JP2007290293A - 高い拡散反射率を有する被覆基材及びその製造方法 - Google Patents

高い拡散反射率を有する被覆基材及びその製造方法 Download PDF

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武寛 高橋
Atsushi Komuro
篤史 小室
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郁也 井上
Kohei Ueda
浩平 植田
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Abstract

【課題】高い拡散反射率を有する被覆基材およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の被覆基材は,基材表面の少なくとも一部に被覆層を有し,その被覆層が少なくとも2層以上の複数層からなり,その内,最表層は,膜厚が20μm以下であり,拡散反射率が95%以上であり,且つ,光沢が40%以下とすることで高い拡散反射率を有する。
【選択図】なし

Description

本発明は,高い拡散反射率を有する被覆基材とその製造方法に関する。
照明器具,AV機器,電子機器,モバイル機器,液晶テレビ,プラズマディスプレイ等は,可視光線を発することで,周囲を明るくする,光信号を伝える,もしくは光画像を映し出す等の機能を有している。これらの機器では,反射板を設けて,この反射板に光を反射させることで,光の輝度を向上させる,光の方向を変える等を行っているものもある。そのため,反射板に光が反射したときに光量低下を避けるために,反射板表面には高い可視光線反射率が要求される。従来,反射板表面の反射率を高める手段として,金属を研磨して鏡面にする,反射率の高い白色系の塗料を塗装する等が行われていた。また,新日本製鐵(株)カタログ「ビューコート(登録商標)」には,予め白色塗料を塗布した照明器具反射板用プレコート鋼板等も公開されている。
また,例えば特許文献1では,基材フィルムの片表面に金属薄膜層,無機微粒子を含有する樹脂層を順次積層し,当該金属薄皮膜層がアルミニウムからなり,無機微粒子を含有する樹脂層を構成する無機微粒子の屈折率nfと同層を構成する樹脂の屈折率nbとがnf−nb≧0.4とすることで,液晶表示装置の反射板として優れた光反射フィルムの技術が開示されている。さらに,例えば特許文献2では,液晶ディスプレイのバックパネル用として,アルミニウム板上に樹脂100質量部に対してルチル型酸化チタン150〜300質量部を含有する膜厚50〜100μmの下塗り層と,該下塗り層状に,樹脂100質量部に対してルチル型酸化チタンを100〜250質量部含有し,光沢が15以下で,且つ膜厚10〜30μmの上塗り層を形成させた液晶ディスプレイのバックパネル用の高拡散反射塗装金属板の技術が開示されている。
特開平10−730号公報 特開2002−172735号公報
しかし,近年では,照明器具反射板や液晶ディスプレイ等の電気製品に用いる反射板は,電気製品の構造やデザインが複雑化し,これに伴い,反射板も様々な形状に成形加工して使用するニーズが高まってきており,それと同時により強く均一に光を反射することが要求されている。ところが,上記特許文献1に記載された技術のように基材にフィルムを用いた場合は,予め金属薄皮膜層や無機微粒子を含有する樹脂層を積層させたフィルムを目的の形状に成形することは困難であり,予めフィルムを目的の形状に成形した後に金属薄皮膜層や無機微粒子を含有する樹脂層を積層させる必要がある。ただし,反射板の成形形状が複雑な場合,加工部分で皮膜を均一な膜厚に積層させることが困難である。一方,上記特許文献2に記載された技術では,下塗り層と上塗り層をアルミニウム板上に予め塗布させた後に成形加工することはできるが,一般的なプレコート塗装ラインでの塗装では,1回で当該膜厚の下塗り層(50〜100μm)を塗装することは非常に困難であり,2回以上の重ね塗りが必要となるため,生産性が低い等の欠点がある。
したがって,電気製品の構造上やデザイン上の理由で,反射板を成形加工して使用しなければならないこと,反射板の生産性を考えると,特許文献1や特許文献2等に記載された反射板を使用することは困難であった。
本発明は,上記現状に鑑み,基材上に成型加工が可能で,且つ,高い拡散反射率を示し,さらに低光沢である被覆層を形成することで,均一に強く光を反射できる被覆基材及びその製造方法を提供することを目的としている。
本発明者らは,上記課題を解決するために鋭意検討した結果,基材に高拡散反射率であると同時に低光沢の被覆層を形成することで,均一で強く光を反射できる反射板を作成できることを見出し,かかる知見を基に本発明を完成させたものであって,本発明がその要旨とするのは,以下のとおりである。
(1) 基材表面の少なくとも一部に被覆層を有し,前記被覆層は,少なくとも2層の複数層からなり,前記複数層の内,最表層は,膜厚が20μm以下であり,拡散反射率が95%以上であり,且つ,光沢が40%以下であることを特徴とする,被覆基材。
(2) 前記最表層は,つや消し剤を含有することを特徴とする,(1)記載の被覆基材。
(3) 前記最表層を除く前記被覆層の総膜厚の内80%以上が,フッ素樹脂にルチル型酸化チタンを含有する層であることを特徴とする,(1)記載の被覆基材。
(4) 前記ルチル型酸化チタンは,前記フッ素樹脂中に体積比で20〜35%混和されていることを特徴とする,(3)記載の被覆基材。
(5) 基材表面の少なくとも一部に被覆層を有し,前記被覆層は,少なくとも2層の複数層からなり,前記複数層の内,最表層は,つや消し剤を含有し,且つ,膜厚が20μm以下であり,前記最表層を除く前記被覆層の総膜厚の内70%以上が,フッ素樹脂にルチル型酸化チタンを体積比で20〜35%含有する層であることを特徴とする,被覆基材。
