JP4897109B2 - 塗装金属材とその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高い反射率を有する塗装金属材とその製造方法に関する。
可視光線を利用する種々のデバイス(例えば、照明器具、AV機器、電子機器、モバイル機器、液晶テレビ、プラズマディスプレイ等)は、可視光線を発することで、周囲を明るくする、光信号を伝える、もしくは光画像を映し出す等の機能を有している。これらの機器では、光源の周囲や背後に反射板を設け、この反射板に光を反射させることで光の輝度を向上させることや、光の方向を変えること等を行っているものもある。この場合、反射板に光が反射したときに光量低下を避けるために、反射板表面には高い可視光線反射率が要求される。そのため、従来から、反射板表面の反射率を高める手段として、金属を研磨して鏡面にすることや、反射率の高い白色系の塗料を塗装すること等が行われていた。
このような反射率を高める手段として、例えば、特許文献1では、基材フィルムの片表面に金属薄膜層、無機微粒子を含有する樹脂層を順次積層し、当該金属薄皮膜層がアルミニウムからなり、無機微粒子を含有する樹脂層を構成する無機微粒子の屈折率nと同層を構成する樹脂の屈折率nとがn−n≧0.4となるようにした光反射フィルムの技術が開示されている。
また、例えば、特許文献2では、液晶ディスプレイのバックパネル用として、アルミニウム板上に、樹脂100質量部に対して酸化チタン顔料150〜300質量部を含有する膜厚50〜100μmの下塗り層と、該下塗り層上に、樹脂100質量部に対して酸化チタン顔料を100〜250質量部を含有し、光沢が15以下で、かつ膜厚10〜30μmの上塗り層を形成させた液晶ディスプレイのバックパネル用の高拡散反射塗装金属板の技術が開示されている。
また、例えば、特許文献3では、バインダー100体積部に対して、150体積部以上1500体積部未満の白色顔料を含有する高濃度顔料層、もしくはバインダーと白色顔料を含み、さらにその被覆層の空隙率が5体積%以上35体積%未満である低密度層を少なくとも一層有した高い拡散反射率を有する被覆材料の技術が開示されている。
さらに、例えば、特許文献4およびでは、バインダーとルチル型酸化チタンとルチル型酸化チタンより低屈折率の粒子とからなり、ルチル型酸化チタンの濃度が、35体積%以上70体積%以下である可視光反射層を有した高い拡散反射率を有する被覆材料の技術が開示されている。
特開平10−730号公報 特開2002−172735号公報 特開2006−192660号公報 特開2008−145942号公報
ところで、照明器具や液晶ディスプレイ等の電気製品に用いる反射板については、近年、電気製品の構造やデザインが複雑化したこと等に伴い、反射板を様々な形状に成形加工して使用するニーズが高まってきている。更には、より強く均一に光を反射する反射板が要求される傾向が強まってきている。
このような現状においては、上記特許文献1に記載された技術のように、基材としてフィルムを用いた場合には、金属薄皮膜層や無機微粒子を含有する樹脂層を積層させた後のフィルムを目的の形状に成形することは困難であり、予めフィルムを目的の形状に成形した後に金属薄皮膜層や無機微粒子を含有する樹脂層を積層させる必要がある。この際、反射板の成形形状が複雑な場合には、加工部分で皮膜を均一な膜厚に積層させることが困難となるという不都合があった。
また、上記特許文献2に記載された技術では、下塗り層と上塗り層をアルミニウム板上に予め塗布させた後に成形加工することはできるが、一般的なプレコート塗装ラインでの塗装では、1回で当該膜厚の下塗り層(50〜100μm)を塗装することは非常に困難であり、2回以上の重ね塗りが必要となるため、生産性が低い等の欠点があった。
さらに、上記特許文献3および4に記載された技術では、被覆層が薄くても高い拡散反射率が得られ、一般的なプレコート塗装ラインでの1回の塗装でも高い拡散反射率を有したプレコート金属板を作製できるが、被覆層中のバインダーが少なすぎるため、加工性および密着性が悪いという欠点があった。
このような状況に対し、上記高濃度顔料層、低密度層、可視光反射層の上下層に低顔料濃度層を形成することによって加工性および密着性を向上する技術について検討されている。また、バインダー樹脂として、分子量の大きなポリエステル樹脂を用いることにより、加工性および密着性を向上する技術についても検討されている。
しかしながら、上述のいずれの技術によっても、電気製品の構造やデザインの複雑化に伴う様々な形状への成形加工に対応するには、加工性や密着性が未だ不充分であった。また、これらの技術により作製された塗装金属材の全光線反射率も、電気製品の反射板に要求されるものに対して必ずしも充分なものとはいえない状況であった。
上述したように、電気製品の構造上やデザイン上の理由で、反射板を複雑に成形加工して使用しなければならない場合がある。この場合、塗装金属材に高い成形性、全光線反射率、生産性等が要求されるが、上記特許文献1〜4等に記載された塗装金属材では、成形性(加工性や密着性)や全光線反射率等の性能が満足できるものではなかった。
本発明は、上記現状に鑑みなされたものであり、従来よりも更に高い全光線反射率を有し、かつ、成形性に優れる塗装金属材とその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、金属材表面の一部または全部に、ルチル型酸化チタンを高濃度で含有する第1の塗膜層と、その上層の第2の塗膜層とを含む2層以上の被覆層を被覆し、第1の塗膜層と第2の塗膜層との境界面の粗さを大きくすることにより、高い全光線反射率と優れた成形性を両立できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、金属材表面の一部または全部に、ルチル型酸化チタンを固形分体積濃度で35%〜70%含有する第1の塗膜層と、前記第1の塗膜層の表層側に積層された第2の塗膜層と、を含む少なくとも2層の被覆層を有し、前記第1の塗膜層と前記第2の塗膜層との境界面の中心線平均粗さRaが0.8μm以上であっって、更に前記第1の塗膜層と前記第2の塗膜層との境界部分に、ルチル型酸化チタンの濃度が傾斜構造となり、かつ、前記ルチル型酸化チタンの濃度が前記第1の塗膜層(高顔料濃度層)のTi量をx、前記第2の塗膜層(上塗り層)のTi量をyとしたときに、[x0.05×(x−y)]〜[y0.05×(x−y)]の範囲である混合層が存在しており、前記混合層は、3μm以上12μm以下の厚みを有する塗装金属材が提供される。
ここで、前記第1の塗膜層と前記第2の塗膜層との境界部分には、前記第1の塗膜層中の成分と前記第2の塗膜層中の成分とが混在した混合層が存在しており、前記混合層は、3μm〜12μmの厚みを有することが好ましい。
前記被覆層の最表面のろ波中心線うねりWCAが2μm以下であることが好ましい。
前記被覆層のうちの最表層の塗膜層は、シリコーン樹脂またはふっ素樹脂を含有していてもよい。
前記被覆層のうちの最表層の塗膜層は、塗膜を形成する樹脂骨格中に−Si−O−Si−結合を有していてもよい。
また、前記ルチル型酸化チタンの平均粒径は、200nm以上400nm以下であることが好ましい。
前記第1の塗膜層は、前記ルチル型酸化チタンよりも粒径が大きく、かつ、前記ルチル型酸化チタンよりも低い屈折率を有する粒子を更に含有してもよい。
前記第1の塗膜層中には空隙が存在し、前記空隙の含有率は、前記第1の塗膜層中の固形分体積量の0.05倍以上0.9倍以下であることが好ましい。
前記第1の塗膜層の膜厚は、10μm以上80μm以下であることが好ましい。
前記第2の塗膜層の膜厚は、5μm以上30μm以下であることが好ましい。
前記被複層は、前記金属材と前記第1の塗膜層との間に積層された第3の塗膜層を更に含んでいてもよい。
前記第3の塗膜層の膜厚は、5μm以上30μm以下であることが好ましい。
また、本発明によれば、上述した塗装金属材の製造方法であって、前記第1の塗膜層の形成用の塗料と、前記第2の塗膜層の形成用の塗料とを、多層同時塗布またはウェットオンウェット方式により、金属材表面の一部または全部に塗布する、塗装金属材の製造方法が提供される。
本発明によれば、更に、上述した塗装金属材を照明反射板に使用した照明器具が提供される。
本発明によれば、更に、上述した塗装金属材を発光部品の反射板、または、画像表示部の反射板に使用した電子機器が提供される。
本発明によれば、従来よりも更に高い全光線反射率を有し、かつ、成形性に優れる塗装金属材とその製造方法を提供することができる。
本実施例で使用した輝度測定装置の一例を示す断面模式図である。 図1の輝度測定装置を上部から見た模式図である。 塗膜境界面の凹凸の状態の一例を示す図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<塗装金属材の構成>
まず、本発明の一実施形態に係る塗装金属材の構成について説明する。
本実施形態に係る塗装金属材は、基材となる金属材の表面の一部または全部に、少なくとも2層の被覆層を有している。この被覆層は、具体的には、ルチル型酸化チタンを高濃度で含有する第1の塗膜層(以下、「高濃度顔料層」と称する。)と、第1の塗膜層の表層側に積層された第2の塗膜層(以下、「上塗り層」と称する。)と、を少なくとも含む積層構造を有している。また、本実施形態に係る塗装金属材は、被覆層として、高濃度顔料層の内層側、すなわち、金属材と高濃度顔料層との間に、第3の塗膜層(以下、「下塗り層」と称する。)を更に有していてもよく、更に他の塗膜層(例えば、上塗り層の更に表層側に積層された塗膜層)を有していてもよい。以下、高濃度顔料層、上塗り層、下塗り層の順に、各塗膜層の構成について詳細に説明する。
[高濃度顔料層](概要)
本実施形態に係る高濃度顔料層は、白色顔料として、ルチル型酸化チタンを固形分体積濃度で35%以上70%以下含有する層であり、上塗り層よりも内層側、すなわち、基材である金属材により近い側に位置する。ただし、被覆層が、下塗り層、高濃度顔料層および上塗り層からなる3層構造である場合には、高濃度顔料層は、下塗り層と上塗り層とに接して挟まれた部分に位置する層とする。また、被覆層が、下塗り層、高濃度顔料層および上塗り層の3層に加えて、他の1以上の層を含む4層以上の複層構造を有する場合には、上塗り層と下塗り層との間に位置し、かつ、ルチル型酸化チタンを固形分体積濃度で35%以上70%以下含有する全ての層を高濃度顔料層とする。更に、被覆層においてルチル型酸化チタンの濃度が連続的に変化し、各層の境界が不明確な場合には、ルチル型酸化チタンの固形分体積濃度が35%以上70%以下の条件を満たす範囲全てを高濃度顔料層とする。
なお、ここでいう「ルチル型酸化チタンの固形分体積濃度」とは、高濃度顔料層における塗膜中の樹脂(バインダ)成分と顔料成分を含む固形分全体が占める体積に対するルチル型酸化チタンが占める体積の割合をいい、塗膜中の空隙が占める体積を除いたものである(この「ルチル型酸化チタンの固形分体積濃度」の測定方法については、後述する)。
本実施形態に係る高濃度顔料層では、乾燥・硬化後の塗膜中に、ルチル型酸化チタンの粒子が最密充填以上となるように存在するように、ルチル型酸化チタンを高濃度で含有させることにより、ルチル型酸化チタン粒子間に形成された空隙の体積がバインダ樹脂の体積よりも大きくなる。そのため、本実施形態に係る高濃度顔料層では、顔料が最密充填未満となる濃度で含まれているような塗膜とは異なり、バインダ樹脂が存在しない部分を空隙として塗膜中に存在させることができる。ここで、一般に、空気の屈折率はバインダと使用される樹脂の屈折率よりも低いため、ルチル型酸化チタンと空隙との屈折率差は、ルチル型チタンと樹脂との屈折率差よりも大きい。また、本実施形態に係る高濃度顔料層では、バインダ樹脂と空隙との界面でも高濃度顔料層が受けた光を反射させることができる。このように、本実施形態に係る高濃度顔料層では、光を反射させる界面における屈折率差が、顔料が最密充填未満となる濃度で含まれているような塗膜よりも大きく、かつ、光を反射させることができる界面の面積が大きくなるため、高い全光線反射率を得ることができる。
以下、高濃度顔料層に含有される各成分について詳細に説明する。
(ルチル型酸化チタン)
本実施形態では、高濃度顔料層に含有させる顔料として、ルチル型酸化チタンを使用している。これは、ルチル型酸化チタンの屈折率が、一般的に使用される他の白色顔料よりも高く、バインダとして使用する樹脂や塗膜中の空隙に存在する空気との屈折率差を大きくできることから、顔料と樹脂との界面、および、顔料と空気との界面における全光線反射率をより高めることができるためである。なお、アナターゼ型酸化チタンも比較的高い屈折率を有するが、光触媒性が高く、蛍光灯等の光を受けた際に、バインダ樹脂が分解してしまう可能性があるため好ましくない。
