JP4509286B2 - 光触媒担持構造体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、防汚、防曇、浄水、脱臭、殺菌、排水処理、水分解、藻の成育抑制及び各種化学反応等に用いられる光触媒を担持した光触媒担持構造体に関し、特に、担体上に、中間層を介して光触媒層を形成してなる光触媒担持構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、プラスチックフィルム等の有機物を主体とする担体を用いる光触媒担持構造体が知られているが、このものは、光触媒を担体上に担持すると、その触媒作用により該有機物(担体)が分解されたり、劣化したりすることが報告されており、その耐久性に問題があった(例えば、大谷文章、高分子加工 42巻、5号、p18(1993)、清野学著、”酸化チタン”技法堂、p165等参照)。
【0003】
そこで、かかる問題を解決するために、担体上に中間層を設け、該中間層上に光触媒層を形成してなる光触媒構造体が提案されている(例えば、WO96/14932号公報、WO97/00134号公報、WO98/25711号公報等参照。)。
【0004】
これらの技術は、主に担体と光触媒層との間に特定の接着層を設けることにより、下地の担体を光触媒による劣化から保護する作用と、光触媒層を担体に強固に接着させる作用、及び接着層自身が光触媒作用により劣化を受けにくい光触媒担持構造体としたものである。
【0005】
本発明に関連して、透明担体(基材あるいは基体)表面に光触媒層(光触媒膜)を有し、高い透明性の確保を目的とする光触媒担持構造体としては、例えば次のものが知られている。
【0006】
(a)特開平9−59042号公報には、チタニアを含有する防曇性コーティングの光反射を防止することを目的として、光触媒チタニアの粒子を含有する透明な防曇性コーティングで被覆された透明基材であって、前記コーティングは屈折率が2より小さな媒体にチタニアを配合してなり、チタニア粒子の平均結晶子径約0.1μm以下であることを特徴とする防曇性コーティングを備えた透明基材が記載されている。
【0007】
(b)特開平9−78274号公報には、美的処理が施された基材と、この基材表面に形成された光半導体を含む表面層とを備えた意匠部材であって、該部材の表面は水との接触角が10°未満の親水性を示し、該表面層の厚さが0.2μm未満である高清浄性意匠部材が記載されている。そして、この部材によれば、雨水や簡単なシャワーによる洗浄だけでも十分に清浄性を維持でき、かつ基材の意匠性が損なわれることがないものである。
【0008】
(c)また、特開平9−225303号公報には、半導体光触媒物質と該半導体光触媒物質が分散された酸化物微粒子とからなる光触媒組成物であって、光触媒組成物のバンドギャップが半導体光触媒物質担体のバンドギャップよりも0.05eV以上大きいことを特徴とする光触媒組成物が記載されている。この光触媒組成物によれば、該組成物を用いてガラスなどの透明な基体上に透明薄膜状に形成しても、透明性が高く強い干渉縞が発生しない光触媒担持体を得ることができる。
【0009】
(d)さらに、特開平10−165821号公報には、少なくとも波長410nm以下の光を透過する基材と、該基材層上の少なくとも1部の領域に、波長550nmの可視光線透過率が波長365nmの紫外線透過率より15%以上高くなるように形成された光触媒膜とを備えた照明器具が記載されている。この照明器具においては、光触媒膜の膜厚を0.01〜0.3μmとすることにより、高い光触媒活性と高い透明性を確保して、可視光線の干渉が発生することがないものとなっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、例えば、プラスチックフィルム表面に光触媒層を形成した光触媒担持フィルムを、透明ガラスや透明プラスチックス成形体上に貼着してなる光触媒担持構造体等のように、特に高い透明性が要求される場合においては次のような問題があった。
【0011】
すなわち、(1)光触媒層を形成すると、材質、膜厚及び乾燥方法などの影響で、表面にヒビが入ったり、白化して透明性が悪くなる場合があること、(2)プラスチックフィルム自体が光触媒の作用により光分解(光劣化)する場合があること、(3)その防止のためにプラスチックフィルムの厚みを厚くしたり、シリカ等の難分解性物質をプラスチックフィルム中に添加すると、透明性が悪化してしまう場合があること、及び(4)光触媒層の膜厚を1μm以下にすると、膜厚による干渉色が発現し、しかも、屈折率の大きな酸化チタンや酸化タングステンなどを光触媒に使用すると、光触媒とプラスチックとの屈折率差が大きいために、反射強度が大きくなり、干渉色は非常に強く現れ、膜厚の僅かな変動が干渉色の色の違いになり、外観が悪くなるばかりか、下地に印刷物があると、異なった色合いになってしまう(いわゆる干渉色の問題)。光触媒層の屈折率を下げるために、光触媒と屈折率の小さな物質を混合する方法があるが、プラスチックとの屈折率差を小さくするためには、光触媒層中の光触媒含有率を小さくしなければならず、光触媒活性が低下する。
【0012】
