JP4553439B2 - 塗布方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明な塗布膜を効率よく塗布する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、光の作用により表面の汚れ等を分解する光触媒機能を有する基材が幾つか提案されている。しかし、基材の外観等を損なうことなく光触媒機能を持たせるためには、光触媒機能を有する塗膜は透明性が高く、更に膜厚が薄いので、塗布済み部と未塗布部分の区別が付かず、塗り残し部分の発生、及び重ね塗り部分が多く薬剤使用量の増加等の問題が生じていた。
【0003】
これに対して、光触媒層に着色し光触媒機能を用いて色素を分解し、消色させるという方法が提案されているが、日当たりの良い場所と、日陰で光量が異なるので光触媒効果に差が生じ、消色程度に差ができ、むらに見える等の問題があった。
一般的に、無色透明であり、特に薄い塗膜を塗り残しや塗りむらなく基材表面に2重に塗布する方法としては以下に示す方法が知られている。
【0004】
たとえば、特開2000−51782号公報には、塗布液として蛍光色素を含有するものを使用し、得られた塗膜から発せられる蛍光により前記基材の塗布済み部と未塗布部とを識別し、該識別に基づいて塗布作業を進めることを特徴とする塗布方法が記載されている。
【0005】
また、特開平5−25899号公報には、透明塗布液に退色性色素材料を添加して着色し、着色された状態で透明塗布液を塗布し、光化学反応、昇華、又は雨水による流出を利用して退色させる方法が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開2000−51782号に記載されている方法では、塗膜中に蛍光色素が残留するため、光のあたる角度によっては基材の外観を損なう場合があるという問題があった。また、特開平5−25899号公報に記載の方法は、最外層に適用する場合にはある程度効果を有するものの、光や雨水は塗装する場所によっては十分に供給されない場合があり、退色するまでに時間がかかるという問題があった。
【0007】
本発明は、特に、外の作業現場において基材表面に塗り残し、又は塗りむらがなく、しかも、基材表面の色や模様等の特徴を損なうことない塗布方法及び、該塗布方法を用いた光触媒坦持構造体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決する手段】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、酸の刺激により無色に変化する色素を有する塗布液と、酸性を呈する塗布液を組み合わせることにより、上記課題を解決することを見出し本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、基材表面に2層以上の無色透明な塗膜を形成する塗布方法において、第1層の塗布液として、酸の刺激により無色となる色素を含有する塗布液を用い、得られた塗膜の着色により、塗布済み部と未塗布部とを識別し、該識別に基づいて、第2層の塗布液として、酸性を呈する塗布液を用いて塗布作業を進めることを特徴とする塗布方法(請求項1)に関する。
【0010】
また、酸の刺激により無色となる色素が、ロイコ色素が発色した状態の色素であることを特徴とする請求項1に記載の塗布方法(請求項2)に関し、第1層が光触媒層を基材表面に固定する接着層用塗布液であり、第2層が光触媒機能を有する光触媒層塗布液であることを特徴とする請求項1又は2に記載の塗布方法(請求項3)に関する。
【0011】
更に、請求項3に記載の方法を用いて製造された光触媒坦持構造体(請求項4)に関し、更に詳しくは、光触媒坦持構造体の表面が、光励起に応じて親水性を呈することを特徴とする請求項4に記載の光触媒坦持構造体(請求項5)に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明で使用される第1層及び第2層の塗布液はいかなる目的で基材表面に塗布される塗布液でも使用することができる。その目的として、具体的には、有機又は無機系の被膜を形成するための液状被膜形成材料、各種プライマー処理(フィルム/シート類の積層、あるいは多層コートにおいて層間の密着性向上などの目的で下層表面を処理すること)、抗菌、生体親和化などの表面改質・活性化・機能化処理、リン酸塩、クロメート、発色などの化成処理等を例示することができる。中でも、基材表面に光触媒機能を持たせるための処理において好適に使用することができる。
【0013】
第2層の塗布液は、酸性状態で安定であるという条件を除いて、第1層及び第2層形成に用いられる塗布液の材質としては、特に限定されず、有機系、無機系共に使用することができる。
【0014】