本実施形態に係る塗装金属材は、可視光を反射することを主眼としているため、人の目の感度が高いとされている波長域の全光線反射率が高いことが重要となる。人の目は、個人差はあるものの、380nm〜780nmの波長の光を感受することができ、その感度のピークは555nm付近にある。そのため、本実施形態に係る塗装金属材も、555nmを中心とした波長の光を強く反射することが望ましいため、高濃度顔料層に用いる顔料(ルチル型酸化チタン)の粒径についてもこの点を考慮して選定することが好ましい。
顔料として用いるルチル型酸化チタンの平均粒径は、小さい方が単位体積当たりの表面積が広くなり、光反射面である樹脂または空隙と顔料との界面の面積が広くなるため、全光線反射率も高くなるが、顔料の平均粒径が小さくなり過ぎると、長波長の光が透過するため、全光線反射率は低下してしまう。ここで、一般に、波長と同レベルの粒径範囲に、光の散乱の大きい所謂Mie散乱領域があり、粒径が波長の1/2前後で光散乱が最高になることが知られている。このことから、本実施形態においては、顔料として用いるルチル型酸化チタンの平均粒径を、可視光波長の約半分である200nm以上400nm以下とすることが好ましく、250nm以上350nm以下とすることが更に好ましい。
なお、本実施形態におけるルチル型酸化チタンの平均粒径とは、塗膜の確認したい部分を電子顕微鏡(SEM)により10,000倍で観察し、視野中に映し出されるルチル型酸化チタン粒子のうち、粒径の小さい方から数で20%に当たる分と粒径の大きい方から数で5%に当たる分の粒子を除いた残りのルチル型酸化チタン粒子の粒径の相加平均値である
<測定条件>
観察用試料の作製方法:試料を樹脂に埋め込み、試料の垂直断面
を研磨することで試料を作製した。
観察する視野:事前に500倍〜1000倍程度の光学顕微鏡もしくは
電子顕微鏡(SEM)にて観察し、高濃度顔料層
に相当する層の任意の場所を選ぶ。
相加平均値を求めるルチル型酸化チタン粒子の選択方法:選んだ視野を電子顕微鏡(SEM)にて10000倍の倍率で観察した画像を撮影する。撮影された画像に映し出せているルチル型酸化チタン全粒子について、粒径を測定する。
個々のルチル型酸化チタン粒子の粒径の測定方法:ルチル型酸化チタン粒の粒径測定においては、各粒の最長径と最短径を測定し、1粒のルチル型酸化チタン粒径=(最長径+最短径)/2とする。
相加平均値の平均(?):上記「観察する視野」を任意に3箇所選択して、それら視野それぞれで得られた「相加平均値」を、更に算術平均する。
本実施形態で使用するルチル型酸化チタン粒子は、前述した条件を満足するものであれば特に制限無く使用することができる。また、本実施形態で使用するルチル型酸化チタン粒子は、ルチル型酸化チタンの粒子単体であっても、あるいは、ルチル型酸化チタンに、シリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化アンチモン、各種有機物等でコーティングを施したものであっても良い。ルチル型酸化チタンのコーティングに用いる有機物としては、特に限定されるものではないが、例えば、ペンタエリトリット、トリメチロールプロパンなどのポリオール系化合物、トリエターノールアミン、トリメチロールアミンの有機酸塩などのアルカノールアミン系化合物、シリコン樹脂、アルキルクロロシランなどのシリコン系化合物などが挙げられる。
本実施形態では、ルチル型酸化チタンとして、市販のものを使用しても良く、例えば、石原産業社製「タイペーク(登録商標)」シリーズ、富士チタン社製「TA」シリーズ、テイカ社製「TITANIX(登録商標)」シリーズ等を使用することができる。
また、上述したようなルチル型酸化チタンは、高濃度顔料層中における固形分体積濃度が35%以上である。ルチル型酸化チタンの固形分体積濃度が35%以上であると、上述したように、乾燥・硬化後の塗膜中に、ルチル型酸化チタンの粒子が最密充填以上となるように存在することとなるため、塗膜中にバインダ樹脂が存在しない空隙を存在させることができる。これにより、高濃度顔料層の全光線反射率を高くすることができる。塗装金属材に対してより高い反射性能を求める場合には、上述した200nm〜400nmの平均粒径を有するルチル型酸化チタンを固形分体積濃度で50%以上とする。この場合、塗膜中のルチル型酸化チタンと空隙との界面、ルチル型酸化チタンと樹脂との界面、および樹脂と空隙との界面が効率的に全光線反射率に寄与し、高い全反射率を得ることができるので好ましい。
一方、高濃度顔料層中のルチル型酸化チタンの固形分体積濃度が70%を超えると、塗膜中のルチル型酸化チタンと空隙が占める割合が多くなり過ぎるため、バインダ樹脂による塗膜の連続性の確保(膜の状態を保つこと)が困難となり、高濃度顔料層自体が脆くなる。従って、高濃度顔料層中のルチル型酸化チタンの固形分体積濃度を70%以下とする。安定した塗膜強度を確保するという観点から、ルチル型酸化チタンの固形分体積濃度のより好ましい範囲は、65%以下である。
ここで、本実施形態における被覆層中の固形分体積濃度の測定方法について説明する。例として、被覆層が上塗り層、高濃度顔料層、下塗り層からなる3層構造である場合のルチル型酸化チタンの固形分体積濃度の測定方法について述べる。
(ルチル型酸化チタンの固形分体積濃度の測定方法)
まず、試料から測定対象となる被覆層を上塗り層、高濃度顔料層、下塗り層のように各層ごとに削り取り、削り取った塗膜の面積A1および質量M1を測定する。次に、削り取った塗膜をるつぼを用いて500℃で1時間加熱し、樹脂成分を分解させる。分解せずに残った部分をルチル型酸化チタンと考えることができるので、その残部の質量M2を測定する。
一般的なルチル型酸化チタン顔料の密度は3800〜4200kg・m−3程度であるので、ルチル型酸化チタン顔料の密度を4000kg・m−3と仮定し、また、一般的なポリエステル樹脂の密度は1150〜1250kg・m−3程度であるので、ポリエステル樹脂の密度を1200kg・m−3と仮定して、ポリエステル樹脂の体積V1を、V1=(M1−M2)/1200kg・m−3、ルチル型酸化チタンの体積V2を、V2=M2/4000kg・m−3として求める。
このようにして求めたポリエステル樹脂の体積V1、ルチル型酸化チタンの体積V2から、ルチル型酸化チタンの体積濃度C1を、C1=V2/(V1+V2)×100(体積%)として求めることができる。
上記C1の測定を、1つの測定対象(例えば、高濃度顔料層)について、3回測定して、その算術平均を求める。
(他の粒子の添加)
本実施形態に係る高濃度顔料層において、上述したルチル型酸化チタンよりも粒径が大きく、かつ、低い屈折率を有する粒子(以下、「低屈折率粒子」と称する場合がある。)を、ルチル型酸化チタンと併用すると全光線反射率をより効率的に高めることができるため好適である。ルチル型酸化チタンよりも粒径の大きな粒子を更に高濃度顔料層に添加することで、高濃度顔料層中の粒子間の空隙が大きくなり、より多くの空隙を含有させることができ、これにより、全光線反射率を向上させることができる。併せて、ルチル型酸化チタンと併用した粒径の大きな粒子が低屈折率の粒子であることで、この低屈折率粒子とルチル型酸化チタン粒子とが接触した部位の接触界面でも、ルチル型酸化チタン粒子と低屈折率粒子との屈折率差により光を反射させることができ、全光線反射率の向上に寄与することができる。
上記低屈折率粒子の粒径がルチル型酸化チタンの粒径に対して過度に大きい場合には、効率的に高濃度顔料層中に空隙を含有させ、更には効率的に低屈折率粒子と酸化チタンとの接触界面で光反射を得る、という効果を発揮し難い。このような観点から、低屈折率粒子の平均粒径は、1μm以上10μm以下であることが好ましく、3μm以上8μmであることがより好ましい。
この低屈折率粒子と、ルチル型酸化チタンの相加平均径の比R、すなわち、R=(低屈折率粒子の相加平均径)/(ルチル型酸化チタンの相加平均径)は、1/40以上であることが好ましく、更には1/40〜12/40(特に3/40〜10/40)であることが好ましい。
なお、本実施形態における低屈折率粒子の平均粒径とは、ルチル型酸化チタンと同様に、塗膜の確認したい部分を電子顕微鏡により10,000倍で観察し、視野中に映し出される低屈折率粒子のうち、粒径の小さい方から数で20%に当たる分と粒径の大きい方から数で5%に当たる分の粒子を除いた残りの低屈折率粒子の粒径の相加平均値である(すなわち、低屈折率粒子の粒径の相加平均値も、上述した「ルチル型酸化チタン」の場合と同様に測定することができる)。
上記低屈折率粒子としては、ルチル型酸化チタンよりも低屈折率のものであれば、特に限定されるものではないが、ルチル型酸化チタンとの屈折率差が1以上あると好ましく、更に、可視光領域の光に対する強い吸収が無く、粉末状態で白色を呈するものが好ましい。具体的には、上記低屈折率粒子として、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛等の無機粒子を用いることができる。また、それ以外にも、上記低屈折率粒子として、樹脂粉末等を用いることもできる。樹脂粉末の種類についても特に限定されるものではないが、樹脂粉末として、例えば、アクリル樹脂粉末、ポリエステル樹脂粉末、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)粉末等を使用することができる。
上記低屈折率粒子の役割は、前述の通り、高濃度顔料層中に効率的に空隙を含有させ、更には低屈折率顔料と酸化チタンとの接触界面でも光を反射させ、高い反射率を得ることである。従って、低屈折率粒子の添加量が少量であっても、含有した分だけ効果を発揮できるため、低屈折率粒子の下限濃度については特に限定する必要が無いが、(低屈折率粒子の体積/ルチル型酸化チタンの体積)が0.05未満では低屈折率粒子を添加する全光線反射率の向上効果が少ない。そのため、低屈折率粒子の下限濃度としては、(低屈折率顔料の体積/ルチル型酸化チタンの体積)が0.05以上となる濃度であることが好ましい。
一方、低屈折率粒子の上限濃度については、(低屈折率顔料の体積/ルチル型酸化チタンの体積)が0.2以下の範囲では、低屈折率粒子の添加量の上昇に伴い光の反射率が上昇し、低屈折率粒子の添加効果が認められるが、これを超えて添加すると光の反射率以外の性能(加工性、耐食性等)が低下する傾向が認められる。従って、低屈折率粒子の上限濃度としては、(低屈折率顔料の体積/ルチル型酸化チタンの体積)が0.2以下となる濃度であることが好ましい。
また、上記低屈折粒子は、全光線反射率の向上という役割の他に、高濃度顔料層と上塗り層との境界面の粗さを制御するという役割も有しているが、詳細については後述する。
(塗膜中の空隙)
高濃度顔料層中の空隙の含有率は、固形分体積量の0.05倍以上0.9倍以下が好ましい。空隙の含有率が固形分体積量の0.05倍未満では、空隙を含有させることによる全光線反射率の向上効果が少なく、空隙の含有率が固形分体積量の0.9倍を超えると、高濃度顔料層が脆くなり(機械的強度が低下し)、加工性および密着性が劣る可能性があるためである。この「空隙の含有率」は、後述する方法で測定することができる。
高濃度顔料層中の空隙の含有率の制御は、上述したように、ルチル型酸化チタンや低屈折粒子等の顔料の含有濃度により制御することができるが、これ以外にも、例えば、高濃度顔料層を形成するための塗料の分散状態を調整することによっても制御することができる。すなわち、塗料中における顔料の分散状態が良好であるほど(均一であるほど)、顔料にバインダ樹脂が吸着して効率的に顔料粒子間の空隙を埋めるため、空隙の含有率が少なくなる。従って、より高い全光線反射率を得るためには、塗工性や塗料の安定性に問題の無い範囲で最低限の分散状態に留める(塗工性や塗料の安定性に問題がない範囲で可能な限り不均一にする)ことが好ましい。なお、塗料中における顔料の分散状態は、分散機の種類、分散時間、分散剤の種類、添加量等を調整することによって制御することができる。
高濃度顔料層中の空隙のサイズは特に限定しないが、極端に大きなサイズのものがあると、塗膜欠陥となり加工性や耐食性等の塗膜性能を低下させるおそれがあるため好ましくなく、また、空隙の単位体積当たりの表面積が小さくなるため全光線反射率の向上効果の観点からも好ましくない。一方、空隙のサイズが小さい方が、空隙の単位体積あたりの表面積が広くなり、光の反射界面の面積が広くなるため、全光線反射率も高くなるが、空隙のサイズが極端に小さくなり過ぎると、長い波長の光が透過するため全光線反射率が低下してしまうおそれがある。
従って、高濃度顔料層中の空隙のサイズは、光の反射率の向上の観点からは可視光波長の約半分である200nm〜400nmであることが好ましく、250nm〜350nmであることが更に好ましい。ただし、空隙のサイズを制御すること、特に、塗膜中の空隙のサイズを揃えることは困難であるため、上述のような塗膜欠陥等の問題や極端な反射率への影響が無ければ、空隙のサイズについては特に問題とはしない。なお、本実施形態では、空隙のサイズとして、空隙と同一の体積を有する球の直径である等体積球相当径を用いることとする。実際には、高濃度顔料層中の垂直断面の任意の箇所を走行型電子顕微鏡(SEM)にて10000倍の倍率で撮影し、この撮影画像に観察される任意の空隙を選び、この面積と同一の面性を有する円の直径を空隙と同一の体積を有する球の直径と同じであると定義して求めることができる。電子顕微鏡撮影画像に観察される空隙の内、任意の10個の空隙について径を算出し、この算術平均を空隙の径とすることができる。
