JP5103111B2 - 塗装鋼板 - Google Patents

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本発明は鋼板表面の外観性および耐腐食性に優れた塗装鋼板に関する。
建材用の鋼板等の外装用鋼板は、厳しい耐腐食性が要求されるため防錆顔料を含む塗料が塗装される。防錆顔料としてはクロム酸ストロンチウム等のクロム系顔料が知られている。しかしクロム系顔料は有害な六価クロムの溶出が懸念されることから、モリブデン酸塩やカルシウム変性シリカを主成分とする防錆顔料が提案されている(特許文献1〜4)。
また、特許文献5にはZn−Al系合金メッキ鋼板に、マグネシウム塩およびリン酸塩を主成分とする防錆塗料を塗装してなる塗装鋼板が開示されている。具体的にはリン酸水素マグネシウム10質量%、リン酸マグネシウム10質量%、リン酸亜鉛10質量%およびトリポリリン酸二水素アルミニウム2質量%を含む防錆塗料を塗装した鋼板が開示されている。
一方で、鋼板は金属表面に由来する独特の美観を有しており、この外観を利用したいという要求がある。特に外装用鋼板においてはこのニーズが高い。しかし従来の防錆塗料から得られる塗膜は透明性に優れるものではなかった。さらに従来は耐腐食性を発現させるために、乾燥塗膜に対して多くの量(30質量%を超える量)の防錆顔料を添加する必要があった。このため従来の防錆塗料が塗装された鋼板は、鋼板本来の外観が生かされたものではなかった。
特開2001−212506号公報 特開2002−030458号公報 特開2001−191447号公報 特開2001−191448号公報 特開2005−169765号公報
本発明は鋼板表面本来の外観を損なうことなく、耐腐食性に優れた塗装鋼板を提供することを目的とする。
発明者は鋭意検討した結果、鋼板表面にリン酸マグネシウムまたはリン酸水素マグネシウムを特定量含む塗膜を形成することにより、上記課題が解決できることを見出した。すなわち上記課題は以下の本発明により解決される。
[1]鋼板の上に、防錆顔料およびポリエステル樹脂を含む塗膜を有する塗装鋼板であって、
前記防錆顔料はリン酸水素マグネシウムまたはリン酸マグネシウムを含み、リン酸水素マグネシウムおよびリン酸マグネシウムの合計量が乾燥塗膜中2〜11.5質量%である塗装鋼板。
[2]前記防錆顔料の全含有量が、前記乾燥塗膜中5〜25質量%である[1]に記載の塗装鋼板。
[3]前記塗膜の厚みが0.5〜30μmである[1]または[2]に記載の塗装鋼板。
[4]前記鋼板の前記塗膜が形成される面に、溶融メッキが施されている[1]〜[3]いずれかに記載の塗装鋼板。
[5]0.5〜30μmの厚みを有する前記塗膜の、380nmから780nmまでのそれぞれの波長の光線透過率の積分値である可視光線透過率が55%以上であって、
JASO M 610−92に準じた腐食試験を100サイクル実施した後に測定した前記塗装鋼板の切断面における塗膜剥離幅または塗膜ふくれ幅の最大値が3mm以下である[1]〜[4]いずれかに記載の塗装鋼板。
本発明により鋼板表面本来の外観を損なうことなく、耐腐食性に優れた塗装鋼板を提供できる。
1.塗装鋼板
本発明の塗装鋼板は、防錆顔料およびポリエステル樹脂を含む塗膜を有し、前記顔料はリン酸水素マグネシウムまたはリン酸マグネシウムを含み、リン酸水素マグネシウムおよびリン酸マグネシウムの合計量が乾燥塗膜中2〜11.5質量%であることを特徴とする。
(1)鋼板
塗装鋼板とは鋼板表面に塗膜を有する鋼板である。塗膜は、鋼板表面に塗料を塗布して(塗装して)得られる。鋼板とは板状の鋼であり塗装鋼板においては「塗装原板」とも呼ばれる。塗装原板の例には冷圧延鋼板;亜鉛メッキ鋼板、55%アルミニウム−亜鉛合金メッキ鋼板(ガルバリウム鋼板またはGLともいう)、亜鉛−6%アルミニウム−3%マグネシウム合金メッキ鋼板、Zn−11%Al−3%Mg−0.2%Si合金メッキ鋼板、溶融アルミニウムメッキ鋼板(アルスター鋼板ともいう)等の溶融メッキ鋼板;ステンレス鋼板が含まれる。
