JP3818016B2 - 耐疵付き性に優れた意匠性クリア塗装金属板 - Google Patents

耐疵付き性に優れた意匠性クリア塗装金属板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に末端ユーザーが取り扱う際の耐疵付き性に優れ、外板として使用するのに適した、意匠性クリア塗装金属板に関する。
【0002】
本発明のクリア塗装金属板は、疵がつきにくく、また疵が付いても目立ちにくいという特長を有し、塗装基材の金属色の外観を保持しているが、金属反射に特有のギラギラ感を抑えた、落ち着きのある意匠性を有する。従って、この塗装金属板は、人目につきやすい家庭用や業務用の電気機器、屋内外器物等に使用するのに適している。また、シャッターのスラット材といった摺動部材として使用される塗装鋼板への適用可能性も考えられる。
【0003】
【従来の技術】
冷延鋼板やめっき鋼板を使用した製品の組立では、人の目に触れる外板は、耐食性や意匠性の向上を目的として、何らかの塗装が施されて使用されることがほとんどである。そのような塗装は、従来は製品の組立終了後に塗装するアフターコート方式により行ってきたが、最近は予め塗装を施した塗装鋼板(プレコート鋼板)の使用が増加してきている。
【0004】
塗装鋼板の使用割合が増えているのは、(1) 客先の工程省略に役立つ、(2) 脱脂、塗装といった薬品を使用する煩雑な作業を避けることができる、(3) 都会近郊に立地した家電製品工場の場合は、塗装工場を更新しにくい、といった理由によるものである。それらの理由に加えて、最近では(4) 特殊な機能付与が可能、(5) 意匠性付与が可能といった、塗装鋼板の性能向上を狙った積極的な理由も挙げられるようになってきた。
【0005】
そのため、素材の美麗さを生かすため従来は塗装せずにそのまま使用することが多かった、ステンレス鋼板やスパングル模様を持つめっき鋼板(例えば、55%Al含有Al−Zn合金溶融めっき鋼板) のような金属板についても、より高度の耐食性や耐疵つき性を付与する、耐指紋性(指紋の付着を目立ちにくくする)を付与する、といった機能付与の要求から、着色顔料を含有させない透明な塗装(クリア塗装) を施す場合が増えている。
【0006】
特開平5−228433号号公報には、成形加工中の塗膜疵つきや塗膜剥離が発生しにくい塗装鋼板として、平均粒径が塗膜厚の1/2 倍で、最大粒径のものが塗膜厚の2倍以下である粉末骨材を塗膜中に分散させた塗装鋼板が開示されている。粉末骨材としては、シリカ粉末、ポリテトラフルオロエチレン粉末、マイカ粉末が示されている。
【0007】
確かに、このような骨材の添加により塗膜の耐疵つき性は向上するが、添加する骨材の屈折率と塗膜のバインダー樹脂との屈折率の差が大きすぎるため、塗膜に白濁感が残る。従って、金属板の外観が美麗な場合に、その外観を生かすために透明性の高い塗膜を設けようとしても、折角の美しい外観が塗膜により損なわれる結果となる。
【0008】
特開平7−136585号公報には、アクリル樹脂を主体とする最上層の塗膜中に繊維状、粒状と粉状のように形状の異なる2種以上の混合骨材を含有させた、耐疵つき性と耐摩耗性に優れた塗装金属板が開示されている。しかし、この塗膜では、美麗な金属板の外観を生かしたクリア意匠性を保持できない。
【0009】
特開平5−169584号および同5−106057号各公報には、塗装下地による着色のない塗装ステンレス鋼板が開示されている。これらは、高還元率で燐酸イオンを添加したクロメート処理(特開平5−106057号公報)か、またはコロイダルシリカ処理(特開平5−169584号公報)を下地処理として施した後、透明のフッ素樹脂を被覆したものである。
【0010】
フッ素樹脂被覆により優れた耐候性も発現できるが、フッ素樹脂は高価であるので経済性に劣る上、高度な加工性(例えば、0T密着曲げ可能)を発現することは困難である。これは、フッ素樹脂、特にフッ化ビニリデン樹脂の経時的な結晶化に伴う加工性の低下によるものである。結晶化を抑制すべく技術開発が行われてきているが、現状では0T〜2T曲げを確保することは困難である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
塗装金属板で作られた電機製品や屋内外建材の表面は、金属タワシや磨き砂をつけて掃除されることが多いが、耐摩耗性が不十分であると、その際に疵がついて、塗膜の透明性や光沢が著しく損なわれる。
【0012】