無機系の材質としては、具体的には、水ガラス、コロイダルシリカ、ポリオルガノシロキサン等のケイ素化合物、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウムなどのリン酸塩、重リン酸塩、早強セメント、普通セメント、中庸熱セメント、耐硫酸塩セメント、ホワイト(白色)セメント、油井セメント、地熱井セメントなどのポルトランドセメント、フライアッシュセメント、高硫酸塩セメント、シリカセメント、高炉セメントなどの混合セメント、アルミナセメント等のセメント、石灰、石膏、ほうろう用フリット、グラスライニング用うわぐすり、セッコウプラスター、石灰プラスター、ドロマイトプラスター等のプラスター等を例示することができる。
【0015】
有機系の材質としては、各種有機ポリマー又は有機オリゴマーを例示することができる。具体的には、ABS樹脂、ACS樹脂、アルキド樹脂、アミノ樹脂、ASA樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、セルロースプラスチック、塩素化ポリエーテル、塩素化ポリエチレン、アリル樹脂、エポキシ樹脂、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢ビ共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、EVA樹脂、FRP、フッ素樹脂、フラン樹脂、アイオノマー、液晶プラスチック、メタクリル−スチレン共重合体、ニトリル樹脂、芳香族ポリエステル、オレフィンビニルアルコール共重合体、石油樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、強化ポリアミド、ポリアミド46、ポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリアリルスルフォン、ポリベンゾイミダゾール、ポリブタジエン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、変性ポリカーボネート、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルスルホン、ポリチオエーテルスルホン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、水架橋ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、熱可塑性ポリイミド、ポリケトン、メタクリル樹脂、ポリメチルペンテン、変性ポリオレフィン、透明ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリスチレン、SAN樹脂、スチレン共重合体、ブタジエンースチレン樹脂、ポリウレタン、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、アクリル変性ポリ塩化ビニル、熱可塑性エラストマー、シリコーン、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル系エポキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル、キシレン樹脂等の有機ポリマー、又はキャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、木ろう、ホホバ油、などの植物系ワックス、みつろう、ラノリン(羊毛脂)、などの動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシンなどの鉱物系ワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、油脂系合成ワックスなどの合成ワックス、ジメチルシロキサン油、変性シリコーン油、石油樹脂、テルペン樹脂、ロジンガム等の有機オリゴマーを例示することができる。
【0016】
無機系、有機系の材質は、溶媒中に溶解又は、分散させて用いるのが好ましい。溶媒としては、水やトルエン、アルコールなどの有機溶媒を例示することができ、これらを単独又は2種以上混合して用いることができる。
前記塗布液には、必要に応じて架橋剤、分散剤、充填剤、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、難燃剤、抗菌剤、抗かび剤な等を配合させることができる。架橋剤としては、イソシアネート系、メラミン系などの通常の架橋剤を、分散剤としては、カップリング剤などを使用することができる。
【0017】
