JP2024048206A - 塗装鋼板 - Google Patents

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保明 河村
亜希子 平井
隆志 藤井
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Abstract

【課題】塗装鋼板の耐疵付き性及び薬品性を向上させる。【解決手段】本発明に係る塗装鋼板は、母材鋼板の少なくとも一方の表面上に位置するZn含有めっき層と、Zn含有めっき層上に位置する、少なくとも2層以上で構成される塗膜層とを有し、塗膜層のうち最外装塗膜層は、バインダー樹脂と、架橋剤と、樹脂粒子と、着色顔料と、を含有しており、最外装塗膜層における樹脂粒子の含有量は、10~30質量%の範囲内であり、樹脂粒子の平均粒子径は、最外装塗膜層の平均厚みに対して、0.3倍~1.5倍であり、最外装塗膜層の厚み方向の断面において、バインダー樹脂に対応する位置、樹脂粒子に対応する位置、及び、バインダー樹脂と樹脂粒子との界面に対応する位置、のそれぞれのビッカース硬度HB、HR、HIは、以下の式(1)、(2)で表される関係を満足する。0.20×HI≦HB・・・(1)1.00×HI<HR≦2.00×HI・・・(2)【選択図】図1A

Description

本発明は、塗装鋼板に関する。
家電用、建材用、自動車用などに、従来の成形加工後に塗装されていたポスト塗装製品に代わって、亜鉛系めっき鋼板の表層に有機樹脂被膜を被覆した有機樹脂被覆めっき鋼板(プレコート鋼板とも呼ばれる。)が使用されるようになってきた。このプレコート鋼板は、防錆処理を施した鋼板やめっき鋼板に対し、着色した有機皮膜を被覆したものであり、美麗さを有しながら、加工性を有し、耐食性が良好であるという特性を有している。この有機樹脂被覆めっき鋼板は、プレス加工された後、更なる塗装などが施されずに、家電、建材、自動車等の材料として用いられる場合が多い。そのため、このような有機樹脂被覆めっき鋼板は、加工時に美麗さを失わないように、耐疵付き性に優れることが求められる。そのため、プレコート鋼板の耐疵付き性をはじめとする諸特性を向上させるために、従来様々な技術が提案されている。
例えば以下の特許文献1には、耐疵付き性だけでなく、導電性に優れ、かつ、光ディスクに対する傷付き防止性を有するプレコート金属板が開示されている。かかるプレコート金属板は、化成処理皮膜が設けられた金属板の表面に対し、所定の樹脂からなるベース樹脂と、軟質球状粒子と、を含有する樹脂皮膜を設けたものである。
特開2009-196357号公報
ここで、上記特許文献1に開示されているようなプレコート金属板を含む、各種の塗装鋼板において、母材となる鋼板の表面に設けられる各種の皮膜は、比較的に薄膜であることが一般的である。例えば、上記特許文献1においては、上記樹脂皮膜の厚みは、0.1~2.0μmである旨が開示されている。
しかしながら、皮膜の厚みが薄い場合には、塗装鋼板を所望の形状へと加工しようとする場合に、加工の際に用いられる油分等によって皮膜が損なわれ、結果として皮膜が剥離してしまう場合がある。そのため、所望の形状へと加工をすることが求められる塗装鋼板においては、耐疵付き性だけでなく、油分をはじめとする各種の薬品への耐性(以下、薬品性と称する。)が求められる。しかしながら、このような耐疵付き性と薬品性の双方を実現するにあたっては、未だ改良の余地があった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、耐疵付き性及び薬品性を向上させることが可能な、塗装鋼板を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明者らが鋭意検討した結果、母材となる亜鉛系めっき鋼板の表面に対し、バインダー樹脂と、樹脂粒子と、架橋剤と、を含有する塗膜層を、特定の製造条件に即して形成することで、バインダー樹脂同士の結合、及び、バインダー樹脂と樹脂粒子との結合を強固なものとすることに想到した。これにより、塗膜層のバリア性を向上させて、耐疵付き性と薬品性との両立が実現可能となる。
かかる知見に基づき完成された本発明の要旨は、以下の通りである。
(1)母材鋼板の少なくとも一方の表面上に位置するZn含有めっき層と、前記Zn含有めっき層上に位置する、少なくとも2層以上で構成される塗膜層と、を有する塗装鋼板であって、前記塗膜層のうち、前記塗装鋼板の最も外面側に位置する層である最外装塗膜層は、バインダー樹脂と、架橋剤と、樹脂粒子と、着色顔料と、を含有しており、前記最外装塗膜層における前記樹脂粒子の含有量は、10~30質量%の範囲内であり、前記樹脂粒子の平均粒子径は、前記最外装塗膜層の平均厚みに対して、0.3倍以上1.5倍以下であり、前記最外装塗膜層の厚み方向の断面において、前記バインダー樹脂に対応する位置、前記樹脂粒子に対応する位置、及び、前記バインダー樹脂と前記樹脂粒子との界面に対応する位置、のそれぞれのビッカース硬度を測定し、得られた測定値をそれぞれH、H、Hと表記したときに、前記測定値H、H、Hは、以下の式(1)及び式(2)で表される関係を満足する、塗装鋼板。
0.20×H≦H ・・・(1)
1.00×H<H≦2.00×H ・・・(2)
(2)前記樹脂粒子は、前記バインダー樹脂と同種の樹脂を素材とするものである、(1)に記載の塗装鋼板。
(3)前記最外装塗膜層のゲル分率は、90.0~99.5%の範囲内である、(1)又は(2)に記載の塗装鋼板。
(4)前記最外装塗膜層の平均厚みは、3.0μm以上10.0μm以下である、(1)又は(2)に記載の塗装鋼板。
(5)前記塗膜層のうち、前記Zn含有めっき層に最も近い側に位置する層である最内装塗膜層は、シランカップリング剤を少なくとも含有し、前記最内装塗膜層の平均厚みは、0.1μm以上1.0μm以下である、(1)又は(2)に記載の塗装鋼板。
(6)前記樹脂粒子は、アクリル系樹脂粒子である、(1)又は(2)に記載の塗装鋼板。
(7)前記架橋剤は、メラミン樹脂、又は、イソシアネート樹脂の少なくとも何れかである、(1)又は(2)に記載の塗装鋼板。
以上説明したように本発明によれば、耐疵付き性及び薬品性を向上させることが可能となる。
本発明の実施形態に係る塗装鋼板の構造を模式的に示した説明図である。 同実施形態に係る塗装鋼板の構造を模式的に示した説明図である。 同実施形態に係る塗装鋼板の最外装塗膜層について説明するための説明図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(塗装鋼板について)
以下では、図1A及び図1Bを参照しながら、本発明の実施形態に係る塗装鋼板について、詳細に説明する。図1A及び図1Bは、本実施形態に係る塗装鋼板の構造を模式的に示した説明図である。
<塗装鋼板の全体的な構成について>
図1Aに模式的に示したように、本実施形態に係る塗装鋼板1は、母材となる亜鉛系めっき鋼板10と、亜鉛系めっき鋼板10の片方の表面上に位置する塗膜層20と、を有している。
ここで、図1Aに示したように、母材である亜鉛系めっき鋼板10は、母材鋼板11と、母材鋼板11の表面に設けられたZn含有めっき層13と、を有している。
