JP4442437B2 - 耐候性と耐食性に優れた塗装鋼板 - Google Patents

耐候性と耐食性に優れた塗装鋼板 Download PDF

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Description

本発明は、耐候性と耐食性、特に傷部と端面の耐食性(傷部/端面耐食性という)に優れた塗装鋼板に関する。本発明の塗装鋼板は、例えば、屋根材や外壁等の屋外用建材として、あるいはエアコン室外機のような屋外に設置される家電製品や自動販売機のハウジング材等として有用である。
特に建材用の塗装鋼板には、非常に長期の耐久性(耐候性および耐食性)が求められる。耐食性に優れた塗装鋼板として、塗装前処理が施された亜鉛系またはアルミニウム系めっき鋼板の片面または両面に、ポリアミンとイソシアネートの反応生成物からなる尿素樹脂中に防錆顔料を含有させた厚み10〜80μmの下塗り塗膜とポリエステル系またはポリウレタン系塗料から形成された厚み15〜40μmの上塗り塗膜とを形成した塗装鋼板が下記特許文献1に提案されている。
さらに耐候性を付与するために、下塗り塗膜の防錆顔料をクロム酸塩系とし、上塗り塗膜を厚み15〜30μmのフッ素樹脂系の塗膜にした、耐久性と耐候性、耐食性に優れた塗装鋼板が下記特許文献2に記載されている。
また、下記非特許文献1には、溶融亜鉛めっき鋼板または55%Al−Zn合金めっき鋼板を基板として、クロメート処理のあと、ウレタン系下塗り塗膜25μmおよびウレタン系上塗り塗膜25μmで被覆した塗装鋼板が開示されている。
これらの特許文献のいずれにおいても、実施例としては、基板めっき鋼板が溶融亜鉛めっき鋼板であり、上塗り塗膜が白色顔料を含有するものしか例示されていない。
良好な耐候性を得るには、上塗り塗膜に紫外線吸収剤を添加することも有効であるが、必ずしも効果が安定せず、特に色相が吸光性の高い黒等の暗色である場合にそうである。また、紫外線吸収剤が極めて高価であるという問題もある。特許文献2のように、上塗り塗膜をフッ素樹脂系にすると、耐候性が高まるが、やはりコストが非常に高くなる。
耐食性については、特許文献2や特許文献3のように下塗り塗膜中にクロム系防錆顔料を含有させると耐食性が向上することが知られている。しかし、この種の防錆顔料による向上だけでは、平面部の耐食性の改善には有効であるが、傷部や切断端面部の耐食性については不十分である。
一方、近年、太陽熱を反射する屋外用建材向け塗装鋼板が開発されている。
下記特許文献4には、350〜2100nmの波長領域での太陽熱反射率が40%以上である基板表面に、800〜2100nmの波長領域での太陽熱反射率が20%以上の顔料を2〜70質量%含有する塗膜を備えた反射性表面処理金属板が開示されている。基板としてはAl含有量が50質量%以上のめっき皮膜を備えた鋼板が使用できる。内層塗膜(下塗り塗膜)が太陽熱反射性顔料を含有しないか、その含有量が2質量%未満である場合、内層塗膜の厚みを10μm以下とすることが好ましい。
下記特許文献5には、日射を受ける面の0.8〜2.1μmの波長領域での太陽熱反射率が20%以上であることを特徴とする、太陽熱反射性の塗装鋼板が開示されている。特許文献4と同様、内層塗膜が太陽熱反射性顔料を含有しないか、その含有量が2質量%以下である場合は、内層塗膜の厚みは薄い方が好ましい。実施例では、下塗りや中塗りを行わずに、太陽熱反射性塗膜を直接塗装している。