特に、ステンレス鋼板、アルミニウム板、55%Al−Zn合金溶融めっき鋼板といった、金属光沢が良好な金属板にクリア塗装を施して、素材の良好な外観を保持しながら耐疵つき性を向上させた塗装金属板では、塗膜に疵がつくと、疵が非常に目立って意匠性が劣化する。しかし、従来のクリア塗膜を設けた塗装金属板には、金属タワシや磨き砂で洗浄した場合の疵つきに耐えるか、疵が目立たないものがなく、このような洗浄にも耐えうる耐摩耗性を備えるか、疵が目立ちにくい、耐疵付き性に優れた塗装金属板が求められている。
【0013】
この耐疵付き性に加えて、塗装金属板には高い加工性も求められる。透明性がよく、意匠性の高いクリア塗膜を設けても、塗装鋼金属板の加工性が劣る場合は、家電製品外板としてのデザインや用途が制限されることになるからである。
【0014】
本発明は、塗装基材の金属色を生かしながら、反射を抑えた落ち着きのある外観を付与するという意匠性に加え、耐疵つき性、加工性の3つの特性を満たした、クリア塗装を施した意匠性塗装金属板を提供することを課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、
▲1▼金属板の表面に形成したクリア塗膜の表面粗さの形状を制御することにより、末端ユーザーでの取り扱いによりクリア塗膜に疵がついても疵が目立ちにくく、実用上問題のない耐疵付き性が得られること、
▲2▼基材の金属板の明度と塗装後の明度の差を特定の測定条件で一定範囲に抑えることにより、塗膜表面の反射光が拡散し、落ち着いたクリア外観を呈するようになること、
▲3▼このような表面粗さと明度差は塗膜に適度な粒径および量の骨材を添加することで達成できること、
を見出し、本発明に到達した。
【0016】
ここに、本発明は、金属板の少なくとも片面にクリア樹脂塗膜を有する、塗装基材の金属板の金属色を生かしたクリア塗装金属板であって、
(1)該塗膜の表面粗さ形状における中心線平均傾斜(Rθ)が0.015°以上、中心線平均波長(Rλ)が0.1mm以下であり、
(2)前記塗膜と塗装下の金属板表面との明度の差(ΔL)が、JIS Z 8722(1994)に定める45−n条件とD−n条件での分光測色値から求めて、45−n条件では20以下、D−n条件では−20以上である、
ことを特徴とする、耐疵付き性に優れた意匠性クリア塗装金属板である。
【0017】
上記のクリア樹脂塗膜は、耐食性を確保するため、下塗りと上塗りの少なくとも2回の塗装で形成して、塗膜のピンホール、疵つきによる塗膜の破れを防止することが好ましい。その場合、塗膜表面が上記(1) に規定した表面粗さ形状を有するようにするには、下塗り塗膜と上塗り塗膜の少なくとも一方に、樹脂またはガラスの粒子といった骨材を添加することが有効である。それにより、疵を目立ちにくくする表面粗さ形状が付与されるのみならず、骨材が硬い材質のものである場合には塗膜が堅牢化して、耐疵つき性(耐磨耗性)も向上する。また、添加する骨材は、形状、粒径、添加量が適当であれば、塗装下の金属板表面との明度の差を上記(2) に規定する範囲内とすることもでき、金属板固有のギラギラ感が抑えられた、落ち着いたクリア外観を得ることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
金属基材
本発明のクリア塗装金属板の基材となる金属板は、特に制限されるものではないが、好適な素材の例としては、ステンレス鋼板、アルミウム板、各種めっき鋼板が例示される。めっき鋼板は溶融めっき、電気めっき、気相めっきのいずれにより製造したものでもよく、めっき金属種は亜鉛、亜鉛合金、錫、アルミニウム等が代表的である。
【0019】
本発明の塗装金属板はクリア塗膜を有するので、従来より無塗装で使用されてきたような、美麗な外観を持つ金属板基材が好ましい。このような金属板としては、ステンレス鋼板、アルミニウム板、および溶融亜鉛系めっき鋼板が挙げられる。
【0020】
ステンレス鋼板としては、SUS 430, SUS 430LX, SUS304等が例示され、表面仕上げ2BまたはBAの光沢品や、研磨等で意匠性を高めたステンレス鋼板が適当である。好ましいアルミニウム板は1100番、3004番、5052番等である。溶融亜鉛系めっき鋼板としては、例えば、美麗なスパングル模様を持つ溶融亜鉛めっき鋼板や溶融Al−Zn合金めっき鋼板が挙げられ、特にAl含有量が55質量%付近のAl−Zn合金鋼板はスパングル模様が美しく、従来より無塗装で使用されることが多かったので、本発明で使用する基材めっき鋼板として最適である。
【0021】
