JP7374605B2 - 被覆材及び菌又はウイルスの不活化方法 - Google Patents

被覆材及び菌又はウイルスの不活化方法 Download PDF

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Description

本開示は、一般には、被覆材と、菌又はウイルスの不活化方法とに関し、詳細には、光触媒層を備える被覆材と、この被覆材を用いて菌又はウイルスを不活化させる方法に関する。
光触媒は、親水作用、防汚作用、菌又はウイルスの不活化作用等の光触媒作用を備える。これらの光触媒作用のうち、菌又はウイルスの不活化作用が注目されている。また着色された基材上に、光触媒を含む塗膜を設けることで、基材に光触媒作用を付与することが行われている。例えば、特許文献1の光触媒性着色被覆物品は、基材と、着色塗膜と、光触媒性塗膜と、を備える。
特開2001-149855号公報
光触媒作用は、光触媒に光を照射することで生じる光励起作用によって発現されることから、光触媒に到達する光の量を多くすることで、光触媒作用を効率良く発現させることができる。このため、光触媒に到達する光の量を多くすることで、光触媒による菌又はウイルスの不活化作用を発現させやすい。
本開示の目的は、光触媒に到達する光の量を多くすることができ、光触媒作用を効率良く発現させられる被覆材と、この被覆材を用いて菌又はウイルスを不活化させる方法と、を提供することにある。
本開示の被覆材は、表面の少なくとも一部が、波長555nmの光の反射率が85%以上である被覆層で構成されている基材と、前記被覆層上に位置する光触媒層と、を含む。
本開示の菌又はウイルスの不活化方法は、上記被覆材の前記光触媒層に光を照射することで、前記光触媒を活性化させて、菌又はウイルスを不活化させる。
本開示の被覆材によると、光触媒に効率良く光を到達させることができ、光触媒作用を効率良く発揮することができ、また本開示の被覆材を用いれば、菌又はウイルスを不活化させることができる。
図1は、第一実施形態に係る被覆材を示す概略の断面図である。 図2は、図1に示す被覆材に光を照射した場合を示す概略の説明図である。 図3は、第二実施形態に係る被覆材を示す概略の断面図である。 図4は、図3に示す被覆材に光を照射した場合を示す概略の説明図である。 図5は、経過時間に対する色差ΔEの百分比を示すグラフである。
1.概要
本開示の一実施形態に係る被覆材1は、図1に示すように、基材2と、光触媒層3と、を含む。基材2は、表面の少なくとも一部が、波長555nmの光の反射率が85%以上である被覆層21で構成されている。光触媒層3は、被覆層21上に位置する。
本実施形態の被覆材1では、被覆層21の波長555nmの光の反射率が85%以上であることにより、被覆層21で光を反射しやすい。光触媒層3に含まれる光触媒30は、可視光線によって光触媒作用を発現するため、光触媒層3に直接当たった光だけでなく、光触媒層3を通過して被覆層21で反射された光を、光触媒30に到達させることができる。そのため、光触媒30に効率良く光を到達させることができ、光触媒作用を効率良く発揮させることができる。
なお、以下の説明において「反射率」とは、JIS K 5600-4-7(1999)に記載されている60度鏡面光沢度測定方法に従い、光の反射率を測定して、基準面の光沢度を100としたときの百分率で規定される。鏡面光沢度の上限は100%である。
2.被覆材の詳細
2-1.第一実施形態
2-1-1.被覆材の構成
以下、第一実施形態に係る被覆材1の構成の詳細を説明する。第一実施形態に係る被覆材1は、基材2と光触媒層3とを含み、更に基材2と光触媒層3との間に設けられた中間保護層4を含む。このため被覆材1では、基材2上に、中間保護層4及び光触媒層3がこの順で積層されている。
(1)基材
基材2は、表面の少なくとも一部が被覆層21で構成されている。すなわち、基材2の表面全体が被覆層21で構成されていてもよく、基材2の表面の一部が被覆層21で構成されていてもよい。本実施形態では、基材2の表面全体が被覆層21で構成されている。基材2は、母材20と、被覆層21と、母材20と被覆層21との間に設けられた下塗層23を含む。
(i)母材
母材20の材質は特に限定されない。母材20は、例えば、金属、セラミック材料等の窯業系材料、セメント等の水硬性材料、プラスチック等の樹脂成形材料、及び炭素材料からなる群から選択される一種以上の材料から形成され得る。母材20が金属板である場合、この金属板の例には、鋼板、ステンレス板、アルミ板、亜鉛板、銅板、また、これらの合金板等が含まれる。
本実施形態の母材20は、めっき鋼板22である。すなわち基材2は、めっき鋼板22と、めっき鋼板22上に設けられた被覆層21と、を含む。
めっき鋼板22の例には、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、アルミめっき鋼板、アルミ-亜鉛合金めっき鋼板、亜鉛-アルミ-マグネシウム合金めっき鋼板、亜鉛-アルミ-マグネシウム-シリコン合金めっき鋼板、亜鉛-マグネシウム合金めっき鋼板、錫めっき鋼板、鉛めっき鋼板、クロムめっき鋼板等の各種めっき鋼板等が含まれる。
めっき鋼板22は、その表面が化成処理されていてもよい。化成処理の例には、塗布クロメート処理、電解クロメート処理、りん酸亜鉛処理や近年開発されている6価クロムを含まないノンクロメート処理等が含まれる。
(ii)下塗層23
下塗層23は、母材20上に設けられている。下塗層23は、母材20を覆っている。このため下塗層23は、母材20と直接接している。本実施形態では母材20がめっき鋼板22であるため、下塗層23はめっき鋼板22と直接接している。下塗層23は、単一の層であってもよく、複数の層で構成されていてもよい。また母材20と下塗層23とが直接接している場合に限定されず、例えば母材20と下塗層23との間に適宜の層が介在していてもよい。下塗層23は、下塗塗料から形成することができる。
下塗層23の膜厚は、5μm以上30μm以下であることが好ましい。下塗層23の膜厚が5μm以上であることにより、下塗層23の加工性、母材20との密着性、被覆層21の反射性を向上させることができる。下塗層23の膜厚が30μm以下であることにより、下塗塗料の塗布時にワキ(あわ状の小さな膨れや穴)が発生することを抑制することができる。下塗層23の膜厚は、10μm以上25μm以下であることがより好ましく、12μm以上22μm以下であることがとくに好ましい。下塗塗料は、ワキ発生などのため1度で塗装できない場合には、2回以上に分けて塗装してもよい。
下塗塗料は、例えば、ポリエステル樹脂、硬化剤、及び白色顔料を含有することができる。下塗塗料は、必要に応じて、体質顔料、着色顔料及びクロメート系又はクロメートフリー系の防錆顔料などの顔料成分、硬化触媒、顔料分散剤、表面調整剤、艶消し剤、有機溶剤など、波長555nmにおける光の反射率85%以上を損なわない範囲内で、公知の材料を含有してもよい。
下塗塗料に含まれるポリエステル樹脂の数平均分子量は、塗膜の仕上り性、塗膜硬度、加工性の観点から、2000以上30000以下であることが好ましく、3000以上25000以下であることがより好ましく、19000以上26000以下であることがさらに好ましく、20000以上23000以下であることがよりさらに好ましい。なお、本明細書における数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用いて測定した数平均分子量を、標準ポリスチレンの分子量を基準にして換算した値である。具体的には、ゲルパーミュエーションクロマトグラフとして、「HLC8120GPC」(商品名、東ソー社製)を使用し、カラムとして、「TSKgel G-4000HXL」「TSKgel G-3000HXL」「TSKgel G-2500HXL」及び「TSKgel G-2000HXL」(商品名、いずれも東ソー社製)の4本を使用し、移動相テトラヒドロフラン、測定温度40℃、流速1mL/min及び検出器RIの条件下で測定することができる。
下塗塗料に含まれるポリエステル樹脂は、水酸基を有することが好ましい。ポリエステル樹脂の水酸基価は、得られる塗膜の密着性の点から10~200mgKOH/g、特に60~185mgKOH/gの範囲であることが好ましい。ポリエステル樹脂の酸価は、仕上り性の観点から30mgKOH/g以下、好ましくは1~20mgKOH/gの範囲内が望ましい。
下塗塗料に含まれるポリエステル樹脂は、通常、多塩基酸成分及び多価アルコール成分とのエステル化反応又はエステル交換反応によって製造することができる。上記多塩基酸成分としては、例えば、脂環族多塩基酸成分、脂肪族多塩基酸成分、芳香族多塩基酸成分等を使用することができる。
上記脂環族多塩基酸成分としては、一般に、1分子中に1個以上の脂環式構造(主として4~6員環)と2個以上のカルボキシル基を有する化合物、該化合物の酸無水物及び該化合物のエステル化物である。該脂環族多塩基酸成分としては、例えば、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸、3-メチル-1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、4-メチル-1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸、1,3,5-シクロヘキサントリカルボン酸等の脂環族多価カルボン酸;これら脂環族多価カルボン酸の無水物;これら脂環族多価カルボン酸の低級アルキルエステル化物等が挙げられる。脂環族多塩基酸成分は、単独でもしくは2種以上を組合せて使用することができる。
脂環族多塩基酸成分としては、特に、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸、4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物を好適に使用することができる。上記のうち、耐加水分解性の観点から、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物を特に好適に使用することができる。
上記脂肪族多塩基酸成分は、一般に、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する脂肪族化合物、該脂肪族化合物の酸無水物及び該脂肪族化合物のエステル化物であって、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、オクタデカン二酸、クエン酸等の脂肪族多価カルボン酸;これら脂肪族多価カルボン酸の無水物;これら脂肪族多価カルボン酸の低級アルキルエステル化物等が挙げられる。脂肪族多塩基酸成分は、単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
