JP4620949B2 - 耐汚染性と耐溶剤性に優れるプレコート金属板 - Google Patents

耐汚染性と耐溶剤性に優れるプレコート金属板 Download PDF

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本発明は、プレス成形後の耐食性に優れたプレコート金属板に関するものであり、家電用、建材用、土木用、機械用、自動車用、家具用、容器用等において、プレコート金属板の塗膜の耐汚染性と耐溶剤性を発揮することを特徴とする。
家電用、建材用、自動車用等に、従来の加工後塗装されていたポスト塗装製品に代わって、着色した塗膜を被覆したプレコート金属板が使用されるようになってきている。この金属板は、金属用前処理を施した金属板に塗料を被覆したもので、塗料を塗装した後に成形加工されて使用されることが一般的である。そのため、金属板上に被覆される塗膜には、高度の加工性が要求される一方、耐汚染性等の従来のポスト塗装で要求されてきた性能をも満足しなければならない。
これを解消するために、特許文献1〜3等に、樹脂組成を改善する方法や、塗料配合を種々工夫する技術が開示されている。特許文献3には、ガラス転移点5〜40℃、数平均分子量15,000〜30,000のポリエステル樹脂と、ヘキサメトキシメチロール化メラミン樹脂とを、質量比で75/25〜55/45に配合したポリエステル-メラミン樹脂100質量部に対して、ドデシルベンゼンスルホン酸のアミンブロック体を1〜2質量部配合してなる塗料によって、赤マジック汚染性に優れ、加工性にも優れる塗装金属板用塗料組成物が開示されている。
特開昭61-32351号公報 特開昭62-21830号公報 特開平2-269168号公報
しかしながら、特許文献3の技術では、加工性と汚染性には優れるものの、耐有機溶剤性に劣ることが問題となっていた。プレコート金属板塗膜の耐有機溶剤性が劣る場合、塗膜表面に付着した汚染物を有機溶剤で拭き取る際に、有機溶剤を塗膜表面に付着させた状態で放置してしまうと、そこから塗膜が膨潤したり、変色したりしてしまう問題が発生する。
そこで、本発明は、従来技術における上記問題点を解決し、塗膜の耐汚染性と耐溶剤性に優れるプレコート金属板を提供することをその課題とする。
本発明者らは、耐溶剤性に優れる塗膜について鋭意検討した結果、耐溶剤性には塗膜のガラス転移温度(Tg)が大きく影響し、塗膜中に高いTgを有するポリエステル樹脂を含むと、耐溶剤性が向上することを知見した。高Tg樹脂を用いた塗膜は、加工性が劣るとされていたが、樹脂の分子量及び硬化剤の添加量、添加する顔料濃度を調整することで、加工性が担保できることも知見した。これに、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、酸系触媒、揮発性塩基性物質を必須成分として含む塗料を焼付硬化させることで、焼付硬化過程で硬質のアミノ樹脂が表層に濃化し、耐汚染性が向上するという知見を加えて、耐汚染性と耐溶剤性に優れ、且つ加工性にも優れるプレコート金属板が得られることを見出した。
本発明は、かかる知見を基に完成させたものであって、本発明がその要旨とするところは、以下の通りである。
(1) 化成処理を施した金属板の片面もしくは両面上にCaイオン交換シリカを含むプライマー塗膜層を有し、その上層に、(A)30℃以上47℃以下のガラス転位温度を有する数平均分子量が2000023000以下のポリエステル樹脂、(B)アミノ樹脂、(C)酸性触媒、及び(D)揮発性塩基性物質を必須成分として含み、且つ、(A)の全ポリエステル樹脂の固形分100質量部に対して(B)アミノ樹脂の固形分が10〜30質量部から成り更に顔料の含有量が全樹脂固形分100質量部に対して80質量部以下である塗料組成物を塗布して焼付乾燥して成る塗膜を少なくとも有すること特徴とした耐汚染性と耐溶剤性に優れるプレコート金属板