また、図1Aに示したように、亜鉛系めっき鋼板10の表面上に位置する塗膜層20は、塗装鋼板1として最も外面側に位置する層である最外装塗膜層21と、Zn含有めっき層13に最も近い側に位置する層である最内装塗膜層23と、を少なくとも有する、2層以上で構成される層である。すなわち、本実施形態に係る塗膜層20は、最外装塗膜層21及び最内装塗膜層23で構成される2層構造であってもよいし、図1Aに模式的に示したように、最外装塗膜層21と最内装塗膜層23との間に1層以上の層が設けられた、3層以上で構成される層であってもよい。
なお、かかる塗膜層20は、図1Bに模式的に示したように、亜鉛系めっき鋼板10の両面に設けられていても良い。
<亜鉛系めっき鋼板10について>
上記のように、本実施形態に係る塗装鋼板1の母材である亜鉛系めっき鋼板10は、母材鋼板11と、Zn含有めっき層13と、を有している。
≪母材鋼板11≫
ここで、母材鋼板11としては、例えば、Alキルド鋼、Ti、Nb等を含有させた極低炭素鋼、極低炭素鋼にP、Si、Mn等の強化元素を更に含有させた高強度鋼等のような、種々の鋼板を用いることが可能である。
また、母材鋼板11の厚みは、塗装鋼板1に求められる機械的強度等に応じて適宜設定すればよく、例えば0.2mm~10.0mm程度とすることができる。
≪Zn含有めっき層13≫
上記のような母材鋼板11の表面には、Zn含有めっき層13が位置している。かかるZn含有めっき層13は、各種の亜鉛系めっきで構成されている。かかる亜鉛系めっきとしては、例えば、溶融亜鉛めっき、電気亜鉛めっき、亜鉛-ニッケル合金めっき、合金化溶融亜鉛めっき、アルミニウム-亜鉛合金めっき、亜鉛-アルミニウム-マグネシウム合金めっき、亜鉛-バナジウム複合めっき、亜鉛-ジルコニウム複合めっき等が挙げられる。
また、かかるZn含有めっき層13は、JIS Z2244:2009に規定されたビッカース硬度(なお、試験荷重はめっき層の厚みに応じて設定する。)が100Hv以上であるめっき層であることが好ましい。Zn含有めっき層13がかかる硬度を有することで、Zn含有めっき層13の上方に位置する塗膜層20の硬さがZn含有めっき層13に影響され、より優れた耐疵付き性を発現するようになる。Zn含有めっき層13のビッカース硬度は、より好ましくは110Hv以上であり、更に好ましくは120Hv以上である。
一方、Zn含有めっき層13は、ビッカース硬度が800Hv以下であるめっき層であることが好ましい。Zn含有めっき層13がかかる硬度を有することで、塗装鋼板1としての加工性を担保することができる。Zn含有めっき層13のビッカース硬度は、より好ましくは600Hv以下であり、更に好ましくは500Hv以下である。
このような亜鉛系めっきの中でも、特に、Zn含有めっき層13として、亜鉛-アルミニウム-マグネシウム合金めっきを用いることが好ましく、Al:4~22質量%、Mg:1~10質量%、Si:0.0001~2.0000質量%を含有し、残部がZn及び不純物である、亜鉛-アルミニウム-マグネシウム-ケイ素合金めっきを用いることが、より好ましい。
[Al:4~22質量%]
Alの含有量を4質量%以上とすることで、鋼板の耐食性をより向上させることが可能となる。Alの含有量は、より好ましくは5質量%以上である。一方、Alの含有量を22質量%以下とすることで、上記のような耐食性向上効果の飽和を抑制しながら、鋼板の耐食性をより向上させることが可能となる。Alの含有量は、より好ましくは16質量%以下である。
[Mg:1~10質量%]
Mgの含有量を1質量%以上とすることで、鋼板の耐食性をより向上させることが可能となる。Mgの含有量は、より好ましくは2質量%以上である。一方、めっき層の形成に用いるめっき浴において、製造後のZn含有めっき層13におけるMgの含有量が10質量%以下となるようなMg濃度に調整を行うことで、めっき浴でのドロス発生を安定化させて、めっき鋼板を安定的に製造することが可能となる。Zn含有めっき層13の形成に用いるめっき浴において、製造後のZn含有めっき層13におけるMgの含有量が5質量%以下となるようなMg濃度に調整を行うことが、より好ましい。
[Si:0.0001~2.0000質量%]
Siの含有量を0.0001質量%以上とすることで、Zn含有めっき層13の密着性(より詳細には、母材鋼板11とZn含有めっき層13との密着性)をより向上させることが可能となる。一方、Siの含有量を2.0000質量%以下とすることで、Zn含有めっき層13の密着性向上効果の飽和を抑制しつつ、Zn含有めっき層13の密着性をより向上させることが可能となる。Siの含有量は、より好ましくは1.6000質量%以下である。
更に、本実施形態に係るZn含有めっき層13では、残部のZnの一部に換えて、Fe、Sb、Pb等の元素を単独又は複合で1質量%以下含有してもよい。
上記のような化学成分を有するZn含有めっき層13が設けられた亜鉛系めっき鋼板10として、例えば、Zn-11%Al-3%Mg-0.2%Si合金めっき層を有するめっき鋼板のような、溶融亜鉛-アルミニウム-マグネシウム-ケイ素合金めっき鋼板(例えば、日本製鉄株式会社製「スーパーダイマ(登録商標)」)等を挙げることができる。
以上説明したようなZn含有めっき層13は、例えば以下のようにして製造することができる。まず、準備した母材鋼板11の表面に対して、洗浄、脱脂等の前処理を必要に応じて実施する。その後、必要に応じて前処理を実施した母材鋼板11を、所望の化学成分を有する溶融めっき浴に浸漬させ、かかるめっき浴から鋼板を引き上げる。かかるめっき操作に際して、コイルの連続めっき法、あるいは、切板単体のめっき法のいずれによってめっきを行ってもよい。
溶融めっき浴の温度は、組成によって異なるが、例えば、400~500℃の範囲が好ましい。
また、上記のようなZn含有めっき層13のめっき付着量は、鋼板の引き上げ速度や、めっき浴の上方に設けられたワイピングノズルより噴出するワイピングガスの流量や、流速調整などにより制御することが可能である。めっき付着量は、鋼板の両面での合計で、30g/m以上である(すなわち、片面あたり、15g/m以上である)ことが好ましい。付着量を30g/m以上とすることで、亜鉛系めっき鋼板10の耐食性を確実に担保することが可能となる。めっき付着量は、より好ましくは、鋼板の両面での合計で、40g/m以上である。一方、めっきの付着量は、鋼板の両面での合計で、600g/m以下である(すなわち、片面あたり、300g/m以下である)ことが好ましい。付着量を600g/m以下とすることで、Zn含有めっき層13の表面の平滑性を担保しつつ、耐食性の更なる向上を図ることが可能となる。めっき付着量は、より好ましくは、鋼板の両面での合計で、550g/m以下である。
溶融めっきの付着量を調整した後、鋼板を冷却する。この際、冷却条件は、特に限定する必要はない。
以上、本実施形態に係る亜鉛系めっき鋼板10について説明した。
<塗膜層20について>
先だって説明したように、本実施形態に係る塗膜層20は、塗装鋼板1として最も外面側に位置する層である最外装塗膜層21と、Zn含有めっき層13に最も近い側に位置する層である最内装塗膜層23と、を少なくとも有する、2層以上で構成される層である。
≪最外装塗膜層21について≫
本実施形態に係る最外装塗膜層21は、図1A及び図1Bに模式的に示したように、造膜成分であるバインダー樹脂201と、樹脂粒子203と、を含有している。また、本実施形態に係る最外装塗膜層21は、上記のバインダー樹脂201及び樹脂粒子203に加えて、架橋剤と、着色顔料と、を含有している。