上記脂肪族多塩基酸成分としては、炭素数4~18のアルキレン鎖を有するジカルボン酸を使用することが好ましい。上記炭素数4~18のアルキレン鎖を有するジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、オクタデカン二酸等が挙げられ、なかでもアジピン酸を好適に使用することができる。
上記芳香族多塩基酸成分としては、一般に、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する芳香族化合物、該芳香族化合物の酸無水物及び該芳香族化合物の低級アルキルエステル化物であって、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4'-ビフェニルジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族多価カルボン酸;これら芳香族多価カルボン酸の無水物;これら芳香族多価カルボン酸の低級アルキルエステル化物等が挙げられる。芳香族多塩基酸成分は、単独でもしくは2種以上組合せて使用することができる。
前記多価アルコール成分としては、1分子中に2個以上の水酸基を有する多価アルコールを好適に使用することができる。上記多価アルコール成分(a2)としては、例えば、脂環族ジオール、脂肪族ジオール、芳香族ジオール及び3価以上の多価アルコール等を挙げることができる。
上記脂環族ジオールは、一般に、1分子中に1個以上の脂環式構造(主として4~6員環)と2個の水酸基を有する化合物である。該脂環族ジオールとしては、例えば、1,4-シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF等の2価アルコール;これらの2価アルコールにε-カプロラクトン等のラクトン化合物を付加したポリラクトンジオール等が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上組合せて使用することができる。
上記脂肪族ジオールは、一般に、1分子中に2個の水酸基を有する脂肪族化合物である。該脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、3-メチル-1,2-ブタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、2,3-ジメチルトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、1,4-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリブチレングリコール等のポリエーテルジオール化合物等が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上組合せて使用することができる。
上記芳香族ジオールは、一般に、1分子中に2個の水酸基を有する芳香族化合物である。該芳香族ジオールとしては、例えば、ビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート等のエステルジオール化合物;ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上組合せて使用することができる。
3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジグリセリン、トリグリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニット等の3価以上のアルコール;これらの3価以上のアルコールにε-カプロラクトン等のラクトン化合物を付加させたポリラクトンポリオール化合物;トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2-ヒドロキシプロピル)イソシアヌレート、トリス(2-ヒドロキシブチル)イソシアヌレート等のトリス(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレート等が挙げることができる。これらのうち、特に、トリメチロールプロパンが好ましい。
ポリエステル樹脂を製造する方法は、特に限定されないが、例えば、上記多塩基酸成分を必須成分とする酸成分と多価アルコール成分とを窒素気流中、150~250℃で5~10時間反応させて、エステル化反応又はエステル交換反応を行なうことにより製造することができる。このエステル化反応又はエステル交換反応では、上記酸成分及びアルコール成分を一度に添加してもよいし、数回に分けて添加してもよい。また、はじめにカルボキシル基含有ポリエステル樹脂を合成した後、上記アルコール成分を用いて、該カルボキシル基含有ポリエステル樹脂中のカルボキシル基の一部をエステル化してもよい。さらに、はじめにポリエステル樹脂を合成した後、酸無水物を反応させて、ハーフエステル化してもよい。
上記エステル化又はエステル交換反応の際には、反応を促進させるために、触媒を用いてもよい。触媒としては、ジブチル錫オキサイド、三酸化アンチモン、酢酸亜鉛、酢酸マンガン、酢酸コバルト、酢酸カルシウム、酢酸鉛、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート等の既知の触媒を使用することができる。
また、ポリエステル樹脂は、該樹脂の調製中、もしくはエステル化反応後又はエステル交換反応後に、脂肪酸、油脂、モノエポキシ化合物、モノアルコール化合物、ポリイソシアネート化合物等で変性することができる。
上記脂肪酸としては、例えば、ヤシ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、麻実油脂肪酸、米ぬか油脂肪酸、魚油脂肪酸、トール油脂肪酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、桐油脂肪酸、ナタネ油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸等の脂肪酸;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等を挙げることができる。
油脂としては、例えば、ヤシ油、綿実油、麻実油、米ぬか油、魚油、トール油、大豆油、アマニ油、桐油、ナタネ油、ヒマシ油、脱水ヒマシ油、サフラワー油等が挙げられる。
上記変性に用いられるポリイソシアネート化合物としては、例えば、リジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物;水素添加キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサン-2,4-ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン-2,6-ジイソシアネート、4,4'-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,3-(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート化合物;トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物;リジントリイソシアネート等の3価以上のポリイソシアネート等の有機ポリイソシアネートそれ自体、又はこれらの各有機ポリイソシアネートと多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂もしくは水等との付加物、あるいは上記した各有機ジイソシアネート同士の環化重合体(例えば、イソシアヌレート)、ビゥレット型付加物等を挙げることができる。これらは、単独でもしくは2種以上組合せて使用することができる。
下塗塗料に含まれる樹脂全量に対するポリエステル樹脂の割合は、85質量%以上100質量以下であることがより好ましく、90質量%以上100質量%以下であることが特に好ましい。
下塗塗料に含まれる硬化剤は、加熱によりポリエステル樹脂の水酸基と反応して、硬化させることができるものであれば特に制限なく使用することができ、例えば、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂及びポリイソシアネート化合物等を挙げることができる。
上記メラミン樹脂としては、メチロール化メラミンのメチロール基の一部又は全部を炭素数1~8の1価アルコール、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、i-プロピルアルコール、n-ブチルアルコール、i-ブチルアルコール、2-エチルブタノール、2-エチルヘキサノール等で、エーテル化した部分エーテル化又はフルエーテル化メラミン樹脂が挙げられる。
メラミン樹脂の市販品としては、例えばサイメル202、サイメル232、サイメル235、サイメル238、サイメル254、サイメル266、サイメル267、サイメル272、サイメル285、サイメル301、サイメル303、サイメル325、サイメル327、サイメル350、サイメル370、サイメル701、サイメル703、サイメル1141(以上、ダイセル・オルネクス社製)、ユーバン20SE60(三井化学株式会社製)等が挙げられる。
ベンゾグアナミン樹脂は、ベンゾグアナミンとアルデヒドとの反応によって得られるメチロール化ベンゾグアナミン樹脂が挙げられる。アルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。また、このメチロール化ベンゾグアナミン樹脂を1種又は2種以上のアルコールによってエーテル化したものも上記ベンゾグアナミン樹脂に包含される。エーテル化に用いられるアルコールとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、2-エチルブタノール、2-エチルヘキサノール等の1価アルコールが挙げられる。これらのうち、なかでもメチロール化ベンゾグアナミン樹脂のメチロール基の少なくとも一部を炭素数1~4の1価アルコールでエーテル化してなるベンゾグアナミン樹脂が好適である。
上記ベンゾグアナミン樹脂の具体例としては、例えば、マイコート102、マイコート105、マイコート106(以上、いずれも三井化学社製)、ニカラックSB-201、ニカラックSB-203、ニカラックSB-301、ニカラックSB-303、ニカラックSB-401(以上、いずれも三和ケミカル社製)などのメチルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂;サイメル1123(ダイセル・オルネクス社製)などのメチルエーテルとエチルエーテルとの混合エーテル化ベンゾグアナミン樹脂;マイコート136(三井化学社製)、ニカラックSB-255、ニカラックSB-355、ニカラックBX-37、ニカラックBX-4000(以上、いずれも三和ケミカル社製)などのメチルエーテルとブチルエーテルとの混合エーテル化ベンゾグアナミン樹脂;マイコート1128(三井化学社製)などのブチルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂などを挙げることができる。
尿素樹脂は、尿素とホルムアルデヒドとの縮合反応で得られ、溶剤又は水に溶解又は分散できる。
ポリイソシアネート化合物としては、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート;メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート及びシクロペンタンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート;該ポリイソシアネートのビユーレットタイプ付加物、イソシアヌル環タイプ付加物;これらのポリイソシアネートと低分子量もしくは高分子量のポリオール化合物(例えば、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールなど)とをイソシアネート基過剰で反応させてなる遊離イソシアネート基含有プレポリマーなどを挙げることができる。
さらに、ポリイソシアネート化合物としては、上記ポリイソシアネート化合物の遊離イソシアネート基をフェノール化合物、オキシム化合物、活性メチレン化合物、ラクタム化合物、アルコール化合物、メルカプタン化合物、酸アミド系化合物、イミド系化合物、アミン系化合物、イミダゾール系化合物、尿素系化合物、カルバミン酸系化合物、イミン系化合物などのブロック剤で封鎖したブロック化ポリイソシアネート化合物も使用することができる。
また、下塗樹脂バインダの硬化促進のため、必要に応じて硬化触媒を配合することができる。硬化剤がアミノ樹脂である場合の硬化触媒としては、例えば、強酸、強酸の中和物などが挙げられ、代表例として、p-トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸などの強度の酸であるスルホン酸化合物、これらのスルホン酸化合物のアミン中和物などを挙げることができる。
硬化剤がブロック化ポリイソシアネート化合物である場合の硬化触媒としては、硬化剤であるブロック化ポリイソシアネート化合物のブロック剤の解離を促進する硬化触媒、例えば、オクチル酸錫、ジブチル錫ジ(2-エチルヘキサノエート)、ジオクチル錫ジ(2-エチルヘキサノエート)、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド、2-エチルヘキサン酸鉛などの有機金属触媒などを挙げることができる。
上述の通り、下塗塗料は白色顔料を含むことが好ましい。この場合、被覆層21の反射率を向上させることができる。下塗塗料は、白色顔料として、酸化チタンを含むことが好ましく、ルチル型酸化チタンを含むことがより好ましい。ルチル型酸化チタンは、その屈折率が高いため、被覆層21の反射率をより向上させることができる。下塗塗料において、ルチル型酸化チタンの固形分体積濃度は、20%以上35%以下であることが好ましく、20%以上30%以下がより好ましく、22%以上28%以下が特に好ましい。下塗塗料に含まれるルチル型酸化チタンの平均粒径は、200nm以上400nm以下であることが好ましく、250nm以上350nm以下であることがより好ましい。なお、ルチル型酸化チタンの平均粒径は、下塗層23を電子顕微鏡で10,000倍に拡大して観察し、粒径の小さい方から20%と、大きい方から5%とを除いた残りのルチル型酸化チタンの粒径の相加平均値である。
酸化チタンの製造法、表面処理の有無又は種類等に特に制限はないが、できるだけ隠蔽性が高く、白色度の高いものが好ましく、中でも特に、ルチル型酸化チタンは、塩素法で製造されると共に、アルミナ、シリカ、チタニア等で表面処理されていることが好ましい。このような酸化チタンは、隠蔽性及び白色度が高いことから特に好ましい。
酸化チタンの市販品としては、例えば、Ti-Pure R706、Ti-Pure R960、Ti-Pure R902+(以上、デュポン社製、商品名、塩素法による酸化チタン顔料)、タイペークCR-50、タイペークCR-60、タイペークCR-95(以上、石原産業社製、商品名、塩素法による酸化チタン顔料)、CR-826(Tronox社製、商品名、塩素法による酸化チタン顔料)などが挙げられる。
なお下塗塗料は、塗装作業性を向上させるため、溶剤、レベリング剤、顔料分散剤及びワキ防止剤等を含んでいてもよい。
下塗塗料の塗装方法としては、カーテン塗装、ロール塗装、浸漬塗装、スプレー塗装等を採用することができる。下塗塗料をコイルコーティングによってプレコート塗装する場合、その経済性からカーテン塗装法およびロール塗装法を採用することが好ましい。ロール塗装法を適用する場合には塗面の均一性を最良のものにするため3本ロールによるトップフィードもしくはボトムフィード方式が推奨されるが実用的には通常の2本ロールによるボトムフィード方式(いわゆるナチュラルリバース塗装、ナチュラル塗装)でもよい。
下塗塗料の硬化条件(焼付け条件)は、通常、素材到達最高温度(PMT)120~260℃で15秒~30分間程度である。コイルコーティングなどによって塗装するプレコート塗装分野においては、通常、素材到達最高温度160~260℃で15~90秒の範囲で行なわれる。
(2)被覆層
被覆層21は、下塗層23上に設けられ、下塗層23を覆っている。このため、被覆層21は、母材20を覆い、かつ、基材2の表面を構成している。被覆層21は、バインダー及び白色顔料を含む。本実施形態の被覆層21は、下塗層23と直接接しているが、これに限定されず、下塗層23と被覆層21との間に、適宜の層が介在していてもよい。
被覆層21は、その光の反射率が高い。具体的には、被覆層21は波長555nmの光の反射率が85%以上である。この構成は、例えば、被覆層21がバインダーに対して白色顔料を高い濃度で含有することによって達成できる。被覆層21において、バインダーに対する白色顔料の濃度が高い場合、白色顔料-バインダー界面だけでなく、白色顔料-空気界面、及びバインダー-空気界面において反射が生じやすい。そのため、被覆層21の光の反射率を高くできる。また被覆層21は、波長450nm以上750nm以下の光の反射率が92.5%以上であり、かつ、波長555nmの光の反射率が95%以上であることが好ましい。この場合、被覆層21で光を効率良く反射できる。また被覆材1を反射板として用いた場合に、高い照度が得られる。
本実施形態の被覆層21について、更に詳しく説明する。
被覆層21では、白色顔料の濃度が、バインダー100体積部に対して150体積部以上が好ましく、200体積部以上がより好ましく、500体積部以上が更に好ましく、800体積部以上がより更に好ましい。この場合、被覆層21を厚膜化しなくても、被覆層21の反射率を向上させることができる。白色顔料の濃度は、バインダー100体積部に対して1500体積部未満であることが好ましい。この場合、被覆層21が脆くなることを抑制することができ、被覆層21の強度を確保することができる。
被覆層21は、体積での空隙率が、5vol%以上が好ましく、9vol%以上がより好ましく、20vol%以上が更に好ましい。また断面での空隙率が、2%以上が好ましく、5%以上がより好ましく、10%以上が更に好ましい。この場合、被覆層21を厚膜化しなくても、被覆層21の反射率を向上させることができる。被覆層21は、体積での空隙率が、35vol%未満が好ましい。また断面での空隙率は、35%未満が好ましい。この場合、この場合、被覆層21が脆くなることを抑制することができ、被覆層21の強度を確保することができる。
被覆層21における、バインダー及び白色顔料の濃度(体積部)と、体積での空隙率は、以下の方法で測定することができる。まず、被覆層21の一部を削り取って、バインダー及び白色顔料の成分を確認する。成分を確認する方法は、特に限定されない。例えばバインダーの成分は、FT-IR、NMR等の方法で確認できる。例えば白色顔料の成分は、XRD、FT-IR等の方法で確認できる。次に、被覆層21から一定面積aかつ一定厚さbのサンプルを削り取る。このサンプルの見かけ上の体積cは、a×bとなる。次に、サンプルの質量dを、有効な桁数3桁以上で測定可能な秤量機で測定する。次に、サンプル全量を、バインダーが分解するまで加熱する。次に、加熱後のサンプルの質量eを測定する。質量eは白色顔料の質量に相当し、バインダーの質量fは、質量dから質量eを引くことによって算出することができる。これらバインダーの成分の比重、バインダーの質量f、白色顔料の成分の比重、及び白色顔料の質量eに基づいて、体積cを占めていたバインダーの体積g、白色顔料の体積hを算出することができる。またこれらの値から、バインダー及び白色顔料の濃度(体積部)と、体積での空隙率を求められる。
被覆層21の断面における空隙率は、以下の方法で測定することができる。まず、被覆層21から削りとったサンプルを樹脂に埋め込んで研磨することにより、被覆層21の表面に垂直であり、かつ、平滑な断面を形成する。この断面を、走査型顕微鏡で10000倍に拡大して撮影する。得られ画像における、白色顔料の面積と、空隙の面積とを比較することにより、断面の空隙率を求めることができる。
被覆層21の厚みは、5μm以上100μm未満が好ましい。被覆層21の厚みが100μm未満であることにより、被覆層21が脆くなることを抑制することができる。被覆層21の厚みは、外観仕上がりの点から、20μm以上50μm以下が好ましく、25μm以上35μm以下がより好ましい。この場合、被覆層21の光の反射率を向上できると共に、被覆層21が脆くなることを抑制することができ、被覆層21の強度を確保することができる。なお、被覆層21は、単一の層で構成されている場合に限られず、複数の層で構成されていてもよい。
被覆層21に含まれるバインダーは、熱可塑性樹脂であってもよく、熱硬化性樹脂であってもよい。バインダーは、固体の樹脂を熱溶融したものでもよく、有機溶剤に溶解した樹脂でもよく、固体の樹脂を粉砕したものでもよい。バインダーは、水溶性でもよく、水分散したエマルジョンタイプでもよい。バインダーは、紫外線硬化性樹脂でもよく、電子線硬化性樹脂でもよい。バインダーは、架橋剤を含んでいてもよい。バインダーは、例えば、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、及びシリコーン樹脂からなる群から選択される一種以上を含むことができる。
被覆層21に含まれる白色顔料は、ルチル型酸化チタンを含むことが好ましい。すなわち、被覆層21がルチル型酸化チタンを含むことが好ましい。ルチル型酸化チタンは、屈折率が高いことから、白色顔料-バインダー界面で光を反射しやすい。このため、被覆層21が白色顔料としてルチル型酸化チタンを含むことにより、被覆層21の光の反射率を向上させることができる。ルチル型酸化チタンは、Al、Si、Zr、有機物等で表面処理されていてもよい。被覆層21は、白色顔料として、市販品のルチル型酸化チタンを含んでいてもよい。市販品のルチル型酸化チタンの例には、石原産業社製の「タイペークTM」シリーズ、テイカ社製の「チタニクス」シリーズ等が含まれる。被覆層21は、ルチル型酸化チタン以外の白色顔料を含んでいてもよい。