このような金属板をそのまま使用すると、金属タワシによる洗浄や磨き砂による洗浄で機材表面に簡単に傷がつくため、外観の意匠性 (美麗さ) が低下する。その上、傷つき部には汚れが付着しやすいので、さらに意匠性の低下を招くことになる。また、金属板の光沢度によっては反射性が高すぎ、表面が光りすぎてギラギラする。また、高光沢の金属板では、正反射光の正面から少しでも視点をずらすと、少しの疵でもその部分の反射性の違いとして疵が目立つことになる。
【0022】
本発明では、これらの金属板の表面に、必要に応じて、適当な塗装下地処理を施した上に、意匠性に優れたクリア塗膜を形成する。それにより、その美麗な外観を見せたまま落ち着いた金属光沢を持つ外観を付与すると同時に、表面の耐疵付き性を高めることができ、また疵がついても疵が目立ちにくくなり、さらに加工性も良好なレベルに保持することができる。
【0023】
塗装下地処理
基材の金属板の下地処理は必須ではないが、下地処理により耐食性と塗膜密着性の改善を得ることができるため、塗装金属板において一般に採用されており、本発明でも下地処理を施すことが好ましい。
【0024】
下地処理としてはクロメート処理が好ましく、作業性の点で塗布型クロメート処理が有利であるが、電解型や反応型クロメート処理も適用可能である。金属クロム換算のクロメート付着量は、10〜200 mg/m2 の範囲が好ましい。クロメート付着量があまりに少ないと、塗膜の密着性が十分得られず、過大になると加工性の低下を招くことになる。
【0025】
本発明で使用するのに好適な塗布型クロメート処理液の市販品の1例は、日本ペイント製NRC 300 である。塗布型クロメート処理液は、常法に従ってロールコータ等で塗布し、熱風で50〜150 ℃に加熱して乾燥させることで下地処理を実施すればよい。
【0026】
素材の外観を生かすためにクロメート皮膜の黄色みを抑制したい場合には、クロム還元率の高いクロメート処理を施せば良い。そのようなクロメート処理液の市販品の1例は、日本ペイント製NRC 500 である。
【0027】
環境問題から6価クロムを使うクロメート処理を実施したくない場合には、クロムフリーの下地処理を施すこともできる。これまでに開発され、あるいは今後開発される適当なクロムフリー下地処理液を利用することができるが、現時点での適当な市販品の1例は、シリカ系下地処理液である日本ペイント製サーフコートである。
【0028】
クリア塗装
本発明で基材の金属板の少なくとも片面に形成するクリア塗膜は、
(1) 該塗膜の表面粗さ形状において
(1-1) 中心線平均傾斜Rθa ≧ 0.015°、
(1-2) 中心線平均波長Rλa ≦0.1 mm、
(2) 塗装下の金属板表面との明度の差ΔL* が、JIS Z 8722(1994)に定める45-n条件とD-n 条件での分光測色値から求めて、
(2-1) ΔL* (45-n)≦20、
(2-2) ΔL* (D-n) ≧−20 (絶対値が20以下) 、
という要件を満たせば、その成分組成や構造は特に制限されない。
【0029】
このクリア塗膜は、1層だけとすることもできるが、1層だけであると耐食性が不十分となることがあるので、金属板の塗装で一般に採用されているように、下塗り塗膜と上塗り塗膜の2層のクリア塗膜を形成することが好ましい。後述するように、さらに中塗り塗膜を設けて、クリア塗膜を3層以上とすることも可能である。本発明では、このクリア塗膜の少なくとも1層に、後述するように樹脂またはガラス粒子といった骨材を適正量配合することにより、得られたクリア塗膜が上記(1) に規定した表面粗さ形状と上記と(2) に規定した明度とを有するようにすることができる。
【0030】
下塗り塗膜
下塗り塗膜の樹脂種は特に制限されるものではなく、熱可塑性と熱硬化性のいずれでもよいが、エポキシ、ポリエステルおよびウレタンから選んだ1種以上のバインダー樹脂を主成分とする焼付け型塗料から下塗り塗膜を形成することが好ましい。これらの樹脂は、特に金属板のような無機系基体に対して密着性に優れ、加工性も良好な塗膜を形成することができる。使用する塗料は水性系と有機溶剤系のいずれでもよい。
【0031】
エポキシ系塗料は各種のものが市販されており、それらを適当に使用すればよい。例えば、メラミン、アミン、またはイソシアネートを架橋剤として含有するエポキシ系塗料でよい。エポキシ樹脂種としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。
【0032】