太陽熱反射性の塗装鋼板の主たる機能は、いわゆる遮熱性である。例えば建材の屋根、外壁材として使用された場合に、太陽熱を反射することによって、室内の温度上昇を抑制する効果が一般の塗装鋼板と比較して大きい。特許文献6には、このような観点に基づいて、Mg:1〜10%、Al:2〜19%、Si:0.01〜2%を含有し、かつMg+Al≦20%であるZn合金めっき層の上に、最上層として780〜2100nmの波長における日射反射率が4.0%以上である耐赤外線顔料を2〜60%含む上塗り塗装を有する塗装鋼板が開示されている。
特開2000−185260号公報 特開2000−185259号公報 特開昭59-14942公報 特開2000−279881号公報 特開2001−89871号公報 特開2003−311877号公報 吉岡、壱岐島:第20回防錆防食技術発表大会講演予稿集、(社)日本防錆技術協会、(2000)p.157
近年、住宅保証制度の制定もあり、市場からは建材用塗装鋼板に対して、更なる耐候性と耐食性(特に傷部/端面耐食性)の向上要求が強まっている。この点において、特許文献6に記載されている技術は、母材として特殊なMg含有亜鉛系めっき鋼板を使用し、そのようなめっき皮膜は赤外線反射率が低いため、十分な温度低減効果(遮熱性)は期待できなかった。
本発明は、耐候性と耐食性、特に傷部/端面耐食性に優れた比較的低コストの塗装鋼板を提供することを課題とする。
本発明者らは、基板、下塗り塗膜、上塗り塗膜の種々の組み合わせからなる塗装鋼板について、沖縄、堺、直江津の三カ所で5年間の暴露試験を行った結果、塗装鋼板の切断面の傷部/端面耐食性を改善するには、下塗り塗膜の厚みを7μm以上と厚くすることが有効であること、さらに基板がAl含有量50質量%の亜鉛−アルミニウム合金めっき鋼板であって、上塗り塗膜にカーボンブラックを含有させないと、傷部/端面耐食性の改善に加えて、耐候性も著しく改善されることを見出し、本発明を完成させた。
ここに、本発明は、下地処理が施されたAl含有量50質量%以上の亜鉛−アルミニウム合金めっき鋼板の化粧面側に1層以上の下塗り塗膜と上塗り塗膜とを有する塗装鋼板であって、下塗り塗膜はポリアミンをイソシアネートで硬化させたポリ尿素樹脂を主成分とし10〜50質量%の防錆顔料を含有する塗膜であって、その厚みの合計が7μm以上であり、かつ上塗り塗膜は黒色顔料を含有するがカーボンブラックを実質的に含有しない濃色系塗膜であることを特徴とする塗装鋼板である。
本発明において「カーボンブラックを実質的に含有しない」とは、カーボンブラックの含有量が0.01質量%以下であることを意味する
上塗り塗膜は、好ましくは、非フッ素樹脂系の塗膜であり、より好ましくは、硬化剤としてメラミンまたはイソシアネートのどちらか一方または両方を含有するポリエステル樹脂の塗膜である。上塗り塗膜に含有される黒色顔料は複合酸化物型の黒色顔料であることが好ましい。ここで、濃色系とは、明度指数であるL値が50以下であることを意味する。
上塗り塗膜のみならず、下塗り塗膜の少なくとも1層もカーボンブラックを実質的に含有しないことが好ましい。
本発明の塗装鋼板の化粧面の反対側の面は、1層以上の塗膜を有し、その面の熱放射率が70%以上であることが好ましい。
本発明の塗装鋼板は、上塗り塗膜として通常のポリエステル系の上塗り塗膜を施しても、従来品より著しく優れた耐候性と傷部/端面耐食性とを実現することができる。従って、本発明の塗装鋼板は、屋根材や外壁等の屋外用建材として使用するのに特に適しているが、エアコン室外機のような屋外に設置される家電製品や自動販売機のハウジング材等にも有用である。それにより、それらの製品に比較的低コストで従来に比べて長い使用寿命を付与することができる。
基板:
