JP4653386B2 - 防熱性に優れた表面処理金属板及びこれを用いた筐体 - Google Patents

防熱性に優れた表面処理金属板及びこれを用いた筐体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内部にモーター、電子部品、ヒーター等の発熱体を有する筐体に関するものであり、また、冷蔵庫、洗濯機、エアコン、ファンヒーター、AV機器、パソコン、モバイル機器や自動車部品等の主に外板の材料となる表面処理金属板に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、家電製品や自動車部品の外板には、鋼板、アルミニウム板等の金属板やプラスチックが使用されているが、これら金属板には、耐食性、意匠性等の性能が要求されるため、表面処理を施して使用することが一般的である。そして、このような金属板としては、例えば、耐食性に優れた亜鉛めっき鋼板やクロメート処理を被覆した亜鉛めっき鋼板、予め塗装を施して意匠性を付与したプレコート金属板等が挙げられる。
【0003】
また、これら金属板に対する更なる要求性能として、耐指紋性、アース性、耐加工かじり性等があり、これらの性能を満足するために、種々の表面処理鋼板が開発されてきた。
【0004】
例えば、特公平4-14191号公報には、水系有機樹脂に特定の微細な粒度のコロイドゾルを追加調整した有機複合皮膜を、クロメート被覆めっき鋼板上に形成することにより、耐食性や耐指紋性を向上させる技術が開示されている。また、特開平5-65666号公報には、ワックスと潤滑剤を含有した塗料をめっき鋼板に塗装することにより、加工かじり性を向上させる技術が開示され、また、特開平10-16128公報には、表面粗さと膜厚を制御した皮膜でクロメート処理した金属表面を被覆することにより、耐指紋性とアース性を付与する技術が開示されている。
【0005】
その一方、近年の家電製品や自動車部品の性能向上に伴い、これら内部部品の発熱量が増加し、筐体全体が熱くなるという問題が発生している。熱くなった筐体に人肌が振れると火傷の危険があるため、近年では、筐体を樹脂等の熱伝導性の低い材料を用いて作製する等の工夫がされてきているが、樹脂はリサイクルしにくいため、エコロジーの観点からは好ましくない。
【0006】
【特許文献1】
特公平4-14191号公報
【特許文献2】
特開平5-65666号公報
【特許文献3】
特開平10-16128公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記要求を踏まえ、リサイクル性に優れた金属製の外板を用いても、筐体内部で発生した熱が外板に伝わりにくく、防熱性に優れた表面処理金属板及びこれを用いた発熱体を覆う筐体を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、鋭意検討した結果、筐体を構成する金属板の発熱体側の表面に熱反射性を付与し、且つ筐体筐体を構成する外側の面に熱放射性を付与することで、筐体外板の温度が低下することを見出した。
【0009】
本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものであって、その要旨とするところは、以下のとおりである。
(1) 金属板又はめっきした金属板の片面に、80℃以上200℃以下のある温度で測定した波数600〜3000cm−1の領域における赤外線全放射率が0.90以上である熱放射機能皮膜と、他面に、80℃以上200℃以下のある温度で測定した波数600〜3000cm−1の領域における赤外線全放射率が0.50以下である熱反射機能皮膜を被覆してなることを特徴とする防熱性に優れた表面処理金属板。
(2) 80℃以上200℃以下のある温度で測定した波数600〜3000cm−1の領域における赤外線全放射率が0.50以下である金属板又はめっき金属板の片面に、80℃以上200℃以下のある温度で測定した波数600〜3000cm−1の領域における赤外線全放射率が0.90以上である熱放射機能皮膜を被覆し、該熱放射機能皮膜面を熱源と反対側の面、該熱放射機能皮膜の無い面を熱源側の面として使用することを特徴とする防熱性に優れた表面処理金属板。
(3) 前記熱放射性機能皮膜が、バインダー固形分100質量部に対して放熱性顔料を5〜150質量部含む皮膜である前記(1)又は(2)に記載の防熱性に優れた塗装金属板。
(4) 前記放熱性顔料がカーボンであることを特徴とする前記(3)記載の防熱性に優れた塗装金属板。
(5) 前記熱反射機能皮膜が、バインダー固形分100質量部に対して熱反射性顔料を5〜150質量部を含有する皮膜である前記(1)記載の防熱性に優れた塗装金属板。
(6) 前記熱反射性顔料が、アルミニウム、ニッケル、亜鉛、ステンレスのいずれか1種以上での金属粉である前記(5)記載の防熱性に優れた塗装金属板。
