JP2004358801A - 塗装鋼板 - Google Patents

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Abstract

【課題】めっき鋼板を基材とした塗装鋼板において、塗膜伸びを伴うような加工を施しても塗膜光沢が低下し難い塗装鋼板を提供する。
【解決手段】めっき鋼板を基材とし、その少なくとも一面側に1層以上の塗膜を備え、鋼板のJIS G0552に規定される結晶粒度番号を7以上とする。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、家電製品、家具、建材及び自動車部品等の外板で絞り加工を行うことで製品を成形する部位に用いる絞り成形性に優れ、特に加工後の光沢保持率の高い塗装鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】
家電製品、家具、建材及び自動車部品等の外板として塗装鋼板を用いる場合は、従来、加工を行わない平板部や曲げ加工等の単純な加工部にのみ使用し、絞り成形部には冷延鋼板、またはめっき鋼板を使用して、成形加工後塗装するポストコートを行っていた。しかし近年、塗装鋼板の普及率の増加に伴い、絞り加工部へも塗装鋼板が使用されるようになっている。しかしながら、塗装鋼板を、絞り加工、引張り加工あるいは曲げ加工等して部材を製造した場合、塗膜伸びの生じた部位の光沢が低下し、他の部分との外観が調和しないという問題があった。特に、加工前の初期光沢が高い(光沢度で約70以上)の塗装鋼板の場合、加工部位の光沢低下が目立ちやすい。
【0003】
このような問題に対して、特許文献1には、深絞り加工性に優れた塗装鋼板の技術が開示されている。この技術は、鋼板に熱硬化型のプライマー層を形成し、その上に熱硬化型樹脂の上塗り層を形成した塗装鋼板において、塗膜伸びを伴うような加工を施しても塗膜光沢が低下し難い塗装鋼板を提供するものである。具体的には、プライマー層と上塗り層の20℃での弾性率をそれぞれ規定している。また、前記光沢度の低下は、塗装原板の加工部表面の粗面化が光の拡散反射を促進することが原因の一つであるとしている。
【0004】
また、特許文献2には、金属板に異なる機械特性を有する樹脂塗膜を積層し、積層した樹脂塗膜が積層した状態での引張試験値として所定値以上の引張弾性率を有し、かつ降伏点を有し、破断伸び率が所定率以上である2層複合樹脂塗膜プレコート金属板が開示されている。
【0005】
一方、塗装が行われていない薄鋼板のプレス加工においては、例えば非特許文献1にもあるように、成形部位の粗面化(肌荒れ)を抑えるためには、鋼板の加工前の結晶粒径を小さくすることが有利であることがよく知られている。
【特許文献1】
特開平8−267657号公報
【特許文献2】
特開平10−217393号公報
【非特許文献1】
プレス成形難易ハンドブック(日刊工業新聞社刊(1987))第437頁
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1は、プライマー及び上塗りの両方について所定範囲の弾性率をもつ塗膜を必要とするものであり、プライマーを予め塗布することが必須であり、かつ弾性率が所定範囲になければならないとの制約がある。
【0007】
また、特許文献2では、所定の機械特性を有する樹脂塗膜を2層形成することにより、絞り成形性に優れた金属板が得られるとされているが、加工に伴う光沢の低下については何ら言及がない。
【0008】
さらに、塗装鋼板の基材としては、耐食性に優れる亜鉛系めっき鋼板が、実用上広く用いられる。このとき、亜鉛系めっき鋼板については、用いられる環境、用途とコストとのバランスからめっきの種類、付着量が決定される。特許文献1及び2には、めっき鋼板を基材として塗装鋼板に使用することは示唆されているが、その具体的構成については何ら触れられていない。
【0009】
また、非特許文献1に開示されている技術は、めっき及び塗装がされていない(冷延)鋼板の肌荒れを対象とするもので、めっき及び塗装がなされた後の光沢度低下への影響には言及されていない。
【0010】
本発明は、めっき鋼板を基材とした塗装鋼板において、塗膜伸びを伴うような加工を施しても塗膜光沢が低下し難い塗装鋼板を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、表面にめっき及び塗膜が施された塗装鋼板においても、鋼板母材の結晶粒度が所定の範囲にあると、塗膜伸びを伴うような加工を施しても塗膜光沢が低下し難いことを見出し、かかる知見から本発明を完成するに至った。
