JP5195689B2 - 塗装金属板 - Google Patents

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Description

本発明は、白色度(即ち、全反射率)が非常に高い塗装金属板(PCM)に関する。本発明に係る塗装金属板は、例えば、照明器具の反射板に適しているが、用途はそれに限定されるものではない。
昨今の環境問題に対する意識の高まりから、あらゆる家電製品について省エネルギーにつながる高効率化の要求が高まっている。例えば、照明器具の反射板に利用される塗装金属板については、全反射率が高いことが望まれる。反射板の全反射率、従って白色度(L値)が高いほど、照明器具の器具効率が高まるためである。
一般に塗装金属板の白色度を高くするには、外観を決定する上層塗膜中に含有されるチタニア等の白色顔料の含有量を増加させ(ただし、過剰になるとかえって白色度が低下するので適正範囲はある)、さらにその上層塗膜の厚さを厚くすればよい。
しかし、厚い塗膜を一度の塗装で形成しようとすると、ワキと呼ばれる塗装欠陥が発生する。一般的にワキとは、金属板上に塗られた塗料がオーブンで乾燥される際に、塗膜内部に存在する溶剤が、固まり始めた塗膜表面をうまく通過できずに「突沸的」に蒸発する現象と考えられており、塗膜表面に噴火口状の欠陥を残存させる結果となるので、塗装金属板においては許容できない。
上記のように塗膜内に存在する溶剤の局所的な揮発がワキの直接的な原因の一つであるから、基本的な傾向として、塗膜の厚みが大きくなるとワキは発生しやすくなる。このため、ワキを発生させずに一度に塗装(塗布→乾燥)できる塗膜厚みの上限(以下、「ワキ限界塗膜厚み」という。)は、ポリエステル/メラミン硬化剤系樹脂で代表される通常の上層塗膜では、およそ20〜30μm程度である。
このワキ限界塗膜厚みを増大させるには、次のような手段がある。
1)塗料の溶媒として、蒸気圧の小さい(ゆっくりと蒸発する)高沸点溶剤の使用が有効である。しかし、白色度の高い塗装金属板の場合、微量の溶剤残存でも、塗装金属板のb値(黄色み)を増加させてしまう傾向が見られるため、沸点が200℃を超えるような溶剤を使用するのは困難である。
2)通常80m/分程度であるライン速度を小さくして、オーブン風速を小さくし、金属板の昇温速度を小さくする(たとえば40m/分程度とする)ことも有効である。しかし、その場合には生産速度が低下してしまう。このため、この方法では、生産性と品質とを同時に向上させるという塗装金属板の需要家の要求に応えることができない。
3)また、塗料中の溶剤量を減少させる方法も、ワキ限界塗膜厚みを増大させる効果を有する。しかし、通常のロールコータでは塗装困難になる(気泡を巻き込み易い、ロール目が出易い)といった不具合を伴い、工業的には採用し難い。
4)特許文献1には、下塗り塗膜と上塗り塗膜とを有する塗装金属板であって、下塗りと上塗りの少なくとも一方の塗膜(好ましくは両方の塗膜)が、チタニアに加えて平均粒径5〜50μmの熱硬化型樹脂粒子(チタニア含有樹脂粒子であってもよい)を0.5〜10質量%含有することを特徴とする、白色度に優れた塗装金属板が提案されている。塗膜に樹脂粒子を含有させるとワキ限界厚みが厚くなるので、この方法で下塗り塗膜及び/又は上塗り塗膜を厚くすることで、実質的に二層の塗膜(上塗りと下塗り)で、L値が95以上の高い反射性を有する塗装金属板が得られる。
このような方法によって、ある程度高い反射性を有する塗装金属板を得ることはできるが、さらに高い白色度の塗装金属板が求められている。このような特に高い白色度を有する塗装金属板を安定的に得るためには、さらなる改善が必要とされている。
特開2005-169857号公報
本発明の目的は、かかる現状を鑑み、上述した従来の塗装金属板よりさらに高い白色度(L値)を有しつつ表面性状が良好な塗装金属板、具体的には、L値が96以上であって、ワキの発生に起因する表面性状不良を有さない塗装金属板とその製造方法を提供することである。