被覆層21に含まれる白色顔料の平均粒径は、200nm以上400nm以下であることが好ましい。この場合、白色顔料の表面積を大きくすることができ、被覆層21の反射率を向上させられると共に、長波長側の光の透過率が高くなることを抑制することができる。
被覆層21は、上述のバインダー及び白色顔料を含む被覆塗料から形成することができる。具体的には、被覆塗料の塗膜を焼付乾燥させることによって被覆層21が得られる。被覆塗料の塗布方法の例には、ローラーカーテン塗工、カーテンフロー塗工、エアスプレー塗工、ダイコーター塗工、浸漬塗工、インクジェット塗工等が含まれる。
(3)中間保護層
中間保護層4は、基材2と光触媒層3との間に設けられ、詳細には被覆層21と光触媒層3との間に設けられている。このため中間保護層4は、被覆層21を覆うと共に、被覆層21と直接接している。
中間保護層4の主成分は、酸化ケイ素又はシロキサンポリマーであることが好ましい。
酸化ケイ素は、一酸化ケイ素、二酸化ケイ素、及びケイ素と酸素の比が定比でない化合物(例えば、SiO1.5、SiO1.8)からなる群から選択される少なくとも一種が含まれる。酸化ケイ素は、結晶質であってもよく、非晶質であってもよく、準結晶状態であってもよい。酸化ケイ素は、非晶質シリカを含むことが好ましい。この場合、酸化ケイ素が結晶質シリカである場合よりも、中間保護層4の柔軟性を向上させることができる。
シロキサンポリマーは、炭素数1以上4以下のアルコキシ基を有するテトラアルコキシシラン、炭素数1以上12以下のアルキル基を有するアルコキシシラン、アリール基を有するアルコキシシラン及び炭素数1以上12以下のアルキル基とアリール基の双方を有するアルコキシシランからなる群から選択される少なくとも1種のアルコキシシランと、エポキシ基を有するアルコキシシランまたはアミノ基を有するアルコキシシランとの加水分解反応及びその後の縮合反応により得られる脱水縮合物を含むことが好ましい。アルコキシシランの縮合物とは、原料として用いたアルコキシシランが加水分解し、一旦加水分解物を生成した後、乾燥焼付け(熱処理)工程で縮合して生成したものが好適である。中間保護層4の主成分が酸化ケイ素又はシロキサンポリマーである場合、光触媒層3に含まれる光触媒30の光触媒作用によって中間保護層4が劣化することを抑制することが好ましい。特に中間保護層4の主成分が、非晶質シリカまたはケイ素を主成分としたポリシロキサン系の無機ポリマーにアルキル基、アリール基を多く配合した無機-有機複合ポリマーであることよって、中間保護層4の耐候性、加工性、光触媒に対する安定性を向上させることができる。
上述の炭素数1以上12以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、2-エチルヘキシル基、ドデシル基など、アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などが挙げられる。これらのアルキル基のなかでも、メチル基、フェニル基が好ましい。すなわち、炭素数1以上12以下のアルキル基を有するアルコキシシランは、メチル基を有するアルコキシシラン、フェニル基を有するアルコキシシラン、メチル基とフェニル基を有するアルコキシシランを含むことが好ましく、フェニル基を有するアルコキシシランを含むことが特に好ましい。シロキサンポリマーは、異なる有機基を有する2種以上のアルコキシシラン、異なる2種以上の有機基を含有するアルコキシシランを含むことが好ましい。
中間保護層4が上述の無機-有機複合ポリマーを含む場合、この無機-有機複合ポリマーは、Si-Oの結合1に対して0.05~1.5の割合で、メチル基、及び/またはフェニル基が結合されていることが好ましく、0.05~1.2の割合で結合されていることがより好ましい。この場合、中間保護層4に適度な柔軟性を付与できると共に、中間保護層4上に設けられる光触媒層3の光触媒活性を向上させることができる。
中間保護層4は、光触媒を含んでいてもよい。この場合、中間保護層4における光触媒の割合は、光触媒層3における光触媒の割合よりも、少ないことが好ましい。中間保護層4全体に対する光触媒の質量割合は、0.05%以上20%以下が好ましく、0.1%以上15%以下がより好ましい。この場合、光触媒層3の劣化等によって中間保護層4が露出しても、中間保護層4に含まれる光触媒によって、光触媒作用を発現することができる。また中間保護層4に含まれる光触媒の光触媒作用による被覆層21に含まれる樹脂の劣化を抑制することができる。
中間保護層4の厚みは、0.1μm以上3μm以下が好ましく、0.1μm以上2.5μm以下がより好ましく、0.3μm以上2μm以下がより更に好ましい。
中間保護層4は、上述の酸化ケイ素またはシロキサンポリマーと、必要に応じて光触媒とを含む保護層用塗料から塗膜を形成した後、この塗膜を加熱硬化させることによって形成することができる。保護層用塗料の塗布方法は、例えば、ディップコート法、スプレーコート法、バーコート法、ロールコート法、又はスピンコート法を採用することができる。保護層用塗料の塗膜の加熱条件は、150℃以上400℃程度までの温度域で、1時間から数秒程度の熱処理を行うことが好ましい。
(4)光触媒層
光触媒層3は、被覆層21上に位置し、詳細には中間保護層4上に位置している。
光触媒層3は、酸化ケイ素及びシロキサンポリマーのうち少なくとも一方を含むことが好ましい。
酸化ケイ素は、例えば、非晶質シリカを含むことが好ましい。
シロキサンポリマーは、例えば、炭素数1以上4以下のアルコキシ基を有するテトラアルコキシシラン、又はエポキシ基を有するアルコキシシランの加水分解反応及び縮合反応で得られる脱水縮合物からなる樹脂を含むことが好ましい。
炭素数1以上4以下のアルコキシ基を有するテトラアルコキシシランの例には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ-n-プロポキシシラン、テトラ-i-プロポキシシラン、テトラ-n-ブトキシシラン、テトラ-i-ブトキシシラン、テトラ-sec-ブトキシシラン、及びテトラ-tert-ブトキシシラン等が含まれる。
エポキシ基を有するアルコキシシランの例には、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルトリメトキシシラン、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルトリエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、及びβ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等が含まれる。エポキシ基を有するアルコキシシランの中でも、特にγ-グリシドキシプロピルトリエトキシシランが取り扱い性に優れる。
上述のアルコキシシランとアルコキシシランの縮合物からなる樹脂は、無機成分であるシロキサンを主体とし、エポキシ基が少量配合された無機成分を主体とした光触媒に対する高い安定性を有する樹脂である。このうち、エポキシ基を有するアルコキシシランは皮膜の焼付け温度を低下させる効果を有するため好ましい。一般に、ケイ素のアルコキシドのみを出発原料としてポリシロキサン系の皮膜を形成する場合、脱水縮合から硬化まで一連の工程を効率的に行うためには400~500℃で数時間単位の熱処理が必要となる。光触媒層3を形成するにあたって、エポキシ基を導入することで、150~200℃程度の処理温度の低減と熱処理時間の短縮を図ることができ、コイルコーティングが可能な熱処理条件とすることができる。
光触媒層3は、テトラアルコキシシラン及びこれらのアルコキシシランの縮合物のみからなる無機ポリマーを含むことが好ましい。テトラアルコキシシランは、加水分解と脱水縮合により水酸基を含んだシロキサン結合が生成し、さらにエージングや加熱処理を行うことでシロキサン結合のみとすることができ、光触媒層3が光触媒30の光触媒作用で劣化することを抑制することができる。
光触媒層3に含まれるエポキシ基の割合は、Si-Oの結合1に対して0~0.25の割合であることが好ましく、0~0.22の割合であることがより好ましい。この場合、光触媒層3の光触媒耐性を向上させることができる。
光触媒層3は光触媒30を含む。光触媒30は、光が照射されることで光触媒作用を発現する物質である。光触媒30の具体例として酸化チタンが挙げられる。酸化チタンとしては、ルチル型酸化チタン、アナターゼ型酸化チタン、ブルッカイト型酸化チタンが存在する。光触媒30は、アナターゼ型酸化チタンを含有することが好ましい。すなわち光触媒層3は、アナターゼ型酸化チタンを含有することが好ましい。これは、アナターゼ型酸化チタンの光触媒活性が、その他の酸化チタンよりも高いためである。特に光触媒30は、可視光線によって光触媒作用を発現する物質であることが好ましい。すなわち光触媒30は、可視光励起型光触媒であることが好ましい。この場合、可視光性によって光触媒30の光触媒作用を発現させることができ、例えば蛍光灯、LED等の光によって光触媒30の光触媒作用を発現させることができる。可視光励起型光触媒の例には、アナターゼ型酸化チタンに窒素やイオウなどの陰イオンをドーピングしたもの、及びアナターゼ型酸化チタンにPt粒子を担持させたものの等が挙げられる。
酸化チタン結晶に窒素をドーピングする場合、窒素の存在状態によって、(i)酸化チタン結晶の酸素サイトの一部が窒素原子で置換され、Ti-O-Nの構成を有するもの、(ii)酸化チタン結晶の格子間に窒素原子が存在するもの、及び(iii)酸化チタン結晶の多結晶集合体の粒界に窒素原子が存在するもののうち一種以上が得られる。特に(i)の光触媒は、Ti-O-N構造によって結晶構造が安定化させているため、可視光線及び紫外線の両方によって、光触媒作用を発現することができると共に、光触媒作用を長期に亘って発現することができる。
光触媒30の状態は、粉末、水に分散した水系のゾルもしくはコロイド、アルコール等の極性溶媒やトルエン等の非極性溶媒中に分散した有機溶媒系のゾルもしくはコロイドのいずれでもよい。光触媒30が、有機溶媒系のゾルもしくはコロイドである場合、その分散性に応じて、光触媒塗料が水や有機溶媒で希釈されていてもよい。また光触媒30の分散性を分散性を向上させるために、光触媒30が表面処理されていてもよい。
光触媒30が窒素がドーピングされたアナターゼ型酸化チタンを含有する場合、例えば以下の方法(I)~(IV)によって製造することができる。
(I)酸化チタンまたは含水酸化チタンを、アンモニアガス、窒素ガス、及び窒素ガスと水素ガスとの混合ガスからなる群から選択される少なくとも1種のガスを含む雰囲気中で熱処理する方法。
(II)チタンアルコキシド溶液を、アンモニアガス、窒素ガス、及び窒素ガスと水素ガスとの混合ガスからなる群から選択される少なくとも1種のガスを含む雰囲気中で熱処理する方法。
