JP2006175817A - 反射性と成形加工性に優れる塗装金属板及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 成形加工性に優れかつ反射性が改善された塗装金属板を提供する。
【解決手段】 金属板上にフッ素樹脂と酸化チタンを含む少なくとも2層の塗装皮膜を有し、皮膜の界面の表面粗さが0.3〜0.7μmであることを特徴とする反射性と成形加工性に優れる塗装金属板。金属板上にフッ素樹脂と酸化チタンを含む第1の塗装皮膜を塗布後、乾燥せずにフッ素樹脂と酸化チタンを含む第2の塗装皮膜を塗布し、両層を同時に乾燥する工程を含む塗装金属板の製造方法で製造できる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、反射性と成形加工性に優れる塗装金属板に関し、照明器具、AV機器、モバイル機器、プラズマディスプレイ、液晶テレビ等の電気電子機器に用いるのに好適な、可視光線を反射する機能に優れかつ成形加工性にも優れる塗装金属板機器に関する。
例えば、照明器具、AV機器、電子機器、モバイル機器、液晶テレビ、プラズマディスプレイ、等には可視光線を発することで、周囲を明るくする、光信号を伝える、もしくは光画像を映し出す等機能を有している。これらの機器では、反射板を設けて、この反射板に光を反射させることで光の輝度を向上させる、光の方向を変える等を行っているものもある。そのため、反射板に光が反射したときに光量低下を避けるために、反射板表面には高い光反射率が要求される。従来、反射板表面の反射率を高める手段として、金属を研磨して鏡面にする、反射率の高い白色系の塗料を塗装する等が行われていた。また、新日本製鐵(株)カタログ「ビューコート」には、予め白色塗料を塗布した照明器具反射板用プレコート鋼板等も公開されている。
また、特許文献1では、基材フィルムの片表面に金属薄膜層、無機微粒子を含有する樹脂層を順次積層し、当該金属薄皮膜層がアルミニウムからなり、無機微粒子を含有する樹脂層を構成する無機微粒子の屈折率nfと同層を構成する樹脂の屈折率nbとがnf-nb≧0.4とすることで、液晶表示装置の反射板として優れた光反射フィルムの技術が開示されている。更に、特許文献2では、液晶ディスプレイのバックパネル用として、アルミニウム板上に樹脂100質量部に対して酸化チタン顔料150〜300質量部を含有する膜厚50〜100μmの下塗り層と、該下塗り層状に、樹脂100質量部に対して酸化チタン顔料を100〜250質量部を含有し、光沢が15以下で、且つ膜厚10〜30μmの上塗り層を形成させた液晶ディスプレイのバックパネル用の高拡散反射塗装金属板の技術が開示されている。
しかし、反射板ではできるだけ高い光反射性が望まれるとともに、近年では、照明器具反射板や液晶ディスプレイ等の電気製品に用いる反射板は、電気製品の構造やデザインが複雑化し、これに伴い、反射板も様々な形状に成形加工して使用するニーズが高まってきている。
そこで、本出願人は、先に、特許文献4において金属板上にバインダー樹脂と酸化チタンを含む下塗り皮膜とフッ素系樹脂を含むバインダー樹脂と酸化チタンからなる光反射性上塗り皮膜を積層することで、加工性に優れ且つ反射性に優れるプレコート金属板を開示している。
特開平10-730号公報 特開2002-172735号公報 特開2002-228085号公報 特願2003-206052号(WO04/076172パンフレット)
本出願人が先に特許文献4に開示した、金属板上にバインダー樹脂と酸化チタンを含む下塗り皮膜とフッ素系樹脂を含むバインダー樹脂と酸化チタンからなる光反射性上塗り皮膜を積層してなる加工性に優れ且つ反射性に優れる塗装金属板において、光反射性をより高めるために、下塗り皮膜のバインダー樹脂にフッ素樹脂を含ませると、下塗り皮膜と光反射性上塗り皮膜の両層間の密着性が得られず、層間剥離が発生するので、下塗り皮膜のバインダー樹脂にフッ素樹脂を含ませることには問題があった。
そこで、本発明は、本出願人が先に特許文献4に開示した加工性に優れ且つ反射性に優れる塗装金属板の反射性をさらに改善し、下塗り皮膜のバインダー樹脂にフッ素樹脂を含ませても層間密着性を保持する方法を開発し、より高い反射性と成形加工性を有する塗装金属板を提供し、またその製造方法およびそのような塗装金属板を用いた電気電子機器を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、フッ素樹脂と酸化チタンを含む下層皮膜とフッ素樹脂と酸化チタンを含む上層皮膜を同時塗布するか、あるいはフッ素樹脂と酸化チタンを含む下層皮膜を塗布した後乾燥することなくフッ素樹脂と酸化チタンを含む上層皮膜をウェットオンウェット塗布し、然る後に両層を同時焼付けすると、フッ素樹脂を含むものであっても上下両層間の密着性に優れることが可能であること、従って、成形加工性に優れかつ反射性をさらに改善した塗装金属板を得ることができること見出した。
