JP2006159495A - 意匠性と加工性に優れた塗装金属板及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 大粒径の骨材を使用して意匠性を向上させると共に、その加工時及び使用時において骨材の脱落も防止できる意匠性及び加工性に優れた塗装金属板および、その効率的な製造方法を提供する。
【解決手段】 金属板上に着色皮膜層とその上に骨材を含有するクリア皮膜層を有し、骨材の上位粒子平均高さをH、着色皮膜層と骨材を含有するクリア皮膜層の骨材が存在しない部位の合計平均乾燥膜厚をE1としたとき、H/E1≧1であり、且つ、骨材には、粒径が50〜500μmの大粒径骨材が配合されており、大粒径骨材の存在する部位の前記着色皮膜層に厚さが減少した凹部が形成されている塗装金属板とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 金属板上に着色皮膜層とその上に骨材を含有するクリア皮膜層を有し、骨材の上位粒子平均高さをH、着色皮膜層と骨材を含有するクリア皮膜層の骨材が存在しない部位の合計平均乾燥膜厚をE1としたとき、H/E1≧1であり、且つ、骨材には、粒径が50〜500μmの大粒径骨材が配合されており、大粒径骨材の存在する部位の前記着色皮膜層に厚さが減少した凹部が形成されている塗装金属板とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、建材や家電製品などに使用される意匠性及び加工性に優れた塗装金属板及びその製造方法に関するものである。
建築物の外装材や内装材、家電用機器の外装材や内装材には、塗装鋼板等の塗装金属板が多岐にわたって使用されているが、これらの材料には外観から受ける印象を好ましいものとするために、加工性に加えて意匠性が求められており、例えば塗装金属表面に凹凸感、いわゆる石目調、などの意匠性を付与した塗装鋼板が開発されている。
たとえば、特許文献1には、亜鉛系めっき鋼板の片面または両面に、亜鉛系めっき鋼板の側から、化成処理層、下塗り塗膜層および上塗り塗膜層の順に積層されてなる塗装被膜を有し、上塗り塗膜層が、ポリエステル系樹脂、ポリ四フッ化エチレン粉末1〜5質量% 、ポリエチレンワックス0.1〜2質量% 、および平均粒径が20〜60μmであるナイロンビーズ1〜20質量%を含む、耐摩耗性および加工性に優れた高意匠性塗装鋼板が開示されており、また、特許文献2には、化粧基材の表面上に、架橋硬化性樹脂中に該架橋硬化性樹脂よりも高硬度の粒子を分散させてなる第1の表面保護塗膜と、架橋硬化性樹脂からなる第2の表面保護塗膜とが積層された表面保護塗膜を有する表面保護塗膜付き化粧材、および、これを多層同時コーティング法を用いて、基材の表面上に同時に塗布し、その後、両方の塗布液を同時に架橋硬化させて積層する表面保護塗膜の積層方法が開示されている。特許文献2においては、耐摩耗性を確保し、高硬度の粒子が露出して接触する物体を傷つけたり、或いは表面光沢度を低下するのを防ぐため、表面保護皮膜の第1の表面保護塗膜3の厚さをt1(μm)、第2の表面保護塗膜4の厚さをt2(μm)とし、また、高硬度の粒子6の平均粒子径をd(μm)としたとき、t1 は5〜30μm程度の範囲で、t2 は1〜10μm程度の範囲とすること、且つ、t1 、t2 、dの間には、t1 ≧t2 で、0.3t1 ≦d≦2.0t1 の関係が成り立つように設定することを提案している。
また、特許文献3には、金属板の表面に、下塗り層と、ポリエステルメラミン系着色塗料を塗布硬化してなる中塗り層と、着色マイカ、金属粉末および有機着色ビーズからなる群から選ばれた少なくとも1種の平均粒径が0.5mm以下(500μm)の充填剤を含有するポリエステルメラミン系塗料を塗布硬化してなる上塗り層とが、この順序で積層して形成されている塗装金属板が開示されており上塗り層は骨材を含むクリア層である。
特許文献3の塗装金属板では、各層の厚みは特に限定されないが、例えば、金属板の厚みは、0.1〜2.0mm厚、下塗り塗膜(層)の厚みは、1〜10μm厚、中塗り塗膜(層)の厚みは、5〜30μm厚、上塗り塗膜(層)の厚みは、着色マイカ、金属粉末、有機着色ビーズなどの充填剤の存在しない塗面で5〜30μm厚程度とされている。
また、特許文献4には、鋼板表面に複数の塗膜層が形成されており、上層塗膜は鱗片状基体に金属をコーティングした顔料1〜30重量%及び有機ビーズ1〜30重量%を含む着色塗膜である耐摩耗性、耐候性及び意匠性に優れた高光輝性塗装鋼板が開示されており、高光輝性顔料が平均粒径10〜300μm,平均厚さ0.1〜20μmのガラスフレーク又はパールマイカを鱗片状基体とし、オーステナイト構造をもつFe基合金又はNi基合金を膜厚50〜300Åでスパッタコーティングしたものであること、或いは、上層塗膜の厚さTに対し1≦R/T≦3の関係にある粒径Rをもつ有機ビーズを使用することが開示されている。
また、特許文献5には、化成処理皮膜を形成した金属板の表面に下塗り塗膜が形成され、その上に無機骨材、有機ポリマ−ビ−ズおよびフッ素樹脂粉末とを含有する上塗り塗膜が形成された艶消し塗装金属板において、上塗り塗膜のセラミック系無機骨材含有量を1〜40重量%、有機ポリマ−ビ−ズをポリアクリロニトリルビ−ズにして、その含有量を1〜30重量%、フッ素樹脂粉末含有量を0.5〜10重量%にするとともに、無機骨材粒径Rと上塗り塗膜の塗膜厚Tを0.04≦R/T≦1.0 ポリアクリロニトリルビ−ズの粒径rと塗膜厚Tを1.0≦r/T≦3.0にしたことを特徴とする耐塗膜かじり性に優れた艶消し塗装金属板が開示されている。
また、このような意匠性を得るための塗料として、特許文献6には、ポリエステル系の塗料成分中に、添加粒子として平均粒径が相異する二種以上の、アクリルビーズを含有する塗膜のプレス加工追随性に優れたビーズ含有塗料が開示されており、小径のアクリルビーズとして平均粒径5〜20μm、大径のアクリルビーズとして平均粒径40〜100μmのものを、各々、乾燥塗膜重量で0.1〜1.0%を含有することが示されている。添加粒子として平均粒径が相異する二種以上のアクリルビーズを含有させることにより、塗膜表面の凹凸の分散状態が均一となり、また、プレス加工時のビーズの脱落剥離が生じ難くなるとしている。
しかしながら、特許文献1の高意匠性塗装鋼板は、下塗り塗膜層を焼付け乾燥後に、ナイロンビーズ等を混入したポリエステル系上塗り塗膜層を形成するものであり、ナイロンビーズが大粒径になると上塗り塗膜層から脱落するという問題があった。
また、特許文献2は、多層同時コーティング法により高硬度粒子を分散する下層保護塗膜と表面保護塗膜を同時に積層させる表面保護塗膜の積層方法を開示しているが、高硬度粒子を表面保護塗膜から露出させないようにして表面光沢度を維持することを目的としているために、石目調などの意匠性が不十分であるという問題があった。
さらに、特許文献3は、下塗り層と着色中塗り層と有機着色ビーズ含有上塗り層の三層構造で塗装された金属板を開示しているが、各層を順次硬化形成させるため、上層のみが着色ビーズを保持する役割を担うことになり、ビーズの粒径が大きくなる場合には上層の膜厚を薄くすることが出来ないという問題があった。
また、特許文献2は、多層同時コーティング法により高硬度粒子を分散する下層保護塗膜と表面保護塗膜を同時に積層させる表面保護塗膜の積層方法を開示しているが、高硬度粒子を表面保護塗膜から露出させないようにして表面光沢度を維持することを目的としているために、石目調などの意匠性が不十分であるという問題があった。
さらに、特許文献3は、下塗り層と着色中塗り層と有機着色ビーズ含有上塗り層の三層構造で塗装された金属板を開示しているが、各層を順次硬化形成させるため、上層のみが着色ビーズを保持する役割を担うことになり、ビーズの粒径が大きくなる場合には上層の膜厚を薄くすることが出来ないという問題があった。
また、特許文献4は、金属コーティング顔料と有機ビーズを含有させた着色メタリック塗膜を開示しており、塗膜同士の擦れ合いで塗膜から突出した顔料が相手の塗膜を傷つけるという問題点を、塗膜厚より大きい粒径を持ち塗膜に分散させた有機ビーズが防止することを特徴としており、また、特許文献5も上塗り塗膜中に含有させたセラミック系無機骨材とPANビーズの粒径を特定の範囲に規定して、無機骨材は塗膜から突出させずに、弾力性を有するPANビーズを突出させることにより、塗膜同士が擦れ合って表面が白化する問題を解決している。
しかしながら、特許文献4及び5は、塗膜より突出させた有機ビーズの(脱落防止)保持力が充分ではなく、また塗膜中に配合した無機顔料の意匠性が充分発揮出来ないなどの問題がある。
また、特許文献6は、平均粒径が異なる大小二種類のアクリルビーズを含有したプレス加工性に優れる塗料に関するものであるが、下地塗膜との相乗効果については開示されていない。
しかしながら、特許文献4及び5は、塗膜より突出させた有機ビーズの(脱落防止)保持力が充分ではなく、また塗膜中に配合した無機顔料の意匠性が充分発揮出来ないなどの問題がある。
また、特許文献6は、平均粒径が異なる大小二種類のアクリルビーズを含有したプレス加工性に優れる塗料に関するものであるが、下地塗膜との相乗効果については開示されていない。
上述のように、小径の骨材では意匠性をさらに向上させるには限界があり、大粒径の骨材を使用しようとすると、加工時や使用中に骨材の脱落しやすくなり、意匠性を十分に発揮することが困難であった。
すなわち、上述のような従来の塗装金属板では、その断面構成を模式的に示した図6のように、骨材を含有するクリア皮膜層の下層に位置する着色皮膜層は平坦であり、このため大粒径骨材の皮膜層への固定が不十分となり、骨材が脱落しやすくなっている。
また、従来の塗装金属板では、塗装皮膜層は骨材を含有する皮膜層を含めて多層の皮膜層により構成されており、加工中に、相互の皮膜層が剥離するなどの問題点があり、剥離のない、加工性に優れた塗装金属板が求められている。