(7) 前記金属板又はめっき金属板が、アルミニウム板、アルミニウム合金板、アルミニウムめっき金属板、アルミニウム合金めっき金属板、亜鉛めっき金属板、亜鉛合金めっき金属板、ニッケルめっき金属板、ニッケル合金めっき金属板、ステンレス鋼板である前記(1)〜(6)のいずれかに記載の防熱性に優れた表面処理金属板。
(8) 発熱体を覆う筐体であって、該筐体の少なくとも一面が前記(1)〜(7)のいずれかに記載の表面処理金属板で構成され、且つ、該表面処理金属板の熱放射機能皮膜が筐体の外側となることを特徴とした筐体。
(9) 前記(1)〜(7)のいずれかに記載の表面処理金属板を成形加工して発熱体を覆う筐体とすることを特徴とする筐体の製造方法。
【0010】
【発明の実施の形態】
熱は物体から発散する電磁波の一部であり、熱放射線が物体に入射すると、一部は反射し、一部は透過し、残りの部分は吸収されることが知られている(例えば、西川、藤田共著の「機械工学基礎講座 電熱工学」、p.289、発行:理工学社(1983))。従って、発明者らは、発熱体を覆う筐体外板を工夫することで、筐体外板の温度低下を達成させようと鋭意検討した。
【0011】
金属板に熱放射線が入射した場合、熱放射線が透過することは殆ど無いため、熱放射線は、反射するか吸収するかのいずれかとなる。ここで、筐体内部の発熱体から発生した熱放射線が筐体外板の内表面に入射したときに、入射した熱放射線の多くが吸収されてしまうと、筐体外板の温度が上昇する。そこで、発明者らは、発熱体を覆う筐体外板の内側に熱反射性を付与することで、筐体外板への熱吸収を抑制し、筐体外板の温度が低下することを知見した。更に、筐体外板の外側に放熱機能を付与することで、内側で反射しきれずに吸収された熱が効率よく筐体外部に放出されるため、筐体外板の温度が更に低下することを知見した。ここで、金属板等の表面に入射した熱放射線の反射率を調べる方法として、赤外線分光光度計による反射法がよく知られているが、本方法で測定する場合、金属板表面の粗度が粗いと、入射した熱放射線が乱反射するので、精度の高い吸収率を得ることが困難である。熱放射に関するキルヒホッフの法則によると、一定温度においては、物体の吸収率と放射率は同じとなる(例えば、西川、藤田共著の「機械工学基礎講座 電熱工学」、p.290、発行:理工学社(1983))。本理論を基に、研究した結果、熱反射機能を有する面では、80℃以上200℃以下のある温度で測定した波数600〜3000cm-1の領域における全放射率が0.50以下、好ましくは0.40以下であり、熱放射機能を有する面では、80℃以上200℃以下のある温度で測定した波数600〜3000cm-1の領域における全放射率が0.0以上とすることで、筐体外板の温度を大きく低下できることを知見した。波数600cm-1未満、もしくは、3000cm-1超の波数領域の放射線吸収は、筐体外板の熱に与える影響が非常に小さいため、これらの波数領域の放射線を含めた放射率は不適である。また、全放射率が0.0以上であると熱放射機能は増加するが、その反面、熱反射機能が低下し、また、0.50以下であると熱反射機能が向上するが、その反面、熱放射機能が低下してしまう。そのため、熱放射機能を付与する面では、全放射率を0.0以上とし、熱反射機能を付与する面では、全放射率を0.50以下とする必要がある。また、放射率を測定する温度が80℃未満では、皮膜から放射される放射エネルギー量が少な過ぎるため、放射率を測定する際に検出誤差を生じやすいため不適である。更に、測定温度が200℃超では、皮膜の種類によっては皮膜が熱分解する恐れがあるため不適である。
【0012】
本発明の防熱性に優れた発熱体7を覆う筐体1の構成を図1に示す。本発明の筐体1は金属板2で構成され、且つ外側に熱放射性機能3を付与し、且つ内面に熱反射性機能4を付与したことを特徴としている。図中、6は圧板である。熱放射性機能や熱反射性機能は、平たい金属板に予め付与させ、これを加工して金属製発熱体カバー5を作製すると、作製する上で作業効率が向上するため好適である。
【0013】
更に、発明者らは、筐体外側の全放射率を高くし、熱放射性を向上させるためには、熱放射性の高い樹脂を被覆したり、樹脂皮膜中に熱放射性の高い熱放射性顔料を含ませたりすることによって達せられること知見した。これらの皮膜は、同じ種類の皮膜や異なる種類の皮膜を多層被覆しても良い。また、耐食性を上げるために、一般に公知の防錆用プライマー塗膜、例えば、クロム系防錆顔料を含むクロメート系プライマー、カルシウムイオン交換シリカやトリポリリン酸アルミニウム等の非クロム系防錆顔料を含むノンクロメートプライマーを被覆しても良い。近年の環境問題の観点からすると、ノンクロメートプライマーが好適である。
【0014】
熱放射性の高い樹脂は、樹脂のモノマー組成や樹脂に含まれる官能基種等によっても異なるため、一概に限定することは困難であるが、一般に公知のポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の中から、適宜選定して用いることができる。また、熱放射性を付与させるために、バインダー固形分100質量部に対して熱吸収性顔料を5〜150質量部含む皮膜層を被覆すると、より好適である。熱吸収性顔料の添加量が5質量部未満であると、放射率が0.50未満となりやすく、また、150質量部超では、熱吸収性皮膜が脆くなり、加工時に亀裂が入ったり、皮膜が剥離したりする場合がある。