その結果として、本発明によれば、下記が提供される。
(1)金属板上にフッ素樹脂と酸化チタンを含む少なくとも2層の塗装皮膜を有し、皮膜の界面の表面粗さが0.3〜0.7μmであることを特徴とする反射性と成形加工性に優れる塗装金属板。
(2)前記少なくとも2層の塗装皮膜が、バインダー固形分100質量部に対して酸化チタンを40〜250質量部含有する上記(1)記載の反射性と成形加工性に優れる塗装金属板。
(3)前記少なくとも2層の塗装皮膜のフッ素樹脂が官能基を有し、前記少なくとも2層の塗装皮膜が前記フッ素樹脂の前記官能基と反応する樹脂を含む上記(1)または(2)に記載の反射性と成形加工性に優れる塗装金属板。
(4)前記塗装皮膜に含まれるフッ素系樹脂が前記官能基を有する3フッ化エチレン共重合体樹脂である上記(3)に記載の反射性と成形加工性に優れる塗装金属板。
(5)前記フッ素樹脂の前記官能基と反応する樹脂がイソシアネートまたはメラミン樹脂である上記(3)または(4)に記載の反射性と成形加工性に優れる塗装金属板。
(6)前記塗装皮膜がフッ素樹脂の他の樹脂をさらに含む上記(1)〜(5)のいずれか1項記載の反射性と成形加工性に優れる塗装金属板。
(7)前記少なくとも2層の塗装皮膜の界面においてフッ素樹脂濃度の勾配と酸化チタン濃度の勾配が存在する上記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の反射性と成形加工性に優れる塗装金属板。
(8)上記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の塗装金属板を組み込んでなる電気電子機器。
(9)金属板上にフッ素樹脂と酸化チタンを含む第1の塗装皮膜を塗布後、乾燥せずにフッ素樹脂と酸化チタンを含む第2の塗装皮膜を塗布し、両層を同時に乾燥する工程を含むことを特徴とする反射性と成形加工性に優れる塗装金属板の製造方法。
(10)前記第1及び第2の塗装皮膜の塗布を、多層コータまたはウェットオンウェット塗布で行う上記(9)に記載の反射性と成形加工性に優れる塗装金属板の製造方法。
本発明により、成形加工性に優れかつ反射性をさらに改善した塗装金属板を得ることができる。
本発明の反射性塗装金属板の反射性塗装皮膜は少なくとも2層の反射性塗装皮膜からなるが、簡単のために以下では主として上下2層の反射性塗装皮膜からなる態様について説明する。3層以上の場合も2層の場合と同様である。
本発明の少なくとも2層からなる反射性塗装皮膜は光反射性顔料として酸化チタンを含む。酸化チタンは、屈折率が高いため、皮膜中に添加した場合、拡散反射効果がより高くなる。しかし、一般に公知の他の光反射性顔料、例えば、アルミ、銀、硫酸バリウム、酸化亜鉛等を公知の顔料を必要に応じてさらに含むことは任意である。
酸化チタンの添加量は、少なくとも2層の塗装皮膜の全体において、より好適には少なくとも2層の塗装皮膜の各皮膜において、皮膜のバインダー100質量部に対して40〜250質量部であると好適である。酸化チタンの添加量が40質量部未満では、光反射機能が向上せず、また、250質量部超では、皮膜塗料が増粘したり、ゲル化したりする等の不具合が生じるため、不適である。好ましくは65〜150質量部である。ただし、バインダー樹脂の種類によって樹脂の比重等が異なり、酸化チタンの最適添加量範囲も若干異なるため、適宜選定する必要がある。本発明に用いる酸化チタンは、一般に公知の酸化チタン、例えば、石原産業社製の「タイペークTM」、テイカ社製の「チタニクスTM」等を使用することができる。ただし、一般に公知の酸化チタンには、ルチル型とアナターゼ型とがあり、ルチル型がより好適である。アナターゼ型は、ルチル型より光触媒作用が大きいため、皮膜バインダーを分解してしまう恐れがある。また、光触媒作用を低減させる、顔料分散性を向上させる、顔料の耐候性を向上させる等の目的で、酸化チタンの表面には、Al、Si、Zr、有機物、等で表面処理を施しても良い。可視光反射性塗膜の膜厚は、厚い方が可視光反射率を向上させるためより好適であるが、厚すぎると塗装作業性が低下するため、好ましくない。しかし、塗料バインダーの種類によっても最適膜厚は異なるため、一概に規定することはできないが、10〜50μmが好ましい。
本発明の反射性塗装皮膜を構成する少なくとも2層の塗装皮膜のバインダーは、他の一般に公知の皮膜用バインダーも使用することができるが、フッ素樹脂を含むことが必須である。