従って、これらの問題のすべてを解決した光触媒担持構造体の開発が求められている。本発明は、かかる問題を解決すべく、担体と光触媒層との間に中間層を設けた光触媒担持構造体において、▲1▼担体と光触媒層との密着性に優れ、▲2▼担体及び中間層が光触媒により分解され難く、▲3▼いわゆる干渉色がなく、かつ、▲4▼表面にひび割れ等の生じない光触媒担持構造体を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、担体表面に、屈折率に大きな差がない中間層と光触媒層とを順次形成することにより、また、中間層膜厚と光触媒層の膜厚比を10倍以上の差を設ける事により、担体と光触媒層との密着性に優れ、担体及び中間層が光触媒により分解され難く、いわゆる干渉色がなく、かつ、表面にひび割れ等の生じない光触媒担持構造体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
即ち、本発明は、担体上に中間層と光触媒層とを順次設けてなる光触媒坦持構造体であって、前記中間層の膜厚が3μm以上で形成されており、かつ前記光触媒層は膜厚が0.01μm〜0.3μmで形成されている光触媒坦持構造体を提供する。
【0015】
前記中間層の各層のうち前記光触媒層と接触する層は、ポリシロキサン、金属酸化物、金属水酸化物、アクリルシリコン樹脂又はエポキシシリコン樹脂の少なくとも1種を含有する材質で形成されているのが好ましい。
【0016】
また、中間層の各層のうち、担体と接触する層は、有機物40重量%以上の樹脂が担体との密着性を得る上で好ましい。
【0017】
前記本発明の光触媒担持構造体において、前記中間層の各層の屈折率が、光触媒層に近づくに連れて光触媒層の屈折率に近づくように、及び/又は、担体に近づくに連れて担体の屈折率に近づくように形成されていることが好ましい。
【0018】
本発明の光触媒担持構造体は、かかる構成とすることにより、担体と光触媒層との密着性に優れ、担体及び中間層が光触媒により分解され難く、いわゆる干渉色がなく、かつ、表面にひび割れ等の生じないものとなっている。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の光触媒坦持構造体は、上述したように、担体上に中間層と光触媒層を順次設けてなり、前記中間層は膜厚が3μm以上で形成されており、かつ前記光触媒層は膜厚が0.01μm〜0.3μmで形成されていることを特徴とする。
以下、本発明の光触媒担持構造体を詳細に説明する。
【0020】
(1)担体
本発明の光触媒担持構造体の担体としては、その表面に中間層を介して光触媒を担持可能なものであれば、その材質、形状等に制限はない。
【0021】
かかる担体の形状としては、光触媒が担持可能であれば特に制限はない。例えばフィルム状、管状、繊維状、網状、板状、曲面板等、どのような形状を有していてもよい。
【0022】
担体の材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のポリオレフィン樹脂、
ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル等のアクリル樹脂、
【0023】
ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂、
フェノール樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の熱硬化性樹脂、
その他、ポリフッ化エチレン、珪素樹脂等の合成樹脂のフィルムや板状体、
各種ガラス、陶磁器、土器、ほうろう等のセラミックス板、
石膏板、石膏スラグ板、珪酸カルシウム板、軽量発泡コンクリ−ト板、中空押出セメント板、パルプセメント板、石綿セメント板、木片セメント板、硝子繊維強化セメント板、
【0024】
鉄板、アルミニウム板、アルミニウム合金板、亜鉛メッキ鋼板、銅板、銅合金板、ステンレス板等の金属板
木材単板、木材合板、パーティクルボード、MDF(中密度繊維板)等の木質板、
クラフト紙、コート紙、チタン紙、リンター紙、板紙、石膏ボード紙、上質紙、薄葉紙、パラフィン紙、グラシン紙、アート紙、硫酸紙等の紙類、
毛、絹、麻等の天然繊維、レーヨン、アセテート等の再生繊維、ナイロン、アクリル、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の合成繊維、アラミド等の耐熱性繊維の単独あるいは混紡繊維からなる織布、不織布、編布等の繊維
【0025】
硝子繊維、石綿、チタン酸カリウム繊維、シリカ繊維、炭素繊維、アルミナ繊維等の複合強化繊維
フェノール樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂等の樹脂を、硝子繊維、不織布、布帛、紙、その他各種繊維基材に含浸硬化させて複合化したいわゆるFRP板等が挙げられる。
【0026】
本発明の光触媒担持構造体は、特に透明担体上に光触媒を担持してなる場合が好ましい。かかる透明性が高い担体としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ四フッ化エチレン、フッ化エチレン−プロピレン共重合体、フッ化エチレン−エチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのフィルム状に成形加工したときに550nmの波長の光の直線透過率が50%以上である透明性の高い合成樹脂フィルム又はシートを挙げることができる。又、透明な担体を用いる場合には、着色剤等で着色されたものであってもよい。
【0027】
また、上記した各種素材の2種以上、例えば、ガラス板状に透明フィルムを接着剤あるいは熱融着等の公知の手法により積層した複合基材を担体として用いることもできる。
