JP3414348B2 - 耐黒変性に優れたクロムフリー処理亜鉛系めっき鋼板 - Google Patents

耐黒変性に優れたクロムフリー処理亜鉛系めっき鋼板

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、自動車、家電、建
材製品等の用途に適する、クロムフリーの防食被覆が施
された溶融亜鉛系めっき鋼板および電気亜鉛系めっき鋼
板に関し、特に黒変現象が抑制されたクロムフリーの防
食被覆が施された亜鉛系めっき鋼板に関する。本明細書
において、亜鉛系めっき鋼板とは、亜鉛めっき鋼板と亜
鉛合金めっき鋼板の両者を包含する意味である。 【0002】 【従来の技術】亜鉛系めっき鋼板の防錆処理として、従
来よりクロメート処理が広く用いられてきた。しかし、
クロメート処理で利用される6価クロムは人体に有害で
あり、特に近年は地球環境問題から6価クロムを規制す
る動きが加速されたことから、6価クロムを使わない、
さらにはクロムを一切使わない、クロムフリーの防錆処
理が望まれるようになってきた。この要請に対し、従来
からクロムフリー処理が検討されてきた。例えば、特開
平8−232076号、同8−232077号、同10−251864号、同
10−251865公報には、珪酸エステルとアルミニウム化合
物と場合により他の成分を含有する処理液を用いてシリ
カ質の防食皮膜を形成することが提案されている。 【0003】また、有機樹脂を主成分とし、必要により
他の有機もしくは無機成分を含有する防食皮膜を形成し
た有機複合被覆鋼板も数多く提案されている。例えば、
特開平5−198244号公報、同7−145486号公報には、フ
ッ化物、リン酸、金属イオン、樹脂等からなる皮膜を被
覆する方法が、特開平8−73775 号公報にはシランカッ
プリング剤から皮膜を形成する方法が、特開平10−2515
09号公報には樹脂、ポリアニリン、無機酸化物から皮膜
を形成する方法が、特開平10−337530号公報には樹脂と
希土類化合物とから皮膜を形成する方法がそれぞれ提案
されている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】ところで、亜鉛系めっ
き鋼板、特に溶融亜鉛系めっき鋼板の問題点として、時
間がたつとめっき表面が黒く変色する現象 (以下、単に
黒変と称する) があり、無塗装で使用されることの多い
溶融亜鉛系めっき鋼板の商品価値を著しく損なう原因と
なっていた。 【0005】この黒変は、特に高温多湿の条件下で、コ
イルのようにめっき面同士が密着した状態で保管した場
合に起こり易く、従来のクロメート処理した亜鉛系めっ
き鋼板で問題となっていた現象である。しかし、クロム
フリーの表面処理またはりん酸塩処理を施した亜鉛系め
っき鋼板でも、同様の黒変が起こる。 【0006】この亜鉛系めっき鋼板に固有の黒変は、特
にめっき後に調質圧延 (スキンパス圧延) を施した鋼板
で顕著に現れることが知られている。めっき時に高温に
加熱された溶融亜鉛系めっき鋼板では、機械的性質の改
善やめっき外観の改善(スパングルの低減、ドロス除
去)といった目的で調質圧延しなければならないことが
多い。そのため、特に溶融亜鉛系めっき鋼板で黒変が起
こり易いが、電気亜鉛系めっき鋼板でも、特にブラシロ
ールを用いて洗浄した場合などにはやはり黒変が見られ
ることがある。 【0007】亜鉛系めっき鋼板の黒変現象は、めっき皮
膜の表面の安定な酸化物が破壊されて、酸素の少ない非
化学量論的な不安定な酸化物(酸欠錆)が生成し、これ
が黒く見えるためであるとされ「特開平9−13158 号、
同10−8228号各公報] 、特にクロメート皮膜からのCr
や、溶融亜鉛めっき皮膜中に通常含まれているAlが黒変
に悪影響を及ぼすことが報告されている [内田ほか、日
新製鋼技報、51、.p29(1984)] 。 【0008】この黒変現象を抑制する技術として、特開
昭59−177381号公報には、めっき後にNi、Coを薄くめっ
きしてからクロメート処理を施すことが提案されてい
