JP2007290294A - 被覆基材及びその製造方法 - Google Patents

被覆基材及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は,高い拡散反射率を有する被覆基材及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明によれば,基材の少なくとも一部に,少なくとも二層以上の複数層からなる被覆層を有し,この被覆層は,少なくとも白色顔料を固形分体積濃度で60〜90%含有する高顔料濃度層を一層有し,この高顔料濃度層の下層に再加熱流動性樹脂を含有するプライマー層を有する被覆基材およびその製造方法が提供される。かかる構成を有することで,本発明に係る被覆基材は,高い拡散反射率と密着性を有する。
【選択図】なし

Description

本発明は,高い拡散反射率と密着性を有する被覆基材とその製造方法に関する。
照明器具,AV機器,電子機器,モバイル機器,液晶テレビ,プラズマディスプレイ等は,可視光線を発することで,周囲を明るくする,光信号を伝える,もしくは光画像を映し出す等の機能を有している。これらの機器では,反射板を設けて,この反射板に光を反射させることで,光の輝度を向上させる,光の方向を変える等を行っているものもある。そのため,反射板に光が反射したときに光量低下を避けるために,反射板表面には高い可視光線反射率が要求される。従来,反射板表面の反射率を高める手段として,金属を研磨して鏡面にする,反射率の高い白色系の塗料を塗装する等が行われていた。また,新日本製鐵(株)カタログ「ビューコート(登録商標)」には,予め白色塗料を塗布した照明器具反射板用プレコート鋼板等も公開されている。
また,特許文献1では,基材フィルムの片表面に金属薄膜層,無機微粒子を含有する樹脂層を順次積層し,当該金属薄皮膜層がアルミニウムからなり,無機微粒子を含有する樹脂層を構成する無機微粒子の屈折率nと同層を構成する樹脂の屈折率nとがn−n≧0.4とすることで,液晶表示装置の反射板として優れた光反射フィルムの技術が開示されている。さらに,特許文献2では,液晶ディスプレイのバックパネル用として,アルミニウム板上に,樹脂100質量部に対して酸化チタン顔料150〜300質量部を含有する膜厚50〜100μmの下塗り層と,該下塗り層上に,樹脂100質量部に対して酸化チタン顔料を100〜250質量部を含有し,光沢が15以下で,且つ膜厚10〜30μmの上塗り層を形成させた液晶ディスプレイのバックパネル用の高拡散反射塗装金属板の技術が開示されている。
特開平10−730号公報 特開2002−172735号公報
しかし,近年では,照明器具反射板や液晶ディスプレイ等の電気製品に用いる反射板は,電気製品の構造やデザインが複雑化し,これに伴い,反射板も様々な形状に成形加工して使用するニーズが高まってきている。ところが,上記の特許文献1に記載された技術のように基材にフィルムを用いた場合は,予め金属薄皮膜層や無機微粒子を含有する樹脂層を積層させたフィルムを目的の形状に成形することは困難であり,予めフィルムを目的の形状に成形した後に金属薄皮膜層や無機微粒子を含有する樹脂層を積層させる必要がある。しかしながら,反射板の成形形状が複雑な場合,加工部分で被膜を均一膜厚で積層させることが困難である。一方,特許文献2に記載された技術では,下塗り層と上塗り層をアルミニウム板上に予め塗布させた後に成形加工することはできるが,一般的なプレコート塗装ラインでの塗装では,1回で当該膜厚の下塗り層(50〜100μm)を塗装することは非常に困難であり,2回以上の重ね塗りが必要となるため,生産性が低い等の欠点があった。
したがって,電気製品の構造上やデザイン上の理由で,反射板を成形加工して使用しなければならないこと,反射板の生産性を考えると,特許文献1や特許文献2等に記載された反射板を使用することは困難であり,従来の予め白色塗料を塗布した照明器具反射板用プレコート鋼板等を使用しなければならなかった。
本発明は,上記現状に鑑み,基材に対し一般的なプレコート塗装ライン1パスの塗装により被覆層を形成することで,高い拡散反射率および密着性を有する被覆基材及びその製造方法を提供することを目的としている。
発明者らは,鋭意検討した結果,白色顔料をバインダーに対し非常に高い濃度で含有する層を形成する等の方法で,被覆層中に空隙を有する層を少なくとも一層形成し,被覆層内で白色顔料−バインダー界面だけではなく,白色顔料−バインダー界面より屈折率差が大きく反射率が高い白色顔料−空気界面,さらに,樹脂−空気界面でも光を反射させることで,高い拡散反射率が得ることを見出し,かつ,プライマー層に再加熱流動性樹脂を含有することで高い密着性を発現できることを見出し,かかる知見を基に本発明を完成させたものであって,本発明がその要旨とするのは以下のとおりである。
(1) 基材の少なくとも一部に,少なくとも二層以上の複数層からなる被覆層を有し,前記被覆層は,少なくとも白色顔料を固形分体積濃度で60〜90%含有する高顔料濃度層を一層有し,前記高顔料濃度層の下層に再加熱流動性樹脂を含有するプライマー層を有することを特徴とする,被覆基材。
(2) 前記高顔料濃度層と前記プライマー層との間に,3μm以上の顔料濃度勾配がある層を有することを特徴とする,(1)記載の被覆基材。
(3) 基材の少なくとも一部に,少なくとも二層以上の複数層からなる被覆層を有し,前記被覆層は,少なくともバインダーと白色顔料とを含み,かつ,前記被覆層の空隙率が5vol%以上35vol%未満である低密度層を一層有し,前記低密度層の下層に再加熱流動性樹脂を含有するプライマー層を有することを特徴とする,被覆基材。
(4) 前記低密度層と前記プライマー層との間に,3μm以上の顔料濃度勾配がある層を有することを特徴とする,(3)記載の被覆基材。
(5) 基材の少なくとも一部に,少なくとも二層以上の複数層からなる被覆層を有し,前記被覆層は,少なくともバインダーと白色顔料を含み,かつ,前記被覆層断面の空隙率が面積で3%以上45%未満である低密度層を一層有し,前記低密度層の下層に再加熱流動性樹脂を含有するプライマー層を有することを特徴とする,被覆基材。
(6) 前記低密度層と前記プライマー層との間に,3μm以上の顔料濃度勾配がある層を有することを特徴とする,(5)記載の被覆基材。
(7) 上塗り層として,白色顔料を0〜35vol%含有する膜厚10μm以下の層を有することを特徴とする,(1),(3)又は(5)に記載の被覆基材。
(8) 上塗り層として,シリカ,炭酸カルシウム,硫酸バリウム,酸化亜鉛,タルクおよび樹脂ビーズからなる群より選択された少なくとも一種類を0〜80vol%含有する膜厚10μm以下の層を有することを特徴とする,(1),(3)又は(5)に記載の被覆基材。
(9) 前記基材は,金属板であることを特徴とする,(1),(3)又は(5)に記載の被覆基材。
(10) 基材表面の少なくとも一部に再加熱流動性樹脂を含有する塗料を塗装して焼き付けた後,白色顔料を固形分体積で60〜90%含有する塗料を塗装して焼き付けることを特徴とする,被覆基材の製造方法。
(11) (1)〜(9)のいずれかに記載の被覆基材を使用した電子機器。
本発明により,比較的薄い膜厚で高い密着性と高い拡散反射率を兼ね備えた被覆基材が得られるようになった。それにより,これまで連続塗装ラインの塗装では達成できなかった高拡散反射率を,連続塗装ラインの塗装による被覆層でも達成できるようになった。その結果,高拡散反射率が求められ,白色フィルム作成しそれを貼り付けるといった二つの工程により作成したものが主に用いられていた用途の反射板についても,連続塗装ラインでの基材への直接塗装という一つの工程で製造できるようになり,工程の省略ができる。したがって,本発明は極めて産業上の価値の高い発明であると言える。
以下,本発明について詳細に説明する。本発明では,白色顔料をバインダーに対し非常に高い濃度で含有する層を形成する等の方法で,被覆層中に空隙を有する層を少なくとも一層形成することで,被覆層内で,白色顔料−バインダー界面による反射だけではなく,白色顔料−バインダー界面より屈折率差が大きく反射率が高い白色顔料−空気界面での反射に加え,さらに樹脂−空気界面でも反射をさせることで,高い拡散反射率を得ると同時に,下層にプライマーを形成することで高い密着性を両立することに成功した。
高い拡散反射率を得るには,白色顔料をバインダーに対し非常に高い濃度で含有する高顔料濃度層又は空隙を有する低密度層を少なくとも一層有する必要がある。
高顔料濃度層には,白色顔料を固形分体積濃度で60〜90%含有する必要がある。白色顔料の固形分体積濃度が60%未満で十分な拡散反射率を得るためには,被覆層の厚膜化が必要になり,白色顔料の固形分体積濃度が90%超では,被覆層が脆くなり,共に取り扱いが難しくなるためである。