【0012】
かくして本発明は、めっき鋼板を基材とし、その少なくとも一面側に1層以上の塗膜を備えた塗装鋼板であって、鋼板のJIS G0552(1998)(鋼のフェライト結晶粒度試験方法)に規定される結晶粒度番号が7以上であることを特徴とする塗装鋼板である。
【0013】
前記めっき鋼板のめっき皮膜のビッカース硬さ(Hv)は、100以上であることが好ましい。
【0014】
また、前記めっき鋼板のめっき皮膜は、8〜16質量%のニッケル(Ni)を含有する亜鉛系めっき皮膜であることが好ましい。
【0015】
また、前記めっき鋼板のめっき皮膜は、8〜15質量%以下の鉄(Fe)を含有する亜鉛系めっき皮膜であることが好ましい。
【0016】
また、前記1層以上の塗膜の合計厚さは、15〜80μmであることが好ましい。
【0017】
また、前記1層以上の塗膜のうち、最外層の塗膜の20℃での弾性率は、2×10〜5×10N/mmであることが好ましい。
【0018】
また、前記1層以上の塗膜のうち、最外層の塗膜の顔料濃度は、25〜45質量%であることが好ましい。
【0019】
また、前記塗膜を備えた面のJIS Z8741(1997)(鏡面光沢度−測定方法)に規定される60度鏡面光沢(Gs(60°))測定方法(方法3)による鏡面光沢度が70以上であることが好ましい。
【0020】
さらに、前記基材の一面側に2層以上の塗膜を備え、前記塗膜のうち最外層以外の少なくとも1層の塗膜が、最外層塗膜に含有される顔料と同一の顔料を含有することが好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明において、鋼板を「母材」として、該母材にめっきを施したものを「めっき鋼板」といい、該めっき鋼板を「基材」としてその表面の少なくとも一面側に塗膜を有するものを「塗装鋼板」と呼ぶ。本発明は、母材粒度を所定の範囲としためっき鋼板を基材とし、少なくとも一面側(通常、成形後の外観を要求される表側)に塗膜を有する塗装鋼板である。以下、本発明を詳細に説明する。
【0022】
(1)母材鋼板
1−1.母材鋼板の種類
本発明において、母材の種類として特に限定されるものではないが、めっき鋼板の母材として通常使用されている冷間圧延鋼板を使用することができる。
1−2.母材鋼板の結晶粒径
塗装鋼板の成形時の光沢度低下の抑制を図るには、母材鋼板の結晶粒径を小さくすることが有効である。これは、母材鋼板の粗面化が抑えられているためと考えられる。本発明においては、母材鋼板のJIS G0552(1998、鋼のフェライト結晶粒度試験方法)に規定される結晶粒度番号が7以上であることが必須である。上記結晶粒度番号7は、典型的には断面積1mmあたりの結晶粒の数が1024であり、該結晶粒の平均断面積は0.00098mmである。このように母材鋼板の結晶粒径を小さくすることによって、塗装鋼板としての成形後の光沢度低下を大きく抑制することができる。結晶粒径を本発明の規定する範囲に小さく調整するには
1)熱間圧延中の鋼板温度をAr3点以上に保持する。
2)鋼中に添加する合金組成を吟味する。
等の常法によればよく、要求される機械特性等により適切な製造方法を選択する。
【0023】
(2)めっき皮膜の硬さ
本発明において、めっき種類は、特に限定されるものではなく、耐食性・成形性、コスト等から適宜選択される。成形後の光沢度低下を抑制するには、めっき皮膜が硬い方が有利である。これは、めっきの硬度を増大させることにより、めっきの伸びが小さくなるため、絞り加工の際に、母材鋼板の伸びに十分追従しなくなり、めっきに微細なクラックが生じるようになることが影響していると考えられる。すなわち、めっきに微細なクラックが生じると、母材鋼板の肌荒れが、めっき表面に伝搬しにくくなり、母材鋼板の粗面化が、塗膜表面に伝搬し難くなるためと思われる。本発明においては、めっき皮膜のビッカース硬さ(Hv)を100以上のものとするのが好適である。かかる観点から、基材として、鉄(Fe)を8〜15質量%程度含有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA)や、ニッケル(Ni)を8〜16質量%含有する電気亜鉛系めっき鋼板(SZ)を使用することが好ましい。これらのめっき鋼板を使用することにより、めっき皮膜のビッカース硬さ(Hv)を高くして、絞り成形部の光沢度低下を抑制することができる。