(III)エマルジョン燃焼法において、エマルジョン中の水相であるチタン塩水溶液中またはサスペンジョン中に、硝酸イオン以外の窒素元素を含むイオンまたは分子、たとえばアンモニア、ヒドラジンが存在し、かつエマルジョン中に含まれる油及び界面活性剤を含む燃焼成分が完全に燃焼し、かつ水溶液中に含まれる金属イオンまたは金属化合物が大気中で最も安定な酸化物を形成するために必要な酸素量以下の酸素が反応装置内に導入された雰囲気中で、エマルジョンを噴霧燃焼させる方法。
(IV)エマルジョン燃焼法において、エマルジョン中の水相であるチタン塩水溶液またはサスペンジョン中に、硝酸イオン以外の窒素原子を含むイオンあるいは分子、たとえばアンモニア、ヒドラジンが存在せず、窒素ガス以外の窒素含有ガス、たとえばアンモニアを含み、かつ反応装置内に導入された酸素量が必要酸素量よりも少ない雰囲気中で、エマルジョンを噴霧燃焼させる方法。
(V)窒化チタン結晶または窒酸化チタン結晶を、酸素、オゾン、水分子、またはヒドロキシル基を含む化合物を含む酸化雰囲気中で熱処理あるいはプラズマ処理する方法。
(VI)酸化チタンと、常温で酸化チタンに吸着する窒素化合物との混合物を加熱する方法。
光触媒30の一次粒子径は、0.5μm以下が好ましく、0.1μm以下がより好ましく、0.05μm以下が特に好ましい。光触媒30の一次粒子径の下限は、特に限定されないが、例えば5nm以上である。光触媒30の一次粒子径が小さいほど、光触媒作用を向上させることができる。また光触媒30の一次粒子径が小さいほど、分散が困難になり、光触媒30の粒子の凝集体が形成される。この凝集体の間隙には樹脂が存在しないことが多い。光触媒層3において、樹脂が存在しない領域が形成されることにより、防汚作用、菌又はウイルスの不活化作用等の光触媒作用が効果的に作用することができる。
光触媒30が微細な粒子である場合、光触媒層3において光触媒30を分散させることが難しく、光触媒30の粒子が凝集体を形成することがある。通常、凝集体の間隙には光触媒層3を構成する樹脂成分が存在しない場合が多いため、光触媒30に菌又はウイルスが到達しやすいという利点が考えられる。また、光触媒層3において、光触媒30は均一に分散していることが望ましいが、必ずしも均一に分散する必要はない。光触媒30は均一に分散していない場合には、光触媒30の粒子が凝集体を形成する場合、光触媒30の濃度が最表面部と内部とで異なっている場合、光触媒物質の含有濃度が段階的に変化している場合などが挙げられ、これらの状態であっても好適に用いることができる。
光触媒層3中の光触媒30の分散状態に変化を持たせることにより、初期段階から長期間にわたって光触媒作用を発現させることができると共に、光触媒層3に含まれる樹脂の劣化を抑制することができる。例えば、光触媒層3に含まれる光触媒30に粒径分布の極大値が存在し、光触媒30の粒径分布の極大値の1つが0.5μm~5μmの範囲にあり、かつ中間保護層4中の光触媒の粒径分布の極大値の1つが0.2μm以下とすることが好ましい。光触媒層3中の光触媒30は、光触媒作用を発現することから活性が高いことが好ましく、光触媒30の微細な粒子が凝集した結果、粒径分布の極大値の1つが0.5μm~5μmの範囲にあることが好ましい。光触媒層3中の光触媒30の粒径分布の極大値は、0.5μm~3μmがより好ましく、0.6μm~2μmが更に好ましい。また中間保護層4中の光触媒の粒径分布の極大値は、0.15μm以下であることが好ましい。光触媒層3及び中間保護層4に含まれる光触媒の極大値は、合計の皮膜厚さの2倍である20μmを超えないことが好ましく、10μmを超えないことがより好ましい。また光触媒層3では、光触媒30の粒径分布の極大値が0.2μmに満たないことが好ましい。この場合、光触媒層3の光触媒活性を初期段階から発現させやすい。
光触媒層3に含まれる光触媒30の割合は、光触媒層3全体に対する質量割合で、50%以下が好ましく、40%以下が好ましく、30%以下が好ましい。この場合、光触媒30による光触媒作用を効率よく発現させながら、光触媒30の光触媒作用による光触媒層3に含まれる樹脂の劣化を抑制することができる。光触媒層3に含まれる光触媒30の割合の下限値は、光触媒作用を発現させることができれば特に限定されないが、例えば0.05%以上が好ましく、0.2%以上がより好ましく、0.5%以上が更に好ましい。
光触媒層3は、光触媒30をそのまま含んでいてもよく、光触媒30が触媒担体表面に担持された状態で含んでいてもよい。光触媒層3が触媒担体を含む場合、光触媒30とポリマー成分が直接触れる面積を減らすことができるため、光触媒30によるポリマー成分の劣化を抑制できる。また、ポリマー成分によっては光触媒30を分散させることが難しい場合があるが、適当な触媒単体を用いることにより、光触媒30を分散させやすくすることができる。光触媒層3は、触媒担体として、光触媒30に対して安定な無機系の酸化物を含むことが好ましく、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄、及び酸化カルシウムからなる群から選択される一種以上を含むことが好ましい。
光触媒層3は、実質的に、酸化ケイ素またはシロキサンポリマーと、光触媒30と、で構成される。このため、光触媒30の含有量が約10%であれば、残りは酸化ケイ素、またはシロキサンポリマーとなり得る。しかしながら、光触媒層3の意匠性、耐食性、耐摩耗性、触媒機能等を向上させるために、光触媒層3が、着色顔料、体質顔料、光触媒以外の触媒、防錆顔料、金属粉末、高周波損失剤、骨材等を含んでいてもよい。光触媒層3は、例えば、SiO、TiO、Al等の酸化物、2種以上の金属元素を構成成分とする複合酸化物、Zn粉末、Al粉末等の金属粉末等を含むことができる。また光触媒層3は、モリブデン酸カルシウム、リンモリブデン酸カルシウム、リンモリブデン酸アルミニウム等の非クロム酸系防錆顔料を含むことができる。また光触媒層3は、高周波損失剤として、Zn-Niフェライトを含むことができる。また光触媒層3は、骨材としては、チタン酸カリウム繊維を含むことができる。光触媒30中のこれらの成分の量は、特に限定されないが、例えば、30%以下が好ましく、20%以下がより好ましく、15%以下が特に好ましい。
光触媒層3は、主たる元素としてSiを含むが、これ以外の元素として、B、Al、Ge、Ti、Y、Zr、Nb、及びTaからなる群から選択される一種以上の元素を含んでいてもよい。特にAl、Ti、Nb、Taは、酸を触媒として系に添加しているときに、皮膜の固化を低温あるいは短時間で完了させることができる。酸を触媒として、これらの金属含有アルコキシドを添加すると、エポキシの開環速度が速くなり、低温短時間で皮膜を硬化させることができる。光触媒層3は、Ti-エトキシド、Ti-イソプロポキシド等のTiのアルコキシドを含むことが好ましい。またZrを添加した系では、皮膜の耐アルカリ性が顕著に改善されるため、特に耐アルカリ性が必要とされる用途で好適に用いられる。
光触媒層3の厚みは、0.1μm以上3μm以下が好ましく、0.1μm以上2.5μm以下がより好ましく、0.3μm以上2μm以下がより更に好ましく、1μm以上3μm以下が特に好ましい。この場合、光触媒層3に含まれる光触媒30の光触媒作用を特に発現させることができる。
光触媒層3と中間保護層4との合計の厚みは、5μm以下であることが好ましい。この場合、被覆材1の加工性と、加工部の密着性を向上させることができる。光触媒層3と中間保護層4との合計の厚みは、4μm以下がより好ましく、3μm以下が特に好ましい。この場合、光触媒層3及び中間保護層4の加工性を向上させることができる。光触媒層3と中間保護層4との合計の厚みの下限は、特に限定されないが、0.1μm以上が好ましく、0.3μm以上がより好ましい。
光触媒層3は、例えば、上述の酸化ケイ素またはシロキサンポリマーと、光触媒30とを含む光触媒塗料から塗膜を形成した後、この塗膜を加熱硬化させることによって形成することができる。光触媒層3は、中間保護層4を形成した後に中間保護層4上に形成してもよく、被覆層21上に保護層用塗料の塗膜を形成した後に、この塗膜上に光触媒塗料の塗膜を形成して、二つの塗膜を加熱硬化させることで、中間保護層4と同時に形成してもよい。光触媒塗料の塗布方法は、例えば、ディップコート法、スプレーコート法、バーコート法、ロールコート法、又はスピンコート法を採用することができる。光触媒塗料の塗膜の加熱条件は、150℃以上400℃程度までの温度域で、1時間から数秒程度の熱処理を行うことが好ましい。
2-1-2.光触媒作用
第一実施形態に係る被覆材1によって発現される光触媒作用について、図2を参照しながら説明する。
図2は、図1に示す被覆材1の光触媒層3に対して光が照射された場合の光触媒作用を説明するための図である。図2によると、光触媒30に到達した光によって光触媒作用が発現する。また光触媒層3に照射された光の一部は、光触媒層3を通過する。光触媒層3を通過した光は、中間保護層4を通過して、被覆層21に到達する。本実施形態の被覆層21は、波長555nmの光の反射率が85%以上であることから、被覆層21に到達した光は、被覆層21で効率よく反射される。被覆層21で反射された光は、中間保護層4を通過して、再度、光触媒層3に到達する。この被覆層21で反射されて光触媒層3に到達した光によっても光触媒作用が発現する。すなわち、本実施形態の被覆材1では、光触媒層3に直接照射された光だけでなく、光触媒層3を通過して被覆層21で反射された光も、光触媒30に到達させることができる。そのため、光触媒30に効率よく光を到達させることができ、光触媒30の光触媒作用を効率よく発現させることができる。その結果、光触媒層3に光を照射した初期段階から、高い光触媒作用を発現することができると共に、この光触媒作用を長期に亘って維持することができる。
また本実施形態の光触媒30は、可視光励起型の光触媒であることから、波長380nm以下の紫外光だけでなく、波長400nm以上の可視光線によっても光触媒作用を発現させることができる。このため、本実施形態に被覆材1では、紫外線が多く含まれる太陽光だけでなく、蛍光灯、キセノンランプ、LED等の光によっても、光触媒作用を発現させることができる。特に、被覆層21は、波長555nmの光の反射率が高く、かつ555nmは可視光領域の波長(380-750nm)のほぼ中間であるため、可視光領域全体の光を効率よく反射できる。本実施形態の光触媒30は可視光励起型の光触媒であることから、被覆層21が反射しやすい光の波長領域と、光触媒30が光触媒作用を発現可能な波長領域とが重複している。このため、光触媒30に直接到達した可視光線と、被覆層21で反射した可視光線とによって、光触媒30の光触媒作用を発現させることができ、光触媒層3に可視光線を照射した初期段階から高い光触媒作用を発現させられ、かつ、長期に亘って光触媒作用を維持できる。
本実施形態の被覆材1で発現される光触媒作用には、親水作用、防汚作用、菌又はウイルスの不活化作用等が含まれる。特に本実施形態では、菌又はウイルスの不活化作用を発現させやすく、一般的なカラー鋼板の表面上に光触媒層を設けた被覆材と比べて、菌又はウイルスの不活化作用を初期段階でも発現させられ、かつ、不活化作用を長期に亘って維持できる。これは、被覆層21の波長555nmの光の反射率が85%以上であることで達成でき、光触媒30が可視光励起型光触媒であることによってより達成させやすい。また被覆材1で発現される光触媒作用には、防汚、親水化機能、有機物の分解等も含まれる。
