JP2001032459A - 太陽熱伸縮の小さい屋根用塗装金属板 - Google Patents

太陽熱伸縮の小さい屋根用塗装金属板

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JP2001032459A
JP2001032459A JP11207812A JP20781299A JP2001032459A JP 2001032459 A JP2001032459 A JP 2001032459A JP 11207812 A JP11207812 A JP 11207812A JP 20781299 A JP20781299 A JP 20781299A JP 2001032459 A JP2001032459 A JP 2001032459A
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coating
pigment
solar energy
solar heat
coating film
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English (en)
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Kenji Ikishima
健司 壱岐島
Michiyasu Takahashi
通泰 高橋
Sachio Matsuo
左千夫 松尾
Minoru Tomohiro
実 友弘
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Sumitomo Metal Steel Products Inc
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Sumitomo Metal Steel Products Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 太陽熱による温度上昇が少なく、熱伸縮によ
る歪み発生の少ない、屋根用の塗装金属板を提供する。 【解決手段】 350〜2100 nm の波長領域での太陽熱反
射率 (RE ) が40%以上である金属基板表面に、 800〜
2100 nm の波長領域での太陽熱反射率 (RE/NIR ) が20
%以上である顔料を2〜70重量%含有する塗膜を備えた
塗装金属板。塗膜が2以上ある場合には、少なくとも外
層塗膜をこの塗膜とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、屋根材として好適
な、太陽熱の反射性が高く、かつ太陽熱による伸縮の小
さい塗装金属板に関する。
【0002】
【従来の技術】工場、倉庫、体育館などの大型構造物の
屋根として、塗装金属板、特に塗装鋼板を用いた金属成
形屋根が適用されることが多い。一体成形された長尺屋
根は、軽量で水密性等に優れており、その適用範囲は広
い。
【0003】しかしながら、数十mの長尺品のため、太
陽熱による屋根温度の上昇によって屋根そのものが熱膨
張する量は無視し得ないものとなる。例えば、温度が50
℃だけ上昇した場合、長さ80 mの軟鋼板は約40 mm 伸
び、同じ長さのステンレス鋼板(SUS 304) では約70 mm
伸びることになる。実際の屋根は、取り付けのために随
所で拘束されている。そのため、熱膨張による屋根の伸
縮は歪みを生じ、歪みが開放されるときに音の発生を起
こすことがあり、用途によっては人に不快感を与える。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、太陽熱によ
る温度上昇を抑制することによって、屋根材として使用
した場合の伸縮による歪み発生の少ない、屋根用塗装金
属板を開発することを課題とする。
【0005】実際に屋根材として用いる塗装金属板は、
耐久性の観点から、下塗り、中塗り、上塗りといった複
数の塗膜層からなる。一般に、耐食性、密着性は内層が
受け持ち、意匠外観、昇温抑制機能は外層が受け持つ。
本発明も、特に外層塗膜の昇温抑制機能を強化すること