さらに、本発明においてめっき付着量に関して特に限定されるものではないが、例えば上記合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA)の場合には、片面あたり30〜150g/m、また上記電気亜鉛系めっき鋼板(SZ)の場合には、方面あたり5〜60g/mとすることにより、母材表面粗さの影響を受けにくい構成とすることができるので好ましい。
【0024】
(3)上塗り塗膜(最外層の塗膜)
本発明の塗装鋼板において、上塗り塗膜の弾性率が大きい方が、成形後の光沢度低下抑制に有利である。これも、母材鋼板の粗面化が塗膜表面まで伝播しにくいことが影響していると考えられる。具体的には 最上層塗膜の弾性率は、20℃で2×10N/mm以上であるのが好ましい。これを下回ると、効果が発現し難い。好ましくは、2.5×10N/mm以上である。また、弾性率が大きくなりすぎると、塗膜が硬くなり過ぎて加工により塗膜割れが生じやすくなるため、20℃における弾性率の上限は好ましくは5×10N/mm、より好ましくは、4.5×10N/mmである。
【0025】
上塗り塗膜の弾性率を、本発明で規定する範囲にするには、
(i)樹脂塗膜のガラス転移点(Tg)を上げる、
(ii)樹脂に硬化剤を添加する、
(iii)塗膜の焼き付け温度を高くすることで塗膜樹脂の架橋密度を高くする、
等の手段があり、これらを適宜選定することによって目的とする上塗り塗膜の弾性率が得られる。
【0026】
バインダーとしては、黄変、変色、光沢低下、白亜化等を起こしにくく、長年使用しても美観が維持されるとともに、隠蔽効果を長期間維持できる有機樹脂を使用するのが好ましい。 このような樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。これらの樹脂のうちいずれか1種を用いても、2種以上を混合して用いてもよい。これら有機樹脂の含有量は、塗膜の乾燥質量に対して10〜90質量%とするのが好ましい。また、合成微粉シリカ、有機ベントナイト、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等の増粘剤、メラミン系、ベンゾグアナミン系、イソシアネート系等の架橋剤、ポリアクリル酸等の分散剤、チタニア等の着色顔料等を含有させてもよい。
【0027】
(4)塗膜厚み
本発明の塗装鋼板において、成形時の光沢度低下抑制を図るには、塗膜厚みが大きいほど有利である。塗膜厚み(塗膜が2層以上の場合、下塗りも含めた合計膜厚)が大きいほど、母材鋼板やめっきの肌荒れの塗膜表面への伝搬が抑制されるためであると考えられる。なお、後述する初期の光沢度の観点からも、塗膜厚みが大きいほど有利である。塗膜厚さは、合計で15μm以上が好ましい。さらに好ましくは、20μm以上である。ただし、塗膜全体の厚さが厚くなりすぎると、塗装鋼板を加工する際に塗膜の剥離や割れ、型かじりが生じることがあり、また、経済的にも不利になる。塗膜全体の厚さの上限は好ましくは80μm、より好ましくは50μmである。
【0028】
(5)上塗り塗膜(最外層の塗膜)中の顔料濃度
本発明は、成形後の光沢度低下を抑制する塗装鋼板を提供することを目的とするものであるが、初期の光沢度が高いほど、実際の有用性が大きい。具体的には、塗膜表面のJIS Z8741(1997)(鏡面光沢度−測定方法)に規定される60度鏡面光沢(Gs(60°))測定方法(方法3)による鏡面光沢度が70以上であると本発明がより有用性の高いものとなる。
高光沢度の塗装鋼板を得るためには、最外層塗膜の顔料濃度が低い方がよい。これは、光沢度が主に最外層塗膜の表面形状に影響されるものであり、顔料の増加に伴って塗膜表面が粗面化するため光沢度が低下するからである。本発明における上塗り塗膜(最外層の塗膜)中の顔料濃度は、好ましくは45質量%以下、より好ましくは35質量%以下である。また、塗膜の強度・硬度や基材の隠蔽性の観点から、現実的には顔料濃度に下限を設定することが好ましい。具体的には、最外層塗膜に種々の顔料が含まれる場合、これら総ての顔料(防錆顔料、体質顔料、着色顔料等)の合計の含有量が、25質量%以上であることが好ましく、さらに好ましくは30質量%以上である。なお、着色顔料を含む塗膜の上層にさらにクリア塗装を施せば、コスト増大には繋がるものの、高光沢を有する鋼板が得られる。
【0029】
(6)その他の構成
6−1.塗装下地処理
