JP4818485B2 - プレコート金属板およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、家電用、建材用、土木用、機械用、自動車用、家具用、容器用等に主に用いられ、塗装後に成形加工することを前提として予め塗料を塗装したプレコート金属板およびその製造方法に関し、特に、意匠性に優れたプレコート金属板およびその製造方法に関する。
近年、家電用、建材用、土木用、機械用、自動車用、家具用、容器用等に用いる金属材として、金属材の加工後に塗装されていたポスト塗装製品に代わって、着色した塗膜を被覆したプレコート金属板が広く使用されるようになってきている。プレコート金属板は、一般的には金属板表面に化成処理を施した上に塗料を塗装したもので、塗料を塗装した状態で切断し、プレス成形されて使用されることが一般的である。このようなプレコート金属板を用いることでユーザにより行われる塗装工程を省略でき、生産性の向上やコストダウンに寄与するため、近年では産業界でのプレコート金属板の使用が増加している。
他方、最近では、家電や自動車分野等を中心に、光輝感や深み感に優れた意匠外観(以下、「高意匠性外観」と称する場合がある。)を有する塗装に対するニーズが高まってきている。このような高意匠性外観を有する塗装は、通常、スプレー塗装で行われている。高意匠性外観を有する塗装においては、メタリック、マイカ、パール、ガラスなどの様々な種類の光輝顔料を含む塗料を重ね塗りしたり、厚膜塗装したりすることで、光輝感や深み感を向上させている。
以上のように、最近では、これまで以上の光輝感や深み感のある高意匠性外観を有し、かつ、生産性の高いプレコート金属板に対する要望が高まってきている。
プレコート鋼板において高意匠性外観を発現させる技術として、例えば、特許文献1には、金属板上に5〜80μmの有機樹脂微粒子と着色顔料を含有する着色ベース塗膜とクリヤー塗膜をウェットオンウェットで塗装し、高輝感と立体意匠感を有する塗膜を形成する技術が開示されている。また、例えば、特許文献2には、金属板上に5〜80μmの有機樹脂微粒子と着色顔料を含有する着色ベース塗膜と高輝顔料を含むクリヤー塗膜をウェットオンウェットで塗装し、高輝感と立体意匠感を有する塗膜を形成する技術が開示されている。
特開平11−19584号公報 特開平11−19581号公報
しかしながら、着色ベース塗膜中に有機樹脂微粒子と着色顔料とを添加する特許文献1及び特許文献2の技術では、有機樹脂微粒子の添加量を増加させると、塗膜表面の凹凸が増すために立体感は増すが、着色顔料を多く添加できなくなるために隠蔽性が劣り深み感がなくなってしまう。一方、着色顔料の添加量を増加させると、隠蔽性が増すために深み感は増すが、有機樹脂微粒子を多く添加できなくなるために立体感がなくなってしまう。すなわち、特許文献1及び特許文献2の技術のいずれを用いても、立体感と深み感とを兼ね備える高意匠性外観を有するプレコート金属板を提供することは困難である、という問題があった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、立体感と深み感とを兼ね備えるとともに、これまで以上に光輝感、立体感、深み感等を有する意匠性に優れたプレコート金属板及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、樹脂塗膜中に最密充填となる量を超える量(微粒子の形状によっても異なるが、一般におよそ20〜30体積%が最密充填となる)の顔料など微粒子を添加した塗料と、光輝顔料を含む塗料とを塗料の粘度等の塗料物性を制御して多層同時塗布またはウェットオンウェット方式により基材に塗装すると、両塗料により形成された塗膜間の境界面の中心線平均粗さ(Ra)が大きくなり、これにより、光輝感および深み感を有し、さらには立体感をも有するプレコート金属板が得られることを見出した。また、微粒子を含む塗膜中に空隙を所定量設けることにより、十分な隠蔽性を有し、且つ、プレコート金属板の意匠感がさらに増すことを見出した。特に本願発明の技術はプレコート金属板に被覆された塗膜が白色系であるときに効果を発揮する。
一般に隠蔽性とは、着色した塗膜層を被覆した時に原板の色を光学的に隠す特性であり、隠しきれずに、原板の色が透けて見える場合は隠蔽性が劣ることになる。一般に、塗膜表層に入射した可視光が塗膜底面の原板まで到達し、これに反射し、更にこの反射光が塗膜表層から塗膜の外へ抜け出たときに、原板の色が透けて見える。原板に反射した可視光が塗膜外へ抜け出す量が多い場合に、隠蔽性が低くなる。隠蔽性を高めるためには、塗膜表層から入射した可視光を原板に達する前に塗膜外へ放出する必要がある。一般には塗膜中に顔料などの微粒子を添加し、これに塗膜表層から入射した可視光を反射させて塗膜外へ放出することで塗膜の隠蔽性を確保している。塗膜の隠蔽性は塗膜中の顔料濃度に依存しており、顔料濃度を高めると高まるが、極大点を有し、ある一定の顔料濃度を超えると隠蔽性は低くなることが知られている。「色材ハンドブック」社団法人色材協会編集、昭和42年5月25日発行、株式会社朝倉書店には、顔料体積濃度で20〜30%付近で隠蔽性が極大点となることが記載されている。塗膜中に顔料などの微粒子が添加されていると、バインダー樹脂と微粒子との界面屈折率差により光が反射する。顔料濃度が多いとこの界面屈折率差による反射界面が多くなり、塗膜表層から入射した多くの光が原板に達する前に反射して塗膜外に放出されるため、隠蔽性が高まる。しかし、塗膜中に含まれる顔料の濃度が更に高まると粒子同士の間隔が狭まり、この間隔が光の波長の1/2程度以下になると顔料表面(顔料とバインダー樹脂との界面)における散乱効率が低下してくるため、隠蔽性が低下すると一般に言われている。そのため、塗膜に高隠蔽性を付与するためには顔料体積濃度で20〜30%とすることが一般的である。例えば、微粒子がアナターゼ型酸化チタンで、バインダー樹脂の比重を1.2、アナターゼ型酸化チタンの比重を4.2とした場合、顔料体積濃度20〜30%は顔料質量濃度に換算すると46.7〜60%となり、バインダー樹脂100質量部に対してアナターゼ型酸化チタン顔料が87.6〜150質量部に相当する。
塗膜中に最密充填となる量を超える量の微粒子を添加した塗料を乾燥硬化させると、塗膜中のバインダー樹脂分量が微粒子同士の隙間を埋めるのに必要な量より少なくなってしまうため、塗膜中の微粒子同士の隙間に空隙が発生する。空隙が発生するとこの空隙に接する樹脂や顔料との間に別の界面(樹脂と空隙との界面、顔料と空隙との界面)が発生するため、光散乱度が高まり、隠蔽性も高まることを発明者らは知見した。また、この微粒子を添加した塗料と、光輝顔料を含む塗料とを前者を基材側、後者を表層側になるようにして多層同時塗布またはウェットオンウェット方式により塗装し同時に乾燥硬化させると、乾燥硬化工程において微粒子を添加した塗料中の微粒子が、光輝顔料を含む塗料層へ拡散し、これがドライビングフォースとなって両塗膜の界面が大きく乱れて界面Raが大きくなることを発見した。更にはプレコート金属板の皮膜層をこの様な構成とすることで、十分な隠蔽性を有し、且つ、光輝感および深み感が発現することを見出した。この理由を以下に記述する。(1)塗膜表面に入射した可視光が表層側の塗膜中に含まれる光輝顔料で反射して、一部が散乱光として塗膜表層から塗膜外へ抜け出す。(2)前記(1)で光輝顔料にぶつからなかった光は、この下の塗膜層とのRaの大きな界面で拡散反射する。(3)前記(2)で拡散反射した散乱光が再度、光輝顔料に反射するため更に光が拡散する。(4)前記(2)にて塗膜間界面で反射せずに透過して下層側の塗膜へ入射した光は、下層側の塗膜中に含まれる数多くの顔料/バインダー樹脂界面、顔料/空隙界面、バインダー樹脂/空隙界面で乱反射を繰り返えす。(5)前記(4)で乱反射を繰り返した可視光は原板に到達する前に下層塗膜から表層塗膜へ抜けだし、表層塗膜中の光輝顔料に再度反射し、これらを繰り返しながら塗膜表層から抜け出す。(6)塗膜表層に入射した光は前記(1)〜(5)の過程で拡散反射を繰り返し、反射するごとに光散乱度が増し、これら散乱した光が最終的に原板に達すること無く表層から塗膜外へ抜け出す光と混在して人の目には見えるため、人の目にはプレコート金属板塗膜がより輝いて見える。(7)前記(6)に加えて、前記(1)の過程で入射してから直ちに表層へ抜け出す光と、前記(2)〜(5)の様々な過程を経て繰り返し反射するために時間を掛けて表層から塗膜外へ抜け出す光とが混在するため、人の目にはプレコート金属板塗膜が高い深み感となって見える。
本発明は、このような知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明によれば、金属板表面の一部または全部に、着色顔料を含む第1の塗膜層と、当該第1の塗膜層の表層側に積層された光輝顔料を含む第2の塗膜層と、を含む少なくとも2層以上の被覆層を有し、前記第1の塗膜層と前記第2の塗膜層との境界面の中心線平均粗さRaが0.8μm以上であるプレコート金属板が提供される。
前記第1の塗膜層は、平均粒径が100nm以上2000nm以下の微粒子を含み、前記第1の塗膜層中における前記微粒子と前記バインダ樹脂との固形分体積比率は、前記微粒子の体積をV1、前記バインダ樹脂の体積をV2とすると、V1/V2=30/70〜95/5であることが必要である
前記第1の塗膜層中には、空隙が存在することが好ましい。
前記空隙の含有率は、前記第1の塗膜層中の固形分の全体積と前記空隙の体積の合計量に対して、3体積%以上40体積%以下であることが好ましい。
また、前記第1の塗膜層の表面に垂直な断面を平滑にして、10000倍の走査型顕微鏡で写真撮影した場合に、前記断面全体の面積に対する前記空隙が存在する部分の占める面積率が、1%以上40%以下であることが好ましい。
前記微粒子は、着色顔料であることが好ましい。
前記着色顔料としては、例えば、白色顔料が挙げられる。
前記白色顔料としては、例えば、酸化チタンが挙げられる。