る。しかし、析出したNi、Coは、めっき皮膜のZnと局部
電池を形成して、耐食性 (耐白錆性) を劣化させる傾向
がある。クロメート処理する場合には、クロメート皮膜
のもつ優れた自己修復作用により、耐食性劣化を最小限
度に抑えることが可能であるが、クロムフリーの有機複
合被覆鋼板では、前述のZnとの局部電池形成による耐食
性劣化が大きいため、この技術を利用することはできな
い。 【0009】特開平9−13158 号公報には、溶融めっき
後のスキンパス圧延で現れる新生面の面積率を10〜40%
に抑制すると、溶融亜鉛系めっき鋼板の耐黒変性が改善
されることが記載されている。しかし、このような制限
された条件下での調質圧延では、この圧延の目的を十分
に達成することができないことが多い。また、この公報
に開示された技術は、めっき後に、クロメート皮膜また
はクロメート皮膜+有機被覆で耐食性を確保することを
前提としており、クロムフリーの防食被覆を施した場合
について、耐食性を確保しながら耐黒変性を改善するも
のではない。 【0010】特開平10−8228号には、新生面の面積率と
めっき皮膜中のPb含有量とを一定範囲に調節すること
で、りん酸塩処理性と耐黒変性を改善した溶融亜鉛系め
っき鋼板が提案されている。この提案も、クロムフリー
の防食被覆を施した亜鉛系めっき鋼板の耐黒変性の改善
に関するものではない。 【0011】本発明は、クロムフリーの防食被覆を施し
た亜鉛系のめっき鋼板、特にめっき後に調質圧延やブラ
シロールによる洗浄といった機械的処理を受けためっき
鋼板において、必要な耐食性を確保しながら黒変を抑制
する技術を開発することを課題とする。 【0012】 【課題を解決するための手段】クロメート皮膜とは異な
り、自己修復機能を持たないクロムフリー皮膜で亜鉛系
めっき鋼板に十分な耐食性を付与するには、緻密で防食
性能に優れた皮膜を形成できる、珪酸化合物と樹脂を主
成分とする防食皮膜が適している。この防食皮膜の優れ
た耐食性に着目し、この皮膜で亜鉛系めっき鋼板を被覆
する場合の黒変の抑制について検討した結果、めっき後
に施すスキンパス圧延といった機械的処理と耐食性とを
相関させて制御することにより、黒変の抑制が可能とな
ることを究明した。即ち、目標とする耐食性が高くなる
ほど、機械的処理で生ずる新生面の割合が少なくなるよ
うにする必要がある。しかし、このクロムフリー皮膜の
防食性能が非常によく、また黒変現象に関与するCrが皮
膜中に存在しないため、高度の耐食性を付与する場合で
も新生面の面積率が75%という、クロメートの場合に比
べてかなり強い機械的処理を施すことができる。 【0013】ここに、本発明は、めっき後に機械的処理
を受けた亜鉛系めっき鋼板のめっき面上に、珪酸化合物
と樹脂を主成分とするクロムフリーの防食皮膜が形成さ
れた有機複合被覆亜鉛系めっき鋼板において、該機械的
処理で生じた新生面の面積率 (S) と、該皮膜形成後の
JIS Z2371 に従った72時間の塩水噴霧試験後に鋼板表面
に発生する白錆の面積率で評価した耐食性能 (T) と
が、次式を満たすことを特徴とする、耐黒変性が改善さ
れた有機複合被覆亜鉛系めっき鋼板である: (1) S≦5Ln(T)+75 (但し、T>0)または (2) S≦75 (但し、T=0)。 【0014】「機械的処理で生じた新生面」とは、亜鉛
めっき後に調質圧延、レベラ矯正、ロールブラシ等の機
械的処理を行った際に、めっき表面の安定な酸化膜が破
壊されて露出した面のことを意味し、純金属 (めっき金
属) からなる微細凹部のことである。この部分は、安定
な酸化膜に比べて、黒変の原因となる酸欠錆を生じやす
い。 【0015】この新生面は凹部であるので、可視光を斜
めにあてると黒く見える。従って、亜鉛系めっき鋼板の
機械的処理で生じた新生面の面積率は、このめっき鋼板
の表面を上記のように光をあてながら光学顕微鏡で写真
撮影し、その写真から画像解析装置によって求めること
ができる。 【0016】 【発明の実施の形態】本発明に係る有機複合被覆亜鉛系
