JP2007276205A - 被覆基材及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明によれば,基材表面の少なくとも一部に被覆層を有し,被覆層は,平均粒径0.20〜0.40μmのルチル型酸化チタンと,ルチル型酸化チタンとは異なる平均粒径0.10〜1.0μmの微粒子と,を含有することを特徴とする,被覆基材とその製造方法および電子機器が提供される。かかる構成により,ルチル型酸化チタンの濃度を高くした場合でも,ルチル型酸化チタン同士の凝集を抑制できるようになり,既存の被覆層を有する材料より高拡散反射率が得られるようになる。
【選択図】なし
Description
(2) 前記被覆層中の前記ルチル型酸化チタンの濃度は,35vol%超70vol%未満であることを特徴とする,(1)に記載の被覆基材。
(3) 前記微粒子は,中空粒子であることを特徴とする,(1)または(2)に記載の被覆基材。
(4) 基材表面の少なくとも一部に複数層からなる被覆層を有し,前記複数層のうちの少なくとも一層は,(1)〜(3)のいずれかに記載の被覆層であることを特徴とする,被覆基材。
(5) 基材表面の少なくとも一部に,少なくともプライマー層,中塗り層および上塗り層の複層構造からなる被覆層を有する被覆基材であって,前記プライマー層は,ルチル型酸化チタンを20〜35vol%含有し,前記中塗り層は,請求項1〜3のいずれかに記載の被覆層であり,前記上塗り層は,ルチル型酸化チタンを0〜35vol%含有し,前記積層構造からなる被覆層の中で,前記中塗り層の膜厚が最も厚いことを特徴とする,被覆基材。
(6) 前記プライマー層の主樹脂は,フッ素樹脂であることを特徴とする,(5)に記載の被覆基材。
(7) 前記上塗り層の主樹脂は,フッ素樹脂であることを特徴とする,(5)または(6)に記載の被覆基材。
(8) 前記被覆層全体の膜厚は,100μm未満であることを特徴とする,(5)〜(7)のいずれかに記載の被覆基材。
(9) 前記被覆基材は,450nm〜750nmの波長領域における光の拡散反射率の最低値が92.5%以上で,且つ555nmの波長の光の拡散反射率が95%以上であることを特徴とする,(5)〜(8)のいずれかに記載の被覆基材。
(10) 前記基材は,金属板であることを特徴とする,(1),(4)又は(5)に記載の被覆基材。
(11) 基材表面の少なくとも一部に,前記基材側から順に,塗料固形分中にルチル型酸化チタンを20〜35vol%含有したプライマー層用塗料,塗料固形分中にルチル型酸化チタンと他の微粒子を含有した中塗り層用塗料,塗料固形分中にルチル型酸化チタンを0〜35vol%含有した上塗り層用塗料を塗布し,焼き付けることを特徴とする,被覆基材の製造方法。
(12) 前記上塗り層用塗料と前記中塗り層用塗料を同時に焼き付けることを特徴とする,(11)に記載の被覆基材の製造方法。
(13) (1)〜(10)のいずれかに記載の被覆基材を使用した電子機器。
まず,評価方法について説明する。
島津製作所社製の分光光度計「UV265」に,積分球反射付属装置を取り付けたものを用い,基準板としては硫酸バリウム粉末を押し固めたものを用いた。評価は,人の目の感度が最も高い波長である555nmにおける拡散反射率については,95%を基準とし,95%以上のものは達成,95%未満のものは未達とした。450nm〜750nmの拡散反射率については,92.5%を基準とし,その波長域での拡散反射率の最低値が92.5%以上のものは達成,92.5%未満のものは未達とした。
図1に実験装置の概要を記載する。木製の箱(1)の中に市販の蛍光灯照明器具(2)を取り付け,蛍光灯(3)から30cm離れた箇所に市販の照度計のセンサー(4)を設置し,照度を測定した。反射板(5)は,新日本製鐵(株)カタログ「ビューコート(登録商標)」に紹介されている白色塗料を塗布した照明器具反射板用プレコート鋼板で作製した反射板(以下,既存の反射板と称す)の照度を測定し,それに対して作製した被覆基材を用いて作製した反射板を取り付けたときの照度を測定した。そして,既存の反射板で測定した時の照度と作製した被覆基材の反射板で測定したときの照度から,照度変化率=([作製した被覆基材による反射板での照度]−[既存の反射板での照度])×100/[既存の反射板での照度]と定義し,照度変化率が15%以上の場合:○,照度変化率が5%以上15%未満の場合:△,照度変化率が5%未満の場合:×として評価した。なお,本実験では,16形ランプ出力16Wの蛍光灯を用いた。
被覆基材の基材には,電気亜鉛めっき鋼板にクロメート処理を施したものを用いた。被覆層は,各層を塗料化したものを塗布焼き付け硬化することで形成した。
実施例1では,ポリエステル樹脂クリア塗料固形分の45vol%に対して,平均粒径0.28μmのルチル型酸化チタンを47vol%,平均粒径0.30μmの炭酸カルシウムを8vol%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が55μmになるようにバーコーターで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