(1)本発明においてその発生を抑制しようとするワキとは、金属板上に塗られた塗料がオーブンで乾燥される際に、塗膜内部に存在する溶剤が、固まり始めた塗膜表面をうまく通過できずに「突沸的」に蒸発する現象と考えられている。例えば、熱風炉で塗膜を焼き付ける場合、まず塗膜表面に熱風があたることで、塗膜表面近傍の溶剤が揮発してその部分の塗膜中の樹脂と架橋剤の濃度が上昇して、架橋反応速度が増大するため、これにより表面近傍の硬化がバルクに比べて進むことになる。そうすると塗膜内部の溶剤が硬化を始めた塗膜表面をうまく通過できず、ワキが生じると考えられる。
従って、バルクの塗膜に比べて塗膜表面の硬化だけが進まないように均一に硬化するようにできれば、溶剤が塗膜全体の硬化が完了するまでに徐々に系外に揮散するためワキ発生が生じにくいと考えられる。
(2)下塗り塗膜と上塗り塗膜とを有する塗装金属板の場合、下塗り塗膜の状態によっては、同様の上塗り塗装を施しても、ワキ発生の程度に差異が見られることがある。このワキの原因は、下塗り塗膜中に残存する溶剤や、樹脂と架橋剤との反応によるアルコール等の副生物によるものと考えられる。すなわち、下塗りの焼付け過程において、含有される溶剤が残存したり、樹脂と架橋剤の架橋反応が完全に終了していなかったりする場合には、次工程の上塗りの焼付け時に、これらがワキの原因となると考えられる。
これを抑制するためには、上塗り塗装前に下塗り塗膜を十分に硬化させて、上塗り塗装時に下塗り塗膜から発生する溶剤や反応副生成物を極力少なくするとよいと考えられる。そのための手法として、下塗り塗料中の顔料濃度を相対的に高めて、樹脂成分、架橋剤および溶剤の量を少なくすればよいと考えられる。
本発明に係る塗装金属板は、以上のような考え方に基づきなされたものであって、2層以上の塗膜から構成され、透明層を除き最外層に位置する上層塗膜が顔料としてチタニアを上層塗膜の塗料固形分に対して55質量%以上含有し、この上層塗膜のすぐ内部にある下層塗膜が顔料としてチタニアを下層塗膜の塗料固形分に対して55質量%超含有し、かつ次の(B)または(C)の少なくとも一つを満たす。
B)上層塗膜が、吸油量が100ml/100g以上のシリカ粒子を上層塗膜の塗料固形分に対して0.5質量%以上含有する、
(C)下層塗膜が、吸油量が100ml/100g以上のシリカ粒子を下層塗膜の塗料固形分に対して0.5質量%以上含有する
この本発明では、さらに次の(A)または(D)の少なくとも一つを満たすことが好ましい。
(A)下層塗膜におけるチタニアの含有量が下層塗膜の塗料固形分に対して60質量%以上である、
(D)下層塗膜が、前記上層塗膜の焼付け温度に比べて10℃以上高い焼付け温度で焼き付けられたものである。
さらに、下層および上層の少なくとも一方の塗膜の塗膜比重が、1.6以上2.3以下であると、高白色度を得る上でさらに好ましい。
なお、本発明において、「下層塗膜」および「上層塗膜」とは、基材上に2層の塗膜を備える2コートの場合は、それぞれ、通常の意味での下塗り(プライマー)および上塗り(トップコート)を意味する。また、基材上に3層(またはそれ以上)塗膜を備える場合は、それぞれ、外面から2層の塗膜を意味する。すなわちこの場合は、下塗り(プライマー)でなく中塗りが下層塗膜に相当する。また、いずれの場合も、上層塗膜は通常最外面に存在するが、塗膜の保護等を目的として最表層に透明層(クリアコート)がコートされてもよい。この場合は、透明層は上層塗膜を意味しない。
また、上層塗膜および下層塗膜は、同じバインダ樹脂系や含有成分をもつ塗膜(場合によっては、同じ塗料の2回塗り)であってもよい。加工性等の塗装鋼板に求められる機能の観点から、異なる塗膜であってもよい。
本発明により、白色度が高く、しかもワキの発生に起因する表面性状不良を有さない、照明器具の反射板などとして最適な塗装金属板が提供される。それにより、照明器具の器具効率が向上し、省エネルギーにつながる。
