗膜が防錆顔料を含有するとともに、塗膜の少なくとも1層が次の式(1)及び(2)を満足する幅Wと長さLを有する樹脂繊維を含有することを特徴とする。
h/2<W<h・・・・・・・・・・・・・・(1)
W<L<100W・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
ここで、h:樹脂繊維を含有する塗膜の乾燥時の厚み
W:樹脂繊維の幅
L:樹脂繊維の長さ
本発明の塗装鋼板において、樹脂繊維は、塗膜の1層だけに含有させてもよいし、2層以上に含有させてもよい。また、樹脂繊維の形状は、上記の式(1)及び(2)を満足する幅Wと長さLを有する樹脂繊維であればよく、その断面形状は限定されない。すなわち、円形、矩形だけでなく、多角形であってもよいが、円形断面の樹脂繊維が好ましい。なお、断面形状が長方形の場合、樹脂繊維のの幅は短辺でもって測定する。樹脂繊維の幅と長さにバラツキがある場合には、それぞれ、その平均値をW及びLとする。
【0013】
このような特定形状の樹脂繊維を添加することによって、耐傷つき性が向上するメカニズムは完全には解明されていない。おそらく何らかの鋭利なもので塗膜が引っかかれた場合に、このような形状の樹脂繊維を剥離させようとすると樹脂繊維だけでなく、樹脂繊維の周りの塗膜をかなり広い範囲にわたって破壊する必要が出てくるためであると推定される。言い換えれば、樹脂繊維が存在しない場合には線状の刃に対して抵抗する塗膜はほんの狭い「線」の範囲にすぎないが、樹脂繊維が存在する場合には抵抗する塗膜は「面」に近い範囲であると推定される。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の塗装鋼板の素材となるめっき鋼板は、溶融めっき、電気めっき、気相めっき等のいずれの方法によりめっきしたものでもよく、めっき金属種は亜鉛、錫、アルミニウム等とそれらの合金が用いられる。具体的には、溶融亜鉛めっき鋼板、5%Alを含有した溶融Zn−Al合金めっき鋼板、溶融アルミニウムめっき鋼板、55%Alを含有した溶融Al−Zn合金めっき鋼板等が挙げられる。
【0015】
以下に、本発明の塗装鋼板について説明する。ここでは、下塗り塗膜と上塗り塗膜の2層の塗膜を形成する場合について説明するが、中塗り塗膜を設けて塗膜を3層またはそれ以上とすることもできる。
【0016】
(1)鋼板の下地処理:
鋼板の下地処理としては、従来から用いられているリン酸亜鉛処理やクロメート処理でよい。電解型や反応型クロメート処理も適用可能であるが、作業性の面からは塗布型クロメート処理が好ましい。金属クロム換算のクロメート付着量は、10〜200mg/m2の範囲が好ましい。クロメート付着量があまりに少ないと、塗膜の密着性が十分得られず、過大になると加工性の低下を招くことになる。本発明で使用するのに好適な塗布型クロメート処理液の市販品の1例は、日本ペイント(株)製「NRC 300」である。塗布型クロメート処理液は、常法に従ってロールコータ等で塗布し、熱風で50〜150℃に加熱して乾燥させることで下地処理を実施すればよい。
【0017】
環境問題から6価クロムを使うクロメート処理を実施したくない場合には、シリカ、樹脂、ジルコニウムやチタンを含有するクロムフリー下地処理を施すこともできる。本発明に使用するのに好適な1例は、シリカ系下地処理液である日本ペイント(株)製「サーフコート EC2000」である。
【0018】
(2)下塗り塗膜の塗料と防錆顔料:
下塗り塗膜(最下層の塗膜)の塗料は、例えば、エポキシ系、ポリエステル系およびウレタン系の樹脂が使用できる。鋼板に対して密着性に優れ、加工性も良好な塗膜を形成することができる樹脂が好ましい。使用する塗料の溶媒は水性系と有機溶剤系のいずれでもよいし、溶媒を使用しない粉体塗料でもよい。
【0019】
エポキシ系塗料は各種のものが市販されており、それらを適当に使用すればよい。例えば、メラミン、アミン、またはイソシアネートを架橋剤として含有するエポキシ系塗料でよい。エポキシ樹脂種としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。
【0020】
ポリエステル系塗料の例として、熱可塑性ポリエステル樹脂にメラミンやイソシアネートを架橋剤として配合したものが挙げられる。ポリエステルとしては、分子量が5千から2万程度のいわゆる高分子量ポリエステル樹脂が、加工性の観点から好適である。架橋剤としては、エチルアルコールやブチルアルコールで変性したメラミンを使用することができ、場合によってパラトルエンスルホン酸やドデシルベンゼンスルホン酸等を触媒として適宜使用することができる。