また、製造においては、骨材が大粒径になると、これを混合した塗料をロールコータで塗布しようとすると、骨材がロール表面に引っかかり、その箇所は塗膜が供給されず、いわゆる筋引きが生じ易くなるなどの問題が懸念されている。他方、スプレーコート法では表面が平滑にならないし、塗膜が厚塗りとなる。また、骨材(ビーズ)が埋没して意匠性が悪くなるなど問題があり、さらに、適切な製造方法が求められていた。
すなわち、上述のような従来の塗装金属板では、その断面構成を模式的に示した図6のように、骨材を含有するクリア皮膜層の下層に位置する着色皮膜層は平坦であり、このため大粒径骨材の皮膜層への固定が不十分となり、骨材が脱落しやすくなっている。
また、従来の塗装金属板では、塗装皮膜層は骨材を含有する皮膜層を含めて多層の皮膜層により構成されており、加工中に、相互の皮膜層が剥離するなどの問題点があり、剥離のない、加工性に優れた塗装金属板が求められている。
また、製造においては、骨材が大粒径になると、これを混合した塗料をロールコータで塗布しようとすると、骨材がロール表面に引っかかり、その箇所は塗膜が供給されず、いわゆる筋引きが生じ易くなるなどの問題が懸念されている。他方、スプレーコート法では表面が平滑にならないし、塗膜が厚塗りとなる。また、骨材(ビーズ)が埋没して意匠性が悪くなるなど問題があり、さらに、適切な製造方法が求められていた。
本発明は上記の問題点に鑑み、大粒径の骨材を使用して意匠性を向上させると共に、その加工時及び使用時において骨材の脱落も防止できる意匠性及び加工性に優れた塗装金属板および、その効率的な製造方法を提供することを課題とする。
本発明は上記の問題点を解決するためになされたものである。すなわち、本発明は、(1)金属板上に着色皮膜層とその上に骨材を含有するクリア皮膜層を有し、骨材の上位粒子平均高さをH、着色皮膜層と骨材を含有するクリア皮膜層の骨材が存在しない部位の合計平均乾燥膜厚をE1としたとき、H/E1≧1であり、且つ、骨材には粒径が50〜500μmである大粒径骨材が配合されており、該大粒径骨材の存在する部位の着色皮膜層に厚さが減少した凹部が形成されている意匠性と加工性に優れた塗装金属板とするものである。
また、本発明は、(2)金属板上に着色皮膜層と、その上に骨材を含有するクリア皮膜層と、さらにその上に骨材を含有しないクリア皮膜層、すなわち上塗りクリア皮膜層とを有し、骨材の上位粒子平均高さをH、着色皮膜層と骨材を含有するクリア皮膜層と上塗りクリア皮膜層の骨材が存在しない部位の合計平均乾燥膜厚をE2としたとき、H/E2≧1であり、且つ、骨材には粒径が50〜500μmである大粒径骨材が配合されており、該大粒径骨材の存在する部位の着色皮膜層に厚さが減少した凹部が形成されている意匠性と加工性に優れた塗装金属板とするものである。
また、(3)本発明の上記(1)または(2)の塗装鋼板において、着色皮膜層及びクリア皮膜層、もしくは、着色皮膜層、クリア皮膜層及び上塗りクリア皮膜層によって、骨材が被覆されている部分の上下端の、金属板面に垂直な方向の距離で定義される上位粒子平均濡れ高さをFとし、前記骨材の上位粒子平均高さをHとしたとき、F/H≧0.3とすることが好ましい。
また、(4)上記(1)の塗装金属板において、骨材を含有するクリア皮膜層の骨材が存在しない部位の平均乾燥膜厚Bが、10〜60μmであることが好ましい。
また、(5)上記(2)の塗装金属板において、骨材を含有するクリア皮膜層の骨材が存在しない部位の平均乾燥膜厚Bと、上塗りクリア皮膜層の骨材の存在しない部位の平均乾燥膜厚Aの合計が10〜60μmであることが好ましい。
また、(6)上記(1)または(2)の塗装金属板において、前記大粒径骨材の粒径を80μ〜200μとすることが好ましい。
また、(7)本発明の(1)〜(6)のいずれか1つの塗装金属板において、前記塗装金属板の塗装面積に対する大粒径骨材の被覆面積の比率が5〜70%であることが好ましい。
また、(8)本発明の(1)〜(7)のいずれか1つの塗装金属板において、前記着色皮膜層に厚さが減少した凹部を形成した大粒径骨材の個数が、大粒径骨材個数の50%以上であることが好ましい。
また、上記(2)の金属塗装板において、前記上塗りクリア皮膜層に光触媒を混入させることが好ましい。
さらに、本発明は、(10)スライドホッパーのスライド傾斜面に設けた複数のスリット状ノズルから、粒径が50〜500μmである大粒径骨材を含有するクリアな樹脂(透明樹脂)と着色した樹脂(着色樹脂)を別々に流出させ、スライド傾斜面上で前記二つの樹脂の層からなる樹脂膜を形成する工程、前記樹脂膜をカーテン状に落下させ、着色樹脂層を下層とし、大粒径骨材を含有するクリアな樹脂層(透明樹脂層)を表層とする塗膜を走行する金属板上に塗布する工程、前記塗布後の塗膜を同時に乾燥焼付する工程、からなる意匠性と加工性に優れた塗装金属板の製造方法を提供する。
また、本発明は、(11)スライドホッパーのスライド傾斜面に設けた複数のスリット状ノズルから、上塗りクリア樹脂(透明樹脂)と粒径が50μ〜500μである大粒径骨材を含有するクリアな樹脂(透明樹脂)と着色した樹脂(着色樹脂)をそれぞれ別々に流出させ、スライド傾斜面上で前記の三つの樹脂層からなる樹脂膜を形成する工程、前記樹脂膜をカーテン状に落下させ、着色した樹脂層を下層とし、大粒径骨材を含有するクリアな樹脂層を中層、上塗りのクリアな樹脂層を上層とする塗膜を走行する金属板上に塗布する工程、前記塗布後の塗膜を同時に乾燥焼付けする工程、からなる意匠性と加工性に優れた塗装金属板の製造方法を提供する。
また、(12)上記(10)または(11)の製造方法において、前記大粒径骨材の粒径を80μ〜200μとすることが好ましい。
また、(13)上記(11)の製造方法において、前記上塗りクリア樹脂の粘度を、大粒径骨材を含有するクリアな樹脂粘度より高くすることが好ましい。
また、(14)上記(11)の製造方法において、前記上塗りクリア樹脂層の層厚を2〜5μmとすることが好ましい。
また、(15)上記(11)の製造方法において、前記上塗りクリア樹脂に光触媒を添加することが好ましい。
また、(16)上記(10)または(11)の製造方法において、塗膜を、最終到達板温度が180℃〜280℃、加熱時間を30〜120秒での乾燥、焼付することが好ましい。
本発明の(1)の塗装金属板によれば、金属板上に着色皮膜層とその上に骨材を含有するクリア皮膜層を有し、骨材の上位粒子平均高さをH、着色皮膜層と骨材を含有するクリア皮膜層の骨材が存在しない部位の合計平均乾燥膜厚をE1としたとき、H/E1≧1、且つ、骨材には粒径が50〜500μmである大粒径骨材が配合されており、該大粒径骨材の存在する部位の前記着色皮膜層に厚さが減少した凹部が形成されている。
また、本発明の(2)の塗装金属板によれば、金属板上に着色皮膜層とその上に骨材を含有するクリア皮膜層と、さらにその上に上塗りクリア皮膜層とを有し、骨材の上位粒子平均高さをH、着色皮膜層と骨材を含有するクリア皮膜層と上塗りクリア皮膜層の骨材が存在しない部位の合計平均乾燥膜厚をE2としたとき、H/E2≧1、且つ、骨材には粒径が50〜500μmである大粒径骨材が配合されており、該大粒径骨材の存在する部位の前記着色皮膜層に厚さが減少した凹部が形成されているため、粒径の大きな骨材が分散されているにもかかわらず骨材の脱落が防止され、さらに上塗りクリア層によってさらにその脱落防止が強化され、かつ、意匠性が向上する。本発明の塗装金属板は、大粒径の骨材を皮膜より突出させるようにしていながら、着色皮膜層及び上塗りクリア皮膜層と連携させることによって脱落を防止することができる。
また、本発明の上記(1)または(2)の塗装鋼板において、着色皮膜層及びクリア皮膜層もしくは、着色皮膜層、クリア皮膜層及び上塗りクリア皮膜層によって、骨材が被覆されている部分の上下端の、金属板面に垂直な方向の距離で定義される上位粒子平均濡れ高さをFとし、この上位粒子平均濡れ高さをFを、前記骨材の上位粒子平均高さHの0.3倍以上とすれば、骨材の脱落をさらに確実に防止することができる。
また、本発明の上記(1)または(2)塗装金属板において、前記骨材を含有するクリア皮膜層の骨材が存在しない部位の平均乾燥膜厚Bを10〜60μmとし、或いはまた、骨材を含有するクリア皮膜層の骨材が存在しない部位の平均乾燥膜厚Bと、上塗りクリア皮膜層の骨材が存在しない部位の平均乾燥膜厚Aの合計を10〜60μmとすれば、薄いクリア皮膜層で骨材の脱落を防止することができので、高価なクリア樹脂を節約し、製造コストを低減できる。
また、本発明の上記(1)または(2)の塗装金属板において、前記大粒径骨材の粒径を80μ〜200μとすれば、一層優れた意匠感を得ることができる。
また、本発明の(1)〜(6)のいずれか1つの塗装金属板において、前記塗装金属板の塗装面積に対する大粒径骨材の被覆面積の比率を5〜70%とすることにより、意匠感を十分に発現させると共に、大粒径骨材の脱落を抑制することができる。
また、本発明の(1)〜(7)のいずれか1つの塗装金属板において、前記着色皮膜層に厚さが減少した凹部を形成した大粒径骨材の個数を、大粒径骨材の個数の50%以上とすることにより、大粒径骨材をクリア皮膜層と着色皮膜層との間に確実に固定でき、大粒径骨材の脱落をさらに抑制することができる。
また、本発明の上記(2)の金属塗装板において、前記上塗りクリア皮膜層に光触媒を混入させれば、光触媒による塗装金属板表面の汚染防止、殺菌作用などを活用することができる。特に、大粒径骨材が塗膜表面に形成する谷部は、汚れが沈着し易いため、光触媒を上塗りクリア皮膜に混入させて耐汚染性を向上させることは非常に有効である。
また、本発明の製造方法によれば、走行する金属板上に、大粒径骨材を含有するクリア樹脂と着色樹脂からなる二層塗膜をカーテン状に落下させて塗布するか、又は、上塗りクリア樹脂と大粒径骨材を含有するクリア樹脂と着色樹脂からなる三層塗膜をカーテン状に落下させて塗布し、同時乾燥・焼付するため、以下に示すような有利な効果を得ることが出来る。