(6) 前記最表層の主樹脂は,フッ素樹脂であることを特徴とする,(1),(2)又は(5)に記載の被覆基材。
(7) 前記最表層は,ルチル型酸化チタンを体積比で0〜35%含有することを特徴とする,(1),(2)又は(5)に記載の被覆基材。
(8) 前記被覆層の総膜厚が50〜100μmであることを特徴とする,(1)〜(7)のいずれかに記載の被覆基材。
(9) 前記基材は,金属板であることを特徴とする,(1)記載の被覆基材。
(10) 基材表面の少なくとも一部に,フッ素樹脂にルチル型酸化チタンを含有する下層を塗装により形成し,前記下層の上につや消し剤を含有する最表層を塗装により形成することを特徴とする,被覆基材の製造方法。
(11) 前記最表層と前記下層とを同時に焼き付けることを特徴とする,(10)記載の被覆基材の製造方法。
(12) (1)〜(9)のいずれかに記載の被覆基材を使用した電子機器。
本発明によれば,光をより強く均一に反射できる被覆基材を提供できるようになった。これにより,光源の数を減らしたり,照射強度を弱くしたりしても,従来と同等の照度で均一性も保持することができる照明器具を作成できるようになった。したがって,本発明は極めて産業上の価値の高い発明であると言える。
以下,本発明について詳細に説明する。本発明では,基材表面に高拡散反射率かつ低光沢な被覆層を形成することで,強く,均一に光を反射することに成功した。
本発明では少なくとも2層の被覆層を有し,それぞれの被覆層に役割を分担させることで,高拡散反射率と低光沢を両立している。具体的に最表層により低光沢化を実現し,その内部の層(下層)により高拡散反射率を実現している。拡散反射率が高いものを反射板として用いると,光の効率が良くなり,拡散反射率を95%以上にすると光のロスを少なくすることができる。また,光沢が低いと,光源との距離,角度に関わらず一定の光を反射し易いので,照明の数が少なかったり,間隔が広かったりする場合でも,均一な光を反射することができ,光沢が40%以下であると,実用上十分な均一性を得ることができる。そのため,拡散反射率95%以上と光沢40%以下と言う条件を両立できると,均一に強い光を反射できるため,照明の数を減らしたり,出力を下げたりしても,照明の数を減らしたり,出力を下げたりしていないものと同等の明るさを得ることができる。
高い拡散反射率を得るためには,光拡散性の高い被覆層をなるべく厚く形成する有利であるが,低光沢にするための最表層は特に厚い必要は無く,低光沢になる膜厚が確保されていれば良い。そのため,最表層の膜厚としては20μm以下であると好ましく,最表層の役割を低光沢化に特化させて,その他の部分で高拡散反射率化を図るのであれば10μm以下であった方が好ましい。
最表層の低光沢化の手法としては,いずれも特に限定されるものではなく,製膜後に機械的に凹凸を形成する等の手法をとっても構わないが,最表層につや消し剤を混和することで低光沢化すると,製膜と同時に低光沢化ができ,好ましい。
また,本発明で,つや消し剤とは,特に限定されるものではないが,一般につや消し剤として使用されているものを使用して良く,シリカ,ガラス,樹脂等のビーズやこれらを分散した薬剤を用いても良い。例えば,シリカとしては,十条化学ケミカル社製の「JA TM」シリーズ,富士シリシア化学社製の「サイシリアTM」シリーズ,旭硝子エスアイテック社製の「サンスフェア(登録商標)」シリーズ,デグサ社製の「アエロジル(登録商標)」シリーズ,トクヤマ社製の「トクシール(登録商標)」「ファインシール(登録商標)」シリーズ,樹脂ビーズとしては,十条化学ケミカル社製の「UB TM」シリーズ,積水化成品工業社製の「テクポリマー(登録商標)」,大日精化工業社製の「ラブコロール(登録商標)」「ダイミックビーズ(登録商標)」等を用いることができる。
最表層と基材との間の被覆層については,高拡散反射率が達成できる被覆層であれば,特に限定されるものでは無いが,フッ素樹脂のように屈折率の低い樹脂にルチル型酸化チタンのように高屈折率の顔料を混和したものを形成すると良い。これは被覆層のバインダーと顔料の屈折率差が大きいと,バインダーと顔料との界面における反射率が高くなるためである。
フッ素樹脂にルチル型酸化チタンを混和した被覆層は,厚くした方が高拡散反射率を得易いため,最表層を除く総膜厚の内70%以上がフッ素樹脂にルチル型酸化チタンを混和した被覆層であると良く,最表層を除く総膜厚の80%以上がフッ素樹脂にルチル型酸化チタンを混和した被覆層であるとさらに好ましい。
フッ素樹脂としては,何れも特に限定されるものではないが,ポリフルオロエチレン系のポリテトラフルオロエチレン,ポリトリフルオロエチレン,ポリジフルオロエチレンや,ポリヘキサフルオロプロピレン,ポリバーフロロアルキルビニルエーテル構造を分子鎖中に持つものであれば良く,これらの構造やビニルエーテル,ビニルエステル等との共重合体であったり,アクリル樹脂をブレンドしたものであっても良い。具体的には,旭硝子社製「ルミフロン(登録商標)」,日本ペイント社製「デュフロン(登録商標)」,3M社製「ダイオニン」,大日本インキ化学工業社製「フルオネート(登録商標)」,ダイキン社製「ゼッフル(登録商標)」,東亞合成社製「ザフロン(登録商標)」等を用いることができる。
フッ化ビニリデン単独重合体の場合は,アクリル樹脂と混合して用いるのが一般的である。また,これらの樹脂は,必要に応じて一般に公知の架橋剤,例えば,イソシアネートやメラミン樹脂で架橋させても良い。イソシアネートも,一般に市販されているもの,例えば,住化バイエル社製「スミジュール(登録商標)」,「デスモジュール(登録商標)」シリーズ,三井武田ケミカル社製「タケネート(登録商標)」シリーズ等を使用することができる。メラミン樹脂も,一般に市販されているもの,例えば,三井サイテック社製「サイメル(登録商標)」,「マイコート(登録商標)」シリーズ,大日本インキ化学工業社製「ベッカミン(登録商標)」,「スーパーベッカミン(登録商標)」シリーズ等を使用することができる。