めっき鋼板の構成について次に説明する。 【0017】母材めっき鋼板 母材の亜鉛系めっき鋼板は、めっき後に機械的処理を受
ける、任意の亜鉛めっきまたは亜鉛合金めっき鋼板でよ
い。即ち、めっきは電気めっきでも溶融めっきでもよ
く、めっき皮膜の組成も、亜鉛または亜鉛合金であれば
特に制限されるものではない。例えば、Zn−Al合金めっ
き鋼板を母材として使用できる。 【0018】しかし、本発明の主目的は、溶融亜鉛系め
っき鋼板で特に顕著に発生する黒変現象を抑制すること
であるので、この目的の達成には、母材が溶融亜鉛系め
っき鋼板であることが有利である。特に黒変現象が発生
し易い、めっき皮膜中のAl含有量が0.05〜10質量%であ
る溶融亜鉛系めっき鋼板に対して本発明を適用すること
が非常に有効である。 【0019】このような溶融亜鉛系めっき鋼板として
は、めっき浴中の有効Al濃度([有効Al濃度] = [浴中Al
濃度] − [浴中Fe濃度])が0.08〜0.20質量%の条件で製
造される溶融亜鉛めっき鋼板や、Alを約5質量%含む溶
融5%Al−Zn合金めっき鋼板が挙げられる。 【0020】母材めっき鋼板のめっき付着量は特に制限
されず、従来と同様でよい。溶融亜鉛系めっき鋼板の場
合、めっき付着量は、片面あたり20〜150 g/m2の範囲が
一般的である。なお、めっきは、片面めっきであっても
よいが、一般的には両面めっきである。 【0021】機械的処理 本発明では、めっき後に機械的処理を受けた亜鉛系めっ
き鋼板を対象とする。機械的処理により新生面が現れ、
この部分で特に黒変が発生し易いからである。めっき後
に新生面を生ずるような機械的処理としては、スキンパ
スによる調質圧延、レベラによる平坦修正、およびブラ
シによる洗浄などがある。 【0022】溶融亜鉛系めっきの場合は、一般にめっき
後にスキンパスによる調質圧延を行い、必要に応じてレ
ベラ矯正も行われる。電気亜鉛系めっき鋼板では、めっ
き後に洗浄が必要であるが、その際に洗浄を短時間で完
全に行うためロールブラシ等が使われることがあり、め
っき表面に新生面が現れる。 【0023】防食皮膜 亜鉛系めっき鋼板は、めっき皮膜の溶解・消耗を伴う犠
牲防食能により耐食性を発揮するため、防食被覆を施し
ておかないと、めっき皮膜の消耗が進み、長期間にわた
って耐食性を発揮することができない。本発明では、緻
密で密着性がよく、バリアー効果 (環境遮断効果) に優
れている、樹脂と珪酸化合物を主成分とする防食皮膜
を、機械的処理後の亜鉛系めっき鋼板のめっき表面に形
成する。 【0024】防食皮膜の主成分である樹脂種は、一般に
焼付け型塗料に使用されている熱硬化性樹脂を使用する
ことが好ましい。かかる樹脂の例としては、アクリル
系、エポキシ系、ポリエステル系、ウレタン系、フェノ
ール系等の樹脂が挙げられる。好ましい樹脂種は、耐食
性と密着性とに優れている、アミノ変性フェノール系お
よびアミノ変性アクリル系樹脂である。 【0025】珪酸化合物は、樹脂に次ぐ防食皮膜の主成
分である。珪酸化合物はシロキサン結合 (Si−O) によ
る皮膜の形成が可能な任意の無機または有機珪素化合物
を包含する。そのような化合物の例としては、珪酸、無
水珪酸 (シリカ) 、珪酸塩、およびそれらの前駆体、特
に加水分解により珪酸および/または無水珪酸となる化
合物 (例、アルコキシシラン) 、さらには有機基を有す
るポリシロキサン型の皮膜形成が可能なシランカップリ
ング剤やシリコーンなどが挙げられる。 【0026】また、上記(1) の樹脂として、予めシリカ
変性やシリコーン変性されたものを用いることにより、
防食皮膜中に珪酸化合物を含有させることもできる。好
ましい珪酸化合物は表面処理鋼板に通常用いられている
ものであり、具体例としては、コロイダルシリカ (シリ
カゾル) 、気相シリカ (ヒュームドシリカ)、シランカ
ップリング剤、珪酸金属塩などが挙げられる。 【0027】珪酸化合物は、樹脂と均一に混ざり合っ
て、緻密なバリアー皮膜を形成する。その場合、珪酸化
合物と樹脂が反応して化学結合した皮膜を形成すると、
皮膜強度や緻密性が向上し、バリアー効果がさらに高ま