本発明により、耐汚染性に優れ、且つ耐溶剤性にも優れるプレコート金属板を提供することが可能となった。そのため、プレコート金属板を使用した製品に有機溶剤が付着しても、塗膜が膨潤したりすることがなくなり、製品に付着した汚染物等を様々な種類の有機溶剤で拭き取ることが可能となった。そのため、製品の美麗な外観を長期間保持することが可能となった。従って、本発明は産業上の極めて価値の高い発明であるといえる。
本発明は、化成処理を施した金属板の片面もしくは両面上にCaイオン交換シリカを含むプライマー塗膜層を有し、その上層に、(A)30以上47℃以下のガラス転位温度を有する数平均分子量が2000023000以下のポリエステル樹脂、(B)アミノ樹脂、(C)酸系触媒、及び(D)揮発性塩基性物質を必須成分として含み、且つ、(A)の全ポリエステル樹脂の固形分100質量部に対して(B)アミノ樹脂の固形分が10〜30質量部から成り更に顔料の含有量が全樹脂固形分100質量部に対して80質量部以下である塗料組成物を塗布して焼付乾燥して成る塗膜少なくとも有することで達せられる。
本発明に使用する金属板は、一般に公知の金属材料を用いることができる。金属材料が合金材料であってもよい。例えば、鋼板、ステンレス鋼板、アルミ板、アルミ合金板、チタン板、銅板等が挙げられる。これらの材料の表面にはめっきが施されていてもよい。めっきの種類としては、亜鉛めっき、アルミめっき、銅めっき、ニッケルめっき等が挙げられる。これらの合金めっきであってもよい。鋼板の場合は、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、亜鉛-ニッケル合金めっき鋼板、溶融合金化亜鉛めっき鋼板、アルミめっき鋼板、アルミ-亜鉛合金化めっき鋼板等、一般に公知の鋼板及びめっき鋼板を適用できる。
本発明に用いる金属板の化成処理は、リン酸亜鉛系化成処理、塗布クロメート処理、電解クロム酸処理、反応クロメート処理、クロメートフリー系化成処理等を使用することができる。ノンクロメート系化成処理としては、シランカップリング剤、ジルコニウム化合物、チタニウム化合物、タンニン又はタンニン酸、樹脂、シリカ等を含む水溶液で処理したもの等が知られており、特開昭53-9238号公報、特開平9-241576号公報、特開2001-89868号公報、特開2001-316845号公報、特開2002-60959号公報、特開2002-38280号公報、特開2002-266081号公報、特開2003-253464号公報等に記載されている公知の技術を使用しても良い。これらの化成処理は、市販のもの、例えば、日本パーカライジング社製のクロメート処理「ZM-1300AN」、日本パーカライジング社製のクロメートフリー化成処理「CT-E300N」、日本ペイント社製の3価クロム系化成処理「サーフコートTM NRC1000」等を使用することができる。
本発明のプレコート金属板に塗装する塗料組成物を構成する(A) 30℃以上47℃以下のTgを有する数平均分子量が2000023000以下のポリエステル樹脂とは、一般に公知のエステル基を有する樹脂のことであり、オイルフリーポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、線状高分子ポリエステル、分岐型ポリエステルを使用することができる。市販のもの、例えば、東洋紡績社製の「バイロンTM」(東洋防錆社の登録商標)や、住化バイエルウレタン社製「デスモフェンTM」(住化バイエルウレタン社の登録商標)等を使用することができる。これらを複数混合しても良い。ただし、加工性を担保するためにはTgが30℃以上47℃以下で数平均分子量が2000023000以下でなければならない。Tgが30℃未満のポリエステル樹脂は、耐溶剤性に劣るため不適である。なお、複数のポリエステル樹脂を混合した場合は、混合したポリエステル樹脂全体のTgが30℃以上47℃以下であればよい。本発明に用いるポリエステル樹脂の数平均分子量は、2000023000以下でなくてはならない。数平均分子量が20000未満では加工性が劣り、23000超では溶剤に溶解して塗料化することが困難であるため、不適である。なお、複数のポリエステル樹脂を混合した場合は、混合したポリエステル樹脂全体の数平均分子量が2000023000以下であればよい。