【0028】
さらに本発明の光触媒担持構造体の中間層及び光触媒層は透明性が高いものであるので、表面に絵柄模様が施された担体を用いることも好ましい。
【0029】
本発明の光触媒担持構造体は、前記担体表面上に中間層を有する。中間層の厚みは全体で3μm以上であるのが好ましい。3μm未満では担体と光触媒層との層間密着性に乏しく、光干渉により、光触媒担持構造体の表面が金色あるいは玉虫色に見える場合がある。
【0030】
中間層を構成する樹脂としては、例えば、酢酸セルロース、酪酸セルロース、セルロイド、セロファン、アセチルセルロース等の天然高分子系プラスチック、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、グアナミン樹脂、ケトン樹脂等の熱硬化性樹脂、
(超低密度、低密度、中密度、高密度)ポリエチレン、アイオノマー、塩素化ポリエチレン、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−α−オレフィン共重合体等の熱可塑性樹脂、
【0031】
ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、ポリパラビルフェノール、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、塩素化ポリエチレン−アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、メタクリル樹脂、ノルボネン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリルアミン、ポリビニルエーテル、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリアセタール、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、
【0032】
ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルファイド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミノビスマレイミド、超高分子量ポリエチレン、アイソタクチックポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアクコキシビニルエーテル共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリビニリデンフロライド、ポリビニルフロライド等の熱可塑性プラスチック等が挙げられる。
【0033】
また前記中間層は2層以上の積層体からなり、該中間層各層の屈折率の差が、0.2以下であるのがより好ましい。中間層が2層以上の積層体からなる場合に、各層の屈折率の差が0.2以下とすることにより、光干渉による光触媒担持構造体の表面が金色あるいは玉虫色に見える現象が生じるのを防止することができる。
【0034】
前記中間層を2層以上の積層体で形成する場合には、前記中間層の各層のうち、担体と接触する側の層は、担体との密着性を得るために有機物40重量%以上に樹脂が良く、特に、透明性及び層間密着性に優れるアクリル系樹脂で形成されてなるのが最も好ましい。
【0035】
かかるアクリル系樹脂としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、ポリ(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体等の(メタ)アクリル酸エステルを含む単独重合体又は他の重合性モノマーとの共重合体を挙げることができる。ここで、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルの意で用いている。
【0036】
またこの層は、厚み(2層以上の場合には合計の厚み)が1μm以上で形成するのが好ましい。厚みが1μm未満の場合には、担体と光触媒層側の層との層間密着性に乏しくなり、光干渉により、光触媒担持構造体の表面が金色あるいは玉虫色に見える場合がある。
【0037】
前記中間層の各層のうち、光触媒層と接する層は、ポリシロキサン、金属酸化物、金属水酸化物、アクリルシリコン樹脂又はエポキシシリコン樹脂の少なくとも1種を含有する材質から形成されてなるのが好ましい。
【0038】
前記アクリルシリコン樹脂はシリコン変性アクリル樹脂であり、エポキシシリコン樹脂とはシリコン変性エポキシ樹脂をいう。アクリル樹脂あるいはエポキシ樹脂へのシリコンの導入(変性)方法としては、エステル交換反応による方法、シリコンマクロマーや反応性シリコンモノマーを用いたグラフト反応による方法、ヒドロシリル化反応による方法、ブロック共重合を用いた方法などがある。本発明ではどのような方法で作られた物でも用いることができる。
【0039】
アクリル樹脂のモノマーとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、、エタクリル酸メトキシメチル、メタクリル酸エトキシメチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸エステル類、
【0040】
