JP2005316158A - 可視光線反射板及びそれを組み込んでなる電気電子機器 - Google Patents

可視光線反射板及びそれを組み込んでなる電気電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】 照明器具や光信号を発する電気電子機器からの光を現行より明るくするのに有効な新しい可視光線反射板と、それを組み込んだ電気電子機器を提供すること。
【解決手段】 金属板もしくはめっきした金属板3の片面に、表面の555nmでの可視光線の拡散反射率が0.70以上でかつ、80℃以上200℃以下の所定温度で測定した波数600〜3000cm-1の領域における赤外線全放射率が0.60以上の白色樹脂シート5を積層してなる可視光線反射板1とする。金属板もしくはめっきした金属板3と白色樹脂シート5との間に、555nmでの可視光線の拡散反射率が0.70以上である白色樹脂塗膜を含んでもよく、あるいは、金属板もしくはめっきした金属板3の白色樹脂シート5のない他方の面に裏面樹脂塗膜を含むこともできる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、可視光線反射板に関し、また、照明器具、AV機器、モバイル機器、プラズマディスプレイ、液晶テレビ等の電気電子機器であって、可視光線を発する機能とこれより発せられた可視光線を反射させる板を有している機器に関する。
照明器具、AV機器、電子機器、モバイル機器、液晶テレビ、プラズマディスプレイ等は、可視光線を発することで、周囲を明るくする、光信号を伝える、もしくは光画像を映し出す等の機能を有している。これらの機器では、反射板を設けて、この反射板に光を反射させることで光の輝度を向上させる、光の方向を変える等を行っているものもある。反射板により光が反射したときの光量低下を避けるために、反射板表面には高い可視光線反射率が要求される。従来、反射板表面の反射率を高める手段として、金属を研磨して鏡面にする、反射率の高い白色系の塗料を塗装するなどが行われていた。例えば、非特許文献1には、予め白色塗料を塗布した照明器具反射板用プレコート鋼板等が記載されている。
特許文献1〜8、非特許文献2等には、樹脂シート中に微細な気泡を混入させることで、可視光線の拡散反射率を向上させた反射シートの技術が記載されている。これら反射シートは、非特許文献2に記載されているように、アルミニウム板、黄銅板、ステンレス板等の裸の金属、もしくはPETフィルム等の基板に貼り付けて使用することが、一般的であった。
一方、近年の電気製品の電子化に伴い、電気製品の発熱の問題が発生してきている。特許文献9によると、一般的な光源として用いられる蛍光管の輝度は、周囲温度に依存し、輝度が最大となるピーク温度が存在する。そのため、光源に供給する電力を増加させても、使用中に周囲温度が上昇するため、電力の増加に見合った輝度の上昇が得られない、あるいは一時的に輝度が上がったとしても時間の経過に伴い低下するといった不都合があった。この熱問題を解決する手段として、特許文献9には、反射板に通気孔を設けることで、放熱性を高める技術が開示されている。また特許文献10には、熱伝導性の高い金属等を放熱板として用いることで、放熱性を高める技術が開示されている。更に、特許文献11には、導光板(反射板)の下面に熱伝導性粘着層を介して放熱板を接着することにより、放熱性を高める技術が開示されている。しかし、これらの技術においても、部品点数が増加する問題や、通気孔から外気が進入することにより、埃等が内部機器に付着し、性能を劣化させる恐れがあるという問題があった。
特許文献12には、粒子状の輻射材料を含有させることにより、樹脂の熱放射性を向上させる技術が開示されている。しかしながら、この技術は反射板の用途としては考慮されておらず、反射率との両立は解決されていないという問題があった。
特開2002−90515号公報 特開2002−98808号公報 特開2002−98811号公報 特開2002−120330号公報 特開2001−71441号公報 特開2001−121665号公報 特開2001−226501号公報 特開2001−228313号公報 特開2001−297623号公報 特開平5−93910号公報 特開平10−199320号公報 特開平11−50040号公報 新日本製鐵(株)カタログ「ビューコート」 三井化学(株)カタログ「ホワイトリフレクター」