また,本発明で主樹脂とは,被覆層のバインダーとなる成分のうち質量比で50%以上のものを言う。これらの樹脂が主成分であるかどうかは,赤外分光,核磁気共鳴スペクトル,質量分析等を組み合わせることで確認することができる。
本発明の高い拡散反射率を有する被覆基材は,主に可視光を反射することを目的としているため,人の目の感度が高いとされている波長域の拡散反射率が高いことが重要である。人の目は,個人差はあるものの380〜780nmの波長の光を感受することができ,その感度のピークは555nm付近にある。そのため,555nmを中心とした波長の光を強く反射する必要がある。顔料として用いるルチル型酸化チタンの平均粒径は,小さい方が同一体積では表面積が広くなり,反射界面が広くなることになるため,拡散反射率も高くなるが,顔料の粒径が小さくなり過ぎると,長い波長の光の透過してしまう。そのため,なるべく反射界面を広くし,可視光を強く反射するには,ルチル型酸化チタンの平均粒径を200〜400nmとすると好ましく,さらに好ましくは250〜350nmのものが良い。
ここでのルチル型酸化チタンの平均粒径は,確認したい部分を電子顕微鏡により10,000倍で観察し,視野中に映し出されるルチル型酸化チタンの内,数で粒径の小さい方から20%と大きい方から5%を除いた残りのルチル型酸化チタンの粒径の相加平均値である。また,ルチル型酸化チタンにシリカ,アルミナ,ジルコニア,酸化亜鉛,酸化アンチモン,有機物等でコーティングを施したものを使用しても良い。具体的には,石原産業社製「タイペーク(登録商標)」シリーズ,富士チタン社製「TA」シリーズ,テイカ社製「TITANIX(登録商標)」シリーズ等を用いることができる。本発明におけるルチル型酸化チタンは,何れも同様ものを用いれば良い。
また,ルチル型酸化チタンの濃度は,特に限定されるものではないが,体積比で20%以上にすると高い光の拡散性が得られるが,35%を超えると加工性が低下する傾向にあるため,20〜35vol%であると良い。特に高いレベルの拡散反射率を狙うのであれば,ルチル型酸化チタン濃度を25vol%以上にすると良く,特に高い加工性を狙うのであればルチル型酸化チタン濃度を30vol%以下にすると良い。
ここでのルチル型酸化チタンの体積濃度は,次のようにして測定することができる。一つは,まず,測定目的の層のみを削り取る。削り取った面積A1及び深さD1から,塗膜の体積V1をV1=A1×D1として求める。次に,削り取った塗膜を500℃で1時間加熱し,バインダー成分を分解させる。残った部分をルチル型酸化チタンと考えることができる。そのルチル型酸化チタンの体積Vt1を液体に浸漬する等の方法で測定しても良いが,その質量Mt1を測定し,一般的なルチル型酸化チタン顔料の密度は3800〜4200kg・m−3程度なので,ルチル型酸化チタン顔料の密度を4000kg・m−3として,体積Vt1をVt1=Mt1÷4000kg・m−3として求めても良い。このように求めた塗膜の体積V1,ルチル型酸化チタンの体積Vt1から,ルチル型酸化チタンの体積濃度Ct1は,Ct1=Vt1÷V1×100(vol%)として求めることができる。
もう一つは,被覆面に対して垂直な面で被覆基材をカットし,その断面を光学顕微鏡,電子顕微鏡で確認するか,まず,被覆基材の厚さをマイクロメータで測定し,その後,被覆層を剥離して,再度,同じ場所の厚さをマイクロメータで測定し,その差から被覆層の膜厚T2を求める等の方法で確認する。任意の面積A2だけ被覆層を剥離する。剥離した被覆層をるつぼで500℃,1時間加熱する。残った灰分に含まれる酸化チタンの質量Mt2を求める。ルチル型酸化チタン顔料の一般的な密度は4000kg・m−3程度なので,被覆層の体積V2(=A2×T2)中のルチル型酸化チタンの体積Vt2は,Vt2=Mt2÷4000と計算することができる。このように求めた被覆層の体積,ルチル型酸化チタンの体積から,被覆層全体の平均ルチル型酸化チタンの濃度Ct2は,Ct2=Vt2÷V2×100(vol%)と求めることができる。次に,被覆層の膜厚方向の元素分布をGDS(グロー放電発光分光分析装置)や被覆層断面のEMPA(電子線マイクロアナライザ)等で確認する。その元素分布と先に求めた平均ルチル型酸化チタン濃度から,各深さ,各層におけるルチル型酸化チタン濃度を求めることができる。また,有機分の加熱分解による有機分と無機分の質量比の確認はTG(熱重量分析)によって行っても良い。
最表層のバインダーとしては,特に限定されるものではないが,光の反射を目的として使用されるため,耐候性の高いものを用いると好ましい。そのため,最表層のバインダーとしても,フッ素樹脂を用いることが好ましい。フッ素樹脂としては,先に述べたものと同様のものを用いることができる。
最表層にもなるべく高い光の拡散性を付与したい場合は,最表層にもルチル型酸化チタンを混和しても良い。ルチル型酸化チタンの濃度は,あまり高くすると金属が接触した際にルチル型酸化チタンにより金属が磨耗し,黒く着色してしまうことがあるため,35%以下にすることが好ましく,特に高面圧で金属と摩擦するような場合は,30%以下にすることが好ましい。
被覆層の総膜厚としては,特に限定されるものではないが,高拡散反射率にするためには膜厚が厚い方が良いため50μm以上であると好ましいが,あまり厚くしても膜厚による効果が飽和し,膜厚を厚くするためにかかるコストに比べて効果が得難くなること,膜厚を厚くすると加工部や切断した場合の切断端部で高い密着性の確保が難しくなること,また,通常の連続塗装ライン被覆層を形成する場合,一回の塗装で50μm以上の被覆層を形成するのは容易ではなく,2コート2ベークのラインで,100μmを超える膜厚を形成するの困難であること等から,50〜100μmにすることが好ましい。