アクリル酸−2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、メタクリル酸−2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、メタクリル酸−2−(N,N−ジベンジルアミノ)エチル、アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル等のアクリル酸、又はメタクリル酸の置換アミノアルコールエステル類、
アクリルアミド、メタクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミド類、
エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールアイアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等のグリコールアクリレート及びグリコールメタクリレート類等を用いることができる。
【0041】
またエポキシ樹脂は、エポキシ基を有する熱硬化性樹脂である。通常、エポキシ基を有するプレポリマーを得たのち、硬化剤を添加して架橋反応により3次元網目構造の高分子を得ることができる。
【0042】
かかるプレポリマーとして、例えば、エピクロルヒドリン等のエポキシ基を有する化合物と、ビスフェノールA、ビスフェノールF、テトラブロモビスフェノールA、テトラフェニロールエタン、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラックなどのフェノール誘導体から得られるフェノール系グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、
エピクロルヒドリン等のエポキシ基を有する化合物と、ポリプロピレングリコール、水素化ビスフェノールA等のポリオール類から得られるアルコール系グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、
【0043】
エピクロルヒドリン等のエポキシ基を有する化合物と、ヘキサヒドロ無水フタル酸やダイマー酸等のカルボン酸から得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂、
エピクロルヒドリン等のエポキシ基を有する化合物と、ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸、ヒダントイン等の化合物から得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、及びエポキシ基を有する化合物と、p−アミノフェノールやp−オキシ安息香酸等から得られる混合型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0044】
なおシリコンが導入される樹脂としては、上述したアクリル樹脂やシリコン樹脂が成膜性、膜強度及び担体との密着性の点で最も優れているが、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等の他の合成樹脂を用いることもできる。
【0045】
前記ポリシロキサンとしては、例えば、(テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等)のテトラアルコキシシラン、(メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン等)のアルキルトリアルコキシシラン、(ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等)のジアルキルジアルコキシシラン等の加水分解性珪素化合物モノマーあるいはこれらの部分加水分解生成物から得られる重合体やシリカゲル、コロイダルシリカ等を挙げることができる。
【0046】
前記金属酸化物及び金属水酸化物の金属成分としては、珪素、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、マグネシウム、ニオビウム、タンタラム、タングステン、スズ等を例示することができる。又金属成分として、珪素、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、ニオビウムの中から選ばれた2種以上の金属を含有する酸化物又は水酸化物を使用することもできる。
【0047】
光触媒層と接する中間層として前記アクリルシリコン樹脂及びエポキシシリコン樹脂を使用する場合は、ポリシロキサン、金属酸化物及び金属水酸化物の少なくとも1種を含有して使用するのが光触媒層との密着性および屈折率を近づけるために、より好ましい。
【0048】
この場合の光触媒層と接する中間層の膜厚は、光触媒層との密着性を得るために、1μm以上、好ましくは2μm以上が良い。
【0049】
光触媒層と接する中間層として前記ポリシロキサンを使用する時は、光触媒層との屈折率を近づけるために、屈折率の高い金属酸化物および金属水酸化物と混合した方が良い。
【0050】
この場合の膜厚は、2μm以下が望ましい。2μmを超えると、密着性が低下したり、膜がひび割れ易くなる。
【0051】
光触媒層と接する中間層として前記金属酸化物もしくは金属水酸化物を使用する時は、膜厚を2μm以下にする事が望ましい。2μmを超えると、膜の密着性、耐摩耗性が低下することがある。
【0052】