る。その意味で、樹脂と反応性のある官能基を有するシ
ランカップリング剤を、珪酸化合物の全部または一部と
して使用することが好ましい。シランカップリング剤を
珪酸化合物として使用すると、めっき層との密着性が向
上するという別の効果も得られ、これもバリアー効果の
改善に寄与する。 【0028】例えば、樹脂とシランカップリング剤のう
ち、一方 (または両方) が水酸基かカルボキシル基を有
するものであり、他方 (または両方) がアミノ基を有す
るものであると、樹脂とシランカップリング剤が反応し
て、アミド結合により樹脂と珪酸化合物が結合した皮膜
が生成する。 【0029】防食皮膜中の珪酸化合物 (シリカ変性系等
の樹脂由来の珪酸化合物も含む) の含有量は、SiO2換算
で10〜30質量%の範囲内であることが好ましい。珪酸化
合物の含有量がこの範囲を外れると、いずれも耐食性が
劣化する傾向がある。より好ましい珪酸化合物の含有量
はSiO2換算で15〜25質量%である。 【0030】樹脂と珪酸塩を主成分とする防食皮膜は、
その他に少量のリン酸化合物とフッ化物をさらに含有す
ることが好ましい。リン酸化合物が防食皮膜中に存在す
ると、皮膜のバリアー効果がより向上し、耐食性の改善
効果が認められる。また、フッ化物を含有する処理液か
ら防食皮膜を形成すると、皮膜形成までの間にめっき層
表面がフッ化物イオンでエッチングされ、防食皮膜のめ
っき層との密着性が増し、耐食性が向上する。 【0031】リン酸化合物は、皮膜中のP含有量が 0.5
〜5at%の範囲、特に1〜4at%の範囲となるように防
食皮膜中に含有させることが好ましい。添加量が多すぎ
ると耐黒変性の低下が認められる。リン酸化合物として
は、リン酸 (オルトリン酸)、ポリリン酸、亜リン酸
(ホスホン酸)、メタリン酸、次亜リン酸などの各種の
リンの酸素酸ならびにそれらの好ましくは水溶性の塩
(例、アンモニウム塩、アルカリ金属塩等) を挙げるこ
とができる。 【0032】フッ化物は、皮膜中のF元素の含有量が
0.5〜5at%の範囲、特に1〜4at%の範囲となるよう
に防食皮膜中に含有させることが好ましい。過剰添加す
ると、耐黒変性および耐食性が劣化する。フッ化物とし
ては、フッ酸のほか、フッ化チタン酸、フッ化ジルコン
酸、ケイフッ酸等の錯フッ化物、並びにこれらの好まし
くは水溶性の塩 (例、アンモニウム塩、アルカリ金属塩
等) が挙げられる。 【0033】防食皮膜には、耐食性、耐黒変性、皮膜密
着性といった性能に著しい悪影響を及ぼさない限り、上
記以外の他の添加剤成分 (例、消泡剤、乳化剤、防錆添
加剤成分等) を含有させることもできる。また、珪酸化
合物やリン酸化合物に金属塩を用いた場合の金属元素等
が含まれていてもよい。 【0034】さらに、シランカップリング剤の一部に代
えて、チタネートカップリング剤やアルミニウムアルコ
キシド等を使用してもよい。その場合、コスト上昇は避
けられず、また処理液寿命が低下するという問題もある
が、耐食性は向上する。以上に説明した各成分は、いず
れも1種または2種以上を使用することができる。 【0035】防食皮膜の膜厚は、用途に要求される性能
レベル (主に耐食性) や、使用した防食皮膜の防食性能
(特に膜の緻密性) により異なるため、一概に決めるこ
とはできない。薄すぎると十分な耐食性が得られず、厚
すぎると性能が飽和し、コストアップにつながるほか、
表面の導電性の低下により、アース性抵抗溶接性が低下
する。 【0036】本発明では、防食皮膜の耐食性とめっき皮
膜の機械的処理により生じた新生面の面積率との関係と
して黒変発生を抑制する。従って、めっき皮膜の新生面
の面積率が高い場合には、防食皮膜を厚くしすぎると、
黒変発生を防止できなくなる場合がある。通常は 0.1〜
10μm、好ましくは 0.5〜8μmの範囲内の膜厚で、目
的とする耐食性が得られ、かつ黒変発生も抑制できるよ
うに選ぶ。 【0037】防食皮膜の形成方法は特に制限されず、従
来と同様でよい。例えば、皮膜の各成分 (もしくはその