により、上記課題を解決することを目指したものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】建築物ではその景観や意
匠性が重要な要素として評価される。このため、屋根材
として用いる塗装金属板にとって、任意の色や模様に自
由に彩色できることが求められる。
【0007】塗装金属板を屋根材として使用した場合の
熱伸縮の防止のためにその昇温を抑制するには、太陽熱
をできるだけ反射して吸収しないように、太陽熱反射性
を高めることが有効である。太陽熱の大部分は、波長 3
00〜2500 nm の可視光線または近赤外線として照射され
る。従って、屋根材として用いる塗装金属板は、この波
長領域の光線(即ち、可視光線と近赤外線) の反射率が
高い外層塗膜を設けることが望ましい筈である。しか
し、可視領域を含む波長域の反射率を制限すると、外層
塗膜では色が制限され、自由に着色できなくなる。
【0008】本発明者らは以上の観点から塗装金属板の
太陽熱による昇温の効率的な防止手段について検討した
結果、以下の知見を得た。
【0009】外層塗膜の反射性については、可視領域外
である近赤外線領域(800〜2100 nm)における反射率だけ
を高めることにより、塗膜表面からの太陽熱反射性を著
しく改善できることが判明した。可視領域での反射率に
は制限がないので、外層塗膜を任意の色彩に着色するこ
とができる。外層塗膜の近赤外線領域での反射率を高め
るには、近赤外線領域での太陽熱反射率が20%以上の顔
料を外層塗膜に所定量以上含有させるのが効果的であ
る。以下、このような太陽熱反射性のよい顔料を単に
「反射性顔料」、太陽熱反射性顔料を所定量含有する塗
膜を「反射性塗膜」とも記す。
【0010】金属板の塗装に際して、外層塗膜の密着性
を高めるとともに、塗装金属板としての防錆性や塗装仕
上がりなどを向上させる目的で外層塗膜と基板の間に下
塗り塗膜 (プライマー) や中塗り塗膜 (以下、これらを
合わせて単に「内層塗膜」とも記す) などを設ける場合
がある。
【0011】このように金属板が複数の塗膜を備えてい
る場合には、2以上の塗膜を反射性塗膜としてもよい。
太陽熱反射性を向上させるには外層塗膜に反射性顔料を
含有させるのが最も効果的である。しかし、例えば、外
層塗膜が薄く、反射性顔料を含有させてもその隠蔽性が
十分ではない場合などでは、外層塗膜に加えて、内層の
少なくとも1相の塗膜にも反射性顔料を適当な量で含有
させることにより、十分な太陽熱反射性を持った塗装金
属板を得ることができる。
【0012】色が外に現れない内層塗膜に含有させる反
射性顔料は、近赤外線領域に加えて可視光線領域の波長
での太陽熱反射率も20%以上である顔料を使用すること
がより効果的である。
【0013】しかし、塗膜に近赤外線領域での反射率が
高い反射性顔料を含有させて反射性塗膜としただけで
は、塗装金属板の昇温抑制はなお十分ではなく、基板そ
のものの可視光線領域と近赤外線領域での反射率も考慮
する必要があることが判明した。即ち、塗膜に反射性顔
料を含有させても、可視光線と近赤外線の一部は吸収さ
れ、塗膜を透過するが、この透過した光線を基板で反射
できれば、塗装金属板の太陽熱反射率はさらに高まり、
昇温抑制効果が向上する。
【0014】以上の知見に基づいて完成した本発明は、
350〜2100 nm の波長領域での太陽熱反射率 (RE ) が
40%以上である金属基板表面に、 800〜2100 nm の波長
領域での太陽熱反射率 (RE/NIR ) が20%以上である顔
料を2〜70重量%含有する塗膜を備えたことを特徴とす
る、太陽熱による伸縮が小さい太陽熱反射性塗装金属
板、である。
【0015】本発明によればまた、 350〜2100 nm の波
長領域での太陽熱反射率 (RE ) が40%以上である金属
基板表面に、外層塗膜と1以上の内層塗膜とを備え、該
外層塗膜が 800〜2100 nm の波長領域での太陽熱反射率
(RE/NIR ) が20%以上である顔料を2〜70重量%含有
することを特徴とする、太陽熱による伸縮が小さい太陽
熱反射性塗装金属板、も提供される。この塗装金属板に
おいて、1以上の内層塗膜が 350〜2100 nm の波長領域
での太陽熱反射率 (RE ) が20%以上である顔料を2〜