【0021】
ウレタン系塗料の例としては、ポリエステルポリオールを黄変型ポリイソシアネートまたは無黄変型ポリイソシアネートで架橋反応させるものが挙げられる。架橋剤の例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)等が使用できる。この場合も、ジブチル錫ジラウレート(DBTL)等の触媒を適宜使用してもよい。
【0022】
これらのいずれかの塗料(所望により、2種以上の樹脂種を含有する塗料でもよい)に、予め防錆顔料を添加する。顔料は、塗膜中に30〜70質量%含有されるように添加量を調整するのが好ましい。含有量が30質量%以上のとき切断端面耐食性が良好になり、70質量%以下であると加工性に優れるものが得られる。防錆顔料としては、ストロンチウムクロメートやジンククロメート等のクロム系防錆顔料やリン酸系防錆顔料が挙げられる。
【0023】
下塗り塗膜(最下層の塗膜)には、後述するように、さらに樹脂繊維を添加含有させることができる。
【0024】
下地処理を施した金属板の上に、ロールコータ等の適当な塗布装置を使用して、防錆顔料を含有する塗料を塗装し、加熱して塗膜を焼付ける。塗装は、塗布だけでなく、スプレーコータを用いた静電塗装や電着塗装によってもよい。
【0025】
焼付けは、鋼板の最高到達温度が約と150 〜250 ℃となるように約30〜60秒の焼付けにより行うことができ、従来の熱風吹き付け型オーブンや、誘導加熱、赤外線加熱などの加熱方法が利用できる。
【0026】
塗膜厚みは、乾燥膜厚として3〜25μm程度の厚みとすることが好ましい。塗膜厚みが3μm以上のとき耐食性が良好であるが、塗膜厚みが25μmを上回ると、耐食性が飽和する一方、コストが増加するだけである。また、塗膜厚みが25μm以下のとき加工性が良好である。なお、素地に達する傷の発生を防止するためには、塗膜厚みを大きくするのが好ましい。
【0027】
(3)上塗り塗膜の塗料:
上塗り塗膜 (最上層の塗膜)の塗料は、ポリエステル系やウレタン系樹脂が使用できる。耐候性や加工性が求められる場合には、ポリエステル系及びウレタン系樹脂が好ましい。上塗り塗料は、下塗り塗料に関して上述したものと同様でよい。
【0028】
上塗り塗料も、2種以上の樹脂種を含有していてよい。上塗り塗料の塗装や焼付けは、下塗り塗料について説明したのと同様に実施できる。上塗り塗膜の焼付けは、鋼板の最高到達温度が150〜250℃となるように約30〜70秒の焼付けで行うことができる。
【0029】
上塗り塗膜の厚みは、乾燥膜厚で10〜40μmの範囲とすることが好ましい。塗膜厚みが10μm以上のとき隠蔽性が良好となり、塗装時の色安定性が向上し、経年時の摩耗や光に対する耐久性が向上する。塗膜厚みが40μmを上回ると、耐傷つき性が飽和する一方、コストが増加するだけである。
【0030】
(4)樹脂繊維:
本発明に係る塗装鋼板において、樹脂繊維は塗膜の1層だけに含有させてもよいし、2層以上に含有させてもよい。樹脂繊維は、塗料中にできるだけ均一に分散させて含有させるのがよい。
【0031】
その形状は、前述のとおり、式(1)及び(2)を満足する必要があるが、これらの式(1)と(2)を満足する限り、形状の異なる樹脂繊維を混合して用いてもよい。また、複数の塗膜に樹脂繊維を含有させるときは、これらの式(1)と(2)を満足する限り、それぞれの塗膜に同じ形状の樹脂繊維を用いてもよいし、樹脂繊維を含有させる塗膜によってその形状を変化させてもよい。
【0032】
樹脂繊維の幅については、式(1)で規定する下限を下回ると耐傷つき性の向上効果が小さく、上限を上回ると塗装作業性が低下する。樹脂繊維の長さについては、式(2)で規定する下限を下回ると繊維形状ではなくなるため耐傷つき性の向上効果が小さく、また、上限を上回ると繊維が長すぎるため塗装作業性が低下する。
【0033】
特に、樹脂繊維を最上層の塗膜に含有させる場合には、樹脂繊維の幅が塗膜の厚みよりも大きくなると、加工中や使用中に外力を受けたときに、突出した樹脂繊維が剥離しやすくなる。また、樹脂繊維の幅が最上層の塗膜の厚みの半分よりも小さいと樹脂繊維同士が重なることがあり、そのとき、上に重なった樹脂繊維が塗膜中に固定されにくくなるために、やはり樹脂繊維が剥離しやすくなる。その結果、例えば、通常の塗装ラインを通板する間の樹脂繊維の脱落が目立つようになり、樹脂繊維による耐傷つき性の向上効果が不十分となる。また、樹脂繊維を最下層又は中間層の塗膜に含有させる場合には、突出が大きすぎるとその上塗り塗膜の塗装の作業がしにくくなる。