2-2.第二実施形態
2-2-1.被覆材の構成
第二実施形態に係る被覆材1は、被覆層21の代わりに被覆層210を備える点で第一実施形態に係る被覆材1と異なり、それ以外は第一実施形態に係る被覆材1と同様の構成を備える。このため、本実施形態の被覆材1では、図3に示すように、基材2上に、中間保護層4及び光触媒層3がこの順に積層されている。また基材2は、母材20と、被覆層210と、母材20と被覆層210との間に設けられた下塗層23を含む。このため本実施形態の被覆材1では、光触媒層3が被覆層210上に設けられている。
本実施形態の被覆層210は、被覆層21と同様に波長555nmの光の反射率が85%以上であるが、特に波長555nmの光の拡散反射率が85%以上であることが好ましい。この場合、光触媒層を通過して被覆層210に到達した光を、光触媒層3の広範囲の領域に拡散して反射することができる。これにより、光触媒層3に光を照射した初期段階から、特に高い光触媒作用を発現することができる。
なお、「拡散反射率」とは、積分球による、鏡面反射を含まない、波長555nmの光の拡散反射率のことである。この拡散反射率は、積分球を使用した拡散反射率測定装置を用いて測定した波長555nmの拡散反射率が、基準白色板を100としたときの百分率で規定される。拡散反射率測定装置としては、ミノルタ株式会社(現在はコニカミノルタ株式会社)製の「CM-3700d」、島津製作所製の分光光度計「AVAL265」などを例示することができる。拡散反射率は、JIS Z 8722 幾何条件cなどに準拠して測定されるものであって、積分球(光をほぼ完全に拡散反射する硫酸バリウムなどの白い塗料で内面を塗布した球)を使用して、拡散照明8°方向受光の条件で、波長555nmでの反射率を、基準白色板(材質は硫酸バリウム)を100とした時の百分率で測定する。拡散反射率は、正反射光を除去して光を測る方法をSCE(正反射光除去)方式を採用することができる。SCE方式では、正反射光を除去し、拡散反射光だけを測定しているので、目視に近い色や光沢の評価となる。被覆層210の拡散反射率の上限は100%である。
以下、被覆層210について詳しく説明する。
本実施形態では、被覆層210として、例えば、以下に示す第一例の構成、又は第二例の構成を採用することができる。なお、被覆層210の構成は下記の第一例及び第二例の構成に限定されない。
(第一例)
第一例の被覆層210は、バインダー樹脂と顔料とを含む。このため、被覆層210は、バインダー樹脂及び顔料を含む被覆塗料から形成される。
バインダー樹脂は、数平均分子量が19000以上28000以下であるポリエステル樹脂(以下、ポリエステル樹脂Aともいう)を含むことが好ましい。本実施形態の被覆層210は、被覆塗料中の顔料濃度が高いため、顔料-顔料間を繋ぎとめる能力(バインダー能力)を確保する必要がある。この点、被覆塗料に含まれる樹脂としてポリエステル樹脂Aを配合することにより、バインダー能力を確保することができ、被覆層210の加工性を向上させられる。また通常、数平均分子量が高いポリエステル樹脂を採用すると、被覆塗料の粘度が高くなるため、被覆塗料中の固形分濃度が高くなりやすい。これに対して本実施形態の被覆塗料では、顔料濃度が高く、相対的に樹脂の濃度が低いため、ポリエステル樹脂Aの数平均分子量が上記範囲であっても、塗膜の形成に適した粘度を確保でき、被覆塗料から塗膜を形成しやすい。このため、ワキ(あわ状の小さな膨れや穴)の発生を抑制しながら、被覆塗料から厚膜の塗膜を形成できる。さらに、ポリエステル樹脂の数平均分子量が19000以上であることにより、被覆材1に優れた成形性を付与することができる。またポリエステル樹脂の数平均分子量が28000以下であることにより、被覆層210に適度な柔軟性を付与しながら、被覆層210の耐傷付性を確保することができる。ポリエステル樹脂Aの数平均分子量は、19000以上26000以下がより好ましく、20000以上23000以下が特に好ましい。バインダー樹脂全量に対する、ポリエステル樹脂Aの割合は、20%質量以上100質量%以下が好ましく、30質量%以上80質量%以下がより好ましく、40質量%以上60質量%以下が特に好ましい。
バインダー樹脂は、数平均分子量が2000以上6000以下であり、かつ、水酸基価が20以上であるポリエステル樹脂(以下、ポリエステル樹脂Bともいう)を含有することも好ましい。本実施形態の被覆層210においては、顔料間に樹脂が分散した構造になることが考えられる。この構造において、ポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂Bとを組み合わせることにより、ポリエステル樹脂Aが入り込みにくい隙間に、ポリエステル樹脂Bが入り込むことができる。このため、ポリエステル樹脂Bは、顔料と顔料、或いは顔料とポリエステル樹脂Aとのバインダーとして機能し、被覆層210の強度、加工性、及び密着性を向上させることができる。
またポリエステル樹脂Bの数平均分子量が2000以上であることにより、被覆層210の強度を確保することができ、被覆層210の加工性を向上させることができる。またポリエステル樹脂Bの数平均分子量が6000以下であることにより、ポリエステル樹脂Bが顔料間の隙間に入り込みやすく、被覆層210の密着性を向上させることができる。ポリエステル樹脂Bの数平均分子量は、2500以上5000以下がより好ましく、3000以上4500以下が特に好ましい。またポリエステル樹脂Bの水酸基価が20以上であることにより、架橋点が多くなるため、被覆層210の下塗層23への密着性を向上させることができる。ポリエステル樹脂Bの水酸基価は、30以上がより好ましく、40以上が特に好ましい。ポリエステル樹脂Bの水酸基価の上限値は、特に限定されないが、例えば200以下であることが好ましい。
被覆塗料において、ポリエステル樹脂Aの質量に対する、ポリエステル樹脂Bの質量の比(ポリエステル樹脂B/ポリエステル樹脂A)は0.25以上4以下であることが好ましい。この比が0.25以上であると、被覆層210の密着性を効果的に向上させることができる。またこの比が4以下であることにより、被覆層210の加工性を効果的に向上させることができる。ポリエステル樹脂Aとポリエステル樹脂Bとの質量の比は、0.4以上2.5以下がより好ましく、0.65以上1.5以下が特に好ましい。
被覆塗料に含まれる顔料は、ルチル型酸化チタンを含むことが好ましい。すなわち、被覆層210がルチル型酸化チタンを含むことが好ましい。ルチル型酸化チタンは、他の顔料よりも屈折率が高いため、被覆層210に含まれる樹脂及び空気と、ルチル型酸化チタンとの屈折率差を大きくすることができる。この屈折率差を大きくすることにより、被覆層210の拡散反射率を大きくすることができる。
ルチル型酸化チタンの粒子は、粒子単体でもよく、ルチル型酸化チタンの粒子をシリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化アンチモン、有機物等でコーティングしたものでも良い。コーティングに用いる有機物の例には、ペンタエリトリット、トリメチロールプロパン等のポリオール系、トリエターノールアミン、トリメチロールアミンの有機酸塩等のアルカノールアミン系、シリコン樹脂、アルキルクロロシラン等のシリコン系が含まれ得る。
ルチル型酸化チタンの平均粒径は、200nm以上400nm以下であることが好ましい。この場合、被覆層210の反射率を向上させることができ、光触媒層3を通過して被覆層210に到達した光を、光触媒層3に向かって反射しやすくすることができる。また光触媒層3に含まれる光触媒30を活性化させやすい波長の光を、被覆層210で反射しやすくすることができる。ルチル型酸化チタンの平均粒径は250nm以上350nm以下がより好ましい。なお、ルチル型酸化チタンの平均粒径は、被覆層210を電子顕微鏡で10,000倍に拡大して観察し、視野中に映し出されるルチル型酸化チタンの内、数で粒径の小さい方から20%と大きい方から5%を除いた残りのルチル型酸化チタンの粒径の相加平均値である。
被覆層210において、ルチル型酸化チタンの固形分体積濃度は20%以上であることが好ましい。この場合、ルチル型酸化チタンの粒子によって被覆層210が最密充填状態であっても、粒子間の空隙の容積を樹脂の体積よりも大きくすることができる。空隙の屈折率は、顔料の屈折率及び樹脂の屈折率よりも低いため、顔料と空隙の界面、及び樹脂と空隙の界面で光が反射しやすい。このため、被覆層210中に十分な空隙を設けることで、被覆層210の拡散反射率を向上させることができる。ルチル型酸化チタンの固形分体積濃度は、25%以上がより好ましい。この場合、被覆層210の拡散反射率をより向上させることができる。ルチル型酸化チタンの固形分体積濃度は70%以下であることが好ましく、65%以下であることがより好ましく、40%以下であることが特に好ましい。この場合、被覆層210の強度を確保することができ、被覆層210が脆くなることを抑制することができる。
被覆塗料は、ルチル型酸化チタンよりも平均粒径が大きく、かつ、屈折率が低い成分(以下、低屈折率成分ともいう)を含有してもよい。この場合、被覆層210中の空隙を増やすことができると共に、ルチル型酸化チタンとの界面においても光を反射することができる。このため、被覆層210の拡散反射率を効果的に向上させることができる。低屈折率成分の平均粒径は、1μm以上10μm以下が好ましく、3μm以上8μm以下がより好ましく、4μm以上7μm以下であることがより好ましい。低屈折率成分の屈折率は、ルチル型酸化チタンの屈折率よりも、0.5以上低いことが好ましく、1以上低いことがより好ましい。低屈折率成分は、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、及びアクリル、ポリエステル、PTFE等の樹脂粉末からなる群から選択される一種以上を含むことができる。低屈折率成分の被覆層210中の固形分体積濃度は、9~25%で、好ましくは、10~17%である。この場合、被覆層210の拡散反射率を向上させながら、被覆層210の加工性及び耐食性を確保することができる。
被覆層210中の空隙の割合は、被覆層210の固形分体積料の0.02倍以上1.1倍以下が好ましく、0.3倍以上1.0倍以下がより好ましく、0.5倍以上0.95倍以下が特に好ましい。この場合、被覆層210の拡散反射率を向上させながら、被覆層210の加工性及び密着性を確保することができる。被覆層210中の空隙の大きさは、例えば200nm以上400nm以下であり、250nm以上350nm以下が好ましい。この場合、被覆層210の拡散反射率を向上させながら、被覆層210の加工性と耐食性を確保することができる。但し、被覆層210中の空隙の大きさを制御することは難しいため、極端に大きな空隙が生じたり、被覆層210の拡散反射率に特に影響がなければ、被覆層210中の空隙の大きさは特に限定されない。