本発明の塗装金属板の少なくとも2層の光反射性皮膜中に酸化チタンとともにフッ素系樹脂を含むことにより、反射性がより向上する。フッ素系樹脂は、一般に公知の他の樹脂と比べて屈折率が低いため、屈折率の高い酸化チタンと組み合わせるとバインダー樹脂と酸化チタン顔料との屈折率差が大きくなり、これらの界面で光がより反射し易くなる。フッ素樹脂は、3フッ化エチレン樹脂、4フッ化エチレン樹脂、フッ化ビニリデン等の一般に公知のものを使用することができる。これら樹脂は、単独重合体として用いても良いし、他の樹脂モノマーと共重合させる等して用いても良い。これらのフッ素系樹脂を他の樹脂と混合して用いても良い。ただし、塗膜中のフッ素濃度がより高い塗膜が、より好ましい。特に3フッ化エチレン樹脂を用いた物は、塗膜中のフッ素濃度が高く、且つ、塗料化し易いため、より好適である。これらフッ素系樹脂を含むバインダー樹脂は、市販のフッ素系塗料用樹脂、例えば、アトムゲノム社製のフッ化ビニリデン単独重合体である「カイナー-シリーズ」や旭硝子社製の3フッ化エチレン樹脂と他の樹脂との共重合体である「ルミフロンTM-シリーズ」を用いても良い。フッ化ビニリデン単独重合体の場合は、アクリル樹脂と混合して用いるのが一般的である。また、これらの樹脂は、必要に応じて一般に公知の架橋剤、例えば、イソシアネートやメラミン樹脂で架橋させても良い。イソシアネートも、一般に市販されているもの、例えば、住化バイエル社製「スミジュールTM」「デスモジュールTM」、三井武田ケミカル社製「タケネート」等を使用することができる。メラミン樹脂も、一般に市販されているもの、例えば、三井サイテック社製「サイメルTM」「マイコートTM」、大日本インキ化学工業社製「ベッカミンTM」「スーパーベッカミンTM」等を使用することができる。これらの架橋剤は用いなくても良い。ただし、架橋剤の添加量は、フッ素樹脂を含む全主樹脂100質量部に対して20質量部以下であると、皮膜中のフッ素濃度がより高くなるため、拡散反射率もより向上し、好適である。3フッ化エチレン樹脂の場合、水酸基価が10 mg-KOH/g以下のものを用いて、且つ、架橋剤の添加量が3フッ化エチレン樹脂を含む全主樹脂100質量部に対して20質量部以下であると拡散反射率がより向上するため、より好適である。これは、水酸基価が10mg-KOH/g以下であると、少量の架橋剤量で被膜が架橋される、もしくは、架橋剤を用いなくても成膜するため、被膜中のフッ素濃度が高くなるためである。
フッ素樹脂以外の樹脂は、一般に公知のもの、例えば、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、塩化ビニル樹脂、等を用いることができ、熱可塑タイプ、熱硬化タイプのいずれのタイプであっても良い。これらの樹脂は、必要に応じて数種のものを併用しても良い。これらの樹脂は、種類、樹脂の分子量、樹脂のガラス転移温度(Tg)によっても、皮膜の性能、例えば、加工性、加工密着性、皮膜硬度等が異なるため、特に規定するものではないが、必要に応じて適宜選定する必要がある。また、架橋剤を用いて樹脂を硬化させるタイプのものは、架橋剤の種類や添加量、架橋反応時の触媒の種類や触媒添加量によっても、皮膜の性能、例えば、加工性、加工密着性、皮膜硬度等が異なるため、特に規定するものではないが、必要に応じて適宜選定する必要がある。これらの樹脂は、固体のものを熱溶融したり、有機溶剤に溶解して用いたり、粉砕して粉体にして用いることができる。また、水溶性のものや、水分散したエマルジョンタイプのものでも良い。更には、紫外線(UV)硬化タイプや電子線(EB)硬化タイプのものでも良い。これらは、いずれも市販のタイプのものを使用することができる。
発明者らがこれまでに得た知見では、フッ素樹脂と併用して効果の高いものは、溶剤系のメラミン硬化型ポリエスエル系、溶剤系のイソシアネート硬化型ポリエステル系、水分散型アクリルエマルジョン等が好適であるが、これらは例示であり、これらに限定されるものではない。
本発明の光反射性皮膜中には、酸化チタンに加えて、必要に応じて熱吸収性顔料、導電性顔料着色顔料、防錆顔料、防錆剤等を併用して添加することができる。ただし、光反射性皮膜の光反射率をより向上させたい場合は、バインダー樹脂と酸化チタンのみの皮膜構成が、より光拡散反射率が向上し、より好適である。光反射性皮膜中に酸化チタン以外の顔料を添加すると、バインダー樹脂と酸化チタン以外の顔料との間で屈折率差の小さい界面が発生してしまうため、皮膜の光拡散反射率が低下してしまう。しかし、外観や防食の観点から、必要な場合は、光反射性皮膜にも酸化チタン以外の顔料を添加しても良い。