ここで、本実施形態における被覆層中の空隙の体積の測定方法について説明する。
まず、試料から測定対象となる被覆層を削り取った後、当該被覆層を被覆面(金属材表面に平行な面)に対して垂直な面でカットし、その断面を**光学顕微鏡、電子顕微鏡等で観察するか、あるいは、電磁膜厚計**を用いて、被覆層の膜厚T1を求める。また、ルチル型酸化チタンの体積濃度を求める場合と同様にして、削り取った塗膜の面積A1、バインダ樹脂(例えば、ポリエステル樹脂)の体積V1、および顔料(例えば、ルチル型酸化チタン)の体積V2を求める。求めたA1、V1およびV2から、空隙がなかった場合の被覆層の膜厚T2を、T2=(V1+V2)/A1として求める。このようにして求めたV1、V2、T1およびT2から、空隙の体積V3を、V3=(V1+V2)×(T1−T2)/(T1+T2)の式より求めることができる。
上記膜厚T1の測定方法は、測定精度の点からは、光学顕微鏡もしくは電子顕微鏡(SEM)を用いた方法によることが好ましい。また、上記した空隙体積は、同一の試料(すなわち、被覆層)について5回測定して、その算術平均を求める。
(バインダ樹脂)
本実施形態に係る高濃度顔料層に使用するバインダ樹脂としては、特に限定されず、一般に使用されているバインダ樹脂、例えば、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ふっ素樹脂等を用いることができる。ただし、本実施形態に係る高濃度顔料層には、最密充填以上となる量のルチル型酸化チタン粒子を添加するため、塗膜が脆くなりやすいことから、高濃度顔料層に使用するバインダ樹脂としては、加工性や密着性に優れる樹脂を使用することが好ましい。具体的には、バインダ樹脂として、例えば、数平均分子量が19000以上28000以下であるポリエステル樹脂Aを用いることが好ましい。これは、以下のような理由による。
本実施形態に係る塗装金属材においては、高い全光線反射率を得ることを目的とするため、高濃度顔料層に白色顔料として添加するルチル型酸化チタン粒子を固形分体積濃度で35%〜70%と高濃度とする必要がある。このため、塗料に用いるバインダ樹脂の種類によっては、顔料粒子同士を結着するバインダ能力が不足する場合があるため、塗装金属材の加工性が低下するという問題があった。そこで、本発明者らは、少量のバインダ樹脂で加工性を確保するための被覆層の構成について鋭意検討した結果、顔料粒子および基材である金属材との密着性に優れるポリエステル樹脂が最適であること、また、ポリエステル樹脂の数平均分子量を19000以上28000以下とすることで、延性と強度のバランスに優れた性能を発現することから、数平均分子量が19000以上28000以下であるポリエステル樹脂Aを用いることにより、良好な加工性が得られることを見出した。ポリエステル樹脂の数平均分子量は「GPC」によって測定することができる。市販の樹脂を用いる場合は、製造メーカーの開示している数平均分子量の値を適用することができる。
ここで、一般に、分子量が19000以上の高分子量ポリエステル樹脂をバインダとして用いた塗料は、粘度が高くなりやすいため、塗装に適した粘度を確保するためには塗料中の固形分濃度を低く抑える必要がある。そのため、本発明が主に適用される厚膜塗装の用途では、沸きと呼ばれる塗装欠陥が発生しやすく、高分子量ポリエステル樹脂の適用は困難であると考えられていた。しかしながら、本実施形態では、白色顔料としてルチル型酸化チタンを多量に添加するため、バインダ樹脂の濃度が相対的に低くなり、塗料中の固形分濃度をあまり低く抑えなくても塗装に適した粘度を確保することが可能となる。従って、本実施形態に係る高濃度顔料層のバインダとして高分子量のポリエステル樹脂Aを用いても、沸きを発生させずに厚膜の塗装が可能となり、塗装性と加工性の両立が可能となる。
また、ポリエステル樹脂Aの数平均分子量が19000未満では、成形性の確保が困難となることから、上述した理由と併せて、本実施形態に係る高濃度顔料層で使用するバインダ樹脂として用いるポリエステル樹脂Aの数平均分子量の好適な範囲を19000以上とすることとした。
一方、ポリエステル樹脂Aの数平均分子量が28000を超えると、塗膜表面が柔らかくなりすぎ、耐疵つき性が劣化するおそれがあるため、本実施形態に係る高濃度顔料層で使用するバインダとして用いるポリエステル樹脂Aの数平均分子量の好適な範囲を28000以下とすることとした。
上述したようなポリエステル樹脂Aの添加量については、バインダ樹脂全体に対するポリエステル樹脂Aの濃度が20質量%以上であれば、沸きを発生させずに厚膜の塗装が可能となり、塗装性と加工性の両立が可能となるため、バインダ樹脂全体に対するポリエステル樹脂Aの濃度を20質量%以上とすることが好ましい。
また、本発明者らは、高濃度顔料層中のバインダ樹脂が、上記ポリエステル樹脂Aに加えて、更に数平均分子量が2000以上6000以下で、かつ、水酸基価が20以上であるポリエステル樹脂Bを含有し、ポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂Bとが質量比で0.25≦(ポリエステル樹脂B)/(ポリエステル樹脂A)≦4であることで、更に優れた成形性が得られることを見出した。
上述したように、数平均分子量が19000以上28000以下と高分子量であるポリエステル樹脂Aの加工性は優れるが、本実施形態の高濃度顔料層は、ルチル型酸化チタン等の顔料が高濃度で含有されていることから、顔料の間にバインダ樹脂が分散しているような構造を有していると考えられる。このような構造においては、高分子量ポリエステル樹脂Aを含有する被覆層であっても、顔料濃度の低い被覆層と比べてその加工性が低くなる傾向にあり、さらなる加工性の向上が求められる。
そこで、本発明者らは、さらなる加工性向上のために鋭意検討を行った結果、高分子量のポリエステル樹脂Aと低分子量のポリエステル樹脂Bとを組み合わせて使用することにより、高分子量のポリエステル樹脂A単独の場合よりも、優れた加工性能が得られることを見出した。すなわち、高分子量ポリエステル樹脂A単独では、高濃度で存在する顔料の間隙に樹脂が充分に入り込むことができず、バインダとしての機能が不充分となるために加工性がやや低下する可能性がある。これに対して、高分子量のポリエステル樹脂Aと低分子量のポリエステル樹脂Bとを組み合わせて使用することにより、低分子量のポリエステル樹脂Bが、高分子量のポリエステル樹脂Aが入り込むことのできない顔料と顔料との間にまで入りこみ、顔料と顔料、あるいは、顔料と高分子量のポリエステル樹脂Aとのバインダとして機能し、被覆層全体の強度および密着性が向上するために、優れた加工性が得られるものと考えられる。また、低分子量のポリエステル樹脂Bの水酸基価が高いほど、より多くの架橋点を有することとなり、より高い皮膜の密着性が得られる。
以上の観点から、低分子量のポリエステル樹脂Bは、数平均分子量が2000以上6000以下、かつ、水酸基価が20以上であることが好ましい。ポリエステル樹脂Bの数平均分子量が2000未満であると、皮膜強度が不充分で加工性が低下するおそれがあり、数平均分子量が6000を超えると、ポリエステル樹脂Bが顔料と顔料の間に入りにくくなるために密着性の向上効果が低下するおそれがある。また、ポリエステル樹脂Bの水酸基価が20未満であると、顔料と顔料との架橋点が少なくなり、密着性の向上効果が低下するおそれがある。更に、皮膜性能の観点からは、特に、ポリエステル樹脂Bの水酸基価の上限値を定める必要は無いが、樹脂の入手容易性、塗料の安定性の観点から、ポリエステル樹脂Bの水酸基価は、200以下であることが好ましい。
また、ポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂Bとの混合割合は、質量比で0.25≦(ポリエステル樹脂B)/(ポリエステル樹脂A)≦4であると優れた密着性および加工性を得ることができる。(ポリエステル樹脂B)/(ポリエステル樹脂A)の質量比が0.25未満であると、ポリエステル樹脂Bの機能発現が不充分となるために密着性が低下するおそれがあり、(ポリエステル樹脂B)/(ポリエステル樹脂A)が4より大きいとポリエステル樹脂Aの機能発現が不充分となるために加工性が低下するおそれがある。
(膜厚)
本実施形態に係る高濃度顔料層の膜厚は、高い全光線反射率を得るためには、10μm以上であることが好ましく、より高い全光線反射率を求める場合には40μm以上であることが更に好ましい。一方、高濃度顔料層の膜厚が80μmを超えると、塗膜の加工性が低下するおそれがあるため、高濃度顔料層の膜厚は100μm以下であることが好ましく、より高い加工性を求める場合には15μm以下であることが更に好ましい。ここで、本実施形態における高濃度顔料層の膜厚は、以下のようにして測定することができる。すなわち、各塗膜層の被覆面に対して垂直な面で試料をカットし、その断面を光学顕微鏡、電子顕微鏡で観察することにより、塗膜層の膜厚を求めることができる。この「膜厚」測定においては、任意の5箇所について測定した(算術)平均の膜厚とする。
なお、後述する上塗り層及び下塗り層の膜厚も、高濃度顔料層の膜厚と同様にして測定することができる。また、各塗膜層の境界部に混合層が形成された場合については後述する。
[上塗り層]
以上、本実施形態に係る高濃度顔料層について詳細に説明したが、続いて、本実施形態に係る上塗り層について説明する。
(概要)
本実施形態に係る上塗り層は、上述した高濃度顔料層の表層側、すなわち、基材である金属材からより遠い側に積層された被覆層である。ここで、被覆層が、高濃度顔料層および上塗り層からなる2層構造の場合、これに更に下塗り層を含む3層構造の場合、更には、高濃度顔料層が複数層存在する4層以上の構造の場合には、上塗り層は、最表層に位置することとなる。ただし、上塗り層は、高濃度顔料層の表層側に直接積層されていれば、必ずしも最表層に位置する必要はなく、上塗り層の更に表層側に、別途の被覆層が積層されていてもよい。
(バインダ)
上塗り層のバインダとして用いる樹脂は、特に限定されるものではないが、高濃度顔料層との密着性や、後述する混合層の形成、塗料原料の共通化等の観点から、高濃度顔料層と同一の樹脂を含んで使用することが好ましい。従って、高濃度顔料層のバインダとして、数平均分子量が19000以上28000以下のポリエステル樹脂Aを使用することが好ましいことから、上塗り層においても、バインダとしてポリエステル樹脂Aを使用することが好ましい。上塗り層のバインダとして使用するポリエステル樹脂の数平均分子量が19000未満では、加工性および密着性が低下するおそれがあり、数平均分子量が28000を超えると、塗膜表面が柔らかくなりすぎ、耐疵つき性およびブロッキング性が劣化するおそれがある。
なお、上塗り層へのポリエステル樹脂Aの添加量については、バインダ樹脂全体に対するポリエステル樹脂Aの濃度が80質量%以上であれば、加工性や密着性の向上といった効果を発揮することができるため、バインダ樹脂全体に対するポリエステル樹脂Aの濃度を80質量%以上とすることが好ましい。
(顔料)
上塗り層は、高濃度顔料層とは異なり、顔料の添加を必須としておらず、用途に応じ顔料添加の有無、添加する顔料の種類、顔料の濃度等を調整することによって、目的に応じた反射特性やその他特性が付与される。
まず、上塗り層に、顔料として、例えば、ルチル型酸化チタンを添加する場合について述べる。上塗り層にルチル型酸化チタンを添加することで全光線反射率の向上が可能であり、ルチル型酸化チタン濃度の高い方が反射性能に対して有利となる。しかし、上塗り層の主な役割は、被覆層全体を保護することであるため、あまりに脆い塗膜は好ましくない。従って、上塗り層中のルチル型酸化チタン濃度は、塗膜の柔軟性確保の観点から、固形分体積濃度で35%以下が好ましい。一方、上塗り層中のルチル型酸化チタン濃度の下限については特に限定する必要はなく、ルチル型酸化チタンを全く含まない場合を含まれる。すなわち、本実施形態に係る上塗り層中のルチル型酸化チタン濃度は、固形分体積濃度で0%以上35%以下であることが好ましい。更に、より高い全光線反射率化を求める場合には、上塗り層中のルチル型酸化チタン濃度を固形分体積濃度で20%〜30%とすることで、上塗り層による被覆層全体の保護機能と高反射性能との高次元での両立が可能となる。
なお、ここでいう「ルチル型酸化チタンの固形分体積濃度」とは、上塗り層における塗膜中の樹脂(バインダ)成分と顔料成分を含む固形分全体が占める体積に対するルチル型酸化チタンが占める体積の割合をいう。
顔料としてルチル型酸化チタンを用いた場合の当該ルチル型酸化チタンの平均粒径は、小さい方が単位体積当たりの表面積が広くなり、光反射面である樹脂または空隙と顔料との界面の面積が広くなるため、全光線反射率も高くなるが、顔料の平均粒径が小さくなり過ぎると、長波長の光が透過するため、全光線反射率は低下してしまう。従って、高濃度顔料層の場合と同様に、上塗り層中の顔料として用いるルチル型酸化チタンの平均粒径は、200nm以上400nm以下とすることが好ましく、250nm以上350nm以下とすることが更に好ましい。