前記被覆層は、前記第2の塗膜層の表層側に配置された第3の塗膜層をさらに含んでいてもよい。
また、前記被覆層は、前記第1の塗膜層と前記金属板との間に配置された第4の塗膜層をさらに含んでいてもよい。
前記金属板には、化成処理が施されていてもよい。
また、本発明によれば、着色顔料を含む第1の塗料と光輝顔料を含む第2の塗料とを、多層同時塗布またはウェットオンウェット方式により、前記第2の塗料が前記第1の塗料よりも表層側となるように、金属板表面の一部または全部に塗布し、前記金属板表面に塗布された未乾燥状態の前記第1の塗料および前記第2の塗料を同時に乾燥硬化させることにより、前記着色顔料を含む第1の塗膜層と、前記光輝顔料を含む第2の塗膜層と、を前記第1の塗膜層と前記第2の塗膜層との境界面の中心線平均粗さRaが0.8μm以上となるように形成するプレコート金属板の製造方法が提供される。
本発明によれば、立体感と深み感とを兼ね備えるとともに、これまで以上に光輝感、立体感、深み感等を有する意匠性に優れたプレコート金属板及びその製造方法を提供することが可能となる。
塗膜境界面の凹凸の状態の一例を示す図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
<プレコート金属板の構成>
まず、本発明の一実施形態に係るプレコート金属板の構成について詳細に説明する。
本実施形態に係るプレコート金属板は、塗装後の加工が可能な金属板であって、基材となる金属材の表面の一部または全部に、少なくとも2層の被覆層を有している。この被覆層は、具体的には、着色顔料を含む第1の塗膜層(以下、「着色塗膜層」と称する。)と、第1の塗膜層の表層側に積層された光輝顔料を含む第2の塗膜層(以下、「意匠性塗膜層」と称する。)と、を少なくとも含む2層以上の積層構造を有している。また、本実施形態に係るプレコート金属板は、被覆層として、意匠性塗膜層のさらに表層側に積層された第3の塗膜層(以下、「クリヤー塗膜層」と称する。)をさらに有していてもよく、また、着色塗膜層の内層側(すなわち、金属板と着色塗膜層との間)に、第4の塗膜層(以下、「プライマー塗膜層」と称する。)をさらに有していてもよい。
[着色塗膜層と意匠性塗膜層との界面の粗さについて]
本実施形態に係るプレコート金属板では、着色塗膜層と意匠性塗膜層との境界面の中心線平均粗さRaが0.8μm以上であることが必要である。このように、着色塗膜層と意匠性塗膜層との境界面のRaを大きくすることにより、プレコート金属板が十分な光輝感および深み感を有し、さらには立体感をも有するため、プレコート金属板の意匠性を顕著に向上させることができる。着色塗膜層と意匠性塗膜層との境界面のRaが0.8μm未満であると、上記の意匠性の向上効果を十分に得ることができない。Raが1.0μm以上であると上記の意匠性が更に向上するため、より好適である。
(境界面のRaの制御方法)
着色塗膜層と意匠性塗膜層との境界面のRaは、着色塗膜層および意匠性塗膜層の塗布方法、着色塗膜層中の微粒子(顔料など)の濃度、着色塗膜層および意匠性塗膜層形成用の塗料の低シェアでの粘度や表面張力等により、制御することができる。例えば、着色塗膜層と意匠性塗膜層との境界面のRaを0.8μm以上としたプレコート金属板は、着色塗膜層と意匠性塗膜層の2層を積層する際に、表面張力を制御した着色塗膜層用の塗料(以下、「着色塗料」と称する。)と意匠性塗膜層用塗料(以下、「意匠性塗料」と称する。)を、乾燥および焼付け硬化させる前の未乾燥の状態で2層に積層し、積層した未乾燥状態の着色塗料および意匠性塗料を同時に乾燥および焼付け硬化させることにより得られる。
各塗料の表面張力は、レベリング剤や消泡剤など、一般に界面活性剤と呼ばれる添加剤を塗料に所定量添加することによって調整することができるが、塗料中の溶剤の種類を変えることによっても調整することもできる。着色塗料と意匠性塗料との表面張力差を小さくすると、形成される着色塗膜層と意匠性塗膜層との境界面のRaは大きくなる傾向である。ただし、表層側に塗装される意匠性塗料の表面張力よりも内層側に塗装される着色塗料の表面張力の方が小さくなると、下層の塗膜が上層側へ、上層の塗膜が下層側へ移動しようとするため、部分的に下層塗膜が盛り上がり表層に突き出る、もしくは、上層塗膜が薄くなり盛り上がった下層塗膜が透けて見える現像、いわゆる両層の混層と呼ばれる塗装欠陥が発生しやすい。そのため、意匠性塗料の表面張力より着色塗料の表面張力の方を大きくすることが好ましい。着色塗料と意匠性塗料との表面張力差は、各塗膜層の樹脂種や溶剤種の違いによって好適な値が異なるため、一概に規定することはできず、塗料ごとに事前に調査して最適値を決める必要がある。本発明者らの知見では、10.0mN/m≧([着色塗料の表面張力]−[意匠性塗料の表面張力])≧0mN/mであると好適である。([着色塗料の表面張力]−[意匠性塗料の表面張力])の値が10.0mN/m超では、境界面のRaが0.8μm未満となる傾向であり、0mN/m未満では、着色塗膜層の成分と意匠性塗膜層の成分とが混ざり合ってしまい、プレコート金属板の外観の意匠性に劣る傾向が見られた。([着色塗料の表面張力]−[意匠性塗料の表面張力])の値は、好ましくは0.5〜10mN/mである。
着色塗膜層と意匠性塗膜層との境界面のRaを0.8μm以上とするための最も効果的な方法としては、例えば、着色塗膜層に粒径100nm〜2000nmの微粒子を乾燥後の塗膜中のバインダ樹脂の体積に対して最密充填以上となるように添加し、この着色塗料と意匠性塗料とを未乾燥の状態で積層し、積層した状態で同時に乾燥・硬化させる方法が挙げられる。着色塗膜層中に最密充填以上の着色顔料等の微粒子を添加し、意匠性塗膜層と未乾燥状態で積層することで、塗膜層間に微粒子の濃度勾配が発生し、着色塗膜層中の微粒子が意匠性塗膜層側へ拡散しようとする働きが生じる。さらに、乾燥・硬化工程で熱が加わるため、この熱がドライビングフォースとなって微粒子が拡散しようとする働きが顕著になる。他方、乾燥・硬化工程で熱を加えると塗膜を形成する樹脂の架橋反応が起こるため、微粒子の層間拡散の動きを抑制する働きが生じる。そのため、着色塗膜層と意匠性塗膜層との境界面が粗れた状態となり、Raが大きくなる。
ここでいう「微粒子を乾燥後の塗膜中のバインダ樹脂の体積に対して最密充填以上となるように添加」とは、塗膜中に最密充填された顔料等の微粒子間の空隙の体積が、乾燥後の塗膜中のバインダ樹脂の体積よりも大きい」ということを意味している。従って、本実施形態では、塗膜中に存在する微粒子間の空隙の全てがバインダ樹脂により充填されないため、塗膜中に空隙が存在することとなる。
着色塗膜層中に微粒子を混入させて着色塗膜層と意匠性塗膜層との境界面のRaを制御することは、各塗料の粘度や、各塗料中に添加した架橋剤の反応速度を制御することによっても可能である。各塗料の粘度が低いと、着色塗料中の微粒子が意匠性塗料中へ拡散しやすくなり、着色塗膜層と意匠性塗膜層との境界面のRaが大きくなる傾向となる。本発明者らの知見によると、乾燥・硬化後に塗膜中で最密充填以上となるような濃度で微粒子(着色顔料など)を添加した塗料は、一般に濃厚分散系塗料と呼ばれる非ニュートン流体となり、回転粘度計で粘度を測定した際に、低回転では粘度が高く、高回転では粘度が低くなる、いわゆるシェアシニング特性を持つ塗料となる。このような塗料を基材に塗装するときの塗装作業性には、高回転での粘度が大きく影響する一方で、塗装した後の乾燥・焼付け硬化工程での塗料の膜内流動には低回転での粘度が大きく影響することとなる。従って、着色塗膜層と意匠性塗膜層との境界面のRaの制御には、低シェアでの塗料粘度を調整することが重要となる。具体的には、本実施形態では、回転粘度計による着色塗料の回転数5rpmでの粘度が、500mPa以上4000mPa以下であることが好ましい。回転粘度計による着色塗料の回転数5rpmでの粘度が4000mPa超では、境界面のRaが0.8μm未満となるおそれがあり、500mPa未満では、着色塗料中の着色顔料が意匠性塗料中へ、意匠性塗料中の光輝顔料が着色塗料中へ拡散しやすくなり、両層の界面が見えなくなり、両層とも光輝顔料と着色顔料を含む同一層のようになってしまい、プレコート金属板の外観の意匠性が十分でないおそれがある。回転粘度計による着色塗料の回転数5rpmでの粘度は、好ましくは700〜4000mPa、より好ましくは700〜1000mPaである。
塗料粘度は、塗料中の溶剤量および塗料の保管条件(保管温度および保管期間)を変更することにより調整することができる。塗料の保管条件としては、保管温度が高いほど、また、保管期間が長いほど、塗料中の顔料の分散が進み、チキソトロピー性が低くなるため、低シェアでの塗料粘度が小さくなる。さらに、分散剤や構造粘性付与剤等の添加剤を塗料中に添加することによっても、塗料粘度を調整することができる。
次に、着色塗膜層、意匠性塗膜層、クリヤー塗膜層、プライマー塗膜層の順に、各塗膜層の構成について詳細に説明する。
[着色塗膜層]
(概要)
本実施形態に係る着色塗膜層は、着色顔料とバインダ樹脂とを必須成分として含有する塗膜層であり、意匠性塗膜層よりも内層側、すなわち、基材である金属材により近い側に位置する。ただし、被覆層が、着色塗膜層および意匠性塗膜層に加えて、クリヤー塗膜層とプライマー塗膜層のうちのいずれか一方または双方を含む3層または4層構造である場合には、着色塗膜層は、プライマー塗膜層と意匠性塗膜層とに接して挟まれた部分に位置する層とする。また、被覆層が、着色塗膜層、意匠性塗膜層、クリヤー塗膜層、プライマー塗膜層以外の他の層を含む場合には、意匠性塗膜層とプライマー塗膜層との間に位置し、かつ、着色顔料を含有する全ての層を着色塗膜層とする。
(着色顔料)