1)ロールコータ法では筋引きなどの欠陥が発生するような大粒径のビーズでも使用が可能となる。
2)スプレーコート法のように表面の平滑性に欠けることがなく、突出した骨材の部分を除くとほぼ平滑な表面を得ることが出来る。
3)二層塗膜又は三層塗膜で塗料カーテンを構成することで、各層の膜厚を相対的に薄くすることが可能となり、各層の膜厚の選択範囲を広く設定することが出来る。
4)多層塗膜の各層を機能膜として設計することが可能であり、例えば表層の薄膜のみに光触媒を含有させるというように機能性物質を目的とする層に保持させることが出来る。
5)同時塗布、同時乾燥・焼付を採用したマルチコート1ベークシステムであり、塗布コストや設備コストが他法と比較して有利である。
1)ロールコータ法では筋引きなどの欠陥が発生するような大粒径のビーズでも使用が可能となる。
2)スプレーコート法のように表面の平滑性に欠けることがなく、突出した骨材の部分を除くとほぼ平滑な表面を得ることが出来る。
3)二層塗膜又は三層塗膜で塗料カーテンを構成することで、各層の膜厚を相対的に薄くすることが可能となり、各層の膜厚の選択範囲を広く設定することが出来る。
4)多層塗膜の各層を機能膜として設計することが可能であり、例えば表層の薄膜のみに光触媒を含有させるというように機能性物質を目的とする層に保持させることが出来る。
5)同時塗布、同時乾燥・焼付を採用したマルチコート1ベークシステムであり、塗布コストや設備コストが他法と比較して有利である。
また、上記製造方法において、前記上塗りクリア樹脂の粘度を、大粒径骨材を含有するクリア樹脂の粘度より高くすれば、骨材の表面を効率的に覆うことができ、骨材の脱落をより防止できる。
また、上記製造方法において、前記上塗りクリア樹脂層の層厚を2〜5μmとすれば、意匠感を一層向上させることができ、かつ製造コストを低減することができる。
また、上記製造方法において、前記塗膜を、最終到達板温度が180℃〜280℃、加熱時間を30〜120秒での乾燥、焼付すれば、過度な焼付けによる塗膜の透明感の低下、塗膜の過度な硬化などを回避し、意匠性、加工性にも優れた塗装鋼板を効率的に製造することができる。
本発明について具体的に説明する。図1、図2は、本発明の塗装金属板の表面に垂直な方向(板厚方向)の断面構成を示す模式図である。図1、2において金属板1の上面に着色皮膜層2と骨材(大粒径骨材5および小粒径骨材5′を含む)を含有するクリア皮膜層3が形成されている。また、図2においては、金属板の上面に着色被膜層2、骨材5、5′を含有するクリア皮膜層3、及びその上にさらに骨材を含まないクリア皮膜層4が形成されている。
図1,2において、骨材を含有するクリア皮膜層3の大粒径の骨材5の存在する部位では、その下方の着色皮膜層2の厚さがその他の部分より薄くなった凹部6が形成されている。この凹部は、後述するように、大粒径骨材が沈下することによって生じた着色皮膜層の窪みである。
なお、着色皮膜層の下層には、必要に応じて前処理層7、プライマー層8形成することもできる。
本発明において使用する金属原板としては、例えば、冷間圧延鋼板、亜鉛めっき鋼板、アルミニウムめっき鋼板、亜鉛−アルミニウム合金メッキ鋼板、亜鉛−アルミニウム-シリコン-マグネシウム合金めっき鋼板などの各種のめっき鋼板、ステンレス鋼板などを使用することができる。また、これらの金属原板に、脱脂、クロメート処理、燐酸塩処理、或いは非クロメート処理などの通常の表面処理を施して使用しても良い。
これらの金属板は、必要に応じて、意匠塗膜側の下層にプライマー塗装を施して使用しても良い。プライマー塗装に使用される塗料は特に限定されるものではなく、任意なものを使用できる。例えば、クロメート系防錆顔料、非クロメート系防錆顔料、体質顔料などを含むポリエステル系、エポキシ系、アクリル系、ウレタン系塗料など一般的なプレコート金属板に使用される塗料や、電子線硬化型、紫外線硬化型などの任意の塗料を、塗装方法、硬化条件などを考慮して選定、使用すればよい。
金属板の片面にのみしか意匠塗装を施さない場合は、必要に応じて、これらの金属板の裏面に裏面塗装を施したものとしても良い。
裏面塗装に使用する塗料は特に限定されるものではなく、任意の塗料を使用することができる。例えば、クロメート系防錆顔料、非クロメート系防錆顔料、体質顔料、着色顔料、ワックスその他一般的な添加剤などを含むポリエステル樹脂系、エポキシ樹脂系、アルキッド樹脂系、アクリル樹脂系、ウレタン系樹脂系塗料など一般的なプレコート金属に使用される塗料や、電子線硬化型、紫外線硬化型などの任意の塗料を、塗装方法、硬化条件などを考慮して選定、使用すればよい。また、裏面に他の物質又は材料との接着性などの特殊な機能が要求される場合は、それらの要求に応じた裏面塗装を選択して施せばよい。
本発明において、使用する金属板の形状は、コイル状であっても切り板状であってもよい。また、その表面は、平滑なものに限定されるものではなく、エンボス加工、或いは打ち抜き加工などが施されていても良い。
次に本発明の各皮膜層について説明する。
1着色皮膜層
本発明の塗装鋼板における着色皮膜層は、骨材を含有するクリア皮膜層の下層に形成され、塗装鋼板に色彩を与えるものである。すなわち、骨材を含有するクリア(透明)皮膜層は、後述するように皮膜に凹凸を発現するものであるが、このクリア皮膜層の樹脂を過度に着色してしまうと透視性が低下し、骨材全体が見えてこなくなり意匠感が失われてしまう。このため、骨材を含有する皮膜層を着色することを避けてクリアな皮膜層とし、このクリア皮膜層の下に着色された皮膜層を形成することによって凹凸の意匠感を維持したまま、塗装面に自由な色彩を与えるようにしている。
1着色皮膜層
本発明の塗装鋼板における着色皮膜層は、骨材を含有するクリア皮膜層の下層に形成され、塗装鋼板に色彩を与えるものである。すなわち、骨材を含有するクリア(透明)皮膜層は、後述するように皮膜に凹凸を発現するものであるが、このクリア皮膜層の樹脂を過度に着色してしまうと透視性が低下し、骨材全体が見えてこなくなり意匠感が失われてしまう。このため、骨材を含有する皮膜層を着色することを避けてクリアな皮膜層とし、このクリア皮膜層の下に着色された皮膜層を形成することによって凹凸の意匠感を維持したまま、塗装面に自由な色彩を与えるようにしている。
この着色皮膜層を形成する樹脂としては、任意の樹脂を使用することができる。例えば、高分子ポリエステル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ふっ素系樹脂、或いはこれらの変性樹脂などの樹脂成分を、ブチル化メラミン、メチル化メラミン、ブチルメチル混合メラミン、尿素樹脂、イソシアネートやこれらの混合系の架橋剤成分により架橋させたもの、或いは電子線硬化型、紫外線硬化型などのものを使用すればよい。
また、これらの塗料には、言うまでもなく、各種の着色用の顔料が添加される。これらの顔料として、必要によっては、アルミニウム粉末などのメタリック顔料も添加し得るものである。
また、必要によっては、着色皮膜層自体に凹凸をつけるための、樹脂粉末や、樹脂ビーズなどの骨材を含有させてもよい。また、必要によってはレベリング剤、消泡剤、ワックスなどを添加しても良い。
なお、着色皮膜層の厚さは、乾燥時で1〜100μmとすることが望ましいが、本発明においては、後述するように、この着色皮膜層の厚さと、骨材を含有するクリア皮膜層の厚さとの合計厚さを、一定の範囲に適切制御する。
なお、塗装金属原板として、例えばステンレス鋼板やアルミニウム板を使用し、金属原板の表面自体を透けて見えるようにして意匠性を発現させる場合は、この着色皮膜層を無着のクリア皮膜層とすることも可能である。
2.骨材を含有するクリア皮膜層
骨材を含有するクリア皮膜層は、意匠感を発現させるための重要な皮膜層である。本発明においては、意匠感を発現させるためには、このクリア皮膜層に粒径の大きな骨材を含む骨材を含有させることが必要である。本発明においては粒径が50〜500μmである大粒径の骨材を含有させるようにする。
骨材を含有するクリア皮膜層は、意匠感を発現させるための重要な皮膜層である。本発明においては、意匠感を発現させるためには、このクリア皮膜層に粒径の大きな骨材を含む骨材を含有させることが必要である。本発明においては粒径が50〜500μmである大粒径の骨材を含有させるようにする。
骨材の粒径は、塗装面の上方から写真撮影した画像をコンピューターにとり込み画像処理して求める。
大粒径骨材の粒径が、50μm未満であると強い意匠感を発現することができない。一方、粒径が500μmを超えると、塗料を塗布する際にロールコーターのみならず、カーテンコーターによっても均一な塗膜を形成することが困難となる。したがって大粒径骨材の粒径は、50〜500μmとする。なお、大粒径骨材の粒径は、好ましくは80〜200μmである。
また、上記の大粒径骨材を含むことによって意匠感の向上を図ることが可能であるが、十分な意匠感を得るには、その被覆面積率が5%以上とすることが好ましく、一方、被覆面積率が70%を超えると、骨材が脱落しやすくなるなど問題が生じるため好ましくない。
なお、大粒径骨材による被覆面積率が好ましくは5〜70%であれば、粒径が50μm未満の小粒径骨材が含有されていても問題はなく、むしろ意匠性を幅広く発現しようとする場合には有利である。
ここで、塗装面積に対する大粒径骨材の被覆面積率は次のように定義する。
本発明では、大粒径骨材を含む骨材は、クリア皮膜層中に存在するため、骨材の存在する場所を視認でき、塗装面を真上から観察した場合、大粒径骨材の存在する場所と存在しない場所に区分できる。塗装面の面積に対する大粒径骨材の存在する場所の面積の比率を被覆面積比率と定義する。なお、大粒径骨材に隠れて下地の金属板が見えない部分は全て大粒径骨材の存在する部分に含めるものとする。