【0015】
本発明の放熱性顔料には、一般に公知の放熱性顔料、例えば、アニリンブラック、ポリメチレン染料、トリスアゾ染料アミン塩、シアニン染料又はその金属錯体、アントラキノン系、フタロシアニン系、酸化鉄、カーボン等を用いることができる。これら一般に公知の放熱性顔料の中でも、カーボンは幅広い波数領域にて赤外線を放射するため、より好適である。なお、本発明のカーボンとは、カーボンラック、炭、黒鉛等の一般に公知のカーボンを使用することができる。熱放射性皮膜の膜厚は、特に規定するものではないが、1μm以上が好適である。1μm未満では、熱放射性に劣る場合があるため、好適ではない。膜厚の上限は、特に規定するものではないが、膜厚が厚すぎると塗装ムラ等の外観不良が発生しやすくなるため、必要に応じて適宜選定する必要がある。塗装ムラ等の外観不良の発生を抑制するためには、100μm以下の膜厚が好ましい。また、放熱性皮膜には、必要に応じて、導電性顔料を添加することもできる。導電性顔料を添加すると、皮膜に導電性が付与されるため、筐体にアース性を付与できるため、より好適である。導電性顔料は、一般に公知のもの、例えば、粒状アルミニウム、アルミニウムフィラー、ニッケルフィラー、鎖状ニッケル、ステンレス粉、リン鉄、フェロシリコン等を使用することができる。これらの導電性顔料を複数併用することもできる。
【0016】
一方、筐体内側の熱反射性を向上させるためには、金属母材自体が高い熱反射性を有している場合、これを露出させると好適である。また、金属板の表面に、より熱放射性の高い金属をめっきしたりすると、より好適である。熱放射性の高い金属材料としては、アルミニウム、ニッケル、ステンレス鋼、亜鉛等の一般に公知の金属材料もしくはこれらの合金を用いることができる。筐体内側の面は、これらの金属板もしくはめっき層上に皮膜を施さずに剥き出しにすると、熱反射率がより向上して好適である。しかし、金属板を剥き出しにすると、そこから腐食が発生し易いため、化成処理を施すとより好適である。ただし、化成処理の種類や付着量によっては、熱反射性を低下させる恐れがあるため、必要に応じて、種類や付着量を適宜選定する必要がある。化成処理の種類としては、一般に公知のもの、例えば、塗布クロメート処理、電解クロメート処理、リン酸亜鉛処理、ジルコニア系処理、チタニア系処理を使用することができる。また、近年、樹脂等の有機化合物をベースとしたノンクロメート化成処理も開発されているが、樹脂をベースとしたノンクロメート化成処理を用いると、環境への負荷が低減されるため、より好適である。樹脂等の有機化合物をベースとしたノンクロメート化成処理の例としては、特開平9-828291号公報、特開平10-251509号公報、特開平10-337530号公報、特開2000-17466号公報、特開2000-248385号公報、特開2000-273659号公報、特開2000-282252号公報、特開2000-265282号公報、特開2000-167482号公報等に記載された技術が挙げられ、これらの技術を用いることができるが、上記以外にも、一般に公知の技術を用いることもできる。既に市販されているノンクロメート処理を用いてもよい。ただし、これら化成処理の中でも、有機系の化成処理よりは、無機系のもの方が高い熱反射生を有し、より好適である。これらの化成処理の付着量は、少ない方が高い熱反射性有し好適であるが、少なすぎると耐食性に劣るため、好適でない。最適付着量は、化成処理の種類によって異なるため、特に規定するものではないが、無機系の化成処理の場合、5〜200mg/m2が、有機系化成処理の場合、10〜150mg/m2が好ましい。
【0017】
更に、熱反射性の高い金属を剥き出しにしておくと、保管するためにこれら表面処理金属板を重ね合わせると、他方の面の熱放射処理層に傷が入り易くなる場合がある。そのため、本発明の熱反射性を付与する面には、バインダー固形分100質量部に対して熱反射性顔料を5〜150質量部含む皮膜を形成すると筐体外板の温度が大きく低下し、より好適である。熱吸収性顔料の添加量が5質量部未満であると、放射率が0.50未満となりやすく、一方、150質量部超では、熱吸収性皮膜が脆くなり、加工時に亀裂が入ったり、皮膜が剥離したりする場合がある。本発明の熱反射性顔料には、一般に公知のもの、例えば、ニッケル、アルミニウム、亜鉛、ステンレス、銅、黄銅、銀等の金属粉末や酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、酸化インジウム、チタン酸ナトリウム、アルミナ、酸化マグネシウム等を用いることができる。これら一般に公知の熱反射性顔料の中でも、ニッケル、アルミニウム、亜鉛、ステンレスの粉末は、幅広い波数領域にて赤外線を反射するため、より好適である。更に、これらの金属粉末は、粒状や鎖状のものよりも、鱗片状のものの方が、より熱反射性が高く、より好適である。