本発明の被覆基材の基材としては,特に限定されるものではないが,金属板を用いると,基材へ被覆層を形成した後に加工成型が容易であり,好適である。金属板としてもいずれも特に限定されるものではないが,鋼板,ステンレス板,アルミニウム板,亜鉛板,銅板,また,これらの合金板等が挙げられ,さらに,これらの金属板上にめっき処理した金属が挙げられる。この内,鋼板上にめっき処理した例として,溶融亜鉛めっき鋼板,電気亜鉛めっき鋼板,合金化溶融亜鉛めっき鋼板,アルミニウムめっき鋼板,アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板,亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金めっき鋼板,亜鉛−アルミニウム−マグネシウム−シリコン合金めっき鋼板,亜鉛−マグネシウム合金めっき鋼板,錫めっき鋼板,鉛めっき鋼板,クロムめっき鋼板等の各種めっき鋼板等が挙げられる。また,これら金属板に,化成処理を施したものに処理を施すこともできる。化成処理としては,一般に公知の化成処理,例えば,塗布クロメート処理,電解クロメート処理,りん酸亜鉛処理や近年開発されている6価クロムを含まないクロメートフリー処理等を使用することができる。
本発明の高い拡散反射率を有する被覆基材の製造方法としては,特に限定されるものではないが,塗装により容易に製造することができる。例えば,フッ素樹脂にルチル型酸化チタンを混和し,塗装できるように溶剤で希釈したような塗料を塗装することで拡散反射性の高い被覆層を形成し,その上に,最表層としてシリカ等のつや消し剤が混和された低光沢塗料を塗装しても良い。拡散反射性の高い層は複数回に分けて塗装しても良いし,拡散反射性の高い被覆層の下に,プライマー層を塗装により形成しても良い。このように被覆層を塗装により形成すれば,被覆層をフィルムとして別に作成した場合,フィルム作成と基材への貼り付けと言った複数の工程が必要であるのに対し,基材上に直接被覆層を形成でき,工程を少なくすることができると言ったメリットがある。塗装方法は,特に限定されるものではなく,ロール塗工,ローラーカーテン塗工,カーテンフロー塗工,エアスプレー塗工,刷毛塗り塗工,ダイコーター塗工,浸漬塗工,インクジェット塗工等の通常の方法が挙げられる。
各層は,それぞれの塗料を順次塗布,焼き付けて,積層しても良いが,硬化前の状態で積層されたものを同時に焼き付けても,両方の方法を組み合わせてもよい。例えば,拡散反射性の高い層と最表層とを同時に焼き付けると,拡散反射性の高い層の下にプライマー層を形成した場合や光拡散層を厚塗りするため,二度に分けて塗装した場合でも焼き付け工程が2回で良いため,通常3層を別々に焼き付けるなら,連続塗装ラインで比較的ライン上の長いスペースを取る焼き付け工程の設備を3つ設置しなくてはならないか,2つしか焼き付け工程を持たないラインでは2回ラインを通さないといけないのに対して,同時に焼き付けをすると,焼き付け装置が2つ設置されていれば1回ラインを通すだけで良いため生産性を高めることができ好ましい。塗料状態で積層する方法は,特には限定されるものではないが,大きく二つある。一つは各層を別々に塗布する方法で,一つは複数の層を同時に塗布する方法である。各層を別々に塗布する場合,下層の塗装は上述のような通常の塗装方法で構わないが,上層の塗装は,未硬化の下層に大きな衝撃を加えない方法で塗布することが好適である。下層に大きな衝撃を加えてしまう方法で塗装をすると,上層と下層が混ざってしまう。上層の塗装方法としては,下層を激しく乱さない方法であれば,特に限定されるものではないが,ローラーカーテン塗工,カーテンフロー塗工,エアスプレー塗工,ダイコーター塗工,浸漬塗工,インクジェット塗工等が挙げられる。複数の層を同時に塗布する場合,各層が塗布時に混ざらない必要がある。塗装方法としては,特に限定されるものではないが,多層スライドカーテン塗工等の方法が挙げられる。このような方法で多層を同時に焼き付けると,同時に焼き付けた層間の密着性が高くなり好ましい。
本発明による被覆基材を使用した電気電子機器では,この被覆基材が可視光域で高い拡散反射率を持つため,同一光源の場合はこれまでよりも明るく,これまでより光源の数を少なくしたり,投入電力を少なくしたりしても,これまでと同等の明るさを確保することができる。このような特性を生かすことができる電気電子機器は何れも特に限定されるものではなく,照明器具,電飾,AV機器,モバイル機器,各種ディスプレイ等が挙げられるが,液晶ディスプレイのバックライト反射板,照明反射板,内飾看板内の反射板等に用いると好ましい。
実施例に基づき,本発明をさらに説明する。
まず,評価方法について説明する。
1) 拡散反射率測定
島津製作所社製の分光光度計「UV265」に,積分球反射付属装置を取り付けたものを用い,基準板としては硫酸バリウム粉末を押し固めたものを用いた。評価は,人の目の感度が最も高い波長である555nmにおけるの拡散反射率については,95%を基準とし,95%以上のものは達成,95%未満のものは未達とした。
2) 光沢の測定
JIS K 5400に規格された鏡面光沢度の測定で,入射角と受光角を共に60°として測定し,測定値が基準とした40%以下の場合:○,40%より高い場合:×として評価した。
3) 照明器具の輝度測定
図1に実験装置の概要を示す。被覆基材を図1に示すような長手方向の両端部が上面側に折り曲げられた形状に成形し,反射板1とした。その中に市販の蛍光灯照明器具2を2本並べて取り付け,その上に,すりガラスで形成されたカバー3を取り付けた。そのカバー3の中央部分(以下,「輝度測定部」という。)4と中央部分4から1.5cm外側にずらした部分(以下,「輝度の均一性比較測定部」という。)5の輝度を,測定点から垂直に50cm離れたところに輝度計6を設置して,測定した。
