JP4868636B2 - 光触媒を担持してなる構造体 - Google Patents

光触媒を担持してなる構造体 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、光触媒を含有してなる光触媒層形成用組成物、及び担体上に該組成物から形成されてなり、透明性に優れかつ透明担体上に形成された場合であっても光干渉色のない光触媒層を有する光触媒担持構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、プラスチック板やガラス板、セラミックス板等の担体上に、二酸化チタン等の光触媒活性を有する物質を担持させてなる光触媒担持構造体が知られている。この光触媒担持構造体は、浄水、脱臭、防汚、殺菌、排水処理、藻の成育抑制及び各種化学反応等に用いられている。
【0003】
しかしながら、有機物を主体とする担体を用いる光触媒担持構造体は、光触媒を担体上に担持すると、その触媒作用により該有機物(担体)が光分解されたり、光劣化したりする場合があることが報告されており、その耐久性に問題があった(例えば、大谷文章、高分子加工 42巻、5号、p18(1993)、清野学著、”酸化チタン”技法堂、p165等参照)。
【0004】
そこで、かかる問題を解決するために、担体上に耐光分解性を有する材質からなる中間層を設け、該中間層上に光触媒層を形成してなる光触媒担持構造体が提案されている(例えば、WO97/00134号公報、WO98/25711号公報等参照)。
【0005】
上記の光触媒担持構造体は、いずれも担体と光触媒層との間に層間密着性を高める中間層(「接着層」とも称する。)を有し、担体を光触媒による分解から保護し、かつ中間層自体も光触媒により光分解され難いものとなっている。
【0006】
また、透明性に優れる光触媒担持構造体を提供することを目的とするものとしては、例えば、特開平10−204323号公報には、チタンアルコキシドを含む溶液とジオール型の有機物とで形成されるチタン錯体を加水分解処理したチタニアゾル、シリカゾル及び/又はアルミナゾルとを有する親水性被膜形成用コーティング液が記載されている。そこでは、コロイド粒子の粒子径が3nm〜30nmの範囲内にあるシリカゾル及びコロイド粒子径が5nm〜20nmの範囲内にあるアルミナを用いる場合には、特に透明性に優れる光触媒層が得られる旨が説明されている。
【0007】
また、特開平11−140432号公報においては、合成樹脂等の表面に親水性を付与する組成物であって、光触媒性金属酸化物粒子と、1価の陽イオンで安定化されたコロイダルシリカと、非イオン性界面活性剤及び/又はアニオン性界面活性剤とを含有する安定な水性分散液からなる光触媒性親水性組成物が記載されている。
【0008】
そこでは、▲1▼該光触媒性親水性組成物を用いることにより、担体上に0.2μm以下の厚みで光触媒層を形成しても、優れた光触媒活性を有し、かつ、光の乱反射による白濁を防止でき、光干渉による光触媒層の表面相の発色を防止できること、及び▲2▼コロイダルシリカとしては、その粒子径が好ましくは100μm以下、より好ましくは10μm程度のもので、ナトリウムイオンやアンモニウムイオン等の1価の陽イオンで安定化されているものが好ましい旨が説明されている。
【0009】
本発明に関連して、光触媒層に含まれる金属酸化物粒子の粒子径を限定するものとしては、例えば特開平10−237416号公報においては、基材表面に親水性を付与する親水性付与材であって、照射された光のエネルギーにより励起電子と正孔を生成して触媒として機能し、触媒表面の水分又は水分と酸素の存在下での水酸ラジカルの生成を経て水酸基を生成する光触媒と、該水酸基が化学吸着する性質を有する化合物とを含有し、前記水酸基を前記光触媒及び前記化合物の表面に化学吸着して保持し、該保持された水酸基により親水性を付与する親水性基材が記載されている。
【0010】
そこでは、親水性付与材に含まれる化合物は、SiO2、Al23、ZrO2、GeO2、ThO2、ZnOから選ばれた少なくとも1種が好ましいこと、及び粒径が約0.005〜約0.1μmの粒径を有する化合物を用いる場合には、光触媒で生成された・OHが化合物粒子表面にその両側から到達し、化合物のほぼ総ての表面で・OHが水酸基として化学吸着されるので、高い親水性を確実かつ長期に亘り付与することができ、また、周知のボールミル、ゾルゲル法等の手法で粘度調節ができるため好ましいことが記載されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような担体と光触媒層の間に中間層を設ける光触媒担持構造体においては、例えば担体として透明ガラスや透明プラスチックス成形体を用いる場合等のような高い透明性が要求される場合に、入射光が乱反射して白濁したり、光干渉により光触媒担持構造体の表面が特有の色彩(金色等)を帯びて見える場合があった。
【0012】