【0018】
熱反射性皮膜の膜厚は、母材の種類によっても効果が異なるため、特に規定するものではないが、薄すぎると耐食性が劣る場合があり、膜厚が厚すぎると塗装ムラ等の外観不良が発生しやすくなるため、必要に応じて適宜選定する必要がある。好ましくは1〜50μmである。
【0019】
本発明の熱放射性皮膜や熱反射性皮膜に用いるバインダーとしては、一般に公知のもの、例えば、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、塩化ビニル樹脂等を用いることができ、熱可塑タイプ、熱硬化タイプのいずれのタイプであってもよい。
【0020】
これらの樹脂は、必要に応じて数種のものを併用してもよい。これらの樹脂は、種類、樹脂の分子量、樹脂のガラス転移温度(Tg)によっても、皮膜の性能、例えば、加工性、加工密着性、皮膜硬度等が異なるため、特に規定するものではなく、必要に応じて適宜選定する必要がある。
【0021】
また、架橋剤を用いて硬化させるタイプの樹脂は、架橋剤の種類や添加量、架橋反応時の触媒の種類や触媒添加量によっても、皮膜の性能、例えば、加工性、加工密着性、皮膜硬度等が異なるため、特に規定するものではなく、必要に応じて適宜選定する必要がある。
【0022】
これらの樹脂は、固体のものを熱溶融したり、有機溶剤に溶解して用いたり、粉砕して粉体にして用いることができる。また、水溶性のものや、水分散したエマルジョンタイプのものでもよい。更には、紫外線(UV)硬化タイプや電子線(EB)硬化タイプのものでもよい。これらは、いずれも市販のタイプのものを使用することができる。
【0023】
本発明者らがこれまでに得た知見によれば、本発明の表面処理金属板をプレコート金属板として製造した後に、切断、加工、組立を行う場合は、溶剤系のメラミン硬化型ポリエスエル系、溶剤系のイソシアネート硬化型ポリエステル系、水分散型アクリルエマルジョン等が好適であり、特に、次のものが好適である。しかし、これらは一例であり、これに限定されるものではない。
【0024】
溶剤系のメラミン硬化型ポリエスエル系の場合、ポリエステル樹脂の分子量は、数平均分子量で2000〜30000が好適であり、ポリエステル樹脂のTgは-10〜70℃が好適であり、メラミン樹脂の添加量は、ポリエステル樹脂100質量部に対して、5〜70質量部が好適である。
【0025】
ポリエステル樹脂の分子量が2000未満では皮膜の加工性が低下し、30000超では、樹脂が溶剤に溶解したときに粘度が高すぎるため、不適である。ポリエステル樹脂のTgが-10℃未満では皮膜が成膜しないため不適であり、70℃超では皮膜が硬すぎるため、加工性が低下し不適である。メラミン樹脂の添加量が、ポリエステル100質量部に対して5質量部未満であると、皮膜が未硬化となり不適であり、70質量部超では、皮膜が硬くなりすぎて加工性が低下するため、不適である。
【0026】
使用するポリエステル樹脂は、一般に市販されているもの、例えば、東洋紡績社製の「バイロンTM」や、住化バイエルウレタン社製「デスモフェンTM」等を使用することができる。使用するメラミン樹脂も、一般に市販されているもの、例えば、三井サイテック社製「サイメルTM」、「マイコートTM」、大日本インキ化学工業社製「ベッカミンTM」、「スーパーベッカミンTM」等を使用することができる。
【0027】
溶剤系のイソシアネート硬化型ポリエスエル系の場合、ポリエステル樹脂の分子量は、数平均分子量で2000〜30000が好適であり、ポリエステル樹脂のTgは-10〜70℃が好適であり、イソシアネートの添加量は、[イソシアネートのNCO基当量]/[ポリエステル樹脂のOH基当量]=0.8〜1.2であると好適である。
【0028】
[イソシアネートのNCO基当量]/[ポリエステル樹脂のOH基当量]の値が0.8未満もしくは1.2超では、皮膜生成時に、皮膜が未硬化となりやすい。ポリエステル樹脂の分子量が2000未満では皮膜の加工性が低下し、30000超では、樹脂が溶剤に溶解したときに粘度が高すぎるため、不適である。ポリエステル樹脂のTgが-10℃未満では、皮膜が成膜しないため不適であり、70℃超では皮膜が硬すぎるため、加工性が低下し不適である。
【0029】
使用するポリエステル樹脂は、一般に市販されているもの、例えば、東洋紡績社製の「バイロンTM」、住化バイエルウレタン社製「デスモフェンTM」等を使用することができる。
【0030】
使用するイソシアネートも、一般に市販されているもの、例えば、住化バイエル社製「スミジュールTM」、「デスモジュールTM」、三井武田ケミカル社製「タケネート」等を使用することができる。
【0031】