また、前記中間層、特に前記中間層を2層以上で形成する場合の光触媒層と接しない側の層中には、所望により各種添加剤、補強材、充填剤、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、耐電防止剤、難燃剤、耐熱安定剤等を添加することもできる。
【0053】
紫外線吸収剤や光安定剤は、樹脂により良好な耐光性(耐候性)を付与する目的で添加される。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤等の有機物、微粒子状の酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化チタニウム等の無機物を挙げることができる。
【0054】
光安定剤としては、例えば、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート等のヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤、ピペリジン系ラジカル捕捉剤等が挙げられる。
【0055】
また酸化防止剤は、プラスチックの熱酸化劣化を防止するために添加される物質であり、例えば、フェノール系酸化防止剤やイオウ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等が挙げられる。これらの添加量は、通常、後述する中間層全体に対して0.005重量%〜10重量%、好ましくは0.01重量%〜5重量%である。
【0056】
本発明の光触媒担持構造体は、中間層表面に光触媒を含有する光触媒層を有する。該光触媒層の厚みは厚い方が光触媒活性は向上するが、0.01μm〜10μmが好ましい。より好ましくは、0.01μm〜0.3μmが良い。厚みが0.01μm未満では光透過性に優れるものの光触媒が利用する紫外線をも透過してしまうため、十分な光触媒活性が得られない。一方、10μmを越えると光触媒活性向上の効果が飽和する一方、光触媒層の透明性が低下する。0.01μm〜0.3μmにすると、長期耐候性試験後にも膜がひび割れたり、剥離しにくくなる。
【0057】
光触媒は粉末状、ゾル状、溶液状等、光触媒層の乾燥温度で乾燥した時に、中間層と固着して光触媒活性を示すものであればいずれも使用することができる。
【0058】
ゾル状の光触媒を使用する場合、粒子径が20nm以下、好ましくは10nm以下のものを使用すると、光触媒層透明性が向上し、直線透過率が高くなるため、透明性が要求されるガラス基板やプラスチック成形体に塗布する場合に特に好ましい。また、下地の担体に色や模様が印刷されている場合には、下地の色や柄を損なうことなく、透明な光触媒層を形成することができる。
【0059】
かかる光触媒としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化タングステン、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化ルテニウム、酸化コバルト、酸化銅、酸化マンガン、酸化ゲルマニウム、酸化鉛、酸化カドミウム、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化ロジウム、酸化レニウム等の酸化物が挙げられる。これらの中でも、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化タングステン、酸化鉄、酸化ニオブ、特にアナターゼ型二酸化チタンが、100℃以下の低温で加熱硬化を行った場合でも優れた光触媒活性を示す点から好ましい。
【0060】
また、これらに光触媒の光触媒還元作用を利用して、Pt,Rh,Ru,RuO2,Nb,Cu,Sn,Ni,Fe,Ag等の金属もしくはこれらの金属酸化物を添加したものを用いることもできる。
【0061】
光触媒層は、後述するように、中間層表面に光触媒層形成用組成物を塗工することにより形成することができるが、光触媒層中の光触媒の含有量は、接着性の点から、光触媒層の全体に対しに対して75重量%以下が好ましい。
【0062】
前記光触媒層中には、光触媒の他にシリコン化合物を含有するのが好ましい。
該シリコン化合物は、光触媒層の耐摩耗性を向上させ、光触媒層形成用組成物の経時変化による粘度増加や粒子沈降が生じるのを抑制する役割を果たす。
【0063】
かかるシリコン化合物としては、例えば、一般式:SiR3n5(OR4)4-n5〔式中、R3は(アミノ基、塩素原子又はカルボキシル基で置換されていてもよい)炭素数1〜8のアルキル基を表し、R4はアルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基を表し、n5は0,1,2又は3のいずれかを表す。〕で表されるアルコキシシラン類又はそれらの加水分解性生物の1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
【0064】
前記R3としては、メチル基、エチル基、ビニル基、γ−グリシドキシプロピル基、γ−メタクリロキシプロピル基、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピル基、γ−クロロプロピル基、γ−メルカプトプロピル基、γ−アミノプロピル基、1−アクロキシプロピル基等が挙げられる。
【0065】