最外装塗膜層21が樹脂粒子203を含有することで、樹脂粒子203が有する靭性、展延性により、塗膜層20に加えられた衝撃を緩和することができ、塗膜層20の耐疵付き性を向上させることができる。また、仮に塗膜層20に疵が付いたとしても、疵がZn含有めっき層13に到達することを防止することができ、塗膜鋼板1の耐食性を保持することが可能となる。
また、本実施形態に係る最外装塗膜層21は、架橋剤を含有することで、バインダー樹脂201同士が強固に結合可能となるだけでなく、以下で説明するような特定の製造条件下で最外装塗膜層21を形成することで、バインダー樹脂201と樹脂粒子203との間の強固な密着も実現可能となる。これにより、本実施形態に係る最外装塗膜層21は、架橋構造が発達した緻密な層となって、塗膜層のバリア性がより向上し、優れた薬品性が実現される。その結果、本実施形態に係る塗装鋼板1では、耐疵付き性と薬品性との両立が実現可能となる。
本実施形態に係る塗装鋼板1において、かかる最外装塗膜層21の平均厚み(図1A及び図1Bにおける厚みd)は、3.0μm以上であることが好ましい。最外装塗膜層21の平均厚みが3.0μm以上となることで、より優れた耐疵付き性及び薬品性を実現することが可能となる。最外装塗膜層21の平均厚みは、より好ましくは4.0μm以上である。
一方、かかる最外装塗膜層21の平均厚みは、10.0μm以下であることが好ましい。最外装塗膜層21の平均厚みが10.0μm以下となることで、コストの増加を抑制できるだけでなく、ワキ等の塗膜欠陥の発生を抑制して、より安定した外観を得ることができる。また、最外装塗膜層21の平均厚みが10.0μm以下となることで、皮膜の密着性が低下することを、防止することができる。最外装塗膜層21の平均厚みは、より好ましくは8.0μm以下である。
なお、最外装塗膜層21の平均厚みは、断面からの直接観察により測定することが可能である。具体的には、塗装鋼板を、常温乾燥型エポキシ樹脂中に、その断面が観察可能なように埋め込み、その埋め込み面を機械研磨した後に、SEM(走査型電子顕微鏡)で観察する。以下で詳述するような樹脂粒子203が最外装塗膜層21から突出していない、任意の複数の位置(例えば、10箇所)で厚みを測定し、得られた複数の厚みの平均値を、最外装塗膜層21の厚みとすればよい。
[バインダー樹脂201]
本実施形態に係る最外装塗膜層21における造膜成分としてのバインダー樹脂201は、樹脂粒子203のバインダーとして機能するものであれば、任意の素材を用いることが可能であるが、製造の簡便性及びコスト性の観点からは、各種の有機樹脂を用いることが好ましい。このようなバインダー樹脂201として、例えば、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂等を挙げることができる。
また、本実施形態に係る最外装塗膜層21において、バインダー樹脂201として、樹脂粒子203と同種の樹脂を選択することが好ましい。これにより、バインダー樹脂201と樹脂粒子203との親和性がより向上し、最外装塗膜層21の密着性及びバリア性をより向上させることが可能である。
また、本実施形態に係るバインダー樹脂201は、ガラス転移点Tgが30℃以上である有機樹脂であることが好ましい。上記のようなガラス転移点Tgを有する樹脂をバインダー樹脂201として用いることで、最外装塗膜層21はより適切な硬度を有するようになり、塗装鋼板1の耐疵つき性(特に、引っ掻き疵への耐性)を更に向上させることができる。
バインダー樹脂201のガラス転移点Tgは、好ましくは35℃以上であり、より好ましくは40℃以上である。一方、ガラス転移点Tgの上限値は、特に規定するものではないが、70℃を超える場合には、加工性が低下する可能性がある。そのため、バインダー樹脂201のガラス転移点Tgは、70℃以下であることが好ましい。
なお、かかるガラス転移点Tgは、例えば、TMA(熱機械分析)により、測定対象である皮膜の表面から皮膜厚み方向に針を刺し、一定の温度変化をさせて、測定対象物の熱膨張変化を測定する方法や、DMA(動的粘弾性測定)により、基材から剥離した測定対象である皮膜に対して、周期的な変形を与えながら一定の温度変化をさせて、粘弾性を分析する方法等により特定することが可能である。
[樹脂粒子203]
本実施形態に係る最外装塗膜層21における樹脂粒子203は、有機樹脂を素材とする樹脂粒子である。先だって言及したように、樹脂粒子203が有する靭性、展延性によって、塗膜層20に加わる衝撃を緩和させることが可能となり、塗装鋼板1の耐疵付き性をより向上させることが可能となる。かかる樹脂粒子としては、アクリル系樹脂粒子、ポリエステル系樹脂粒子、ウレタン系樹脂粒子、フッ素系樹脂粒子、シリコン樹脂粒子、ポリオレフィン系樹脂粒子等を挙げることができるが、所望の硬度をより安価に実現可能という点で、アクリル系樹脂粒子を用いることがより好ましい。また、最外装塗膜層21は、以下で説明するように、着色顔料を含有しているが、かかる着色顔料自体が、上記のような樹脂粒子203として機能してもよい。
なお、樹脂粒子203の代わりに、シリカやセラミックスに代表されるような無機化合物からなる無機粒子を用いることも考えうる。しかしながら、無機粒子は脆い粒子であるため、上記のような樹脂粒子203を用いることによる効果を、得ることができない。
本実施形態に係る最外装塗膜層21において、かかる樹脂粒子203の含有量は、バインダー樹脂201と樹脂粒子203との合計含有量に対して、10質量%以上である。これにより、所望の耐疵付き性を実現することが可能となる。最外装塗膜層21における樹脂粒子203の含有量は、より好ましくは15質量%以上である。一方で、樹脂粒子203の含有量は、バインダー樹脂201と樹脂粒子203との合計含有量に対して、30質量%以下である。これにより、耐疵付き性をより一層向上させることが可能となる。樹脂粒子203の含有量が30質量%超であると、最外装塗膜層21に占めるバインダー樹脂の比率が低くなり、皮膜としてのバリア性が低下して、所望の薬品性を発現させることができない。最外装塗膜層21における樹脂粒子203の含有量は、より好ましくは25質量%以下である。
本実施形態に係る最外装塗膜層21において、かかる樹脂粒子203の平均粒子径は、最外装塗膜層21の平均厚み(図1A及び図1Bにおける厚みd)に対して、0.3倍以上1.5倍以下となっている。樹脂粒子203の平均粒子径が、最外装塗膜層21の平均厚みの0.3倍未満である場合には、最外装塗膜層21の厚みに対して樹脂粒子203の大きさが小さすぎて、塗膜層20に加えられた衝撃を緩和することができず、塗膜層20の耐疵付き性を向上させることができない。樹脂粒子203の平均粒子径が、最外装塗膜層21の平均厚みの0.3倍以上となることで、耐疵付き性を向上させることが可能となる。樹脂粒子203の平均粒子径は、最外装塗膜層21の平均厚みに対して、好ましくは0.4倍以上であり、より好ましくは0.5倍以上である。