70重量%含有していてもよい。
【0016】本発明において、太陽熱反射率とは、分光
反射率 (Rλ) より算出される当該波長領域でのスペク
トルの強さを考慮した太陽熱反射率である。 350〜2100
nmの波長領域での太陽熱反射率RE は下記式(1) によ
り求められ、 800〜2100 nmの波長領域での太陽熱反射
率RE/NIR は下記式(2) により求められる。これらの太
陽熱反射率を求めるための分光反射率 (Rλ) は分光光
度計を用いて測定することができる。
【0017】
【数1】
【0018】ただし、RE : 350〜2100 nm の波長領域
での太陽熱反射率(%) 、Eλ:太陽熱の分光強度、R
λ:分光反射率 (分光光度計により測定) 。
【0019】
【数2】
【0020】ただし、 RE/NIR : 800〜2100 nm の波長領域 (近赤外域) での
太陽熱反射率(%) 、 Eλ :太陽熱の分光強度、 Rλ :分光反射率 (分光光度計により測定) 。
【0021】
【発明の実施の形態】以下に、本発明をより具体的に説
明する。なお、以下の説明において、%は特に指定のな
い限り重量%を意味する。
【0022】基板:本発明の太陽熱による伸縮の小さい
塗装金属板に使用する金属基板は、上記式(2) に従って
表面の分光反射率より算出される、 350〜2100 nm の波
長領域 (可視〜近赤外域) での太陽熱反射率 (RE ) が
40%以上となる表面を有するものである。
【0023】対象とする波長を上記のように限定したの
は、太陽熱のほとんどが上記波長領域に包含されるた
め、この波長領域での反射率を規定すれば、太陽熱反射
性の評価としては十分な精度を有するからである。金属
基板の表面のRE が40%より小さいと、この表面上に反
射性顔料を含有する反射性塗膜を形成しても、塗装金属
板全体としての太陽熱反射性が低下し、昇温抑制機能が
不十分となることがある。基板表面のRE は好ましくは
60%以上、さらに好ましくは70%以上である。
【0024】基板は上記の反射性能を有する金属板であ
ればよく、その種類や化学組成は任意である。例えば、
低炭素鋼、高炭素鋼、高張力鋼板などに使用される低合
金鋼からなる鋼板、あるいはこれらの鋼板を母材とし、
その表面に太陽熱反射性と耐食性に優れた金属を被覆し
ためっき鋼板が、経済性に優れるので好ましい。しか
し、基板の種類はこれらに限定される必要はなく、ステ
ンレス鋼板、アルミニウム板、アルミニウム合金板など
の鋼板以外の材料でも構わない。塗装金属板は塗膜によ
って保護されるが、基板それ自体も耐食性が良好な材料
が好ましい。
【0025】めっき鋼板のめっき種は特に限定するもの
ではないが、太陽光に対する反射性がよいことと、めっ
き作業の経済性から、Al−Zn系、Al−Mn系、Al−Si系等
が好適である。中でも、アルミニウムを50重量%以上含
有するめっき皮膜を備えたものが好適である。純アルミ
ニウムめっきでもよい。めっき皮膜には、さらに、適量
のNi、Cr、Fe、Co等の合金元素が含有されていても構わ
ない。このようなめっき皮膜は太陽熱反射性が高いうえ
に、基板の防食性や経済性にも優れるという特長を有す
る。
【0026】めっき皮膜の付着量は任意であるが、0.01
μm以上の厚さのめっき皮膜が、太陽熱反射性が良好に
なるので好ましい。めっき方法は任意であり、電気めっ
き法、溶融めっき法、溶融塩電解めっき法、蒸着めっき
法など、公知の任意のめっき方法を採用できる。
【0027】基板には、塗装金属板の耐食性、塗膜密着
性などの長期耐久性を向上させるために、内層皮膜以外
に、塗布型、反応型等のクロメート処理皮膜や、りん酸
塩処理皮膜など、公知の塗装前処理皮膜を形成すること
ができる。しかしながら、これらの前処理皮膜は太陽熱
反射性を損なう作用があるので、塗装前処理皮膜の付着
量は、密着性などの改善効果が得られる範囲で少ない程
よい。
【0028】前処理皮膜の付着量は、クロメート処理皮
膜であれば金属クロム換算で200 mg/m2 以下、より好ま
しくは100 mg/m2 以下とするのがよい。りん酸塩処理皮
膜の場合の付着量は、5.0 g/m2以下、より好ましくは3.