一般に塗装皮膜を1層で金属板上に厚く形成することは困難であり、また下塗り層(プライマー層)と上塗り層で組成を変えることが望ましいことがある。しかし、フッ素樹脂と酸化チタンを含む塗装皮膜を2層以上積層して形成しようとすると、フッ素樹脂含有層どうしの密着性が低いので、加工時に層間で剥離しやすいという問題がある。このため、下塗り層(プライマー層)にはフッ素樹脂を用いることができないか、含有できるフッ素樹脂と酸化チタンの量に制限があり、結果として光反射率をさらに高くすることができなかった。
本発明の反射性塗装金属板では、上下2層の塗装皮膜層は、フッ素樹脂と酸化チタンを含む少なくとも2層の塗装用組成物を、同時塗布するか、または下層を塗布後乾燥せずに上層を塗布してから、これらの層を同時乾燥させる方法で形成することを特徴とする。この上下層を同時乾燥法することにより、下層皮膜と上層皮膜の界面は比較的粗いものとなり、また下層皮膜と上層皮膜のフッ素樹脂を含むバインダー樹脂等が相互に拡散し合い、さらには下層皮膜と上層皮膜に相互に反応する基が存在する場合には相互に反応することで、フッ素樹脂を含む下層皮膜と上層皮膜の間の密着性が向上するものと考えられる。
この同時乾燥法を採用して下層皮膜と上層皮膜の界面が比較的粗いものとされるとき、界面の形状を平均表面粗さの測定方法(計算方法)で表現すると、0.3〜0.7μmであることが好適であり、0.3〜0.6μmであることがさらに好適である。これは、塗布された塗装組成物が両方とも液体であることから、液体界面の揺らぎのために粗くできるものである。界面の平均粗さは、界面の断面写真から得られる界面の形状を下層の表面と考えて、そのみなされる表面について公知の平均表面粗さの測定(計算)方法(JIS規格)を適用して求めるものとする。
2層塗布、同時乾燥の結果として、下層と上層の組成が異なれば、両層の成分であるフッ素樹脂及び酸化チタン等の濃度が両層界面付近で勾配を持つことができ、また、下層と上層のバインダー樹脂の間に反応性があれば、両層の間で架橋反応が起きることが可能である。そして、このような両層間の相互作用も、両層間の密着性を向上させるように作用する。また、フッ素樹脂を含む層間の層間密着性が向上することにより、下層にもフッ素樹脂を用いることが可能になり、反射性塗装金属板の全体の反射率が向上することが可能にされる。
2層塗布あるいは各層の塗布ならびに同時乾燥の具体的な方法としては、下層および上層をスライドカーテン方式やローラーカーテン方式等で同時塗布し、加熱乾燥する方法(例えば、特開平6−190335号公報)、あるいは下層を任意の方法(ロールコート、カーテンコート等)で塗布後、乾燥させずに上層を非接触の任意の方法(カーテン、スプレー等)で塗布し、両層を同時に乾燥する方法を採用することができる。これらの塗布方法、乾燥方法自体は公知であり、詳細の説明は不要であるが、それらを適宜組み合わせることで本発明に採用することができる。
本発明の反射性塗装金属板を製造するための多層塗布(多層塗覆)方法として、下記の態様が好適である。
(1)複数層の液膜からなるカーテンを落下させ、走行する板の表面に複数層の膜を塗覆するカーテン塗覆方法において、落下するカーテンを構成する液膜の少なくとも1層の幅はカーテン塗膜よりも狭い幅であり、塗覆部位におけるカーテン全幅は走行する板の幅よりも広い幅であり、板の幅両側で流下するカーテンの幅端部側と板の端部側とで別々に回収するカーテン塗覆方法。
(2)前記カーテン全幅よりも狭い幅(以下「幅狭層」という。)の幅は、前記板の幅よりも広い幅であり、前記カーテンの幅端部側と板の端部側とで回収する区切の位置は、前記幅狭層の幅端部近傍である上記(1)に記載のカーテン塗覆方法。
(3)走行する板の幅方向偏移位置に応じて、カーテンを吐出するカーテン吐出装置の幅方向位置および前記区切り位置を調整する上記(1)に記載のカーテン塗覆方法。
(4)複数層の液膜からなるカーテンを落下させ、走行する金属板の表面に複数層の膜をカーテン塗覆する塗装金属板の製造方法において、塗覆部位においてカーテンの幅は走行する金属板の幅よりも狭い幅であり、鋼板端部とカーテン端部との間の距離(以下「端部無塗装幅」という。)の変動の大きさに応じて、サイドマーカーによるトリム代を調整する、塗装金属板(特に塗装鋼板)の製造方法。
(5)複数層の液膜からなるカーテンを落下させ、走行する金属板の表面に複数層の膜をカーテン塗覆する塗装金属板の製造方法において、落下するカーテンを構成する液膜の少なくとも1層(以下「幅狭層」という。)の幅はカーテン全幅よりも狭い幅であり、塗覆部位におけるカーテン全幅は走行する金属板の幅よりも広く幅狭層の幅は走行する金属板の幅よりも狭い幅であり、金属板端部と幅狭層端部との距離(以下「端部薄層幅」とおいう。)の変動の大きさに応じて、サイドマーカーによるトリム代を調整する、塗装金属板(特に塗装鋼板)の製造方法。