本発明において、第2層を形成する塗布液は、酸性を呈することが必要である。塗布液に酸性を付与する方法は、特に限定されないが、酸性化合物を塗布液中に添加する方法を例示することができる。該酸性化合物は、他に用いる材質に影響を及ぼさない化合物であれば特に限定されないが、具体的には、塩酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、リン酸等の鉱酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプリン酸、シクロプロパンカルボン酸、シクロブタンカルボン酸、トリメチル酢酸、アクリル酸、アンゲリカ酸、エライジン酸、オレイン酸、メタクリル酸、α、β−エレオステアリン酸、ソルビン酸、安息香酸、エチル安息香酸、クロル安息香酸、サリチル酸、トルイル酸、アミノ安息香酸、シンナミリデン酢酸、アセチルサリチル酸、アトロバ酸、アントラニル酸、アセト酢酸、オビアン酸、アコン酸、アロキ酸、カンファン酸、グリコール酸、グリシド酸、クロル酢酸、シアン酢酸、ジエトオキザル酸、ジクロル酢酸、ジブロム酢酸、ジブロムフランカルボン酸、チオグリコール酸、テレピン酸、トリクロル酢酸、乳酸、ピルビン酸、フリル酸、ヘモピロールカルボン酸、ロイシン酸、シュウ酸、マロン酸、アジピン酸、アゼライン酸、グルタル酸、コハク酸、セバシン酸、ピナコン酸、イソプロピリデンコハク酸、マレイン酸、アセチレンジカルボン酸、1−シネオール酸、ヒドロケリドン酸、糖酸、酒石酸、オキシグルタル酸、フタル酸、オキシフタル酸、オキシテレフタル酸、2,2’−アゾベンゼンジカルボン酸、ナフタル酸、ピクリン酸、2−アントラキノンスルホン酸、1,2−エタンジスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、エチルボロン酸、5,5−ジエチルバルビツル酸、ジリツル酸、テトロン酸、テトロール酸等の有機酸、ニトロフェノール、2,4−ジニトロフェノール等のフェノール類を例示することができる。添加する量は、pHが7以下になる量であれば特に制限されない。
【0018】
前述したように、本発明の方法は基材上に光触媒機能を付与する際に用いた場合、好適に使用することができる。この場合、第1層の形成に用いる塗布液が光触媒層を基材表面に固定する接着層用塗布液、第2層の形成に用いる塗布液が光触媒機能を有する光触媒層塗布液となる。このような塗布液は幾つか提案されているが、十分な透明性、密着性、耐久性、膜強度等の実用性を満足する塗布液の組成として以下に示す組成を例示することができる。
【0019】
即ち、接着層の材質としてシリコン含有量2〜60重量%のアクリル−シリコン樹脂、エポキシ−シリコン樹脂等のシリコン変性樹脂、コロイダルシリカを5〜40重量%含有する樹脂、又は一般式(1)
SiCln1(OH)n21n3 (OR2)n4 ・・・(1)
〔式中、R1は(アミノ基、カルボキシル基、または、塩素原子で置換されてもよい)炭素数1〜8のアルキル基、R2は炭素数1〜8のアルキル基もしくはアルコキシ基で置換された炭素数1〜8のアルキル基を表し、n1は0から2の整数を表し、n4は2から4の整数を表し、かつn1+n2+n3 +n4=4を示す〕で表される化合物の重縮合反応生成物であるポリシロキサンを3〜60重量%含有する樹脂を主成分とする塗布液を例示することができる。これらの樹脂、単独又は、混合して使用することができ、有機溶剤溶液としてもしくは水性エマルジョンとして樹脂固形分として1〜50重量%含む溶液として使用するのが好ましい。
【0020】
接着層樹脂がアクリル−シリコン樹脂やエポキシ−シリコン樹脂等のシリコン変性樹脂の場合のシリコンの樹脂への導入方法は、エステル交換反応、シリコンマクロマーや反応性シリコンモノマーを用いたグラフト反応、ヒドロシリル化反応、ブロック共重合法等種々あるが、本発明ではどのような方法で作られた物でも使用することができる。
【0021】
シリコンが導入される樹脂としては、アクリル樹脂やエポキシ樹脂が成膜性、強靭性、担体との密着性の点で最も優れているが、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等のような物でも使用できる。これらの樹脂は、溶剤に溶けたタイプであってもエマルジョンタイプであってもどちらでも使用することができる。また、架橋剤などの添加物が含まれていても何等問題はない。
【0022】
接着層樹脂がポリシロキサンを含有し、そのポリシロキサンが炭素数1〜5のアルコキシ基を有するシリコンアルコキシドの加水分解物あるいは該加水分解物からの生成物である場合に、接着性及び耐久性がより向上した担持構造体を得ることができる。シリコンアルコキシドのアルコキシ基の炭素数が6以上であると、高価であり、しかも、加水分解速度が非常に遅いので、樹脂中で硬化させるのが困難になり、接着性や耐久性が悪くなる。
【0023】
部分的に塩素を含んだシリコンアルコキシドを加水分解したポリシロキサンを使用することもできるが、塩素を多量に含有したポリシロキサンを使用すると、不純物の塩素イオンにより、担体が腐食したり、接着性を悪くする。
【0024】
ポリシロキサンの樹脂への導入方法としては、シリコンアルコキシドモノマーの状態で樹脂溶液へ混合し、接着層形成時に空気中の水分で加水分解させる方法、前もって、シリコンアルコキシドを部分加水分解した物を樹脂と混合し、更に、保護膜形成時に空気中の水分で加水分解する方法等種々あるが、樹脂と均一に混合できる方法ならどのような方法でも良い。また、シリコンアルコキシドの加水分解速度を変えるために、酸や塩基触媒を少量添加しても構わない。
【0025】