本発明では、大粒径骨材を含む骨材は、クリア皮膜層中に存在するため、骨材の存在する場所を視認でき、塗装面を真上から観察した場合、大粒径骨材の存在する場所と存在しない場所に区分できる。塗装面の面積に対する大粒径骨材の存在する場所の面積の比率を被覆面積比率と定義する。なお、大粒径骨材に隠れて下地の金属板が見えない部分は全て大粒径骨材の存在する部分に含めるものとする。
塗装面積に対する被覆面積比率の測定方法は、各種の方法が考えられるが、例えば、塗装面を上面から写真撮影したものをコンピューターに取り込み、画像処理によってこの写真において視認できる骨材の粒径を測定し、その粒径が50〜500μmである骨材、すなわち大粒径骨材について、それら大粒径骨材の存在する場所の面積(投影面積)の合計を計測し、この面積を観察した全面積で除することにより求める方法が挙げられる。
上述のように、本発明では、粒径の大きな骨材を用いて意匠性を発揮させると共に、加工および使用に際して骨材の脱落を防止することが重要である。
このため、本発明においては、各皮膜層の平均乾燥膜厚の合計、すなわち合計平均乾燥膜厚(E)に対するクリア皮膜層中の骨材の上位粒子平均高さ(H)の比を規定すると共に、大粒径骨材の存在する部位の着色皮膜層に凹部を形成させる。また、好ましくは骨材の上位粒子平均高さ(H)に対する骨材の濡れ高さ(F)の比を規定する。
このため、本発明においては、各皮膜層の平均乾燥膜厚の合計、すなわち合計平均乾燥膜厚(E)に対するクリア皮膜層中の骨材の上位粒子平均高さ(H)の比を規定すると共に、大粒径骨材の存在する部位の着色皮膜層に凹部を形成させる。また、好ましくは骨材の上位粒子平均高さ(H)に対する骨材の濡れ高さ(F)の比を規定する。
まず、合計平均乾燥膜厚(E)に対する骨材の上位粒子平均高さ(H)の比率について説明する。
本発明において、クリア皮膜層中の骨材の上位粒子平均高さ(H)は、次のように測定し、定義する。
塗装金属板から任意に、2cm角のサンプルを採取し、マイクロゲージを用い、それぞれのサンプルについて表面から最も高く突出している骨材を探し、その骨材の頭頂部にマークする。
次いで、これらのサンプルを樹脂に埋め込み、サンプルの塗装面に垂直な断面方向から、上記のマークした骨材の頭頂部を含む断面位置まで研磨し、その断面写真を作成する。この断面写真において、マークした骨材の高さhを測定し、これら5つのサンプルの断面写真における骨材の高さhを平均したものを、骨材の上位粒子平均高さHとする。なお、前述のように、骨材の高さhは、皮膜により骨材が固定された状態において、金属板面に垂直な方向での骨材の上端と下端の距離を言うものとする。
本発明において、クリア皮膜層中の骨材の上位粒子平均高さ(H)は、次のように測定し、定義する。
塗装金属板から任意に、2cm角のサンプルを採取し、マイクロゲージを用い、それぞれのサンプルについて表面から最も高く突出している骨材を探し、その骨材の頭頂部にマークする。
次いで、これらのサンプルを樹脂に埋め込み、サンプルの塗装面に垂直な断面方向から、上記のマークした骨材の頭頂部を含む断面位置まで研磨し、その断面写真を作成する。この断面写真において、マークした骨材の高さhを測定し、これら5つのサンプルの断面写真における骨材の高さhを平均したものを、骨材の上位粒子平均高さHとする。なお、前述のように、骨材の高さhは、皮膜により骨材が固定された状態において、金属板面に垂直な方向での骨材の上端と下端の距離を言うものとする。
また、上記5つのサンプルの断面写真について、骨材を含有するクリア皮膜層3及び着色皮膜層2において、骨材の存在しない部位のクリア皮膜層の乾燥膜厚bと着色皮膜層の骨材の存在しない部位の乾燥膜厚cを測定し、上記の5つのサンプルで平均したものを、骨材の存在しない部位のクリア皮膜層の平均乾燥膜厚(B)、着色皮膜層の骨材の存在しない部位の平均乾燥膜厚(C)として求め、これらの平均乾燥膜厚を合計して、合計平均乾燥膜厚E1(E1=B+C)とする。
本発明においては、この合計平均膜厚E1に対する上記骨材の上位粒子平均高さ(H)の比、H/E1を1以上、この好ましくは2以上とするものである。
本発明においては、この合計平均膜厚E1に対する上記骨材の上位粒子平均高さ(H)の比、H/E1を1以上、この好ましくは2以上とするものである。
また、骨材を含有するクリア皮膜層の上に、後述する骨材を含有しない上塗りクリア皮膜層4を設けた場合も、上記と同様に上記5つのサンプルの断面写真について、骨材の存在しない部位の上塗りクリア皮膜層4の乾燥膜厚a、骨材を含有するクリア皮膜層3の骨材の存在しない部位の乾燥膜厚b、着色皮膜層の骨材の存在しない部位の乾燥膜厚cを測定し、上記の5つのサンプルで平均したものを、骨材の存在しない部位の上塗りクリア皮膜層の平均乾燥膜厚(A)、骨材を含有するクリア皮膜層の骨材の存在しない部位の平均乾燥膜厚(B)、着色皮膜層の骨材の存在しない部位の平均乾燥膜厚(C)として求め、これらの平均乾燥膜厚を合計して、合計平均乾燥膜厚E2(E2=A+B+C)とする。
この合計平均膜厚(E2)に対する骨材の上位粒子平均高さ(H)の比、H/E2を1以上、この好ましくは2以上とする。
これらの比H/E1またはH/E2が、1未満であると、後述するように大粒径骨材の存在する箇所の着色皮膜層に凹部が形成され難く、大粒径骨材がクリア皮膜層及び着色皮膜層の両層に安定して固定され難くなる。
この合計平均膜厚(E2)に対する骨材の上位粒子平均高さ(H)の比、H/E2を1以上、この好ましくは2以上とする。
これらの比H/E1またはH/E2が、1未満であると、後述するように大粒径骨材の存在する箇所の着色皮膜層に凹部が形成され難く、大粒径骨材がクリア皮膜層及び着色皮膜層の両層に安定して固定され難くなる。
なお、上記の各皮膜層の骨材の存在しない部位の乾燥膜厚a,b,cは、代表的な箇所を測定したものでもよいし、数箇所を測定した平均値としても良い。
また、上記塗装金属板において、骨材を含有するクリア皮膜層3の骨材が存在しない部位の平均乾燥膜厚(B)が、10〜60μmであることが、或いはまた、骨材を含有するクリア皮膜層3の骨材が存在しない部位の平均乾燥膜厚(B)と、上塗りクリア皮膜層4の骨材が存在しない部位の平均乾燥膜厚(A)の合計が10〜60μmであることが好ましい。
これによってクリア皮膜層を過度に厚くすることなく、且つ大粒径骨材の存在する箇所の着色皮膜層に凹部を形成して、骨材の脱落を防止することができる。また、高価なクリア樹脂を多量に使用する必要がないので製造コストを低減することができる。
次に、着色皮膜層の大粒径骨材の存在する部位に形成させる凹部について説明する。この凹部6は、図1〜2に示すように、骨材を含有するクリア皮膜層3の大粒径骨材が存在する部位において、大粒径骨材が沈下することによって生じる着色皮膜層2の窪みであり、通常は骨材の周囲に付着しているクリア樹脂の影響により、大粒径骨材の曲率半径と同等か又はこれより大きな曲率半径を有することとなる。
この凹部は、後述するように塗装金属板から任意にサンプルを採取して、塗装金属板の表面に垂直な方向の断面を観察し、大粒径骨材の存在する部位の着色皮膜層が骨材の存在しない部位と比べて窪んでいるかどうかを判断することにより、確認できる。
このように、骨材を含有するクリア皮膜層3の大粒径骨材が存在する部位において、着色皮膜層2に凹部6を形成するようにすることによって、クリア皮膜層と下層の着色皮膜層との境界の接触面積が増大し、両皮膜層間の密着性が向上する。また、大粒径骨材は、両皮膜層間に挟まれ、楔効果により安定し、大粒径の骨材であっても塗膜中にしっかり固定され、加工時および使用中において脱落し難いものとすることができる。
この着色皮膜層の凹部6は、骨材を含有するクリア皮膜層3で充塞され、本発明で規定する粒径が50〜500μmの大粒径の骨材が存在する部位の大部分において形成されていることが好ましい。
しかしながら、上記の大粒径骨材が存在する部位の全ての部位において着色皮膜層に凹部を形成しえない場合には、着色皮膜層に凹部を形成している大粒径骨材の個数の比率(以下、凹部比率とも記す)が50%以上であることが好ましい。凹部比率が50%未満では、大粒径骨材が樹脂に十分固定されず、脱落しやすくなる。
なお、着色皮膜層への凹部の形成は、大粒径骨材の粒径、形状、着色皮膜層及び/または骨材を含有する皮膜層の膜厚、これらの層を形成する塗料樹脂の粘度、あるいは塗料樹脂と骨材の比重差などを考慮することによって、調整可能である。
なお、着色皮膜層への凹部の形成は、大粒径骨材の粒径、形状、着色皮膜層及び/または骨材を含有する皮膜層の膜厚、これらの層を形成する塗料樹脂の粘度、あるいは塗料樹脂と骨材の比重差などを考慮することによって、調整可能である。
凹部比率は以下のようにして求めるものとする。
すなわち、骨材の上位粒子平均高さ(H)を求める際に使用した樹脂埋め込みの上記サンプルのうち、任意の1個を使用し、上面から撮影した写真を画像処理して、粒径が50〜500μmである大粒径骨材の位置を確認する。断面を追い込み研磨(研磨代を徐々に重ねながら行う研磨)を行いながら確認した粒径が50〜500μmの大粒径骨材に対して、骨材のほぼ中心を通る断面で切断する。次いで大粒径骨材の存在する下層の塗膜に、すなわち、着色皮膜層に、凹部が形成されているか否かを確認する。
この確認は、大粒径骨材が50個になるまで行い、凹部が形成されている大粒径骨材の個数を集計して、凹部比率を求めるものである。
すなわち、大粒径骨材50個のうち40個について凹部が形成されていた場合は、凹部比率が80%となる。