着色塗膜層中に含有される着色顔料としては、着色された有機微粒子を用いても良いし、一般に公知の無機着色顔料を用いてもよい。有機微粒子としては、例えば、着色されたアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂等の微粒子を使用することができる。無機着色顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の白色顔料や、亜酸化銅、モリブデートオレンジ、黄色酸化鉄、鉄黒、べんがら、紺青、群青などを使用することができる。着色顔料が白色顔料、特に白色度の高い酸化チタンであると、白色度が高く光輝感や深み感のある意匠性に優れた白色のプレコート金属板が得られるため、より好適である。光輝感や深み感のある白色の意匠性に優れた塗装外観は、近年の流行でもあり、従来はスプレーによる後塗装(ポストコート)でしか実現できなかった塗装外観である。そのため、このような塗装外観がプレコート金属板で達成できると、生産性が格段に向上するため好ましい。
なお、酸化チタンには、ルチル型酸化チタンとアナターゼ型酸化チタンがあるが、アナターゼ型酸化チタンは、光触媒性が高い。したがって、アナターゼ型酸化チタンを含む塗膜層は、外部から光を受けた際に、バインダ樹脂が分解してしまう可能性があるため、本実施形態では、酸化チタンとして、ルチル型酸化チタンを使用する方が好ましい。ルチル型酸化チタンとしては、市販のものを使用しても良く、例えば、石原産業社製「タイペーク(登録商標)」シリーズ、富士チタン社製「TA」シリーズ、テイカ社製「TITANIX(登録商標)」シリーズ等を使用することができる。さらに、本実施形態で使用する酸化チタン粒子は、酸化チタンの粒子単体であっても、あるいは、酸化チタンに、シリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化アンチモン、各種有機物等でコーティングを施したものであっても良い。酸化チタンのコーティングに用いる有機物としては、特に限定されるものではないが、例えば、ペンタエリトリット、トリメチロールプロパンなどのポリオール系化合物、トリエターノールアミン、トリメチロールアミンの有機酸塩などのアルカノールアミン系化合物、シリコン樹脂、アルキルクロロシランなどのシリコン系化合物などが挙げられる。
(微粒子)
本実施形態に係る着色塗膜層は、平均粒径が100nm以上2000nm以下の微粒子を含んでいることが必要である。着色塗膜層中に前記粒径の微粒子が含まれていることにより、優れた意匠性を有する塗装外観を得ることができる。本実施形態に係る微粒子の粒径が100nm未満では、着色塗膜層と意匠性塗膜層との境界面のRaが0.8μm未満となり、立体感や深み感などが貧弱となり、意匠性が劣るおそれがある。一方、微粒子の粒径が2000nm超では、微粒子間に存在する隙間(空隙)の体積が大きくなりすぎて、乾燥・焼付け硬化時に、意匠性塗膜層を形成するためのバインダ樹脂が着色塗膜層中へ拡散し、着色塗膜層中の微粒子間の空隙部分に入り込みやすくなる。そのため、意匠性塗膜層と着色塗膜層とが混ざり合ったような状態となるので、両層の明確な境界面が存在しなくなり、外観の意匠性が低下するおそれがある。微粒子の粒径は、200〜1000nmとする必要があり、好ましくは250〜300nmである。
本実施形態における微粒子の平均粒径とは、塗膜の任意の5つの部分を電子顕微鏡により10,000倍で観察し、各部分について視野中に映し出される微粒子のうち、粒径の小さい方から数で20%に当たる分と粒径の大きい方から数で5%に当たる分の粒子を除いた残りの微粒子の粒径の相加平均値を求め、得られた5つの値を平均したものである。
着色塗膜層中における前述した微粒子とバインダ樹脂(詳細は後述する)との比率は、微粒子の体積をV1、バインダ樹脂の体積をV2とすると、固形分体積比でV1/V2=30/70〜95/5であることが必要である。V1/V2が30/70未満では、着色塗膜層と意匠性塗膜層との境界面のRaが0.8未満となるおそれがあり、V1/V2が95/5を超えると、着色塗膜層の皮膜が脆くなり、加工密着性に劣るおそれがある。着色塗膜層と意匠性塗膜層との境界面のRaをより確実に0.8以上とするという観点からは、V1/V2が35/65以上であることが好ましく、塗膜層の皮膜を柔軟にし、加工密着性をより向上させるという観点からは、V1/V2が50/50以下であることが好ましい。
ここでいう「固形分体積」とは、着色塗膜層における塗膜中の樹脂(バインダ)成分と顔料成分および微粒子成分を含む固形分の体積のことを意味し、塗膜の全体積から塗膜中に存在する空隙が占める体積を除いたものである。
本実施形態における着色塗膜層中の固形分体積比は、塗装に用いた塗料の組成と同一であり、塗料中に添加した顔料および微粒子とバインダ樹脂との比率を用いて算出することができる。なお、微粒子が無機顔料の場合には、以下のような方法によっても、着色塗膜層中の固形分体積比を求めることができる。
まず、試料から測定対象となる着色塗膜層を削り取り、削り取った塗膜の質量M1を測定する。次に、削り取った塗膜を500℃で1時間加熱し、樹脂成分を分解させる。分解せずに残った部分を微粒子と考えることができるので、その残部の質量M2を測定する。微粒子の密度をρ1とすると、微粒子の体積V1は、V1=M2/ρ1、また、樹脂の密度をρ2とすると、樹脂の体積V2を、V2=(M1−M2)/ρ2として求めることができる。このようにして求めた微粒子の体積V1、バインダ樹脂の体積V2から、固形分体積比V1/V2を求めることができる。
本実施形態に係る着色塗膜層に含まれる粒径100nm以上2000nm以下の微粒子としては、特に限定されるものではなく、一般に公知の無機顔料、樹脂ビーズなどを使用することができる。このとき、本実施形態に係る微粒子が着色顔料であると、光輝感や深み感等の意匠性を得るのに有利であるため好適である。本実施形態に係る微粒子として、ともに粒径が100nm以上2000nm以下の透明な微粒子と着色顔料とを併用しても良い。しかし、透明な微粒子と着色顔料の合計の添加量が多過ぎると塗膜が脆くなりやすい。そのため、加工密着性を確保するために、微粒子や着色顔料の添加量が制限されるので、塗装外観の意匠性が損ねられてしまう可能性がある。このような観点から、着色塗膜層に含まれる微粒子の全てが着色顔料であることが好ましい。微粒子として使用する着色顔料としては、前述した着色顔料の例と同様であり、着色された有機微粒子や、一般に公知の無機着色顔料を用いることができる。微粒子は白色顔料、特に白色度の高い酸化チタンであることがより好ましい。
(塗膜中の空隙)
本実施形態に係る着色塗膜層中に空隙が存在すると、立体感や塗膜の深み感等が発現されて、意匠性がさらに向上するため、より好ましい。着色塗膜層中に空隙を存在させるようにするためには、乾燥・硬化後の塗膜中に、粒径100nm以上2000nm以下の微粒子が最密充填以上となるように存在するように、微粒子を高濃度で含有させればよい。微粒子を着色塗膜層中に高濃度で含有させることにより、微粒子間に形成された空隙の体積がバインダ樹脂の体積よりも大きくなる。そのため、顔料が最密充填未満となる濃度で含まれているような塗膜とは異なり、バインダ樹脂が存在しない部分を空隙として着色塗膜層中に存在させることができる。
具体的には、前述したように、着色塗膜層中における粒径が100nm以上2000nm以下の微粒子とバインダ樹脂との固形分体積比V1/V2が30/70〜95/5となるように、微粒子を着色塗料に添加することにより、着色塗膜層中に空隙を設けることができる。
着色塗膜層中の空隙の含有率(以下、「空隙率」あるいは「空隙体積率」と称する。)は、着色塗膜層中の固形分(塗膜成分)の全体積と空隙の体積の合計量に対して、3体積%以上40体積%以下であると、意匠性が向上するため好ましい。空隙率が3体積%未満であると、立体感や塗膜の深み感等の意匠性が低下するおそれがあり、一方、空隙率が40体積%を超えると、塗膜が脆くなり、加工性が大きく低下するおそれがある。好ましい空隙体積率は25%以上35%未満である。
着色塗膜層中の空隙率は、着色塗膜層中の微粒子の粒子径と添加量を調整することにより制御することができる。具体的には、微粒子の粒径が2000nm超では、塗膜表面に凹凸を有する外観となり外観不良となったり、空隙率が大きすぎて加工性に劣るおそれがある。一方、微粒子の粒径が100nm未満では、空隙率が小さくなりすぎて意匠性に劣るおそれがある。また、微粒子とバインダ樹脂との固形分体積比V1/V2が30/70未満では、空隙率が小さくなり意匠性に劣るおそれがあり、V1/V2が95/5超では、空隙率が大きすぎて皮膜が脆くなり、加工密着性に劣るおそれがある。
着色塗膜層中の空隙率の制御は、微粒子の粒子径と添加量を調整する以外にも、例えば、着色塗膜層を形成するための塗料の分散状態を調整することによっても制御することができる。具体的には、塗料中における顔料の分散状態が良好であるほど(均一であるほど)、顔料にバインダ樹脂が吸着して効率的に顔料粒子間の空隙を埋めるため、空隙率が小さくなる。従って、より高い意匠性を得るためには、塗工性や塗料の安定性に問題の無い範囲で最低限の分散状態に留める(塗工性や塗料の安定性に問題がない範囲で可能な限り不均一にする)ことが好ましい。
着色塗膜層中の空隙率(体積比率)は、電磁膜厚計または塗膜垂直断面からの顕微鏡観察によって得られた着色塗膜層の実膜厚から算出した単位面積当たりの付着体積量(以下、「単位面積当たりの実付着体積量」と称する。)と、プレコート金属板より単位面積当たりの着色塗膜層のみを切り出して秤量して得られた付着質量から着色塗膜層の平均の乾燥塗膜比重を用いて算出した体積量(以下、「単位面積当たりの塗膜成分体積量」と称する。)から、[空隙率]=([単位面積当たりの付着体積量]−[単位面積当たりの塗膜成分体積量])×100/[単位面積当たりの付着体積量]の式によって算出することができる。着色塗膜層の任意の5箇所について算出した値を平均して、着色塗膜層中の空隙率とする。着色塗膜層の乾燥塗膜比重としては、着色塗膜層中に含まれる各成分の添加量と各成分の比重から算出した計算比重を用いることができる。