本発明の熱放射性皮膜や熱反射性皮膜中には、必要に応じて、着色顔料、防錆顔料及び防錆剤を併用して添加することができる。着色顔料としては、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジリコニウム(ZrO2)、炭酸カルシウム(CaCO3)、硫酸バリュウム(BaSO4)、アルミナ(Al2O3)、カオリンクレー、等の無機顔料や、有機顔料等などの一般に公知の着色顔料を使用できる。また、防錆顔料については、ストロンチウムクロメート、カルシウムクロメート等の一般に公知のクロム系防錆顔料や、リン酸亜鉛、亜リン酸亜鉛、リン酸アルミ、亜リン酸アルミ、モリブデン酸塩、リン酸モリブデン酸塩、バナジン酸/リン酸混合顔料、シリカ、カルシウムシリケートと呼ばれるCaを吸着させたタイプのシリカ等の一般に公知の非クロム系の防錆顔料及び防錆剤を使用できる。特に、本発明の金属板の母材が、鋼板もしくはめっき鋼板のように腐食し易い金属である場合、防錆顔料及び防錆剤を添加することで、本発明の金属板の耐食性が向上するので、より好適である。近年の環境問題を配慮した場合は、非クロム系の防錆顔料及び防錆剤がより効果的である。これらの非クロム系防錆顔料及び防錆剤は、試薬を用いてもよいし、市販のものを用いることもできる。市販されている防錆顔料としては、東邦顔料社製のリン酸亜鉛系防錆顔料「EXPERTTM-NP500」、「EXPERTTM-NP530」、東邦顔料社製の亜リン酸亜鉛系防錆顔料「EXPERTTM-NP1500」、「EXPERTTM-NP1530」、「EXPERTTM-NP1600」、「EXPERTTM-NP1700」、テイカ社製のトリポリリン酸アルミ「K-WHITE」シリーズ、SHERWIN Williams社製のモリブデン酸塩系顔料及びリン酸モリブデン酸塩系顔料「SHER-WHITE」シリーズ、日本アエロジル社及びデグサ社製の気相シリカ「AEROSILTM」シリーズ、日産化学社製のコロイダルシリカ「スノーテクス」シリーズ、GRACE社製のCa吸着型シリカ「シールデックス」シリーズ等がある。これら着色顔料や防錆顔料及び防錆剤は、種類、添加量、粒径の違いにより、放射率や加工性、外観、耐食性等その他の皮膜性能が大きく異なるので、必要に応じて適宜選定する必要がある。
【0032】
また、本発明の熱放射性皮膜や熱反射性皮膜には、必要に応じて、一般に公知のレベリング剤、顔料分散剤、ワックス等を添加することができる。これら添加剤の種類や添加量は、特に規定されるものではなく、必要に応じて適宜選定することができる。特に、ワックスは、本発明の表面処理金属板を成形加工したときの成形性向上、皮膜層のキズ付き防止等に効果的である。
【0033】
本発明の熱放射性皮膜や熱反射性皮膜を金属板表面に形成するためには、バインダーを含む皮膜成分を、一般に公知の塗料形態にして塗布することができる。例えば、塗料形態としては、樹脂を溶剤に溶解した溶剤系塗料、エマルジョン化した樹脂を水等に分散した水系塗料、樹脂を粉砕してパウダー化した粉体塗料、粉砕しパウダー化した樹脂を水等に分散させたスラリー粉体塗料、紫外線(UV)硬化型塗料、電子線(EB)硬化型塗料、樹脂をフィルム上にして貼り付けるフィルムラミネート、樹脂を溶融させてから塗布する形態等がある。塗布方法は、いずれも特に限定されず、一般に公知の塗装方法、例えば、ロール塗装、ローラーカーテン塗装、カーテンフロー塗装、エアースプレー塗装、エアーレススプレー塗装、刷毛塗り塗装、ダイコータ−塗装等が採用できるが、プレコート金属板として、予め熱吸収性皮膜を金属板に被覆する場合は、ロール塗装、ローラーカーテン塗装、カーテンフロー塗装が好適である。
【0034】
なお、金属板に熱放射性皮膜や熱反射性皮膜を被覆する前に、金属板の皮膜密着性を上げるため、金属板に化成処理を施すのが好ましい。この化成処理を施すと、吸熱皮膜の密着性や金属板の耐食性が向上し、より好適である。化成処理を施さなくても塗膜が密着すれば、塗装化成処理工程が省略できるのでより好適である。化成処理としては、一般に公知のもの、例えば、塗布クロメート処理、電解クロメート処理、リン酸亜鉛処理、ジルコニア系処理、チタニア系処理を使用することができる。また、近年、樹脂等の有機化合物をベースとしたノンクロメート化成処理も開発されているが、樹脂をベースとしたノンクロメート化成処理を用いると、環境への負荷が低減されるためより好適である。樹脂等の有機化合物をベースとしたノンクロメート化成処理の例としては、前述の特許公開公報等に記載された技術が挙げられ、これらの技術を用いることができるが、上記以外にも、一般に公知技術を用いることができる。既に市販されているノンクロメート処理を用いてもよい。これらの化成処理の種類や付着量の違いによって、熱放射性皮膜層や熱反射性皮膜層の密着性や金属板の耐食性が大きく異なるので、必要に応じて適宜選定する必要がある。
【0035】
本発明の金属板は、一般に公知の金属材料を用いることができる。金属材料が合金材料であってもよい。例えば、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、アルミニウム合金板、マグネシウム合金板、チタン板、銅板等が挙げられる。特に、ステンレス鋼板、アルミニウム板、アルミニウム合金板は、熱反射性が高くより好適である。これらの材料の表面には、めっきが施されていてもよい。