すなわち、骨材の上位粒子平均高さ(H)を求める際に使用した樹脂埋め込みの上記サンプルのうち、任意の1個を使用し、上面から撮影した写真を画像処理して、粒径が50〜500μmである大粒径骨材の位置を確認する。断面を追い込み研磨(研磨代を徐々に重ねながら行う研磨)を行いながら確認した粒径が50〜500μmの大粒径骨材に対して、骨材のほぼ中心を通る断面で切断する。次いで大粒径骨材の存在する下層の塗膜に、すなわち、着色皮膜層に、凹部が形成されているか否かを確認する。
この確認は、大粒径骨材が50個になるまで行い、凹部が形成されている大粒径骨材の個数を集計して、凹部比率を求めるものである。
すなわち、大粒径骨材50個のうち40個について凹部が形成されていた場合は、凹部比率が80%となる。
次に、本発明における大粒径骨材を塗装皮膜に固定するために規定する濡れ高さ比について説明する。すなわち、本発明においては、骨材の上位粒子平均高さ(H)に対する骨材の上位粒子平均濡れ高さ(F)の比、F/H(以下、濡れ高さ比とも言う)を0.3以上とすることが好ましい。
濡れ高さは、以下のように定義する。
図3、4は本発明の実施形態に係る塗装金属板の構成を示す板厚方向の断面模式図である。先ず、図3に示すように、骨材5,5′の表面がクリア樹脂によって被覆されている部分の上端と下端との金属板表面に垂直な方向の距離を濡れ高さfと定義する。
図3、4は本発明の実施形態に係る塗装金属板の構成を示す板厚方向の断面模式図である。先ず、図3に示すように、骨材5,5′の表面がクリア樹脂によって被覆されている部分の上端と下端との金属板表面に垂直な方向の距離を濡れ高さfと定義する。
次に、骨材の上位粒子平均高さ(H)に対する骨材の上位粒子平均濡れ高さ(F)の比は次のように測定し、定義するものとする。
すなわち、塗装金属板から任意に、2cm角のサンプルを採取し、マイクロゲージを用い、それぞれのサンプルについて表面から最も高く突出している骨材を探し、その骨材の頭頂部にマークする。
次いで、これらのサンプルを樹脂に埋め込み、サンプルの塗装面に垂直な断面方向から、上記のマークした骨材の頭頂部を含む断面位置まで研磨し、その断面写真を作成する。この断面写真において、マークした骨材の高さhを測定し、これら5つのサンプルの断面写真における骨材の高さhを平均したものを、骨材の上位粒子平均高さ(H)とする。
さらに、上記断面写真において、マークした骨材の濡れ高さfを測定し、この濡れ高さを5つのサンプルの断面写真で平均したものを上位粒子平均濡れ高さ(F)として求める。次いで、骨材の上位粒子平均高さ(H)に対する上位粒子平均濡れ高さ(F)の比、F/Hを求めるものである。
すなわち、塗装金属板から任意に、2cm角のサンプルを採取し、マイクロゲージを用い、それぞれのサンプルについて表面から最も高く突出している骨材を探し、その骨材の頭頂部にマークする。
次いで、これらのサンプルを樹脂に埋め込み、サンプルの塗装面に垂直な断面方向から、上記のマークした骨材の頭頂部を含む断面位置まで研磨し、その断面写真を作成する。この断面写真において、マークした骨材の高さhを測定し、これら5つのサンプルの断面写真における骨材の高さhを平均したものを、骨材の上位粒子平均高さ(H)とする。
さらに、上記断面写真において、マークした骨材の濡れ高さfを測定し、この濡れ高さを5つのサンプルの断面写真で平均したものを上位粒子平均濡れ高さ(F)として求める。次いで、骨材の上位粒子平均高さ(H)に対する上位粒子平均濡れ高さ(F)の比、F/Hを求めるものである。
なお、図4に示されるように、粒径の比較的大きい骨材の大半において骨材の表面全てがクリア樹脂層により被覆されている場合は、上位粒子平均濡れ高さ(F)は、骨材の上位粒子平均高さ(H)とほぼ等しくなり、濡れ高さ比は1となる。
また、骨材を含有するクリア皮膜層3の上に骨材を含まない上塗りクリア皮膜層4を形成した場合においては、濡れ高さfは、骨材を含有するクリア皮膜層3及び骨材を含まない上塗りクリア皮膜層4のクリア皮膜を含めて被覆されている骨材の上端と骨材の下端との金属板面に垂直な方向の距離をいうものとする。
濡れ高さ比が0.3未満であると、骨材が、上塗りクリア皮膜層もしくは、上塗りクリア皮膜層及び骨材を含有するクリア皮膜層の両クリア皮膜に十分固定されず、脱落しやすくなる。
以上のように、皮膜厚と骨材の上位粒子平均高さ(H)との比を規定すると共に、好ましくは濡れ高さ比、凹部比率あるいは被覆面積率などを規定することにより、本願発明の塗装金属板は、意匠性に優れたものとなり、さらに加工性に優れるものである。
骨材としては、意匠性を与えるものであればいかなるものでも使用可能であるが、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ナイロン、ポリアクリル酸エステル、架橋ポリメタクリン酸メチル、架橋ポリメタクリル酸ブチルなどの樹脂ビーズや、ガラスビーズ、などの無機系粒子が挙げられる。骨材の色についても、任意のものを適当に組み合わせて使用すればよい。また、骨材の形状は特に限定されるものではないが、例えば、球状、楕円状などの塊状のものであることが好ましい。
骨材を含有するクリア皮膜層を形成する塗料樹脂としては、高分子ポリエステル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、あるいはこれらの変性樹脂などの樹脂成分をブチル化メラミンン、メチル化メラミン、ブチルメチル混合メラミン、尿素樹脂、イソシアネートやこれらの混合系の架橋成分により架橋させたもの、或いは電子線硬化型、紫外線硬化型などのものを使用すればよい。
この塗料には各種の着色顔料を含んでも良いが、前述のように過度の着色は、骨材を隠蔽し、意匠感を低下させるので、塗膜の透視性が確保される程度にとどめるべきである。染料により有色透明なクリア皮膜層とすることも可能である。また目的に応じて、アルミ粉末などのメタリック顔料やシリカなどの光沢調整剤を含んでもよい。
骨材を含有するクリア皮膜層は、上記骨材を含有する樹脂塗料を、後述する塗装方法を採用して塗装することにより形成することができる。なお、この骨材を含有するクリア皮膜層は2層以上設けてもよい。
3 上塗りクリア皮膜層
大粒径骨材をより強固に固定し、骨材の脱落防止をさらに確実なものとするために、骨材を含有するクリア皮膜層の上に、さらに骨材を含有しないクリア皮膜層、すなわち、上塗りクリア皮膜層、を設けてもよい。この皮膜層は1層以上設けても良い。
大粒径骨材をより強固に固定し、骨材の脱落防止をさらに確実なものとするために、骨材を含有するクリア皮膜層の上に、さらに骨材を含有しないクリア皮膜層、すなわち、上塗りクリア皮膜層、を設けてもよい。この皮膜層は1層以上設けても良い。
上塗りクリア皮膜層の塗料樹脂としては、前述の骨材を含有するクリア皮膜層を形成する際のクリア塗料樹脂を使用できる。たとえば、高分子ポリエステル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、あるいはこれらの変性樹脂などの樹脂成分をブチル化メラミンン、メチル化メラミン、ブチルメチル混合メラミン、尿素樹脂、イソシアネートやこれらの混合系の架橋成分により架橋させたもの、或いは電子線硬化型、紫外線硬化型などのものなどである。
この塗料には各種の着色顔料を含んでも良いが、前述のように過度の着色は、骨材を隠蔽し、意匠感を低下させるので、塗膜の透視性が確保される程度にとどめるべきである。染料により有色透明なクリア皮膜層とすることも可能である。また目的に応じて、アルミ粉末などのメタリック顔料やシリカなどの光沢調整剤を含んでもよく、また、必要によっては、レベリング剤、消泡剤、ワックスなどの添加剤を含んでも良い。
特に、上塗りクリア皮膜層に酸化チタン粉末などの光触媒作用を有する材料を混入させることによって、光触媒による塗装金属板表面の汚染防止、殺菌作用、或いは脱臭作用などの効果を活用できる。本発明では大粒径骨材が塗膜表面より突出しているか、又はクリア皮膜層を内部から凸状に盛上げることにより石目調などの意匠性を発現させている。従って、本発明の塗装金属板は表面に多くの窪みを有しており、屋外で建材用途などに用いられる場合には窪み部分に汚れが付着し易いこともあるが、上塗りクリア皮膜層に光触媒を添加することによりこれを解消することができる。
4.塗装方法
上述のように比較的粒径の大きな骨材を含有し、かつ、全体として乾燥膜厚を薄く形成するために、本発明においては複層カーテンコーター方式を採用することが好ましい。
上述のように比較的粒径の大きな骨材を含有し、かつ、全体として乾燥膜厚を薄く形成するために、本発明においては複層カーテンコーター方式を採用することが好ましい。
カーテンコーター方式は、塗料をスリットの間からカーテン状の薄い膜として自由落下させ、その下を移動走行させた金属板の上に塗装するものである。塗料をカーテン状の薄い膜にする方式として、塗料を容器からオーバーフローさせるオーバーフローカーテンコーター、塗料をスリットの間から流下させるスリットカーテンコーター、塗料を回転する2本のローラーの間から流下させるローラーカーテンコーターなどがある。着色皮膜層、骨材を含有するクリア皮膜層、あるいは、着色皮膜層、骨材を含有するクリア皮膜層、さらにその上に上塗り皮膜層を形成する本発明の塗装金属板においては、これらの皮膜を効率的にかつ、薄く形成するには、多層カーテンコーターにするのが好ましい。
この多層カーテンコーターとしては、例えば、特公昭49−24133号公報、特開平6−190335号公報、特開平8−252519号公報などに開示されている装置を利用することができる。図5は、多層カーテンコーターの一例を示す概要図であり、(a)は斜視図、(b)は、(a)の通板方向に平行な垂直断面の要部模式図である。
図5において多層カーテンコーターのスライドホッパー9にはスライド傾斜面10があり、このスライド傾斜面には、3列のスリット状ノズル11a〜11cが配置されている。各ノズルにはそれぞれに塗料樹脂を供給する塗料供給部12a〜12cが接続されており、各塗料供給部は、供給管とポンプ(何れも図示しない)を介して塗料タンク(図示しない)に接続され、塗料が各塗料供給部に供給されるようになっている。