また、OR4で表される基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、β−メトキシエトキシ基、2−エチルヘキシロキシ基等を例示することができる。
【0066】
前記一般式:SiR3n5(OR4)4-n5で表されるシリコン化合物の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、及びこれらの加水分解物の1種又は2種以上の混合物を好ましく挙げることができる。
【0067】
前記シリコン化合物の後述する光触媒層形成用組成物中の含有量は0.001〜5重量%であるのが好ましい。0.001重量%未満では、光触媒層形成用組成物の長期保存安定性が低下し、5重量%を越えると、光触媒の触媒活性の低下が著しい。
【0068】
前記光触媒層は、前記光触媒及びシリコン化合物に加えて、金属酸化物ゲル及び金属水酸化物ゲルを更に含有してなるのが好ましい。金属酸化物ゲル及び金属水酸化物ゲルは、光触媒粉末を固着し、中間層と強固に接着させる効果を有する。また、この金属酸化物ゲル及び金属水酸化物ゲルは、多孔質であることから吸着性を有しており、光触媒活性を高める効果もある。これらの光触媒層中の含有量は、固形分として25〜95重量%が好ましい。25重量%未満では、中間層との密着性に乏しくなり、95重量%を越えると光触媒活性が不十分となる。
【0069】
また、金属酸化物ゲル及び金属水酸化物ゲルの比表面積は、好ましくは150℃で乾燥後50m2/g以上、より好ましくは100m2/g以上であると、接着性は強固となり、光触媒活性も向上し、また、沸騰水中に浸漬した後でも優れた接着性を有している。
【0070】
前記金属酸化物及び金属水酸化物としては、金属成分として、珪素、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、マグネシウム、ニオビウム、タンタラム、タングステン、スズ等を例示することができる。
【0071】
又金属成分として、珪素、アルミニウム、チタニウム、ジルコニウム、ニオビウムの中から選ばれた2種以上の金属を含有する酸化物ゲルもしくは水酸化物ゲルを使用することにより、沸騰水に浸漬した後の光触媒層の付着性を高めることが可能である。
【0072】
また、光触媒層中にシリコン変性樹脂あるいはシランカップリング剤を光触媒層全体に対して30重量%以下加えることによっても、高い触媒活性を維持しつつ、沸騰水中へ15分間浸漬した後でJIS K5400に規定された碁盤目テープ法による付着性試験で評価点数が6点以上の優れた付着性(接着性)を有する光触媒層を得ることができる。
【0073】
かかるシランカップリング剤としては、例えば、一般式:RSi(Y)3や(R)2Si(Y)2(式中、Rは有機性官能基を、Yは塩素原子又はアルコキシ基を表す。)で表される化合物を使用することができる。
【0074】
前記一般式において、Rとしては、メチル基、エチル基、ビニル基、γ−グリシドキシプロピル基、γ−メタクリロキシプロピル基、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピル基、γ−クロロプロピル基、γ−メルカプトプロピル基、γ−アミノプロピル基、γ−アクリロキシプロピル基等を挙げることができる。また、Yとしては、塩素原子のほか、メトキシ基、エトキシ基、β−メトキシエトキシ基、β−エトキシエトキシ基等の炭素数1〜5のアルコキシ基等が挙げられる。
【0075】
シリコン変性樹脂あるいはシランカップリング剤の光触媒層中への添加量は、光触媒層の接着性や光触媒活性等を考慮して、固形分として30重量%以下が好ましい。
【0076】
(光触媒担持構造体の製造)
本発明の光触媒担持構造体は、例えば、(1)先ず、担体表面に中間層形成用組成物を塗工形成することにより中間層を形成し、(2)次いで、該中間層表面に光触媒層形成用組成物を塗工・形成することにより光触媒層を形成することにより製造することができる。
【0077】
(A)中間層の形成
中間層を形成する方法としては、特に制限はないが、例えば、前記中間層を構成するものとして列記した樹脂、中間層形成用組成物の有機溶媒溶液、有機溶媒縣濁液、水分散エマルジョン等を、担体表面に印刷法、シート形成法、スプレー吹きつけ法、ディップコーティング法、メイヤバー工法、スピンコーティング法、フローコーティング法等でコートし、乾燥させる方法を用いることができる。
中間層形成時の乾燥温度は、通常室温から200℃程度である。
【0078】
中間層形成用組成物は、前記中間層を構成するものとして列記した樹脂(又は樹脂のモノマーもしくはオリゴマー)の1種又は2種以上と、所望によりポリシロキサン、金属酸化物ゾル、金属水酸化酸化物ゾル及びその他の添加物を添加した溶液あるいはエマルジョンの形で調製することができる。この場合、樹脂のモノマーあるいはオリゴマーで用いる場合には、硬化触媒(重合触媒)を添加することもできる。
【0079】
用いられる溶媒としては、低沸点のものが好ましいが、例えば、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素等、及びこれらの2種以上の混合溶媒が挙げられる。
【0080】
なお、この中間層にポリシロキサンを含有させる場合には、中間層形成用組成物として、例えば、テトラアルコキシシランの所定量を水、メタノール、エタノール、酢酸エチル等の水もしくは有機溶媒に溶解し、そのまま加熱あるいは所定量の酸もしくは塩基を添加して部分的に加水分解させることにより得られるテトラアルコキシシランの部分加水分解生成物を添加したものを用いることができる。