また,低密度層中の空隙率は,5vol%以上35vol%未満,又は,層断面の面積率で3%以上45%未満であると良い。なお,5以上35vol%未満の空隙率を有する被覆層断面をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察すると,研磨による被覆層のダレを考慮すると,凡そ3〜45%の間に入る。空隙率が5vol%未満では,十分な拡散反射率が得るために,被覆層の厚膜化が必要になり,35vol%以上では,被覆層が脆くなり,共に取り扱いが難しくなるためである。
このような空隙率を有する被覆層は,白色顔料を固形分体積濃度で60〜90%含有する組成物から形成することもできる。白色顔料が理想的な球状で,隙間無く六方最密構造で並んでいる場合,白色顔料の占める体積は約74vol%である。そのため,白色顔料体積/バインダー体積が74/26より大きくなると,均一に白色顔料,バインダーが分布していたとしても,白色顔料の隙間がバインダーで満たされず,空隙が形成される。白色顔料体積/バインダー体積が74/26より大きな組成のものを溶剤で希釈して,塗料化しているものを塗布,焼き付けした場合は,塗料の状態では,白色顔料の間にバインダーと溶剤が満たされているが,焼き付け時に溶剤が揮発する過程で空隙が形成される。実際は,白色顔料,バインダーの分布は,完全に均一にはならないので,白色顔料体積/バインダー体積がもっと低い場合でも空隙が形成され,白色顔料の固形分体積濃度が60%以上では,高拡散反射率が得られるような空隙を形成することができる。
顔料として用いる白色顔料の平均粒径は,小さい方が同一体積では表面積が広くなり,反射界面が広くなることになるため,拡散反射率も高くなるが,顔料の粒径が小さくなり過ぎると,長い波長の光の透過してしまう。本発明の高い拡散反射率を有する被覆基材は,主に可視光を反射することを目的としているため,人の目の感度が高いとされている波長域の拡散反射率が高いことが重要である。人の目は,個人差はあるものの380〜780nmの波長の光を感受することができ,その感度のピークは555nm付近にある。そのため,555nmを中心とした波長の光を強く反射する必要がある。そのため,なるべく反射界面を広くし,可視光を強く反射するには,白色顔料の平均粒径を200〜400nmとすると好ましく,さらに好ましくは250〜350nmのものが良い。ここでの白色顔料の平均粒径は,確認したい部分を電子顕微鏡により10,000倍で観察し,視野中に映し出される白色顔料の内,数で粒径の小さい方から20%と大きい方から5%を除いた残りの白色顔料の粒径の相加平均値である。
白色顔料の成分としては,特に限定されるものでは無いが,粉末を2mm以上の厚さに押し固めたものを色彩計で測定した場合のJIS Z 8729に規格されたL値が,90以上になるものであると特に好ましく,酸化チタン,炭酸カルシウム,硫酸バリウム,酸化亜鉛,カオリン,タルク等が挙げられ,さらにこれらを混合したものでも良い。これらの白色顔料の中でも,ルチル型の酸化チタンは,屈折率が高く,白色顔料−バインダー界面における反射率を高めることができ好ましい。また,ルチル型酸化チタンに,シリカ,アルミナ,ジルコニア,酸化亜鉛,酸化アンチモン,有機物等でコーティングを施したものを使用しても良い。具体的には,一般に公知の酸化チタン,例えば,石原産業社製「タイペーク(登録商標)」シリーズ,富士チタン社製「TA」シリーズ,テイカ社製「TITANIX(登録商標)」シリーズ等を用いることができる。本発明におけるルチル型酸化チタンは,何れも同様ものを用いれば良い。なお,本発明による被覆基材は光の反射を目的としており,強い光を受けるため,アナターゼ型の酸化チタンは,光触媒活性が高く,バインダー樹脂を分解する恐れがあるので,なるべく用いない方が良い。
バインダーとしては,特に限定されるものではなく,ポリエステル樹脂,ウレタン樹脂,アクリル樹脂,エポキシ樹脂,メラミン樹脂,塩化ビニル樹脂,フッ素樹脂,シリコーン樹脂等を用いることができ,有機樹脂の場合,熱可塑タイプ,熱硬化タイプのいずれのタイプであっても良い。これらの樹脂は,必要に応じて数種のものを併用しても良い。これらの樹脂は,種類,樹脂の分子量,樹脂のガラス転移温度(Tg)によっても,皮膜の性能,例えば,加工性,加工密着性,皮膜硬度等が異なるため,特に規定するものではないが,必要に応じて適宜選定する必要がある。また,架橋剤を用いて樹脂を硬化させるタイプのものは,架橋剤の種類や添加量,架橋反応時の触媒の種類や触媒添加量によっても,皮膜の性能,例えば,加工性,加工密着性,皮膜硬度等が異なるため,特に規定するものではないが,必要に応じて適宜選定する必要がある。これらの樹脂は,固体のものを熱溶融したり,有機溶剤に溶解して用いたり,粉砕して粉体にして用いることができる。また,水溶性のものや,水分散したエマルジョンタイプのものでも良い。これらは,いずれも市販のタイプのものを使用することができる。
発明者らがこれまでに得た知見では,フッ素系樹脂を含むものであると,より反射性が向上し,より好ましい。フッ素系樹脂は,一般に公知の他の樹脂と比べて屈折率が低いため,屈折率の高い白色顔料と組み合わせるとバインダー樹脂と白色顔料との屈折率差が大きくなり,これらの界面で光がより反射し易くなる。また,光による劣化に強いと言う点でも,光を反射することを目的とする材料としては好ましい。
フッ素樹脂としては,何れも特に限定されるものではないが,ポリフルオロエチレン系のポリテトラフルオロエチレン,ポリトリフルオロエチレン,ポリジフルオロエチレンや,ポリヘキサフルオロプロピレン,ポリバーフロロアルキルビニルエーテル構造を分子鎖中に持つものであれば良く,これらの構造やビニルエーテル,ビニルエステル等との共重合体であったり,アクリル樹脂をブレンドしたものであっても良い。
具体的には,旭硝子社製「ルミフロン(登録商標)」,日本ペイント社製「デュフロン(登録商標)」,3M社製「ダイオニン」,大日本インキ化学工業社製「フルオネート(登録商標)」,ダイキン社製「ゼッフル(登録商標)」,東亞合成社製「ザフロン(登録商標)」等を用いることができる。フッ化ビニリデン単独重合体の場合は,アクリル樹脂と混合して用いるのが一般的である。また,これらの樹脂は,必要に応じて一般に公知の架橋剤,例えば,イソシアネートやメラミン樹脂で架橋させても良い。イソシアネートも,一般に市販されているもの,例えば,住化バイエル社製「スミジュール(登録商標)」,「デスモジュール(登録商標)」シリーズ,三井武田ケミカル社製「タケネート(登録商標)」シリーズ等を使用することができる。メラミン樹脂も,一般に市販されているもの,例えば,三井サイテック社製「サイメル(登録商標)」,「マイコート(登録商標)」シリーズ,大日本インキ化学工業社製「ベッカミン(登録商標)」,「スーパーベッカミン(登録商標)」シリーズ等を使用することができる。
また,本発明で主樹脂とは,被覆層のバインダーとなる成分のうち質量比で50%以上であるものをいう。これらの樹脂が主成分であるかどうかは,赤外分光,核磁気共鳴スペクトル,質量分析等を組み合わせることで確認することができる。
顔料,バインダー,空隙の体積濃度は,次のようにして測定することができる。一つは,まず,測定目的の層のみを削り取る。削り取った面積A1及び深さD1から塗膜の体積V1をV1=A1×D1として求める。次に,削り取った被覆層を500℃で1時間加熱し,バインダー成分を分解させる。残った部分を顔料と考えることができる。その顔料の体積Vp1を液体に浸漬する等の方法で測定しても良いが,その質量Mp1を測定し,その顔料の一般的な密度Dp1(ルチル型酸化チタン顔料の密度は3800〜4200kg・m−3程度なので,ルチル型酸化チタン顔料の密度であれば4000kg・m−3として計算)から,Vp1=Mp1÷Dp1(kg・m−3)として求めても良い。このように求めた塗膜の体積V1,顔料の体積Vp1から,顔料の体積濃度Cp1は,Cp1=Vp1÷V1×100(vol%)として求めることができる。また,バインダーの体積も同様の方法で求めることができる。まず,削り取った被覆層の質量M1と顔料の質量Mp1からバインダーの質量Mb1をMb1=M1−Mp1と求める。バインダーの主成分を分析し,バインダー主成分の一般的な密度Db1から,バインダーの体積Vb1をVb1=Mb1÷Db1(kg・m−3)として求める。バインダーの体積濃度Cb1は,Cb1=Vb1÷V1×100(vol%)として求めることができ,空隙の濃度C1は,C1=100−(Cp1+Cb1)として求めることができる。