(顔料以外の添加成分)
上塗り層には、ルチル型酸化チタン以外に、例えば、つや消し剤を追加で添加してもよい。上塗り層につや消し剤を固形分体積濃度で3%以上15%以下添加することで、つや消し剤を使用しない場合と同程度の全光線反射率のままで、正反射成分のほとんどない反射特性を得ることができる。このような反射特性を有する塗装金属材を、照明器具の反射板として用いた場合、光源との距離、角度に関わらず一定の反射光が得られるので、光源の数が少なかったり、光源間の間隔が広かったりする場合でも、均一な反射光を得ることができる。ただし、つや消し剤の添加によって上塗り層の表面には微細な凹凸が形成されるが、この微細な凹凸には汚れ物質がたまりやすく、また、この汚れ物質は拭き取りによっても除去されにくいため、耐汚染性が低下するおそれがある。従って、つや消し剤の添加量は、反射光の均一性と耐汚染性の低下への影響とを考慮し、適切な量を決定することが望ましい。
また、本実施形態で使用するつや消し剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、粒径が3μm〜9μmのシリカが好適である。
(膜厚)
上塗り層にルチル型酸化チタンを添加する場合には、上塗り層の膜厚が厚いほど、高い加工性、密着性および全光線反射率が得られる。ただし、上塗り層の膜厚が30μmを超えると、塗装時に沸きが発生しやすくなるために塗装性が劣化し、また、塗料コストの面でも好ましくない。一方、上塗り層の膜厚が5μm未満では、上塗り層による加工性、密着性および全光線反射率の向上効果が小さくなるため、上塗り層の膜厚を5μm以上30μm以下とすることが好ましい。安定した加工性、密着性、全光線反射率および塗装性を確保するという観点から、より好ましい上塗り層の膜厚は、10μm以上25μm以下である。
上塗り層につや消し剤を固形分体積濃度で3%以上15%以下添加する場合の上塗り層の膜厚の範囲は、上塗り層にルチル型酸化チタンを添加した場合と同様であり、5μm以上30μm以下とすることが好ましい。上塗り層の膜厚が30μmを超えると、塗装時に沸きが発生しやすくなるために塗装性が劣化し、また、塗料コストの面でも好ましくない。一方、上塗り層の膜厚が5μm未満では、上塗り層による加工性、密着性の向上効果や、正反射成分のほとんどない反射特性が殆ど得られなくなるおそれがある。安定した加工性、密着性、反射特性および塗装性を確保するという観点から、つや消し剤を添加した上塗り層のより好ましい膜厚は、10μm以上25μm以下である。
[高濃度顔料層と上塗り層との界面の粗さについて]
本実施形態に係る塗装金属材では、上述した高濃度顔料層と上塗り層との境界面の中心線平均粗さRaが0.8μm以上であることが必要である。このように、高濃度顔料層と上塗り層との境界面のRaを大きくすることにより、高濃度顔料層と上塗り層との境界面が粗くなるために、拡散反射率を高めることができる。高濃度顔料層と上塗り層との境界面のRaが0.8μm未満であると、上記の密着性の向上効果や反射率を高める効果を充分に得ることができない。0.9μm以上であると反射率がより高まるため、より好適である。2.0μm以上であるとなお良い。
中塗り層と上塗り層との境界面のRaは、各実施例の塗膜を切断して、樹脂に埋め込んだ後に研磨することで、塗膜の表面に垂直な断面を平滑にして、走査型顕微鏡(倍率1000倍)で撮影した写真で評価した。写真の上から、OHPに用いられる透明シートをかぶせて、境界面の凹凸を精密にトレースした後に、図3に示すように、境界面曲線の平均線の方向に基準長さlだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線の方向にX軸を、縦倍率方向にY軸を取り、界面曲線をy=f(x)で表したときに、数1によって求められる値を境界面のRaとした。なお、本願発明では塗膜中の任意の断面5箇所について、前述の方法で測定したRaの平均とする。
Figure 0004897109
(境界面のRaの制御方法)
高濃度顔料層と上塗り層との境界面のRaは、高濃度顔料層および上塗り層の塗布方法、高濃度顔料層中の顔料(ルチル型酸化チタン)の濃度、高濃度顔料層の顔料種(ルチル型酸化チタン、シリカ等の低屈折率粒子等)、高濃度顔料層および上塗り層形成用の塗料の低シェアでの粘度や表面張力等により、制御することができる。なお、本開発における高濃度顔料層と上塗り層との境界面とは、光学顕微鏡もしくは電子顕微鏡で塗膜の断面を撮影した時に視覚的に見える境界面(境界線)を指す。
具体的には、高濃度顔料層と上塗り層との境界面のRaを大きくするための方法としては、(1)高濃度顔料層形成用の塗料と上塗り層形成用の塗料とを未乾燥の状態で積層する、所謂ウェットオンウェット法または多層同時塗布法を用いること、(2)高濃度顔料層中の顔料(ルチル型酸化チタン等)を上塗り層中の顔料濃度よりも高くすること、(3)高濃度顔料層に粒径の大きな粒子(シリカ等)を添加すること、(4)低シェアでの高濃度顔料層形成用の塗料の粘度を下げること、(5)高濃度顔料層形成用の塗料と上塗り層形成用の塗料との表面張力差を小さくすること、等の方法がある。
まず、上記の方法(1)については、高濃度顔料層形成用の塗料と上塗り層形成用の塗料とを未乾燥の状態で積層することにより、高濃度顔料層から上塗り層へルチル型酸化チタン粒子が拡散しようとする力が境界面に働き、塗膜層の境界面のRaが大きくなる。このとき、方法(2)のように、高濃度顔料層中のルチル型酸化チタンの濃度を高濃度、特に、最密充填以上の濃度とすることにより、上層塗膜との濃度差が大きくなり、ルチル型酸化チタンが、上塗り層へ拡散ようとする力が強く働くために、境界面のRaが更に大きくなる。
また、方法(3)については、高濃度顔料層中に粒径の大きな粒子を添加し、この大粒径の粒子を高濃度顔料層と上塗り層との境界面付近に存在することにより、境界面に、大粒径の粒子による凹凸ができるため、境界面のRaが大きくなる。このとき、方法(1)のように、高濃度顔料層形成用の塗料と上塗り層形成用の塗料とを未乾燥の状態で積層することにより、大粒径の粒子が高濃度顔料層から上塗り層へ拡散するため、大粒径の粒子が高濃度顔料層と上塗り層との境界面付近に存在しやすくなる。
また、方法(4)については、低シェアでの高濃度顔料層形成用の塗料の粘度を下げることによって、高濃度顔料層中のルチル型酸化チタンが上塗り層へ拡散しやすくなるため、境界面のRaが大きくなる。すなわち、本発明者らの知見によると、乾燥・硬化後に最密充填以上となるような濃度で微粒子(この場合は、ルチル型酸化チタン)を添加した塗料は、一般に濃高分散系塗料と呼ばれる非ニュートン流体となり、回転粘度計で粘度を測定した際に、低回転では粘度が高く、高回転では粘度が低くなる、いわゆるシェアシニング特性を持つ塗料となる。濃厚分散系塗料では、塗料中の顔料粒子間の距離が短いため粒子間で分子間力が作用する。そのため、低回転では塗料にかかるせん断力が小さいため、この分子間力の影響で粘度が高くなる。一方、高回転では塗料にかかるせん断力が大きくなり、このせん断力が分子間力を上回ると粘度が低くなる。このような塗料を基材に塗装するときの塗装作業性には、高回転での粘度が大きく影響する一方で、塗装した後の乾燥・焼付け硬化工程での塗料の膜内流動には低回転での粘度が大きく影響することとなる。従って、高濃度顔料層と上塗り層との境界面のRaの制御には、低回転での塗料粘度を調整することが重要となる。
ここで、低回転での塗料粘度については、塗料中の溶剤量および塗料の保管条件(保管温度および保管期間)を変更することにより調整することができる。塗料の保管条件としては、保管温度が高いほど、また、保管期間が長いほど、チキソトロピー性が低くなるため、低シェアでの塗料粘度が向上する。これは、保管期間が長くなると顔料表面と塗料との濡れ性が高まり、より多くの樹脂が顔料表面に吸着するため、顔料間の分子間力が弱まるため、チキソトロピー性が低くなる。
更に、分散剤等の添加剤を塗料中に添加することによっても、低シェアでの塗料粘度を調整することができる。
また、方法(5)については、高濃度顔料層形成用の塗料と上塗り層形成用の塗料との表面張力差を小さくし、かつ、これらの塗料を未乾燥状態で積層し、同時に乾燥および焼付け硬化させると、境界面のRaが大きくなる。ただし、高濃度顔料層形成用の塗料と上塗り層形成用の塗料との表面張力差は、各層の樹脂種や溶剤種等の違いにより好適な値が異なるため、一概に規定することはできず、塗料ごとに事前に調査して最適値を決める必要がある。ここで、塗料の表面張力は、レベリング剤や消泡剤など、一般に界面活性剤と呼ばれる添加剤を用いることで調整することができるが、溶剤の種類を変えることにより調整してもよい。
ところで、本実施形態に係る塗装金属材では、高濃度顔料層と上塗り層との境界面の中心線平均粗さRaを0.8μm以上とする必要があるが、このための効果的な方法としては、例えば、高濃度顔料層に粒径200nm〜400nmのルチル型酸化チタンを乾燥後の塗膜の体積に対して最密充填以上となるように添加し、この高濃度顔料層形成用塗料と上塗り層形成用塗料とを未乾燥の状態で積層し、積層した状態で同時に乾燥・硬化させる方法が挙げられる。高濃度顔料層中に最密充填以上のルチル型酸化チタンを添加し、上塗り層と未乾燥状態で積層することで、各塗膜層間にルチル型酸化チタン粒子の濃度勾配が発生し、高濃度顔料層中のルチル型酸化チタン粒子が上塗り層側へ拡散しようとする働きが生じ、更に乾燥・硬化工程で熱が加わるため、この熱がドライビングフォースとなってルチル型酸化チタンが拡散しようとする働きが顕著になる。他方、乾燥・硬化工程で熱を加えると塗膜を形成する樹脂の架橋反応が起こるため、ルチル型酸化チタン粒子の層間拡散の動きを抑制する働きが生じる。そのため、高濃度顔料層と上塗り層との境界面が粗れた状態となり、Raが大きくなる。
また、上塗り層の下層塗膜層として、本実施形態に係る高濃度顔料層を設けることで、高濃度顔料層と上塗り層との境界面のRaを0.8μm以上とすることができるが、上記(4)のように、高濃度顔料層と上塗り層との境界面のRaの制御には、低シェアでの塗料粘度が大きく影響し、低シェアでの塗料粘度を低くすることで、高濃度顔料層と上塗り層との境界面のRaを更に大きくすることができる。
[混合層]
本実施形態に係る塗装金属材では、高濃度顔料層形成用塗料と上塗り層形成用塗料とをウェットオンウェット法または多層同時塗布法により塗装することで、高濃度顔料層形成用塗料中のルチル型酸化チタンが上塗り相形成用塗料へ各層の界面を超えて拡散していくため、高濃度顔料層と上塗り層との界面付近で、ルチル型酸化チタンの濃度勾配層ができる。本発明では本酸化チタンの濃度勾配層を混合層と呼ぶ。この場合、高濃度顔料層と上塗り層との境界部分に存在する混合層により、高濃度顔料層と上塗り層との間の密着性を向上させることができる。また、プレコート金属材の場合には、塗装後の加工により塗装金属材の全光線反射率が低下する場合があるが、混合層が存在することにより密着性が向上するため、加工後の全光線反射率の低下を抑制することもできる。
(混合層の定義)
ここで、本実施形態に係る「混合層」とは、高濃度顔料層のルチル型酸化チタンが上塗り塗膜層へ拡散することでルチル型酸化チタンの濃度が傾斜構造になっている層をいう。より具体的には、本実施形態では、ルチル型酸化チタンに着目すれば、高顔料濃度層のTi量をx、上塗り層のTi量をyとしたときに、[x0.05×(x−y)]〜[y0.05×(x−y)]である部分を混合層とすることとする。各Ti量は後述する、分析方法でもとめることができ、各分析器でTiを測定したときの測定強度を量とみなして計算することができる。
なお、後述する下塗り層と高濃度顔料層との間で混合層が形成される場合があるが、この場合も、混合層の定義や境界面の定義は、高濃度顔料層と上塗り層との間の混合層と同様である。
高濃度顔料層に低屈折率粒子を含む場合には、低屈折率粒子のルチル型酸化チタンに対する体積比は、低屈折率粒子が例えば無機顔料であれば、ルチル型酸化チタンの体積濃度を求めるのと同様の操作により求めることができる。ルチル型酸化チタンとの区別は、例えば、加熱残分のうち、ルチル型酸化チタンは溶解せず、低屈折率粒子のみを溶解する酸等の薬品を用い、低屈折率粒子のみを溶解し、溶解残分と加熱残分の質量差から低屈折率粒子の質量を求めることができ、この質量と低屈折率粒子の密度から、低屈折率粒子の体積を求めることができる。
一方、低屈折率粒子が例えば樹脂ビーズのように、電子線の透過性がルチル型酸化チタンと全く異なる場合には、塗膜層の断面を走査型電子顕微鏡で観察するか、塗膜層をミクロトーム等で薄く削り取り、それを透過型電子顕微鏡(倍率10000倍程度)で観察する方法等がある。具体的には、視野内に認められるルチル型酸化チタンと低屈折率粒子の数を数えることで求めることができる。ただし、数が少ないと、誤差が大きくなるため、少なくとも、ルチル型酸化チタンが100個以上存在する範囲で粒子の数を数えることが好ましい。