ポリエステル系塗料は、熱可塑性ポリエステル樹脂にメラミンやイソシアネートを架橋剤として配合して焼付け型としたものが好ましい。ポリエステルとしては、分子量が5千から2万程度のいわゆる高分子量ポリエステル樹脂が、加工性の観点から好適である。架橋剤としては、エチルアルコールやブチルアルコールで変性したメラミンを使用することができ、場合によってパラトルエンスルホン酸やドデシルベンゼンスルホン酸等を触媒として適宜使用する。
【0033】
ウレタン系塗料は、ポリエステルポリオールを黄変型ポリイソシアネートまたは無黄変型ポリイソシアネートで架橋反応させて塗膜を形成する種類の塗料である。架橋剤の例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)等が使用できる。この場合も、ジブチル錫ジラウレート(DBTL)等の触媒を適宜使用してもよい。
【0034】
下塗り塗膜に骨材を添加する場合、耐摩耗性の向上の点で塗膜を構成するバインダー樹脂の硬化塗膜よりも硬い材質のものが好ましく、またバインダー樹脂との接着性に優れた表面を有するものがよい。下塗り塗膜だけに骨材を添加しても、上塗り塗膜を形成した後のクリア塗膜の耐摩耗性を改善でき、また表面粗さを本発明で規定するように調整することもできる。
【0035】
骨材は透明でなければならないので、ガラスまたは透明樹脂の粒子を使用することが好ましい。2種以上の骨材の混合物も使用できる。骨材の粒径や形状は、均一に揃っていても、ばらつきがあってもよく、また2種以上の粒径や形状の異なる骨材の混合物でもよい。
【0036】
骨材の形状は、球形が好ましいが、卵型や楕円体であってもよい。このようななめらかな形状の骨材を使用すると、塗膜中のバインダー樹脂/骨材の界面での光の拡散反射が減少し、塗膜の濁りが解消でき、透明感のよい塗膜となるので、塗装金属板の意匠性の発現に有効である。この点に関して、骨材が球形粒子であると、塗膜中のバインダー樹脂/骨材の界面の面積が最小になるので、最も有利である。不定形の形状を持つ骨材粒子は、塗膜の透明性を損なうので、本発明で使用するには適していない。いずれにしても、骨材を混入した塗膜が、本発明で規定する上記(1) の表面粗さと(2) の色差を有していればよく、そのような塗膜は 球形等のなめらかな形状の骨材を使用することにより容易に得ることができる。
【0037】
骨材の粒径 (球形以外の形状では、短径と長径の平均値を粒径とする) は、1〜20μmの範囲内が好ましい。粒径1μm未満の骨材は凝集しやすく、塗膜の透明性をかえって阻害する。下塗り塗膜中の骨材の粒径が20μmを越えると、その上に上塗り塗膜を形成しても、塗膜外観にブツブツ感が現れて、塗装金属板の意匠性が低下する。下塗り塗膜中の骨材の粒径は、好ましくは5〜15μmの範囲内である。
【0038】
最も好ましい骨材はガラス粒子である。樹脂粒子を用いる場合には、バインダー樹脂との接着性を確保するために、極性表面を有する樹脂粒子を用いることが好ましい。このような樹脂粒子の具体的な樹脂種としては、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル、メラミン、ポリアミド等が例示される。ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のような非極性表面を持つ樹脂粒子が下塗り塗膜に存在すると、塗膜中のバインダー樹脂との接着性が不十分であることから、塗膜の凝集強度の低下を招くほか、上塗り塗膜の密着を阻害するため、下塗り塗膜には非極性表面を持つPTFE等の樹脂粒子を存在させないようにするのがよい。ガラス粒子は一般に極性表面を有しており、バインダー樹脂との接着性は十分に高いが、シランカップリング剤等のカップリング剤で処理してバインダー樹脂との接着性をさらに高めることもできる。
【0039】
下塗り塗膜への骨材の添加量は、質量%で5〜20%の範囲内が好ましい。骨材を20%を超えて添加しても、効果が飽和する上、多量の骨材の添加は塗膜の加工性を低下させることがある。
【0040】
下塗り塗膜は、好ましくは上述の下地処理を施した金属板の上に、ロールコータ、スプレー等を使用して塗装し、加熱して塗膜を焼付けることにより形成することができる。塗膜厚みは乾燥後の膜厚で3〜15μm程度が好ましく、焼付けは鋼板の最高到達温度が約 150〜250 ℃となるように約30〜60秒間で行うことが好ましい。加熱には、従来の熱風吹き付け型オーブンや誘導加熱、赤外線加熱などの通常の方法が利用できる。
【0041】
上塗り塗膜
[表面粗さ形状]