ポリシロキサンが導入される樹脂としては、アクリル樹脂、アクリル−シリコン樹脂、エポキシ−シリコン樹脂、シリコン変性樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂等が使用できるが、アクリル−シリコン樹脂やエポキシ−シリコン樹脂を含むシリコン変性樹脂が耐久性の点で最も優れている。
【0026】
接着層が、コロイダルシリカを含有する樹脂の場合、そのコロイダルシリカの粒子径は10nm以下が好ましい。10nm以上になると、接着層中の樹脂は光触媒により劣化し易くなるばかりか、光触媒層と接着層との接着も悪くなる。このコロイダルシリカを樹脂に導入する方法としては、樹脂溶液とコロイダルシリカ溶液を混合後、塗布、乾燥して接着層を形成する方法が最も簡便であるが、コロイダルシリカを分散した状態で、樹脂を重合し、合成したものを塗布、乾燥して使用しても良い。また、コロイダルシリカと樹脂との接着性および分散性を良くするために、シランカップリング剤でコロイダルシリカを処理して用いることもできる。
【0027】
コロイダルシリカが導入される樹脂としては、アクリル樹脂、アクリル−シリコン樹脂、エポキシ−シリコン樹脂、シリコン変性樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂等を例示することができるが、アクリル−シリコン樹脂やエポキシ−シリコン樹脂を含むシリコン変性樹脂が最も耐久性の点で優れている。
【0028】
コロイダルシリカは、珪酸ナトリウム溶液を陽イオン交換することにより作られるシリカゾルであっても、シリコンアルコキシドを加水分解して作られるシリカゾルであっても、どのような物でも使用することができる。
【0029】
また、接着層樹脂に光触媒作用による劣化を抑える目的で、光安定化剤及び/又は紫外線吸収剤等を混合することにより耐久性を向上させることができる。使用できる光安定化剤としては、ヒンダードアミン系が好ましいが、その他の物でも使用可能である。紫外線吸収剤としてはトリアゾール系などが使用できる。添加量は、樹脂に対して0.005wt%以上10wt%以下、好ましくは0.01wt%以上5wt%以下である。なお、接着層の表面をシラン系若しくはチタン系カップリング剤で処理すると光触媒層との接着性が向上することがある。
【0030】
接着層を基材に塗布する方法としては、樹脂溶液を印刷法、シート成形法、スプレー吹き付け法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、刷毛塗装方法、ローラー塗装方法等でコートし、乾燥する方法が使用できる。乾燥する温度は、溶媒や樹脂の種類によっても異なるが、一般的に150℃以下が好ましい。接着層の厚さは、0.1μm以上であれば光触媒層を強固に接着し耐久性の高い光触媒担持構造体とすることが可能である。また、グラビア印刷法などの短時間で接着層を乾燥硬化させることが必要な塗布法の場合は、シリコン系などの硬化剤を接着層固形分に対し、必要な硬化速度に応じて0.1〜10重量%添加することも好ましく採用される。
【0031】
光触媒層は、金属酸化物ゲルもしくは金属水酸化物ゲルを25〜95重量%含有する組成が好ましい。
また、金属酸化物ゲルもしくは金属水酸化物ゲルの比表面積が好ましくは150℃で乾燥後50m2/g以上、更に好ましくは100m2/g以上あると、接着性はより強固になり、触媒活性も向上する。
【0032】
金属成分としては、珪素、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、マグネシウム、ニオビウム、タンタラム、タングステン、錫等の金属の酸化物ゲルもしくは水酸化物ゲルを好ましく例示することができる。
また、金属成分として、珪素、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、ニオビウムの中から選ばれた2種以上の金属を含有する酸化物もしくは水酸化物ゲルを使用することにより、沸騰水に浸漬した後の光触媒層の付着性を高めることが可能である。耐沸騰水性に優れた金属成分の組み合わせの例としては、珪素−アルミニウム、珪素−チタニウム、珪素−ジルコニウム、珪素−ニオビウム、アルミニウム−チタニウム、アルミニウム−ジルコニウム、アルミニウム−ニオビウム、アルミニウム−タンタラム、チタニウム−ジルコニウム、チタニウム−ニオビウム、チタニウム−タンタラム、珪素−アルミニウム−ジルコニウム、珪素−アルミニウム−チタニウムなどが好ましく、更に好ましくは、珪素−アルミニウム、珪素−チタニウム、珪素−ジルコニウム、珪素−チタニウム−アルミニウム、珪素−アルミニウム−ジルコニウムなどの酸化物ゲルもしくは水酸化物ゲル等を挙げることができる。
【0033】
これらの酸化物ゲルもしくは水酸化物ゲルの比表面積が50m2/g以上あると、接着性が高く、触媒活性も向上し、沸騰水中に浸漬した後でも優れた接着性を有している。また、実際の使用に当たっては、ゲルを形成させるためのゾルを混合し乾燥して得られるゲルでも、共沈法などの方法で作られる複合酸化物ゲルを使用しても良い。光触媒との複合化には、ゲルとなる前のゾルの状態で均一混合するか、もしくは、ゾルを調製する前の原料の段階で混合するのが望ましい。