本発明における塗装原板は溶融メッキ鋼板であることが好ましく、中でも55%アルミニウム−亜鉛合金メッキ鋼板、亜鉛−6%アルミニウム−3%マグネシウム合金メッキ鋼板、Zn−11%Al−3%Mg−0.2%Si合金メッキ鋼板、溶融アルミニウムメッキ鋼板であることが好ましい。これらの鋼板のメッキ層には亜鉛、アルミニウムが含まれており、後述するとおり本発明の塗膜との相乗効果により優れた耐腐食性を発現するからである。メッキ層は塗装原板の片面あるいは両面に設けられていればよいが、本発明の塗膜が設けられる面に設けてあることが好ましい。
塗装原板は本発明の塗料によって塗装される前に、必要に応じて酸洗浄、あるいはアルカリ脱脂で表面を洗浄した後、必要に応じてNi析出型表面調整処理を行い、さらに塗布型の塗装前処理層を形成することが好ましい。例えば、塗布型クロメート処理やエッチング作用のあるチタン化合物、ジルコニウム化合物、フッ化物を含む処理液等で塗装前処理を行うことができる。
また、塗装原板の本発明の塗膜を設けられる面とは反対の面は、クロム系、クロムフリー系等、公知の塗装前処理防錆剤で処理されていてもよい。
(2)塗膜
本発明の塗膜はポリエステル樹脂および防錆顔料を含む。
(A)ポリエステル樹脂
ポリエステル樹脂とは主鎖にエステル結合を有するポリマーの総称である。ポリエステル樹脂には結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂があるが、本発明においては、非晶性ポリエステル樹脂が好ましい。工業的に塗装鋼板を製造するためには、数分間という短時間工程において、塗膜の強度と加工性のバランスに優れる塗装鋼板が得られることが好ましい。そのためポリエステル樹脂は熱硬化性を有することが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂の分子量は2000〜20000であることが好ましい。分子量が2000より小さくなると加工性が悪くなる傾向があり、20000より大きくなると耐候性が劣る傾向があるためである。本発明において「〜」はその両端の数値を含む。
本発明のポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、−20〜80℃であることが好ましい。Tgが低いと塗膜硬度が不足し耐薬品性も劣る傾向があり、高いと加工性が劣る傾向があるためである。Tgは示差走査熱量計(DSC)法により測定される。
ポリエステルはその末端に水酸基またはカルボキシル基を有する。本発明のポリエステル樹脂は、水酸基価が2〜40mgKOH/gであることが好ましく、酸価は0.1〜10mgKOH/gであることが好ましい。
水酸基価が40mgKOH/g、または酸価が10mgKOH/gよりも大きくなると、塗膜の耐水性が劣ることがある。一方、水酸基価が2mgKOH/g未満になると、後述するとおり塗膜形成の際に硬化剤を用いた場合に、硬化剤との反応部位が少なくなるため塗膜強度が低下することがある。また酸価が0.1mgKOH/g未満になると塗膜と塗装原板(基材)との密着性が低下するため、例えばプレコート鋼板のように、予め塗装された鋼板を後から加工するという用途への適用が困難になることがある。
酸価はJIS K5601−2−1(滴定法)、水酸基価はISO 4629に準じて測定することが好ましい。
(B)防錆顔料
本発明の防錆顔料はリン酸マグネシウムまたはリン酸水素マグネシウムを必須成分とする。リン酸マグネシウムとはMg(POで表される化合物である。リン酸水素マグネシウムとはMgHPOで表されるリン酸第一マグネシウム、またはMg(HPOで表されるリン酸第二マグネシウムをいう。本発明のリン酸水素マグネシウムとは、上記のリン酸第一マグネシウムまたはリン酸第二マグネシウムをいう。