従って本発明は、特に透明担体を用いる場合等において、高い透明性を有し、干渉色が生じることなく、耐久性に優れた光触媒担持構造体を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上述の課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の光触媒形成用組成物、該組成物を担体上に形成してなる光触媒担持構造体を見い出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
即ち本発明は、第1にシリコン化合物、金属酸化物ゾル及び/又は金属水酸化物ゾル、並びに光触媒粉末及び/又は光触媒ゾルを含有する光触媒層形成用組成物であって、前記光触媒粉末及び/又は光触媒ゾルを、前記組成物全体に対して固形分として酸化物換算で0.1重量%〜30重量%含み、前記金属酸化物ゾル及び/又は金属水酸化物ゾルの平均粒子径と前記光触媒粉末及び/又は光触媒ゾルの平均粒子径の比が2以上であることを特徴とする光触媒層形成用組成物を提供する。なお、本発明において、「金属酸化物ゾル及び/又は金属水酸化物ゾル」とは、金属酸化物ゾル若しくは金属水酸化物ゾル、又は金属酸化物ゾル及び金属水酸化酸化物ゾルの意である。
【0015】
前記第1の発明において、本発明の光触媒層形成用組成物は、平均粒子径が5nm〜8nmの範囲にある光触媒粉末及び/又は光触媒ゾルを含有するのが好ましい。
【0016】
本発明の組成物は、平均粒子径が4nm〜50nmの範囲にある金属酸化物ゾル及び/又は金属水酸化物ゾルを含有するのが好ましい。
【0017】
本発明の組成物は、前記金属酸化物ゾル及び/又は金属水酸化物ゾルを、組成物に含まれる固形分全体に対して酸化物換算で40重量%〜60重量%含有するのがより好ましい。
【0018】
また、前記金属酸化物ゾル及び/又は金属水酸化物ゾルは、ケイ素、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、ニオブ、タンタル、マグネシウム、タングステン及びスズからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物ゾル及び/又は水酸化物のゾルであるのが好ましい。
【0019】
さらに、本発明の組成物に含まれるシリコン化合物は、平均重合度が3〜10のテトラメトキシシラン及び/又はテトラエトキシシランの部分加水分解生成物であって、テトラメトキシシラン又はテトラエトキシシランモノマーの含有量が、シリコン化合物全体に対して5重量%以下であるシリコン化合物であるのが好ましい。
【0020】
本発明の光触媒層形成用組成物は、特に好適には、シリコン化合物を0.05重量%〜2重量%、金属酸化物ゾル及び/又は金属水酸化物ゾルを固形分として1重量%〜10重量%、及び光触媒粉末及び/又はゾルを固形分として1重量%〜10重量%それぞれ含有してなる。
【0021】
また本発明は、第2に、担体と、前記担体上に形成された光触媒層とを有する光触媒担持構造体であって、前記光触媒層は、シリコン化合物、金属酸化物ゾル及び/又は金属水酸化物ゾル、並びに光触媒粉末及び/又は光触媒ゾルを含有する光触媒層形成用組成物であって、前記光触媒粉末及び/又は光触媒ゾルを、前記組成物全体に対して固形分として10重量%〜30重量%含み、前記金属酸化物ゾル及び/又は金属水酸化物ゾルの平均粒子径と前記光触媒粉末及び/又は光触媒ゾルの平均粒子径の比が2以上である光触媒層形成用組成物から形成されてなる光触媒担持構造体を提供する。
【0022】
前記第2の発明の光触媒担持構造体においては、前記光触媒層は、厚さ50nm〜200nmで形成されてなるのが好ましい。
【0023】
また本発明の光触媒担持構造体において、前記担体と光触媒層との間に、単層又は2層以上の複層からなる中間層をさらに有するのが好ましい。
【0024】
前記中間層は、厚さが300nm〜5000nmで形成されてなるのが好ましく、前記中間層は、シリコンを酸化物(二酸化ケイ素)に換算して2重量%〜60重量%含有するシリコン変成樹脂、コロイダルシリカを酸化物に換算して5重量%〜40重量%含有する樹脂、又はポリシリコキサンを酸化物に換算して3重量%〜60重量%含有する樹脂から形成されてなるのがより好ましい。
【0025】
本発明の光触媒層形成用組成物は、所定の粒子径比又は所定の粒子径を有する光触媒粉末及び/又は光触媒ゾル、金属酸化物ゾル及び/又は金属水酸化物ゾル及びシリコン化合物を含有しているので、透明性に優れ、かつ表面に干渉色のない光触媒層を担体上に形成することができる。
【0026】
本発明の光触媒担持構造体は、上記光触媒層形成用組成物により形成された光触媒層を有している。かかる光触媒層は透明性に優れ、かつ表面に干渉色が生じることがないものである。
【0027】
また本発明の光触媒担持構造体が中間層を有している場合には、該中間層は担体と光触媒層とを強固に接着させ、光触媒による光分解から担体を保護する役割を果たしている。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明に係る光触媒層形成用組成物は、(A)光触媒粉末及び/又は光触媒ゾル、(B)金属酸化物ゾル及び/又は金属水酸化物ゾル、並びに(C)シリコン化合物を含有する。