ゲルを調製する方法には、金属塩を加水分解する方法、中和分解する方法、イオン交換する方法、金属アルコキシドを加水分解する方法等があるが、ゲルの中に光触媒粉末が均一に分散された状態で得られるものであればいずれの方法も使用可能である。但し、ゲル中に多量の不純物が存在すると、光触媒の接着性や触媒活性に悪影響を与えるので、不純物の少ないゲルの方が好ましい。
【0034】
また、光触媒層中にシリコン変性樹脂あるいはシランカップリング剤を10〜50重量%加えることによっても高い触媒活性を維持したまま、沸騰水中へ15分間浸漬した後でJIS K5400に規定された碁盤目テープ法による付着性試験で評価点数が6点以上の優れた付着性のものを得ることができる。
【0035】
光触媒層中に添加するシリコン変性樹脂あるいはシランカップリング剤は、沸騰水中での光触媒層の付着性を高める効果を有している。シリコン変性樹脂としては通常市販されているシリコン−アクリル系やシリコン−エポキシ系のものが使用可能であり、溶剤に溶解したものでもエマルジョンとなって水中に分散しているものでもいずれも使用可能である。また、シランカップリング剤としては、一般式:RSi(Y)3や(R)2Si(Y)2(但し、Rは有機性官能基を、Yは塩素原子またはアルコキシ基を示す。)等で示されるものが使用可能である。前記一般式において、Rとしては、メチル基、エチル基、ビニル基、γ−グリシドキシプロピル基、γ−メタクリロキシプロピル基、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピル基、γ−クロロプロピル基、γ−メルカプトプロピル基、γ−アミノプロピル基、γ−アクリロキシプロピル基などがあり、Yとしては塩素原子以外にメトキシ基、エトキシ基、β−メトキシエトキシ基、β−エトキシエトキシ基等C1〜C5のアルコキシ基のものがいずれも使用可能である。
【0036】
シリコン変性樹脂あるいはシランカップリング剤の添加量は、固形分として光触媒層中に10〜50重量%加えることが望ましい。光触媒層中へのシリコン変性樹脂あるいはシランカップリング剤の添加方法としては、光触媒粉末やゾルの液中へ添加する方法や、光触媒とともに添加する金属酸化物ゲルを形成するための金属の酸化物もしくは水酸化物のゾル液中へ添加する方法など種々の方法が可能である。なお、エマルジョンタイプのシリコン変性樹脂を前記のゾル液中へ添加することは、光触媒活性を殆ど低下させることなく沸騰水中での光触媒層の付着性を著しく高めることができるので特に望ましい。
また、架橋剤などの添加物をシリコン変成樹脂あるいはシランカップリング剤に含めることもできる。
【0037】
また、光触媒は、粉末状、ゾル状、溶液状など、光触媒層の乾燥温度で乾燥した時に、接着層と固着して光触媒活性を示すものであればいずれも使用可能である。ゾル状の光触媒を使用する場合、粒子径が20nm以下、好ましくは10nm以下のものを使用すると、光触媒層の透明性が向上し、直線透過率が高くなるため、透明性を要求されるガラス基板やプラスチック成形体に塗布する場合に特に好ましい。また下地の担体に色や模様が印刷されたものの場合にこうした透明な光触媒層を塗布すると下地の色や柄を損なうことがない。
【0038】
光触媒層中の光触媒としては、TiO2 、ZnO、SrTiO3、CdS、GaP、InP、GaAs、BaTiO3、KNbO3、Fe23 、Ta25 、WO3、SnO2、Bi23、NiO、Cu2O、SiC、SiO2、MoS2、InPb、RuO2、CeO2など、及び、これらの光触媒に、Pt、Rh、RuO2 、Nb、Cu、Sn、Ni、Feなどの金属及びそれらの金属の酸化物を添加したものが使用することができる。また、これらの光触媒に光触媒還元作用を利用してPt、Rh、RuO2、Nb、Cu、Sn、Ni、Feなどの金属を添加したものなども全て使用可能である。光触媒層中の光触媒の含有量は、多量なほど触媒活性が高くなるが、接着性の点から好ましくは75重量%以下である。
【0039】
更に、光触媒層塗布液としては、シリコン化合物を0.001〜5重量%、金属の酸化物および/または水酸化物のゾルを固型分として0.1〜30重量%、並びに光触媒の粉末および/またはゾルを固型分として0.1〜30重量%を含有した光触媒塗布液が、長期にわたり安定で粘度増加や粒子沈降がない点で好ましく使用することができる。
【0040】
光触媒層塗布液中に添加するシリコン化合物としては、一般式(2)
SiR3n5(OR4)4−n5 ・・・(2)
〔但し、式中、R3は(アミノ基、塩素原子、若しくはカルボキシル基で置換されてもよい)炭素数1〜8のアルキル基を表し、R4は炭素数1〜8のアルキル基またはアルコキシ基で置換された炭素数1〜8のアルキル基を表し、n5は0、1、2、3のいずれかの数を表す。〕で表されるアルコキシシラン類またはそれらの加水分解生成物の1種または2種以上をで表されるアルコキシシラン類またはそれらの加水分解生成物の1種または2種以上の混合物が使用可能である。
