JP4116945B2 - 曲げ加工性に優れるプレコート金属板 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、曲げ加工性に優れるプレコート金属板に関するものであり、曲げ加工を施したときに塗膜に亀裂や剥離等の損傷が入りにくいプレコート金属板に関する。
【0002】
【従来の技術】
家電用、建材用、自動車用等に、従来の加工後塗装されていたポスト塗装製品に代わって、着色した有機皮膜を被覆したプレコート金属板が使用されるようになってきている。この金属板は、金属板又はめっきを施した金属板に有機皮膜を被覆したもので、有機皮膜を被覆した状態で成形加工される。そのため、加工部で塗膜に亀裂が生じたり、塗膜剥離が生じたりする問題が懸念されていた。これらの問題を解消するために、プレコート金属板に被覆する塗膜を軟らかいものにする(ガラス転移温度の低い塗膜にする)ことで、塗膜の伸び率を向上させ、加工時に塗膜に亀裂や剥離が生じにくいプレコート金属板を提供することが一般的であった。しかし、その一方で、塗膜が軟らかいと、塗膜硬度が低く、キズ等が入り易い問題があった。塗膜の硬度と加工性を両立させる技術としては、メラミン硬化型ポリエステル樹脂の皮膜中において、メラミン樹脂濃度に傾斜を持たせ、塗膜の表層付近に比較的硬いメラミン樹脂を濃化させる技術が開示されている(例えば、非特許文献1、非特許文献2参照。)。また、塗膜中に柔軟部分と剛直部分を有するオリゴマーを配合することで、加工性と硬度とを両立させる技術も開示されている(非特許文献3参照。)。
【0003】
【非特許文献1】
壱岐島ら,「色材」,1991年,第64巻,第12号,p.780
【非特許文献2】
金井ら,「まてりあ」,1994年,第33巻,第6号,p.802
【非特許文献3】
吉田ら,「材料とプロセス」,1998年,第11巻,p.1216
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年、より加工性に優れるプレコート金属板に対するニーズが高まってきている。
【0005】
そこで、本発明においては、このような要望に応え、より塗膜の加工性に優れるプレコート金属板を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決すべく、発明者らが鋭意検討したところ、プレコート金属板の塗膜の加工性は、塗膜のガラス転移温度のみならず、塗膜の樹脂構造も大きく影響することを見出した。メラミン樹脂は、種類によっては自己縮合性を有しており、ブチル化メラミン樹脂等は自己縮合性が高いことが知られている。更に、この自己縮合性の高いブチル化メラミン樹脂を他の樹脂と混合させて作製した塗料を乾燥硬化させると、塗膜中にメラミン樹脂がμmオーダーの粒状に濃化されることが知られている。しかし、自己縮合性の低い完全アルキル型メチル化メラミン等は粒状濃化しないと考えられてきた(佐野,石原,「第14回塗料・塗装研究発表会講演予稿集」,1998年,p.153)。しかし、発明者らが鋭意研究した結果、自己縮合性の低いメラミン樹脂もnmオーダーで観察すると粒状に濃化していること見出し、且つ、この濃化したメラミン樹脂の粒径を制御することで加工性に優れたプレコート皮膜を得られることを知見した。本発明は、かかる知見を基に完成させたものであって、本発明がその要旨とするところは、以下の通りである。
【0007】
(1)金属板又はめっきされた金属板の片面又は両面に、完全アルキル型メチル化メラミン樹脂とブチル化メラミン樹脂およびポリエステル樹脂からなる硬化皮膜を有するプレコート金属板であって、前記皮膜中に粒径が50nm以下のメラミン樹脂粒子が分散していることを特徴とする曲げ加工性に優れるプレコート金属板。
【0008】
(2)前記硬化皮膜中のメラミン樹脂以外の樹脂とメラミン樹脂との質量比率が(メラミン樹脂以外の樹脂の質量)/(メラミン樹脂の質量)=9/1〜7/3である前記(1)記載のプレコート金属板。