また、着色塗膜層中に存在する空隙率は、着色塗膜層の表面に垂直な断面を平滑にして、10000倍の走査型顕微鏡で写真を撮影した場合に、断面全体面積に対する空隙が存在する部分の占める面積率(以下、「空隙面積率」と称する。)によっても確認することができる。着色塗膜層中に存在する空隙率を空隙面積率で表した場合には、任意の5箇所について撮影した断面写真の10μm×10μmの任意の視野から求めた平均の面積空隙率が1%以上40%以下であることが好ましい。空隙面積率が1%未満では、立体感や塗膜の深み感等の意匠性が低下するおそれがあり、一方、空隙面積率が40%を超えると、塗膜が脆くなり、加工性が大きく低下するおそれがある。好ましい面積空隙率は20%以上35%未満である。
(バインダ樹脂)
本実施形態に係る着色塗膜層に使用するバインダ樹脂としては、特に限定されず、一般に使用されているバインダ樹脂、例えば、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等を用いることができる。ただし、本実施形態に係る着色塗膜層には、必要に応じて最密充填以上となる量の微粒子を添加するため、塗膜が脆くなりやすいことから、着色塗膜層に使用するバインダ樹脂としては、加工性や密着性に優れる樹脂を使用することが好ましい。具体的には、着色塗膜層に使用するバインダ樹脂として、例えば、ガラス転移温度が0℃〜40℃、数平均分子量が10000〜30000、水酸基価が10KOHmg/g未満のポリエステル樹脂(以下、「高分子量のポリエステル樹脂」と称する。)を用いると、加工性が向上するため好ましい。
上記のような高分子量のポリエステル樹脂の添加量については、バインダ樹脂全体に対する高分子量のポリエステル樹脂の濃度が14質量%以上であれば、沸きを発生させずに厚膜の塗装が可能となり、塗装性と加工性の両立が可能となる。そのため、バインダ樹脂全体に対する高分子量のポリエステル樹脂の濃度を14質量%以上とすることが好ましい。
また、上記高分子量のポリエステル樹脂に加えて、数平均分子量が1000〜7000、水酸基価15KOHmg/g以上の多官能性の樹脂(以下、「低分子量の多官能性樹脂」と称する。)を添加することで、着色顔料どうしの密着性を高めることができるため、より好適である。これは、高分子量のポリエステル樹脂単独では、着色塗膜層中に高濃度で存在する顔料粒子の間隙(空隙)に樹脂が十分に入り込むことができず、バインダとしての機能が不十分となるために加工性がやや低下する可能性があるが、高分子量のポリエステル樹脂と低分子量の多官能性樹脂とを組み合わせて使用することにより、低分子量の多官能性樹脂が、高分子量のポリエステル樹脂が入り込むことのできない顔料粒子と顔料粒子との間にまで入りこみ、顔料と顔料、あるいは、顔料と高分子量のポリエステル樹脂とのバインダとして機能し、被覆層全体の強度および密着性が向上するために、優れた加工性が得られるものと考えられるためである。また、低分子量の多官能性樹脂の水酸基価が高いほど、より多くの架橋点を有することとなり、より高い皮膜の密着性が得られる。なお、本実施形態における多官能基は水酸基であるが、多官能性樹脂としては。数平均分子量が1000〜7000、水酸基価15KOHmg/g以上の樹脂であれば特に限定はされず、一般に公知の樹脂、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などを用いることができる。
上記の高分子量のポリエステル樹脂や低分子量の多官能性樹脂のようなバインダ樹脂としては、市販のものを用いても良い。具体的には、高分子量のポリエステル樹脂としては、例えば、東洋紡社製のポリエステル樹脂である「バイロン(登録商標)300」等を使用でき、低分子量の多官能性樹脂としては、例えば、東洋紡社製のポリエステル樹脂である「バイロン(登録商標)GK680」等を使用できる。さらに、これらのバインダ樹脂には、硬化剤としてメラミン樹脂やイソシアネートなどの一般に公知の硬化剤を添加するとより好ましい。硬化剤の添加量は、バインダ樹脂の総量100質量部に対して5質量部〜30質量部であると、加工性および密着性を担保できるため好適である。これら硬化剤としては、市販のものを用いても良く、例えば、三井サイテック社製のメラミン樹脂「サイメル(登録商標)303」等を使用できる。
高分子量のポリエステル樹脂と低分子量の多官能性樹脂との混合割合は、質量比で0.25≦(低分子量の多官能性樹脂)/(高分子量のポリエステル樹脂)≦4であると優れた密着性および加工性を得ることができる。(低分子量の多官能性樹脂)/(高分子量のポリエステル樹脂)の質量比が0.25未満であると、低分子量の多官能性樹脂の機能発現が不十分となるために密着性が低下するおそれがあり、(低分子量の多官能性樹脂)/(高分子量のポリエステル樹脂)が4より大きいと高分子量のポリエステル樹脂の機能発現が不十分となるために加工性が低下するおそれがある。高分子量のポリエステル樹脂と低分子量の多官能性樹脂との混合割合は0.5〜2.0、より好ましくは0.8〜1.2である。
(膜厚)
本実施形態に係る着色塗膜層の膜厚は、優れた意匠性を得るためには、10μm以上であることが好ましく、より高い意匠性を求める場合には13μm以上であることがさらに好ましい。一方、着色塗膜層の膜厚が80μmを超えると、塗膜の加工性が低下するおそれがあるため、着色塗膜層の膜厚は80μm以下であることが好ましく、より高い加工性を求める場合には60μm以下であることがさらに好ましい。
[意匠性塗膜層]
続いて、本実施形態に係る意匠性塗膜層について説明する。
(概要)
本実施形態に係る意匠性塗膜層は、前述した着色塗膜層の表層側、すなわち、基材である金属材からより遠い側に積層され、かつ、光輝顔料を含む被覆層である。被覆層が、着色塗膜層および意匠性塗膜層からなる2層構造の場合、これにさらにプライマー塗膜層を含む3層構造の場合、さらには、着色塗膜層が複数層存在する4層以上の構造等の場合には、意匠性塗膜層は、複数の被覆層のうち最表層に位置することとなる。ただし、意匠性塗膜層は、着色塗膜層の表層側に直接積層されていれば、必ずしも最表層に位置する必要はなく、後述するように、意匠性塗膜層のさらに表層側に、クリヤー塗膜層等の別途の被覆層が積層されていてもよい。
(光輝顔料)
本実施形態に係る意匠性塗膜層に含まれる光輝顔料とは、パール顔料、ガラスフレーク顔料、メタリック顔料等の光輝感をもつ顔料のことであり、一般に公知のものを用いることができる。具体的には、パール顔料としては、マイカ、合成マイカなどの一般に公知のパール顔料を用いることができ、市販のものを使用しても良い。市販のマイカの例としては、日本光研工業社販売の「パールグレイズ」等が挙げられる。市販の合成マイカの例としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、二酸化ケイ素、フッ素化合物からなる日本光研工業社販売の「アルティミカ」等が挙げられる。ガラスフレーク顔料とは、フレーク状にしたガラス粉のことであり、表面に金属や金属酸化物でコーティングしたものを用いても良い。ガラスフレーク顔料としては、市販のものを使用しても良く、例えば、日本板硝子社製の「メタシャイン」等を用いることができる。また、メタリック顔料としては、例えば、アルミニウム、銀等の金属の微粒子やフレーク状の微粒子などを用いることができる。光輝顔料の添加量は、塗膜の光輝感を向上させるという観点から、意匠性塗膜層のバインダ樹脂に対し3質量%以上であることが好ましく、また、塗膜が脆くなることを防止し、加工性を向上させるという観点から、30質量%以下であることが好ましい。
(バインダ樹脂)
本実施形態に係る意匠性塗膜層に使用するバインダ樹脂としては、特に限定されず、一般に使用されているバインダ樹脂、例えば、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等を用いることができる。ただし、着色塗膜層との密着性や塗料原料の共通化等の観点から、着色塗膜層と同一の樹脂を意匠性塗膜層の樹脂の一部または全部として使用することが好ましい。具体的には、意匠性塗膜層に使用するバインダ樹脂の一部または全部として、例えば、着色塗膜層と同一の樹脂、すなわち、ガラス転移温度が0℃〜40℃、数平均分子量が10000〜30000、水酸基価が10KOHmg/g未満の高分子量のポリエステル樹脂を用いると、加工性や着色塗膜層との密着性が向上するため好ましい。また、バインダ樹脂には、硬化剤としてメラミン樹脂やイソシアネートなどの一般に公知の硬化剤を添加するとより好ましい。硬化剤の添加量は、バインダ樹脂の総量100質量部に対して5質量部〜30質量部であると、加工性および密着性を担保できるため好適である。硬化剤としては、市販のものを用いても良く、例えば、三井サイテック社製のメラミン樹脂「サイメル(登録商標)303」等を使用できる。
(膜厚)
意匠性塗膜層には光輝顔料が添加されているため、意匠性塗膜層の膜厚が厚いほど、高い光輝感が得られる。ただし、意匠性塗膜層の膜厚が30μmを超えると、塗装時に沸きが発生しやすくなるために塗装性が劣化し、また、塗料コストの面でも好ましくない。一方、意匠性塗膜層の膜厚が3μm未満では、意匠性塗膜層による光輝感の向上効果が小さくなるため、意匠性塗膜層の膜厚を3μm以上30μm以下とすることが好ましい。安定した光輝感および塗装性を確保するという観点から、より好ましい意匠性塗膜層の膜厚は、5μm以上20μm以下である。
[クリヤー塗膜層]
(概要)
本実施形態に係るプレコート金属板が有する被覆層は、前述した意匠性塗膜層の表層側に積層されたクリヤー塗膜層をさらに含んでいてもよい。本実施形態に係るクリヤー塗膜層は、顔料を含まない透明な塗膜層である。意匠性塗膜層上にさらにクリヤー塗膜層を塗装することにより、プレコート金属板の光沢が増し、光輝感が高くなり、意匠性をより向上させることができる。
(バインダ樹脂)