また、低屈折率粒子の電子線透過性がルチル型酸化チタンとあまり差が無く、走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡では低屈折率粒子とルチル型酸化チタンとの違いが分かり難いものの場合には、塗膜層の断面における元素組成を確認し、確認された組成から、ルチル型酸化チタンと、その他の低屈折率粒子の比率を求めることができる。元素組成は、EPMA(電子線マイクロアナライザ)、GDS(グロー放電発光分光分析装置)等を用いて確認することができる。
(混合層の厚み)
本実施形態では、上述した混合層が存在する場合、この混合層は、3μm以上12μm以下の厚みを有することが好ましい。混合層の厚みが3μm未満の場合には、混合層による高濃度顔料層と上塗り層との間の密着性向上効果を安定して得ることができないおそれがある。一方、混合層の厚みが12μmを超えると、必要な機能を分担している高濃度顔料層及び上塗り層の塗膜の厚みを充分に確保することが困難となる。そのため、上塗り層が最表層である場合、最表層の厚み不足による外観不良が起き易くなる等、高濃度顔料層及び上塗り層自体の性能維持が困難となり、実質的に高濃度顔料層形成用塗料と上塗り層形成用塗料とを混合した塗料により形成される塗膜層と同じ性能となってしまうため、必要とする本来の高濃度顔料層及び上塗り層の性能が得られない。なお、混合層の厚みを12μmを超えた厚みに制御するのは実質上困難である。
(混合層の厚み)
本実施形態では、上述した混合層が存在、この混合層は、3μm以上12μm以下の厚みを有する。混合層の厚みが3μm未満の場合には、混合層による高濃度顔料層と上塗り層との間の密着性向上効果を安定して得ることができないおそれがある。一方、混合層の厚みが12μmを超えると、必要な機能を分担している高濃度顔料層及び上塗り層の塗膜の厚みを充分に確保することが困難となる。そのため、上塗り層が最表層である場合、最表層の厚み不足による外観不良が起き易くなる等、高濃度顔料層及び上塗り層自体の性能維持が困難となり、実質的に高濃度顔料層形成用塗料と上塗り層形成用塗料とを混合した塗料により形成される塗膜層と同じ性能となってしまうため、必要とする本来の高濃度顔料層及び上塗り層の性能が得られない。なお、混合層の厚みを12μmを超えた厚みに制御するのは実質上困難である。
(混合層の厚みの制御方法)
混合層の厚みは、主に、塗布方法、焼付け時間によって制御することができる。塗布方法としては、ウェットオンウェット法や多層同時塗布法を採用することにより、混合層が形成しやすくなる。また、焼付け時間を長くすることにより、混合層形成のための時間を充分に長くとることができるため、混合層の厚みを厚くすることができるが、具体的には、焼付け時間を60秒〜180秒程度とすることで、混合層の厚みを3μm以上12μm以下とすることができる。
また、安定した混合層を形成するためには、混合層を形成する高濃度顔料層形成用塗料の表面張力(σ1)と、混合層を形成する上塗り層形成用塗料の表面張力(σ2)との差(Δσ=σ2−σ1)を0.5〜8mN/mとなるように制御し、かつ、混合層を形成する高濃度顔料層形成用塗料の粘度(φ1)と、混合層を形成する上塗り層形成用塗料の粘度(φ2)との差(Δφ=φ2−φ1)が−100〜4000mPa・sとなるように制御することが好ましい。このように、塗料の種類や塗装条件に合わせ、混合層を形成する高濃度顔料層および上塗り層用塗料の表面張力と粘度の関係を上記条件内の適正な値に適宜調整することによっても、安定した混合層の生成と膜厚の制御、更には最表面の形状制御が可能となる。
すなわち、Δσが8mN/m以下、あるいは、Δφが4000mPa・s以下であることで、充分な厚みの混層形成が可能となるため、層間密着性がより向上する。一方、Δσが0.5mN/m以上、あるいは、Δφが−100mPa・s以上であることで、高濃度顔料層および上塗り層の膜厚が充分なものとなり、また、最表面の形状も適正となり、より安定して性能を確保することができる。なお、本実施形態において、塗料の表面張力は、20℃における白金リング引き上げ法によって測定することができる(このような表面張力測定の詳細に関しては、JIS.K.3362.8.4.2「輪環法」に準じて行うことができる。)。また、塗料粘度は、B型粘度計を用い、20℃、**6mpm**で測定することができる(このような粘度測定の詳細に関しては、JIS.Z.8803.8「単一円筒形回転粘度計による粘度測定方法」に準にて行うことが出来る)。
なお、塗料の表面張力の調整には、界面活性剤(消泡剤やレベリング剤も含む)を利用することが好ましい。界面活性剤としては、公知のものが使用でき、市販されているものとしては、BYK社のBYK−333、BYK−307や花王社のエルマゲン等が知られているが、その他にも多数あり、塗料成分に応じて適宜添加することができる。また、塗料の表面張力の調整を、希釈や他溶媒を混合するなどの界面活性剤以外の方法で行ってもかまわない。なお、表面張力が大きすぎると、塗装性が悪化する可能性があるため、高濃度顔料層用塗料、上塗り層用塗料とも表面張力を40mN/m以下とすることが好ましい。
また、塗料の粘度の調整には、増粘剤(レオロジー調整剤、粘度調整剤含む)を利用することが好ましい。増粘剤としては、公知のものが使用でき、市販されているものとしては、BYK社のBYK−411、BYK−425などが知られているが、その他にも多数あり、塗料成分に応じて適宜添加することができる。また、塗料の粘度の調整を、希釈や他溶媒を混合する、または、固形成分の割合を増加させるなどの増粘剤以外の方法で行ってもかまわない。
また、混合層の厚みは、高濃度顔料層用塗料中の顔料濃度と上塗り層用塗料中の顔料濃度の差を調整することによっても、制御することができる。すなわち、顔料濃度の差が大きくなれば、高濃度顔料層から上塗り層への顔料の拡散速度が速くなるため、高濃度顔料層用塗料と、上塗り層用塗料とが乾燥・硬化する前に、充分な厚みの混合層を形成することができる。
[最表面のうねりについて]
本実施形態に係る塗装金属材では、被覆層の最表面のろ波中心線うねりWCAが2μm以下であることが好ましい。このように、被覆層の最表面のWCAを小さくすることにより、塗装金属材の鮮鋭性を向上させることができるとともに、細かい凹凸の無い滑らかな表面が得られるので、塗装金属材表面に汚染物質がたまりにくくなるため、耐汚染性を向上させることができる。被覆層の最表面のWCAが2μmを超えると、鮮鋭性および耐汚染性が低下するおそれがある。一方、被覆層の最表面のWCAの好適な下限値については、特に規定する必要は無いが、被覆層の最表面のWCAが0.2μm未満のものは実質的に制御が困難であるため、このような観点からは、被覆層の最表面のWCAが0.2μm以下であることが好ましい。なお、本願発明のWCAは任意の5箇所について測定した平均とする。
なお、ここでいう「被覆層の最表面」とは、被覆層のうちの最表層の塗膜層の表面のことを意味する。「最表層の塗膜層」については、上述したように、本実施形態に係る上塗り層、または、上塗り層の表層側に更に塗膜層が積層されている場合には当該塗膜層のことを意味する。
(最表面のWCAの制御方法)
被覆層の最表面のWCAは、高濃度顔料層と上塗り層との境界面のRaの影響により変化する。従って、被覆層の最表面のWCAは、主に、塗布方法、低シェアでの塗料粘度によって制御することができる。具体的には、塗布方法をウェットオンウェット法や多層同時塗布法とすることにより、高濃度顔料層から上塗り層へルチル型酸化チタンが拡散するため、高濃度顔料層と上塗り層との境界面のRaが大きくなり、被覆層の最表面のWCAも大きくなる。また、低シェアでの高濃度顔料層形成用の塗料粘度を下げることによって、高濃度顔料層中のルチル型酸化チタンが上塗り層へ拡散しやすくなるため、境界面のRaが大きくなり、被覆層の最表面のWCAも大きくなる。
上述したように、高濃度顔料層と上塗り層との境界面のRaについては大きくすることが好ましく、被覆層の最表面のWCAについては小さくすることが好ましいことから、両者のバランスを考慮して、低シェアでの高濃度顔料層形成用の塗料粘度の好適な値を決定することが好ましい。
[最表層塗膜への撥水性、撥油性の付与]
また、本実施形態に係る塗装金属材では、金属材上に形成された被覆層のうちの最表層の塗膜層が、シリコーン樹脂またはふっ素樹脂を含有していてもよい。ここで、「最表層の塗膜層」とは、上述した上塗り層が最表層に形成されている場合には当該上塗り層のことであり、上塗り層の表層側に更に塗膜層が積層されている場合には当該塗膜層のことである。本実施形態に係る塗装金属材をプレコート金属板に適用した場合には、加工時における汚れの付着等による全光線反射率の低下が懸念される。これに対して、本実施形態に係る塗装金属材の最表層の塗膜層のバインダの一部または全部として、シリコーン樹脂またはふっ素樹脂を用いることで、塗膜表面に撥油性および撥水性を付与することができる。このように、最表層の塗膜層の表面を撥油性および撥水性とすることで、塗膜表面に汚れが付き難くなり、全光線反射率の低下が抑制されるため、好ましい。
上記最表層の塗膜層に、シリコーン樹脂またはふっ素樹脂を含有させる方法としては、最表層の塗膜層にシリコーン樹脂またはふっ素樹脂を添加する方法、主樹脂としてシリコーン樹脂またはふっ素樹脂を含有したものを用いる方法がある。
最表層の塗膜層に添加するシリコーン樹脂としては、市販されているものでは、例えば、BYK社製の「BYK(登録商標)−306」、「BYK(登録商標)−378」などが知られており、最表層の塗膜層に添加するふっ素樹脂としては、市販されているものでは、例えば、BYK社製の「BYK(登録商標)−340」などが知られているが、その他にも多数あり、塗料成分に応じて適宜添加することができる。
また、シリコーン樹脂またはふっ素樹脂を含有する主樹脂としては、市販のシリコーン・アクリル共重合樹脂(例えば、東亜合成社製「サイマック(登録商標)」シリーズや「レゼダ(登録商標)」シリーズ、トクシキ社製「SQ(登録商標)100」等)や、市販のシリコーン・ふっ素共重合樹脂(例えば、富士化成工業社製「ZX−001」等)を用いることができる。
また、上記シリコーン・アクリル共重合樹脂またはシリコーン・ふっ素共重合樹脂は、必要に応じて一般に公知の架橋剤、例えば、イソシアネートやメラミン樹脂で架橋させてもよい。この場合、イソシアネートとしては、一般に市販されているもの、例えば、住化バイエル社製「スミジュール(登録商標)」シリーズ、「デスモジュール(登録商標)」シリーズ、三井武田ケミカル社製「タケネート(登録商標)」シリーズ等を使用することができる。メラミン樹脂としては、一般に市販されているもの、例えば、三井サイテック社製「サイメル(登録商標)」シリーズ、「マイコート(登録商標)」シリーズ、大日本インキ化学工業社製「ベッカミン(登録商標)」シリーズ、「スーパーベッカミン(登録商標)」シリーズ等を使用することができる。
以上のように、最表層の塗膜層にシリコーン樹脂またはふっ素樹脂を含有した塗装金属材は、照明器具の反射板の用途に加え、室内における天井や壁材等の用途への適用に好適である。そして、最表層の塗膜層にシリコーン樹脂またはふっ素樹脂を含有した塗装金属材を室内における天井や壁材等の用途へ適用した場合には、室内における天井や壁材自体も反射板の役割を担えるため、より少ない光量で室内を明るくすることができる。
[最表層塗膜への親水性の付与]
また、本実施形態に係る塗装金属材では、金属材上に形成された被覆層のうちの最表層の塗膜層が、塗膜を形成する樹脂骨格中に−Si−O−Si−結合を有していてもよい。ここで、「最表層の塗膜層」とは、上述した上塗り層が最表層に形成されている場合には当該上塗り層のことであり、上塗り層の表層側に更に塗膜層が積層されている場合には当該塗膜層のことである。また、−Si−O−Si−結合におけるSiは、アルコキシシランまたはアルコキシシランの加水分解縮合物に由来するものである。
本実施形態に係る塗装金属材をプレコート金属板に適用した場合には、加工時における汚れの付着等による全光線反射率の低下が懸念される。これに対して、本実施形態に係る塗装金属材の最表層の塗膜中に−Si−O−Si−を形成する、すなわち、アルコキシシランまたはアルコキシシランの加水分解縮合物に由来するSiを含有させることで、表面の光沢や加工性を損なうことなく、塗膜表面に親水性を付与することができる。このように、最表層の塗膜層の表面を親水性とすることで、塗膜表面に付着した付着物を水拭き等で拭き取り易くなり、全光線反射率の低下が抑制されるため、好ましい。
塗膜を形成する樹脂骨格中に−Si−O−Si−結合を形成するためには、当該最表層の塗膜形成用の塗料中に、アルコキシシランまたはアルコキシシランの加水分解縮合物を添加すればよい。このとき使用するアルコキシシランとしては、一般に公知のもの、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、ジメトキシジプロポキシシラン等が挙げられる。また、アルコキシシランの加水分解縮合物としては、例えば、上に例示したアルコキシシランの加水分解縮合物が挙げられる。