【0029】
(A)光触媒
(A)成分である光触媒は、粉末状、ゾル状、溶液状等、光触媒層の乾燥温度で乾燥した時に担体上又はその他の層を介して固着して光触媒活性を示すものであればいずれも使用することができる。ゾル状の光触媒を使用する場合、粒子径が20nm以下、好ましくは10nm以下のものを使用すると、光触媒層透明性が向上し直線透過率が高くなるため、透明性が要求されるガラス基板やプラスチック成形体に塗布する場合に特に好ましい。また、下地の担体に色や模様が印刷されている場合には、下地の色や柄を損なうことなく透明な光触媒層を形成することができる。
【0030】
かかる光触媒としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化タングステン、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化ルテニウム、酸化コバルト、酸化銅、酸化マンガン、酸化ゲルマニウム、酸化鉛、酸化カドミウム、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化ロジウム、酸化レニウムなどの酸化物等が挙げられる。これらの中でも、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化タングステン、酸化鉄、酸化ニオブ、特にアナターゼ型二酸化チタンは、100℃以下の低温で加熱硬化を行った場合でも優れた光触媒活性を示す点から好ましい。
【0031】
また、これらに光触媒の光触媒還元作用を利用して、Pt,Rh,Ru,RuO2,Nb,Cu,Sn,Ni,Fe,Ag等の金属もしくはこれらの金属酸化物を添加したものを用いることができる。
【0032】
光触媒層中の光触媒の含有量は、多量なほど触媒活性が高くなるが、接着性の点から光触媒層形成用組成物に対して0.1重量%〜30重量%であるのが好ましい。0.1重量%未満では光触媒活性が十分ではなく、30重量%を越える場合には、光触媒活性が飽和する一方で基材との密着性が悪くなる。
【0033】
(B)金属酸化物ゾル及び/又は金属水酸化物ゾル
(B)成分である(金属酸化物及び/又は金属水酸化物)のゾルは、光触媒粉末を担体(又はその他の層)上に強固に接着させる効果を有する。
【0034】
前記金属酸化物及び金属水酸化物の金属成分としては、珪素、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、マグネシウム、ニオブ、タンタル、タングステン、スズ等を好ましく例示することができる。また、金属成分として、珪素、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、ニオブの中から選ばれた2種以上の金属を含有する酸化物ゲルもしくは水酸化物ゲルを使用することもできる。
【0035】
前記金属酸化物ゾル及び/又は金属水酸化物のゾルの平均粒子径は、前記光触媒粉末及び/又は光触媒ゾルの平均粒子径と、金属酸化物ゾル及び/又は金属水酸化物のゾルの平均粒子径の比が2以上、好ましくは2〜5の範囲であるのが好ましい。この値が2未満の場合には、光触媒層の表面における干渉色を効果的に防止できない。一方、5を越える場合には光触媒層の膜強度が低下するおそれがある。
【0036】
この場合、前記金属酸化物ゾル及び/又は金属水酸化物ゾルの平均粒子径は4〜50nmであるのがより好ましい。
【0037】
金属酸化物ゾル又は金属水酸化物ゾルの含有量は、光触媒層形成用組成物全体に対して1重量%〜10重量%が好ましい。含有量が1重量%未満の場合には、膜強度が低下し、一方、10重量%を越えると、基材との密着性が低下する。
【0038】
(C)シリコン化合物
(C)成分であるシリコン化合物は、膜強度および基材との密着性を向上させるとともに、光触媒層形成用組成物の経時変化による粘度増加や粒子沈降が生じるのを抑制する役割を果たす。
【0039】
かかるシリコン化合物としては、例えば一般式:SiR11(OR2)4−n1〔式中、R1は、(アミノ基、塩素原子又はカルボキシル基で置換されていてもよい)炭素数1〜8のアルキル基を表し、R2はアルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基を表し、n1は0,1又は2を表す。〕で表されるアルコキシシラン類、又はそれらの部分加水分解生成物の1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
【0040】
前記R1としては、メチル基、エチル基、ビニル基、γ−グリシドキシプロピル基、γ−メタクリロキシプロピル基、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピル基、γ−クロロプロピル基、γ−メルカプトプロピル基、γ−アミノプロピル基、1−アクリロキシプロピル基等が挙げられる。
【0041】