スライド傾斜面10の唇部10Aの両端部に接するように、塗料膜をガイドするカーテンガイド15が設けられ、唇部10Aの下方には、余剰の塗料を収容する塗料パン17が設けられている。
スライド傾斜面10の唇部10Aの両端部に接するように、塗料膜をガイドするカーテンガイド15が設けられ、唇部10Aの下方には、余剰の塗料を収容する塗料パン17が設けられている。
そして、スライドホッパー9のそれぞれの塗料供給部12a〜12cからスリット状ノズル11a〜11cを通じて塗料Pがスライド傾斜面10に幅方向に均一に供給され、各塗料膜13a、13b、13cがスライド傾斜面上で積層される。多層に積層された塗膜は、スライド傾斜面上を下方に流動し、スライド傾斜面の先端部(唇部10A)で塗料パンに落下する際にカーテンガイド15により拡げられ、塗料カーテン14として幅方向に均一な塗料膜として流れる。この塗料膜に所定の速度で移動する金属板1を通板させることにより、金属板上に多層の塗料膜層16を同時に形成することができる。その後、乾燥、硬化処理を施すことにより、塗装金属板とすることができる。
図5では、スライドホッパーのスライド傾斜面には3個のスリット状ノズル11a〜11cが設けられているが、スライドホッパー上のスリット状ノズルの数は特に限定されるものではなく、必要により加減できる。
すなわち、着色皮膜層2と骨材を含有するクリア皮膜層3とからなる塗装皮膜を形成する場合は、スライドホッパーのスリットは下流側の二つのスリット状ノズルを使用するようにすればよく、着色皮膜層2と骨材を含有するクリア皮膜層3とさらにその上の上塗りクリア皮膜層4と三層からなる塗装皮膜を形成する場合は、スライドホッパーの三つのスリットを使用するようにすればよい。
すなわち、着色皮膜層2と骨材を含有するクリア皮膜層3とからなる塗装皮膜を形成する場合は、スライドホッパーのスリットは下流側の二つのスリット状ノズルを使用するようにすればよく、着色皮膜層2と骨材を含有するクリア皮膜層3とさらにその上の上塗りクリア皮膜層4と三層からなる塗装皮膜を形成する場合は、スライドホッパーの三つのスリットを使用するようにすればよい。
すなわち、本発明の着色皮膜層と骨材を含有するクリア皮膜層とからなる塗装金属板を形成する場合は、スライドホッパーのスライド傾斜面に設けた複数のスリット状ノズルから、例えば、図5のスライドホッパーの下流側の二つのスリット状ノズルから、粒径が50〜500μmの大粒径骨材を含有するクリア樹脂と着色樹脂を別々に流出させ、スライド傾斜面上で二層からなる塗料樹脂膜を形成し、この塗料樹脂膜をカーテン状に落下させ、着色樹脂層を下層とし、骨材を含有するクリア樹脂層を表層とする塗料膜を走行する金属板上に受けて塗布する。次いで、塗布後の塗料膜を同時に乾燥焼付することによって意匠性と加工性に優れた塗装金属板とすることができる。
また、着色皮膜層と骨材を含有するクリア皮膜層とさらにその上の上塗りクリア皮膜層と3層からなる塗装皮膜を形成する場合は、スライド傾斜面に設けた複数のスリット状ノズルから、例えば、図5のスライドホッパーの3つのスリット状ノズルから、上塗りクリア樹脂と粒径が50μ〜500μの大粒径骨材を含有するクリア樹脂と着色樹脂を、それぞれ別々に流出させ、スライド傾斜面上で三層からなる塗料樹脂膜を形成し、この塗料樹脂膜をカーテン状に落下させ、着色樹脂層を下層とし、骨材を含有するクリア樹脂層を中層、上塗りクリア樹脂層を上層とする塗料膜を走行する金属板上に受けて塗布する。次いで、塗布後の塗料膜を同時に乾燥焼付けすることによって意匠性と加工性に優れた塗装金属板とすることができる。
この方法によれば、複数の塗料膜層からなる塗膜を、一つのヘッドで同時に塗布でき、かつ塗布された塗料膜を一回の乾燥焼付処理により乾燥焼付できるので、従来のように、塗布、乾燥焼付処理を各皮膜ごと行なう方法に比べて、極めて効率がよい。
また、塗膜間の密着性が、極めてすぐれており、塗装金属板の加工においても塗膜間の剥離がなく、加工性に優れたものとすることができる。
また、塗膜間の密着性が、極めてすぐれており、塗装金属板の加工においても塗膜間の剥離がなく、加工性に優れたものとすることができる。
さらに、スライド傾斜面上で複数の各塗料膜層が一体となった樹脂膜を形成されるので、各塗料膜層は薄くても、カーテン状に落下する際の塗料膜は厚くなっており、本発明のように平均粒径が比較的大きな骨材を含有した場合でも、カーテン状塗料膜の膜切れを起こすことがなく、安定したカーテン状塗料膜を落下させることができる。
従って、各皮膜層は極めて薄い塗装皮膜であってもこれを効率的に金属板上に塗布することが可能となる。
多層同時コーテイングは、図5の例の限らず、複数のスリット状ノズルを備えたTダイ形式のダイコーターからそれぞれの塗料樹脂を下方に膜状に同時に押し出し、下方に落下させて所定の速度で移動する金属板に受けさせ、多層の塗膜を同時に形成する多層エクストルージョンコーター、複数のスリットを有する多層のヘッドからそれぞれの塗料樹脂を下方に膜状に同時に押し出し、傾斜したスライド面で多層に重ねた塗料膜をカーテン状に落下させることなく、スライド面の下端を所定の速度で移動する金属板に近接させて塗料膜を塗布し、多層膜を同時に形成する多層スライドコーターなどを採用することもできる。
大粒径骨材の粒径は、上述のように50〜500μmとするが、好ましくは、80μ〜200μである。
また、上塗りクリア皮膜層を形成する塗料樹脂の粘度を、下層の骨材を含有するクリア皮膜層を形成する樹脂の粘度よりも高くすることが好ましい。これによって、大粒径骨材が上塗りクリア皮膜層を突き破って、突出することを抑制することができ、濡れ高さ比F/Hを大きくすることができる。
また、上塗りクリア樹脂層の層厚を2〜5μmとすることが好ましい。これによって、意匠感を一層向上させることができ、かつ製造コストを低減することができる。
また、上塗りクリア樹脂に酸化チタン粉末など光触媒作用を有する材料を混入させることによって、光触媒を含有する上塗りクリア皮膜層を形成することができ、塗装金属板表面の汚染防止、殺菌作用、或いは脱臭作用を有する塗装金属板を製造することができる。
また、上記製造方法において、塗膜は、複数の塗料樹脂を一体に塗布された塗料膜であるため、この塗料膜の乾燥、焼付条件については、各塗料樹脂の乾燥、焼付条件を満たす条件を選定する必要があるが、通常使用される塗料樹脂に関しては、最終到達板温度が180℃未満では乾燥、焼付が不十分となり、280℃を超えると樹脂が変質して意匠感が低下するので180℃〜280℃とし、加熱時間は、30秒未満ではワキと呼ばれる塗膜中に気泡が残留する塗装欠陥が発生し、120秒を超えると樹脂が変質して意匠感が低下したり、加工性が低下したりするので、30〜120秒での乾燥、焼付すれば、何れの塗料樹脂においても良好な乾燥、焼付がなされ、塗装膜全体として意匠性、加工性に優れた塗装金属板とすることができる。
以下、本発明の実施例を用いて説明する。
1.金属板
表1に示す各種の金属板を、弱アルカリ性の脱脂剤にて脱脂、乾燥した後、片面に塗装を行った。
表1に示す各種の金属板を、弱アルカリ性の脱脂剤にて脱脂、乾燥した後、片面に塗装を行った。
2.前処理
表1に示すように、塗布型クロメート処理又は非クロメート前処理を行った。クロメート処理は、日本パーカライジング社製のZM1300を、クロム付着量にして40mg/m2をスピンコーターにて塗布し、オーブンにて80℃、30秒乾燥させた。非クロメート処理は、日本パーカライジング社製のCTE300Nを、付着量にして100mg/m2をバーコーターにて塗布し、オーブンにて80℃、30秒乾燥させた。
表1に示すように、塗布型クロメート処理又は非クロメート前処理を行った。クロメート処理は、日本パーカライジング社製のZM1300を、クロム付着量にして40mg/m2をスピンコーターにて塗布し、オーブンにて80℃、30秒乾燥させた。非クロメート処理は、日本パーカライジング社製のCTE300Nを、付着量にして100mg/m2をバーコーターにて塗布し、オーブンにて80℃、30秒乾燥させた。
3.プライマー
日本ペイント社製ポリエステル系プライマーFLC690プライマーを乾燥膜厚にして5μmとなるようにバーコーターで塗布し、熱風オーブンにてPMT(最高板温度)215℃にて乾燥させた。
日本ペイント社製ポリエステル系プライマーFLC690プライマーを乾燥膜厚にして5μmとなるようにバーコーターで塗布し、熱風オーブンにてPMT(最高板温度)215℃にて乾燥させた。
4.着色皮膜層
使用した塗料の樹脂系及び色彩の組み合わせは表1に示すとおりである。塗料の樹脂系は、I:高分子ポリエステル樹脂系I(日本ペイント社製)、II:高分子ポリエステル系樹脂II(日本ペイント社製)、III:アクリル樹脂系III(日本ペイント社製)である。
これらの塗料を乾燥膜厚が10〜30μmとなるように塗布した。
使用した塗料の樹脂系及び色彩の組み合わせは表1に示すとおりである。塗料の樹脂系は、I:高分子ポリエステル樹脂系I(日本ペイント社製)、II:高分子ポリエステル系樹脂II(日本ペイント社製)、III:アクリル樹脂系III(日本ペイント社製)である。
これらの塗料を乾燥膜厚が10〜30μmとなるように塗布した。
5.骨材を含有するクリア皮膜層
使用した塗料樹脂の種類、添加した骨材の種類、骨材の上位粒子平均高さ(H)、骨材の存在しない部位での平均乾燥膜厚は表2(表1のつづき1)に示すとおりであり、所定の乾燥膜厚となるように塗布した。
使用した塗料樹脂の種類、添加した骨材の種類、骨材の上位粒子平均高さ(H)、骨材の存在しない部位での平均乾燥膜厚は表2(表1のつづき1)に示すとおりであり、所定の乾燥膜厚となるように塗布した。
6.上塗りクリア皮膜層