本実施形態に係るクリヤー塗膜層に使用するバインダ樹脂としては、特に限定されず、一般に使用されているバインダ樹脂、例えば、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等を用いることができる。ただし、意匠性塗膜層との密着性や塗料原料の共通化等の観点から、意匠性塗膜層と同一の樹脂をクリヤー塗膜層の樹脂の一部または全部として使用することが好ましい。具体的には、クリヤー塗膜層に使用するバインダ樹脂として、例えば、意匠性塗膜層と同一の樹脂、すなわち、ガラス転移温度が0℃〜40℃、数平均分子量が10000〜30000、水酸基価が10KOHmg/g未満の高分子量のポリエステル樹脂を用いると、加工性や意匠性塗膜層との密着性が向上するため好ましい。また、これらのバインダ樹脂には、硬化剤としてメラミン樹脂やイソシアネートなどの一般に公知の硬化剤を添加するとより好ましい。硬化剤の添加量は、バインダ樹脂の総量100質量部に対して5質量部〜30質量部であると、加工性および密着性を担保できるため好適である。硬化剤としては、市販のものを用いても良く、例えば、三井サイテック社製のメラミン樹脂「サイメル(登録商標)303」等を使用できる。
(膜厚)
本実施形態に係るクリヤー塗膜層の膜厚は、優れた意匠性を得るためには、3μm以上であることが好ましく、より高い意匠性を求める場合には10μm以上であることがさらに好ましい。一方、着色塗膜層の膜厚が20μmを超えると、塗膜に沸きが発生するおそれがあるため、着色塗膜層の膜厚は20μm以下であることが好ましく、15μm以下では沸きが更に抑制されるため好ましい。
[プライマー塗膜層]
(概要)
本実施形態に係るプレコート金属板が有する被覆層は、以上説明した着色塗膜層、意匠性塗膜層およびクリヤー塗膜層の他に、プライマー塗膜層を含んでいてもよい。このプライマー塗膜層は、金属板と着色塗膜層との間に形成される塗膜層であり、被覆層が、意匠性塗膜層、着色塗膜層およびプライマー塗膜層の3層、あるいは、これらの塗膜層にクリヤー塗膜層を含む4層からなる場合には、基材となる金属板に最も近い側の塗膜層となる。ただし、この場合、金属板から最も近い側の層であっても、金属板と塗膜との密着性向上や耐食性向上を目的として設ける膜厚1μm未満の被覆層は、本実施形態に係るプライマー塗膜層には該当せず、膜厚1μm未満の被覆層よりも表層側の被覆層をプライマー塗膜層とする。このように、着色塗膜層の内層側にさらにプライマー塗膜層を塗装することにより、塗膜密着性をより向上させることができる。
(バインダ樹脂)
プライマー塗膜層のバインダとして用いる樹脂は、特に限定されず、一般に使用されているバインダ樹脂、例えば、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等を用いることができる。ただし、着色塗膜層との密着性や塗料原料の共通化等の観点から、着色塗膜層と同一の樹脂をプライマー塗膜層の樹脂の一部または全部として使用することが好ましい。具体的には、プライマー塗膜層に使用するバインダ樹脂の一部または全部として、例えば、着色塗膜層と同一の樹脂、すなわち、ガラス転移温度が0℃〜40℃、数平均分子量が10000〜30000、水酸基価が10KOHmg/g未満の高分子量のポリエステル樹脂を用いると、加工性や着色塗膜層との密着性が向上するため好ましい。
また、プライマー塗膜層のバインダ樹脂には、必要に応じて、一般に公知のエポキシ樹脂、シランカップリング剤などの密着性を付与するための添加剤を添加しても良い。プライマー塗膜層に添加するエポキシ樹脂としては、例えば、一般に公知のエピクロロヒドリンとビスフェノールAとの縮合体などの塗料用エポキシ樹脂等が挙げられる。また、プライマー塗膜層に添加するシランカップリング剤としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、ジメトキシジプロポキシシラン等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂やシランカップリング剤の添加量については、特に規定するものではなく、必要に応じて適宜決定することができる。例えば、バインダ樹脂にポリエステル樹脂を用いた場合は、エポキシ樹脂やシランカップリング剤の添加量としては、プライマー塗膜の樹脂固形分に対する固形分濃度で1質量%〜30質量%が好適である。エポキシ樹脂やシランカップリング剤の添加量が1質量%以上であれば、エポキシ樹脂やシランカップリング剤を添加した効果が十分に発揮され、かつ、密着性を確保することができ、添加量が30質量%以下であれば、塗膜の加工性を確保することができる。
(顔料)
本実施形態に係るプライマー塗膜層には、顔料を添加してもよく、耐食性を高めるという観点からは、防錆顔料を添加することが好ましい。プライマー塗膜層に添加する防錆顔料としては、一般に公知の防錆顔料、例えば、クロム酸ストロンチウム、クロム酸カリウム等のクロム系防錆顔料、トリポリリン酸二水素アルミニウム、リン酸亜鉛、亜リン酸亜鉛等のリン酸系防錆顔料、シリカ、Caイオン吸着シリカ等のシリカ系防錆顔料などを使用することができる。ただし、クロム系防錆顔料は、環境負荷物質である6価クロムを含むため、リン酸系防錆顔料やシリカ系防錆顔料などのクロム系以外の防錆顔料が好適である。これらの防錆顔料としては、市販のものを用いてもよく、例えば、テイカ社製のトリポリリン酸二水素アルミニウムである「K−WHITE(登録商標)#105」や、グレース社製のCaイオン吸着シリカである「シールデックスC303」等を使用することができる。
また、白色のプレコート金属板を得るためには、プライマー塗膜層に、酸化チタン、酸化亜鉛などの一般に公知の白色顔料を添加すると、プレコート金属板の白色度が増し、より意匠性が向上するため好ましい。
(膜厚)
プライマー塗膜層の膜厚については、膜厚が厚いほど、高い加工性や密着性が得られることから、これらの性能面を考慮すると、プライマー塗膜層の膜厚の上限値を設定する必要はない。しかし、プライマー塗膜層の膜厚が30μmを超えると、着色塗膜層と異なり、塗料中の顔料濃度が低いため、塗装時に沸きが発生しやすく、塗装性が劣化すること、また、塗料コストの観点からも好ましくない。よって、プライマー塗膜層の膜厚は30μm以下であることが好ましい。一方、プライマー塗膜層の膜厚が1μm未満では、プライマー塗膜層による加工性および密着性の向上効果が小さくなるため、プライマー塗膜層の膜厚は1μm以上であることが好ましい。安定した加工性、密着性および塗装性を確保するという観点から、より好ましいプライマー塗膜層の膜厚は、3μm以上20μm以下である。
[基材(金属板)]
本実施形態に係るプレコート金属板の基材に使用する金属板としては、一般に公知の鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、銅板、アルミ合金板、チタン板等を用いることができる。これら金属板の表面には、めっきが施されていてもよい。めっきの種類としては、亜鉛めっき、アルミめっき、銅めっき、ニッケルめっき等が挙げられ、これらの合金めっきであってもよい。本実施形態では、金属板として鋼板を用いると、成形加工性に優れるため好ましい。このとき、鋼板として亜鉛系めっき鋼板を用いると、耐食性がより向上するため、さらに好ましい。亜鉛系めっき鋼板としては、一般に公知のもの、例えば、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、鉄−亜鉛合金めっき鋼板、アルミニウム−亜鉛系合金めっき鋼板、亜鉛−アルミニウム−マグネシウム系合金めっき鋼板等を用いることができる。
また、本実施形態に係るプレコート金属板の基材として用いる金属板の表面に化成処理が施されていると、金属板と塗膜層との密着性や耐食性等が向上するため、より好適である。このような化成処理としては、一般的に施されているものを使用できる。具体的には、例えば、リン酸亜鉛系化成処理、クロメートフリー系化成処理、塗布型クロメート処理、電解クロム酸処理、反応クロメート処理等を使用することができる。このうち、塗布型クロメート処理、電解クロム酸処理、反応クロメート処理は、環境負荷物質である6価クロムを使用するため、あまり好ましくない。また、リン酸亜鉛系化成処理も、他の処理と比較して加工密着性が劣るおそれがある。従って、本実施形態に係る金属材に施す化成処理としては、クロメートフリー系処理が好適である。
クロメートフリー系化成処理としては、無機系の化成処理剤を用いたもの、および、有機系の化成処理剤を用いたものがあるが、いずれでもよい。具体的には、クロメートフリー系化成処理として、例えば、シランカップリング剤、ジルコニウム化合物、チタニウム化合物、タンニンまたはタンニン酸、樹脂、シリカ等を含む水溶液等を用いた処理が知られている。例えば、特開昭53−9238号公報、特開平9−241576号公報、特開2001−89868号公報、特開2001−316845号公報、特開2002−60959号公報、特開2002−38280号公報、特開2002−266081号公報、特開2003−253464号公報等に記載されている公知のクロメートフリー系化成処理技術を使用しても良い。また、これらの化成処理には、例えば、日本パーカライジング社製のクロメート処理剤「ZM−1300AN」、日本パーカライジング社製のクロメートフリー化成処理剤「CT−E300N」、日本ペイント社製の3価クロム系化成処理剤「サーフコート(登録商標)NRC1000」等の市販の化成処理剤を使用することができる。
本実施形態においては、金属板に施す化成処理として、加工密着性や耐食性に優れることが事前に確認されたものを使用することができる。本発明者らの知見では、水溶性樹脂に、シリカ、シランカップリング剤、タンニン酸、酸化ジルコニウムのうち、いずれか1種以上を添加したものが加工密着性と耐食性に優れるため、好適である。
<プレコート金属板の製造方法>
続いて、上述したような構成を有するプレコート金属板の製造方法について詳細に説明する。