もう一つは,被覆面に対して垂直な面で被覆基材をカットし,その断面を光学顕微鏡,電子顕微鏡で被覆層の膜厚T2を確認するか,まず,被覆基材の厚さをマイクロメータで測定し,その後,被覆層を剥離して,再度,同じ場所の厚さをマイクロメータで測定し,その差から求める等の方法で確認する。次に,任意の面積A2だけ被覆層を剥離する。剥離した被覆層をるつぼで500℃,1時間加熱する。残った灰分に含まれる顔料の質量Mp2を求める。被覆層の体積V2(=A2×T2)中の顔料の体積Vp2を顔料の一般的な密度Dp2からVp2=Mp2÷Dp2(kg・m−3)として計算することができる。このように求めた被覆層の体積,顔料の体積から,被覆層全体の平均顔料の濃度Cp2は,Cp2=Vp2÷V2×100(vol%)と求めることができる。バインダー,空隙の体積濃度も先述の方法同様に求めることができる。
次に,被覆層の膜厚方向の元素分布を確認する。GDS(グロー放電発光分光分析装置)や,被覆基材を被覆層断面が見えるように埋め込み研磨し,被覆層断面のEMPA(電子線マイクロアナライザ)等で確認する。この方法により,その元素分布と先に求めた平均顔料濃度,平均バインダー濃度,平均空隙濃度から,各深さ,各層における顔料・バインダー・空隙濃度及び濃度傾斜を確認することができる。
いずれの方法でも有機分の加熱分解による有機分と無機分の質量比の確認はTG(熱重量分析)によって行っても良い。
また,空隙濃度は次のように測定しても良い。まず,被覆基材の質量を測定する。次に,被覆基材をシリコンオイル中に浸漬し,空隙中にシリコンオイルが浸透し易いように,そのままデシケータ中で減圧する。シリコンオイルを浸透させた被覆基材の質量を測定し,空隙に浸透したシリコンオイルの質量Msを求め,それから浸透したシリコンオイルの体積Vsを調べる。高顔料濃度層又は低密度層が均一で,厚さ面積が分かっているものであれば,高顔料濃度層又は低密度層の厚さと面積から高顔料濃度層又は低密度層の体積V3を求め,(浸透したシリコンオイルの体積Vs/高顔料濃度層又は低密度層の体積V3)から空隙率を求めることができる。空隙率が連続的に変化しているものであれば,断面を電子顕微鏡で観察し,空隙が存在する厚さを確認する。その厚さと被覆層の面積から空隙を含有する被覆層の体積V4を求め,浸透したシリコンオイルの体積Vs/被覆層の体積V4から高顔料濃度層又は低密度層の平均空隙濃度C3を求める。次に,空隙を含有する厚さ内での空隙分布率を被覆層断面をSEM観察する等の方法で確認する。空隙分布と平均空隙濃度をかけることで,部分での空隙濃度,空隙濃度勾配を求めることができる。
また,空隙の幅の平均値は,同様に断面を見た場合,白色顔料の平均サイズの10分の1から10倍程度である微細な空隙であると好ましい。
しかし,これら高顔料濃度層又は低密度層単独では,加工成型を施すと十分な密着性の確保が難しい場合があるが,密着性を高くすることで,加工成型が可能になり,用途が大きく広がる。ここで密着性が高いとは,JIS K 5400に規定された碁盤目法で完全に剥離する枡が一つも無い状態(評価点数が6点以上)のことを言う。
密着性を高くする方法として,高顔料濃度層又は低密度層の下層に再加熱流動性樹脂を含有したプライマー層を形成することにより密着性を高めることができる。再加熱流動性樹脂をプライマー層に有すると,その柔軟性から高顔料濃度層又は低密度層にかかる応力を分散し易く,密着性が確保し易い。また,高顔料濃度層又は低密度層とプライマー層との間に顔料濃度勾配を有する部分があると高い密着性を確保し易く,さらに好ましい。高顔料濃度層又は低密度層とプライマー層との間が完全に分かれていると,その界面に応力が集中する傾向があり,その近傍で高顔料濃度層又は低密度層が破壊され,剥離が生じ易くなる恐れがある。これに対して顔料濃度勾配があると,応力の集中が起きず,高顔料濃度層又は低密度層の破壊が生じ難い。顔料濃度勾配を有する部分の厚さは,少しでもあれば全く無いものより高い密着性が確保できるので,特に限定されるものではないが,3μm以上あると応力が緩和され易く好ましい。ただし,顔料濃度勾配層があまり厚過ぎると,高顔料濃度層又は低密度層による高拡散反射率の効果が低くなってしまうため,全膜厚の3分の1程度までになるようにした方が良い。
ここで,再加熱流動性樹脂とは,一度焼き付け硬化した後も,再加熱により流動性を再発現する樹脂のことである。例えば,その樹脂で作成したフィルムの温度−弾性率曲線を取ると,樹脂が分解しない230℃で10分までの加熱であれば,再加熱してもゴム状領域を示さない。再加熱流動性樹脂としては,基本的に熱可塑性の樹脂であれば良いが,樹脂の種類としては特に限定されるものではなく,ポリエステル樹脂,ウレタン樹脂,アクリル樹脂,エポキシ樹脂,メラミン樹脂,塩化ビニル樹脂,フッ素樹脂,シリコーン樹脂等を用いることができ,これらの樹脂は,必要に応じて数種のものを併用しても良い。これらの樹脂は,種類,樹脂の分子量,樹脂のガラス転移温度(Tg)によっても,皮膜の性能,例えば,加工性,加工密着性,皮膜硬度等が異なるため,特に規定するものではないが,必要に応じて適宜選定する必要がある。また,架橋タイプの樹脂をブレンドして,再加熱時の流動性を制御しても良い。
また,プライマー層によっても拡散反射率を高めたい場合は,プライマー層にも白色顔料を含有している方が好ましい。ただし,高顔料濃度層のように顔料濃度が高いと柔軟性,密着性が確保し難いので,顔料濃度は体積比で35%以下にすると良い。このときの白色顔料としては,特に限定されるものではないが,被覆層中に空隙を形成しない場合は,顔料の屈折率が拡散反射率に及ぼす影響が大きいため,ルチル型酸化チタンを使用すると好ましい。
高顔料濃度層又は低密度層には,上塗り層を有していた方が好ましい。単純に高拡散反射率と言う観点のみで見るのであれば,上塗り層は必要ないが,高顔料濃度層又は低密度層は,無機リッチであるため脆く,ルチル型酸化チタン濃度が高い場合は非常に表面が汚染され易い。ここで言う汚染とは,高顔料濃度層又は低密度層の表面を金属で擦ると鉛筆で書いたように黒く着色してしまう現象のことで,これは,ルチル型酸化チタンが十分に樹脂に覆われず,硬いルチル型酸化チタンが被覆層の表面に露出されているため,金属が磨耗しているものと考えられる。上塗り層形成の目的は,高顔料濃度層又は低密度層の保護と,金属磨耗の抑制にある。そのため,上塗り層には,ルチル型酸化チタンのように硬い顔料はあまり多く混和しない方が良く,最大で体積比にして35%以下にした方が良い。膜厚については,高拡散反射率を狙った層ではないため,あまり厚い必要は無く,15μm以下程度が好ましく,特に拡散反射率が低い層を形成する場合は,高顔料濃度層又は低密度層の拡散反射率を生かすためには10μm以下にした方が良い。ただし,薄過ぎると高顔料濃度層又は低密度層の保護が十分にできないため,1μm以上はあった方が好ましく,安定した保護力を得るには3μm以上にした方が良い。
もし,上塗り層に顔料を多量に混和するのであれば,顔料としてはルチル型酸化チタンよりも硬度が低いものを選択した方が良く,接触する可能性の高い金属よりモース硬度が低いものであれば,いずれも特に限定されるものではないが,シリカ,炭酸カルシウム,硫酸バリウム,酸化亜鉛,タルク,樹脂ビーズ等を用いることができる。これらの顔料であれば,固形分体積濃度で80%にしても金属磨耗による黒色の着色は殆ど起きない。
また,シリカや樹脂ビーズは,上塗り層の光沢低減のために,ルチル型酸化チタンと共に混和しても良い。光沢が低いと,均一に光を反射でき好ましい。
上塗り層用の樹脂としては,いずれも特に限定されるものではないが,高顔料濃度層又は低密度層用の樹脂として例示したものを使用しても良い。また,高拡散反射率と言う観点だけでなく,光による劣化を防止すると言う観点からもフッ素樹脂を使用すると良い。フッ素樹脂としても特に限定されるものではないが,高顔料濃度層又は低密度層用に例示したものを使用しても良い。
本発明の密着性に優れ,高い拡散反射率を有する被覆基材は次のようにして作成することができる。基材の少なくとも一部に,プライマー層として,再加熱流動性樹脂を含有した塗料を塗装し,焼き付けする。その上に,ルチル型酸化チタンを固形分体積比にして60〜90%含有する塗料を塗装し,焼き付ける。さらに,必要に応じて上塗り層を塗装により形成する。
通常のプライマーであれば,このような方法で複数層を積層しても,プライマー層と高顔料濃度層又は低密度層が完全に分かれてしまい,十分な密着性が確保し難いが,プライマー層に再加熱流動性樹脂を含有することで,一度は硬化したプライマー層が,高顔料濃度層又は低密度層の焼き付け時に再流動し,高顔料濃度層又は低密度層に樹脂が浸透して,高い密着性が得られる。
塗装方法は,特に限定されるものではなく,ロール塗工,ローラーカーテン塗工,カーテンフロー塗工,エアスプレー塗工,刷毛塗り塗工,ダイコーター塗工,浸漬塗工,インクジェット塗工等の通常の方法が挙げられる。