【0036】
めっきの種類としては、亜鉛めっき、アルミニウムめっき、銅めっき、ニッケルめっき等が挙げられる。これらの合金めっきであってもよい。鋼板の場合は、冷延鋼板、熱延鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、溶融合金化亜鉛めっき鋼板、アルミニウムめっき鋼板、アルミニウム-亜鉛合金化めっき鋼板、ステンレス鋼板等、一般に公知の鋼板及びめっき鋼板を適用できる。
【0037】
特に、アルミニウムめっきを施した金属板(例えば、アルミニウムめっき鋼板)、亜鉛めっきを施した金属板(例えば、亜鉛めっき鋼板)、ニッケルめっきを施した金属板(例えば、ニッケルめっき鋼板)、ニッケルを含む合金めっきを施した金属板(例えば、亜鉛-ニッケル合金めっき鋼板)、アルミニウムを含む合金めっきを施した金属板(例えば、55%アルミニウム-亜鉛めっき鋼板)は、熱反射性に優れより好適である。
【0038】
本発明の発熱体を覆う筐体を作製する場合、予め熱放射性皮膜や熱反射性皮膜を被覆したプレコート金属板を製造し、その後に、切断、加工、組立を行うと、作業効率が良くより好適である。この場合の加工方法は、一般に公知の加工方法を用いることができる。例えば、打ち抜き加工、曲げ加工、絞り加工、張り出し加工、ロールフォーミング等の加工方法が挙げられる。
【0039】
【実施例】
以下、実験に用いた熱放射性塗料の作成方法について詳細を説明する。
【0040】
市販の有機溶剤可溶型/非晶性ポリエステル樹脂(以下、ポリエステル樹脂と称す)である東洋紡績社製「バイロンTMGK140」(数平均分子量:13000、Tg:20℃)を有機溶剤(ソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したもの)に溶解した。
【0041】
次に、有機溶剤に溶解したポリエステル樹脂に、ポリエステル樹脂の固形分100質量部に対して市販のヘキサ-メトキシ-メチル化メラミンである三井サイテック社製のサイメルTM303を15質量部添加し、更に、市販の酸性触媒である三井サイテック社製の「キャタリスト6003B」を0.5質量部添加し、攪拌することで、メラミン硬化型ポリエステル系のクリヤー塗料を得た。本塗料をポリエステル/メラミンと称す。
【0042】
更に、樹脂の影響を見るために、前記の有機溶剤に溶解したポリエステル樹脂に、市販のHDIをベースとしたブロック化イソシアネートである住化バイエルウレタン社製「スミジュールTMBL3175」を[イソシアネートのNCO基当量]/[ポリエステル樹脂のOH基当量]=1.0となるように配合し、更に三井武田ケミカル社製反応触媒「TK-1」を樹脂固形分に対して0.05%添加することでイソシアネート硬化型ポリエステル系のクリヤー塗料(以下、ポリエステル/イソシアネート系と称す)を得た。
【0043】
次に、作成したクリヤー塗料に、東海カーボン社製「トナーカーボン#7350F」を添加して、熱吸収性塗料を作製した。作製した熱吸収性塗料の詳細を表1に記載する。なお、表1中のカーボン添加量は、塗料中の樹脂固形分100質量部に対する添加顔料の質量部を示す。
【0044】
また、必要に応じて、次の顔料を添加した。作製した塗料の詳細を表1に示す。
【0045】
[カーボンブラック]
東海カーボン社製カーボンブラック「トーカブラックTM#7350F」を使用。
【0046】
[炭パウダー]
共同組合ラテスト製「備長炭パウダー」を使用。
【0047】
[黒鉛粉]
試薬として市販されている黒鉛を粉砕し、ふるい分け分級機にて平均粒径を20μmとしたものを使用。
【0048】
[白色顔料]
石原産業社製酸化チタン「タイペークTMCR95」を使用。
【0049】
[アルミニウムフィラー]
東洋アルミ社製アルミニウム顔料「ALUMINIUMU PASTE 1100MA」を使用。
【0050】
[粒状アルミニウム]
東洋アルミ社製「アルミニウム粉02-0005」を使用。
【0051】
[ニッケルフィラー]
東洋アルミ社製のニッケルフィラー(粒径:20〜50μm)を使用。
【0052】
[ステンレス粉]
ステンレスを粉砕機にて粉砕し、篩い分け分級機にて平均粒径を20μmとしたものを使用。
【0053】
[防錆顔料A]
Grace社製クロメートフリー防錆顔料「シールデクスC303」を使用。
【0054】
[防錆顔料B]
テイカ社製クロメートフリー防錆顔料「K-WHITE K-105」を使用。
【0055】
以下、実験に用いた熱吸収性プレコート金属板の作成方法について、詳細を説明する。
【0056】
厚み0.6mmの金属板を、市販のアルカリ脱脂剤である日本パーカライジング社製の「FC4336」を2質量%濃度に希釈した60℃温度の水溶液中にてアルカリ脱脂し、水洗後、乾燥した。次いで、脱脂した電気亜鉛めっき鋼板上にロールコーターにて化成処理液を塗布し、到達板温が60℃となるような条件で熱風乾燥させた。
【0057】
本実験では、次の金属板を用いた。