(6)前記端部無塗装幅若しくは端部薄層幅の変動の大きさを検出装置を用いて検出し、設定した時間内、または設定したコイル長内における端部無塗装幅若しくは端部薄層幅の変動量の最大値に応じて、前記トリム代を決定する、上記(4)または(5)に記載の塗装金属板(特に塗装鋼板)の製造方法。
(7)カーテン塗覆を行う部位における金属板の蛇行の大きさに応じて、前記トリム代を調整する、上記(4)または(5)に記載の塗装金属板(特に塗装鋼板)の製造方法。
(8)カーテン塗覆した金属板の表面から塗料を吸引するための吸引装置を有し、該吸引装置はカーテン塗覆した液膜層端部または幅狭層端部付近の塗料を吸引する、上記(4)〜(7)に記載の塗装金属板(特に塗装鋼板)の製造方法。
(8)移動する平板上に塗膜(以下「下地塗膜」という)を形成してこの塗膜を加熱し、その後下地塗膜の上に2層以上の多層塗膜を形成し、その後加熱する多層塗膜塗装方法。
(9)前記多層と膜形成前における下地塗膜内の溶剤量が30mg/m以下である上記(8)記載の多層塗膜塗装方法。
下層と上層を形成するための塗料の組成は、フッ素樹脂および酸化チタンと溶剤を含む限り特に限定されないが、2層を、同時塗布し、あるいは下層を塗布後乾燥せずに上層を塗布するために好適な条件としては、例えば、スライドコートおよびローラーカーテンコートではカーテンの形成性から粘度90〜650秒、表面張力25〜42mN/mの有機溶剤系が好適であり、ロールコートでは粘度5〜100秒、表面張力25〜50mN/mの有機溶剤系および水系が好適である。
本発明の下層塗料皮膜は、プライマー塗膜としての機能を有し、酸化チタンおよびフッ素樹脂のほか、一般に公知のバインダーや防錆顔料、着色顔料を用いたものを使用することができる。皮膜中に酸化チタンをバインダー固形分100質量部に対して40〜250質量部含むものが、光反射性皮膜の拡散反射率が向上するため、より好適である。プライマーの膜厚は、特に規定するものではないが、1〜40μmが好適である。1μm未満では、プライマーとして役割(隠蔽性確保や耐食性の確保)を発揮しないし、40μm超では塗装作業性が低下する恐れがある。プライマーに用いるバインダー樹脂は、上層皮膜に用いた樹脂と同じものを用いることができる。また、プライマー塗膜中に、必要に応じて、一般に公知の着色顔料、防錆顔料、レベリング剤、顔料分散剤、ワックス、艶消し剤等を添加することができる。プライマーには防錆顔料を添加すると、塗装金属板の耐食性が向上するため好適である。
また、本発明の反射性塗装金属板の好適な別の構成例では、金属板もしくはめっきした金属板の少なくとも一方の面に、フッ素系樹脂を含むバインダー樹脂と酸化チタンを含有する膜厚3〜30μmの光反射性下層皮膜と、その上にフッ素系樹脂を含むバインダー樹脂と酸化チタンを含有する膜厚10〜40μmの光反射性上層皮膜を有し、光反射性下層皮膜中の酸化チタンの添加量がバインダー樹脂固形分100質量部に対して40〜140質量部であり、且つ、光反射性上層皮膜中の酸化チタンの添加量がバインダー樹脂固形分100質量部に対して40〜150質量部であり、さらにこの塗装金属板の他方の面には赤外線吸収皮膜を被覆を被覆してなる。この態様では、電気電子機器内で発生された可視光線がより明るくなるため、より好適である。赤外線吸収皮膜を被覆する代わりに、両面に前記光反射性下層皮膜と光反射性上層皮膜とを積層しても良い。この赤外線吸収皮膜およびその赤外線吸収皮膜を有する反射性の高いプレコート金属板については特許文献4に詳述されている。
光反射性下層皮膜と光反射性上層皮膜を含む光反射性塗装皮膜の合計膜厚は、20〜60μmであると好ましい。
本発明の光反射性上層皮膜は、フッ素系樹脂を含むバインダー樹脂と酸化チタンから構成されているが、これは、フッ素樹脂を含むバインダー樹脂と酸化チタンとの屈折率差が非常に大きいため、皮膜中のフッ素樹脂を含むバインダー樹脂と酸化チタンとの界面で、光がより反射されて反射率が高くなるためである。そのため、皮膜中で形成されるフッ素系樹脂を含むバインダー樹脂と酸化チタンとの界面の総面積は、より大きいほうが、より反射性が高くなる。フッ素樹脂を含むバインダー樹脂に酸化チタンを添加した場合、酸化チタンの添加量が少な過ぎると光線が皮膜を透過してしまう、もしくは、バインダー樹脂と酸化チタンとの界面の総面積が少ないため、皮膜の光反射性が低い。酸化チタンの添加量を増やすに従い、光の皮膜透過率が少なくなり、且つ、バインダー樹脂と酸化チタンとの界面の総面積が増えていくため、皮膜の光反射性が向上していく。しかし、酸化チタンの添加量は、ある一定の添加量をピークとして、これより多くなると、酸化チタンの容量がバインダー樹脂の容量より多くなり過ぎるため、バインダー樹脂と酸化チタンとの界面が逆に少なくなり、光反射性が低下してしまう。そのため、バインダー樹脂固形分100質量部に対して、酸化チタンの添加量が40〜240質量部の添加した量が最もバインダー樹脂と酸化チタンとの界面の総面積が大きくなる範囲である。40質量部未満もしくは240質量部超であるとバインダー樹脂と酸化チタンとの界面の総面積が少なくなり、反射性が低下するため不適である。好ましくは、バインダー樹脂固形分100質量部に対して、酸化チタンの添加量が65〜150質量部、更に好ましくは、80〜130質量部である。