本発明の被覆基材の基材としては,いずれも特に限定されるものではないが,金属板を用いると,基材へ被覆層を形成した後に加工成型が容易であり好ましい。金属板としてもいずれも特に限定されるものではないが,鋼板,ステンレス板,アルミ板,亜鉛板,銅板,また,これらの合金板等が挙げられ,さらにこれらの金属板上にめっき処理した金属が挙げられる。この内,鋼板上にめっき処理した例として,溶融亜鉛めっき鋼板,電気亜鉛めっき鋼板,合金化溶融亜鉛めっき鋼板,アルミめっき鋼板,アルミ−亜鉛合金めっき鋼板,亜鉛−アルミ−マグネシウム合金めっき鋼板,亜鉛−アルミ−マグネシウム−シリコン合金めっき鋼板,亜鉛−マグネシウム合金めっき鋼板,錫めっき鋼板,鉛めっき鋼板,クロムめっき鋼板等の各種めっき鋼板等が挙げられる。また,これら金属板に,化成処理を施したものに処理を施すこともできる。化成処理には,一般に公知の化成処理,例えば,塗布クロメート処理,電解クロメート処理,リン酸亜鉛処理や近年開発されている6価クロムを含まないクロメートフリー処理等を使用することができる。
本発明による被覆基材を組み込んだ電気電子機器では,この被覆基材が可視光域で高い拡散反射率を持つため,同一光源の場合はこれまでよりも明るく,これまでより光源の数を少なくしたり,投入電力を少なくしたりしても,これまでと同等の明るさを確保することができる。このような特性を生かすことができる電気電子機器は,何れも特に限定されるものではなく,照明器具,電飾,AV機器,モバイル機器,各種ディスプレイ等が挙げられるが,液晶ディスプレイのバックライト反射板,照明反射板,内飾看板内の反射板等に用いると良い。
実施例に基づき,本発明をさらに説明する。
まず,評価方法について説明する。
1) 顔料濃度
被覆基材を被覆層断面が見えるように埋め込み研磨し,それをSEMにより10,000倍で観察し,顔料濃度が最も高い層が形成されている深さを確認した。確認した深さの被覆層を一定体積削り取り,その内の樹脂分を加熱分解し,その残分を酸化チタンとし,その密度を4g/cmとして酸化チタンの体積を求め,顔料濃度を求めた。その値が60%未満であった場合は「基準未満」,60〜90%であった場合は「基準内」,90%超であった場合は「基準超」とした。
2) 空隙率
まず,被覆基材の質量を測定し,次に,被覆基材をシリコンオイル中に浸漬し,空隙中にシリコンオイルが浸透しやすいように,そのままデシケータ中で減圧し,シリコンオイルを浸透させた被覆基材の質量を測定した。シリコンオイル浸透前後の質量差から,空隙に浸透したシリコンオイルの質量Msを求め,それから浸透したシリコンオイルの体積Vsを調べた。次に,被覆層断面を電子顕微鏡で観察し,空隙が存在する厚さを確認した。その厚さと被覆層の面積とから空隙を含有する被覆層の体積V4を求め,浸透したシリコンオイルの体積Vs/被覆層の体積V4から,高顔料濃度層または低密度層の平均空隙濃度C3を求めた。次に,断面の電子顕微鏡画像から空隙を含有する厚さ内での空隙分布率を確認し,空隙分布率と平均空隙濃度をかけることで,空隙率,空隙率勾配を求めた。この方法で求めた空隙率が5%未満であった場合は「基準未満」,5〜35%であった場合は「基準内」,35%超であった場合は「基準超」とした。
3) 断面の空隙率
被覆基材を被覆層断面が見えるように埋め込み研磨し,それをSEMにより10,000倍で観察し,空隙が面積にして3%未満であったものは「基準未満」,3〜45%であったものは「基準内」,45%超であったものは「基準超」とした。
4) 顔料濃度傾斜
空隙率同様にSEMにより10,000倍で被覆層断面を観察して,顔料の平面分布率が20%以上連続的に変化している部分が厚さにして3μm以上あった場合は,顔料濃度傾斜「有り」とし,3μm未満であった場合は「無し」とした。
5) 拡散反射率測定
島津製作所社製の分光光度計「UV265」に,積分球反射付属装置を取り付けたものを用いた。基準板としては硫酸バリウム粉末を押し固めたものを用い,人が明るいと感じる色である緑色に対応する波長である555nmにおけるの拡散反射率を求め,95%以上の値を示したものは「○」,95%未満を値を示したものを「×」とした。
6) 照明器具の照度測定
図1に実験装置の概要を記載する。木製の箱(1)の中に市販の蛍光灯照明器具(2)を取り付け,蛍光灯(3)から30cm離れた箇所に市販の照度計(4)を設置し,照度を測定した。反射板(5)は,新日本製鐵(株)カタログ「ビューコート(登録商標)」に紹介されている白色塗料を塗布した照明器具反射板用プレコート鋼板で作成した反射板(以下,既存の反射板と称す)の照度を測定し,それに対して作製した被覆基材を用いて作成した反射板を取り付けたときの照度を測定した。そして,既存の反射板で測定した時の照度と作製した被覆基材の反射板で測定したときの照度から,照度変化率=([作製した被覆基材による反射板での照度]−[既存の反射板での照度])×100/[既存の反射板での照度]と定義し,照度変化率が15%以上の場合「○」,照度変化率が5%以上15%未満の場合「△」,照度変化率が5%未満の場合「×」として評価した。なお,本実験では,16形ランプ出力16Wの蛍光灯を用いた。
7) 密着性の評価
JIS K 5400に規格された付着性の評価試験である碁盤目法を実施し,評価点数が6点以上のものは「○」,それより低いものは「×」とした。
8) 加熱時樹脂物性
被覆基材の被覆層に四角くカットを入れ,それを水銀に浸漬し,基材をアマルガム化することで被覆層を基材から剥離した。被覆層の弾性率は20〜230℃までの温度依存性をRheometrics社製の粘弾性測定装置Minimat2000で測定し,ゴム状領域を示すものは「非再加熱流動型」,ゴム状領域を示さず軟化するものは「再加熱流動型」とした。
次に,供試材について説明する。
被覆基材の基材には,電気亜鉛めっき鋼板にクロメート処理を施したものを用いた。
被覆層のバインダー樹脂には,フッ素樹脂,ポリエステル樹脂,アクリル樹脂を用いた。まず,再加熱流動性樹脂を含むクリアとして,フッ素系再加熱流動性樹脂クリア塗料1,フッ素系再加熱流動性樹脂クリア塗料2,ポリエステル系再加熱流動性樹脂クリア塗料1,ポリエステル系再加熱流動性樹脂クリア塗料2,アクリル系再加熱流動性樹脂クリア塗料1,アクリル系再加熱流動性樹脂クリア塗料2,また,非再加熱流動性樹脂として,フッ素系熱硬化樹脂クリア塗料,ポリエステル系熱硬化樹脂クリア塗料,アクリル系熱硬化樹脂クリア塗料をそれぞれ作成した。再加熱流動性樹脂は,フッ素樹脂やポリエステル樹脂,アクリル樹脂のような主樹脂に対してイソシアネートやメラミン等の架橋剤を通常より少なく混和し,主樹脂の官能基の内,架橋剤と反応しない部分が多くなるようにすることで作成した。次に,それぞれのクリア塗料の調合方法を述べる。
フッ素系熱硬化樹脂クリア塗料は,フッ素樹脂として,市販の三フッ化エチレン系樹脂である旭硝子社製「ルミフロン(登録商標)LF552」を用い,架橋剤には市販のHDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)をベースとしたブロック化イソシアネートである住化バイエルウレタン社製「スミジュール(登録商標)BL3175」をOH:NCO=1:1等量で混合し,さらに,三井武田ケミカル社製反応触媒「TK−1」を樹脂固形質量分に対して0.05質量%添加して作成した。
フッ素系再加熱流動性樹脂クリア塗料1は,フッ素樹脂として,市販の三フッ化エチレン系樹脂である旭硝子社製「ルミフロン(登録商標)LF552」を用い,架橋剤には市販のHDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)をベースとしたブロック化イソシアネートである住化バイエルウレタン社製「スミジュール(登録商標)BL3175」をOH:NCO=3:1で混合し,さらに,三井武田ケミカル社製反応触媒「TK−1」を樹脂固形質量分に対して0.05質量%添加して作成した。
フッ素系再加熱流動性樹脂クリア塗料2は,市販の三フッ化エチレン系樹脂である旭硝子社製「ルミフロン(登録商標)LF552」をそのまま用いた。
ポリエステル系熱硬化樹脂クリア塗料は,ポリエステル樹脂として,市販の有機溶剤可溶型/非晶性ポリエステル樹脂である東洋紡績社製「バイロン(登録商標)GK140」を有機溶剤(ソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したもの)に溶解したものを用い,架橋剤には市販のヘキサ−メトキシ−メチル化メラミンである三井サイテック社製の「サイメル(登録商標)303」をポリエステル樹脂の固形分100質量部に対して15質量部添加し,更に,市販の酸性触媒である三井サイテック社製の「キャタリスト(登録商標)6003B」を0.5質量部添加して作成した。