またOR2で表される基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、β−メトキシエトキシ基、2−エチルヘキシロキシ基等を挙げることができる。
【0042】
前記一般式:SiR1n1(OR2)4-n1で表されるシリコン化合物の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、及びこれらの部分加水分解生成物を好ましく挙げることができる。
【0043】
これらのうち、本発明においては入手容易性、取扱性等の理由からテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、またはこれらの部分加水分解生成物の使用が特に好ましい。
【0044】
テトラアルコキシシランの部分加水分解生成物は、例えば、これらテトラアルコキシシランの所定量を水、メタノール、エタノール、酢酸エチル等の水もしくは有機溶媒に溶解し、そのまま加熱あるいは所定量の酸もしくは塩基を添加して部分的に加水分解させることにより調製することができる。
【0045】
通常、重合度は3〜10が好ましく、また、未反応のテトラアルコキシシランモノマーの残存量は、シリコン化合物全体の5重量%以下であるのが好ましい。
【0046】
また、前記部分加水分解生成物としては、その重合度が3〜10のテトラメトキシシラン及び/又はテトラエトキシシランの部分加水分解生成物を用いるのが特に好ましい。
【0047】
前記シリコン化合物の含有量は、光触媒層形成用組成物中の固形分全体に対して、二酸化ケイ素換算で0.05重量%〜2重量%であるのが好ましい。0.05重量%未満では、光触媒層形成用組成物の長期保存安定性が低下し、2重量%を越えると、光触媒の光触媒活性の低下が著しい。
【0048】
光触媒層形成用組成物は、少なくとも前記(A)、(B)及び(C)成分を含み、適当な溶媒に溶解ないしは懸濁させて調製することができる。かかる溶媒としては低沸点のものが好ましいが、例えば水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;等及びこれらの2種以上の混合溶媒を用いることができる。
【0049】
本発明の光触担持構造体は、基本的には担体上に光触媒層が形成されてなり、担体と光触媒層の間に中間層を更に有するのが好ましい。
【0050】
本発明の光触媒構造体に用いられる担体としては、担体上に、直接又は中間層を介して光触媒を担持できるものであれば、その材質、形状等に制限はない。
【0051】
かかる担体の形状としては、光触媒が担持可能であれば特に制限はないないが、例えばフィルム状、管状、繊維状、網状、板状、曲面板等が挙げられる。
【0052】
より具体的には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル等のアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の熱硬化性樹脂、その他、ポリフッ化エチレン、珪素樹脂等の合成樹脂のフィルムや板状体、各種ガラス、陶磁器、土器、ほうろう等のセラミックス板、石膏板、石膏スラグ板、珪酸カルシウム板、軽量発泡コンクリ−ト板、中空押出セメント板、パルプセメント板、石綿セメント板、木片セメント板、硝子繊維強化セメント板、
鉄板、アルミニウム板、アルミニウム合金板、亜鉛メッキ鋼鈑、銅板、銅合金板、ステンレス鈑等の金属板、木材単板、木材合板、パーティクルボード、MDF(中密度繊維板)等の木質板、クラフト紙、コート紙、チタン紙、リンター紙、板紙、石膏ボード紙、上質紙、薄葉紙、パラフィン紙、グラシン紙、アート紙、硫酸紙等の紙類、毛、絹、麻等の天然繊維、レーヨン、アセテート等の再生繊維、ナイロン、アクリル、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の合成繊維、アラミド等の耐熱性繊維の単独あるいは混紡繊維からなる織布、不織布、編布等の繊維、硝子繊維、石綿、チタン酸カリウム繊維、シリカ繊維、炭素繊維、アルミナ繊維等の複合強化繊維、フェノール樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂等の樹脂を、硝子繊維、不織布、布帛、紙、その他各種繊維基材に含浸硬化させて複合化したいわゆるFRP板等が挙げられる。また、その他、上記した各種素材の2種以上を接着剤あるいは熱融着等の公知の手法により積層した複合基材を用いることもできる。
【0053】
特に本発明は、透明性が高い担体上に光触媒層を形成してなる光触媒担持構造体が好ましい。かかる透明性が高い担体としてはフィルム状に成形加工したときに550nmの波長の光の直線透過率が50%以上である透明性の高い合成樹脂フィルム又はシートを挙げることができる。
【0054】
かかるフィルム又はシートとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ四フッ化エチレン、フッ化エチレン−プロピレン共重合体、フッ化エチレンーエチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のフィルム又はシートが挙げられる。