【0041】
一般式(2)において、R3としては、メチル基、エチル基、ビニル基、γ−グリシドキシプロピル基、γ−メタクリロキシプロピル基、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピル基、γ−クロロプロピル基、γ−メルカプトプロピル基、γ−アミノプロピル基、γ−アクリロキシプロピル基などがあり、−OR4としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−プトキシ基、β−メメトキシエトキシ基、β−エトキシエトキシ基、2−エチルヘキシロキシ基等C1〜C8のアルコキシ基のものが望ましい。
【0042】
一般式(2)で表されるシリコン化合物の例として、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、及び、それらの加水分解生成物の1種又は2種以上の混合物を好ましく挙げることができる。
【0043】
光触媒層の塗布液中へのシリコン化合物の添加方法としては、光触媒粉末もしくはゾルの液中へ添加する方法や、光触媒とともに添加する金属酸化物および/または水酸化物のゾルの液中へ添加する方法など種々の方法が可能である。また、部分加水分解されたシリコン化合物が添加されていても良い。この光触媒層の塗布液中に添加するシリコン化合物は、沸騰水中での光触媒層の付着性を高める効果も有するため、前述のシランカップリング剤等が添加されている場合はシリコン化合物の添加量を減らすことが可能である。
【0044】
光触媒層の塗布液中に添加する金属の酸化物および/または水酸化物のゾルは、固型分として塗布液に対して0.1〜30重量%、光触媒の粉末および/またはゾルは固型分として塗布液に対して0.1〜30重量%をそれぞれ加えるのが望ましい。
【0045】
光触媒層を接着層上へ形成するには、金属酸化物ゾルもしくは金属水酸化物ゾル液中に光触媒を分散した懸濁液を接着層を形成するのと同様のコート法でコートすることができる。金属酸化物ゾルもしくは金属水酸化物ゾルの前駆体溶液の状態で光触媒を分散し、コート時に加水分解や中和分解してゾル化もしくはゲル化させても良い。ゾルを使用する場合には、安定化のために、酸やアルカリの解膠剤等が添加されていても良い。また、ゾル懸濁液中に光触媒に対し、5重量%以下の界面活性剤やシランカップリング剤などを添加して、接着性や操作性を良くすることもできる。光触媒層形成時の乾燥温度としては、担体材質及び接着層中の樹脂材質によっても異なるが、200℃以下が好ましい。
【0046】
光触媒層の厚みは、厚い方が活性が高いが、5μm以上になるとほとんど変わらなくなる。5μm以下で、高い触媒活性を示し、しかも、透光性を示すようになり、触媒層が目立たなくなり好ましい。しかし、厚さが、0.1μm未満になると透光性は良くなるものの、光触媒が利用している紫外線をも透過してしまうために、高い活性は望めなくなる。光触媒層の厚さを0.1μm以上5μm以下にし、しかも、結晶粒子径が40nm以下の光触媒粒子および比表面積100m2/g以上の金属酸化物ゲルもしくは金属水酸化物ゲルを用いると、光触媒層と接着層の合計の波長550nmの全光線透過率は70%以上になる。波長550nmの全光線透過率が、70%以上になるように担持した構造体は、担体が透明な場合、透過した可視光線を照明として利用でき、また、担体が不透明な場合でも、担体上の柄を損なうことがないので装飾性の上でも有用となる。
【0047】
本発明に使用される色素は、酸の刺激によって無色となる特徴を有する。このような色素を用いることにより、第1層成膜時には第1層が発色し、塗膜が塗装されたことを確認でき、更に第2層を塗装する場合、第2層が塗装された部分が酸の刺激で無色となり、第2層までも塗装されたことが確認できるという利点がある。
【0048】
本発明に使用される色素は、上記特徴を有する色素であれば、特に限定されないが、中でもロイコ色素が発色した状態の色素であるのが好ましく、具体的には、エオシン、エリトロシン、フロキシン、ローズベンガル、ローダミンB、フェノールフタレイン、フルオレッセイン、ウラニン等のキサテン色素を例示することができる。これらは、単独でも、また2種以上混合して使用することができる。添加量は、特に制限されないが、第1層形成用塗布液中の固形分に対して0.005〜0.5重量%の範囲が好ましい。0.005重量%以下では、発色が弱く第1層の塗布が確認できず、0.5重量%以上では第2層塗布液の塗布と共に第1層が十分に消色しない。
【0049】
本発明の方法は、第1層の塗布液として、酸の刺激により無色となる色素を含有する塗布液を用い、得られた塗膜の着色により、塗布済み部と未塗布部とを識別し、該識別に基づいて、第2層の塗布液として、酸性を呈する塗布液を用いて塗布作業を進めることを特徴とする。塗布方法としては、特に限定されず、具体的には、樹脂溶液を印刷法、シート成形法、スプレー吹き付け法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、刷毛塗装方法、ローラー塗装方法等を例示することができる。形成される被膜の厚さは特に制限されないが、通常0.5nm〜100μmの範囲であり、特に1nm〜10μm範囲の厚さの場合、好適に使用することができる。