本発明においては、リン酸水素マグネシウムおよびリン酸マグネシウム合計量が乾燥塗膜中2〜11.5質量%である。乾燥塗膜とは溶剤等の揮発成分を含んでいない塗膜をいう。塗膜中のリン酸水素マグネシウムおよびリン酸マグネシウムの合計量が多いほど塗装鋼板の耐腐食性は向上するが、塗膜の透明性は低下する。逆に、塗膜中のリン酸水素マグネシウムおよびリン酸マグネシウムの合計量が少ないほど塗膜の透明性は向上するが、塗装鋼板の耐腐食性は低下する。塗膜中のリン酸水素マグネシウムおよびリン酸マグネシウムの合計量が2〜11.5質量%の範囲にあると、塗装鋼板の耐腐食性、塗膜の透明性に優れる。
リン酸水素マグネシウムおよびリン酸マグネシウムは併用してもよいが、何れか一方を単独で用いてもよい。リン酸水素マグネシウムまたはリン酸マグネシウムを「Mg系顔料」と呼ぶことがある。
Mg系顔料は腐食抑制機能に優れるため、添加量を比較的少なくできる。その結果、塗膜の透明性を向上させる。Mg系顔料の粒子径は0.5〜5μmであることが好ましい。
(C)その他の成分
本発明の塗膜はMg系顔料以外の防錆顔料を含んでいてもよい。このような防錆顔料の例には、リン酸亜鉛、トリポリリン酸二水素アルミニウムが含まれる。これらは後述するとおり、鋼板に塗装された際に、腐食性雰囲気下にて生成するMgを含む難溶性化合物(Mg含有化合物ともいう)の難溶性をさらに向上させるので好ましい。
Mg系顔料、リン酸亜鉛およびトリポリリン酸二水素アルミニウムを含む防錆顔料添加量は、乾燥塗膜中5〜25質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることが好ましい。
また、本発明においては、必要に応じて紫外線吸収剤および/または光安定剤を添加してもよい。紫外線吸収剤や光安定剤は公知のものを用いてよいが、塗膜焼付け時に分解、劣化したり、塗膜を変色させたり、塗膜の密着性を低下させたりしないものが好ましい。紫外線吸収剤、光安定剤の添加量は特に限定されないが、乾燥塗膜中に0.1〜10質量%程度とすることが好ましい。
本発明の塗膜は硬化剤を含んでいてもよい。硬化剤とはポリエステル樹脂中の水酸基、カルボキシル基等の官能基と反応して、塗膜に架橋構造を付与ために添加される化合物をいう。架橋構造を有する塗膜は、強度・耐熱性等に優れる。硬化剤は公知のものを用いることができ、その例にはメラミン、イソシアネートが含まれる。硬化剤の添加量はポリエステル樹脂100質量部に対して5〜40質量部であることが好ましい。硬化剤の添加量が5質量部未満であると、塗膜の硬度が十分でないことがあり、40質量部を越えると硬化剤の添加効果は飽和し、加工性が低下することがあるためである。
塗膜の厚みは0.5〜30μmであることが好ましく、3〜25μmであることがより好ましい。塗装鋼板としたときの塗膜の透明性、耐腐食性のバランスに優れるからである。塗膜厚みは塗膜に含まれるMg系顔料の量により適宜調整してよい。例えば、Mg系顔料の含有量が高い場合は膜厚を薄くすることができ、Mg系顔料の含有量が低い場合は、膜厚を厚くすることができる。膜厚を調整する際の一つの目安として「塗膜単位面積あたりの顔料の質量(g/m)」がある。当該値は、塗膜の比重を測定する方法や、塗膜中から顔料のみを抽出して重量を測定する方法等により求められる。
本発明においては、塗膜単位面積あたりのMg系顔料の質量が0.2〜1.2g/mであることが好ましい。また、塗膜単位面積あたりのMg系顔料およびこれ以外の防錆顔料の合計質量は0.4〜2.5g/mであることが好ましい。
塗膜がリン酸水素マグネシウムまたはリン酸マグネシウムを含むと、塗装鋼板の切断端面等の下地が露出した部分(下地露出部)に、難溶性のMgを含む化合物(Mg含有化合物ともいう)が生成し、この化合物が腐食抑制機能を発現すると推察される。
図1は本発明の塗装鋼板の切断端面の状態を表す図である。図1において、1は鋼板、2はメッキ層、3は塗膜、5は切断端面の素地露出部である。当該塗装鋼板が腐食性雰囲気に曝されると、腐食性イオンXは切断端面の素地露出部に侵入してくる。このとき塗膜に含まれるMgはイオン化傾向が高いため、侵入した腐食性イオンと反応すべくMgイオンとなって塗膜から溶出する。Mgの溶出に伴いリン酸イオンも溶出し難溶性のMg含有化合物4が生成され、当該化合物により下地露出部が被覆される。切断端面のメッキ層もMg含有化合物4により被覆される。これらの難溶性Mg含有化合物により、塗装鋼板の耐腐食性が向上すると考えられる。図中の矢印は、切断端面からのイオンの流出を、波線矢印は塗膜表面からのイオンの流出を表す。ただしメカニズムはこれに限定されない。