ポリエステル系再加熱流動性樹脂クリア塗料1は,ポリエステル樹脂として,市販の有機溶剤可溶型/非晶性ポリエステル樹脂である東洋紡績社製「バイロン(登録商標)GK140」を有機溶剤(ソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したもの)に溶解したものを用い,架橋剤には市販のヘキサ−メトキシ−メチル化メラミンである三井サイテック社製の「サイメル(登録商標)303」をポリエステル樹脂の固形分100質量部に対して3量部添加し,さらに,市販の酸性触媒である三井サイテック社製の「キャタリスト(登録商標)6003B」を0.5質量部添加して作成した。
ポリエステル系再加熱流動性樹脂クリア塗料2は,ポリエステル樹脂として,市販の有機溶剤可溶型/非晶性ポリエステル樹脂である東洋紡績社製「バイロン(登録商標)GK140」を有機溶剤(ソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したもの)に溶解して作成した。
アクリル系熱硬化樹脂クリア塗料は,アクリル樹脂として,市販のアクリル樹脂である日本触媒化学工業社製「アロセット(登録商標)5535」を用い,架橋剤には市販のヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体のオキシムブロック体である住友バイエルウレタン社製「デスモジュール(登録商標)BL3175」をOH:NCO=1:1等量で混合し,硬化触媒としてジブチルチンジラウレートを樹脂固形質量分に対して0.025質量%添加して作成した。
アクリル系再加熱流動性樹脂クリア塗料1は,アクリル樹脂として,市販のアクリル樹脂である日本触媒化学工業社製「アロセット(登録商標)5535」を用い,架橋剤には市販のヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体のオキシムブロック体である住友バイエルウレタン社製「デスモジュール(登録商標)BL3175」をOH:NCO=3:1等量で混合し,硬化触媒としてジブチルチンジラウレートを樹脂固形質量分に対して0.025質量%添加して,作成した。
アクリル系再加熱流動性樹脂クリア塗料2は,市販のアクリル樹脂である日本触媒化学工業社製「アロセット(登録商標)5535」を用いた。
白色顔料には,ルチル型酸化チタンである石原産業社製「タイペーク(登録商標)CR95」を用いた。
その他の顔料として,シリカ(富士シリシア化学社製の「サイシリア(登録商標)」)を用いた。
(実施例1)
実施例1では,プライマー層は,フッ素系再加熱流動性樹脂クリア塗料1を用いて,プライマー層固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを25%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が15μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けて形成した。次に,ポリエステル系熱硬化樹脂クリア塗料を用いて,固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを75%で混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が30μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
(実施例2)
実施例2では,プライマー層は,フッ素系再加熱流動性樹脂クリア塗料2を用いて,プライマー層固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを25%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が15μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けて形成した。次に,ポリエステル系熱硬化樹脂クリア塗料を用いて,塗膜固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを75%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が30μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
(実施例3)
実施例3では,プライマー層は,ポリエステル系再加熱流動性樹脂クリア塗料1を用いて,プライマー層固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを25%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が15μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けて形成した。次に,ポリエステル系熱硬化樹脂クリア塗料を用いて,塗膜固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを75%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が30μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
(実施例4)
実施例4では,プライマー層は,ポリエステル系再加熱流動性樹脂クリア塗料2を用いて,プライマー層固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを25%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が15μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けて形成した。次に,ポリエステル系熱硬化樹脂クリア塗料を用いて,塗膜固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを75%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が30μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
(実施例5)
実施例5では,プライマー層は,アクリル系再加熱流動性樹脂クリア塗料1を用いて,プライマー層固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを25%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が15μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けて形成した。次に,ポリエステル系熱硬化樹脂クリア塗料を用いて,塗膜固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを75%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が30μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
(実施例6)
実施例6では,プライマー層は,アクリル系再加熱流動性樹脂クリア塗料2を用いて,プライマー層固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを25%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が15μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けて形成した。次に,ポリエステル系熱硬化樹脂クリア塗料を用いて,塗膜固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを75%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が30μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
(実施例7)
実施例7では,プライマー層は,フッ素系再加熱流動性樹脂クリア塗料を焼き付け後の膜厚が15μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けて形成した。次に,ポリエステル系熱硬化樹脂クリア塗料を用いて,塗膜固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを75%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が30μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