以上のように、最表層の塗膜中に−Si−O−Si−が形成された塗装金属材は、照明器具の反射板の用途に加え、室内における天井や壁材等の用途への適用に好適である。そして、最表層の塗膜中に−Si−O−Si−が形成された塗装金属材を室内における天井や壁材等の用途へ適用した場合には、室内における天井や壁材自体も反射板の役割を担えるため、より少ない光量で室内を明るくすることができる。
[最表層の塗膜層の膜厚]
なお、本実施形態に係る塗装金属材が、上塗り層の表層側に更に最表層の塗膜層(例えば、上述したシリコーン樹脂またはふっ素樹脂を含有する塗膜層や、塗膜を形成する樹脂骨格中に−Si−O−Si−結合を有する塗膜層)を有する場合には、この最表層の塗膜層の膜厚については、上述した撥水性、撥油性、親水性等の特性を得ることができる程度であれば特に限定はされないが、好ましくは最表層の塗膜層の膜厚が1μm以上25μm以下である。上記最表層の塗膜層の膜厚が1μm未満であると、撥水性、撥油性、親水性が不足する可能性があり、25μmを超えると加工性が劣る可能性があり、またコストの面からも、好ましくない。
[下塗り層](概要)
本実施形態に係る塗装金属材が有する被覆層は、以上説明した高濃度顔料層および上塗り層の他に、下塗り層を含んでいてもよい。この下塗り層は、金属材と高濃度顔料層との間に形成される塗膜層であり、被覆層が、上塗り層、高濃度顔料層および下塗り層の3層からなる場合には、基材となる金属材に最も近い側の塗膜層となる。ただし、この場合、金属材から最も近い側の層であっても、金属材と塗膜との密着性向上や耐食性向上を目的として設ける膜厚1μm未満の被覆層は、本実施形態に係る下塗り層には該当せず、膜厚1μm未満の被覆層よりも表層側の被覆層を下塗り層とする。
(バインダ)
下塗り層のバインダとして用いる樹脂は、特に限定されるものではないが、高濃度顔料層との密着性や、塗料原料の共通化等の観点から、高濃度顔料層と同一の樹脂を含んで使用することが好ましい。従って、高濃度顔料層のバインダとして、数平均分子量が19000以上28000以下のポリエステル樹脂Aを使用することが好ましいことから、下塗り層においても、バインダとしてポリエステル樹脂Aを使用することが好ましい。下塗り層のバインダとして使用するポリエステル樹脂の数平均分子量が19000未満では、加工性および密着性が低下するおそれがあり、数平均分子量が28000を超えると、塗膜表面が柔らかくなりすぎ、耐疵つき性およびブロッキング性が劣化するおそれがある。
なお、下塗り層へのポリエステル樹脂Aの添加量については、バインダ樹脂全体に対するポリエステル樹脂Aの濃度が80質量%以上であれば、加工性や密着性の向上といった効果を発揮することができるため、バインダ樹脂全体に対するポリエステル樹脂Aの濃度を80質量%以上とすることが好ましい。
(顔料)
下塗り層には、顔料としてルチル型酸化チタンを固形分体積濃度で20%以上35%以下添加すると、より反射率が向上し好適である。下塗り層に添加する顔料としてルチル型酸化チタンが好適である理由は、高濃度顔料層の場合と同様に、ルチル型酸化チタンの屈折率が、他の一般に使用されている顔料よりも高く、バインダとして使用する樹脂および顔料粒子間に存在する空隙部分の空気との屈折率差を大きくでき、これにより、顔料と樹脂との界面、顔料と空気との界面における光反射率を高めることができるためである。
顔料としてルチル型酸化チタンを用いた場合の当該ルチル型酸化チタンの平均粒径は、小さい方が単位体積当たりの表面積が広くなり、光反射面である樹脂または空隙と顔料との界面の面積が広くなるため、全光線反射率も高くなるが、顔料の平均粒径が小さくなり過ぎると、長波長の光が透過するため、全光線反射率は低下してしまう。従って、高濃度顔料層の場合と同様に、下塗り層中の顔料として用いるルチル型酸化チタンの平均粒径は、200nm以上400nm以下とすることが好ましく、250nm以上350nm以下とすることが更に好ましい。
(膜厚)
下塗り層の膜厚については、膜厚が厚いほど、高い加工性や密着性が得られ、また、顔料としてルチル型酸化チタンを添加した場合には反射性能についても、膜厚が厚いほど有利であることから、これらの性能面からは、下塗り層の膜厚の上限値を設定する必要はない。しかし、下塗り層の膜厚が30μmを超えると、高濃度顔料層と異なり、塗料中の顔料濃度が低いため、塗装時に沸きが発生しやすく、塗装性が劣化すること、また、塗料コストの観点からも好ましくない。よって、下塗り層の膜厚は30μm以下であることが好ましい。一方、下塗り層の膜厚が5μm未満では、下塗り層による加工性、密着性および反射性能の向上効果が小さくなるため、下塗り層の膜厚は5μm以下であることが好ましい。安定した加工性、密着性、反射特性および塗装性を確保するという観点から、より好ましい下塗り層の膜厚は、10μm以上25μm以下である。
[基材(金属材)]
本実施形態に係る塗装金属材の基材に使用する金属材としては、一般に公知の金属材料または合金材料を用いることができる。具体的には、金属材として、例えば、鋼板、ステンレス鋼板、アルミ板、アルミ合金板、チタン板、銅板等が挙げられる。これらの金属材料または合金材料の表面には、めっきが施されていてもよい。めっきの種類としては、亜鉛めっき、アルミめっき、銅めっき、ニッケルめっき等が挙げられ、これらの合金めっきであってもよい。また、金属材として鋼板を使用する場合には、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、亜鉛−ニッケル合金めっき鋼板、溶融合金化亜鉛めっき鋼板、アルミめっき鋼板、アルミ−亜鉛合金化めっき鋼板等、一般に公知の鋼板およびめっき鋼板を適用できる。
更に、本実施形態に用いる金属材の表面に化成処理を施すと、金属材と塗膜層との密着性や耐食性等が向上するため、より好適である。このような化成処理としては、一般的施されているものを使用でき、具体的には、例えば、リン酸亜鉛系化成処理、クロメートフリー系化成処理、塗布型クロメート処理、電解クロム酸処理、反応クロメート処理等を使用することができる。このうち、塗布型クロメート処理、電解クロム酸処理、反応クロメート処理は、環境負荷物質である6価クロムを含むため、あまり好ましくない。また、リン酸亜鉛系化成処理も、他の処理と比較して加工密着性が劣るおそれがある。従って、本実施形態に係る金属材に施す化成処理としては、クロメートフリー系処理が好適である。
クロメートフリー系化成処理としては、無機系の化成処理剤を用いたもの、および、有機系の化成処理剤を用いたものがあるが、いずれでもよい。具体的には、クロメートフリー系化成処理として、例えば、シランカップリング剤、ジルコニウム化合物、チタニウム化合物、タンニンまたはタンニン酸、樹脂、シリカ等を含む水溶液等を用いた処理が知られており、特開昭53−9238号公報、特開平9−241576号公報、特開2001−89868号公報、特開2001−316845号公報、特開2002−60959号公報、特開2002−38280号公報、特開2002−266081号公報、特開2003−253464号公報等に記載されている公知の技術を使用しても良い。また、これらの化成処理には、例えば、日本パーカライジング社製のクロメート処理剤「ZM−1300AN」、日本パーカライジング社製のクロメートフリー化成処理剤「CT−E300N」、日本ペイント社製の3価クロム系化成処理剤「サーフコート(登録商標)NRC1000」等の市販の化成処理剤を使用することができる。
[ポストコート金属材について]
以上の説明では、本発明を、主に、プレコート金属材に適用した例に基づいて説明しているが、本発明は、プレコート金属材に限られず、ポストコート金属材に適用してもよい。ポストコート金属材の場合には、プレコート金属材とは異なり、必ずしも加工密着性等が要求されるわけではないが、反射板として用いる場合には、高い全光線反射率を有することが必要となる。
ポストコート金属材の場合には、高濃度顔料層中にルチル型酸化チタンよりも大きな粒径を有する低屈折率粒子を添加することにより、この低屈折率粒子の固形分濃度が高ければ、高濃度顔料層と上塗り層との境界面のRaを0.8μm以上とすることは可能である。また、加工後の金属材に高濃度顔料層を形成した後に、形成された高濃度顔料層の表面に物理的に疵をつけるなどして、表面のRaが0.8μm以上となるように粗くし、その後に、上塗り層用塗料を塗布するようにしても、高濃度顔料層と上塗り層との境界面のRaを0.8μm以上とすることは可能である。
<塗装金属材の製造方法について>
以上、本実施形態に係る塗装金属材の構成について詳細に説明した。続いて、上述したような構成を有する塗装金属材の製造方法について詳細に説明する。
本実施形態に係る塗装金属材の製造方法は、ルチル型酸化チタンを固形分体積濃度で35%以上70%以下含有する高顔料濃度層と、高濃度顔料層の表層側に積層された上塗り層と、を含む少なくとも2層の被覆層を、高濃度顔料層と上塗り層との境界面の中心線平均粗さRaが0.8μm以上となるように形成する方法である。以下、塗装金属材がプレコート金属材の場合とポストコート金属材の場合とに分けて、本実施形態に係る塗装金属材の製造方法の詳細について説明する。
[プレコート金属材の場合]
まず、塗装金属材がプレコート金属材の場合における本実施形態に係る塗装金属材の製造方法について説明する。本実施形態に係る塗装金属材は、一般的な連続塗装ライン(「CCL」と呼ばれる。)や切板用の塗装ラインにより、適宜必要な処理を選択し、選択した処理を実施することで製造できる。塗装ラインの代表的な製造工程としては、「洗浄」→「乾燥」→「化成処理」→「乾燥」→「塗装」→「乾燥・焼付け」→「冷却」→「乾燥」であるが、本実施形態における塗装金属材の製造工程はこれに限定されるものではない。
また、本実施形態に係る塗装金属材は、通常行われるように各被覆層ごとに塗装と乾燥・焼付けを繰り返して行うことで製造しても良いが、高濃度顔料層形成用の塗料と、上塗り層形成用の塗料とを、多層同時塗布またはウェットオンウェット方式を用いて、金属材表面の一部または全部に塗布することにより製造することが、各層の性能面および生産性の面から好ましい。同様に、本実施形態に係る塗装金属材が、上塗り層の表層側に更に最表層の塗膜層(例えば、上述したシリコーン樹脂またはふっ素樹脂を含有する塗膜層)を有する場合には、高濃度顔料層形成用の塗料と、上塗り層形成用の塗料と、最表層の塗膜層形成用の塗料とを、多層同時塗布またはウェットオンウェット方式を用いて金属材表面に塗布することが好ましい。
なお、本実施形態の金属材が亜鉛系めっき鋼板であった場合には、連続電気めっき鋼板設備、または連続溶融亜鉛めつき鋼板設備における、めっき工程の後にウェットオンウェット塗装設備または同時多層塗布設備を有するラインにて製造することによって、めっき金属表面の酸化皮膜が形成される前に塗布することができ、酸化皮膜によるハジキ外観不良を防止することができる。
ここで、多層同時塗布とは、スロットダイコータまたはスライドホッパー式のカーテンコータ等の平行な2個以上のスリット等から異なる塗料を積層するように吐出させることが可能な装置により複数の塗液を同時に積層した状態で基材に塗布し、この積層された塗液を同時に乾燥・焼付けさせる方法である。
また、ウェットオンウェット塗装とは、一度基材上に塗液を塗装した後に、この塗液が乾燥する前のウェット状態で、その上に他の塗液を更に塗布し、積層された多層の塗液を同時に乾燥・焼付けする方法である。具体的には、ウェットオンウェット塗装の方法として、例えば、ロールコータ、ディップ、カーテンフローコータ、ローラーカーテンコータ等の塗装方法で、塗膜層を1層塗装した後、この塗膜層を乾燥焼付けする前に、更にその上に、カーテンフローコータ、ローラーカーテンコータ、スライドホッパー式カーテンコータ、スロットダイコータ等の基材と非接触で塗装できる方法にて2層目の塗装を施した後に、積層されたウェット状態の複層塗膜を同時に乾燥焼付けする方法などが挙げられる。
本実施形態において、多層同時塗布、または、ウェットオンウェット塗装した塗膜を同時に焼き付ける方法としては、一般に公知の塗料用焼付け炉、例えば、熱風乾燥炉、直下型加熱炉、誘導加熱炉、赤外線加熱炉、または、これらを併用した炉等を用いることができる。
このように、未乾燥状態の塗液を積層して同時塗布することにより、塗液の境界部で各層の塗液が僅かに混ざり合うことで、各層の成分が混在する混合層を形成することができ、これにより、層間密着性を向上させることができる。また、従来は、各層ごとに行っていた乾燥工程をまとめて行うことから、生産性や製造コストの点でも有利であり、また、乾燥設備が少なくて済むという利点もある。
[ポストコート金属材の場合]
次に、塗装金属材がポストコート金属材の場合における本実施形態に係る塗装金属材の製造方法について説明する。