【0055】
中間層は、中間層形成用組成物を担体上に塗工・乾燥することにより形成することができる。かかる中間層形成用組成物は、シリコンを酸化物換算で2重量%〜60重量%含有するシリコン変成樹脂、コロイダルシリカを酸化物換算で5重量%〜40重量%含有する樹脂、又はポリシロキサンを酸化物換算で3重量%〜60重量%含有する樹脂を含有するのが好ましい。
【0056】
これらのシリコン変成樹脂中のシリコンの含有量、樹脂中のコロイダルシリカ及びポリシロキサンの含有量が酸化物換算で所定量未満の場合には、中間層と担体との密着性に乏しくなり、また、中間層が光触媒によって劣化しやすくなり、光触媒層が剥離しやすくなる。一方、所定量を越えると、中間層と担体との密着性が乏しくなる。
【0057】
前記シリコン、コロイダルシリカ及び/又はポリシロキサンを導入(又は含有)することができる樹脂としては、これらのものを導入(又は含有)できるものであれば特に制限はないが、例えばアクリルシリコン樹脂、エポキシシリコン樹脂、ポリエステルシリコン樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等の種々の合成樹脂が挙げられる。
【0058】
これらの内、アクリルシリコン樹脂、エポキシシリコン樹脂、ポリエステルシリコン樹脂等のシリコン変成樹脂は、成膜性、膜強度及び担体との密着性の点で最も優れている。
【0059】
シリコン変成樹脂の製造方法としては、エステル交換反応による方法、シリコンマクロマーや反応性シリコンモノマーを用いたグラフト反応による方法、ヒドロシリル化反応による方法、ブロック共重合を用いた方法等がある。本発明ではどのような方法で作られた物でも用いることができる。かかるシリコン変成樹脂は、光触媒層との接着性を高める点からシリコンを酸化物に換算して2重量%〜60重量%含有してなるのが好ましい。
【0060】
コロイダルシリカは、珪酸ナトリウム水溶液を陽イオン交換することにより得られるシリカゾルであっても、シリコンアルコキシドを加水分解して得られるシリカゾルであっても、どのようなものでも使用することができる。
【0061】
コロイダルシリカを樹脂に含有させる方法としては、樹脂溶液とコロイダルシリカ溶液(懸濁液)を均一に混合する方法が一般的である。そのほか、コロイダルシリカを分散させた状態で高分子モノマーあるいはオリゴマーを重合(又は硬化)させたものを用いることもできる。コロイダルシリカの粒子径は、光触媒層との接着性を高める点から10nm以上であるのが好ましい。
【0062】
またコロイダルシリカと樹脂との分散性を高める目的でシランカップリング剤で処理されたコロイダルシリカを用いることができる。コロイダルシリカの樹脂への添加量は、担体上に光触媒を強固に接着させるためには、酸化物に換算して5〜40重量%が好ましい。なお、シランカップリング剤により処理されたコロイダルシリカを用いる場合には、コロイダルシリカの添加量を減らすことができる。
【0063】
ポリシロキサンとしては、例えば、一般式:SiCln2(OH)n334(OR4)n5〔式中、R3は、(アミノ基、カルボキシル基又は塩素原子で置換されていてもよい)炭素数1〜8のアルキル基を表し、R4は、アルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基を表し、n2、n3及びn4は、0,1又は2を表し、n5は2、3又は4を表し、かつn2+n3+n4+n5=4である。〕で表されるシリコンアルコキシドの重縮合反応生成物を用いることができる。
【0064】
前記R3としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル基等の炭素数1〜8のアルキル基、又はアミノメチル、アミノエチル、カルボキシルメチル、カルボキシエチル、クロロメチル、クロロプロピル基等のアミノ基、カルボキシル基又は塩素原子で置換された炭素数1〜8のアルキル基を例示することができる。
【0065】
かかるシリコンアルコキシドの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0066】
ポリシロキサンの樹脂への導入方法としては、(a)シリコンアルキシドをモノマーの状態で樹脂溶液と混合し、中間層形成時に空気中の水分で加水分解させる方法、(b)予めシリコンアルコキシドの部分加水分解物を樹脂と混合し、更に中間層形成時に空気中の水分で加水分解させる方法等種々あるが、樹脂と均一に混合することができるのであればどのような方法でも良い。
【0067】
また、シリコンアルコキシドの加水分解速度を調整するために、混合物中に酸や塩基触媒を少量添加してもよい。ポリシロキンサンの樹脂への添加量は、担体に光触媒層を強固に接着させるためには酸化物に換算して3重量%〜60重量%が好ましい。
【0068】