一方、樹脂粒子203の平均粒子径が、最外装塗膜層21の平均厚みの1.5倍超である場合には、最外装塗膜層21の厚みに対してビーズが突出しすぎることで、摺動を伴う加工を実施した際にビーズが欠落する可能性があるため、好ましくない。樹脂粒子203の平均粒子径が、最外装塗膜層21の平均厚みの1.5倍以下となることで、摺動を伴う加工時のビーズの欠落を抑制しつつ、耐疵付き性を向上させることが可能となる。樹脂粒子203の平均粒子径は、最外装塗膜層21の平均厚みに対して、好ましくは1.2倍以下であり、より好ましくは1.0倍以下である。
なお、本実施形態に係る最外装塗膜層21において、樹脂粒子203は、その平均粒子径が最外装塗膜層21の平均厚みの0.3倍以上1.0倍以下であるもののみで構成されていてもよい。また、図1A及び図1Bに示したように、樹脂粒子203は、その平均粒子径が最外装塗膜層21の平均厚みの0.3倍以上1.0倍以下であるものと1.0倍超1.5倍以下であるものとが混在していてもよい。また、樹脂粒子203は、その平均粒子径が最外装塗膜層21の平均厚みの1.0倍超1.5倍以下であるもののみで構成されていてもよい。
ここで、樹脂粒子203の平均粒子径は、断面からの直接観察により測定することが可能である。具体的には、塗装鋼板を、常温乾燥型エポキシ樹脂中に、その断面が観察可能なように埋め込み、その埋め込み面を機械研磨した後に、SEM(走査型電子顕微鏡)で観察する。その際、任意の複数の位置(例えば、10箇所)で観察される樹脂粒子203の粒径を測定し、得られた複数の粒径の平均値を、樹脂粒子203の平均粒子径とすればよい。得られた平均粒子径と、最外装塗膜層21の平均厚みとから、上記の倍率を算出することが可能である。
[架橋剤]
本実施形態に係る最外装塗膜層21は、上記のような成分に加えて、更に、架橋剤を含有する。これにより、バインダー樹脂201同士が強固に結合可能となるだけでなく、以下のような特定の製造条件下で最外装塗膜層21を形成することで、バインダー樹脂201と樹脂粒子203との間の強固な密着も実現可能となり、最外装塗膜層21として所望の硬度を得ることができる。
最外装塗膜層21が含有する架橋剤は、用いるバインダー樹脂201や樹脂粒子203の種別に応じて、適切なものを適宜選択すればよい。ただし、最外装塗膜層21が、架橋剤として、メラミン樹脂、又は、イソシアネート樹脂の少なくとも何れかを含有することで、塗装鋼板1としての耐疵付き性及び薬品性を、より向上させることが可能となる。かかる架橋剤の含有量は、例えば、バインダー樹脂201と架橋剤との合計含有量に対して、10質量%以上20質量%以下とすることが好ましい。
◇最外装塗膜層21のゲル分率
ここで、本実施形態に係る塗装鋼板1において、最外装塗膜層21のゲル分率は、90.0%以上であることが好ましい。最外装塗膜層21のゲル分率が90.0%以上である場合、バインダー樹脂201同士、及び、バインダー樹脂201と樹脂粒子203との間で、より適切な架橋構造が実現されていることを意味し、塗装鋼板1としての耐疵付き性及び薬品性は、より優れたものとなる。最外装塗膜層21のゲル分率は、より好ましくは95.0%以上である。
一方、本実施形態に係る塗装鋼板1において、最外装塗膜層21のゲル分率は、99.5%以下であることが好ましい。最外装塗膜層21のゲル分率が99.5%以下である場合、最外装塗膜層21の硬度が硬くなりすぎずに、バインダー樹脂201同士、及び、バインダー樹脂201と樹脂粒子203との間で、より適切な架橋構造が実現されていることを意味し、塗装鋼板1としての耐疵付き性及び薬品性は、より優れたものとなる。最外装塗膜層21のゲル分率は、より好ましくは99.0%以下である。
ここで、最外装塗膜層21のゲル分率は、以下に示す方法により測定することが可能である。すなわち、所定サイズに切断した、塗装を施した鋼板サンプルの初期質量(W)を測定する。測定後、かかる鋼板サンプルをエタノール溶液中に浸漬し、30℃環境下で1週間静置する。静置後、上記鋼板サンプルを取り出し、100℃のオーブンに入れ、鋼板サンプルを10分間乾燥させる。乾燥後質量を測定し、再度オーブンに10分間乾燥させ、質量測定を実施する。乾燥後の質量変化が無くなるまで、上記の操作を繰り返す。このようにして得られた乾燥後の質量をWとする。その後、塗膜を除去し、塗膜を除去した鋼板サンプルの質量(W)を測定する。上記方法にて測定した、塗装を施した鋼板サンプルの初期質量(W)、エタノール浸漬後、乾燥した鋼板サンプルの質量(W)、塗膜を除去した鋼板サンプルの質量(W)を用い、以下の式に基づき、ゲル分率を算出する。
(ゲル分率)[%]=((W-W)/(W-W))×100
[着色顔料]
また、本実施形態に係る最外装塗膜層21は、上記のような成分に加えて、更に着色顔料を含有する。これにより、最外装塗膜層21を所望の色調とすることが可能となり、塗装鋼板1の意匠性をより向上させることが可能となる。
なお、最外装塗膜層21が含有する着色顔料については、特に限定されるものではなく、最外装塗膜層21に求める色調に応じて、公知の各種の顔料を適宜用いることが可能である。このような着色顔料として、例えば、アルミ顔料、カーボンブラック、TiO等を挙げることができる。また、その含有量についても、適宜設定すればよく、例えば、3~60質量%程度とすればよい。
また、本実施形態に係る最外装塗膜層21は、上記の効果を損なわない範囲内で、必要に応じて、防錆顔料、表面修飾した金属粉やガラス粉、分散剤、レベリング剤、ワックス、骨材等の添加剤や、希釈溶剤等を、更に含むことができる。
ここで、防錆顔料を含有させる場合、その含有量は、例えば、1~15質量%とすることが好ましい。また、用いる防錆顔料には、公知の各種の防錆顔料を用いることが可能である。
[最外装塗膜層21のビッカース硬度]
次に、本実施形態に係る最外装塗膜層21が示すビッカース硬度について、図2を参照しながら説明する。図2は、本実施形態に係る塗装鋼板の最外装塗膜層について説明するための説明図である。
本実施形態に係る塗装鋼板1において、最外装塗膜層21を厚み方向に切断した断面に着目する。かかる断面において、図2に模式的に示したように、バインダー樹脂201に対応する位置(例えば、図2における位置A)、樹脂粒子203に対応する位置(例えば、図2における位置B)、及び、バインダー樹脂201と樹脂粒子203との界面に対応する位置(例えば、図2における位置C)のそれぞれにおいて、ビッカース硬度を測定する。かかる測定により得られる結果を、それぞれ、H、H、Hと表記する。
本実施形態に係る最外装塗膜層21において、得られた測定値H、H、Hは、以下の式(101)及び式(102)で表される関係を満足する。
0.20×H≦H ・・・(101)
1.00×H<H≦2.00×H ・・・(102)
ここで、硬度Hが(0.20×H)未満である場合には、バインダー樹脂201と樹脂粒子203とが十分に密着していないことを意味し、塗膜表面に対して、摺動を伴う加工等を施した際に、樹脂粒子203が欠落しやすくなるため、好ましくない。硬度Hが(0.20×H)以上となる場合には、バインダー樹脂201と樹脂粒子203が十分に密着していることを意味し、塗膜表面に対して、摺動を伴う加工等を施した際に、樹脂粒子203の欠落を防止して、所望の耐疵付き性を実現することができる。硬度Hは、好ましくは(0.30×H)以上である。