0 g/m2以下とするのがよい。これを超えると太陽熱反射
性を阻害するうえ、金属板を加工する際に塗膜の割れや
剥離が生じることがあるので好ましくない。
【0029】密着性改善などの効果を得るには、前処理
皮膜の付着量を、クロメート処理の場合は5mg/m2
上、より好ましくは20 mg/m2以上とするのがよい。りん
酸塩処理の場合は0.2 g/m2以上、より好ましくは0.5 g/
m2以上とするのがよい。
【0030】基板がステンレス鋼板やアルミニウム板の
場合であっても、塗膜との密着性を高めるために、公知
のクロメート処理を施してもよく、その場合は上記範囲
内の付着量とするのが好適である。
【0031】塗膜:本発明の塗装金属板は、上述した金
属基板の上に、反射性顔料を2〜70重量%含有する反射
性塗膜を備える。反射性塗膜は基板の片面 (日射を受け
る外面側)だけに設ければよいが、両面とも反射性塗膜
を設けてもよい。この反射性塗膜は熱の放射性が低いの
で、室内側に向ける裏面にも反射性塗膜を形成すると、
室内への熱放射が抑えられ、室温の上昇を抑えることが
できる。
【0032】基板上に複数の塗膜 (例、下塗り、中塗
り、上塗り) を有する場合には、1層または2層以上の
塗膜を反射性塗膜とすることができる。その場合、少な
くとも外層塗膜 (例、上塗り) は反射性塗膜とする。本
発明における外層塗膜とは、塗装金属板の色彩を決定す
る塗装工程で施される塗膜を意味する。外層塗膜の上に
さらにクリヤー皮膜などを施す場合もあるが、本発明で
はクリヤー皮膜は外層塗膜とは考えない。外層塗膜が薄
く、反射性顔料を含有させてもその隠蔽性が十分ではな
いなどの場合には、内層塗膜にも反射性顔料を含有させ
るのがよい。
【0033】外層塗膜中の顔料の反射率を、近赤外線領
域である 800〜2100 nm の波長領域での太陽熱反射率
(RE/NIR ) により規定したのは、可視光線領域の波長
に対する顔料の太陽熱反射率は、基板に施す色彩により
決まってしまうからである。可視光線領域の波長まで含
めて太陽熱反射率を規定すると、塗装金属板の色彩の自
由度がなくなり、屋根材として不適格となる。本発明に
よれば、近赤外線領域の波長に対して太陽熱反射率を規
定するだけで、塗装金属板の太陽熱による昇温を著しく
抑制することができる。
【0034】塗膜に含有させる顔料は、近赤外線領域に
おける太陽熱反射率 (RE/NIR ) が20%以上である反射
性顔料である。この顔料のRE/NIR が20%に満たない
と、塗装金属板全体としての太陽熱反射性が低下し、太
陽熱を受けた場合の昇温抑制が不十分になる。顔料のR
E/NIR は好ましくは30%以上、さらに好ましくは40%以
上である。
【0035】塗膜を太陽熱反射性にするために、反射性
顔料は塗膜中に2〜70%の量で含有させる。塗膜中の反
射性顔料の含有量 (2種以上の顔料を併用する場合には
合計量) が2%未満であると、塗装金属板の太陽熱反射
性が不十分となる上、着色力が不足し、所望の色彩を得
るために厚膜の塗装が必要になる。反射性顔料の含有量
は好ましくは5%以上である。反射性塗膜中の反射性顔
料の含有量が70%を超えると、その塗膜の加工性が損な
われる。反射性顔料の含有量は好ましくは60%以下であ
る。
【0036】反射性塗膜に含有させる反射性顔料は1種
類に限る必要はなく、色相、耐候性、色安定性を考慮
し、上記の条件を満足する1種または2種以上の顔料を
任意に選択できる。複数種類の反射性顔料を併用する場
合には、これらの合計の含有量が上記範囲内にあればよ
い。
【0037】本発明の塗装金属板に用いる反射性顔料
は、安全で耐水性、耐候性に優れ、長期間遮熱効果を維
持するものが望ましい。中でも、金属の酸化物、硫化
物、クロム酸塩などの金属化合物や、不溶性色素 (色素
顔料) 、レーキ顔料などから選んだ顔料を用いるのが好
ましい。
【0038】顔料の平均粒径が50μmを超えると、太陽
熱反射性が劣るため、反射性顔料の平均粒径は50μm以
下とするのが好ましい。耐汚染性、耐候性、色安定性の
観点から、反射性顔料の平均粒径はより好ましくは20μ
m以下、さらに好ましくは10μm以下である。
【0039】反射性塗膜には、上記の反射性顔料の他
に、所望の色彩や隠蔽性、耐食性等の塗膜性能を得るの
に必要な着色顔料、防錆顔料、ならびに基板表面とバイ
ンダーである有機樹脂 (例えば、ポリエステル樹脂、フ
ッ素系樹脂など) との密着性や塗膜自体の凝集強度を高