さらに本発明においては、前記コロイダルシリカ及びポリシロキサンの両方を含む樹脂を中間層として用いることが好ましい。この場合、中間層中のコロイダルシリカ及びポリシロキサンの含有量の合計が、酸化物に換算して5重量%〜40重量%以内であれば、担体と光触媒層とを強固に接着させ、中間層と光触媒層との合計の波長550nmの全光線透過率が70%以上の透明性を有し、光干渉色が現れるのが防止され、それに加えて耐アルカリ性に優れた中間層を得ることができる。
【0069】
中間層形成用組成物は、少なくとも前記シリコンを酸化物換算で2〜60重量%含有するシリコン変成樹脂、コロイダルシリカを酸化物換算で5重量%〜40重量%含有する樹脂、又はポリシロキサンを酸化物換算で3重量%〜60重量%含有する樹脂を含み、適当な溶媒に溶解ないしは懸濁させて調製することができる。
【0070】
かかる溶媒としては低沸点のものが好ましいが、例えば水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;等及びこれらの2種以上の混合溶媒を用いることができる。
【0071】
また、前記中間層形成用組成物中には、中間層の光触媒作用による劣化を抑制する目的で、光安定剤及び/又は紫外線吸収剤等を混合することにより、耐久性を向上させることができる。使用できる光安定剤としては、ヒンダードアミン系が好ましいが、その他の物でも使用可能である。
【0072】
紫外線吸収剤としてはトリアゾール系紫外線吸収剤等が使用できる。これらの添加量は、組成物全体に対して0.005重量%〜10重量%、好ましくは0.01重量%〜5重量%である。
【0073】
中間層を形成する方法としては、特に制限はないが、たとえば、前記中間層形成用組成物の有機溶媒溶液、有機溶媒懸濁液、水分散エマルジョン等を、担体表面に印刷法、シート形成法、スプレー吹きつけ法、ディップコーティング法、スピンコーティング法等でコートし、乾燥させる方法を用いることができる。乾燥温度は溶媒や樹脂の種類によっても異なるが、150℃以下の温度が好ましい。
【0074】
なお、グラビア印刷法等の短時間で中間層を乾燥硬化させることが必要な場合には、シリコン系硬化剤などの硬化促進剤を、中間層形成用組成物の固形分に対し、必要な硬化速度に応じて0.1重量%〜10重量%添加することも好ましい。
【0075】
また前記中間層は2層以上の複層から形成されていてもよく、中間層の厚さ(中間層が2層以上からなる場合には合計の厚さ)は、200nm以上であるのが好ましい。厚さが200nm以上あれば、光触媒層を強固に接着し、耐久性の高い光触媒構造体を得ることができる。
【0076】
光触媒層を中間層上に形成するには、前記中間層を形成するのと同様な方法で形成することができる。また、金属酸化物ゾルあるいは金属水酸化物ゾルの前駆体溶液の状態で光触媒を分散し、コート時に加水分解あるいは中和分解してゾル化もしくはゲル化させてもよい。
【0077】
ゾルを使用する場合には、安定化のために、酸やアルカリの解膠剤等が添加されていてもよい。光触媒層形成時の乾燥温度としては、担体材質及び中間層中の樹脂材質によっても異なるが、通常30℃〜200℃の範囲が好ましい。
【0078】
また光触媒層を形成する前に、中間層表面に易接着処理を施すことが好ましい。中間層表面に易接着処理を施すことにより、中間層と光触媒層との層間密着性が著しく高められ、中間層表面に光触媒層を形成した場合に、乱反射により白濁を生じたり、光触媒層表面が見る角度によって金色や玉虫色に見える、いわゆる干渉色が現れるのを効果的に防止することができる。
【0079】
かかる易接着処理としては、例えば、中間層表面をコロナ放電処理やUV−オゾン処理を施す方法が挙げられる。
【0080】
光触媒層の厚みは厚い方が活性は高くなるが、通常50nm〜200nmが好ましい。200nm以上になると光触媒活性向上の効果が飽和する一方、50nm未満の場合には光透過性に優れるものの光触媒が利用する紫外線をも透過してしまうために、高い活性が望めなくなる。
【0081】
特に光触媒層の厚さを50nm〜200nmとし、しかも、粒子径が5〜10nmの光触媒粒子を用いると、光触媒層と中間層の合計の波長550nmにおける全光線透過率を70%以上とすることができる。
【0082】
本発明の光触媒担持構造体を少なくとも一部に有した物品としては、例えば、壁紙、壁面材、窓ガラス、サッシ、窓枠類等の建築物の内外装材、ブラインド、カーテン、カーペット、ショーケース等の各種インテリア製品、眼鏡、ガラスレンズ、フロントガラス、ドアミラー、鏡等の各種ガラス製品、照明器具、照明灯、ブラックライト、テレビ、冷蔵庫、オーディオ機器、コンピュータ、パソコン、プリンタ、ファクシミリ等の電気機器、テント、傘、テーブルクロス等の日用品、箪笥、本棚、机、テーブル等の家具類、自動車、電車、飛行機、船舶等の車両の内外装材、農業用フィルム、防草シート、育苗シート等の農園芸用シート類や食品包装材料等が挙げられる。
【0083】
本発明の光触媒構造体を設けたプラスチックフィルムは、その防汚、抗菌、脱臭機能を活かして、光触媒を担持していない担体の裏面に、アクリル系あるいはシリコン系粘着剤を塗布したフィルムとすることで、自動車や各種輸送機器の窓ガラス、冷凍・冷蔵ショーケースや温室等の内面に貼り付けることができる。