また、硬度Hが硬度H以上である場合には、バインダー樹脂201と樹脂粒子203とが過度に反応し、硬度H近傍の界面に硬質な層を形成している可能性があり、塗膜表面に対して、摺動を伴う加工等を施した際に、硬質な層が破壊されて樹脂粒子203が欠落しやすくなるため、好ましくない。硬度Hが硬度H未満となることで、バインダー樹脂201と樹脂粒子203とが十分に密着し、過度に反応していないことの指標となり、塗膜表面に対して、摺動を伴う加工等を施した際に、樹脂粒子203の欠落を防止して、所望の耐疵付き性を実現することができる。一方、硬度Hが、(2.00×H)超である場合には、バインダー樹脂201と樹脂粒子203界面の密着性が不十分な結果、樹脂粒子203の硬度に対して、バインダー樹脂201と樹脂粒子203界面の硬度が低くなりすぎるようになる。この場合、摺動を伴う加工等を施した際に、樹脂粒子203が欠落しやすくなるため、好ましくない。硬度Hが(2.00×H)以下となることで、バインダー樹脂201と樹脂粒子203界面の密着性が確保され、樹脂粒子203に対して、硬度を十分に確保出来るため、摺動を伴う加工等を施した際に、樹脂粒子203が欠落しにくくなり、所望の耐疵付き性を実現することができる。硬度Hは、好ましくは(1.50×H)以下である。
なお、上記のようなビッカース硬度を測定する際には、塗装鋼板を、常温乾燥型エポキシ樹脂中に、その断面が観察可能なように埋め込み、その埋め込み面を機械研磨する。その後、得られた断面を、市販のユニバーサル硬度計(例えば、株式会社フィッシャー・インストルメンツ製等)を用いて測定すればよい。この際、試験荷重は、条件出しの際に圧子の径を確認し、測定する樹脂粒子の粒径に対して1/10未満となるように設定すればよい。
バインダー樹脂201に対応する位置、樹脂粒子203に対応する位置、及び、バインダー樹脂201と樹脂粒子203との界面に対応する位置のそれぞれについて、任意の10箇所で、ビッカース硬度を測定する。各位置について得られた10個の測定値の平均値を算出し、得られた平均値を、測定値H、H、Hとする。
以上説明したような、最外装塗膜層21は、以下で説明する最内装塗膜層23を含む、最外装塗膜層21以外の所望の塗膜層が形成された亜鉛系めっき鋼板10に対し、上記のような最外装塗膜層21を構成する成分を含む塗料組成物を塗布したあと、最高板到達温度として140℃以上280℃未満で焼き付け、硬化乾燥させることで、形成することが可能である。最高板到達温度が140℃未満である場合には、最高板到達温度に達する時間によらず、架橋反応を十分に進行させることができずに、所望の薬品性を得ることができず、またバインダー樹脂201と樹脂粒子203との良好な密着を得ることができない。また、最高板到達温度が280℃以上である場合には、樹脂成分の熱劣化が起こり、加工性が低下する可能性がある。最高板到達温度は、より好ましくは160℃以上であり、更に好ましくは180℃以上である。また、最高板到達温度は、より好ましくは250℃以下であり、更に好ましくは240℃以下である。
なお、最高板到達温度が上記の範囲内であっても、加熱時間が短時間の場合、架橋反応を十分に進行させることができずに、所望の耐疵付き性を得ることができない。例えば架橋剤をメラミン樹脂とした場合、加熱時間は、最高板到達温度が140℃であれば600秒以上、160℃であれば30秒以上、180℃であれば5秒以上、200℃であれば2秒以上、240℃であれば1秒以上必要である。
なお、上記のような塗料組成物の塗布は、一般に公知の塗布方法、例えば、ロールコート、カーテンフローコート、エアースプレー、エアーレススプレー、浸漬、バーコート、刷毛塗りなどで行うことができる。
≪最内装塗膜層23について≫
本実施形態に係る最内装塗膜層23は、塗膜層20のうち、Zn含有めっき層13に最も近い側に位置する層である。かかる最内装塗膜層23は、各種の化成処理により形成される層である。
本実施形態に係る最内装塗膜層23は、シランカップリング剤を少なくとも含有しており、更に必要に応じて、例えば、樹脂、ジルコニウム化合物、シリカ、リン酸及びその塩、フッ化物、バナジウム化合物、並びに、タンニン又はタンニン酸からなる群より選択される何れか一つ以上を含有してもよい。本実施形態に係る最内装塗膜層23が、少なくともシランカップリング剤を含有することで、化成処理液塗布後の成膜性、水分や腐食性イオン等の腐食因子に対する皮膜のバリア性(緻密性)、及び、めっき面への皮膜密着性などが向上し、皮膜の耐食性の底上げに寄与することができる。
特に、最内装塗膜層23がシランカップリング剤を含有する(より好ましくは、更にジルコニウム化合物を含有する)ことで、最内装塗膜層23内に架橋構造を形成し、めっき表面との結合についても強化するため、皮膜の密着性やバリア性を向上させることができる。
また、最内装塗膜層23が、更に、シリカ、リン酸及びその塩、フッ化物、又は、バナジウム化合物の何れか一つ以上を含有すると、これら物質がインヒビターとして機能し、めっきや鋼表面に沈殿皮膜や不動態皮膜を形成することで、耐食性を更に向上させることが可能となる。
以下では、上記のような最内装塗膜層23が含みうる各構成成分の詳細について、例を挙げながら説明する。
[シランカップリング剤]
シランカップリング剤としては、例えば、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、N-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリエトキシシラン、γ-クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、γ-アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ-アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アニリノプロピルトリエトキシシラン、γ-アニリノプロピルメチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、オクタデシルジメチル[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル[3-(メチルジメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、オクタデシルジメチル[3-(メチルジエトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、γ-クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン等を挙げることができる。最内装塗膜層23を形成するための化成処理剤中のシランカップリング剤の添加量は、例えば、2~80g/Lとすることができる。シランカップリング剤の添加量が2g/L未満である場合にはめっき表面との密着性が不足し、塗膜の加工密着性が低下する可能性がある。また、シランカップリング剤の添加量が80g/Lを超える場合には、最内装塗膜層23の凝集力が不足し、塗膜層の加工密着性が低下する可能性がある。上記に例示したようなシランカップリング剤は、1種で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
[ジルコニウム化合物]