また、本発明により得られる塗装金属板は、上層塗膜および下層塗膜のいずれについても、ロールコータを用いた通常のライン速度での1回の塗装により製造することができ、経済性と生産性にも優れている。
以下では、プレコート鋼板として最も一般的な2コート(塗膜は下塗り(プライマー)と上塗り(トップコート)の2層)の塗装鋼板を例にとって、説明する。
1.基材および塗装下地処理
本発明の塗装金属板における基材の金属板の構成は特に限定されない。典型的には亜鉛系めっき鋼板、特に溶融亜鉛系めっき鋼板である。溶融亜鉛系めっき鋼板の具体例としては、溶融亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、溶融5%Al−Znめっき鋼板、溶融55%Al−Znめっき鋼板等が挙げられる。基材の金属板は、電気亜鉛または亜鉛合金めっき鋼板、ステンレス鋼板、チタン板、アルミニウム板などであってもよい。
基材金属板には、塗装前に塗膜密着性と防錆性を高めるため、一般に下地処理が施される。この下地処理は、従来一般的であった塗布型クロメート処理でもよく、或いは各種のクロムフリー型の下地処理でもよい。
2.下塗り塗膜およびこれを形成するための塗料
本発明の下塗り塗膜のバインダ樹脂は、特に制限されない。例えば、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂またはフッ素樹脂等を使用できる。好ましいのは、ポリエステル、ポリウレタン、またはエポキシ樹脂に、硬化剤成分としてメラミン樹脂、ポリイソシアネート、ポリアミン、フェノール樹脂等の1種以上を添加して、焼付け硬化塗膜としたものである。特に好ましくは、熱可塑性の高分子量ポリエステルをベース樹脂とし、これに硬化剤成分としてメラミン樹脂またはポリイソシアネートを配合した塗料から構成される系である。
本発明の下塗り塗膜は、さらにチタニアを含有する。下塗り塗膜におけるチタニアは、平均一次粒子径が0.20〜0.30μm程度のものが好ましい。粒径が過度に小さい場合には、隠蔽性が低下する。粒径が過度に大きい場合には、反射性が低下する。
下塗り塗膜におけるチタニアの含有量は塗料固形分に対して55質量%以上とし、好ましくは60質量%以上である。チタニア含有量を多くすることで、白色度向上に寄与するだけでなく、ワキ抑制にも有利である。これはバインダの比率が相対的に小さくなるので反応副生成物の発生が小さくなるためと考えられる。好ましくは62質量%以上より好ましくは64質量%以上である。下塗り塗膜におけるチタニアの含有量の上限はワキ発生の抑制という観点からは限定されない。皮膜として成立するためには上記のバインダ樹脂が必要であり、後述するようにシリカ粒子などを含有する場合もあるため、これらの塗料における他の成分の含有量との関係で上限が設定される。塗料がチタニアおよびバインダ樹脂のみを媒質として含む場合には、バインダ樹脂の種類にもよるが、一般的には、チタニアの含有量の上限は、80質量%程度である。
下塗り塗膜は、さらに、塗膜に吸油量の大きいシリカ粒子を含有してもよい。好ましい吸油量の目安は100ml/100g以上である。このようなシリカ粒子を塗膜中に含有させると、ワキ抑制に有利である。これは、焼き付け時の塗料の粘度が増大し、塗膜表面近傍からの溶剤の揮散が抑制されて表面だけの硬化が進み難くなるためと考えられる。吸油量が少ないシリカ粒子を用いると、ワキの発生を抑制するために必要な含有量が相対的に多くなり、白色度をL値で96以上とすることが困難となってしまう。
好ましいシリカ粒子の粒径は、平均一次粒径で15μm以下である。粒径が過度に大きい場合には塗膜の表面粗度が大きくなり、外観不良となったり加工性の低下が生じたりする。
シリカ粒子の含有量を、塗料固形分に対して0.5質量%以上とするとワキ抑制効果が安定的に得られる。シリカ粒子の含有量が塗料固形分に対して7質量%を超えると、下塗り塗膜中であっても白色度が低下し、L値として96以上を安定的に得ることが困難となる。