前駆体) を所定割合で含有する処理液を用いて、所定の
膜厚になるように母材のめっき鋼板を塗布した後、直ち
に焼付けて乾燥する。作業環境への負荷の点から、水性
の処理液 (溶液、分散液のいずれでもよい) であること
が望ましい。塗布方法は、ロールコート法、シャワー・
スクイーズ法、浸漬法、噴霧法等、既知の適当な方法を
用いることができる。 【0038】本発明によれば、めっき後の機械的処理に
より現れた新生面の面積率 (S) と、防食皮膜を施した
有機複合被覆鋼板の耐食性 (T、JIS Z2371 による72時
間の塩水噴霧試験後の白錆の面積率) が次式を満たすこ
とにより、黒変発生を抑制する。 (1) S≦5Ln(T)+75 (但し、T>0)または (2) S≦75 (但し、T=0) 即ち、T=0の高度の耐食性を示す防食皮膜を形成しよ
うとする場合、(2) 式に従って、新生面面積率が75%ま
たはそれ以下の機械的処理を行わなければならない。形
成する防食皮膜の耐食性がそれより低くてもよい場合に
は、(1) 式に従って、耐食性が低いほど機械的処理によ
る新生面面積率を大きくすることができる。 【0039】黒変は酸欠錆の1種であるので、防食皮膜
の耐食性が高いほど、酸欠状態になり易く、黒変のもと
となる新生面の発生を抑制する必要があることを意味し
ている。しかし、T=0の高度の耐食性を確保したい場
合でも、本発明のクロムフリーの防食皮膜を利用する場
合には、新生面面積率が75%という、かなり強い機械的
処理を施すことができるので、調質圧延といった機械的
処理の目的は十分に達成できる。 【0040】機械的処理における新生面の抑制は、例え
ば、調質圧延の場合、スキンパス圧延のワークロールの
表面粗度を粗くするか、および/またはスキンパス圧延
による材料の伸率を低く抑えることによって、達成する
ことができる。レベラによる平坦修正も同様に、材料の
伸率を低くするか、および/または使用するワークロー
ルの表面粗度を粗くすることにより、新生面の発生を抑
制できる。 【0041】電気めっき鋼板の場合、めっき後に行われ
ることがあるブラシロールによる洗浄は新生面を発生さ
せるので、ブラシロールと鋼板の摩擦を小さくすべく、
ブラシロールの回転負荷を小さくすることによって、新
生面の発生を抑制することができる。 【0042】逆に、調質圧延等の機械的処理で75%を超
える面積率で新生面が発生してしまった亜鉛系めっき鋼
板に対しては、上の(2) 式を満たす耐食性を持つ防食皮
膜を形成することで、黒変を抑制することができる。つ
まり、機械的処理における新生面面積率 (S) と防食皮
膜形成後の耐食性 (T) の一方または両方を管理するこ
とにより、黒変発生の抑制が可能となる。防食皮膜の組
成や焼付け条件が一定である場合、皮膜により付与され
る耐食性は、皮膜の膜厚に依存するので、膜厚を変動さ
せて、皮膜の耐食性を管理することができる。 【0043】本発明の有機複合被覆鋼板は、そのままで
使用することができるが、特に黒変抑制のために耐食性
を犠牲にした場合 (即ち、機械的処理による新生面面積
率が大きかったため、(2) 式を満たすため耐食性を低く
せざるを得なかった場合) には、さらに適当な樹脂被覆
を施して、耐食性を改善してもよい。この樹脂皮膜は、
潤滑性、耐指紋性等といった機能を付与するように組成
を選定してもよい。 【0044】 【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を例示するが、
これらは本発明を制限するものではない。以下の実施例
において、%は特に指定のない限り質量%である。母材
として、いずれも両面めっきの下記亜鉛系めっき鋼板を
用いた: (1) 溶融亜鉛めっき鋼板 (浴中有効Al濃度=0.12%、め
っき皮膜中Al含有量=0.6 %、片面当たり付着量110 g/
m2、以下GIと表記) 、 (2) 溶融5%Al−Zn合金めっき鋼板 (片面当たり付着量
100 g/m2、以下GFと表記) 、および (3) 電気亜鉛めっき鋼板 (片面当たり付着量20 g/m2