本発明の光反射性下塗り塗膜や光反射性上層皮膜は、フッ素樹脂を含むバインダー樹脂と酸化チタンのみで構成されていると、光拡散反射率がより向上するため、より好適である。光反射性下層皮膜や光反射性上層皮膜中に酸化チタン以外の顔料を添加すると、バインダー樹脂と酸化チタン以外の顔料との間で屈折率差の小さい界面が発生してしまうため、皮膜の光拡散反射率が低下してしまう。しかし、外観や防食の観点から、必要な場合は光反射性皮膜にも酸化チタン以外の顔料や添加剤、例えば、一般に公知の着色含量、防錆顔料、レベリング剤、顔料分散剤、ワックス、艶消し剤等を添加することができる。
本発明の少なくとも2層のフッ素樹脂および酸化チタンを含む反射性塗装皮膜は金属板に直接上に形成できるが、金属板上に他の塗装皮膜を形成し、その上に形成してもよい。その塗装皮膜は、本発明による反射性塗装皮膜を形成する前に、予め加熱乾燥・硬化させた層でもよいし、本発明の反射性塗装皮膜と同時に乾燥・硬化させてもよい。
なお、本発明の塗装金属板の母材表面には、光反射性皮膜や熱吸収性皮膜を被覆する前に、皮膜密着性を上げるために、塗装前処理を施すとより好適である。塗装前処理は、一般に公知のもの、例えば、塗布クロメート処理、電解クロメート処理、リン酸亜鉛処理、ジルコニア系処理、チタニア系処理を使用することができる。また、近年、樹脂等の有機化合物をベースとしたノンクロメート前処理も開発されているが、樹脂をベースとしたノンクロメート前処理を用いると、環境への負荷が低減されるためより好適である。樹脂等の有機化合物をベースとしたノンクロメート前処理の例としては、特開平9-828291号公報、特開平10-251509号公報、特開平10-337530号公報、特開2000-17466号公報、特開2000-248385号公報、特開2000-273659号公報、特開2000-282252号公報、特開2000-265282号公報、特開2000-167482号公報、特開2002-266081号公報等に記載された技術が挙げられ、前記以外にも一般に公知技術を用いることができる。既に市販されたノンクロメート処理を用いても良い。これらの前処理の種類や付着量の違いによって、熱吸収性皮膜層の密着性や本発明の表面処理金属板の耐食性が大きく異なるため、必要に応じて適宜選定する必要がある。
本発明の塗装金属板の金属母材には、一般に公知の材料を用いることができる。合金であっても良い。例えば、鋼板、アルミ板、チタン板、銅板、等が挙げられる。これらの材料の表面には、めっきが施されていてもよい。めっきの種類としては、亜鉛めっき、アルミめっき、銅めっき、ニッケルめっき等が挙げられる。合金めっきであっても良い。鋼板の場合は、冷延鋼板、熱延鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、溶融合金化亜鉛めっき鋼板、アルミめっき鋼板、アルミ-亜鉛合金化めっき鋼板、ステンレス鋼板、等の一般に公知の鋼板及びめっき鋼板を適用できる。
更に、これらの金属板もしくはめっきした金属板の表面の粗度がRaで0.05〜1.8μmであると拡散反射率がより向上するため、より好適である。反射性皮膜表面に光線が入射した場合、光反射性皮膜で反射しきれずに透過した光線は、皮膜下の母材表面で反射される。ここで、母材の表面粗度が可視光線の波長(一般に可視光線の波長領域は380〜780nmと言われている)より非常に小さい場合、簿剤表面に入射した光線は拡散反射し難く、正反射し易くなることを知見した。一方、母材の表面粗度が光線の波長より非常に大きい場合、母材表面に入射した光線は、母材表面の凹凸の隙間に入り込み、母材に吸収され易くなることを知見した。そのため、これら母材である金属板もしくはめっきした金属板のRaが0.05μm未満であると、光線が拡散反射し難くなるため、不適である。また、Raが1.8μm超であると、光反射性皮膜で反射しきれずに透過した光線が、母材であるこれら金属板もしくはめっきした金属板に到達したときに、この光線が母材表面で吸収され易くなるため、不適である。