(3)前記硬化皮膜中の完全アルキル型メチル化メラミン樹脂とブチル化メラミン樹脂との質量比率が(完全アルキル型メチル化メラミン樹脂)/(ブチル化メラミン樹脂)=2/1である(1)または(2)に記載のプレコート金属板。
【0009】
(4)前記硬化皮膜の膜厚が0.5〜50μmである前記(1)〜(3)のいずれかに記載のプレコート金属板。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の目的は、金属板又はめっきされた金属板の片面又は両面に、ポリエステル樹脂(以下、主樹脂という。)を主成分とし、完全アルキル型メチル化メラミン樹脂とブチル化メラミン樹脂を添加して硬化した皮膜を少なくとも有するプレコート金属板であって、前記皮膜中に粒径が50nm以下のメラミン樹脂粒子が分散していることによって達せられる。メラミン樹脂は、樹脂の中では比較的硬い性質を持っているため、メラミン濃化粒子の最大粒径が50nm超であると、加工時にこの硬いメラミン樹脂に応力が集中し、塗膜の亀裂が発生し易くなる。そのため、加工時のメラミン樹脂への応力集中を緩和させるためには、最大粒径を50nm以下にする必要がある。メラミン樹脂濃化粒子の最大粒径の下限値は特に規定するものではない。より小さいものが均一分散していると、加工時のメラミン樹脂への応力集中がより緩和されるため、より好適である。
【0011】
主樹脂中に粒状分散したメラミン樹脂の粒径は、成膜した皮膜をOsO4やRuO4等で染色して、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察することで測定することができる。メラミン樹脂は多官能基樹脂であり、OsO4やRuO4で染色されるため、メラミン樹脂の部分が黒く染色される。一方、メラミン樹脂以外の樹脂は、染色され難いため無色透明となり、色のコントラストにより、メラミン樹脂と主樹脂とを区別することができる。従って、このようなTEMによって観察された皮膜中に黒い粒状のものが観察されれば、メラミン樹脂が粒子状に濃化分散していると判断でき、且つ、この粒径を測定することで、メラミン樹脂粒子の粒径を得ることができる。
【0012】
メラミン樹脂粒子の粒径を制御するためには、厳密な指標までは明らかにはなっていないが、使用するメラミン樹脂の反応性や主樹脂との相溶性、反応性の違い、主樹脂へのメラミン樹脂の添加量によってある程度制御できると考える。主樹脂とメラミン樹脂との比率は、皮膜中の固形分比率で主樹脂質量/メラミン樹脂質量=9/1〜7/3であることが好ましい。主樹脂質量/メラミン樹脂質量が9/1未満であると、皮膜中の主樹脂がメラミン樹脂によって架橋されない部分が発生する恐れがあり、皮膜が未架橋になりやすく好ましくない。また、主樹脂質量/メラミン樹脂質量=7/3超では、メラミン樹脂粒子が50μm超となりやすいため、好ましくない。
【0013】
本発明に用いる完全アルキル型メチル化メラミン樹脂とブチル化メラミン樹脂は、一般に公知のメラミン樹脂を使用することができる。市販のもの、例えば、三井サイテック社製の完全アルキル型メチル化メラミン樹脂である「サイメルTM300」や「サイメルTM301」、「サイメルTM303」、「サイメルTM350」等、三井サイテック社製のブチル化メラミン樹脂である「マイコートTM506」、「マイコートTM508」等、大日本インキ化学工業社製のブチル化メラミン樹脂である「スーパーベッカミンTMJ830」等を使用しても良い。ブチル化メラミン樹脂は自己縮合性が高いため、主樹脂中で粒子が大きくなり易いため、完全アルキル型メチル化メラミン樹脂と併用する。メラミン樹脂の種類と併用比率によって、メラミン濃化粒子の粒径が異なるため、必要に応じて適宜選定する必要がある。完全アルキル型メチル化メラミン樹脂とブチル化メラミン樹脂のメラミン樹脂との質量比率が(完全アルキル型メチル化メラミン樹脂)/(ブチル化メラミン樹脂)=2/1が好適である。
【0014】
本発明に用いる主樹脂は、一般に公知のポリエステル樹脂を用いることができる。市販のもの、例えば、東洋紡績社製のポリエステル樹脂である「バイロンTMシリーズ」、住化バイエルウレタン社製のポリエステル樹脂「デスモフェンTMシリーズ」を用いても良い。これらの樹脂は、分子量や分岐数によって樹脂中に含まれるメラミン樹脂粒子の粒径が変化するため、必要に応じて適宜選定する必要がある。