このように、可視光線反射板を備えた照明器具、AV機器、モバイル機器、プラズマディスプレイ、液晶テレビ等の電気電子機器においては、現行以上に明るくしたり、少ない消費電力でも現行と同等の明るさを持たせたりするためには、反射率を犠牲にすることなく、反射板自体の熱吸収性を向上させることで、余分な熱を機器外へ放出し、機器内の温度を適切に維持することが不可欠である。
本発明は、熱吸収性に優れた可視光線反射板を提供することにより、この課題を解決しようとするものである。
本発明は、開発者らが鋭意検討し、完成させた熱吸収性に優れた可視光線反射板であり、その要旨とするところは、以下の通りである。
(1)金属板もしくはめっきした金属板の片面に、表面の555nmでの可視光線の拡散反射率が0.70以上でかつ、80℃以上200℃以下の所定温度で測定した波数600〜3000cm-1の領域における赤外線全放射率が0.60以上の白色樹脂シートを有していることを特徴とする、熱吸収性に優れた可視光線反射板。
(2)前記金属板もしくはめっきした金属板と前記白色樹脂シートとの間に、555nmでの可視光線の拡散反射率が0.70以上である白色樹脂塗膜を有していることを特徴とする、前記(1)に記載の可視光線反射板。
(3)前記金属板もしくはめっきした金属板が、前記白色樹脂シートを有していない他方の面に樹脂塗膜を有していることを特徴とする、前記(1)又は(2)に記載の可視光線反射板。
(4)前記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の可視光線反射板を組み込んでなる電気電子機器。
本発明により、照明器具や光信号を発する電気電子機器からの光をより明るくする技術を提供することが可能となった。また、本発明により、これら機器の性能が向上するのみならず、従来よりも少ないエネルギー消費量で、従来と同等の性能を確保することも可能となり、省エネ化した機器を提供することも可能となった。従って、本発明は産業上極めて価値の高い発明であるといえる。
図1に本発明の可視光線反射板の構成を示す。本発明の反射板1は、金属板もしくはめっきした金属板3上に白色樹脂シート5を積層してなる。
白色樹脂シート5の表面の555nmでの可視光線の拡散反射率が0.70以上でかつ、80℃以上200℃以下の所定温度で測定した波数600〜3000cm-1の領域における赤外線全放射率が0.60以上とすると、反射板としての拡散反射率と熱吸収性の両方が向上する。
また、図2に示したように、金属板もしくはめっきした金属板(以下では、「金属板もしくはめっきした金属板」を単に「金属板」と称することもある)3の片方の面に白色樹脂塗膜7を被覆し、その上に白色樹脂シート5を積層すると、反射板11の拡散反射率が更に向上する。また、図3に示したように、反射板21が白色樹脂シート5が積層されていない金属板3の他方の面に樹脂塗膜9を有すると、反射板の熱吸収性が更に向上する。
本発明の可視光線反射板において、金属板上に積層する樹脂シートは、表面の555nmでの可視光線の拡散反射率が0.70以上でかつ、80℃以上200℃以下の所定温度で測定した波数600〜3000cm-1の領域における赤外線全放射率が0.60以上であれば、一般に公知の樹脂シート、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステル、ポリプロピレン、塩化ビニル、フッ素、アクリル、ポリエチレン等の各種樹脂でできた樹脂シートを用いることができる。ここで、赤外線全反射率の測定温度を80℃以上とした理由は、温度が高いほど赤外線の絶対量が多くなり、80℃以上であれば、信頼できる測定結果が得られるからである。また、200℃以下とした理由は、この温度を超えると、樹脂シートが高温劣化する恐れがあるためである。測定領域を600〜3000cm-1とした理由は、この領域が近赤外領域から遠赤外領域を表しているからである。樹脂シートは、一般に公知の白色顔料、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等で着色したり、微細な気泡を多数混入させたりする等の一般に公知の手法で、白色にすることができる。市販の白色樹脂シートを使用してもよい。