輝度の評価は,カバー3の輝度測定部4を測定することで評価した。測定の際は,蛍光灯照明器具2以外の光は全て遮断し,新日本製鐵(株)カタログ「ビューコート(登録商標)」に紹介されている白色塗料を塗布した照明器具反射板用プレコート鋼板で作成した反射板(以下,既存の反射板と称す)の輝度を測定し,それに対して作製した被覆基材を用いて作成した反射板1を取り付けたときの照度を測定した。そして,既存の反射板で測定した時の照度と作製した被覆基材の反射板1で測定したときの照度から,輝度変化率=([作製した被覆基材による反射板1での輝度]−[既存の反射板での輝度])×100/[既存の反射板での輝度]と定義し,輝度変化率が15%以上の場合:○,輝度変化率が5%以上15%未満の場合:△,輝度変化率が5%未満の場合:×として評価した。なお,本実験では,蛍光灯照明器具2としては,16形ランプ出力16Wの蛍光灯を用いた。
また,輝度の均一性の評価は,カバーの輝度測定部4と輝度測定部4から1.5cmずらした輝度の均一性比較測定部5の二箇所の輝度を測定し,輝度の均一度=100−([輝度の均一性比較測定部5の輝度]−[輝度測定部4の輝度])/[輝度測定部4の輝度]×100と定義し,輝度の均一度が85%以上の場合:○,輝度の均一度が70%以上85%未満の場合:△,70%未満の場合:×として評価した。
被覆基材の基材としては,電気亜鉛めっき鋼板にクロメート処理を施したものを用いた。被覆層は各層を塗料化したものを塗布焼き付け硬化することで形成した。
被覆層のバインダーとしては,フッ素樹脂,ポリエステル樹脂を用いた。フッ素樹脂としては,市販の3フッ化エチレン系樹脂である旭硝子社製「ルミフロン(登録商標)LF552」を用いた。架橋剤には市販のHDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)をベースとしたブロック化イソシアネートである住化バイエルウレタン社製「スミジュール(登録商標)BL3175」をOH/NCO=1:1等量で混合し,さらに,三井武田ケミカル社製反応触媒「TK−1」を樹脂固形質量分に対して0.05質量%添加することで,フッ素系クリア塗料を得た。ポリエステル樹脂としては,市販の有機溶剤可溶型/非晶性ポリエステル樹脂である東洋紡績社製「バイロン(登録商標)GK140」を有機溶剤(ソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したもの)に溶解したものを用いた。架橋剤には市販のヘキサ−メトキシ−メチル化メラミンである三井サイテック社製の「サイメル(登録商標)303」をポリエステル樹脂の固形分100質量部に対して15質量部添加し,更に,市販の酸性触媒である三井サイテック社製の「キャタリスト(登録商標)6003B」を0.5質量部添加することで,ポリエステル系クリア塗料を得た。
ルチル型酸化チタンとしては,平均粒径280nmである石原産業社製「タイペーク(登録商標)CR95」を用いた。
つや消し剤としては,富士シリシア化学社製のつや消し用シリカ「サイシリアTM」を用いた。
(実施例1)
実施例1では,下層の被覆層として,フッ素樹脂クリア塗料固形分の75体積部に対して,ルチル型酸化チタンを25体積部混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が50μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けた。その上に最表層として,ポリエステル樹脂クリア塗料固形分の95質量部に対して,つや消し剤を5質量部混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が3μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
(実施例2)
実施例2では,下層の被覆層として,フッ素樹脂クリア塗料固形分の75体積部に対して,ルチル型酸化チタンを25体積部混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が50μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けた。その上に最表層として,フッ素樹脂クリア塗料固形分の95質量部に対して,つや消し剤を5質量部混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が3μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
(実施例3)
実施例3では,下層の被覆層として,ポリエステル樹脂クリア塗料固形分の75体積部に対して,ルチル型酸化チタンを25体積部混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が15μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けた。その上に,フッ素樹脂クリア塗料固形分の75体積部に対して,ルチル型酸化チタンを25体積部混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が50μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けた。さらにその上に,最表層として,フッ素樹脂クリア塗料固形分の95質量部に対して,つや消し剤を5質量部混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が3μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