本発明の塗装鋼板の基板は、Al含有量50質量%以上の亜鉛−アルミニウム合金めっき鋼板である。このような亜鉛−アルミニウム合金めっき鋼板は、太陽熱反射率が高いので、塗膜を透過してきた太陽熱が反射されることにより塗装鋼板の太陽熱反射性が高まる。その結果、例えば、塗装鋼板を屋根材が外壁材に使用した場合に、金属系建材の問題点である、下記の室内温度の上昇を抑制することができ、冷房費用が低減する。また、めっき皮膜が亜鉛を含有するため、亜鉛の犠牲防食能による傷部/端面耐食性の確保に有利である。それだけでなく、塗装鋼板としての太陽熱反射性が高まることは、塗装鋼板自体の温度上昇を抑えるため、耐候性や傷部/端面耐食性の改善にもつながる。つまり、温度の上昇度合いが小さいため、塗膜の変質(主として樹脂の分子鎖切断等の結合状態の変化や硬化反応が進むことによる内部応力増加及びそれに伴う塗膜の微細クラック)が生じにくく、その結果良好な耐候性を示すことになる。また、鋼板自体の温度が上昇しにくいことは、腐食の進行抑制の面からも有利である。
この種のめっき鋼板の代表例は、アルジンクと呼ばれる、Al含有量が約55質量%の55%Al−Zn合金めっき鋼板であり、通常はめっき皮膜中に1〜2質量%程度のSiを含んでいる。
めっき皮膜中のAl含有量が50質量%より少ないと、基板としての太陽熱反射性が十分でなく、結果として耐食性、耐候性のいずれも十分でない。一方、純アルミニウムめっき鋼板は、耐食性の点で劣り、また基板としての熱反射性も十分でないため、結果として耐食性、耐候性のいずれも十分でない。
めっきの付着量は、求められる耐食性のレベルに応じて決定されればよい。なお、端面耐食性の点からは、露出する鋼の面積が少ないほうがよい。そのため、例えば、一般に広く使用されているめっき付着量が片面当たり150g/m2程度の両面めっき鋼板の場合、板厚が0.8mm以下であるのが好ましい。
下地処理:
耐食性を確保するため、基板に耐食性改善に効果的な下地処理を施す。適当な下地処理としては、塗装鋼板に慣用されている塗布型クロメート処理(例えば、日本ペイント製のNRC300)を使用することができる。また、近年のクロムフリー化の要請に対して、例えばシリカを主体とする下地処理(例、日本ペイント製のサーフコートEC2000)を使用してもよい。クロメート処理は10〜100mg/m2(Cr金属として),シリカ系処理は5〜50mg/m2(Siとして)程度の付着量が良好である。
下塗り塗膜(化粧面側):
化粧面側は、使用時に見える側の面であり、屋外で使用される場合には、屋外環境に曝され、太陽熱を受けるため、耐候性と耐食性が求められる。
本発明では、下地処理した基板の化粧面となる少なくとも一方の面を2層以上の塗膜で被覆する。通常は、下塗り塗膜と上塗り塗膜の2層であるため、以下では、この態様を例にとって説明する。必要に応じ、下塗りが2層以上であってもよい。
下塗り塗膜には、従来からプライマーとして使用されてきた樹脂種を利用することができる。例えば、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂もしくは尿素樹脂を主成分とする塗膜でよい。より具体的には、エポキシ樹脂をイソシアネートもしくはメラミンで硬化させたエポキシ樹脂、ポリアミンをイソシアネートで硬化させた尿素樹脂、ポリエステルをイソシアネートおよび/もしくはメラミン樹脂で硬化させたウレタン樹脂が下塗り塗膜の例として挙げられる。
下塗り塗膜は、クロム酸塩(例、クロム酸ストロンチウム)やアルカリ金属燐酸塩といった防錆顔料、ならびに/または、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔料を含有することができる。防錆顔料は耐食性改善に有効であり、体質顔料は下塗り塗膜の明度や隠蔽性を改善する。特に耐食性確保の観点から、下塗り塗膜が防錆顔料を含有することが好ましい。これらの顔料を含有させる場合、塗膜中の含有量は、防錆顔料では10〜50質量%、体質顔料では10〜50質量%程度とするのが普通である。