【0081】
又、2種類以上の組成からなる中間層形成用組成物の溶液あるいはエマルジョンをそれぞれ調製し、上記の操作を繰り返すことによって、2層以上の積層体からなる中間層を所定の厚みで形成することができる。
【0082】
(B)光触媒層の形成
光触媒層は、光触媒層形成用組成物を、前記中間層表面にスプレーコーティング法、フローコーティング法、スピンコーティング法、メイヤバー工法、ディップコーティング法、ロールコーティング法等の公知のコーティング方法により、所定の塗工量で塗工し、乾燥させることにより、所定の厚みで形成することができる。
【0083】
光触媒層形成用組成物は、少なくとも光触媒と、所望により金属酸化物ゾル、金属水酸化物ゾルあるいはシラン化合物を添加したものを、適当な溶媒に溶解ないしは縣濁させて調製することができる。
【0084】
用いられる溶媒としては、低沸点のものが好ましいが、例えば、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素等、及びこれらの2種以上の混合溶媒が挙げられる。
【0085】
又光触媒層を中間層上に形成する際に、金属酸化物ゾルあるいは金属水酸化物ゾルの前駆体溶液の状態で光触媒を分散し、コート時に加水分解あるいは中和分解してゾル化もしくはゲル化させてもよい。
【0086】
かかるゾルを使用する場合には、安定化のために、酸やアルカリの解膠剤等が添加されていてもよい。光触媒層形成時の乾燥温度としては、担体材質及び中間層中の樹脂材質によっても異なるが、通常50℃〜200℃の範囲が好ましい。
【0087】
又光触媒層を形成する前に、中間層表面に易接着処理を施すことも好ましい。
中間層表面に易接着処理を施すことにより、中間層と光触媒層との層間密着性が著しく高められ、中間層表面に光触媒層を形成した場合に、光触媒層表面が見る角度によって金色や玉虫色に見える、いわゆる干渉色が生じるのを効果的に防止することができる。
【0088】
かかる易接着処理としては、例えば、中間層表面をコロナ放電処理やUV−オゾン処理を施す方法が挙げられる。
【0089】
本発明の光触媒担持構造体がプラスチックフィルム状の場合には、その防汚、抗菌、脱臭機能を活かして、光触媒を担持していない担体の裏面に、アクリル系あるいはシリコン系粘着剤を塗布したフィルムとすることで、自動車や各種輸送機器、建築物等の窓ガラス、冷凍・冷蔵ショーケースや温室等の内面に貼り付けることができる。
【0090】
そして、内部空間の微量有機物質の分解と、ガラス表面の汚染防止と破損時の飛散防止に有効な透視性の高いフィルムとすることが可能となる。
【0091】
本発明の光触媒担持構造体を少なくとも1部に有した物品としては、例えば、壁紙、壁面材、窓ガラス、サッシ、窓枠類等の建築物の内外装材、
ブラインド、カーテン、カーペット、ショーケース等の各種インテリア製品、
眼鏡、ガラスレンズ、フロントガラス、ドアミラー、鏡等の各種ガラス製品、
照明器具、照明灯、ブラックライト、テレビ、冷蔵庫、オーディオ機器、コンピュータ、パソコン、プリンタ、ファクシミリ等の電気機器、
テント、傘、テーブルクロス等の日用品、
箪笥、本棚、机、テーブル等の家具類、
自動車、電車、飛行機、船舶等の車両の内外装材、
農業用フィルム、防草シート、育苗シート等の農園芸用シート類や食品包装材料等が挙げられる。
【0092】
【実施例】
実施例1
アクリル樹脂主剤溶液(アクリディックA−817、大日本インキ化学社製)100gに紫外線吸収剤5g(チヌビン384、日本チバガイギ−社製)とポリイソシアネート硬化剤溶液(バーノックDN−950、大日本インキ化学社製)2.4gを混合し、中間層形成用組成物溶液(I)を調製した。
【0093】
二酸化ケイ素換算でシリコン含有量が2重量%のアクリルシリコン樹脂(ガラス転移温度20℃)とテトラメトキシシランの部分加水分解生成物であり重合度が3〜6であるオリゴマー(メチルシリケート51、コルコート社製)を固形分重量比65:35(メチルシリケートは二酸化ケイ素に換算した重量)に混合し、エタノール−酢酸エチル混合溶媒で固形分濃度が20重量%になるように希釈し、中間層形成用組成物溶液(II)を調製した。
【0094】
テトラt−ブトキシジルコニウム(TBZR:日本曹達製)をエタノールに溶解し、この溶液に硝酸(61%溶液)をTBZRのモル数に対し、1.0倍モル添加後、エタノールで希釈したイオン交換水を加え、加水分解し、水酸化ジルコニウムゾル溶液を得た。この溶液とシリカゾル溶液(IPA−ST、日産化学社製)とを酸化物換算で(二酸化ケイ素:二酸化ジルコニウム=3:1)になるように混合し、酸化物換算濃度2重量%の中間層形成用組成物溶液(III)を調製した。
【0095】
テトライソプロポキシチタニウム(A−1(TPT):日本曹達製)をエタノールに溶解し、この溶液に硝酸(61%溶液)をTPTのモル数に対しに、0.5倍モル添加後、エタノールで希釈したイオン交換水を加え、加水分解し、水酸化チタニウムゾル溶液を得た。この溶液とテトラメトキシシランの部分加水分解生成物であり重合度が3〜6であるオリゴマー(メチルシリケート51、コルコート社製)とを酸化物換算で(二酸化ケイ素:二酸化チタン=6:1)になるように混合し、酸化物換算濃度4重量%の中間層形成用組成物溶液(IV)を調製した。
【0096】