本実施形態に係るプレコート金属板の製造方法は、着色顔料を含む着色塗膜層と、着色塗膜層の表層側に積層されて光輝顔料を含む意匠性塗膜層と、を含む少なくとも2層の被覆層を、着色塗膜層と意匠性塗膜層との境界面の中心線平均粗さRaが0.8μm以上となるように形成する方法である。以下、本実施形態に係るプレコート金属板の製造方法の詳細について説明する。
本実施形態に係るプレコート金属板は、一般的な連続塗装ライン(「CCL」と呼ばれる。)や切板用の塗装ラインを使用して、適宜必要な処理を選択し、選択した処理を実施することで製造できる。塗装ラインの代表的な製造工程としては、「洗浄」→「乾燥」→「化成処理」→「乾燥」→「塗装」→「乾燥・焼付け」→「冷却」→「乾燥」であるが、本実施形態におけるプレコート金属板の製造工程はこれに限定されるものではない。
本実施形態に係るプレコート金属板は、通常行われるように各被覆層ごとに塗装と乾燥・焼付けを繰り返して行うことで製造しても良い。あるいは、着色塗膜層形成用の塗料と、意匠性塗膜層の形成用の塗料とを、ウェットオンウェットまたは多層同時塗布方式により、金属材表面の一部または全部に塗布した後に、同時に乾燥・焼付け硬化して製造しても良い。ウェットオンウェットまたは多層同時塗布方式は、プレコート金属板を製造する既存の連続塗装ライン(CCL)にて、塗料を乾燥・焼付け硬化するオーブンを増設することなく製造でき、しかも、乾燥工程の数等が減るために生産性が向上することから好ましい。
クリヤー塗膜層を形成する場合には、着色塗膜層と意匠性塗膜層を乾燥・焼付け硬化した後に、クリヤー塗膜層用の塗料(以下、「クリヤー塗料」と称する。)を塗装して乾燥・焼付け硬化しても良い。あるいは、着色塗料、意匠性塗料とともにクリヤー塗料をもウェットオンウェットまたは多層同時塗布方式により塗装した後に、積層された3層を同時に乾燥・焼付け硬化しても良い。ウェットオンウェットまたは多層同時塗布方式によると、製造工程がさらに省略されるため、より好適である。
なお、本実施形態の金属材が亜鉛系めっき鋼板であった場合には、連続電気めっき鋼板設備、または連続溶融亜鉛めっき鋼板設備における、めっき工程の後にウェットオンウェット塗装設備または同時多層塗布設備を有するラインにて製造することによって、めっき金属表面の酸化皮膜が形成される前に塗布することができ、酸化皮膜によるハジキ外観不良を防止することができる。
ここで、多層同時塗布とは、スロットダイコータまたはスライドホッパー式のカーテンコータ等の平行な2個以上のスリット等から異なる塗料を積層するように吐出させることが可能な装置により複数の塗液を同時に積層した状態で基材に塗布し、この積層された塗液を同時に乾燥・焼付けさせる方法である。
また、ウェットオンウェット塗装とは、一度基材上に塗液を塗装した後に、この塗液が乾燥する前のウェット状態で、その上に他の塗液をさらに塗布し、積層された多層の塗液を同時に乾燥・焼付けする方法である。具体的には、ウェットオンウェット塗装の方法として、例えば、ロールコーティング、ディップコーティング、カーテンフローコーティング、ローラーカーテンコーティング等の塗装方法で、塗膜層を1層塗装した後、この塗膜層を乾燥焼付けする前に、さらにその上に、カーテンフローコーティング、ローラーカーテンコーティング、スライドホッパー式カーテンコーティング、スロットダイコーティング等の基材と非接触で塗装できる方法にて2層目の塗装を施した後に、積層されたウェット状態の複層塗膜を同時に乾燥焼付けする方法などが挙げられる。
本実施形態において、多層同時塗布、または、ウェットオンウェット塗装した塗膜を同時に乾燥・焼付け硬化する方法としては、一般に公知の塗料用焼付け炉、例えば、熱風乾燥炉、直下型加熱炉、誘導加熱炉、赤外線加熱炉、または、これらを併用した加熱炉等を用いることができる。
このように、未乾燥状態の塗液を積層して同時塗布することにより、従来は、各層ごとに行っていた乾燥工程をまとめて行うことから、生産性や製造コストの点でも有利であり、また、乾燥設備が少なくて済むという利点もある。
(まとめ)
以上説明したように、本実施形態によれば、従来よりも光輝感、立体感、深み感等が増した意匠性に優れたプレコート金属板およびその製造方法を提供することが可能となる。従って、家電用、建材用、土木用、機械用、自動車用、家具用、容器用等の分野において、生産性の低いポストコート材ではなく、生産性の高いプレコート金属板を用いて意匠性に優れた製品を製造および組み立てられるようになり、作業効率が向上するなどの効果が得られるようになる。このように、本実施形態に係るプレコート金属板とその製造方法は、産業上の極めて価値が高いものといえる。
次に、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるわけではない。
まず、本実施例で使用したプレコート金属板について説明する。
1.金属板
プレコート金属板の基材となる金属板として、板厚0.5mmの溶融亜鉛めっき鋼板を用いた。この溶融亜鉛めっき鋼板としては、亜鉛付着量が片面45g/mのものを用いた。
2.化成処理液
シランカップリング剤を5g/l、水分散シリカ(微粒)を1.0g/l、および水系アクリル樹脂を25g/lを含む水溶液を調製し、本実施例で使用する化成処理液とした。なお、シランカップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、水分散シリカとしては、日産化学社製「スノーテック−N」、水系アクリル樹脂としては、ポリアクリル酸を使用した。
3.プライマー塗料
東洋紡社製のポリエステル樹脂である「バイロン(登録商標)290」(ガラス点移点72℃、数平均分子量22,000、水酸基価5KOHmg/g)をシクロメキサノン/ソルベッソ150=1/1の質量比で混合した混合溶剤(以下、「混合溶剤」と称する。)に溶解した。この溶液に三井サイテック社製のメラミン樹脂「サイメル(登録商標) 303」を、樹脂固形分の質量比で、ポリエステル樹脂固形分100質量部に対して10質量部となるように添加した。さらに、このポリエステル樹脂とメラミン樹脂の混合溶液に、三井サイテック社製の酸性触媒「キャタリスト(商標)600」を0.5質量%添加してプライマー塗膜層用クリヤー塗料を作製した。
次に、このプライマー塗膜層用クリヤー塗料中に、ポリエステル樹脂とメラミン樹脂との合計の樹脂固形分100質量部に対して、石原産業社製の酸化チタンである「タイペーク(登録商標)CR−95」を100質量部添加することで、プライマー塗料(以下、「白色プライマー」と称する。)を作製した。また、クリヤー塗料中にポリエステル樹脂とメラミン樹脂との合計の樹脂固形分100質量部に対して、テイカ社製のトリポリリン酸二水素アルミニウム「K−WHITE(登録商標)#105」を30質量部、グレース社製のCaイオン吸着シリカである「シールデックスC303」を30質量部、石原産業社製の酸化チタンである「タイペーク(登録商標)CR−95」を40質量部添加することで防錆顔料入りプライマー塗料(以下、「防錆プライマー」と称する。)も作製した。
4.着色塗料
東洋紡社製のポリエステル樹脂である「バイロン(登録商標)300」(ガラス転移点7℃、数平均分子量23,000、水酸基価5KOHmg/g)(本樹脂を以降は「高分子樹脂」と称する。)を混合溶剤に溶解した。この溶液に三井サイテック社製のメラミン樹脂「サイメル(登録商標)303」を、樹脂固形分の質量比で、ポリエステル樹脂固形分100質量部に対して10質量部となるように添加した。さらに、このポリエステル樹脂とメラミン樹脂の混合溶液に、三井サイテック社製の酸性触媒「キャタリスト(商標)600」を0.5質量%添加して高分子クリヤー塗料を作製した。
また、東洋紡績社製のポリエステル樹脂である「バイロン(登録商標)300」(ガラス転移点7℃、数平均分子量23,000、水酸基価5KOHmg/g)と「バイロン(登録商標)GK680」(ガラス転移点6℃、数平均分子量6,000、水酸基価21KOHmg/g)とを1:1(質量比)で混合したもの(本混合樹脂を以降は「高分子低分子併用樹脂」と称する。)を混合溶剤に溶解した。この溶液に三井サイテック社製のメラミン樹脂「サイメル(登録商標)303」を、樹脂固形分の質量比で、ポリエステル樹脂固形分100質量部に対して10質量部となるように添加した。さらに、このポリエステル樹脂とメラミン樹脂の混合溶液に、三井サイテック社製の酸性触媒「キャタリスト(商標)600」を0.5質量%添加して高分子低分子併用クリヤー塗料を作製した。
次に、これらクリヤー塗料中に、粒径280nmの酸化チタン微粒子、粒径700nm、1000nm、4000nmのアルミナ微粒子、粒径40nmのシリカ粒子をそれぞれ必要量添加することで着色塗料を作製した。
粒径280nmの酸化チタン微粒子としては、石原産業社製の「タイペーク(登録商標)CR−95」を用い、粒径700nm、1000nm、4000nmのアルミナ微粒子としては、それぞれ、日本軽金属株式会社製の「A33F」、「A32」、「A34」を用い、粒径12nmのシリカ粒子としては、日本アエロジル社製の「アエロジル200」を用いた。
微粒子は、表1に体積比率で示した樹脂固形分に対するそれらの添加量を、各樹脂及び各微粒子の比重から質量比率に換算して添加した。酸化チタンの微粒子は、これ自身が着色顔料であるため、酸化チタン微粒子を着色塗膜層に含有する微粒子として添加した塗料には、他に着色顔料を添加しなかった。一方、微粒子としてアルミナやシリカを添加した塗料には、着色顔料として、東海カーボン社製のカーボンブラック「トーカブラック#7300」を全樹脂固形分と微粒子の合計100質量部に対して3質量部添加した。