下塗り塗膜の上に上塗り塗膜を形成してクリア塗膜を完成した時に、上塗り塗膜の表面の表面粗さ形状が、前述した(1) に規定したように、中心線平均傾斜Rθa で 0.015°以上、中心線平均波長Rλa で0.1 mm以下となるようにする。クリア塗膜がこのような表面粗さ形状を持つと、疵が目立ちにくくなり、末端ユーザーでの取り扱いにより発生した疵のみならず、塗装金属板の製造過程での取り扱い中に発生した疵やゴミ・ブツ等の微少な塗装欠陥等が目立たなくなるので、生産性や歩留まりの向上にも効果を発揮する。
【0042】
中心線平均傾斜Rθa が 0.015°未満と小さいと、塗膜表面での正反射率が高く、微少な疵まで視認可能な外観となる。Rθa が0.05°を越えると、クリア塗膜の透明感が低下し、金属生地の意匠性が損なわれることがあるので、Rθa は0.05°以下であることが好ましい。Rθa は、好ましくは0.02〜0.04の範囲である。
【0043】
中心線平均波長Rλa が0.1 mmを越えると、特に材料の加工や製品の移動で発生する擦り疵 (長さと方向を有する疵) がピッチとして目立ち易くなる。Rλa の値があまりに小さい場合には、疵の幅の方が大きくなると、逆に疵が目立ち易くなり、好ましくない。好ましいRλa の値は0.02〜0.07の範囲内である。
【0044】
クリア塗膜の表面粗さ形状は、下塗り塗膜と上塗り塗膜の少なくとも一方に含有させる骨材の形状、粒径、配合量により調節することができる。
本発明における表面粗さ形状の規定は、東京精密 (株) が定めるサーフコム1500A の規格に準拠したものである。表面粗さ形状の中心線平均傾斜Rθa と同一概念の規格としては、ISO 4287/1に定めるΔa(但し、断面曲線と粗さ曲線とを区別していない) 、ANSI B46.1に定めるΔa 、DIN 4762に定めるΔa 等があるが、JIS 規格には該当する概念が存在しない。中心線平均波長Rλa についても同様である。
【0045】
表面粗さ形状の測定は、本発明では粗さ曲線 (R) を基にした。表面粗さを規定する曲線としては、粗さ曲線の他に、断面曲線 (P) 、ろ波うねり曲線 (WC) 、ろ波中心線うねり曲線 (WCC)、転がり円うねり曲線 (WE) 、転がり円中心線うねり曲線 (WEC)が挙げられる。いずれの場合でも、疵の見えにくさを規定するのに有効な表面形状が傾斜であることは同様である。
【0046】
また、本発明では、表面粗さの形状を中心線平均値で規定したが、自乗平均値により規定することも可能である。
[色差、ΔL* ]
本発明の塗装金属板のクリア塗膜は、金属素材の生地を生かした意匠性を呈するために、塗装下の金属板 (塗装原板) との明度の差 (ΔL* ) を、JIS Z 8722(1994)に定める45-n条件とD-n 条件での分光測色法により求めた時に、45-n条件では20以下、D-n 条件では−20以上とする。それにより、塗膜表面の反射光が拡散して、金属素材のギラギラ感が抑えられ、落ち着いた外観を持つ意匠性が得られる。
【0047】
上記2種類の分光測色条件は、照明と受光との幾何学的条件に関する。
45-n測色条件とは、試料の法線(normal)に対して入射角45°で照明し、受光角0° (=法線方向) の反射光を分光測色する条件であり、この条件での測色から求めたΔL* 値は、クリア塗膜の透明感 (斜めから見た時の金属素材の生地の発現状態) を規定する。この測色条件では、塗装後の明度[(CIE1976)L* * * 表色系におけるL* ) の値は、塗装下の原板での値より大きくなり、その差が増大するほど、斜めから見た時のクリア塗膜の透明感が失われていることを意味する。45-n測色条件を採用する色彩色差計としては、スガ試験機社製カラーコンピュータSM-3が挙げられる。
【0048】
D-n 測色条件は、拡散(diffusion) 照明下、試料の法線に対して受光角0°で正反射光を含む反射光を分光測色する条件である。D-n 測色条件で求めたΔL* の値は、正反射光に色刺激が多い金属の色彩 (正面から見た時に金属素材の生地の発現状態) を規定する。この測色条件では、塗装後の明度の値は塗装下の原板での値より小さくなるので、ΔL* の値はマイナスとなる。このマイナスの大きさが増大するほど、正面から見た時のクリア塗膜の透明感が失われていることを意味する。D-n 測色条件を採用する色彩色差計としては、ミノルタ社製CR-300シリーズが挙げられる。
【0049】