本発明のプレコート金属板に塗装する塗料組成物を構成する(B)アミノ樹脂は、メチル化メラミン樹脂、ブチル化メラミン樹脂、イミノ基型メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、グリコールウリル樹脂、尿素樹脂等、一般に公知のアミノ樹脂を使用することができる。市販されているもの、例えば、三井サイテック社製「サイメルTM」、「マイコートTM」(何れも三井サイテック社の登録商標)、大日本インキ化学工業社製「ベッカミンTM」、「スーパーベッカミンTM」(何れも大日本インキ化学工業社の登録商標)等を使用することができる。また、複数の種類のアミノ樹脂を混合して使用しても良い。これらの中でも、特に、ヘキサメトキシメチル化メラミンを用いると、耐汚染性と加工性とのバランスが良く、より好適である。また、これらアミノ樹脂の含有量は、ポリエステル樹脂の固形分100質量部に対して、アミノ樹脂の固形分で10〜30質量部でなければならない。アミノ樹脂の含有量が10質量部未満では塗膜の耐汚染性が低下し、30質量部超では加工性が低下するため、不適である。
本発明のプレコート金属板に塗装する塗料組成物を構成する(C)酸性触媒は、アミノ樹脂の硬化を促進させるために必要なものである。酸性触媒としては、アミノ樹脂硬化促進機能を有する酸性触媒であれば良く、一般に公知のもの、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸等を使用することができる。市販のもの例えば、三井サイテック社製の酸性触媒「キャタリストTM」等を使用することができる。酸性触媒の添加量は、特に規定するものではなく、必要に応じて適宜選定して使用することができる。酸性触媒の添加量を増やすと、アミノ樹脂の硬化がより促進されるため、塗膜の架橋密度が高くなり、耐汚染性は良くなるが、加工性が低下する傾向となるため、事前に添加量を必要に応じて選定する必要がある。酸性触媒の添加量は、塗料中の全樹脂固形分の0.3〜5.0質量%とすることが、耐汚染性と加工性とのバランスが優れ、より好適である。
本発明のプレコート金属板に塗装する塗料組成物を構成する(D)揮発性塩基性物質は、酸性触媒を中和もしくは酸性触媒をブロックすることで、塗料中では酸性触媒の触媒機能を停止させ、これらを含む塗料を焼付乾燥する過程にて、塗膜の表層付近で酸性触媒の中和もしくはブロック機能であった揮発性塩基性物質のみを揮発・解離させることで、酸性触媒の触媒機能を発揮させ、塗膜の表層付近でのアミノ樹脂の硬化を促進させて、アミノ樹脂濃化層を形成させることを目的に添加するものである。従って、このような機能を発揮する揮発性塩基性物質であれば、一般に公知のもの、例えば、2-ジメチルアミノ-エタノール等を使用することができる。揮発性塩基性物質の添加量は、特に規定するものではなく、添加する薬剤の種類等、必要に応じて添加することができるが、酸性触媒の酸を中和するのに必要な当量数だけ添加すると好適である。市販のもので、既に酸触媒をアミンブロックしたタイプの酸触媒、例えば、三井サイテック社製の「キャタリストTM 602」を用いることもできる。
本発明のプレコート金属板に塗装する塗料組成物は、前述の添加物質をシンナー等の有機溶剤に溶解して塗料化すると、塗布作業等が簡便となり、より好適である。