本実施形態に係るポストコートによる塗装金属材は、上述したような金属材に化成処理等を施した後に、本実施形態に係る塗装金属材が使用される照明反射板、発光部品の反射板、または画像表示部の反射板等の形状に成形した後に、ポストコートにより塗装されることにより製造される。金属材の成形方法としては公知の方法を用いることができる。また、ポストコートの方法としては、スプレー塗装、浸漬塗装、カーテンフローコータによる塗装、刷毛塗り塗装、静電塗装等の公知の方法を用いることができる。また、ポストコート金属材の場合でも、スプレー塗装等によりウェットオンウェット塗装を行うこともできる。
(まとめ)
以上説明したような本実施形態に係る塗装金属材を使用した電子機器では、この塗装金属材が高い全光線反射率と成形性を高次元で両立しているため、同一光源の場合はこれまでよりも明るくなり、また、これまでより光源の数を少なくしたり、投入電力を少なくしたりしても、これまでと同等の明るさを確保することが可能である。更に、本実施形態に係る塗装金属材は、様々な形状に容易に成形できる、または、より複雑な形状に成形できるといった特性を持つことから、適用可能な電子機器対象の拡大や、適用する部品の生産性向上といった効果も期待できる。
このような特性を生かすことができる電子機器としては、特に限定されるものではなく、例えば、照明反射板、発光部品の反射板、または画像表示部の反射板等に使用することができる。これらのより具体的な例としては、照明器具、電飾、AV機器、モバイル機器、各種ディスプレイ等が挙げられるが、照明反射板、内飾看板内の反射板、液晶ディスプレイのバックライト反射板等に用いることが好ましい。
次に、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるわけではない。
[塗料]
まず、本実施例で用いた塗料について詳細に説明する。本実施例では、塗装金属材として、基材となる亜鉛めっき鋼板表面に、当該鋼板側から順に積層された、下塗り層、高濃度顔料層(中塗り層)、上塗り層の3層構造、または、下塗り層、中塗り層、2層の上塗り層の4層構造を有する被覆層が被覆されたプレコート鋼板を用いた。以下、下塗り層用塗料(「下塗り塗料」と称する。)、高濃度顔料層(中塗り層)用塗料(「中塗り塗料」と称する。)、上塗り層用塗料(「上塗り塗料」と称する。)の順に、使用した塗料成分について説明する。
(下塗り塗料)
下塗り塗料については、下記表1に示すように、バインダとして、東洋紡社製の非晶性ポリエステル樹脂である「バイロン(登録商標)630」(数平均分子量23000,水酸基価5)を使用し、顔料として、平均粒径が280nmのルチル型酸化チタンである石原産業社製「タイペーク(登録商標)CR95」(屈折率:2.5)を使用し、ルチル型酸化チタンの固形分体積濃度が25%となるようにバインダと混合し、下塗り塗料(下塗り−1)を作製した。
Figure 0004897109
(中塗り塗料)
中塗り塗料については、表1に示すように、ベース樹脂として、東洋紡社製の非晶性ポリエステル樹脂である「バイロン(登録商標)」シリーズ、及び住化バイエルウレタン社製の非晶性ポリエステル樹脂である「デスモフェン(登録商標)」シリーズを使用した。例えば、中塗り−1〜20では、「バイロン(登録商標)630」(数平均分子量23000、水酸基価5)と住化バイエルウレタン社製の非晶性ポリエステル樹脂である「デスモフェン(登録商標)690」(数平均分子量3500、水酸基価46)とを有機溶剤(ソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したもの)に質量比で1:1で溶解したものを用いた。架橋剤には市販のヘキサ−メトキシ−メチル化メラミンである三井サイテック社製の「サイメル(登録商標)303」をポリエステル樹脂の固形分100質量部に対して15質量部添加し、更に、市販の酸性触媒である三井サイテック社製の「キャタリスト(登録商標)6003B」を0.5質量部添加することで、ポリエステル系クリア塗料を得た。
ルチル型酸化チタンとしては、平均粒径280nmである石原産業社製「タイペーク(登録商標)CR95」(屈折率:2.5)を用いた。
また、中塗り層に含有させる低屈折率粒子としては、旭硝子社製シリカ「サンスフェア(登録商標)H−31」(平均粒径3μm)を用いた。
更に、中塗り層に含有させる顔料の比較材として、平均粒径300nmである堺化学工業社製硫酸バリウム「BARIACE(登録商標)B−30」(屈折率:1.6)、平均粒径290nmである堺化学工業社製酸化亜鉛「微細酸化亜鉛」(屈折率:2.0)も用いた。
更に、中塗り塗料の低シェアでの塗料粘度を、溶剤量および塗料の保管温度、保管期間を変更することにより調整した。なお、低シェアでの粘度としては、東京計器社製B型粘度計(型式:B−8L)を用い、回転数6rpmで測定した値を用いた。
作製した中塗り塗料の詳細を下記表2に示す。
Figure 0004897109
(上塗り塗料)
上塗り塗料については、下記表3に示すように、バインダとして、東洋紡社製の非晶性ポリエステル樹脂である「バイロン(登録商標)630」(数平均分子量23000,水酸基価5)を有機溶剤(ソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したもの)に溶解したものを用いた。架橋剤には市販の三井サイテック社製の完全アルキル型メチル化メラミン樹脂(以降、メチル化メラミンと称す)である「サイメル(登録商標)303」をポリエステル樹脂の固形分100質量部に対して15質量部添加し、更に、市販の酸性触媒である三井サイテック社製の「キャタリスト(登録商標)6003B」を0.5質量部添加することで、クリア塗料を得た。このクリア塗料を用いて、顔料として、平均粒径が280nmのルチル型酸化チタンである石原産業社製「タイペーク(登録商標)CR95」(屈折率:2.5)を使用し、ルチル型酸化チタンの固形分体積濃度が25%となるようにバインダと混合し、上塗り塗料(上塗り−1)を作製した。
また、上記上塗り−1と同一のバインダ樹脂と顔料を用い、更に、バインダ樹脂と顔料の合計量100質量部に対して、BYK社のシリコーン系添加剤であるBYK−306を1質量部添加した塗料(上塗り−2)、BYK社のふっ素系添加剤であるBYK−340を0.5質量部添加した塗料(上塗り−3)も作製した。
また、バインダのベース樹脂として、市販のシリコーン・アクリル共重合樹脂である東亜合成社製のシリコーン変性アクリル樹脂である「サイマック(登録商標)US−380」を用い、架橋剤として市販の大日本インキ化学工業社製のブチル化メラミン樹脂である「スーパーベッカミン(登録商標)J830」と三井サイテック社製のメチル化メラミンである「サイメル(登録商標)303」とを質量比1:1で混合したものを用いた。これらのバインダ樹脂と架橋剤とを固形分質量比で100:30で混合し、クリア塗料(上塗り−4)を得た。更に、このクリア塗料を用いて、上塗り−1と同様に、顔料として、石原産業社製「タイペーク(登録商標)CR95」を使用し、ルチル型酸化チタンの固形分体積濃度が25%となるようにバインダと混合し、上塗り塗料(上塗り−5)を作製した。
また、架橋剤として住化バイエルウレタン社製の「デスモジュールBL3175(商品名)」(以降、HDIと称す)を用いた以外は、上塗り−4、5と同様に作製した塗料(上塗り−6、7)も作製した。
また、バインダのベース樹脂として富士工業社製シリコーン・ふっ素共重合樹脂である「ZX−001」を用いた以外は、上塗り−4、5と同様に作製した塗料(上塗り−8、9)も作製した。
また、上記上塗り−1と同一のバインダ樹脂と顔料を用い、更に、バインダ樹脂と顔料の合計量100質量部に対して、テトラエトキシシラン20質量部を添加した塗料(上塗り−10)も作製した。
なお、上記上塗り−1〜10では、いずれも希釈溶剤として、質量比でシクロヘキサノンとソルベッソ150とを1:1に混合したものを用いた。
Figure 0004897109
(プレコート金属板)
次に、本実施例で用いたプレコート金属板について詳細に説明する。
新日本製鐵株式会社製の溶融亜鉛メッキ鋼板「シルバージンク(登録商標)」(以降、GIと称す)を原板として準備した。板厚は0.6mmのものを使用した。めっき付着量は片面60mg/mのものを用いた。
次に、準備した原板を日本パーカライジング社製のアルカリ脱脂液「FC−4336」の2質量%濃度、50℃水溶液にてスプレー脱脂し、水洗後、乾燥した後に、日本パーカライジング社製のクロメートフリー化成処理である「CT−E300N」をロールコータにて塗布し、熱風オーブンにて乾燥させた。熱風オーブンでの乾燥条件は、鋼板の到達板温で60℃とした。クロメートフリー処理の付着量は、全固形分で200g/m付着するように塗装した。
次に、化成処理を施した金属板の一方の面に、作製した下塗り塗料を乾燥後の膜厚が20μmとなるようにロールコータで塗装し、他方の面に、日本ファインコーティングス社製の裏面塗料である「FL100HQ」のグレー色を乾燥後の膜厚が5μmとなるようにロールコータで塗装した後に、熱風を吹き込んだ誘導加熱炉にて金属板の到達板温が230℃となる条件で乾燥焼付け硬化した。そして、乾燥焼付け後に、塗装された金属板へ水をスプレーにて拭きかけ、水冷した。
次に、下塗り塗膜層の表面に、中塗り塗料と上塗り塗料をスライドホッパー式のカーテンコータを用いて同時に2層積層塗装し、熱風を吹き込んだ誘導加熱炉にて金属板の到達板温が220℃となる条件で、積層した塗膜を同時に乾燥焼付け硬化した。そして、乾燥焼付け後に、塗装された金属板へ水をスプレーにて拭きかけて水冷することで、3層構造の被覆層を有するプレコート金属板を作製した(以降、本手順での塗装方法を「塗装方法(i)」と称する)。
また、必要に応じて、下塗り塗膜層の表面にロールコータを用いて中塗り塗料を1層のみ塗装し、前述の要領で焼き付けた後に、中塗り塗膜層の表面に再度ロールコータを用いて上塗り塗料を1層塗装し、前述の要領で焼き付けた、3層構造の被覆層を有するプレコート金属板も作製した(本手順での塗装方法を「塗装方法(ii)」と称する)。
また、必要に応じて、下塗り塗膜層の上に、中塗り塗料と上塗り塗料、更にその上に上塗り塗料をスライドホッパー式のカーテンコータを用いて同時に3層積層塗装し、熱風を吹き込んだ誘導加熱炉にて金属板の到達板温が220℃となる条件で、積層した塗膜を同時に乾燥焼付け硬化した。そして、乾燥焼付け後に、塗装された金属板へ水をスプレーにて拭きかけて水冷することで、4層構造の被覆層を有するプレコート金属板を作製した(以降、本手順での塗装方法を「塗装方法(iii)」と称す)。
(評価方法)
次に、上述したようにして作製したプレコート金属板の評価方法の詳細について説明する。
1) プレコート金属板の全光線反射率測定
島津製作所社製の分光光度計「UV265」に、積分球反射付属装置を取り付けたものを用い、基準板としては硫酸バリウム粉末を押し固めたものを用いた。人の目の感度が最も高い波長である555nmにおける全光線反射率を測定し、以下の基準で評価を行った。
◎:全光線反射率が99%以上の場合
◎〜○:全光線反射率が97%以上99%未満の場合
○:全光線反射率が95%以上97%未満の場合
○〜△:全光線反射率が93%以上95%未満の場合
△:全光線反射率が91%以上93%未満の場合
△〜×:全光線反射率が89%以上91%未満の場合
×:全光線反射率が89%未満の場合
2) 照明器具の輝度測定
図1および図2に実験装置の概要を示す。被覆基材を図1および図2に示すような長手方向の両端部が上面側に折り曲げられた形状に成形し、反射板1とした。その中に市販の蛍光灯照明器具2を2本並べて取り付け、その上に、すりガラスで形成されたカバー3を取り付けた。そのカバー3の中央部分(以下、「輝度測定部」という。)4と中央部分4から1.5cm外側にずらした部分(以下、「輝度の均一性比較測定部」という。)5の輝度を、測定点から垂直に50cm離れたところに輝度計6を設置して測定した。蛍光灯照明器具2としては、16形ランプ出力16Wの蛍光灯を用いた。
輝度の評価は、カバー3の輝度測定部4を測定することで評価した。測定の際は、蛍光灯照明器具2以外の光は全て遮断し、以下の通り作製した基準反射板の輝度を測定し、それに対して作製した被覆基材を用いて作製した反射板1を取り付けたときの輝度を測定した。そして、基準反射板で測定した時の輝度と作製した被覆基材の反射板1で測定したときの輝度から、輝度変化率=([作製した被覆基材による反射板1での輝度]−[基準反射板での輝度])×100/[基準反射板での輝度]と定義し、輝度変化率にて以下の基準で評価を行った。
◎:輝度変化率が30%以上の場合
◎〜○:輝度変化率が25%以上30%未満の場合
○:輝度変化率が20%以上25%未満の場合
○〜△:輝度変化率が15%以上20%未満の場合
△:輝度変化率が10%以上15%未満の場合
×:輝度変化率が10%未満の場合
基準反射板は、従来の反射板表面の反射率を高める手段である反射率の高い白色系の塗料を塗装する方法により作製した。表4に示す塗料を上記のプライマー塗装板の作製と同様の方法で乾燥後膜厚が10μmとなるように塗装し、乾燥硬化した。その上に、再度表4に記載の塗料を、乾燥後膜厚が20μmとなるようにロールコータにて塗装し、熱風を吹き込んだ誘導加熱炉にて金属板の到達板温が230℃となる条件で乾燥硬化した。そして、乾燥焼付後に、塗装された金属板へ水をスプレーにて拭きかけ、水冷した。