(実施例4)
実施例4では,下層の被覆層として,フッ素樹脂クリア塗料固形分の75体積部に対して,ルチル型酸化チタンを25体積部混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が15μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けた。その上にフッ素樹脂クリア塗料固形分の75体積部に対して,ルチル型酸化チタンを25体積部混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が50μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けた。さらにその上に,最表層として,フッ素樹脂クリア塗料固形分の95質量部に対して,つや消し剤を5質量部混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が3μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
(実施例5)
実施例5では,下層の被覆層として,フッ素樹脂クリア塗料固形分の75体積部に対して,ルチル型酸化チタンを25体積部混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が50μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けた。その上に最表層として,フッ素樹脂クリア塗料固形分の75体積部に対して,ルチル型酸化チタンを25体積部混和し,混和したものの固形分95質量部に対して,つや消し剤を5質量部混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が3μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
(実施例6)
実施例6では,下層の被覆層として,フッ素樹脂クリア塗料固形分の75体積部に対して,ルチル型酸化チタンを25体積部混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が50μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けた。その上に最表層として,フッ素樹脂クリア塗料固形分の75体積部に対して,ルチル型酸化チタンを25体積部混和し,混和したものの固形分95質量部に対して,つや消し剤を5質量部混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が5μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
(実施例7)
実施例7では,下層の被覆層として,フッ素樹脂クリア塗料固形分の75体積部に対して,ルチル型酸化チタンを25体積部混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が50μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けた。その上に最表層として,フッ素樹脂クリア塗料固形分の75体積部に対して,ルチル型酸化チタンを25体積部混和し,混和したものの固形分95質量部に対して,つや消し剤を5質量部混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が19μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
(実施例8)
実施例8では,下層の被覆層として,ポリエステル樹脂クリア塗料固形分の75体積部に対して,ルチル型酸化チタンを25体積部混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が15μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けた。その上に,フッ素樹脂クリア塗料固形分の75体積部に対して,ルチル型酸化チタンを25体積部混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が45μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けた。さらにその上に,最表層として,フッ素樹脂クリア塗料固形分の75体積部に対して,ルチル型酸化チタンを25体積部混和し,混和したものの固形分95質量部に対して,つや消し剤を5質量部混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が5μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
(実施例9)
実施例9では,下層の被覆層として,フッ素樹脂クリア塗料固形分の75体積部に対して,ルチル型酸化チタンを25体積部混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が15μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けた。その上に,フッ素樹脂クリア塗料固形分の75体積部に対して,ルチル型酸化チタンを25体積部混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が35μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けた。さらにその上に,最表層として,フッ素樹脂クリア塗料固形分の95質量部に対して,つや消し剤を5質量部混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が5μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