本発明の塗装鋼板における塗装下地処理は、通常の塗装鋼板の下地処理に用いられるものであれば特に限定されない。例えば、公知のリン酸塩処理やクロメート処理を用いることができる。
【0030】
6−2.下塗り樹脂被覆層
本発明の塗装鋼板において、下塗り樹脂被覆層を設けることは必ずしも必須ではないが、密着性向上や隠蔽性向上、また耐食性確保のために設けておくのが好ましい。下塗り樹脂被覆層は、2層以上設けることもできる。下塗り樹脂被覆層に使用される樹脂は特に限定されないが、加工性と密着性のバランスから、ポリエステル樹脂系、ポリウレタン樹脂系、エポキシ樹脂系あるいはこれらの樹脂の混合物が好ましい。これらの樹脂をロールコート法、カーテンコート法、スプレー法等の公知の塗装方法でめっき鋼板表面に塗装して焼き付け乾燥等すればよい。
【0031】
なお、最外層塗膜の顔料濃度を低減しても基材を隠蔽できるように、内層塗膜にも最外層と同様の着色顔料を含有させることで補完することができる。この場合、最外層と内層が近似色となるため、補修等する際に研磨を施しても、最外層塗膜と内層との境界がわかりにくくなるという効果、すなわち内層が露出することによる色むら(色違い)が目立ちにくいという効果があるので好ましい。
【0032】
6−3.上塗り塗膜(最外層塗膜)中の顔料の粒径
本発明の塗装鋼板において、上塗り塗膜(最外層塗膜)中の顔料の平均粒径は、塗膜の耐汚染性、耐候性、着色の安定性を高める観点から、50μm以下とすることが好ましい。より好ましくは、20μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。
6−4.裏面塗装
本発明の塗装鋼板において、裏面塗装は、必要に応じて施すことができる。例えば、おもて面と同様に、通常の塗装鋼板に用いられる下地処理を施した上に、0.5〜10μmのアクリル樹脂系、ポリエステル樹脂系、ポリウレタン樹脂系、エポキシ樹脂系、ポリオレフィン樹脂系、あるいはこれらの樹脂系の混合物からなる塗装を施すことで、裏面を耐食性、耐アルカリ性、耐酸性、耐溶剤性、耐ガソリン性等に優れたものとすることができる。
【0033】
【実施例】
(1)塗装鋼板試験片の作成
1−1.基材
厚さ0.60mmで結晶粒度を所定値に調整した冷間圧延鋼板を母材とする、JIS G3302の溶融亜鉛めっき鋼板(以下において「GI」という。)、および合金化溶融亜鉛めっき鋼板(以下において「GA」という。)、JIS G3321の55%Al−Zn合金溶融めっき鋼板(以下において「AZ」という。)、さらに12%Ni−Zn電気めっき鋼板(以下において「SZ」という。)を基材として使用した。
【0034】
1−2.めっき皮膜のビッカース硬さ測定
上記各めっき鋼板GI、GA、AZ、及びSZのめっき皮膜のビッカース硬さ(Hv)を(株)明石製作所製のマイクロビッカース硬さ計(形式:MVK−E)により測定し、記録した。
【0035】
1−3.塗膜の形成
上記基材の片面に、塗布型クロメート処理を施した後、以下に述べる方法で塗膜を形成させた。顔料として平均粒子径が0.25μmのチタニア(石原産業(株)製タイペーク(R−90))と、バインダーとしてポリエステル樹脂及びメラミン系架橋剤と、及び必要に応じて架橋反応を十分に行わせるための架橋促進剤としてのp−トルエンスルホン酸とを、溶剤としての適量のシクロヘキサンとともにボールミルを用いて分散混合し、塗料組成物を得た。なお、ポリエステル樹脂に対するメラミン系架橋剤の割合は、ポリエステル樹脂100質量部に対して0〜30質量部とした。この塗料組成物を、基材の前記塗布型クロメートを施した面に、乾燥膜厚で13〜60μmとなるように塗装し焼き付けた。
【0036】
焼付け条件は、230℃で60秒間とした。塗膜の弾性率は、ポリエステル樹脂と架橋剤との比率によって樹脂塗膜のTgを変更したり、架橋促進剤の添加割合を変更したりすることにより変化させた。これらの塗料それぞれを、上記の基材に所定の乾燥膜厚が得られるようにロールコート法により塗布し、240℃で60秒間の焼き付け処理を施して基材表面に塗膜を形成させ、塗装鋼板試験片を得た。
【0037】
(2)塗膜弾性率の測定
上塗り塗膜の弾性率を測定するために、前記塗料組成物をテフロン(登録商標)シートより塗膜を剥離して塗膜のフリーフィルムを作成し、このフリーフィルムから、特開平10−217393号公報の図1に示される形状の試験片を作成し、引っ張り試験を実施した。塗膜フリーフィルムの膜厚は20μmとした。引っ張り試験はオリエンテック社製「テンシロンCT−10T」を用いて20℃で引っ張り速度5mm/分で行い、塗膜の応力−伸び率線図より、弾性率を求めた。