これらの金属板には、塗装前処理を施す前に湯洗、アルカリ脱脂、酸洗等の通常の処理を行うことができる。塗装金属板の金属母材が鋼板もしくはめっきした鋼板であると、塗装金属板の成形加工性が向上するため、より好適である。
本発明の塗装金属板を成形加工して反射板を作製すると、反射板製造効率が向上するため、好適である。反射板の加工方法は、一般に公知の加工方法を用いることができる。例えば、打ち抜き加工、曲げ加工、絞り加工、張り出し加工、ロールフォーミング等の加工方法が挙げられる。
また、本発明の塗装金属板を組み込んだ電気電子機器は、塗装金属板が、可視光線の分光反射率が高く、熱吸収性にも優れるので、照明や光信号の明かりがより明るくなり、かつ、機器内の温度が低下するため、機器内に設けられた制御基板等の電子回路が効率良くかつ安定して作動することができる。なお、この電気電子機器として、照明器具、AV機器、モバイル機器、プラズマディスプレイ、液晶テレビ等を例示することができる。
以下、実験に用いた光反射性塗料の作成方法について、詳細を説明する。
市販の有機溶剤可溶型/非晶性ポリエステル樹脂(以下、ポリエステル樹脂と称す)である東洋紡績社製「バイロンTM GK140」(数平均分子量:13000、Tg:20℃)を有機溶剤(ソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したもの)に溶解した。次に、有機溶剤に溶解したポリエステル樹脂にポリエステル樹脂の固形分100質量部に対して市販のヘキサ-メトキシ-メチル化メラミンである三井サイテック社製の「サイメルTM 303」を20質量部添加し、更に、市販の酸性触媒である三井サイテック社製の「キャタリスト6003B」を0.5質量部添加し攪拌することで、メラミン硬化型ポリエステル系のクリヤー塗料を得た。本塗料を以降「ポリエステル塗料」と称す。
次に、市販の3フッ化エチレン−ポリエステル共重合体樹脂である旭硝子社製「ルミフロンTMLF552」(数平均分子量:12000、Tg:20℃)に、市販のHDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)をベースとしたブロック化イソシアネートである住化バイエルウレタン社製「スミジュールTMBL3175」を[イソシアネートのNCO基当量]/[ポリエステル樹脂のOH基当量]=1.0となるように配合し、更に、三井武田ケミカル社製反応触媒「TK-1」を樹脂固形質量分に対して0.05質量%添加することで、フッ素系のクリヤー塗料を得た。作成したクリヤー塗料に、石原産業社製酸化チタン「タイペークCR95」を添加して、攪拌することで可視光反射性塗料(以降、「フッ素系塗料」と称す)を得た。酸化チタンの添加量は、クリヤー塗料の樹脂固形分100質量部に対して50質量部である。
以下、実験に用いた光反射性塗装金属板の作成方法について詳細を説明する。
厚み0.6mmの市販の電気亜鉛めっき鋼板(亜鉛付着量:片面20g/m2、材質:SECE(JIS G3313)、表面粗度Ra:0.9μm)を、市販のアルカリ脱脂剤である日本パーカライジング社製の「FC4336」を2質量%濃度に希釈した60℃の水溶液中にてアルカリ脱脂し、水洗後、乾燥した。次いで、脱脂した金属板上にロールコーターにて化成処理液を塗布し、到達板温が60℃となるような条件で熱風乾燥させた。
本実験では、化成処理に市販のクロメート処理である日本パーカライジング社製の「ZMI1300AN」(以下、クロメート処理)と、市販のノンクロメート化成処理である日本パーカライジング社製の「CT-E300」(以下、ノンクロメート処理)を使用した。化成処理は、金属板の両面にロールコーターにて処理し、到達板温60℃の条件で乾燥した。クロメート処理の付着量は、Cr付着量で50mg/m2、ノンクロメート処理の付着量は、全皮膜量として150mg/m2とした。
実施例1では、この化成処理を施した金属板上の片面にフッ素系塗料を、多層スライドコーターで2層同時塗布し、熱風を併用した誘導加熱炉にて、2層を同時に乾燥硬化させた。乾燥硬化条件は、到達板温(PMT)で230℃とした。2層のフッ素系塗料皮膜の膜厚(焼き付け後)は、下層10μm、上層25μmとした。
実施例2では、実施例1の手順を繰返したが、カーテンコーターで下層を塗布し後、乾燥させないで、再びカーテンコーターで下層塗料層の上に上層を形成した後、熱風を併用した誘導加熱炉にて、2層を同時乾燥硬化させた。乾燥硬化条件は、到達板温(PMT)で230℃とした。
実施例3では実施例1の手順を繰返したが、2層のフッ素系塗料皮膜の膜厚は、下層15μm、上層30μmとした。