ここで、チタニアなどの塗膜に含有させる粒子の「平均一次粒径」は、例えば、次のようにして求める。まず、塗膜が形成された塗装鋼板を切断してその断面を露出させ、その断面をさらに研摩する。こうして得られた断面を電子顕微鏡で観察して、塗膜中の断面の観察像を得る。その観察像の視野に存在する粒子から数個を選び出し、それぞれの粒子の長辺長さと短辺長さを測定し、これら長辺の平均値と短辺の平均値を算出し、さらにこれらを平均して平均一次粒径を算出する。
下塗り塗膜中には、さらに、要求性能に応じて、体質顔料としてシリカ(前述の吸油量の大きなシリカ粒子以外のものであってもよい)やアルミナあるいは防錆顔料(例えばリン酸アルミニウム)を含有していてもよい。ただし、有色の顔料等白色度を低下させうる顔料は避けた方が良い。
顔料の含有量(チタニア、吸油性シリカ、その他の顔料の合計)の上限はワキ発生の抑制という観点からは限定されない。含有される顔料の比重、バインダ樹脂の種類などに依存し、塗布作業中に塗料中に分散する顔料が適切な分散状態を維持できるように設定される。一般的には,80質量%以下である。
下塗り塗膜の厚みは、好ましくは5〜30μm、より好ましくは10〜25μmの範囲である。塗膜が過度に薄い場合には隠蔽性に劣る。塗膜が過度に厚い場合には加工性が低下する。
このような下塗り塗膜は、チタニアを含有する市販の白色塗料を基に成分調整した塗料を塗装することにより形成することができる。
また、チタニア等の顔料を塗料に分散させる場合に空気を巻き込んで空隙が発生する場合がある。このような場合には、空隙が存在しない場合に比べて、高い反射率が得られることがある。これは、塗膜内で白色顔料−バインダ界面だけではなく、白色顔料−バインダ界面より屈折率差が大きく反射率が高い白色顔料−空気界面、さらに樹脂−空気界面でも光が反射されるためと推定される。空隙量の目安として、塗膜の見かけの比重が2.3以下であるとよい。見かけの比重とは、単位面積あたりの塗膜質量を塗膜の厚さから換算される塗膜体積で除した値である。塗膜比重が1.6未満では、塗膜が脆弱となり、取扱いが難しくなる。空隙を含む塗膜を得るには、顔料を塗料に分散させるときに強攪拌する等により前述したように空気を巻き込むようにすればよい。
さらに、下塗り塗膜の焼付け温度(最高到達温度)を上塗り塗膜より10℃以上高くするのがよい。2コート塗装鋼板では、下塗り塗料の焼付温度の仕様は、上塗り塗料のものよりも低く設計されているのが一般的である。しかしながら、ワキを抑制する上では、そのような仕様の塗料であっても、さらに高い焼付け温度とするのが有効である。
すなわち、下塗り塗膜の焼付け温度(最高到達温度)を上塗り塗膜より10℃以上高くする条件で塗膜を形成することにより、下塗り塗膜の焼付け時に溶剤の揮発や架橋反応が十分に進行し、上塗りの焼付け時に下塗り塗膜において追加的に溶剤が揮発したり架橋反応が進行したりすることが生じにくい。このため、上塗りの焼付け時に下塗り塗膜から上塗り塗膜へと溶剤や副生成物が移動することに起因するワキの発生が安定的に抑制される。これに対し、下塗り塗膜の焼付け温度の上塗り塗膜の焼付け温度に対する差が10℃未満の場合には、上記のワキの発生を抑制する効果を安定的に得ることが困難となる。
なお、上記の温度差が大き過ぎると、樹脂種等にもよるが、加工性が低下したり、下塗りと上塗りの密着性が低下したりすることがある。したがって、上記の温度差は30℃以下であることが好ましい。
3.上塗り塗膜およびこれを形成するための塗料
上塗り塗膜のバインダ樹脂は、特に制限されない。例えば、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂またはフッ素樹脂等を使用できる。好ましいのは、ポリエステル、ポリウレタン、またはエポキシ樹脂に、硬化剤成分としてメラミン樹脂、ポリイソシアネート、ポリアミン、フェノール樹脂等の1種以上を添加して、焼付け硬化塗膜としたものである。特に好ましくは、熱可塑性の高分子量ポリエステルをベース樹脂とし、これに硬化剤成分としてメラミン樹脂またはポリイソシアネートを配合した塗料から構成される系である。