45-n測色条件でのΔL* が20を越えると、斜めから見た場合の金属素材の生地を生かした意匠性が失われ、D-n 測色条件におけるΔL* が−20より小さくなる (マイナスの絶対値が20を超える) と、正面から見た時の金属素材の生地を生かした意匠性が失われる。この両方の測色条件でのΔL* が本発明の範囲にならないと、金属質の外観を呈する塗膜の透明感を得ることができない。好ましいΔL* 値は、45-n条件では15以下、さらに好ましくは10以下、D-n 条件では−10以上、さらに好ましくは−5以上である。
【0050】
上記の45-n測色条件とD-n 測色条件でのΔL* 値も、塗膜への骨材の配合状況により変動し、骨材の配合量が増えるほど、45-n条件でのΔL* が増大し、D-n 条件でのΔL* が減少 (絶対値が増大) する傾向がある。従って、塗膜への骨材の配合量や骨材の形状、粒径は、上記両条件でのΔL* 値が本発明で規定する範囲内となるように設定する必要がある。
【0051】
前述したように、本発明の塗装金属板では、下塗り塗膜だけに骨材を含有させることも可能であるが、骨材を上塗り塗膜に含有させた方が、塗膜の表面粗さ形状とΔL* で規定される塗膜の反射性をより効率的に制御することができる。従って、少なくとも上塗り塗膜には骨材を含有させることが好ましい。また、上塗り塗膜に含有させる骨材として、そのバインダー樹脂の塗膜よりも硬いものを選ぶと、疵付きを目立ちにくくする上に、塗膜が堅牢 (硬質) になって、塗膜の耐摩耗性が増大し、疵が付きにくくなる。
【0052】
上塗り塗膜に含有させる骨材は、下塗り塗膜に関して既に説明したものと同様でよい。即ち、ガラスや樹脂の粒子を使用することができ、特にガラス粒子が好ましい。樹脂粒子の場合の樹脂種や、骨材の粒子形状、粒径、配合量も下塗り塗膜について述べたのと同様である。粒子形状は球形が最も有利である。
【0053】
但し、上塗り塗膜には、骨材に加えて、または骨材に代えて、摩耗低減効果のある固体潤滑剤を含有させることができる。それにより塗膜の加工性がさらに改善される。この固体潤滑剤も塗膜の表面性状に影響を及ぼすので、固体潤滑剤の形状、粒径、配合量は、本発明で規定する塗膜の表面粗さ形状や色差が得られるように調整する。上塗り塗膜に骨材を添加せず、固体潤滑剤だけを添加しても、本発明で規定するクリア塗膜を得ることが可能である。しかし、固体潤滑剤の粒子は硬さが不十分であることが多いので、塗膜の耐疵付き性を向上させるために骨材を併用することが好ましい。
【0054】
固体潤滑剤も透明なものを使用する。好ましい固体潤滑剤はPTFE等のフッ素樹脂粉末である。表面が非極性でバインダー樹脂との接着性が弱いPTFEの粒子が上塗り塗膜中に存在しても、その配合量が多くなければ、十分な塗膜密着性や塗膜強度を確保することができる。非極性表面を持つ樹脂粒子の上塗り塗膜中の配合量は5質量%以下、特に2質量%以下とすることが好ましい。また、この粒子の粒径が大きすぎると、塗膜強度が低下するので、PTFE等の非極性表面を持つ粒子の粒径は10μm以下とすることが好ましい。
【0055】
上塗り塗膜のバインダー樹脂も特に制限されず、従来より金属板のクリア塗装に使用されてきた任意の樹脂を利用することができる。好ましくは、ポリエステルおよびウレタンから選んだ1種以上の樹脂を主成分とする焼付け型塗料から上塗り塗膜を形成する。ポリエステルおよびウレタンは、下塗り塗膜に関して上に説明したものと同様でよいが、ウレタンについては、ε−カプロラクタムやMEKオキシムでブロックした無黄変型イソシアネートを用いて架橋させることが好ましい。その他、アクリル樹脂等の比較的硬い皮膜を形成する樹脂種も使用することができるが、骨材との硬度差が小さくなるので、塗膜の耐疵付き性がやや低下することがある。
【0056】
上塗り塗膜も、下塗り塗膜と同様に塗装し、加熱して塗膜を焼付けることにより形成すればよい。塗膜厚みは、乾燥後の厚みで10〜25μm程度がよく、焼付けは鋼板の最高到達温度が約 150〜250 ℃になるように約30〜70秒間で行うことが好ましい。
【0057】
中塗り
通常は、上述のように、下塗りと上塗りとの2層の塗膜を形成させるが、更に疵付きによる下地の露出を防止する目的で、中塗りを設けて塗膜を3層化することも可能である。その場合、中塗り塗膜中に骨材となる粒子を配合してもよく、さらに下塗りと上塗りの一方または両方に骨材粒子を配合してもよい。
【0058】
以上に説明したクリア塗膜は、基材の金属板の外面側に向けられる片面だけに形成すればよいが、両面に形成してもよいのはもちろんである。片面だけに形成した場合、反対側の表面は、基材の種類や用途に応じて、裸か、下地処理だけを施してもよく、さらには別の塗装を施してもよい。
【0059】