【0015】
本発明のプレコート金属板の皮膜は、主樹脂とメラミン樹脂を溶剤に溶解し、更に必要に応じて後記の顔料や添加剤等を加えることで塗料を作成し、これを金属板上に塗布し、焼付硬化させることで金属板上に皮膜を形成させると、皮膜の主樹脂中にメラミン樹脂粒子が分散し易く好適である。また、水溶性の主樹脂を水に溶解させたり、エマルジョン化した主樹脂を水に分散させたりして、これに水溶性のメラミン樹脂を添加し、水系タイプの塗料として塗布乾燥させて成膜させても良い。しかし、本発明のプレコート皮膜の形成方法は上記に限定するものではなく、成膜後に皮膜の主樹脂中にメラミン樹脂粒子が分散すれば、他の方法によって皮膜を成膜させても良い。例えば、主樹脂とメラミン樹脂を粉砕してパウダー化した粉体塗料を溶融硬化させて成膜させる、粉砕しパウダー化した主樹脂とメラミン樹脂を水や溶剤等に分散させたスラリー粉体塗料を乾燥、溶融、硬化させて成膜する、主樹脂中にメラミン樹脂を予め分散させてフィルム状にして貼り付けるフィルムラミネート、主樹脂やメラミン樹脂を溶融させてから塗布する、等の形態が挙げられる。
【0016】
本発明のプレコート皮膜を形成させるための塗料等の塗液には、メラミン樹脂を反応させるために、必要に応じて触媒を添加しても良い。触媒は市販のものを使用することができる。例えば、三井サイテック社の酸触媒「キャタリストシリーズ」等を使用することができる。
【0017】
本発明の主樹脂中にメラミン樹脂粒子を形成させた皮膜中には、必要に応じて着色顔料や防錆顔料を添加することもできる。着色顔料としては、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、炭酸カルシウム(CaCO3)、硫酸バリウム(BaSO4)、アルミナ(Al2O3)、カオリンクレー、カーボンブラック、酸化鉄(Fe2O3、Fe3O4)等の無機顔料や、有機顔料等の一般に公知の着色顔料が挙げられる。また、防錆顔料については、ストロンチウムクロメート、カルシウムクロメート等の一般に公知のクロム系防錆顔料や、リン酸亜鉛、亜リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、亜リン酸アルミニウム、モリブデン酸、バナジン酸/リン酸混合顔料、カルシウムシリケート等の一般に公知のノンクロム系防錆顔料が挙げられる。ノンクロメート防錆顔料の場合、環境負荷が小さくなるため、より好適である。
【0018】
本発明のプレコート鋼板皮膜中には、必要に応じてレベリング材、スリップ材、ワックス、消胞材等を添加しても良い。
【0019】
本発明におけるプレコート皮膜の塗布方法は、いずれも限定されず、一般に公知の塗装方法、例えば、ロール塗装、ローラーカーテン塗装、カーテンフロー塗装、エアースプレー塗装、エアーレススプレー塗装、刷毛塗り塗装、ダイコーター塗装等が採用できる。しかし、主樹脂とメラミン樹脂を溶剤に溶解させた塗料を、ロールコーターやカーテンフローコーター、ローラーカーテンコーターを用いたコイルコーティングライン、シートコーティングラインと呼ばれる連続塗装ラインにて、金属板上に塗布して乾燥硬化させると、塗布効率が向上し、より好適である。
【0020】
なお、プレコート金属板には、塗膜層を被覆する前に塗膜密着性を上げるために、金属板又はめっきを施した金属板上に塗装前処理を施すことが一般的であり、本発明のプレコート金属板にも塗装前処理を施した方が好適である。塗装前処理を施さなくても塗膜の密着が良好であれば、塗装前処理工程が省略できるためより好適である。塗装前処理は、一般に公知のもの、例えば、塗布クロメート処理、電解クロメート処理、リン酸処理、ジルコニア系前処理等を使用することができる。また、近年、樹脂をベースとしてノンクロメート前処理も開発されているが、ノンクロメート前処理を用いると、環境への負荷が低減されるため、より好適である。
【0021】