また、作製した塗料組成物には、各種顔料を添加しても良い。即ち、着色顔料を添加して着色したり、防錆顔料を添加して防錆機能を付与したり、体質顔料等を添加することができる。着色顔料は、一般に公知のもの、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、チタンイエロー、コバルトブルー等を使用することができる。防錆顔料も、一般に公知のもの、例えば、クロム酸ストロンチウム、リン酸亜鉛、トリポリリン酸2水素アルミニウム、シリカ、Caイオン交換シリカ、モリブデン酸亜鉛等を使用することができる。体質顔料も、一般に公知のもの、例えば、炭酸カルシウム、タルク等を使用することができる。これらの顔料は複数混ぜて使用しても良い。これらの顔料の添加量、塗料中の全樹脂固形分100質量部に対して80質量部以下とすることで、加工性を劣化させることが無くる。特に、本発明の塗膜中のアミノ樹脂添加量ポリエステル樹脂100質量部に対して10質量部超30質量部以下であり、顔料の添加により、加工性が低下する恐れがあるため、塗料中の全樹脂固形分100質量部に対して顔料添加量が80質量部以下であることが必須である。顔料は添加しなくても良い。
また、これら塗料には、必要に応じて一般に公知の添加剤、例えば、艶消し剤、レベリング剤、ワックス、消泡剤等を添加することができる。
本発明のプレコート金属板は、上述の塗料組成物を塗布して焼付乾燥させてなる塗膜を少なくとも有するものである。膜厚は、特に規定するものではなく、必要に応じて適宜選定することができるが、乾燥膜厚にして1〜100μmが好適である。1μm未満では意匠や防食の点で塗装を施した効果が小さく、100μm超では塗装時に塗装ムラなどが発生する恐れがある。より好ましくは5〜50μmである。なお、本発明のプレコート金属板は、耐汚染性と耐溶剤性の性能を発揮するためには、本塗膜が最表面に形成されることが望ましい。
また、本発明の塗膜の下層(化成処理の上層)には、プライマー塗料を塗装する。また、さらに一般に公知の中塗り塗料を塗装することもできる。プライマー塗料や中塗り塗料は市販のものを用いても良い。プラマー塗料を塗装することで、耐食性や密着性が向上する。プライマー塗料はCaイオン交換シリカを含むものを使用する。また、プライマー塗料の樹脂は本発明の塗膜と同じものを使用することができ、特にエポキシ基を含む樹脂は密着性が向上するためより好適である。また、シランカップリング剤を含むものも密着性が向上するため好適である。プライマー塗料や中塗り塗料の膜厚は、特に規定するものではなく、必要に応じて適宜選定することができるが、乾燥膜厚にして1〜100μmが好適である。1μm未満では意匠や防食の点で塗装を施した効果が小さく、100μm超では塗装時に塗装ムラ等が発生する恐れがある。
本発明のプレコート金属板は、上述の塗料組成物を金属板に、一般に公知の方法、例えば、はけ塗り、スプレー塗装、ロールコーター塗装、カーテンフローコーター塗装、ローラーカーテンコーター塗装、ダイコーター塗装等で塗装することで得られる。これらの塗装方法の中でも、ロールコーター塗装、カーテンフローコーター塗装、ローラーカーテンコーター塗装、ダイコーター塗装は、コイルコーティングラインやシートコーティングライン等にて連続塗装が可能であるため、塗装作業効率が高く、より好適である。
また、塗装における乾燥焼付方法は、熱風オーブン、直火型オーブン、遠赤外線オーブン、誘導加熱型オーブン等の一般に公知の乾燥焼付方法を用いることができる。
以下、実施例で用いた供試材について詳細を説明する。
以下に、用いた塗料について詳細を説明する。