ジルコニウム化合物としては、例えば、ジルコニウムノルマルプロピレート、ジルコニウムノルマルブチレート、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムモノアセチルアセトネート、ジルコニウムビスアセチルアセトネート、ジルコニウムモノエチルアセトアセテート、ジルコニウムアセチルアセトネートビスエチルアセトアセテート、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムモノステアレート、炭酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウムアンモ二ウム、炭酸ジルコニウムカリウム、炭酸ジルコニウムナトリウム等を挙げることができる。最内装塗膜層23を形成するための化成処理剤中のジルコニウム化合物の添加量は、例えば、2~80g/Lとすることができる。ジルコニウム化合物の添加量が2g/L未満である場合にはめっき表面との密着性が不足し、塗膜の加工密着性が低下する可能性がある。また、ジルコニウム化合物の添加量が80g/Lを超える場合には、最内装塗膜層23の凝集力が不足し、塗膜層の加工密着性が低下する可能性がある。かかるジルコニウム化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[樹脂]
樹脂は、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂等といった、公知の有機樹脂を使用することができる。めっき鋼板との密着性を更に高めるためには、分子鎖中に強制部位や極性官能基をもつ樹脂(ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等)の少なくとも一つを使用することが好ましい。樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
最内装塗膜層23における樹脂の含有量は、例えば、皮膜固形分に対して、0質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましい。また、最内装塗膜層23における樹脂の含有量は、例えば、皮膜固形分に対して、85質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることが更に好ましい。樹脂の含有量が、85質量%を超える場合には、その他の皮膜構成成分の割合が低下して、耐食性以外の皮膜として求められる性能が低下する場合がある。
[シリカ]
シリカとしては、例えば、日産化学株式会社製の「スノーテックスN」、「スノーテックスC」、「スノーテックスUP」、「スノーテックスPS」、株式会社ADEKA製の「アデライトAT-20Q」等の市販のシリカゲル、もしくは、日本アエロジル株式会社製のアエロジル#300等の粉末シリカ、又は、これら市販のシリカと同等のものを用いることができる。シリカは、必要とされる塗装鋼板の性能に応じて、適宜選択することができる。最内装塗膜層23を形成するための化成処理剤中のシリカの添加量は、例えば、1~40g/Lとすることが好ましい。シリカの添加量が1g/L未満である場合には、皮膜層の加工密着性が低下する可能性があり、シリカの添加量が40g/Lを超える場合には、加工密着性及び耐食性の効果が飽和する可能性が高いことから、不経済である。
[リン酸及びその塩]
リン酸及びその塩としては、例えば、オルトリン酸、メタリン酸、ピロリン酸、三リン酸、四リン酸等のリン酸類及びそれらの塩、リン酸三アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム等のアンモニウム塩、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)等のホスホン酸類及びそれらの塩、フィチン酸等の有機リン酸類及びそれらの塩等が挙げられる。なお、リン酸の塩として、アンモニウム塩以外の塩としては、Na、Mg、Al、K、Ca、Mn、Ni、Zn、Fe等との金属塩が挙げられる。リン酸及びその塩は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、リン酸及びその塩の含有量は、例えば、皮膜固形分に対して、0質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましい。また、リン酸及びその塩の含有量は、例えば、皮膜固形分に対して、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。リン酸及びその塩の含有量が20質量%を超える場合には、皮膜が脆くなり、塗装鋼板を成形加工する際の皮膜の加工追従性が低下する場合がある。
[フッ化物]
フッ化物としては、例えば、ジルコンフッ化アンモニウム、ケイフッ化アンモニウム、チタンフッ化アンモニウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、チタンフッ化水素酸、ジルコンフッ化水素酸等を挙げることができる。かかるフッ化物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、フッ化物の含有量は、例えば、皮膜固形分に対して、0質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましい。また、フッ化物の含有量は、例えば、皮膜固形分に対して、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。フッ化物の含有量が20質量%を超える場合には、皮膜が脆くなり、塗装鋼板を成形加工する際の皮膜の加工追従性が低下する場合がある。
[バナジウム化合物]
バナジウム化合物としては、例えば、五酸化バナジウム、メタバナジン酸、メタバナジン酸アンモニウム、メタバナジン酸ナトリウム、オキシ三塩化バナジウム等の5価のバナジウム化合物を還元剤で2~4価に還元したバナジウム化合物、三酸化バナジウム、二酸化バナジウム、オキシ硫酸バナジウム、オキシ蓚酸バナジウム、バナジウムオキシアセチルアセトネート、バナジウムアセチルアセトネート、三塩化バナジウム、リンバナドモリブデン酸、硫酸バナジウム、二塩化バナジウム、酸化バナジウム等の酸化数4~2価のバナジウム化合物等を挙げることができる。かかるバナジウム化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、バナジウム化合物の含有量は、例えば、皮膜固形分に対して、0質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましい。また、バナジウム化合物の含有量は、例えば、皮膜固形分に対して、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。バナジウム化合物の含有量が20質量%を超える場合には、皮膜が脆くなり、塗装鋼板を成形加工する際の皮膜の加工追従性が低下する場合がある。
[タンニン又はタンニン酸]