【0058】
EG:市販の電気亜鉛めっき鋼板(亜鉛付着量:片面20g/m2)
Alシート:市販のアルミニウムめっき鋼板(アルミニウム付着量:片面60g/m2)
GL:市販の55%アルミニウム-亜鉛めっき鋼板(めっき付着量:片面90g/m2)
ZL:市販の亜鉛-ニッケル合金めっき鋼板(亜鉛付着量:片面20g/m2)
Niめっき:冷延鋼板にニッケルを電気めっきして作製した鋼板(ニッケル付着量:片面5g/m2)
アルミニウム板:市販のアルミニウム板(JIS-1100)
アルミニウム合金板:市販のアルミニウム合金板(JIS-5082)
SUS:ステンレス鋼板(SUS430、表面ブライト仕上げ)
本実験では、化成処理に、市販のクロメート処理である日本パーカライジング社製の「ZM1300AN」(以下、クロメート処理)と、市販のノンクロメート化成処理である日本パーカライジング社製の「CT-E300」(以下、ノンクロメート処理)を使用した。化成処理は、金属板の両面にロールコーターにて処理し、到達板温60℃の条件で乾燥した。クロメート処理の付着量は、Cr付着量で50mg/m2、ノンクロメート処理の付着量は、全皮膜量として150mg/m2とした。
【0059】
更に、化成処理を施した金属板上の表裏面それぞれに、先に作製した表1記載の塗料をロールコーターにて塗装し、熱風を併用した誘導加熱炉にて乾燥硬化させた。乾燥硬化条件は、到達板温(PMT)で230℃とした。また、これらの塗料は、必要に応じて2層被覆した。作製した表面処理金属板の詳細を表2に記載する。なお、以降、筐体に加工したときに筐体の外側となる面を「表面」、筐体の内側(発熱体側)となる面を「裏面」と称する。
【0060】
【表1】
Figure 0004653386
【0061】
【表2】
Figure 0004653386
【0062】
【表3】
Figure 0004653386
【0063】
以下、作成した表面処理金属板の評価試験について詳細を説明する。
【0064】
1) 表面処理金属板の放射率測定
日本分光社製のフーリエ変換赤外分光光度計「VALOR-III 」を用いて、作成した表面処理金属板の板温度を80℃にしたときの波数600〜3000cm-1の領域における赤外発光スペクトルを測定し、これを標準黒体の発光スペクトルと比較することで、表面処理金属板の全放射率を測定した。なお、標準黒体は、鉄板にタコスジャパン社販売(オキツモ社製造)の「THI-1B黒体スプレー」を30±2μmの膜厚でスプレー塗装したものを用いた。また、放射率の測定は、作製したプレコート金属板の両面をそれぞれ測定した。
【0065】
2) 筐体外板の温度測定試験
図2に記載する測定箱を作製して、試験を行った。測定箱11は、上面が解放されており、この解放された面に作製した表面処理金属板12で覆い、この状態で熱源13の温度が100℃となるように、温度コントローラー14にて熱源の温度を制御したときに、測定上面の表面処理金属板12に設置した熱電対15の温度をデジタル温度計16で測定した。更に、家電製品の筐体外板に汎用的に使用されている従来のプレコート鋼板(新日本製鐵社製「ビューコート」)においても同様の試験を行い、作製した表面処理鋼板と従来のプレコート鋼板との測定値を比較して、以下の基準で評価した。
【0066】
以下、筐体外板の温度の評価基準を説明する。
【0067】
[{(従来のプレコート鋼板の測定値)-(評価する表面処理金属板での測定値)}≧4℃]のとき:○
[4℃>{(従来のプレコート鋼板の測定値)-(評価する表面処理金属板での測定値)}≧2℃]のとき:△
[2℃>{(従来のプレコート鋼板の測定値)-(評価する表面処理金属板での測定値)}]のとき:×
3) 表面処理金属板の皮膜密着性試験
作製した表面処理金属板の皮膜層に、1mm角の碁盤目状の切れ目をカッターナイフで入れ、試験面が凸となるようにエリクセン試験機で7mm押し出した後に、テープ剥離試験を行った。
【0068】
碁盤目状の切れ目の入れ方、エリクセンの押し出し方法、テープ剥離の方法については、JIS-K5400.8.2記載の方法、及び、JIS-K5400.8.5記載の方法に準じて実施した。
【0069】
テープ剥離後の評価は、JIS-K5400.8.5記載の評価例の図に従って行い、評点10点の時に○、8点以上10点未満の時に△、8点未満の時に×と評価した。
【0070】
なお、本試験は、皮膜を被覆していない金属板を除いて、表裏面で実施した。
【0071】
4) 塗膜の折り曲げ試験
作製した表面処理金属板を180°折り曲げ加工し、加工部の塗膜損傷状態をルーペにて観察し、下記の基準で評価した。折り曲げ加工は、20℃雰囲気中で、0.6mmのスペーサーを間に3枚挟んで実施した(一般的に3T曲げと呼ばれる)。
【0072】
塗膜に全くの損傷が無い場合:○
塗膜が部分的に損傷している場合で比較的損傷状態が軽微なもの:△(+)
塗膜が部分的に損傷している場合で比較的損傷状態が激しいもの:△(-)
塗膜が加工部全面で激しく損傷している場合:×