白色樹脂シートの拡散反射率は、樹脂中の顔料種、顔料や気泡の濃度、樹脂シートの厚さ等を変化させることで調整することができる。
白色樹脂シートの赤外線全放射率は一般に公知の熱吸収性染料又は顔料、例えば、アニリンブラック、ポリメチレン染料、トリスアゾ染料アミン塩、シアニン染料又はその金属錯体、アントラキノン系顔料、フタロシアニン系顔料、酸化鉄、カーボン、等を用いて調整することができる。これら一般に公知の熱吸吸収性染料又は顔料の中でも、カーボンは、幅広い波数領域にて赤外線を放射するため、より好適である。例えば、カーボンとして、カーボンブラック、炭、黒鉛等の一般に公知のものを使用することができる。例えば微粒系カーボンを用いる場合、その添加量は、0.5質量%未満であると、金属板の隠蔽効果に劣り、熱吸収性が不足することがあるため好ましくなく、1.0質量%以上であると、拡散反射率が低下することがあるため好ましくない。
金属板上に白色樹脂シートを積層するのには、一般に公知の方法を用いることができる。白色樹脂シートは、単に金属板やめっきした金属板上に載せて重ね合わせてもよく、あるいは金属板上からずれ落ちたりしないように、貼り付けてもよい。一般に公知の方法としては、接着剤や粘着剤を金属板やめっきした金属板表面もしくは白色樹脂シートに塗布して貼り付ける方法、白色樹脂シートを金属板やめっきした金属板に熱融着もしくは熱圧着する方法、クリップ止めやビス止め等の方法、金属板を折り返す等した機械的接合方法等が挙げられる。また、貼り付けるための装置としては、手貼り、ロール圧着、プレス圧着等の一般に公知の装置で貼り付けることができる。白色樹脂シートは、金属板やめっきした金属板を加工した後に、重ね合わせたり貼り付けたりしてもよいし、また、加工前に予め金属板やめっきした金属板に貼り付けた後に、加工を施してもよい。
白色樹脂シートの厚さは、特に限定されないが、好ましくは1〜500μmである。1μm未満であると十分な拡散反射率が得られず、500μmを超えると効果が飽和し経済的でない。より好ましい樹脂シートの厚さは20〜200μmである。
本発明の反射板に用いる金属板としては、一般に公知の金属板を用いることができる。例えば、鋼板、アルミ板、チタン板、銅板等が挙げられる。めっきを施した金属板でもよい。めっきの種類としては、亜鉛めっき、アルミめっき、銅めっき、ニッケルめっき等が挙げられるほか、合金めっきであってもよい。鋼板の場合は、冷延鋼板、熱延鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、溶融合金化亜鉛めっき鋼板、アルミめっき鋼板、アルミ−亜鉛合金化めっき鋼板、ステンレス鋼板、等の一般に公知の鋼板及びめっき鋼板を適用できる。金属板が鋼板もしくはめっきした鋼板であると、成形加工性が向上するため、より好適である。
これらの金属板には、白色樹脂シートを積層する前に、湯洗、アルカリ脱脂、酸洗等の通常の処理を行うことができ、更には、防錆や塗装密着性付与を目的としたリン酸亜鉛処理、クロメート処理、クロメートフリー化成処理等の一般に公知の化成処理を施すことができる。クロメートフリー処理としては、特開平9−241576号公報、特開平10−251509号公報、特開平10−337530号公報、特開2000−17466号公報、特開2000−248385号公報、特開2000−273659号公報、特開2000−282252号公報、特開2000−265282号公報、特開2000−167482号公報、特開2001−89868号公報、特開2001−316845号公報、特開2002−60959号公報、特開2002−266081号公報、特開2002−38280号公報、特開2003−253464号公報等に記載された公知の技術や、日本パーカライジング社製のクロメートフリー処理剤「CT−E300N」等の市販の処理剤を使用してもよい。
本発明の反射板に用いられる金属板には、片方の面に555nmでの可視光線の拡散反射率が0.70以上である白色樹脂塗膜を被覆し、その上に白色樹脂シートを積層すると、反射板の可視光反射率が向上するため、より好適である。
金属板に施される白色樹脂塗膜は、一般に公知の白色樹脂塗膜、例えば、ポリエステル樹脂系塗料、メラミン樹脂系塗料、アクリル樹脂系塗料、ウレタン系塗料、エポキシ系塗料、フッ素樹脂系塗料、塩化ビニル樹脂系塗料等を白色に着色したものを使用することができる。市販のものを使用してもよい。