このとき防錆顔料に亜鉛(Zn)成分またはアルミニウム(Al)成分が含まれていると、ZnイオンまたはAlイオンが塗膜から溶出し、Mg含有化合物は、さらにZn成分またはAl成分を含むこととなる。すなわち、Mg含有化合物はMgの他にP成分、Zn成分またはAl成分を含むこととなり、難溶性がより高まるので好ましい。
また鋼板のメッキ層にZn、Al成分が含まれている場合もMg含有化合物はP成分、Zn成分、Al成分をさらに含む化合物となり、難溶性がより高くなるので好ましい。
(3)塗装鋼板
本発明の塗装鋼板は耐腐食性に優れる。塗装鋼板の耐腐食性は公知の方法で評価できるが、本発明においては前記塗装鋼板の端部におけるJASO(社団法人自動車技術会規格) M 610−92に準じて測定することが好ましい。具体的には塗装鋼板に対し以下に示す手順で腐食促進試験を実施し、塗装鋼板端部における塗膜の剥離幅およびふくれ幅を測定する。
[腐食促進試験]
1)温度35±1℃、塩水濃度5±0.5%の塩水を塗装鋼板に2時間噴霧する。
2)塗装鋼板を温度60±1℃、相対湿度20〜30%RH以上の条件で4時間乾燥させる。
3)塗装鋼板を温度50±1℃、相対湿度95%RH以上の条件で2時間湿潤させる。
4)前記1)〜3)を1サイクル試験とし、合計100サイクル試験を行う。
5)100サイクル試験後の塗装鋼板の端部における塗膜剥離幅および塗膜ふくれ幅を測定する。
本発明の塗装鋼板は前記試験における塗膜剥離幅または塗膜ふくれ幅の最大値が3mm以下であることが好ましく、2mm以下であることが好ましい。
本発明の塗装鋼板は塗膜の透明性に優れるため、鋼板が有する金属特有の意匠が生かされた外観に優れた鋼板となる。塗装鋼板の外観性は公知の方法で評価できるが、本発明においては塗膜の可視光線透過率で評価することが好ましい。
可視光線透過率は以下のとおり測定することが好ましい。
1)任意の膜厚の塗膜が塗装された塗装鋼板を準備する。
2)塗装鋼板から塗膜を剥離する。
3)こうして得た塗膜の380nm〜780nmの波長における光線透過率を光度計(例えば日本分光株式会社製、V−570)を用いて測定する。
4)各波長における透過率を積分した値を「可視光線透過率」とする。
本発明の塗膜は前記試験における可視光線透過率が55%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましい。
本発明の塗装鋼板は、ポリエステル樹脂と防錆顔料を含む塗膜の上に、さらに別の塗膜を有していてもよい。別の塗膜の例には、顔料を含まずに樹脂成分のみからなるクリアー塗膜が含まれる。
2.塗装鋼板の製造方法
本発明の塗装鋼板は発明の効果を損なわない範囲で任意に製造されうるが、以下好ましい製造方法を説明する。
本発明の塗料は公知の方法で製造されうる。例えばポリエステル樹脂に防錆顔料、必要に応じて各種添加剤を混合する工程により得られる。混合する手段は特に限定されないが、三本ロール、ビーズミル等を用いることが好ましい。このとき必要に応じて溶媒を加えてもよい。
本発明の塗装鋼板は、このようにして得た塗料を塗装原板に塗布する工程(塗布工程)、当該塗膜を加熱して重合させる工程(焼付工程)を経て製造されることが好ましい。
塗料を塗装原板に塗布する方法の例には、ロールコート、カーテンコート、ダイコート、ナイフコートが含まれる。塗料の塗布量は所望の膜厚となるように調整される。
次に、塗料が塗布された塗装原板を加熱して塗料を重合する。焼付処理は最高到達板温130〜250℃において20〜90秒加熱して行うことが好ましい。
[実施例1〜
1)塗料の調製
ポリエステル樹脂(東洋紡株式会社製、バイロン63CS)、硬化剤(三井サイアナミド株式会社製のサイメル303(メチル化メラミン))、防錆顔料および溶媒(ソルベッソ100:40%,シクロヘキサン:40%,n−ブチルアルコール:10%,キシレン10%)からなる塗料を調製した。