下塗り塗膜は7μm以上の比較的厚膜とする。それにより、塗装鋼板の耐食性、特に傷部/端面耐食性が改善される。
しかし、下塗り塗膜の厚みがあまりに過大になると、加工性の低下、コスト増大といった問題点がある。従って、実用上は、下塗り塗膜の厚み(2層以上の場合は合計厚み)は好ましくは50μm以下であり、より好ましくは20μm以下である。
後述する上塗り塗膜だけでなく、下塗り塗膜中にも、カーボンブラックを実質的に含有させない方がよい。実用上、下塗り塗膜中も着色顔料を入れて、例えば上塗り塗膜と近い色にして使用時についた傷を目立ちにくくすることが行われる場合があるが、このような場合であっても、後述する上塗り塗膜と同様に、塗膜中のカーボンブラックの含有量は、0.01%以下とするのがよい。
上塗り塗膜(化粧面側):
上塗り塗膜も、樹脂種は特に制限されない。例えば、耐候性に優れたフッ素系樹脂を使用することも可能である。しかし、本発明では、高価なフッ素系樹脂を使用しなくても、実用上十分な耐候性を得ることができるので、コストを考えると、非フッ素樹脂系が好ましい。
上塗り塗膜の好ましい樹脂種としては、加工性に優れていることから、従来より塗装鋼板の上塗り塗膜に多用されている、ポリエステル樹脂をメラミン或いはイソシアネートの一方又は両方を用いて硬化させるものが好ましい。
上塗り塗膜は一般に顔料により着色される。本発明では、上塗り塗膜にカーボンブラックを実質的に含有させない。これは、黒色顔料としてカーボンブラックを使用しないことを意味するだけでなく、カーボンブラックを含有する塗料を使用しないことをも意味する。カーボンブラックは、多様な色の塗料に、色味を調整するために含有させてあることが多いが、本発明ではそのような塗料を上塗り塗膜の形成に使用しない。
上塗り塗膜がカーボンブラックを含有していると、下塗り塗膜を上記のように厚膜化しても、耐候性が著しく低下する。また、下塗り塗膜と上塗り塗膜の厚みが同じである場合で比べた時に、上塗り塗膜がカーボンブラックを含有すると、耐食性が低下する。塗膜中にカーボンブラックを含有させると、太陽熱を吸収して鋼板自体の温度の上昇度合いが大きくなるため、前述した理由により、耐候性や耐食性に劣るようになる。また、カーボンブラックを含有することで塗膜が親水化しやすくなることも、耐食性には悪影響を及ぼすものと考えられる。
したがって、上塗り塗膜が濃色系塗膜(L≦50)の場合、さらには黒色系塗膜(L≦30)の場合であっても、カーボンブラック以外の黒色塗料、例えば、複合酸化物型の黒色顔料、を使用する。さらに淡色系塗膜であっても、調色のためにカーボンブラックをできるだけ使用しない。許容されるカーボンブラックは多くても0.01%であるが、全く含有しないのが好ましいのはいうまでもない。
上塗り塗膜は、着色顔料以外に、前述したような体質顔料を含有していてもよい。さらに、各種の添加剤、例えば、紫外線吸収剤など、を含有することもできる。
上塗り塗膜の厚みは特に制限されないが、薄すぎては耐食性や耐候性が低下する上、所期の着色外観を安定して得ることができない。厚すぎると、加工性が低下する上、ワキ限界膜厚を超えるため、良好な塗膜の形成が困難となる。従って、上塗り塗膜の厚みは10μm以上、50μm以下とすることが好ましく、より好ましくは30μm以下である。
化粧面側は、通常は上塗り塗膜が最上層である。しかし、所望により、その上に保護用のクリアー塗装を施すことも可能である。
裏面側:
本発明の塗装鋼板の裏面側の被覆構造は特に制限されない。例えば、塗装鋼板の両面が屋外環境で風雨や太陽熱に曝される場合には、裏面側にも化粧面側と全く同じ下地処理、下塗り塗膜、および上塗り塗膜を形成して、両面を化粧面とすることができる。しかし、裏面側は屋外環境の風雨や太陽熱に曝されない、より一般的な使用形態では、コストを考慮して、化粧面側とは異なる処理が施されるのが普通である。