(実施例10)
実施例10では,下層の被覆層として,ポリエステル樹脂クリア塗料固形分の75体積部に対して,ルチル型酸化チタンを25体積部混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が15μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けた。その上に,フッ素樹脂クリア塗料固形分の75体積部に対して,ルチル型酸化チタンを25体積部混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が35μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けた。さらにその上に,最表層として,フッ素樹脂クリア塗料固形分の75体積部に対して,ルチル型酸化チタンを25体積部混和し,混和したものの固形分95質量部に対して,つや消し剤を5質量部混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が5μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
(実施例11)
実施例11では,下層の被覆層として,ポリエステル樹脂クリア塗料固形分の75体積部に対して,ルチル型酸化チタンを25体積部混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が15μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けた。その上に,フッ素樹脂クリア塗料固形分の75体積部に対して,ルチル型酸化チタンを25体積部混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が35μmになるようにバーコートで基材に塗装し,さらにその上に,最表層として,フッ素樹脂クリア塗料固形分の75体積部に対して,ルチル型酸化チタンを25体積部混和し,混和したものの固形分95質量部に対して,つや消し剤を5質量部混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が5μmになるようにブレードコーターで基材に塗装し,2層同時に最高到達板温230℃で焼き付けた。
(実施例12)
実施例12では,下層の被覆層として,フッ素樹脂クリア塗料固形分の80体積部に対して,ルチル型酸化チタンを20体積部混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が15μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けた。その上に,フッ素樹脂クリア塗料固形分の75体積部に対して,ルチル型酸化チタンを25体積部混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が35μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けた。さらにその上に,最表層として,フッ素樹脂クリア塗料固形分の75体積部に対して,ルチル型酸化チタンを25体積部混和し,混和したものの固形分95質量部に対して,つや消し剤を5質量部混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が5μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
(実施例13)
実施例13では,下層の被覆層として,フッ素樹脂クリア塗料固形分の65体積部に対して,ルチル型酸化チタンを35体積部混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が15μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けた。その上に,フッ素樹脂クリア塗料固形分75体積部に対して,ルチル型酸化チタンを25体積部混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が35μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けた。さらにその上に,最表層として,フッ素樹脂クリア塗料固形分の75体積部に対して,ルチル型酸化チタンを25体積部混和し,混和したものの固形分95質量部に対して,つや消し剤を5質量部混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が5μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
(実施例14)
実施例14では,下層の被覆層として,フッ素樹脂クリア塗料固形分の75体積部に対して,ルチル型酸化チタンを25体積部混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が15μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けた。その上に,フッ素樹脂クリア塗料固形分の75体積部に対して,ルチル型酸化チタンを25体積部混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が35μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けた。さらにその上に,最表層として,フッ素樹脂クリア塗料固形分の65体積部に対して,ルチル型酸化チタンを35体積部混和し,混和したものの固形分95質量部に対して,つや消し剤を5質量部混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が5μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