(実施例8)
実施例8では,プライマー層は,フッ素系再加熱流動性樹脂クリア塗料1を用いて,プライマー層固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを25%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が15μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けて形成した。次に,フッ素系熱硬化樹脂クリア塗料を用いて,塗膜固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを75%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が30μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
(実施例9)
実施例9では,プライマー層は,フッ素系再加熱流動性樹脂クリア塗料1を用いて,プライマー層固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを25%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が15μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けて形成した。次に,アクリル系熱硬化樹脂クリア塗料を用いて,塗膜固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを75%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が30μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
(実施例10)
実施例10では,プライマー層は,フッ素系再加熱流動性樹脂クリア塗料1を用いて,プライマー層固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを25%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が15μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けて形成した。次に,ポリエステル系再加熱流動性樹脂クリア塗料1を用い,塗膜の固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを75%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が30μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
(実施例11)
実施例11では,プライマー層は,フッ素系再加熱流動性樹脂クリア塗料1を用いて,プライマー層固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを25%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が15μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けて形成した。次に,ポリエステル系再加熱流動性樹脂クリア塗料2を用い,塗膜の固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを75%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が30μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
(実施例12)
実施例12では,プライマー層は,フッ素系再加熱流動性樹脂クリア塗料1を用いて,プライマー層固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを25%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が15μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けて形成した。次に,ポリエステル系熱硬化樹脂クリア塗料を用いて,塗膜固形分の体積比で,ルチル型酸化チタンを75%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が30μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けた。その上に,上塗り層としてフッ素系熱硬化樹脂クリア塗料を用い,上塗り層固形分の体積比で,ルチル型酸化チタンを25%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が5μmになるようにブレードコーターで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
(実施例13)
実施例13では,プライマー層は,フッ素系再加熱流動性樹脂クリア塗料1を用いて,プライマー層固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを25%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が15μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けて形成した。次に,ポリエステル系熱硬化樹脂クリア塗料を用いて,塗膜固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを75%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が30μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けた。さらに,その上に,上塗り層として,フッ素系熱硬化樹脂クリア塗料を用いて,上塗り層固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを25%,シリカを5%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が5μmになるようにブレードコーターで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
(実施例14)
実施例14では,プライマー層は,フッ素系再加熱流動性樹脂クリア塗料1を用いて,プライマー層固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを25%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が15μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けて形成した。次に,ポリエステル系熱硬化樹脂クリア塗料を用いて,塗膜固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを75%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が30μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けた。その上に上塗り層として,フッ素系熱硬化樹脂クリア塗料を用いて,上塗り層固形分体積比で,シリカを50%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が5μmになるようにブレードコーターで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
(実施例15)