本発明のプレコート金属板は、曲げ加工することを目的として開発されたものであり、曲げ加工が可能な金属材料であれば、一般に公知の材料を用いることができる。合金であっても良い。例えば、鋼板、アルミ板、チタン板等が挙げられる。これらの材料の表面にはめっきが施されていてもよい。めっきの種類としては、亜鉛めっき、アルミめっき、銅めっき、ニッケルめっき等が挙げられる。合金めっきであっても良い。鋼板の場合は、冷延鋼板、熱延鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、溶融合金化亜鉛めっき鋼板、亜鉛ニッケル合金めっき鋼板、アルミめっき鋼板、アルミ−亜鉛合金化めっき鋼板、ステンレス鋼板等、一般に公知の鋼板及びめっき鋼板を適用できる。これらの金属板には、塗装前処理を施す前に湯洗、アルカリ脱脂等の通常の処理を行うことができる。
【0022】
本発明のプレコート金属板は、金属板上に上述の皮膜が少なくとも被覆されていればよい。市販のプレコート用塗膜と併用しても良い。プレコート金属板の塗膜構成としては、下塗り塗膜と上塗り塗膜とによって構成される2コート塗装が一般的であるが、この場合、下塗り塗膜と上塗り塗膜の両方に本発明に用いられる皮膜としても良いし、下塗りに市販の塗膜を塗布して上塗りとして本発明に用いる塗料を塗布しても良い。下塗りとして本発明に用いる塗膜を塗布して上塗りに市販の塗膜を用いてもよい。また、本発明に用いられるプレコート皮膜の膜厚は、特に限定するものでは無く、必要に応じて選定することができる。本発明に用いられるプレコート皮膜を前記連続塗装ラインで塗装する場合は、0.5μm〜50μmが好適である。0.5μm未満であると、塗装時に未塗装部等が発生し、均一に塗装することが困難であり、50μm超ではローピングや塗装ムラ等と呼ばれる塗装欠陥が発生する恐れがある。
【0023】
【実施例】
以下、実験に用いた塗料の作製方法について詳細を説明する。
【0024】
主樹脂として市販のポリエステル樹脂を有機溶剤(ソルベッソ150とシクロヘキサノンとを質量比で1:1に混合したもの)に溶解した。次に、これらの中に必要に応じて市販のメラミン樹脂を添加し、更に必要に応じて触媒を添加し、攪拌することで塗料を得た。
【0025】
本実験で用いたポリエステル樹脂とメラミン樹脂と触媒の詳細を以下に記載する。
【0026】
(a)本発明で用いたポリエステル樹脂
PE−1:東洋紡績社製「バイロンTM220」、数平均分子量3000、ガラス転移温度53℃
PE−2:東洋紡績社製「バイロンTM270」、数平均分子量23000、ガラス転移温度67℃
(b)本発明で用いたメラミン樹脂
ME−1:三井サイテック社製の完全アルキルガタメチル化メラミン「サイメルTM303」
ME−2:大日本インキ化学社製のブチル化メラミン「スーパーベッカミンTMJ830」
(c)本発明で用いた触媒
触媒:三井サイテック社製の酸触媒「キャタリスト600」
また、本実験で作製した各種塗料中のポリエステル樹脂、メラミン樹脂、触媒の種類及び添加量を表1に記載する。
【0027】
【表1】
【0028】
以下、実験に用いたプレコート金属板の作製方法の詳細について述べる。
【0029】
付着量が片面当たり60g/m2で両面がめっきされた厚み0.6mmの溶融亜鉛めっき鋼板をFC−4336(日本パーカライジング製)の2質量%濃度、60℃温度の水溶液中に10秒間浸漬することで脱脂を行い、水洗後、乾燥した。次いで、脱脂した溶融亜鉛めっき鋼板上にロールコーターにて塗布クロメート処理液を塗布し、到達板温が60℃となるような条件で熱風乾燥させた。
【0030】
クロメート処理後、市販のプライマー塗料(日本ファインコーティング社製の高加工型プライマー:FL641プライマーを使用)をロールコーターにて塗装し、熱風を吹き込んだ誘導加熱炉にて到達板温が210℃となる条件で乾燥硬化させた。プライマー塗膜の膜厚は、乾燥膜厚で5μmとした。さらに、この上にトップ塗料として表1に示す塗料をローラーカーテンコーターにて塗装し、熱風を吹き込んだ誘導加熱炉にて到達板温が230℃となる条件で乾燥硬化させることで、プレコート金属板を作製した。トップ塗膜の膜厚は、乾燥膜厚で15μmとした。