また、各塗料の金属板への塗装時に、必要に応じて各塗料を混合溶剤で希釈して粘度を調整し、さらに、着色塗料については、必要に応じてBYK社製の界面活性剤BYK−333を添加して表面張力を調整した。塗料の粘度は、JIS Z 8803.9「円すい−板形回転粘度計による粘度測定方法」に準拠して測定した。具体的には、レオメトリクス社製の回転型粘弾性測定装置「RSF−II」を用いて測定した。塗料の表面張力は、JIS K 3362.8.4.2「輪環法」に準拠し、BYK社製の白金リング法表面張力測定装置「ダイノメータ」を用いて測定した。これらの測定を基に、目標とする粘度や表面張力となるように調整しながら、希釈用の混合溶剤(希釈シンナー)や界面活性剤を必要量添加した。希釈シンナーとしては、シクロヘキサノンとソルベッソ150を質量比で1:1の割合で混合したものを用いた。
以上のようにして作製した着色塗料の詳細を表1に示す。
Figure 0004818485
5.意匠性塗料
東洋紡社製のポリエステル樹脂である「バイロン(登録商標)300」(ガラス転移点7℃、数平均分子量23,000、水酸基価5KOHmg/g)を混合溶剤に溶解した。この溶液に三井サイテック社製のメラミン樹脂「サイメル(登録商標)303」を、樹脂固形分の質量比で、ポリエステル樹脂固形分100質量部に対して10質量部となるように添加した。さらに、このポリエステル樹脂とメラミン樹脂の混合溶液に、三井サイテック社製の酸性触媒「キャタリスト(商標)600」を0.5質量%添加して高分子クリヤー塗料を作製した。
この高分子クリヤー塗料に、光輝顔料であるマイカ、アルミフレーク、ガラスフレーク(銀コート品)をそれぞれ樹脂固形分100質量部に対して5質量部添加した。マイカとしては、日本光研工業社販売の「パールグレイズ」を用い、アルミフレークとしては、東洋アルミニム社製のノンフィーリングアルミペースト#7100を用い、ガラスフレークとしては、日本板硝子社製の「メタシャイン」を用いた。以降の記載では、マイカを添加した意匠性塗料を「マイカ塗料」、アルミフレークを添加した意匠性塗料を「アルミフレーク塗料」、ガラスフレークを添加した意匠性塗料を「ガラスフレーク塗料」と称することとする。
意匠性塗料については、レオメトリクス社製の回転型粘弾性測定装置「RSF−II」を用いて塗料粘度を測定しながら、必要に応じて希釈シンナーで希釈し、粘度が450mPaとなるように調整した。希釈シンナーとしては、シクロヘキサノンとソルベッソ150を質量比で1:1の割合で混合したものを用いた。
6.裏面塗料
金属板の裏面、すなわち、着色塗料や意匠性塗料等を塗装する面の裏側の面に塗装する裏面塗料として、日本ファインコーティングス社製の裏面塗料のオルガ100のベージュ色を準備した。
7.プレコート鋼板の作製
上記1で準備した金属板をFC−4336(日本パ−カライジング製)を2質量%濃度含む60℃の温度の水溶液中に10秒間浸漬することで脱脂を行い、水洗後、乾燥した。次いで、上記2で調製した化成処理液を脱脂後の金属板の両面にロールコーターにて塗布し、熱風乾燥炉で乾燥して化成処理皮膜層を得た。化成処理液は、乾燥後の塗膜全体の付着量が100mg/mとなるように塗装した。化成処理乾燥時の到達板温は60℃とした。次に、化成処理を施した金属板表面に、上記3で作製したプライマー塗料をロールコーターにて乾燥膜厚5μmとなるように塗装し、さらに、他方の面には、上記6で準備した裏面塗料をロールコーターにて乾燥膜厚5μmとなるように塗装し、熱風を吹き込んだ誘導加熱炉にて金属板の到達板温が210℃となる条件で乾燥焼付けすることで、プライマー塗膜層を形成した。乾燥焼付け後に、塗装された金属板へ水をスプレーにて拭きかけ、水冷した。
次に、プライマー塗膜層上に、上記4で作製した着色塗料と、上記5で作製した意匠性塗料とをスライドポッパー型カーテンコータにて2層同時に塗装し、積層された塗料を熱風を吹き込んだ誘導加熱炉にて金属板の到達板温が230℃となる条件で同時に乾燥焼付し、プライマー塗膜層上に着色塗膜層および意匠性塗膜層を形成した。乾燥焼付け後に、塗装された金属板へ水をスプレーにて拭きかけ水冷することで、供試材であるプレコート金属板を得た(以下、本方法を「3コート2ベーク」または「3C2B」と称する)。
また、必要に応じて、意匠性塗膜層上にクリヤー塗膜層(最表層の塗膜層)を形成するものについては、プライマー塗膜層上に、着色塗料と意匠性塗料とクリヤー塗料をスライドポッパー型カーテンコータにて3層同時に塗層し、積層された塗料を熱風を吹き込んだ誘導加熱炉にて金属板の到達板温が230℃となる条件で同時に乾燥焼付し、プライマー塗膜層上に着色塗膜層、意匠性塗膜層およびクリヤー塗膜層を形成した。乾燥焼付け後に、塗装された金属板へ水をスプレーにて拭きかけ水冷することで、供試材であるプレコート金属板を得た(以下、本方法を「4コート2ベーク」または「4C2B」と称する)。
また、必要に応じて、プライマー塗膜層が無い共試材も作製した。すなわち、化成処理後の金属板の表面に、直接、着色塗膜層および意匠性塗膜層のみのプレコート金属板を、上記4で作製した着色塗料と、上記5で作製した意匠性塗料とをスライドポッパー型カーテンコータにて2層同時に塗装し、積層された塗料を熱風を吹き込んだ誘導加熱炉にて金属板の到達板温が230℃となる条件で同時に乾燥焼付し、水冷することで、共試材であるプレコート金属板を得た(以下、本方法を「2コート1ベーク」または「2C1B」と称する)。
また、比較例として、プライマー塗膜層上に着色塗料をロールコーターにて塗装し、熱風を吹き込んだ誘導加熱炉にて金属板の到達板温が230℃となる条件で同時に乾燥焼付し、水冷して着色塗膜層を形成した後に、乾燥硬化後の着色塗膜層上に意匠性塗料をロールコーターにて塗装し、熱風を吹き込んだ誘導加熱炉にて鋼板の到達板温が230℃となる条件で同時に乾燥焼付し、プライマー塗膜層上に着色塗膜層および意匠性塗膜層を形成した。乾燥焼付け後に、塗装された金属板へ水をスプレーにて拭きかけ水冷することで、供試材であるプレコート鋼板を得た(以下、本方法を「3コート3ベーク」または「3C3B」と称する)。
本実施例におけるプレコート金属板の共試材を製造するラインは、加熱炉(オーブン)を2つのみ有する、所謂2ベークラインであったため、3C3Bのサンプルを作製する際は、製造ラインを2回通板させて供試材を作製した。
以上のようにして作製したプレコート金属板の詳細を表2に示す。なお、表2における着色塗料の低シェア粘度は、回転数5rpmで測定したものであり、塗装時のΔγとは、着色塗料と意匠性塗料との表面張力差を意味している。
Figure 0004818485
以上のようにして作製したプレコート金属板について、以下の評価試験を実施した。いずれの試験についても、着色塗膜及び意匠性塗膜を塗装した面を評価面として試験を実施した。
1.着色塗膜層と意匠性塗膜層との境界面の中心線平均粗さRaの測定
着色塗膜層と意匠性塗膜層との境界面の中心線平均粗さRaは、JIS B 6061に準拠して、次のように測定した。
プレコート金属板を塗膜断面が観察できるように垂直に切断し、切断したプレコート金属板を樹脂に埋め込んだ後に断面部を研磨して、1000倍の光学顕微鏡による塗膜の断面写真を撮影した。次に、透明の樹脂シート(市販のOHPシートを使用)を写真上にかぶせて、塗膜界面の凹凸を正確にトレースした。次に、図1に示すように、境界面曲線の平均線の方向に基準長さlだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線の方向にX軸を、縦倍率方向にY軸を取り、界面曲線をy=f(x)で表したときに、以下の式(I)によって求められる値をRaとして算出した。5回の測定の平均値を、プレコート金属板の着色塗膜層と意匠性塗膜層との境界面の中心線平均粗さRaとして採用した。
境界面のRaが1.0μm以上のサンプルを○、0.8μm以上1.0μm未満のものを△、0.8μm未満のものを×と評価した。
Figure 0004818485
2.着色塗膜層の空隙体積率の測定
作製した各プレコート金属板について、垂直断面方向から光学顕微鏡により観察して、実膜厚を測定し、これより単位面積当たりの付着体積量を算出した。
次に、各金属板の着色塗膜を塗装したときの塗装条件で、溶融亜鉛めっき鋼板上に着色塗膜のみを単層で塗装したプレコート金属板をそれぞれ作製した。次いで、一定の面積に切断して試料を切り出し、この質量を秤量した後に塗膜離剤で塗膜のみを剥離し、剥離後の質量を秤量した。さらに、塗膜剥離前後の質量差を試料の面積で割ったものを単位面積当たりの付着質量とし、これより各塗膜の乾燥塗膜比重(計算値)を用いて単位面積当たりの付着体積量を算出し、これを単位面積当たりの塗膜成分体積量とした。そして、以下の式(II)を用いて着色塗膜層中の空隙体積率を算出した。
[空隙体積率]=([単位面積当たりの付着体積量]−[単位面積当たりの塗膜成分体積量])×100/[単位面積当たりの付着体積量] (II)
各プレコート金属板の5箇所で得た値の平均を、プレコート金属板の着色塗膜層の空隙体積率として採用した。
以上のようにして測定した空隙体積率が25%以上35%未満のサンプルを○、3%以上25%未満のものを△(−)、35%以上40%未満のものを△(+)、3%未満のものを×(−)、40%超のものを×(+)と評価した。
3.着色塗膜層断面の空隙面積率の測定
作製した各プレコート金属板を垂直断面方向に切断し、その塗膜層の表面に垂直な断面を平滑にして、10000倍の走査型顕微鏡で写真を撮影した。そして、切断した断面における空隙面積率を画像解析により測定した。各プレコート金属板の5箇所で得た値の平均を、プレコート金属板の着色塗膜層断面の空隙面積率として採用した。
以上のようにして測定した空隙面積率が20%以上35%未満のサンプルを○、1%以上20%未満のものを△(−)、35%以上40%未満のものを△(+)、1%未満のものを×(−)、40%超のものを×(+)と評価した。
4.加工性試験
JIS K 5600.5.2に準拠したカッピング試験装置(一般に、エリクセン試験装置とも呼ばれる)を用いて、作製したプレコート金属板の評価面が凸側となるように加工し、さらにJIS K 5600.5.6「付着性」の7.2.6に記載のテープを用いた塗膜の除去方法(一般に、テープ剥離試験と呼ばれる)に準拠して加工した凸部の塗膜上にテープを付着させた後にテープを引き離し、凸部の塗膜の剥離状況を10倍ルーペにて観察した。