これら一般に公知の塗料の中でも、特にプレコート金属板用の加工性に優れた塗料であると、より好適である。プレコート金属板用の塗料としては、ポリエステル系塗料やフッ素系塗料に、硬化剤としてメラミンやイソシアネートを用いたタイプのものが、加工性に優れるためより好適である。これらプレコート金属板用の塗料に用いるポリエステル樹脂やフッ素樹脂等の樹脂の分子量は、数平均分子量で2000〜50000が好適である。数平均分子量が2000未満であると、加工時に塗膜に亀裂や剥離が発生し易く、塗膜の加工性に劣ることがあり、50000超では、有機溶剤等に溶解することが困難であり、金属板上に塗布するための塗料にするのが困難となることがある。数平均分子量は、より好ましくは10000〜30000である。また、これらプレコート金属板用の塗料に用いる樹脂のガラス転位点は、100℃以下が好適である。ガラス転位点が100℃超のものは、形成した塗膜の加工性に劣ることがある。ガラス転移点は、より好ましくは0〜50℃である。ガラス転位点が低すぎると、形成した塗膜が軟らかすぎるため、キズやプレッシャーマーク等と呼ばれる塗装欠陥が発生することがある。
本発明の反射板における白色樹脂塗膜では、一般に公知の白色顔料、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、亜鉛華、炭酸カルシウム等を用いることができる。これら白色顔料の中でも、酸化チタンは屈折率が非常に高いため、塗膜の可視光線の拡散反射率がより向上して、反射板の可視光反射性がより高くなるため、より好適である。白色顔料の添加量は、必要に応じて任意に選定することができるが、塗膜の固形分に対して30〜60質量%がより好適である。30質量%未満や60質量%超であると、塗膜の可視光線の拡散反射率の向上が望めない。より好ましくは45質量%〜55質量%である。白色樹脂塗膜の膜厚も、必要に応じて任意に選定することができるが、乾燥膜厚にして5〜50μmが好適である。5μm未満であると、塗膜の可視光線拡散反射率の向上が望めず、また、50μm超では、効果が飽和してしまい不経済である。より好ましい膜厚は10〜40μmである。
白色樹脂塗膜の拡散反射率は、前述したように塗膜中の顔料種、顔料濃度、塗膜厚を変化させることで調整することができる。また、必要に応じて、白色樹脂塗膜の下に防錆や塗装密着性付与を目的としたプライマー塗膜を形成してもよい。
本発明の反射板に用いる白色樹脂塗膜は、一般に公知の塗装方法、例えば、はけ塗り、スプレー塗装、ロールコーター塗装、カーテンフローコーター塗装、ダイコーター塗装、ローラーカーテンコーター塗装、粉体塗装、電着塗装等で塗装することができる。塗膜の乾燥焼付方法も、一般に公知の方法、例えば、熱風オーブン焼付、直火型オーブン焼付、誘導加熱炉焼付、遠赤外線炉焼付、UV照射、電子線照射等を使用することができる。これら塗装焼付方法の中でも、塗装装置としてロールコーター塗装、カーテンフローコーター塗装、ダイコーター塗装、ローラーカーテンコーター塗装等を用い、焼付炉として熱風オーブン、直火型オーブン、誘導加熱炉、遠赤外線炉等を用いたコールコーティングラインもしくはシートコーティングライン等で塗装焼付すると、作業効率がより向上するため、より好適である。
本発明の反射板は、金属板の白色樹脂シートのない他方の面を、樹脂塗膜で被覆されていると、反射される可視光線がより明るくなるためより好適である。この理由は、この樹脂塗膜(金属板の反対面の白色樹脂塗膜と区別するため、以下の説明ではこれを「裏面樹脂塗膜」と呼ぶことにする)の表面は、金属表面と比べて赤外線放射率もしくは赤外線吸収率が高いため、照明器具や光信号を発する機器の光源から発生される熱(赤外線)が裏面樹脂塗膜から放射されて、光源の周囲温度が低下するため、反射板で反射される可視光線がより明るくなるためと考えられる。