東洋紡社製の非晶性ポリエステル樹脂である「バイロンTM 103」(Tg:47℃、数平均分子量:23000[表1中にはB-103と記載])、東洋紡社製の非晶性ポリエステル樹脂である「バイロンTM 63CS」(Tg:7℃、数平均分子量:20000[表1中にはB-63CSと記載])、東洋紡社製の非晶性ポリエステル樹脂である「バイロンTM GK220」(Tg:53℃、数平均分子量:3000[表1中にはB-GK220と記載])、及び、東洋紡社製の非晶性ポリエステル樹脂である「バイロンTM GK130」(Tg:19℃、数平均分子量:7000[表1中にはB-GK130と記載])を準備した。「バイロンTM 103」、「バイロンTM GK220」、「バイロンTM GK130」は、ペレットもしくはシート状であるため、これらを有機溶剤(質量比でシクロヘキサノン:ソルベッソ150=1:1に混合したものを使用)に溶解して使用した。また、「バイロンTM 63CS」は、ポリエステル樹脂を既に有機溶剤(質量比でシクロヘキサノン:ソルベッソ150=1:1に混合したもの)に溶解してあるため、これをそのまま使用した。また、「バイロンTM 103」と「バイロンTM 63CS」を固形分比率にて1:1の割合で混合した樹脂も作製し、実験に用いた(表1中にはB-130とB-63CSの混合と記載)。なお、この混合樹脂のTgは熱機械分析(TMA)にて測定した。
次に、アミノ樹脂として、三井サイテック社製のヘキサメトキシメチル化メラミン樹脂である「サイメルTM 303」を準備した。更に、酸性触媒として、ドデシルベンゼンスルホン酸を用い、これを揮発性塩基性物質である2-ジメチルアミノ-エタノールで中和したものを作製した。なお、2-ジメチルアミノ-エタノールは、ドデシルベンゼンスルホン酸に対し、これを中和するのに必要な当量数を添加して中和させた。更に、添加顔料として、石原産業社製の酸化チタン「タイペークTM CR95」を準備した。
そして、これらの組成物を必要に応じて混合し、攪拌することで塗料組成物を作製した。作製した塗料の詳細を表1に示す。なお、揮発性塩基性触媒で中和させた酸性触媒は、全ての塗料組成物について、塗料組成物中の樹脂固形分に対して0.5質量%添加した。
Figure 0004620949
以下、実験に用いたプレコート金属板について詳細を説明する。
新日本株式会社製の亜鉛-ニッケル合金めっき鋼板「ジンクライト」(以下、ZLと称す)と新日本株式会社製の電気亜鉛めっき鋼板「ジンコート」(以下、EGと称す)と新日本製鐵株式会社製の溶融亜鉛めっき鋼板「シルバージンク」(以下、GIと称す)を原板として準備した。板厚は0.6mmのものを使用した。本実験で用いたZLのめっき付着量は片面20g/m2、めっき層中のニッケル量は12%であった。また、EGのめっき付着量は片面20g/m2のもの、GIのめっき付着量は片面60g/m2のものを用いた。
次に、準備した原板を日本パーカライジング社製のアルカリ脱脂液「FC-4336」の2質量%濃度、50℃水溶液にてスプレー脱脂し、水洗後、乾燥した後に、日本パーカライジング社製のクロメートフリー化成処理である「CT-E300N」をロールコーターにて塗布し、熱風オーブンにて乾燥させた。熱風オーブンでの乾燥条件は、鋼板の到達板温で60℃とした。クロメートフリー処理の付着量は、全固形分で200g/m2付着するように塗装した。
次に、化成処理を施した金属板の片方の面に、日本ペイント社製のFL641プライマーに防錆顔料としてCaイオン交換シリカを含むものを、他方の面に日本ペイント社製の裏面塗料である「FL100HQ」をロールコーターにてそれぞれ塗装し、熱風を吹き込んだ誘導加熱炉にて金属板の到達板温が210℃となる条件で乾燥硬化した。そして乾燥焼付後に、塗装された金属板へ水をスプレーにて拭きかけ、水冷した。なお、プライマー塗料は必要に応じて塗装したものと塗装しないものとを作製した。
更に、塗装したプライマー塗料の上に、作製した塗料組成物をロールコーターにて塗装し、熱風を吹き込んだ誘導加熱炉にて金属板の到達板温が210℃となる条件で乾燥硬化した。そして乾燥焼付後に、塗装された金属板へ水をスプレーにて拭きかけ、水冷することで、プレコート金属板を得た。
表2に、作製したプレコート金属板の詳細を記載する。