使用した塗料の樹脂の種類および平均膜厚は表2(表1のつづき1)に示すとおりであり、所定の平均乾燥膜厚となるように塗布した。
なお、一部の実施例では、塗料の樹脂に、光触媒として、二酸化チタン内包のマイクロカプセルを混入させたものを用いた。
使用した塗料の樹脂の種類および平均膜厚は表2(表1のつづき1)に示すとおりであり、所定の平均乾燥膜厚となるように塗布した。
なお、一部の実施例では、塗料の樹脂に、光触媒として、二酸化チタン内包のマイクロカプセルを混入させたものを用いた。
7.塗布及び乾燥、焼付方法
実施例においては、着色皮膜層、骨材を含有するクリア皮膜層、上塗りクリア皮膜層の塗装は、これらの層を一体として塗装する多層カーテンコーターを用い、乾燥、焼付条件は、230℃で加熱時間を60〜120秒とした。
また、比較例においては、着色皮膜層、骨材を含有するクリア皮膜層の塗装は、各層毎にロールコーターを使用し、乾燥、焼付条件は、着色皮膜層については215℃で60秒、骨材を含有するクリア皮膜層については230℃で60秒とした。なお、加熱には熱風又はIH(誘導加熱)を用い、これらを単独又は併用した。これらの条件を表3(表1のつづき2)に示す。
実施例においては、着色皮膜層、骨材を含有するクリア皮膜層、上塗りクリア皮膜層の塗装は、これらの層を一体として塗装する多層カーテンコーターを用い、乾燥、焼付条件は、230℃で加熱時間を60〜120秒とした。
また、比較例においては、着色皮膜層、骨材を含有するクリア皮膜層の塗装は、各層毎にロールコーターを使用し、乾燥、焼付条件は、着色皮膜層については215℃で60秒、骨材を含有するクリア皮膜層については230℃で60秒とした。なお、加熱には熱風又はIH(誘導加熱)を用い、これらを単独又は併用した。これらの条件を表3(表1のつづき2)に示す。
作成した塗装金属板は、板厚方向の断面を顕微鏡で観察し、表3(表1のつづき2)の塗膜の構成に関する各種の値を測定した。
また、粒径が50〜500μmの大粒径骨材による被覆面積率は、各塗装金属板の塗装面を上方から写真撮影し、画像をコンピューターに取り込んで、画像処理ソフトにより骨材の存在する場所の面積を測定する方法により求めた。
また、粒径が50〜500μmの大粒径骨材による被覆面積率は、各塗装金属板の塗装面を上方から写真撮影し、画像をコンピューターに取り込んで、画像処理ソフトにより骨材の存在する場所の面積を測定する方法により求めた。
次に、塗装金属板の塗膜層の各種性能の評価方法について示す。
(1) 意匠性
意匠性、すなわち石目調の意匠外観の強さを3段階で評価した。
各塗装金属板を3m離れた場所から観察し、粒状感がはっきり判別できて強い意匠感を有するものを○、意匠感が不十分なものを×、その中間的なものを△と評価した。
(1) 意匠性
意匠性、すなわち石目調の意匠外観の強さを3段階で評価した。
各塗装金属板を3m離れた場所から観察し、粒状感がはっきり判別できて強い意匠感を有するものを○、意匠感が不十分なものを×、その中間的なものを△と評価した。
(2) 骨材の耐脱落性
各塗装金属板を20℃で、0T曲げ加工とテーピング、6mmのエリクセン押し出し加工とテーピング、およびデュポン衝撃(1/2インチ×1kgf×50cm高さ凹凸)試験にかけ、全ての試験項目について全く骨材の脱落が見られないものを○、1試験項目について脱落が認められたものを△、それ以外のものを×とした。
各塗装金属板を20℃で、0T曲げ加工とテーピング、6mmのエリクセン押し出し加工とテーピング、およびデュポン衝撃(1/2インチ×1kgf×50cm高さ凹凸)試験にかけ、全ての試験項目について全く骨材の脱落が見られないものを○、1試験項目について脱落が認められたものを△、それ以外のものを×とした。
(3)塗装欠陥発生枚数
A4サイズのプレコート金属板を、各々実施例、比較例毎に10枚ずつ塗装し、そのうち、筋引きなどの塗装欠陥が発生した枚数を評価した。
A4サイズのプレコート金属板を、各々実施例、比較例毎に10枚ずつ塗装し、そのうち、筋引きなどの塗装欠陥が発生した枚数を評価した。
(4)加工性
塗装金属板の塗膜相互の密着性を加工性として評価した。
各塗装金属板を20℃で、0T曲げ加工とテーピング、6mmのエリクセン押し出し加工とテーピング、およびデュポン衝撃(1/2インチ×1kgf×50cm高さ凹凸)試験にかけ、全ての試験項目について全く塗膜の剥離が見られないものを○、1試験項目について剥離が認められたものを△、それ以外のものを×とした。
これらの結果を表4(表1のつづき3)に示す。
塗装金属板の塗膜相互の密着性を加工性として評価した。
各塗装金属板を20℃で、0T曲げ加工とテーピング、6mmのエリクセン押し出し加工とテーピング、およびデュポン衝撃(1/2インチ×1kgf×50cm高さ凹凸)試験にかけ、全ての試験項目について全く塗膜の剥離が見られないものを○、1試験項目について剥離が認められたものを△、それ以外のものを×とした。
これらの結果を表4(表1のつづき3)に示す。
以下に本発明の実施例を比較例と共に説明する。
実施例1〜実施例20、実施例27〜28は、着色皮膜層、骨材を含有するクリア皮膜層からなる塗装皮膜が形成されたものである。これらは、骨材の上位粒子平均高さ(H)と着色皮膜層と骨材を含有するクリア皮膜層の骨材が存在しない部分の合計平均乾燥膜厚(E1)との比H/E1が本発明の条件を満たし、さらに、凹部比率が50%以上と本発明の好ましい条件を満たしており、意匠感、骨材の耐脱落性において優れ、塗装欠陥の発生はなかった。また、塗膜層間の剥離は殆んど見られず、加工性も良好であった。なお、実施例5は、濡れ高さ比が他の実施例に比べてやや低く、骨材の耐脱落性がやや不足した。
また、実施例6は、大粒径骨材による被覆面積比率がやや低く、意匠感が他の実施例に比べてやや不足した。また、実施例9は、大粒径骨材による被覆面積比率がやや高く、すなわち大粒径骨材の含有率がやや高かったために骨材が脱落しやすくなり、骨材の耐脱落性が他の実施例に比べてやや不足した。なお実施例20は、骨材を含有するクリア皮膜層の骨材の存在しない部位の平均膜厚が他に比べて大きかったため、加工性において僅かに低いものとなった。
実施例1〜実施例20、実施例27〜28は、着色皮膜層、骨材を含有するクリア皮膜層からなる塗装皮膜が形成されたものである。これらは、骨材の上位粒子平均高さ(H)と着色皮膜層と骨材を含有するクリア皮膜層の骨材が存在しない部分の合計平均乾燥膜厚(E1)との比H/E1が本発明の条件を満たし、さらに、凹部比率が50%以上と本発明の好ましい条件を満たしており、意匠感、骨材の耐脱落性において優れ、塗装欠陥の発生はなかった。また、塗膜層間の剥離は殆んど見られず、加工性も良好であった。なお、実施例5は、濡れ高さ比が他の実施例に比べてやや低く、骨材の耐脱落性がやや不足した。
また、実施例6は、大粒径骨材による被覆面積比率がやや低く、意匠感が他の実施例に比べてやや不足した。また、実施例9は、大粒径骨材による被覆面積比率がやや高く、すなわち大粒径骨材の含有率がやや高かったために骨材が脱落しやすくなり、骨材の耐脱落性が他の実施例に比べてやや不足した。なお実施例20は、骨材を含有するクリア皮膜層の骨材の存在しない部位の平均膜厚が他に比べて大きかったため、加工性において僅かに低いものとなった。
実施例21〜26および29は、着色皮膜層、骨材を含有するクリア皮膜層および上塗りクリア皮膜層が形成されたものであり、骨材の上位粒子平均高さ(H)と着色皮膜層、骨材を含有するクリア皮膜層および上塗りクリア皮膜層の骨材が存在しない部位の合計乾燥膜厚(E2)との比H/E2が本発明の条件を満たし、さらに、凹部比率が50%以上と本発明の好ましい条件を満たしており、意匠感、骨材の耐脱落性において優れ、塗装欠陥の発生はなかった。
なお、実施例29は、上塗りクリア皮膜層の塗料の樹脂に二酸化チタン内包のマイクロカプセルを混入し、上塗りクリア皮膜層に光触媒を混入させたものである。これにより、塗装金属表面の汚染は他の実施例に比べて抑制されたものとなった。
なお、実施例29は、上塗りクリア皮膜層の塗料の樹脂に二酸化チタン内包のマイクロカプセルを混入し、上塗りクリア皮膜層に光触媒を混入させたものである。これにより、塗装金属表面の汚染は他の実施例に比べて抑制されたものとなった。
また、実施例1〜29において、塗装皮膜は、スライドコーターを用いて多層皮膜を同時に塗布し、1回の乾燥、焼付処理により形成されている(2コート1ベーク又は3コート1ベークなどのマルチコート1ベーク方式)。これによって、塗装欠陥を発生させることなく、骨材を含有するクリア皮膜層を含む塗装皮膜を形成することができると共に、極めて薄い上塗りクリア皮膜層を形成することができた。また、塗装皮膜間の剥離は殆ど見られず加工性において極めて優れたものとすることができた。
このように、骨材の上位粒子平均高さ(H)と着色皮膜層及び骨材を含有するクリア皮膜層もしくは、着色皮膜層、骨材を含有するクリア皮膜層及び上塗りクリア皮膜層の骨材の存在しない部位の合計乾燥膜厚(E)(E1又はE2)との比H/Eおよび大粒径骨材の凹部比率を満たし、さらに好ましくは、骨材の濡れ高さ比、被覆面積比率などの条件を満たすことにより、意匠感、骨材の耐脱落性を向上させ、かつ塗装欠陥の発生のない塗装金属板とすることができた。
このように、骨材の上位粒子平均高さ(H)と着色皮膜層及び骨材を含有するクリア皮膜層もしくは、着色皮膜層、骨材を含有するクリア皮膜層及び上塗りクリア皮膜層の骨材の存在しない部位の合計乾燥膜厚(E)(E1又はE2)との比H/Eおよび大粒径骨材の凹部比率を満たし、さらに好ましくは、骨材の濡れ高さ比、被覆面積比率などの条件を満たすことにより、意匠感、骨材の耐脱落性を向上させ、かつ塗装欠陥の発生のない塗装金属板とすることができた。
一方、比較例1〜4は、実施例と同様、塗装皮膜がスライドコーターを用いて多層皮膜を同時に塗布し、1回の乾燥、焼付処理により形成されている(2コート1ベーク)ものである。