以下EGと表記) 。 【0045】これらの亜鉛系めっき鋼板に対して、溶融
めっき鋼板 (GIおよびGF) では表面粗度Ra=0.8 μ
mのワークロールでのスキンパス圧延、電気めっき鋼板
(EG) では、砥粒入りナイロンブラシ(8S)による表面
研削、によって機械的処理を施した。この時に、スキン
パス圧延では、材料伸率(圧下率)を変化させることに
より、ロールブラシによる表面研削では回転負荷を変化
させることにより、異なる面積率の新生面を発生させ
た。めっき表面に形成された新生面の面積率は、めっき
表面の光学顕微鏡写真を画像解析することにより測定し
た。 【0046】この機械的処理の後、表1に示す種類およ
び割合で樹脂、珪酸化合物、リン酸、およびフッ酸を含
有する水性処理液(珪酸化合物がシリカの場合は分散
液、その他の場合は水溶液)をバーコーターで両面のめ
っき表面に塗布し、最高到達板温が100 ℃となるように
焼き付け、防食皮膜を形成した。 【0047】この防食皮膜の付着量は、皮膜を溶解して
皮膜の質量を求め、皮膜の比重から膜厚に換算した。ま
た、皮膜中のフッ素とリンの元素としての含有量を、表
面からXPS で測定した結果か、元素割合を定量すること
で求めた。 【0048】得られた有機複合被覆鋼板の耐食性と耐黒
変性を以下の方法で調査した。 (a) 耐食性 サンプルの端面をポリエステルテープで被覆した後、塩
水噴霧試験(JIS-Z2371に準拠) に72時間供し、試験後の
サンプル表面の白錆発生面積で評価した。 (b) 耐黒変性 サンプル表面の明度(JIS-Z8370に規定されるL*) を予め
測定し、このサンプルを恒温恒湿器 (60℃、85%RH) に
1週間保持したのち、再びL*を測定した。このときのΔ
L* [=L* (試験後) −L* (試験前)]を耐黒変性の指標と
した。ΔL*値の評価は次の通りである。 0〜−4:良好 (図1で○として評価) −5〜−9:黒変するも許容範囲内 (図1でΔとして評
価) −10以下 :著しい黒変で許容範囲外 (図1で×として
評価) 表1に皮膜構造、表2〜3と図1に試験結果を示す。 【0049】 【表1】 【0050】 【表2】 【0051】 【表3】【0052】表2〜3および図1から分かるように、要
求される耐食性能 (T) に応じて新生面の面積率 (S)
を本発明の範囲で制御することにより、防食皮膜の種類
およびめっき種によらず、黒変を確実に抑制できる。 【0053】 【発明の効果】本発明により、耐食性、耐黒変性に優
れ、かつ環境への負荷の少ないクロムフリーの有機被覆
鋼板を製造することができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】耐食性と新生面面積率が耐黒変性に及ぼす影響
を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // B05D 7/14 B05D 7/14 A (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 22/00 - 22/86 B32B 15/08 B05D 7/14

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 めっき後に機械的処理を受けた亜鉛系め
    っき鋼板のめっき面上に、珪酸化合物と樹脂を主成分と
    するクロムフリーの防食皮膜が形成された有機複合被覆
    亜鉛系めっき鋼板において、 該機械的処理で生じた新生面の面積率 (S) と、該皮膜
    形成後のJIS Z2371 に従った72時間の塩水噴霧試験後に
    鋼板表面に発生する白錆の面積率で評価した耐食性能
    (T) とが、次式を満たすことを特徴とする、耐黒変性
    が改善された有機複合被覆亜鉛系めっき鋼板。 (1) S≦5Ln(T)+75 (但し、T>0)または (2) S≦75 (但し、T=0)
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