実施例2では,ポリエステル樹脂クリア塗料固形分の45vol%に対して,平均粒径0.28μmのルチル型酸化チタンを体積部で47vol%,中空ビーズ(樹脂中空粒子)を8vol%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が55μmになるようにバーコーターで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
実施例3では,プライマー層として,フッ素樹脂クリア塗料固形分の70vol%に対して,平均粒径0.28μmのルチル型酸化チタンを30vol%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が25μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けた。その上に,中塗り層として,ポリエステル樹脂クリア塗料固形分の45vol%に対して,平均粒径0.28μmのルチル型酸化チタンを47vol%,中空ビーズ(樹脂中空粒子)を8vol%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が40μmになるようにバーコーターで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けた。更にその上に,上塗り層として,ポリエステル樹脂クリア塗料固形分の70vol%に対して,平均粒径0.28μmのルチル型酸化チタンを30vol%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が5μmになるようにブレードコーターで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
実施例4では,プライマー層として,フッ素樹脂クリア塗料固形分の70vol%に対して,平均粒径0.28μmのルチル型酸化チタンを30vol%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が25μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けた。その上に,中塗り層として,ポリエステル樹脂クリア塗料固形分の45vol%に対して,平均粒径0.28μmのルチル型酸化チタンを47vol%,中空ビーズ(樹脂中空粒子)を8vol%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が40μmになるようにバーコーターで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けた。更にその上に,上塗り層として,フッ素樹脂クリア塗料固形分の70vol%に対して,平均粒径0.28μmのルチル型酸化チタンを30vol%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が5μmになるようにブレードコーターで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
実施例5では,プライマー層として,フッ素樹脂クリア塗料固形分の70vol%に対して,平均粒径0.28μmのルチル型酸化チタンを30vol%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が25μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けた。その上に,中塗り層として,ポリエステル樹脂クリア塗料固形分の45vol%に対して,平均粒径0.28μmのルチル型酸化チタンを47vol%,中空ビーズ(樹脂中空粒子)を8vol%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が40μmになるようにブレードコーターで基材に塗装し,焼き付けしないまま,更にその上に,上塗り層として,ポリエステル樹脂クリア塗料固形分の70vol%に対して,平均粒径0.28μmのルチル型酸化チタンを30vol%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼付け焼き付け後の膜厚が5μmになるようにブレードコーターで基材に塗装し,最高到達板温230℃で二層を同時に焼き付けた。
実施例6では,ポリエステル樹脂クリア塗料固形分の45vol%に対して,平均粒径0.21μmのルチル型酸化チタンを47vol%,平均粒径0.30μmの炭酸カルシウムを8vol%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が55μmになるようにバーコーターで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
実施例7では,ポリエステル樹脂クリア塗料固形分の45vol%に対して,平均粒径0.30μmのルチル型酸化チタンを47vol%,平均粒径0.30μmの炭酸カルシウムを8vol%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が55μmになるようにバーコーターで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