タンニン又はタンニン酸は、加水分解できるタンニン、縮合タンニンのいずれも用いることができる。タンニン及びタンニン酸の例としては、ハマメタタンニン、五倍子タンニン、没食子タンニン、ミロバランのタンニン、ジビジビのタンニン、アルガロビラのタンニン、バロニアのタンニン、カテキン等を挙げることができる。最内装塗膜層23を形成するための化成処理剤中のタンニン又はタンニン酸の添加量は、2~80g/Lとすることができる。タンニン又はタンニン酸の添加量が2g/L未満である場合にはめっき表面との密着性が不足し、塗膜の加工密着性が低下する可能性がある。また、タンニン又はタンニン酸の添加量の添加量が80g/Lを超える場合には、最内装塗膜層23の凝集力が不足し、塗膜の加工密着性が低下する可能性がある。
また、最内装塗膜層23を形成するための化成処理剤中には、性能が損なわれない範囲内で、pH調整のために酸、アルカリ等を添加してもよい。
上記のような各種の成分を含有する化成処理剤は、亜鉛系めっき鋼板10の片面又は両面上に塗布されたのち、乾燥されて最内装塗膜層23を形成する。本実施形態に係る塗装鋼板では、片面あたり100mg/m以上の最内装塗膜層23をZn含有めっき層13上に形成することが好ましい。最内装塗膜層23の付着量は、より好ましくは200mg/m以上であり、更に好ましくは500mg/m以上である。また、本実施形態に係る塗装鋼板では、片面あたり1000mg/m以下の最内装塗膜層23をZn含有めっき層13上に形成することが好ましい。最内装塗膜層23の付着量は、より好ましくは800mg/m以下であり、更に好ましくは600mg/m以下である。なお、かかる付着量に対応する最内装塗膜層23の膜厚は、化成処理剤に含まれる成分にもよるが、概ね0.1~1.0μm程度となる。なお、かかる最内装塗膜層23の膜厚は、断面の直接観察により測定することが可能である。
なお、上記のような化成処理剤の塗布は、一般に公知の塗布方法、例えば、ロールコート、カーテンフローコート、エアースプレー、エアーレススプレー、浸漬、バーコート、刷毛塗りなどで行うことができる。
≪最外装塗膜層21、最内装塗膜層23以外の層について≫
先だって説明したように、本実施形態に係る塗膜層20では、最外装塗膜層21と、最内装塗膜層23との間に、1又は複数の塗膜層を更に設けてもよい。ここで、最外装塗膜層21と、最内装塗膜層23との間に設けられる塗膜層の具体的な内容については、特に規定されるものではなく、塗装鋼板1に求める諸特性に応じて、公知の各種の塗膜層を設けることが可能である。
以上、図1A~図2を参照しながら、本実施形態に係る塗装鋼板について、詳細に説明した。
なお、上記の実施形態では、塗装鋼板の母材として、亜鉛系めっき鋼板を用いる場合に着目したが、以上説明したような本発明を、アルミニウム板、亜鉛板、ステンレス板、チタン板等といった、鋼板以外の各種の金属板に対して適用してもよい。すなわち、鋼板以外の各種の金属板の表面に、上記のような塗膜層20を設けてもよい。
以下、実施例及び比較例を示しながら、本発明に係る塗装鋼板について、具体的に説明する。なお、以下に示す実施例は、本発明に係る塗装鋼板の一例にすぎず、本発明に係る塗装鋼板が下記の例に限定されるものではない。
(1)鋼板
以下の表1に示す、A1~A5の5種類の金属板を準備した(いずれも市販のものである。)。以下の表1において、めっき付着量は、片面あたりの付着量である。準備した鋼板に対して、クロメートフリー系化成処理(CT-E300/日本パーカライジング社製と同等のもの)を60mg/m施しためっき鋼板も準備した。化成処理に用いた処理液は、その成分としてシランカップリング剤を含有するものであり、かかる化成処理により形成される皮膜層は、化成処理皮膜層として機能し、最内装塗膜層に対応する。なお、化成処理の有無は、以下の表7-1、表7-2に記載した。
Figure 2024048206000002
(2)着色塗料の調整
最外装塗膜層に対応する着色皮膜層の形成に用いるための、着色塗料を調製した。
造膜成分として機能するバインダー樹脂として、以下の表2に示す樹脂と同等のものを用意した。各樹脂溶液に対し、架橋剤として、以下の表3に示す樹脂と同等のものを用意した。更に、以下の表4に示す樹脂粒子と同等のものを準備し、以下の表7-1、表7-2に示した所定粒径・所定含有量で添加した。また、着色顔料として、以下の表5に示したアルミ顔料、酸化チタン、カーボンブラック(CB)、青色顔料(銅フタロシアニン)と同等のものを準備し、以下の表7-1、表7-2に示した所定量で添加した。また、防錆顔料として、以下の表6に示す化合物を準備し、以下の表7-1、表7-2に示した所定量で添加し、着色塗料を調製した。
Figure 2024048206000003
Figure 2024048206000004
Figure 2024048206000005
Figure 2024048206000006
Figure 2024048206000007
(3)サンプル作製
上記のようにして調製した着色塗料を、バーコータを用いてめっき鋼板に塗布し、熱風式オーブンでオーブン設定温度、オーブン風速を調整し、表7-1、表7-2に記載の加熱時間(最高板到達温度に達した後すぐに取り出し、水冷)、最高板到達温度で、加熱して着色皮膜を形成した。ここで、以下の表7-2に示す、実施例58のサンプルは、比較例2のサンプルと同様のものを作製し、更にその表面に対して、表7-2に示した実施例58の着色皮膜層を形成した、3層構造の塗膜層のサンプルとなっている。なお、作成した着色皮膜層の厚みは、先だって説明した方法に即して断面観察により測定し、得られた結果を、加熱時間、最高板到達温度とともに、表7-1、表7-2に示した。
(4)サンプルの各種硬度測定
作製したサンプルの断面サンプルを用い、フィッシャースコープを用い、バインダー樹脂(H)に対応する位置、樹脂粒子(H)に対応する位置、及び、バインダー樹脂と樹脂粒子との界面Hに対応する位置、のそれぞれのビッカース硬度を測定した。測定は10点測定し、それらの平均値の値を用い、関係性を調査した。得られた結果を、表7-1、表7-2に示した。
(5)サンプルのゲル分率測定
先だって説明した方法により、ゲル分率を測定した。得られた結果を、表7-1、表7-2に示した。
Figure 2024048206000008
Figure 2024048206000009
(6)サンプルの評価
上記方法により作製した各サンプルについて、以下のような基準に基づき性能を評価した。得られた評価結果を、以下の表8-1、表8-2にあわせて示した。
<耐面接触疵性>
以下のような手法により、耐面接触疵性を評価した。作製したサンプルを50mm角に切断して、塗装面を上にした状態で固定した。その上に、50mm角に切断した電気亜鉛めっき鋼板を重ね、8.5kgf/cm(1kgfは、約9.8Nである。)の条件で加圧した状態で90度回転させた後に、塗装面の状態を以下のような基準で評価し、評点3以上を合格とした。
[評価基準]
評点7:塗膜剥離・加圧による光沢変化とも、ほとんど認められない。
(接触部からの剥離が2%未満)
6:塗膜剥離はほとんど認められず、加圧による光沢変化が一部認められる。
(接触部からの剥離が2%未満)
5:極僅かに塗膜剥離が認められ、加圧による光沢変化が一部認められる。
(接触部からの剥離が2%以上5%未満)
4:僅かに塗膜剥離が認められ、加圧による光沢変化が一部認められる。
(接触部からの剥離が5%以上10%未満)
3:僅かに塗膜剥離が認められ、加圧による光沢変化が認められる。
(接触部からの剥離が5%以上10%未満)