【0038】
(3)絞り加工
上記(1)に記載した方法により作成された塗装鋼板試験片を用いて、以下の条件のもと角筒絞りを行った。このとき塗装面が外面(ダイス金型接触面)となるようにした。
Figure 2004358801
【0039】
(4)光沢度の測定
上記角筒絞り成形品の絞り壁部の光沢を、JIS Z8741(1997、鏡面光沢度−測定方法)の、鏡面光沢度測定「方法3」(60度鏡面光沢(Gs(60°))に従い、スガ試験機製光沢度計で測定した。また、上記角筒絞り成形前の初期光沢も同様にして測定した。角筒絞り壁部の光沢度を初期光沢度で除した値を、「光沢保持率」として算出し、この値を次の基準により判定した。
◎・・70%以上
○・・60%以上
×・・60%未満
【0040】
(5)試験結果
表1にこれらの塗装鋼板の構成および評価結果をまとめて示す。
【表1】
Figure 2004358801
【0041】
(6)結論
比較例1、並びに実施例1、2、及び3より、母材結晶粒度によって光沢保持率が変化し、特に結晶粒度番号が6から7になると急激に光沢保持率が向上することが認められた。また、実施例3〜5より、硬質のめっきを用いることで、光沢保持率がより向上することが認められた。実施例2〜8より塗膜厚が厚いほど光沢保持率が高いこと、ただし厚すぎると型かじりが発生しやすくなること(実施例8)が認められた。実施例2、及び9〜14より最外層塗膜の弾性率が大きいほど光沢保持率が高いこと、ただし大きすぎると塗膜割れが生じやすいこと(実施例14)が認められた。なお実施例2、及び15〜18より、最外層塗膜の顔料濃度が低いほど、初期光沢が高いこと、ただし低すぎると色ムラになり安くなること(実施例15)が認められた。
【0042】
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う塗装鋼板もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【0043】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の塗装鋼板は、塗膜伸びを伴うような加工を施しても、塗膜の光沢が小さくなりにくいので、例えばプレス成形を施される用途に有用である。

Claims (9)

  1. めっき鋼板を基材とし、その少なくとも一面側に1層以上の塗膜を備えた塗装鋼板であって、鋼板のJIS G0552 に規定される結晶粒度番号が7以上であることを特徴とする塗装鋼板。
  2. 前記めっき鋼板のめっき皮膜のビッカース硬さ(Hv)が100以上であることを特徴とする、請求項1に記載の塗装鋼板。
  3. 前記めっき鋼板のめっき皮膜が8〜16質量%のニッケル(Ni)を含有する亜鉛系めっき皮膜であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の塗装鋼板。
  4. 前記めっき鋼板のめっき皮膜が8〜15質量%以下の鉄(Fe)を含有する亜鉛系めっき皮膜であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の塗装鋼板。
  5. 前記1層以上の塗膜の合計厚さが15〜80μmであることを特徴とする、請求項1〜4記載のいずれかに記載の塗装鋼板。
  6. 前記1層以上の塗膜のうち、最外層の塗膜の20℃での弾性率が、2×10〜5×10N/mmであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の塗装鋼板。
  7. 前記1層以上の塗膜のうち、最外層の塗膜の顔料濃度が25〜45質量%であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の塗装鋼板。
  8. 前記塗膜を備えた面のJIS Z8741に規定される60度鏡面光沢(Gs(60°))測定方法による鏡面光沢度が70以上である請求項1〜7のいずれかに記載の塗装鋼板。
  9. 前記基材の一面側に2層以上の塗膜を備え、前記塗膜のうち最外層以外の少なくとも1層の塗膜が、最外層塗膜に含有される顔料と同一の顔料を含有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の塗装鋼板。
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