裏面樹脂塗膜は、一般に公知の樹脂、例えば、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、塩化ビニル樹脂等を使用することができる。市販のものを使用してもよい。これら一般に公知の樹脂塗膜の中でも、特にプレコート金属板用の加工性に優れた樹脂塗膜であると、より好適である。プレコート金属板用の塗膜としては、ポリエステル樹脂やフッ素系樹脂に、硬化剤としてメラミンやイソシアネートを用いたタイプのものが、加工性に優れるためより好適である。これらプレコート金属板用の塗膜に用いるポリエステル樹脂やフッ素樹脂等の樹脂の分子量は、数平均分子量で2000〜50000が好適である。数平均分子量が2000未満であると、加工時に塗膜に亀裂や剥離が発生し易く、塗膜の加工性に劣ることがあり、50000超では、有機溶剤等に溶解することが困難であり、金属板上に塗布するための塗料にするのが困難となることがある。数平均分子量は、より好ましくは10000〜30000である。また、これらプレコート金属板用の塗料に用いる樹脂のガラス転位点は、100℃以下が好適である。ガラス転位点が100℃超のものは、形成した塗膜の加工性に劣ることがある。ガラス転移点は、より好ましくは0〜50℃である。ガラス転位点が低すぎると、形成した塗膜が軟らかすぎるため、キズやプレッシャーマーク等と呼ばれる塗装欠陥が発生することがある。また、膜厚は、特に規定するものではなく、必要に応じて調整することができるが、1〜50μmが好適である。1μm未満では、期待する熱吸収効果が得られず、50μm超では効果が飽和してしまい不経済である。
裏面樹脂塗膜中には、赤外線放射吸収性の高い顔料等の物質を添加しても良い。赤外線放射吸収性の高い物質としては、カーボンブラック、炭、グラファイト、アニリンブラック、ポリメチレン染料、トリスアゾ染料アミン塩、シアニン染料又はその金属錯体、アントラキノン系物質、フタロシアニン系物質、酸化鉄、フェロシリコン等の一般に公知のものが挙げられる。
裏面樹脂塗膜は、反対面の白色樹脂塗膜の塗装方法と同じ方法で塗膜を形成し、乾燥焼付けして得ることができる。
裏面樹脂塗膜を備えた反射板21の態様を図3に示す。この態様の反射板では、金属板3の片面に白色樹脂塗膜7、反対面に裏面樹脂塗膜9を設けた塗装金属板23の、白色樹脂塗膜7の上に、白色樹脂シート5が存在する。この態様では、白色樹脂塗膜7は、場合により省いても差し支えない。
本発明の反射板を組み込んだ電気電子機器は、照明や光信号がより明るくなり、かつ、機器内に設けられた制御基板等の電子回路を効率よくかつ安定して作動させることができる。なお、この電気電子機器として、照明器具、AV機器、モバイル機器、プラズマディスプレイ、液晶テレビ等を例示することができる。
次に、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
次に示す塗料−1〜塗料−4を調製した。
・塗料−1
市販の有機溶剤可溶型非晶性ポリエステル樹脂(以下「ポリエステル樹脂」と称す)である東洋紡績社製「バイロン(商標)TM GK140」(数平均分子量:13000、Tg:20℃)を有機溶剤(ソルベッソ150とシクロヘキサノンの質量比1:1の混合溶剤)に溶解した。次に、有機溶剤に溶解したポリエステル樹脂100質量部(固形分換算)に対して市販のヘキサ−メトキシ−メチル化メラミンである三井サイテック社製の「サイメル(商標)TM 303」を15質量部(固形分換算)添加し、更に、市販の酸性触媒である三井サイテック社製の「キャタリスト6003B」を0.5質量部(固形分換算)添加し、攪拌することで、メラミン硬化型ポリエステル系のクリヤー塗料を得た。更に、作製したクリヤー塗料に、石原産業社製酸化チタン「タイペーク(商標)TM CR95」を50質量%(固形分換算)添加し、攪拌することで、塗料−1を得た。
ここで、質量部と称しているものは、添加物を添加する前の状態を100部としたときの添加物の比率(部数単位での)を表しており、質量%と称しているものは、添加物を添加した後の状態を100%としたときの添加物の比率(%)を表している。
・塗料−2
塗料−1と同様の方法でクリヤー塗料を作製し、これに石原産業社製酸化チタン「タイペークTM CR95」を35質量%(固形分換算)添加し、攪拌することで、塗料−2を得た。
・塗料−3
日本ファインコーティング社製のプレコート鋼板用塗料である「FL100HQ」のグレー色を用いた。
・塗料−4
日本ファインコーティング社製のポリエステル系プライマー用塗料であるFLC641のクリヤー塗料に、GRACE社製クロメートフリー防錆顔料「シールデクスC303」を6質量%(固形分換算)、石原産業社製酸化チタン「タイペーク(商標)TM CR95」を26質量%(固形分換算)添加し、攪拌することで、プライマー塗料を得た。