実施例8では,ポリエステル樹脂クリア塗料固形分の30vol%に対して,平均粒径0.28μmのルチル型酸化チタンを65vol%,平均粒径0.15μmの炭酸カルシウムを5vol%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が55μmになるようにバーコーターで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
実施例9では,ポリエステル樹脂クリア塗料固形分の30vol%に対して,平均粒径0.28μmのルチル型酸化チタンを65vol%,平均粒径0.90μmの炭酸カルシウムを5vol%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が55μmになるようにバーコーターで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
実施例10では,ポリエステル樹脂クリア塗料固形分の30vol%に対して,平均粒径0.28μmのルチル型酸化チタンを65vol%,平均粒径0.30μmの炭酸カルシウムを5vol%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が55μmになるようにバーコーターで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
実施例11では,ポリエステル樹脂クリア塗料固形分の40vol%に対して,平均粒径0.28μmのルチル型酸化チタンを54vol%,平均粒径0.30μmの炭酸カルシウムを6vol%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が55μmになるようにバーコーターで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
実施例12では,ポリエステル樹脂クリア塗料固形分の56vol%に対して,平均粒径0.28μmのルチル型酸化チタンを36vol%,平均粒径0.30μmの炭酸カルシウムを8vol%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が55μmになるようにバーコーターで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
比較例1では,ポリエステル樹脂クリア塗料固形分の45vol%に対して,平均粒径0.28μmのルチル型酸化チタンを55vol%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が55μmになるようにバーコーターで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
2 照明器具
3 蛍光灯
4 照度計
5 反射板
Claims (13)
- 基材表面の少なくとも一部に被覆層を有し,
前記被覆層は,平均粒径0.20〜0.40μmのルチル型酸化チタンと,前記ルチル型酸化チタンとは異なる平均粒径0.10〜1.0μmの微粒子と,を含有することを特徴とする,被覆基材。 - 前記被覆層中の前記ルチル型酸化チタンの濃度は,35vol%超70vol%未満であることを特徴とする,請求項1に記載の被覆基材。
- 前記微粒子は,中空粒子であることを特徴とする,請求項1または2に記載の被覆基材。
- 基材表面の少なくとも一部に複数層からなる被覆層を有し,
前記複数層のうちの少なくとも一層は,請求項1〜3のいずれかに記載の被覆層であることを特徴とする,被覆基材。 - 基材表面の少なくとも一部に,少なくともプライマー層,中塗り層および上塗り層の複層構造からなる被覆層を有する被覆基材であって,
前記プライマー層は,ルチル型酸化チタンを20〜35vol%含有し,
前記中塗り層は,請求項1〜3のいずれかに記載の被覆層であり,
前記上塗り層は,ルチル型酸化チタンを0〜35vol%含有し,
前記積層構造からなる被覆層の中で,前記中塗り層の膜厚が最も厚いことを特徴とする,被覆基材。 - 前記プライマー層の主樹脂は,フッ素樹脂であることを特徴とする,請求項5に記載の被覆基材。
- 前記上塗り層の主樹脂は,フッ素樹脂であることを特徴とする,請求項5または6に記載の被覆基材。
- 前記被覆層全体の膜厚は,100μm未満であることを特徴とする,請求項5〜7のいずれかに記載の被覆基材。
- 前記被覆基材は,450nm〜750nmの波長領域における光の拡散反射率の最低値が92.5%以上で,且つ555nmの波長の光の拡散反射率が95%以上であることを特徴とする,請求項5〜8のいずれかに記載の被覆基材。
- 前記基材は,金属板であることを特徴とする,請求項1,4又は5に記載の被覆基材。
- 基材表面の少なくとも一部に,前記基材側から順に,塗料固形分中にルチル型酸化チタンを20〜35vol%含有したプライマー層用塗料,塗料固形分中にルチル型酸化チタンと他の微粒子を含有した中塗り層用塗料,塗料固形分中にルチル型酸化チタンを0〜35vol%含有した上塗り層用塗料を塗布し,焼き付けることを特徴とする,被覆基材の製造方法。
- 前記上塗り層用塗料と前記中塗り層用塗料を同時に焼き付けることを特徴とする,請求項11記載の被覆基材の製造方法。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の被覆基材を使用した電子機器。
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