また、光触媒ゾル(石原産業(株)製、商品番号:STS−01、固形分濃度30重量%、平均粒子径7nm)、テトラメトキシシランの部分加水分解生成物であり重合度が3〜6であるオリゴマー及びコロイダルシリカ(粒子径20nm)を固形分重量比2:1:4に混合し、エタノール及び水を用いて固形分3重量%になるように希釈して光触媒層形成用組成物溶液を調製した。
【0097】
次いで、188μm厚のPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(コスモシャインA−4300、東洋紡製)、50μm厚のアクリルフィルム(アクリプレンHBS−006、三菱レーヨン製)、25μm厚のPVFフィルム(テドラーTTR10BG3、デュポン製)、アクリル樹脂処理した金属アルミサッシ、塩ビ質B種テント生地及びアクリル樹脂処理したブラインドスラット表面に、中間層形成用組成物溶液を第1表に示すように、バーコーターによりメイヤバーの種類を変えて成膜し、80℃で1時間乾燥し、各組成の各膜厚の中間層を形成した。その後、中間層上に先に調製した光触媒層形成用溶液を同様の方法で成膜し、100℃で1時間乾燥を行い、第1表に示す実施例1−1から1−10の光触媒坦持構造体を作製した。
【0098】
得られた試料(光触媒担持構造体)は全て、透明で、膜のひび割れ及び干渉色はなく、外観良好で、セロテープ剥離試験(JIS K5400碁盤目テープ法)で8点以上の密着性を示した。また、試料にブラックライトで紫外線強度1mW/cm2の光を3時間照射後の水の接触角は、全て10°以下の親水性を示した。サンシャインカーボンアークウェザーメーター(スガ試験機(株)製、WEL−SUN−HCH型)を使用して、促進耐侯性試験を行なったところ、全ての試料とも648時間でも光触媒層にひび割れは見られず、干渉色も認められなかった。結果を第2表に示す。
【0099】
比較例 1
実施例1で中間層をコートせずにポリエステルフィルムに直接、光触媒層を厚さ0.1μm、0.3μmコートした物を実施例1と同様に条件で作製し、同様の評価をした。その結果、72時間促進耐侯性試験の結果、膜厚に関係なく干渉色が見られた。
【0100】
比較例2
実施例1でポリエステルフィルムに有機樹脂を含まない中間層形成用組成物溶液(IV)を厚さ1μmコート後、100℃、1時間乾燥後、光触媒層を厚さ0.3μmコートした物を実施例1と同様に条件で作製し、同様の評価をした。
その結果、72時間促進耐侯性試験の結果、膜が剥離した。
比較例3
【0101】
実施例1でポリエステルフィルムに中間層形成用組成物溶液(I)を厚さ5μmコート後、100℃1時間乾燥後、光触媒層を厚さ0.3μmコートした物を実施例1と同様に条件で作製し、同様の評価をした。その結果、72時間促進耐侯性試験の結果、干渉色が見られた。以上の比較例の光触媒担持構造体の層構成及び評価試験結果を第1表及び第2表にそれぞれ示す。
【0102】
【表1】
Figure 0004509286
【0103】
【表2】
Figure 0004509286
【0104】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の光触媒担持構造体は、担体と光触媒層との間に中間層を設けた光触媒担持構造体であって、透明担体と光触媒層との密着性に優れ、担体及び中間層が光触媒により分解され難く、いわゆる干渉色がなく、かつ、表面にひび割れ等の生じない光触媒担持構造体である。

Claims (2)

  1. 担体上に中間層と光触媒層を順次設けてなる光触媒担持構造体であって、
    前記中間層は光触媒層と接触する層と担体と接触する層の積層体で形成されてなり、
    前記光触媒層と接触する層が、ポリシロキサン、ジルコニウムの酸化物、チタンの酸化物、ジルコニウムの水酸化物及びチタンの水酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種、並びに、アクリルシリコン樹脂及びエポキシシリコン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する組成物から形成された、膜厚が2μm以上の層であり、
    前記担体と接触する層が、アクリル系樹脂を含有する組成物から形成された、膜厚が1μm以上の層であり、かつ、
    前記光触媒層の膜厚が0.01μm〜0.3μmである光触媒担持構造体。
  2. 担体上に中間層と光触媒層を順次設けてなる光触媒担持構造体であって、
    前記中間層は光触媒層と接触する層と担体と接触する層の積層体で形成されてなり、
    前記光触媒層と接触する層が、ポリシロキサン、及び、ジルコニウムの酸化物、チタンの酸化物、ジルコニウムの水酸化物又はチタンの水酸化物を含有する組成物から形成された、膜厚が2μm以下の層であり、
    前記担体と接触する層が、アクリル系樹脂を含有する組成物、又は、ポリシロキサン、ジルコニウムの酸化物、チタンの酸化物、ジルコニウムの水酸化物及びチタンの水酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種、並びに、アクリルシリコン樹脂を含有する組成物から形成された、膜厚が1μm以上の層であり、
    前記中間層の合計膜厚が3μm以上であり、かつ、
    前記光触媒層の膜厚が0.01μm〜0.3μmである光触媒担持構造体。
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