以下に示す方法により、反射板を作製した。
厚み0.6mmの金属板を、市販のアルカリ脱脂剤である日本パーカライジング社製の「FC4336」を2質量%濃度に希釈した60℃の水溶液中にてアルカリ脱脂し、水洗後、乾燥した。
使用した金属板は次のとおりである。
・EG: 市販の電気亜鉛めっき鋼板(亜鉛付着量:片面20g/m2、材質:SECE(JIS G 3313))
・Al: 市販のアルミ板(材質:1100(JIS H 4000))
使用した白色樹脂シートは次のように作製した。なお、貼り付けた樹脂シートの厚さはいずれも200μmであった。
(1)白色PP−1シート
市販のポリプロピレン樹脂である出光石油化学社製「IDEMITSU PPF−734NP」に、石原産業社製酸化チタン「タイペークTM CR95」を29.5質量%添加し、更に東海カーボン社製カーボンブラック「トーカブラック#7350F」を0.5質量%添加して均一に混合し、充分に真空乾燥したものを、シート成形用のT型ダイを取り付けた押出機に供給し、樹脂が溶融する温度以上、樹脂が分解する温度以下の温度で溶融押出し、チルロール,引取ロールに導き、白色PP−1シートを得た。
(2)白色PP−2シート
出光石油化学社製「IDEMITSU PPF−734NP」に、石原産業社製酸化チタン「タイペークTM CR95」を30質量%添加し、均一に混合し、充分に真空乾燥したものを、シート成形用のT型ダイを取り付けた押出機に供給し、樹脂が溶融する温度以上、樹脂が分解する温度以下の温度で溶融押出し、チルロール,引取ロールに導き、白色PP−2シートを得た。
(3)白色PP−3シート
出光石油化学社製「IDEMITSU PPF−734NP」に、石原産業社製酸化チタン「タイペークTM CR95」を27質量%添加し、更に東海カーボン社製カーボンブラック「トーカブラック#7350F」を3質量%添加して均一に混合し、充分に真空乾燥したものを、シート成形用のT型ダイを取り付けた押出機に供給し、樹脂が溶融する温度以上、樹脂が分解する温度以下の温度で溶融押出し、チルロール,引取ロールに導き、白色PP−1シートを得た。
次に、作製した白色樹脂シートを熱圧着により貼り付けて反射板を作製した。
白色塗装プレコート金属板と、その片面に白色樹脂シートを貼り付けた反射板の作製は、以下の要領で行った。
厚み0.6mmの金属板(上述の電気亜鉛めっき鋼板EG又はアルミ板Al)を、市販のアルカリ脱脂剤である日本パーカライジング社製の「FC4336」を2質量%濃度に希釈した60℃の水溶液中にてアルカリ脱脂し、水洗後、乾燥した。次に、市販のクロメートフリー化成処理剤である日本パーカライジング社製の「CT−E300」を金属板の両面にロールコーターにて塗布し、到達板温60℃の条件で乾燥した。なお、付着量は、全塗膜固形分量として150mg/m2とした。続いて、化成処理を施した金属板上の片面にプライマー塗料である塗料−4を乾燥膜厚にして10μm、他方の面(以下「裏面」と称す)に塗料−3を乾燥膜厚にして5μm、それぞれロールコーターにて塗装し、熱風を併用した誘導加熱炉にて乾燥硬化させた。乾燥硬化条件は、到達板温(PMT)で210℃とした。プライマー塗料を塗装した面上に、塗料−1又は塗料−2をロールコーターにて塗装し、熱風を併用した誘導加熱炉にて乾燥硬化させた。乾燥硬化条件は、到達板温(PMT)で230℃とした。
次に、作製したプレコート金属板に、上述の白色樹脂シートを熱圧着により貼り付けて反射板を作製した。比較例として、プレコート金属板に樹脂シートを貼り付けなかった反射板を作製した。
作製した反射板の詳細を表1に示す。
Figure 2005316158
Figure 2005316158
作製した各反射板について、以下の評価試験を行った。
1)プレコート金属板白色面と白色樹脂シートの可視光線拡散反射率測定
島津製作所社製の分光光度計「UV265」に、積分球反射付属装置を取り付けて、プレコート金属板の白色面と、貼り付ける前の白色樹脂シート単体の555nmでの可視光線の拡散反射率を、それぞれ測定した。測定結果を表1に示す。
2)樹脂シートの放射率測定