【0034】
次に、樹脂繊維の塗膜中の含有量については、塗膜中に0.5〜5質量%含有させるのが好ましい。樹脂繊維の含有量が0.5質量%以下では耐傷つき性の向上効果がなく、5質量%以上では塗料粘度が大きくなりすぎて、塗装作業性が低下する。
【0035】
本発明に係る塗装鋼板において塗膜中に含有させる樹脂繊維の樹脂種としては、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂のいずれからなるものでもよいが、塗膜中の塗料樹脂との密着性に優れた樹脂繊維がよい。例えば、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル、メラミン、ポリアミド等の繊維が利用可能であり、また、ケブラー等のエンジニアリングプラスチックスからなる繊維でもよい。
【0036】
耐傷つき性を向上するために、樹脂繊維に加えて、無機物を添加することも可能である。無機物としては、例えば、SiとAlの酸化物であるアルミナシリカが市販されているが、これを粒径5〜20μmにしたものを塗料中に添加することができる。塗膜中の含有量は、工具を傷めないようにするために、15質量%以下とするのが好ましい。
【0037】
本発明の塗装鋼板では、樹脂繊維は塗膜のいずれか1層に含有させただけで、耐傷つき性の向上効果が得られるが、2層又はそれ以上の層に樹脂繊維を含有させてもよい。その場合には、各塗膜における樹脂繊維の含有量を少なめにしても十分な効果が得られる。最上層の塗膜に樹脂繊維を含有させると、塗膜に傷が付きにくくなるし、表面に凹凸が形成されるので傷が目立たなくなる。また、最下層又は中間層の塗膜だけに樹脂繊維を含有させても耐傷つき性向上効果があるのは、最下層又は中間層の塗膜に樹脂繊維を含有させると、素地に達する傷の発生を抑制することができるためである。
【0038】
通常の塗装鋼板では、上塗りと下塗りの2層の塗膜を形成させるので十分であるが、更に塗装外観の向上や耐傷つき性の向上を目的として、塗膜を3層化又はそれ以上の層とし、中塗りを設けることも可能である。中塗り塗膜の塗料樹脂は最下層又は最上層の塗膜と同様でよい。この中塗り塗膜にも樹脂繊維を含有させることができることは、上述したとおりである。
【0039】
なお、着色顔料の添加については、特に制約はなく、1層又は2層以上の塗膜に着色顔料を含有させて着色塗装鋼板とすることも当然可能である。また、本発明に従った塗膜は、素材の外板となる片面だけに形成してもよいが、所望により素材の両面に形成してもよい。片面だけに形成する場合、未塗装の面は、裸でもよく、或いは下地処理だけを施してもよく、さらには本発明とは異なる塗装を施してもよい。両面に形成する場合、下塗りと上塗りの塗膜の構成は両面で同じにしてもよいし、異なる構成にしてもよい。
【0040】
【実施例】
供試材の作製方法:
Al:55質量%、Zn:44質量%及びSi:1質量%のめっき組成を有する55%Al−Zn合金めっき鋼板(鋼板厚み0.5mm)を素材とし、この素材の片面に下地処理を施した。塗布型クロメート処理の場合は、塗布型クロメート処理液(日本ペイント(株)製「NRC 300」)を、クロム付着量が50mg/m2となるようにバーコータで塗布し、最高到達温度が100 ℃となるように約10秒間加熱して、乾燥させた。また、非クロム型シリカ処理の場合は、日本ペイント(株)製のサーフコートEC2100を付着量50mg/m2となるように塗装し、最高到達温度が100 ℃となるように約10秒間加熱して、乾燥させた。
【0041】
こうして下地処理を施した55%Al−Zn合金めっき鋼板の面に、下塗り塗料をバーコータで塗布し、焼き付け時間40秒で、最高到達温度が200℃になるように焼き付けをおこなって、乾燥時の厚みが表1に示す下塗り塗膜を得た。下塗り塗料は、次のように、防錆顔料と樹脂繊維を含有する(含有しない塗料もある)。日本ファインコーティング(株)製NP250エポキシ塗料を使用し、これに防錆顔料としてストロンチウムクロメート(キクチカラー(株)製)を表1に示す含有量(質量%)となるように添加した(添加しない塗料もある)。さらに、表2記載の樹脂繊維を表1に示す含有量(質量%)となるように添加した(添加しない塗料もある)。ここで、使用した樹脂繊維である、ナイロン繊維A、B、C及びDは、ニッセン(株)製のナイロンファイバーであり、それぞれ、樹脂繊維の幅又は長さが異なる。