【0050】
本発明の方法により塗布される基材は特に制限されない。具体的には、ガラス、プラスチック、布帛、金属、木材等を例示することができる。
【0051】
ガラスの形状としては、板状、管状、球状、繊維状等どのような複雑な形状にでも使用することができる。また、施工済の窓ガラス、ショーケース、めがね等用途によっては、加工済のガラスに応用することもできる。
【0052】
窓ガラス、計器用カバーガラス、照明器具、照明灯、ブラックライト、水処理用充填剤をはじめ、カメラ、眼鏡レンズ等、あらゆる使用場面に使用できる。 プラスチック成形体は、壁紙、内装用ボード、家具、電気機器、車輛用部品をはじめ、カメラ、メガネのレンズ等、多くの使用場面に使用できる。
【0053】
プラスチック成形体の形状としては、フィルム状、板状、管状、球状、繊維状等どのような複雑な形状にでも、使用することができる。また、施工済の建築資材、家庭電化製品、めがね等用途によっては、加工済のプラスチック成形体の処理に使用することができる。
【0054】
布帛としては、毛、絹、綿、麻などの天然繊維、レーヨン、アセテートなどの再生繊維、ナイロン、アクリル、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニルなどの合成繊維、アラミドなどの耐熱性繊維の単独あるいは混紡繊維からなる織布、編布、不織布などを基材として用いることができる。
また、シリコン系撥水剤、パーフルオロアルキルアクリレートなどのフッ素撥水剤、ジルコニウム塩系撥水剤、エチレン尿素系撥水剤などの撥水剤で処理された布帛、必要に応じて耐久性を向上させるためにエチレンイミン系、エポキシ系、メラミン系等の架橋剤を併用している撥水加工された布帛、ポリアミドとポリエステルのフィブリル化型複合繊維等からなる擬革、織布、不織布、編布等の基材にポリウレタン接着剤を介してポリウレタン樹脂層が形成されてなる合成皮革等を用いることもできる。また、傘、テント、バッグ等、加工済の布帛の処理に使用することができる。本発明の方法により処理された布帛は、多くの使用場面、たとえばカーテン、壁紙等のインテリア製品、テント、傘、テーブルクロス等の日用品、食品包装材等としてまた育苗シート等農業分野にも使用できる。
【0055】
金属としては、アルミニウム、鉄、銅等の単体金属の他、ステンレス、しんちゅう、黄銅、アルミ合金、チタン合金等の各種合金なども基材として使用可能である。また、使用する金属の形状、材質によっては、通常の塗料で塗装した金属シートや板、着色したカラー鋼板やカラーアルミサッシ等にも使用することができる。
【0056】
金属の形状としては、板状、管状、球状、繊維状、シート状等どのような複雑な形状にでも、使用できる。また、施工済の窓枠、家具、ショーケース、めがねフレーム等用途によっては、加工済の金属の処理にも使用することができる。
本発明に示す方法で処理した金属は、窓枠、家具、装飾品、内装パネル、外装パネル、水処理用充填剤をはじめ、ストレーナー、フィルター等、抗菌、脱臭、防汚等の効果を必要とする多くの使用場面に使用できる。
【0057】
木材および木質材料の形状としては、板状、板状、球状、シート状等どのような複雑な形状でも可能である。また、施工済の壁、天井板、柱のほか、家具、木工細工等の加工済の木材および木質材料の処理にも使用することができる。
本発明に示す方法で処理した木材および木質材料は、建築用材、家具、木工品、インテリア材および内装材等、抗菌、脱臭、防汚等の効果を必要とする多くの使用場面に使用できる。
【0058】
プラスチックフィルムは、処理を施していない面に粘着剤を塗布したフィルムとすることで、自動車や各種輸送機器の窓ガラス、建築物の窓ガラス、冷凍・冷蔵ショーケースや温室などの内側に貼り付けることが可能になり、ガラス表面の汚染防止と破損時の飛散防止に有効な透視性の高いフィルムとすることが可能である。また、薄いプラスチックフィルムは食品包装用のラップフィルムとしても使用可能である。このプラスチックフィルムに使用できる樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、フッ化エチレン−プロピレン共重合樹脂、フッ化エチレン−エチレン共重合樹脂等のフィルム状に成形加工した時に550nmの波長の光の直線透過率が50%以上である透明性の高い合成樹脂フィルムまたはシートがいずれも使用できる。また、壁紙や化粧シートなどの裏面に粘着層と剥離フィルムを設け表面に模様を印刷した不透明な素材の表面にも、下地の壁紙や化粧シートに印刷された柄や模様を損なうことがないので好ましく採用できる。
【0059】
これらの基材に、本発明の方法を用いて、先に示した、接着層塗布液、光触媒層塗布液を用いて光触媒機能を付加した構造体は、紫外線等により表面の光触媒が励起され、有機物等の汚れ、汚染物質、菌等を分解する能力を有することから、抗菌、防汚、脱臭等の効果を必要とする多くの場面に使用することができる。