裏面側は、めっきままでもよく、あるいは化粧面側と同じ下地処理のみを施したもの、またはさらに化粧面と同じか、他の適当な下塗り塗膜(プライマー皮膜)だけを形成したものでもよい。或いは、さらに一般的な裏面塗料を塗装してもよい。
ただし、鋼板の温度上昇を抑制する(これにより耐候性、耐食性を向上させる)観点からは、裏面側の熱放射率が大きい方がよい。ここでいう熱放射率とは、4.5〜25μmの波長領域において表面の分光反射率(R(λ))から下記(1)式により算出される放射率αである。なお、分光反射率(R(λ))は、分光光度計を用いて測定することができる。
α=(1−∫4.5 25G(λ)・R(λ)dλ)×100 …… (1)
ただし、
α:放射率(%)
G(λ):プランクの熱放射スペクトル分布において絶対温度293Kとした場合の相対値
R(λ):分光反射率(分光光度計により測定)
熱放射率を高めるには、塗膜中に熱放射率の高い顔料を適当量含有させればよい。このような顔料としては、例えばカーボンブラック、チタニア、アルミナ、ジルコニア等が挙げられる。裏面側には、太陽熱が直接は作用せず、風雨も当たらないので、カーボンブラックを裏面塗料に使用しても、前述したカーボンブラックに起因する太陽熱吸収や塗膜の親水化による耐候性や耐食性の低下が起こる心配はない。
以下に実施例により本発明を具体的に例示する。但し、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。実施例中、%は特に指定しない限り、質量%である。実施例における塗装および塗布型クロメート処理は、いずれもバーコートにより行った。
(1)供試塗装鋼板の作成
母材として、55%アルミニウム−亜鉛合金めっき鋼板(厚み0.5mm、めっき付着量:片面あたり150g/m2相当)を使用した。
下地処理は、市販の塗布型クロメート処理液(日本ペイント製NRC300)を鋼板の両面に30mg/m2(Cr金属換算)の量で塗布し、約100℃で乾燥させることにより実施した。
化粧面には、下地処理の上に市販の尿素樹脂系プライマー塗料(日本グレーべカシュー製セノコイルGP474)またはエポキシ樹脂系プライマー塗料(日本ペイント製NP250)を、乾燥後に表1に示した膜厚になるように塗布し、最高到達板温(PMT)210℃になるように約40秒で乾燥して、下塗り塗膜を形成した。使用したプライマー塗料は、いずれも防錆顔料としてストロンチウムクロメートを、樹脂固形分に対して20%の量で含有しており、またカーボンブラックを全く含有していないものであった。
裏面には、下地処理の上に上記と同じエポキシ樹脂系プライマー塗料をいずれのサンプルも乾燥膜厚みが3μmとなるよう塗装し、化粧面と同様の焼き付け条件にて乾燥させて下塗り塗膜を形成した。
裏面の上塗りとして、ポリエステル系裏面塗料(日本ペイント製SE750)を乾燥膜厚が5μmとなるように塗装し、PMT220℃で約50秒の焼き付けにより乾燥させて、裏面の上塗り塗膜を形成した。この上塗り塗膜はカーボンブラックを約0.5%、チタニアを約5%含有し、裏面の熱放射率は80〜85%であった。
最後に、化粧面の上塗り塗膜を、いずれも黒色の着色塗料を用いて形成した。使用した塗料は、市販のポリエステル樹脂系塗料(関西ペイント製KPカラー1573)およびウレタン樹脂系塗料(日本グレーベカシュー製Y962)に黒色顔料を添加したものであった。黒色顔料としては、カーボンブラックまたは大日本精化製のFe−Cr酸化物系黒色顔料を、樹脂固形分に対してそれぞれ5%または12%の量で使用した。これらの塗料を乾燥後に表1に示す膜厚になるように塗装した後、PMT235℃となるように約60秒間で焼き付けて乾燥させ、化粧面側の上塗り塗膜を形成した。