【0084】
そして、内部空間の微量有機物質の分解と、ガラス表面の汚染防止と破損時の飛散防止に有効な透視性の高いフィルムとすることが可能となる。
【0085】
【実施例】
次に、実施例により本発明を更に詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、担体の材質や形状、中間層形成用組成物、光触媒層形成用組成物の組成物の内容、配合割合、各層の厚さ等を適宜変更することができる。
【0086】
実施例1
酸化物換算でシリコン含有量2%のアクリルシリコン樹脂(ガラス転移温度20℃)、重合度が3〜6のテトラメトキシシランの部分加水分解生成物であって、テトラメトキシシランモノマーの含有量が5重量%以下のオリゴマー、及びコロイダルシリカ(日産化学(株)製、商品名:IPA−ST)を固形分重量比60:35:5に混合し、エタノール−ブタノール−酢酸エチル混合溶媒で固形分濃度が15重量%になるように希釈し、更に水をテトラメトキシシランオリゴマーの酸化物換算モル比の2当量混合し中間層形成用組成物塗布液とした。
【0087】
一方、光触媒ゾル(石原産業(株)製、商品名:STS−01、固形分濃度30重量%、平均粒子径7nm)、重合度が3〜6のテトラメトキシシランの部分加水分解生成物であるオリゴマー及びコロイダルシリカ(粒子径20nm)を固形分重量比15:20:40に混合し、エタノール及び水を用いて固形分3重量%になるように希釈して光触媒層形成用組成物の塗布液とした。
【0088】
次いで、大きさ70mm×70mmの耐侯性PETフィルム表面にメイヤバー工法により、先に調製した中間層塗布液を塗布し、40℃で24時間乾燥してPETフィルム上に膜厚2μmの中間層を形成した。その後、先に調製した光触媒層形成用組成物の塗布液を同様な方法で中間層表面に塗布し、60℃で24時間乾燥を行うことにより、透明な光触媒担持フィルムを作製した。
【0089】
得られたフィルムをサンシャインカーボンアークウェザーメーター(スガ試験機(株)製、WEL−SUN−HCH型)を使用して、促進耐候性試験を行ったところ、500時間でも光触媒層にひび割れは見られず、干渉色も認められなかった。また、500時間促進試験後のフィルム表面の接触角は1.46度であり、良好な親水性を維持していた。
【0090】
実施例2
光触媒ゾル(石原産業(株)製、商品名:STS−01、固形分濃度30重量%、平均粒子径7nm)、テトラメトキシシランの部分加水分解生成物であり、重合度が3〜6であるオリゴマー及びコロイダルシリカ(平均粒子径20nm)を固形分重量比10:20:45に混合し、エタノール及び水を用いて固形分5重量%になるように希釈して光触媒層形成用組成物を調整した。
【0091】
70mm×70mmの大きさの耐候性PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(東レ(株)製)にメイヤバー工法により実施例1と同じ組成の中間層形成用組成物を塗工し、40℃で24時間乾燥して膜厚2μmの中間層を形成した。
【0092】
その後、該中間層上に、先に得られた光触媒層形成用組成物を中間層を形成したのと同様な方法で塗工し、60℃で24時間乾燥を行うことにより光触媒層を形成した。
【0093】
得られたフィルムをフィルム表面の紫外線強度が3mW/cm2になるように試料とブラックライトとの間の距離を調節して照射した。その後メチレンブルー・4水和物の0.1重量%水溶液に浸漬した後、該フィルム表面を乾燥し、さらに紫外線強度が1mW/cm2になるように試料とブラックライトとの距離を調節して照射した。紫外線照射後、色差測定を行い、メチレンブルーの分解率を測定したところ、82%であった。
【0094】
また、得られたフィルムをサンシャインカーボンアークウェザーメーター(スガ試験機(株)製、WEL−SUN−HCH型)を使用して、促進耐候性試験を行ったところ、500時間でも光触媒層にひび割れは見られず、干渉色も認められなかった。
【0095】
比較例1
実施例1において、光触媒層形成用塗布液に用いた粒子径20nmのコロイダルシリカに代えて粒子径7nmのコロイダルシリカを用いる以外は、実施例と同様の中間層形成用組成物の塗布液に水を添加しない以外は実施例1と同様の光触媒層形成用組成物を用いて、実施例1と同様の光触媒担持フィルムを作製した。このものを用いて、500時間促進耐候性試験の結果、干渉色が見られた。
【0096】
比較例2
実施例2において、光触媒層形成用塗布液に用いた粒子径20nmのコロイダルシリカに代えて粒子径7nmのコロイダルシリカを用いる以外は、実施例2と同様の光触媒担持フィルムを作製した。このものを用いて、実施例2と同様にしてメチレンブルーの分解率を測定したところ14%であった。
【0097】
【発明の効果】
本発明の光触媒層形成用組成物は、所定の粒子径比又は所定の粒子径を有する光触媒粉末及び/又は光触媒ゾル、金属酸化物及び/又は金属水酸化物のゾル及びシリコン化合物を含有しているので、透明性に優れ、かつ表面に干渉色がない光触媒層を担体上に形成することができる。