同様に、比較例1として、上記の化成処理を施した金属板上の片面に、ロールコーターで上記フッ素系塗料を塗布し、熱風を併用した誘導加熱炉にて乾燥硬化させて下層皮膜を厚さ10μmに形成した後、再びロールコーターで下層皮膜の上に同じ上記フッ素系塗料を塗布し、熱風を併用した誘導加熱炉にて乾燥硬化させて厚さ25μmの上層皮膜を下層皮膜上に積層形成した。
比較例2では、実施例1の手順を繰返したが、下層皮膜のフッ素系塗料をポリエステル塗料に代えた。
比較例3では、比較例1の手順を繰返したが、下層皮膜のフッ素系塗料をポリエステル塗料に代えた。
以下、作製したプレコート金属板の評価試験について詳細を説明する。
1) 可視光反射性皮膜の光拡散反射率測定
島津製作所社製の分光光度計「UV265」に、積分球反射付属装置を取り付けたものを用いて、作製した塗装金属板の塗装皮膜表面の波長400〜700nmにおける可視光線の拡散反射率を測定し、得られた波長-反射率曲線の積分値を求めた。また、明るさに最も寄与する波長555nmにおける光拡散反射率も求めた。なお、リファレンスは、ドイツDIN規格の白色標品(DIN5033)であるMerck社製の硫酸バリウムを用い、この拡散反射率を1.00とした時の各皮膜の拡散反射率を求めた。
2) 塗装金属板の塗膜の折り曲げ試験(層間密着性試験)
作製したプレコート金属板で、180°密着曲げを20℃雰囲気中で行い、加工部の塗膜損傷状態をルーペにて観察し、下記の基準で評価した。なお、本試験では、試験片を曲げる際に、内側に評価する塗装金属板と同じ板厚の板を3枚挟んだ状態で、密着曲げを行う、3T曲げを行った。
加工部をJIS K 5400.8.5記載の方法に準じてテープ剥離し、テープ剥離後の加工部の塗膜残存状態をルーペにて観察し、以下のように評価した。
塗膜に全くの剥離が無い場合:○
塗膜が部分的に剥離している場合:△
塗膜が加工部全面で激しく損傷している場合:×
結果を下記表に示す。
Figure 2006175817
表1から、フッ素樹脂と酸化チタンを含む2層皮膜を従来の塗工方法(各層毎に乾燥)で塗装すると上下層の間間密着性が劣るが(比較例1)、本発明に従い、フッ素樹脂と酸化チタンを含む2層を、同時塗布するか、または下層を塗布後乾燥せずに上層を塗布してから、これらの層を同時乾燥させる本発明の方法で形成すると、上下層の層間密着性に優れることができ、しかも従来法で形成したフッ素樹脂と酸化チタンを含む2層の塗装皮膜の場合(比較例1)と比べて、反射率が改善されていること(実施例1〜3)、また下層をフッ素樹脂を含まないポリエステル樹脂系塗料に代えると、層間密着性は優れることができるが、反射率が落ちること(比較例2,3)が認められる。

Claims (10)

  1. 金属板上にフッ素樹脂と酸化チタンを含む少なくとも2層の塗装皮膜を有し、皮膜の界面の表面粗さが0.3〜0.7μmであることを特徴とする反射性と成形加工性に優れる塗装金属板。
  2. 前記少なくとも2層の塗装皮膜が、バインダー固形分100質量部に対して酸化チタンを40〜250質量部含有する請求項1記載の反射性と成形加工性に優れる塗装金属板。
  3. 前記少なくとも2層の塗装皮膜のフッ素樹脂が官能基を有し、前記少なくとも2層の塗装皮膜が前記フッ素樹脂の前記官能基と反応する樹脂を含む請求項1または2に記載の反射性と成形加工性に優れる塗装金属板。
  4. 前記塗装皮膜に含まれるフッ素系樹脂が前記官能基を有する3フッ化エチレン共重合体樹脂である請求項3に記載の反射性と成形加工性に優れる塗装金属板。
  5. 前記フッ素樹脂の前記官能基と反応する樹脂がイソシアネートまたはメラミン樹脂である請求項3または4に記載の反射性と成形加工性に優れる塗装金属板。
  6. 前記塗装皮膜がフッ素樹脂の他の樹脂をさらに含む請求項1〜5のいずれか1項記載の反射性と成形加工性に優れる塗装金属板。
  7. 前記少なくとも2層の塗装皮膜の界面においてフッ素樹脂濃度の勾配と酸化チタン濃度の勾配が存在する請求項1〜6のいずれか1項に記載の反射性と成形加工性に優れる塗装金属板。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の塗装金属板を組み込んでなる電気電子機器。
  9. 金属板上にフッ素樹脂と酸化チタンを含む第1の塗装皮膜を塗布後、乾燥せずにフッ素樹脂と酸化チタンを含む第2の塗装皮膜を塗布し、両層を同時に乾燥する工程を含むことを特徴とする反射性と成形加工性に優れる塗装金属板の製造方法。
  10. 前記第1及び第2の塗装皮膜の塗布を、多層コータで行う請求項9に記載の反射性と成形加工性に優れる塗装金属板の製造方法。
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