また、紫外線等の光励起により親水性を呈する構造体も、防汚、防曇等の効果を必要とする多くの場面で使用することでき好ましい。この場合、親水性とは、表面における水の接触角を指標に計られ、接触角が20度以下、更には10度以下のものが好ましい。
【0060】
以下実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲は実施例に限定されるものではない。
【0061】
【実施例】
実施例1
酸化物換算でシリコン含有量が3重量%のアクリルシリコン樹脂(ガラス転移温度20℃)、テトラメトキシシランの部分加水分解生成物であり重合度が3〜6であるオリゴマーを固形分重量比65:35に混合し、エタノール−酢酸エチル混合溶媒で固形分濃度が10重量%になるように希釈し、接着層用塗布液を調製した。更にキサンテン染料であるエリトロシンを固形分に対し、0.02重量%になるように混合して赤色に着色した接着層用塗布液を得た。
【0062】
また、光触媒ゾル(石原産業(株)製、商品番号:STS−01、固形分濃度30重量%、平均粒子径7nm)、コロイダルシリカ(粒子径20nm)を固形分重量比50:50に混合し、エタノール及び水を用いて固形分10重量%になるように希釈し、硝酸でpH=2.0になるように調整して光触媒層用塗布液を調製した。
【0063】
次いで、表面がウレタン塗料(関西ペイント製アレスレタン)がコートされたビルの外壁80m2に、調製した接着層用塗布液をスプレー法で乾燥膜厚2μmになるように塗布し、室温で4時間乾燥し、赤色に着色した接着層を形成した。
塗布部分が着色で確認でき接着層の塗り残しはなかった。その後、先に調製した光触媒層用塗布液を同様のスプレー法で乾燥膜厚1μmになるように塗布し、室温で7日間乾燥し、光触媒層を得た。光触媒層を塗装した部分の接着層の赤色が瞬時に消え、色が消えることで光触媒層の成膜を確認でき光触媒層の塗り残しはなかった。塗布液使用量は接着層用塗布液が50g/m2、光触媒層用塗布液40g/m2であった。
【0064】
実施例2
実施例1で接着層用塗布液に添加する染料をフロキシン(固形分に対し、0.01重量%)に変更した以外は同様にして赤色に着色した接着層用塗布液を得た。
二酸化チタン微粒子とシリコンアルコキシドの加水分解物を固形分重量比50:50のアルコール性分散液(ST−K03、石原産業製、pH=1.5)を光触媒層用塗布液とした。
次いで、ビル外壁のアルミパネル20m2に調製した接着層用塗布液を刷毛塗装で乾燥膜厚3μmになるように塗布し、室温で4時間乾燥し、赤色に着色した接着層を形成した。塗布部分が着色で確認でき接着層の塗り残しはなかった。その後、先に調製した光触媒層用塗布液を同様の刷毛塗装で乾燥膜厚0.5μmになるように塗布し、室温で7日間乾燥し、光触媒層を得た。光触媒層を塗装した部分の接着層の赤色が瞬時に消え、色が消えることで光触媒層の成膜を確認でき光触媒層の塗り残しはなかった。塗布液使用量は接着層用塗布液が70g/m2、光触媒層用塗布液20g/m2であった。
【0065】
比較例1
実施例1で接着層用塗布液に色素を混合しない溶液を調製し、同条件で、表面がウレタン塗料(関西ペイント製アレスレタン)がコートされたビルの外壁80m2に、調製した接着層用塗布液をスプレー法で乾燥膜厚2μmになるように塗布し、室温で4時間乾燥し、その後、先に調製した光触媒層用塗布液を同様のスプレー法で乾燥膜厚1μmになるように塗布し、室温で7日間乾燥し、光触媒層を得た。塗布液使用量は接着層用塗布液が65g/m2、光触媒層用塗布液52g/m2であった。塗布1ヶ月後、光触媒層のチョーキングによって接着層の塗り忘れが面積比で3%見つかり、表面の汚れによって、光触媒層の塗り忘れが面積比で2%見つかった。
【0066】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の方法を用いることにより、基材の外観を損なうことなく、しかも、塗りむら、塗り重ね等の問題を生じることがなくなる。しかも、第2層を塗布する際にも塗布状況を目視で確認できるため、従来に比較して作業効率を格段に向上させることができる。

Claims (3)

  1. 基材表面に2層以上の無色透明な塗膜を形成する塗布方法において、第1層の塗布液として、酸の刺激により無色となる色素を含有する塗布液を用い、得られた塗膜の着色により、塗布済み部と未塗布部とを識別し、該識別に基づいて、第2層の塗布液として、酸性を呈する塗布液を用いて塗布作業を進めることを特徴とする塗布方法。
  2. 酸の刺激により無色となる色素が、ロイコ色素が発色した状態の色素であることを特徴とする請求項1に記載の塗布方法。
  3. 第1層が光触媒層を基材表面に固定する接着層用塗布液であり、第2層が光触媒機能を有する光触媒層塗布液であることを特徴とする請求項1又は2に記載の塗布方法。
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