実施例15では,プライマー層は,フッ素系再加熱流動性樹脂クリア塗料1を用いて,プライマー層固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを25%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が15μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けて形成した。次に,ポリエステル系熱硬化樹脂クリア塗料を用いて,塗膜固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを75%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が30μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けた。その上に上塗り層として,ポリエステル系熱硬化樹脂クリア塗料を用いて,上塗り層固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを25%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が5μmになるようにブレードコーターで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
(実施例16)
実施例16では,プライマー層は,フッ素系再加熱流動性樹脂クリア塗料1を用いて,プライマー層固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを25%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が15μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けて形成した。次に,ポリエステル系熱硬化樹脂クリア塗料を用いて,塗膜固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを75%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が30μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けた。その上に上塗り層として,アクリル系熱硬化樹脂クリア塗料を用いて,上塗り層固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを25%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が5μmになるようにブレードコーターで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
(実施例17)
実施例17では,プライマー層は,フッ素系再加熱流動性樹脂クリア塗料1を用いて,プライマー層固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを25%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が15μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けて形成した。次に,ポリエステル系熱硬化樹脂クリア塗料を用いて,塗膜固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを75%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が30μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けた。その上に上塗り層として,フッ素系熱硬化樹脂クリア塗料を焼き付け後の膜厚が5μmになるようにブレードコーターで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
(実施例18)
実施例18では,プライマー層は,フッ素系再加熱流動性樹脂クリア塗料1を用いて,プライマー層固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを25%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が15μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けて形成した。次に,ポリエステル系熱硬化樹脂クリア塗料を用いて,塗膜固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを75%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が30μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けた。その上に上塗り層として,フッ素系熱硬化樹脂クリア塗料を用いて,上塗り層固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを25%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が10μmになるようにブレードコーターで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
(実施例19)
実施例19では,プライマー層は,フッ素系再加熱流動性樹脂クリア塗料1を用いて,プライマー層固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを25%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が15μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けて形成した。次に,ポリエステル系熱硬化樹脂クリア塗料を用いて,塗膜固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを60%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が30μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
(実施例20)
実施例20では,プライマー層は,フッ素系再加熱流動性樹脂クリア塗料1を用いて,プライマー層固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを25%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が15μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けて形成した。次に,ポリエステル系熱硬化樹脂クリア塗料を用いて,塗膜固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを90%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が30μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
(実施例21)
実施例21では,プライマー層は,フッ素系再加熱流動性樹脂クリア塗料1を用いて,プライマー層固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを25%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が15μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けて形成した。次に,ポリエステル系熱硬化樹脂クリア塗料を用いて,塗膜固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを75%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が30μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けた。その上に,上塗り層としてフッ素系熱硬化樹脂クリア塗料を用い,上塗り層固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを35%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が5μmになるようにブレードコーターで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
(実施例22)