また、輝度の均一性の評価は、カバーの輝度測定部4と輝度測定部4から1.5cmずらした輝度の均一性比較測定部5の二箇所の輝度を測定し、輝度の均一度=100−([輝度の均一性比較測定部5の輝度]−[輝度測定部4の輝度])/[輝度測定部4の輝度]×100と定義し、輝度の均一度にて以下の基準で評価を行った。
◎:輝度の均一度が90%以上の場合
○:輝度の均一度が85%以上90%未満の場合
△:輝度の均一度が70%以上85%未満の場合
×:輝度の均一度が70%未満の場合
3) 加工性および密着性
作製したプレコート金属板を、任意の枚数のサンプルを間に挟んだ状態で180°折り曲げ加工(密着曲げ加工)し、加工部の塗膜を目視で観察し、塗膜の割れの有無を調べた。なお、180°折り曲げを行う際には、プレコート金属板の表面が曲げの外側となるように折り曲げて、密着曲げを行った(一般に、サンプルを挟まない場合は0T曲げ、サンプルを1枚挟む場合は1T曲げとして知られている)。そして、加工部を目視にて観察し、以下の基準で評価を行った。
◎◎:0T曲げで割れや剥離がない
◎: 1T曲げで割れや剥離がない
◎〜○: 2T曲げで割れや剥離がない
○: 2T曲げでわずかな割れや剥離があるが、3T曲げで割れや剥離がない
○〜△:2T曲げで下塗り塗膜層または原板に達する割れや剥離があるが、3T曲げで割れや剥離がない
△:3T曲げでわずかな割れや剥離があるが、4T曲げで割れや剥離がない
△〜×:2T曲げで下塗り塗膜層または原板に達する割れや剥離があるが、3T曲げで割れや剥離がない
×:4T曲げで割れや剥離がある
更に、加工部にテープを貼り付けて剥離する加工部密着性試験も実施し、テープ剥離後の密着性を目視にて観察し、以下の基準で評価を行った。
◎◎:0T曲げで剥離がない
◎: 1T曲げで剥離がない
◎〜○: 2T曲げで剥離がない
○: 2T曲げで加工部の全長に対して合計で半分未満の長さで剥離があるが、3T曲げで剥離がない
○〜△:2T曲げで加工部の全長に対して合計で半分未満の長さで剥離があるが、3T曲げで剥離がない
△:3T曲げでわずかな割れや剥離があるが、4T曲げで割れや剥離がない
△〜×:2T曲げで全長に対して合計で半分以上の長さで剥離があるが、3T曲げで剥離がない
×:4T曲げで剥離がある
4) 総合評価
評点を、◎◎の場合に8点、◎の場合に7点、◎〜○の場合に6点、○の場合に5点、○〜△の場合に4点、△の場合に3点、△〜×の場合に2点、×の場合に1点とし、全光線反射率と加工性との評点を加算し、その合計を算出し、以下の基準で評価を行った。
◎:評点の合計が11点以上
○:評点の合計が9点以上11点未満
△:評点の合計が7点以上9点未満
×:評点の合計が7点未満
5) 境界面Raの測定
中塗り層と上塗り層との境界面のRaは、各実施例の塗膜を切断して、樹脂に埋め込んだ後に研磨することで、塗膜の表面に垂直な断面を平滑にして、3500倍の走査型顕微鏡で撮影した写真で評価した。写真の上から、OHPに用いられる透明シートをかぶせて、境界面の凹凸を精密にトレースした後に、図3に示すように、境界面曲線の平均線の方向に基準長さlだけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線の方向にX軸を、縦倍率方向にY軸を取り、界面曲線をy=f(x)で表したときに、以下の式によって求められる値をマイクロメートル(μm)で示した。なお、測定は任意の5箇所について行い、その平均を求めた。
Figure 0004897109
6) 最表面WCAの測定
被覆層の最表面のWCAは、明伸工業社製3次元表面形状測定装置にて計測した。測定時の評価長さ40mm、カットオフ8mmの条件で測定した。詳細はJIS.B0601に準じて測定した。測定は任意の5箇所について行い、その平均を求めた。
7) 混合層厚みの測定
中塗り層と上塗り層との境界面付近をGDS(グロー放電発光分光分析装置)により深さ方向のTiの分布を測定した。より具体的には、中塗り層のTi濃度をx、上塗り層のTi濃度をyとしたときに、[x+0.05×(x−y)]〜[y−0.05×(x−y)]である部分の厚みを混合層厚みとして測定した。測定は任意の5箇所について行い、その平均を求めた。
6) 最表面WCAの測定
被覆層の最表面のWCAは、明伸工業社製3次元表面形状測定装置にて計測した。
7) 混合層厚みの測定
中塗り層と上塗り層との境界面付近をGDS(グロー放電発光分光分析装置)により深さ方向のTiの分布を測定した。より具体的には、中塗り層のTi濃度をx、上塗り層のTi濃度をyとしたときに、[x+0.05×(x−y)]〜[y−0.05×(x−y)]である部分の厚みを、「混合層厚み」として測定した。
8) 耐汚染性
また、三菱化学社製塗料用カーボン「三菱カーボンMA100」の10%懸濁液を、上述したようにして作製したプレコート金属板の塗膜表面に塗布し、1時間後に日本ウエス社製のクリーニング白メリヤスウエスにて拭き取り、試験前後の色の変化を分光測色計(スガ試験器製、型式MSC−45−2B)によるΔEで求め、以下の基準で評価を行った。
◎:ΔEが0.2未満
◎〜○:ΔEが0.2以上0.5未満
○:ΔEが0.5以上1未満
△:ΔEが1以上2未満
×:ΔEが2以上
Figure 0004897109
Figure 0004897109
Figure 0004897109
本発明の実施例によるプレコート金属板(NO.17〜42,48〜62)は、全光線反射率、輝度、塗膜加工性、耐汚染性のいずれも良好な結果であった。
NO.17〜42,48〜62に示すように、中塗り層中のルチル型酸化チタンの体積濃度を35%以上とすることにより、中塗り層と上塗り層との境界面のRaが0.8μm以上となり、反射に寄与できる面積が増加するため、高い全光線反射率が得られることがわかる。また、中塗り層と上塗り層との接触面積が増えるため、優れる密着性が得られることがわかる。
NO.1〜42,48〜62に示すように、中塗り層中のルチル型酸化チタンの体積濃度を35%以上とすることにより、中塗り層と上塗り層との境界面のRaが0.8μm以上となり、反射に寄与できる面積が増加するため、高い全光線反射率が得られることがわかる。また、中塗り層と上塗り層との接触面積が増えるため、優れる密着性が得られることがわかる。
NO.17〜42に示すように、中塗り層にルチル型酸化チタンと共にルチル型酸化チタンより粒径の大きな低屈折率顔料を含有させることによって、中塗り層と上塗り層との境界面のRaを向上でき、より高い全光線反射率およびより優れる密着性が得られることがわかる。
NO.13〜16の参考例に示すように、中塗り塗料の低シェアでの粘度を低くすることにより、中塗り層と上塗り層との境界面のRaを向上でき、より高い全光線反射率およびより優れる密着性が得られることがわかる。しかし、中塗り塗料の低シェアでの粘度を低くしすぎて、最表面のWCAが4μmとなると(NO.16)、耐汚染性がわずかに劣る傾向であった。そのため、最表面のWCAは2μm以下がより好適であることがわかる。
NO.13〜16に示すように、中塗り塗料の低シェアでの粘度を低くすることにより、中塗り層と上塗り層との境界面のRaを向上でき、より高い全光線反射率およびより優れる密着性が得られることがわかる。しかし、中塗り塗料の低シェアでの粘度を低くしすぎて、最表面のWCAが4μmとなると(NO.16)、耐汚染性がわずかに劣る傾向であった。そのため、最表面のWCAは2μm以下がより好適であることがわかる。
NO.17〜42に示すように、塗装焼付け時間を長くすると、中塗り層と上塗り層との境界部に存在する混合層が厚くなり、より高い全光線反射率およびより優れる密着性が得られることがわかる。中塗り層と上塗り層との境界部に存在する混合層の厚みは、3μm以上がより好適であることがわかる。
NO.48〜56に示すように、中塗り層の膜厚が薄いほど、全光線反射率は低下するが、塗膜加工性は向上することがわかる。本発明の実施例によるプレコート金属板はいずれも全光線反射率と加工性とのバランスに優れることがわかる。
NO.57〜80に示すように、本発明の実施例によるプレコート金属板の上塗り層または最表層のバインダに、シリコーン樹脂またはふっ素樹脂を含有させると(NO.58〜62,64〜80)、耐汚染性が向上し、より好適であることがわかる。
NO.81,82に示すように、本発明の実施例によるプレコート金属板の上塗り層中にアルコキシシランまたはアルコキシシランの加水分解縮合物に由来するSiを含むと、耐汚染性が向上し、より好適であることがわかる。また、中塗り層の膜厚が厚いNO.81では、全光線反射率や輝度に特に優れており、中塗り層の膜厚が薄いNO.82では、加工性や密着性に特に優れることもわかる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1 反射板
2 蛍光灯照明器具
3 カバー
4 輝度測定部
5 輝度の均一性比較測定部
6 輝度計

Claims (14)

  1. 金属材表面の一部または全部に、ルチル型酸化チタンを固形分体積濃度で35%以上70%以下含有する第1の塗膜層と、前記第1の塗膜層の表層側に積層された第2の塗膜層と、を含む少なくとも2層の被覆層を有し、
    前記第1の塗膜層と前記第2の塗膜層との境界面の中心線平均粗さRaが0.8μm以上であって、更に前記第1の塗膜層と前記第2の塗膜層との境界部分に、ルチル型酸化チタンの濃度が傾斜構造となり、かつ、前記ルチル型酸化チタンの濃度が前記第1の塗膜層(高顔料濃度層)のTi量をx、前記第2の塗膜層(上塗り層)のTi量をyとしたときに、[x0.05×(x−y)]〜[y0.05×(x−y)]の範囲である混合層が存在しており、前記混合層は、3μm以上12μm以下の厚みを有することを特徴とする、塗装金属材。
  2. 前記被覆層の最表面のろ波中心線うねりWCAが2μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の塗装金属材。
  3. 前記被覆層のうちの最表層の塗膜層は、シリコーン樹脂またはふっ素樹脂を含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の塗装金属材。
  4. 前記被覆層のうちの最表層の塗膜層は、塗膜を形成する樹脂骨格中に−Si−O−Si−結合を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の塗装金属材。
  5. 前記ルチル型酸化チタンの平均粒径は、200nm以上400nm以下であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗装金属材。
  6. 前記第1の塗膜層は、前記ルチル型酸化チタンよりも粒径が大きく、かつ、前記ルチル型酸化チタンよりも低い屈折率を有する粒子を更に含有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の塗装金属材。
  7. 前記第1の塗膜層中には空隙が存在し、
    前記空隙の含有率は、前記第1の塗膜層中の固形分体積量の0.05倍以上0.9倍以下であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の塗装金属材。
  8. 前記第1の塗膜層の膜厚は、10μm以上80μm以下であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の塗装金属材。
  9. 前記第2の塗膜層の膜厚は、5μm以上30μm以下であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の塗装金属材。
  10. 前記被複層は、前記金属材と前記第1の塗膜層との間に積層された第3の塗膜層を更に含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の塗装金属材。
  11. 前記第3の塗膜層の膜厚は、5μm以上30μm以下であることを特徴とする、請求項10に記載の塗装金属材。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の塗装金属材の製造方法であって、
    前記第1の塗膜層の形成用の塗料と、前記第2の塗膜層の形成用の塗料とを、多層同時塗布またはウェットオンウェット方式により、金属材表面の一部または全部に塗布することを特徴とする、塗装金属材の製造方法。
  13. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の塗装金属材を照明反射板に使用した、照明器具。
  14. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の塗装金属材を発光部品の反射板、または、画像表示部の反射板に使用した、電子機器。
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