日本分光社製のフーリエ変換赤外分光光度計「VALOR−III 」を用いて、使用した樹脂シートの表面温度を80℃にしたときの波数600〜3000cm-1の領域における赤外発光スペクトルを測定し、これを標準黒体の発光スペクトルと比較することで、金属板の全放射率を測定した。標準黒体は、鉄板にタコスジャパン社販売(オキツモ社製造)の「THI−1B黒体スプレー」を30±2μmの膜厚でスプレー塗装したものを用いた。測定結果を表1に示す。
3)照明器具の照度測定
図4に、実験装置の概要を示す。木製の箱41の中に、市販の蛍光灯照明器具42を取り付け、蛍光灯43から30cm離れた箇所に市販の照度計のセンサー45を設置した。実験で用いた蛍光灯43は、16形ランプ出力16Wの蛍光灯であった。測定の際には、蛍光灯照明器具に付属している反射板(以下「既存の反射板」と称す)47を取り外し、作製した各種反射板を用いて既存の反射板と同じ形状の測定用反射板47’を作製し、既存の反射板47を取り付けたときと、これら作製した測定用反射板47’を取り付けたときの照度を測定して、次のように評価した。
照度変化率が110%以上の場合: ○
照度変化率が103%以上110%未満の場合: △
照度変化率が103%未満の場合: ×
なお、照度変化率は、以下のように定義した。
照度変化率(%)=([作製した測定用反射板での照度]/[既存の反射板での照度])×100
得られた結果を表2に示す。
4)反射板の折り曲げ試験
作製した反射板の白色樹脂シート貼り付け面が外側となるように、90°曲げを20℃雰囲気中で行い、加工部の樹脂シートの損傷状態及び剥離状態を目視で観察し、下記の基準で加工性を評価した。反射板は、試験片の内側で0mmとなるように加工した(一般に0mmR曲げと呼ばれる)。
外観に損傷が全く無い場合: ○
樹脂シートや塗膜が部分的に損傷もしく剥離している場合: △
樹脂シートや塗膜が激しく損傷もしくは剥離している場合: ×
得られた結果を表2に示す。
5)反射板の耐食性試験
作製した反射板の白色樹脂シート面に、素地金属まで達するクロスカット傷を入れて、JIS K 5400.9.1記載の方法で塩水噴霧試験を実施した。塩水は、試験片のクロスカット面に噴霧した。試験時間は72時間とした。表面側のカット部からの塗膜膨れ幅を測定し、カット部膨れ幅が片側3mm以下の場合を○、カット部膨れ幅が片側3mm超の場合を×、とする基準で耐食性の評価をした。得られた結果を表2に示す。
6)照明器具近傍の温度測定
図4に示したように、蛍光灯43の下側10cmの位置に熱電対49を設け、蛍光灯43に通電してから60分後の温度を測定した。得られた結果を表2に示す。
Figure 2005316158
表2より、本発明の反射板を用いた照明器具は、従来の白色樹脂シートを貼り付けた金属板や、従来の白色塗装金属板を反射板とした照明器具より、照度変化率が高くなり、好適である。
本発明の第1の態様の可視光線反射板を説明する模式図である。 本発明の第2の態様の可視光線反射板を説明する模式図である。 本発明の第3の態様の可視光線反射板を説明する模式図である。 照度測定のための装置を説明する概略図である。
符号の説明
1、11、21…可視光線反射板
3…金属板
5…白色樹脂シート
7…白色樹脂塗膜
9…裏面樹脂塗膜

Claims (4)

  1. 金属板もしくはめっきした金属板の片面に、表面の555nmでの可視光線の拡散反射率が0.70以上でかつ、80℃以上200℃以下の所定温度で測定した波数600〜3000cm-1の領域における赤外線全放射率が0.60以上の白色樹脂シートを有していることを特徴とする、熱吸収性に優れた可視光線反射板。
  2. 前記金属板もしくはめっきした金属板と前記白色樹脂シートとの間に、555nmでの可視光線の拡散反射率が0.70以上である白色樹脂塗膜を有していることを特徴とする、請求項1に記載の可視光線反射板。
  3. 前記金属板もしくはめっきした金属板が、前記白色樹脂シートを有していない他方の面に樹脂塗膜を有していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の可視光線反射板。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の可視光線反射板を組み込んでなる電気電子機器。
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