被覆層210の厚みは、5μm以上100μm未満が好ましい。被覆層210の厚みが100μm未満であることにより、被覆層210が脆くなることを抑制することができる。外観仕上がりの点から、20μm~50μmが好ましく、25μm~35μmがより好ましい。この場合、被覆層210の光の反射率を向上できると共に、被覆層210が脆くなることを抑制することができ、被覆層210の強度を確保することができる。被覆層210の厚みは、50μm未満がより好ましい。この場合、被覆層210の形成時に、ワキ(あわ状の小さな膨れや穴)が発生することを抑制できる。なお、被覆層210は、単一の層で構成されている場合に限られず、複数の層で構成されていてもよい。
被覆層210と中間保護層4との境界面の中心平均粗さRaは、0.8μm以上が好ましく、1.1μm以上がより好ましく、1.6μm以上が特に好ましい。この場合、被覆層210と中間保護層4との密着性を向上できると共に、被覆層210の拡散反射率を向上させることができる。被覆層210と中間保護層4との境界面の中心平均粗さRaは4μm以上が好ましい。この場合、中間保護層4及び光触媒層3を平坦にしやすく、光触媒層3の耐汚染性を向上させることができる。被覆層210と中間保護層4との境界面の中心平均粗さRaは、例えば、以下の方法によって大きくすることができる。
(a)被覆塗料と、中間保護層4を形成するための塗料とを、未乾燥状態で積層する。
(b)被覆層210の顔料の濃度を、中間保護層4の顔料の濃度よりも大きくする。
(c)被覆層210に平均粒径の大きな顔料を添加すること。
(d)被覆塗料の粘度を下げること。
(e)被覆塗料と中間保護層4を形成するための塗料との表面張力差を小さくすること。
(第二例)
第二例の被覆層210は、光沢の少ない塗膜層であり、艶消し塗膜層であることが好ましい。第二例の被覆層210は、例えば、ポリエステル樹脂及び硬化剤を含む樹脂バインダー、酸化チタン、及び平均粒子径4~9μmの有機ポリマー微粒子を含有する塗料(以下、第二例の塗料ともいう)から形成することができる。
樹脂バインダーに含まれるポリエステル樹脂としては、第一実施形態の下塗層23に含まれるポリエステル樹脂と同様の成分を使用することができる。
樹脂バインダーに含まれる硬化剤としては、第一実施形態の下塗層23に含まれる硬化剤と同様の成分を使用することができ、例えば、上記アミノ樹脂、上記ブロック化イソシアネート化合物等を使用することが好ましい。また第二例の塗料は、硬化促進のため、第一実施形態の下塗層23に含まれる硬化触媒と同様の成分を含んでいてもよい。
第二例の塗料に含まれる酸化チタンとしては、第一実施形態の下塗層23に含まれる酸化チタンと同様の成分を使用することができる。第二例の塗料の酸化チタンの含有量は、樹脂バインダー成分100質量部に対し、100質量部以上250質量部以下であり、140質量部以上190質量部以下であることがが好ましい。この場合、第二例の被覆層210の、仕上り性、高拡散反射率及び密着性のバランスよく向上させることができる。
上述の通り、第二例の塗料には、平均粒子径4~9μmの有機ポリマー微粒子が含まれる。これにより、被覆層210を低光沢化及び高拡散反射率化することができる。有機ポリマー微粒子の例には、尿素とアルデヒド成分との縮合反応により得られた樹脂を粉砕処理した尿素樹脂系の有機ポリマー微粒子、アクリル樹脂系の有機ポリマー微粒子等が含まれる。有機ポリマー微粒子は、中空であってもよい。
有機ポリマー微粒子の平均粒子径は、4μm以上9μm以上であり、5μm以上8μm以下であることが好ましい。この場合、被覆層210の拡散反射率を向上させながら、被覆層210の仕上り性を向上させることができる。なお、有機ポリマー微粒子の平均粒子径とは、マイクロトラック粒度分布測定装置(商品名「MT3300」、日機装社製)を使用し、レーザー回折散乱法により測定された体積基準粒度分布のメジアン径(d50)の値である。
有機ポリマー微粒子の市販品としては、パーゴパックM3(ロンザジャパン社製、商品名)、GR-800(根上工業社製、商品名)、テクポリマーMBX-5、テクポリマーMBX-8(以上、積水化学社製、商品名)等が挙げられる。
第二例の塗料における有機ポリマー微粒子の含有量は、樹脂バインダー成分100質量部に対して、10質量部以上30質量部以下が好ましく、11質量部以上20質量部以下がより好ましい。
第二例の被覆層210の厚みは、20μm以上35μm以下が好ましく、25μm以上33μm以下がより好ましい。この場合、被覆層210の隠蔽性を向上できると共に、第二例の塗料を塗布する際に、ムラなく均一に塗布しやすい。
第二例の塗料は、必要に応じて、シリカ等の艶消し剤、溶剤、レベリング剤、表面調整剤、紫外線吸収剤、光安定剤、顔料分散剤、ワキ防止剤等を含んでいてもよい。
第二例の塗料の塗装方法としては、例えば、カーテン塗装、ロール塗装、浸漬塗装、スプレー塗装等が挙げられる。第二例の塗料を、コイルコーティング等によってプレコート塗装する場合、その経済性からカーテン塗装法およびロール塗装法が推奨される。ロール塗装法を適用する場合には塗面の均一性を最良のものにするため3本ロールによるトップフィードもしくはボトムフィード方式が推奨されるが実用的には通常の2本ロールによるボトムフィード方式(いわゆるナチュラルリバース塗装、ナチュラル塗装)でもよい。
第二例の塗料の硬化条件(焼付け条件)は、例えば、素材到達最高温度160~260℃で15~90秒の範囲で行なわれる。
第二例の被覆層210を適用した基材2の表面では60度鏡面光沢度が、5~20%、好ましくは6~15%の範囲内であることが好ましい。この場合、高拡散反射光を得やすい。また第二例の被覆層210によれば、光の波長555nmにおける拡散反射率が85%以上、好ましくは88%以上を達成することができる。
2-2-2.光触媒作用
第二実施形態に係る被覆材1によって発現される光触媒作用について、図4を参照しながら説明する。
本実施形態の被覆材1は、第一実施形態に係る被覆材1と同様に、被覆層210の波長555nmの光の反射率が85%以上であることから、光触媒層3に直接照射された光だけでなく、光触媒層3を通過して被覆層210で反射された光も、光触媒30に到達させることができる。このため、光触媒30に効率よく光を到達させることができ、光触媒30の光触媒作用を効率よく発現させることができる。
さらに本実施形態の被覆材1では、被覆層210の波長555nmの光の拡散反射率が85%以上であることによって、光触媒層3を通過して被覆層210に到達した光を、光触媒層3に向かって広範囲に拡散させることができる(図4参照)。そのため、光触媒30に特に効率よく光を到達させることができ、光触媒30の光触媒作用を特に効率よく発現させることができる。これにより、光触媒層3に光を照射した初期段階から、特に高い光触媒作用を発現することができると共に、この光触媒作用を特に長期間に亘って維持することができる。
勿論、本実施形態の被覆材1で発現される光触媒作用にも、親水作用、防汚作用、菌又はウイルスの不活化作用等が含まれる。本実施形態の被覆材1では、光触媒層3に光を照射した初期段階でも、菌又はウイルスの不活化作用を特に効率よく発現させることができると共に、この不活化作用を長期間に亘って維持できる。
3.菌又はウイルスの不活化方法
上述の通り、第一実施形態及び第二実施形態の被覆材1を用いることにより、菌又はウイルスを不活化させることができる。
このため、菌又はウイルスの不活化方法では、上述の被覆材1の光触媒層3に光を照射することで、光触媒30を活性化させて、菌又はウイルスを不活化させる。より具体的には、太陽光や蛍光灯、LED灯等の光源から、光触媒層3に光を照射することで、光触媒30が励起状態となり、光触媒層3の表面において強い酸化力を有する活性酸素が発生する。この活性酸素が、菌、ウイルス等を分解することによって、菌又はウイルスが不活化される。また活性酸素は有機物を分解することができるため、防汚作用を発現することもできる。
被覆材1の光触媒作用で不活化できる菌・ウイルスには、青かび(ペニシリウムピノヒルム)、フザリウム、黄色ブドウ球菌、インフルエンザA型ウイルス、ネコカシリウイルス、ノロウイルス、Bacillus anyabhattai、Aeromicrobium sp、Marmorico sp、Bacillus sp等が含まれる。もちろん、被覆材1の光触媒作用で不活化できる菌・ウイルスには、上記以外の菌・ウイルスも含まれる。
被覆材1は、光触媒層3に光を照射した初期段階から、菌又はウイルスの不活化作用が発現される。光触媒層3に光を照射した初期段階から、菌又はウイルスの不活化作用を発現することの指標として、例えば、以下の指標が考えられる。
菌又はウイルスの不活化作用は、上述の通り、光触媒層3の表面において発生する活性酸素によって発揮される。この活性酸素は、菌又はウイルスだけでなく、メチレンブルーなどの有機物を分解できることから、メチレンブルーの分解能を、菌又はウイルスの不活化作用の指標とできる。このため、光触媒層3に光を照射した初期段階においてメチレンブルーの分解能が高ければ、光触媒層3に光を照射した初期段階から、菌又はウイルスの不活化作用が発現されているとみなすことができる。
メチレンブルーの分解能は、例えば、以下の方法で測定することができる。まず、任意の濃度でメチレンブルーが含まれ、かつ、任意の厚みを有する乾燥塗膜を、光触媒層3上に設ける。次に、光触媒層3に対して、任意の照度、かつ、任意の時間でUVランプを光触媒層3に照射する。光触媒効果によってメチレンブルーが分解されると、乾燥塗膜の色が変化するため、UVランプの照射前後における乾燥塗膜の色差ΔEに基づいて、メチレンブルーの分解能を測定することができる。なお、色差ΔEを測定する方法は、特に限定されないが、例えばコニカミノルタ株式会社製の分光測色系(品番CM-3700d)を用いて、測定することができる。
第一実施形態及び第二実施形態の被覆材1では、100倍に希釈したメチレンブルーの乾燥塗膜(付着量 44.4mg/m)を光触媒層3上に設けて、10.0±0.5W/mの照射強度で紫外線を1時間照射した場合に、照射前の乾燥塗膜の色差(ΔE)に対する、照射後の乾燥塗膜の色差(ΔE)の百分比が30%以上であることが好ましい。
また特に第二実施形態の被覆材1では、100倍に希釈したメチレンブルーの乾燥塗膜(付着量 44.4mg/m)を光触媒層3上に設けて、紫外線を10.0±0.5W/mの照度で1時間照射した場合に、紫外線照射前の乾燥塗膜の色差(ΔE)に対する紫外線照射後の乾燥塗膜の色差(ΔE)の百分比が40%以上であることが好ましい。
また第一実施形態及び第二実施形態の被覆材1では、付着量44.4mg/mのメチレンブルーの乾燥塗膜を光触媒層3上に設けて、0.0±0.5W/mの照射強度で紫外線を11時間照射した場合に、照射前の乾燥塗膜の色差(ΔE)に対する、照射後の乾燥塗膜の色差(ΔE)の百分比が、1時間あたり6%以上増加することが好ましい。