本発明の塗装金属板の製造方法について上に説明したが、これは例示にすぎない。本発明のクリア塗装金属板は、前述した塗膜の表面粗さと塗装下の原板との色差の要件を満たす限り、その製造方法は特に制限されるものではない。従って、塗膜の構成(例、骨材の粒径や配合量)が上述した範囲をはずれていても本発明の塗装金属板が得られることもある。逆に、塗膜の構成が上記範囲内であっても、表面粗さまたは色差が本発明の要件からはずれることもある。当業者であれば、上記の説明に基づいて、本発明の要件を満たすクリア塗装金属板が得られる塗膜構成を実験により適宜設定することができる。
【0060】
製造方法や塗膜構成がどうであれ、上記(1) および(2) の要件を満たすクリア塗装金属板は、疵が目立たず、素材の金属板の生地を生かした落ち着いた外観を持つ、意匠性に優れた塗装金属板となる。さらに、骨材が塗膜のバインダー樹脂より硬いと、耐疵付き性が向上する。また、各塗膜のバインダー樹脂や骨材や固体潤滑剤の種類とその配合量を適切に選択すると、加工性も良好となる。
【0061】
【実施例】
供試材の作成方法
SUS 430(板厚み0.5 mm、No.4表面仕上げ)ステンレス鋼板を基材金属板として使用し、その片面に、日本ペイント製NRC 300 塗布型クロメート処理液を、クロム付着量が30 mg/m2となるようにバーコータで塗布し、最高到達温度が100 ℃となるように約10秒間加熱して、下地のクロメート皮膜を形成した。
【0062】
こうして下地処理を施したステンレス鋼板のクロメート皮膜を形成した面に、下記から選んだ下塗り塗料と上塗り塗料を、それぞれ表1に示す乾燥膜厚になるようにバーコータで塗布し、焼付けを行って、2コート2ベーク方式で塗装ステンレス鋼板を作製した。下塗り塗料と上塗り塗料の一方または両方に、下記に示す球形粒子 (以下、ビーズという) を骨材として添加し、上塗り塗料にはさらに場合により固体潤滑剤のPTFE粒子を添加し、ペイントシェーカーを用いて粒子を均質に分散させてから塗布に供した。塗膜の焼付けには熱風オーブンを使用し、鋼板の最高到達温度は下塗り塗料では210 ℃、上塗り塗料では230 ℃とし、焼付け時間は下塗り塗料では40秒、上塗り塗料では50秒とした。
【0063】
参考のために、上塗り塗料と下塗り塗料のどちらもビーズを含有しないか、ビーズの代わりにシリカを骨材として配合した塗装ステンレス鋼板も同様に作製した。
【0064】
[下塗りクリア塗料]
▲1▼エポキシ系塗料(記号P−E)
日本ペイント製p670(エポキシ系クリア塗料)を使用。
▲2▼ポリエステル系塗料(記号P−P)
東洋紡製バイロン29CS(ポリエステル)と三井サイアナミド製サイメル303(メチルアルコール変性メラミン)とを固形分質量比が8:2になるように混合して得た樹脂液に、触媒としてPTSA (パラトルエンスルホン酸) を樹脂固形分に対して0.3 質量%の量で添加して、クリア塗料を調製した。
▲3▼ウレタン系塗料(記号P−U)
住友バイエルウレタン製アルキノール2013(ポリオール)と同社製イソシアネート(TDI)とを固形分質量比が6:4になるよう混合した樹脂液に、触媒としてDBTDL(ジブチル錫ジラウレート) を樹脂固形分に対して0.1 質量%の量で添加して、クリア塗料を調製した。
【0065】
[上塗りクリア塗料]
▲1▼ポリエステル系塗料(記号T−P)
東洋紡製バイロン63CS(ポリエステル)と三井サイアナミド製サイメル303(メチルアルコール変性メラミン)とを固形分質量比が85:15になるように混合した樹脂液に、触媒としてPTSAを樹脂固形分に対して0.3 質量%の量で添加して、クリア塗料を調製した。
▲2▼ウレタン系塗料(記号T−U)
住友バイエルウレタン製アルキノール2013(ポリオール)と同社製無黄変型イソシアネート(HMDI) とを固形分質量比が6:4になるよう混合した樹脂液に、触媒としてDBTDL(ジブチル錫ジラウレート) を樹脂固形分に対して0.1 質量%の量で添加して、クリア塗料を調製した。
▲3▼アクリル系塗料(記号T−A)
関西ペイント製マジクロンKX(アクリル系クリア塗料)を使用した。
【0066】
[骨材]
ガラスビーズ:粒径6、12または20μm
アクリルビーズ:粒径4、8または10μm
シリカ (比較用) :粒径 0.5、1または2μm
PTFE粉末:粒径6μm (球形)
シリカは気相シリカであり、形状は不定形であった。
【0067】
供試材の特性測定法
[表面粗さ]
JIS B 0651に準拠した触針式表面粗さ測定機 (東京精密社製) を使用して、下記条件で塗装ステンレス鋼板のサンプルの断面曲線を測定した。