Figure 0004620949
以下、作製したプレコート金属板の評価方法の詳細を記載する。
1. 塗膜加工性試験
作製したプレコート金属板を、180°折り曲げ加工(密着曲げ加工)し、加工部の塗膜を目視で観察し、塗膜の割れの有無を調べた。なお、180°折り曲げを行う際には、プレコート金属板の表面が曲げの外側となるように折り曲げ、さらに曲げの内側にはプレコート金属板と同じ板厚のスペーサーを2枚挟んだ状態で密着曲げを行った(一般に2T曲げとして知られている)。また、加工部に粘着テープを貼り付け、これを勢い良く剥離したときの塗膜の残存状態を目視にて観察した。
塗膜割れ及び剥離の評価は、塗膜割れや剥離の全くない時を○、塗膜に僅かな亀裂や剥離が認められる時を△、塗膜に明確な大きな割れや剥離がある時を×として評価した。
2. マジック汚染性試験
赤マジックインキを作成したプレコート金属板の塗膜表面に塗布して、室温で24時間放置した後に、キシレンにて塗布したマジックインキを拭き取った後の跡残りを評価した。マジック跡が消えて見えない場合を○、マジックが僅かに残っている場合を△、マジック跡が消えていない場合を×と評価した。
3. 耐溶剤性試験
サンプルをトルエンに24時間浸漬し、浸漬後の塗膜膨潤状態を目視観察して評価した。塗膜表面が浸漬前と比較して変化がない場合を○、塗膜表面にミミズ腫れの様な跡残りが僅かにあり塗膜の膨潤が僅かに認められる場合を△、塗膜表面にミミズ腫れの様な跡残りが激しくあり塗膜の膨潤が激しく認められる場合を×と評価した。
4. 耐食性試験
作製したプレコート金属板の塗膜面にカット傷を入れて、JIS K 5400.9.1記載の方法で塩水噴霧試験を実施した。塩水は、試験片のクロスカットを入れた面に噴霧した。試験時間は120時間とした。そして、表面側のカット部からの塗膜膨れ幅を測定し、カット部膨れ幅が片側3mm以下の場合を○、カット部膨れ幅が片側3mm超5mm以下の場合を△、カット部膨れ幅が片側5mm超の場合を×と評価した。
Figure 0004620949
以下、評価結果について詳細を記載する。
表3に作製したプレコート金属板の評価結果を示す。本発明のプレコート金属板 (本発明例No.1、2、4〜9)は、耐汚染性と耐溶剤性に優れ、加工性を劣化させることが無く、意匠性等を付与できる。また、防錆顔料を含むプライマー塗膜を塗装していないもの(参考例No.10)は、加工性、耐汚染性、耐溶剤性に優れるものの、耐食性が低下するため、プライマー塗膜を塗装する必要がある。
一方、ポリエステル樹脂のTgが25℃以下のもの(比較例No.11、13)は、耐溶剤性に劣るため不適である。また、ポリエステル樹脂の数平均分子量が10000未満のもの(比較例No.12、13)は、加工性に劣るため不適である。更に、アミノ樹脂の添加量がポリエステル樹脂100質量部に対して10質量部未満であるもの(比較例No.14)や塗膜中に酸性触媒が含まれないもの(比較例No.15)、塗膜中に揮発性塩基性物質が含まれないもの(比較例No.16)は、耐汚染性に劣るため不適である。

Claims (1)

  1. 化成処理を施した金属板の片面もしくは両面上にCaイオン交換シリカを含むプライマー塗膜層を有し、その上層に、(A)30℃以上47℃以下のガラス転位温度を有する数平均分子量が2000023000以下のポリエステル樹脂、(B)アミノ樹脂、(C)酸性触媒、及び(D)揮発性塩基性物質を必須成分として含み、且つ、(A)の全ポリエステル樹脂の固形分100質量部に対して(B)アミノ樹脂の固形分が10〜30質量部から成り更に顔料の含有量が全樹脂固形分100質量部に対して80質量部以下である塗料組成物を塗布して焼付乾燥して成る塗膜を少なくとも有すること特徴とした耐汚染性と耐溶剤性に優れるプレコート金属板。
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