【0031】
以下、作製したプレコート金属板の評価試験について詳細を説明する。
【0032】
(1)塗膜中のメラミン樹脂粒子の粒径の測定
作製したプレコート金属板の塗膜をOsO4にて染色した後、超ミクロトームにて断面方向に切断して断面薄膜試料を作成し、これを透過型電子顕微鏡にて観察することでトップ塗膜中のメラミン樹脂濃化粒の粒径を測定して、評価した。
【0033】
以下に試料作成方法及び観察評価方法の詳細を記載する。
1)作成したプレコート金属板の任意の部位を巾1mm、長さ10mmのサイズに切断したのち、OsO4の4質量%水溶液にて2週間浸漬することで塗膜の染色を行った。
2)染色した試料を蒸留水で洗浄、乾燥した後、表面にPt−Pdを約100nm蒸着した。
3)蒸着後、試料を樹脂に埋め込み24時間で樹脂を硬化させた。
4)硬化後、試料を超ミクロトームにて70nmの厚さに切断することで、プレコート金属板の断面薄膜試料を切り出した。
5)コロジオン膜付きCuメッシュにすくい取った試料に約10nm厚のカーボンを蒸着することで、観察試料を作製した。
6)作製した観察試料のトップ塗膜部を日立製作所社製の200kV透過型電子顕微鏡にて観察し、メラミン樹脂粒子の最大粒径を測定した。なお、観察した塗膜中で黒く染色された部分をメラミン樹脂、染色されていない部分をポリエステル樹脂とした。
【0034】
(2)プレコート金属板の曲げ加工試験
作製したプレコート金属板を塗装面が外側となるように180°密着折り曲げを行った(一般にT折り曲げ試験と呼ばれる)。曲げ試験の際には、必要に応じて内側に評価するプレコート金属板と同じ板厚の板をスペーサーとして挿入して180°密着曲げを行い、挿入するスペーサーの枚数を変えることで、加工時の曲げ半径を変化させた。なお、スペーサーが0枚(スペーサー無し)の場合は0T、スペーサーが1枚の場合は1T、スペーサーが2枚の場合は2Tと呼ばれる。
【0035】
本実験では、各プレコート金属板について0T〜10TまでのT曲げ試験を行い、これら加工部の塗膜の亀裂発生状況を10倍ルーペにて観察した。そして、塗膜に亀裂の発生しない最小Tを求めた。
【0036】
以下、実験結果の詳細を記載する。
【0037】
実験結果を表2に記載する。皮膜膜中にメラミン樹脂が粒子状に濃化分散しており、且つ、この濃化分散し、このメラミン濃化粒子の粒径が50nm以下であるもの(本発明例−No.4)は、メラミン濃化粒子の粒径が50nm超のもの(比較例−No.5〜8)より加工性に優れる。
【0038】
【表2】
【0039】
【発明の効果】
本発明により、従来と異なる手法でプレコート金属板の塗膜加工性を向上させることが可能となり、更には、加工性により優れるプレコート金属板を提供することが可能となった。そのため、プレコート金属板の適用範囲が広がり、環境に悪い有機溶剤を用いた塗装作業の低減にもつながる。従って、本発明は産業上の極めて価値の高い発明であるといえる。
Claims (4)
- 金属板又はめっきされた金属板の片面又は両面に、完全アルキル型メチル化メラミン樹脂とブチル化メラミン樹脂およびポリエステル樹脂からなる硬化皮膜を有するプレコート金属板であって、前記皮膜中に粒径が50nm以下のメラミン樹脂粒子が分散していることを特徴とする曲げ加工性に優れるプレコート金属板。
- 前記硬化皮膜中のメラミン樹脂以外の樹脂とメラミン樹脂との質量比率が(メラミン樹脂以外の樹脂の質量)/(メラミン樹脂の質量)=9/1〜7/3である請求項1記載のプレコート金属板。
- 前記硬化皮膜中の完全アルキル型メチル化メラミン樹脂とブチル化メラミン樹脂との質量比率が(完全アルキル型メチル化メラミン樹脂)/(ブチル化メラミン樹脂)=2/1である請求項1または2に記載のプレコート金属板。
- 前記硬化皮膜の膜厚が0.5〜50μmである請求項1〜3のいずれか1項に記載のプレコート金属板。
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