【0068】
Figure 0003818016
【0069】
[色差]
JIS Z 8722で定める45-n測色条件に従った色彩色差計 (スガ試験機製カラーコンピュータSM-3) とD-n 測色条件に従た色彩色差計 (ミノルタ製CR-300) とを使用して、塗装下の原板と塗装後のそれぞれの色彩を (CIE 1976) L* * * 色彩系にて測定し、45-nとD-n の両条件での明度の差ΔL* を次式から求めた。
【0070】
ΔL* =L* a −L* b
添え字のaは塗装後の色彩測定値、添え字のbは塗装下の原板の色彩測定値を表す。塗装下の金属板の原板の明度は、適当な塗膜剥離液を使用して塗膜を剥離した後に測定した。
【0071】
性能評価
各塗装ステンレス鋼板の加工性と耐傷つき性と意匠性 (外観) を次のようにして評価した。
【0072】
▲1▼加工性(折り曲げ性)
サンプルを、塗装面を外側にして、同じ板厚みのステンレス鋼板のサンプル1枚以上を内側に挟むか、挟まずに、万力を用いて23℃で180 °曲げ加工を行い、30倍ルーペを使用して加工部を観察した検査で塗膜に亀裂の生じない最大の板はさみ枚数で評価した。0Tとは、密着曲げ (板挟みなし) でも加工部の塗膜に亀裂が見られないことを意味する。0T〜2Tまでであれば、加工性が良 (○) であると判断した。3T以上は不良 (×) である。
【0073】
▲2▼耐傷つき性 (乾燥綿布検査)
乾燥綿布をサンプルの塗装面に荷重1kg/cm2 で押しつけて1000回往復運動させた後、塗装面に傷がついたかどうかを肉眼および10倍ルーペで判定して、次のように評価した:
○:10倍ループで傷が見えない、
△:10倍ルーペで傷が見える、
×:肉眼で傷が見える。
【0074】
▲3▼意匠性(皮膜健全性、透明感)
サンプルの塗装面を肉眼と触診で調査し、ブツブツ感が無いことを確認した場合に皮膜が健全であると判断した。塗膜の透明度については、肉眼で塗装下の原板と対比して調査した。この皮膜健全性と透明度の両方が良好である場合を○、少なくとも一方が不良である場合を×として、意匠性 (外観) を判定した。
【0075】
以上の評価結果と下塗り塗膜および上塗り塗膜の構成とを次の表1および表2にまとめて示す。
【0076】
【表1】
Figure 0003818016
【0077】
【表2】
Figure 0003818016
【0078】
表1および表2に示すように、下塗り塗膜と上塗り塗膜のいずれにも骨材を含有させないと、表面粗さが本発明で規定する要件を満たさず、意匠性と耐疵付き性が不十分となった。これに対し、下塗り塗膜と上塗り塗膜の少なくとも一方に骨材を適正な量で含有させることにより、本発明で規定する表面粗さと色差 (塗装下の原板との明度の差) を満たすクリア塗装金属板を得ることができ、そのような塗装金属板は意匠性と耐疵付き性と加工性のいずれも良好であった。但し、上塗り塗膜のバインダー樹脂が比較的硬質のアクリル樹脂であると、骨材による耐摩耗性の向上が得られず、耐疵付き性がやや低下した。
【0079】
不定形形状のシリカを骨材として上塗り塗膜に含有させると、45-n条件での明度の差が大きくなり、塗膜が白濁化して透明性が劣化した。骨材がガラスビーズであっても、含有量が多すぎるとやはり45-n条件での明度の差が大きくなり、意匠性が劣化した。
【0080】
【発明の効果】
本発明のクリア塗装金属板は、塗装基材の金属色を生かしながら、反射を抑えた落ち着きのある外観を有し、意匠性に優れている。また、製造段階やユーザーによる使用中に塗膜に疵がついても疵が目立たないので、良好な意匠性を長期にわたって保持することができ、製造歩留まりが向上する。さらに、骨材の種類や配合量を適切に選べば、耐摩耗性の向上による耐疵付き性も付与することができ、加工性も良好となる。

Claims (1)

  1. 金属板の少なくとも片面にクリア樹脂塗膜を有する、塗装基材の金属板の金属色を生かしたクリア塗装金属板であって、
    (1)該塗膜の表面粗さ形状における中心線平均傾斜(Rθ)が0.015°以上、中心線平均波長(Rλ)が0.1mm以下であり、
    (2)前記塗膜と塗装下の金属板表面との明度の差(ΔL)が、JIS Z 8722(1994)に定める45−n条件とD−n条件での分光測色値から求めて、45−n条件では20以下、D−n条件では−20以上である、
    ことを特徴とする、耐疵付き性に優れた意匠性クリア塗装金属板。
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