塗膜の剥離が全く観察されないサンプルを○、凸部が部分的に剥離しているものを△、凸部で全面的に剥離しているものを×と評価した。
5.耐食性試験
作製した各プレコート金属板の評価面の塗膜に、カッターナイフにて金属板素地に達するスクラッチを入れたサンプルを作製し、これをJIS K 5600.7.1に記載の耐中性塩水噴霧性について調査した。塩水の噴霧の暴露時間は240時間とした。
試験後のサンプルのスクラッチ部からの塗膜の腐食のクリープ幅を測定し、最大のクリープ幅が3mm以内のサンプルを○、3mm超10mm以下のものを△、10mm超のものを×と評価した。
6.光沢測定
作製したプレコート金属板の評価面の鏡面光沢度をJIS K 5600.4.7に準拠した試験装置にて測定した。入射光の軸が試料面の法線に対して60°となるようにした。各プレコート金属板の5箇所で得た値の平均を、プレコート金属板の鏡面光沢度として採用した。
このようにして測定した鏡面光沢度が80%以上のサンプルを○、50%以上80%未満のものを△、50%未満のものを×と評価した。
7.意匠感の調査
塗膜の意匠感は、官能的な指標であるため、無作為に選んだ5名の人による官能評価を行った。以下の項目について各評価者に点数付けを行ってもらい、(a)〜(c)を合計した1人あたりの平均点数が2.5点以上のサンプルを○、1.5点以上2.5点未満のものを△、1.5点未満のものを×と評価した。なお、評価者に評価を依頼するときは、見本の白色塗装サンプルと黒色塗装サンプルを準備して、これらの見本サンプルと比較しながら官能評価をしてもらった。
(a)光輝感
非常に光輝感が感じられた場合:3点
少し光輝感があると感じた場合:2点
全く光輝感が感じられないと感じた場合:1点
(b)立体感
非常に立体感が感じられた場合:3点
少し立体感が感じられた場合:2点
全く立体感が感じられない場合:1点
(c)深み感
非常に深み感が感じられた場合:3点
少し深み感が感じられた場合:2点
全く深み感が感じられない場合:1点
意匠感を評価する際の比較に用いた白色塗装サンプル板および黒色塗装サンプル板については、以下のようにして作製した。
(意匠感を評価する際の比較に用いた白色塗装サンプル板)
本実施例の着色塗料に用いた高分子樹脂を用いて作製したクリヤー塗料と酸化チタンを用いて、クリヤー塗料の樹脂固形分100質量部に対して酸化チタンを100質量部添加した塗料を本実施例で用いた溶融亜鉛めっき鋼板に1層のみをワイヤーバーにて乾燥膜厚20μmで塗装して、熱風乾燥炉にて到達板温230℃の条件で焼き付けることにより、白色塗装サンプル板を作製した。
(意匠感を評価する際の比較に用いた黒色塗装サンプル板)
本実施例の着色塗料に用いた高分子樹脂を用いて作製したクリヤー塗料とカーボンブラックを用いて、クリヤー塗料の樹脂固形分100質量部に対してカーボンブラックを5質量部添加した塗料を本実施例で用いた溶融亜鉛めっき鋼板に1層のみをワイヤーバーにて乾燥膜厚20μmで塗装して、熱風乾燥炉にて到達板温230℃の条件で焼き付けることにより、黒色塗装サンプル板を作製した。
以上のようにして行った評価試験の結果を表3に示しながら、評価結果について詳細を説明する。
Figure 0004818485
表3に示すように、本発明のプレコート金属板の要件を満たす着色塗膜層と意匠性塗膜層との境界面のRaが0.8μm以上の例(実施例1〜27)は、意匠感に優れるため好適である。一方、境界面のRaが0.8μm未満の例(比較例28、30、31、33、34、35)は意匠感に劣るため不適である。また、境界面のRaが1.0μm以上の例(実施例2〜4、8、10〜13など)は、特に意匠感に優れるため、より好適である。
着色塗膜層の空隙体積率が3〜40%の例、または、断面の空隙面積率が1〜40%のもの(実施例1〜27)は、これを外れるもの(比較例28、30〜32、35)より意匠性に優れるため、より好適である。さらに、空隙体積率が25%以上35%未満のもの、もしくは、空隙面積率が25%以上35%未満のものは、さらに意匠性が向上するため、より好適である。
プレコート金属板の着色塗膜層中に含まれる樹脂と微粒子との配合量が、着色塗膜層中の固形分体積比率で(微粒子体積)/(バインダー樹脂体積)=30/70〜95/5であるもの(実施例1〜27)は、境界面Raが0.8μm以上となり意匠性に優れるため、より好適である。(微粒子体積)/(バインダー樹脂体積)が30/70未満のもの(比較例28)は、境界面のRaが0.8μm未満となり意匠性も乏しいため、好ましくない。(微粒子体積)/(バインダー樹脂体積)が95/5超のもの(比較例29)は皮膜がやや脆くなり、加工性に劣る傾向にあった。
着色塗膜層に含まれる微粒子の粒径は100〜2000nmであることが好ましい。100nm未満の例(比較例30)や1000nm超の例(比較例31)は、着色塗膜層との意匠性塗膜層との境界面Raが0.8μm未満となっている。
着色塗膜層上にさらにクリヤー塗装を施したもの(実施例12)は光沢に特に優れるため、より好適である。プレコート金属板は、着色塗膜層の下にプライマー塗膜層を有しているほうが好ましく、プライマー塗膜層を有していない例(実施例27)は加工性に劣る傾向にあった。また、プライマー塗膜層に防錆顔料を含む例(実施例17〜26)は、防錆顔料を含まない例(実施例1〜16)よりも耐食性に優れていたため、耐食性を向上させるためには、プライマー塗膜層に防錆顔料を添加した方が好適であることがわかる。一方、白色顔料である酸化チタンを含むプライマー塗膜層と、微粒子を酸化チタンにした着色塗膜層とを組み合わせた例(実施例1〜4、7〜11)は、表3には記載していないが、白色度が高く、優れた意匠性の観点から、特に好適であった。
プレコート金属を作製する際には、着色塗料と意匠性塗料とを未乾燥状態で積層塗布し、未乾燥状態の積層膜を形成した後に、同時に乾燥硬化させる方式を採用することが好ましい。塗装と乾燥硬化を繰り返して製造したものは、比較例36のように、着色塗膜層と意匠性塗膜層との境界面のRaが0.8μm未満となり、好ましくない。
以上、添付図面および実施例を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更または修正に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。

Claims (11)

  1. 金属板表面の一部または全部に、着色顔料を含む第1の塗膜層と、当該第1の塗膜層の表層側に積層された光輝顔料を含む第2の塗膜層と、を含む少なくとも2層以上の被覆層を有し、前記第1の塗膜層は、平均粒径が100nm以上2000nm以下の微粒子を含み、
    前記第1の塗膜層中における前記微粒子と前記バインダ樹脂との固形分体積比率は、前記微粒子の体積をV1、前記バインダ樹脂の体積をV2とすると、V1/V2=30/70〜95/5であって、
    前記第1の塗膜層と前記第2の塗膜層との境界面の中心線平均粗さRaが0.8μm以上であることを特徴とする、プレコート金属板。
  2. 前記第1の塗膜層中には、空隙が存在することを特徴とする、請求項に記載のプレコート金属板。
  3. 前記空隙の含有率は、前記第1の塗膜層中の固形分の全体積と前記空隙の体積の合計量に対して、3体積%以上40体積%以下であることを特徴とする、請求項に記載のプレコート金属板。
  4. 前記第1の塗膜層の表面に垂直な断面を平滑にして、10000倍の走査型顕微鏡で写真撮影した場合に、前記断面全体の面積に対する前記空隙が存在する部分の占める面積率が、1%以上40%以下であることを特徴とする、請求項に記載のプレコート金属板。
  5. 前記微粒子は、着色顔料であることを特徴とする、請求項のいずれか1項に記載のプレコート金属板。
  6. 前記第1の塗膜層に含まれる前記着色顔料は、白色顔料であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載のプレコート金属板。
  7. 前記白色顔料は、酸化チタンであることを特徴とする、請求項に記載のプレコート金属板。
  8. 前記被覆層は、前記第2の塗膜層の表層側に配置された第3の塗膜層をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載のプレコート金属板。
  9. 前記被覆層は、前記第1の塗膜層と前記金属板との間に配置された第4の塗膜層をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載のプレコート金属板。
  10. 前記金属板には、化成処理が施されていることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載のプレコート金属板。
  11. 着色顔料を含む第1の塗料と光輝顔料を含む第2の塗料とを、多層同時塗布またはウェットオンウェット方式により、前記第2の塗料が前記第1の塗料よりも表層側となるように、金属板表面の一部または全部に塗布し、前記金属板表面に塗布された未乾燥状態の前記第1の塗料および前記第2の塗料を同時に乾燥硬化させることにより、前記着色顔料を含む第1の塗膜層と、前記光輝顔料を含む第2の塗膜層と、を前記第1の塗膜層と前記第2の塗膜層との境界面の中心線平均粗さRaが0.8μm以上となるように形成し、前記第1の塗膜層中の微粒子の平均粒径が100nm以上2000nm以下であって、前記第1の塗膜層中における前記微粒子と前記バインダ樹脂との固形分体積比率は、前記微粒子の体積をV1、前記バインダ樹脂の体積をV2とすると、V1/V2=30/70〜95/5であることを特徴とする、プレコート金属板の製造方法。
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