しかしながら、比較例1〜3は、骨材の上位粒子平均高さ(H)が50μm未満であり、大粒径骨材による被覆がなされておらず(被覆面積率0%)、大粒径骨材が認められなかった。さらに、比較例1、2は、骨材の上位粒子平均高さ(H)と骨材が存在しない部位の着色皮膜層と骨材を含有するクリア皮膜層の合計乾燥膜厚(E1)との比H/E1が本発明の条件を外れているため、骨材の耐脱落性、塗装欠陥の発生には問題がないものの、いずれも意匠感の乏しいものとなった。
また、比較例4は、骨材の上位粒子平均高さ(H)が520μmであり、本発明の大粒径骨材の上限を超えた骨材が含有されていた。このため、スライドコーターによる多層同時コーティングであったにもかかわらず塗装欠陥が発生した。また、意匠感は満たされたものの、濡れ高さ比が本発明の下限未満であったため、骨材の耐脱落性がやや低いものであった。
しかしながら、比較例1〜3は、骨材の上位粒子平均高さ(H)が50μm未満であり、大粒径骨材による被覆がなされておらず(被覆面積率0%)、大粒径骨材が認められなかった。さらに、比較例1、2は、骨材の上位粒子平均高さ(H)と骨材が存在しない部位の着色皮膜層と骨材を含有するクリア皮膜層の合計乾燥膜厚(E1)との比H/E1が本発明の条件を外れているため、骨材の耐脱落性、塗装欠陥の発生には問題がないものの、いずれも意匠感の乏しいものとなった。
また、比較例4は、骨材の上位粒子平均高さ(H)が520μmであり、本発明の大粒径骨材の上限を超えた骨材が含有されていた。このため、スライドコーターによる多層同時コーティングであったにもかかわらず塗装欠陥が発生した。また、意匠感は満たされたものの、濡れ高さ比が本発明の下限未満であったため、骨材の耐脱落性がやや低いものであった。
比較例5〜8は、着色皮膜層と骨材を含有するクリア皮膜層とを各層ごとに塗布し、乾燥、焼付して塗装皮膜を形成した(2コート2ベーク)ものである。
比較例5、6は、骨材の上位粒子平均高さ(H)が50μm未満であり、骨材の上位粒子平均高さ(H)と骨材が存在しない部位の着色皮膜層と骨材を含有するクリア皮膜層の合計平均乾燥膜厚(E1)との比H/E1が本発明の条件を外れ、かつ凹部は形成されていない(凹部比率0%)。また、大粒径骨材による被覆面積率は0%であり、大粒径骨材は認められていない。突出した骨材が少ないため、骨材の耐脱落性、塗装欠陥の発生については問題がなかったものの、意匠感に乏しいものであった。
比較例5、6は、骨材の上位粒子平均高さ(H)が50μm未満であり、骨材の上位粒子平均高さ(H)と骨材が存在しない部位の着色皮膜層と骨材を含有するクリア皮膜層の合計平均乾燥膜厚(E1)との比H/E1が本発明の条件を外れ、かつ凹部は形成されていない(凹部比率0%)。また、大粒径骨材による被覆面積率は0%であり、大粒径骨材は認められていない。突出した骨材が少ないため、骨材の耐脱落性、塗装欠陥の発生については問題がなかったものの、意匠感に乏しいものであった。
比較例7は、比較例5、6と同様に骨材の上位粒子平均高さ(H)は50μm未満であり、凹部は形成されなかった(凹部比率0%)。また、大粒径骨材による被覆面積率は0%であり、大粒径骨材は認められなかった。しかしながら、骨材の上位粒子平均高さ(H)と骨材が存在しない部位の着色皮膜層と骨材を含有するクリア皮膜層の合計乾燥膜厚(E1)との比H/E1は本発明の範囲内にある。骨材の耐脱落性に問題はなかったものの、意匠感に乏しく、一部の突出した骨材により塗装欠陥が発生した。
比較例8は、比較例7と異なり骨材の上位粒子平均高さ(H)は本発明の75μmであるが、マルチコート1ベーク方式ではないため、凹部は形成されておらず(凹部比率0%)、また、骨材の上位粒子平均高さ(H)と骨材が存在しない部位の着色皮膜層と骨材を含有するクリア皮膜層の合計乾燥膜厚(E1)との比H/E1は本発明の条件を満たすが、濡れ高さ比が本発明の好ましい範囲外であった。このため、意匠感は満たされたが、骨材の耐脱落性がやや低く、突出した骨材により全鋼板に塗装欠陥が発生した。
また、比較例5〜8の塗装皮膜(2コート2ベーク)は、実施例1〜29のスライドコーターを用いて多層皮膜を同時塗布し、1回の乾燥、焼付処理により形成された塗装皮膜(マルチコート1ベーク)に比べて、加工性に劣っていることが判る。
1 金属板
2 着色皮膜層
3 骨材を含むクリア皮膜層
4 上塗りクリア皮膜層
5,5′ 骨材
6 凹部
7 前処理層
8 プライマー層
9 スライドホッパー
10 スライド傾斜面
10A スライド傾斜面の唇部
11a〜11c スリット状ノズル
12a〜12c 塗料供給部
13a〜13c 塗料膜
14 塗膜カーテン
15 カーテンガイド
16 多層の塗料膜層
17 塗料パン
2 着色皮膜層
3 骨材を含むクリア皮膜層
4 上塗りクリア皮膜層
5,5′ 骨材
6 凹部
7 前処理層
8 プライマー層
9 スライドホッパー
10 スライド傾斜面
10A スライド傾斜面の唇部
11a〜11c スリット状ノズル
12a〜12c 塗料供給部
13a〜13c 塗料膜
14 塗膜カーテン
15 カーテンガイド
16 多層の塗料膜層
17 塗料パン
Claims (16)
- 金属板上に着色皮膜層とその上に骨材を含有するクリア皮膜層を有し、骨材の上位粒子平均高さをH、着色皮膜層と骨材を含有するクリア皮膜層の骨材が存在しない部位の合計平均乾燥膜厚をE1としたとき、H/E1≧1であり、且つ、骨材には粒径が50〜500μmである大粒径骨材が配合されており、該大粒径骨材の存在する部位の着色皮膜層に厚さが減少した凹部が形成されていることを特徴とする意匠性と加工性に優れた塗装金属板。
- 金属板上に着色皮膜層と、その上に骨材を含有するクリア皮膜層と、さらにその上に上塗りクリア皮膜層とを有し、骨材の上位粒子平均高さをH、着色皮膜層と骨材を含有するクリア皮膜層と上塗りクリア皮膜層の骨材が存在しない部位の合計平均乾燥膜厚をE2としたとき、H/E2≧1であり、且つ、骨材には粒径が50〜500μmである大粒径骨材が配合されており、該大粒径骨材の存在する部位の着色皮膜層に厚さが減少した凹部が形成されていることを特徴とする意匠性と加工性に優れた塗装金属板。
- 着色皮膜層及びクリア皮膜層、もしくは、着色皮膜層、クリア皮膜層及び上塗りクリア皮膜層によって、骨材が被覆されている部分の上下端の、金属板面に垂直な方向の距離で定義される上位粒子平均濡れ高さをFとし、前記骨材の上位粒子平均高さをHとしたとき、F/H≧0.3とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の意匠性及び加工性に優れた塗装金属板。
- 骨材を含有するクリア皮膜層の骨材が存在しない部位の平均乾燥膜厚Bが、10〜60μmである請求項1に記載の意匠性と加工性に優れた塗装金属板。
- 骨材を含有するクリア皮膜層の骨材が存在しない部位の平均乾燥膜厚Bと、上塗りクリア皮膜層の骨材が存在しない部位の平均乾燥膜厚Aの合計が10〜60μmである請求項2に記載の意匠性と加工性に優れた塗装金属板。
- 前記大粒径骨材の粒径が80μ〜200μであることを特徴とする請求項1又は2に記載の意匠性と加工性に優れた塗装金属板。
- 前記塗装金属板の塗装面積に対する大粒径骨材の被覆面積の比率が5〜70%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の意匠性と加工性に優れた塗装金属板。
- 前記着色皮膜層に厚さが減少した凹部を形成した大粒径骨材の個数が、大粒径骨材の個数の50%以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の意匠性と加工性に優れた塗装金属板。
- 上塗りクリア皮膜層に光触媒が混入されていることを特徴とする請求項2に記載の意匠性と加工性に優れた塗装金属板。
- スライドホッパーのスライド傾斜面に設けた複数のスリット状ノズルから、粒径が50〜500μmである大粒径骨材を含有するクリア樹脂と着色樹脂を別々に流出させ、スライド傾斜面上で前記二つの樹脂層からなる樹脂膜を形成する工程、前記樹脂膜をカーテン状に落下させ、着色樹脂層を下層とし、大粒径骨材を含有するクリア樹脂層を表層とする塗膜を走行する金属板上に塗布する工程、前記塗布後の塗膜を同時に乾燥焼付する工程、からなる意匠性と加工性に優れた塗装金属板の製造方法。
- スライドホッパーのスライド傾斜面に設けた複数のスリット状ノズルから、上塗りクリア樹脂と粒径が50μ〜500μである大粒径骨材を含有するクリア樹脂と着色樹脂をそれぞれ別々に流出させ、スライド傾斜面上で前記三つの樹脂層からなる樹脂膜を形成する工程、前記樹脂膜をカーテン状に落下させ、着色樹脂層を下層とし、大粒径骨材を含有するクリア樹脂層を中層、上塗りクリア樹脂層を上層とする塗膜を走行する金属板上に塗布する工程、前記塗布後の塗膜を同時に乾燥焼付けする工程、からなる意匠性と加工性に優れた塗装金属板の製造方法。
- 前記大粒径骨材の粒径が80μ〜200μであることを特徴とする請求項10または11に記載の意匠性と加工性に優れた塗装金属板の製造方法。
- 前記上塗りクリア樹脂の粘度を、大粒径骨材を含有するクリア樹脂の粘度より高くすることを特徴とする請求項11に記載の意匠性と加工性に優れた塗装金属板の製造方法。
- 前記上塗りクリア樹脂層の層厚を2〜5μmとすることを特徴とする請求項11に記載の意匠性と加工性に優れた塗装金属板の製造方法。
- 前記上塗りクリア樹脂に光触媒を添加することを特徴とする請求項11に記載の意匠性と加工性に優れた塗装金属板の製造方法。
- 前記塗膜を、最終到達板温度が180℃〜280℃、加熱時間を30〜120秒での乾燥、焼付することを特徴とする請求項10または11に記載の意匠性と加工性に優れた塗装金属板の製造方法。
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