【0098】
本発明の光触媒担持構造体は、上記光触媒層形成用組成物により形成された光触媒層を有している。かかる光触媒層は透明性に優れ、かつ表面に干渉色などがないものである。
【0099】
また本発明の光触媒担持構造体が中間層を有している場合には、該中間層は担体と光触媒層とを強固に接着させ、光触媒による光分解から担体を保護する役割を果たしている。

Claims (12)

  1. 一般式:SiR (OR )4−n
    〔式中、R は、(アミノ基、塩素原子又はカルボキシル基で置換されていてもよい)炭素数1〜8のアルキル基を表し、R はアルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基を表し、n は0,1又は2を表す。〕
    で表されるアルコキシシラン類、又はそれらの部分加水分解生成物の1種又は2種以上の混合物であるシリコン化合物、金属酸化物ゾル及び/又は金属水酸化物ゾル、並びに光触媒粉末及び/又は光触媒ゾルを含有する光触媒層形成用組成物であって、前記光触媒粉末及び/又は光触媒ゾルを、前記組成物全体に対して固形分として酸化物換算で0.1重量%〜30重量%含み、前記金属酸化物ゾル及び/又は金属水酸化物ゾルの平均粒子径と前記光触媒粉末及び/又は光触媒ゾルの平均粒子径の比が2〜5であることを特徴とする、光触媒層形成用組成物。
  2. 前記光触媒粉末及び/又は光触媒ゾルの平均粒子径は、5nm〜8nmである、請求項1記載の光触媒層形成用組成物。
  3. 前記金属酸化物ゾル及び/又は金属水酸化物ゾルの平均粒子径は、4nm〜50nmである、請求項1記載の光触媒層形成用組成物。
  4. 前記金属酸化物ゾル及び/又は金属水酸化物ゾルは、ケイ素、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、ニオブ、タンタル、マグネシウム、タングステン及びスズからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物ゾル又は水酸化物ゾルである、請求項1〜3のいずれかに記載の光触媒層形成用組成物。
  5. 前記酸化物ゾル及び/又は金属水酸化物ゾルを、組成物中の固形分全体に対して酸化物換算で40重量%〜60重量%含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の光触媒層形成用組成物。
  6. 前記シリコン化合物は、平均重合度が3〜10のテトラメトキシシラン及び/又はテトラエトキシシランの部分加水分解生成物であって、テトラメトキシシラン又はテトラエトキシシランモノマーの含有量が、シリコン化合物全体に対して5重量%以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の光触媒層形成用組成物。
  7. シリコン化合物を0.05重量%〜2重量%、金属酸化物ゾル及び/又は金属水酸化物ゾルを固形分として1重量%〜10重量%、及び光触媒粉末及び/又はゾルを固形分として1重量%〜10重量%それぞれ含有してなる、請求項1〜4のいずれかに記載の光触媒層形成用組成物。
  8. 担体と、前記担体上に形成された光触媒層とを有する光触媒担持構造体であって、前記光触媒層は、
    一般式:SiR (OR )4−n
    〔式中、R は、(アミノ基、塩素原子又はカルボキシル基で置換されていてもよい)炭素数1〜8のアルキル基を表し、R はアルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基を表し、n は0,1又は2を表す。〕
    で表されるアルコキシシラン類、又はそれらの部分加水分解生成物の1種又は2種以上の混合物であるシリコン化合物、金属酸化物ゾル及び/又は金属水酸化物ゾル、並びに光触媒粉末及び/又は光触媒ゾルを含有する光触媒層形成用組成物であって、前記光触媒粉末及び/又は光触媒ゾルを、組成物中の固形分全体に対して酸化物換算で10重量%〜30重量%含み、かつ、前記金属酸化物ゾル及び/又は金属水酸化物ゾルの平均粒子径と前記光触媒粉末及び/又は光触媒ゾルの平均粒子径の比が2〜5である光触媒層形成用組成物から形成されてなる、光触媒担持構造体。
  9. 前記光触媒層は、厚さ50nm〜200nmで形成されている、請求項8記載の光触媒担持構造体。
  10. 前記担体と光触媒層との間に、単層又は2層以上の複層からなる中間層をさらに有する、請求項8記載の光触媒担持構造体。
  11. 前記中間層は、厚さが300nm〜5000nmで形成されている、請求項10記載の光触媒担持構造体。
  12. 前記中間層は、シリコンを酸化物に換算して2重量%〜60重量%含有するシリコン変性樹脂、コロイダルシリカを酸化物に換算して5重量%〜40重量%含有する樹脂、又はポリシキサンを酸化物に換算して3重量%〜60重量%含有する樹脂から形成されてなる、請求項10記載の光触媒担持構造体。
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