(比較例1)
比較例1では,ポリエステル樹脂クリア塗料固形分の75体積部に対して,ルチル型酸化チタンを25体積部混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が15μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
(比較例2)
比較例2では,下層の被覆層として,フッ素樹脂クリア塗料固形分の75体積部に対して,ルチル型酸化チタンを25体積部混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が25μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けた。その上に,最表層として,フッ素樹脂クリア塗料固形分の75体積部に対して,ルチル型酸化チタンを25体積部混和し,混和したものの固形分95質量部に対して,つや消し剤を5質量部混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が30μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
(比較例3)
比較例3では,下層の被覆層として,ポリエステル樹脂クリア塗料固形分の75体積部に対して,ルチル型酸化チタンを25体積部混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が15μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けた。その上に,フッ素樹脂クリア塗料固形分の75体積部に対して,ルチル型酸化チタンを25体積部混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が45μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けた。さらにその上に,最表層として,フッ素樹脂クリア塗料固形分の75体積部に対して,ルチル型酸化チタンを25体積部混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加えた塗料を,焼き付け硬化後の膜厚が5μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
Figure 2007290293
実施例1〜14は,拡散反射率,光沢,輝度,輝度の均一度の何れの評価とも良好な結果であった。比較例1,2は,拡散反射率が低く,それに対応して輝度も低かった。比較例3は,拡散反射率は高く,輝度も高かったが,光沢が高かったため,それに対応して,輝度の均一度が低かった。
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
輝度測定装置の一例を示す断面模式図である。 図1の輝度測定装置を上部から見た模式図である。
符号の説明
1 反射板
2 蛍光灯照明器具
3 カバー
4 輝度測定部
5 輝度の均一性比較測定部
6 輝度計

Claims (12)

  1. 基材表面の少なくとも一部に被覆層を有し,
    前記被覆層は,少なくとも2層の複数層からなり,
    前記複数層の内,最表層は,膜厚が20μm以下であり,拡散反射率が95%以上であり,且つ,光沢が40%以下であることを特徴とする,被覆基材。
  2. 前記最表層は,つや消し剤を含有することを特徴とする,請求項1記載の被覆基材。
  3. 前記最表層を除く前記被覆層の総膜厚の内80%以上が,フッ素樹脂にルチル型酸化チタンを含有する層であることを特徴とする,請求項1記載の被覆基材。
  4. 前記ルチル型酸化チタンは,前記フッ素樹脂中に体積比で20〜35%混和されていることを特徴とする,請求項3記載の被覆基材。
  5. 基材表面の少なくとも一部に被覆層を有し,
    前記被覆層は,少なくとも2層の複数層からなり,
    前記複数層の内,最表層は,つや消し剤を含有し,且つ,膜厚が20μm以下であり,
    前記最表層を除く前記被覆層の総膜厚の内70%以上が,フッ素樹脂にルチル型酸化チタンを体積比で20〜35%含有する層であることを特徴とする,被覆基材。
  6. 前記最表層の主樹脂は,フッ素樹脂であることを特徴とする,請求項1,2又は5に記載の被覆基材。
  7. 前記最表層は,ルチル型酸化チタンを体積比で0〜35%含有することを特徴とする,請求項1,2又は5に記載の被覆基材。
  8. 前記被覆層の総膜厚が50〜100μmであることを特徴とする,請求項1〜7のいずれかに記載の被覆基材。
  9. 前記基材は,金属板であることを特徴とする,請求項1記載の被覆基材。
  10. 基材表面の少なくとも一部に,フッ素樹脂にルチル型酸化チタンを含有する下層を塗装により形成し,前記下層の上につや消し剤を含有する最表層を塗装により形成することを特徴とする,被覆基材の製造方法。
  11. 前記最表層と前記下層とを同時に焼き付けることを特徴とする,請求項10記載の被覆基材の製造方法。
  12. 請求項1〜9のいずれかに記載の被覆基材を使用した電子機器。

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