上塗り塗膜においても、使用するチタニアは、平均一次粒子径が0.20〜0.30μmのものが好ましい。また、高白色度を得る観点から、チタニアの含有量は塗料固形分に対して55質量%以上とする。上塗り塗膜の好ましい厚みは20〜35μmの範囲である。
上塗り塗膜も、さらに、塗膜に吸油量の大きいシリカ粒子を含有してもよい。好ましい吸油量の目安は100ml/100g以上である。好ましいシリカ粒子の粒径が平均一次粒径で15μm以下であること、シリカ粒子の含有量を塗料固形分に対して0.5質量%以上とすべきであって7質量%を超えないことが好ましいことは下塗り塗膜の場合と同じである。
上塗り塗膜中には、さらに、要求性能に応じて、体質顔料としてシリカ(前述の吸油量の大きなシリカ粒子以外のものであってもよい)やアルミナあるいは防錆顔料(例えばリン酸アルミニウム)を含有していてもよい。顔料の含有量(チタニア、吸油性シリカ、その他の顔料の合計)の上限は顔料の比重などに依存して設定され、通常80質量%である。ただし、有色の顔料等白色度を低下させうる顔料は避けた方が良い。
このような上塗り塗膜は、チタニアを含有する市販の白色塗料を基に成分調整した塗料を塗装することにより形成することができる。
また、チタニア等の顔料を塗料に分散させる場合に空気を巻き込んで空隙が発生する場合がある。このような場合には、空隙が存在しない場合に比べて、高い反射率が得られることがある。これは、塗膜内で白色顔料−バインダ界面だけではなく、白色顔料−バインダ界面より屈折率差が大きく反射率が高い白色顔料−空気界面、さらに樹脂−空気界面でも光が反射されるためと推定される。空隙量の目安として、塗膜の見かけの比重が2.3以下であるとよい。見かけの比重とは、単位面積あたりの塗膜質量を塗膜の厚さから換算される塗膜体積で除した値である。塗膜比重が1.6未満では、塗膜が脆弱となり、取扱いが難しくなる。空隙を含む塗膜を得るには、顔料を塗料に分散させるときに強攪拌する等により前述したように空気を巻き込むようにすればよい。
上塗り塗膜の焼付け温度(最高到達温度)は、その塗料の仕様に応じて性能が得られる温度であれば、必要以上に高温にする必要はない。高温にすれば、コスト的に不利なのはもちろん、前述したような下塗りの溶剤や架橋反応副生物の影響でワキが生じる恐れがある。
4.裏面塗膜
本発明に係る塗装金属板の裏面(おもて面(上記の少なくとも2層の塗膜からなる塗膜層が形成され使用時に製品の外側となる面)の反対側の面)は、一般的には通常の裏面塗装が施される。但し、裏面の構成はそれに限られるものではなく、めっきのままもしくは下地処理のみでもよく、あるいは本発明に従った白色度に優れた2層塗膜もしくは他の化粧用塗膜を形成することも可能である。
1.塗装金属板の作成
基材として、溶融亜鉛めっき鋼板(片面当たりめっき付着量:60g/m、鋼板厚み0.5mm)を使用した。この基材の両面に、シリカ系クロムフリー下地処理(日本ペイント(株)製サーフコートEC2330、付着量:50mg/m)を当該下地処理の通常の処理方法で施した。
塗料は、バインダ成分(ポリエステル樹脂およびメラミン架橋剤)とチタニア顔料(石原産業(株)製「タイペークCR−50」、平均一次粒径:0.25μm)とを、ボールミルを用いて分散混合することにより、塗料固形分基準でチタニア含有量が57質量%および61質量%のものを作製した。溶媒としてはシクロヘキサノンを用い、塗料に対して35質量%含有するように調製した。また、これらの塗料に、AGCエスアイテック(株)製の下記のシリカ粒子を塗料固形分基準で1質量%添加し、ボールミルを用いて分散混合することによって、シリカ粒子含有塗料を作製した。
・シリカA:サンスフェアNP30(平均一次粒径4μm、吸油量30ml/100g)
・シリカB:サンスフェアH31(平均一次粒径3μm、吸油量150ml/100g)
・シリカC:サンスフェアH33(平均一次粒径3μm、吸油量400ml/100g)