めたり、下地の隠蔽性や明度を向上させる目的で、例え
ばシリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、
カオリン、クレー、タルク、ネフェリン、サイナイト、
雲母、気泡含有顔料等といった体質顔料を含有させても
構わない。
【0040】顔料を保持するバインダーとしては、太陽
光に曝されても黄変、変色、光沢低下、白亜化を起こし
にくく、長年使用しても美観の維持に優れると共に太陽
光の隠蔽効果を長期間維持できる有機樹脂を使用するの
が好ましい。
【0041】このような樹脂としては、アクリル樹脂、
ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素系樹脂
等を始めとする各種有機樹脂が挙げられ、それらのいず
れか1種を用いればよいが、2種以上を混合して用いて
も構わない。これらの有機樹脂の含有量は、塗膜の乾燥
重量に対して10〜90%の範囲とするのが好ましい。
【0042】樹脂中には、合成微粉シリカ、有機ベント
ナイト、カルボキシメチルセルロース、ポリビニリアル
コール等の増粘剤、メラミン系、ベンゾグアナミン系、
イソシアネート系等の架橋剤、ポリアクリル酸、ポリア
クリル酸塩等の分散剤、防汚用の光触媒等を含有させて
も構わない。
【0043】反射性塗膜の厚さは3〜200 μmが好まし
い。3μmより薄い塗膜は色相が安定しないことがあ
る。この塗膜の厚さはより好ましくは10μm以上であ
る。塗膜の厚さが200 μmを超えると、加工時に塗膜の
剥離や割れが生じることがあるうえ、複数回の塗装作業
を必要とするようになり、経済性も劣る。従って、反射
性塗膜の厚さは200 μm以下がよく、より好ましくは30
μm以下である。
【0044】内層塗膜としての下塗り塗膜あるいは中塗
り塗膜には、通常、太陽熱を吸収し易い顔料が含有され
ている。従って、これらの内層塗膜の反射性顔料の含有
量が2%に満たない場合には、太陽熱反射性を阻害しな
いように、その厚さは薄い方が好ましく、10μm以下と
するのがよい。より好ましくは7μm以下である。
【0045】ただし、1以上の内層塗膜に前述したよう
な反射性顔料を2〜70%含有させて、その内層塗膜にも
太陽熱反射性をもたせることができる。例えば、外層塗
膜が薄いか、顔料の含有量が少なく、外層塗膜の隠蔽性
が小さい場合、内層塗膜も太陽熱反射性とすることで、
塗装金属板の太陽熱反射性をさらに向上させることがで
きる。このような場合には、内層塗膜の厚みは上記より
厚くしても構わない。この内層塗膜の厚みは、これと外
層塗膜との厚みの合計が200 μm以下となることが好ま
しい。
【0046】内層塗膜は塗装金属板の外観にはほとんど
影響しないので、内層塗膜に使用する反射性顔料は、色
に関係なく太陽熱反射性が高い顔料を使用することが好
ましい。その意味で、内層塗膜に対しては、近赤外線だ
けでなく可視光線に対しても反射性の高い、即ち、 350
〜2100 nm の波長領域での太陽熱反射率 (RE ) が20%
以上、好ましくは40%以上である顔料を使用することが
好ましい。
【0047】本発明の塗装金属板の外層塗膜は、使用す
る塗料に、例えばアルミフレークを配合してメタリック
塗膜としたり、艶消し剤を配合して艶消し塗膜としたり
する等して、任意の意匠性を付与することができる。ま
た、反射性塗膜は本発明の塗装金属板の最上層に設ける
のが好ましいが、前述したように、例えばアルミフレー
クを配合したメタリック塗装とする場合などは、必要に
応じてこの反射性塗膜の上に顔料を含まないクリアー層
や、顔料を僅かに含む半透明な層を設けても構わない。
このような層は外層には含めない。
【0048】製造方法:本発明の太陽熱による伸縮の小
さい塗装金属板の製造方法は特に限定されないが、上述
の顔料と有機樹脂を溶媒中に含有させた塗料を基板の片
面または両面に塗布し、乾燥させ、必要であれば熱硬化
させて、反射性塗膜を形成することにより製造するのが
好ましい。
【0049】塗料に用いる溶剤については特に限定はな
く、有機樹脂に合わせて、慣用の溶剤から適宜選択して
用いればよい。溶媒としては、水、トルエン、キシレ
ン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等が例示さ
れるが、これらに限られるものではない。樹脂は、溶媒
に溶解していても、或いはエマルジョン樹脂のように溶
媒に分散ないし懸濁しているものでもよい。塗料には、