【0042】
同様に、上塗り塗料をバーコータで塗布し焼き付け時間50秒で、最高到達温度が230℃になるように焼き付けをおこなって、乾燥時の厚みが表1に示す上塗り塗膜を得た。上塗り塗料は、日本ファインコーティング(株)製SRF05 高分子量ポリエステル樹脂塗料を使用し、これに、表2記載の樹脂繊維を表1に示す含有量(質量%)となるように添加した(添加しない塗料もある)。ここで、使用した樹脂繊維は、下塗り塗料で用いたものと同様である。
【0043】
供試材の評価方法:
(1)加工性(折り曲げ性):
供試材を、塗装面を外側にして、同じ鋼板を内側に挟んで、万力を用いて23℃で180°曲げ加工を行い、30倍ルーペを使用して加工部を観察した検査で塗膜に亀裂の生じない板はさみ枚数の最小値で評価した。0Tとは、密着曲げ(鋼板を挟まない)でも加工部の塗膜に亀裂が見られないことを意味する。◎:0T、○:1〜2T、△:3〜4T、×:5T以上、と評価した。◎及び○であれば、加工性が良であると判断した。
【0044】
(2)耐傷つき性:
供試材に、ダイヤモンド針(先端径:0.085R)に種々の荷重をかけて50mm移動させ、塗装面に傷がついたかどうかを肉眼で観察できる荷重の最小値で評価した。荷重の値が大きいほど、耐傷つき性が大きいことを意味する。◎:2N以上、○:1.5N以上で2N未満、△:1N以上で1.5N未満、×:1未満、と評価した。◎〜△であれば、耐傷つき性は良好であると判断した。
【0045】
(3)耐食性:
供試材を切断し、平坦部と切断端面部のそれぞれについて、塩水噴霧複合サイクル試験(塩水噴霧試験2時間→乾燥4時間→湿潤2時間)を120回繰り返した後の供試材の表面の膨れの発生状態を観察した。◎:膨れなし、○:膨れ巾2mm以下、△:膨れ巾2mmを超え5mm以下、×:膨れ巾5mm超え、と評価した。◎〜△であれば、耐食性は良好であると判断した。
【0046】
(4)耐候性:
供試材を、アイスーパー促進耐候性試験器にかけて、ブラックパネル温度80℃にて、4時間照射のち1時間シャワーというサイクルにて、60サイクル経過後の色変化ΔEを観察した。◎:ΔEが3以下、○:ΔEが3超え6以下、×:ΔEが6超え、と評価した。ΔEが6以下であれば、耐候性は良好であると評価した。
【0047】
(5)塗装性:
樹脂繊維の添加により、塗料粘度が増加する。樹脂繊維を添加しないときの樹脂粘度に対して、フォードカップNo.4で測定した際の粘度が150%を超える場合、粘度大として塗装性低下と判断した。
【0048】
また、塗装後の外観については、激しい凹凸を有する表面になる場合、外観不良と判断した。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
表1において、供試材1〜6は防錆顔料の添加効果の有無を示し、供試材7〜9は下塗り塗膜の厚みの影響を示し、そして供試材10〜14は上塗り塗膜への樹脂繊維添加効果の有無を示した。
【0052】
表2において、添加する樹脂繊維の形状を示した。
【0053】
【発明の効果】
本発明に係る塗装鋼板は、加工性を低下させることなく耐傷つき性に優れている。工具を傷つけることが少ないので、工具の寿命が長く、塗装鋼板自体の汚れを防止できる。
Claims (4)
- 下地処理が施されためっき鋼板の少なくとも片面に2層以上の塗膜を有する塗装鋼板であって、最下層の塗膜が防錆顔料を含有するとともに、塗膜の少なくとも1層が次の式(1)及び(2)を満足する幅Wと長さLを有する樹脂繊維を含有することを特徴とする塗装鋼板。
h/2<W<h・・・・・・・・・・・・・・(1)
W<L<100W・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
ここで、h:樹脂繊維を含有する塗膜の乾燥時の厚み
W:樹脂繊維の幅
L:樹脂繊維の長さ - 最下層の塗膜が樹脂繊維を含有することを特徴とする、請求項1記載の塗装鋼板。
- 中間層の塗膜が樹脂繊維を含有することを特徴とする、請求項1又は2記載の塗装鋼板。
- 最上層の塗膜が樹脂繊維を含有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれかに記載の塗装鋼板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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