これらの塗料を、基材にバーコータで塗装した後、焼付け温度(最高到達板温度)が表1となるようオーブンにて乾燥を行って、下塗り塗膜を形成した。この上に、上塗り塗料をバーコータで塗装した後、表1に示される焼き付け温度でオーブンにて乾燥を行って、上塗り塗膜を形成した。オーブンの雰囲気温度は、下塗りが35秒、上塗りが45秒で所定の焼き付け温度に到達するように設定した。
下塗り塗膜と上塗り塗膜の厚みと、塗料に添加したシリカ粒子の種類および量(塗料固形分に基づく質量%)を表1に示す。
2.評価
こうして作製した塗装金属板を、下記の要領で、L値、外観(ワキ発生の有無)について評価した。試験結果も表1に併記する。
L値は、JIS Z 8722に基づき、ミノルタ(株)製測色計を使用して測定した。L値96以上が良好である。
ワキは、乾燥後の塗膜を肉眼で観察して、ワキが全く見られない場合を○、部分的または全面的にワキが見られる場合を×と評価した。
結果を表1に示す。
Figure 0005195689
No.1のものでもL値95.7が得られたが、さらに高白色度を得ようとして下塗り塗膜を厚くすると、L値96以上の高白色度は得られたもののワキが生じた(No.2)。
そこで、下塗り塗膜中のチタニア含有量を増加させると、下塗り塗膜の厚みをNo.2同等に増加させてもワキが生じず、あわせてL値96以上の高白色度が得られた(No.3)。
また、下塗り塗膜中に吸油量の大きなシリカ粒子を含有させたものも、下塗り塗膜の厚みをNo.2同等に増加させてもワキが生じず、あわせてL値96以上の高白色度が得られた(No.5,6)。さらに、下塗り中のチタニア増量およびシリカ粒子含有をともに行うと下塗り塗膜の厚みをさらに増加させてもワキが発生せず、より高い白色度が得られた(No.10)。ただし、吸油量の小さなシリカの場合は、そのような効果はなかった(No.4)。また塗膜中のシリカ粒子の含有量が足りない場合も同様であった(No.13)。
一方、下塗り塗膜を厚くしなくても、シリカ粒子を上塗り塗膜中に含有させることで、上塗り塗膜の膜厚を増加させてL値96以上の高白色を得ることができた(No.8,9)。ただし塗膜中のシリカ粒子の含有量が足りない場合にはワキが発生した(No.14)。
また、下塗りおよび上塗りの両方にチタニア増量、シリカ含有をともに行うと双方の厚みを増大させることができ、いずれか一方に含有させた場合より高い白色度が得られた(No.11)。
これとは別に、No.2と同様の塗膜構成であっても、下塗りの焼き付け温度を上塗りのものよりも10℃以上高くした例では、ワキが発生せず、しかもL値96以上の高白色度が得られた(No.12)。

Claims (3)

  1. 2層以上の塗膜を備え、ワキの発生に起因する表面性状不良を有さない白色塗装金属板であって、透明層を除き最外層に位置する上層塗膜が顔料としてチタニアを上層塗膜の塗料固形分に対して55質量%以上含有し、当該上層塗膜のすぐ内部にある下層塗膜が顔料としてチタニアを下層塗膜の塗料固形分に対して55質量%超含有し、かつ次の(B)または(C)の少なくとも一つを満たすことを特徴とする、白色塗装金属板。
    B)前記上層塗膜が、吸油量が100ml/100g以上のシリカ粒子を上層塗膜の塗料固形分に対して0.5質量%以上含有する、
    (C)前記下層塗膜が、吸油量が100ml/100g以上のシリカ粒子を下層塗膜の塗料固形分に対して0.5質量%以上含有する
  2. さらに次の(A)または(D)の少なくとも一つを満たす請求項1記載の白色塗装金属板。
    (A)前記下層塗膜におけるチタニアの含有量が下層塗膜の塗料固形分に対して60質量%以上である、
    (D)前記下層塗膜が、前記上層塗膜の焼付け温度に比べて10℃以上高い焼付け温度で焼き付けられたものである。
  3. 前記上層塗膜および前記下層塗膜の少なくとも一方の塗膜の比重が、1.6以上2.3以下である請求項1または請求項2記載の塗装金属板。
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