実施例22では,プライマー層は,フッ素系再加熱流動性樹脂クリア塗料1を用いて,プライマー層固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを25%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が15μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けて形成した。次に,ポリエステル系熱硬化樹脂クリア塗料を用いて,塗膜固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを75%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が30μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けた。その上に上塗り層として,フッ素系熱硬化樹脂クリア塗料を用いて,上塗り層固形分体積比で,シリカを80%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が5μmになるようにブレードコーターで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
(比較例1)
比較例1では,プライマー層は,フッ素系熱硬化性樹脂クリア塗料1を用いて,プライマー層固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを25%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が15μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けて形成した。次に,ポリエステル系熱硬化樹脂クリア塗料を用いて,塗膜固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを75%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が30μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
(比較例2)
比較例2では,プライマー層は,ポリエステル系熱硬化性樹脂クリア塗料1を用いて,プライマー層固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを25%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が15μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けて形成した。次に,ポリエステル系熱硬化樹脂クリア塗料を用いて,塗膜固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを75%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が30μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
(比較例3)
比較例3では,プライマー層は,アクリル系熱硬化性樹脂クリア塗料1を用いて,プライマー層固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを25%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が15μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けて形成した。次に,ポリエステル系熱硬化樹脂クリア塗料を用いて,塗膜固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを75%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が30μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
(比較例4)
比較例4では,プライマー層は,フッ素系再加熱流動性樹脂クリア塗料1を用いて,プライマー層固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを25%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が15μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温210℃で焼き付けて形成した。次に,ポリエステル系熱硬化樹脂クリア塗料を用い,塗膜固形分体積比で,ルチル型酸化チタンを40%混和して塗料を調合し,塗装できる粘度になるまでソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したものを加え,その塗料を焼き付け後の膜厚が30μmになるようにバーコートで基材に塗装し,最高到達板温230℃で焼き付けた。
各実施例及び比較例の拡散反射率測定結果と照明器具の照度測定結果を表1に示した。
Figure 2007290294
実施例1〜22については,いずれも基材から二層目の顔料濃度,空隙率が基準以内で,プライマー層と二層目の間に顔料濃度に傾斜がある部分が認められた。また,拡散反射率,照度,密着性についても基準以上の性能を示し,加熱時樹脂物性については,再加熱流動型の物性を示した。
比較例1〜3では,いずれも基材から二層目の顔料濃度,空隙率が基準以内で,プライマー層と二層目の間に顔料濃度に傾斜がある部分が認められ,拡散反射率,照度,については基準以上の性能を示したが,密着性が基準未満の性能を示し,加熱時樹脂物性については,加熱硬化型の物性を示した。
比較例4については,基材から二層目の顔料濃度,空隙率が基準未満で,プライマー層と二層目の間に顔料濃度に傾斜がある部分は認められ,密着性は基準以上の性能を示したが,拡散反射率,照度,については基準未満の性能を示した。
加熱時の樹脂の物性については,比較例4以外は,基材から二層目の層の引っ張り弾性率が低いため,プライマー層の樹脂の影響を強く受けたが,比較例4は,基材から二層目の層の引張弾性率がプライマー層よりも高かったため,その影響が強く出た。
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明の各実施例および比較例において使用した照度測定装置の模式図である。
符号の説明
1 木の箱
2 照明器具
3 蛍光灯
4 照度計
5 反射板

Claims (11)

  1. 基材の少なくとも一部に,少なくとも二層以上の複数層からなる被覆層を有し,
    前記被覆層は,少なくとも白色顔料を固形分体積濃度で60〜90%含有する高顔料濃度層を一層有し,前記高顔料濃度層の下層に再加熱流動性樹脂を含有するプライマー層を有することを特徴とする,被覆基材。
  2. 前記高顔料濃度層と前記プライマー層との間に,3μm以上の顔料濃度勾配がある層を有することを特徴とする,請求項1記載の被覆基材。
  3. 基材の少なくとも一部に,少なくとも二層以上の複数層からなる被覆層を有し,
    前記被覆層は,少なくともバインダーと白色顔料とを含み,かつ,前記被覆層の空隙率が5vol%以上35vol%未満である低密度層を一層有し,前記低密度層の下層に再加熱流動性樹脂を含有するプライマー層を有することを特徴とする,被覆基材。
  4. 前記低密度層と前記プライマー層との間に,3μm以上の顔料濃度勾配がある層を有することを特徴とする,請求項3記載の被覆基材。
  5. 基材の少なくとも一部に,少なくとも二層以上の複数層からなる被覆層を有し,
    前記被覆層は,少なくともバインダーと白色顔料を含み,かつ,前記被覆層断面の空隙率が面積で3%以上45%未満である低密度層を一層有し,前記低密度層の下層に再加熱流動性樹脂を含有するプライマー層を有することを特徴とする,被覆基材。
  6. 前記低密度層と前記プライマー層との間に,3μm以上の顔料濃度勾配がある層を有することを特徴とする,請求項5記載の被覆基材。
  7. 上塗り層として,白色顔料を0〜35vol%含有する膜厚10μm以下の層を有することを特徴とする,請求項1,3又は5に記載の被覆基材。
  8. 上塗り層として,シリカ,炭酸カルシウム,硫酸バリウム,酸化亜鉛,タルクおよび樹脂ビーズからなる群より選択された少なくとも一種類を0〜80vol%含有する膜厚10μm以下の層を有することを特徴とする,請求項1,3又は5に記載の被覆基材。
  9. 前記基材は,金属板であることを特徴とする,請求項1,3又は5に記載の被覆基材。
  10. 基材表面の少なくとも一部に再加熱流動性樹脂を含有する塗料を塗装して焼き付けた後,白色顔料を固形分体積で60〜90%含有する塗料を塗装して焼き付けることを特徴とする,被覆基材の製造方法。
  11. 請求項1〜9のいずれかに記載の被覆基材を使用した電子機器。
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