前述の体質顔料、架橋剤、分散剤等を配合させることが
できる。
【0050】塗料の塗布方法は公知の方法で行えばよ
く、例えば、スプレーコート、ロールコート、カーテン
フローコート、バーコート等の方法が適用できる。塗装
後は、熱風オーブン、誘導加熱オーブン等の公知の手法
で乾燥および冷却すればよい。これらの処理は、公知の
塗装設備を用いて実施することができる。
【0051】基板に反射性顔料を含有する塗料を塗布す
る前に、前述したように、基板には塗装前処理、下塗
り、中塗りを適宜施してもよく、或いはその一部または
全部を省略してもよい。さらに、中塗り用、或いは中塗
りと下塗り用の塗料にも反射性顔料を含有させることも
可能である。裏面側にも、上記と同じ塗装を施してもよ
く、或いは別の塗装を施してもよい。
【0052】本発明の塗装金属板は、自由に着色でき、
かつ太陽熱を受けても熱伸縮が小さいので、屋根材とし
て最適である。この塗装金属板は加工性にも優れている
ので、折り曲げ、絞り等により必要な形状に加工して製
品とすることができる。
【0053】
【実施例】(実施例1)いずれも厚さ0.80 mm の冷間圧延
鋼板を母材とする、JIS-G3302 に規定される溶融亜鉛め
っき鋼板 (符号「GI」) 、溶融亜鉛−5%アルミニウム
合金めっき鋼板 (符号「5%Al−Zn」) 、およびJIS-G3
321 に規定される溶融亜鉛−55%アルミニウム合金めっ
き鋼板 (符号「55%Al−Zn」)(いずれも片面当たり付着
量75 g/m2 の両面めっき鋼板) 、ならびにJIS-G4305 に
規定されるオーステナイト系ステンレス鋼板 (符号「SU
S304」) の4種類の基板を用いた。これらの各基板の 3
50〜2100 nm の波長領域での太陽熱反射率RE を求めた
結果を表1に示す。
【0054】塗膜に含有させる顔料として、下記 (1)〜
(3) の3種類の黄色顔料を用意した。このうち、(1) と
(2) が反射性顔料であり、(3) は比較用の顔料である:
(1) 800〜2100 nm の波長領域での分光反射率RE/NIR
が45%、平均粒子径が0.4 μmの不溶性モノアゾ顔料
(大日本インキ化学工業製、SYMULER FAST YELLOW 4192)
(符号「PY154 」) 、(2) RE/NIR が25%、平均粒子径
が0.5 μmの無機顔料 (菊地色素工業製、パーマエロー
1650S) (符号「PY34」) 、および(3) RE/NIR が15%、
平均粒子径が0.5 μmのクロム酸鉛 (大日精化工業製、
325 クロームエロー7G)(符号「7G」) を用いた。
【0055】上記のいずれかの顔料を40重量部、バイン
ダーのポリエステル樹脂を60重量部、メラミン系架橋剤
10重量部を配合し、適量のシクロヘキサノンを溶剤に用
いて、ボールミルで分散混合して塗料を調製した。
【0056】これらの塗料を、上記のいずれかの基板の
片面に、表1に示す乾燥膜厚が得られる量だけロールコ
ート法で塗布し、240 ℃で60秒間の焼き付けを行って、
塗装金属板を作製した。表1に得られた塗装金属板の構
成を示す。
【0057】この各塗装金属板を200 ℃に加熱し、裏面
に断熱材 (古河電工製フネンエース8mm厚) を貼合し
た。表面温度が20℃の時、長さ:1000 mm 、幅:200 mm
に試料を切り出し、試料を全て一緒に屋外にて水平に保
持して塗装面を日射に曝し、試料の表面温度と長さを測
定し、最高到達温度における試料の長さを求めた。これ
らの結果を表1に併記する。
【0058】
【表1】
【0059】表1からわかるように、塗膜に含有させた
顔料のRE/NIR が20%より小さい比較例では、鋼板表面
温度が92〜94℃と高かったのに対し、この顔料のR
E/NIR が20%以上である本発明例では、鋼板表面温度が
52〜77℃と低くなり、塗装金属板の昇温が著しく抑制さ
れたことがわかる。基板が同じ塗装金属板の本発明例と
比較例とを対比するとわかるように、この昇温抑制によ
って、太陽熱による伸縮が最大で比較例の半分近くまた
はそれ以下まで抑制された。
【0060】(実施例2)実施例1と同じ4種類の基板を
使用し、この基板に下塗りと上塗りの2回の塗装を施し
て、2層の塗膜を有する塗装金属板を作製した。下塗り
用塗料と上塗り用塗料に使用した顔料は、実施例1に記
載のPY154(RE/NIR 45%、以下「PY」と表記) または7G
(RE/NIR 15%) であった。