また第一実施形態及び第二実施形態の被覆材1では、付着量44.4mg/mのメチレンブルーの乾燥塗膜を光触媒層3上に設けて、0.0±0.5W/mの照射強度で紫外線を11時間照射した場合に、照射前の乾燥塗膜の色差(ΔE)に対する、照射後の乾燥塗膜の色差(ΔE)の百分比が、60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
(実施例1、2及び比較例1、2)
まず基材として、55%AL-Zn溶融めっき鋼板を用意した。
次に、下記の表1に示す下塗塗料を基材の表面上に塗布して塗膜を形成した後、220℃で約1分加熱することにより、下塗層23を形成した。下塗塗料の塗布量は、乾燥膜厚で12.5μmであった。
次に、下記の表1に示す被覆塗料を下塗層23上に塗布して塗膜を形成した後、220℃で約1分加熱することにより、被覆層を形成した。被覆塗料の塗布量は、乾燥膜厚で27.5μmであった。被覆層の表面の、波長555nmの光の反射率及び拡散反射率は、下記の表1に示す値であった。なお、被覆層の反射率及び拡散反射率は、コニカミノルタ製の分光測色計(CM-3700d)を用いて測定した。
次に、下記の表1に示す保護層用塗料を下塗層23上に塗布して塗膜を形成した後、200℃で約1分加熱することにより、中間保護層を形成した。保護層用塗料の塗布量は、乾燥膜厚で1.0μmであった。
次に、下記の表1に示す光触媒塗料を中間保護層上に塗布して塗膜を形成した後、220℃で約1分間加熱することにより、光触媒層を形成した。光触媒塗料の塗布量は、乾燥膜厚で1.0μmであった。以上の工程により、被覆材を作製した。
なお、下記の表1に示す塗料の詳細は以下の通りである。
・KPP-76:関西ペイント(株)製のプレイマー塗料(品番KPP-76)。樹脂バインダと、酸化チタン顔料とを含む。
・KP-217:関西ペイント(株)製の白色塗料(品番KP-217)。
・KP-217+有機ポリマー微粒子:関西ペイント(株)製の白色塗料(品番KP-217)とアクリル樹脂ビーズ(粒径 5μm)の混合物で、塗布、乾燥後の光沢度が10となる様に調整した塗料。
・MX-110F:アクゾノーベルコーティング(株)製の白色塗料(品番MX-110F)。
・VCT-02BSLB:豊通ヴィーテクス(株)製の保護塗料。アルコキシシランを含む原料成分と、光触媒活性を有する物質とを含む。
・VCTII-02BSLC:豊通ヴィーテクス(株)製の保護塗料。アルコキシシランを含む原料成分と、可視光領域で光触媒活性を有する物質とを含む。
Figure 0007374605000001
(評価)
1.メチレンブルーの分解能
実施例1、2及び比較例1、2の被覆材に太陽光を6時間照射して、光触媒層を含まない比較例2の被覆材を除き、実施例1、2及び比較例1の光触媒層を励起状態とした。次に、各被覆材の表面上に、純水で100倍に希釈したメチレンブルーを塗布して乾燥させることにより、付着量が44.4mg/mであるメチレンブルーの乾燥塗膜を形成した。次に、各被覆材に紫外線を照射した。紫外線の照射強度は、10.0±0.5W/mとした。紫外線の照射を開始してから、一定時間ごとに各被覆材の色差を測定し、初期の色差ΔE0に対する百分比を求めた。その結果を、下記の表2及び図5に示す。
Figure 0007374605000002
表2及び図5によると、比較例1の被覆材は、比較例2の被覆材よりも、色差ΔEの百分比が大きい。これは、比較例2の被覆材が、光触媒層を有さず、メチレンブルーを分解しにくいためと考えられる。また実施例1、2の被覆材は、比較例1の被覆材よりも、色差ΔEの百分比が大きく、特に紫外線を照射した初期からΔEの百分比が大きい。これは、実施例1、2の被覆材が、光触媒層に加えて反射率の高い被覆層を有するために、紫外線照射初期から光触媒効果を効率よく発揮させられるためと考えられる。また実施例1の被覆材は、紫外線の照射11時間後及び21時間後において、実施例2の被覆材よりも、色差ΔEの百分比が大きい。これは、実施例1の被覆層が、実施例2の被覆層よりも拡散反射率が高く、光触媒効果を特に効率よく発揮させられるためと考えられる。
2.菌、カビ、ウイルスの不活化作用
メチレンブルーの分解能が特に優れる実施例1の被覆材と、実施例1よりもメチレンブルーの分解能が低い比較例1とに関して、菌、カビ、ウイルスの不活化作用を測定した。また光色触媒層がないためにメチレンブルーの分解能を有さない比較例2に関しても、一部、菌、カビ、ウイルスの不活化作用を測定した。その結果を以下に示す。
(ア)カビ及び菌
実施例1及び比較例1、2の被覆材の表面上に、下記の表3に示す菌及びカビを配置した。次に、照度1000lxの蛍光灯を用いて、各被覆材に蛍光灯の光をUVカットフィルタを介して24時間照射した。そして、光の照射前の生菌数と照射後の生菌数から、その減少率を算出した。その結果を、下記の表3に示す。
Figure 0007374605000003
表3によると、比較例1の被覆材は、比較例2の被覆材よりも生菌数の減少率が大きい。これは、比較例1の被覆材が光触媒層を有するために、光触媒効果によって、カビ又は菌の数を減少させられるためと考えられる。また実施例1の被覆材は、比較例1、2の被覆材よりも生菌数の減少率が大きい。これは、実施例1の被覆材が、光触媒層に加えて反射率及び拡散反射率の高い被覆層を有するために、紫外線照射初期から光触媒効果を効率よく発揮できると共に、この光触媒効果を長期間維持できるためと考えられる。
(イ)インフルエンザA型ウイルス
実施例1及び比較例1、2の被覆材の表面上に、インフルエンザA型ウイルスを配置した。次に、照度3000lxの蛍光灯を用いて、各被覆材に蛍光灯の光をUVカットフィルタを介して8時間照射した。そして、照射前の生ウイルス数に対する、照射開始4時間後の生ウイルス数の比と、照射開始8時間後の生ウイルス数の比と、を算出した。その結果を、下記の表4に示す。
Figure 0007374605000004
表4によると、比較例1の被覆材は、比較例2の被覆材よりも生ウイルス数の比が小さい。これは、比較例1の被覆材が、光触媒層を有し、その光触媒効果によって、ウイルスの数を減少させられるためと考えられる。また実施例1の被覆材は、比較例1、2の被覆材よりも、生ウイルス数の比か小さい。これは、実施例1の被覆材が、光触媒層に加えて反射率及び拡散反射率の高い被覆層を有するために、紫外線照射初期から光触媒効果が効率よく発揮されると共に、この光触媒作用が長期間維持されるためと考えられる。
(ウ)ネコカシリウイルス
実施例1及び比較例1、2の被覆材の表面上に、ネコカシリウイルスを配置した。次に、照度3000lxの蛍光灯を用いて、各被覆材に蛍光灯の光をUVカットフィルタを介して8時間照射した。そして、光の照射前の生ウイルス数に対する照射開始8時間後の生ウイルス数の比を算出した。その結果を、下記の表5に示す。
Figure 0007374605000005
表5によると、比較例1の被覆材は、比較例2の被覆材よりも生ウイルス数の比が小さい。これは、比較例1の被覆材が、光触媒層を有し、その光触媒効果によって、ウイルスの数を減少させられるためと考えられる。また実施例1の被覆材は、比較例1、2の被覆材よりも、生ウイルス数の比か小さい。これは、実施例1の被覆材が、光触媒層に加えて反射率及び拡散反射率の高い被覆層を有するために、紫外線照射初期から光触媒効果が効率よく発揮されると共に、この光触媒効果が長期間維持されるためと考えられる。
(エ)土壌から採取された菌
実施例1及び比較例1の被覆材の表面上に、土壌から採取された四種類の菌(Bacillus anyabhattai、Aeromicrobium sp、Marmorico sp、Bacillus sp)を配置した。次に、照度1000lxの蛍光灯を用いて、各被覆材に蛍光灯の光をUVカットフィルタを介して16時間照射した。そして、光の照射前の生菌数と照射後の生菌数から、その減少率を算出した。その結果を、下記の表6に示す。
Figure 0007374605000006
表6によると、実施例1の被覆材は、いずれの生菌数の減少率も大きく、特にAeromicrobium sp、Marmorico sp、Bacillus spの生菌数の減少率が大きい。これは、実施例1の被覆材では、反射率及び拡散反射率が高いために、紫外線照射初期から光触媒効果が効率よく発揮されると共に、この光触媒効果が長期間維持されるためと考えられる。
1 被覆材
2 基材
21 被覆層
22 めっき鋼板
3 光触媒層
4 中間保護層

Claims (8)

  1. 表面の少なくとも一部が、波長555nmの光の反射率が85%以上であり、かつ波長555nmの光の拡散反射率が85%以上である被覆層で構成されている基材と、
    前記被覆層上に位置する光触媒層と、
    を含み、
    前記被覆層は、バインダー樹脂と顔料とを含み、前記バインダー樹脂が、数平均分子量が19000以上28000以下であるポリエステル樹脂を含み、
    前記光触媒層は、酸化ケイ素及びシロキサンポリマーのうち少なくとも一方を含み、
    前記光触媒層がアナターゼ型酸化チタンを含む、
    被覆材。
  2. 前記被覆層がルチル型酸化チタンを含む、
    請求項に記載の被覆材。
  3. 前記被覆層と前記光触媒層との間に設けられた中間保護層を含む、
    請求項1又は2に記載の被覆材。
  4. 前記基材が、めっき鋼板と、前記めっき鋼板上に設けられた前記被覆層と、を含む、
    請求項1からのいずれか一項に記載の被覆材。
  5. 前記光触媒層上に、付着量が44.4mg/mであるメチレンブルーの乾燥塗膜を設けて、前記乾燥塗膜に10.0±0.5W/mの照射強度で紫外線を11時間照射した場合に、前記紫外線の照射前の乾燥塗膜の色差(ΔE)に対する、前記紫外線の照射後の乾燥塗膜の色差(ΔE)の百分比の割合が、1時間あたり平均で6%以上増加する、
    請求項1からのいずれか一項に記載の被覆材。
  6. 前記光触媒層上に、付着量が44.4mg/mであるメチレンブルーの乾燥塗膜を設けて、前記乾燥塗膜に10.0±0.5W/mの照射強度で紫外線を1時間照射した場合に、前記紫外線の照射前の乾燥塗膜の色差(ΔE)に対する、前記紫外線を1時間照射した後の乾燥塗膜の色差(ΔE)の百分比が、30%以上である、
    請求項1からのいずれか一項に記載の被覆材。
  7. 前記光触媒層上に、付着量が44.4mg/mであるメチレンブルーの乾燥塗膜を設けて、前記乾燥塗膜に10.0±0.5W/mの照射強度で紫外線を11時間照射した場合に、前記紫外線の照射前の乾燥塗膜の色差(ΔE)に対する、前記紫外線を11時間照射した後の乾燥塗膜の色差(ΔE)の百分比が、60%以上である、
    請求項1からのいずれか一項に記載の被覆材。
  8. 請求項1からのいずれか一項に記載の被覆材の前記光触媒層に光を照射することで、前記光触媒を活性化させて、菌又はウイルスを不活化させる、
    菌又はウイルスの不活化方法。
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