5) 表面処理金属板の耐食性
まず、表面側の耐食性評価方法を記載する。
【0073】
作製した表面処理金属板の表面にクロスカットを入れて、JIS-K5400.9.1記載の方法で、塩水噴霧試験を実施した。塩水は、試験片の表面に噴霧した。試験時間は120時間とした。そして、表面側のクロスカット部からの赤錆発生幅を測定し、赤錆が全く発生していない場合を○、カット部片側の赤錆発生幅が1mm未満の場合を△、片側の赤錆発生幅が1mm超の場合を×と評価した。
【0074】
次に、裏面側の耐食性評価方法を記載する。
【0075】
作製した表面処理金属板の裏面を、JIS-K5400.9.1記載の方法で、塩水噴霧試験を実施した。塩水は、試験片の裏面に噴霧した。試験時間は48時間とした。そして、裏面側の平面部の白錆や赤錆等の腐食発生度を観察し、腐食が全く発生していない場合を○、腐食が部分的に発生している場合を△、腐食が全面に発生している場合を×と評価した。
【0076】
【表4】
Figure 0004653386
【0077】
【表5】
Figure 0004653386
【0078】
以下、評価結果の詳細について述べる。
【0079】
作製した各サンプルの評価結果を表3に示す。本発明の表面処理金属板は、従来のプレコート鋼板と比べて、発熱体を覆う筐体外板の温度が低く、防熱性に優れる。また、予め熱放射性処理や熱反射性処理を施した後に成形加工しても、これらの処理が剥がれたり、損傷したりすることなしに、効率よく筐体を作製することができることを確認した。
【0080】
【発明の効果】
本発明により、内部にモーターや電子部品等の熱源となる部品が数多く使われる製品の外板を金属で製造しても、金属外板が熱くならずに、人手が触れても火傷等が発生しにくい表面処理金属板を提供することが可能となった。本発明により、従来、熱伝導性は低いが、リサイクル性に劣る樹脂で製造されていた製品をリサイクル性の高い金属で製造することが可能となり、地球環境にも優しい材料を提供することが可能となった。従って、本発明は、産業上の極めて価値の高い発明であるといえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の筐体の構成図。
【図2】筐体外板の温度測定装置の概略図。
【符号の説明】
1…筐体
2…金属板
3…熱放射性付与
4…熱反射性付与
5…金属製発熱体カバー
6…圧板
7…発熱体
11…測定箱
12…表面処理金属板
13…熱源
14…温度コントローラ
15…熱電対
16…温度計

Claims (9)

  1. 金属板又はめっきした金属板の片面に、80℃以上200℃以下のある温度で測定した波数600〜3000cm−1の領域における赤外線全放射率が0.90以上である熱放射機能皮膜と、他面に、80℃以上200℃以下のある温度で測定した波数600〜3000cm−1の領域における赤外線全放射率が0.50以下である熱反射機能皮を被覆してなることを特徴とする防熱性に優れた表面処理金属板。
  2. 80℃以上200℃以下のある温度で測定した波数600〜3000cm−1の領域における赤外線全放射率が0.50以下である金属板又はめっき金属板の片面に、80℃以上200℃以下のある温度で測定した波数600〜3000cm−1の領域における赤外線全放射率が0.0以上である熱放射機能皮膜を被覆し、該熱放射機能皮膜面を熱源と反対側の面、該熱放射機能皮膜の無い面を熱源側の面として使用することを特徴とする防熱性に優れた表面処理金属板。
  3. 前記熱放射性機能皮膜が、バインダー固形分100質量部に対して放熱性顔料を5〜150質量部含む皮膜である請求項1又は2に記載の防熱性に優れた塗装金属板。
  4. 前記放熱性顔料がカーボンであることを特徴とする請求項3記載の防熱性に優れた塗装金属板。
  5. 前記熱反射機能皮膜が、バインダー固形分100質量部に対して熱反射性顔料を5〜150質量部含有する皮膜である請求項1記載の防熱性に優れた塗装金属板。
  6. 前記熱反射性顔料が、アルミニウム、ニッケル、亜鉛、ステンレスのいずれか1種以上の金属粉である請求項5記載の防熱性に優れた塗装金属板。
  7. 前記金属板又はめっき金属板が、アルミニウム板、アルミニウム合金板、アルミニウムめっき金属板、アルミニウム合金めっき金属板、亜鉛めっき金属板、亜鉛合金めっき金属板、ニッケルめっき金属板、ニッケル合金めっき金属板、ステンレス鋼板である請求項1〜6のいずれかに記載の防熱性に優れた表面処理金属板。
  8. 発熱体を覆う筐体であって、該筐体の少なくとも一面が請求項1〜7のいずれかに記載の表面処理金属板で構成され、且つ、該表面処理金属板の熱放射機能皮膜が筐体の外側となることを特徴とした筐体。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の表面処理金属板を成形加工して発熱体を覆う筐体とすることを特徴とする筐体の製造方法。
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