硬化剤の含有量はポリエステル樹脂100質量部に対し30質量部とした。防錆顔料の含有量は、乾燥塗膜(ポリエステル樹脂、硬化剤および防錆顔料の合計量)に対する質量%が表1の量となるようにした。溶媒の含有量は、防錆顔料と樹脂の合計量が塗料の63質量%となるように混合した。
2)塗装鋼板の調製
55%アルミニウム−亜鉛合金メッキ鋼板を準備し、当該鋼板表面にアルカリ脱脂洗浄を施した後、エッチング作用のあるチタン化合物、ジルコニウム化合物、フッ化物を含む処理液等で処理した。
次に前記のとおり調整した塗料を当該鋼板に塗布して塗布膜を形成した。次いで当該鋼板を210±10℃で35秒加熱して焼付処理を行った。塗布膜の厚みは、焼付後の塗膜の厚みが1〜25μmとなるように調整した。
3)耐腐食性試験
このようにして得た塗装鋼板を150mm×90mmの大きさに切断し、既に述べた方法により耐腐食性試験を行った。耐腐食性は、鋼板のエッジ部分の塗膜剥離幅または塗膜ふくれ幅の最大値で評価した。結果を表1に示す。
4)遊離塗膜の調整
PFAフィルムを積層した、55%アルミニウム−亜鉛合金メッキ鋼板を準備した。前記のようにして得た塗料を当該鋼板のPFAフィルムの上に塗布し塗布膜を形成した。次いで当該鋼板を210±10℃で35秒加熱して焼付処理を行った。塗膜の厚みは、焼付後の塗膜の厚みが1〜25μmとなるように調整した。焼付後、ポリエステル樹脂塗膜をPFAフィルムから剥離し、遊離塗膜を得た。PFAフィルムは、水や油をはじきやすく、ポリエステル樹脂が付着しても容易に剥離できるフィルムであり、当該ポリエステル樹脂塗膜も容易に剥がすことができた。
5)塗膜の可視光線透過率
上記のようにして得た遊離塗膜を用いて、既に述べた方法により可視光線透過率を測定した。結果を表1に示す。
[比較例1〜1
用いる防錆顔料の量および種類が異なる以外は実施例と同様にして、比較用塗装鋼板を調製した。得られた塗装鋼板を用いて実施例と同様にして耐腐食性試験を行った。さらに得られた塗装鋼板から剥離して得た塗膜を用いて、実施例と同様にして塗膜の可視光線透過率を評価した。結果を表1に示す。
Figure 0005103111
実施例1〜と比較例1〜1の比較から、本発明の塗装鋼板は耐腐食性に優れ、かつその塗膜の可視光線透過率が高いことが明らかである。また実施例と比較例5、6の比較から、リン酸水素マグネシウムまたはリン酸マグネシウムが、塗装鋼板の優れた耐腐食性および塗膜の透明性に大きく寄与していることが明らかである。特に、実施例1と比較例2、10の結果から、塗膜の膜厚は0.5〜30μmの範囲が好適であることが明らかである。
本発明の塗装鋼板は、鋼板表面本来の外観性および耐腐食性に優れるため、外装用塗装鋼板として有用である。
本発明の塗装鋼板の切断端面の状態を表す図
符号の説明
1 鋼板
2 メッキ層
3 塗膜
4 Mg含有化合物
5 切断端面素地露出部
X 腐食性イオン

Claims (3)

  1. 鋼板の上に、防錆顔料およびポリエステル樹脂を含む塗膜を有する塗装鋼板であって、
    前記防錆顔料はリン酸水素マグネシウムまたはリン酸マグネシウムを含み、
    前記リン酸水素マグネシウムおよび前記リン酸マグネシウムの合計量は、乾燥塗膜中2〜11.5質量%であり、
    前記防錆顔料の合計量は、乾燥塗膜中5〜15質量%であり、
    前記塗膜の厚みは、0.5〜30μmである、
    塗装鋼板。
  2. 前記鋼板の前記塗膜が形成される面に、溶融メッキが施されている請求項1に記載の塗装鋼板。
  3. 記塗膜の、380nmから780nmまでのそれぞれの波長の光線透過率の積分値である可視光線透過率が55%以上であって、
    JASO M 610−92に準じた腐食試験を100サイクル実施した後に測定した前記塗装鋼板の切断面における塗膜剥離幅または塗膜ふくれ幅の最大値が3mm以下である
    請求項1に記載の塗装鋼板。
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