2:塗膜剥離が認められ、加圧による著しい光沢変化が認められる。
(接触部からの剥離が10%以上20%未満)
1:塗膜剥離が著しい。
(接触部からの剥離が20%以上)
<耐エタノールラビング性>
以下のような手法により、耐エタノールラビング性を評価した。エタノールを染みこませたガーゼを用い、加重1kgfで作製したサンプル上に50往復ラビングし、ラビング後の塗膜外観を以下の基準で評価し、評点3以上を合格とした。
[評価基準]
評点6:塗膜剥離なし。
5:部分的に塗膜剥離が確認されるが、素地は見えない。
4:塗膜剥離が確認されるが、素地は見えない。
3:塗膜剥離が確認され、素地がうっすらと透けて見える。
2:部分的に塗膜剥離が認められ、剥離部から素地が露出。
1:ラビング実施部全体で塗膜が剥離し、素地が露出。
<耐食性>
参考性能として、以下のような基準に基づき耐食性を評価した。試験板の端面をテープシールした後、JIS Z 2371に準拠した塩水噴霧試験(SST)を72時間行い、錆発生状況を観察し、下記の評価基準で評価した。
[評価基準]
評点6:白錆発生面積が1%未満で赤錆発生なし。
5:錆発生面積が1%以上2%未満で赤錆発生なし。
4:錆発生面積が2%以上3%未満で赤錆発生なし。
3:錆発生面積が3%以上4%未満で赤錆発生なし。
2:錆発生面積が4%以上5%未満で赤錆発生なし。
1:錆発生面積が5%以上、または赤錆発生。
Figure 2024048206000010
Figure 2024048206000011
表8-1、表8-2から明らかなように、本発明の実施例に対応する塗装鋼板は、優れた耐疵付き性及び薬品性を示す一方で、本発明の比較例に対応する塗装鋼板は、耐疵付き性又は薬品性の少なくとも何れか一方が、十分ではないことがわかる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではない。上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲、後述するような本発明の技術的範囲に属する構成及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。例えば、上記実施形態の構成要件は、その効果を損なわない範囲内で、任意に組み合わせることが可能である。また、当該任意の組み合せからは、組み合わせにかかるそれぞれの構成要件についての作用及び効果が当然に得られるとともに、本明細書の記載から当業者には明らかな他の作用及び他の効果が得られる。
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的又は例示的なものであって、限定的ではない。つまり、本発明に係る技術は、上記の効果とともに、又は、上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
なお、以下のような構成も、本発明の技術的範囲に属する。
(1)母材鋼板の少なくとも一方の表面上に位置するZn含有めっき層と、
前記Zn含有めっき層上に位置する、少なくとも2層以上で構成される塗膜層と、
を有する塗装鋼板であって、
前記塗膜層のうち、前記塗装鋼板の最も外面側に位置する層である最外装塗膜層は、バインダー樹脂と、架橋剤と、樹脂粒子と、着色顔料と、を含有しており、
前記最外装塗膜層における前記樹脂粒子の含有量は、10~30質量%の範囲内であり、
前記樹脂粒子の平均粒子径は、前記最外装塗膜層の平均厚みに対して、0.3倍以上1.5倍以下であり、
前記最外装塗膜層の厚み方向の断面において、前記バインダー樹脂に対応する位置、前記樹脂粒子に対応する位置、及び、前記バインダー樹脂と前記樹脂粒子との界面に対応する位置、のそれぞれのビッカース硬度を測定し、得られた測定値をそれぞれH、H、Hと表記したときに、前記測定値H、H、Hは、以下の式(1)及び式(2)で表される関係を満足する、塗装鋼板。
0.20×H≦H ・・・(1)
1.00×H<H≦2.00×H ・・・(2)
(2)
前記樹脂粒子は、前記バインダー樹脂と同種の樹脂を素材とするものである、(1)に記載の塗装鋼板。
(3)
前記最外装塗膜層のゲル分率は、90.0~99.5%の範囲内である、(1)又は(2)に記載の塗装鋼板。
(4)
前記最外装塗膜層の平均厚みは、3.0μm以上10.0μm以下である、(1)~(3)の何れか1つに記載の塗装鋼板。
(5)
前記塗膜層のうち、前記Zn含有めっき層に最も近い側に位置する層である最内装塗膜層は、シランカップリング剤を少なくとも含有し、
前記最内装塗膜層の平均厚みは、0.1μm以上1.0μm以下である、(1)~(4)の何れか1つに記載の塗装鋼板。
(6)
前記樹脂粒子は、アクリル系樹脂粒子である、(1)~(5)の何れか1つに記載の塗装鋼板。
(7)
前記架橋剤は、メラミン樹脂、又は、イソシアネート樹脂の少なくとも何れかである、(1)~(6)の何れか1つに記載の塗装鋼板。
1 塗装鋼板
10 亜鉛系めっき層
11 母材鋼板
13 Zn系めっき層
20 塗膜層
21 最外装塗膜層
23 最内装塗膜層
201 バインダー樹脂
203 樹脂粒子

Claims (7)

  1. 母材鋼板の少なくとも一方の表面上に位置するZn含有めっき層と、
    前記Zn含有めっき層上に位置する、少なくとも2層以上で構成される塗膜層と、
    を有する塗装鋼板であって、
    前記塗膜層のうち、前記塗装鋼板の最も外面側に位置する層である最外装塗膜層は、バインダー樹脂と、架橋剤と、樹脂粒子と、着色顔料と、を含有しており、
    前記最外装塗膜層における前記樹脂粒子の含有量は、10~30質量%の範囲内であり、
    前記樹脂粒子の平均粒子径は、前記最外装塗膜層の平均厚みに対して、0.3倍以上1.5倍以下であり、
    前記最外装塗膜層の厚み方向の断面において、前記バインダー樹脂に対応する位置、前記樹脂粒子に対応する位置、及び、前記バインダー樹脂と前記樹脂粒子との界面に対応する位置、のそれぞれのビッカース硬度を測定し、得られた測定値をそれぞれH、H、Hと表記したときに、前記測定値H、H、Hは、以下の式(1)及び式(2)で表される関係を満足する、塗装鋼板。
    0.20×H≦H ・・・(1)
    1.00×H<H≦2.00×H ・・・(2)
  2. 前記樹脂粒子は、前記バインダー樹脂と同種の樹脂を素材とするものである、請求項1に記載の塗装鋼板。
  3. 前記最外装塗膜層のゲル分率は、90.0~99.5%の範囲内である、請求項1又は2に記載の塗装鋼板。
  4. 前記最外装塗膜層の平均厚みは、3.0μm以上10.0μm以下である、請求項1又は2に記載の塗装鋼板。
  5. 前記塗膜層のうち、前記Zn含有めっき層に最も近い側に位置する層である最内装塗膜層は、シランカップリング剤を少なくとも含有し、
    前記最内装塗膜層の平均厚みは、0.1μm以上1.0μm以下である、請求項1又は2に記載の塗装鋼板。
  6. 前記樹脂粒子は、アクリル系樹脂粒子である、請求項1又は2に記載の塗装鋼板。
  7. 前記架橋剤は、メラミン樹脂、又は、イソシアネート樹脂の少なくとも何れかである、請求項1又は2に記載の塗装鋼板。
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