(2)供試塗装鋼板の評価
得られた各供試塗装鋼板を切断して得た試験片(100×150mm)を暴露試験に供した。暴露地は、沖縄、堺、直江津の3カ所とし、5年間(5回の夏を経過)放置した。
耐食性は、切断面からの塗膜膨れ幅の大きさによって、塗膜膨れ幅が0mm(肉眼で見えない)を◎、1mm以下を○、1〜3mmを△、3mm以上を×と評価した。なお、ここでは端面耐食性を評価したが、傷部耐食性も端面耐食性と類似した傾向を示すことが経験上わかっている。
耐候性は、色差計で色変化(ΔE)を測定して評価した。△Eが大きいほど、色変化が大きく、耐候性に劣ることを意味する。
試験結果を下塗り塗膜と上塗り塗膜の構成と共に表1に示す。
Figure 0004442437
表1からわかるように、上塗り塗膜がカーボンブラックを含有していると、例えば、試験No.4、6、8に示すように、下塗り塗膜が厚み7μm以上と厚膜であっても、ΔE値が著しく増大し、耐候性が著しく低下した。特に日射の強い沖縄で暴露された供試材では、ΔE値が、カーボンブラック無しの1.7(試験No.1、2)から、カーボンブラック有りの12.1へと、カーボンブラックの含有により数倍も大きく変化し、カーボンブラックによる耐候性の悪影響が大きく現れた。また、下塗り塗膜の厚みが同じで、上塗り塗膜のカーボンブラックの有無だけが異なる、例えば、試験No.1と3または2と4を比較するとわかるように、上塗り塗膜がカーボンブラックを含有すると、端面耐食性も劣化傾向を示した。
一方、上塗り塗膜がカーボンブラックを含有していなくても、下塗り塗膜の厚みが7μmより小さいと、試験No.1に示すように、耐候性はよいものの、端面耐食性が著しく低下し、特に降雪地帯であって、環境中の塩分濃度が高い直江津における耐食性が著しく低下した。
これに対し、本発明に従って、下塗り塗膜の厚みが7μm以上で、上塗り塗膜がカーボンブラックを含有していないと、耐候性と耐食性のいずれも良好であった。
特に高い耐候性(小さなΔE値)を示したNo.5の供試塗装鋼板を、腐食性の強い直江津で暴露した供試材について、肉眼では切断端面部の塗膜膨れが全く見えなかったため、切断部の断面をSEMで観察したところ、端面の約50μm程度のめっきのみが一部腐食しているものの、卓越した耐食性を有することが判明した。

Claims (6)

  1. 下地処理が施されたAl含有量50質量%以上の亜鉛−アルミニウム合金めっき鋼板の化粧面側に1層以上の下塗り塗膜と上塗り塗膜とを有する塗装鋼板であって、下塗り塗膜はポリアミンをイソシアネートで硬化させたポリ尿素樹脂を主成分とし10〜50質量%の防錆顔料を含有する塗膜であって、その厚みの合計が7μm以上であり、かつ上塗り塗膜は黒色顔料を含有するがカーボンブラックを実質的に含有しない濃色系塗膜であることを特徴とする塗装鋼板。
  2. 上塗り塗膜が非フッ素樹脂系の塗膜である請求項1に記載の塗装鋼板。
  3. 非フッ素樹脂系の塗膜が硬化剤としてメラミンまたはイソシアネートのどちらか一方または両方を含有するポリエステル樹脂の塗膜である、請求項2に記載の塗装鋼板。
  4. 前記上塗り塗膜に含有される黒色顔料が複合酸化物型の黒色顔料である、請求項1〜3のいずれかに記載の塗装鋼板。
  5. 下塗り塗膜の少なくとも1層もカーボンブラックを実質的に含有しない、請求項1〜4のいずれかに記載の塗装鋼板。
  6. 化粧面の反対側の面に1層以上の塗膜を有し、当該面の熱放射率が70%以上である、
    請求項1〜5のいずれかに記載の塗装鋼板。
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