【0061】上塗り用塗料は、上記いずれかの顔料を20
重量部、バインダーとしてポリエステル樹脂を80重量
部、メラミン系架橋剤10重量部を配合し、適量のシクロ
ヘキサノンを溶剤に用いてボールミルで分散混合して調
製した。下塗り用塗料は、顔料を40重量部、バインダー
量を60重量部に変更した以外は上塗り塗料と同様に調製
した。
【0062】上記の各種基板の片面に、下塗り用塗料は
表2に示す所定の乾燥膜厚が、上塗り用は20μmの乾燥
膜厚が得られる量だけロールコート法で塗布し、各塗料
の塗布後にいずれも240 ℃で60秒間焼き付けて、表2に
示す構成の下塗り (内層) 塗膜と上塗り (外層) 塗膜の
2層塗膜を備えた塗装金属板を作製した。
【0063】この各塗装金属板を200 ℃に加熱し、裏面
に断熱材 (古河電工製フネンエース8mm厚) を貼合し
た。表面温度が20℃の時、長さ:1000 mm 、幅:200 mm
に試料を切り出し、全試料を一緒に屋外にて水平に保持
して塗装面を日射に曝し、実施例1と同様に最高到達温
度における試料長さを求めた。これらの結果を表2に併
記する。
【0064】
【表2】
【0065】表2からわかるように、本発明に従って、
少なくとも外層 (上塗り) 塗膜中にRE/NIR が20%以上
の反射性顔料を含有していると、内層 (下塗り) 塗膜の
顔料が反射性顔料でなくても、太陽熱に曝した時の塗装
金属板の表面温度が低下し、熱伸縮を抑えることができ
る。しかし、内層塗膜にも反射性顔料を含有させた方
が、表面温度はより低下し、昇温抑制がより効果的とな
る。一方、反射性顔料をどちらの塗膜にも存在させなか
った比較例では、いずれも表面温度が高くなり、熱伸縮
が大きくなった。
【0066】
【発明の効果】本発明の塗装金属板は、自由に着色で
き、太陽熱を受けても熱伸縮が小さいので、屋根材とし
て最適である。使用時に固定されても、熱伸縮による歪
みが小さく、歪み開放時の不快な音の発生が防止され
る。また、通常の塗料を用いて、従来の塗装金属板と同
様の工程で製造できるので、生産性が高く、安価であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B32B 27/18 B32B 27/18 Z (72)発明者 高橋 通泰 大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金 属工業株式会社内 (72)発明者 松尾 左千夫 尼崎市扶桑町1番21号 住友金属建材株式 会社内 (72)発明者 友弘 実 尼崎市扶桑町1番21号 住友金属建材株式 会社内 Fターム(参考) 2E108 CC01 CC02 CV07 GG06 4D075 AA01 AC14 AC22 BB24Z BB33Z BB35Z BB74X BB75X CA17 DA06 DB02 DB04 DB05 DB07 DC01 EA07 EA13 EB16 EB22 EB35 EC01 EC11 EC13 EC15 4F100 AA02H AB01A AB03 AB04 AB10 AB18 AH03H AK01B AK41 AR00B AT00C BA02 BA03 BA10A BA10B CA13B CC00 CC00B CC00C EH46B EH46C EH711 GB07 JA03 JN06A JN06B YY00A YY00B

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 350〜2100 nm の波長領域での太陽熱反
    射率 (RE ) が40%以上である金属基板表面に、 800〜
    2100 nm の波長領域での太陽熱反射率 (RE/NIR ) が20
    %以上である顔料を2〜70重量%含有する塗膜を備えた
    ことを特徴とする、太陽熱による伸縮が小さい太陽熱反
    射性の屋根用塗装金属板。
  2. 【請求項2】 350〜2100 nm の波長領域での太陽熱反
    射率 (RE ) が40%以上である金属基板表面に、外層塗
    膜と1以上の内層塗膜とを備え、該外層塗膜が 800〜21
    00 nm の波長領域での太陽熱反射率 (RE/NIR ) が20%
    以上である顔料を2〜70重量%含有することを特徴とす
    る、太陽熱による伸縮が小さい太陽熱反射性の屋根用塗
    装金属板。
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